JP2004253069A - 磁気記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【課題】走行安定性および走行耐久性に優れ、記録再生特性が良好な信頼性の高い高密度記録型の磁気記録媒体が得る。
【解決手段】非磁性支持体1の一主面上に、磁性粉末を結合剤に分散させた磁性層2を有し、他の主面上にバックコート層3を有する磁気記録媒体であって、バックコート層3は、少なくとも結合剤および顔料により構成されてなり、顔料中には、板状比が10以上50以下で、かつ板径が0.2μm以上1.0μm以下とした板状顔料粒子が含有されている磁気記録媒体を提供する。
【選択図】 図1
【解決手段】非磁性支持体1の一主面上に、磁性粉末を結合剤に分散させた磁性層2を有し、他の主面上にバックコート層3を有する磁気記録媒体であって、バックコート層3は、少なくとも結合剤および顔料により構成されてなり、顔料中には、板状比が10以上50以下で、かつ板径が0.2μm以上1.0μm以下とした板状顔料粒子が含有されている磁気記録媒体を提供する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に磁気テープ等の磁気記録媒体に関するものであり、詳しくは支持体の強度を高めて走行性や磁気ヘッド当たりを向上させ、かつ磁気ヘッドの静電破壊を防止した信頼性の高い磁気記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
オーディオ装置やビデオ装置、各種コンピュータ等に適用する記録メディアとして用いられている磁気記録媒体であって、磁性層が磁性粉末と結合剤とを含有する磁性塗料を塗布することによって形成されるいわゆる塗布型の磁気記録媒体においては、近年、デジタル記録等により情報量が増大化しているため、さらなる高密度記録化、短波長記録化が進められ、磁気記録媒体自体を薄層化して全体の記録容量の向上を図っている。
一方において、磁気記録媒体の特性向上への要求が高まってきており、特に、多数回走行させたときの走行安定性や、磁気ヘッドとして高感度磁気ヘッドを適用したときの信頼性が非常に重要なものとなってきている。
【0003】
ところで上述のように媒体自体の薄層化が進むと、所望の剛性が確保できず磁気ヘッド当たりが悪化し、記録再生特性の劣化を招来するおそれがあるため、磁気記録媒体の剛性を高めるべくベース材料として例えばポリアミドフィルム等の強度の高い材料を適用した磁気記録媒体も提案されている。
【0004】
また、磁性層下に非磁性粉末を含有する下層を形成し、オーバーライト特性、ヘッドクロック特性、走行耐久性の向上を図った磁気記録媒体についての提案もなされている(例えば、下記特許文献1、2参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特許第3277289号公報
【特許文献2】
特願平11−262685号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、ベース材料としてポリアミドフィルムのような強度の高い材料を選定すると、例えば大面積の磁気テープを作製する場合には、コスト高を招来するという問題を生じていた。
【0007】
また、上記特許文献1、2の磁気記録媒体は、単に磁性層の下層として非磁性粉末や、カーボンコートした非磁性粉末を含有させた層を設けたものにすぎないので、ベース自体の剛性を充分に高めることができず、今後さらなる薄層化が進んだ高密度型の磁気記録媒体に適用した場合に、優れた走行安定性、走行信頼性、および記録再生特性を満足するのは困難である。
【0008】
さらに、今後高密度記録化が進むに従い、記録信号の再生を行う際には極めて感度の高い、磁気抵抗効果型磁気ヘッド(MRヘッド)や巨大磁気抵抗効果型磁気ヘッド(GMRヘッド)を適用することが必要となるので、これら磁気ヘッドの静電破壊を回避する点に着目した磁気テープ設計が必要となってきている。
【0009】
そこで、本発明においては、ベースフィルムに強度が高い材料を選定することなく、充分なテープ剛性が得られ、優れた走行安定性および走行信頼性が確保でき、かつ磁気ヘッドの静電破壊を回避することのできる磁気記録媒体を提供することとした。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の磁気記録媒体は、非磁性支持体の一主面上に、磁性粉末を結合剤に分散させた磁性層を有し、他の主面上にバックコート層を有するものであり、バックコート層は、少なくとも結合剤および顔料により構成されてなり、この顔料中には、板状比が10以上50以下で、かつ板径が0.2μm以上1.0μm以下とした板状顔料粒子が含有されているものとする。
【0011】
また、本発明の磁気記録媒体は、非磁性支持体の一主面上に、磁性粉末を結合剤に分散させた磁性層を有し、他の主面上にバックコート層を有するものであり、バックコート層は、少なくとも結合剤および顔料により構成されてなり、この顔料中には、針状で、長軸長が0.20μm以上0.40μm以下であり、針状比が8以上15以下とした針状顔料粒子が含有されているものとする。
【0012】
また、本発明の磁気記録媒体は、非磁性支持体の一主面上に、下層非磁性層と、磁性粉末を結合剤に分散させた磁性層とを有するものであり、下層非磁性層は、少なくとも結合剤および非磁性顔料により構成されてなり、この非磁性顔料中には、板状比が10以上50以下で、かつ板径が0.2μm以上1.0μm以下とした板状顔料粒子が含有されているものとする。
【0013】
また、本発明の磁気記録媒体は、非磁性支持体の一主面上に、下層非磁性層と、磁性粉末を結合剤に分散させた磁性層とを有し、他の主面上にバックコート層を有するものであり、下層非磁性層およびバックコート層は、少なくとも結合剤および顔料により構成されてなり、これらの層の顔料中には、板状比が10以上50以下で、かつ板径が0.2μm以上1.0μm以下とした板状顔料粒子が、それぞれ含有されているものとする。
【0014】
また、本発明の磁気記録媒体は、非磁性支持体の一主面上に、下層非磁性層と、磁性粉末を結合剤に分散させた磁性層とを有し、他の主面上にバックコート層を有するものであり、下層非磁性層は、少なくとも結合剤および非磁性顔料により構成されてなり、この非磁性顔料中には、板状比が10以上50以下で、かつ板径が0.2μm以上1.0μm以下とした板状顔料粒子が含有されてなり、バックコート層は、少なくとも結合剤および顔料により構成されてなり、この顔料中には、針状で、長軸長が0.20μm以上0.40μm以下であり、針状比が8以上15以下とした針状顔料粒子が含有されているものとする。
【0015】
本発明によれば、バックコート層および/または下層非磁性層中に、所定の形状を有する顔料粒子を主顔料として含有させたものとしたことにより、極めて薄層型にして高密度記録化を図る場合においても、ベース自体に強度の高い材料を用いずに所望の剛性を確保することが可能となり、走行安定性および走行耐久性に優れ、記録再生特性が良好な信頼性の高い磁気記録媒体が得られる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の磁気記録媒体について図を参照しながら詳細に説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
本発明の磁気記録媒体は、図1に示すように非磁性支持体1の一主面上に磁性層2を有し、他の主面にバックコート層3を有しているものとする。また、本発明の磁気記録媒体は、図2に示すように非磁性支持体1と磁性層2との間に下層非磁性層4が形成された構成としてもよい。
以下、これら各層について説明する。
【0017】
非磁性支持体1は、従来磁気テープ用の支持体として公知のものをいずれも適用可能である。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル類、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン類、セルローストリアセテート、セルロースダイアセテート、セルロースアセテートブチレート等のセルロース誘導体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド等のプラスチック、紙、アルミニウム、銅等の金属、アルミニウム合金、チタン合金等の軽合金、セラミックス、単結晶シリコン等が挙げられる。
【0018】
磁性層2は、強磁性粉末と結合剤とを主成分とする磁性塗料を塗布することによって形成されてなるものである。
強磁性粉末としては、例えばFe、Co、Ni等の金属やFe−Co合金粉末、Fe−Al合金粉末、Fe−Al−Ni合金粉末、Fe−Al−Zn合金粉末、Fe−Al−Co合金粉末、Fe−Al−Ca合金粉末、Fe−Ni系合金、Fe−Ni−Al合金粉末、Fe−Ni−Co合金粉末、Fe−Ni−Si−Al−Mn合金粉末、Fe−Ni−Si−Al−Zn合金粉末、Fe−Al−Si合金粉末、Fe−Ni−Zn合金粉末、Fe−Ni−Mn合金粉末、Fe−Ni−Si合金粉末、Fe−Mn−Zn合金粉末、Fe−Co−Ni−P合金粉末、強磁性酸化鉄、窒化鉄、強磁性二酸化クロム等が挙げられる。また強磁性粉末には、酸化安定性、焼結防止、形状安定等を目的とした添加元素または酸化物等を添加してもよい。これら添加元素および酸化物としては、例えばAl、Y、Si、Ca、Laおよびこれらの酸化物、α−Fe2O3、γ−Fe2O3、Fe3O4等が挙げられる。
なお、強磁性粉末の平均長軸長は0.3μm以下、例えば0.02μm〜0.3μmであるのが好ましい。平均長軸長をこのように設定することにより、低い電気抵抗値を維持しつつ、かつ優れた電磁変換特性および表面平滑性を有する磁気記録媒体を提供することができる。
【0019】
結合剤としては、例えば塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−マレイン酸共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル−塩化ビニリデン共重合体、メタクリル酸−塩化ビニリデン共重合体、メタクリル酸エステル−スチレン共重合体、熱可塑性ポリウレタン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリフッ化ビニル、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−メタクリル酸共重合体、ポリビニルブチラール、セルロース誘導体、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、熱硬化性ポリウレタン樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂またはこれらの混合物等が挙げられる。中でも、柔軟性を付与するとされているポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体と、剛性を付与するとされているセルロース誘導体、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等が好ましい。これらはイソシアネート化合物を架橋剤としてより耐久性を向上させたりしてもよい。
【0020】
