JP2004255467A - ガラス基板の連続片面研磨装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】研磨キズが発生することなく効率的に研磨できるガラス基板の連続片面研磨装置を得る。
【解決手段】ガラス基板を研磨布に押圧し、研磨液を供給しながら研磨を行うガラス基板の連続片面研磨装置であって、少なくとも研磨最終段の研磨盤には不織布層2と軟質ウレタン樹脂層3の2層構造からなり不織布上面に形成された軟質樹脂層の厚み以下とした深さの溝加工を研磨面に施したスエードタイプ発泡ウレタン樹脂からなる軟質研磨布を貼着し、それを除いては酸化セリウム含浸発泡ウレタン樹脂からなる研磨布を貼着してなるガラス基板の連続片面研磨装置。
【選択図】 図1
【解決手段】ガラス基板を研磨布に押圧し、研磨液を供給しながら研磨を行うガラス基板の連続片面研磨装置であって、少なくとも研磨最終段の研磨盤には不織布層2と軟質ウレタン樹脂層3の2層構造からなり不織布上面に形成された軟質樹脂層の厚み以下とした深さの溝加工を研磨面に施したスエードタイプ発泡ウレタン樹脂からなる軟質研磨布を貼着し、それを除いては酸化セリウム含浸発泡ウレタン樹脂からなる研磨布を貼着してなるガラス基板の連続片面研磨装置。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガラス基板、例えば液晶ディスプレイ用ガラス基板、フォトマスク用ガラス基板、磁気ディスク用ガラス基板を連続研磨するガラス基板の連続片面装置および連続片面研磨方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶ディスプレイ向け、フォトマスク向け、磁気ディスク用向け等の、ガラス基板の製造直後の表面は、完全な平滑面ではなく、多少のうねりやマイクロコルゲーション、凹凸、キズ等を有している。通常、これらのガラス基板は、両面研磨機、片面研磨機により平滑な面に加工される。
【0003】
研磨には、バッチ式研磨装置を用いるより、連続的に基板を研磨する連続研磨装置を用いることが、単位時間当たりの研磨枚数が多くなり、研磨作業が効率的である。例えば、特許文献1には、ガラス板を一方向に輸送するための研磨テーブルと、該研磨テーブルの上方にガラス板の移送方向に沿って配置された複数個の研磨具とを有し、各研磨具は偏心軸によって前記ガラス板に対し偏心回転運動を行い、かつ隣り合う研磨具の回転位相が反転するように設置されていることを特徴とするガラス板の連続研磨装置が開示されている。
【0004】
通常、ガラス基板の研磨における研磨布には、酸化セリウム研磨材砥粒を含浸させた酸化セリウム含浸発泡ウレタン樹脂、または前記不織布層と研磨材砥粒を含侵させていない軟質ウレタン樹脂層の2層構造からなりスエードタイプ発泡ウレタン樹脂からなる軟質研磨布等が用いられる。
【0005】
研磨液として酸化セリウム研磨材砥粒を水に分散させたスラリーを供給しつつ、ガラス基板を酸化セリウム含浸発泡ウレタン樹脂からなる研磨布を用い研磨すると、研磨速度は速いが研磨後に研磨キズを発生し易い。また、ガラス基板をスエードタイプ発泡ウレタン樹脂等からなる軟質研磨布を用い研磨すると、研磨キズは発生し難いが、研磨速度が遅い。
【0006】
そこで、連続研磨装置において、前段の研磨盤に貼着する研磨布に研磨速度の速いセリウム含浸発泡ウレタン樹脂からなる研磨布を用い、後段の研磨盤に貼着する研磨布にスエードタイプ発泡ウレタン樹脂等からなる軟質研磨布を用い研磨を行うと、速く且つ研磨キズが発生することなく効率的に研磨できると考えられた。前段のセリウム含浸発泡ウレタン樹脂からなる研磨布で研磨しガラス基板の研磨面に発生した研磨キズは、後段のスエードタイプ発泡ウレタン樹脂からなる軟質研磨布により研磨されることで消滅する。
【0007】
しかしながら、研磨時に研磨液を基板の研磨面上にムラなく均一に供給するために、研磨布には正方形あるいは菱形等の溝加工が、通常、切削加工により施されるが、該溝加工部に切削加工に伴う切削クズ、または切削部に切削時の圧縮、摩擦熱等により軟質樹脂が固まってできる硬部、言い換えればバリが発生する。このような、切削クズおよびバリが原因で軟質研磨布を使った際も研磨キズが発生することがある。
【0008】
この研磨キズの発生を抑制するためには、研磨圧を低くする、研磨時間を長くする等の手段で対処するしかないが、これら手段は研磨速度および研磨効率を低下させるもので、研磨速度および効率を求める連続研磨装置の使用目的と相反するものである。
【0009】
例えば、特許文献2には、このバリが研磨中に取れてゴミとなることを防止するための、被加工物と接する研磨層の材料として、多孔質発泡性樹脂とし、その表面に加熱プレス等のエンボス加工による凹溝により、所望の模様を形成してなるバリのない研磨用パッドが開示されている。
【0010】
【特許文献1】
特開平2−83150号公報
【特許文献2】
