JP2004254577A - 魚介類の養殖方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】飼育水槽1の海水を循環経路2を通して循環させながら、循環経路2に接続した電気分解槽3で海水中のアンモニアを除去すると共に生物硝化によるアンモニア除去が併用されるようにし、この飼育水槽1で魚介類を養殖する。この際に、魚介類の飼育段階に応じて電気分解槽3の電気分解強度を変化させる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、海水(人工海水を含む)を閉鎖系で循環させて再利用しながら、飼育水槽で魚介類を養殖したり一時的に畜養したりするようにした魚介類の養殖方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
海水面から離れた陸上地点で、食用あるいは鑑賞用の魚介類を飼育する閉鎖式の養殖装置が従来から検討されている。この閉鎖循環式の養殖装置では、飼育魚介類の排泄物や残餌等を飼育水槽から除去する処理を、周辺環境への排出希釈によることなく、系内で行なう必要がある。このために、飼育水槽に循環経路を接続し、飼育水槽の海水を循環経路に通して循環させる間に、海水中の魚介類の排泄物や残餌等を除去して浄化することが行なわれている。
【0003】
魚介類の排泄物のうち、海水に溶解しているアンモニアを分解除去するにあたって、従来は硝化細菌を用いる微生物処理で行なうのが主流であるが、電気化学処理によって分解除去する方法も提案されている。すなわち、飼育水槽の循環経路に電気分解槽を接続し、電気分解槽内で海水を電解分解することによって次亜塩素酸や次亜臭素酸のような次亜ハロゲン酸を生成させ、そしてこの次亜ハロゲン酸が海水に溶解しているアンモニアと反応することによって、クロラミン等のハロアミンができ、さらにこのハロアミン同士が反応して、窒素が遊離されるという一連の反応で、アンモニアを窒素として除去することができるものである(例えば特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−10724号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、電気分解槽で電気分解を行なうことによって、上記のようにアンモニアを除去する作用の他に、アンモニアが酸化されて生じる魚毒性の強い亜硝酸を、魚毒性の弱い硝酸に酸化する作用、酸化力の強い次亜ハロゲン酸で海水を殺菌する作用、及び海水を脱色する作用、アンモニアを除去することによって低下するpHを上昇させるpH調節作用を得ることができるが、上記のように電気分解処理でアンモニアを除去するには、海水中のアンモニアの濃度に対して過剰の次亜ハロゲン酸が必要である。このために、電気分解槽でアンモニアを除去する場合には、電気分解強度を常に高く維持して電気分解槽で過剰の次亜ハロゲン酸を生成させる必要がある。
【0006】
そしてこのように電気分解槽で過剰の次亜ハロゲン酸を生成させると、電気分解槽から魚毒性のある次亜ハロゲン酸が流出することになるので、海水中の残留次亜ハロゲン酸を除去するための処理が必要になる。この処理としては一般に、活性炭を充填した活性炭槽を用い、海水を活性炭槽に通して次亜ハロゲン酸を活性炭の触媒作用で分解したり、チオ硫酸ナトリウム等の中和剤を海水に添加する中和剤添加装置を用い、次亜ハロゲン酸を中和したりすることが行なわれる。しかし、活性炭槽を用いる場合、活性炭槽内にはSS等が詰まり易く、海水の循環が停止したりするトラブルが発生する問題があり、また中和剤添加装置を用いる場合には中和剤の消費量が多くコストの上で問題があった。
【0007】
一方、電気分解槽より上流の残留次亜ハロゲン酸が存在しない配管の内面や飼育水槽の壁面には、硝化細菌が自然発生し、この硝化細菌によって海水中のアンモニアが相当量硝化処理されることが観察される。特に飼育水槽の底部に砂床を敷設して、魚介類が砂床に潜れるようにした場合には、砂床に硝化細菌が多量に発生し、活発に生物硝化がなされるので、魚介類の飼育段階によっては、電気分解槽によるアンモニア除去の処理が不要になることもある。しかし、電気分解槽の作動を停止させてしまうと、アンモニア除去作用の他の、殺菌作用などの作用を得ることもできなくなるという問題があった。
