JP2004252117A - 熱転写用再帰反射媒体中間体とそれを用いた熱転写方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】支持シート1と一体になった厚み15〜70μmの仮埋設層としての熱軟化性樹脂層2に、屈折率1.6〜2.5、直径が500μm以下の透明微小球3を埋設し、前記熱軟化性樹脂層2に対する埋設側とは反対側の透明微小球3表面を2層のトータル厚みが30μm以下の透明樹脂層4,5でコートし、さらにこの透明樹脂層5の外側に金属反射層6を設けた。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は衣料、バッグ、シューズなどのアパレルのワンポイントなどの装飾や、標識用の旗、垂れ幕、安全服、保安用ベストなどの保安衣料および、ウィンドブレーカー、トレーニングウェアー、Tシャツなどのスポーツ衣料に用いることができる熱転写用再帰反射媒体中間体とそれを用いた熱転写方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、交通標識などの表示用として、特に夜間の視認性を高めるため、透明微小球を単層に付設した光再帰反射媒体が広く用いられている。近年、交通標識以外にも、警察、消防、土建工事関係者、海難器具など夜間に作業する人々の安全確保の観点から、安全服、保安ベスト、たすき、腕章などの安全衣料に使用されてきた。さらに、一般の安全意識の高揚から夜間の歩行者、ジョッガー、老人、子供、障害者などに対する交通事故防止対策として、ウィンドブレーカー、トレーニングウェアー、Tシャツ、スポーツシューズ、水着などのスポーツアパレル、さらにはバッグやスーツケースなどに対する装飾用を兼ねた用途にも幅広く使用されてきた。
【0003】
このような特に衣料に関連する用途には再帰性反射性能が高いばかりでなく、風合いがソフトで、使用中の耐久性、たとえば洗濯耐久性などに優れた媒体が求められている。この用途に再帰性反射性能とソフトな風合いという要求を満足させるため、オープンタイプと呼ばれる再帰反射媒体が広く用いられるようになってきた。オープンタイプの再帰反射媒体はクローズドタイプのそれと対比して特徴づけられる。即ち、オープンタイプでは入射光と再帰反射してゆく光の方向の透明微小球の表面には樹脂層が無く、しかも反射している透明微小球面側には直接反射層を設けている。このためクローズドタイプに比較して、光のロスが少なく、風合いもソフトなものになる。
【0004】
しかし、従来のオープンタイプの再帰反射媒体は光反射層としてアルミニウム蒸着により形成されているものが非常に多い。このため、再帰性反射の色は銀白色しか得られないと言う欠点がある。安全のみを主眼とする用途ではこれでも良かったが、最近のアパレル用途などではファッション性も重要視されてきている。そのため、アルミニウム蒸着のような金属蒸着膜を使用せず、反射性微粒子を含有する着色樹脂をスクリーン印刷することにより、再帰反射性はさほど高くはないが、見栄えは良好なものが使用される場合もある。
【0005】
さらに近年、固有の反射層を形成せず、ガラス微小球のみをワンポイントの装飾用として使用する場合も出てきている。即ち、ガラス微小球のみで、光が微妙に反射し、装飾用として有効なためである。この進んだ形として、特許文献1には樹脂製微小球、また染色されたものを使用した例もある。この場合、軽量、ソフト、色彩感などのファッション性は優れるが、再帰反射輝度が低く、視認性の限定したものしか得られない。
【0006】
従来型の反射材をワンポイントに装飾用に利用する場合、特許文献2にあるように、支持シートに支えられた熱軟化性樹脂の中に微小ガラス球を一部埋没させ、微小ガラス球の非埋設部分の球面に金属蒸着を施し反射層を設けて積層体を形成し、前記積層体の反射層面に加熱圧着型接着剤を、塗布部と非塗布部からなる図柄に塗布し、被着体に重ねて、その上から熱圧着することにより前記図柄部分を接着させ、しかる後前記図柄部分の微小ガラス球から非接着性樹脂層と基体を、前記加熱圧着型接着剤を塗布していない部分の積層体と共に剥離して、再帰性反射部を図柄とおりに被着体に貼り付ける方法を提案しているが、被着図柄が反射部と非反射部を交互に配置した連続模様の制約や、着色反射はできないなどの制約があった。
【0007】