特開平8−197434号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
連続片面装置における研磨において、少なくとも最終段の研磨布にスエードタイプ発泡ウレタン樹脂からなる軟質研磨布を用いたとしても、完全にキズの発生を抑制することができない。この原因は、研磨時に研磨液を基板の研磨面上にムラなく均一に供給するために、研磨布には正方形あるいは菱形等の溝加工が、通常、切削加工により施されるが、該溝加工部に切削加工に伴う切削クズ、または切削部に切削時の圧縮、摩擦熱等により軟質樹脂が固まってできる硬部、言い換えればバリが発生することによる。
【0012】
本発明は、ガラス基板の研磨において、少なくとも研磨の最終段は、スエードタイプ発泡ウレタン樹脂からなる軟質研磨布を用い、それを除いては、酸化セリウム含浸発泡ウレタン樹脂からなる研磨布を使用し、研磨キズが発生することなく効率的に研磨できるガラス基板の連続片面研磨装置を得ることを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上部盤面に研磨布を貼着した回転可能な複数の研磨盤を併設し、その上方に研磨盤間を移動可能な複数の加圧盤を有し、加圧盤の下部盤面に貼着された吸水性の多孔性軟質樹脂シートがガラス基板を吸着保持した状態で、加圧盤が研磨布を貼り付けた回転する複数の研磨盤上を順次移動しつつ、研磨時には揺動且つガラス基板を研磨布に押圧し、研磨液を供給しながら研磨を行うガラス基板の連続片面研磨装置を用い、研磨最終段の研磨布には、研磨キズの発生しにくいスエードタイプ発泡ウレタン樹脂からなる軟質研磨布を用い、その前段に研磨キズは発生しやすいが研磨速度の速いセリウム含浸発泡ウレタン樹脂からなる研磨布を用いガラス基板の研磨を行った。しかしながら、最終段の研磨布にスエードタイプ発泡ウレタン樹脂からなる軟質研磨布に関わらず、研磨キズの発生を完全に抑えることはできなかった。
【0014】
本発明者らは、この研磨キズの発生の原因を調査したところ、スエードタイプ発泡ウレタン樹脂からなる軟質研磨布は、ベースとしての不織布層と研磨面側の発泡ウレタン樹脂からなる軟質樹脂層との2層構造となっているために、研磨布に正方形や菱形の溝加工をした後に、溝部に不織布の繊維の切れ端が残留し、十分除去できないためであることが判った。切削加工により、発泡ウレタン樹脂からなる軟質樹脂層の下側の不織布まで溝加工を行うと、切削によって不織布の切れ端が発生し、それが研磨布に残留して十分除去できず、研磨時に研磨液中に混入し研磨キズを発生させることが判った。
【0015】
よって、本発明者らは、少なくとも研磨最後段には、該溝の深さを発泡ウレタン樹脂層の厚み以下とし、下側の不織布層を切削しない深さとしたスエードタイプ発泡ウレタン樹脂からなる軟質研磨布研磨布を使用することで、前記連続片面研磨装置で発生した研磨キズを、ほぼ完全に抑制できることが判り本発明を完成させるに至った。
【0016】
また、溝を加工する際の加工方法を切削加工による方法でなく、軟質樹脂が熱変形する温度に保持した金属を押し当てて、研磨布表面を熱圧縮して変形させ、溝を形成する方法に替えたところ、バリを発生させることなく、溝が容易に加工できる。
【0017】
即ち、本発明は、複数の研磨盤を有するガラス基板の連続片面研磨装置であって、少なくとも研磨最終段の研磨盤には盤面側不織布層と研磨面側軟質樹脂層の2層構造からなり、不織布上面に形成された軟質樹脂層の厚み以下とした深さの溝加工を研磨面に施した研磨布を貼着してなることを特徴とするガラス基板の連続片面研磨装置である。
【0018】
更に、本発明は、上部盤面に研磨布を貼着した回転可能な複数の研磨盤を併設し、その上方に研磨盤間を移動可能な複数の加圧盤を有し、加圧盤の下部盤面に貼着された吸水性の多孔性軟質樹脂シートがガラス基板を吸着保持した状態で、加圧盤が研磨布を貼着した回転する複数の研磨盤上を順次移動しつつ、研磨時には揺動且つガラス基板を研磨布に押圧し、研磨液を供給しながら研磨を行うガラス基板の連続片面研磨装置であって、少なくとも研磨最終段の研磨盤には盤面側不織布層と研磨面側軟質ウレタン樹脂層の2層構造からなり、不織布上面に形成された軟質樹脂層の厚み以下とした深さの溝加工を研磨面に施したスエードタイプ発泡ウレタン樹脂からなる軟質研磨布を貼着し、それを除いては、酸化セリウム含浸発泡ウレタン樹脂からなる研磨布を貼着してなることを特徴とする上記のガラス基板の連続片面研磨装置である。
【0019】
更に、本発明は、研磨面の上記溝加工を熱圧縮加工で施した研磨布を使用することを特徴とする上記のガラス基板の連続片面研磨装置である。
【0020】
更に、本発明は、上記のガラス基板の連続片面研磨装置を用いたガラス基板の片面研磨方法であって、少なくとも研磨最終段の研磨には不織布層と軟質ウレタン樹脂層の2層構造からなり、不織布上面に形成された軟質樹脂層の厚み以下とした深さの溝加工を研磨面に施したスエードタイプ発泡ウレタン樹脂からなる軟質研磨布を使用し、それを除いては、酸化セリウム含浸発泡ウレタン樹脂からなる研磨布を使用しガラス基板を研磨することを特徴とするガラス基板の連続片面研磨方法である。
