JP2004256458A - 染毛剤組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、毛髪に塗布されて毛髪を染色する染毛剤組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、この種の染毛剤組成物は、アルカリ剤及び酸化染料が含有される第1剤と、酸化剤を含有する第2剤とから構成されるものが知られている。これらの第1剤と第2剤は使用時に混合調製され、第1剤と第2剤の混合物が毛髪に塗布されることにより、毛髪に染毛処理が施されるようになっている(例えば、特許文献1参照)。この染毛剤組成物において過酸化水素等の酸化剤は、酸化染料の発色、メラニンの脱色等の機能を有している。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−29946号公報([0034]〜[0037])
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来の染毛剤組成物においては、機能を十分に発揮させるに必要な量の酸化剤を含有させると、その酸化剤によって毛髪が損傷し易いという問題があった。
【0005】
本発明は、上記のような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、毛髪の損傷を抑制することができる染毛剤組成物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために請求項1に記載の発明の染毛剤組成物では、(A)アルカリ剤、(B)下記一般式(1)で表される化合物及び(C)酸化染料の各成分を含有するアルカリ剤組成物と、(D)酸化剤を含有する酸化剤組成物とから構成され、前記アルカリ剤組成物及び酸化剤組成物の混合物中には、前記(B)成分が0.5〜10.0重量%含有されるとともに前記(D)成分が0.05〜2.25重量%含有されるものである。
【0007】
【化2】
(式中のR1及びR2は、水素原子、炭素数1〜30の脂肪族基、5〜10員の複素環基又はC6〜C10員の芳香族基を表し、前記脂肪族基はその一部がカルボニル基、ヒドロキシル基、ハロゲン元素、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基又はフェニル基により置換可能であるものを示し、前記複素環基はその一部が炭素数1〜30のアルキル基、ハロゲン元素、フェニル基又はヒドロキシル基により置換可能であるものを示し、前記芳香族基はその一部が炭素数1〜4のアルキル基、ハロゲン元素、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキシル基又はニトロソ基により置換可能であるものを示す。なお、R1及びR2は同一でも異なってもよく、R1及びR2は部分的に結合されていてもよい。また、水酸基の水素は金属元素に置換されているものを含む。ただし、R1とR2を部分的に結合する場合、R1が結合するカルボニル炭素とR2とが直接結合されたものを含む。)
請求項2に記載の発明の染毛剤組成物では、請求項1に記載の発明において、前記(B)一般式(1)で表される化合物は、アスコルビン酸類であることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明の染毛剤組成物では、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記(A)成分として、少なくともアルカノールアミンを含有するものである。
【0009】
請求項4に記載の発明の染毛剤組成物では、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の発明において、前記アルカリ剤組成物及び酸化剤組成物が混合調製された混合物のpHは、前記(B)成分によって、混合調製時のpHから低下されるものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
以下、本発明を2剤式の染毛剤に適用した実施形態について詳細に説明する。
【0011】
染毛剤組成物としての2剤式の染毛剤は、アルカリ剤組成物としての第1剤と、酸化剤組成物としての第2剤とから構成されている。第1剤には、(A)アルカリ剤、(B)下記一般式(1)で表される化合物及び(C)酸化染料が含有されている。
