JP2004257002A - 路面温度上昇抑制舗装体およびその施工方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】10%以上の空隙率を有する舗装体の空隙に、はじめに粒状物を注入し、その後で自硬性を有するグラウトを注入して硬化させて液体の湿潤性を高めた舗装体とする。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、路面温度の上昇を抑制する機能を有する舗装体(以下路面温度上昇抑制舗装体という)に関する。
【0002】
【従来の技術】
アスファルト舗装体に代表される表面が黒色乃至灰色の舗装体は、一般的に太陽光の日射エネルギーを吸収しやすいこと、自然地盤と比較すると気化熱による熱の放出が発生しにくいことなどから路面温度が高くなりやすく、都市部においては夏期に60℃程度に達することもある。近年、このようなヒートアイランド現象を含めた都市環境あるいは歩行者に対する歩道空間の熱環境を改善する対策として、路面温度の上昇を抑制する機能を有する舗装体の開発が望まれている。そして、このような社会的要求に応えて、路面温度の上昇を抑制するための様々な方法が考えられてきた。
【0003】
従来、開粒度アスファルト混合物の空隙に各種機能性材料を含むバインダを注
入固化させた舗装体に関する技術が知られており、
【特許文献1】に記載された発明が本出願人により特許出願され特許として登録されている。
【0004】
【特許文献1】における機能性材料として例えば水を保持する機能を有するグラウトを用いたものは、水が蒸発するときの気化熱を利用して路面温度の上昇を抑制することができ、ヒートアイランド現象を緩和する機能を有する舗装として注目されている。このような保水性舗装に関する先行技術文献情報としては、例
えば
【特許文献2】がある。
【0005】
【特許文献2】には、路面温度の上昇抑制機能を備える舗装体の有孔表層について記述されている。この有孔表層は、透水性アスファルト混合物、透水性セメントコンクリート、透水性セメントモルタル、透水性石油樹脂混合物、これらの材料を用いた多孔質成形ブロック等からなり、シルト系充填材(グラウト)を有孔表層中の空隙に充填することにより路面温度の上昇抑制を図っている。
【0006】
このほかにも、表層材料として天然土等を使用した土系舗装、開粒度アスファルト混合物の空隙に砂やシルトを充填した舗装体等が、保水機能を有するものとして知られている。
【特許文献1】特許第2899874号公報
【特許文献2】特許第3156151号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来優れた保水性舗装として知られている充填材がセメントなどのグラウトのみからなる舗装体は、グラウト自体の保水容量が小さく水の移動(浸潤)速度も遅い。そのため、降雨量が少ない時期になると舗装体の空隙に保持される水分量が不足して、路面温度の上昇を抑制する機能を十分に発揮することができなくなるという問題があった。また、降雨があった場合でも舗装体中に浸潤する水は少量で、大部分の水は表面排水により側溝等へ流出してしまう。その結果、散水車等により路面に水を供給する必要が生じ、大変な労力と費用がかかっていた。
【0008】
土系舗装は表層材料として天然土等を使用した一種の保水性舗装であり、グラウトのみを充填した従来の保水性舗装と比較すると保水容量が大きく水の浸潤速度も大きい。しかし、土の乾燥により粉塵が発生したり、降雨等により土が泥濘化したり流失したりするという問題があった。
【0009】
開粒度アスファルト混合物の空隙に砂やシルトを充填した舗装体も、グラウトのみを充填した従来の保水性舗装と比較すると保水容量が大きく水の浸潤速度も大きいが、降雨等による砂やシルトの流失、通行車両による砂やシルトの飛散という問題があった。
【0010】
本発明の第一の目的は、グラウトのみを充填した従来の保水性舗装と比較して、舗装体の保水容量と水の浸潤速度を大きくすることにより、降雨水等を吸収しやすくするとともに、継続的に路面温度の上昇を抑制することができる舗装体(以下路面温度上昇抑制舗装体と称する)を提供することにある。本発明の第二の目的は、土系舗装における土の乾燥による粉塵発生、降雨等による土の泥濘化または流失といった問題が発生しない路面温度上昇抑制舗装体を提供することにある。本発明の第三の目的は、砂やシルトを充填した舗装体における降雨等による砂の流失や通行車両による砂の飛散といった問題が発生しない路面温度上昇抑制舗装体を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は鋭意研究を進めた結果、高い保水容量と液体湿潤速度をもち、泥濘化や流出の恐れもなく、路面温度の上昇を顕著に抑制する機能を有する舗装体の開発に成功した。