【0008】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、魚介類の飼育段階に合わせて電気分解強度を変化させることによって、効率良く魚介類を飼育することができる魚介類の養殖方法を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係る魚介類の養殖方法は、飼育水槽1の海水を循環経路2を通して循環させながら、循環経路2に接続した電気分解槽3で海水中のアンモニアを除去すると共に生物硝化によるアンモニア除去が併用されるようにし、この飼育水槽1で魚介類を養殖するにあたって、魚介類の飼育段階に応じて電気分解槽3の電気分解強度を変化させることを特徴とするものである。
【0010】
また請求項2の発明は、請求項1において、飼育水槽1に砂床4を設け、砂床4に発生した硝化細菌による生物硝化でアンモニア除去が行なわれるようにしたことを特徴とするものである。
【0011】
また請求項3の発明は、請求項1において、循環経路2に生物処理槽5を接続し、生物処理槽5内の硝化細菌による生物硝化でアンモニア除去が行なわれるようにしたことを特徴とするものである。
【0012】
また請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれかにおいて、飼育水槽1に魚介類を導入した飼育初期の段階では電気分解強度が高く、飼育の途中段階では電気分解強度が低く、飼育水槽1から魚介類を出荷する直前の低温飼育段階では電気分解強度が高くなるように、魚介類の飼育段階に応じて電気分解槽3の電気分解強度を変化させることを特徴とするものである。
【0013】
また請求項5の発明は、請求項4において、飼育初期段階及び低温飼育段階での電気分解強度を、電気分解槽3に流入した海水中のアンモニア濃度を0.6mg−N/リットル低下させて流出させることができ、且つ電気分解槽3に流入した海水中の亜硝酸濃度を0.6mg−N/リットル低下させて流出させることができる電気分解強度に設定し、飼育途中段階での電気分解強度を、電気分解槽3に流入した海水中のアンモニア濃度はほとんど低下させられないが、電気分解槽3に流入した海水中の亜硝酸濃度を0.6mg−N/リットル低下させて流出させることができる電気分解強度と、電気分解槽3の電極13からの水素発生は観察されるが、電気分解槽3に流入した海水中のアンモニア濃度及び亜硝酸濃度はほとんど低下させられない電気分解強度の、少なくとも一方の電気分解強度に設定することを特徴とするものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0015】
図1は本発明の実施の形態の一例を示すものであり、魚介類が飼育される飼育水槽1に循環経路2が接続してあり、循環経路2に設けた循環ポンプ10を作動させることによって、飼育水槽1中の海水を循環経路2を通して循環させるようにしてある。そしてこの循環経路2には、海水の流れの方向に沿った順で、循環ポンプ10、微細気泡SS分離槽11、電気分解槽3、ハロゲン除去槽12が接続してある。尚、ハロゲン除去槽12の上流側と下流側においては、ハロゲン除去槽12を迂回するバイパス流路15の両端が循環経路2に接続してあり、またハロゲン除去槽12は循環経路2に対して脱着自在にしてある。そしてこのバイパス流路15に海水を流すことによって、ハロゲン除去槽12に通すことなく海水を循環させることができるようになっている。
【0016】
上記のように形成される閉鎖循環式養殖システムにあって、飼育魚介類の排泄物などを含む飼育水槽1内の海水は、飼育水槽1からまず微細気泡SS分離槽11に送られ、海水中の浮遊性の固形物が微細気泡による加圧浮上分離により取り除かれる。微細気泡SS分離槽11ではまた、魚の体表分泌物由来のタンパク質等の溶解性高分子物質が泡沫として、浮遊性固形物とともに取り除かれる。このように、微細気泡SS分離槽11でろ過処理された海水は電気分解槽3に送られ、電解処理される。
【0017】