また、結合剤は、スルホン酸塩(−SO3M;MはNa、K等のアルカリ金属またはアルキル基を表す)、硫酸塩(−OSO3M;MはNa、K等のアルカリ金属またはアルキル基を表す)、カルボン酸基、アミノ酸類基、アミノスルホン酸類基、ホスホン基、ホスフィン基、−NR1R2、および−N+R1R2R3X−(ただし、R1、R2およびR3はいずれも水素および炭化水素基のいずれか一種を表し、互いに同じでも異なってもよい。さらにX−はハロゲンイオン、無機イオン、および有機イオンのいずれか一種を表す)よりなる群から任意に選ばれる一種または二種以上の極性官能基を有していてもよい。
【0021】
上記磁性層形成用の塗料には、必要に応じて潤滑剤、有機溶剤、帯電防止剤、防錆剤等の各種添加剤が添加されていてもよい。これらは、従来公知のものをいずれも適用することができる。
【0022】
次に、本発明の磁気記録媒体を構成するバックコート層3について説明する。バックコート層3は、所定の顔料、結合剤、潤滑剤、帯電防止剤等の各種添加剤、および有機溶剤を混合したバックコート層用塗料を、磁性層形成面とは反対側の主面上に塗布することによって形成される。
【0023】
図3、図4にバックコート層3の拡大概略図を示す。図3に示すように本発明の磁気記録媒体の一例においては、バックコート層3を構成する顔料中に、板状形状を有する板状顔料粒子5が主顔料として含有されている。ここで主顔料とは、全顔料中の60wt%以上程度含有されていることを意味する。
この板状顔料粒子5は、板状比が10以上50以下で、かつ板径が0.2μm以上1.0μm以下であるものとする。
【0024】
また、図4に示すように、本発明の磁気記録媒体の他の一例においては、バックコート層3を構成する顔料中に、針状形状を有する針状顔料粒子6が主顔料として含有されている。これにおいても、主顔料とは全顔料中の60wt%以上程度含有されていることを意味する。
この針状顔料粒子6は、長軸長が0.20μm以上0.40μm以下で、針状比が8以上15以下であるものとする。
【0025】
なお、バックコート層3中には、板状顔料粒子5と針状顔料粒子6とを適宜混合して含有させてもよい。
【0026】
バックコート層3中の板状顔料粒子5、針状顔料粒子6は、それぞれの40wt%以上が表面をカーボンで被覆されてなるものとすることが望ましい。この場合、図3、図4に示すように、核となる顔料粒子7a、7bの表面にカーボン膜8a、8bが形成された構成を有するものとする。これにより、バックコート層の表面電気抵抗値を制御でき、特に高感度磁気ヘッドを適用した場合に、ヘッド破壊を効果的に回避できる。また、優れた遮光性が得られ、記録時および再生時のエラー発生を回避できる。
【0027】
核となる顔料粒子7a、7bは、最終的に得られる磁気記録媒体が走行ガイド等に接触した際に、実用上充分な走行安定性および走行耐久性が得られるようにするために、モース硬度が5以上のものが好適である。
【0028】
顔料粒子7a、7bの材料としては、例えば、α−酸化鉄、TiO2、Al2O3、CaCO3、SiO2、メラミン・ホルムアルデヒド縮合物、アモルファスシリカ等が挙げられ、これらを単独で用いてもよく、あるいは二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0029】
カーボン膜8a、8bを構成するカーボンとしては、例えば、ファーネスブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック、ランプブラック等が挙げられる。これらのカーボンは単独で用いてもよく、組み合わせて用いてもよい。
また、カーボンは分散剤等により表面処理を施したり、樹脂でグラファイト化を施したり、表面の一部をグラファイト化したものを用いてもよい。
【0030】
カーボン膜8a、8bは、顔料粒子7a、7bにそれぞれメカノケミカルに被覆されているものとする。
なお、メカノケミカルとは、ある臨界以上の応力が固体に加わるとき、その作用点付近が局所的に高エネルギー状態となり、原子・分子の配列に乱れが生じ、物性が変化する現象であり、この現象を用いてカーボンを処理し、顔料粒子7a、7bにカーボンを被覆させる。
例えば、カーボンのストラクチャーをメカノケミカルに解砕してグラファイトの結晶子とし、得られたグラファイトの結晶子を顔料粒子7に被覆させる。この被覆処理においては、例えば、高速気流中衝撃装置(奈良機械製作所製商品名:ハイブリタイザー)を適用することができる。
【0031】
バックコート層3中のカーボン被覆された板状顔料粒子5と針状顔料粒子6の、それぞれのカーボン被覆量は5〜20wt%とすることが好適である。被覆量が5wt%未満であると、顔料粒子の表面全体を充分にカーボンで覆うことができず、バックコート層3の表面電気抵抗を所望の数値範囲に調整できなくなるためであり、一方20wt%よりも多いと、カーボン膜が厚くなりすぎ、板状顔料粒子全体として硬度が低下し、実用上充分な走行安定性、走行耐久性が得られなくなるからである。
【0032】
バックコート層3形成用の結合剤としては、上述した磁性層2形成用の結合剤と同様のものを適用することができる。また、必要に応じて潤滑剤、有機溶剤、帯電防止剤、防錆剤等の各種添加剤が添加されていてもよく、これらは従来公知のものをいずれも適用することができる。
【0033】
次に、図2に示す下層非磁性層4について説明する。
下層非磁性層4は、非磁性顔料、結合剤、潤滑剤、各種添加剤、および有機溶剤を含有する下層非磁性層用塗料を塗布することによって形成される。
【0034】
図5の下層非磁性層4の拡大概略図に示すように、非磁性顔料中には、板状形状を有する板状顔料粒子9が主顔料として含有されているものとする。ここで主顔料とは、全顔料中の60wt%以上程度含有されていることを意味する。
板状顔料粒子9は、板状比が10以上50以下で、かつ板径が0.2μm以上1.0μm以下であるものとする。
【0035】
下層非磁性層4中の板状顔料粒子9の30wt%以上が表面をカーボン被覆されてなるものとすることが望ましい。この場合、図5に示すように、非磁性顔料粒子10の表面にカーボン膜11が形成された構成を有している。これにより、磁性層表面の電気抵抗値を制御でき、特に高感度磁気ヘッドを適用した場合に、ヘッド破壊を効果的に回避できる。また、良好なヘッド当たりが得られ、走行安定性、走行耐久性の向上、記録再生特性の向上が図られる。
【0036】
非磁性顔料粒子10の材料としては、従来磁性層の下地層形成用材料として公知のものをいずれも適用でき、例えば、α−Fe2O3、TiO2、Cr2O3、α−FeOOH、CaO、SiO2、Al2O3、炭酸カルシウム等が挙げられ、これらを単独で用いてもよく、あるいは二種以上を組み合わせてもよい。
【0037】
非磁性顔料粒子10は、最終的に得られる磁気記録媒体が磁気ヘッドに接触した際に、実用上充分な走行安定性および走行耐久性が得られるようにするために、モース硬度が5以上であることが望ましい。
【0038】
表面をカーボン被覆されている板状顔料粒子9のカーボン量は、5〜20wt%とすることが望ましい。
カーボン被覆量が5wt%未満であると、表面全体を充分にカーボンで覆うことができず、磁性層の表面電気抵抗を所望の数値範囲に調整できなくなるためであり、一方20wt%よりも多いと、カーボン膜が厚くなりすぎ、板状顔料粒子全体として硬度が低下し、実用上充分な走行安定性、走行耐久性が得られなくなるからである。
【0039】
カーボン膜11を構成するカーボンについては、上述したバックコート層3の場合と同様のものを適用でき、カーボンの被覆方法についてもバックコート層3に場合と同様の方法が適用できる。
【0040】
下層非磁性層4の厚さは、0.2μm以上、とくに0.2μm〜2μmが好ましい。これにより電気抵抗値の低減化が図られ、優れた電磁変換特性および表面性を有する磁気記録媒体を提供することができる。
【0041】
下層非磁性層4形成用の結合剤としては、上述した磁性層2形成用の結合剤と同様のものを適用することができる。また、必要に応じて潤滑剤、有機溶剤、帯電防止剤、防錆剤等の各種添加剤を用いるものとし、これらは従来公知のものをいずれも適用することができる。
【0042】
本発明の磁気記録媒体は、上述したように、所定の形状に選定した顔料粒子を含有するバックコート層3および下層非記録層4を適宜組み合わせた構成とすることができる。
すなわち、バックコート層3のみに板状顔料粒子5および/または針状顔料粒子6が含有されたもの、下層非磁性層4のみに板状顔料粒子9が含有されたもの、バックコート層3および下層非磁性層4の双方に板状顔料粒子5、9が含有されたもの、バックコート層3に針状顔料粒子6が含有され、かつ下層非磁性層4に板状顔料粒子9が含有されたものが挙げられる。
【0043】
磁性層2、下層非磁性層4、およびバックコート層3をそれぞれ形成する塗料を調製するために使用される溶剤としては、従来公知のものがいずれも適用でき、なんら限定されるものではない。例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、酢酸グリコールモノエチルエステル等のエステル系溶剤、グリコールモノエチルエーテル、ジオキサン等のグリコールエーテル系溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、メチレンクロライド、エチレンクロライド、四塩化炭素、クロロホルム、エチレンクロロヒドリン、ジクロロベンゼン等の有機塩素化合物系溶剤が挙げられる。
【0044】
磁性層2、および下層非磁性層層4をそれぞれ形成するための塗料は、上述した各成分を溶剤とともに混練分散することにより調製される。混練分散の方法は、公知方法が適用でき、特に制限されないが、通常の混練機、例えば連続二軸混練機(エクストルーダー)、コニーダー、加圧ニーダー等を用いる方法が挙げられる。
【0045】
これら各層は、それぞれの塗料を例えばグラビアコート、押出コート、エアードクターコート、リバースロールコート等の従来の塗布方法により塗布することによって形成できる。
【0046】
また、図2に示すように下層非磁性層4上に磁性層2を形成する際には、下層非磁性層4および磁性層2を形成するための塗料をこの順で塗布して乾燥を行う、いわゆるウエット・オン・ドライ方式を用いてもよく、湿潤状態にある下層非磁性層4を形成するための塗料の上に磁性層2を形成するための塗料を重ねて塗布する、いわゆるウエット・オン・ウエット方式を用いてもよい。
【0047】
【実施例】
次に、本発明の具体的な実施例について説明する。
〔実施例1〜4〕、〔比較例1〜9〕
先ず、下記に示す組成から成る磁性塗料を作製した。
[磁性塗料組成]
(1)強磁性粉末(長軸長0.10μm):100重量部
(2)結合剤
▲1▼ポリエステル−ポリウレタン:8重量部
(平均分子量=21000、極性基:スルホン酸ナトリウム塩0.12mmol/g含有、 ポリエステル主成分:イソフタル酸−エチレングリコール、ウレタン化イソシアネート:ジフェニルメタンジイソシアネート)
▲2▼塩化ビニル系共重合体:10重量部
(平均重合度=305、極性基:硫酸カリウム塩0.08mmol/g含有、その他主な置換基:エポキシ基0.8mmol/g含有、水酸基0.3mmol/g含有)
(3)無機粉末(研磨材)
アルミナ粉末:8重量部
(α化率=85%、平均粒径0.10μm)
(4)ニトリロ三酢酸:3重量部
(5)潤滑剤
▲1▼ステアリン酸:1重量部
▲2▼ステアリン酸ブチル:2重量部
(6)溶剤
▲1▼メチルエチルケトン:20重量部
▲2▼トルエン:20重量部
▲3▼シクロヘキサノン:10重量部
【0048】
