JP2004251208A - 燃料噴射システム - Google Patents

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Abstract

【課題】ECUが求めた噴射量と、実際の噴射量とに差が生じる場合、従来では回転数偏差から噴射量のズレ量を推定して補正値を求める手探りの補正技術であった。
【解決手段】燃料噴射時に、実際の噴射量に対応した筒内圧Pgfriと、ECU5が求めた噴射量に対応した噴射時目標圧Pgfti’とを比較するため、高い精度の学習補正値gQiを得ることができ、ECU5が求める最適な噴射量を、高い精度で実際に噴射供給できる。また、無噴射時にECU5が推定する無噴射時目標圧Pmtiと、実際の筒内圧Pmriとを比較して無噴射時圧差に基づく補正係数Kiを求めておき、噴射時は、その補正係数Kiと、その時の運転状態から圧差ΔPを求め、その圧差ΔPに基づいてECU5が求める噴射時目標圧Pgftiを補正して最終的な噴射時目標圧Pgfti’を求めるため、最終的な噴射時目標圧Pgfti’の精度が高まる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関(以下、エンジン)に燃料を噴射する燃料噴射システムに関するものであり、特に噴射量の制御に関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料噴射システムの制御装置は、エンジンにかかわる各パラメータから最適な噴射量と噴射時期等を算出し、インジェクタを駆動制御して演算によって得られた噴射量をエンジンに噴射供給している。
しかし、インジェクタ等の部品精度を極限まで高めたとしても、インジェクタ等の部品精度のバラツキや経時変化等によって制御装置が求めた噴射量と、実際の噴射量(実噴射量)とに差が生じる可能性がある。
この差を無くす技術として、エンジンが安定した運転状態にある時(例えばエンジンの暖機完了後のアイドリング時)における回転数(回転速度)の偏差から噴射量のズレ量を推定し、その推定値を基に噴射量を補正する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−355500公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述した従来の技術では、噴射系の機差のバラツキや経時変化等によって生じる噴射量のズレを、回転数の偏差から間接的に推測して噴射量を補正する手探りの補正技術であったため、補正精度に限界があり、高精度な補正が困難であった。
このため、高い精度の空燃比制御が困難になり、燃費を極限まで向上させたり、排気ガス性能を極限まで向上させる技術の妨げになっていた。
【0005】
一方、1燃焼(吸入、圧縮、爆発、排気からなる1回のサイクル内における1度の燃料噴射期間内)あたり燃料噴射を複数回に分けて行うマルチ噴射を実施する場合においては、制御装置が求めたマルチ噴射の各噴射量と、実際の各噴射量(実噴射量)とを対応して比較する術が従来ではなかったため、高精度にマルチ噴射の各噴射量を個別に補正することが困難であった。即ち、従来の噴射量の補正制御では、マルチ噴射によるメリット(エンジン振動およびエンジン騒音の防止、排気ガスの浄化、エンジン出力と燃費の両立等)を最大限に生かすことが困難であった。
【0006】
【発明の目的】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、噴射系の機差のバラツキや経時変化等に係わらずに、制御装置が求める最適な噴射量を、高い精度で実際にエンジンへ噴射供給できる燃料噴射システムの提供にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
〔請求項1の手段〕
請求項1の手段を採用する燃料噴射システムは、噴射時目標圧推定手段が燃料を噴射した場合の噴射時目標圧を求め、噴射量補正手段によって噴射時目標圧と実際の筒内圧とを比較し、両者に圧差がある場合、この圧差を無くす方向に噴射量を補正するものである。
このように、筒内圧を実際に検出して、その時の噴射量に対応して求められる噴射時目標圧と直接比較するため、実際に噴射される噴射量と、制御装置が求めた噴射量とに差がある場合、その差を高精度に検出できる。このため、高精度の噴射量補正が可能になり、制御装置が求める最適な噴射量を、高い精度で実際にエンジンへ噴射供給できる。
即ち、噴射系の機差のバラツキや経時変化等によって、実際に噴射される噴射量が、制御装置で求めた噴射量からズレる方向に変化しても、制御装置が求める最適な噴射量(狙い値)を実際にエンジンへ噴射供給できる。
このため、高い精度の空燃比制御が可能となり、燃費を極限まで向上させたり、排気ガス性能を極限まで向上させることが可能になる。
【0008】
〔請求項2の手段〕
