JP2004116174A - 充填材及び保水性舗装 - Google Patents
充填材及び保水性舗装 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004116174A JP2004116174A JP2002282272A JP2002282272A JP2004116174A JP 2004116174 A JP2004116174 A JP 2004116174A JP 2002282272 A JP2002282272 A JP 2002282272A JP 2002282272 A JP2002282272 A JP 2002282272A JP 2004116174 A JP2004116174 A JP 2004116174A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- water
- filler
- permeable
- cement
- pavement
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Road Paving Structures (AREA)
Abstract
【課題】透水性コンクリート、透水性アスファルト又は透水性樹脂硬化体の空隙中に充填する保水性を有する充填材及び夏季の直射日光による表面温度の著しい上昇を抑制することができる保水性舗装を提供する。
【解決手段】真珠岩及び/又は黒曜石の粉粒体を含有する充填材。前記充填材は、充填作業の向上の観点から水を含むことが好ましく、また、該充填材の流失等防止の観点から、セメントを含むことが好ましい。
保水性舗装は、透水性コンクリート、透水性アスファルト又は透水性樹脂硬化体の空隙中に上記のいずれかの充填材を充填して構築する。
【選択図】 なし
【解決手段】真珠岩及び/又は黒曜石の粉粒体を含有する充填材。前記充填材は、充填作業の向上の観点から水を含むことが好ましく、また、該充填材の流失等防止の観点から、セメントを含むことが好ましい。
保水性舗装は、透水性コンクリート、透水性アスファルト又は透水性樹脂硬化体の空隙中に上記のいずれかの充填材を充填して構築する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、透水性コンクリート、透水性アスファルト又は透水性樹脂硬化体の空隙中に充填する充填材、及び該充填材を用いた夏季の直射日光による表面温度の著しい上昇を抑制することができる保水性舗装に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ヒートアイランド現象による夏季の市街地の温度上昇が問題となっている。ヒートアイランド現象は、主として、コンクリートからなるビルや、アスファルト、コンクリート等からなる舗装が、直射日光を照り返すこと等によって発生するものである。
このヒートアイランド現象を抑制するために、透水性アスファルト混合物、透水性セメントコンクリート等の有孔表層において、保水性を有するとともに、透水性を有するシルト系充填材を有孔表層中の空隙に充填する舗装体が提案されている。そして、該シルト系充填材としては、シルト系粉末20〜60重量%、セメント系固化材5〜50重量%、水25〜50重量%を混合したものであって、Pロート試験で流下時間が9〜15秒であり、固化後の空隙率が10〜60%のものが開示されている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−46513号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記特許文献1に開示される舗装体は、シルト系充填材を充填した有孔表層は大気に水蒸気を発生することができるため、夏季の直射日光による表面温度の上昇を抑制する効果を有するものである。しかしながら、前記特許文献1に開示される舗装体では、無給水で長期間にわたり路面温度の上昇抑制効果を継続させるには、有孔表層の下部に該有孔表層への水分の安定的供給を目的とする水分貯留層を設ける必要がある。すなわち、舗装体の構造を2段構造にする必要があり、舗装体の構築に手間がかかる、という問題があった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、透水性コンクリート、透水性アスファルト又は透水性樹脂硬化体の空隙中に充填する充填材の材料等を特定すること、及び該充填材を透水性コンクリート、透水性アスファルト又は透水性樹脂硬化体の空隙中に充填することによって、水分貯留層を設けなくても、無給水で長期間にわたり路面温度の上昇抑制効果を継続させることができることを見いだし、本発明を完成させたものである。
