JP2004251272A - 燃料噴射装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 脈動に起因する不具合を解決する場合、従来は多数の独立した補正マップを用いて駆動パルスの出力タイミングを補正しており、適合工数はとても大きかった。
【解決手段】 小噴射時は時間軸と噴射率によって三角形の図形が描かれ、大噴射時は台形の図形が描かれる。幾何学的図形の形成開始時点a1 から、開弁圧到達時間Tdsを前だしすることで、駆動パルスのON時期が求められる。「開弁圧到達時間Tds+ニードル上昇時間Tqr−閉弁圧到達時間Tde1 」によって、噴射パルス期間Tqfが求められ、駆動パルスOFF 時期が求まる。なお、駆動パルスOFF 時期は、制御室圧が閉弁圧に達する時点a2 から閉弁圧到達時間Tde1 分だけ前だししたり、幾何学的図形の形成終了時点a3 から「閉弁圧到達時間Tde1 +ニードル下降時間Tde2 」を前だししても求められる。このように、開弁圧到達時間Tdsの変化に基づく演算結果を他の演算結果に反映でき、適合工数を大幅に削減できる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、内燃機関(以下、エンジン)に燃料を噴射する燃料噴射装置に関するものであり、特にインジェクタの開閉駆動制御に関する。
燃料噴射装置の従来技術を図5に示すマルチ噴射(1サイクル中に燃料噴射を複数回に分けて行う多段噴射)を例に説明する。図5に示すように、1サイクル中に、複数回の噴射を実施すると、2段目以降の噴射は、その前の噴射の影響(インジェクタに燃料を供給する配管中に発生する脈動の影響)を受けて、噴射開始遅れや、噴射終了遅れが変動する。
このことを図5の下段を参照して具体的に説明する。
図5の下段のような駆動パルスをインジェクタに与えた場合、脈動の影響がないと、駆動パルスを発生してから開弁圧到達時間Tdsが経過した時点から噴射率が上昇し、駆動パルスを停止してから閉弁圧到達時間Tde1 が経過した時点から噴射率が低下するため、噴射率で描かれる幾何学的図形は、図5中、基準三角形αで示す図形になる。そして、インジェクタから実際に噴射される噴射量Q’は、基準三角形αの面積に応じた量となる。
ここで一般に、脈動の影響でインジェクタに供給される燃料圧が上がると、開弁圧到達時間Tdsが図中矢印(1) 分短くなり、最大噴射率が図中矢印(2) に示すように高くなり、ニードル下降時間Tde2 が図中矢印(3) に示すように長くなる。この結果、噴射率で描かれる幾何学的図形は、図5中、大三角形βで示す図形になる。即ち、インジェクタから実際に噴射される噴射量Q’は、図5中、大三角形βの面積に応じた量となり、噴射量が要求噴射量Qより多くなってしまう。
逆に、脈動の影響でインジェクタに供給される燃料圧が下がると、噴射率で描かれる幾何学的図形は、基準三角形αより小さくなり、噴射量が要求噴射量Qより少なくなってしまう。
また、脈動の影響でインジェクタに供給される燃料圧が変動して開弁圧到達時間Tdsが変化することにより、制御装置が求めた要求噴射開始タイミングに対して、実際の噴射タイミングも前後にずれてしまう。
そこで、従来では、基本噴射量とコモンレール圧からインジェクタの基本パルス期間を求めるためのマップの他に、脈動によって変化する開弁圧到達時間Tdsを求める補正マップと、脈動によって変化する閉弁圧到達時間Tde1 を求める補正マップと、脈動によって変化する噴射量を求める補正マップとを独立に持たせて、それぞれにおいて独立演算を行って駆動パルスの出力タイミングを補正し、脈動の影響によって噴射量が変動するのを防いでいた(例えば、特許文献1参照)。
特開平10−266888号公報
上記で示した従来の技術では、脈動の影響のように1つの要因に起因する不具合を解決する場合であっても、多数の独立した補正マップを用いて、脈動によって変化する開弁圧到達時間Tds、閉弁圧到達時間Tde1 、噴射量を別個に求めて、それらの値を用いて駆動パルスの出力タイミングを補正する必要がある。
このため、例えば多段噴射においては、多数の独立した補正マップを用いた演算工程を噴射段数倍実施する必要が生じ、制御装置の演算負荷はとても大きいものとなる。このことは、これら駆動パルスの補正に関する多数の演算工程を有し、この演算工程の適合工程が膨大なものとなっている。
〔発明の目的〕
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、インジェクタを開閉駆動する駆動パルスの出力期間およびタイミング補正に関する適合工程を低減することのできる燃料噴射装置の提供にある。
〔請求項1の手段〕
請求項1の手段を採用する燃料噴射装置は、時間軸とインジェクタの噴射率の変化による幾何学的図形を求め、要求噴射量Qに応じた面積を持つ噴射率の幾何学的図形からインジェクタの駆動信号発生時期と駆動信号停止時期を求めるものである。