請求項2の手段を採用する燃料噴射システムは、1燃焼あたり複数回の燃料噴射を実施するものであり、噴射時目標圧推定手段は、1燃焼中における各噴射時期から、各噴射によって筒内圧が上昇する時期(サンプリング角)の噴射時目標圧を各噴射毎に求める。そして、噴射量補正手段は、噴射時目標圧推定手段によって求められた各噴射時目標圧と、その各噴射時目標圧の発生推測時期の実際の筒内圧とに圧差がある場合、この圧差を無くす方向の学習補正値を求め、その学習補正値によって噴射量を補正するものである。
このように設けられることにより、制御装置が求めたマルチ噴射の各噴射量と、実際の各噴射量とを個別に対応して比較し、実際に噴射されるマルチ噴射の各噴射量を個別に高い精度で補正することができる。
これによって、マルチ噴射によるメリット(エンジン振動およびエンジン騒音の防止、排気ガスの浄化、エンジン出力と燃費の両立等)を最大限に生かすことが可能になる。
【0009】
一方、噴射時目標圧を多ポイント(連続的等)で求めて、各ポイント毎に筒内圧と比較する制御を実施すると、制御装置の演算負荷が大きくなってしまう。
これに対し、請求項2の手段を採用する燃料噴射システムは、マルチ噴射によって筒内圧が上昇する各時期(各サンプリング角)に各噴射時目標圧を求めて、各時期の筒内圧と比較する制御を実施するものであるため、制御装置の演算負荷を小さくできる。
【0010】
〔請求項3の手段〕
請求項3の手段を採用する燃料噴射システムは、1燃焼あたり1回の燃料噴射(単発噴射)を実施するものであり、噴射時目標圧推定手段は、噴射時期からその噴射によって筒内圧が上昇する時期(サンプリング角)の噴射時目標圧を求める。そして、噴射量補正手段は、噴射時目標圧推定手段によって求められた噴射時目標圧と、その噴射時目標圧の発生推測時期の実際の筒内圧とに圧差がある場合、この圧差を無くす方向の学習補正値を求め、その学習補正値によって噴射量を補正するものである。
このように設けられることにより、制御装置が求めた単発噴射の噴射量と、実際の噴射量とを比較して、実際に噴射される単発噴射の噴射量を高い精度で補正することができる。
これによって、単発噴射によるメリット(エンジン出力と燃費の両立、排気ガスの浄化等)を最大限に生かすことが可能になる。
【0011】
一方、上述した請求項2の手段と同様、噴射時目標圧を多ポイント(連続的等)で求めて、各ポイント毎に筒内圧と比較する制御を実施すると、制御装置の演算負荷が大きくなってしまう。
これに対し、請求項3の手段を採用する燃料噴射システムは、単発噴射によって筒内圧が上昇する時期(サンプリング角)に噴射時目標圧を求めて、その時期の筒内圧と比較する制御を実施するものであるため、制御装置の演算負荷を小さくできる。
【0012】
〔請求項4の手段〕
請求項4の手段を採用する燃料噴射システムは、無噴射時目標圧推定手段によって燃料の噴射時期に燃料を噴射しない無噴射時の筒内圧を無噴射時目標圧として求める。そして、噴射時目標圧補正手段は、無噴射時目標圧推定手段が求めた無噴射時目標圧と筒内圧センサが検出した筒内圧とに無噴射時圧差がある場合、噴射時目標圧推定手段によって求められる噴射時目標圧に、無噴射時圧差を反映させるものである。
このように、燃料の無噴射時に制御装置が推定する無噴射時目標圧と、筒内圧センサが検出した筒内圧とを比較して、その無噴射時圧差に基づいて制御装置が推定する噴射時目標圧を補正するため、筒内圧センサの特性バラツキ、温度特性に対するバラツキ、エンジンのバラツキ等を補償でき、制御装置が求める噴射時目標圧と、筒内圧センサが検出する筒内圧との誤差を小さくできる。
即ち、筒内圧センサの特性バラツキ、温度特性に対するバラツキ、エンジンのバラツキ等が補償されるため、噴射量の補正精度を高めることができる。
【0013】
〔請求項5の手段〕
請求項5の手段を採用する燃料噴射システムの筒内圧センサは、エンジンの筒内圧を直接的に検出するタイプであるため、筒内圧を高い精度で監視できる。このため、筒内圧センサによって求められる筒内圧の精度が高まり、噴射量の補正精度を高めることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、3つの実施例と変形例を用いて説明する。
[第1実施例の構成]
本発明をコモンレール式燃料噴射システムに適用した実施例を図1〜図4を参照して説明する。まず、コモンレール式燃料噴射システムの構成を図1を参照して説明する。
【0015】
コモンレール式燃料噴射システムは、例えばディーゼルエンジン(以下、エンジン)1に燃料噴射を行うシステムであり、コモンレール2、インジェクタ3、サプライポンプ4、ECU5(エンジン・コントロール・ユニットの略:制御装置に相当する)等から構成される。
エンジン1は、吸入・圧縮・爆発・排気の各工程を連続して行う気筒を複数備えたものであり、この実施例では4気筒エンジンを例に示すが、他の気筒数のエンジンであっても良い。
【0016】
コモンレール2は、インジェクタ3に供給する高圧燃料を蓄圧する蓄圧容器であり、燃料噴射圧に相当するコモンレール圧が蓄圧されるように燃料配管(高圧燃料流路)6を介して高圧燃料を圧送するサプライポンプ4の吐出口と接続されている。
なお、インジェクタ3からのリーク燃料は、リーク配管(燃料還流路)7を経て燃料タンク8に戻される。