【0012】
【化3】
(式中のR1及びR2は、水素原子、炭素数1〜30の脂肪族基、5〜10員の複素環基又はC6〜C10員の芳香族基を表し、前記脂肪族基はその一部がカルボニル基、ヒドロキシル基、ハロゲン元素、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基又はフェニル基により置換可能であるものを示し、前記複素環基はその一部が炭素数1〜30のアルキル基、ハロゲン元素、フェニル基又はヒドロキシル基により置換可能であるものを示し、前記芳香族基はその一部が炭素数1〜4のアルキル基、ハロゲン元素、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキシル基又はニトロソ基により置換可能であるものを示す。なお、R1及びR2は同一でも異なってもよく、R1及びR2は部分的に結合されていてもよい。また、水酸基の水素は金属元素に置換されているものを含む。ただし、R1とR2を部分的に結合する場合、R1が結合するカルボニル炭素とR2とが直接結合されたものを含む。)一方、第2剤には酸化剤が含有されている。これらの第1剤及び第2剤は、混合して使用される。第1剤及び第2剤の混合物中における(B)上記一般式(1)で表される化合物の含有量は0.5〜10.0重量%である。また、第1剤及び第2剤の混合物中における(D)酸化剤の含有量は0.05〜2.25重量%である。第1剤及び第2剤の混合物は、毛髪に塗布されることにより、毛髪を染色することができるものである。
[第1剤]
第1剤には、(A)アルカリ剤、(B)上記一般式(1)で表される化合物及び(C)酸化染料が含有される。
【0013】
(A)成分のアルカリ剤は、第2剤中に含有される(D)酸化剤の作用を促進することにより、毛髪に明度を付与するために配合される。
(A)成分の具体例としては、アンモニア、アルカノールアミン、アンモニウム塩、有機アミン類(2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、グアニジン等)、無機アルカリ(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等)、塩基性アミノ酸(アルギニン、リジン等)及びそれらの塩等が挙げられる。アルカノールアミンの具体例としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノプロパノールアミン、イソプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール等が挙げられる。アンモニウム塩の具体例としては、ハロゲン化アンモニウム、無機系アンモニウム塩、有機系アンモニウム塩等が挙げられる。ハロゲン化アンモニウムとしては塩化アンモニウム等、無機系アンモニウム塩としては炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、リン酸水素アンモニウム等、有機系アンモニウム塩としては乳酸アンモニウム、クエン酸アンモニウム、グリコール酸アンモニウム等が挙げられる。
【0014】
これらの(A)成分は単独で配合してもよいし、二種以上を組み合わせて配合してもよい。これらの(A)成分の中でも刺激臭を抑制することができることから、第1剤中には少なくともアルカノールアミンを含有させることが好ましく、加えて毛髪に明度を付与する効果が高いことから、第1剤中にはモノエタノールアミンを含有させることがより好ましい。
【0015】
第1剤及び第2剤の混合物(以下、単に混合物という。)中における(A)成分の含有量は、好ましくは0.1〜5.0重量%、より好ましくは0.2〜4.8重量%、さらに好ましくは0.3〜4.5重量%、最も好ましくは0.35〜4.0重量%である。この含有量が0.1重量%未満であると、十分な明度が得られないおそれがある。一方、5.0重量%を超えて配合すると、仕上り後の毛髪に良好な感触を得ることができないおそれがある。
【0016】
(B)成分の上記一般式(1)で表されるエンジオール構造を有する化合物は、(D)酸化剤による(C)酸化染料の酸化重合反応を促進させるとともに混合物のpHをコントロールするために配合される。(B)成分の具体例としては、アスコルビン酸類、3,4−ジヒドロキシ−3−シクロブテン−1,2−ジオン、2,3−ジヒドロキシ−2−シクロペンテン−1−オン等が挙げられる。