このように、請求項1の手段を採用する燃料噴射装置は、要求噴射量Qに対応した面積を持つ噴射率の幾何学的図形からインジェクタの駆動信号発生時期と駆動信号停止時期を求めるものであるため、ある要因(例えば、開弁圧到達時間Tdsの変化)に基づく演算結果(噴射率の幾何学的図形の形成)を自動的に他の演算結果(噴射率の幾何学的図形から導き出される駆動信号発生時期、駆動信号停止時期等)に反映でき、制御装置の適合工数を大幅に削減できる。
〔請求項2の手段〕
請求項2の手段を採用する燃料噴射装置は、時間軸とインジェクタにおけるニードルリフト量の変化による幾何学的図形を求め、このニードルリフト量の幾何学的図形から噴射率の幾何学的図形を変換して求めるものである。
〔請求項3の手段〕
請求項3の手段を採用する燃料噴射装置は、ニードルリフト量の幾何学的図形から噴射率の幾何学的図形を変換して求める際に、噴射領域を、インジェクタのニードルとノズルシートの間で噴射量が決定されるシート絞り領域と、インジェクタの噴孔の絞り量で噴射量が決定される噴孔絞り領域とに分ける。そして、シート絞り領域におけるニードルリフト量に対する噴射流量特性を1次式で近似してニードルリフト量に対する噴射率の変換を行うとともに、噴孔絞り領域におけるニードルリフト量に対する噴射流量特性を1次式で近似してニードルリフト量に対する噴射率の変換を行うものである。
〔請求項4の手段〕
請求項4の手段を採用する燃料噴射装置は、噴射率の幾何学的図形を、インジェクタに供給される高圧燃料の圧力とインジェクタの吐出系の仕様とを少なくても用いて描くものである。即ち、燃料の供給圧力とインジェクタの吐出系の仕様を用いることで、インジェクタから噴射される噴射率の幾何学的図形を描くことが可能なものである。
〔請求項5の手段〕
請求項5の手段を採用する燃料噴射装置は、噴射率の幾何学的図形を、インジェクタのニードルが上昇する際の上昇噴射率Qupと、インジェクタのニードルが下降する際の下降噴射率Qdnと、上昇噴射率Qupが最大噴射率に達する場合に適用される最大噴射率Qmaxとによって描くものである。
即ち、小噴射のように上昇噴射率Qupが最大噴射率Qmaxに達しない場合、噴射率の幾何学的図形は、上昇噴射率Qupと下降噴射率Qdnの三角形で定義される。この結果、要求噴射量Qに対応した面積を持つ三角形が噴射期間の2次式で表されるため、要求噴射タイミングおよび要求噴射量Qを実現するための駆動信号発生時期と駆動信号停止時期を、三角形から解析的に求めることができる。
また、大噴射のように上昇噴射率Qupが最大噴射率Qmaxに達する場合、噴射率の幾何学的図形は、上昇噴射率Qupと最大噴射率Qmaxと下降噴射率Qdnの台形で定義される。この結果、要求噴射量Qに対応した面積を持つ台形が噴射期間の1次式で表されるため、要求噴射タイミングおよび要求噴射量Qを実現するための駆動信号発生時期と駆動信号停止時期を、台形から解析的に求めることができる。
〔請求項6の手段〕
請求項6の手段を採用する燃料噴射装置は、時間軸に対する噴射率の幾何学的図形の形成開始時点から、インジェクタに開弁指示を与えてから実際にインジェクタが燃料噴射を開始するまでの開弁圧到達時間Tds分だけ前だししてインジェクタの駆動信号発生時期を求めるものである。
〔請求項7の手段〕
請求項7の手段を採用する燃料噴射装置は、開弁圧到達時間Tds、閉弁圧到達時間Tde1 、ニードル上昇時間Tqrを求め、Tds+Tqr−Tde1 によってインジェクタの駆動信号発生時期から駆動信号停止時期までの期間Tqfを求めるものである。
〔請求項8の手段〕
請求項8の手段を採用する燃料噴射装置は、ニードル上昇時間Tqrを、要求噴射量Q、上昇噴射率Qup、下降噴射率Qdnにより求めるものである。
〔請求項9の手段〕
請求項9の手段を採用する燃料噴射装置において開弁圧到達時間Tdsは、インジェクタに供給される高圧燃料の圧力と、1サイクル中に燃料噴射を複数回に分けて行うマルチ噴射のインターバルとの関数によって求められるものである。
〔請求項10の手段〕
請求項10の手段を採用する燃料噴射装置は、噴射量のズレを補正する際、噴射パラメータ(Tds、Qup、Qdn、Qmax、Tde1 、Tqr、Tqf)のうち、少なくても1つ以上を調整用パラメータとして用いるとともに、その調整用パラメータを学習値として記憶して、次回の噴射時に反映させるものである。
このようにすることにより、個々の燃料噴射装置の機差および劣化に対応して噴射量のズレを補正できる。
〔請求項11の手段〕
請求項11の手段を採用する燃料噴射装置は、噴射量のズレを補正する際、2つ以上の噴射パラメータ(Tds、Qup、Qdn、Qmax、Tde1 、Tqr、Tqf)のうち、2つ以上を調整用パラメータとして用いるとともに、その調整用パラメータに重みを付けて噴射量のズレを補正し、それぞれの調整用パラメータを学習値として記憶して、次回の噴射時に反映させるものである。
このようにすることにより、個々の燃料噴射装置の機差および劣化に対応して噴射量のズレを補正できるとともに、噴射タイミング(噴射始まり、噴射終わり、あるいはその両方)のズレも補正できる。