また、コモンレール2から燃料タンク8へのリリーフ配管(燃料還流路)9には、プレッシャリミッタ11が取り付けられている。このプレッシャリミッタ11は圧力安全弁であり、コモンレール2内の燃料圧が限界設定圧を超えた際に開弁して、コモンレール2の燃料圧を限界設定圧以下に抑える。
【0017】
インジェクタ3は、エンジン1の各気筒毎に搭載されて燃料を各気筒内に噴射供給するものであり、コモンレール2より分岐する複数の分岐管の下流端に接続されて、コモンレール2に蓄圧された高圧燃料を各気筒に噴射供給する燃料噴射ノズル、およびこの燃料噴射ノズル内に収容されたニードルのリフト制御を行う開弁用アクチュエータ(電磁弁、ピエゾ素子等)を搭載している。
そして、インジェクタ3の開弁用アクチュエータは、ECU5から与えられるインジェクタ開弁信号(後述する開弁信号Q1 〜Q4 )によって噴射時期および噴射量が制御されるものであり、インジェクタ開弁信号が開弁用アクチュエータに与えられることにより高圧燃料を気筒内に噴射供給し、インジェクタ開弁信号がOFF することで燃料噴射が停止するものである。
【0018】
サプライポンプ4は、コモンレール2へ高圧燃料を圧送する燃料ポンプであり、燃料タンク8内の燃料をサプライポンプ4へ吸引するフィードポンプと、このフィードポンプによって吸い上げられた燃料を高圧に圧縮してコモンレール2へ圧送する高圧ポンプとを搭載しており、フィードポンプおよび高圧ポンプは共通のカムシャフト12によって駆動される。なお、このカムシャフト12は、図1に示されるように、エンジン1のクランク軸13等によって回転駆動されるものである。
また、サプライポンプ4には、高圧ポンプに吸引される燃料の量を調整するポンプ制御弁(図示しない)が搭載されており、このポンプ制御弁がECU5によって調整されることにより、コモンレール圧が調整されるようになっている。
【0019】
ECU5には、制御処理、演算処理を行うCPU、各種プログラムおよびデータを保存する記憶装置(ROM、スタンバイRAMまたはEEPROM、RAM等のメモリ)、入力回路、出力回路、電源回路、インジェクタ駆動回路およびポンプ駆動回路等の機能を含んで構成されている周知構造のマイクロコンピュータが設けられている。そして、ECU5に読み込まれたセンサ類の信号(エンジンパラメータ:乗員の運転状態、エンジン1の運転状態等に応じた信号)に基づいて各種の演算処理を行うようになっている。
【0020】
ここで、本発明にかかる燃料噴射制御について説明する。
この実施例では、1燃焼あたり複数回の燃料噴射(マルチ噴射)を実施し、エンジン振動およびエンジン騒音の防止、排気ガスの浄化、エンジン出力と燃費を高い次元で両立させるものである。具体的にこの実施例では、1燃焼中に噴射される噴射量をほぼ均等に複数回(この実施例では4回)に分割して噴射する均等マルチ噴射を実施するものである。
【0021】
そこで、ECU5は、燃料の噴射毎に、ROMに記憶されたプログラム(マップ等)と、RAMに読み込まれたエンジンパラメータとに基づいて、現運転状態の噴射量Qibを求め(後述するステップ103 参照)、その噴射量Qibに学習補正値gQiを反映させて各噴射毎の目標噴射量Qiを求める(後述するステップ104 参照)ように設けられている。
さらに、ECU5は、燃料の噴射毎に、ROMに記憶されたプログラム(マップ等)と、RAMに読み込まれたエンジンパラメータとに基づいて、噴射タイミングを求めるとともに、目標噴射量Qiの噴射を実行するための噴射時期指令値(開弁開始と開弁停止の値)を求める(後述するステップ105 参照)ように設けられている。
【0022】
このECU5には、エンジンパラメータを検出するセンサ類として、アクセル開度を検出するアクセルセンサ21、エンジン回転数を検出する回転数センサ22、エンジン1の冷却水温度を検出する水温センサ23、コモンレール圧を検出するコモンレール圧センサ24、およびその他のセンサ類25等が接続されている。
【0023】
[第1実施例の特徴]
従来技術の項でも説明したように、インジェクタ等の部品精度を極限まで高めたとしても、インジェクタ等の部品精度のバラツキや経時変化等によってECU5が求めた現運転状態の噴射量Qibと、実際の噴射量(実噴射量)とに差が生じる可能性がある。
この差を無くす従来の技術は、エンジン1が安定した運転状態にある時(例えばエンジン1の暖機完了後のアイドリング時)における回転数の偏差から目標噴射量のズレ量を推定し、その推定値を基に学習補正値gQiを求め、現運転状態の噴射量Qibに学習補正値gQiを反映させて目標噴射量Qiを求めるものであった。
【0024】
しかし、従来の技術では、回転数の偏差から間接的に噴射量のズレ量を推測して学習補正値gQiを求める手探りの補正技術であったため、補正精度に限界があり、高精度な補正が困難であった。
これに対し、この実施例は、実際にインジェクタ3から噴射される噴射量(実噴射量)を筒内圧として直接的に検出し、その筒内圧に基づいて現運転状態の噴射量Qibを補正することで、高精度な噴射量補正を実現するものである。この高精度な補正を実現する技術を以下に説明する。