また、着色反射ができる技術として特許文献3にあるように、固着バインダー樹脂層に40〜80%の埋没率で直径500μm以下、屈折率1.9以上の高屈折率ガラス小球を埋設し、該ガラス小球の後部埋没部分には、直接反射層を設け、かつガラス小球の前部露出面側に該露出面を覆うように同心楕円半球殻状で厚さ0.01〜5μmの無色あるいは着色透明樹脂の被膜を凹レンズ状に形成してなることを特徴とする光再帰反射器が提案されているが、特に着色をしたい場合、使用部位によっては初期の色調が使用中の表面樹脂層の摩擦摩耗により影響されることがあった。
【0008】
従来型の反射材をワンポイントに装飾的に利用する場合、被着体への貼り付け方法は、再帰反射媒体をカッターなどで切り取り、被着体に糸で縫い付ける方法や、接着剤で貼り付ける方法が用いられている。これらの方法によれば比較的単純な形状の再帰反射媒体の接着は可能であるが、より進んだ方法としてコンピューターで複雑な形状を切り、不要な部分を人の手で除き(カス取り)、被着体に熱転写でくっつける方法があるが、人手による作業があるため、カット段階までは細かくて複雑な形状でもカット可能であるが、カス取りができずに実質上限界があった。
【0009】
【特許文献1】
特開2000−75116号
【0010】
【特許文献2】
特公平6−99887号公報
【0011】
【特許文献3】
特公平4−11002号
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前記したような視認性を持つ反射材の課題を解決するもので、オープンタイプの再帰反射性能を可能な限り高く保持し、かつ見栄えのする色調の光反射を実現し、かつ衣料などを代表とする被着体に容易に熱転写できる熱転写用再帰反射媒体中間体とそれを用いた熱転写方法を提供することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するため、鋭意検討をおこなった。その結果熱転写用再帰反射媒体の構成を特定の厚みとして形成し、その後に熱転写接着層を印刷でパターン情報を与えることにより、従来不可能であった複雑で細かなパターンを被着体に容易に熱転写できることが分かった。
【0014】
即ち本発明は、支持シートと一体になった厚み15〜70μmの仮埋設層としての熱軟化性樹脂層に、屈折率1.6〜2.5、直径が500μm以下の透明微小球を埋設し、前記熱軟化性樹脂層に対する埋設側とは反対側の透明微小球表面を1層乃至2層のトータル厚みが30μm以下の透明樹脂層でコートし、さらにこの透明樹脂層の外側に金属反射層を設けた熱転写用再帰反射媒体中間体を要旨とするものである。また本発明は、透明樹脂層が着色されている熱転写用再帰反射媒体中間体を要旨とするものである。さらに本発明は、上記熱転写用再帰反射媒体中間体に、熱転写温度が160℃以下の樹脂からなる熱転写性接着層を、20〜100μmの厚さで金属反射層側から希望する図柄に印刷し、被着体に熱転写性接着層が接するように重ね、被着体と熱転写用再帰反射媒体を熱圧着した後、被着体に熱転写性接着層を介して一体になっている透明微小球を熱軟化性樹脂層から剥離させることにより所望の図柄を被着体に熱転写する熱転写用再帰反射媒体中間体を用いた熱転写方法を要旨とするものである。
【0015】
この構成により、オープンタイプの再帰反射性能を可能な限り高く保持し、かつ見栄えのする色調の光反射を実現し、かつ衣料などを代表とする被着体に容易に熱転写できる熱転写用再帰反射媒体中間体とそれを用いた熱転写方法を提供することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
図1は本発明の熱転写用再帰反射媒体中間体の一例を示す。図1において、支持シート1に熱軟化性樹脂層2が積層されている。その熱軟化性樹脂層2の中に無数の透明微小球3が一部埋没した形で設けられている。前記熱軟化性樹脂層2に対する埋設側とは反対側の透明微小球3表面に前記熱軟化性樹脂層2よりも高い軟化温度を有するか、あるいは明確な熱軟化性を示さない架橋樹脂からなる2層のトータル厚みが30μm以下の透明樹脂層4,5を設ける。そして、外側の透明樹脂層5の表面に金属反射層6を設ける。このような熱転写用再帰反射媒体中間体に図2に示すような熱転写用接着層7を所望の図柄にスクリーン印刷、グラビア印刷などで印刷し、図3に示すように熱ロールや熱プレス、アイロンなどの加熱手段で被着体8に熱転写する。
【0017】
ここで支持シート1は透明微小球3を埋設する際に、熱軟化性樹脂層2が軟化する温度以上の温度においても充分な安定性を保つシートが要求されている。このようなものとして、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステルフィルムや紙などが好ましく用いられる。その厚さは30μm以上好ましくは50μm以上である。厚さが薄いと熱軟化性樹脂層2が軟化したとき積層体の形態保持性が無くなり、好ましくない。