〔請求項12の手段〕
請求項12の手段を採用する燃料噴射装置は、噴射量のズレを補正する際、噴射量のズレ量を、インジェクタの仕様を決める所定部位のパラメータの変化によるものであると推定し、その所定部位のパラメータを調整用パラメータとして用いるとともに、その調整用パラメータを学習値として記憶して、次回の噴射時に反映させるものである。
このように、インジェクタの仕様を決める所定部位のパラメータを補正することにより、その所定部位のパレメータを用いて求められる噴射パラメータが補正される。即ち、補正された噴射率の幾何学的図形が描かれるため、2次的な補正(噴射量や噴射タイミングの補正)を実施しなくても良い。
〔最良の形態1〕
燃料噴射装置の制御装置は、時間軸とインジェクタの噴射率の変化による幾何学的図形を求め、要求噴射量Qに応じた面積を持つ「噴射率の幾何学的図形」から、インジェクタの駆動信号発生時期と駆動信号停止時期を求める。
〔最良の形態2〕
燃料噴射装置の制御装置は、時間軸とインジェクタにおけるニードルリフト量の変化による幾何学的図形を求め、この「ニードルリフト量の幾何学的図形」から「噴射率の幾何学的図形」を変換して求める。そして、要求噴射量Qに応じた面積を持つ「噴射率の幾何学的図形」から、インジェクタの駆動信号発生時期と駆動信号停止時期を求める。
〔最良の形態3〕
燃料噴射装置の制御装置は、時間軸とインジェクタにおけるニードルリフト量の変化による幾何学的図形を求め、要求噴射量Qに応じた面積を持つ「ニードルリフト量の幾何学的図形」から、インジェクタの駆動信号発生時期と駆動信号停止時期を求める。
本発明をコモンレール式燃料噴射装置に適用した実施例1を図1〜図4を参照して説明する。まず、コモンレール式燃料噴射装置の構成を図3を参照して説明する。
コモンレール式燃料噴射装置は、例えばディーゼルエンジン(以下、エンジン)1に燃料噴射を行うシステムであり、コモンレール2、インジェクタ3、サプライポンプ4、ECU5(エンジン・コントロール・ユニットの略:制御装置に相当する)等から構成される。
エンジン1は、吸入・圧縮・爆発・排気の各工程を連続して行う気筒を複数備えたものであり、図3では一例として4気筒エンジンを例に示すが、他の気筒数のエンジンであっても良い。
コモンレール2は、インジェクタ3に供給する高圧燃料を蓄圧する蓄圧容器であり、燃料噴射圧に相当するコモンレール圧が蓄圧されるように燃料配管(高圧燃料流路)6を介して高圧燃料を圧送するサプライポンプ4の吐出口と接続されている。
なお、インジェクタ3からのリーク燃料は、リーク配管(燃料還流路)7を経て燃料タンク8に戻される。
また、コモンレール2から燃料タンク8へのリリーフ配管(燃料還流路)9には、プレッシャリミッタ11が取り付けられている。このプレッシャリミッタ11は圧力安全弁であり、コモンレール2内の燃料圧が限界設定圧を超えた際に開弁して、コモンレール2の燃料圧を限界設定圧以下に抑える。
インジェクタ3は、エンジン1の各気筒毎に搭載されて燃料を各気筒内に噴射供給するものであり、コモンレール2より分岐する複数の高圧燃料配管10の下流端に接続されて、コモンレール2に蓄圧された高圧燃料を各気筒に噴射供給する。なお、インジェクタ3の詳細は後述する。
サプライポンプ4は、コモンレール2へ高圧燃料を圧送する燃料ポンプであり、燃料タンク8内の燃料をサプライポンプ4へ吸引するフィードポンプと、このフィードポンプによって吸い上げられた燃料を高圧に圧縮してコモンレール2へ圧送する高圧ポンプとを搭載しており、フィードポンプおよび高圧ポンプは共通のカムシャフト12によって駆動される。なお、このカムシャフト12は、図3に示されるように、エンジン1のクランク軸13等によって回転駆動されるものである。
また、サプライポンプ4には、高圧ポンプに吸引される燃料の量を調整するポンプ制御弁(図示しない)が搭載されており、このポンプ制御弁がECU5によって調整されることにより、コモンレール圧が調整されるようになっている。
ECU5には、制御処理、演算処理を行うCPU、各種プログラムおよびデータを保存する記憶装置(ROM、スタンバイRAMまたはEEPROM、RAM等のメモリ)、入力回路、出力回路、電源回路、インジェクタ駆動回路およびポンプ駆動回路等の機能を含んで構成されている周知構造のマイクロコンピュータが設けられている。そして、ECU5に読み込まれたセンサ類の信号(エンジンパラメータ:乗員の運転状態、エンジン1の運転状態等に応じた信号)に基づいて各種の演算処理を行うようになっている。
なお、ECU5に接続されるセンサ類は、図3に示すように、アクセル開度を検出するアクセルセンサ21、エンジン回転数を検出する回転数センサ22、エンジン1の冷却水温度を検出する水温センサ23、コモンレール圧を検出するコモンレール圧センサ24、およびその他のセンサ類25がある。
[実施例1の特徴]
ここで、本発明にかかる燃料噴射制御について説明する。
