JP2006241803A - 吸水性舗装及び吸水性舗装に使用する骨材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】吸水性舗装は、骨材1を結合材2で結合している舗装体であって、骨材1の一部あるいは全体が、石炭灰と製紙スラッジを含む原料を成形した成形体を焼成して多孔質な状態に焼結してなる多孔質焼結粒で、この多孔質焼結粒が吸水するようにしている。
【選択図】図1
Description
(1) 多孔質で多量の水分を含有できること
(2) 上面に作用する荷重で破壊されない強度を有すること
(3) 安価であること
[未燃カーボンで多孔質とする石炭灰からなる多孔質焼結粒の製造方法]
(1) 造粒工程
この工程は、10重量%以上の未燃カーボンを含むフライアッシュに、実質的に無機結合材を添加することなく、バインダーに水を添加して造粒して未焼結粒子とする。フライアッシュには、5重量%以上、好ましくは10重量%以上、さらに好ましくは20重量%以上の未燃カーボンを含むものを使用する。フライアッシュに、未燃カーボンの含有量の多いものを使用して、焼結された多孔質焼結粒の空隙率をより高く、すなわち吸水率を高くできる。とくに、未燃カーボンによる空隙は、極めて微細な空隙となり、水を長時間にわたって保水する効果がある。ただ、フライアッシュの未燃カーボンが多すぎると、多孔質焼結粒の強度が低下するので、未燃カーボンの含有率は40重量%以下、好ましくは30重量%以下とする。
フライアッシュを結合して造粒するバインダーには水を使用するが、焼成工程で焼失する合成樹脂製のバインダー、たとえば酢酸ビニル樹脂やPVA等の合成樹脂バインダーを添加して使用することもできる。バインダーである水の添加量は、フライアッシュを結合して造粒できる量、たとえば10重量%とする。ただし、バインダーの添加量は、5重量%〜20重量%として造粒することもできる。造粒工程は、フライアッシュに水を噴霧しながら、皿の上で転動させながら造粒する。ただ、フライアッシュに10重量%の水を添加して混練りし、これを成形型に入れてプレス成形して造粒することもできる。造粒工程において、平均粒子径を2〜30mm、好ましくは3〜20mm、さらに好ましくは5〜15mmとする未焼結粒子に造粒する。
未焼結粒子を乾燥した後、この工程で表面層と核粒子とを焼結する。焼成温度は、1050℃〜1200℃とする。焼成温度が低いと、充分に焼結できずに強度が低下する。反対に高すぎると空隙が少なくなって、吸水性と保水性が低下する。焼成工程において、未焼結粒子は含有される未燃カーボンが焼失して多孔質な状態となる。未燃カーボンは、多孔質焼結粒の全体に、極めて微細な空隙を形成して多孔質な状態とする。図5は、多孔質焼結粒の内部が焼結されて多孔質な状態となる状態を示す電子顕微鏡写真である。この図に示すように、多孔質焼結粒の内部には、極めて微細な多くの空隙ができ、ここに吸水した水を保水する。この状態で内部の微細な空隙に保水する多孔質焼結粒は、極めて優れた保水性を実現して、長い時間にわたって保水する。
(1) 造粒工程
30重量%の未燃カーボンを含むフライアッシュに、バインダーとして水を噴霧し、皿の上で転動させて球形の未焼結粒子を造粒する。水の添加量は10重量%とする。造粒する核粒子の平均粒子径は約10mmとする。
未焼結粒子を乾燥した後、焼成炉に搬入し、焼成温度を1160℃として1時間焼成する。焼成炉は、200℃/時間の温度勾配で炉内の温度を上昇し、1160℃に1時間保持した後、自然冷却して、焼成炉から多孔質焼結粒を取り出す。
(1) 造粒工程
この工程は、前述の(1)の造粒工程と同じようにして、核粒子を製造する。
造粒工程で得られる核粒子の表面を無機粉末でコーティングして未焼結粒子とする。コーティングに使用する無機粉末は、核粒子を構成するフライアッシュよりも未燃カーボンの含有量を少なくして、酸化鉄含有量の多いフライアッシュ、または岩石の微粉末を使用する。また、無機粉末には、フライアッシュと岩石の微粉末の混合物も使用できる。岩石の混合物である無機粉末には、骨材を破砕して骨材を製造する工程で発生する砕石の微粉末屑を有効に使用できる。この岩石には、流紋岩の微粉末や砂岩を破砕したものが使用できる。核粒子をコーティングする無機粉末は、核粒子のフライアッシュよりも多量の酸化鉄を含有する。酸化鉄を含有する無機粉末は、還元雰囲気で焼成されて、茶色から赤色に変色して、多孔質焼結粒の外観を美しい色に着色する。
