JP2004108223A - 内燃機関における燃料噴射システムの制御 - Google Patents
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Abstract
【課題】内燃機関の運転停止後における燃料噴射システムの条件変化に基づいて燃料噴射システムの燃料圧力を調整すること。
【解決手段】ECU40は、内燃機関10の運転停止後の経過時間Time_offが判定時間Time1を経過しているか否かを判定し、内燃機関10の運転停止後の経過時間Time_offが判定時間Time1を経過していると判定した場合には、燃料デリバリパイプ温度Thdが判定温度Th1よりも低いか否かを判定する。ECU40は、燃料デリバリパイプ温度Thdが判定温度Th1よりも低いと判定した場合には、燃料リリーフ弁24に対して駆動信号を送出して燃料デリバリパイプFD内の燃料をリターン管23を介して燃料タンク20へとリターンして、燃料デリバリパイプFDの燃料圧力を、燃料噴射弁IJからの燃料漏れが生じない圧力域まで低減させる。
【選択図】 図1
【解決手段】ECU40は、内燃機関10の運転停止後の経過時間Time_offが判定時間Time1を経過しているか否かを判定し、内燃機関10の運転停止後の経過時間Time_offが判定時間Time1を経過していると判定した場合には、燃料デリバリパイプ温度Thdが判定温度Th1よりも低いか否かを判定する。ECU40は、燃料デリバリパイプ温度Thdが判定温度Th1よりも低いと判定した場合には、燃料リリーフ弁24に対して駆動信号を送出して燃料デリバリパイプFD内の燃料をリターン管23を介して燃料タンク20へとリターンして、燃料デリバリパイプFDの燃料圧力を、燃料噴射弁IJからの燃料漏れが生じない圧力域まで低減させる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の燃料噴射システムにおける燃料圧力の調整技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、内燃機関(エンジン)の運転停止時における燃料噴射システムの燃料圧力を調整して、インジェクタからの燃料漏れ、ベーパの発生を防止する技術が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−89176号広報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、エンジンを制御する制御装置は、キーポジションがオフまたはロック位置に切り換えられるとその機能を停止してしまうため、特許文献1に記載の技術を始めとする従来の技術では、エンジンの運転停止時における燃料噴射システムの燃料圧力の調整は、エンジンの運転停止時に完了しなければならなかった。一般的に、エンジン停止時における燃料圧力の上昇(変動)は、エンジン停止(車両停止)に伴い、冷却のための走行風をエンジンルームに導入することができず、エンジンルーム内の温度が上昇することに起因する。
【0005】
エンジンルーム内の温度上昇の態様は、外気温度(季節)、エンジン停止前の走行状態によって異なる態様を見せるため、単にエンジンの運転停止時における諸条件を用いた予測に基づく燃料圧力では適切でないことがある。したがって、従来のエンジンの運転停止時における燃料噴射システムの燃料圧力の調整によっては、必ずしも適切な燃料圧力の調整が行われているとは言えなかった。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、内燃機関の運転停止後における燃料噴射システムの条件変化に基づいて燃料噴射システムの燃料圧力を調整することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段および作用・効果】
上記課題を解決するために本発明の第1の態様は、内燃機関における燃料噴射システムの制御装置を提供する。本発明に第1の態様に係る燃料噴射システムの制御装置は、前記燃料噴射システムの温度を取得する温度取得手段と、前記取得された燃料噴射システムの温度に基づいて、前記内燃機関の運転停止後、前記燃料噴射システムにベーパが発生しないよう前記燃料噴射システムの圧力を低減する圧力調整手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明の第1の態様に係る燃料噴射システムの制御装置によれば、取得された燃料噴射システムの温度に基づいて、内燃機関の運転停止後、燃料噴射システムにベーパが発生しないよう燃料噴射システムの圧力を低減するので、内燃機関の運転停止後における燃料噴射システムの条件変化、すなわち、温度変化に基づいて燃料噴射システムの燃料圧力を調整することができる。また、燃料噴射システムの温度は、燃料噴射システムにベーパが発生するか否かを判定するために適切なパラメータであるから、燃料噴射システムにベーパが発生しないよう、より適切に燃料噴射システムの圧力を低減することができる。
【0009】
本発明の第1の態様に係る燃料噴射システムの制御装置において、前記温度取得手段は、前記燃料噴射システムにおいて容量の大きな部位における温度を検出する温度センサであっても良い。燃料噴射システムにおいては容量の大きな部位にてベーパが発生しやすいので、かかる部位の温度を用いることにより燃料噴射システムにおけるベーパの発生を防止することができる。
【0010】
本発明の第1の態様に係る燃料噴射システムの制御装置はさらに、前記内燃機関の運転停止後の経過時間を計時する経過時間計時手段を備え、前記圧力調整手段は、燃料噴射システムの温度に加えて、前記経過時間を反映して前記燃料噴射システムの圧力を低減しても良い。かかる場合には、経験値的な判断要素としての経過時間を用いることにより、燃料噴射システムの燃圧変化を間接的に考慮することができる。したがって、燃料噴射システムの燃料圧力の調整をより高い精度にて実行することができる。
【0011】
本発明の第1の態様に係る燃料噴射システムの制御装置において、前記温度取得手段は、前記経過時間、内燃機関の冷却液温度および吸入空気温度をパラメータとして、前記燃料噴射システムの温度を算出しても良い。かかる場合には、燃料温度を検出するための検出手段を追加することなく燃料噴射システムの温度を取得することができる。
【0012】
