JP2004254460A - 冷凍サイクル制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】マイコンでの演算処理量を削減して安価なマイコンに変更する事でコストダウンをする。
【解決手段】PWM周期を設定するPWM周期タイマと、PWMデューティを設定するPWMデューティタイマを備え、このPWMデューティタイマへの設定値を変更することによりPWMデューティを変更しブラシレスモータの速度制御を行うことでインバータ装置の出力電圧を制御することが可能な冷凍サイクル制御装置に於いて、前記ブラシレスモータ1回転中のPWMデューティタイマの平均値を設定する平均PWMデューティタイマ設定部と、前記特定区間でのブラシレスモータの回転数に応じた複数の所定値を記憶する記憶手段を設け、前記回転数に応じて平均PWMデューティタイマ設定値に所定値を加算又は減算することにより、前記特定区間と特定区間以外のPWMデューティを異なるデューティにて出力するトルク制御出力回路を備えたものである。
【選択図】 図4
【解決手段】PWM周期を設定するPWM周期タイマと、PWMデューティを設定するPWMデューティタイマを備え、このPWMデューティタイマへの設定値を変更することによりPWMデューティを変更しブラシレスモータの速度制御を行うことでインバータ装置の出力電圧を制御することが可能な冷凍サイクル制御装置に於いて、前記ブラシレスモータ1回転中のPWMデューティタイマの平均値を設定する平均PWMデューティタイマ設定部と、前記特定区間でのブラシレスモータの回転数に応じた複数の所定値を記憶する記憶手段を設け、前記回転数に応じて平均PWMデューティタイマ設定値に所定値を加算又は減算することにより、前記特定区間と特定区間以外のPWMデューティを異なるデューティにて出力するトルク制御出力回路を備えたものである。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、PWM制御(パルス幅変調制御)されるインバータ装置の出力によりコンプレッサ駆動用ブラシレスモータが可変速駆動される冷凍サイクル制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
空気調和機等の冷凍サイクル制御装置のコンプレッサ駆動用モータとしては、一般に、誘導モータあるいはブラシレスモータのいずれかが用いられるが、運転効率や振動低減等を重視する場合には、ブラシレスモータが多く用いられる。
【0003】
これは、誘導モータの場合、1回転中におけるトルク制御を行うことが困難なのに対し、ブラシレスモータの場合には、磁極位置を検出して通電モードを切換えるため、ロータの回転位置に応じてインバータ装置の出力電圧を変化させることができ、1回転中におけるトルク制御を容易に行うことができるからである。
【0004】
そして、従来のトルク制御のパターンは、コンプレッサの吸込行程及び圧縮行程による負荷トルク変動に対応するために、ブラシレスモータの回転数が所定レベル以下に低下した場合に、前記特定区間におけるインバータ装置の出力電圧が、ブラシレスモータ1回転中の平均電圧値又は前記特定区間以外の出力電圧値に所定係数を乗じた値だけ他の区間における出力電圧よりも大きくなるように、PWM信号のデューティを変化させるパターン信号を出力するトルク制御パターン出力回路を備えたものとなっていた。(例えば、特許文献1参照)
【0005】
【特許文献1】
特許第3278491号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この従来のトルク制御では所定係数の乗算演算処理によりトルク変動による振動抑制の効果は大きかったが、マイクロコンピュータ(以下マイコンと称す)での演算処理が多いために高級なマイコンを使用しており、近年の空気調和機の低価格化に対応するためのコストダウンの障害になっていた。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明はこの点に着目し上記欠点を解決する為、インバータ装置からの出力によりコンプレッサ駆動用ブラシレスモータを可変速駆動する場合に、このブラシレスモータの磁極位置検出に基づいてインバータ装置に対するPWM制御を行い、ブラシレスモータが1回転したときの回転角を複数区間に分割し、その特定区間におけるモータ駆動トルクが増減するように、PWM周期を設定するPWM周期タイマと、PWMデューティを設定するPWMデューティタイマを備え、このPWMデューティタイマへの設定値を変更することによりPWMデューティを変更しブラシレスモータの速度制御を行うことでインバータ装置の出力電圧を制御することが可能な冷凍サイクル制御装置に於いて、前記ブラシレスモータ1回転中のPWMデューティタイマの平均値を設定する平均PWMデューティタイマ設定部と、前記特定区間でのブラシレスモータの回転数に応じた複数の所定値を記憶する記憶手段を設け、前記ブラシレスモータの回転数が所定回転数以下に低下した場合に、前記回転数に応じて平均PWMデューティタイマ設定値に所定値を加算又は減算することにより、前記特定区間と特定区間以外のPWMデューティを異なるデューティにて出力するトルク制御出力回路を備えたものである。