【0006】
即ち、本発明は、真珠岩及び/又は黒曜石の粉粒体を含有することを特徴とする充填材である(請求項1)。
上記充填材は、水を含むことができる(請求項2)。このように構成すれば、透水性コンクリート、透水性アスファルト又は透水性樹脂硬化体の空隙中への充填材の充填作業が容易となる。
上記充填材は、セメントを含むことができる(請求項3)。このように構成すれば、該充填材を用いた保水性舗装の供用による充填材の流失等を防止することができる。
さらに、本発明は、透水性コンクリート、透水性アスファルト又は透水性樹脂硬化体の空隙中に、上記いずれかの充填材を充填したことを特徴とする保水性舗装である(請求項4)。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
まず、本発明の充填材について説明する。なお、本明細書中において、「充填材」の語は、透水性コンクリート、透水性アスファルト又は透水性樹脂硬化体の空隙中に充填する材料の意で用いられる。
本発明で使用する充填材は、真珠岩及び/又は黒曜石の粉粒体を含有するものである。
これらの粉粒体は、内部に微細な連続空隙を有し、吸水率が大きく、水の保持能力に優れている。そのため、透水性コンクリート、透水性アスファルト又は透水性樹脂硬化体の空隙中に、これらの粉粒体を充填することにより、該粉粒体の水保持機能によって、夏季の直射日光による表面温度の著しい上昇を抑制することができる。また、特に水分貯留層を設けなくても、無給水で長期間にわたり路面温度の上昇を抑制する効果を継続させることもできる。
なお、本明細書中において、「粉粒体」の語は、粉体及び/又は粒体の形態を有する意で用いられる。
【0008】
本発明で用いられる真珠岩及び/又は黒曜石の粉粒体は、透水性コンクリート、透水性アスファルト又は透水性樹脂硬化体の空隙中への充填作業のし易さや保水性、さらにはコスト等の観点から、平均粒径が5mm以下であることが好ましく、平均粒径が1mm以下であることがより好ましく、平均粒径が0.8mm以下であることが特に好ましい。
なお、本明細書中において、「粒径」の語は、粉粒体が略球形の場合は直径を意味し、球形以外の形状の場合は最大寸法を意味する。
【0009】
本発明の充填材においては、上記粉粒体に加えて、水を使用することができる。
水を使用することによって、透水性コンクリート、透水性アスファルト又は透水性樹脂硬化体の空隙中への充填材の充填作業が容易となり、充填作業時間の短縮等を図ることができる。
水の配合量は、充填材の充填性の観点から、粉粒体100質量部に対して、500質量部以下が好ましく、100〜350質量部がより好ましい。
水は、水道水を使用することができる。
粉粒体と水の混練方法や混練装置は、特に限定するものではなく、慣用の方法で、慣用のミキサで混練すれば良い。
なお、粉粒体と水を含有する充填材においては、透水性コンクリート、透水性アスファルト又は透水性樹脂硬化体の空隙中への充填材の充填性等から、Pロート流下時間が9〜13秒であることが好ましい。
【0010】
本発明の充填材においては、上記粉粒体及び水に加えて、セメントを使用することができる。セメントを使用することによって、該充填材を用いた保水性舗装の供用による充填材の流失等を防止することができる。
水及びセメントの配合量は、粉粒体100質量部に対して、水600質量部以下、セメント400質量部以下が好ましい。粉粒体100質量部に対して、水が600質量部を越えると、充填材の強度発現性が低下し、供用の進行による充填材の流失防止効果が低下するので好ましくない。粉粒体100質量部に対して、セメントが400質量部を越えると、該充填材を充填した保水性舗装の夏季の直射日光による表面温度の上昇を抑制する効果が低下するので好ましくない。
水及びセメントの配合量は、充填材の充填性や充填材の強度発現性、さらには保水性の観点から、粉粒体100質量部に対して、水100〜500質量部、セメント50〜250質量部であることがより好ましい。
粉粒体、水及びセメントの混練方法や混練装置は、特に限定するものではなく、慣用の方法で、慣用のミキサで混練すれば良い。