【0017】
アスコルビン酸類としては、アスコルビン酸、エリソルビン酸、それらの塩及び誘導体、等が挙げられる。アスコルビン酸の塩としては、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸カリウム、アスコルビン酸カルシウム、アスコルビン酸アンモニウム、アスコルビン酸モノエタノールアミン、アスコルビン酸ジエタノールアミン等が挙げられる。エリソルビン酸の塩としてはエリソルビン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0018】
アスコルビン酸の誘導体としては、アスコルビン酸硫酸エステル二ナトリウム、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム、パルミチン酸アスコルビル、ステアリン酸アスコルビル、ジパルミチン酸アスコルビル、テトラ2−ヘキシルデカン酸アスコルビル、ミリスチン酸アスコルビル、ラウリン酸アスコルビル、酢酸アスコルビル、プロピオン酸アスコルビル、酒石酸アスコルビル、クエン酸アスコルビル、コハク酸アスコルビル、安息香酸アスコルビル、(アスコルビル/トコフェリル)リン酸カリウム、アスコルビルエチル、アスコルビン酸アラントイン、アスコルビン酸キトサン、アスコルビン酸メチルシラノール、テトラデシルヘキシルアスコルビル、アミノプロピルアスコルビルフォスフェート、アスコルビン酸ポリペプタイド、アスコルビルグルコシド、アスコルビルメチルシラノールペクチネート等が挙げられる。これらの(B)成分は単独で配合してもよいし、二種以上を組み合わせて配合してもよい。これらの(B)成分の中でも、(D)酸化剤の酸化作用をさらに促進させることができることから、好ましくはアスコルビン酸類、より好ましくはアスコルビン酸及びその塩から選ばれる少なくとも一種である。
【0019】
混合物中における(B)成分の含有量は、0.5〜10.0重量%、好ましくは0.7〜9.5重量%、より好ましくは0.9〜9.0重量%、さらに好ましくは1.1〜9.0重量%である。この含有量が0.5重量%未満であると、(D)酸化剤による(C)酸化染料の酸化重合反応を十分に促進させることができない。また、混合物のpHコントロール作用が得られない。一方、10.0重量%を超えて配合すると、酸化重合反応が阻害され、染毛力が低下する。また、それ以上のpHコントロール作用が得られない。
【0020】
混合物中において、(A)成分に対する(B)成分の重量比[=(B)成分の重量/(A)成分の重量]は、好ましくは0.2以上、より好ましくは0.25以上、さらに好ましくは0.3以上である。この重量比が0.2未満であると、(B)成分のpHコントロール作用が十分に発揮されないおそれがある。なお、この重量比の上限は、好ましくは11.1以下、より好ましくは8.3以下、さらに好ましくは6.7以下である。この重量比が11.1を超えて配合してもそれ以上のpHコントロール作用が得られない。
【0021】
第1剤のpHは、好ましくは8〜12、より好ましくは9〜11である。第1剤のpHが8未満では、(D)酸化剤の作用を十分に促進することができないおそれがある。一方、pHが12を超えると毛髪が脱色される際、毛髪に損傷等の不具合が発生するおそれがある。
【0022】
(C)酸化染料は、(D)酸化剤による酸化重合によって発色可能な化合物を示し、具体的には、主要中間体及びカプラーに分類される。
主要中間体としては、フェニレンジアミン類とその塩類、アミノフェノール類とその塩類、ジアミノピリジン類とその塩類等が挙げられる。塩類としては塩酸塩、硫酸塩、酢酸塩等が挙げられる。これらの主要中間体は単独で配合してもよいし、二種以上を組み合わせて配合してもよい。これらの中でも、染毛力に優れることから、好ましくはp−フェニレンジアミン、トルエン−2,5−ジアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルアミン、2−クロロ−p−フェニレンジアミン、N,N−ジメチル−p−フェニレンジアミン、p−アミノフェノール、2,6−ジクロロ−p−フェニレンジアミン、p−アミノフェニルスルファミン酸及びそれらの塩類から選ばれる少なくとも一種である。
【0023】