【0025】
この実施例は、エンジン1の筒内圧を検出する筒内圧センサ26を備える。この実施例の筒内圧センサ26は、略グロープラグのような形状を呈するものであり、先端に配置されたセンサ部がエンジン1の各燃焼室内にそれぞれ挿し入れられて、各筒内圧を直接的に検出する圧力センサであり、各気筒毎の筒内圧を高い精度で監視できる。
【0026】
また、ECU5には、高度な噴射量補正を行うために、燃料を噴射した場合における筒内圧を噴射時目標圧Pgfti’(図2の実噴射時の実線参照)として求める噴射時目標圧推定手段5aと、この噴射時目標圧推定手段5aが求めた噴射時目標圧Pgfti’と筒内圧センサ26が検出した実際の筒内圧Pgfri(図2の一点鎖線参照)とに圧差ΔP’(図2参照)がある場合、この圧差ΔP’を無くす方向に目標噴射量Qiを補正する噴射量補正手段5bとの機能が設けられている。
なお、図2に示すTDCは上死点を示すものであり、BTDCは上死点前のクランク角、ATDCは上死点後のクランク角を示すものである。
【0027】
本実施例は、上述したように、1燃焼あたり複数回の燃料噴射を実施するマルチ噴射(具体的には、均等マルチ噴射)を実施するものである。
このため、本実施例の噴射時目標圧推定手段5aは、1燃焼中における各噴射時期(図2中、開弁信号Q1 〜Q4 参照)から、各噴射によって筒内圧が上昇する時期(図2中、サンプリング角θ1 〜θ4 参照)の噴射時目標圧Pgfti’を各噴射毎に求めるように設けられている(フローチャート中、ステップ116 、117 参照)。
【0028】
また、噴射量補正手段5bは、噴射時目標圧推定手段5aによって求められた各噴射時目標圧Pgfti’と、その各噴射時目標圧Pgfti’の発生推測時期における実際の筒内圧Pgfriとに圧差ΔP’がある場合、この圧差ΔP’を無くす方向の学習補正値gQiを求め、その学習補正値gQiによって各噴射毎の目標噴射量Qiを補正し、その学習補正値gQiを学習値として記憶するように設けられている(フローチャート中、ステップ118 〜126 参照)。
【0029】
上述した噴射時目標圧推定手段5aおよび噴射量補正手段5bを具体的に説明する。
噴射時目標圧推定手段5aは、各噴射によって筒内圧が上昇する時期(図2中、サンプリング角θ1 〜θ4 参照)毎に、エンジンパラメータによって現運転状態における噴射時の噴射時目標圧Pgfti(図2の実噴射時の破線参照)をマップ等によって算出し(フローチャート中、ステップ116 参照)、その値を後述する補正手段によって求められた圧差ΔP(フローチャート参照)によって補正して最終的な噴射時目標圧Pgfti’を求める(フローチャート中、ステップ117 参照)ものである。
なおここで、ECU5の記憶装置に記憶される噴射時の噴射時目標圧Pgftiデータは、予め実験等によって求めたエンジン1や噴射系の機差の中央値データである。
【0030】
噴射量補正手段5bは、各噴射によって筒内圧が上昇する時期(図2中、サンプリング角θ1 〜θ4 参照)毎に、筒内圧センサ26によって実際の筒内圧Pgfriを取り込み(フローチャート中、ステップ118 参照)、その値と上記噴射時目標圧推定手段5aで求めた噴射時目標圧Pgfti’とを比較する(フローチャート中、ステップ119 参照)。
そして、ECU5で求めた噴射時目標圧Pgfti’(演算値)より実際の筒内圧Pgfriの方が所定値(フローチャート中のα値)より大きい場合は、噴射量を減らすための学習補正値gQiを求め(フローチャート中、ステップ120 参照)、その学習補正値gQiをECU5で求めた目標噴射量Qiに反映(減算)して最終的な目標噴射量Qiを求める(フローチャート中、ステップ121 参照)。
【0031】
一方、実際の筒内圧PgfriよりECU5で求めた噴射時目標圧Pgfti’(演算値)の方が所定値(フローチャート中のβ値)より大きい場合は、噴射量を増やすための学習補正値gQiを求め(フローチャート中、ステップ122 参照)、その学習補正値gQiをECU5で求めた目標噴射量Qiに反映(加算)して最終的な目標噴射量Qiを求める(フローチャート中、ステップ123 参照)。
さらに、ECU5で求めた噴射時目標圧Pgfti’(演算値)が、実際の筒内圧Pgfriの所定範囲内の場合は、ECU5で求めた目標噴射量Qiを補正せずに最終的な目標噴射量Qiとして求める(フローチャート中、ステップ124 参照)。
【0032】
なお、噴射量補正手段5bは、エンジン冷却水の温度が所定温度範囲で、エンジン1が安定状態の場合には、上記で求めた学習補正値gQiをRAMに記憶させる(フローチャート中、ステップ125 、126 参照)。これによって、学習補正値gQiが次回の噴射制御に反映される。
【0033】
