JP2004254808A - 卓球ラケット用ラバーシート - Google Patents

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Yumi Kanemitsu
由実 金光
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Abstract

【課題】スピン性能に優れた卓球ラケットの提供。
【解決手段】ソリッドラバー11は、柔軟性を有し、かつエネルギーロスが少ない方がスピンがかかりやすいことを見出した。一定の条件の下で、正弦波引張による粘弾性スペクトルを測定したとき、正接損失tanδが0.01以上0.04以下であり、複素弾性率Eが1MPa以上4MPa以下であるポリマー組成物からなるソリッドラバー11を用いる。このソリッドラバー11を用いたラバーシート7及びラケット1はスピンがよくかかる。また、ピン球を打撃するときに適度のホールド感があるため、打球感も優れている。本発明の目的は、ソリッドラバー11の物性を上記のようにすることにより達成され、ソリッドラバー表面に粘着性を付与することは不要である。したがって、従来のようにゴミの付着等による経時変化もない。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、卓球用ラバーシート及び卓球ラケットに関する。詳細には、本発明は、ソリッドラバーの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
卓球用ラバーシートにはスピン性能が要求される。スピン性能は、ピン球に対してスピンをかけやすい機能である。スピン性能は、ピン球とラバーシート表面との粘着性又は摩擦係数に依存すると考えられている。
【0003】
特許公報第2781334号では、ソリッドラバー用ゴム組成物に、粘着剤としてテルペン樹脂を配合している。この配合によれば、ラバーシート表面にテルペン樹脂が析出するので、ラバーシート表面の粘着性が低下しないという。しかし、粘着性を有する表面はゴミがつきやすい。また、ラバーシート表面への析出は、粘着性のない他の配合剤の析出を伴うことが多い。これらの原因により、粘着性が低下する問題がある。ゴミは、通常、クリーニング剤を用いてラバーシート表面を拭いて除去される。このことは、粘着剤も拭き取られることになり、粘着性が低下する。このため、卓球ラケット又はラバーシートの保管には、フィルム等が貼り付けられて、ラバーシート表面が保護されている。
【0004】
【特許文献1】
特許第2781334号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
卓球ラケットには、スピン性能が要求されるとともに、ピン球を打撃するときのホールド感ないし軟らかい打球感も要求される。これらの性能が改良された卓球ラケット用ラバーシートが望まれている。本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、スピンがかかりやすく、打球感がよく、経時変化が少ない卓球用ラバーシートの提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る卓球用ラバーシートは、粘弾性スペクトルを測定したとき、正接損失tanδが0.01以上0.04以下であり、複素弾性率Eが1MPa以上4MPa以下であるポリマー組成物からなるソリッドラバーを有する。このときの測定条件は、(a)厚み2mm、幅4mmの試料を用い、(b)チャック間距離30mmで、(c)周波数10Hzで、(d)変位振幅5μmで、(e)初期荷重250gで、(f)正弦波引張により、(g)20℃での測定である。表面の粘着性及び摩擦係数のみがスピン性能に係わるのではないことを我々は発見した。スピン性能は、むしろ、ラバーシートの物性に大きく係わっている。すなわち、ラバーシートは、エネルギーロスの小さい方がスピン性能がよいことが分かった。また、ピン球とラバーシートとの接触面積は、大きい方がスピンがかかりやすい。エネルギーが伝わりやすいためである。ラバーシートが硬いと接触面積が小さくなり、スピンはかかりにくくなる。中でも、ソリッドラバーは、柔軟性があることが必要である。このラバーシートは、ピン球を打つときにホールド感があり、スピンがかかりやすい。
