JP2004041370A - 卓球ラケット用ソリッドラバー - Google Patents
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Abstract
【課題】耐久性と反発性能との両方に優れたソリッドラバー11の提供。
【解決手段】リッドラバー11は、ベース13と、このベース13から上方に向けて突出する多数のピンプル15とを備えている。ソリッドラバー11は、第一層17と第二層19とからなる。第一層17と第二層19とは、積層されている。第一層17は、ピンプル15の全てと、ベース13の上方部分とを含む。第二層19は、ベース13の下方部分を構成する。境界コーナー部Cは、第一層17に含まれる。第一層17は、基材ポリマー中に70質量%以上の天然ゴム又はポリイソプレンを含むゴム組成物が架橋されることによって成形されている。第二層19は、基材ポリマー中に40質量%以上のポリブタジエンを含むゴム組成物が架橋されることによって成形されている。
【選択図】 図2
【解決手段】リッドラバー11は、ベース13と、このベース13から上方に向けて突出する多数のピンプル15とを備えている。ソリッドラバー11は、第一層17と第二層19とからなる。第一層17と第二層19とは、積層されている。第一層17は、ピンプル15の全てと、ベース13の上方部分とを含む。第二層19は、ベース13の下方部分を構成する。境界コーナー部Cは、第一層17に含まれる。第一層17は、基材ポリマー中に70質量%以上の天然ゴム又はポリイソプレンを含むゴム組成物が架橋されることによって成形されている。第二層19は、基材ポリマー中に40質量%以上のポリブタジエンを含むゴム組成物が架橋されることによって成形されている。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、卓球ラケット用ソリッドラバー(ピンプルドラバーとも称されている)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
卓球ラケットは、木製の本体と、この本体の表面に貼り付けられたラバーシートとを備えている。ラバーシートは、一枚ラバー、ツブ高ラバー、表ソフトラバー及び裏ソフトラバーに大別される。一枚ラバー及びツブ高ラバーは、ソリッドラバー単体からなる。表ソフトラバー及び裏ソフトラバーは、ソリッドラバーとサンドイッチラバーとからなる。いずれのラバーシートにおいても、ソリッドラバーがピン球との接触面を形成する。ソリッドラバーは、シート状のベースと、このベースから起立する多数のピンプルとを備えている。
【0003】
卓球競技では、打球の速度が速い方がプレーヤーにとって有利である。打球速度向上の観点から、ソリッドラバーには天然ゴム、ポリイソプレン及びポリブタジエンが好んで用いられている。このようなソリッドラバーは、特開平4−370120号公報、特開平5−222137号公報、特開平6−41325号公報及び特開平7−236719号公報に開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前述のポリマーの中でも、ポリブタジエンは特に反発性能に優れる。打球速度の観点からは、ポリブタジエンが主成分とされるのが好ましい。一方、ポリブタジエンは耐久性に劣る。ポリブタジエンが主成分とされたソリッドラバーでは、繰り返しの使用によってクラックが生じることがある。特に、ベースとピンプルとの境界コーナー部は応力集中によってクラックが生じやすく、これによってピンプルが欠けることもある。
【0005】
天然ゴム又はポリイソプレンが主成分とされれば、クラックは抑制される。しかしながら、天然ゴム及びポリイソプレンは、ポリブタジエンに比べると反発性能が不十分である。耐久性と反発性能とが両立されたソリッドラバーは、未だ得られていない。
【0006】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、耐久性と反発性能との両方に優れたソリッドラバーの提供をその目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る卓球ラケット用ソリッドラバーは、第一層と第二層とを備える。第一層は、基材ポリマー中に70質量%以上の天然ゴム又はポリイソプレンを含むゴム組成物から成形される。第二層は、基材ポリマー中に40質量%以上のポリブタジエンを含むゴム組成物から成形される。第一層は、耐久性に寄与する。第二層は、反発性能に寄与する。このソリッドラバーでは、耐久性と反発性能とが両立される。
【0008】
このソリッドラバーは、シート状のベースと、このベースから起立するピンプルとを備えている。好ましくは、ベースとピンプルとの境界コーナー部は、第一層から構成される。応力が集中する境界コーナー部が第一層から構成されることで、クラックがさらに抑制される。
【0009】
好ましくは、第一層の厚みと第二層の厚みとの比は、2/8以上8/2以下である。このソリッドラバーでは、耐久性と反発性能とがよりよく両立される。
【0010】
好ましくは、第一層はピン球との接触面を構成する。このソリッドラバーは、スピン性能にも優れる。このソリッドラバーを備えた卓球ラケットを使用するプレーヤーは、レベルの高いプレーをなしうる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態に係る卓球ラケット1が示された斜視図である。この卓球ラケット1は、ペンホルダータイプである。この卓球ラケット1は、本体3、グリップ5及びラバーシート7を備えている。本体3及びグリップ5は、木製である。本体3は板状であり、単板又は合板からなる。
【0013】
図2は、図1の卓球ラケット1のラバーシート7が示された拡大断面図である。図2には、図1のII−II線に沿った断面の一部が示されている。このラバーシート7の下面は、本体3の表面に貼り付けられる。貼り付けには、通常は接着剤が用いられる。
【0014】
このラバーシート7は、表ソフトタイプである。このラバーシート7は、サンドイッチラバー9とソリッドラバー11とからなる。サンドイッチラバー9とソリッドラバー11とは、積層されている。サンドイッチラバー9の厚みは、通常は0.3mm以上2.8mm以下である。ソリッドラバー11の厚みは、通常は1.0mm以上4.0mm以下である。
【0015】
サンドイッチラバー9はゴム組成物が架橋されることによって成形されており、気泡を含んでいる。一般的なサンドイッチラバー9には、基材ポリマーとして天然ゴム、ポリイソプレン等が用いられている。サンドイッチラバー9には、炭酸カルシウム等の充填剤が配合されている。サンドイッチラバー9の発泡倍率は、通常は2倍以上5倍以下である。
【0016】
ソリッドラバー11は、ベース13と、このベース13から上方に向けて突出する多数のピンプル15とを備えている。ベース13とピンプル15とは、一体的に成形されている。ベース13の下端面は、サンドイッチラバー9と接着されている。ピンプル15の上面は、ピン球との接触面を構成する。図2において符号Cで示されているのは、ベース13とピンプル15との境界コーナー部(換言すれば、ピンプル15の根元)である。
【0017】
このソリッドラバー11は、第一層17と第二層19とからなる。図2において縦線で塗りつぶされているのが第一層17であり、横線で塗りつぶされているのが第二層19である。第一層17と第二層19とは、積層されている。第一層17は、ピンプル15の全てと、ベース13の上方部分とを含む。第二層19は、ベース13の下方部分を構成する。境界コーナー部Cは、第一層17に含まれる。
【0018】
第一層17は、ゴム組成物が架橋されることによって成形されている。このゴム組成物の基材ポリマーは、天然ゴム又はポリイソプレンを含んでいる。天然ゴム及びポリイソプレンの合計量が全基材ポリマーに占める率は、70質量%以上である。天然ゴム及びポリイソプレンは、耐久性に優れている。応力集中が生じやすい境界コーナー部Cが第一層17に含まれることにより、クラック及び欠けの発生が抑制される。耐久性の観点から、天然ゴム及びポリイソプレンの比率は75質量%以上がより好ましく、80質量%以上が特に好ましく、理想的には比率は100%である。
【0019】
天然ゴム及びポリイソプレンは、スピン性能にも優れている。ピン球との接触面を第一層17が構成することにより、カットストローク、カットサーブ、ドライブストローク等の際にスピン速度の速い打球が得られる。