この実施例1では、1サイクル中に複数回の燃料噴射(マルチ噴射)を実施し、エンジン振動およびエンジン騒音の防止、排気ガスの浄化、エンジン出力と燃費を高い次元で両立させるものであり、ECU5は、燃料の各噴射毎に、ROMに記憶されたプログラム(マップ等)と、RAMに読み込まれたエンジンパラメータとに基づいて、現運転状態に応じた要求噴射タイミングと要求噴射量Qを求め、その要求噴射タイミングで要求噴射量Qが得られるようにインジェクタ3に駆動パルスを出力するように設けられている。
ECU5の制御を説明する。
ECU5は、要求噴射タイミングで要求噴射量Qが得られるようにインジェクタ3に駆動パルスを出力するために、要求噴射量Qに応じた面積を持つ噴射率の幾何学的図形を描く。この幾何学的図形は、時間軸とインジェクタ3の噴射率によって描かれる図形であり、ECU5は、要求噴射量Qに応じた面積を持つ噴射率の幾何学的図形からインジェクタ3の駆動信号発生時期(駆動パルスON時期)と駆動信号停止時期(駆動パルスOFF 時期)を求める(駆動タイミング算出手段の機能)。なお、噴射率の幾何学的図形は、インジェクタ3に供給される高圧燃料の圧力(例えば、コモンレール圧Pc)、およびインジェクタ3の吐出系の仕様の条件を有して描かれるものである。
ここで、インジェクタ3の作動原理を図1、図2、図4を参照して説明する。
この実施例1のインジェクタ3は、図4に示されるように、制御室(背圧室)31の圧力を電磁弁32で制御してニードル33を駆動するタイプであり、図1、図2に示されるように、ECU5より電磁弁32に噴射パルス(パルスON)が与えられると、電磁弁32の弁体(図中、2WV)32aがリフトアップを開始すると同時に、アウトオリフィス34が開いて、インオリフィス35で減圧された制御室31の圧力が低下を開始する。
制御室31の圧力が開弁圧以下まで低下すると、ニードル33が上昇を開始する。ニードル33がノズルシート36から離座すると、ノズル室37と噴孔38とが連通し、ノズル室37に高圧供給された燃料が噴孔38から噴射する(駆動パルスONから噴射開始までの時間を開弁圧到達時間Tdsと称す)。
ニードル33の上昇に従い、噴射率が上昇する(噴射率の上昇を上昇噴射率Qupと称す)。この上昇噴射率Qupが最大噴射率Qmaxに到達すると、それ以上噴射率は上昇しない(図2参照)。
ECU5より電磁弁32に与えられている噴射パルスが停止(パルスOFF )すると、電磁弁32の弁体32aがリフトダウンを開始する。そして、電磁弁32の弁体32aがアウトオリフィス34を閉じると、制御室31の圧力が上昇を開始する。制御室31の圧力が閉弁圧以上まで上昇すると、ニードル33が下降を開始する(パルスOFF からニードル33の下降開始までの時間を閉弁圧到達時間Tde1 と称し、ニードル33の上昇開始から下降開始までの時間をニードル上昇時間Tqrと称し、ニードル33の下降時において、噴射率の下降を下降噴射率Qdnと称す)。
ニードル33が下降して、ニードル33がノズルシート36に着座すると、ノズル室37と噴孔38の連通が遮断されて、噴孔38からの燃料噴射が停止する(ニードル33が下降開始してから噴射停止までの時間Tde2 と称す)。
以上で説明したように、上昇噴射率Qupが最大噴射率Qmaxに到達しない場合(例えば小噴射時)では、時間軸と噴射率(上昇噴射率Qupと下降噴射率Qdn)によって図1に示すように三角形の図形が描かれる。また、上昇噴射率Qupが最大噴射率Qmaxに到達する場合(例えば大噴射時)では、時間軸と噴射率(上昇噴射率Qupと最大噴射率Qmaxと下降噴射率Qdn)によって図2に示すように台形の図形が描かれる。
次に、噴射率の幾何学的図形の各パラメータを説明する。
(1)上昇噴射率Qupが最大噴射率Qmaxに到達しない場合(例えば小噴射時)で、噴射率の幾何学的図形が三角形の場合。
上昇噴射率Qup=func(Pc,Tint)
下降噴射率Qdn=func(Pc)
Figure 2004251272
開弁圧到達時間Tds=func(Pc,Tint)
閉弁圧到達時間Tde1 =func(Pc)
噴射パルス期間Tqf=Tqr+Tds−Tde1
ニードル下降時間Tde2 =Tqr(Qup/Qdn)
(2)上昇噴射率Qupが最大噴射率Qmaxに到達する場合(例えば大噴射時)で、噴射率の幾何学的図形が台形の場合。
上昇噴射率Qup=func(Pc,Tint)
下降噴射率Qdn=func(Pc)
最大噴射率Qmax=func(Pc)
Figure 2004251272
開弁圧到達時間Tds=func(Pc,Tint)
閉弁圧到達時間Tde1 =func(Pc)
噴射パルス期間Tqf=Tqr+Tds−Tde1
ニードル下降時間Tde2 =Tqr(Qup/Qdn)