上記材料を、ニーダーで混練処理を施し、さらにメチルエチルケトン、トルエン、およびシクロヘキサノンで希釈した後、サンドミル分散し、磁性層形成用塗料とした。
【0049】
[下層非磁性層用塗料組成]
(1)無機粉末(α−酸化鉄、長軸長0.1μm):100重量部
(2)結合剤
▲1▼ポリエステル系ポリウレタン樹脂:3重量部
(数平均分子量=24000、極性基:スルホン酸ナトリウム塩0.08mmol/g含有、ポリエステル主成分:イソフタル酸、アジピン酸−ネオペンチルグリコール、エチレングリコール、ウレタン化イソシアネート:ジフェニルメタンジイソシアネート)
▲2▼塩化ビニル系共重合体:15重量部
(平均重合度=305、極性基:硫酸カリウム塩0.08mmol/g含有、 その他主な置換基:エポキシ基0.8mmol/g含有、水酸基0.3mmol/g含有)
(3)潤滑剤
▲1▼ステアリン酸:1重量部
▲2▼ステアリン酸ブチル:2重量部
(4)溶剤
▲1▼メチルエチルケトン:70重量部
▲2▼トルエン:70重量部
▲3▼シクロヘキサノン:40重量部
【0050】
上記の材料をサンドミル分散し、ポリイソシアネート(日本ポリウレタン製硬化剤「コロネートL」)2重量部添加して下層非磁性層用塗料を得た。
これを膜厚6.0μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(実施例5においては、膜厚4.5μmのポリエチレンテレフタレートフィルム)よりなる非磁性支持体1上に塗布し、膜厚1.8μmの下層非磁性層4を形成し、その後、上記磁性塗料を塗布し、膜厚0.2μmの磁性層2を形成した。
その後、磁性層2の磁場配向処理を行い、適度に乾燥させて巻取りし、カレンダー処理、および硬化処理を行った。
【0051】
次に、下記組成よりなるバックコート層用塗料を作製し、これを磁性層形成面側とは反対側の主面に塗布し、膜厚0.8μmのバックコート層3を形成した。
【0052】
[バックコート層用塗料組成]
(1)顔料(下記表1に主顔料を記載)
(2)結合剤
▲1▼ポリエステルポリウレタン:50重量部
(数平均分子量=24000、極性基:スルホン酸ナトリウム塩0.08mmol/g含有、ポリエステル主成分:イソフタル酸、アジピン酸−ネオペンチルグリコール、エチレングリコール、ウレタン化イソシアネート:ジフェニルメタンジイソシアネート)
▲2▼ニトロセルロース(旭化成工業社製 セルノバBTH 1/2):30重量部
(3)硬化剤
ポリイソシアネート(日本ポリウレタン社「コロネートL」):10重量部
(4)潤滑剤
▲1▼ステアリン酸:1重量部
▲2▼ステアリン酸ブチル:2重量部
(5)溶剤
▲1▼メチルエチルケトン:500重量部
▲2▼トルエン:500重量部
【0053】
【表1】
【0054】
バックコート層3に含有する顔料として、上記表1中の材料を適用し、それぞれ作製した磁気記録媒体を1/2インチ幅に裁断し、〔実施例1〜5〕、〔比較例1〜9〕のサンプル磁気テープを得た。
これらのサンプル磁気テープについて、それぞれ下記の方法により磁気テープの評価を行った。
【0055】
〔テープ強度〕
引っ張り試験機(MNB社製 TCM−200CR)を用いてテープヤング率を測定した。
〔テープ走行信頼性〕
1/2インチ固定ヘッド型ドライブ(VS80)を用いて、一定区間(10m長)の100000回走行を行い、エッジダメージを観察した。塗膜の剥離や折れ、クラックが入っている場合には×とし、実用上問題の無いものを○として評価した。
〔バックコート層側の表面電気抵抗〕
ECMA231に示される方法で、バックコート層側の表面電気抵抗を測定した。磁気抵抗効果型磁気ヘッドを用いた場合、104〜108Ω/sq.が良好な範囲で、かかる範囲外であると磁気ヘッドの破壊を生じた。
〔バックコート層表面性Ra〕
ZYGO社製 光干渉式表面粗度計を用いて、100μm×100μmの範囲の表面粗度Raを測定した。Raが20nmを超えると、表面粗度が大きすぎ、塗膜の脱落や磁性層表面側への表面形状転写等が起こった。
【0056】
下記表2に、〔実施例1〜5〕および〔比較例1〜9〕のサンプル磁気テープの評価結果を示す。
【0057】
【表2】
【0058】
上記表1、表2に示されているように、バックコート層中に、モース硬度が5以上で、板状比が10〜50、板径が0.2μm〜1.0μmの板状顔料粒子、もしくは、長軸長が0.20μm〜0.40μmで、針状比が8〜15の針状顔料粒子が含有されているものとした〔実施例1〜5〕のサンプル磁気テープにおいては、いずれも優れたテープ強度、表面粗度Raを有し、走行安定性、走行耐久性に優れ、高い走行信頼性が実現できた。
特に、非磁性支持体1として薄層のものを適用した実施例5においても、他の実施例と同程度のテープ強度が実現でき、高密度型の磁気テープに最適化することができた。
【0059】
比較例1においては、バックコート層中の板状顔料粒子の板径を0.2μm未満としたことにより、充分なテープ強度が得られず、走行安定性が悪化し、信頼性が低下した。
【0060】
比較例2においては、バックコート層中の板状顔料粒子の板状比が10未満であり、板状から六方角柱形状に近くなったので、充分なテープ強度が得られず、走行安定性が悪化し、信頼性が低下した。
【0061】
比較例3においては、バックコート層中の板状顔料粒子の板径が1.0μmを超えたものとしたので、表面粗度Raが大きくなりすぎ、実用上問題があった。
【0062】
比較例4においては、バックコート層中の板状顔料粒子の板状比が50よりも大きいものとしたので、塗料作製中に粒子が折れてしまい、最終的に得られる磁気テープにおいては、充分な強度が得られず、走行安定性が悪化し、信頼性が低下した。
【0063】
比較例5においては、バックコート層中の針状顔料粒子の針状比が15よりも大きいものとしたので、塗料作製中に粒子が折れてしまい、最終的に得られる磁気テープにおいては、充分な強度が得られず、走行安定性が悪化し、信頼性が低下した。
【0064】
比較例6においては、バックコート層中の針状顔料粒子の長軸長が長すぎ、バックコート層の表面粗度Raが大きくなり、実用上問題があった。
【0065】
比較例7においては、バックコート層中の針状顔料粒子の長軸長が短く、充分なテープ強度が得られず、走行安定性が悪化し、信頼性が低下した。
【0066】
比較例8においては、バックコート層中の針状顔料粒子の針状比が小さく、充分なテープ強度が得られず、走行安定性が悪化し、信頼性が低下した。
【0067】
比較例9においては、バックコート層中に、モース硬度が5未満の板状顔料粒子を含有させた構成としたものであるが、これにおいては、バックコート層形成用塗料の作製工程において、板状顔料粒子が折れてしまい、最終的に得られる磁気テープにおいて、充分な強度が得られず、走行安定性が悪化し、信頼性が低下した。
【0068】
〔実施例6〕〜〔実施例9〕、〔比較例10〕〜〔比較例13〕
これらにおいては、充分なテープ強度を確保しつつ、高密度記録型の磁気テープを作製する。
再生用磁気ヘッドとして高感度の磁気抵抗効果型磁気ヘッドを適用することとし、この磁気ヘッドの静電破壊を防止するために、電気抵抗値を1×104〜1×109Ω/sq.の範囲に制御するべく、カーボン粒子等の導電性粒子や導電性有機材料をバックコート層中に含有させることとした。
バックコート層形成用塗料中に、上記表1に示した顔料に替えて、下記表3に示す顔料粒子を添加してサンプル磁気テープを作製した。その他の作製条件は上記実施例1と同様とする。
なお、下記表3に示す顔料のカーボン被覆は、表面にメカノケミカル的に被着されているものとし、被着量は5〜20wt%であるものとする。
【0069】
【表3】
【0070】
上述のようにして作製した〔実施例6〜9〕、〔比較例10〜13〕のサンプル磁気テープのテープ強度、テープ走行信頼性、バックコート層側の表面電気抵抗、バックコート層表面性Raについて、それぞれ上述した方法により評価した。これらの評価結果を下記表4に示す。
【0071】
【表4】
【0072】
表4に示すように、バックコート層中に、所定の板状顔料粒子を60重量%、カーボン粒子を40wt%含有させた実施例6、および所定の針状顔料粒子を60wt%、カーボン粒子を40重量%含有させた実施例7においては、充分なテープ強度を確保しつつ、バックコート層の表面電気抵抗値を1×104〜1×109Ω/sq.の範囲に制御することができた。
また、所定の板状顔料粒子、針状顔料粒子のうちの40wt%をカーボン被膜させたものとした実施例8、9においてもバックコート層の表面電気抵抗値を1×104〜1×109Ω/sq.の範囲に制御することができた。
【0073】
比較例10、11においては、添加する導電性粒子(カーボン粒子)を40wt%よりも多くしたため、テープ強度が低下してしまい、走行安定性、走行耐久性が低下した。
【0074】
比較例12、13においては、所定の板状顔料粒子、針状顔料粒子のうち、カーボン被覆させるものを40wt%未満としたことにより、バックコート層の表面電気抵抗値を、1×104〜1×109Ω/sq.の範囲に制御できず、磁気ヘッドの静電破壊が生じた。
【0075】
〔実施例10〜12〕、〔比較例14〜16〕
下記に示す組成から成る磁性塗料を作製した。
[磁性塗料組成]
(1)強磁性粉末(長軸長0.10μm):100重量部
(2)結合剤
▲1▼ポリエステル−ポリウレタン:8重量部
(平均分子量=21000、極性基:スルホン酸ナトリウム塩0.12mmol/g含有、 ポリエステル主成分:イソフタル酸−エチレングリコール、ウレタン化イソシアネート:ジフェニルメタンジイソシアネート)
▲2▼塩化ビニル系共重合体:10重量部
(平均重合度=305、極性基:硫酸カリウム塩0.08mmol/g含有、その他主な置換基:エポキシ基0.8mmol/g含有、水酸基0.3mmol/g含有)
(3)無機粉末(研磨材)
アルミナ粉末:8重量部
(α化率=85%、平均粒径0.10μm)
(4)ニトリロ三酢酸:3重量部
(5)潤滑剤
▲1▼ステアリン酸:1重量部
▲2▼ステアリン酸ブチル:2重量部
(6)溶剤
▲1▼メチルエチルケトン:20重量部
▲2▼トルエン:20重量部
▲3▼シクロヘキサノン:10重量部
【0076】
上記材料を、ニーダーで混練処理を施し、さらにメチルエチルケトン、トルエン、およびシクロヘキサノンで希釈した後、サンドミル分散し、磁性層形成用塗料とした。
【0077】
[下層非磁性層用塗料組成]
(1)顔料(下記表5に主顔料を記載):100重量部
(2)結合剤
▲1▼ポリエステル系ポリウレタン樹脂:3重量部
(数平均分子量=24000、極性基:スルホン酸ナトリウム塩0.08mmol/g含有、ポリエステル主成分:イソフタル酸、アジピン酸−ネオペンチルグリコール、エチレングリコール、ウレタン化イソシアネート:ジフェニルメタンジイソシアネート)
▲2▼塩化ビニル系共重合体:15重量部
(平均重合度=305、極性基:硫酸カリウム塩0.08mmol/g含有、 その他主な置換基:エポキシ基0.8mmol/g含有、水酸基0.3mmol/g含有)
(3)潤滑剤
▲1▼ステアリン酸:1重量部
▲2▼ステアリン酸ブチル:2重量部
(4)溶剤
▲1▼メチルエチルケトン:70重量部
▲2▼トルエン:70重量部
▲3▼シクロヘキサノン:40重量部
【0078】
【表5】
【0079】
上記の材料をサンドミル分散し、ポリイソシアネート(日本ポリウレタン製硬化剤「コロネートL」)2重量部添加して下層非磁性層用の塗料を得た。
