JP4052564B2 - 揚水性舗装 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として都市内の歩行者道路や自動車道路に採用される揚水性舗装及びその舗設方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
夏期において舗装面が高温化し、それが原因で広い地域にわたり通常よりも気温が高くなるヒートアイランド現象を防止するため、さまざまな対策が講じられており、例えば、種々の透水性舗装や保水性舗装が歩行者道路や自動車道路に採用されている。
【0003】
透水性舗装は、当初は、水密性の高いアスファルトの代わりに透水性の高い材料を使用することにより、雨水の浸透と空気の疎通を促進して街路樹の育成を図る対策として考えられた。また、保水性舗装は、水の気化熱を利用して舗装面の温度上昇を抑制し、上述したヒートアイランド現象を防止することを目的として開発されるようになった。
【0004】
特開平9−95904号公報には、透水性と保水性を有する多孔質のセラミックスから成る有孔表層と、この有孔表層の下部にあって水分の貯留能力と晴天時には貯留した水分を水蒸気として有孔表層に供給する機能を備える水分貯留層とを有する舗装体が開示されている。
【0005】
また、特開平10−46513号公報には、水分若しくは空気のいずれか一方の、または、両方の流通能力を備え容積百分率で15乃至35 %の空隙を有する透水性アスファルト混合物、透水性セメントコンクリート、透水性セメントモルタル、透水性石油樹脂混合物若しくは、これらの材料を用いた多孔質成形ブロック等の有孔表層において、保水性を有するとともに透水性を有するシルト系充填材を有孔表層中の空隙に充填する構成が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の保水性舗装においては、十分保水している状況だと表層で蒸発散するので、表面温度を抑制する効果があるものの、表層での保水性を向上させても、降雨後、晴天が続けば、2〜3日程度しか舗装面の表面温度を抑制する効果を持続させることができないとともに、それ以降は、たとえ水分の貯留能力を備える水分貯留層を設けたとしても、該水分貯留槽からは水分を水蒸気としてしか表層に供給することができないため、表層で気化熱が奪われることによる十分な舗装面温度低下を期待することはできないという問題を生じていた。
【0007】
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、晴天が続くような場合であっても、舗装面の温度上昇を確実に抑制することが可能な揚水性舗装及びその舗設方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明に係る揚水性舗装は請求項1に記載したように、所定の粗骨材を該粗骨材同士の間に間隙が形成されるようにアスファルトで相互に固結してなる透水層を不透水層の上に積層するとともに前記間隙に細粒材を充填し、前記不透水層の下方に貯水路盤を配置するとともに該貯水路盤内に貯留された水が前記透水層に供給されるように、前記貯水路盤と前記透水層とを導水材を介して接続してなり、前記透水層は、該透水層に保水又は供給された水を前記細粒材同士又は該細粒材と前記粗骨材との間の微細間隙を介して該透水層の表面方向に揚水するようになっているものである。
【0009】
また、本発明に係る揚水性舗装は、前記透水層の表面と該表面から少なくとも2mmの深さまでの範囲において前記細粒材同士又は該細粒材及び前記粗骨材とを互いに接触させた状態にてかつ揚水経路が残留形成されるように所定の樹脂で固結させてなる補強被膜を形成したものである。
【0010】
また、本発明に係る揚水性舗装は、前記透水層の表面と該表面から少なくとも2mmの深さまでの範囲において前記細粒材同士又は該細粒材及び前記粗骨材とを互いに接触させた状態にてかつ揚水経路が残留形成されるように所定の樹脂及び遮熱性顔料からなるバインダで互いに固結させてなる反射性補強被膜を形成したものである。
【0012】
また、本発明に係る揚水性舗装は、供給された水のうち、余剰水が前記貯水路盤に還流されるように所定の還流部を介して前記透水層と前記貯水路盤とを連通接続したものである。
【0014】