なお、上記において、Tintはマルチ噴射時におけるインターバル(噴射間隔)であり、噴射パルス期間Tqfはインジェクタ3の駆動信号発生時期(駆動パルスON時期)から駆動信号停止時期(駆動パルスOFF 時期)までの期間に相当するものである。また、funcは関数(インジェクタ3の吐出系の仕様条件を有する関数)あるいは記憶装置に記憶されたマップ(インジェクタ3の吐出系の仕様条件に基づき作成されたマップ)を示すものであり、関数あるいはマップから数値を導き出すものである。さらに、Pcはコモンレール圧センサ24によって読み込まれたコモンレール圧であり、インジェクタ3に供給される高圧燃料の圧力に相当するものである。
ここで、ニードル上昇時間Tqrは、要求噴射量Q、上昇噴射率Qup、下降噴射率Qdnにより求められるものである。即ち、噴射率の幾何学的図形と要求噴射量Qの関係によって求められるものである。
開弁圧到達時間Tdsは、上述したように、コモンレール圧PcとインターバルTintとの関数によって求めても良いし、マップ(コモンレール圧Pc、インターバルTint、開弁圧到達時間Tdsの3次元マップ)によって求めても良い。即ち、コモンレール圧Pc、インターバルTint、開弁圧到達時間Tdsの3次元マップを予めECU5のROMエリアに記憶しておき、運転状態に応じたコモンレール圧Pcと、演算によって求められたインターバルTintとに対応した開弁圧到達時間Tdsを3次元マップから求めても良い。
そして、ECU5は、図1、図2に示すように、時間軸に対する噴射率の幾何学的図形の形成開始時点a1 から、開弁圧到達時間Tds分だけ前だしして、駆動パルスのON時期を求める。即ち、駆動パルスのON時期は、a1 −Tdsによって求められる。
このように、駆動パルスのON時期を、実際にインジェクタ3が燃料噴射を開始する時点から開弁圧到達時間Tds分だけ前だしすることによって、ECU5が求めた要求噴射タイミングで噴射を開始できる。
また、ECU5は、開弁圧到達時間Tds分にニードル上昇時間Tqr分を加え、閉弁圧到達時間Tde1 分を差し引くことで、噴射パルス期間Tqfを求める。即ち、噴射パルス期間Tqfは、Tds+Tqr−Tde1 によって求められる。
このように、駆動パルスON〜OFF までの間隔を噴射パルス期間Tqfによって求めることにより、駆動パルスOFF 時期が求まり、ECU5が求めた要求噴射量Qをインジェクタ3から実際に噴射することができる。
なお、この実施例1では、駆動パルスOFF 時期を噴射パルス期間Tqfで求めた例を示したが、制御室31の圧力が閉弁圧に達する時点a2 から閉弁圧到達時間Tde1 分だけ前だしすることで、駆動パルスOFF 時期を求めても良い。即ち、駆動パルスOFF 時期を、a2 −Tde1 によって求めても良い。
また、時間軸に対する噴射率の幾何学的図形の形成終了時点a3 から、閉弁圧到達時間Tde1 分とニードル下降時間Tde2 分を前だしすることで、駆動パルスOFF 時期を求めても良い。即ち、駆動パルスOFF 時期を、a3 −Tde1 −Tde2 によって求めても良い。
上記で示したように、実施例1の燃料噴射装置は、要求噴射量Qに対応した面積を持つ噴射率の幾何学的図形から駆動パルスON時期と駆動パルスOFF 時期を求めるものであるため、開弁圧到達時間Tdsの変化に基づく演算結果(噴射率の幾何学的図形の形成)を自動的に他の演算結果(噴射率の幾何学的図形から導き出される駆動信号発生時期から駆動信号停止時期までの期間等)に反映できる。
即ち、脈動の影響によって変動する開弁圧到達時間Tdsのみ適合させれば、ECU5が求めた噴射率の幾何学的図形(上述した三角形や台形)から、要求噴射タイミングと要求噴射量Qに応じた駆動パルスON時期と駆動パルスOFF 時期を自動的に求めることができる。
このため、従来のような個別の補正マップおよび個別の補正演算が不要になり、ECU5の適合工数を従来に比較して大幅に削減できる。
上記の実施例1では、上昇噴射率Qup、下降噴射率Qdn、最大噴射率Qmaxを直接的に求め、それらの値を用いて噴射率の幾何学的図形を求める例を示した。そして、上昇噴射率Qup、下降噴射率Qdn、最大噴射率Qmaxを、インジェクタ供給圧(コモンレール圧Pc)やインジェクタ3の仕様に基づいた関数もしくはマップを用いて求める例を示した。
即ち、上記の実施例1では、噴射率の幾何学的図形を、インジェクタ供給圧(コモンレール圧Pc)やインジェクタ3の仕様に基づいた関数もしくはマップを用いて直接的に求める例を示した。
これに対し、この実施例2では、先ず、時間軸とニードルリフト量の変化による幾何学的図形を求め、そのニードルリフト量の幾何学的図形から噴射率の幾何学的図形を変換して求めるものである。
ニードルリフト量の幾何学的図形から噴射率の幾何学的図形を変換して求める方法を説明する。
噴射領域を、シート絞り領域(燃料の供給圧と、ニードル33とノズルシート36の間で噴射量が決定される領域:上述した上昇噴射率Qupと下降噴射率Qdnの領域)と、噴孔絞り領域(燃料の供給圧と、噴孔38の絞り量で噴射量が決定される領域:上述した最大噴射率Qmaxの領域)とに分ける。