これを膜厚6.0μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(実施例12においては、膜厚4.5μmのポリエチレンテレフタレートフィルム)よりなる非磁性支持体1上に塗布し、膜厚1.8μmの下層非磁性層4を形成し、その後、上記磁性塗料を塗布し、膜厚0.1μmの磁性層2を形成した。
その後、磁性層2の磁場配向処理を行い、適度に乾燥させて巻取りし、カレンダー処理、および硬化処理を行った。
【0080】
次に、下記組成よりなるバックコート層用塗料を作製し、これを磁性層形成面側とは反対側の主面に塗布し、膜厚0.6μmのバックコート層3を形成した。
【0081】
[バックコート層用塗料組成]
(1)顔料
カーボンブラック−1 :95重量部
(平均粒径0.02μm、DBP吸油量=105cc/100g)
カーボンブラック−2 :3重量部
(平均粒径0.35μm、DBP吸油量=40cc/100g)
酸化チタン :2重量部
(平均粒径0.4μm)
(2)結合剤
▲1▼ポリエステルポリウレタン:50重量部
(数平均分子量=24000、極性基:スルホン酸ナトリウム塩0.08mmol/g含有、ポリエステル主成分:イソフタル酸、アジピン酸−ネオペンチルグリコール、エチレングリコール、ウレタン化イソシアネート:ジフェニルメタンジイソシアネート)
▲2▼ニトロセルロース(旭化成工業社製 セルノバBTH 1/2):30重量部(3)硬化剤
ポリイソシアネート(日本ポリウレタン社「コロネートL」):10重量部
(4)潤滑剤
▲1▼ステアリン酸:1重量部
▲2▼ステアリン酸ブチル:2重量部
(5)溶剤
▲1▼メチルエチルケトン:500重量部
▲2▼トルエン:500重量部
【0082】
その後、磁気記録媒体を1/2インチ幅に裁断し、〔実施例10〜12〕、〔比較例14〜16〕のサンプル磁気テープを得た。
これらのサンプル磁気テープについて、それぞれ下記の方法により磁気テープの評価を行った。
【0083】
〔テープ強度〕
引っ張り試験機(MNB社製 TCM−200CR)を用いてテープヤング率を測定した。
〔テープ走行信頼性〕
1/2インチ固定ヘッド型ドライブ(VS80)を用いて、一定区間(10m長)の100000回走行を行い、エッジダメージを観察した。塗膜の剥離や折れ、クラックが入っている場合には×とし、実用上問題の無いものを○として評価した。
〔電気抵抗〕
ECMA−231に示される方法で、表面電気抵抗値を測定した。磁気抵抗効果型磁気ヘッドを用いた場合、105〜109Ω/sq.の範囲とすることが良好であり、かかる範囲外であると、磁気ヘッドの破壊を生じる。
〔磁性層形成面の表面性Ra〕
ZYGO社製 光干渉式表面粗度計を用いて、100μm×100μmの範囲の表面粗度Raを測定した。Raが6nmを超えると、表面粗度が大きすぎ、磁気ヘッドと磁気テープとのスペーシングが大きくなりすぎ、充分な出力特性を得ることができず、また塗膜の脱落が起こる。
【0084】
下記表6に、〔実施例10〜12〕、〔比較例14〜16〕のサンプル磁気テープの評価結果を示す。
【0085】
【表6】
【0086】
上記表5、表6に示されているように、下層非磁性層中に、モース硬度が5以上で、板状比が10〜50、かつ板径が0.2μm〜1.0μmの板状顔料粒子が含有されているものとした〔実施例10〜12〕のサンプル磁気テープにおいては、いずれも優れたテープ強度、表面粗度Raが得られ、走行安定性、走行耐久性に優れた信頼性の高い磁気テープとすることができた。
特に、非磁性支持体1として薄層のものを適用した実施例12においても、他の実施例と同程度のテープ強度が実現でき、高密度型の磁気テープに最適化することができた。
【0087】
比較例14、15においては、下層非磁性層中の板状顔料粒子のモース硬度が5未満であるものとしたことにより、塗料作製中に板状顔料粒子が折れてしまい、最終的に得られる磁気テープにおいて、充分な強度が得られず、走行安定性が悪化し、信頼性が低下した。
【0088】
また、比較例16に示すように、下層非磁性層中に含有させる粒子として、針状形状のものを適用すると、充分なテープ強度が得られず、走行安定性が悪化し、信頼性が低下した。
【0089】
〔実施例13、14〕、〔比較例17〕〜〔比較例19〕
次に、上述したような充分なテープ強度を確保しつつ、高密度記録型として好適な磁気テープを作製する。
再生用磁気ヘッドとして高感度の磁気抵抗効果型磁気ヘッドを適用することとし、この磁気ヘッドの静電破壊を防止するために、表面電気抵抗値を105〜109Ω/sq.の範囲に制御するべく、カーボン粒子等の導電性粒子や導電性有機材料を下層非磁性層中に含有させることとした。
下層非磁性層中に、上記表5に示した非磁性顔料粒子に替えて、下記表7に示す顔料粒子を添加してサンプル磁気テープを作製した。その他の作製条件は上記実施例10と同様とする。なお、下記表7に示す粒子のカーボン被覆は、表面にメカノケミカル的に被着されているものとし、カーボン被着量は5〜20wt%であるものとする。
【0090】
【表7】
【0091】
上述のようにして作製した〔実施例13、14〕、〔比較例17〜19〕のサンプル磁気テープのテープ強度、テープ走行信頼性、電気抵抗、磁性層形成面の表面性Raについて、それぞれ上述した方法により評価した。これらの評価結果を下記表8に示す。
【0092】
【表8】
【0093】
表8に示すように、下層非磁性層中に、所定の板状顔料粒子であって、そのうちの30wt%以上が表面をカーボンで被覆されてなるものを含有させた実施例13、14の磁気テープにおいては、表面電気抵抗値を、105〜109Ω/sq.の範囲に制御することができ、磁気ヘッドの静電破壊を効果的に防止できた。
【0094】
比較例17においては、所定の板状顔料粒子のうち、カーボンで被覆されたものを30wt%未満としたことにより、表面電気抵抗値を、105〜109Ω/sq.の範囲に制御することができず、磁気ヘッドの静電破壊を起こした。
【0095】
比較例18においては、被覆するカーボン膜の量を5wt%未満であるものとしたことにより、粒子の全面を被覆することができず、電気抵抗値を、105〜109Ω/sq.の範囲に制御できず、磁気ヘッドの静電破壊を起こした。
【0096】
比較例19においては、被覆するカーボン膜の量を20wt%よりも多くしたことにより、被膜の脱落を生じ、磁気テープの表面性が悪化し、走行安定性が劣化した。
【0097】
〔実施例15〕
下記表9に示すように、下層非磁性層4に所定形状のカーボン被覆した板状顔料粒子を含有させ、バックコート層3に所定形状のカーボン被覆した板状顔料粒子を含有させた。その他の作製条件は、各実施例と同様としてサンプル磁気テープを作製した。
【0098】
【表9】
【0099】
実施例15のサンプル磁気テープについて、上述した各実施例および比較例と同様に、磁性層側の表面電気抵抗値、磁性層表面粗度Ra、バックコート層の表面電気抵抗値、およびバックコート層の表面粗度Raの測定を行い、走行信頼性についての評価を行った。評価結果を下記表10に示す。
【0100】
【表10】
【0101】
表10に示すように、下層非磁性層4中に、所定の板状顔料粒子であって、そのうちの30wt%が表面をカーボンで被覆されてなるものを含有させ、かつバックコート層3中に、所定の板状顔料粒子であって、その40wt%がカーボン被覆されてなるものを含有させた実施例15の磁気テープにおいては、磁性層側、バックコート層側のいずれにおいても表面電気抵抗値が最適化され、磁気ヘッドの静電破壊を効果的に防止でき、かつ走行安定性、走行耐久性についても優れた評価が得られた。
【0102】
〔実施例16〕
下記表11に示すように、下層非磁性層4に所定形状のカーボン被覆した板状顔料粒子を含有させ、バックコート層3に所定形状のカーボン被覆した針状顔料粒子を含有させた。その他の作製条件は、各実施例と同様としてサンプル磁気テープを作製した。
【0103】
【表11】
【0104】
実施例16のサンプル磁気テープについて、上述した各実施例および比較例と同様に、磁性層側の表面電気抵抗値、磁性層表面粗度Ra、バックコート層側の表面電気抵抗値、およびバックコート層の表面粗度Raの測定を行い、走行信頼性についての評価を行った。評価結果を下記表12に示す。
【0105】
【表12】
【0106】
表12に示すように、下層非磁性層4中に、所定の板状顔料粒子であって、そのうちの30wt%が表面をカーボンで被覆されてなるものを含有させ、かつバックコート層3中に、所定の針状顔料粒子であって、その40wt%がカーボン被覆されてなるものを含有させた実施例16の磁気テープにおいては、磁性層側、バックコート層側のいずれにおいても電気抵抗値が最適化され、磁気ヘッドの静電破壊を効果的に防止でき、かつ走行安定性、走行耐久性についても優れた評価が得られた。
【0107】
【発明の効果】
本発明によれば、バックコート層および/または下層非磁性層中に、板状形状もしくは針状形状の顔料粒子を適宜選定し、これらを主顔料として含有させたものとしたことにより、極めて薄層型にして高密度記録化を図る場合においても、ベース自体に強度の高い材料を用いずに所望の剛性を確保することが可能となり、コスト高を招来することなく、走行安定性および走行耐久性に優れ、記録再生特性が良好な信頼性の高い磁気記録媒体が得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気記録媒体の一例の概略断面図を示す。
【図2】本発明の磁気記録媒体の他の一例の概略断面図を示す。
【図3】バックコート層の拡大概略図を示す。
【図4】バックコート層の拡大概略図を示す。
【図5】下層非磁性層の拡大概略図を示す。
【符号の説明】
1……非磁性支持体、2……磁性層、3……バックコート層、4……下層非磁性層、5……板状顔料粒子、6……針状顔料粒子、7a,7b……顔料粒子、8a,8b……カーボン膜、9……板状顔料粒子、10……非磁性顔料粒子、11……カーボン膜
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に磁気テープ等の磁気記録媒体に関するものであり、詳しくは支持体の強度を高めて走行性や磁気ヘッド当たりを向上させ、かつ磁気ヘッドの静電破壊を防止した信頼性の高い磁気記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
オーディオ装置やビデオ装置、各種コンピュータ等に適用する記録メディアとして用いられている磁気記録媒体であって、磁性層が磁性粉末と結合剤とを含有する磁性塗料を塗布することによって形成されるいわゆる塗布型の磁気記録媒体においては、近年、デジタル記録等により情報量が増大化しているため、さらなる高密度記録化、短波長記録化が進められ、磁気記録媒体自体を薄層化して全体の記録容量の向上を図っている。
一方において、磁気記録媒体の特性向上への要求が高まってきており、特に、多数回走行させたときの走行安定性や、磁気ヘッドとして高感度磁気ヘッドを適用したときの信頼性が非常に重要なものとなってきている。
【0003】
ところで上述のように媒体自体の薄層化が進むと、所望の剛性が確保できず磁気ヘッド当たりが悪化し、記録再生特性の劣化を招来するおそれがあるため、磁気記録媒体の剛性を高めるべくベース材料として例えばポリアミドフィルム等の強度の高い材料を適用した磁気記録媒体も提案されている。
【0004】
また、磁性層下に非磁性粉末を含有する下層を形成し、オーバーライト特性、ヘッドクロック特性、走行耐久性の向上を図った磁気記録媒体についての提案もなされている(例えば、下記特許文献1、2参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特許第3277289号公報