未焼結粒子を乾燥した後、この工程で表面層と核粒子とを焼結する。焼成温度は、1000℃〜1200℃、好ましくは1050℃〜1200℃とする。焼成温度が低いと、表面層を充分に焼結できずに強度が低下する。反対に高すぎると空隙が少なくなって、吸水性と保水性が低下する。表面層は、内部の核粒子よりも強固に焼結される。焼成工程は、未焼結粒子を焼成して、コーティングされた表面層と、内部の核粒子を焼結する。焼成された核粒子と表面層は、両方が多孔質な状態となる。内部の核粒子は、含有される未燃カーボンが焼失して多孔質な状態となる。表面層は、無機粉末が焼結されるが、焼結される無機粉末の間に隙間ができて多孔質な状態となる。核粒子は、含有される未燃カーボンによって極めて微細な空隙ができる。さらに、フライアッシュに含まれる未燃カーボンが焼失することにより、核粒子は表面層よりも微細な空隙が多くなって、表面層よりも多孔質な状態となる。さらに、表面層は核粒子よりも高い温度に加熱されることで、フライアッシュよりも焼結されやすい無機粉末が含まれているため、より強い強度に焼結される。
(1) 造粒工程
30重量%の未燃カーボンを含むフライアッシュに、バインダーとして水を噴霧し、皿の上で転動させて球形の核粒子を造粒する。水の添加量は、100重量部のフライアッシュに対して10重量部とする。造粒する核粒子の平均粒子径は約10mmとする。
造粒工程で製造される核粒子の表面を無機粉末でコーティングして未焼結粒子とする。無機粉末には、未燃カーボンが約12重量%のフライアッシュを使用する。コーティングする表面層の厚さを1mmとして、未燃カーボンの平均粒子径を12mmとする。コーティングは造粒工程と同じように、皿の上で核粒子を転動させて、水を噴霧しながらフライアッシュを供給して、核粒子の表面を未燃カーボンの少ないフライアッシュでコーティングする。
未焼結粒子を乾燥した後、焼成炉に搬入し、焼成温度を1140℃として1時間焼成する。焼成炉は、200℃/時間の温度勾配で炉内の温度を上昇し、1140℃に1時間保持した後、自然冷却して、焼成炉から多孔質焼結粒を取り出す。
[製紙スラッジで多孔質とする石炭灰からなる多孔質焼結粒の製造方法]
(1) 造粒工程
この工程は、フライアッシュに焼成しない製紙スラッジを混合し、あるいは焼成しない未乾燥の製紙スラッジを、含有水をバインダーに使用して造粒して未焼結粒子とする。製紙スラッジは、10重量%以上、好ましくは15重量%以上、さらに好ましくは20重量%以上の繊維等の有機成分を含むものを使用する。さらに、製紙スラッジは、フィルタープレス等で脱水されたものであって、乾燥されず、また焼成されないものを使用する。この製紙スラッジは、40重量%〜70重量%の水分を含有する。この含有水分をバインダーに使用して、フライアッシュと製紙スラッジとの混合体を造粒し、あるいは製紙スラッジを造粒する。この製紙スラッジは、微細な短繊維と無機成分に水を含有する。この製造方法は、製紙スラッジの焼成灰をフライアッシュに混合して造粒するのではない。この製造方法は、脱水された製紙スラッジを乾燥することなく、また焼成することなく造粒して焼成するので、処理コストを著しく安くして理想的な物性の多孔質焼結粒にできる。
未焼結粒子を乾燥した後、焼結して製紙スラッジに含まれる繊維等の有機成分を焼失して、連続気泡状態の多孔状態に焼結する。焼成温度は、1000℃〜1300℃、好ましくは1000〜1200℃、さらに好ましくは1050℃〜1200℃とし、設定された焼成温度における焼成時間は1〜5時間とする。焼成温度が低く、あるいは焼成時間が短いと、充分に焼結できずに強度が低下する。反対に高すぎると無機成分が溶融されて空隙が少なくなって、吸水性と保水性が低下する。焼成工程において、未焼結粒子は含有される繊維等の有機成分が焼失されて多孔質な状態となる。また、未燃カーボンを含むフライアッシュに製紙スラッジを混合している未焼結粒子は、フライアッシュの未燃カーボンも焼失して微細な空隙ができる。この多孔質焼結粒は、繊維等の有機成分による連続気泡状態の空隙と、未燃カーボンによる独立気泡状態の空隙が互いに連通される状態で設けられて、多量の水分を含有する多孔質焼結粒となる。
(1) 造粒工程
100重量部のフライアッシュと、100重量部の製紙スラッジを十分に混合して、製紙スラッジの繊維等の有機成分を均一に分散させる状態とした原料を造粒する。フライアッシュは、30重量%の未燃カーボンを含有する。製紙スラッジは、30重量%の繊維等の有機成分を含有する。製紙スラッジは水分を含有するが、フライアッシュはほとんど水分を含まないので、全体の水分含有量が50重量%となるように水を添加して、水をバインダーとして造粒する。この製紙スラッジは、フィルタープレスで脱水されたものを、乾燥も焼成もしない状態で使用する。製紙スラッジは50重量%の水分を含む。造粒される未焼結粒子の平均粒子径は約10mmとする。