また、本発明に係る揚水性舗装は、前記貯水路盤に水を供給する水供給手段を前記透水層又は該貯水路盤に埋設したものである。
【0016】
本発明に係る揚水性舗装及びその舗設方法においては、所定の粗骨材を該粗骨材同士の間に間隙が形成されるようにアスファルトで相互に固結してなる透水層を不透水層の上に積層するとともに上述した間隙に細粒材を充填してなり、透水層は、該透水層に保水又は供給された水を細粒材同士又は該細粒材と粗骨材との間の微細間隙を介して該透水層の表面方向に揚水するようになっている。
【0017】
このようにすると、透水層に保水又は供給された水は、主として毛細管現象により、細粒材同士又は該細粒材と粗骨材との間の微細間隙を介して該透水層の表面方向に揚水され、あるいはいったん水平方向に移動してから任意箇所で表面方向に揚水され、しかる後、透水層の表面から気化熱を奪って蒸発することとなり、舗装面深くで蒸発する従来の場合とは異なり、舗装面である透水層の表面の温度上昇が確実に抑制される。
【0018】
粗骨材は、例えば5〜13mm程度の砕石を使用することが考えられ、アスファルトは、アスファルト舗装で用いている公知の歴青材料から適宜選択することができる。
【0019】
粗骨材同士の間隙は、例えば透水層全体に対する空隙割合が15〜25%程度になるように設定するのがよい。
【0020】
細粒材は、保水された水や供給された水を上述したように主として毛細管現象によって透水層の表面に揚水することができるものであれば、その材質、粒径、粒形などは問わないし、天然物か人工物かも問わないが、例えば、砂、セラミック系細骨材、0.25mm程度に粉砕した廃ガラス材、あるいは焼却灰や焼成灰をさらに焼成固結させたものや、火山灰などの天然生成物を用いることができる。
【0021】
透水層に保水又は供給された水は、上述した微細間隙にいったん滞留するほか、細粒材が保水性を有するものであれば、該細粒材内にいったん保水滞留されることになるので、上述した細粒材は、ある程度保水性を有していることが望ましく、その意味では多孔質構造をなすものが好ましい。
【0022】
透水層の表面に特定の処理を施すかどうかは任意であるが、該透水層の表面は、車両が走行したり歩行者が歩行する舗装面となるため、その損耗を防止すべく、前記透水層の表面と該表面から少なくとも2mmの深さまでの範囲において前記細粒材同士又は該細粒材及び前記粗骨材とを互いに接触させた状態にてかつ揚水経路が残留形成されるように所定の樹脂で固結させてなる補強被膜を形成した構成が考えられる。
【0023】
かかる構成においては、透水層の表面近傍において細粒材同士又は細粒材及び粗骨材とが樹脂を介して互いに固結されてなる補強被膜が形成されることとなり、上述した損耗が未然に防止されるとともに、細粒材の流出も未然に防止される。なお、かかる補強被膜には、揚水経路が残留形成されているので、透水層の揚水作用を妨げるおそれはない。
【0024】
同様の目的で、前記透水層の表面と該表面から少なくとも2mmの深さまでの範囲において前記細粒材同士又は該細粒材及び前記粗骨材とを互いに接触させた状態にてかつ揚水経路が残留形成されるように所定の樹脂及び遮熱性顔料からなるバインダで互いに固結させてなる反射性補強被膜を形成した構成が考えられる。
【0025】
かかる構成においては、上述したと同様、透水層の表面近傍において補強被膜が形成されることとなり、上述した損耗及び細粒材流出が未然に防止されるとともに、補強被膜に揚水経路が残留形成されるので、透水層の揚水作用を妨げるおそれはないという作用効果に加えて、バインダ内に添加された遮熱性顔料による直射日光の反射作用を利用して舗装面の温度上昇を抑制することも可能となる。
【0026】
上述した本願発明において、透水層に保水され又は供給された水を透水層表面まで揚水させ、しかる後、該表面にて蒸発させることによって舗装面である透水層表面の温度上昇を抑制するにあたり、自然の降雨で透水層に保水させるようにしても、透水層内での揚水作用による本発明の上述した顕著な効果は何ら減じられるものではないが、前記不透水層の下方に貯水路盤を配置するとともに該貯水路盤内に貯留された水が前記透水層に供給されるように、前記貯水路盤と前記透水層とを導水材を介して接続したならば、晴天が続いても、降雨時の水が貯水路盤に長期間貯留されることは言うに及ばず、貯水路盤に貯水された水は、導水材を介して、液相のまま透水層へと供給され、さらに該透水層の表面まで揚水された後、その時点ではじめて気化熱を奪いながら蒸発して透水層表面の温度を下げるため、舗装面深くで蒸発してしまう従来の貯水手段とは異なり、本発明に係る貯水路盤に貯水された水は、舗装面である透水層表面の温度上昇を確実かつ継続的に抑制することができる。