【0020】
第一層17のゴム組成物には、天然ゴム又はポリイソプレンとともに、他のゴムが併用されてもよい。用いられうるゴムとしては、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、ポリクロロプレン、イソブチレン−イソプレン共重合体、ポリウレタン及びアクリルゴムが例示される。合成樹脂や、ソフトセグメントとハードセグメントとを備えた熱可塑性エラストマーが併用されてもよい。
【0021】
第二層19は、ゴム組成物が架橋されることによって成形されている。このゴム組成物の基材ポリマーは、ポリブタジエンを含んでいる。ポリブタジエンの量が全基材ポリマーに占める率は、40質量%以上である。ポリブタジエンは、反発性能に優れている。この第二層19により、速度の速い打球が得られる。反発性能の観点から、ポリブタジエンの比率は50質量%以上がより好ましく、60質量%以上が特に好ましい。ポリブタジエンの比率が100%とされてもよい。
【0022】
第二層19のゴム組成物には、ポリブタジエンとともに、他のゴムが併用されてもよい。用いられうるゴムとしては、天然ゴム、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、ポリクロロプレン、イソブチレン−イソプレン共重合体、ポリウレタン及びアクリルゴムが例示される。合成樹脂や、ソフトセグメントとハードセグメントとを備えた熱可塑性エラストマーが併用されてもよい。
【0023】
ミクロ構造に占めるシス−1,4結合の比率が高いポリブタジエンほど、反発性能に優れる。第二層19には、この比率が70%以上のポリブタジエンが好ましく、80%以上のポリブタジエンがより好ましく、95%以上のポリブタジエンが特に好ましい。通常得られるポリブタジエンにおけるシス−1,4結合の比率は、98%以下である。
【0024】
シス−1,4結合の比率が70%以上のポリブタジエンと、シス−1,4結合の比率が70%未満のポリブタジエンとが第二層19に併用される場合、シス−1,4結合の比率が70%以上のポリブタジエンが全基材ポリマーに占める比率は40質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、60質量%以上が特に好ましい。
【0025】
第一層17のゴム組成物及び第二層19のゴム組成物には、硫黄、有機含硫黄化合物、有機過酸化物、キノンジオキシム類等の架橋剤が配合されうる。ソリッドラバー11の引裂強さが向上するとの理由から、硫黄が好ましい。硫黄の配合量は、基材ゴム100質量部に対して0.5質量部から5.0質量部が好ましく、1.0質量部以上3.0質量部以下が特に好ましい。硫黄又は有機含硫黄化合物とともに、無機又は有機の加硫促進剤が用いられてもよい。無機の加硫促進剤としては、消石灰、マグネシア(MgO)及びリサージ(PbO)が例示される。有機の加硫促進剤としては、スルフェンアミド系加硫促進剤、チアゾール系加硫促進剤、チウラム系加硫促進剤及びジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤が例示される。これら加硫促進剤の配合量は、基材ゴム100質量部に対して0.5質量部から4質量部が好ましい。さらに、架橋助剤として、ステアリン酸、オレイン酸、綿実脂肪酸等の脂肪酸や、酸化亜鉛等の金属化合物が用いられてもよい。
【0026】
第一層17のゴム組成物及び第二層19のゴム組成物に、充填剤が配合されてもよい。配合されうる充填剤としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、シリカ、クレー及びカーボンブラックが例示される。特に、補強効果に優れるシリカ及びカーボンブラックが好ましい。
【0027】
第一層17のゴム組成物及び第二層19のゴム組成物に、軟化剤、老化防止剤、着色剤、加工助剤等が適量配合されてもよい。
【0028】
耐久性の観点から、第一層17の厚みは0.5mm以上が好ましく、0.7mm以上がより好ましく、0.8mm以上が特に好ましい。第一層17が厚すぎると相対的に第二層19が薄くなって反発性能が不十分となるので、第一層17の厚みは1.6mm以下が好ましい。第一層17の厚みは、ピンプル15が存在する領域の厚み(T1a)と存在しない領域の厚み(T1b)との平均値((T1a+T1b)/2)である。
【0029】
反発性能の観点から、第二層19の厚みは0.2mm以上が好ましく、0.3mm以上がより好ましく、0.5mm以上が特に好ましい。第二層19が厚すぎると相対的に第一層17が薄くなって耐久性が不十分となるので、第二層19の厚みは0.8mm以下が好ましい。
【0030】
耐久性と反発性能との両立の観点から、第一層17の厚みと第二層19の厚みとの比は2/8以上8/2以下が好ましい。比が2/8以上とされることにより、ソリッドラバー11の耐久性が向上する。この観点から、比は3/7以上がより好ましく、4/6以上が特に好ましい。比が8/2以下とされることにより、反発性能が向上する。この観点から、比は7/3以下がより好ましく、6/4以下が特に好ましい。
【0031】
図3は、図2のラバーシート7のソリッドラバー11の製造方法が模式的に示された説明図である。このソリッドラバー11が製造されるには、まず凹凸のキャビティ面を備えた金型が準備される。図3(a)には、この金型の下型21のみが示されている。次に、図3(a)に示されるように、下型21に第一のゴム組成物23が充填される。次に、プレート25が降下し、ゴム組成物を加圧する。プレートの降下に応じて、ゴム組成物23は流動する。図3(b)には、プレート25が最下点に達した様子が示されている。次に、プレート25が上昇し、作業者によってバリが除去される。この段階では、第一のゴム組成物23は未架橋状態又は半架橋状態である。次に、図3(c)に示されるように、第一のゴム組成物23の上に第二のゴム組成物27が置かれる。次に、上型29が降下する。図3(d)には、上型29が最下点に達した様子が示されている。この状態で、上下型21、29を介してゴム組成物23、27が加熱され、ゴムが架橋反応を起こす。第一のゴム組成物23からは第一層17が成形され、第二のゴム組成物27からは第二層19が成形される。こうして、ソリッドラバー11が得られる。第一のゴム組成物23からなるシートと第二のゴム組成物27からなるシートとが同時に金型に投入されてもよい。この場合は、両者の適正架橋時間をほぼ統一するのが好ましい。第一層17と第二層19との積層が、液状ゴムを用いたコーティング又はディッピングで達成されてもよい。
【0032】
図1に示された卓球ラケット1はペンホルダータイプであるが、シェイクハンドタイプのラケットにも、第一層17と第二層19とを備えたソリッドラバー11が適用されうる。
【0033】
図4は、本発明の他の実施形態に係るソリッドラバー31を含むラバーシート33が示された断面図である。このラバーシート33は、表ソフトタイプである。このラバーシート33は、サンドイッチラバー9も備えている。サンドイッチラバー9とソリッドラバー31とは、積層されている。ソリッドラバー31は、ベース35と、このベース13から上方に向けて突出する多数のピンプル15とを備えている。このソリッドラバー31は、第一層35と第二層37とからなる。図4において縦線で塗りつぶされているのが第一層35であり、横線で塗りつぶされているのが第二層37である。第一層35と第二層37とは、積層されている。第一層35は、第二層37の表面に沿って配置されている。
【0034】
第一層35は、ゴム組成物が架橋されることによって成形されている。このゴム組成物の基材ポリマーは、天然ゴム又はポリイソプレンを含んでいる。天然ゴム及びポリイソプレンの合計量が全基材ポリマーに占める率は、70質量%以上である。この比率は、75質量%以上がより好ましく、80質量%以上が特に好ましく、理想的には比率は100%である。応力集中が生じやすい境界コーナー部Cが第一層35に含まれることにより、クラックの発生が抑制される。ピン球との接触面を第一層35が構成することにより、スピン速度の速い打球が得られる。
【0035】
第二層37は、ゴム組成物が架橋されることによって成形されている。このゴム組成物の基材ポリマーは、ポリブタジエンを含んでいる。ポリブタジエンの量が全基材ポリマーに占める率は、40質量%以上である。この比率は50質量%以上がより好ましく、60質量%以上が特に好ましい。ポリブタジエンの比率が100%とされてもよい。この第二層37により、ソリッドラバー31の反発性能が向上する。