カプラーとしては、レゾルシン、ピロガロール、カテコール、m−アミノフェノール、m−フェニレンジアミン、o−アミノフェノール、2,4−ジアミノフェノール、1,2,4−ベンゼントリオール、トルエン−3,4−ジアミン、トルエン−2,4−ジアミン、ハイドロキノン、α−ナフトール、2,6−ジアミノピリジン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、5−アミノ−o−クレゾール、ジフェニルアミン、p−メチルアミノフェノール、フロログルシン、2,4−ジアミノフェノキシエタノール、没食子酸、タンニン酸、没食子酸エチル、没食子酸メチル、没食子酸プロピル、五倍子、1−メトキシ−2−アミノ−4−(2−ヒドロキシエチル)アミノベンゼン、5−(2−ヒドロキシエチルアミノ)−2−メチルフェノール、それらの塩類等が挙げられる。これらのカプラーは単独で配合してもよいし、二種以上を組み合わせて配合してもよい。
【0024】
この(C)成分は、様々な色調に変化させることができることから、主要中間体から選ばれる少なくとも一種及びカプラーから選ばれる少なくとも一種から構成されることが好ましい。
【0025】
混合物中における(C)成分の含有量は、好ましくは0.005〜7.5重量%である。この含有量が0.005重量%未満では十分な染毛力が得られにくい。一方、7.5重量%を超えて配合してもそれ以上の染毛力が得られにくい。
【0026】
混合物中において、主要中間体に対する(B)成分の重量比[=(B)成分/主要中間体]は、好ましくは0.3〜5.0、より好ましくは0.5〜3.0、さらに好ましくは0.5〜2.8である。この重量比が0.3未満であると、十分な染毛力が得られにくい。一方、5.0を超えて配合してもそれ以上の染毛力が得られにくい。
【0027】
第1剤には、その他の成分として水、pH調整剤、界面活性剤、油性成分等を含有させることもできる。
水は、各成分の溶媒又は分散媒として第1剤を溶液、分散液又は乳化物とするために適量配合される。混合物中における水の含有量は、好ましくは50〜95重量%、さらに好ましくは70〜90重量%である。この含有量が50重量%未満では、水溶液、分散液又は乳化物を安定して形成することが困難となるおそれがある。一方、95重量%を超えて配合すると、混合物の均一性及び安定性を確保しにくくなる。
【0028】
第1剤には、第1剤のpHを上記の範囲に容易に設定することができることからpH調整剤を含有させることが好ましい。pH調整剤の具体例としては、リン酸、クエン酸、硫酸、酢酸、乳酸、酒石酸等が挙げられる。第1剤中におけるpH調整剤の配合量は、第1剤のpHが上記の範囲となる量とするのが好ましい。
【0029】
界面活性剤は、第1剤の安定性を保持するために配合される。界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤が挙げられる。
【0030】
非イオン性界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレン(以下、POEという)アルキルエーテル類、POEアルキルフェニルエーテル類、POE・ポリオキシプロピレン(以下、POPという)アルキルエーテル類、POEソルビタン脂肪酸エステル類、POEプロピレングリコール脂肪酸エステル等が挙げられる。POEアルキルエーテル類の具体例としては、POEラウリルエーテル、POEセチルエーテル、POEステアリルエーテル、POEベヘニルエーテル等が挙げられる。
【0031】
カチオン性界面活性剤の具体例としては、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウムサッカリン、セチルトリメチルアンモニウムサッカリン等が挙げられる。
【0032】
アニオン性界面活性剤の具体例としては、ラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩、POEラウリルエーテル硫酸ナトリウム等のPOEアルキル硫酸塩、ラウリル硫酸トリエタノールアミン等のアルキル硫酸エステル塩、ステアロイルメチルタウリンナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、テトラデセンスルホン酸ナトリウム、POEラウリルエーテルリン酸及びその塩等が挙げられる。