【0021】
【発明の実施の形態】
最初に、本発明で使用するスエードタイプ発泡ウレタン樹脂からなる軟質研磨布の一例について説明する。図1が、本発明で使用するスエードタイプ発泡ウレタン樹脂からなる軟質研磨布の一例の断面図である。
【0022】
図1に示すように、該軟質研磨布1Aは、研磨盤の盤面側に両面粘着シート等で貼着するポリエステル繊維等からなる不織布層2と、ガラス基板に接触してガラス基板面を研磨する発泡ウレタン樹脂からなる軟質樹脂層3との2層構造からなり、研磨時に研磨液をガラス基板全面に供給するための、溝4が形成されている。切削加工により溝4を加工する際は、研磨キズの原因となる不織布の繊維の切れ端が発生しないように、該溝4の深さは軟質樹脂層3の厚み以下とすることが好ましい。尚、研摩時にガラス基板にムラなく研摩液を供給するために、溝4の深さは軟質樹脂層3の厚みの1/3以上ある必要があり、好ましくは2/3以上である。溝加工の手段を、熱圧縮加工とすれば、切削に伴うバリ等発生させることなく、熱圧縮容易な発泡ウレタン樹脂からなる軟質樹脂層のみに溝4を加工することができる。このようなスエードタイプ発泡ウレタン樹脂からなる軟質研磨布として、東レコーテックス株式会社から、商品名、シーガル7355等が市販されている。
【0023】
次いで、本発明の連続片面研磨装置の一例について説明する。図2が、本発明の連続片面研磨装置の一例の概略側面図である。
【0024】
図2に示すように、本発明のガラス基板の連続片面研磨装置は、上部盤面に研磨布1を貼着し回転駆動軸5を中心に回転可能な複数の研磨盤・・・6、6´を併設し、その上方に研磨盤・・・6、6´上を移動可能な複数の加圧盤7を有し、加圧盤7の下部盤面に貼着された吸水性の多孔性軟質樹脂シートである吸着パッド8が、ガラス基板Gを吸着保持した状態で、複数の加圧盤7が研磨布1を貼り付けた回転する複数の研磨盤・・・6、6´上を順次移動しつつ、研磨時には自転軸9を中心に揺動且つ自転しつつ、ガラス基板Gを研磨布1に押圧し、研磨液を供給しながら研磨を行うガラス基板Gの連続片面研磨装置であって、少なくとも最終段の研磨盤6´には、図1に示した不織布2の上面に形成された軟質樹脂層3の厚み以下とした深さの溝4を研磨面に施したスエードタイプ発泡ウレタン樹脂からなる軟質研磨布1Aを貼着し、それを除く研磨盤には、酸化セリウム含浸発泡ウレタン樹脂からなる研磨布1Bを貼着してなるガラス基板Gの片面連続研磨装置である。即ち、加圧盤7を複数備え、研磨時に複数の加圧盤7を複数の研磨盤・・・6、6´上に順次移動させることで、多数のガラス基板Gを効率よく研磨できる。
【0025】
加圧盤7は、例えば、図示しない搬送レールに吊り下げられた状態で、モーターを駆動源としたスライド機構によって研磨盤・・・6、6´間を順次移動する。加圧盤7は、研磨ムラなきよう、ガラス基板Gの研磨面をより均一に研磨するように、加圧盤7の搬送レール吊り下げ位置よりにアームを設け、そこに自転軸9を設置する等して、揺動可能とすることが好ましい。加圧盤7が移動する際は、ガラス基板Gの研磨後に加圧盤7を一旦上昇させて、研磨布1からガラス基板Gを離した後、前記スライド機構によって、水平方向に移動させて次の研磨盤6´の上方に静止させた後で下降させて、ガラス基板Gを研磨布1に接触させ研磨盤6を回転させつつ、研磨液を供給し研磨を行う。
【0026】
加圧盤7および研磨盤6を複数使用し、この動作を繰り返すことで、研磨盤6の1台当たりの研磨時間を短くし、研磨の最初と最後に行う加圧盤7の下面の多孔質軟質樹脂に吸着されたガラス基板Gの脱着を、研磨盤6の1台あたりの研磨時間内に行うことで、ガラス基板Gの連続片面研磨が行える。
【0027】
その際、少なくとも最終段の研磨には、研磨キズの発生が少ない不織布層と軟質ウレタン樹脂層の2層構造からなり、不織布上面に形成された軟質樹脂層の厚み以下とした深さの溝加工を研磨面に施したスエードタイプ発泡ウレタン樹脂からなる軟質研磨布1Aを使用し、前段の研磨には、研磨速度の速いセリウム含浸発泡ウレタン樹脂からなる研磨布1Bを用いれば、研磨時間を短くして研磨キズの発生を少なくして、研磨状態の良好な研磨済ガラス基板Gが効率よく得られる。
【0028】
【実施例】
20台の研磨盤が併設され複数の加圧盤7を有する図2に示した連続式片面研磨装置を用いて、最終段の研磨盤6´に、不織布層2と軟質樹脂層3からなり、発泡ウレタン樹脂からなる軟質樹脂層3の研磨面に切削加工または熱圧縮加工で、溝間隔、30mm、溝幅、1mmの格子状の溝加工を行った軟質研磨布1A(東レコーテックス株式会社製、商品名、シーガル7355)を両面粘着シートで貼り付けて、最終段を除いては、セリウム含浸発泡ウレタン樹脂からなる研磨布1B(九重電気株式会社製、型番KSP66A)を貼り付けて研磨作業を行い、作業日内(研磨枚数、約2000枚/日)で研磨されたガラス基板Gのキズ不良率を調査した。