【0036】
耐久性の観点から、第一層35の厚みは0.2mm以上が好ましく、0.3mm以上がより好ましく、0.5mm以上が特に好ましい。第一層35が厚すぎると相対的に第二層37が薄くなって反発性能が不十分となるので、第一層35の厚みは0.8mm以下が好ましい。
【0037】
反発性能の観点から、第二層37の厚みは0.5mm以上が好ましく、0.7mm以上がより好ましく、0.8mm以上が特に好ましい。第二層37が厚すぎると相対的に第一層35が薄くなって耐久性が不十分となるので、第二層37の厚みは1.6mm以下が好ましい。第二層37の厚みは、ピンプル15が存在する領域の厚み(T2a)と存在しない領域の厚み(T2b)との平均値((T2a+T2b)/2)である。
【0038】
耐久性と反発性能との両立の観点から、第一層35の厚みと第二層37の厚みとの比は2/8以上8/2以下が好ましい。比が2/8以上とされることにより、ソリッドラバー31の耐久性が向上する。この観点から、比は3/7以上がより好ましく、4/6以上が特に好ましい。比が8/2以下とされることにより、反発性能が向上する。この観点から、比は7/3以下がより好ましく、6/4以下が特に好ましい。
【0039】
図5は、本発明のさらに他の実施形態に係るソリッドラバー39を含むラバーシート41が示された断面図である。このラバーシート41は、表ソフトタイプである。このラバーシート41は、サンドイッチラバー9も備えている。サンドイッチラバー9とソリッドラバー39とは、積層されている。ソリッドラバー39は、ベース13と、このベース13から上方に向けて突出する多数のピンプル15とを備えている。このソリッドラバー39は、第一層43と第二層45とからなる。図5において縦線で塗りつぶされているのが第一層43であり、横線で塗りつぶされているのが第二層45である。第一層43と第二層45とは、積層されている。第一層43は、ベース13の全てと、ピンプル15の下方部分とを含む。第二層45は、ピンプル15の上方部分を構成する。境界コーナー部Cは、第一層43に含まれる。
【0040】
第一層43は、ゴム組成物が架橋されることによって成形されている。このゴム組成物の基材ポリマーは、天然ゴム又はポリイソプレンを含んでいる。天然ゴム及びポリイソプレンの合計量が全基材ポリマーに占める率は、70質量%以上である。この比率は、75質量%以上がより好ましく、80質量%以上が特に好ましく、理想的には比率は100%である。応力集中が生じやすい境界コーナー部Cが第一層43に含まれることにより、クラックの発生が抑制される。
【0041】
第二層45は、ゴム組成物が架橋されることによって成形されている。このゴム組成物の基材ポリマーは、ポリブタジエンを含んでいる。ポリブタジエンの量が全基材ポリマーに占める率は、40質量%以上である。この比率は50質量%以上がより好ましく、60質量%以上が特に好ましい。ポリブタジエンの比率が100%とされてもよい。この第二層45により、ソリッドラバー39の反発性能が向上する。
【0042】
耐久性の観点から、第一層43の厚みは0.5mm以上が好ましく、0.7mm以上がより好ましく、0.8mm以上が特に好ましい。第一層43が厚すぎると相対的に第二層45が薄くなって反発性能が不十分となるので、第一層43の厚みは1.6mm以下が好ましい。第一層43の厚みは、ピンプル15が存在する領域の厚み(T1a)と存在しない領域の厚み(T1b)との平均値((T1a+T1b)/2)である。
【0043】
反発性能の観点から、第二層45の厚みは0.2mm以上が好ましく、0.3mm以上がより好ましく、0.5mm以上が特に好ましい。第二層45が厚すぎると相対的に第一層43が薄くなって耐久性が不十分となるので、第二層45の厚みは0.8mm以下が好ましい。
【0044】
耐久性と反発性能との両立の観点から、第一層43の厚みと第二層45の厚みとの比は2/8以上8/2以下が好ましい。比が2/8以上とされることにより、ソリッドラバー39の耐久性が向上する。この観点から、比は3/7以上がより好ましく、4/6以上が特に好ましい。比が8/2以下とされることにより、反発性能が向上する。この観点から、比は7/3以下がより好ましく、6/4以下が特に好ましい。
【0045】
図6は、本発明のさらに他の実施形態に係るソリッドラバー47を含むラバーシート49が示された断面図である。このラバーシート49は、裏ソフトタイプである。このラバーシート49は、サンドイッチラバー9も備えている。サンドイッチラバー9とソリッドラバー47とは、積層されている。ソリッドラバー47は、ベース13と、このベース13から下方に向けて突出する多数のピンプル15とを備えている。このソリッドラバー47は、第一層51と第二層53とからなる。図6において縦線で塗りつぶされているのが第一層51であり、横線で塗りつぶされているのが第二層53である。第一層51と第二層53とは、積層されている。第一層51は、ピンプル15の全てと、ベース13の下方部分とを含む。第二層53は、ベース13の上方部分を構成する。境界コーナー部Cは、第一層51に含まれる。
【0046】
第一層51は、ゴム組成物が架橋されることによって成形されている。このゴム組成物の基材ポリマーは、天然ゴム又はポリイソプレンを含んでいる。天然ゴム及びポリイソプレンの合計量が全基材ポリマーに占める率は、70質量%以上である。この比率は、75質量%以上がより好ましく、80質量%以上が特に好ましく、理想的には比率は100%である。応力集中が生じやすい境界コーナー部Cが第一層51に含まれることにより、クラックの発生が抑制される。
【0047】
第二層53は、ゴム組成物が架橋されることによって成形されている。このゴム組成物の基材ポリマーは、ポリブタジエンを含んでいる。ポリブタジエンの量が全基材ポリマーに占める率は、40質量%以上である。この比率は50質量%以上がより好ましく、60質量%以上が特に好ましい。ポリブタジエンの比率が100%とされてもよい。この第二層53により、ソリッドラバー47の反発性能が向上する。
【0048】
耐久性の観点から、第一層51の厚みは0.5mm以上が好ましく、0.7mm以上がより好ましく、0.8mm以上が特に好ましい。第一層51が厚すぎると相対的に第二層53が薄くなって反発性能が不十分となるので、第一層51の厚みは1.6mm以下が好ましい。第一層51の厚みは、ピンプル15が存在する領域の厚み(T1a)と存在しない領域の厚み(T1b)との平均値((T1a+T1b)/2)である。
【0049】
反発性能の観点から、第二層53の厚みは0.2mm以上が好ましく、0.3mm以上がより好ましく、0.5mm以上が特に好ましい。第二層53が厚すぎると相対的に第一層51が薄くなって耐久性が不十分となるので、第二層53の厚みは0.8mm以下が好ましい。
【0050】
耐久性と反発性能との両立の観点から、第一層51の厚みと第二層53の厚みとの比は2/8以上8/2以下が好ましい。比が2/8以上とされることにより、ソリッドラバー47の耐久性が向上する。この観点から、比は3/7以上がより好ましく、4/6以上が特に好ましい。比が8/2以下とされることにより、反発性能が向上する。この観点から、比は7/3以下がより好ましく、6/4以下が特に好ましい。
【0051】
図7は、本発明のさらに他の実施形態に係るソリッドラバー55を含むラバーシート57が示された断面図である。このラバーシート57は、裏ソフトタイプである。このラバーシート57は、サンドイッチラバー9も備えている。サンドイッチラバー9とソリッドラバー55とは、積層されている。ソリッドラバー55は、ベース13と、このベース13から下方に向けて突出する多数のピンプル15とを備えている。このソリッドラバー55は、第一層59と第二層61とからなる。図7において縦線で塗りつぶされているのが第一層59であり、横線で塗りつぶされているのが第二層61である。第一層59と第二層61とは、積層されている。第一層59は、ベース13の全てと、ピンプル15の上方部分とを含む。第二層61は、ピンプル15の下方部分を構成する。境界コーナー部Cは、第一層59に含まれる。
【0052】