本発明の第1の態様に係る燃料噴射システムの制御装置において、前記圧力調整手段は、前記経過時間が第1の判定時間以上であると共に、前記取得された温度が第1の判定温度以上である場合に第1回目の圧力調整を実行して、前記燃料噴射システムの圧力を前記燃料噴射システムにベーパが発生しない第1の圧力まで低減し、さらに、前記経過時間が前記第1の判定時間よりも長い第2の判定時間以上であると共に、前記取得された温度が前記第1の判定温度よりも低い第2の判定温度未満である場合に第2回目の圧力調整を実行して、前記燃料噴射システムの圧力を前記第1の圧力よりも低い第2の圧力まで低減させても良い。
【0013】
かかる場合には、第1回目と第2回目の圧力調整の間に実行される短期間における内燃機関の再始動に際して、第2の圧力よりも高い第1の圧力から要求される圧力まで燃料圧力を昇圧することができるので、燃圧を迅速に上昇させることが可能となり、短期間における内燃機関の再始動性を向上することができる。また、第1回目の圧力調整により燃料噴射システムからの燃料漏れを防止することができると共にベーパ発生を防止してベーパに起因する内燃機関の始動困難性を解消することができる。ここで、第1の圧力とは、例えば、燃料噴射システムからの燃料漏れを防止すると共に、次回の内燃機関の始動性を損なわない圧力であっても良い。
【0014】
本発明の第1の態様に係る燃料噴射システムの制御装置において、前記圧力制御手段は、前記経過時間が第3の判定時間以上であると共に、前記取得された温度が第3の判定温度未満である場合に、前記燃料噴射システムの圧力を所定圧力まで低減させても良い。かかる場合には、経験値的な判定値である経過時間と動的な判定値である燃料噴射システムの温度を用いることによって精度の高い燃料圧力の調整を実行することができる。ここで、所定の圧力とは、例えば、燃料噴射システムからの燃料漏れを防止すると共に、次回の内燃機関の始動性を損なわない圧力であっても良い。
【0015】
本発明の第1の態様に係る燃料噴射システムの制御装置において、前記燃料噴射システムは、
燃料タンクと、燃料噴射弁と、前記燃料タンクおよび前記燃料噴射弁とを連通する燃料供給管と、前記燃料供給管の圧力を調整する制御弁とを備え、
前記温度取得手段が取得する温度は、前記燃料噴射弁の温度であり、前記圧力調整手段は、前記制御弁と前記制御弁を制御する制御器であっても良い。かかる場合には、燃料噴射弁からの燃料漏れが抑制され内燃機関の再始動時に排出される冷間HC量を低減することができる。
【0016】
本発明の第2の態様は、内燃機関における燃料噴射システムを提供する。本発明の第2の態様に係る燃料噴射システムは、燃料タンクと、燃料噴射弁と、前記燃料タンクおよび前記燃料噴射弁とを連通する燃料供給管と、前記燃料供給管の圧力を調整する圧力調整弁と、前記燃料噴射弁の温度を取得する温度取得手段と、前記取得された燃料噴射弁の温度に基づいて、前記内燃機関の運転停止後に前記圧力調整弁を用いて前記燃料供給管内にベーパを発生させることなく前記燃料供給管の圧力を低減する圧力制御手段とを備えることを特徴とする。
【0017】
本発明の第2の態様に係る燃料噴射システムによれば、本発明の第1の態様に係る燃料噴射システムの制御装置と同様の作用効果を得ることができる。また、本発明の第2の態様に係る燃料噴射システムは、本発明の第1の態様に係る燃料噴射システムの制御装置と同様にして種々の態様にて実現され得る。
【0018】
本発明の第3の態様は内燃機関における燃料噴射システムの制御装置を提供する。本発明の第3の態様に係る内燃機関における燃料噴射システムの制御装置は、前記燃料噴射システムの圧力を取得する圧力取得手段と、前記取得された燃料噴射システムの圧力に基づいて、前記内燃機関の運転停止後、前記燃料噴射システムにベーパが発生しないよう前記燃料噴射システムの圧力を低減する圧力調整手段とを備えることを特徴とする。
【0019】
本発明の第3の態様に係る燃料噴射システムの制御装置によれば、取得された燃料噴射システムの圧力に基づいて、内燃機関の運転停止後、燃料噴射システムにベーパが発生しないよう燃料噴射システムの圧力を低減するので、内燃機関の運転停止後における燃料噴射システムの条件変化、すなわち、圧力変化に基づいて燃料噴射システムの燃料圧力を調整することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ実施例に基づいて、本発明に係る内燃機関の燃料噴射システムについて説明する。
【0021】
・第1の実施例:
図1を参照して以下の実施例において共通して適用され得る燃料噴射システムを備える内燃機関について説明する。図1は本実施例に係る燃料噴射システムを備える内燃機関の概略構成を示す説明図である。
【0022】
本実施例に用いられる内燃機関10は、シリンダブロック11に区画形成されたシリンダ12内(燃焼室)に直接燃料が噴射供給される筒内噴射式内燃機関であり、爆発燃焼によりシリンダ12内を往復動するピストン(図示しない)を介して駆動力を出力する。シリンダブロック11の上面を塞ぐように配置されるシリンダヘッド(図示しない)は、各シリンダ12毎に図示しない吸気ポートおよび排気ポートを有している。シリンダブロック11には内燃機関の冷却液温度を検出する冷却液温度センサ50が備えられている。
【0023】
各吸気ポートには、吸気管17の分岐端が連結され、各排気ポートには、排気管(排気マニホールド)18の分岐端が連結されている。吸気管17の先端には吸入空気を濾過するためのエアクリーナ171が配置されている。吸気管17の途中には、燃焼室への流入吸気量を制御する吸気制御バルブ19が配置されている。吸気制御バルブ19は、アクセルペダルと機械的に連結されていない、いわゆるドライブ・バイ・ワイヤ方式のリンクレスバルブであり、アクセルペダルの踏み込み量に応じてアクチュエータ191によって駆動される電子制御式バルブである。吸気制御バルブ19とエアクリーナ171との間には、吸入空気温度を検出する吸入空気温度センサ51が配置されている。
【0024】
シリンダヘッドには、各シリンダ12に対応する位置に点火プラグ30が配置されている。各点火プラグ30はイグナイタ(図示せず)を介してエンジンコントロールユニット(ECU)40によって点火時期が制御される。
【0025】
次に、燃料噴射システムについて詳細に説明する。燃料噴射弁IJは、本実施例における燃料噴射システムでは、燃料タンク20内の燃料は、燃料タンク20内に配置されている燃料ポンプ21、燃料供給管22、燃料供給管22の途中に配置されている高圧燃料ポンプHPを介して燃料デリバリパイプFDの上流側に供給される。燃料ポンプ21によって燃料タンク20から吸い上げられた燃料は、高圧燃料ポンプHPによって約8〜13MPa程度まで昇圧され、燃料デリバリパイプFD内に保有される。
【0026】