【0029】
研磨するガラス基板には、厚み、0.7mm、大きさ、500mm×400mmのソ−ダ石灰珪酸塩系ガラス基板を用い、20台の研磨盤・・・6、6´により、研磨圧、130g/cm2、研磨盤・・・6、6´、1台あたりの研磨時間、30秒、合計研磨時間600秒、複数の加圧盤7の揺動幅、300mmの研磨条件で、酸化セリウム研磨材、即ち、三井金属鉱業株式会社製の酸化セリウム研磨砥粒を水に分散させスラリーとした研磨液を供給しつつ研磨した。尚、加圧盤7の径は800mmであり、研磨盤・・・6、6´の径は1000mmである。
【0030】
次いで、研磨作業について説明する。研磨作業は、加圧盤7の下面側に吸着パッド8を両面粘着シートで貼り付け、吸着パッド8を適度に湿らせた状態で、ガラス基板Gを吸着パッド8に押しあてて、ガラス基板Gを吸着パッド8に吸着保持させた。ガラス基板Gを吸着保持した状態で研磨布1に加圧盤7でガラス基板Gを押圧しつつ、回転する研磨盤・・・6、6´上に、複数の加圧盤7を順次移動させて研磨を行った。研磨後は、ガラス基板Gと吸着パッド8の間に水をノズルで射出し、ガラス基板Gを吸着パッド8から浮かして吸着を開放した。尚、吸着パッドには、(富士紡株式会社製、製品名、ポリパス ワックスレス マウティング用保持パッド(Back Pad))を使用した。
【0031】
表1に、最終段の軟質研磨布における研磨面の溝加工の違いに対する、研磨キズによるガラス不良率を示す。
【0032】
【表1】
【0033】
表1の実施例1は、研磨面における格子状の溝4を、熱圧縮加工で成形した軟質研磨布1Aを最終段に用い、2000枚/日の研磨枚数で、10日間、研磨を行った場合の日々の研磨キズによるガラス不良率(%)、実施例2は、研磨面における格子状の溝4を切削加工で形成し、その際、溝の深さを発泡ウレタン樹脂層3の厚み以下とした軟質研磨布1Aを最終段に用い、2000枚/日の研磨枚数で、10日間、研磨を行った場合の日々の研磨キズによるガラス不良率(%)、比較例1は、研磨面における格子状の溝を切削加工で形成し、その際、溝の深さを発泡ポリウレタン樹脂層の厚みを超え、不織布層まで届くように切削した軟質研磨布を用い、2000枚/日の研磨枚数で、10日間、研磨を行った場合の日々の研磨キズによるガラス不良率(%)を示すものである。研磨キズの有無は、暗室内において、蛍光灯下、反射光で確認可能なキズの有無で判定した。
【0034】
尚、熱圧縮加工は、発泡ウレタン樹脂の軟化点以上に加熱した金型を、水平な台上に載置した軟質研磨布に押し付けることで行った。切削加工は、スライス盤で行い、溝の深さを調整した。
【0035】
表1の実施例1に示すように、前述の連続片面研磨装置で、熱圧縮加工で成形した軟質研磨布1Aを最終段に用い研磨を行った場合、研磨キズによるガラス不良率は、低い状態で推移した。表1の実施例2に示すように、研磨面における格子状の溝を切削加工で形成し、その際、溝の深さを発泡ポリウレタン樹脂層の厚み以下とした軟質研磨布1Aを最終段に用い研磨を行った場合、実施例1よりも若干、研磨キズによるガラス不良率は悪化したが、低い状態で推移した。実施例1および実施例2に比べて、研磨面における格子状の溝を切削加工で形成し、その際、溝の深さを発泡ポリウレタン樹脂層の厚みを超え、不織布まで届くように切削した軟質研磨布を最終段に用い研磨を行った場合、研磨キズによるガラス不良率が、大きく悪化した。
【0036】
【発明の効果】
本発明により、少なくとも研磨の最終段には、不織布層と軟質ウレタン樹脂層の2層構造からなり、不織布上面に形成された軟質樹脂層の厚み以下とした深さの溝加工を研磨面に施したスエードタイプ発泡ウレタン樹脂からなる軟質研磨布を用い、それを除いては、酸化セリウム含浸発泡ウレタン樹脂からなる研磨布を使用することで、研磨キズが発生することなく効率的に研磨できるガラス基板の連続片面研磨装置を得ることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で使用するスエードタイプ発泡ウレタン樹脂からなる軟質研磨布の一例の断面図である。
【図2】本発明の連続片面研磨装置の一例の概略側面図である。
【符号の説明】
1 研磨布
1A スエードタイプ発泡ウレタン樹脂からなる軟質研磨布
1B セリウム含浸発泡ウレタン樹脂からなる研磨布
2 不織布層
3 軟質樹脂層
4 溝
5 回転駆動軸
6 研磨盤
7 加圧盤
8 吸着パッド
9 自転軸
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガラス基板、例えば液晶ディスプレイ用ガラス基板、フォトマスク用ガラス基板、磁気ディスク用ガラス基板を連続研磨するガラス基板の連続片面装置および連続片面研磨方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶ディスプレイ向け、フォトマスク向け、磁気ディスク用向け等の、ガラス基板の製造直後の表面は、完全な平滑面ではなく、多少のうねりやマイクロコルゲーション、凹凸、キズ等を有している。通常、これらのガラス基板は、両面研磨機、片面研磨機により平滑な面に加工される。