第一層59は、ゴム組成物が架橋されることによって成形されている。このゴム組成物の基材ポリマーは、天然ゴム又はポリイソプレンを含んでいる。天然ゴム及びポリイソプレンの合計量が全基材ポリマーに占める率は、70質量%以上である。この比率は、75質量%以上がより好ましく、80質量%以上が特に好ましく、理想的には比率は100%である。応力集中が生じやすい境界コーナー部Cが第一層59に含まれることにより、クラックの発生が抑制される。ピン球との接触面を第一層59が構成することにより、スピン速度の速い打球が得られる。
【0053】
第二層61は、ゴム組成物が架橋されることによって成形されている。このゴム組成物の基材ポリマーは、ポリブタジエンを含んでいる。ポリブタジエンの量が全基材ポリマーに占める率は、40質量%以上である。この比率は50質量%以上がより好ましく、60質量%以上が特に好ましい。ポリブタジエンの比率が100%とされてもよい。この第二層61により、ソリッドラバー55の反発性能が向上する。
【0054】
耐久性の観点から、第一層59の厚みは0.5mm以上が好ましく、0.7mm以上がより好ましく、0.8mm以上が特に好ましい。第一層59が厚すぎると相対的に第二層61が薄くなって反発性能が不十分となるので、第一層59の厚みは1.6mm以下が好ましい。第一層59の厚みは、ピンプル15が存在する領域の厚み(T1a)と存在しない領域の厚み(T1b)との平均値((T1a+T1b)/2)である。
【0055】
反発性能の観点から、第二層61の厚みは0.2mm以上が好ましく、0.3mm以上がより好ましく、0.5mm以上が特に好ましい。第二層61が厚すぎると相対的に第一層59が薄くなって耐久性が不十分となるので、第二層61の厚みは0.8mm以下が好ましい。
【0056】
耐久性と反発性能との両立の観点から、第一層59の厚みと第二層61の厚みとの比は2/8以上8/2以下が好ましい。比が2/8以上とされることにより、ソリッドラバー55の耐久性が向上する。この観点から、比は3/7以上がより好ましく、4/6以上が特に好ましい。比が8/2以下とされることにより、反発性能が向上する。この観点から、比は7/3以下がより好ましく、6/4以下が特に好ましい。
【0057】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
【0058】
[ゴム組成物の調製]
下記表1に示される配合剤を密閉式混練機及びオープンロールで混練し、配合ナンバーが(1)から(5)であるゴム組成物を得た。
【0059】
【表1】
【0060】
[表ソフトラバーの評価]
[実施例1]
ソリッドラバー用の金型を準備し、配合ナンバー(2)のゴム組成物と配合ナンバー(4)のゴム組成物とを積層して充填した。そして、金型を締め、160℃に昇温して10分間保持し、ゴムに架橋反応を起こさせて、図2に示される実施例1のソリッドラバーを得た。
【0061】
[実施例2から4及び比較例1から4]
充填するゴム組成物を下記の表2に示される通りとした他は実施例1と同様にして、実施例2から4及び比較例1から4のソリッドラバーを得た。
【0062】
[実施例5]
ソリッドラバー用の金型を準備し、凹凸を備えた下型に配合ナンバー(2)のゴム組成物を充填した。次に、下面に凹凸を備えたプレートを準備した。このプレートの凸部の幅は、下型の凹部の幅よりも小さい。次に、このプレートを降下させ、ゴム組成物を20秒間加圧した。次に、プレートを取り除き、配合ナンバー(2)のゴム組成物の上に配合ナンバー(4)のゴム組成物を充填した。そして、金型を締め、160℃に昇温して10分間保持し、ゴムに架橋反応を起こさせて、図4に示される実施例5のソリッドラバーを得た。
【0063】
[実施例6]
ソリッドラバー用の金型を準備し、下型の凹部に配合ナンバー(4)のゴム組成物を充填した。次に、下面に凹凸を備えたプレートを降下させ、ゴム組成物を20秒間加圧した。次に、プレートを取り除き、バリを除去した。次に、下型に配合ナンバー(2)のゴム組成物を充填した。そして、金型を締め、160℃に昇温して10分間保持し、ゴムに架橋反応を起こさせて、図5に示される実施例6のソリッドラバーを得た。
【0064】
[反発性能及びスピン性能の評価]
ソリッドラバーをサンドイッチラバーと積層し、ラバーシートを得た。このラバーシートを本体に貼り付けて、卓球ラケットを得た。この卓球ラケットをプレーヤーに使用させて、カットサーブとラリーとを行わせた。そして、スピン性能と反発性能とを、「1」から「5」の5段階で評価させた。最も優れるものを「5」とし、最も劣るものを「1」とした。10名のプレーヤーの評価点の平均値が、下記の表2に示されている。
【0065】
[耐久性の評価]
10名のプレーヤーに、5時間ずつ卓球ラケットを使用させた。使用時間の合計は、50時間である。そして、使用後のソリッドラバーを目視で観察し、クラック及び欠けの有無を判別した。クラック及び欠けのないものを「○」とし、あるものを「×」とした。この評価結果が、下記の表2に示されている。
【0066】
【表2】
【0067】
表2に示されるように、比較例1及び3のソリッドラバーは反発性能に劣っており、比較例2及び4のソリッドラバーは耐久性に劣っている。一方、各実施例のソリッドラバーは、耐久性と反発性能との両方に優れている。この評価結果より、本発明の優位性は明らかである。
【0068】
[裏ソフトラバーの評価]
[実施例7]
ソリッドラバー用の金型を準備し、配合ナンバー(2)のゴム組成物と配合ナンバー(4)のゴム組成物とを積層して充填した。そして、金型を締め、160℃に昇温して10分間保持し、ゴムに架橋反応を起こさせて、図6に示された実施例7のソリッドラバーを得た。
【0069】
[実施例8から10及び比較例5から6]
充填するゴム組成物を下記の表2に示される通りとした他は実施例7と同様にして、実施例8から10及び比較例5から6のソリッドラバーを得た。
【0070】
[実施例11]
ソリッドラバー用の金型を準備し、下型の凹部に配合ナンバー(2)のゴム組成物を充填した。次に、下面に凹凸を備えたプレートを降下させ、ゴム組成物を20秒間加圧した。次に、プレートを取り除き、バリを除去した。次に、下型に配合ナンバー(4)のゴム組成物を充填した。そして、金型を締め、160℃に昇温して10分間保持し、ゴムに架橋反応を起こさせて、図7に示される実施例11のソリッドラバーを得た。
【0071】
[ソリッドラバーの評価]
表ソフトラバーの評価と同様にして、耐久性、反発性能及びスピン性能を評価した。この結果が、下記の表3に示されている。
【0072】
【表3】
【0073】
表3に示されるように、比較例5のソリッドラバーは反発性能に劣っており、比較例6のソリッドラバーは耐久性に劣っている。一方、各実施例のソリッドラバーは、耐久性と反発性能との両方に優れている。この評価結果より、本発明の優位性は明らかである。
【0074】
以上、表ソフトラバー及び裏ソフトラバーが例とされて本発明が詳説された。一枚ラバー及びツブ高ラバーでも、第一層と第二層とが形成されることにより、耐久性と反発性能とが両立されうる。
【0075】
【発明の効果】
以上説明されたように、本発明に係るソリッドラバーは耐久性と反発性能との両方に優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る卓球ラケットが示された斜視図である。
【図2】図2は、図1の卓球ラケットのラバーシートが示された拡大断面図である。
【図3】図3は、図2のラバーシートのソリッドラバーの製造方法が模式的に示された説明図である。
【図4】図4は、本発明の他の実施形態に係るソリッドラバーを含むラバーシートが示された断面図である。
【図5】図5は、本発明のさらに他の実施形態に係るソリッドラバーを含むラバーシートが示された断面図である。
【図6】図6は、本発明のさらに他の実施形態に係るソリッドラバーを含むラバーシートが示された断面図である。
【図7】図7は、本発明のさらに他の実施形態に係るソリッドラバーを含むラバーシートが示された断面図である。
【符号の説明】
1・・・卓球ラケット
3・・・本体
5・・・グリップ
7・・・ラバーシート
9・・・サンドイッチラバー
11・・・ソリッドラバー
13・・・ベース
15・・・ピンプル
17・・・第一層
19・・・第二層
21・・・下型
25・・・プレート
29・・・上型
【発明の属する技術分野】
本発明は、卓球ラケット用ソリッドラバー(ピンプルドラバーとも称されている)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