電気分解槽3内には一対の電極13,13が配設してある。この一対の電極13,13は海水の流れと平行の向きに配置してあり、電源装置14から直流電流が印加されるようにしてある。電極13は白金/イリジウムめっきチタン板などからなるものであり、予め設定された時間毎に、印可される電位を逆転させて陽極と陰極を交代させるようにしてある。そして電気分解槽3内で海水を電気分解すると、既述のように次亜塩素酸や次亜臭素酸のような次亜ハロゲン酸が生成され、この次亜ハロゲン酸が海水に溶解しているアンモニアと反応してクロラミン等のハロアミンができ、そしてこのハロアミン同士が反応して窒素が遊離されるという一連の反応で、アンモニアを窒素として除去することができるものである。またアンモニアが硝化されて海水中に含まれる亜硝酸は電気分解槽3の電極13の表面で酸化され、魚毒性の強い亜硝酸を魚毒性の低い硝酸に酸化して除去する亜硝酸除去作用もなされる。さらに、海水の電気分解で生成される次亜ハロゲン酸は酸化力が強いので、海水中の細菌等を殺す殺菌作用や、海水を脱色する脱色作用がなされる。殺菌作用は、電極13の表面での直接酸化によってもなされる。また海水からアンモニアを除去することによって低下するpHを上昇させるpH調節作用もなされる。
【0018】
このように電気分解槽3で電解処理された海水はハロゲン除去槽12に送られる。ハロゲン除去槽12は活性炭を充填した活性炭槽あるいは、チオ硫酸ナトリウム等の中和剤を海水に添加する中和剤添加槽として形成されるものであり、海水中の次亜ハロゲン酸を活性炭の触媒作用で分解したり、次亜ハロゲン酸を中和材で中和することによって、次亜ハロゲン酸を除去することができるものである。ハロゲン除去槽12で処理された海水は飼育水槽1に返送されるものであり、このようにして海水を浄化しながら飼育水槽1の海水を循環させることによって、飼育海水を交換する必要なく長期間に亘って魚介類を飼育水槽1で飼育することができるものである。
【0019】
ここで、図2のグラフは、魚介類を飼育する飼育水槽1の海水を循環経路2で循環させながら、電気分解槽3で海水を電解処理する際の、電極13に通電する電流の電流密度によって決定される電気分解強度と、アンモニア除去作用、亜硝酸除去作用、殺菌作用、脱色作用、pH調節作用との関係を測定して示したものである。アンモニア除去作用及び亜硝酸除去作用の評価は、電気分解槽3の入口と出口の海水を採取して、それぞれのアンモニア濃度及び亜硝酸濃度を測定し、入口と出口のアンモニア濃度の減数差をアンモニア除去量として算出すると共に、入口と出口の亜硝酸濃度の減数差を亜硝酸除去量として算出することによって行なった。アンモニア除去量を海水1リットル当たりの窒素成分の減量として示し、亜硝酸除去量を海水1リットル当たりの窒素成分の減量として示す。殺菌作用の評価は、電気分解槽3の入口と出口の海水を採取して、それぞれの細菌数を計測し、入口と出口の細菌数の減数差から殺菌率を算出することによって行なった。脱色作用の評価は、海水を循環させる前と、24時間循環させた後の、飼育水槽1の海水の色度の低下を測定することによって行なった。pH調節作用の評価は、電気分解槽3の入口と出口の海水を採取して、それぞれのpH値を計測し、入口と出口のpH値の上昇数を求めることによって行なった。
【0020】
図2のグラフにみられるように、SV(空間速度)300hr−1の電気分解槽3において電流密度を2A/dm2に設定して高い電気分解強度で電気分解を行なうと、アンモニア除去作用、亜硝酸除去作用、殺菌作用、脱色作用、pH調節作用のいずれも高く得ることができるものであり、電気分解槽3に流入した海水中のアンモニア濃度を0.6mg−N/リットル低下させて流出させることができ、且つ電気分解槽3に流入した海水中の亜硝酸濃度を0.6mg−N/リットル低下させて流出させることができるものである。このとき、電気分解槽3の出口の残留塩素量は1mg−Cl2/リットル以下になる。
【0021】
またSV300hr−1の電気分解槽3において電気分解の電流密度を0.8A/dm2に設定して低めの電気分解強度で電気分解を行なうと、アンモニア除去作用及び脱色作用は低くなるが、亜硝酸除去作用は電気分解槽3に流入した海水中の亜硝酸濃度を0.6mg−N/リットル低下させて流出させるレベルに維持でき、また殺菌作用、pH調節作用も高いレベルを維持することができる。このとき、電気分解槽3の出口の残留塩素量は0.2mg−Cl2/リットル以下になる。
【0022】