【0008】
これによって、加算又は減算のみの演算処理でのトルク制御を実現し、マイコンでの演算処理量を大幅に削減して安価なマイコンに変更する事でコストダウンを行う事ができるものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施例を図1〜図6に基いて説明する。図1はこの実施例に係る冷凍サイクル制御装置としての空気調和機の構成を示すブロック図である。
【0010】
図1において、交流電源1からの交流電力は、ダイオードにより形成されたコンバータ回路2により直流電力に変換され、コンデンサ3で平滑化された後、トランジスタにより形成されたインバータ回路4に送られるようになっている。ベースドライバ5は、このインバータ回路4内のトランジスタのベースに制御電流を出力することにより、インバータ回路4の直流出力を制御するようになっている。
【0011】
このインバー回路4の出力により、コンプレッサ駆動用モータとしての3相ブラシレスモータ6が回転し、その主軸7に直結しているコンプレッサ8を駆動するようになっている。
【0012】
磁極位置検出回路9は、ブラシレスモータ6のU相,V相,W相の誘起電圧Vu,Vv,Vwを検出すると共に、コンデンサ3に並列接続され且つ抵抗10,11により形成されている直列接続体の接続点から基準電圧Voを検出している。そして、磁極位置検出回路9は、これらの電圧の検出に基いて、磁極位置信号をPWM制御回路12に出力するようになっている。
【0013】
PWM制御回路12はマイクロコンピュータにより構成されており、インバータ回路4のトランジスタの通電期間を決定する通電モード信号を出力する通電モード制御回路13と、パルス幅の変化によりインバータ回路4の出力電圧を決定するPWM信号を出力するPWM信号出力回路14とを有している。
【0014】
前記PWM信号出力回路14内には、ブラシレスモータ6回転数に略反比例して増減するPWM周期タイマ15と、ブラシレスモータ6の負荷に応じてPWM周期タイマ15で設定された周期を255等分した値にR/255区間だけONする事で、ON区間幅の増減(R値の増減)により電圧を変化するPWMデューティタイマ16の機能が備えられている。
【0015】
また、PWM信号出力回路14には、トルク制御出力回路17からの信号が入力されるものであり、このトルク制御出力回路17内には平均PWMデューティ設定部18と加減算を行う演算手段19と、前記ブラシレスモータ6の回転数に応じた複数の所定値を記憶する記憶手段20を設けている。
【0016】
前記トルク制御出力回路17には比較回路21からの信号が入力されるようになっており、この比較回路21には回転数検出回路22及び回転数指令回路23からの信号が入力されるようになっている。回転数指令回路23は、図示を省略した室内機から室内検出温度Taと室内設定温度Tsとの偏差を入力し、この入力に基いて回転数指令N1を出力するものである。
【0017】
図2は、各相の電圧Vu,Vv,Vwと通電モードとの関係を示す波形図である。この図に示すように、電圧Vu,Vv,Vwが基準電圧Voに一致した時点(ゼロクロス点)により位置モードI〜VIが決まり、位置モードI〜VIを所定の電気角度だけずらしたものが通電モードI〜VIとなる。
【0018】
なお、この実施例ではコンプレッサ8には、シリンダ数が1個のロータリコンプレッサを用い、この実施例のブラシレスモータ6は、磁極数が4のものを用いることとしている。したがって、主軸7の1回転によって磁極位置検出回路9からは磁極位置検出信号が2周期分現われることになる。
【0019】
図3は、主軸7の1回転によって、コンプレッサ8の回転位置に対する負荷トルク変動を表すものであり、磁極位置検出信号の周期と、これらの変動の周期とが1対1で対応している。
【0020】
次に、上記のように構成されるこの実施例の動作を図4のフローチャートを基に説明する。この実施例に係る空気調和機が現在運転中であるとすると、回転数指令回路23は、室内機から室内検出温度Taと室内設定温度Tsとの偏差を入力し、回転数指令N1を比較回路21に出力する(ステップ1)。また、回転数検出回路22は、磁極位置検出回路9からの磁極位置信号の入力に基いて、回転数Nについての検出信号を比較回路21に出力する(ステップ2)。
【0021】