【0033】
両性界面活性剤の具体例としては、2−ウンデシル−N,N,N−(ヒドロキシエチルカルボキシメチル)−2−イミダゾリンナトリウム、ココアミドプロピルベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等が挙げられる。
【0034】
油性成分としては、高級アルコール、油脂類、ロウ類、炭化水素類、エステル類、シリコーン類等が挙げられる。
高級アルコールの具体例としては、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等が挙げられる。
【0035】
油脂類の具体例としては、ホホバ油、オリーブ油のグリセライド等、ロウ類の具体例としては、ミツロウ、ラノリン等、炭化水素類の具体例としては、流動パラフィン、固形パラフィン、イソパラフィン、スクワラン等が挙げられる。エステル類の具体例としては、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル等、シリコーン類の具体例としては、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、高重合シリコーン、アミノ変性シリコーン等が挙げられる。
【0036】
さらに、その他の成分としてラウリン酸、ミリスチン酸、リノレン酸等の脂肪酸、ソルビトール、マルトース等の糖類、多価アルコール、バチルアルコール、キミルアルコール等のアルキルグリセリルエーテル、アラビアガム、カラヤガム、トラガントガム、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、セルロース誘導体、架橋ポリアクリル酸、ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジウム等の水溶性高分子化合物、パラベン等の防腐剤、EDTA−2Na等のキレート剤、フェナセチン、8−ヒドロキシキノリン、アセトアニリド、ピロリン酸ナトリウム、バルビツール酸、尿酸、タンニン酸等の安定剤、植物抽出物、生薬抽出物、ビタミン類、香料、紫外線吸収剤等が挙げられる。また「医薬部外品原料規格」(1991年6月発行、薬事日報社)に収載されるものから選ばれる少なくとも一種を配合してもよい。
【0037】
この第1剤の剤型は、水溶液状、分散液状、乳化物状、ゲル状、フォーム状、クリーム状等が挙げられる。
[第2剤]
第2剤には、(D)酸化剤が含有される。この(D)成分は、(C)酸化染料を酸化重合させて発色させるとともに、毛髪に含まれるメラニンを脱色させるために配合される。(D)成分の具体例としては、過酸化水素、過酸化尿素、過酸化メラミン、過炭酸ナトリウム、過炭酸カリウム、過ホウ酸ナトリウム、過ホウ酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化ナトリウム、過酸化カリウム、過酸化マグネシウム、過酸化バリウム、過酸化カルシウム、過酸化ストロンチウム、硫酸塩の過酸化水素付加物、リン酸塩の過酸化水素付加物、ピロリン酸塩の過酸化水素付加物等が挙げられる。これらの(D)成分は単独で配合してもよいし、二種以上を組み合わせて配合してもよい。これらの(D)成分の中でも、メラニンの脱色力に優れることから、好ましくは過酸化水素である。
【0038】
混合物中における(D)成分の含有量は、0.05〜2.25重量%、より好ましくは0.15〜2.0重量%である。この含有量が0.05重量%未満であると、(C)酸化染料を十分に酸化重合させることができない。一方、2.25重量%を超えて配合すると、毛髪の損傷を低減させることができない。
【0039】
第2剤にはその他の成分として第1剤に記載の水、油性成分、界面活性剤等が含有される。また、(D)成分として過酸化水素を含有させた場合は、過酸化水素の保存安定性を向上させるために安定化剤を含有させることが好ましい。過酸化水素の安定化剤としては、尿素、フェナセチン、スズ酸ナトリウム、エチレングリコールフェニルエーテル、8−オキシキノリン、リン酸、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸及びその塩、ジブチルヒドロキシトルエン等が挙げられる。また「医薬部外品原料規格」(1991年6月発行、薬事日報社)に収載されるものから選ばれる少なくとも一種を配合してもよい。