【0027】
貯水路盤は、例えば多数の砕石で構成することができる。
【0028】
ここで、供給された水のうち、余剰水が前記貯水路盤に還流されるように所定の還流部を介して前記透水層と前記貯水路盤とを連通接続したならば、余剰水を有効利用することが可能となる。
【0029】
一方、貯水路盤を設けずとも、前記透水層に水を供給する水供給手段を該透水層に埋設した構成としてもよい。かかる構成においては、晴天時等、透水層に保水されている水が不足したときに随時、水供給手段を介して透水層に水を供給するようにすればよい。
【0030】
なお、貯水路盤を設ける構成において、該貯水路盤に水を供給する水供給手段を前記透水層又は該貯水路盤に埋設するようにすれば、長期間、降雨がない場合でも、舗装面の温度上昇を確実かつ継続的に抑制することが可能となる。
【0031】
ここで、かかる水供給手段を透水層に設けた場合、供給された水は、導水材及び還流部を介して貯水路盤に貯水されることとなる。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る揚水性舗装及びその舗設方法の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。なお、従来技術と実質的に同一の部品等については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0033】
(第1実施形態)
【0034】
図1は、本実施形態に係る揚水性舗装を示した断面図である。同図でわかるように、本実施形態に係る揚水性舗装1は、粗骨材2を該粗骨材同士の間に間隙3が形成されるようにアスファルト4で相互に固結してなる透水層5を不透水層6の上に積層するとともに、間隙3に細粒材7を充填してなり、透水層5は、該透水層に保水又は供給された水を細粒材7同士又は該細粒材7と粗骨材2との間の微細間隙を介して該透水層の表面方向に揚水するようになっている。
【0035】
粗骨材2は、例えば5〜13mm程度の砕石を使用し、アスファルト4は、アスファルト舗装で用いている公知の歴青材料から適宜選択すればよい。なお、粗骨材2同士の間隙3は、例えば透水層5全体に対する空隙割合が15〜25%程度になるように設定する。
【0036】
細粒材7は、保水された水や供給された水を主として毛細管現象によって透水層5の表面に揚水することができるものとし、例えば、一般廃棄物の焼却炉や産業廃棄物の焼却炉から排出される焼却灰あるいは焼成灰を高温で焙焼した、いわゆる焙焼灰を用いることができる。
【0037】
かかる焙焼灰は多孔質材料であるので、それ自体、一定の保水性を有する。そのため、細粒材7として使用するには好ましい材料であると言える。
【0038】
ここで、透水層5の表面と該表面から2mm〜5mmの深さまでの範囲においては補強被膜8を形成してあり、該補強被膜は、細粒材7同士又は該細粒材及び粗骨材2とを互いに接触させた状態にてかつ揚水経路が残留形成されるようにエポキシ樹脂で固結させてなる。
【0039】
揚水経路が残留形成されるようにするとは、換言すれば、補強被膜8が一定の通水性又は通気性を有するように構成するという意味であり、そのためには、樹脂の量を適宜調整すればよい。
【0040】
なお、補強被膜8は、エポキシ樹脂に必要に応じて細骨材を適宜混合するとともに、透水層5の表面に擦り込むようにして施工するのがよい。
【0041】
不透水層6は、例えば密粒度アスファルト混合物で形成すればよい。
【0042】
本実施形態に係る揚水性舗装1を舗設するには、図2(a)に示すようにまず、粗骨材2を該粗骨材同士の間に間隙3が形成されるようにアスファルト4で相互に固結してなる透水層5′を不透水層6の上に積層する。
【0043】
透水層5’を舗設する作業は、アスファルト舗装を舗設する公知の手順、例えばアスファルトプラントで粗骨材2及びアスファルト4を混合し、これを現場に搬入して110゜C程度の温度を下回らないようにしながらアスファルトフィニッシャーで敷き均し、さらにこれをロードローラで締め固めるといった手順で行えばよい。但し、空隙割合が例えば15〜25%程度確保されるよう、アスファルト4の量については適宜調整する。