【0003】
研磨には、バッチ式研磨装置を用いるより、連続的に基板を研磨する連続研磨装置を用いることが、単位時間当たりの研磨枚数が多くなり、研磨作業が効率的である。例えば、特許文献1には、ガラス板を一方向に輸送するための研磨テーブルと、該研磨テーブルの上方にガラス板の移送方向に沿って配置された複数個の研磨具とを有し、各研磨具は偏心軸によって前記ガラス板に対し偏心回転運動を行い、かつ隣り合う研磨具の回転位相が反転するように設置されていることを特徴とするガラス板の連続研磨装置が開示されている。
【0004】
通常、ガラス基板の研磨における研磨布には、酸化セリウム研磨材砥粒を含浸させた酸化セリウム含浸発泡ウレタン樹脂、または前記不織布層と研磨材砥粒を含侵させていない軟質ウレタン樹脂層の2層構造からなりスエードタイプ発泡ウレタン樹脂からなる軟質研磨布等が用いられる。
【0005】
研磨液として酸化セリウム研磨材砥粒を水に分散させたスラリーを供給しつつ、ガラス基板を酸化セリウム含浸発泡ウレタン樹脂からなる研磨布を用い研磨すると、研磨速度は速いが研磨後に研磨キズを発生し易い。また、ガラス基板をスエードタイプ発泡ウレタン樹脂等からなる軟質研磨布を用い研磨すると、研磨キズは発生し難いが、研磨速度が遅い。
【0006】
そこで、連続研磨装置において、前段の研磨盤に貼着する研磨布に研磨速度の速いセリウム含浸発泡ウレタン樹脂からなる研磨布を用い、後段の研磨盤に貼着する研磨布にスエードタイプ発泡ウレタン樹脂等からなる軟質研磨布を用い研磨を行うと、速く且つ研磨キズが発生することなく効率的に研磨できると考えられた。前段のセリウム含浸発泡ウレタン樹脂からなる研磨布で研磨しガラス基板の研磨面に発生した研磨キズは、後段のスエードタイプ発泡ウレタン樹脂からなる軟質研磨布により研磨されることで消滅する。
【0007】
しかしながら、研磨時に研磨液を基板の研磨面上にムラなく均一に供給するために、研磨布には正方形あるいは菱形等の溝加工が、通常、切削加工により施されるが、該溝加工部に切削加工に伴う切削クズ、または切削部に切削時の圧縮、摩擦熱等により軟質樹脂が固まってできる硬部、言い換えればバリが発生する。このような、切削クズおよびバリが原因で軟質研磨布を使った際も研磨キズが発生することがある。
【0008】
この研磨キズの発生を抑制するためには、研磨圧を低くする、研磨時間を長くする等の手段で対処するしかないが、これら手段は研磨速度および研磨効率を低下させるもので、研磨速度および効率を求める連続研磨装置の使用目的と相反するものである。
【0009】
例えば、特許文献2には、このバリが研磨中に取れてゴミとなることを防止するための、被加工物と接する研磨層の材料として、多孔質発泡性樹脂とし、その表面に加熱プレス等のエンボス加工による凹溝により、所望の模様を形成してなるバリのない研磨用パッドが開示されている。
【0010】
【特許文献1】
特開平2−83150号公報
【特許文献2】
特開平8−197434号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
連続片面装置における研磨において、少なくとも最終段の研磨布にスエードタイプ発泡ウレタン樹脂からなる軟質研磨布を用いたとしても、完全にキズの発生を抑制することができない。この原因は、研磨時に研磨液を基板の研磨面上にムラなく均一に供給するために、研磨布には正方形あるいは菱形等の溝加工が、通常、切削加工により施されるが、該溝加工部に切削加工に伴う切削クズ、または切削部に切削時の圧縮、摩擦熱等により軟質樹脂が固まってできる硬部、言い換えればバリが発生することによる。
【0012】
本発明は、ガラス基板の研磨において、少なくとも研磨の最終段は、スエードタイプ発泡ウレタン樹脂からなる軟質研磨布を用い、それを除いては、酸化セリウム含浸発泡ウレタン樹脂からなる研磨布を使用し、研磨キズが発生することなく効率的に研磨できるガラス基板の連続片面研磨装置を得ることを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上部盤面に研磨布を貼着した回転可能な複数の研磨盤を併設し、その上方に研磨盤間を移動可能な複数の加圧盤を有し、加圧盤の下部盤面に貼着された吸水性の多孔性軟質樹脂シートがガラス基板を吸着保持した状態で、加圧盤が研磨布を貼り付けた回転する複数の研磨盤上を順次移動しつつ、研磨時には揺動且つガラス基板を研磨布に押圧し、研磨液を供給しながら研磨を行うガラス基板の連続片面研磨装置を用い、研磨最終段の研磨布には、研磨キズの発生しにくいスエードタイプ発泡ウレタン樹脂からなる軟質研磨布を用い、その前段に研磨キズは発生しやすいが研磨速度の速いセリウム含浸発泡ウレタン樹脂からなる研磨布を用いガラス基板の研磨を行った。しかしながら、最終段の研磨布にスエードタイプ発泡ウレタン樹脂からなる軟質研磨布に関わらず、研磨キズの発生を完全に抑えることはできなかった。