【0040】
この第2剤の剤型は、水溶液状、分散液状、乳化物状、ゲル状、フォーム状、クリーム状等が挙げられる。
[混合物]
混合物は、第1剤及び第2剤を所定の割合で混合調製することによって得られる。第1剤と第2剤との混合割合は、好ましくは重量比で第1剤:第2剤=1:0.5〜1:5である。この混合割合よりも第1剤が多くなるか又は第2剤が多くなると第1剤中及び第2剤中における各成分の含有量を設定しにくくなるおそれがある。
【0041】
混合調製時における混合物のpHは、好ましくは8〜12、より好ましくは9〜11である。このpHが8未満では、(D)酸化剤の作用を十分に促進することができないおそれがある。一方、pHが12を超えると毛髪が脱色される際、毛髪に損傷等の不具合が発生するおそれがある。
【0042】
この混合物の剤型は、水溶液状、分散液状、乳化物状、ゲル状、フォーム状、クリーム状等が挙げられる。
この混合物は毛髪に塗布され、混合物が塗布された毛髪は、一定時間放置されることにより徐々に染色される。ここで、混合物には(B)成分が含有されているため、毛髪に塗布された混合物のpHは、放置時間に伴って徐々に低下されるようになっている。染毛放置時間終了後の混合物のpHは、(A)成分が毛髪にアルカリとして残留することを低減することができ、毛髪の感触をより良好にすることができることから、中性又は酸性側に移行されることが好ましく、弱酸性であることがより好ましい。
【0043】
混合調製時における混合物のpHと、混合調製時から30分後における混合物のpHとの差(pH低下値)は、好ましくは1〜10、より好ましくは2〜9、さらに好ましくは3〜8である。このpH低下値が1未満では、残留アルカリにより毛髪に損傷等の不具合が発生するおそれがある。一方、10を超えるpHの低下は、毛髪が過剰に収れんし、毛髪に損傷等の不具合が発生するおそれがある。
【0044】
混合調製時から30分後における混合物のpHは、好ましくは2〜8、より好ましくは3〜7、さらに好ましくは4〜6である。このpHが2未満では、毛髪が過剰に収れんし、毛髪に損傷等の不具合が発生するおそれがある。一方、このpHが8を超えると残留アルカリの影響により、毛髪に損傷等の不具合が発生するおそれがある。
【0045】
さて、染毛剤組成物としての第1剤及び第2剤を調製するには、第1剤と第2剤の混合割合を考慮して、各成分を所定量配合し、攪拌混合する。
次に、第1剤及び第2剤を使用するには、第1剤及び第2剤を所定の混合割合で混合することによって混合物を調製し、この混合物の必要量をコーム(櫛)又は刷毛に付着させ、毛髪に塗布する。この混合物中では、(D)成分によって(C)成分が酸化重合されることにより、(C)成分が発色されるようになっている。このとき、混合物中には(B)成分が0.5〜10.0重量%含有されている。この(B)成分によって(D)成分の酸化力は十分に引き出されるため、(D)成分による(C)成分の酸化重合反応は促進される。つまり、(D)成分による(C)成分の酸化重合反応において、(B)成分は触媒的な役割を果たすと推測される。従って、少量の(D)成分であっても(C)成分を効率的に発色させることができる。よって、毛髪の損傷の原因となる(D)成分の含有量を低減させることができる。
【0046】
また、混合物には(A)成分が含有され、アルカリ性を示している。混合物が塗布された毛髪は、この状態で一定時間(例えば、10分から40分)放置される。このとき、混合物中には、(B)成分が0.5〜10重量%含有されている。この(B)成分のpHコントロール作用によって、(A)成分が徐々に中和される。このため、放置時間の経過に伴って、混合物のpHは、混合調製時のpHより徐々に低下される。
【0047】
一定時間放置後の毛髪には、プレーンリンス(水、温水等による毛髪のすすぎ)が施され、毛髪の染毛処理が仕上げられる。このとき、(B)成分のpHコントロール作用により、混合物のpHは低下されているため、仕上り後の毛髪における残留アルカリを低減することができる。
【0048】
以上詳述した実施形態によれば、次のような効果が発揮される。
・ 本実施形態の染毛剤組成物においては、第1剤及び第2剤から構成されている。第1剤には、(A)成分、(B)成分及び(C)成分が含有されている。第2剤には、(D)成分が含有されている。混合物中には、(B)成分が0.5〜10.0重量%含有されるとともに(D)成分が0.05〜2.25重量%含有されている。このように構成した場合、(B)成分によって(D)成分の酸化力を促進させることができる。従って、混合物中における(D)成分の含有量を低減させることができるため、毛髪の損傷を抑制することができる。