比較回路21は、これら回転数指令N1と回転数Nを入力し、これらの偏差に応じた信号を出力するようになっている。すなわち、NとN1は比較回路21によって一致するか否かが判断され(ステップ3)、一致しない場合、平均PWMデューティ設定部18は比較回路21からの入力に応じて平均PWMデューティ設定信号をPWM信号出力回路14に出力し、このPWM信号のデューティを設定する。
【0022】
ベースドライバ5は、通電モード制御回路13からの通電モード信号により決定される期間だけ、このPWM信号をベース制御電流としてインバータ回路4のトランジスタのベースに出力する。したがって、このPWM信号のデューティの増減により、NとN1が一致するように、インバータ回路4の出力電圧すなわちブラシレスモータ6の平均PWMデューティ設定値が設定されることになる(ステップ4)。
【0023】
そして、トルク制御信号出力回路17は、回転数検出回路22からの信号の入力により回転数Nが35〔rps〕以上であるか否かを判断する(ステップ5)。
【0024】
回転数Nが35〔rps〕以上であれば、トルク制御出力回路16は、特定区間だけデューティを大きくしなければならないほど回転数は低下していないと判断するため、トルク制御信号をPWM信号出力回路14に出力することはない(ステップ6)。したがって、PWM信号出力回路14から出力されるPWM信号のデューティはそれまでのものが維持される。すなわち、どの通電モードの区間においてもPWM信号のデューティは等しいものとなっている。
【0025】
しかし、回転数Nが35〔rps〕よりも低下すると、トルク制御出力回路17は、さらに、回転数Nに応じたPWMデューティタイマ16の補正値R1を読込み(ステップ7)、加減算演算を行い出力する。(ステップ8)
【0026】
図5は上記のトルク制御に基くブラシレスモータ6の印加電圧の変化を示す波形図である。すなわち、トルク制御が出力される前の各通電モードにおける平均モード印加電圧を2点鎖線とすると、コンプレッサ8の圧縮工程に対応する通電モードIII、IVの区間は、通電モードII、Vの区間よりも△Vだけ大きな値となっている。また、コンプレッサ8の吸入工程に対応する通電モードI、VIの区間は、通電モードII、Vの区間よりも△Vだけ小さな値となっている。この△Vは平均モータ印加電圧に図6の補正値R1を加算した値である。
【0027】
実線はブラシレスモータ8の回転数が25〜35rpsでのコンプレッサ8の駆動トルクであり、小破線はブラシレスモータ8の回転数が20〜25rpsでのコンプレッサ8の駆動トルクであり、大破線はブラシレスモータ8の回転数が20rps未満でのコンプレッサ8の駆動トルクである。
【0028】
このように、加算又は減算のみの演算処理でトルク制御を実現し、1回転中における負荷トルクの変動に対応したモータ駆動トルクを得ることができ、低速運転領域におけるコンプレッサ8の振動を有効に抑制することが可能になり、マイコンでの演算処理量を大幅に削減して安価なマイコンに変更する事でコストダウンを行う事ができるものである。
【0029】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、加算又は減算のみの演算処理でトルク制御を実現し、マイコンでの演算処理量を大幅に削減して安価なマイコンに変更する事でコストダウンを行う事ができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例の構成を示すブロック図。
【図2】同図1における各相電圧Vu,Vv,Vwと通電モードとの関係を示す波形図。
【図3】同コンプレッサの回転位置における負荷トルクを示す説明図。
【図4】同実施例のフローチャート。
【図5】同コンプレッサの回転位置における駆動トルク(PWM信号パルス幅)を示す説明図。
【図6】同PWMデューディ補正値の一覧。
【符号の説明】
4 インバータ回路
5 ベースドライバ
6 ブラシレスモータ
8 コンプレッサ
9 磁極位置検出回路
13 通電モード制御回路
14 PWM信号出力回路
15 PWM周期タイマ
16 PWMデューティタイマ
17 トルク制御出力回路
18 平均PWMデューティ設定部
【発明の属する技術分野】
この発明は、PWM制御(パルス幅変調制御)されるインバータ装置の出力によりコンプレッサ駆動用ブラシレスモータが可変速駆動される冷凍サイクル制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
空気調和機等の冷凍サイクル制御装置のコンプレッサ駆動用モータとしては、一般に、誘導モータあるいはブラシレスモータのいずれかが用いられるが、運転効率や振動低減等を重視する場合には、ブラシレスモータが多く用いられる。
【0003】