未焼結粒子を乾燥した後、焼成炉に搬入し、焼成温度を1200℃として2時間焼成する。焼成炉は、200℃/時間の温度勾配で炉内の温度を上昇し、1200℃に2時間保持した後、自然冷却して、焼成炉から多孔質焼結粒を取り出す。
2…結合材
3…吸水骨材
4…表層
5…路盤
Claims (16)
- 骨材(1)を結合材(2)で結合している舗装体であって、骨材(1)の一部あるいは全体が、石炭灰と製紙スラッジを含む原料を成形した成形体を焼成して多孔質な状態に焼結してなる多孔質焼結粒で、この多孔質焼結粒が吸水するようにしてなることを特徴とする吸水性舗装。
- 骨材(1)を結合材(2)で結合している舗装体であって、骨材(1)の一部あるいは全体が、石炭灰と植物性残渣を含む原料を成形した成形体を焼成して多孔質な状態に焼結してなる多孔質焼結粒で、この多孔質焼結粒が吸水するようにしてなることを特徴とする吸水性舗装。
- 骨材(1)を結合材(2)で結合している舗装体であって、骨材(1)の一部あるいは全体が、未燃カーボンを含む石炭灰を含む原料を成形した成形体を焼成して多孔質な状態に焼結した多孔質焼結粒で、この多孔質焼結粒が吸水するようにしてなることを特徴とする吸水性舗装。
- 骨材(1)を結合材(2)で結合している舗装体であって、骨材(1)の一部あるいは全体が、製紙スラッジを含む原料を成形した成形体を焼成して多孔質な状態に焼結してなる多孔質焼結粒で、この多孔質焼結粒が吸水するようにしてなることを特徴とする吸水性舗装。
- 骨材(1)の間に吸水骨材(3)を充填している舗装体であって、吸水骨材(3)が、石炭灰と製紙スラッジを含む原料を成形した成形体を焼成して多孔質な状態に焼結してなる多孔質焼結粒を含み、多孔質焼結粒が吸水するようにしてなることを特徴とする吸水性舗装。
- 骨材(1)の間に吸水骨材(3)を充填している舗装体であって、吸水骨材(3)が、石炭灰と植物性残渣を含む原料を成形した成形体を焼成して多孔質な状態に焼結してなる多孔質焼結粒を含み、多孔質焼結粒が吸水するようにしてなることを特徴とする吸水性舗装。
- 骨材(1)の間に吸水骨材(3)を充填している舗装体であって、吸水骨材(3)が、未燃カーボンを含む石炭灰を含む原料を成形した成形体を焼成して多孔質な状態に焼結した多孔質焼結粒を含み、多孔質焼結粒が吸水するようにしてなることを特徴とする吸水性舗装。
- 骨材(1)の間に吸水骨材(3)を充填している舗装体であって、吸水骨材(3)が、製紙スラッジを含む原料を成形した成形体を焼成して多孔質な状態に焼結してなる多孔質焼結粒を含み、多孔質焼結粒が吸水するようにしてなることを特徴とする吸水性舗装。
- 表層(4)の骨材(1)に多孔質焼結粒を使用する請求項1ないし4のいずれかに記載される吸水性舗装。
- 表層(4)の骨材(1)の間に、多孔質焼結粒を含む吸水骨材(3)を充填している請求項5ないし8のいずれかに記載される吸水性舗装。
- 表層(4)の下に路盤(5)を配設しており、表層(4)が透水性を有し、路盤(5)は骨材(1)の一部又は全体を多孔質焼結粒とし、表層(4)を透過した水を路盤(5)の多孔質焼結粒に吸水させる請求項1ないし8のいずれかに記載される吸水性舗装。
- 表層(4)の下に路盤(5)を配設しており、表層(4)が透水性を有し、路盤(5)は骨材(1)の間に多孔質焼結粒を含む吸水骨材(3)を充填しており、表層(4)を透過した水を路盤(5)の多孔質焼結粒に吸水させる請求項1ないし8のいずれかに記載される吸水性舗装。
- 石炭灰と製紙スラッジを含む原料を成形した成形体を焼成して多孔質な状態に焼結して吸水性のある多孔質焼結粒としてなる吸水性舗装に使用する骨材。
- 石炭灰と植物性残渣を含む原料を成形した成形体を焼成して多孔質な状態に焼結して吸水性のある多孔質焼結粒としてなる吸水性舗装に使用する骨材。
- 未燃カーボンを含む石炭灰を含む原料を成形した成形体を焼成して多孔質な状態に焼結して吸水性のある多孔質焼結粒としてなる吸水性舗装に使用する骨材。
- 製紙スラッジを含む原料を成形した成形体を焼成して多孔質な状態に焼結して吸水性のある多孔質焼結粒としてなる吸水性舗装に使用する骨材。
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