なお、粉粒体と水とセメントを含有する充填材においては、透水性コンクリート、透水性アスファルト又は透水性樹脂硬化体の空隙中への充填材の充填性等から、Pロート流下時間が9〜13秒であることが好ましい。
【0011】
セメントとしては、普通、早強、中庸熱ポルトランドセメント等の各種ポルトランドセメント、高炉セメント、フライアッシュセメント等の各種混合セメント、都市ゴミ焼却灰や下水汚泥焼却灰等の廃棄物を原料として使用したエコセメント、ジェットセメント等の超早強性セメント、さらには、前記ポルトランドセメントやエコセメントの一部を石灰石粉末、シリカフューム、メタカオリン、カルシウムアルミネート等の混和材で置換したセメントを使用することができる。
【0012】
なお、本発明の充填材においては、前記材料に加えて、減水剤を使用することは、透水性コンクリート、透水性アスファルト又は透水性樹脂硬化体の空隙中への充填材の充填作業がより容易になるので好ましいことである。減水剤としては、リグニン系、ナフタレンスルホン酸系、メラミン系、ポリカルボン酸系の減水剤、AE減水剤、高性能減水剤又は高性能AE減水剤を使用することができる。中でも、減水効果の大きい高性能減水剤又は高性能AE減水剤が好ましい。
減水剤の配合量(固形分換算)は、充填材の充填性やコストの観点から、粉粒体100質量部に対して、1質量部以下が好ましい。なお、セメントを含有する充填材においては、減水剤の配合量(固形分換算)は、セメント100質量部に対して、0.05〜0.8質量部が好ましい。
【0013】
次に、本発明の保水性舗装について説明する。
本発明の保水性舗装は、透水性コンクリート、透水性アスファルト又は透水性樹脂硬化体の空隙中に、上記の充填材を充填したものである。
透水性コンクリート、透水性アスファルト又は透水性樹脂硬化体の空隙中への充填材の充填は、
(1)真珠岩及び/又は黒曜石の粉粒体を充填する場合は、振動タンパ、ビブロプレートや転圧ローラ等の機械で振動を加えながら空隙中へ充填する、
(2)真珠岩及び/又は黒曜石の粉粒体及び水を含有する充填材や、真珠岩及び/又は黒曜石の粉粒体、水及びセメントを含有する充填材を充填する場合は、該充填材を空隙中へ流し込み、振動タンパ、ビブロプレートや転圧ローラ等の機械で振動を加える、
ことで行うことができる。
なお、本明細書中において、「透水性樹脂硬化体」の語は、アクリル系樹脂等の樹脂系結合材を用いて粗骨材を結合させた連続空隙を有する硬化体の意で用いられる。
【0014】
本発明の保水性舗装においては、真珠岩及び/又は黒曜石の粉粒体、水及びセメントを含有する充填材を使用する場合は、該充填材の充填後、養生シートで舗装表面を覆い、養生することが好ましい。
【0015】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明する。
1.充填材の材料
以下に示す材料を使用した。
1)真珠岩の粉粒体;真珠岩の粉砕物(平均粒径4μm)
2)水;水道水
3)セメント:太平洋セメント(株)製普通ポルトランドセメント
4)減水剤;「マイティ100」(花王(株)製、ナフタレンスルホン酸系)
【0016】
2.充填材の配合及び調製
前記材料を使用し、表1に示す配合にしたがって充填材を調製した。なお、No.2〜5の充填材は、万能ミキサ(0.01m3)を用いて、90秒間混練して調製した。
【0017】
【表1】
【0018】
3.透水性コンクリートの調製
3.1 使用材料
透水性コンクリートの材料として以下の材料を使用した。
▲1▼セメント;普通ポルトランドセメント(太平洋セメント(株)製)
▲2▼混和材;高炉スラグ粉末(ブレーン比表面積8000cm2/g)
▲3▼細骨材;市原産細目山砂(粒径2.5mm以下)
▲4▼粗骨材;青梅産砕石6号(粒径5〜13mm)
▲5▼水;水道水
▲6▼減水剤;「マイティ100」(花王(株)製、ナフタレンスルホン酸系)
【0019】
3.2 透水性コンクリートの調製
前記材料を、セメント100質量部、高炉スラグ粉末4質量部、細骨材100質量部、粗骨材494質量部、水22質量部、減水剤1.5質量部の割合で2軸強制練りミキサ(0.1m3)に一括投入し、4分間混練し、粗骨材に粗骨材以外の材料からなるモルタルが被覆された状態の互いに独立した粒体(混練物)を調製した。
該粒体(混練物)を、300×300×50cmの型枠に投入し、空隙率が22%となるようにプレートコンパクター(MVC−110H;三笠(株)製)で敷設した。敷設後、養生シートでコンクリート舗装表面を覆い、20℃で7日間気中養生して、300×300×50cmの透水性コンクリートを作製した。