燃料デリバリパイプFDには、燃料デリバリパイプFD内の燃料圧力を検出するための燃圧センサ52が備えられている。また、燃料デリバリパイプFDには、各シリンダ12毎にシリンダヘッドの周縁部であって吸気ポートの近傍に配置された燃料噴射弁IJが複数個接続されている。本実施例において用いられる燃料噴射弁IJは、内蔵されているアクチュエータ(図示しない)によって開弁される高圧燃料の噴霧が可能な高圧インジェクタである。
【0027】
燃料デリバリパイプFDの下流側には、燃料デリバリパイプFD内の燃料圧力を所定圧力に保つために燃料デリバリパイプFD内の燃料を燃料タンク20へとリターンするためのリターン管23が接続されている。リターン管23には、リターン管23を連通または非連通状態のいずれかの状態に切り換えるための燃料リリーフ弁24が配置されている。ECU40は、燃圧センサ52からの検出信号に基づいて燃料リリーフ弁24のアクチュエータに対してパルス駆動信号を送出して燃料リリーフ弁24の開弁期間を制御し、燃料デリバリパイプFD内の燃料を燃料タンク20へ戻すことで、燃料デリバリパイプFD内の燃料圧力を調整する。
【0028】
本実施例に係る筒内噴射式内燃機関10は、図1に示すECU40によって制御されている。本実施例において、少なくともECU40および燃料リリーフ弁24は、内燃機関10の停止後(イグニッションキーがオフ位置またはロック位置に切り換えられた後)も所定期間は通電され、動作可能な状態に維持される。ECU40には、内燃機関10の冷却液温度を検出する冷却液温度センサ50、吸入空気温度を検出する吸入空気温度センサ51、燃料デリバリパイプFD内の燃料圧力を検出する燃圧センサ52、アクセルペダルの踏み込み量を検出するアクセルポジションセンサ、車両速度を検出する車速センサ、機関回転数を検出するクランクポジションセンサといった内燃機関10の運転状態を検出する各種センサからの信号が入力される。ECU40には、燃料噴射弁IJ、アクチュエータ191を介して吸気制御バルブ19、燃料リリーフ弁24、点火プラグ30が接続されている。
【0029】
次に、上記構成を備える内燃機関10の一般的な動作について簡単に説明する。イグニッションキーがオン位置を介して始動位置に切り換えられると、エンジンECU40は、始動時の混合比がシリンダ12内にて形成されるようインジェクタIJを介してシリンダ12内に燃料を噴射させると共に、イグナイタを介して点火プラグ30を点火させて爆発燃焼を開始させる。吸気制御バルブ19の始動時ポジションは、ある程度の吸入空気の流動を許可する開度であり、全閉状態は取らない。
【0030】
エンジンECU40は、クランクポジションセンサ等を介してエンジン10の始動を検出すると、主としてアクセルポジションセンサおよびクランクポジションセンサからの出力データに基づいて、インジェクタIJからの燃料噴射量ならびに噴射時期を決定し、インジェクタIJの開弁時間ならびに開弁時期を制御する。
【0031】
次に図2〜図5を参照して、第1の実施例における、内燃機関10の運転停止後に実行される燃料噴射システムにおける燃圧調整について説明する。図2は燃料デリバリパイプ圧力および内燃機関停止後の経過時間と燃料デリバリパイプ温度および内燃機関停止後の経過時間との相関関係を示す説明図である。図3は燃料デリバリパイプFDの推定温度Thdを算出するためのフローチャートである。図4は第1の実施例における内燃機関10の運転停止後に実行される燃圧調整処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。図5は第1の実施例における内燃機関10の運転停止後の燃圧調整処理によって得られる燃料デリバリパイプFDの燃圧特性を示す説明図である。図6は第1の実施例における内燃機関10の運転停止後の燃圧調整処理を実行した場合と燃圧調整を実行しない場合の燃料リーク量の対比を示す説明図である。
【0032】
本実施例では、燃料デリバリパイプFD内の燃料圧力を管理(監視)するに当たって、燃料デリバリパイプFDの温度を用いる。燃料デリバリパイプFDには燃圧センサ52が備えられているので、燃圧センサ52の検出値を用いて燃料デリバリパイプFD内の燃料圧力を管理すれば良いように思える。しかしながら、燃圧センサ52を用いた単なる燃料圧力の管理は可能であっても、燃圧センサ52を用いたベーパを発生させることのない燃料圧力の管理は困難である。一般的にベーパの発生は、燃料デリバリパイプ温度Thdと燃料デリバリパイプ圧力Pの2つのパラメータに依存する。燃料噴射システムにおいては燃料圧力を所定圧力に維持することは可能であっても燃料デリバリパイプ温度Thdを所定温度に維持することはできない。したがって、燃料デリバリパイプ圧力Pをベーパ発生の判断パラメータとして用いる場合には、成り行きで変化する温度の影響によって正確なベーパ発生の有無を判断することができない。これに対して、燃料デリバリパイプ温度Thdをベーパ発生の判断パラメータとして用いる場合には、燃料圧力は実質的に一定値に維持されているのでベーパ発生の有無を正確に判断することができる。そこで、本実施例では、デリバリパイプFDの温度を燃料デリバリパイプFD内の圧力を管理するパラメータとして用いる。
【0033】
内燃機関10の運転停止後の経過時間Time_offに対する燃料デリバリパイプFD内の燃料圧力の成り行きの変化特性(PC)と経過時間Time_offに対する燃料デリバリパイプFDの温度Thdの成り行きの変化特性(TC)との間には図2に示す相関関係がある。すなわち、燃圧調整を実行しない場合、経過時間Time_offに対する燃料デリバリパイプFD内の燃料圧力のピークと燃料デリバリパイプFDの温度Thdのピークとは、ほぼ一致しており、また、経過時間Time_offに対する燃料デリバリパイプFD内の燃料圧力の低下時期と燃料デリバリパイプFDの温度Thdの低下時期ともほぼ重なっている。
【0034】
上述のように、燃料デリバリパイプ温度Thdは、ベーパを発生させることなく燃料圧力を調整するための判定パラメータとして有用であるが、燃料噴射弁IJの油密の程度には製品公差が存在するため、燃料デリバリパイプ温度Thd(燃料温度)と燃料デリバリパイプFD内の燃料圧力には精度の良い相関関係が存在しないことがある。
【0035】
そこで、本実施例では、一般的な圧力低下の判断指標として経験値的に得られる経過時間Time_offを用いると共に、個別的なエンジンルーム内の条件の判断指標として燃料デリバリパイプFDの温度を用いて燃料噴射システムにおける燃料圧力を調整する。具体的には、成り行き時に燃料圧力を低下させても燃料デリバリパイプFD内にベーパの発生しない燃料デリバリパイプ温度Th1、成り行き時に燃料圧力を低下させても燃料デリバリパイプFD内にベーパの発生しない燃料デリバリパイプ温度Th1および燃料デリバリパイプ圧力P1の双方を満たす経過時間Time1を判定値として用いる。