さらにSV300hr−1の電気分解槽3において電気分解の電流密度を0.3A/dm2に設定して低い電気分解強度で電気分解を行なうと、アンモニア除去作用、亜硝酸除去作用、脱色作用、pH調節作用は低くなるか、殆ど無くなるが、殺菌作用は高く得ることができる。これは、低い電気分解強度では次亜ハロゲン酸が殆ど生成されなくなるが、電気分解槽3の電極13の表面では水素が発生する程度の電解作用は行なわれており、電極13の表面での直接酸化によって殺菌がなされるためであると考えられる。このとき、電気分解槽3の出口の残留塩素量は0.05mg−Cl2/リットル以下になる。
【0023】
一方、魚介類としてエビ類や、フグ、ヒラメ等を飼育する場合、飼育水槽1の底部に砂床4を敷設して、魚介類が砂床4に潜れるようにすることがなされている。そしてこのように飼育水槽1に砂床4を設けた場合には、砂床4に硝化細菌が自然に多量に発生し、活発に生物硝化がなされて、海水中のアンモニア除去がされるので、場合によっては電気分解槽3によるアンモニア除去の処理が不要になることもある。
【0024】
そこで本発明は、飼育水槽1で飼育する魚介類の飼育段階に応じて、電気分解槽3の電気分解強度を変化させることによって、砂床4に自然発生する硝化細菌の生物硝化を有効に利用し、魚介類の飼育を効率良く行なうようにしたものである。すなわち、飼育水槽1に魚介類を導入して飼育を開始する飼育初期の段階では、砂床4の硝化細菌の活性がまだ不十分であり、硝化作用はまだ立ち上がっていないので、生物硝化によるアンモニアの除去は殆ど望めない。従って、飼育初期の段階では、電気分解槽3において高い電気分解強度で電気分解を行なう。このときの電気分解強度は、電気分解でアンモニアの除去が十分に行なわれることが必要であるので、図2の電流密度が2A/dm2であるCレベルの電気分解強度で行なうのが望ましい。
【0025】
次に、飼育を開始してしばらくの時間が経過すると、砂床4の硝化細菌が活性化し、活発に生物硝化がなされ、海水中のアンモニア除去が十分になされるようになるので、電気分解槽3でアンモニア除去を行なう必要がなくなる。従って飼育の途中段階では、電気分解槽3における電気分解は低い電気分解強度でおこなえばよい。このときの電気分解強度は、アンモニア除去や亜硝酸除去は不要であるが、海水を殺菌することは必要であるので、図2の電流密度が0.3A/dm2であるAレベルの電気分解強度で行なうのが望ましい。このように砂床4の硝化細菌の生物硝化で海水中のアンモニア除去を行なうときに、給餌量を増加したりした場合など、魚介類の排泄量が増えて海水中のアンモニア量が増大し、砂床4の硝化細菌の生物硝化がアンモニアの増大に追いつかなくなる場合がある。そこでこのときには、電気分解槽3の電気分解強度をAレベルよりも高めて補助してやる必要がある。このときの電気分解強度は、アンモニアについてはその除去を補助することができる程度でよいが、アンモニアの不十分な酸化で生成された魚毒性の高い亜硝酸については完全に魚毒性の低い硝酸に酸化する必要があるので、アンモニア除去作用は低レベルであるが亜硝酸除去作用は十分に高い、図2の電流密度が0.8A/md2であるBレベルの電気分解強度で行なうのが望ましい。
【0026】
このようにして飼育の途中段階では、状況に応じて、図3に示すようにAレベルとBレベルの電気分解強度を交互に繰り返しながら、電気分解槽3で電解分解を行なうことになるが、このAレベルやBレベルのように低い電気分解強度で電気分解を行なうときには、海水の電気分解で生成される次亜ハロゲン酸の量は少なく、ハロゲン除去槽12で次亜ハロゲン酸を除去する必要がなくなる。そこで、AレベルやBレベルのように低い電気分解強度で電気分解を行なうときには、電気分解槽3から流出した海水をバイパス流路15に迂回させ、ハロゲン除去槽12には通過させないようにしてある。従って、ハロゲン除去槽12を活性炭槽で成形する場合には、活性炭槽の詰まりの発生を少なくすることができるものであり、また海水をバイパス流路15に迂回させて循環させている間に活性炭槽を取り外して洗浄をすることも可能になるものである。またハロゲン除去槽12を中和剤添加槽で形成する場合には、チオ硫酸ナトリウム等の中和剤の節約になるものである。
【0027】