【0020】
4.保水性舗装の調製
表1の各充填材を使用して、下記のように保水性舗装を調製した。
▲1▼No.1の充填材は、ビブロプレートで振動を加えながら上記透水性コンクリートの空隙中へ充填し保水性舗装を調製した。
▲2▼No.2の充填材は、上記透水性コンクリートの空隙中に流し込み、ビブロプレートで振動を加えることにより保水性舗装を調製した。
▲3▼No.3〜5の充填材は、上記透水性コンクリートの空隙中に流し込み、ビブロプレートで振動を加え、その後、養生シートでコンクリート舗装表面を覆い、20℃で7日間気中養生して保水性舗装を調製した。
No.1の充填材では、充填作業に時間を要したが、No.2〜5の充填材では、短時間で充填作業が終了した。
【0021】
5.保水性舗装の表面温度の経時変化
各保水性舗装に給水した後、日当たりの良い場所に設置し、8月初旬から中旬の6日間における保水性舗装の表面温度(直射日光の当たる上面近傍の温度)を測定した。比較例として、アスファルト舗装についても同時に表面温度を測定した。なお、表面温度測定期間中は晴天であり、また、表面温度測定期間中は各保水性舗装への給水は行わなかった。
結果を図1〜5に示す。
図1〜5から、本発明の保水性舗装の表面温度は、アスファルト舗装に比べて著しく低いことがわかる。
【0022】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の充填材は、水の保持能力に優れているものであり、該充填材を透水性コンクリート、透水性アスファルト又は透水性樹脂硬化体の空隙中に充填することにより、夏季の直射日光による表面温度の著しい上昇を抑制することができる。
また、本発明の保水性舗装では、水分貯留層を設けなくても、無給水で長期間にわたり路面温度の上昇の抑制効果を継続させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】充填材として、表1のNo.1の充填材を用いた本発明の保水性舗装について、表面温度の変化を測定したグラフである。
【図2】充填材として、表1のNo.2の充填材を用いた本発明の保水性舗装について、表面温度の変化を測定したグラフである。
【図3】充填材として、表1のNo.3の充填材を用いた本発明の保水性舗装について、表面温度の変化を測定したグラフである。
【図4】充填材として、表1のNo.4の充填材を用いた本発明の保水性舗装について、表面温度の変化を測定したグラフである。
【図5】充填材として、表1のNo.5の充填材を用いた本発明の保水性舗装について、表面温度の変化を測定したグラフである。
【発明の属する技術分野】
本発明は、透水性コンクリート、透水性アスファルト又は透水性樹脂硬化体の空隙中に充填する充填材、及び該充填材を用いた夏季の直射日光による表面温度の著しい上昇を抑制することができる保水性舗装に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ヒートアイランド現象による夏季の市街地の温度上昇が問題となっている。ヒートアイランド現象は、主として、コンクリートからなるビルや、アスファルト、コンクリート等からなる舗装が、直射日光を照り返すこと等によって発生するものである。
このヒートアイランド現象を抑制するために、透水性アスファルト混合物、透水性セメントコンクリート等の有孔表層において、保水性を有するとともに、透水性を有するシルト系充填材を有孔表層中の空隙に充填する舗装体が提案されている。そして、該シルト系充填材としては、シルト系粉末20〜60重量%、セメント系固化材5〜50重量%、水25〜50重量%を混合したものであって、Pロート試験で流下時間が9〜15秒であり、固化後の空隙率が10〜60%のものが開示されている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−46513号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記特許文献1に開示される舗装体は、シルト系充填材を充填した有孔表層は大気に水蒸気を発生することができるため、夏季の直射日光による表面温度の上昇を抑制する効果を有するものである。しかしながら、前記特許文献1に開示される舗装体では、無給水で長期間にわたり路面温度の上昇抑制効果を継続させるには、有孔表層の下部に該有孔表層への水分の安定的供給を目的とする水分貯留層を設ける必要がある。すなわち、舗装体の構造を2段構造にする必要があり、舗装体の構築に手間がかかる、という問題があった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、透水性コンクリート、透水性アスファルト又は透水性樹脂硬化体の空隙中に充填する充填材の材料等を特定すること、及び該充填材を透水性コンクリート、透水性アスファルト又は透水性樹脂硬化体の空隙中に充填することによって、水分貯留層を設けなくても、無給水で長期間にわたり路面温度の上昇抑制効果を継続させることができることを見いだし、本発明を完成させたものである。