卓球ラケットは、木製の本体と、この本体の表面に貼り付けられたラバーシートとを備えている。ラバーシートは、一枚ラバー、ツブ高ラバー、表ソフトラバー及び裏ソフトラバーに大別される。一枚ラバー及びツブ高ラバーは、ソリッドラバー単体からなる。表ソフトラバー及び裏ソフトラバーは、ソリッドラバーとサンドイッチラバーとからなる。いずれのラバーシートにおいても、ソリッドラバーがピン球との接触面を形成する。ソリッドラバーは、シート状のベースと、このベースから起立する多数のピンプルとを備えている。
【0003】
卓球競技では、打球の速度が速い方がプレーヤーにとって有利である。打球速度向上の観点から、ソリッドラバーには天然ゴム、ポリイソプレン及びポリブタジエンが好んで用いられている。このようなソリッドラバーは、特開平4−370120号公報、特開平5−222137号公報、特開平6−41325号公報及び特開平7−236719号公報に開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前述のポリマーの中でも、ポリブタジエンは特に反発性能に優れる。打球速度の観点からは、ポリブタジエンが主成分とされるのが好ましい。一方、ポリブタジエンは耐久性に劣る。ポリブタジエンが主成分とされたソリッドラバーでは、繰り返しの使用によってクラックが生じることがある。特に、ベースとピンプルとの境界コーナー部は応力集中によってクラックが生じやすく、これによってピンプルが欠けることもある。
【0005】
天然ゴム又はポリイソプレンが主成分とされれば、クラックは抑制される。しかしながら、天然ゴム及びポリイソプレンは、ポリブタジエンに比べると反発性能が不十分である。耐久性と反発性能とが両立されたソリッドラバーは、未だ得られていない。
【0006】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、耐久性と反発性能との両方に優れたソリッドラバーの提供をその目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る卓球ラケット用ソリッドラバーは、第一層と第二層とを備える。第一層は、基材ポリマー中に70質量%以上の天然ゴム又はポリイソプレンを含むゴム組成物から成形される。第二層は、基材ポリマー中に40質量%以上のポリブタジエンを含むゴム組成物から成形される。第一層は、耐久性に寄与する。第二層は、反発性能に寄与する。このソリッドラバーでは、耐久性と反発性能とが両立される。
【0008】
このソリッドラバーは、シート状のベースと、このベースから起立するピンプルとを備えている。好ましくは、ベースとピンプルとの境界コーナー部は、第一層から構成される。応力が集中する境界コーナー部が第一層から構成されることで、クラックがさらに抑制される。
【0009】
好ましくは、第一層の厚みと第二層の厚みとの比は、2/8以上8/2以下である。このソリッドラバーでは、耐久性と反発性能とがよりよく両立される。
【0010】
好ましくは、第一層はピン球との接触面を構成する。このソリッドラバーは、スピン性能にも優れる。このソリッドラバーを備えた卓球ラケットを使用するプレーヤーは、レベルの高いプレーをなしうる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態に係る卓球ラケット1が示された斜視図である。この卓球ラケット1は、ペンホルダータイプである。この卓球ラケット1は、本体3、グリップ5及びラバーシート7を備えている。本体3及びグリップ5は、木製である。本体3は板状であり、単板又は合板からなる。
【0013】
図2は、図1の卓球ラケット1のラバーシート7が示された拡大断面図である。図2には、図1のII−II線に沿った断面の一部が示されている。このラバーシート7の下面は、本体3の表面に貼り付けられる。貼り付けには、通常は接着剤が用いられる。
【0014】
このラバーシート7は、表ソフトタイプである。このラバーシート7は、サンドイッチラバー9とソリッドラバー11とからなる。サンドイッチラバー9とソリッドラバー11とは、積層されている。サンドイッチラバー9の厚みは、通常は0.3mm以上2.8mm以下である。ソリッドラバー11の厚みは、通常は1.0mm以上4.0mm以下である。
【0015】
サンドイッチラバー9はゴム組成物が架橋されることによって成形されており、気泡を含んでいる。一般的なサンドイッチラバー9には、基材ポリマーとして天然ゴム、ポリイソプレン等が用いられている。サンドイッチラバー9には、炭酸カルシウム等の充填剤が配合されている。サンドイッチラバー9の発泡倍率は、通常は2倍以上5倍以下である。
【0016】
ソリッドラバー11は、ベース13と、このベース13から上方に向けて突出する多数のピンプル15とを備えている。ベース13とピンプル15とは、一体的に成形されている。ベース13の下端面は、サンドイッチラバー9と接着されている。ピンプル15の上面は、ピン球との接触面を構成する。図2において符号Cで示されているのは、ベース13とピンプル15との境界コーナー部(換言すれば、ピンプル15の根元)である。
【0017】
このソリッドラバー11は、第一層17と第二層19とからなる。図2において縦線で塗りつぶされているのが第一層17であり、横線で塗りつぶされているのが第二層19である。第一層17と第二層19とは、積層されている。第一層17は、ピンプル15の全てと、ベース13の上方部分とを含む。第二層19は、ベース13の下方部分を構成する。境界コーナー部Cは、第一層17に含まれる。
【0018】
第一層17は、ゴム組成物が架橋されることによって成形されている。このゴム組成物の基材ポリマーは、天然ゴム又はポリイソプレンを含んでいる。天然ゴム及びポリイソプレンの合計量が全基材ポリマーに占める率は、70質量%以上である。天然ゴム及びポリイソプレンは、耐久性に優れている。応力集中が生じやすい境界コーナー部Cが第一層17に含まれることにより、クラック及び欠けの発生が抑制される。耐久性の観点から、天然ゴム及びポリイソプレンの比率は75質量%以上がより好ましく、80質量%以上が特に好ましく、理想的には比率は100%である。
【0019】
天然ゴム及びポリイソプレンは、スピン性能にも優れている。ピン球との接触面を第一層17が構成することにより、カットストローク、カットサーブ、ドライブストローク等の際にスピン速度の速い打球が得られる。
【0020】
第一層17のゴム組成物には、天然ゴム又はポリイソプレンとともに、他のゴムが併用されてもよい。用いられうるゴムとしては、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、ポリクロロプレン、イソブチレン−イソプレン共重合体、ポリウレタン及びアクリルゴムが例示される。合成樹脂や、ソフトセグメントとハードセグメントとを備えた熱可塑性エラストマーが併用されてもよい。
【0021】
第二層19は、ゴム組成物が架橋されることによって成形されている。このゴム組成物の基材ポリマーは、ポリブタジエンを含んでいる。ポリブタジエンの量が全基材ポリマーに占める率は、40質量%以上である。ポリブタジエンは、反発性能に優れている。この第二層19により、速度の速い打球が得られる。反発性能の観点から、ポリブタジエンの比率は50質量%以上がより好ましく、60質量%以上が特に好ましい。ポリブタジエンの比率が100%とされてもよい。
【0022】
第二層19のゴム組成物には、ポリブタジエンとともに、他のゴムが併用されてもよい。用いられうるゴムとしては、天然ゴム、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、ポリクロロプレン、イソブチレン−イソプレン共重合体、ポリウレタン及びアクリルゴムが例示される。合成樹脂や、ソフトセグメントとハードセグメントとを備えた熱可塑性エラストマーが併用されてもよい。
【0023】
ミクロ構造に占めるシス−1,4結合の比率が高いポリブタジエンほど、反発性能に優れる。第二層19には、この比率が70%以上のポリブタジエンが好ましく、80%以上のポリブタジエンがより好ましく、95%以上のポリブタジエンが特に好ましい。通常得られるポリブタジエンにおけるシス−1,4結合の比率は、98%以下である。
【0024】