【特許文献2】
特願平11−262685号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、ベース材料としてポリアミドフィルムのような強度の高い材料を選定すると、例えば大面積の磁気テープを作製する場合には、コスト高を招来するという問題を生じていた。
【0007】
また、上記特許文献1、2の磁気記録媒体は、単に磁性層の下層として非磁性粉末や、カーボンコートした非磁性粉末を含有させた層を設けたものにすぎないので、ベース自体の剛性を充分に高めることができず、今後さらなる薄層化が進んだ高密度型の磁気記録媒体に適用した場合に、優れた走行安定性、走行信頼性、および記録再生特性を満足するのは困難である。
【0008】
さらに、今後高密度記録化が進むに従い、記録信号の再生を行う際には極めて感度の高い、磁気抵抗効果型磁気ヘッド(MRヘッド)や巨大磁気抵抗効果型磁気ヘッド(GMRヘッド)を適用することが必要となるので、これら磁気ヘッドの静電破壊を回避する点に着目した磁気テープ設計が必要となってきている。
【0009】
そこで、本発明においては、ベースフィルムに強度が高い材料を選定することなく、充分なテープ剛性が得られ、優れた走行安定性および走行信頼性が確保でき、かつ磁気ヘッドの静電破壊を回避することのできる磁気記録媒体を提供することとした。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の磁気記録媒体は、非磁性支持体の一主面上に、磁性粉末を結合剤に分散させた磁性層を有し、他の主面上にバックコート層を有するものであり、バックコート層は、少なくとも結合剤および顔料により構成されてなり、この顔料中には、板状比が10以上50以下で、かつ板径が0.2μm以上1.0μm以下とした板状顔料粒子が含有されているものとする。
【0011】
また、本発明の磁気記録媒体は、非磁性支持体の一主面上に、磁性粉末を結合剤に分散させた磁性層を有し、他の主面上にバックコート層を有するものであり、バックコート層は、少なくとも結合剤および顔料により構成されてなり、この顔料中には、針状で、長軸長が0.20μm以上0.40μm以下であり、針状比が8以上15以下とした針状顔料粒子が含有されているものとする。
【0012】
また、本発明の磁気記録媒体は、非磁性支持体の一主面上に、下層非磁性層と、磁性粉末を結合剤に分散させた磁性層とを有するものであり、下層非磁性層は、少なくとも結合剤および非磁性顔料により構成されてなり、この非磁性顔料中には、板状比が10以上50以下で、かつ板径が0.2μm以上1.0μm以下とした板状顔料粒子が含有されているものとする。
【0013】
また、本発明の磁気記録媒体は、非磁性支持体の一主面上に、下層非磁性層と、磁性粉末を結合剤に分散させた磁性層とを有し、他の主面上にバックコート層を有するものであり、下層非磁性層およびバックコート層は、少なくとも結合剤および顔料により構成されてなり、これらの層の顔料中には、板状比が10以上50以下で、かつ板径が0.2μm以上1.0μm以下とした板状顔料粒子が、それぞれ含有されているものとする。
【0014】
また、本発明の磁気記録媒体は、非磁性支持体の一主面上に、下層非磁性層と、磁性粉末を結合剤に分散させた磁性層とを有し、他の主面上にバックコート層を有するものであり、下層非磁性層は、少なくとも結合剤および非磁性顔料により構成されてなり、この非磁性顔料中には、板状比が10以上50以下で、かつ板径が0.2μm以上1.0μm以下とした板状顔料粒子が含有されてなり、バックコート層は、少なくとも結合剤および顔料により構成されてなり、この顔料中には、針状で、長軸長が0.20μm以上0.40μm以下であり、針状比が8以上15以下とした針状顔料粒子が含有されているものとする。
【0015】
本発明によれば、バックコート層および/または下層非磁性層中に、所定の形状を有する顔料粒子を主顔料として含有させたものとしたことにより、極めて薄層型にして高密度記録化を図る場合においても、ベース自体に強度の高い材料を用いずに所望の剛性を確保することが可能となり、走行安定性および走行耐久性に優れ、記録再生特性が良好な信頼性の高い磁気記録媒体が得られる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の磁気記録媒体について図を参照しながら詳細に説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
本発明の磁気記録媒体は、図1に示すように非磁性支持体1の一主面上に磁性層2を有し、他の主面にバックコート層3を有しているものとする。また、本発明の磁気記録媒体は、図2に示すように非磁性支持体1と磁性層2との間に下層非磁性層4が形成された構成としてもよい。
以下、これら各層について説明する。
【0017】
非磁性支持体1は、従来磁気テープ用の支持体として公知のものをいずれも適用可能である。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル類、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン類、セルローストリアセテート、セルロースダイアセテート、セルロースアセテートブチレート等のセルロース誘導体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド等のプラスチック、紙、アルミニウム、銅等の金属、アルミニウム合金、チタン合金等の軽合金、セラミックス、単結晶シリコン等が挙げられる。
【0018】
磁性層2は、強磁性粉末と結合剤とを主成分とする磁性塗料を塗布することによって形成されてなるものである。
強磁性粉末としては、例えばFe、Co、Ni等の金属やFe−Co合金粉末、Fe−Al合金粉末、Fe−Al−Ni合金粉末、Fe−Al−Zn合金粉末、Fe−Al−Co合金粉末、Fe−Al−Ca合金粉末、Fe−Ni系合金、Fe−Ni−Al合金粉末、Fe−Ni−Co合金粉末、Fe−Ni−Si−Al−Mn合金粉末、Fe−Ni−Si−Al−Zn合金粉末、Fe−Al−Si合金粉末、Fe−Ni−Zn合金粉末、Fe−Ni−Mn合金粉末、Fe−Ni−Si合金粉末、Fe−Mn−Zn合金粉末、Fe−Co−Ni−P合金粉末、強磁性酸化鉄、窒化鉄、強磁性二酸化クロム等が挙げられる。また強磁性粉末には、酸化安定性、焼結防止、形状安定等を目的とした添加元素または酸化物等を添加してもよい。これら添加元素および酸化物としては、例えばAl、Y、Si、Ca、Laおよびこれらの酸化物、α−Fe2O3、γ−Fe2O3、Fe3O4等が挙げられる。
なお、強磁性粉末の平均長軸長は0.3μm以下、例えば0.02μm〜0.3μmであるのが好ましい。平均長軸長をこのように設定することにより、低い電気抵抗値を維持しつつ、かつ優れた電磁変換特性および表面平滑性を有する磁気記録媒体を提供することができる。
【0019】
結合剤としては、例えば塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−マレイン酸共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル−塩化ビニリデン共重合体、メタクリル酸−塩化ビニリデン共重合体、メタクリル酸エステル−スチレン共重合体、熱可塑性ポリウレタン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリフッ化ビニル、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−メタクリル酸共重合体、ポリビニルブチラール、セルロース誘導体、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、熱硬化性ポリウレタン樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂またはこれらの混合物等が挙げられる。中でも、柔軟性を付与するとされているポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体と、剛性を付与するとされているセルロース誘導体、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等が好ましい。これらはイソシアネート化合物を架橋剤としてより耐久性を向上させたりしてもよい。
【0020】
また、結合剤は、スルホン酸塩(−SO3M;MはNa、K等のアルカリ金属またはアルキル基を表す)、硫酸塩(−OSO3M;MはNa、K等のアルカリ金属またはアルキル基を表す)、カルボン酸基、アミノ酸類基、アミノスルホン酸類基、ホスホン基、ホスフィン基、−NR1R2、および−N+R1R2R3X−(ただし、R1、R2およびR3はいずれも水素および炭化水素基のいずれか一種を表し、互いに同じでも異なってもよい。さらにX−はハロゲンイオン、無機イオン、および有機イオンのいずれか一種を表す)よりなる群から任意に選ばれる一種または二種以上の極性官能基を有していてもよい。
【0021】
上記磁性層形成用の塗料には、必要に応じて潤滑剤、有機溶剤、帯電防止剤、防錆剤等の各種添加剤が添加されていてもよい。これらは、従来公知のものをいずれも適用することができる。
【0022】
次に、本発明の磁気記録媒体を構成するバックコート層3について説明する。バックコート層3は、所定の顔料、結合剤、潤滑剤、帯電防止剤等の各種添加剤、および有機溶剤を混合したバックコート層用塗料を、磁性層形成面とは反対側の主面上に塗布することによって形成される。
【0023】
図3、図4にバックコート層3の拡大概略図を示す。図3に示すように本発明の磁気記録媒体の一例においては、バックコート層3を構成する顔料中に、板状形状を有する板状顔料粒子5が主顔料として含有されている。ここで主顔料とは、全顔料中の60wt%以上程度含有されていることを意味する。
この板状顔料粒子5は、板状比が10以上50以下で、かつ板径が0.2μm以上1.0μm以下であるものとする。
【0024】
また、図4に示すように、本発明の磁気記録媒体の他の一例においては、バックコート層3を構成する顔料中に、針状形状を有する針状顔料粒子6が主顔料として含有されている。これにおいても、主顔料とは全顔料中の60wt%以上程度含有されていることを意味する。
この針状顔料粒子6は、長軸長が0.20μm以上0.40μm以下で、針状比が8以上15以下であるものとする。
【0025】
なお、バックコート層3中には、板状顔料粒子5と針状顔料粒子6とを適宜混合して含有させてもよい。
【0026】
バックコート層3中の板状顔料粒子5、針状顔料粒子6は、それぞれの40wt%以上が表面をカーボンで被覆されてなるものとすることが望ましい。この場合、図3、図4に示すように、核となる顔料粒子7a、7bの表面にカーボン膜8a、8bが形成された構成を有するものとする。これにより、バックコート層の表面電気抵抗値を制御でき、特に高感度磁気ヘッドを適用した場合に、ヘッド破壊を効果的に回避できる。また、優れた遮光性が得られ、記録時および再生時のエラー発生を回避できる。
【0027】
核となる顔料粒子7a、7bは、最終的に得られる磁気記録媒体が走行ガイド等に接触した際に、実用上充分な走行安定性および走行耐久性が得られるようにするために、モース硬度が5以上のものが好適である。