【0044】
次に、舗設された透水層5′が十分温度低下するのを待ち、しかる後、図2(b)に示すように、透水層5′に形成されている間隙3に細粒材7を充填する。
【0045】
細粒材7の充填は、例えば振動ローラ等を用いて充填するようにすればよい。
【0046】
次に、図2(c)に示すように、透水層5の表面に補強被膜8を形成する。
【0047】
このように粗骨材2同士の間隙3に細粒材7を充填すると、透水層5に保水又は供給された水は、主として毛細管現象により、細粒材7同士又は該細粒材と粗骨材2との間の微細間隙を介して該透水層の表面方向に揚水され、しかる後、透水層5の表面から気化熱を奪って蒸発する。なお、補強被膜8には、揚水経路が残留形成されているので、透水層5の揚水作用を妨げるおそれはない。
【0048】
以上説明したように、本実施形態に係る揚水性舗装1及びその舗設方法によれば、透水層5に保水又は供給された水が主として毛細管現象によって該透水層の表面方向に揚水され、しかる後、透水層5の表面から気化熱を奪って蒸発するので、舗装面深くで蒸発する従来の場合とは異なり、舗装面である透水層5の表面の温度上昇を確実に抑制することができる。
【0049】
また、本実施形態に係る揚水性舗装1によれば、透水層5の表面に補強被膜8を形成するようにしたので、車両走行や歩行による損耗を未然に防止することができるとともに、細粒材7の流出を防止することも可能となる。
【0050】
本実施形態では特に言及しなかったが、補強被膜8に代えて、反射性補強被膜を形成するようにしてもよい。すなわち、透水層5の表面と該表面から2〜5mmの深さまでの範囲において細粒材7同士又は該細粒材及び粗骨材2とを互いに接触させた状態にてかつ揚水経路が残留形成されるように所定の樹脂及び遮熱性顔料からなるバインダで互いに固結させ、これを反射性補強被膜とすればよい。
【0051】
かかる構成によれば、補強被膜8と同様、損耗及び細粒材流出が未然に防止されるとともに、バインダ内に遮熱性顔料を添加してあるため、該遮熱性顔料による直射日光の反射作用を利用して舗装面の温度上昇を抑制することも可能となる。
【0052】
また、本実施形態あるいはその変形例においては、補強被膜8や反射性補強被膜の形成範囲を表面から2mm〜5mmの深さまでの範囲としたが、損耗や細粒材流出防止に支障がないのであれば2mmでも足りるし、場合によっては補強被膜8や反射性補強被膜自体を省略してもよい。
【0053】
一方、細粒材7の流出が懸念されるのであれば、その流出が防止できる深さまで、例えば5mmを越えて補強被膜8や反射性補強被膜を透水層5内に形成するようにしてもかまわない。
【0054】
(第2実施形態)
【0055】
次に、第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と実質的に同一の部品等については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0056】
図3は、本実施形態に係る揚水性舗装を示した断面図である。同図でわかるように、本実施形態に係る揚水性舗装21は、揚水性舗装1と同様、透水層5を不透水層6の上に積層するとともに間隙3に細粒材7を充填してなり、透水層5は、該透水層に保水又は供給された水を細粒材7同士又は該細粒材7と粗骨材2との間の微細間隙を介して該透水層の表面方向に揚水するようになっているが、本実施形態では、不透水層6の下方に貯水路盤22を配置するとともに該貯水路盤内に貯留された水が透水層5に供給されるように、貯水路盤22と透水層5とを導水材としての導水シート23を介して接続してある。
【0057】
貯水路盤22は、例えば砕石で構成すればよい。また、導水シート23は、毛細管現象によって貯水路盤22に貯水された水が透水層5に供給されるよう、例えば織布を用いて構成すればよい。
【0058】
ここで、揚水性舗装21には、貯水路盤22から透水層5に供給された水のうち、余剰水が貯水路盤22に還流されるよう、還流部24を介して透水層5と貯水路盤22とを連通接続してある。
【0059】