【0049】
・ 本実施形態の染毛剤組成物においては、(B)成分はアスコルビン酸類であることが好ましい。この場合、(D)成分の酸化作用をさらに促進させることができ、染毛力を向上させることができる。
【0050】
・ 本実施形態の染毛剤組成物においては、(A)成分として、少なくともアルカノールアミンを含有することが好ましい。この場合、刺激臭を抑制することができる。
【0051】
・ 本実施形態の染毛剤組成物においては、第1剤中には(B)成分が含有され、混合物のpHは、(B)成分によって、混合調製時のpHから低下されるようになっている。この場合、仕上り後の毛髪における残留アルカリを低減させることができ、仕上り後の毛髪の感触を良好にすることができる。
【0052】
・ 本実施形態の染毛剤組成物においては、第1剤中には(B)成分が含有され、混合物のpHは、中性又は酸性側に移行されるようになっている。この場合、(A)成分がアルカリとして毛髪に残留することを防ぐことができ、仕上り後の毛髪の感触をさらに良好にすることができる。
【0053】
【実施例】
次に、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態をさらに具体的に説明する。
(実施例1〜4及び比較例1〜3)
表1に示す各成分を混合することにより第1剤及び第2剤を調製した。第1剤及び第2剤を混合することにより混合物を調製し、この混合物を毛束に塗布した。混合物が塗布された毛束を30分間放置した後、プレーンリンスを施すことによって毛束の染毛処理を完了した。染毛処理が施された毛束について、下記の(a)〜(c)の項目の評価を行った。これらの評価結果を表1に示す。
【0054】
なお、第1剤と第2剤は重量比において1:1の割合で混合される。また、表1における各成分の配合を示す数値の単位は重量%を示す。
(a)毛髪損傷度
毛束の根元から20〜30mmの部分に結び目を作り、毛束の両端に一定条件で張力を加えた。次に、走査型電子顕微鏡によって結び目部分におけるキューティクルの浮き上がり状態を専門のパネラーが観察し、以下の4段階の基準によって毛髪損傷度の評価を行った。
【0055】
キューティクルがほとんど浮き上がらず、非常に損傷が少ない(◎)。
キューティクルの最外層の一部のみが浮き上がっており、損傷が少ない(○)。
【0056】
キューティクルの最外層が全体的に浮き上がっており、損傷がややある(△)。
キューティクルのほとんどが浮き上がっており、損傷がある(×)。
【0057】
(b)染毛力
専門のパネラーが毛束の染色の程度を目視にて観察し、優れる(◎)、良好(○)、やや不良(△)及び不良(×)の4段階で官能評価した。
【0058】
(c)感触
専門のパネラーが毛束を手で触れたときの感触について、優れる(◎)、良好(○)、やや不良(△)及び不良(×)の4段階で官能評価した。
【0059】
【表1】
表1の結果から明らかなように、実施例1〜4では毛髪損傷度が非常に少ない又は少ない結果であるとともに、染毛力が優れる又は良好な結果となった。実施例3及び実施例4では、混合物中における(B)成分の含有量が1.1重量%以上であるため、(D)成分による(C)成分の酸化重合反応がさらに促進され、染毛力が優れる結果となっている。また、実施例1〜4では(B)成分のpHコントロール作用によって毛束におけるアルカリの残留を抑制することができ、感触について優れる又は良好な結果となった。
【0060】
これに対して、比較例1及び比較例2では混合物中における(B)成分の含有量が0.5重量%未満であるため、(D)成分による(C)成分の酸化重合反応が促進されず、染毛力が不良となった。また、(B)成分のpHコントロール作用が発揮されず、毛髪に損傷がやや生じるとともに、感触が不良又はやや不良であった。比較例3では(D)成分が過剰に配合されているため、染毛力は良好であったが、毛髪に損傷が生じるとともに感触が不良となった。
【0061】
なお、前記実施形態を次のように変更して構成することもできる。