【0012】
本発明は、10%以上の空隙率を有する舗装体の空隙に、はじめに粒状物を注入し、その後に自硬性を有するグラウトを注入して硬化させて舗装体中の液体の浸潤性を高めたことを特徴とする路面温度上昇抑制舗装体である。
【0013】
本明細書において、空隙とは母体となる舗装体を構成する部分のうち骨材やバインダを除いた空間部分をいい、間隙とはこの空隙に注入した粒状物、グラウトの硬化体または混合部以外の空間部分をいう。そして、この間隙には空気が存在する。
【0014】
本発明の舗装体は空隙を有する開粒度の舗装体であることを要し、通常アスファルト混合物、セメントコンクリート、樹脂コンクリート等からなる空隙率10%以上のものが用いられる。空隙率の上限は舗装体に要求される耐久性等により異なるが、通常は30%程度までである。特に、開粒度アスファルト混合物からなる舗装体が好ましい。
【0015】
本発明の粒状物の粒径は、舗装体の表面空隙から注入可能な大きさであれば特に制限はないが、注入後の粒状物の空隙中における分布状態等を考慮すれば2.5mm以下であることが好ましく、そのうちでも特に1mm以下であることが好ましい。粒状物の粒径が2.5mm以上であると粒状物を下部空隙まで注入することが困難となり、未充填の下部空隙が後から注入する比較的透水性の低いグラウトで満たされることにより舗装体の浸潤性が損なわれてしまう。本発明の粒状物としては無機粒子を用いることができ、その典型例は砂である。本発明で用いる砂としては、川砂、山砂、海砂等の天然砂、岩石や玉石を破砕して製造した人工砂、そのほかにスクリーニングス、珪砂、高炉水砕スラグ、クリンカーアッシュ等がある。本発明で用いる砂以外の無機粒子の例としてはガラスビーズ、セラミック粒子、多孔質粒子等がある。本発明の粒状物としては有機粒子を用いることもでき、例えば硬化したプラスチック粉や硬質木材の木粉等がある。
【0016】
本発明で用いるグラウトは自硬性を有するものであれば特に制限はなく、セメントグラウト、アスファルト乳剤グラウト、樹脂グラウト等を用いることができるが、その硬化体が全体として吸水性、浸潤性および保水性を有するものが好ましく用いられる。特に、セメントを必須成分とする水性スラリー(以下、「保水性グラウト材」ということがある。)を注入して固化させた硬化体が好ましい。また、グラウトの構成成分として吸水性、浸潤性、保水性のうち1つ以上の性質を有する物質(以下、「機能性物質」という。)を加えることにより、前記グラウトの硬化体の吸水性、浸潤性および/または保水性を向上させることができる。このような機能性物質としては、各種の繊維、界面活性剤、高吸水性ポリマー等がある。これらの機能性物質の添加量は特に制限はないが、通常グラウトに対する重量比で0.01〜20%程度存在させることが好ましい。
【0017】
本発明の舗装体の施工方法は、10%以上の空隙率を有する舗装体の空隙に、はじめに粒状物を注入し、その後で自硬性を有するグラウトを注入して硬化させることを特徴とする。粒状物の注入方法は特に限定されないが、例えば舗装体の表面空隙から粒状物を注入し、必要に応じて舗装体に振動を与えたり舗装体の表面に散水を行ったりする方法がある。次いでグラウトを注入して硬化させる。グラウトの注入・硬化は、通常はじめに注入した粒状物どうしによって形成された間隙に後から注入したグラウトが侵入して硬化した部分即ち混合部分(C)が存在するように行なわれる。この混合部分(C)以外の部分が存在する場合、それらは粒状物のみからなる部分(B)および/またはグラウトの硬化体のみからなる部分(D)ということになる。尚、これら以外の部分には空気からなる部分(A)が存在することになる。これらの部分を水の浸潤性が高い順に並べると、A>B>C>Dとなる。したがって、部分A、B、Cまたはこれらを組み合わせた部分を空隙に存在させた舗装体は、部分Dのみを空隙に存在させた舗装体よりも水の浸潤速度が大きい。
【0018】