シス−1,4結合の比率が70%以上のポリブタジエンと、シス−1,4結合の比率が70%未満のポリブタジエンとが第二層19に併用される場合、シス−1,4結合の比率が70%以上のポリブタジエンが全基材ポリマーに占める比率は40質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、60質量%以上が特に好ましい。
【0025】
第一層17のゴム組成物及び第二層19のゴム組成物には、硫黄、有機含硫黄化合物、有機過酸化物、キノンジオキシム類等の架橋剤が配合されうる。ソリッドラバー11の引裂強さが向上するとの理由から、硫黄が好ましい。硫黄の配合量は、基材ゴム100質量部に対して0.5質量部から5.0質量部が好ましく、1.0質量部以上3.0質量部以下が特に好ましい。硫黄又は有機含硫黄化合物とともに、無機又は有機の加硫促進剤が用いられてもよい。無機の加硫促進剤としては、消石灰、マグネシア(MgO)及びリサージ(PbO)が例示される。有機の加硫促進剤としては、スルフェンアミド系加硫促進剤、チアゾール系加硫促進剤、チウラム系加硫促進剤及びジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤が例示される。これら加硫促進剤の配合量は、基材ゴム100質量部に対して0.5質量部から4質量部が好ましい。さらに、架橋助剤として、ステアリン酸、オレイン酸、綿実脂肪酸等の脂肪酸や、酸化亜鉛等の金属化合物が用いられてもよい。
【0026】
第一層17のゴム組成物及び第二層19のゴム組成物に、充填剤が配合されてもよい。配合されうる充填剤としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、シリカ、クレー及びカーボンブラックが例示される。特に、補強効果に優れるシリカ及びカーボンブラックが好ましい。
【0027】
第一層17のゴム組成物及び第二層19のゴム組成物に、軟化剤、老化防止剤、着色剤、加工助剤等が適量配合されてもよい。
【0028】
耐久性の観点から、第一層17の厚みは0.5mm以上が好ましく、0.7mm以上がより好ましく、0.8mm以上が特に好ましい。第一層17が厚すぎると相対的に第二層19が薄くなって反発性能が不十分となるので、第一層17の厚みは1.6mm以下が好ましい。第一層17の厚みは、ピンプル15が存在する領域の厚み(T1a)と存在しない領域の厚み(T1b)との平均値((T1a+T1b)/2)である。
【0029】
反発性能の観点から、第二層19の厚みは0.2mm以上が好ましく、0.3mm以上がより好ましく、0.5mm以上が特に好ましい。第二層19が厚すぎると相対的に第一層17が薄くなって耐久性が不十分となるので、第二層19の厚みは0.8mm以下が好ましい。
【0030】
耐久性と反発性能との両立の観点から、第一層17の厚みと第二層19の厚みとの比は2/8以上8/2以下が好ましい。比が2/8以上とされることにより、ソリッドラバー11の耐久性が向上する。この観点から、比は3/7以上がより好ましく、4/6以上が特に好ましい。比が8/2以下とされることにより、反発性能が向上する。この観点から、比は7/3以下がより好ましく、6/4以下が特に好ましい。
【0031】
図3は、図2のラバーシート7のソリッドラバー11の製造方法が模式的に示された説明図である。このソリッドラバー11が製造されるには、まず凹凸のキャビティ面を備えた金型が準備される。図3(a)には、この金型の下型21のみが示されている。次に、図3(a)に示されるように、下型21に第一のゴム組成物23が充填される。次に、プレート25が降下し、ゴム組成物を加圧する。プレートの降下に応じて、ゴム組成物23は流動する。図3(b)には、プレート25が最下点に達した様子が示されている。次に、プレート25が上昇し、作業者によってバリが除去される。この段階では、第一のゴム組成物23は未架橋状態又は半架橋状態である。次に、図3(c)に示されるように、第一のゴム組成物23の上に第二のゴム組成物27が置かれる。次に、上型29が降下する。図3(d)には、上型29が最下点に達した様子が示されている。この状態で、上下型21、29を介してゴム組成物23、27が加熱され、ゴムが架橋反応を起こす。第一のゴム組成物23からは第一層17が成形され、第二のゴム組成物27からは第二層19が成形される。こうして、ソリッドラバー11が得られる。第一のゴム組成物23からなるシートと第二のゴム組成物27からなるシートとが同時に金型に投入されてもよい。この場合は、両者の適正架橋時間をほぼ統一するのが好ましい。第一層17と第二層19との積層が、液状ゴムを用いたコーティング又はディッピングで達成されてもよい。
【0032】
図1に示された卓球ラケット1はペンホルダータイプであるが、シェイクハンドタイプのラケットにも、第一層17と第二層19とを備えたソリッドラバー11が適用されうる。
【0033】
図4は、本発明の他の実施形態に係るソリッドラバー31を含むラバーシート33が示された断面図である。このラバーシート33は、表ソフトタイプである。このラバーシート33は、サンドイッチラバー9も備えている。サンドイッチラバー9とソリッドラバー31とは、積層されている。ソリッドラバー31は、ベース35と、このベース13から上方に向けて突出する多数のピンプル15とを備えている。このソリッドラバー31は、第一層35と第二層37とからなる。図4において縦線で塗りつぶされているのが第一層35であり、横線で塗りつぶされているのが第二層37である。第一層35と第二層37とは、積層されている。第一層35は、第二層37の表面に沿って配置されている。
【0034】
第一層35は、ゴム組成物が架橋されることによって成形されている。このゴム組成物の基材ポリマーは、天然ゴム又はポリイソプレンを含んでいる。天然ゴム及びポリイソプレンの合計量が全基材ポリマーに占める率は、70質量%以上である。この比率は、75質量%以上がより好ましく、80質量%以上が特に好ましく、理想的には比率は100%である。応力集中が生じやすい境界コーナー部Cが第一層35に含まれることにより、クラックの発生が抑制される。ピン球との接触面を第一層35が構成することにより、スピン速度の速い打球が得られる。
【0035】
第二層37は、ゴム組成物が架橋されることによって成形されている。このゴム組成物の基材ポリマーは、ポリブタジエンを含んでいる。ポリブタジエンの量が全基材ポリマーに占める率は、40質量%以上である。この比率は50質量%以上がより好ましく、60質量%以上が特に好ましい。ポリブタジエンの比率が100%とされてもよい。この第二層37により、ソリッドラバー31の反発性能が向上する。
【0036】
耐久性の観点から、第一層35の厚みは0.2mm以上が好ましく、0.3mm以上がより好ましく、0.5mm以上が特に好ましい。第一層35が厚すぎると相対的に第二層37が薄くなって反発性能が不十分となるので、第一層35の厚みは0.8mm以下が好ましい。
【0037】
反発性能の観点から、第二層37の厚みは0.5mm以上が好ましく、0.7mm以上がより好ましく、0.8mm以上が特に好ましい。第二層37が厚すぎると相対的に第一層35が薄くなって耐久性が不十分となるので、第二層37の厚みは1.6mm以下が好ましい。第二層37の厚みは、ピンプル15が存在する領域の厚み(T2a)と存在しない領域の厚み(T2b)との平均値((T2a+T2b)/2)である。
【0038】
耐久性と反発性能との両立の観点から、第一層35の厚みと第二層37の厚みとの比は2/8以上8/2以下が好ましい。比が2/8以上とされることにより、ソリッドラバー31の耐久性が向上する。この観点から、比は3/7以上がより好ましく、4/6以上が特に好ましい。比が8/2以下とされることにより、反発性能が向上する。この観点から、比は7/3以下がより好ましく、6/4以下が特に好ましい。
【0039】
図5は、本発明のさらに他の実施形態に係るソリッドラバー39を含むラバーシート41が示された断面図である。このラバーシート41は、表ソフトタイプである。このラバーシート41は、サンドイッチラバー9も備えている。サンドイッチラバー9とソリッドラバー39とは、積層されている。ソリッドラバー39は、ベース13と、このベース13から上方に向けて突出する多数のピンプル15とを備えている。このソリッドラバー39は、第一層43と第二層45とからなる。図5において縦線で塗りつぶされているのが第一層43であり、横線で塗りつぶされているのが第二層45である。第一層43と第二層45とは、積層されている。第一層43は、ベース13の全てと、ピンプル15の下方部分とを含む。第二層45は、ピンプル15の上方部分を構成する。境界コーナー部Cは、第一層43に含まれる。