【0036】
図3および図4を参照して内燃機関10の運転停止後に実行される燃圧調整処理について説明する。ECU40は、例えば、内燃機関10の運転停止後、5分ごとに以下の処理ルーチンを実行する。先ず、ECU40は、燃料デリバリパイプ温度Thdを算出するための演算処理を実行する。ECU40は、内燃機関10の運転停止後の経過時間Time_off、内燃機関の冷却液温度Thc、吸入空気温度Thaを各センサ50、51から読み込む(ステップS100)。ECU40は、時間経過に伴う各部位の温度降下を考慮するために内燃機関10の運転停止後の経過時間Time_off、現時点での内燃機関10の温度を取得するために内燃機関の冷却液温度Thc、エンジンルーム内の雰囲気温度を取得するために吸入空気温度Thaをパラメータとして用い、燃料デリバリパイプ温度Thdを算出して(ステップS110)、本処理ルーチンを終了する。
【0037】
ECU40は、続いて燃料デリバリパイプFDの燃圧調整処理を実行する。ECU40は、内燃機関10の運転停止後の経過時間Time_offを読み込み(ステップS200)、減圧済フラグがOFFされているか否かを判定する(ステップS210)。ECU40は、減圧済フラグがOFFされていないと判定した場合には(ステップS210:No)、既に燃圧調整(減圧処理)が実行されているので、重複した燃圧調整を回避するために本処理ルーチンを終了する。
【0038】
ECU40は、減圧済フラグがOFFされていると判定した場合には(ステップS210:Yes)、内燃機関10の運転停止後の経過時間Time_offが判定時間Time1を経過しているか否かを判定する(ステップS220)。ECU40は、内燃機関10の運転停止後の経過時間Time_offが判定時間Time1を経過していないと判定した場合には(ステップS220:No)、本処理ルーチンを終了する。かかる場合には、燃料デリバリパイプFDの燃圧が、ベーパを発生させることなく圧力低減可能な燃圧P1まで低下しておらず、また、燃料デリバリパイプ温度Thdがベーパを発生させることなく圧力低減可能な温度Th1まで低下していないからである。
【0039】
ECU40は、内燃機関10の運転停止後の経過時間Time_offが判定時間Time1を経過していると判定した場合には(ステップS220:Yes)、先に求めた推定の燃料デリバリパイプ温度Thdが判定温度Th1よりも低いか否かを判定する(ステップS230)。ECU40は、燃料デリバリパイプ温度Thdが判定温度Th1よりも高いと判定した場合には(ステップS230:No)、燃料圧力の低減を実行せずに本処理ルーチンを終了する。即ち、かかる条件下では、燃料デリバリパイプFDの燃料圧力を低減すると燃料デリバリパイプFD内にベーパが発生し、再始動性を低下させ得るので燃料圧力の低減を実行しない。
【0040】
ECU40は、燃料デリバリパイプ温度Thdが判定温度Th1よりも低いと判定した場合には(ステップS230:Yes)、燃料リリーフ弁24に対して駆動信号を送出して燃料デリバリパイプFD内の燃料をリターン管23を介して燃料タンク20へとリターンする(ステップS240)。この結果、燃料デリバリパイプFDの燃料圧力は、燃料噴射弁IJからの燃料漏れが生じない圧力域、例えば、大気圧にまで低減される。その後、ECU40は、燃料デリバリパイプFDの燃料圧力の低減処理を実行したことを示す減圧済フラグをONして(ステップS250)、本処理ルーチンを終了する。
【0041】
以上説明したように、第1の実施例に係る燃料噴射システムによれば、内燃機関の運転停止後に、内燃機関停止後の経過時間Time_off、燃料デリバリパイプ温度Thdを用いて、燃料デリバリパイプFDの燃圧調整を実行することができる。したがって、図5に燃圧調整を行わない場合の特性線C0に対して一点鎖線の特性線C1として示すように、燃料デリバリパイプFDにおいてベーパが発生しないタイミングにて燃料デリバリパイプFDの燃料圧力を大気圧にまで低減することができる。この結果、燃圧調整を行わない場合と比較して、図6に示すように燃料噴射弁からの燃料漏れ(リーク)を低減することができる。
【0042】
また、本実施例では、内燃機関停止後の経過時間Time_off、燃料デリバリパイプ温度Thdを用いて内燃機関10の運転停止後に動的に燃料圧力の調整を実行することができるので、従来は対応することが不可能であった、内燃機関10の運転停止後における諸条件(エンジンルーム内温度の変化、内燃機関10の冷却状態)を考慮して、より適切にベーパを発生させることのない燃料圧力の低減処理を実行することができる。
【0043】
燃料噴射弁からの燃料漏れ(リーク)を低減させることにより、次回内燃機関始動時における冷間HCの排出量を低減させることができる。特に、本実施例における内燃機関10のように、シリンダ12内に燃料が直接噴霧される内燃機関においては、燃料噴射弁から漏れ出た燃料はシリンダ12内にそのまま残留し冷間HCとして排出されてしまうので、本実施例による燃料噴射弁からの燃料漏れ(リーク)の低減は冷間HCの低減に大きな意味を持つ。
【0044】
また、本実施例では、燃料デリバリパイプFDにおけるベーパの発生を防止することができるので、次回内燃機関始動時に、ベーパに起因する燃料噴射量の相違に起因する空燃比のリーン化を防止して、始動性を向上させることができる。
【0045】
・第2の実施例:
次に図1、図3、図7〜図9を参照して、第2の実施例において実行される内燃機関10の運転停止後に実行される燃料噴射システムにおける燃圧調整について説明する。図7は第2の実施例における内燃機関10の運転停止後に実行される燃圧調整処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。図8は第2の実施例における内燃機関10の運転停止後の燃圧調整処理によって得られる燃料デリバリパイプFDの燃圧特性を示す説明図である。図9は第2の実施例における内燃機関10の運転停止後の燃圧調整処理を実行した場合と燃圧調整を実行しない場合の燃料リーク量の対比を示す説明図である。
【0046】
第2の実施例は、燃料噴射システムにおける燃料圧力調整を2段階に分けて実行して、燃料噴射弁IJからの燃料漏れと短時間における内燃機関10の再始動性を向上させる。なお、本実施例が適用され得る燃料噴射システムの構成は第1の実施例における構成と同様であるから同一の符号を付して構成に関する説明は省略する。また、判定時間Time1および判定温度Th1は、第1の実施例において用られている意味と同一の意味を表すために用いられている。
【0047】