すなわち、還流部24は、余剰水が還流するための空隙が確保されるよう、砕石等を用いて透水層5の下流側、すなわち路肩側に構成してあり、かかる構成により、貯水路盤22内に貯留された水は、同図矢印で示すように導水シート23を介して透水層5の上流側に供給され、次いで、不透水層6上をその勾配に沿って流下しながら、透水層5に適宜、水を供給するとともに、透水層6に十分な水が保水されていて余剰水が発生した場合には、該余剰水は、下流側に設けられた還流部24を介して貯水路盤22に還流する。
【0060】
導水シート23を貯水路盤22から立ち上げて透水層5に接続するにあたり、その立上げピッチや立ち上げ位置は任意であり、例えば、道路幅に沿って1mおきに立ち上げるようにすることが考えられる。
【0061】
本実施形態に係る揚水性舗装21を舗設するには、まず、道路構築予定箇所を掘削した後、掘削底面の上に導水シート23を敷設し、次いでその上に貯水路盤22及び不透水層6を順次積層形成した後、該貯水路盤及び不透水層を巻き込むようにして導水シート23を立ち上げ、さらにこれを不透水層6の上に延設する。なお、掘削底面より下方に拡がる土壌が不透水層でない場合には必要に応じて防水シートを掘削底面に敷設しておく。
【0062】
次に、路肩側に還流部24を設け、しかる後、第1実施形態で述べたと同じ手順で透水層5を舗設すればよい。
【0063】
このように、粗骨材2同士の間隙3に細粒材7を充填すると、透水層5に保水又は供給された水は、主として毛細管現象により、細粒材7同士又は該細粒材と粗骨材2との間の微細間隙を介して該透水層の表面方向に揚水され、しかる後、透水層5の表面から気化熱を奪って蒸発する。なお、補強被膜8には、揚水経路が残留形成されているので、透水層5の揚水作用を妨げるおそれはない。
【0064】
また、本実施形態においては、不透水層6の下方に貯水路盤22を配置するとともに該貯水路盤内に貯留された水が透水層5に供給されるように、貯水路盤22と透水層5とを導水シート23を介して接続してある。
【0065】
そのため、晴天が続いても、降雨時の水が貯水路盤22に長期間貯留されることは言うに及ばず、貯水路盤22に貯水された水は、導水シート23を介して、液相のまま透水層5へと供給される。
【0066】
そして、透水層5に供給された水は、上述した揚水作用により、さらに透水層5の表面まで揚水された後、その時点ではじめて気化熱を奪いながら蒸発して透水層5の表面温度を下げることとなる。
【0067】
以上説明したように、本実施形態に係る揚水性舗装21及びその舗設方法によれば、透水層5に保水又は供給された水が主として毛細管現象によって該透水層の表面方向に揚水され、しかる後、透水層5の表面から気化熱を奪って蒸発するので、舗装面深くで蒸発する従来の場合とは異なり、舗装面である透水層5の表面の温度上昇を確実に抑制することができる。
【0068】
また、本実施形態に係る揚水性舗装21によれば、透水層5の表面に補強被膜8を形成するようにしたので、車両走行や歩行による損耗を未然に防止することができるとともに、細粒材7の流出を防止することも可能となる。
【0069】
また、本実施形態に係る揚水性舗装21によれば、晴天が続いても、降雨時に貯水路盤22に貯水された水が導水シート23を介して液相のまま透水層5へと随時供給されるとともに、上述した揚水作用によって透水層5の表面まで揚水され、しかる後、透水層5の表面にて気化熱を奪いながら蒸発するので、舗装面深くで蒸発してしまう従来の貯水手段とは異なり、貯水路盤22に貯水された水は、舗装面である透水層5の表面温度の上昇を確実に抑制することができる。
【0070】
また、本実施形態に係る揚水性舗装21によれば、供給された水のうち、余剰水が貯水路盤22に還流されるように還流部24を介して透水層5と貯水路盤22とを連通接続するようにしたので、余剰水を有効利用することが可能となる。
【0071】
本実施形態では特に言及しなかったが、第1実施形態と同様、補強被膜8に代えて、反射性補強被膜を形成するようにしてもよい。すなわち、透水層5の表面と該表面から2〜5mmの深さまでの範囲において細粒材7同士又は該細粒材及び粗骨材2とを互いに接触させた状態にてかつ揚水経路が残留形成されるように所定の樹脂及び遮熱性顔料からなるバインダで互いに固結させ、これを反射性補強被膜とすればよい。
【0072】