【0040】
第一層43は、ゴム組成物が架橋されることによって成形されている。このゴム組成物の基材ポリマーは、天然ゴム又はポリイソプレンを含んでいる。天然ゴム及びポリイソプレンの合計量が全基材ポリマーに占める率は、70質量%以上である。この比率は、75質量%以上がより好ましく、80質量%以上が特に好ましく、理想的には比率は100%である。応力集中が生じやすい境界コーナー部Cが第一層43に含まれることにより、クラックの発生が抑制される。
【0041】
第二層45は、ゴム組成物が架橋されることによって成形されている。このゴム組成物の基材ポリマーは、ポリブタジエンを含んでいる。ポリブタジエンの量が全基材ポリマーに占める率は、40質量%以上である。この比率は50質量%以上がより好ましく、60質量%以上が特に好ましい。ポリブタジエンの比率が100%とされてもよい。この第二層45により、ソリッドラバー39の反発性能が向上する。
【0042】
耐久性の観点から、第一層43の厚みは0.5mm以上が好ましく、0.7mm以上がより好ましく、0.8mm以上が特に好ましい。第一層43が厚すぎると相対的に第二層45が薄くなって反発性能が不十分となるので、第一層43の厚みは1.6mm以下が好ましい。第一層43の厚みは、ピンプル15が存在する領域の厚み(T1a)と存在しない領域の厚み(T1b)との平均値((T1a+T1b)/2)である。
【0043】
反発性能の観点から、第二層45の厚みは0.2mm以上が好ましく、0.3mm以上がより好ましく、0.5mm以上が特に好ましい。第二層45が厚すぎると相対的に第一層43が薄くなって耐久性が不十分となるので、第二層45の厚みは0.8mm以下が好ましい。
【0044】
耐久性と反発性能との両立の観点から、第一層43の厚みと第二層45の厚みとの比は2/8以上8/2以下が好ましい。比が2/8以上とされることにより、ソリッドラバー39の耐久性が向上する。この観点から、比は3/7以上がより好ましく、4/6以上が特に好ましい。比が8/2以下とされることにより、反発性能が向上する。この観点から、比は7/3以下がより好ましく、6/4以下が特に好ましい。
【0045】
図6は、本発明のさらに他の実施形態に係るソリッドラバー47を含むラバーシート49が示された断面図である。このラバーシート49は、裏ソフトタイプである。このラバーシート49は、サンドイッチラバー9も備えている。サンドイッチラバー9とソリッドラバー47とは、積層されている。ソリッドラバー47は、ベース13と、このベース13から下方に向けて突出する多数のピンプル15とを備えている。このソリッドラバー47は、第一層51と第二層53とからなる。図6において縦線で塗りつぶされているのが第一層51であり、横線で塗りつぶされているのが第二層53である。第一層51と第二層53とは、積層されている。第一層51は、ピンプル15の全てと、ベース13の下方部分とを含む。第二層53は、ベース13の上方部分を構成する。境界コーナー部Cは、第一層51に含まれる。
【0046】
第一層51は、ゴム組成物が架橋されることによって成形されている。このゴム組成物の基材ポリマーは、天然ゴム又はポリイソプレンを含んでいる。天然ゴム及びポリイソプレンの合計量が全基材ポリマーに占める率は、70質量%以上である。この比率は、75質量%以上がより好ましく、80質量%以上が特に好ましく、理想的には比率は100%である。応力集中が生じやすい境界コーナー部Cが第一層51に含まれることにより、クラックの発生が抑制される。
【0047】
第二層53は、ゴム組成物が架橋されることによって成形されている。このゴム組成物の基材ポリマーは、ポリブタジエンを含んでいる。ポリブタジエンの量が全基材ポリマーに占める率は、40質量%以上である。この比率は50質量%以上がより好ましく、60質量%以上が特に好ましい。ポリブタジエンの比率が100%とされてもよい。この第二層53により、ソリッドラバー47の反発性能が向上する。
【0048】
耐久性の観点から、第一層51の厚みは0.5mm以上が好ましく、0.7mm以上がより好ましく、0.8mm以上が特に好ましい。第一層51が厚すぎると相対的に第二層53が薄くなって反発性能が不十分となるので、第一層51の厚みは1.6mm以下が好ましい。第一層51の厚みは、ピンプル15が存在する領域の厚み(T1a)と存在しない領域の厚み(T1b)との平均値((T1a+T1b)/2)である。
【0049】
反発性能の観点から、第二層53の厚みは0.2mm以上が好ましく、0.3mm以上がより好ましく、0.5mm以上が特に好ましい。第二層53が厚すぎると相対的に第一層51が薄くなって耐久性が不十分となるので、第二層53の厚みは0.8mm以下が好ましい。
【0050】
耐久性と反発性能との両立の観点から、第一層51の厚みと第二層53の厚みとの比は2/8以上8/2以下が好ましい。比が2/8以上とされることにより、ソリッドラバー47の耐久性が向上する。この観点から、比は3/7以上がより好ましく、4/6以上が特に好ましい。比が8/2以下とされることにより、反発性能が向上する。この観点から、比は7/3以下がより好ましく、6/4以下が特に好ましい。
【0051】
図7は、本発明のさらに他の実施形態に係るソリッドラバー55を含むラバーシート57が示された断面図である。このラバーシート57は、裏ソフトタイプである。このラバーシート57は、サンドイッチラバー9も備えている。サンドイッチラバー9とソリッドラバー55とは、積層されている。ソリッドラバー55は、ベース13と、このベース13から下方に向けて突出する多数のピンプル15とを備えている。このソリッドラバー55は、第一層59と第二層61とからなる。図7において縦線で塗りつぶされているのが第一層59であり、横線で塗りつぶされているのが第二層61である。第一層59と第二層61とは、積層されている。第一層59は、ベース13の全てと、ピンプル15の上方部分とを含む。第二層61は、ピンプル15の下方部分を構成する。境界コーナー部Cは、第一層59に含まれる。
【0052】
第一層59は、ゴム組成物が架橋されることによって成形されている。このゴム組成物の基材ポリマーは、天然ゴム又はポリイソプレンを含んでいる。天然ゴム及びポリイソプレンの合計量が全基材ポリマーに占める率は、70質量%以上である。この比率は、75質量%以上がより好ましく、80質量%以上が特に好ましく、理想的には比率は100%である。応力集中が生じやすい境界コーナー部Cが第一層59に含まれることにより、クラックの発生が抑制される。ピン球との接触面を第一層59が構成することにより、スピン速度の速い打球が得られる。
【0053】
第二層61は、ゴム組成物が架橋されることによって成形されている。このゴム組成物の基材ポリマーは、ポリブタジエンを含んでいる。ポリブタジエンの量が全基材ポリマーに占める率は、40質量%以上である。この比率は50質量%以上がより好ましく、60質量%以上が特に好ましい。ポリブタジエンの比率が100%とされてもよい。この第二層61により、ソリッドラバー55の反発性能が向上する。
【0054】
耐久性の観点から、第一層59の厚みは0.5mm以上が好ましく、0.7mm以上がより好ましく、0.8mm以上が特に好ましい。第一層59が厚すぎると相対的に第二層61が薄くなって反発性能が不十分となるので、第一層59の厚みは1.6mm以下が好ましい。第一層59の厚みは、ピンプル15が存在する領域の厚み(T1a)と存在しない領域の厚み(T1b)との平均値((T1a+T1b)/2)である。
【0055】
反発性能の観点から、第二層61の厚みは0.2mm以上が好ましく、0.3mm以上がより好ましく、0.5mm以上が特に好ましい。第二層61が厚すぎると相対的に第一層59が薄くなって耐久性が不十分となるので、第二層61の厚みは0.8mm以下が好ましい。
【0056】
耐久性と反発性能との両立の観点から、第一層59の厚みと第二層61の厚みとの比は2/8以上8/2以下が好ましい。比が2/8以上とされることにより、ソリッドラバー55の耐久性が向上する。この観点から、比は3/7以上がより好ましく、4/6以上が特に好ましい。比が8/2以下とされることにより、反発性能が向上する。この観点から、比は7/3以下がより好ましく、6/4以下が特に好ましい。