部分A、B、Cまたはこれらを組み合わせた部分と共に部分Dが空隙に存在する場合であっても、空隙に存在する部分Dが薄ければ水が通過するのにそれほど時間はかからないので、舗装全体としては部分Dのみが空隙に存在する舗装体よりも水の浸潤速度は大きくなる。また、水はより浸潤しやすい部分を通って浸潤していくので、部分Dの近傍に部分A、B、Cまたはこれらを組み合わせた部分があれば、水はそちらを通って浸潤していく。
【0019】
さらに、部分Dが空隙中に占める割合が大きい場合であっても、部分A、B、Cまたはこれらを組み合わせた部分が舗装体の下部から上部まで連続して存在する箇所があれば、水はそのような箇所を通って浸潤する。
【0020】
このようにして、本発明の舗装体において水は任意の方向に浸透することができる。このため、水平方向と垂直方向にバランスよく浸潤し、水の移動を速くかつ均一に行うことができる。
【0021】
ところで、本発明における混合部分(C)、粒状物のみからなる部分(B)およびグラウトの硬化体のみからなる部分(D)が本発明の舗装体の空隙中に占める体積比は、舗装体を厚さ方向に3等分してそれぞれ上から順に上部、中間部、下部とした場合、通常より広くは以下の範囲であればよい。
(1)上部空隙:Cが0〜100%、Bが0〜40%、Dが0〜100%
(2)中間部空隙:Cが20〜100%、Bが0〜70%、Dが0〜70%
(3)下部空隙:Cが0〜100%、Bが0〜100%、Dが0〜40%
また、より好ましい範囲は以下のとおりである。
(1)上部空隙:Cが20〜40%、Bが0〜20%、Dが40〜80%
(2)中間部空隙:Cが20〜40%、Bが20〜50%、Dが20〜50%
(3)下部空隙:Cが20〜40%、Bが40〜80%、Dが0〜20%
【0022】
本発明の舗装体は、グラウトのみを充填した保水性舗装と比較して保水容量と水の浸潤速度を大きくすることにより、降雨量が少ない時期等においても舗装体の空隙に十分な水を容易に供給することができ、それにより継続的に路面温度の上昇を抑制することができるが、この場合の水の供給は適宜の手段で行うことができる。
【0023】
その一例は、前記舗装体の一部に透水型給水管を埋設する方法であり、透水型給水管に通水することにより水が隙間から管外へ流出して舗装体に供給される。舗装体に供給された水は、部分A、B、C、Dを浸透して舗装全体に広がり、各々の部分に保持され、この水が舗装体の表面から空気中へ蒸発するときに気化熱を奪うことにより路面温度の上昇抑制に寄与する。ここで、透水型給水管とは管に設けられた開口部や隙間を介して管内の水が管外へ浸潤可能なものであり、例えば有孔管やスパイラルパイプ等がある。
【0024】
【実施例】
〔舗装体の浸潤試験〕
本発明の舗装体の浸潤性を確認するために、以下に示す浸潤試験を行った。ここで浸潤試験とは、開粒度アスファルト混合物1からなる舗装体に埋設した透水型給水管4に水を供給し、透水型給水管4の隙間から管外へ流出した水が舗装体中を浸潤する速度(浸潤速度)を測定するものである。
(1)試験舗装体
試験舗装体の断面構成を図1に示す。粒状路盤3上に密粒度アスファルト混合物2(厚さ:5cm)を舗設して、その上に開粒度アスファルト混合物1(厚さ:5cm、空隙率:20%)を舗設した。試験舗装体の幅員は3m、延長は10mで、横断勾配は2%(図1で左から右への下り勾配)である。開粒度アスファルト混合物1の端部(図1の左端部)には透水型給水管4が試験舗装体の延長方向と平行に埋設されており、透水型給水管4の一端部は図示しない給水タンクに接続されている。そして、前記給水タンクから透水型給水管4へ供給された水は透水型給水管4の隙間から管外へ流出して、混合部分、粒状物のみからなる部分、グラウトの硬化体のみからなる部分、空気からなる部分へ浸透する。
(2)工区割り
本試験では試験舗装体を延長方向にA〜Cの3工区に分割し、表1に示すように各工区の表層に注入する材料を変えて開粒度アスファルト混合物1を浸潤する水の浸潤速度を測定した。各工区の延長はA工区を5m、B、C工区を2.5mとした。また、本試験で使用する保水性グラウト材の配合は、重量比でセメント39.7%、水59.5%、高吸水性ポリマー0.3%、繊維0.5%とした。
【0025】
【表1】
【0026】
(3)測定方法および測定結果
前記給水タンクから透水型給水管4へ水を供給し、各工区について経過時間ごとの水の浸潤距離を測定した。ここで、経過時間とは給水タンクから透水型給水管4への水の供給開始時刻からの経過時間であり、浸潤距離とは開粒度アスファルト混合物1の表面まで水が浸潤した箇所のうち透水型給水管4から概ね連続的に表面が浸潤している位置までの距離である。図3に本試験の測定結果を示す。