ECU40は、内燃機関10の運転停止後の経過時間Time_offを読み込み(ステップS300)、減圧済フラグがOFFされているか否かを判定する(ステップS310)。ECU40は、減圧済フラグがOFFされていないと判定した場合には(ステップS310:No)、既に燃圧調整(減圧処理)が実行されているので、重複した燃圧調整を回避するために本処理ルーチンを終了する。
【0048】
ECU40は、減圧済フラグがOFFされていると判定した場合には(ステップS210:Yes)、内燃機関10の運転停止後の経過時間Time_offが判定時間Time2を経過しているか否かを判定する(ステップS320)。判定時間Time2は判定時間Time1よりも短い時間である。ECU40は、内燃機関10の運転停止後の経過時間Time_offが判定時間Time2を経過していないと判定した場合には(ステップS320:No)、本処理ルーチンを終了する。かかる場合には、経過時間Time_offは、燃料デリバリパイプ温度Thdが漸次低下していく経過時間Time_off領域の開始ポイントとなる経過時間であるTime2になく、燃圧低減処理を実行すれば、ベーパが発生し、再始動性を低下させるおそれがあるからである。
【0049】
ECU40は、内燃機関10の運転停止後の経過時間Time_offが判定時間Time2を経過していると判定した場合には(ステップS320:Yes)、先に求めた推定の燃料デリバリパイプ温度Thdが判定温度Th2よりも高いか否かを判定する(ステップS330)。判定温度Th2は判定温度Th1よりも高い温度である。ECU40は、燃料デリバリパイプ温度Thdが判定温度Th2よりも低いと判定した場合には(ステップS330:No)、第1段目の燃料圧力の低減を実行せずに本処理ルーチンを終了する。すなわち、かかる条件では、燃料デリバリパイプ温度Thdは、ベーパの発生防止のために段階的な燃料圧力の低減処理を必要としない温度領域にあるので、第1段目の燃料圧力の低減処理をスキップして、後述する第2段目の燃料圧力の低減処理が実行される。
【0050】
ECU40は、燃料デリバリパイプ温度Thdが判定温度Th2よりも高いと判定した場合には(ステップS330:Yes)、燃料リリーフ弁24に対して所定時間駆動信号を送出して、燃料デリバリパイプFD内の燃料をリターン管23を介して燃料タンク20へとリターンする(ステップS340)。すなわち、第1段目の燃料圧力の低減処理が実行される。この結果、燃料デリバリパイプFDの燃料圧力は、燃料噴射弁IJからの燃料リークが発生しない程度の所定圧力まで低減される。第1回目の燃料圧力の低減処理では、燃料デリバリパイプFDの燃料圧力は、燃料噴射弁IJからの燃料リークが発生しない所定圧力まで低減されるが、例えば、大気圧相当の圧力までは低減されないので、内燃機関10の再始動時には、燃料デリバリパイプFD内の燃圧を素早く要求される燃圧まで昇圧させることができる。したがって、内燃機関10の運転停止後、短期間における再始動性を向上させることができる。
【0051】
ECU40は、燃料デリバリパイプFDの燃料圧力の低減処理を実行したことを示す減圧済フラグをONして(ステップS350)、内燃機関10の運転停止後の経過時間Time_offが判定時間Time1を経過しているか否かを判定する(ステップS360)。ECU40は、内燃機関10の運転停止後の経過時間Time_offが判定時間Time1を経過していないと判定した場合には(ステップS360:No)、本処理ルーチンを終了する。かかる場合には、燃料デリバリパイプ温度Thdが更なる減圧を実行しても燃料デリバリパイプFD内にベーパを発生させることのない判定温度Th1まで低下していないからである。
【0052】
ECU40は、内燃機関10の運転停止後の経過時間Time_offが判定時間Time1を経過していると判定した場合には(ステップS360:Yes)、先に求めた推定の燃料デリバリパイプ温度Thdが判定温度Th1よりも高いか否かを判定する(ステップS370)。ECU40は、燃料デリバリパイプ温度Thdが判定温度Th1よりも高いと判定した場合には(ステップS370:No)、第2段目の燃料圧力の低減を実行せずに本処理ルーチンを終了する。経過時間Time_offに基づく燃料デリバリパイプ温度Thdは判定温度Th1よりも低いはずであるが、外乱要素によって現実の燃料デリバリパイプ温度Thdは判定温度Th1よりも高く、ベーパが発生し得る温度領域にあるので、第2段目の燃料圧力の低減処理を実行しない。
【0053】
ECU40は、燃料デリバリパイプ温度Thdが判定温度Th1よりも低いと判定した場合には(ステップS370:Yes)、燃料リリーフ弁24に対して駆動信号を送出して、燃料デリバリパイプFD内の燃料をリターン管23を介して燃料タンク20へとリターンして(ステップS380)、本処理ルーチンを終了する。すなわち、第2段目の燃料圧力の低減処理が実行される。この結果、燃料デリバリパイプFDの燃料圧力は、例えば、大気圧程度まで更に低減される。第1段目の燃料圧力の低減処理では、燃料デリバリパイプFDの燃料圧力は、短期の再始動性に影響を与えない程度までしか低減されなかったが、第2段目の燃料圧力の低減処理では、燃料デリバリパイプFD内の燃圧を完全に抜いてしまう。
【0054】
以上説明したように、第2の実施例に係る燃料噴射システムによれば、内燃機関の運転停止後に、内燃機関停止後の経過時間Time_off、燃料デリバリパイプ温度Thdを用いて、燃料デリバリパイプFDの燃圧調整を2段階にわたって実行することができる。したがって、図8に燃圧調整を行わない場合の特性線C0に対して破線の特性線C2として示すように、第1段階では燃料噴射弁からの燃料漏れ(リーク)を抑制可能であると共に燃料デリバリパイプFDにおいてベーパが発生しない燃料圧力まで燃料デリバリパイプFDの燃圧を低減し、さらに、第2段階では燃料デリバリパイプFDの燃料圧力を大気圧にまで低減することができる。この結果、燃圧調整を行わない場合と比較して、燃料噴射弁からの燃料漏れ(リーク)を図9に示すように低減することができる。本実施例では、第1の実施例における1回の燃料圧力の低減処理実行時よりも燃料リーク量を低減することができる。
【0055】
また、本実施例では、第1段階において燃料デリバリパイプFD内の燃料圧力を、燃料噴射弁IJからの燃料漏れ(リーク)を抑制可能であると共に燃料デリバリパイプFDにおいてベーパが発生しない燃料圧力まで低減するに止めているので、燃料デリバリパイプFD内の燃圧を迅速に要求燃圧まで昇圧することが可能となり、ベーパ発生の抑制と相まって短期間における内燃機関10の始動性を向上させることができる。すなわち、燃料噴射弁IJからの燃料リークの抑制と内燃機関の再始動性の向上の双方を満足させることができる。