【0057】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
【0058】
[ゴム組成物の調製]
下記表1に示される配合剤を密閉式混練機及びオープンロールで混練し、配合ナンバーが(1)から(5)であるゴム組成物を得た。
【0059】
【表1】
【0060】
[表ソフトラバーの評価]
[実施例1]
ソリッドラバー用の金型を準備し、配合ナンバー(2)のゴム組成物と配合ナンバー(4)のゴム組成物とを積層して充填した。そして、金型を締め、160℃に昇温して10分間保持し、ゴムに架橋反応を起こさせて、図2に示される実施例1のソリッドラバーを得た。
【0061】
[実施例2から4及び比較例1から4]
充填するゴム組成物を下記の表2に示される通りとした他は実施例1と同様にして、実施例2から4及び比較例1から4のソリッドラバーを得た。
【0062】
[実施例5]
ソリッドラバー用の金型を準備し、凹凸を備えた下型に配合ナンバー(2)のゴム組成物を充填した。次に、下面に凹凸を備えたプレートを準備した。このプレートの凸部の幅は、下型の凹部の幅よりも小さい。次に、このプレートを降下させ、ゴム組成物を20秒間加圧した。次に、プレートを取り除き、配合ナンバー(2)のゴム組成物の上に配合ナンバー(4)のゴム組成物を充填した。そして、金型を締め、160℃に昇温して10分間保持し、ゴムに架橋反応を起こさせて、図4に示される実施例5のソリッドラバーを得た。
【0063】
[実施例6]
ソリッドラバー用の金型を準備し、下型の凹部に配合ナンバー(4)のゴム組成物を充填した。次に、下面に凹凸を備えたプレートを降下させ、ゴム組成物を20秒間加圧した。次に、プレートを取り除き、バリを除去した。次に、下型に配合ナンバー(2)のゴム組成物を充填した。そして、金型を締め、160℃に昇温して10分間保持し、ゴムに架橋反応を起こさせて、図5に示される実施例6のソリッドラバーを得た。
【0064】
[反発性能及びスピン性能の評価]
ソリッドラバーをサンドイッチラバーと積層し、ラバーシートを得た。このラバーシートを本体に貼り付けて、卓球ラケットを得た。この卓球ラケットをプレーヤーに使用させて、カットサーブとラリーとを行わせた。そして、スピン性能と反発性能とを、「1」から「5」の5段階で評価させた。最も優れるものを「5」とし、最も劣るものを「1」とした。10名のプレーヤーの評価点の平均値が、下記の表2に示されている。
【0065】
[耐久性の評価]
10名のプレーヤーに、5時間ずつ卓球ラケットを使用させた。使用時間の合計は、50時間である。そして、使用後のソリッドラバーを目視で観察し、クラック及び欠けの有無を判別した。クラック及び欠けのないものを「○」とし、あるものを「×」とした。この評価結果が、下記の表2に示されている。
【0066】
【表2】
【0067】
表2に示されるように、比較例1及び3のソリッドラバーは反発性能に劣っており、比較例2及び4のソリッドラバーは耐久性に劣っている。一方、各実施例のソリッドラバーは、耐久性と反発性能との両方に優れている。この評価結果より、本発明の優位性は明らかである。
【0068】
[裏ソフトラバーの評価]
[実施例7]
ソリッドラバー用の金型を準備し、配合ナンバー(2)のゴム組成物と配合ナンバー(4)のゴム組成物とを積層して充填した。そして、金型を締め、160℃に昇温して10分間保持し、ゴムに架橋反応を起こさせて、図6に示された実施例7のソリッドラバーを得た。
【0069】
[実施例8から10及び比較例5から6]
充填するゴム組成物を下記の表2に示される通りとした他は実施例7と同様にして、実施例8から10及び比較例5から6のソリッドラバーを得た。
【0070】
[実施例11]
ソリッドラバー用の金型を準備し、下型の凹部に配合ナンバー(2)のゴム組成物を充填した。次に、下面に凹凸を備えたプレートを降下させ、ゴム組成物を20秒間加圧した。次に、プレートを取り除き、バリを除去した。次に、下型に配合ナンバー(4)のゴム組成物を充填した。そして、金型を締め、160℃に昇温して10分間保持し、ゴムに架橋反応を起こさせて、図7に示される実施例11のソリッドラバーを得た。
【0071】
[ソリッドラバーの評価]
表ソフトラバーの評価と同様にして、耐久性、反発性能及びスピン性能を評価した。この結果が、下記の表3に示されている。
【0072】
【表3】
【0073】
表3に示されるように、比較例5のソリッドラバーは反発性能に劣っており、比較例6のソリッドラバーは耐久性に劣っている。一方、各実施例のソリッドラバーは、耐久性と反発性能との両方に優れている。この評価結果より、本発明の優位性は明らかである。
【0074】
以上、表ソフトラバー及び裏ソフトラバーが例とされて本発明が詳説された。一枚ラバー及びツブ高ラバーでも、第一層と第二層とが形成されることにより、耐久性と反発性能とが両立されうる。
【0075】
【発明の効果】
以上説明されたように、本発明に係るソリッドラバーは耐久性と反発性能との両方に優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る卓球ラケットが示された斜視図である。
【図2】図2は、図1の卓球ラケットのラバーシートが示された拡大断面図である。
【図3】図3は、図2のラバーシートのソリッドラバーの製造方法が模式的に示された説明図である。
【図4】図4は、本発明の他の実施形態に係るソリッドラバーを含むラバーシートが示された断面図である。
【図5】図5は、本発明のさらに他の実施形態に係るソリッドラバーを含むラバーシートが示された断面図である。
【図6】図6は、本発明のさらに他の実施形態に係るソリッドラバーを含むラバーシートが示された断面図である。
【図7】図7は、本発明のさらに他の実施形態に係るソリッドラバーを含むラバーシートが示された断面図である。
【符号の説明】
1・・・卓球ラケット
3・・・本体
5・・・グリップ
7・・・ラバーシート
9・・・サンドイッチラバー
11・・・ソリッドラバー
13・・・ベース
15・・・ピンプル
17・・・第一層
19・・・第二層
21・・・下型
25・・・プレート
29・・・上型
Claims (5)
- 基材ポリマー中に70質量%以上の天然ゴム又はポリイソプレンを含むゴム組成物から成形された第一層と、基材ポリマー中に40質量%以上のポリブタジエンを含むゴム組成物から成形された第二層とを備えた卓球ラケット用ソリッドラバー。
- シート状のベースと、このベースから起立するピンプルとを備えており、ベースとピンプルとの境界コーナー部が上記第一層から構成される請求項1に記載の卓球ラケット用ソリッドラバー。
- 上記第一層の厚みと第二層の厚みとの比が2/8以上8/2以下である請求項1又は請求項2に記載の卓球ラケット用ソリッドラバー。
- 上記第一層がピン球との接触面を構成する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の卓球ラケット用ソリッドラバー。
- 本体とソリッドラバーとを備えており、このソリッドラバーが、基材ポリマー中に70質量%以上の天然ゴム又はポリイソプレンを含むゴム組成物から成形された第一層と、基材ポリマー中に40質量%以上のポリブタジエンを含むゴム組成物から成形された第二層とを備えている卓球ラケット。
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Publications (1)
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN108128000A (zh) * | 2017-12-21 | 2018-06-08 | 广州双鱼体育用品集团有限公司 | 多层复合型乒乓球拍反胶胶皮及其制备工艺 |
-
2002
- 2002-07-10 JP JP2002201567A patent/JP2004041370A/ja not_active Withdrawn
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Legal Events
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A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20051004 |