シート絞り領域だけで噴射が行われる場合は、ニードルリフト量の幾何学的図形(三角形)を、噴射率の幾何学的図形(三角形)に変換する。具体的には、ニードルリフト量に対する噴射流量特性(リフト−流量特性)を1次式で近似して、ニードルリフト量に対する噴射率(リフト−噴射率変換)の変換を行う。
これによって、上昇噴射率Qupが最大噴射率Qmaxに到達しない場合(例えば小噴射時)における噴射率の幾何学的図形(三角形)が描かれる。
シート絞り領域に加え、噴孔絞り領域でも噴射が行われる場合は、シート絞り領域の最大値を噴孔絞り領域の値としてニードルリフト量の幾何学的図形(台形)を求める。次に、ニードルリフト量の幾何学的図形(台形)を、噴射率の幾何学的図形(台形)に変換する。具体的には、ニードルリフト量に対する噴射流量特性(リフト−流量特性)を1次式で近似して、ニードルリフト量に対する噴射率(リフト−噴射率変換)の変換を行う。
これによって、上昇噴射率Qupが最大噴射率Qmaxに到達する場合(例えば大噴射時)における噴射率の幾何学的図形(台形)が描かれる。
このように求めた噴射率の幾何学的図形を用いても、第1実施例と同様の効果を得ることができる。
ECU5には、エンジン回転数のズレを回転数センサ22などによって検出すると、そのズレ分を無くすように噴射量を変更する補正機能(例えば、気筒間ばらつきの補正機能)が設けられている。
具体的に、ECU5には、エンジン回転数のズレを検出すると、そのズレ分を無くすように噴射量を変更するべく、開弁圧到達時間Tds、上昇噴射率Qup、下降噴射率Qdn、最大噴射率Qmax、閉弁圧到達時間Tde1 、ニードル上昇時間Tqr、噴射パルス期間Tqfよりなる噴射パラメータ(噴射率の幾何学的図形を作成するパラメータ)のうち、少なくても1つ以上を調整用パラメータとして補正を加える。そして、その調整用パラメータの補正値を学習値として記憶装置に記憶し、次回の噴射時に反映させるようになっている。
もちろん補正機能は、エンジン回転数のズレ量が変動した場合、その変動量に応じて調整用パラメータの補正値を更新し、その更新した調整用パラメータの補正値を学習値として更新し、常にエンジン回転数のズレを無くすように作動する。
この学習を含む補正機能によって、個々の燃料噴射装置の機差(インジェクタ3のばらつき)および劣化(例えば、ニードル33とノズルシート36の着座径であるシート径の変動)による噴射精度の低下を防ぐことができる。
上記の実施例3の補正機能では、開弁圧到達時間Tds、上昇噴射率Qup、下降噴射率Qdn、最大噴射率Qmax、閉弁圧到達時間Tde1 、ニードル上昇時間Tqr、噴射パルス期間Tqfよりなる噴射パラメータのうち、少なくても1つ以上を調整用パラメータとして補正を加える例を示した。
これに対して、この実施例4の補正機能では、噴射量のズレを補正する際、噴射パラメータのうち、2つ以上を調整用パラメータとして用いるとともに、その調整用パラメータに重みを付けて噴射量のズレを補正し、それぞれの調整用パラメータを学習値として記憶して、次回の噴射時に反映させるものである。
具体的な一例を示すと、エンジン回転数のズレを検出した場合、そのズレ分を無くすように、開弁圧到達時間Tds、上昇噴射率Qup、下降噴射率Qdnの3つを調整用パラメータとして補正を加えるものとする。その場合に、開弁圧到達時間Tdsの補正度合を一番重くし(例えば、重さ6)、上昇噴射率Qup、下降噴射率Qdnの補正度合を軽く(例えば、それぞれの重さ2)するものである。
このように設けることにより、個々の燃料噴射装置の機差および劣化に対応して噴射量のズレを補正できるとともに、噴射タイミング(噴射始まり、噴射終わり、あるいはその両方)のズレも補正できる。
上記の実施例3、4の補正機能では、エンジン回転数のズレを検出すると、そのズレ分を無くすように、噴射パラメータ(開弁圧到達時間Tds、上昇噴射率Qup、下降噴射率Qdn、最大噴射率Qmax、閉弁圧到達時間Tde1 、ニードル上昇時間Tqr、噴射パルス期間Tqf)の値を直接的に補正する例を示した。
これに対して、この実施例5の補正機能は、エンジン回転数のズレを検出すると、そのズレ量がインジェクタ3の仕様を決める所定部位のパラメータの変化によるものであると推定し、その所定部位のパラメータを調整用パラメータとして用いるとともに、その調整用パラメータを学習値として記憶して、次回の噴射時に反映させるものである。
具体的な一例を示すと、開弁圧到達時間Tds=func(Dst,Qin,Qout)によって求めるとする。
ここで、funcは上述したように関数あるいは記憶装置に記憶されたマップを示し、Dstはシート径(ニードル33とノズルシート36の着座径:所定部位のパラメータの一例)を示し、Qinはインオリフィス35の絞り流量を示し、Qoutはアウトオリフィス34の絞り流量を示す。
そして、エンジン回転数のズレを検出すると、そのズレ量がインジェクタ3の仕様を決めるシート径の変化によるものであると推定し、シート径Dstの値を変更する。
即ち、開弁圧到達時間Tds=func(Dst,Qin,Qout)の内のシート径Dstの値を補正するものであり、結果的に開弁圧到達時間Tdsの値が補正される。