【0018】
透明微小球3を埋設し、保持する熱軟化性樹脂層2としては前記支持シート1より軟化温度の低い樹脂が要求され、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニール共重合体、ポリビニールアルコール、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂などが好ましく用いられる。中でも、ポリエチレン、ポリプロピレンが好ましい。その厚みは15〜70μm、好ましくは20〜40μmである。熱軟化性樹脂層2の厚みが15μm未満では透明微小球3の埋設が不充分であり、蒸着工程などでの透明微小球3の脱落が発生したりする。熱軟化性樹脂層2の厚みが70μmを超えると支持シート1と合わせた厚みが厚くなりすぎ、加工工程でロールから浮いたりして事実上加工が困難である。
【0019】
また、支持シート1と熱軟化性樹脂層2とは接着層を介して、あるいは介さずに強固に接着されていることが好ましい。両者の接着が弱いと熱軟化性樹脂層2を軟化させ、透明微小球3を埋没させる際に剥離が生じ、透明微小球3が不完全な埋設となる。
【0020】
本発明に使用する透明微小球3は屈折率1.6〜2.5、好ましくは1.9〜2.3である。屈折率が1.6未満では金属反射層6に焦点が合わなくなり、再帰反射性能が低下するし、屈折率が2.5を超えても同様の現象が起こり、再帰反射性能が低下する。また、透明微小球2の平均粒径は500μm以下、好ましくは20〜200μmである。平均粒径が500μmを超えると転写後の装飾体の柔軟性が無く、アパレル関連用途として汎用性に欠けるものとなる。また、透明微小球3の材質は屈折率が前記範囲に入るものなら特に制約しないが、ガラス製の透明微小球3が透明性、耐薬品性、耐洗濯性、耐候性にも優れ好ましい。
【0021】
また、透明微小球3の熱軟化性樹脂層2への埋設率は透明微小球3の直径の20〜60%が好ましい。特に、埋設率35〜50%前後が透明微小球3の保持性や転写性の点から好ましい。埋設率が20%未満では熱軟化性樹脂層2による透明微小球3の固着が悪くなり、蒸着工程など、金属反射層形成工程で透明微小球3の脱落が生じる。また、埋設率が60%を超えると熱転写の際、熱軟化樹脂層2側に透明微小球3が残存し転写性が悪くなる。
【0022】
本発明の透明微小球3に設けられる透明樹脂層4,5としては、後で設けられる熱転写接着層7より高い軟化温度を有するものである。好ましくは、熱転写する温度において軟化せず、流動を起こさないものである。さらに好ましくは透明微小球3との密着性の優れたものが好ましいことは言うまでもない。ここで用いられる樹脂としては、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、エチレン−酢酸ビニール系樹脂などがあり、それらの1種または2種以上を主体としたものが使用できる。また、それらの2種以上の共重合物も好ましく用いられる。特に好ましいのはポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エチレン−酢酸ビニール系樹脂である。さらに好ましくは、イソシアネート系化合物、メラミン系化合物、エポキシ系化合物、シラン系化合物などの架橋剤を適当量配合して、架橋硬化することであり、これにより明確な軟化温度を示さなくなり、高温における熱転写にも対応でき、且つまた、透明微小球3との密着性も向上し、耐久性の高いものが得られる。
【0023】
透明樹脂層4,5を合計した厚みは30μm以下で、好ましくは20μm以下である。透明樹脂層4,5の合計の厚みが30μmを超えると最終的に被着体8に再帰反射媒体を所望する図柄やパターンなどの以外の部分と切り離す際、端切れ性が悪くなり、くっきりとしたパターンを被着体8に形成できない。これは透明樹脂層4,5が接着部分と非接着部分の境界で引き裂かれる際、透明樹脂層4,5の引き裂き強度よりも被着体8との剥離に要する強さが低くなり、不要部分と被着部分間の引き裂き分離がうまくなされないからと想定される。なお、本発明の実施の形態では2層の透明樹脂層4,5が設けられているが、厚みが30μm以下の1層の透明樹脂層が設けられていても良い。また、着色反射させる場合は透明樹脂層5に透明着色剤を含ませて構成すれば良い。
【0024】
本発明の熱転写用再帰反射中間体あるいは被着体に熱転写温度が160℃以下となる熱転写接着剤をスクリーン印刷やグラビア印刷などにより印刷し両者を重ね、160℃以下の温度で加熱すると同時に加圧する。冷却後、余分な再帰性反射媒体を被着体から剥ぎ取ることにより、所望の図柄を被着体に熱転写する。