上記のようにして魚介類の飼育を行なうにあたって、魚介類を飼育槽1から取り出して出荷する前には、海水の温度を15℃程度以下の低温にし、魚介類の歯ごたえが良くなるように低温身締めが行なわれる。この魚介類を出荷する直前の低温飼育段階では、水温が低いので砂床4の硝化細菌の活性が低下し、硝化作用が低くなって生物硝化によるアンモニアの除去はあまり望めない。従って、低温飼育段階では、電気分解槽3において高い電気分解強度で電気分解を行なう。このときの電気分解強度は、電気分解でアンモニアの除去が十分に行なわれることが必要であるので、図2の電流密度が2A/md2であるCレベルの電気分解強度で行なうのが望ましい。
【0028】
このように、魚介類の飼育段階に応じて電気分解槽3の電気分解強度を変化させながら運転することによって、硝化細菌の硝化作用を最大限に利用して、電気分解槽3の電力コスト、ハロゲン除去槽12の消耗コストなどを低減することができ、魚介類を効率良く飼育することができるものである。尚、電気分解槽3の電気分解強度を変化させる切り換え時期や、電気分解強度のレベルについては、飼育水槽1で飼育する魚介類の種類に応じて、実験や経験などに基づいて適宜設定されるべきものである。
【0029】
ここで、電気分解槽3の電気分解強度を切り換えるにあたっては、給餌の積算量に応じて手動操作で行なうようにしても良く、タイマー等によって時間経過に応じて自動的に切り換えられるようにしてもよい。また、電気分解槽3とハロゲン除去槽12の間の循環経路2に、バイパス流路15の分岐箇所より水の流れの上流側において次亜ハロゲン酸の濃度を検出するセンサー16を設け、電気分解槽3から流出する海水中の次亜ハロゲン酸濃度をセンサー16で検出し、次亜ハロゲン酸濃度に応じて電気分解槽3の電気分解強度を切り換えるようにしてもよい。すなわち、センサー16で検出される次亜ハロゲン酸濃度が所定の設定値より高いときには、CレベルからBレベルに、あるいはBレベルからAレベルに電気分解槽3の電気分解強度を下げるように切り換え、センサー16で検出される次亜ハロゲン酸濃度が所定の設定値より低いときには、AレベルからBレベルに、あるいはBレベルからCレベルに電気分解槽3の電気分解強度を上げるように切り換えるものである。このとき、制御回路を設けて形成した制御装置17にセンサー16と電気分解槽3の電源装置14をそれぞれ電気的に接続し、センサー16で測定された次亜ハロゲン酸濃度に応じて、電源装置14による印加電解電流を制御装置17で制御することによって、電気分解槽3の電気分解強度を自動的に切り換えるようにすることが可能である。
【0030】
図4は本発明の他の実施の形態を示すものであり、微細気泡SS分離槽11と電気分解槽3の間の位置において、循環経路2に生物処理槽5が接続してある。生物処理槽5内には硝化細菌が付着したろ材が充填してあり、この硝化細菌による硝化作用で海水中のアンモニア除去することができるようにしてある。その他の構成は図1のものと同じである。このものでは、生物処理槽5で生物硝化によるアンモニア除去が行なわれるので、飼育水槽1内に砂床4が設けられない養殖装置でも、上記のような魚介類の飼育段階に応じて電気分解槽3の電気分解強度を変化させながら運転を行なうことが可能になるものである。勿論、生物処理槽5と砂床4を併用するようにしてもよい。
【0031】
【発明の効果】
上記のように本発明の請求項1に係る魚介類の養殖方法は、飼育水槽の海水を循環経路を通して循環させながら、循環経路に接続した電気分解槽で海水中のアンモニアを除去すると共に生物硝化によるアンモニア除去が併用されるようにし、この飼育水槽で魚介類を養殖するにあたって、魚介類の飼育段階に応じて電気分解槽の電気分解強度を変化させるようにしたので、硝化細菌の硝化作用を利用して、電気分解槽の電力コスト、ハロゲン除去槽の消耗コストなどを低減することができるものであり、魚介類の飼育を効率良く行なうことができるものである。
【0032】
また請求項2の発明は、請求項1において、飼育水槽に砂床を設け、砂床に発生した硝化細菌による生物硝化でアンモニア除去が行なわれるようにしたので、砂床に自然発生する硝化細菌を利用して、コストを特にかける必要なくアンモニアの除去をすることが可能になるものである。
【0033】
また請求項3の発明は、請求項1において、循環経路に生物処理槽を接続し、生物処理槽内の硝化細菌による生物硝化でアンモニア除去が行なわれるようにしたので、生物処理槽で安定してアンモニアの除去をすることが可能になるものである。
【0034】