【0007】
このポリマー組成物は、無機充填剤が配合されなくてもよいが、配合される場合の配合量は、10質量部以下であることが好ましい。このラバーシートは、軟らかく、スピン性能がよい。
【0008】
この卓球用ラバーシートは、裏ソフトタイプに用いた場合は、つぎの物性を有することが好ましい。すなわち、このラバーシートの表面に3個のピン球を当接させて、このピン球全体に20Nの荷重をかけた状態で、表面上を300mm/minで引張移動させるに際し、ピン球が移動し始めるのに必要な引張荷重が5N以上30N以下である。この裏ソフトタイプのラバーシートは、スピンがよくかかり、打球感に優れている。
【0009】
表ソフトタイプのラバーシートの場合は、上記と同様に、表面に3個のピン球を当接させて、このピン球全体に20Nの荷重をかけた状態で、この表面上を300mm/minで引張移動させるに際し、ピン球が移動し始めるのに必要な引張荷重が5N以上15N以下である。このラバーシートは、一枚ラバータイプ又は粒高タイプともに、よくスピンがかかり、ホールド感もある。
【0010】
本体、グリップ及びラバーシートを備えており、このラバーシートが、一定の物性を有するポリマー組成物からなる卓球ラケットは、スピンがよくかかり、プレー性能に優れている。一定の物性は、前述の測定条件で、正接損失tanδが0.01以上0.04以下であり、複素弾性率Eが1MPa以上4MPa以下である。
【0011】
【発明の実施の形態】
【0012】
以下、本発明の卓球ラケット用ラバーシート及びこれを使用した卓球ラケットの好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態にかかる卓球ラケット1が示された斜視図である。この卓球ラケットは、ペンホルダータイプのものである。この卓球ラケット1は、本体3、グリップ5及びラバーシート7を備えている。本体3及びグリップ5は、木製である。本体3は板状であり、単板又は合板からなる。
【0014】
図2は、図1のII−II線に沿った部分拡大面図である。この図2から明らかなように、ラバーシート7は本体3の表面に貼り付けられている。このラバーシート7の貼り付けには、通常、接着剤が用いられる。
【0015】
このラバーシート7は、裏ソフトタイプである。このラバーシート7は、サンドイッチラバー9とソリッドラバー11とからなる。サンドイッチラバー9とソリッドラバー11とは、積層されている。サンドイッチラバー9の厚みは、通常0.3mm以上2.8mm以下である。ソリッドラバー11の厚みは1.0mm以上4.0mm以下である。
【0016】
サンドイッチラバー9は、ポリマー組成物が架橋されることによって形成されており、気泡を含んでいる。サンドイッチラバー9には、一般に、基材ポリマーとして天然ゴム、ポリイソプレン等が用いられている。サンドイッチラバー9には、液状ポリマー等の軟化剤が配合されている。サンドイッチラバー9の発泡倍率は、通常2倍以上5倍以下である。
【0017】
ソリッドラバー11は、ベース13と、このベース13から突出する多数のピンプル15とを備えている。ベース13とピンプル15とは、一体に成形されている。ピンプル15の先端は、サンドイッチラバー9と接着されている。ソリッドラバー11は、基材ポリマーを含むポリマー組成物が架橋されることにより形成されている。
【0018】
ソリッドラバー11のtanδの値は、小さい方がエネルギー損失が少ない。通常のソリッドラバー成形体でも硬くすれば、tanδの値を小さくすることはできる。しかし、これではスピン性能及びコントロール性が悪くなる。したがって、tanδとともに硬さも一定の好ましい範囲にあることが必要である。
【0019】
本発明に係るソリッドラバー11は、エネルギー損失が少なく、しかも一定の弾性率を備えている。粘弾性スペクトルを測定したとき、tanδが0.01以上0.04以下であり、Eが1MPa以上4MPa以下であるポリマー組成物からなるソリッドラバーを有する。このときの測定条件は、(a)厚み2mm、幅4mmの試料を用い、(b)チャック間距離30mmで、(c)周波数10Hzで、(d)変位振幅5μmで、(e)初期荷重250gで、(f)正弦波引張により、(g)20℃での測定である。