【0025】
図1に示す熱転写用再帰反射中間体を用いて熱転写する際の作業例を図2〜図4に基づき説明する。
図2は熱転写用接着層7を熱転写用再帰反射媒体中間体に対し所望する図柄となるように印刷した状態を示す。図3は熱転写用再帰反射媒体中間体を被着体8に加熱圧着している状態を示す。図4は最終的に再帰反射媒体中間体から前記熱転写用接着層7により形成された図柄の部分で透明樹脂層4,5とともに透明微小球3が被着体8に熱転写された状態を示す。
【0026】
本発明に使用される熱転写用接着層7はできるだけ低温で溶融し、衣料などの被着体に接着されるのが好ましいが、その温度は熱転写までの反射材の保存条件や、使用中の耐久性、洗濯耐久性などで制約される。通常、熱転写温度160℃以下の熱溶融型接着剤を使用する。より好ましくは100℃〜150℃である。熱転写温度が100℃未満では使用中の耐久性が悪く、160℃を超えると熱圧着温度が高いため、熱軟化性樹脂層2の流動が発生し溶出により被着体8への悪影響がある。また、被着体8が高温のために、黄変したり、焦げたり、被着体8が融点の低い材料なら熔けたりする悪影響もある。この熱転写用接着層7の厚みは20〜100μmで、好ましくは20〜70μmである。熱転写用接着層7の厚みが20μm以下の場合、被着体8が織物などの場合、特に接着力不足となりやすい。また、熱転写用接着層7の厚みが100μmを超えると熱転写用接着層7の厚さが高くなりすぎて風合いが悪くなる。本発明に使用される熱転用接着層7の樹脂はアクリル系樹脂、ビニール系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリアミド系樹脂、ゴム系樹脂を主成分として用いることができる。またそれらの2種以上の混合物であっても良い。
【0027】
前記熱転用接着層7の樹脂は金属反射層6と被着体8との密着性、接着性が高く使用中の揉み、摩擦、薬品などのアタックに耐えるものが使用される。また、場合によっては柔軟性などの点も加味されて選ばれる。また、この熱転用接着層7の樹脂に各種添加剤を配合し、見かけの軟化温度を上げたり、熱転写の圧力下での流動性を改良したり、耐候性や耐酸化性能などを向上することもできる。
【0028】
以下、実施例で本発明を説明する。
反射輝度測定法;JISZ9117(1984) 「入射角度12°、観測角度5′の測定値で比較」
実施例1〜3、比較例1、2
厚み75μmのポリエチレンテレフタレートフィルムに仮埋設層として厚み10μm(比較例1)、15μm(実施例1)、40μm(実施例2)、70μm(実施例3)、80μm(比較例2)のポリエチレンフィルムをラミネートし、これを120℃で3分加熱して、ポリエチレンフィルムを溶融させ、平均粒径50μm、屈折率1.92のガラス製の透明微小球を、ほぼ一面に単層散布し透明微小球を表1に示す如く埋設させる。その後、埋設されていない透明微小球側に、エチレン−酢酸ビニール系樹脂1μm、さらにその上にエステル系ウレタン樹脂15μmをコートした後、800ÅのAl蒸着を行なった。次いでブロッキング温度45℃、融点110℃の飽和エステル系樹脂を60μmにUのロゴ図形をスクリーン印刷コートし熱転写用再帰反射媒体とした。その後、この熱転写用再帰反射媒体をポリエステル−綿タフタ織物(目付100g/m2)にアイロンを用いて120℃で熱転写した。表1において、初期の反射性能、40℃家庭洗濯で30洗後の反射性能値も併せて評価している。何れの試料も風合い良好であった。なお、比較例1の試料にあっては仮埋設層の厚みが薄すぎるがためにAl蒸着工程で透明微小球が落下するという問題があり、また比較例2の試料にあっては仮埋設層の厚みが厚すぎるがために加工工程でロールから仮埋設層が浮くという問題があった。
【0029】
【表1】
【0030】
実施例4〜7、比較例3
厚み75μmのポリエチレンテレフタレートフィルムに仮埋設層として厚み40μmのポリエチレンフィルムをラミネートし、これを120℃で3分加熱して、ポリエチレンフィルムを溶融させ、平均粒径50μm、屈折率1.92のガラス製の透明微小球を、ほぼ一面に単層散布し透明微小球を50%の埋設率で埋設させる。その後、埋設されていない透明微小球側に、エチレン−酢酸ビニール系樹脂1μm、さらにその上にエステル系ウレタン樹脂5μm(実施例4)、15μm(実施例5)、24μm(実施例6)、29μm(実施例7)、35μm(比較例3)をコートした後、800ÅのAl蒸着を行なった。次いでブロッキング温度45℃、融点110℃の飽和エステル系樹脂を80μmにUのロゴ図形をスクリーン印刷コートした。その後、熱ロールにより120℃でポリエステル−綿タフタ織物(目付100g/m2)に熱転写した。その後、余分の反射材を剥ぎ取り、表2において、初期の反射性能、転写図柄の状況、貼り合わせ後の風合いを評価した。比較例3の試料にあっては透明樹脂層の厚みの合計が30μmを超えており、剥ぎ取り性が悪くなる。