【0056】
以上、いくつかの実施例に基づき本発明に係る内燃機関における燃料噴射システムおよび燃料噴射システムの制御装置について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。
【0057】
上記各実施例では、燃料デリバリパイプFDの温度をエンジン停止後の経過時間Time_off、エンジン水温Thc、吸入空気温度Thaを用いて算出しているが、燃料デリバリパイプFDに温度センサを設けても良い。燃料デリバリパイプFDは、シリンダブロック11の近傍に配置され、高温下に曝されると共に、燃料タンク20を除いて燃料噴射システムにおいて最も大きな容積(容量)を有し、燃圧低下によるベーパが発生し易い箇所だからである。
【0058】
また、上記各実施例では、シリンダ12内に燃料が直接噴射される筒内噴射エンジンを用いて説明したが、本発明は、この他にも、吸気ポートへ燃料が噴射されるポート噴射エンジンに対しても適用可能であることはいうまでもない。
【0059】
さらに、上記各実施例では、燃料デリバリパイプFD内の燃料圧力の調整に際して、経過時間Time_offおよび燃料デリバリパイプ温度FDの双方を用いているが、燃料デリバリパイプ温度FDのみを用いても良い。上述の通り、燃料圧力と燃料温度との間には、燃料噴射弁IJの製品公差に起因する油密誤差により正確な相関関係はないものの、経過時間に対して近似した変化特性が存在する。したがって、経過時間Time_offおよび燃料デリバリパイプ温度FDを用いた場合と比較すれば細かな燃料圧力調整に向かないものの、燃料圧力調整そのものについては、実行可能である。
【0060】
また、上記各実施例では、燃料デリバリパイプFD内の燃料圧力の調整に際して、経過時間Time_offおよび燃料デリバリパイプ温度FDを用いているが、燃料デリバリパイプ温度FDに代えて燃料デリバリパイプFDに備えられている燃圧センサ52から得られる燃圧を経過時間Time_offと共にあるいは単独で燃料圧力調整のパラメータとして用いても良い。すなわち、経過時間Time_offおよび燃料デリバリパイプ温度FDを用いた場合と比較すれば細かな燃料圧力調整に向かないものの、内燃機関10の運転停止後に燃料噴射システムの燃料圧力調整を実行する点においては、いかなるパラメータを用いて燃料圧力調整を実行するかは任意だからである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例に係る燃料噴射システムを備える内燃機関の概略構成を示す説明図である。
【図2】燃料デリバリパイプ圧力および内燃機関停止後の経過時間と燃料デリバリパイプ温度および内燃機関停止後の経過時間との相関関係を示す説明図である。
【図3】燃料デリバリパイプFDの推定温度Thdを算出するためのフローチャートである。
【図4】第1の実施例における内燃機関10の運転停止後に実行される燃圧調整処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。
【図5】第1の実施例における内燃機関10の運転停止後の燃圧調整処理によって得られる燃料デリバリパイプFDの燃圧特性を示す説明図である。
【図6】第1の実施例における内燃機関10の運転停止後の燃圧調整処理を実行した場合と燃圧調整を実行しない場合の燃料リーク量の対比を示す説明図である。
【図7】第2の実施例における内燃機関10の運転停止後に実行される燃圧調整処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。
【図8】第2の実施例における内燃機関10の運転停止後の燃圧調整処理によって得られる燃料デリバリパイプFDの燃圧特性を示す説明図である。
【図9】第2の実施例における内燃機関10の運転停止後の燃圧調整処理を実行した場合と燃圧調整を実行しない場合の燃料リーク量の対比を示す説明図である。
【符号の説明】
10…筒内噴射式内燃機関
11…シリンダブロック
12…シリンダ
17…吸気管
171…エアクリーナ
18…排気管
19…吸気制御バルブ
191…アクチュエータ
20…燃料タンク
21…燃料ポンプ
22…燃料供給管
23…燃料リターン管
24…燃料リリーフ弁
30…点火プラグ
40…エンジン制御ユニット(ECU)
50…冷却液センサ
51…吸入空気温度センサ
52…燃圧センサ
212a、213a…被駆動部
214…駆動部
215…支持軸
30…点火プラグ
IJ…燃料噴射弁(インジェクタ)
FD…燃料デリバリパイプ
HP…高圧燃料ポンプ
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の燃料噴射システムにおける燃料圧力の調整技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、内燃機関(エンジン)の運転停止時における燃料噴射システムの燃料圧力を調整して、インジェクタからの燃料漏れ、ベーパの発生を防止する技術が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−89176号広報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、エンジンを制御する制御装置は、キーポジションがオフまたはロック位置に切り換えられるとその機能を停止してしまうため、特許文献1に記載の技術を始めとする従来の技術では、エンジンの運転停止時における燃料噴射システムの燃料圧力の調整は、エンジンの運転停止時に完了しなければならなかった。一般的に、エンジン停止時における燃料圧力の上昇(変動)は、エンジン停止(車両停止)に伴い、冷却のための走行風をエンジンルームに導入することができず、エンジンルーム内の温度が上昇することに起因する。
【0005】
エンジンルーム内の温度上昇の態様は、外気温度(季節)、エンジン停止前の走行状態によって異なる態様を見せるため、単にエンジンの運転停止時における諸条件を用いた予測に基づく燃料圧力では適切でないことがある。したがって、従来のエンジンの運転停止時における燃料噴射システムの燃料圧力の調整によっては、必ずしも適切な燃料圧力の調整が行われているとは言えなかった。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、内燃機関の運転停止後における燃料噴射システムの条件変化に基づいて燃料噴射システムの燃料圧力を調整することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段および作用・効果】