これは、誘導モータの場合、1回転中におけるトルク制御を行うことが困難なのに対し、ブラシレスモータの場合には、磁極位置を検出して通電モードを切換えるため、ロータの回転位置に応じてインバータ装置の出力電圧を変化させることができ、1回転中におけるトルク制御を容易に行うことができるからである。
【0004】
そして、従来のトルク制御のパターンは、コンプレッサの吸込行程及び圧縮行程による負荷トルク変動に対応するために、ブラシレスモータの回転数が所定レベル以下に低下した場合に、前記特定区間におけるインバータ装置の出力電圧が、ブラシレスモータ1回転中の平均電圧値又は前記特定区間以外の出力電圧値に所定係数を乗じた値だけ他の区間における出力電圧よりも大きくなるように、PWM信号のデューティを変化させるパターン信号を出力するトルク制御パターン出力回路を備えたものとなっていた。(例えば、特許文献1参照)
【0005】
【特許文献1】
特許第3278491号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この従来のトルク制御では所定係数の乗算演算処理によりトルク変動による振動抑制の効果は大きかったが、マイクロコンピュータ(以下マイコンと称す)での演算処理が多いために高級なマイコンを使用しており、近年の空気調和機の低価格化に対応するためのコストダウンの障害になっていた。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明はこの点に着目し上記欠点を解決する為、インバータ装置からの出力によりコンプレッサ駆動用ブラシレスモータを可変速駆動する場合に、このブラシレスモータの磁極位置検出に基づいてインバータ装置に対するPWM制御を行い、ブラシレスモータが1回転したときの回転角を複数区間に分割し、その特定区間におけるモータ駆動トルクが増減するように、PWM周期を設定するPWM周期タイマと、PWMデューティを設定するPWMデューティタイマを備え、このPWMデューティタイマへの設定値を変更することによりPWMデューティを変更しブラシレスモータの速度制御を行うことでインバータ装置の出力電圧を制御することが可能な冷凍サイクル制御装置に於いて、前記ブラシレスモータ1回転中のPWMデューティタイマの平均値を設定する平均PWMデューティタイマ設定部と、前記特定区間でのブラシレスモータの回転数に応じた複数の所定値を記憶する記憶手段を設け、前記ブラシレスモータの回転数が所定回転数以下に低下した場合に、前記回転数に応じて平均PWMデューティタイマ設定値に所定値を加算又は減算することにより、前記特定区間と特定区間以外のPWMデューティを異なるデューティにて出力するトルク制御出力回路を備えたものである。
【0008】
これによって、加算又は減算のみの演算処理でのトルク制御を実現し、マイコンでの演算処理量を大幅に削減して安価なマイコンに変更する事でコストダウンを行う事ができるものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施例を図1〜図6に基いて説明する。図1はこの実施例に係る冷凍サイクル制御装置としての空気調和機の構成を示すブロック図である。
【0010】
図1において、交流電源1からの交流電力は、ダイオードにより形成されたコンバータ回路2により直流電力に変換され、コンデンサ3で平滑化された後、トランジスタにより形成されたインバータ回路4に送られるようになっている。ベースドライバ5は、このインバータ回路4内のトランジスタのベースに制御電流を出力することにより、インバータ回路4の直流出力を制御するようになっている。
【0011】
このインバー回路4の出力により、コンプレッサ駆動用モータとしての3相ブラシレスモータ6が回転し、その主軸7に直結しているコンプレッサ8を駆動するようになっている。
【0012】
磁極位置検出回路9は、ブラシレスモータ6のU相,V相,W相の誘起電圧Vu,Vv,Vwを検出すると共に、コンデンサ3に並列接続され且つ抵抗10,11により形成されている直列接続体の接続点から基準電圧Voを検出している。そして、磁極位置検出回路9は、これらの電圧の検出に基いて、磁極位置信号をPWM制御回路12に出力するようになっている。
【0013】
PWM制御回路12はマイクロコンピュータにより構成されており、インバータ回路4のトランジスタの通電期間を決定する通電モード信号を出力する通電モード制御回路13と、パルス幅の変化によりインバータ回路4の出力電圧を決定するPWM信号を出力するPWM信号出力回路14とを有している。
【0014】
前記PWM信号出力回路14内には、ブラシレスモータ6回転数に略反比例して増減するPWM周期タイマ15と、ブラシレスモータ6の負荷に応じてPWM周期タイマ15で設定された周期を255等分した値にR/255区間だけONする事で、ON区間幅の増減(R値の増減)により電圧を変化するPWMデューティタイマ16の機能が備えられている。