【0006】
即ち、本発明は、真珠岩及び/又は黒曜石の粉粒体を含有することを特徴とする充填材である(請求項1)。
上記充填材は、水を含むことができる(請求項2)。このように構成すれば、透水性コンクリート、透水性アスファルト又は透水性樹脂硬化体の空隙中への充填材の充填作業が容易となる。
上記充填材は、セメントを含むことができる(請求項3)。このように構成すれば、該充填材を用いた保水性舗装の供用による充填材の流失等を防止することができる。
さらに、本発明は、透水性コンクリート、透水性アスファルト又は透水性樹脂硬化体の空隙中に、上記いずれかの充填材を充填したことを特徴とする保水性舗装である(請求項4)。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
まず、本発明の充填材について説明する。なお、本明細書中において、「充填材」の語は、透水性コンクリート、透水性アスファルト又は透水性樹脂硬化体の空隙中に充填する材料の意で用いられる。
本発明で使用する充填材は、真珠岩及び/又は黒曜石の粉粒体を含有するものである。
これらの粉粒体は、内部に微細な連続空隙を有し、吸水率が大きく、水の保持能力に優れている。そのため、透水性コンクリート、透水性アスファルト又は透水性樹脂硬化体の空隙中に、これらの粉粒体を充填することにより、該粉粒体の水保持機能によって、夏季の直射日光による表面温度の著しい上昇を抑制することができる。また、特に水分貯留層を設けなくても、無給水で長期間にわたり路面温度の上昇を抑制する効果を継続させることもできる。
なお、本明細書中において、「粉粒体」の語は、粉体及び/又は粒体の形態を有する意で用いられる。
【0008】
本発明で用いられる真珠岩及び/又は黒曜石の粉粒体は、透水性コンクリート、透水性アスファルト又は透水性樹脂硬化体の空隙中への充填作業のし易さや保水性、さらにはコスト等の観点から、平均粒径が5mm以下であることが好ましく、平均粒径が1mm以下であることがより好ましく、平均粒径が0.8mm以下であることが特に好ましい。
なお、本明細書中において、「粒径」の語は、粉粒体が略球形の場合は直径を意味し、球形以外の形状の場合は最大寸法を意味する。
【0009】
本発明の充填材においては、上記粉粒体に加えて、水を使用することができる。
水を使用することによって、透水性コンクリート、透水性アスファルト又は透水性樹脂硬化体の空隙中への充填材の充填作業が容易となり、充填作業時間の短縮等を図ることができる。
水の配合量は、充填材の充填性の観点から、粉粒体100質量部に対して、500質量部以下が好ましく、100〜350質量部がより好ましい。
水は、水道水を使用することができる。
粉粒体と水の混練方法や混練装置は、特に限定するものではなく、慣用の方法で、慣用のミキサで混練すれば良い。
なお、粉粒体と水を含有する充填材においては、透水性コンクリート、透水性アスファルト又は透水性樹脂硬化体の空隙中への充填材の充填性等から、Pロート流下時間が9〜13秒であることが好ましい。
【0010】
本発明の充填材においては、上記粉粒体及び水に加えて、セメントを使用することができる。セメントを使用することによって、該充填材を用いた保水性舗装の供用による充填材の流失等を防止することができる。
水及びセメントの配合量は、粉粒体100質量部に対して、水600質量部以下、セメント400質量部以下が好ましい。粉粒体100質量部に対して、水が600質量部を越えると、充填材の強度発現性が低下し、供用の進行による充填材の流失防止効果が低下するので好ましくない。粉粒体100質量部に対して、セメントが400質量部を越えると、該充填材を充填した保水性舗装の夏季の直射日光による表面温度の上昇を抑制する効果が低下するので好ましくない。
水及びセメントの配合量は、充填材の充填性や充填材の強度発現性、さらには保水性の観点から、粉粒体100質量部に対して、水100〜500質量部、セメント50〜250質量部であることがより好ましい。