また、本実施例のECU5には、燃料の噴射時期に燃料を噴射しない無噴射時の筒内圧を無噴射時目標圧Pmti(図2中、無噴射時の破線参照)として求める無噴射時目標圧推定手段5c(フローチャート中、ステップ109 〜110 )と、この値と筒内圧センサ26が検出した筒内圧Pmri(図2中、無噴射時の実線参照)とに無噴射時の圧差(無噴射時圧差に相当する)がある場合、この無噴射時圧差に基づく補正係数Kiを求め、その値で噴射時目標圧推定手段5aによって求められる噴射時目標圧Pgftiを補正して最終的な噴射時目標圧Pgfti’を求める噴射時目標圧補正手段5d(フローチャート中、ステップ111 〜117 )との機能が設けられている。
【0034】
上述した無噴射時目標圧推定手段5cおよび噴射時目標圧補正手段5dを具体的に説明する。
無噴射時目標圧推定手段5cは、エンジン回転数に応じた無噴射時の筒内圧の上昇データ(無噴射時目標圧Pmti)をECU5の記憶装置(マップ等)より取り出す手段である(フローチャート中、ステップ109 、110 参照)。
なおここで、ECU5の記憶装置に記憶される無噴射時目標圧Pmtiのデータは、予め実験等によって求めたエンジン1や噴射系の機差の中央値データである。
【0035】
噴射時目標圧補正手段5dは、無噴射時ではあるが燃料噴射が仮になされたと仮定した場合に筒内圧が上昇する時期(図2中、サンプリング角θ1 〜θ4 参照)毎に、筒内圧センサ26によって実際の筒内圧Pmriを取り込む(フローチャート中、ステップ111 参照)。次に、上記各時期(図2中、サンプリング角θ1 〜θ4 参照)毎における実際の筒内圧Pmriと、その時期毎の無噴射時目標圧Pmtiとを比較して、その無噴射時圧差からその回転数に応じた補正係数Kiを求め、その値を学習値として記憶装置に記憶させる(フローチャート中、ステップ112 参照)。
【0036】
燃料噴射時は、エンジンパラメータから無噴射を想定した無噴射時目標圧Pgtiを求め(フローチャート中、ステップ113 参照)、その値に補正係数Kiを反映(乗算)させて補正した無噴射時目標圧Pgsiを求める(フローチャート中、ステップ114 参照)。なおここで、ECU5の記憶装置に記憶される無噴射時目標圧Pgtiのデータは、予め実験等によって求めたエンジン1や噴射系の機差の中央値データである。
【0037】
次に、補正前の無噴射時目標圧Pgtiと、補正後の無噴射時目標圧Pgsiとの圧差ΔPを求める(フローチャート中、ステップ115 参照)。
そして、上述したように、現運転状態に応じて求められた噴射時目標圧Pgftiに圧差ΔPを反映(加算)して最終的な噴射時目標圧Pgfti’を求めることによって、ECU5が推定する噴射時目標圧Pgfti’の精度が高まる(フローチャート中、ステップ117 参照)。
【0038】
次に、燃料噴射制御の一例を、図3、図4のフローチャートを参照して説明する。
キースイッチがONされると(スタート)、まず各センサ類によってエンジンパラメータの取り込みを行う(ステップ101 )。
次に、噴射量の補正を行う学習補正値gQiと、推定筒内圧と実圧の補正を行う補正係数Kiを記憶装置から呼び込む(ステップ102 )。
【0039】
次に、呼び込まれたパラメータとマップ等から現運転状態の噴射量(指令値)Qibを算出する(ステップ103 )。続いて、この値に学習補正値gQiを反映させる(ステップ104 )。続いて、現運転状態の噴射時期(指令値)Tiを算出する(ステップ105 )。続いて、現運転状態の目標レール圧(目標値)Pctを算出する(ステップ106 )。続いて、コモンレール圧センサ24で読み込んだ目標レール圧Pctと実レール圧Pcrの差から、サプライポンプ4に搭載されたポンプ制御弁(図示しない)の開弁指令値Dscvを算出する(ステップ107 )。
【0040】
次に、現運転状態が減速時の無噴射状態であるか否かの判断を行う(ステップ108 )。
このステップ108 の判断結果がYES の場合(減速時の無噴射状態)、上述したステップ109 〜112 を実行し、その後ステップ127 へ進む。
ステップ108 の判断結果がNOの場合(減速時の無噴射ではない状態)、上述したステップ113 〜126 を実行し、その後ステップ127 へ進む。
【0041】
ステップ127 では、上記演算で求められた目標噴射量Qiを最終指令値として出力段に設定する。続いて、ステップ107 で求められた開弁指令値Dscvを最終指令値として出力段に設定する(ステップ128 )。その後リターンして、上記の処理を繰り返す。
【0042】
[第1実施例の効果]
この実施例のコモンレール式燃料噴射システムは、上述したように、燃料の噴射時において実際の筒内圧Pgfri(実際の噴射量に対応した値)を検出して、その時の噴射量に対応して求められる噴射時目標圧Pgfti’(ECU5が算出する噴射量に対応した値)と直接比較するため、高精度の噴射量補正が可能になる。即ち、ECU5が求める最適な噴射量(目標噴射量Qi)を、高い精度でエンジン1へ実際に噴射供給できる。
このため、噴射系の機差のバラツキや経時変化等によって、インジェクタ3から気筒内に噴射される実際の噴射量が、ECU5の求める噴射量からズレる方向にあっても、高い精度の学習補正値gQiを求め、この値によって噴射量を補正するため、ECU5が求める最適な噴射量(目標噴射量Qi)を、高い精度で実際にエンジン1へ供給できる。