【0031】
【表2】
【0032】
実施例8〜11、比較例4、5
厚み75μmのポリエチレンテレフタレートフィルムに仮埋設層として厚み40μmのポリエチレンフィルムをラミネートし、これを120℃で3分加熱して、ポリエチレンフィルムを溶融させ、平均粒径50μm、屈折率1.92のガラス製の透明微小球を、ほぼ一面に単層散布し透明微小球を50%の埋設率で埋設させる。その後、埋設されていない透明微小球側に、透明樹脂層としてエチレン−酢酸ビニール系樹脂1μm、さらにその上に実施例8として赤の透明着色剤を含ませたエステル系ウレタン樹脂(同様に黄色、緑、青の透明着色剤を含ませた実施例9,10,11)を15μm厚でコートした後、800ÅのAl蒸着を行なった。次いでブロッキング温度45℃、融点110℃の飽和エステル系樹脂をスクリーン印刷でUのロゴ80μmにコートした。その後、ポリエステル−綿タフタ織物(目付100g/m2)にアイロンで120℃で熱転写した。表3において、初期の反射性能、40℃家庭洗濯で30洗後の反射性能値も併せて評価している。なお、比較例4として60μm屈折率2.25のガラス微小球を用い、支持フィルムを剥離してから剥離面露出したガラス微小球面に透明着色剤を3μmコートしたものを用い、比較例5として60μm屈折率1.5の赤色透明アクリル製微小球をガラス微小球の代わりに用いるとともに、Al蒸着を直接アクリル製微小球に実施した。そして、それぞれを評価したところ、比較例4の試料にあっては色落ちが生じるという問題があり、比較例5の試料にあってはアクリル製微小球が接着時の熱で変形し、再帰性反射率が低いという問題があった。
【0033】
【表3】
【0034】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、オープンタイプの再帰反射性能を可能な限り高く保持し、かつ見栄えのする色調の光反射を実現し、かつ衣料などを代表とする被着体に容易に熱転写できる熱転写用再帰反射媒体中間体とそれを用いた熱転写方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態における熱転写用再帰反射媒体中間体の一例を示す断面図である。
【図2】同熱転写用接着層を熱転写用再帰反射媒体中間体に対し所望する図柄となるように印刷した状態を示す断面図である。
【図3】同熱転写用再帰反射媒体中間体を被着体に加熱圧着している状態を示す断面図である。
【図4】同熱転写用再帰反射媒体中間体を被着体に転写し終わった状態を示す断面図である。
【符号の説明】
1 支持シート
2 熱軟化性樹脂層
3 透明微小球
4,5 透明樹脂層
6 金属反射層
7 熱転写用接着層
8 被着体
Claims (3)
- 支持シートと一体になった厚み15〜70μmの仮埋設層としての熱軟化性樹脂層に、屈折率1.6〜2.5、直径が500μm以下の透明微小球を埋設し、前記熱軟化性樹脂層に対する埋設側とは反対側の透明微小球表面を1層乃至2層のトータル厚みが30μm以下の透明樹脂層でコートし、さらにこの透明樹脂層の外側に金属反射層を設けたことを特徴とする熱転写用再帰反射媒体中間体。
- 透明樹脂層が着色されていることを特徴とする請求項1記載の熱転写用再帰反射媒体中間体。
- 請求項1または2記載の熱転写用再帰反射媒体中間体に、熱転写温度が160℃以下の樹脂からなる熱転写性接着層を、20〜100μmの厚さで金属反射層側から希望する図柄に印刷し、被着体に熱転写性接着層が接するように重ね、被着体と熱転写用再帰反射媒体を熱圧着した後、被着体に熱転写性接着層を介して一体になっている透明微小球を熱軟化性樹脂層から剥離させることにより所望の図柄を被着体に熱転写することを特徴とする熱転写用再帰反射媒体中間体を用いた熱転写方法。
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2003
- 2003-02-20 JP JP2003041934A patent/JP2004252117A/ja active Pending
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