(4)試験舗装体の観察
浸潤試験終了後、B工区およびC工区の開粒度アスファルト混合物1を切断してその断面を観察したところ、図2のように混合部分、粒状物のみからなる部分、グラウトの硬化体のみからなる部分、空気からなる部分が混在していた。B工区の開粒度アスファルト混合物1の断面を観察すると、下部空隙に主としてガラスビーズが存在し、上部空隙に主として保水性グラウト材が存在していた。また、下部空隙と上部空隙との中間部の空隙には主として混合部分が存在していた。
【0027】
C工区の開粒度アスファルト混合物1の断面を観察すると、混合部分、粒状物のみからなる部分(8号珪砂)およびグラウトの硬化体のみからなる部分はB工区以上に分散していた。特に、混合部分は空隙の下部から上部にわたって存在し、上部にある空隙ほど混合部分に含まれるセメントの割合が多く、下部にある空隙ほど混合部分に含まれるセメントの割合が少なくなっていた。上部にある混合部分は十分に硬化していたが、下部にある混合部分は硬化による結合が弱くナイフ等で容易に剥がすことができるほど脆い状態であった。
B工区およびC工区において、開粒度アスファルト混合物1の空隙中に占める混合部分、粒状物のみからなる部分およびグラウトの硬化体のみからなる部分の構成比は、図4のようであると推定される。
【0028】
(5)結果の分析
浸潤試験の結果より、以下のことが分かる。
▲1▼ B工区(ガラスビーズ)およびC工区(8号珪砂)の舗装体は、A工区(保水性グラウト材のみ)の舗装体と比較して浸潤速度が速かった。特に、経過時間2時間におけるC工区の舗装体とA工区の舗装体とを比較すると、C工区の舗装体の方がA工区の舗装体よりも浸潤速度が10倍以上速かった。
▲2▼ B工区の舗装体とC工区の舗装体とを比較すると、C工区の舗装体の方がB工区の舗装体よりも浸潤速度が速かった。舗装体の断面を比較すると、B工区の舗装体は、下部空隙が主としてガラスビーズで占められ上部空隙が主として保水性グラウト材で占められていた。これは、ガラスビーズの形状がほぼ球形であることにより、ガラスビーズが下部まで注入されやすかったためと思われる。また、下部空隙と上部空隙との中間部の空隙には混合部分が存在していた。一方、C工区の舗装体は、混合部分が空隙の下部から上部にわたって存在していた。これは、8号珪砂の形状が稜角に富んでいることにより、空隙の途中に留まるものが多かったためと思われる。
【0029】
以上より、B工区の舗装体では上部空隙が主として透水性の低い保水性グラウト材で占められているために、舗装体の浸潤速度が遅くなったものと推定される。一方、C工区の舗装体では透水性の高い8号珪砂を含む部分が舗装体の下部から上部まで連続して存在する状態が多く生じたために、舗装体の浸潤速度が速くなったものと推定される。
【0030】
〔浸潤速度試験〕
前記浸潤試験において比較的浸潤速度が速かったB工区およびC工区の舗装体について、舗装体の空隙に注入する粒状物の量と舗装体中を浸潤する水の浸潤速度との関係を確認するために、以下に示す浸潤速度試験を行った。
(1)試験舗装体
試験舗装体の断面構成は図1に示すとおりで、前記浸潤試験と同様である。試験舗装体の幅員は3m、延長は6mで、横断勾配は2%(図1で左から右への下り勾配)である。開粒度アスファルト混合物1の端部(図1の左端部)には透水型給水管4が試験舗装体の延長方向と平行に埋設されており、透水型給水管4の一端部は図示しない給水タンクに接続されている。そして、前記給水タンクから透水型給水管4へ供給された水は透水型給水管4の隙間から管外へ流出して、混合部分、粒状物のみからなる部分、グラウトの硬化体のみからなる部分、空気からなる部分へ浸透する。
(2)工区割り
本試験では試験舗装体を延長方向にB1〜B3およびC1〜C3の6工区に分割し、表2に示すように各工区の表層に注入する材料の種類と量を変えて開粒度アスファルト混合物1中の水の浸潤速度を測定した。各工区の延長は1mとし、他工区からの水の浸潤を防ぐために各工区の境界にカッターで溝を設け注入目地材を注入した。また、本試験で使用する保水性グラウト材の配合は、重量比でセメント39.7%、水59.5%、高吸水性ポリマー0.3%、繊維0.5%とした。
【0031】
【表2】
【0032】
(3)測定方法および測定結果
各舗装体の空隙へ粒状物を注入した後に保水性グラウト材を注入し、保水性グラウト材の硬化後に前記給水タンクから透水型給水管4へ水を供給し、各工区について経過時間ごとの水の浸潤距離を測定した。