【0020】
tanδが0.01未満では、ピン球を打撃したときに球ばなれが早くなりすぎてホールド感が不足する。tanδが0.04を超えるとエネルギー損失が大きくスピン性能や反発性能が劣る。tanδの値は、0.01以上0.03以下であることがより好ましい。Eが1MPa未満では、軟らかすぎて反発感のない打球感となったり、球速が低下したりする。4MPaを超えると、硬くなりすぎてスピンがかかりにくい。より好ましくは、Eは1MPa以上3MPa以下である。
【0021】
ソリッドラバー11の硬度(JISK6253に規定されるデユロメータA)は30以上70以下が好ましい。より好ましくは40以上60以下である。
【0022】
ソリッドラバー11に使用される組成物の好ましい基材ポリマーとしては、天然ゴム、ポリイソプレン、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、ポリクロロプレン、イソブチレン−イソプレン共重合体、スチレン系熱可塑性エラストマー及びオレフィン系熱可塑性エラストマーが例示される。中でも、強度及び反発性の観点から天然ゴム、ポリイソプレン及びポリブタジエンが好ましい。基材ポリマーとして、これらのポリマーが単独で用いられてもよく、2以上のポリマーが併用されてもよい。
【0023】
上記基材ポリマーに、軟化剤、架橋剤、架橋促進助剤、架橋促進剤、老化防止剤、充填剤、その他が配合される。
【0024】
上記軟化剤としては、オイル又は可塑剤が用いられ、低極性のものが好ましい。このオイルとしては、例えば、パラフィン系、ナフテン系、芳香族系等の鉱物油、又は各種オリゴマーが用いられる。可塑剤としては、例えば、ジオクチルフタレート(DOP)、ジブチルフタレート(DBP)及びジオクチルセバケート(DOS)が例示される。基材ゴムとの相溶性が悪化しない範囲で一種又は複数種の軟化剤が配合される。軟化剤は、本発明のソリッドラバーに必須ではない。しかし、軟化剤は、ゴムの混練作業を容易にし、ソリッドラバー11に柔軟性を付与する等、役立つことが多い。この配合量は、基材ゴム100質量部に対して5質量部以上100質量部以下が好ましい。軟化剤は、粘着付与剤を兼ねる場合も多い。しかし、その量が多すぎると、ソリッドラバー11の反発性低下、軟化剤のブリードアウト又は架橋阻害による物性の低下を招く恐れがある。
【0025】
ポリマーの架橋は、主に硫黄架橋(加硫)及び過酸化物架橋がある。加硫における硫黄の配合量は、基材ゴム100質量部に対して0.5質量部以上6質量部以下が好ましい。より好ましくは、1質量部以上5質量部以下である。一般に、硫黄の量が少ないほど成形体の架橋密度が低くなり、硬度、引張モジュラス等の物性が低くなる。硫黄の量が少なすぎると十分な物性が得られない。硫黄の量が多いほど、成形体の架橋密度が高くなり、硬度、引張モジュラス等が高くなる。硫黄の量が多すぎると硬くなりすぎ、ゴム弾性が乏しくなる。
【0026】
硫黄とともに、加硫促進助剤として、亜鉛華及び脂肪酸が用いられる。亜鉛華は、ゴム100質量部に対して1質量部以上10質量部以下が好ましい。脂肪酸としては、ステアリン酸、オレイン酸、綿実油等があるが、ほとんどの場合、ステアリン酸が用いられる。本発明において、理由は明らかでないが、ステアリン酸に代えて安息香酸を使用したものはtanδが小さく、かつ軟らかくなり、より好ましい。
【0027】
加硫促進剤としては、2−メルカプトベンゾチアゾール(M)等のチアゾール系加硫促進剤、ジフェニルグアニジン(D)、ジ−o−トリルグアニジン(DT)等のグアニジン系加硫促進剤、シクロヘキシルベンゾチアジルスルフェンアミド(CZ)、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(NS)等のスルフェンアミド系加硫促進剤、テトラメチルチウラムモノスルフィド(TS)等のチウラム系加硫促進剤及びジエチルジチオカルバミン酸亜鉛(EZ)等のカルバミン酸塩系加硫促進剤が例示される。これらの加硫促進剤の配合量としては、基材ゴム100質量部に対して0.5質量部以上5質量部以下が好ましい。