【0014】
本発明者らは、この研磨キズの発生の原因を調査したところ、スエードタイプ発泡ウレタン樹脂からなる軟質研磨布は、ベースとしての不織布層と研磨面側の発泡ウレタン樹脂からなる軟質樹脂層との2層構造となっているために、研磨布に正方形や菱形の溝加工をした後に、溝部に不織布の繊維の切れ端が残留し、十分除去できないためであることが判った。切削加工により、発泡ウレタン樹脂からなる軟質樹脂層の下側の不織布まで溝加工を行うと、切削によって不織布の切れ端が発生し、それが研磨布に残留して十分除去できず、研磨時に研磨液中に混入し研磨キズを発生させることが判った。
【0015】
よって、本発明者らは、少なくとも研磨最後段には、該溝の深さを発泡ウレタン樹脂層の厚み以下とし、下側の不織布層を切削しない深さとしたスエードタイプ発泡ウレタン樹脂からなる軟質研磨布研磨布を使用することで、前記連続片面研磨装置で発生した研磨キズを、ほぼ完全に抑制できることが判り本発明を完成させるに至った。
【0016】
また、溝を加工する際の加工方法を切削加工による方法でなく、軟質樹脂が熱変形する温度に保持した金属を押し当てて、研磨布表面を熱圧縮して変形させ、溝を形成する方法に替えたところ、バリを発生させることなく、溝が容易に加工できる。
【0017】
即ち、本発明は、複数の研磨盤を有するガラス基板の連続片面研磨装置であって、少なくとも研磨最終段の研磨盤には盤面側不織布層と研磨面側軟質樹脂層の2層構造からなり、不織布上面に形成された軟質樹脂層の厚み以下とした深さの溝加工を研磨面に施した研磨布を貼着してなることを特徴とするガラス基板の連続片面研磨装置である。
【0018】
更に、本発明は、上部盤面に研磨布を貼着した回転可能な複数の研磨盤を併設し、その上方に研磨盤間を移動可能な複数の加圧盤を有し、加圧盤の下部盤面に貼着された吸水性の多孔性軟質樹脂シートがガラス基板を吸着保持した状態で、加圧盤が研磨布を貼着した回転する複数の研磨盤上を順次移動しつつ、研磨時には揺動且つガラス基板を研磨布に押圧し、研磨液を供給しながら研磨を行うガラス基板の連続片面研磨装置であって、少なくとも研磨最終段の研磨盤には盤面側不織布層と研磨面側軟質ウレタン樹脂層の2層構造からなり、不織布上面に形成された軟質樹脂層の厚み以下とした深さの溝加工を研磨面に施したスエードタイプ発泡ウレタン樹脂からなる軟質研磨布を貼着し、それを除いては、酸化セリウム含浸発泡ウレタン樹脂からなる研磨布を貼着してなることを特徴とする上記のガラス基板の連続片面研磨装置である。
【0019】
更に、本発明は、研磨面の上記溝加工を熱圧縮加工で施した研磨布を使用することを特徴とする上記のガラス基板の連続片面研磨装置である。
【0020】
更に、本発明は、上記のガラス基板の連続片面研磨装置を用いたガラス基板の片面研磨方法であって、少なくとも研磨最終段の研磨には不織布層と軟質ウレタン樹脂層の2層構造からなり、不織布上面に形成された軟質樹脂層の厚み以下とした深さの溝加工を研磨面に施したスエードタイプ発泡ウレタン樹脂からなる軟質研磨布を使用し、それを除いては、酸化セリウム含浸発泡ウレタン樹脂からなる研磨布を使用しガラス基板を研磨することを特徴とするガラス基板の連続片面研磨方法である。
【0021】
【発明の実施の形態】
最初に、本発明で使用するスエードタイプ発泡ウレタン樹脂からなる軟質研磨布の一例について説明する。図1が、本発明で使用するスエードタイプ発泡ウレタン樹脂からなる軟質研磨布の一例の断面図である。
【0022】
図1に示すように、該軟質研磨布1Aは、研磨盤の盤面側に両面粘着シート等で貼着するポリエステル繊維等からなる不織布層2と、ガラス基板に接触してガラス基板面を研磨する発泡ウレタン樹脂からなる軟質樹脂層3との2層構造からなり、研磨時に研磨液をガラス基板全面に供給するための、溝4が形成されている。切削加工により溝4を加工する際は、研磨キズの原因となる不織布の繊維の切れ端が発生しないように、該溝4の深さは軟質樹脂層3の厚み以下とすることが好ましい。尚、研摩時にガラス基板にムラなく研摩液を供給するために、溝4の深さは軟質樹脂層3の厚みの1/3以上ある必要があり、好ましくは2/3以上である。溝加工の手段を、熱圧縮加工とすれば、切削に伴うバリ等発生させることなく、熱圧縮容易な発泡ウレタン樹脂からなる軟質樹脂層のみに溝4を加工することができる。このようなスエードタイプ発泡ウレタン樹脂からなる軟質研磨布として、東レコーテックス株式会社から、商品名、シーガル7355等が市販されている。
【0023】
次いで、本発明の連続片面研磨装置の一例について説明する。図2が、本発明の連続片面研磨装置の一例の概略側面図である。
【0024】