・ 前記実施形態における染毛剤組成物は、第1剤及び第2剤から構成されている。この他にアルカリ剤組成物としての第1剤は、例えば第1a剤と第1b剤に分割構成し、第1剤中に含有する成分を第1a剤と第1b剤に振り分けてもよい。つまり、第1a剤には(A)成分、(B)成分の一部量及び(C)成分を含有させ、第1b剤には(B)成分の残量を含有させてもよい。さらには、第1a剤に(B)成分を含有させずに、第1b剤に(B)成分の全量を含有させてもよい。そして、第1a剤、第1b剤及び第2剤の混合物中において、(B)成分が所定の含有量となるように構成する。この場合、(B)成分の安定性が他の成分によって低下されることを抑制することができ、保存時における(B)成分の安定性を向上させることができる。
【0062】
次に、上記実施形態から把握できる技術的思想について以下に記載する。
(1) 前記混合物のpHは、混合調製時のpHから1〜10の範囲で低下される請求項4に記載の染毛剤組成物。
【0063】
(2) 前記混合物のpHは、混合調製時のpHから中性又は酸性側に移行される請求項4又は上記(1)に記載の染毛剤組成物。
(3) 前記アルカリ剤組成物及び酸化剤組成物が混合調製された混合物における混合調製時のpHは8〜12である請求項1から請求項4、上記(1)及び(2)のいずれか一項に記載の染毛剤組成物。
【0064】
(4) 前記(C)成分は、主要中間体から選ばれる少なくとも一種及びカプラーから選ばれる少なくとも一種である請求項1から請求項4及び上記(1)から(3)のいずれか一項に記載の染毛剤組成物。
【0065】
(5) 前記主要中間体に対する前記(B)成分の重量比[=(B)成分/主要中間体]が0.3〜5.0である上記(4)に記載の染毛剤組成物。この構成によれば、より染毛力を向上させることができる。
【0066】
(6) 前記(A)成分はアルカノールアミンである請求項1から請求項4及び上記(1)から(5)のいずれか一項に記載の染毛剤組成物。
(定義)
・ 本明細書中における「pHコントロール作用」とは、(D)成分の存在下において、反応過程により生成される水素イオンが、(A)成分を中和させる作用をいう。
【0067】
・ 本明細書において、混合物の「pH低下値」は、温度25℃にした第1剤及び第2剤を混合調製した時におけるpHと、混合物を温度25℃、放置時間30分の条件で放置した後のpHとから算出される値である。
【0068】
・本明細書中において、第1剤及び混合物の「pH」の値は、第1剤又混合物の10重量%水溶液を調製して、その水溶液を25℃にて測定した値である。
【0069】
【発明の効果】
この発明は、以上のように構成されているため、次のような効果を奏する。
請求項1に記載の染毛剤組成物によれば、毛髪の損傷を抑制することができる。
【0070】
請求項2に記載の染毛剤組成物によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、染毛力を向上させることができる。
請求項3に記載の染毛剤組成物によれば、請求項1又は請求項2に記載の発明の効果に加え、刺激臭を抑制することができる。
【0071】
請求項4に記載の染毛剤組成物によれば、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の発明の効果に加え、仕上り後の毛髪の感触を良好にすることができる。
Claims (4)
- (A)アルカリ剤、(B)下記一般式(1)で表される化合物及び(C)酸化染料の各成分を含有するアルカリ剤組成物と、(D)酸化剤を含有する酸化剤組成物とから構成され、前記アルカリ剤組成物及び酸化剤組成物の混合物中には、前記(B)成分が0.5〜10.0重量%含有されるとともに前記(D)成分が0.05〜2.25重量%含有されることを特徴とする染毛剤組成物。
- 前記(B)一般式(1)で表される化合物は、アスコルビン酸類である請求項1に記載の染毛剤組成物。
- 前記(A)成分として、少なくともアルカノールアミンを含有する請求項1又は請求項2に記載の染毛剤組成物。
- 前記アルカリ剤組成物及び酸化剤組成物が混合調製された混合物のpHは、前記(B)成分によって、混合調製時のpHから低下される請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の染毛剤組成物。
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