【0028】
過酸化物架橋に用いられる過酸化物としては、ジブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド及びt−ブチルベンゾエートが例示される。この過酸化物の配合量は、ポリマー成分100質量部に対して、0.2質量部以上10質量部以下程度が好ましい。過酸化物架橋に架橋助剤として、トリアリルイソシアネート、トリアリルシアヌレート、エチレングリコールジメタクリレート等が用いられる。
【0029】
老化防止剤としては、2−メルカプトベンゾイミダゾール等のイミダゾール類、フェニル−α−ナフチルアミン、N,N’−ジ−β−ナフチル−p−フェニレンジアミン等のアミン類及びジ−t−ブチル−p−クレゾール、スチレン化フェノール等のフェノール類が例示される。これらは単独又は併用して用いられ、併用する方が好ましい。老化防止剤の配合量としては、基材ゴム100質量部に対して0.5質量部以上5質量部以下程度で、1質量部以上3質量部以下が特に好ましい。
【0030】
充填剤としては、カーボンブラック、シリカ、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、クレー、タルク、硫酸バリウム、ゴム粉末及び樹脂粉末が例示される。本発明のポリマー組成物にとって、無機充填剤は必須ではないが、物性の調節等のために有用な場合がある。しかし、これを用いる場合は、加え過ぎないようにする。配合量は、好ましくは10質量部以下である。これらは、成形体を硬くする傾向があるためである。これら充填剤の配合量は、より好ましくは5質量部以下である。無機充填剤が10質量部以下のソリッドラバー11は、柔軟性がある。このソリッドラバー11を用いたラバーシート7は、スピン性能がよく、打球感も優れている。
【0031】
ポリマー組成物には、上記の配合剤の他、補強剤、スコーチ防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、加工助剤、着色剤等の添加剤が必要に応じて適宜配合される。
【0032】
このソリッドラバー11は、tanδの値が小さく、しかも軟らかいため、スピンがよくかかり、打球感がよい。したがって、このソリッドラバー11を用いた卓球ラケット1は、プレー性能が優れている。この優れた卓球ラケットのラバーシートは、摩擦力も一定の範囲内にあることが好ましい。
【0033】
図3は、摩擦力の測定方法を示した斜視図である。測定方法は、まず、ラバーシート7を平滑な測定台19上に両面接着テープで固定する。ラバーシート7は、サンドイッチラバーとソリッドラバー11とを積層して作製した。このラバーシート7の上に3個のピン球21を束ねて乗せる。ピン球21として、ITTF(International Table Tennis Fedelation)のルールに定められた標準ボールを用いた。この3個のピン球21全体の上に20Nの錘23を乗せて、この錘23を積載したピン球21をコード25で引っ張る。このコード25は、図示されていない引張試験器に接続され、300mm/分の引張速度で引っ張られる。このピン球21が滑り始めるときの引張荷重を測定する。
【0034】
この摩擦力は、図1に示された裏ソフトタイプのラバーシート7では、5N以上30N以下であることが好ましい。5N未満ではスピン性能が劣り、30Nを超えるとラバーシート表面の粘着性が高すぎる。粘着性が高すぎると、ゴミの付着や、摩耗による経時変化が大きくなる。
【0035】
図1に示された卓球ラケットはペンホルダータイプであるが、シェイクハンドタイプの卓球ラケットにも、本発明のソリッドラバー11は適用され得る。
【0036】