粉粒体、水及びセメントの混練方法や混練装置は、特に限定するものではなく、慣用の方法で、慣用のミキサで混練すれば良い。
なお、粉粒体と水とセメントを含有する充填材においては、透水性コンクリート、透水性アスファルト又は透水性樹脂硬化体の空隙中への充填材の充填性等から、Pロート流下時間が9〜13秒であることが好ましい。
【0011】
セメントとしては、普通、早強、中庸熱ポルトランドセメント等の各種ポルトランドセメント、高炉セメント、フライアッシュセメント等の各種混合セメント、都市ゴミ焼却灰や下水汚泥焼却灰等の廃棄物を原料として使用したエコセメント、ジェットセメント等の超早強性セメント、さらには、前記ポルトランドセメントやエコセメントの一部を石灰石粉末、シリカフューム、メタカオリン、カルシウムアルミネート等の混和材で置換したセメントを使用することができる。
【0012】
なお、本発明の充填材においては、前記材料に加えて、減水剤を使用することは、透水性コンクリート、透水性アスファルト又は透水性樹脂硬化体の空隙中への充填材の充填作業がより容易になるので好ましいことである。減水剤としては、リグニン系、ナフタレンスルホン酸系、メラミン系、ポリカルボン酸系の減水剤、AE減水剤、高性能減水剤又は高性能AE減水剤を使用することができる。中でも、減水効果の大きい高性能減水剤又は高性能AE減水剤が好ましい。
減水剤の配合量(固形分換算)は、充填材の充填性やコストの観点から、粉粒体100質量部に対して、1質量部以下が好ましい。なお、セメントを含有する充填材においては、減水剤の配合量(固形分換算)は、セメント100質量部に対して、0.05〜0.8質量部が好ましい。
【0013】
次に、本発明の保水性舗装について説明する。
本発明の保水性舗装は、透水性コンクリート、透水性アスファルト又は透水性樹脂硬化体の空隙中に、上記の充填材を充填したものである。
透水性コンクリート、透水性アスファルト又は透水性樹脂硬化体の空隙中への充填材の充填は、
(1)真珠岩及び/又は黒曜石の粉粒体を充填する場合は、振動タンパ、ビブロプレートや転圧ローラ等の機械で振動を加えながら空隙中へ充填する、
(2)真珠岩及び/又は黒曜石の粉粒体及び水を含有する充填材や、真珠岩及び/又は黒曜石の粉粒体、水及びセメントを含有する充填材を充填する場合は、該充填材を空隙中へ流し込み、振動タンパ、ビブロプレートや転圧ローラ等の機械で振動を加える、
ことで行うことができる。
なお、本明細書中において、「透水性樹脂硬化体」の語は、アクリル系樹脂等の樹脂系結合材を用いて粗骨材を結合させた連続空隙を有する硬化体の意で用いられる。
【0014】
本発明の保水性舗装においては、真珠岩及び/又は黒曜石の粉粒体、水及びセメントを含有する充填材を使用する場合は、該充填材の充填後、養生シートで舗装表面を覆い、養生することが好ましい。
【0015】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明する。
1.充填材の材料
以下に示す材料を使用した。
1)真珠岩の粉粒体;真珠岩の粉砕物(平均粒径4μm)
2)水;水道水
3)セメント:太平洋セメント(株)製普通ポルトランドセメント
4)減水剤;「マイティ100」(花王(株)製、ナフタレンスルホン酸系)
【0016】
2.充填材の配合及び調製
前記材料を使用し、表1に示す配合にしたがって充填材を調製した。なお、No.2〜5の充填材は、万能ミキサ(0.01m3)を用いて、90秒間混練して調製した。
【0017】
【表1】
【0018】
3.透水性コンクリートの調製
3.1 使用材料
透水性コンクリートの材料として以下の材料を使用した。
▲1▼セメント;普通ポルトランドセメント(太平洋セメント(株)製)
▲2▼混和材;高炉スラグ粉末(ブレーン比表面積8000cm2/g)
▲3▼細骨材;市原産細目山砂(粒径2.5mm以下)
▲4▼粗骨材;青梅産砕石6号(粒径5〜13mm)
▲5▼水;水道水
▲6▼減水剤;「マイティ100」(花王(株)製、ナフタレンスルホン酸系)
【0019】
3.2 透水性コンクリートの調製
前記材料を、セメント100質量部、高炉スラグ粉末4質量部、細骨材100質量部、粗骨材494質量部、水22質量部、減水剤1.5質量部の割合で2軸強制練りミキサ(0.1m3)に一括投入し、4分間混練し、粗骨材に粗骨材以外の材料からなるモルタルが被覆された状態の互いに独立した粒体(混練物)を調製した。