かかる構成によれば、補強被膜8と同様、損耗及び細粒材流出が未然に防止されるとともに、バインダ内に遮熱性顔料を添加してあるため、該遮熱性顔料による直射日光の反射作用を利用して舗装面の温度上昇を抑制することも可能となる。
【0073】
また、本実施形態あるいはその変形例においては、補強被膜8や反射性補強被膜の形成範囲を表面から2mm〜5mmの深さまでの範囲としたが、第1実施形態と同様、損耗や細粒材流出防止に支障がないのであれば2mmでも足りるし、場合によっては補強被膜8や反射性補強被膜自体を省略してもよい。
【0074】
一方、細粒材7の流出が懸念されるのであれば、その流出が防止できる深さまで、例えば5mmを越えて補強被膜8や反射性補強被膜を透水層5内に形成するようにしてもかまわない。
【0075】
また、本実施形態では特に言及しなかったが、図4に示すように透水層5内に水供給手段としての多孔管31を埋設し、該多孔管の基端側から圧送された水を該多孔管の孔を介して透水層5に供給するように構成しておけば、貯水路盤22に随時、水を補給することが可能となり、かくして、長期間、降雨がない場合でも、舗装面である透水層5の温度上昇を確実に抑制することができる。
【0076】
ここで、かかる多孔管31を透水層5に埋設した場合、供給された水は、導水シート23及び還流部24を介して貯水路盤22に貯水されることとなる。
【0077】
なお、かかる多孔管31による水補給によって透水層5への直接的な水の供給が可能となるため、場合によっては、貯水路盤22、導水シート23及び還流部24を省略してもよい。すなわち、かかる構成においては、第1実施形態に係る揚水性舗装1の透水層5に水供給手段としての多孔管31を埋設することとなる。
【0078】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明に係る揚水性舗装及びその舗設方法によれば、透水層に保水又は供給された水が主として毛細管現象によって該透水層の表面方向に揚水され、しかる後、透水層の表面から気化熱を奪って蒸発するので、舗装面深くで蒸発する従来の場合とは異なり、舗装面である透水層の表面の温度上昇を確実に抑制することができる。
【0079】
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態に係る揚水性舗装の断面図。
【図2】第1実施形態に係る揚水性舗装を舗設する手順を示した施工図。
【図3】第2実施形態に係る揚水性舗装の断面図。
【図4】変形例に係る揚水性舗装の断面図。
【符号の説明】
1,21 揚水性舗装
2 粗骨材
3 間隙
4 アスファルト
5 透水層
6 不透水層
7 細粒材
8 補強被膜
22 貯水路盤
23 導水シート(導水材)
24 還流部
31 多孔管(水供給手段)
Claims (5)
- 所定の粗骨材を該粗骨材同士の間に間隙が形成されるようにアスファルトで相互に固結してなる透水層を不透水層の上に積層するとともに前記間隙に細粒材を充填し、前記不透水層の下方に貯水路盤を配置するとともに該貯水路盤内に貯留された水が前記透水層に供給されるように、前記貯水路盤と前記透水層とを導水材を介して接続してなり、前記透水層は、該透水層に保水又は供給された水を前記細粒材同士又は該細粒材と前記粗骨材との間の微細間隙を介して該透水層の表面方向に揚水するようになっていることを特徴とする揚水性舗装。
- 前記透水層の表面と該表面から少なくとも2mmの深さまでの範囲において前記細粒材同士又は該細粒材及び前記粗骨材とを互いに接触させた状態にてかつ揚水経路が残留形成されるように所定の樹脂で固結させてなる補強被膜を形成した請求項1記載の揚水性舗装。
- 前記透水層の表面と該表面から少なくとも2mmの深さまでの範囲において前記細粒材同士又は該細粒材及び前記粗骨材とを互いに接触させた状態にてかつ揚水経路が残留形成されるように所定の樹脂及び遮熱性顔料からなるバインダで互いに固結させてなる反射性補強被膜を形成した請求項1記載の揚水性舗装。
- 供給された水のうち、余剰水が前記貯水路盤に還流されるように所定の還流部を介して前記透水層と前記貯水路盤とを連通接続した請求項1乃至請求項3のいずれか一記載の揚水性舗装。
- 前記貯水路盤に水を供給する水供給手段を前記透水層又は該貯水路盤に埋設した請求項4記載の揚水性舗装。
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