図4は、本発明の他の実施形態に係る卓球ラケット27が示された部分断面図である。この卓球ラケット27は、本体29とラバーシート31を備えている。本体29の構成及び図示されていないグリップは図1の卓球ラケットと同様である。このラバーシート31は、表ソフトタイプである。このラバーシート31は、サンドイッチラバー33とソリッドラバー35とが積層されることにより形成されている。サンドイッチラバー33の構成は、図2のサンドイッチラバー9と同等である。ソリッドラバー35は、ベース37とピンプル39とを備えている。ベース37とベース37から上方に突出する多数のピンプルとは一体的に成形されている。ベース37の下面は、サンドイッチラバー33と接着されている。ピンプル39の上端面は、ピン球との接触面を構成する。このソリッドラバー35には、図2のソリッドラバー11と同様のポリマー組成物が用いられる。したがって、ソリッドラバー35はスピン性能がよく、ホールド感もある。
【0037】
このラバーシート31の場合、上記錘付きピン球による摩擦力は、5N以上15N以下であることが好ましい。5N未満ではスピン性能が劣り、15Nを超えると粘着性が高すぎ、経時変化が大きくなるからである。
【0038】
図5は、本発明のさらに他の実施形態に係る卓球ラケット41が示された部分断面図である。この卓球ラケット41は、本体43とラバーシート45とを備えている。ラバーシート35は、接着剤によって本体43の表面に貼り付けられている。本体43の構成は、図1及び図2に示された卓球ラケット1の本体3と同様である。図示されていないが、この卓球ラケット41も、図1の卓球ラケット1と同様のグリップを備えている。
【0039】
このラバーシート45は、一枚ラバータイプである。このラバーシート45は、ソリッドラバー47のみからなる。このソリッドラバー47は、ベース49と、このベース49から上方に突出する多数のピンプル51とを備えている。ベース49とピンプル51とは、一体に成形されている。ベース49の下面は、本体33と接着されている。ピンプル41の上端面は、ピン球との接触面を構成する。ピンプル51の高さが1.4mm以上のものは粒高タイプである。
【0040】
本ソリッドラバー47にも、図2のソリッドラバー11と同様のポリマー組成物が用いられている。したがって、このラバーシート45もスピンがかかりやすく、軟らかい。また、卓球ラケット41も卓球ラケット1と同様プレー性能が優れている。このラバーシート45の摩擦力も、上記図4のラバーシート31と同様に、5N以上15N以下であることが好ましい。
【0041】
【実施例】
以下、実施例にもとづいて本発明の効果が明らかにされるが、この記載により本発明が限定的に解釈されるものではない。
【0042】
[実施例1]
天然ゴム(テックビーハング社の「RSS#3」)80質量部、ポリブタジエン(JSR社の「BR11」)20質量部、亜鉛華(三井金属工業社の「酸化亜鉛2種」)5質量部、老化防止剤(大内新興科学工業社の「ノクラック200」;2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール)2質量部、硫黄(鶴見化学社の「粉末硫黄」)3質量部、ステアリン酸(日本油脂社「ステアリン酸」)1質量部、加硫促進剤M(大内新興化学社の「ノクセラーM」;2−メルカプトベンゾチアゾール)0.9質量部、加硫促進剤D(大内新興化学社の「ノクセラーD」;ジフェニルグアニジン)0.7質量部及びスコーチ防止剤(フレキシス社の「サントガードPVI−DS」)0.7質量部をバンバリーミキサー及びオープンロールで混練することによりゴム組成物を得た。このゴム組成物をキャビティーに多数の窪みを備えた金型に投入して加硫した。温度は150℃で、表1に記載された時間により加硫して得たソリッドラバーをサンドイッチラバー(厚さ2mm、比重0.35、硬度(JISK6253のデュロメーターC型)50)と貼り合わせて裏ソフトタイプのラバーシートを作製した。
【0043】
[実施例2及び実施例3]
炭酸マグネシウム(神島化学社の「炭酸マグネシウム」)10質量部を加えた他は実施例1と同様にして実施例2のラバーシートを得た。ステアリン酸の代わりに安息香酸を1質量部加え、加硫時間を変更した他は、実施例1と同様にして実施例3のラバーシートを得た。
【0044】
[実施例4から実施例6]
液状ポリイソプレン(クラレ社の「LIR50」)を20質量部を加え、上記加硫促進剤Mを1.1質量部、上記加硫促進剤Dを0.9質量部とその量を変更した他は実施例1と同様にして、実施例4のラバーシートを得た。
【0045】