【0015】
また、PWM信号出力回路14には、トルク制御出力回路17からの信号が入力されるものであり、このトルク制御出力回路17内には平均PWMデューティ設定部18と加減算を行う演算手段19と、前記ブラシレスモータ6の回転数に応じた複数の所定値を記憶する記憶手段20を設けている。
【0016】
前記トルク制御出力回路17には比較回路21からの信号が入力されるようになっており、この比較回路21には回転数検出回路22及び回転数指令回路23からの信号が入力されるようになっている。回転数指令回路23は、図示を省略した室内機から室内検出温度Taと室内設定温度Tsとの偏差を入力し、この入力に基いて回転数指令N1を出力するものである。
【0017】
図2は、各相の電圧Vu,Vv,Vwと通電モードとの関係を示す波形図である。この図に示すように、電圧Vu,Vv,Vwが基準電圧Voに一致した時点(ゼロクロス点)により位置モードI〜VIが決まり、位置モードI〜VIを所定の電気角度だけずらしたものが通電モードI〜VIとなる。
【0018】
なお、この実施例ではコンプレッサ8には、シリンダ数が1個のロータリコンプレッサを用い、この実施例のブラシレスモータ6は、磁極数が4のものを用いることとしている。したがって、主軸7の1回転によって磁極位置検出回路9からは磁極位置検出信号が2周期分現われることになる。
【0019】
図3は、主軸7の1回転によって、コンプレッサ8の回転位置に対する負荷トルク変動を表すものであり、磁極位置検出信号の周期と、これらの変動の周期とが1対1で対応している。
【0020】
次に、上記のように構成されるこの実施例の動作を図4のフローチャートを基に説明する。この実施例に係る空気調和機が現在運転中であるとすると、回転数指令回路23は、室内機から室内検出温度Taと室内設定温度Tsとの偏差を入力し、回転数指令N1を比較回路21に出力する(ステップ1)。また、回転数検出回路22は、磁極位置検出回路9からの磁極位置信号の入力に基いて、回転数Nについての検出信号を比較回路21に出力する(ステップ2)。
【0021】
比較回路21は、これら回転数指令N1と回転数Nを入力し、これらの偏差に応じた信号を出力するようになっている。すなわち、NとN1は比較回路21によって一致するか否かが判断され(ステップ3)、一致しない場合、平均PWMデューティ設定部18は比較回路21からの入力に応じて平均PWMデューティ設定信号をPWM信号出力回路14に出力し、このPWM信号のデューティを設定する。
【0022】
ベースドライバ5は、通電モード制御回路13からの通電モード信号により決定される期間だけ、このPWM信号をベース制御電流としてインバータ回路4のトランジスタのベースに出力する。したがって、このPWM信号のデューティの増減により、NとN1が一致するように、インバータ回路4の出力電圧すなわちブラシレスモータ6の平均PWMデューティ設定値が設定されることになる(ステップ4)。
【0023】
そして、トルク制御信号出力回路17は、回転数検出回路22からの信号の入力により回転数Nが35〔rps〕以上であるか否かを判断する(ステップ5)。
【0024】
回転数Nが35〔rps〕以上であれば、トルク制御出力回路16は、特定区間だけデューティを大きくしなければならないほど回転数は低下していないと判断するため、トルク制御信号をPWM信号出力回路14に出力することはない(ステップ6)。したがって、PWM信号出力回路14から出力されるPWM信号のデューティはそれまでのものが維持される。すなわち、どの通電モードの区間においてもPWM信号のデューティは等しいものとなっている。
【0025】
しかし、回転数Nが35〔rps〕よりも低下すると、トルク制御出力回路17は、さらに、回転数Nに応じたPWMデューティタイマ16の補正値R1を読込み(ステップ7)、加減算演算を行い出力する。(ステップ8)
【0026】
図5は上記のトルク制御に基くブラシレスモータ6の印加電圧の変化を示す波形図である。すなわち、トルク制御が出力される前の各通電モードにおける平均モード印加電圧を2点鎖線とすると、コンプレッサ8の圧縮工程に対応する通電モードIII、IVの区間は、通電モードII、Vの区間よりも△Vだけ大きな値となっている。また、コンプレッサ8の吸入工程に対応する通電モードI、VIの区間は、通電モードII、Vの区間よりも△Vだけ小さな値となっている。この△Vは平均モータ印加電圧に図6の補正値R1を加算した値である。
【0027】
実線はブラシレスモータ8の回転数が25〜35rpsでのコンプレッサ8の駆動トルクであり、小破線はブラシレスモータ8の回転数が20〜25rpsでのコンプレッサ8の駆動トルクであり、大破線はブラシレスモータ8の回転数が20rps未満でのコンプレッサ8の駆動トルクである。