【0028】
顔料粒子7a、7bの材料としては、例えば、α−酸化鉄、TiO2、Al2O3、CaCO3、SiO2、メラミン・ホルムアルデヒド縮合物、アモルファスシリカ等が挙げられ、これらを単独で用いてもよく、あるいは二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0029】
カーボン膜8a、8bを構成するカーボンとしては、例えば、ファーネスブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック、ランプブラック等が挙げられる。これらのカーボンは単独で用いてもよく、組み合わせて用いてもよい。
また、カーボンは分散剤等により表面処理を施したり、樹脂でグラファイト化を施したり、表面の一部をグラファイト化したものを用いてもよい。
【0030】
カーボン膜8a、8bは、顔料粒子7a、7bにそれぞれメカノケミカルに被覆されているものとする。
なお、メカノケミカルとは、ある臨界以上の応力が固体に加わるとき、その作用点付近が局所的に高エネルギー状態となり、原子・分子の配列に乱れが生じ、物性が変化する現象であり、この現象を用いてカーボンを処理し、顔料粒子7a、7bにカーボンを被覆させる。
例えば、カーボンのストラクチャーをメカノケミカルに解砕してグラファイトの結晶子とし、得られたグラファイトの結晶子を顔料粒子7に被覆させる。この被覆処理においては、例えば、高速気流中衝撃装置(奈良機械製作所製商品名:ハイブリタイザー)を適用することができる。
【0031】
バックコート層3中のカーボン被覆された板状顔料粒子5と針状顔料粒子6の、それぞれのカーボン被覆量は5〜20wt%とすることが好適である。被覆量が5wt%未満であると、顔料粒子の表面全体を充分にカーボンで覆うことができず、バックコート層3の表面電気抵抗を所望の数値範囲に調整できなくなるためであり、一方20wt%よりも多いと、カーボン膜が厚くなりすぎ、板状顔料粒子全体として硬度が低下し、実用上充分な走行安定性、走行耐久性が得られなくなるからである。
【0032】
バックコート層3形成用の結合剤としては、上述した磁性層2形成用の結合剤と同様のものを適用することができる。また、必要に応じて潤滑剤、有機溶剤、帯電防止剤、防錆剤等の各種添加剤が添加されていてもよく、これらは従来公知のものをいずれも適用することができる。
【0033】
次に、図2に示す下層非磁性層4について説明する。
下層非磁性層4は、非磁性顔料、結合剤、潤滑剤、各種添加剤、および有機溶剤を含有する下層非磁性層用塗料を塗布することによって形成される。
【0034】
図5の下層非磁性層4の拡大概略図に示すように、非磁性顔料中には、板状形状を有する板状顔料粒子9が主顔料として含有されているものとする。ここで主顔料とは、全顔料中の60wt%以上程度含有されていることを意味する。
板状顔料粒子9は、板状比が10以上50以下で、かつ板径が0.2μm以上1.0μm以下であるものとする。
【0035】
下層非磁性層4中の板状顔料粒子9の30wt%以上が表面をカーボン被覆されてなるものとすることが望ましい。この場合、図5に示すように、非磁性顔料粒子10の表面にカーボン膜11が形成された構成を有している。これにより、磁性層表面の電気抵抗値を制御でき、特に高感度磁気ヘッドを適用した場合に、ヘッド破壊を効果的に回避できる。また、良好なヘッド当たりが得られ、走行安定性、走行耐久性の向上、記録再生特性の向上が図られる。
【0036】
非磁性顔料粒子10の材料としては、従来磁性層の下地層形成用材料として公知のものをいずれも適用でき、例えば、α−Fe2O3、TiO2、Cr2O3、α−FeOOH、CaO、SiO2、Al2O3、炭酸カルシウム等が挙げられ、これらを単独で用いてもよく、あるいは二種以上を組み合わせてもよい。
【0037】
非磁性顔料粒子10は、最終的に得られる磁気記録媒体が磁気ヘッドに接触した際に、実用上充分な走行安定性および走行耐久性が得られるようにするために、モース硬度が5以上であることが望ましい。
【0038】
表面をカーボン被覆されている板状顔料粒子9のカーボン量は、5〜20wt%とすることが望ましい。
カーボン被覆量が5wt%未満であると、表面全体を充分にカーボンで覆うことができず、磁性層の表面電気抵抗を所望の数値範囲に調整できなくなるためであり、一方20wt%よりも多いと、カーボン膜が厚くなりすぎ、板状顔料粒子全体として硬度が低下し、実用上充分な走行安定性、走行耐久性が得られなくなるからである。
【0039】
カーボン膜11を構成するカーボンについては、上述したバックコート層3の場合と同様のものを適用でき、カーボンの被覆方法についてもバックコート層3に場合と同様の方法が適用できる。
【0040】
下層非磁性層4の厚さは、0.2μm以上、とくに0.2μm〜2μmが好ましい。これにより電気抵抗値の低減化が図られ、優れた電磁変換特性および表面性を有する磁気記録媒体を提供することができる。
【0041】
下層非磁性層4形成用の結合剤としては、上述した磁性層2形成用の結合剤と同様のものを適用することができる。また、必要に応じて潤滑剤、有機溶剤、帯電防止剤、防錆剤等の各種添加剤を用いるものとし、これらは従来公知のものをいずれも適用することができる。
【0042】
本発明の磁気記録媒体は、上述したように、所定の形状に選定した顔料粒子を含有するバックコート層3および下層非記録層4を適宜組み合わせた構成とすることができる。
すなわち、バックコート層3のみに板状顔料粒子5および/または針状顔料粒子6が含有されたもの、下層非磁性層4のみに板状顔料粒子9が含有されたもの、バックコート層3および下層非磁性層4の双方に板状顔料粒子5、9が含有されたもの、バックコート層3に針状顔料粒子6が含有され、かつ下層非磁性層4に板状顔料粒子9が含有されたものが挙げられる。
【0043】
磁性層2、下層非磁性層4、およびバックコート層3をそれぞれ形成する塗料を調製するために使用される溶剤としては、従来公知のものがいずれも適用でき、なんら限定されるものではない。例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、酢酸グリコールモノエチルエステル等のエステル系溶剤、グリコールモノエチルエーテル、ジオキサン等のグリコールエーテル系溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、メチレンクロライド、エチレンクロライド、四塩化炭素、クロロホルム、エチレンクロロヒドリン、ジクロロベンゼン等の有機塩素化合物系溶剤が挙げられる。
【0044】
磁性層2、および下層非磁性層層4をそれぞれ形成するための塗料は、上述した各成分を溶剤とともに混練分散することにより調製される。混練分散の方法は、公知方法が適用でき、特に制限されないが、通常の混練機、例えば連続二軸混練機(エクストルーダー)、コニーダー、加圧ニーダー等を用いる方法が挙げられる。
【0045】
これら各層は、それぞれの塗料を例えばグラビアコート、押出コート、エアードクターコート、リバースロールコート等の従来の塗布方法により塗布することによって形成できる。
【0046】
また、図2に示すように下層非磁性層4上に磁性層2を形成する際には、下層非磁性層4および磁性層2を形成するための塗料をこの順で塗布して乾燥を行う、いわゆるウエット・オン・ドライ方式を用いてもよく、湿潤状態にある下層非磁性層4を形成するための塗料の上に磁性層2を形成するための塗料を重ねて塗布する、いわゆるウエット・オン・ウエット方式を用いてもよい。
【0047】
【実施例】
次に、本発明の具体的な実施例について説明する。
〔実施例1〜4〕、〔比較例1〜9〕
先ず、下記に示す組成から成る磁性塗料を作製した。
[磁性塗料組成]
(1)強磁性粉末(長軸長0.10μm):100重量部
(2)結合剤
▲1▼ポリエステル−ポリウレタン:8重量部
(平均分子量=21000、極性基:スルホン酸ナトリウム塩0.12mmol/g含有、 ポリエステル主成分:イソフタル酸−エチレングリコール、ウレタン化イソシアネート:ジフェニルメタンジイソシアネート)
▲2▼塩化ビニル系共重合体:10重量部
(平均重合度=305、極性基:硫酸カリウム塩0.08mmol/g含有、その他主な置換基:エポキシ基0.8mmol/g含有、水酸基0.3mmol/g含有)
(3)無機粉末(研磨材)
アルミナ粉末:8重量部
(α化率=85%、平均粒径0.10μm)
(4)ニトリロ三酢酸:3重量部
(5)潤滑剤
▲1▼ステアリン酸:1重量部
▲2▼ステアリン酸ブチル:2重量部
(6)溶剤
▲1▼メチルエチルケトン:20重量部
▲2▼トルエン:20重量部
▲3▼シクロヘキサノン:10重量部
【0048】
上記材料を、ニーダーで混練処理を施し、さらにメチルエチルケトン、トルエン、およびシクロヘキサノンで希釈した後、サンドミル分散し、磁性層形成用塗料とした。
【0049】
[下層非磁性層用塗料組成]
(1)無機粉末(α−酸化鉄、長軸長0.1μm):100重量部
(2)結合剤
▲1▼ポリエステル系ポリウレタン樹脂:3重量部
(数平均分子量=24000、極性基:スルホン酸ナトリウム塩0.08mmol/g含有、ポリエステル主成分:イソフタル酸、アジピン酸−ネオペンチルグリコール、エチレングリコール、ウレタン化イソシアネート:ジフェニルメタンジイソシアネート)
▲2▼塩化ビニル系共重合体:15重量部
(平均重合度=305、極性基:硫酸カリウム塩0.08mmol/g含有、 その他主な置換基:エポキシ基0.8mmol/g含有、水酸基0.3mmol/g含有)
(3)潤滑剤
▲1▼ステアリン酸:1重量部
▲2▼ステアリン酸ブチル:2重量部
(4)溶剤
▲1▼メチルエチルケトン:70重量部
▲2▼トルエン:70重量部
▲3▼シクロヘキサノン:40重量部
【0050】
上記の材料をサンドミル分散し、ポリイソシアネート(日本ポリウレタン製硬化剤「コロネートL」)2重量部添加して下層非磁性層用塗料を得た。
これを膜厚6.0μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(実施例5においては、膜厚4.5μmのポリエチレンテレフタレートフィルム)よりなる非磁性支持体1上に塗布し、膜厚1.8μmの下層非磁性層4を形成し、その後、上記磁性塗料を塗布し、膜厚0.2μmの磁性層2を形成した。
その後、磁性層2の磁場配向処理を行い、適度に乾燥させて巻取りし、カレンダー処理、および硬化処理を行った。
【0051】
次に、下記組成よりなるバックコート層用塗料を作製し、これを磁性層形成面側とは反対側の主面に塗布し、膜厚0.8μmのバックコート層3を形成した。
【0052】
[バックコート層用塗料組成]
(1)顔料(下記表1に主顔料を記載)
(2)結合剤
▲1▼ポリエステルポリウレタン:50重量部
(数平均分子量=24000、極性基:スルホン酸ナトリウム塩0.08mmol/g含有、ポリエステル主成分:イソフタル酸、アジピン酸−ネオペンチルグリコール、エチレングリコール、ウレタン化イソシアネート:ジフェニルメタンジイソシアネート)
▲2▼ニトロセルロース(旭化成工業社製 セルノバBTH 1/2):30重量部
(3)硬化剤
ポリイソシアネート(日本ポリウレタン社「コロネートL」):10重量部
(4)潤滑剤
▲1▼ステアリン酸:1重量部
▲2▼ステアリン酸ブチル:2重量部
(5)溶剤
▲1▼メチルエチルケトン:500重量部
▲2▼トルエン:500重量部
【0053】
【表1】
【0054】