天然ゴム60質量部及びポリブタジエン40質量部とし、基材ゴムの比率を変更した他は、実施例1と同様にして実施例5のラバーシートを得た。天然ゴム40質量部及びポリブタジエン60質量部とし、基材ゴムの比率を変更した他は実施例1と同様にして、実施例6のラバーシートを得た。
【0046】
[実施例7及び実施例8]
実施例4と同様のゴム組成物を加硫して得たソリッドラバーに、表ソフトタイプとしてサンドイッチラバーを貼り合わせて実施例7のラバーシートを得た。実施例3と同様のゴム組成物を、加硫して上記と同様にして、実施例8の表ソフトタイプのラバーシートを得た。
【0047】
[比較例1]
加硫促進剤M及び加硫促進剤Dの代わりに加硫促進剤CZ(シクロヘキシルベンゾチアジルスルフェンアミド)を0.6質量部加えた。このゴム組成物を、表1に示されている加硫時間に変更して加硫した他は、実施例1と同様にして裏ソフトタイプとして比較例1のラバーシートを得た。
【0048】
[比較例2]
補強性充填剤としてシリカ(デグサジャパン社の「ウルトラジルVN3」)15質量部と、シランカップリング剤(デグサジャパン社の「SI69」)4質量部とを配合した。さらに、加硫促進剤NS(大内新興社の「ノクセラーNS」;N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)1.5質量部と、加硫促進剤EZ(大内新興社の「ノクセラーEZ」;ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛)0.2質量部と、加硫促進剤DT(大内新興社の「ノクセラーDT」;ジ−o−トリルグアニジン)0.2質量部とを加えたゴム組成物とした。これを加硫時間を変えて加硫した他は実施例1と同様にして比較例2の裏ソフトタイプのラバーシートを得た。
【0049】
[比較例3及び4]
粘着剤として、比較例3では、テルペン樹脂(ヤスハラケミカル社の「TO115」)を20質量部添加した。同じく、比較例4では、クマロンインデン樹脂(日鉄クマロン社の「クマロン樹脂エスクロンG90」)を20質量部添加し、加硫促進剤Mを1.1質量部及び加硫促進剤Dを0.9質量部とした他は、実施例1と同様にして比較例3及び比較例4の裏ソフトタイプのラバーシートを得た。
【0050】
[比較例5]
比較例5では、天然ゴム40質量部及びポリブタジエン60質量部とし、軟化剤として、液状ポリイソプレン(クラレ社の「LIR50」)を20質量部添加し、加硫促進剤Mを1.1質量部及び加硫促進剤Dを0.9質量部とした他は、実施例1と同様にして比較例5の裏ソフトタイプのラバーシートを得た。
【0051】
[比較例6]
表ソフトタイプとして作製した他は、比較例1と同様にして比較例6のラバーシートを得た。
【0052】
[特性の評価]
上記実施例1から8及び比較例1から6のラバーシートのソリッドラバーを用い、粘弾性スペクトル、摩擦力及びスピン量を測定した。また、プレーヤーによる打球感を評価した。その結果は、裏ソフトタイプのラバーシートである実施例1から6及び比較例1から5については、表1及び表2に示されている。表ソフトタイプのラバーシートである実施例7,8及び比較例1から5については、表3に示されている。各評価方法はつぎのとおりである。
(a)損失正接及び複素弾性率E:粘弾性スペクトラム(株式会社レオロジー製 DVE−V4FT)により、形状が8mm方形で厚さ2mmの試料を用い、初期加重25g、圧縮変位、振幅5μm、周波数10Hz、温度20℃、の条件にて測定した。
(b)摩擦力:上述の摩擦力測定方法により測定した。ITTFルールの標準ボールとしてヤマト卓球株式会社製の「TPS40mm 3スター」を使用した。
(c)スピン量:各ソリッドラバーを用いて卓球ラケットを作製した。この卓球ラケットを同一条件でスイングロボットにスイングさせて、打撃されたピン球のスピン量を計測した。具体的条件はつぎの通りである。
・卓球ラケット−上記(b)のラバーシートを本体(タマス社の「センコースーパー95S」)に貼り付けて作製。