また、シート径Dstの値を1つ補正するだけで、シート径Dstを用いて作成される他の噴射パラメータ(開弁圧到達時間Tds以外の例えば、上昇噴射率Qup、下降噴射率Qdn等)の値も同時に補正されることになる。
このように、インジェクタ3の仕様を決める所定部位のパラメータを補正することにより、その所定部位のパレメータを用いて求められる噴射パラメータが同時補正される。即ち、補正された噴射率の幾何学的図形が描かれるため、2次的な補正(噴射量や噴射タイミングの補正)を実施しなくても良い。
[変形例]
上記の各実施例では、マルチ噴射時に生じる脈動の影響を小さな演算負荷で処理する例を示したが、本発明はマルチ噴射に限定されるものではなく、例えば1サイクル中に1回の噴射を実施する単噴射時であっても適用可能なものである。
また、マルチ噴射に適用する場合、1サイクル中に噴射される噴射量をほぼ均等に複数回に分割して噴射する均等マルチ噴射に適用しても良いし、1サイクル中の噴射を微少噴射とメイン噴射に分け、メイン噴射の前に1回の微少噴射、あるいは複数回の微少噴射を行うマルチ噴射に本発明を適用しても良いし、メイン噴射の後に1回の微少噴射、あるいは複数回の微少噴射を行うマルチ噴射に本発明を適用しても良いし、メイン噴射の前後に1回の微少噴射、あるいは複数回の微少噴射を行うマルチ噴射に本発明を適用しても良い。
上記の各実施例では、本発明をインジェクタ3の作動時にリーク燃料が発生するコモンレール式燃料噴射装置に適用した例を示したが、インジェクタ3に搭載されたリニアソレノイドが直接ニードル33を駆動してリーク燃料を発生しないタイプのコモンレール式燃料噴射装置に本発明を適用しても良い。即ち、ピエゾインジェクタ等で直接ニードル33を駆動するタイプのインジェクタ3を搭載する燃料噴射装置に本発明を適用しても良い。
上記の各実施例では、噴射率の幾何学的図形を上昇噴射率Qup、下降噴射率Qdn、および上昇噴射率Qupが最大噴射率に達する場合にのみ適用される最大噴射率Qmaxで描く例を示したが、インジェクタ3に供給される高圧燃料の圧力と、インジェクタ3の吐出系の仕様(噴口仕様、開弁圧設定など)が分れば、時間軸と噴射率による幾何学的図形を描くことができる。このため、インジェクタ3に供給される高圧燃料の圧力と、インジェクタ3の吐出系の仕様から噴射率の幾何学的図形を求めるようにしても良い。
上記の各実施例では、本発明をコモンレール式燃料噴射装置に適用した例を示したが、コモンレールを用いない燃料噴射装置に本発明を適用しても良い。つまり、ディーゼルエンジン以外の例えばガソリンエンジン等に用いられる燃料噴射装置に本発明を適用しても良い。
小噴射時における駆動パルスと実際の噴射との関係を示すタイムチャートである(実施例)。 大噴射時における駆動パルスと実際の噴射との関係を示すタイムチャートである(実施例)。 コモンレール式燃料噴射装置の概略図である(実施例)。 インジェクタの概略断面図である(実施例)。 駆動パルスと実際の噴射との関係を示すタイムチャートである(従来例)。
符号の説明
1 エンジン(内燃機関)
2 コモンレール(インジェクタに供給される高圧燃料を蓄える蓄圧室)
3 インジェクタ
5 ECU(制御装置)
24 コモンレール圧センサ(高圧燃料の圧力を検出するセンサ)
31 制御室
33 ニードル
36 ノズルシート
38 噴孔

Claims (12)

  1. 高圧燃料を噴射するインジェクタと、
    内燃機関の運転状態に応じた要求噴射タイミングと要求噴射量Qを求め、この要求噴射タイミングと要求噴射量Qに基づいて前記インジェクタを開閉駆動制御する制御装置と、を備える燃料噴射装置であって、
    前記制御装置は、
    時間軸と前記インジェクタの噴射率の変化による幾何学的図形を求め、
    前記要求噴射量Qに応じた面積を持つ前記噴射率の幾何学的図形から、前記インジェクタの駆動信号発生時期と駆動信号停止時期を求める駆動タイミング算出手段を備えることを特徴とする燃料噴射装置。
  2. 請求項1に記載の燃料噴射装置において、
    時間軸と前記インジェクタにおけるニードルリフト量の変化による幾何学的図形を求め、このニードルリフト量の幾何学的図形から前記噴射率の幾何学的図形を変換して求めることを特徴とする燃料噴射装置。
  3. 請求項2に記載の燃料噴射装置において、
    前記ニードルリフト量の幾何学的図形から前記噴射率の幾何学的図形を変換して求める際には、
    噴射領域を、前記インジェクタのニードルとノズルシートの間で噴射量が決定されるシート絞り領域と、前記インジェクタの噴孔の絞り量で噴射量が決定される噴孔絞り領域とに分け、
    前記シート絞り領域におけるニードルリフト量に対する噴射流量特性を1次式で近似してニードルリフト量に対する噴射率の変換を行うとともに、