この結果、高い精度の空燃比制御が可能となり、燃費を極限まで向上させたり、排気ガス性能を極限まで向上させることが可能になる。
【0043】
ここで本実施例の燃料噴射システムでは、マルチ噴射においてECU5が求めた目標噴射量に対応した噴射時目標圧Pgfti’と、実際の各噴射量(実噴射量)に対応して発生する実際の筒内圧Pgfriとを、噴射毎に個別対応して比較し、マルチ噴射の各噴射量を高い精度で補正している。
これによって、マルチ噴射によるメリット(エンジン振動およびエンジン騒音の防止、排気ガスの浄化、エンジン出力と燃費の両立等)を最大限に生かすことができる。
【0044】
また、本実施例の燃料噴射システムでは、燃料の無噴射時にECU5が推定する無噴射時目標圧Pmtiと、筒内圧センサ26が検出した実際の筒内圧Pmriとを比較して無噴射時圧差に基づく補正係数Kiを求める。そして、噴射時は、その補正係数Kiと、その時の運転状態から圧差ΔPを求め、その圧差ΔPに基づいてECU5の記憶装置から呼び出される噴射時目標圧Pgftiを補正して最終的な噴射時目標圧Pgfti’を求める。
これによって、筒内圧センサ26の特性バラツキ、温度特性に対するバラツキ、エンジン1のバラツキ等を補償でき、ECU5が求める最終的な噴射時目標圧Pgfti’と、筒内圧センサ26が検出する実際の筒内圧Pgfriとの誤差を小さくでき、結果的に噴射量の補正精度を高めることができる。
【0045】
さらに、噴射時目標圧Pgfti’を多ポイント(連続的等)で求めて、各ポイント毎に実際の筒内圧Pgfriと比較する制御を実施すると、ECU5の演算負荷がとても大きくなってしまう。
これに対し、本実施例の燃料噴射システムでは、マルチ噴射の各噴射時期(図2中、開弁信号Q1 〜Q4 )によって筒内圧が上昇する各時期(図2中、サンプリング角θ1 〜θ4 )に各噴射時目標圧Pgfti’を求めて、その各時期の実際の筒内圧Pgfriと比較する制御を実施するため、ECU5の演算負荷を小さくできる。
【0046】
また、本実施例の筒内圧センサ26は、エンジン1の筒内圧を直接的に検出するタイプであるため、実際の筒内圧Pgfri、Pmriを高い精度でモニターできる。このため、筒内圧センサ26によって検出される実際の筒内圧Pgfri、Pmriの検出精度が高まり、噴射量の補正精度を高めることができる。
【0047】
[第2実施例の構成]
第2実施例を図5を参照して説明する。なお、本実施例において、上記実施例と同一符号は同一機能物を示すものである。
この第2実施例は、ECU5が求める無噴射時目標圧Pd1(例えばサンプリング角θ1)と、筒内圧センサ26が検出した実際の筒内圧とを比較して無噴射時圧差を求め、無噴射時圧差から学習値を求めて無噴射時目標圧Pd1を補正して、学習によって補正された無噴射時目標圧Pd1gを求める制御を、エンジン1の回転数が所定回転数以上の時に行うようにしたものである。
このように所定回転数以上で比較制御することにより、無噴射時圧差が小さい状態(エンジン回転数が低い状態)での学習が行われなくなる。言い換えれば、大きな無噴射時圧差に基づいて無噴射時目標圧Pd1gを求めることができるため、補正された無噴射時目標圧Pd1gの精度が高められる。
【0048】
なお、エンジン回転数が所定回転数以下の場合、即ち例えばアイドリング回転数の場合は、図5に示されるように、アイドリング回転数に基づく無噴射時目標圧Pd1iをECU5によって求める。そして、所定回転数以上の所定学習回転数(図中、学習NE)で求めた無噴射時目標圧Pd1と無噴射時目標圧Pd1gの関係から、アイドリング回転数の無噴射時目標圧Pd1iを補正して学習後のアイドル値Pd1ig(Pd1ig=Pd1i×Pd1g/Pd1)を求めるものである。
なお、この実施例では、マルチ噴射の最初の噴射にかかる筒内圧の昇圧時期(サンプリング角θ1 )を例に示したが、マルチ噴射の2回目以降の噴射にかかる筒内圧の昇圧時期(サンプリング角θ2 〜θ4)も同様に制御するものである。
【0049】
[第3実施例]
第3実施例を図6を参照して説明する。なお、本実施例において、第1実施例と同一符号は同一機能物を示すものである。
上記の実施例では、1燃焼中に燃料を複数回噴射するマルチ噴射を例に示した。これに対して、この第3実施例は、1燃焼あたり1回の燃料噴射を実施する単発噴射の例を示す。
【0050】
ECU5には、燃料を噴射した場合における筒内圧を噴射時目標圧Pgfti’(図6の実噴射時の実線参照)として求める噴射時目標圧推定手段5aと、この噴射時目標圧推定手段5aが求めた噴射時目標圧Pgfti’と筒内圧センサ26が検出した実際の筒内圧Pgfri(図6の実線参照)とに圧差ΔP’がある場合、この圧差ΔP’を無くす方向に目標噴射量Qiを補正する噴射量補正手段5bとの機能が設けられている。
【0051】
本実施例は、上述したように、1燃焼あたり1回の燃料噴射を実施する単発噴射を実施するものである。