バックコート層3に含有する顔料として、上記表1中の材料を適用し、それぞれ作製した磁気記録媒体を1/2インチ幅に裁断し、〔実施例1〜5〕、〔比較例1〜9〕のサンプル磁気テープを得た。
これらのサンプル磁気テープについて、それぞれ下記の方法により磁気テープの評価を行った。
【0055】
〔テープ強度〕
引っ張り試験機(MNB社製 TCM−200CR)を用いてテープヤング率を測定した。
〔テープ走行信頼性〕
1/2インチ固定ヘッド型ドライブ(VS80)を用いて、一定区間(10m長)の100000回走行を行い、エッジダメージを観察した。塗膜の剥離や折れ、クラックが入っている場合には×とし、実用上問題の無いものを○として評価した。
〔バックコート層側の表面電気抵抗〕
ECMA231に示される方法で、バックコート層側の表面電気抵抗を測定した。磁気抵抗効果型磁気ヘッドを用いた場合、104〜108Ω/sq.が良好な範囲で、かかる範囲外であると磁気ヘッドの破壊を生じた。
〔バックコート層表面性Ra〕
ZYGO社製 光干渉式表面粗度計を用いて、100μm×100μmの範囲の表面粗度Raを測定した。Raが20nmを超えると、表面粗度が大きすぎ、塗膜の脱落や磁性層表面側への表面形状転写等が起こった。
【0056】
下記表2に、〔実施例1〜5〕および〔比較例1〜9〕のサンプル磁気テープの評価結果を示す。
【0057】
【表2】
【0058】
上記表1、表2に示されているように、バックコート層中に、モース硬度が5以上で、板状比が10〜50、板径が0.2μm〜1.0μmの板状顔料粒子、もしくは、長軸長が0.20μm〜0.40μmで、針状比が8〜15の針状顔料粒子が含有されているものとした〔実施例1〜5〕のサンプル磁気テープにおいては、いずれも優れたテープ強度、表面粗度Raを有し、走行安定性、走行耐久性に優れ、高い走行信頼性が実現できた。
特に、非磁性支持体1として薄層のものを適用した実施例5においても、他の実施例と同程度のテープ強度が実現でき、高密度型の磁気テープに最適化することができた。
【0059】
比較例1においては、バックコート層中の板状顔料粒子の板径を0.2μm未満としたことにより、充分なテープ強度が得られず、走行安定性が悪化し、信頼性が低下した。
【0060】
比較例2においては、バックコート層中の板状顔料粒子の板状比が10未満であり、板状から六方角柱形状に近くなったので、充分なテープ強度が得られず、走行安定性が悪化し、信頼性が低下した。
【0061】
比較例3においては、バックコート層中の板状顔料粒子の板径が1.0μmを超えたものとしたので、表面粗度Raが大きくなりすぎ、実用上問題があった。
【0062】
比較例4においては、バックコート層中の板状顔料粒子の板状比が50よりも大きいものとしたので、塗料作製中に粒子が折れてしまい、最終的に得られる磁気テープにおいては、充分な強度が得られず、走行安定性が悪化し、信頼性が低下した。
【0063】
比較例5においては、バックコート層中の針状顔料粒子の針状比が15よりも大きいものとしたので、塗料作製中に粒子が折れてしまい、最終的に得られる磁気テープにおいては、充分な強度が得られず、走行安定性が悪化し、信頼性が低下した。
【0064】
比較例6においては、バックコート層中の針状顔料粒子の長軸長が長すぎ、バックコート層の表面粗度Raが大きくなり、実用上問題があった。
【0065】
比較例7においては、バックコート層中の針状顔料粒子の長軸長が短く、充分なテープ強度が得られず、走行安定性が悪化し、信頼性が低下した。
【0066】
比較例8においては、バックコート層中の針状顔料粒子の針状比が小さく、充分なテープ強度が得られず、走行安定性が悪化し、信頼性が低下した。
【0067】
比較例9においては、バックコート層中に、モース硬度が5未満の板状顔料粒子を含有させた構成としたものであるが、これにおいては、バックコート層形成用塗料の作製工程において、板状顔料粒子が折れてしまい、最終的に得られる磁気テープにおいて、充分な強度が得られず、走行安定性が悪化し、信頼性が低下した。
【0068】
〔実施例6〕〜〔実施例9〕、〔比較例10〕〜〔比較例13〕
これらにおいては、充分なテープ強度を確保しつつ、高密度記録型の磁気テープを作製する。
再生用磁気ヘッドとして高感度の磁気抵抗効果型磁気ヘッドを適用することとし、この磁気ヘッドの静電破壊を防止するために、電気抵抗値を1×104〜1×109Ω/sq.の範囲に制御するべく、カーボン粒子等の導電性粒子や導電性有機材料をバックコート層中に含有させることとした。
バックコート層形成用塗料中に、上記表1に示した顔料に替えて、下記表3に示す顔料粒子を添加してサンプル磁気テープを作製した。その他の作製条件は上記実施例1と同様とする。
なお、下記表3に示す顔料のカーボン被覆は、表面にメカノケミカル的に被着されているものとし、被着量は5〜20wt%であるものとする。
【0069】
【表3】
【0070】
上述のようにして作製した〔実施例6〜9〕、〔比較例10〜13〕のサンプル磁気テープのテープ強度、テープ走行信頼性、バックコート層側の表面電気抵抗、バックコート層表面性Raについて、それぞれ上述した方法により評価した。これらの評価結果を下記表4に示す。
【0071】
【表4】
【0072】
表4に示すように、バックコート層中に、所定の板状顔料粒子を60重量%、カーボン粒子を40wt%含有させた実施例6、および所定の針状顔料粒子を60wt%、カーボン粒子を40重量%含有させた実施例7においては、充分なテープ強度を確保しつつ、バックコート層の表面電気抵抗値を1×104〜1×109Ω/sq.の範囲に制御することができた。
また、所定の板状顔料粒子、針状顔料粒子のうちの40wt%をカーボン被膜させたものとした実施例8、9においてもバックコート層の表面電気抵抗値を1×104〜1×109Ω/sq.の範囲に制御することができた。
【0073】
比較例10、11においては、添加する導電性粒子(カーボン粒子)を40wt%よりも多くしたため、テープ強度が低下してしまい、走行安定性、走行耐久性が低下した。
【0074】
比較例12、13においては、所定の板状顔料粒子、針状顔料粒子のうち、カーボン被覆させるものを40wt%未満としたことにより、バックコート層の表面電気抵抗値を、1×104〜1×109Ω/sq.の範囲に制御できず、磁気ヘッドの静電破壊が生じた。
【0075】
〔実施例10〜12〕、〔比較例14〜16〕
下記に示す組成から成る磁性塗料を作製した。
[磁性塗料組成]
(1)強磁性粉末(長軸長0.10μm):100重量部
(2)結合剤
▲1▼ポリエステル−ポリウレタン:8重量部
(平均分子量=21000、極性基:スルホン酸ナトリウム塩0.12mmol/g含有、 ポリエステル主成分:イソフタル酸−エチレングリコール、ウレタン化イソシアネート:ジフェニルメタンジイソシアネート)
▲2▼塩化ビニル系共重合体:10重量部
(平均重合度=305、極性基:硫酸カリウム塩0.08mmol/g含有、その他主な置換基:エポキシ基0.8mmol/g含有、水酸基0.3mmol/g含有)
(3)無機粉末(研磨材)
アルミナ粉末:8重量部
(α化率=85%、平均粒径0.10μm)
(4)ニトリロ三酢酸:3重量部
(5)潤滑剤
▲1▼ステアリン酸:1重量部
▲2▼ステアリン酸ブチル:2重量部
(6)溶剤
▲1▼メチルエチルケトン:20重量部
▲2▼トルエン:20重量部
▲3▼シクロヘキサノン:10重量部
【0076】
上記材料を、ニーダーで混練処理を施し、さらにメチルエチルケトン、トルエン、およびシクロヘキサノンで希釈した後、サンドミル分散し、磁性層形成用塗料とした。
【0077】
[下層非磁性層用塗料組成]
(1)顔料(下記表5に主顔料を記載):100重量部
(2)結合剤
▲1▼ポリエステル系ポリウレタン樹脂:3重量部
(数平均分子量=24000、極性基:スルホン酸ナトリウム塩0.08mmol/g含有、ポリエステル主成分:イソフタル酸、アジピン酸−ネオペンチルグリコール、エチレングリコール、ウレタン化イソシアネート:ジフェニルメタンジイソシアネート)
▲2▼塩化ビニル系共重合体:15重量部
(平均重合度=305、極性基:硫酸カリウム塩0.08mmol/g含有、 その他主な置換基:エポキシ基0.8mmol/g含有、水酸基0.3mmol/g含有)
(3)潤滑剤
▲1▼ステアリン酸:1重量部
▲2▼ステアリン酸ブチル:2重量部
(4)溶剤
▲1▼メチルエチルケトン:70重量部
▲2▼トルエン:70重量部
▲3▼シクロヘキサノン:40重量部
【0078】
【表5】
【0079】
上記の材料をサンドミル分散し、ポリイソシアネート(日本ポリウレタン製硬化剤「コロネートL」)2重量部添加して下層非磁性層用の塗料を得た。
これを膜厚6.0μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(実施例12においては、膜厚4.5μmのポリエチレンテレフタレートフィルム)よりなる非磁性支持体1上に塗布し、膜厚1.8μmの下層非磁性層4を形成し、その後、上記磁性塗料を塗布し、膜厚0.1μmの磁性層2を形成した。
その後、磁性層2の磁場配向処理を行い、適度に乾燥させて巻取りし、カレンダー処理、および硬化処理を行った。
【0080】
次に、下記組成よりなるバックコート層用塗料を作製し、これを磁性層形成面側とは反対側の主面に塗布し、膜厚0.6μmのバックコート層3を形成した。
【0081】
[バックコート層用塗料組成]
(1)顔料
カーボンブラック−1 :95重量部
(平均粒径0.02μm、DBP吸油量=105cc/100g)
カーボンブラック−2 :3重量部
(平均粒径0.35μm、DBP吸油量=40cc/100g)
酸化チタン :2重量部
(平均粒径0.4μm)
(2)結合剤
▲1▼ポリエステルポリウレタン:50重量部
(数平均分子量=24000、極性基:スルホン酸ナトリウム塩0.08mmol/g含有、ポリエステル主成分:イソフタル酸、アジピン酸−ネオペンチルグリコール、エチレングリコール、ウレタン化イソシアネート:ジフェニルメタンジイソシアネート)
▲2▼ニトロセルロース(旭化成工業社製 セルノバBTH 1/2):30重量部(3)硬化剤
ポリイソシアネート(日本ポリウレタン社「コロネートL」):10重量部
(4)潤滑剤
▲1▼ステアリン酸:1重量部
▲2▼ステアリン酸ブチル:2重量部
(5)溶剤
▲1▼メチルエチルケトン:500重量部
▲2▼トルエン:500重量部
【0082】
その後、磁気記録媒体を1/2インチ幅に裁断し、〔実施例10〜12〕、〔比較例14〜16〕のサンプル磁気テープを得た。
これらのサンプル磁気テープについて、それぞれ下記の方法により磁気テープの評価を行った。
【0083】
〔テープ強度〕
引っ張り試験機(MNB社製 TCM−200CR)を用いてテープヤング率を測定した。
〔テープ走行信頼性〕
1/2インチ固定ヘッド型ドライブ(VS80)を用いて、一定区間(10m長)の100000回走行を行い、エッジダメージを観察した。塗膜の剥離や折れ、クラックが入っている場合には×とし、実用上問題の無いものを○として評価した。
〔電気抵抗〕
ECMA−231に示される方法で、表面電気抵抗値を測定した。磁気抵抗効果型磁気ヘッドを用いた場合、105〜109Ω/sq.の範囲とすることが良好であり、かかる範囲外であると、磁気ヘッドの破壊を生じる。
〔磁性層形成面の表面性Ra〕
ZYGO社製 光干渉式表面粗度計を用いて、100μm×100μmの範囲の表面粗度Raを測定した。Raが6nmを超えると、表面粗度が大きすぎ、磁気ヘッドと磁気テープとのスペーシングが大きくなりすぎ、充分な出力特性を得ることができず、また塗膜の脱落が起こる。