    前記噴孔絞り領域におけるニードルリフト量に対する噴射流量特性を1次式で近似してニードルリフト量に対する噴射率の変換を行うことを特徴とする燃料噴射装置。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれかに記載の燃料噴射装置において、
    前記噴射率の幾何学的図形は、
    前記インジェクタに供給される高圧燃料の圧力、および前記インジェクタの吐出系の仕様の条件を有して描かれることを特徴とする燃料噴射装置。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれかに記載の燃料噴射装置において、
    前記噴射率の幾何学的図形は、
    前記インジェクタのニードルが上昇する際の上昇噴射率Qupと、
    前記インジェクタのニードルが下降する際の下降噴射率Qdnと、
    前記上昇噴射率Qupが最大噴射率に達する場合に適用される最大噴射率Qmaxと、によって描かれることを特徴とする燃料噴射装置。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれかに記載の燃料噴射装置において、
    前記インジェクタの駆動信号発生時期は、時間軸に対する前記噴射率の幾何学的図形の形成開始時点から、前記インジェクタに開弁指示を与えてから実際に前記インジェクタが燃料噴射を開始するまでの開弁圧到達時間Tds分だけ前だしして求められることを特徴とする燃料噴射装置。
  7. 請求項1〜請求項6のいずれかに記載の燃料噴射装置において、
    時間軸に対する前記噴射率の幾何学的図形の形成開始時点から、前記インジェクタに開弁指示を与えてから実際に前記インジェクタが燃料噴射を開始するまでの開弁圧到達時間Tdsを求め、
    前記インジェクタに閉弁指示を与えてから実際に噴射率が降下を開始するまでの閉弁圧到達時間Tde1 を求め、
    時間軸に対する前記噴射率の幾何学的図形の形成開始時点から、前記インジェクタの制御室の圧力が閉弁圧に達するまでのニードル上昇時間Tqrを求め、
    前記インジェクタの駆動信号発生時期から駆動信号停止時期までの期間Tqfは、
    Tds+Tqr−Tde1 によって求められることを特徴とする燃料噴射装置。
  8. 請求項7に記載の燃料噴射装置において、
    前記ニードル上昇時間Tqrは、
    要求噴射量Q、
    前記インジェクタのニードルが上昇する際の上昇噴射率Qup、
    前記インジェクタのニードルが下降する際の下降噴射率Qdn、
    により求められることを特徴とする燃料噴射装置。
  9. 請求項6〜請求項8のいずれかに記載の燃料噴射装置において、
    前記開弁圧到達時間Tdsは、前記インジェクタに供給される高圧燃料の圧力と、1サイクル中に燃料噴射を複数回に分けて行うマルチ噴射のインターバルとの関数によって求められることを特徴とする燃料噴射装置。
  10. 請求項1〜請求項9のいずれかに記載の燃料噴射装置において、
    前記制御装置は、噴射量のズレを補正する際、
    時間軸に対する前記噴射率の幾何学的図形の形成開始時点から、前記インジェクタに開弁指示を与えてから実際に前記インジェクタが燃料噴射を開始するまでの開弁圧到達時間Tds、
    前記インジェクタのニードルが上昇する際の上昇噴射率Qup、
    前記インジェクタのニードルが下降する際の下降噴射率Qdn、
    前記上昇噴射率Qupが最大噴射率に達する場合に適用される最大噴射率Qmax、
    前記インジェクタに閉弁指示を与えてから実際に噴射率が降下を開始するまでの閉弁圧到達時間Tde1 、
    時間軸に対する前記噴射率の幾何学的図形の形成開始時点から、前記インジェクタの制御室の圧力が閉弁圧に達するまでのニードル上昇時間Tqr、
    前記インジェクタの駆動信号発生時期から駆動信号停止時期までの期間Tqf、
    よりなる噴射パラメータのうち、少なくても1つ以上を調整用パラメータとして用いるとともに、その調整用パラメータを学習値として記憶して、次回の噴射時に反映させることを特徴とする燃料噴射装置。
  11. 請求項10に記載の燃料噴射装置において、
    前記制御装置は、噴射量のズレを補正する際、
    前記噴射パラメータのうち、2つ以上を調整用パラメータとして用いるとともに、その調整用パラメータに重みを付けて噴射量のズレを補正し、
    それぞれの調整用パラメータを学習値として記憶して、次回の噴射時に反映させることを特徴とする燃料噴射装置。
  12. 請求項1〜請求項11のいずれかに記載の燃料噴射装置において、
    前記制御装置は、噴射量のズレを補正する際、
    噴射量のズレ量を、前記インジェクタの仕様を決める所定部位のパラメータの変化によるものであると推定し、その所定部位のパラメータを調整用パラメータとして用いるとともに、その調整用パラメータを学習値として記憶して、次回の噴射時に反映させることを特徴とする燃料噴射装置。
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