このため、本実施例の噴射時目標圧推定手段5aは、1燃焼中における1回の噴射開始時期(図6中、開弁信号Q1 参照)から、その噴射によって筒内圧が上昇する時期(図6中、サンプリング角θ1 参照)の噴射時目標圧Pgfti’を求めるように設けられている。
【0052】
また、噴射量補正手段5bは、噴射時目標圧推定手段5aによって求められた噴射時目標圧Pgfti’と、その噴射時目標圧Pgfti’の発生推測時期における実際の筒内圧Pgfriとに圧差ΔP’がある場合、この圧差ΔP’を無くす方向の学習補正値gQiを求め、その学習補正値gQiによって各噴射毎の目標噴射量Qiを補正し、その学習補正値gQiを記憶するように設けられている。
【0053】
噴射量補正手段5bは、噴射によって筒内圧が上昇する時期(図6中、サンプリング角θ1 参照)に、筒内圧センサ26によって実際の筒内圧Pgfriを取り込み、その値と上記噴射時目標圧推定手段5aで求めた噴射時目標圧Pgfti’とを比較する。
そして、ECU5で求めた噴射時目標圧Pgfti’より実際の筒内圧Pgfriの方が所定値より大きい場合は、噴射量を減らすための学習補正値gQiを求め、その学習補正値gQiをECU5で求めた目標噴射量Qiに反映(減算)して最終的な目標噴射量Qiを求める。
【0054】
一方、実際の筒内圧PgfriよりECU5で求めた噴射時目標圧Pgfti’の方が所定値より大きい場合は、噴射量を増やすための学習補正値gQiを求め、その学習補正値gQiをECU5で求めた目標噴射量Qiに反映(加算)して最終的な目標噴射量Qiを求める。
さらに、ECU5で求めた噴射時目標圧Pgfti’が、実際の筒内圧Pgfriの所定範囲内の場合、即ち両者の圧差ΔP’が少ない場合は、ECU5で求めた目標噴射量Qiを補正せずに最終的な目標噴射量Qiとして求める。
【0055】
そして、第1実施例と同様、エンジン冷却水の温度が所定温度範囲で、エンジン1が安定状態である場合には、上記で求めた学習補正値gQiをRAMに記憶させ、学習補正値gQiを次回の噴射制御に反映させる。
【0056】
また、本実施例のECU5には、第1実施例と同様、燃料の噴射時期に燃料を噴射しない無噴射時の筒内圧を無噴射時目標圧Pmti(図6中、無噴射時の破線参照)として求める無噴射時目標圧推定手段5cと、この値と筒内圧センサ26が検出した筒内圧Pmri(図6中、無噴射時の実線参照)とに無噴射時の圧差ΔPがある場合、この圧差ΔPに基づく補正係数Kiを求め、その値で噴射時目標圧推定手段5aによって求められる噴射時目標圧Pgfti(図6中、噴射時の破線参照)を補正して最終的な噴射時目標圧Pgfti’(図6中、噴射時の実線参照)を求める噴射時目標圧補正手段5dとの機能が設けられている。
この無噴射時目標圧推定手段5cおよび噴射時目標圧補正手段5dは、第1実施例と同じであるため、説明は省略する。
【0057】
ここで、図6中、無噴射時の破線に示す無噴射時目標圧Pmtiの記憶データ、および噴射時の破線に示す噴射時目標圧Pgftiの記憶データは、予め実験等によって求めたエンジン1や噴射系の機差の中央値データである。
なお、燃料噴射の制御フローは、第1実施例の図3、図4とほぼ同様であり、ステップ111 の制御を、所定のサンプリング角θ1(開弁信号Q1 による燃料噴射によって内圧が上昇する時期)に、筒内圧センサ26によって筒内圧Pmriを読み込むとするもので、他の制御は共通である。
【0058】
この第3実施例も、上述した第1実施例と同様、実際の筒内圧Pgfriを検出して、その時の噴射量に対応して求められる噴射時目標圧Pgfti’と直接比較するため、高精度の噴射量補正が可能になる。即ち、ECU5が求める最適な噴射量(目標噴射量Qi)を、高い精度でエンジン1へ実際に噴射供給できる。
即ち、噴射系の機差のバラツキや経時変化等によって、実際の噴射量がECU5の求める噴射量からズレる方向にあっても、ECU5が求める最適な噴射量(目標噴射量Qi)を、高い精度で実際にエンジン1へ供給できる。
このため、高い精度の空燃比制御が可能となり、燃費を極限まで向上させたり、排気ガス性能を極限まで向上させ、エンジン出力と燃費の両立を高次元で実現できる。
【0059】
[変形例]
上記の第1実施例では、マルチ噴射の一例として1燃焼中に噴射される噴射量をほぼ均等に複数回に分割して噴射する均等マルチ噴射を例に示したが、1燃焼中の噴射を微少噴射とメイン噴射に分け、メイン噴射の前に1回の微少噴射、あるいは複数回の微少噴射を行うマルチ噴射に本発明を適用したり、メイン噴射の後に1回の微少噴射、あるいは複数回の微少噴射を行うマルチ噴射に本発明を適用しても良い。
【0060】
上記の実施例では、無噴射時にECU5が求める筒内圧Pmtiと、実際に筒内圧センサ26が検出する筒内圧Pmriとの無噴射時圧差から補正係数Kiを求め、その補正係数Kiを用いて圧差ΔPを算出し、その圧差ΔPを用いて噴射時目標圧Pgftiを補正して最終的な噴射時目標圧Pgfti’の算出精度を高めた例を示した。これに対して、無噴射時圧差が無視できるほど小さいバラツキのエンジン1の場合では、ECU5の記憶データから読みだされる噴射時目標圧Pgftiを補正せずに用いても良い。即ち、機差中央値の筒内圧データをそのまま用いても良い。