図2に示すように、本発明のガラス基板の連続片面研磨装置は、上部盤面に研磨布1を貼着し回転駆動軸5を中心に回転可能な複数の研磨盤・・・6、6´を併設し、その上方に研磨盤・・・6、6´上を移動可能な複数の加圧盤7を有し、加圧盤7の下部盤面に貼着された吸水性の多孔性軟質樹脂シートである吸着パッド8が、ガラス基板Gを吸着保持した状態で、複数の加圧盤7が研磨布1を貼り付けた回転する複数の研磨盤・・・6、6´上を順次移動しつつ、研磨時には自転軸9を中心に揺動且つ自転しつつ、ガラス基板Gを研磨布1に押圧し、研磨液を供給しながら研磨を行うガラス基板Gの連続片面研磨装置であって、少なくとも最終段の研磨盤6´には、図1に示した不織布2の上面に形成された軟質樹脂層3の厚み以下とした深さの溝4を研磨面に施したスエードタイプ発泡ウレタン樹脂からなる軟質研磨布1Aを貼着し、それを除く研磨盤には、酸化セリウム含浸発泡ウレタン樹脂からなる研磨布1Bを貼着してなるガラス基板Gの片面連続研磨装置である。即ち、加圧盤7を複数備え、研磨時に複数の加圧盤7を複数の研磨盤・・・6、6´上に順次移動させることで、多数のガラス基板Gを効率よく研磨できる。
【0025】
加圧盤7は、例えば、図示しない搬送レールに吊り下げられた状態で、モーターを駆動源としたスライド機構によって研磨盤・・・6、6´間を順次移動する。加圧盤7は、研磨ムラなきよう、ガラス基板Gの研磨面をより均一に研磨するように、加圧盤7の搬送レール吊り下げ位置よりにアームを設け、そこに自転軸9を設置する等して、揺動可能とすることが好ましい。加圧盤7が移動する際は、ガラス基板Gの研磨後に加圧盤7を一旦上昇させて、研磨布1からガラス基板Gを離した後、前記スライド機構によって、水平方向に移動させて次の研磨盤6´の上方に静止させた後で下降させて、ガラス基板Gを研磨布1に接触させ研磨盤6を回転させつつ、研磨液を供給し研磨を行う。
【0026】
加圧盤7および研磨盤6を複数使用し、この動作を繰り返すことで、研磨盤6の1台当たりの研磨時間を短くし、研磨の最初と最後に行う加圧盤7の下面の多孔質軟質樹脂に吸着されたガラス基板Gの脱着を、研磨盤6の1台あたりの研磨時間内に行うことで、ガラス基板Gの連続片面研磨が行える。
【0027】
その際、少なくとも最終段の研磨には、研磨キズの発生が少ない不織布層と軟質ウレタン樹脂層の2層構造からなり、不織布上面に形成された軟質樹脂層の厚み以下とした深さの溝加工を研磨面に施したスエードタイプ発泡ウレタン樹脂からなる軟質研磨布1Aを使用し、前段の研磨には、研磨速度の速いセリウム含浸発泡ウレタン樹脂からなる研磨布1Bを用いれば、研磨時間を短くして研磨キズの発生を少なくして、研磨状態の良好な研磨済ガラス基板Gが効率よく得られる。
【0028】
【実施例】
20台の研磨盤が併設され複数の加圧盤7を有する図2に示した連続式片面研磨装置を用いて、最終段の研磨盤6´に、不織布層2と軟質樹脂層3からなり、発泡ウレタン樹脂からなる軟質樹脂層3の研磨面に切削加工または熱圧縮加工で、溝間隔、30mm、溝幅、1mmの格子状の溝加工を行った軟質研磨布1A(東レコーテックス株式会社製、商品名、シーガル7355)を両面粘着シートで貼り付けて、最終段を除いては、セリウム含浸発泡ウレタン樹脂からなる研磨布1B(九重電気株式会社製、型番KSP66A)を貼り付けて研磨作業を行い、作業日内(研磨枚数、約2000枚/日)で研磨されたガラス基板Gのキズ不良率を調査した。
【0029】
研磨するガラス基板には、厚み、0.7mm、大きさ、500mm×400mmのソ−ダ石灰珪酸塩系ガラス基板を用い、20台の研磨盤・・・6、6´により、研磨圧、130g/cm2、研磨盤・・・6、6´、1台あたりの研磨時間、30秒、合計研磨時間600秒、複数の加圧盤7の揺動幅、300mmの研磨条件で、酸化セリウム研磨材、即ち、三井金属鉱業株式会社製の酸化セリウム研磨砥粒を水に分散させスラリーとした研磨液を供給しつつ研磨した。尚、加圧盤7の径は800mmであり、研磨盤・・・6、6´の径は1000mmである。
【0030】
次いで、研磨作業について説明する。研磨作業は、加圧盤7の下面側に吸着パッド8を両面粘着シートで貼り付け、吸着パッド8を適度に湿らせた状態で、ガラス基板Gを吸着パッド8に押しあてて、ガラス基板Gを吸着パッド8に吸着保持させた。ガラス基板Gを吸着保持した状態で研磨布1に加圧盤7でガラス基板Gを押圧しつつ、回転する研磨盤・・・6、6´上に、複数の加圧盤7を順次移動させて研磨を行った。研磨後は、ガラス基板Gと吸着パッド8の間に水をノズルで射出し、ガラス基板Gを吸着パッド8から浮かして吸着を開放した。尚、吸着パッドには、(富士紡株式会社製、製品名、ポリパス ワックスレス マウティング用保持パッド(Back Pad))を使用した。
【0031】
表1に、最終段の軟質研磨布における研磨面の溝加工の違いに対する、研磨キズによるガラス不良率を示す。
【0032】
【表1】
【0033】