また請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれかにおいて、飼育水槽に魚介類を導入した飼育初期の段階では電気分解強度が高く、飼育の途中段階では電気分解強度が低く、飼育水槽から魚介類を出荷する直前の低温飼育段階では電気分解強度が高くなるように、魚介類の飼育段階に応じて電気分解槽の電気分解強度を変化させるようにしたので、硝化細菌の硝化作用を最大限に利用すると共に電気分解槽の使用を最小限に設定して、魚介類の飼育を効率良く行なうことができるものである。
【0035】
また請求項5の発明は、請求項4において、飼育初期段階及び低温飼育段階での電気分解強度を、電気分解槽に流入した海水中のアンモニア濃度を0.6mg−N/リットル低下させて流出させることができ、且つ電気分解槽に流入した海水中の亜硝酸濃度を0.6mg−N/リットル低下させて流出させることができる電気分解強度に設定し、飼育途中段階での電気分解強度を、電気分解槽に流入した海水中のアンモニア濃度はほとんど低下させられないが、電気分解槽に流入した海水中の亜硝酸濃度を0.6mg−N/リットル低下させて流出させることができる電気分解強度と、電気分解槽の電極からの水素発生は観察されるが、電気分解槽に流入した海水中のアンモニア濃度及び亜硝酸濃度はほとんど低下させられない電気分解強度の少なくとも一方の、電気分解強度に設定するようにしたので、硝化細菌の硝化作用を最大限に利用すると共に電気分解槽の使用を最小限に設定して、魚介類の飼育を効率良く行なうことができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示す概略図である。
【図2】電気分解槽の電気分解による各種の作用と電気分解強度との関係を示すグラフである。
【図3】飼育段階に応じた電気分解強度の変化を示すタイムチャートである。
【図4】本発明の他の実施の形態の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
1 飼育水槽
2 循環経路
3 電気分解槽
4 砂床
5 生物処理槽
Claims (5)
- 飼育水槽の海水を循環経路を通して循環させながら、循環経路に接続した電気分解槽で海水中のアンモニアを除去すると共に生物硝化によるアンモニア除去が併用されるようにし、この飼育水槽で魚介類を養殖するにあたって、魚介類の飼育段階に応じて電気分解槽の電気分解強度を変化させることを特徴とする魚介類の養殖方法。
- 飼育水槽に砂床を設け、砂床に発生した硝化細菌による生物硝化でアンモニア除去が行なわれるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の魚介類の養殖方法。
- 循環経路に生物処理槽を接続し、生物処理槽内の硝化細菌による生物硝化でアンモニア除去が行なわれるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の魚介類の養殖方法。
- 飼育水槽に魚介類を導入した飼育初期の段階では電気分解強度が高く、飼育の途中段階では電気分解強度が低く、飼育水槽から魚介類を出荷する直前の低温飼育段階では電気分解強度が高くなるように、魚介類の飼育段階に応じて電気分解槽の電気分解強度を変化させることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の魚介類の養殖方法。
- 飼育初期段階及び低温飼育段階での電気分解強度を、電気分解槽に流入した海水中のアンモニア濃度を0.6mg−N/リットル低下させて流出させることができ、且つ電気分解槽に流入した海水中の亜硝酸濃度を0.6mg−N/リットル低下させて流出させることができる電気分解強度に設定し、飼育途中段階での電気分解強度を、電気分解槽に流入した海水中のアンモニア濃度はほとんど低下させられないが、電気分解槽に流入した海水中の亜硝酸濃度を0.6mg−N/リットル低下させて流出させることができる電気分解強度と、電気分解槽の電極からの水素発生は観察されるが、電気分解槽に流入した海水中のアンモニア濃度及び亜硝酸濃度はほとんど低下させられない電気分解強度の少なくとも一方の、電気分解強度に設定することを特徴とする請求項4に記載の魚介類の養殖方法。
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