【0061】
上記実施例では、筒内圧センサ26としてエンジン1の筒内にセンサを挿し入れて、筒内圧を直接的に検出するタイプを例に示したが、エンジン1に加速度センサ等を取り付け、その加速度センサの検出するエンジン1の振動等から筒内圧を算出して求めても良い。
また、インジェクタ3、グロープラグ、スパークプラグ(ガソリンエンジン等)のガスケット部にリング状の筒内圧センサ26(圧力センサ)を用いるなど、他の手段を用いても良い。
【0062】
上記の実施例では、本発明をインジェクタ3の作動時にリーク燃料が発生するコモンレール式燃料噴射システムに適用した例を示したが、インジェクタ3に搭載されたリニアソレノイドが直接ニードルを駆動してリーク燃料を発生しないタイプのコモンレール式燃料噴射システムに本発明を適用しても良い。即ち、ピエゾインジェクタ等で直接ニードルを駆動するタイプのインジェクタ3を搭載する燃料噴射システムに本発明を適用しても良い。
【0063】
上記の実施例では、本発明をコモンレール式燃料噴射システムに適用した例を示したが、コモンレールを用いない燃料噴射システムに本発明を適用しても良い。つまり、ディーゼルエンジン以外の例えばガソリンエンジン等に用いられる燃料噴射システムに本発明を適用して噴射量を補正するように設けても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】コモンレール式燃料噴射システムの概略図である(第1実施例)。
【図2】クランク角に対する筒内圧の変化を示すグラフである(第1実施例)。
【図3】噴射制御のフローチャートである(第1実施例)。
【図4】噴射制御のフローチャートである(第1実施例)。
【図5】回転数と筒内圧の関係を示すグラフである(第2実施例)。
【図6】クランク角に対する筒内圧の変化を示すグラフである(第3実施例)。
【符号の説明】
1 エンジン(内燃機関)
5 ECU(制御装置)
5a 噴射時目標圧推定手段
5b 噴射量補正手段
5c 無噴射時目標圧推定手段
5d 噴射時目標圧補正手段
26 筒内圧センサ

Claims (5)

  1. 燃料の噴射時期および噴射量を制御する制御装置と、
    内燃機関の筒内圧を検出する筒内圧センサとを具備し、
    前記制御装置は、
    燃料を噴射した場合における筒内圧を噴射時目標圧として求める噴射時目標圧推定手段と、
    この噴射時目標圧推定手段が求めた噴射時目標圧と前記筒内圧センサが検出した筒内圧とに圧差がある場合、この圧差を無くす方向に噴射量を補正する噴射量補正手段と、
    を備えることを特徴とする燃料噴射システム。
  2. 請求項1に記載の燃料噴射システムにおいて、
    この燃料噴射システムは、1燃焼あたり複数回の燃料噴射を実施するものであり、
    前記噴射時目標圧推定手段は、1燃焼中における各噴射時期から、各噴射によって筒内圧が上昇する時期の噴射時目標圧を各噴射毎に求めるように設けられ、
    前記噴射量補正手段は、前記噴射時目標圧推定手段によって求められた各噴射時目標圧と、その各噴射時目標圧の発生推測時期の実際の筒内圧とに圧差がある場合、この圧差を無くす方向の学習補正値を求め、その学習補正値によって各噴射毎の噴射量を補正するように設けられたことを特徴とする燃料噴射システム。
  3. 請求項1に記載の燃料噴射システムにおいて、
    この燃料噴射システムは、1燃焼あたり1回の燃料噴射を実施するものであり、
    前記噴射時目標圧推定手段は、噴射時期からその噴射によって筒内圧が上昇する時期の噴射時目標圧を求めるように設けられ、
    前記噴射量補正手段は、前記噴射時目標圧推定手段によって求められた噴射時目標圧と、その噴射時目標圧の発生推測時期の実際の筒内圧とに圧差がある場合、この圧差を無くす方向の学習補正値を求め、その学習補正値によって噴射量を補正するように設けられたことを特徴とする燃料噴射システム。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれかに記載の燃料噴射システムにおいて、
    前記制御装置は、
    燃料の噴射時期に燃料を噴射しない無噴射時の筒内圧を無噴射時目標圧として求める無噴射時目標圧推定手段と、
    この無噴射時目標圧推定手段が求めた無噴射時目標圧と前記筒内圧センサが検出した筒内圧とに無噴射時圧差がある場合、前記噴射時目標圧推定手段によって求められる噴射時目標圧に、前記無噴射時圧差を反映させる噴射時目標圧補正手段と、
    を備えることを特徴とする燃料噴射システム。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれかに記載の燃料噴射システムにおいて、
    前記筒内圧センサは、前記内燃機関の筒内圧を直接的に検出するタイプであることを特徴とする燃料噴射システム。
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