・打撃方法及び計測方法:紙製筒体にティーアップした状態の上記(b)と同じピン球を卓球ラケットの中心で打撃。卓球ラケットは、スイングロボットに固定した。この卓球ラケットで、打撃点での打球面角度60度、開き角度−3度、スイング速度14m/secでピン球を打撃させた。このピン球のスピン量をカメラ撮影により計測した。この計測方法には、例えば特開2002−126147号公報等に開示された計算式が用いられる。
(d)打球感:上記の卓球ラケットを10人のプレーヤーに使用させて、打球感を(i)スピンのかかりやすさ、(ii)ホールド感及び(iii)反発感について、つぎの4段階の基準により評価させた。プレーヤの打球感で最も多かった評価を採用した。評価内容は記号で示し、◎非常に良い、○良い、△普通及び×悪い、とした。評価が割れ同数となったものは、例えば「○〜△」のように記号を併記した。
【0053】
なお、表1から表3において、注1は、裏ソフトタイプのラバーシートにて測定し、注2は、裏ソフトタイプのラバーシートにて測定したことを示す。注3は、1分当たりの回転数を示す。
【0054】
【表1】
Figure 2004254808
【0055】
【表2】
Figure 2004254808
【0056】
【表3】
Figure 2004254808
【0057】
【発明の効果】
以上の評価結果から明らかなように、本発明のラバーシートは、スピン性能に優れている。また、ラバーシートが軟らかさを保っているのでコントロール性及び打球感にも優れている。したがって、このラバーシート及びこのラバーシートを用いた卓球ラケットは、プレー性能に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る卓球ラケットが示された斜視図である。
【図2】図2は、図1のII−II線に沿った部分拡大断面図である。
【図3】図3は、ラバーシートの摩擦力の測定方法を示す斜視図である。
【図4】図4は、本発明の他の実施形態に係る卓球ラケットの部分拡大断面図である。
【図5】図5は、本発明のさらに他の実施形態に係る卓球ラケットが示された部分断面図である。
【符号の説明】
1、17・・・卓球ラケット
3、19・・・本体
5・・・グリップ
7、21・・・ラバーシート
9、23・・・サンドイッチラバー
11、25・・・ソリッドラバー
13、27・・・ベース
15、29・・・ピンプル
43・・・ピン球

Claims (5)

  1. つぎの条件すなわち、(a)厚み2mm、幅4mmの試料を用い、(b)チャック間距離30mmで、(c)周波数10Hzで、(d)変位振幅5μmで、(e)初期荷重250gで、(f)正弦波引張により、(g)20℃で、粘弾性スペクトルを測定したとき、正接損失tanδが0.01以上0.04以下であり、複素弾性率Eが1MPa以上4MPa以下であるポリマー組成物からなるソリッドラバーを有する卓球用ラバーシート。
  2. 上記ポリマー組成物が無機充填剤を含むことがあり、この無機充填剤の配合量が基材ポリマー100質量部に対して10質量部以下である請求項1に記載の卓球用ラバーシート。
  3. その表面に3個のピン球を当接させて、このピン球全体に20Nの荷重をかけた状態で、上記表面上を300mm/minで引張移動させるに際し、ピン球が移動し始めるのに必要な引張荷重が5N以上30N以下である裏ソフトタイプの請求項1又は2に記載の卓球用ラバーシート。
  4. その表面に3個のピン球を当接させて、このピン球全体に20Nの荷重をかけた状態で、上記表面上を300mm/minで引張移動させるに際し、ピン球が移動し始めるのに必要な引張荷重が5N以上15N以下である表ソフトタイプ、一枚ラバータイプ又は粒高タイプの請求項1又は2に記載の卓球用ラバーシート。
  5. 本体、グリップ及びラバーシートを備えており、このラバーシートが、つぎの条件すなわち、(a)厚み2mm、幅4mmの試料を用い、(b)チャック間距離30mmで、(c)周波数10Hzで、(d)変位振幅5μmで、(e)初期荷重250gで、(f)正弦波引張により、(g)20℃で、粘弾性スペクトルを測定したとき、正接損失tanδが0.01以上0.04以下であり、複素弾性率Eが1MPa以上4MPa以下であるポリマー組成物からなる卓球ラケット。
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