該粒体(混練物)を、300×300×50cmの型枠に投入し、空隙率が22%となるようにプレートコンパクター(MVC−110H;三笠(株)製)で敷設した。敷設後、養生シートでコンクリート舗装表面を覆い、20℃で7日間気中養生して、300×300×50cmの透水性コンクリートを作製した。
【0020】
4.保水性舗装の調製
表1の各充填材を使用して、下記のように保水性舗装を調製した。
▲1▼No.1の充填材は、ビブロプレートで振動を加えながら上記透水性コンクリートの空隙中へ充填し保水性舗装を調製した。
▲2▼No.2の充填材は、上記透水性コンクリートの空隙中に流し込み、ビブロプレートで振動を加えることにより保水性舗装を調製した。
▲3▼No.3〜5の充填材は、上記透水性コンクリートの空隙中に流し込み、ビブロプレートで振動を加え、その後、養生シートでコンクリート舗装表面を覆い、20℃で7日間気中養生して保水性舗装を調製した。
No.1の充填材では、充填作業に時間を要したが、No.2〜5の充填材では、短時間で充填作業が終了した。
【0021】
5.保水性舗装の表面温度の経時変化
各保水性舗装に給水した後、日当たりの良い場所に設置し、8月初旬から中旬の6日間における保水性舗装の表面温度(直射日光の当たる上面近傍の温度)を測定した。比較例として、アスファルト舗装についても同時に表面温度を測定した。なお、表面温度測定期間中は晴天であり、また、表面温度測定期間中は各保水性舗装への給水は行わなかった。
結果を図1〜5に示す。
図1〜5から、本発明の保水性舗装の表面温度は、アスファルト舗装に比べて著しく低いことがわかる。
【0022】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の充填材は、水の保持能力に優れているものであり、該充填材を透水性コンクリート、透水性アスファルト又は透水性樹脂硬化体の空隙中に充填することにより、夏季の直射日光による表面温度の著しい上昇を抑制することができる。
また、本発明の保水性舗装では、水分貯留層を設けなくても、無給水で長期間にわたり路面温度の上昇の抑制効果を継続させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】充填材として、表1のNo.1の充填材を用いた本発明の保水性舗装について、表面温度の変化を測定したグラフである。
【図2】充填材として、表1のNo.2の充填材を用いた本発明の保水性舗装について、表面温度の変化を測定したグラフである。
【図3】充填材として、表1のNo.3の充填材を用いた本発明の保水性舗装について、表面温度の変化を測定したグラフである。
【図4】充填材として、表1のNo.4の充填材を用いた本発明の保水性舗装について、表面温度の変化を測定したグラフである。
【図5】充填材として、表1のNo.5の充填材を用いた本発明の保水性舗装について、表面温度の変化を測定したグラフである。
Claims (4)
- 真珠岩及び/又は黒曜石の粉粒体を含有することを特徴とする充填材。
- 水を含む請求項1に記載の充填材。
- セメントを含む請求項2に記載の充填材。
- 透水性コンクリート、透水性アスファルト又は透水性樹脂硬化体の空隙中に、請求項1〜3のいずれかに記載の充填材を充填したことを特徴とする保水性舗装。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002282272A JP2004116174A (ja) | 2002-09-27 | 2002-09-27 | 充填材及び保水性舗装 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002282272A JP2004116174A (ja) | 2002-09-27 | 2002-09-27 | 充填材及び保水性舗装 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004116174A true JP2004116174A (ja) | 2004-04-15 |
Family
ID=32276461