上記課題を解決するために本発明の第1の態様は、内燃機関における燃料噴射システムの制御装置を提供する。本発明に第1の態様に係る燃料噴射システムの制御装置は、前記燃料噴射システムの温度を取得する温度取得手段と、前記取得された燃料噴射システムの温度に基づいて、前記内燃機関の運転停止後、前記燃料噴射システムにベーパが発生しないよう前記燃料噴射システムの圧力を低減する圧力調整手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明の第1の態様に係る燃料噴射システムの制御装置によれば、取得された燃料噴射システムの温度に基づいて、内燃機関の運転停止後、燃料噴射システムにベーパが発生しないよう燃料噴射システムの圧力を低減するので、内燃機関の運転停止後における燃料噴射システムの条件変化、すなわち、温度変化に基づいて燃料噴射システムの燃料圧力を調整することができる。また、燃料噴射システムの温度は、燃料噴射システムにベーパが発生するか否かを判定するために適切なパラメータであるから、燃料噴射システムにベーパが発生しないよう、より適切に燃料噴射システムの圧力を低減することができる。
【0009】
本発明の第1の態様に係る燃料噴射システムの制御装置において、前記温度取得手段は、前記燃料噴射システムにおいて容量の大きな部位における温度を検出する温度センサであっても良い。燃料噴射システムにおいては容量の大きな部位にてベーパが発生しやすいので、かかる部位の温度を用いることにより燃料噴射システムにおけるベーパの発生を防止することができる。
【0010】
本発明の第1の態様に係る燃料噴射システムの制御装置はさらに、前記内燃機関の運転停止後の経過時間を計時する経過時間計時手段を備え、前記圧力調整手段は、燃料噴射システムの温度に加えて、前記経過時間を反映して前記燃料噴射システムの圧力を低減しても良い。かかる場合には、経験値的な判断要素としての経過時間を用いることにより、燃料噴射システムの燃圧変化を間接的に考慮することができる。したがって、燃料噴射システムの燃料圧力の調整をより高い精度にて実行することができる。
【0011】
本発明の第1の態様に係る燃料噴射システムの制御装置において、前記温度取得手段は、前記経過時間、内燃機関の冷却液温度および吸入空気温度をパラメータとして、前記燃料噴射システムの温度を算出しても良い。かかる場合には、燃料温度を検出するための検出手段を追加することなく燃料噴射システムの温度を取得することができる。
【0012】
本発明の第1の態様に係る燃料噴射システムの制御装置において、前記圧力調整手段は、前記経過時間が第1の判定時間以上であると共に、前記取得された温度が第1の判定温度以上である場合に第1回目の圧力調整を実行して、前記燃料噴射システムの圧力を前記燃料噴射システムにベーパが発生しない第1の圧力まで低減し、さらに、前記経過時間が前記第1の判定時間よりも長い第2の判定時間以上であると共に、前記取得された温度が前記第1の判定温度よりも低い第2の判定温度未満である場合に第2回目の圧力調整を実行して、前記燃料噴射システムの圧力を前記第1の圧力よりも低い第2の圧力まで低減させても良い。
【0013】
かかる場合には、第1回目と第2回目の圧力調整の間に実行される短期間における内燃機関の再始動に際して、第2の圧力よりも高い第1の圧力から要求される圧力まで燃料圧力を昇圧することができるので、燃圧を迅速に上昇させることが可能となり、短期間における内燃機関の再始動性を向上することができる。また、第1回目の圧力調整により燃料噴射システムからの燃料漏れを防止することができると共にベーパ発生を防止してベーパに起因する内燃機関の始動困難性を解消することができる。ここで、第1の圧力とは、例えば、燃料噴射システムからの燃料漏れを防止すると共に、次回の内燃機関の始動性を損なわない圧力であっても良い。
【0014】
本発明の第1の態様に係る燃料噴射システムの制御装置において、前記圧力制御手段は、前記経過時間が第3の判定時間以上であると共に、前記取得された温度が第3の判定温度未満である場合に、前記燃料噴射システムの圧力を所定圧力まで低減させても良い。かかる場合には、経験値的な判定値である経過時間と動的な判定値である燃料噴射システムの温度を用いることによって精度の高い燃料圧力の調整を実行することができる。ここで、所定の圧力とは、例えば、燃料噴射システムからの燃料漏れを防止すると共に、次回の内燃機関の始動性を損なわない圧力であっても良い。
【0015】
本発明の第1の態様に係る燃料噴射システムの制御装置において、前記燃料噴射システムは、
燃料タンクと、燃料噴射弁と、前記燃料タンクおよび前記燃料噴射弁とを連通する燃料供給管と、前記燃料供給管の圧力を調整する制御弁とを備え、
前記温度取得手段が取得する温度は、前記燃料噴射弁の温度であり、前記圧力調整手段は、前記制御弁と前記制御弁を制御する制御器であっても良い。かかる場合には、燃料噴射弁からの燃料漏れが抑制され内燃機関の再始動時に排出される冷間HC量を低減することができる。
【0016】
本発明の第2の態様は、内燃機関における燃料噴射システムを提供する。本発明の第2の態様に係る燃料噴射システムは、燃料タンクと、燃料噴射弁と、前記燃料タンクおよび前記燃料噴射弁とを連通する燃料供給管と、前記燃料供給管の圧力を調整する圧力調整弁と、前記燃料噴射弁の温度を取得する温度取得手段と、前記取得された燃料噴射弁の温度に基づいて、前記内燃機関の運転停止後に前記圧力調整弁を用いて前記燃料供給管内にベーパを発生させることなく前記燃料供給管の圧力を低減する圧力制御手段とを備えることを特徴とする。
【0017】
本発明の第2の態様に係る燃料噴射システムによれば、本発明の第1の態様に係る燃料噴射システムの制御装置と同様の作用効果を得ることができる。また、本発明の第2の態様に係る燃料噴射システムは、本発明の第1の態様に係る燃料噴射システムの制御装置と同様にして種々の態様にて実現され得る。
【0018】
本発明の第3の態様は内燃機関における燃料噴射システムの制御装置を提供する。本発明の第3の態様に係る内燃機関における燃料噴射システムの制御装置は、前記燃料噴射システムの圧力を取得する圧力取得手段と、前記取得された燃料噴射システムの圧力に基づいて、前記内燃機関の運転停止後、前記燃料噴射システムにベーパが発生しないよう前記燃料噴射システムの圧力を低減する圧力調整手段とを備えることを特徴とする。
【0019】
本発明の第3の態様に係る燃料噴射システムの制御装置によれば、取得された燃料噴射システムの圧力に基づいて、内燃機関の運転停止後、燃料噴射システムにベーパが発生しないよう燃料噴射システムの圧力を低減するので、内燃機関の運転停止後における燃料噴射システムの条件変化、すなわち、圧力変化に基づいて燃料噴射システムの燃料圧力を調整することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ実施例に基づいて、本発明に係る内燃機関の燃料噴射システムについて説明する。