【0033】
各舗装体の空隙に占める粒状物の体積比は、B1〜B3工区(ガラスビーズ)が20%、40%、60%、C1〜C3工区(8号珪砂)が10%、20%、30%とした。なお、粒状物を注入できる限界の体積比はガラスビーズについては約80%、8号珪砂については約35%であった。そして、この状態では保水性グラウト材の注入はほとんど行うことができなかった。
(4)試験結果および分析
図5は本試験の測定結果である。比較のため、前記浸潤試験において試験対象とした保水性グラウト材のみを注入した舗装体(A工区)についてもその測定結果を示した。試験結果より、ガラスビーズおよび8号珪砂はともに空隙に占める粒状物の体積比が大きくなるほど浸潤速度が速くなり、ガラスビーズについては体積比60%、8号珪砂については体積比30%の場合が最も速いということが分かる。したがって、舗装体の空隙に占める粒状物の体積比を大きくすることにより、水の浸潤速度がより大きな舗装体を得ることができる。これは、透水性の高い混合部分、粒状物のみからなる部分、空気からなる部分が舗装体の下部から上部まで連続して存在する状態がより多く生じるためであると推定される。
【0034】
【発明の効果】
本発明の舗装体によれば、以下に示す効果が得られる。
(1)舗装体の空隙に、はじめに粒状物を注入しその後で自硬性を有するグラウトを注入して硬化させることにより、グラウトのみを充填した従来の保水性舗装と比較して舗装体の保水容量と水の浸潤速度を大きくすることができ、降雨水等を吸水しやすくなる。
(2)土系舗装では土の乾燥による粉塵発生や降雨による土の泥濘化または流失という問題が発生するが、本発明の舗装体は、はじめに粒状物を注入しその後で自硬性を有するグラウトを注入して硬化させたものなのでそのような問題が発生する恐れがない。
(3)開粒度アスファルト混合物の空隙に砂やシルトを充填した舗装体では砂やシルトの流失や飛散という問題が発生するが、本発明の舗装体は、はじめに粒状物を注入しその後で自硬性を有するグラウトを注入して硬化させたものなのでそのような問題が発生する恐れがない。
【0035】
また、本発明の舗装体において透水型給水管を用いた場合は、さらに以下に示す効果が得られる。
(1)透水型給水管から常時水を補給することができ、降雨等の影響を受けることなく継続的に水を供給することができる。
(2)表面散水ではないので、浮き水による水しぶきの発生がなく走行車両の視認性や走行性を確保することができる。
(3)透水型給水管への給水圧を調整することにより水の過剰供給を抑制し、水資源を有効に活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例における舗装体の断面図。
【図2】本発明の実施例における湿潤試験後の舗装体断面図。
【図3】本発明の実施例における湿潤試験の測定結果。
【図4】本発明の実施例における湿潤試験後の舗装体空隙中に占める保水性グラウト材と粒状物との構成比を表した図。
【図5】本発明の実施例における浸潤速度試験の測定結果。
Claims (8)
- 10%以上の空隙率を有する舗装体の空隙に、粒状物を注入した後自硬性を有するグラウトを注入して硬化させて液体浸潤性を高めたことを特徴とする路面温度上昇抑制舗装体。
- はじめに注入した前記粒状物どうしによって形成された間隙に後から注入した前記グラウトが浸入して硬化した混合部分が存在し、必要に応じ前記粒状物のみからなる部分および/またはグラウトの硬化体のみからなる部分も存在することを特徴とする請求項1記載の舗装体。
- 前記粒状物の粒径が2.5mm以下である請求項1または2記載の舗装体。
- 前記粒状物が無機粒子である請求項1〜3のいずれか1項記載の舗装体。
- 前記粒状物が吸水性、浸潤性および/または保水性を有する請求項1〜4のいずれか1項記載の舗装体。
- 前記グラウトが構成成分として、吸水性、浸潤性および/または保水性を有する物質を含有している請求項1〜5のいずれか1項記載の舗装体。
- 前記舗装体中に透水型給水管が配されている請求項1〜6のいずれか1項記載の舗装体。
- 10%以上の空隙率を有する舗装体の空隙に、はじめに粒状物を注入し、その後に自硬性を有するグラウトを注入して硬化させることを特徴とする路面温度上昇抑制舗装体の施工方法。
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