表1の実施例1は、研磨面における格子状の溝4を、熱圧縮加工で成形した軟質研磨布1Aを最終段に用い、2000枚/日の研磨枚数で、10日間、研磨を行った場合の日々の研磨キズによるガラス不良率(%)、実施例2は、研磨面における格子状の溝4を切削加工で形成し、その際、溝の深さを発泡ウレタン樹脂層3の厚み以下とした軟質研磨布1Aを最終段に用い、2000枚/日の研磨枚数で、10日間、研磨を行った場合の日々の研磨キズによるガラス不良率(%)、比較例1は、研磨面における格子状の溝を切削加工で形成し、その際、溝の深さを発泡ポリウレタン樹脂層の厚みを超え、不織布層まで届くように切削した軟質研磨布を用い、2000枚/日の研磨枚数で、10日間、研磨を行った場合の日々の研磨キズによるガラス不良率(%)を示すものである。研磨キズの有無は、暗室内において、蛍光灯下、反射光で確認可能なキズの有無で判定した。
【0034】
尚、熱圧縮加工は、発泡ウレタン樹脂の軟化点以上に加熱した金型を、水平な台上に載置した軟質研磨布に押し付けることで行った。切削加工は、スライス盤で行い、溝の深さを調整した。
【0035】
表1の実施例1に示すように、前述の連続片面研磨装置で、熱圧縮加工で成形した軟質研磨布1Aを最終段に用い研磨を行った場合、研磨キズによるガラス不良率は、低い状態で推移した。表1の実施例2に示すように、研磨面における格子状の溝を切削加工で形成し、その際、溝の深さを発泡ポリウレタン樹脂層の厚み以下とした軟質研磨布1Aを最終段に用い研磨を行った場合、実施例1よりも若干、研磨キズによるガラス不良率は悪化したが、低い状態で推移した。実施例1および実施例2に比べて、研磨面における格子状の溝を切削加工で形成し、その際、溝の深さを発泡ポリウレタン樹脂層の厚みを超え、不織布まで届くように切削した軟質研磨布を最終段に用い研磨を行った場合、研磨キズによるガラス不良率が、大きく悪化した。
【0036】
【発明の効果】
本発明により、少なくとも研磨の最終段には、不織布層と軟質ウレタン樹脂層の2層構造からなり、不織布上面に形成された軟質樹脂層の厚み以下とした深さの溝加工を研磨面に施したスエードタイプ発泡ウレタン樹脂からなる軟質研磨布を用い、それを除いては、酸化セリウム含浸発泡ウレタン樹脂からなる研磨布を使用することで、研磨キズが発生することなく効率的に研磨できるガラス基板の連続片面研磨装置を得ることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で使用するスエードタイプ発泡ウレタン樹脂からなる軟質研磨布の一例の断面図である。
【図2】本発明の連続片面研磨装置の一例の概略側面図である。
【符号の説明】
1 研磨布
1A スエードタイプ発泡ウレタン樹脂からなる軟質研磨布
1B セリウム含浸発泡ウレタン樹脂からなる研磨布
2 不織布層
3 軟質樹脂層
4 溝
5 回転駆動軸
6 研磨盤
7 加圧盤
8 吸着パッド
9 自転軸
Claims (4)
- 複数の研磨盤を有するガラス基板の連続片面研磨装置であって、少なくとも研磨最終段の研磨盤には盤面側不織布層と研磨面側軟質樹脂層の2層構造からなり、不織布上面に形成された軟質樹脂層の厚み以下とした深さの溝加工を研磨面に施した軟質研磨布を貼着してなることを特徴とするガラス基板の連続片面研磨装置。
- 上部盤面に研磨布を貼着した回転可能な複数の研磨盤を併設し、その上方に研磨盤間を移動可能な複数の加圧盤を有し、加圧盤の下部盤面に貼着された吸水性の多孔性軟質樹脂シートがガラス基板を吸着保持した状態で、加圧盤が研磨布を貼着した回転する複数の研磨盤上を順次移動しつつ、研磨時には揺動且つガラス基板を研磨布に押圧し、研磨液を供給しながら研磨を行うガラス基板の連続片面研磨装置であって、少なくとも研磨最終段の研磨盤には盤面側不織布層と研磨面側軟質ウレタン樹脂層の2層構造からなり、不織布上面に形成された軟質樹脂層の厚み以下とした深さの溝加工を研磨面に施したスエードタイプ発泡ウレタン樹脂からなる軟質研磨布を貼着し、それを除いては、酸化セリウム含浸発泡ウレタン樹脂からなる研磨布を貼着してなることを特徴とする請求項1に記載のガラス基板の連続片面研磨装置。
- 研磨面の上記溝加工を熱圧縮加工で施した研磨布を使用することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のガラス基板の連続片面研磨装置。
- 請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のガラス基板の連続片面研磨装置を用いたガラス基板の片面研磨方法であって、少なくとも研磨最終段の研磨には不織布層と軟質ウレタン樹脂層の2層構造からなり、不織布上面に形成された軟質樹脂層の厚み以下とした深さの溝加工を研磨面に施したスエードタイプ発泡ウレタン樹脂からなる軟質研磨布を使用し、それを除いては、酸化セリウム含浸発泡ウレタン樹脂からなる研磨布を使用しガラス基板を研磨することを特徴とするガラス基板の連続片面研磨方法。
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