【0028】
このように、加算又は減算のみの演算処理でトルク制御を実現し、1回転中における負荷トルクの変動に対応したモータ駆動トルクを得ることができ、低速運転領域におけるコンプレッサ8の振動を有効に抑制することが可能になり、マイコンでの演算処理量を大幅に削減して安価なマイコンに変更する事でコストダウンを行う事ができるものである。
【0029】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、加算又は減算のみの演算処理でトルク制御を実現し、マイコンでの演算処理量を大幅に削減して安価なマイコンに変更する事でコストダウンを行う事ができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例の構成を示すブロック図。
【図2】同図1における各相電圧Vu,Vv,Vwと通電モードとの関係を示す波形図。
【図3】同コンプレッサの回転位置における負荷トルクを示す説明図。
【図4】同実施例のフローチャート。
【図5】同コンプレッサの回転位置における駆動トルク(PWM信号パルス幅)を示す説明図。
【図6】同PWMデューディ補正値の一覧。
【符号の説明】
4 インバータ回路
5 ベースドライバ
6 ブラシレスモータ
8 コンプレッサ
9 磁極位置検出回路
13 通電モード制御回路
14 PWM信号出力回路
15 PWM周期タイマ
16 PWMデューティタイマ
17 トルク制御出力回路
18 平均PWMデューティ設定部
Claims (1)
- インバータ装置からの出力によりコンプレッサ駆動用ブラシレスモータを可変速駆動する場合に、このブラシレスモータの磁極位置検出に基づいてインバータ装置に対するPWM制御を行い、ブラシレスモータが1回転したときの回転角を複数区間に分割し、その特定区間におけるモータ駆動トルクが増減するように、PWM周期を設定するPWM周期タイマと、PWMデューティを設定するPWMデューティタイマを備え、このPWMデューティタイマへの設定値を変更することによりPWMデューティを変更しブラシレスモータの速度制御を行うことでインバータ装置の出力電圧を制御することが可能な冷凍サイクル制御装置に於いて、前記ブラシレスモータ1回転中のPWMデューティタイマの平均値を設定する平均PWMデューティタイマ設定部と、前記特定区間でのブラシレスモータの回転数に応じた複数の所定値を記憶する記憶手段を設け、前記ブラシレスモータの回転数が所定回転数以下に低下した場合に、前記回転数に応じて平均PWMデューティタイマ設定値に所定値を加算又は減算することにより、前記特定区間と特定区間以外のPWMデューティを異なるデューティにて出力するトルク制御出力回路を備えたことを特徴とする冷凍サイクル制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003043941A JP2004254460A (ja) | 2003-02-21 | 2003-02-21 | 冷凍サイクル制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003043941A JP2004254460A (ja) | 2003-02-21 | 2003-02-21 | 冷凍サイクル制御装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004254460A true JP2004254460A (ja) | 2004-09-09 |
Family
ID=33026791
Family Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2003043941A Pending JP2004254460A (ja) | 2003-02-21 | 2003-02-21 | 冷凍サイクル制御装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2004254460A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011112040A (ja) * | 2009-11-30 | 2011-06-09 | Hitachi Industrial Equipment Systems Co Ltd | 往復動圧縮機 |
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2003
- 2003-02-21 JP JP2003043941A patent/JP2004254460A/ja active Pending
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