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002282272A Pending JP2004116174A (ja) | 2002-09-27 | 2002-09-27 | 充填材及び保水性舗装 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004116174A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006241803A (ja) * | 2005-03-02 | 2006-09-14 | Ehime Prefecture | 吸水性舗装及び吸水性舗装に使用する骨材 |
JP2008031679A (ja) * | 2006-07-27 | 2008-02-14 | Yahagi Doro Kk | 路面温度の上昇抑制機能を備えたアスファルト舗装体、アスファルト舗装路面構造およびアスファルト舗装体の形成方法 |
JP2020165275A (ja) * | 2019-03-31 | 2020-10-08 | 太平洋セメント株式会社 | ポーラスコンクリート舗装 |
-
2002
- 2002-09-27 JP JP2002282272A patent/JP2004116174A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006241803A (ja) * | 2005-03-02 | 2006-09-14 | Ehime Prefecture | 吸水性舗装及び吸水性舗装に使用する骨材 |
JP2008031679A (ja) * | 2006-07-27 | 2008-02-14 | Yahagi Doro Kk | 路面温度の上昇抑制機能を備えたアスファルト舗装体、アスファルト舗装路面構造およびアスファルト舗装体の形成方法 |
JP2020165275A (ja) * | 2019-03-31 | 2020-10-08 | 太平洋セメント株式会社 | ポーラスコンクリート舗装 |
JP7254276B2 (ja) | 2019-03-31 | 2023-04-10 | 太平洋セメント株式会社 | ポーラスコンクリート舗装 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5975603B2 (ja) | 高強度ポーラスコンクリート組成物および高強度ポーラスコンクリート硬化体 | |
JP5005861B2 (ja) | 現場打ち透水性コンクリート及び車道用舗装 | |
JP5812623B2 (ja) | 高強度ポーラスコンクリート組成物および高強度ポーラスコンクリート硬化体 | |
JP2004108027A (ja) | 充填材及び保水性舗装 | |
JP2008223385A (ja) | ポーラスコンクリート及びその製造方法 | |
JP3723178B2 (ja) | 保水性硬化体 | |
JP2002316858A (ja) | ポーラスコンクリートおよび現場打ち透水性コンクリート舗装 | |
JP2004155636A (ja) | 鉱滓またはフライアッシュを主材料とする建築又は構築材料。 | |
JP2004116174A (ja) | 充填材及び保水性舗装 | |
JP4861390B2 (ja) | 保水性ブロック | |
JP4255802B2 (ja) | 舗装体 | |
JP6617043B2 (ja) | 排水性舗装の施工方法 | |
JP5308967B2 (ja) | 舗装構造物および舗装施工方法 | |
JP2000230214A (ja) | 現場打ち透水性コンクリート舗装 | |
JP4316087B2 (ja) | 早強型現場打ち透水性コンクリート及び車道用舗装 | |
JP2001181009A (ja) | 透水性コンクリート舗装用結合材及び現場打ち透水性コンクリート舗装 | |
JP2008222518A (ja) | 収縮低減性ポーラスコンクリート及びその製造方法 | |
JP4653143B2 (ja) | 保水性舗装の充填材及び該充填材を用いた保水性舗装 | |
JPH07206537A (ja) | ポーラスコンクリート及びその成形体の製造方法 | |
JP5020431B2 (ja) | 吹付方法 | |
JP4116829B2 (ja) | 透水性コンクリートブロック | |
JP4707625B2 (ja) | 保水性セメント組成物及び舗装構造 | |
JP4182150B2 (ja) | 透水性固形物及びその製造方法 | |
JP2002302904A (ja) | 現場打ち透水性コンクリート舗装の施工方法 | |
JP2004285608A (ja) | 舗装用ブロック及びその製造方法 |