【0084】
下記表6に、〔実施例10〜12〕、〔比較例14〜16〕のサンプル磁気テープの評価結果を示す。
【0085】
【表6】
【0086】
上記表5、表6に示されているように、下層非磁性層中に、モース硬度が5以上で、板状比が10〜50、かつ板径が0.2μm〜1.0μmの板状顔料粒子が含有されているものとした〔実施例10〜12〕のサンプル磁気テープにおいては、いずれも優れたテープ強度、表面粗度Raが得られ、走行安定性、走行耐久性に優れた信頼性の高い磁気テープとすることができた。
特に、非磁性支持体1として薄層のものを適用した実施例12においても、他の実施例と同程度のテープ強度が実現でき、高密度型の磁気テープに最適化することができた。
【0087】
比較例14、15においては、下層非磁性層中の板状顔料粒子のモース硬度が5未満であるものとしたことにより、塗料作製中に板状顔料粒子が折れてしまい、最終的に得られる磁気テープにおいて、充分な強度が得られず、走行安定性が悪化し、信頼性が低下した。
【0088】
また、比較例16に示すように、下層非磁性層中に含有させる粒子として、針状形状のものを適用すると、充分なテープ強度が得られず、走行安定性が悪化し、信頼性が低下した。
【0089】
〔実施例13、14〕、〔比較例17〕〜〔比較例19〕
次に、上述したような充分なテープ強度を確保しつつ、高密度記録型として好適な磁気テープを作製する。
再生用磁気ヘッドとして高感度の磁気抵抗効果型磁気ヘッドを適用することとし、この磁気ヘッドの静電破壊を防止するために、表面電気抵抗値を105〜109Ω/sq.の範囲に制御するべく、カーボン粒子等の導電性粒子や導電性有機材料を下層非磁性層中に含有させることとした。
下層非磁性層中に、上記表5に示した非磁性顔料粒子に替えて、下記表7に示す顔料粒子を添加してサンプル磁気テープを作製した。その他の作製条件は上記実施例10と同様とする。なお、下記表7に示す粒子のカーボン被覆は、表面にメカノケミカル的に被着されているものとし、カーボン被着量は5〜20wt%であるものとする。
【0090】
【表7】
【0091】
上述のようにして作製した〔実施例13、14〕、〔比較例17〜19〕のサンプル磁気テープのテープ強度、テープ走行信頼性、電気抵抗、磁性層形成面の表面性Raについて、それぞれ上述した方法により評価した。これらの評価結果を下記表8に示す。
【0092】
【表8】
【0093】
表8に示すように、下層非磁性層中に、所定の板状顔料粒子であって、そのうちの30wt%以上が表面をカーボンで被覆されてなるものを含有させた実施例13、14の磁気テープにおいては、表面電気抵抗値を、105〜109Ω/sq.の範囲に制御することができ、磁気ヘッドの静電破壊を効果的に防止できた。
【0094】
比較例17においては、所定の板状顔料粒子のうち、カーボンで被覆されたものを30wt%未満としたことにより、表面電気抵抗値を、105〜109Ω/sq.の範囲に制御することができず、磁気ヘッドの静電破壊を起こした。
【0095】
比較例18においては、被覆するカーボン膜の量を5wt%未満であるものとしたことにより、粒子の全面を被覆することができず、電気抵抗値を、105〜109Ω/sq.の範囲に制御できず、磁気ヘッドの静電破壊を起こした。
【0096】
比較例19においては、被覆するカーボン膜の量を20wt%よりも多くしたことにより、被膜の脱落を生じ、磁気テープの表面性が悪化し、走行安定性が劣化した。
【0097】
〔実施例15〕
下記表9に示すように、下層非磁性層4に所定形状のカーボン被覆した板状顔料粒子を含有させ、バックコート層3に所定形状のカーボン被覆した板状顔料粒子を含有させた。その他の作製条件は、各実施例と同様としてサンプル磁気テープを作製した。
【0098】
【表9】
【0099】
実施例15のサンプル磁気テープについて、上述した各実施例および比較例と同様に、磁性層側の表面電気抵抗値、磁性層表面粗度Ra、バックコート層の表面電気抵抗値、およびバックコート層の表面粗度Raの測定を行い、走行信頼性についての評価を行った。評価結果を下記表10に示す。
【0100】
【表10】
【0101】
表10に示すように、下層非磁性層4中に、所定の板状顔料粒子であって、そのうちの30wt%が表面をカーボンで被覆されてなるものを含有させ、かつバックコート層3中に、所定の板状顔料粒子であって、その40wt%がカーボン被覆されてなるものを含有させた実施例15の磁気テープにおいては、磁性層側、バックコート層側のいずれにおいても表面電気抵抗値が最適化され、磁気ヘッドの静電破壊を効果的に防止でき、かつ走行安定性、走行耐久性についても優れた評価が得られた。
【0102】
〔実施例16〕
下記表11に示すように、下層非磁性層4に所定形状のカーボン被覆した板状顔料粒子を含有させ、バックコート層3に所定形状のカーボン被覆した針状顔料粒子を含有させた。その他の作製条件は、各実施例と同様としてサンプル磁気テープを作製した。
【0103】
【表11】
【0104】
実施例16のサンプル磁気テープについて、上述した各実施例および比較例と同様に、磁性層側の表面電気抵抗値、磁性層表面粗度Ra、バックコート層側の表面電気抵抗値、およびバックコート層の表面粗度Raの測定を行い、走行信頼性についての評価を行った。評価結果を下記表12に示す。
【0105】
【表12】
【0106】
表12に示すように、下層非磁性層4中に、所定の板状顔料粒子であって、そのうちの30wt%が表面をカーボンで被覆されてなるものを含有させ、かつバックコート層3中に、所定の針状顔料粒子であって、その40wt%がカーボン被覆されてなるものを含有させた実施例16の磁気テープにおいては、磁性層側、バックコート層側のいずれにおいても電気抵抗値が最適化され、磁気ヘッドの静電破壊を効果的に防止でき、かつ走行安定性、走行耐久性についても優れた評価が得られた。
【0107】
【発明の効果】
本発明によれば、バックコート層および/または下層非磁性層中に、板状形状もしくは針状形状の顔料粒子を適宜選定し、これらを主顔料として含有させたものとしたことにより、極めて薄層型にして高密度記録化を図る場合においても、ベース自体に強度の高い材料を用いずに所望の剛性を確保することが可能となり、コスト高を招来することなく、走行安定性および走行耐久性に優れ、記録再生特性が良好な信頼性の高い磁気記録媒体が得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気記録媒体の一例の概略断面図を示す。
【図2】本発明の磁気記録媒体の他の一例の概略断面図を示す。
【図3】バックコート層の拡大概略図を示す。
【図4】バックコート層の拡大概略図を示す。
【図5】下層非磁性層の拡大概略図を示す。
【符号の説明】
1……非磁性支持体、2……磁性層、3……バックコート層、4……下層非磁性層、5……板状顔料粒子、6……針状顔料粒子、7a,7b……顔料粒子、8a,8b……カーボン膜、9……板状顔料粒子、10……非磁性顔料粒子、11……カーボン膜
Claims (17)
- 非磁性支持体の一主面上に、磁性粉末を結合剤に分散させた磁性層を有し、他の主面上にバックコート層を有する磁気記録媒体であって、
上記バックコート層は、少なくとも結合剤および顔料により構成されてなり、上記顔料中には、板状比が10以上50以下で、かつ板径が0.2μm以上1.0μm以下とした板状顔料粒子が含有されていることを特徴とする磁気記録媒体。 - 上記板状顔料粒子の40wt%以上が、表面をカーボンで被覆されてなるものであることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体。
- 上記板状顔料粒子は、モース硬度が5以上であることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体。
- 非磁性支持体の一主面上に、磁性粉末を結合剤に分散させた磁性層を有し、他の主面上にバックコート層を有する磁気記録媒体であって、
上記バックコート層は、少なくとも結合剤および顔料により構成されてなり、上記顔料中には、針状で、長軸長が0.20μm以上0.40μm以下であり、針状比が8以上15以下とした針状顔料粒子が含有されていることを特徴とする磁気記録媒体。 - 上記針状顔料粒子の40wt%以上が、表面をカーボンで被覆されてなるものであることを特徴とする請求項4に記載の磁気記録媒体。
- 上記針状顔料粒子は、モース硬度が5以上であることを特徴とする請求項4に記載の磁気記録媒体。
- 非磁性支持体の一主面上に、下層非磁性層と、磁性粉末を結合剤に分散させた磁性層とを有する磁気記録媒体であって、
上記下層非磁性層は、少なくとも結合剤および非磁性顔料により構成されてなり、
上記非磁性顔料中には、板状比が10以上50以下で、かつ板径が0.2μm以上1.0μm以下とした板状顔料粒子が含有されていることを特徴とする磁気記録媒体。 - 上記板状顔料粒子の30wt%以上が、表面をカーボンで被覆されてなるものであり、かつ上記カーボン量は、被覆する板状顔料粒子に対して5〜20wt%であることを特徴とする請求項7に記載の磁気記録媒体。
- 上記板状顔料粒子は、モース硬度が5以上であることを特徴とする請求項7に記載の磁気記録媒体。
- 非磁性支持体の一主面上に、下層非磁性層と、磁性粉末を結合剤に分散させた磁性層とを有し、他の主面上にバックコート層を有する磁気記録媒体であって、
上記下層非磁性層および上記バックコート層は、少なくとも結合剤および顔料により構成されてなり、上記顔料中には、板状比が10以上50以下で、かつ板径が0.2μm以上1.0μm以下とした板状顔料粒子が、それぞれ含有されていることを特徴とする磁気記録媒体。 - 上記下層非磁性層および上記バックコート層のそれぞれに含有されている上記板状顔料粒子のうちの40wt%以上が、表面をカーボンで被覆されてなるものであることを特徴とする請求項10に記載の磁気記録媒体。
- 上記板状顔料粒子は、モース硬度が5以上であることを特徴とする請求項10に記載の磁気記録媒体。
- 非磁性支持体の一主面上に、下層非磁性層と、磁性粉末を結合剤に分散させた磁性層とを有し、他の主面上にバックコート層を有する磁気記録媒体であって、
上記下層非磁性層は、少なくとも結合剤および非磁性顔料により構成されてなり、上記非磁性顔料中には、板状比が10以上50以下で、かつ板径が0.2μm以上1.0μm以下とした板状顔料粒子が含有されてなり、
上記バックコート層は、少なくとも結合剤および顔料により構成されてなり、上記顔料中には、針状で、長軸長が0.20μm以上0.40μm以下であり、針状比が8以上15以下とした針状顔料粒子が含有されていることを特徴とする磁気記録媒体。 - 上記針状顔料粒子の40wt%以上が、表面をカーボンで被覆されてなるものであることを特徴とする請求項13に記載の磁気記録媒体。
- 上記針状顔料粒子のモース硬度が5以上であることを特徴とする請求項13に記載の磁気記録媒体。
- 上記板状顔料粒子の30wt%以上が、表面をカーボンで被覆されてなるものであり、かつ上記カーボン量は、被覆する板状顔料粒子に対して5〜20wt%としたことを特徴とする請求項13に記載の磁気記録媒体。
- 上記下層非磁性層中の板状顔料粒子のモース硬度が5以上であることを特徴とする請求項13に記載の磁気記録媒体。
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