【0021】
・第1の実施例:
図1を参照して以下の実施例において共通して適用され得る燃料噴射システムを備える内燃機関について説明する。図1は本実施例に係る燃料噴射システムを備える内燃機関の概略構成を示す説明図である。
【0022】
本実施例に用いられる内燃機関10は、シリンダブロック11に区画形成されたシリンダ12内(燃焼室)に直接燃料が噴射供給される筒内噴射式内燃機関であり、爆発燃焼によりシリンダ12内を往復動するピストン(図示しない)を介して駆動力を出力する。シリンダブロック11の上面を塞ぐように配置されるシリンダヘッド(図示しない)は、各シリンダ12毎に図示しない吸気ポートおよび排気ポートを有している。シリンダブロック11には内燃機関の冷却液温度を検出する冷却液温度センサ50が備えられている。
【0023】
各吸気ポートには、吸気管17の分岐端が連結され、各排気ポートには、排気管(排気マニホールド)18の分岐端が連結されている。吸気管17の先端には吸入空気を濾過するためのエアクリーナ171が配置されている。吸気管17の途中には、燃焼室への流入吸気量を制御する吸気制御バルブ19が配置されている。吸気制御バルブ19は、アクセルペダルと機械的に連結されていない、いわゆるドライブ・バイ・ワイヤ方式のリンクレスバルブであり、アクセルペダルの踏み込み量に応じてアクチュエータ191によって駆動される電子制御式バルブである。吸気制御バルブ19とエアクリーナ171との間には、吸入空気温度を検出する吸入空気温度センサ51が配置されている。
【0024】
シリンダヘッドには、各シリンダ12に対応する位置に点火プラグ30が配置されている。各点火プラグ30はイグナイタ(図示せず)を介してエンジンコントロールユニット(ECU)40によって点火時期が制御される。
【0025】
次に、燃料噴射システムについて詳細に説明する。燃料噴射弁IJは、本実施例における燃料噴射システムでは、燃料タンク20内の燃料は、燃料タンク20内に配置されている燃料ポンプ21、燃料供給管22、燃料供給管22の途中に配置されている高圧燃料ポンプHPを介して燃料デリバリパイプFDの上流側に供給される。燃料ポンプ21によって燃料タンク20から吸い上げられた燃料は、高圧燃料ポンプHPによって約8〜13MPa程度まで昇圧され、燃料デリバリパイプFD内に保有される。
【0026】
燃料デリバリパイプFDには、燃料デリバリパイプFD内の燃料圧力を検出するための燃圧センサ52が備えられている。また、燃料デリバリパイプFDには、各シリンダ12毎にシリンダヘッドの周縁部であって吸気ポートの近傍に配置された燃料噴射弁IJが複数個接続されている。本実施例において用いられる燃料噴射弁IJは、内蔵されているアクチュエータ(図示しない)によって開弁される高圧燃料の噴霧が可能な高圧インジェクタである。
【0027】
燃料デリバリパイプFDの下流側には、燃料デリバリパイプFD内の燃料圧力を所定圧力に保つために燃料デリバリパイプFD内の燃料を燃料タンク20へとリターンするためのリターン管23が接続されている。リターン管23には、リターン管23を連通または非連通状態のいずれかの状態に切り換えるための燃料リリーフ弁24が配置されている。ECU40は、燃圧センサ52からの検出信号に基づいて燃料リリーフ弁24のアクチュエータに対してパルス駆動信号を送出して燃料リリーフ弁24の開弁期間を制御し、燃料デリバリパイプFD内の燃料を燃料タンク20へ戻すことで、燃料デリバリパイプFD内の燃料圧力を調整する。
【0028】
本実施例に係る筒内噴射式内燃機関10は、図1に示すECU40によって制御されている。本実施例において、少なくともECU40および燃料リリーフ弁24は、内燃機関10の停止後(イグニッションキーがオフ位置またはロック位置に切り換えられた後)も所定期間は通電され、動作可能な状態に維持される。ECU40には、内燃機関10の冷却液温度を検出する冷却液温度センサ50、吸入空気温度を検出する吸入空気温度センサ51、燃料デリバリパイプFD内の燃料圧力を検出する燃圧センサ52、アクセルペダルの踏み込み量を検出するアクセルポジションセンサ、車両速度を検出する車速センサ、機関回転数を検出するクランクポジションセンサといった内燃機関10の運転状態を検出する各種センサからの信号が入力される。ECU40には、燃料噴射弁IJ、アクチュエータ191を介して吸気制御バルブ19、燃料リリーフ弁24、点火プラグ30が接続されている。
【0029】
次に、上記構成を備える内燃機関10の一般的な動作について簡単に説明する。イグニッションキーがオン位置を介して始動位置に切り換えられると、エンジンECU40は、始動時の混合比がシリンダ12内にて形成されるようインジェクタIJを介してシリンダ12内に燃料を噴射させると共に、イグナイタを介して点火プラグ30を点火させて爆発燃焼を開始させる。吸気制御バルブ19の始動時ポジションは、ある程度の吸入空気の流動を許可する開度であり、全閉状態は取らない。
【0030】
エンジンECU40は、クランクポジションセンサ等を介してエンジン10の始動を検出すると、主としてアクセルポジションセンサおよびクランクポジションセンサからの出力データに基づいて、インジェクタIJからの燃料噴射量ならびに噴射時期を決定し、インジェクタIJの開弁時間ならびに開弁時期を制御する。
【0031】
次に図2〜図5を参照して、第1の実施例における、内燃機関10の運転停止後に実行される燃料噴射システムにおける燃圧調整について説明する。図2は燃料デリバリパイプ圧力および内燃機関停止後の経過時間と燃料デリバリパイプ温度および内燃機関停止後の経過時間との相関関係を示す説明図である。図3は燃料デリバリパイプFDの推定温度Thdを算出するためのフローチャートである。図4は第1の実施例における内燃機関10の運転停止後に実行される燃圧調整処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。図5は第1の実施例における内燃機関10の運転停止後の燃圧調整処理によって得られる燃料デリバリパイプFDの燃圧特性を示す説明図である。図6は第1の実施例における内燃機関10の運転停止後の燃圧調整処理を実行した場合と燃圧調整を実行しない場合の燃料リーク量の対比を示す説明図である。
【0032】
本実施例では、燃料デリバリパイプFD内の燃料圧力を管理(監視)するに当たって、燃料デリバリパイプFDの温度を用いる。燃料デリバリパイプFDには燃圧センサ52が備えられているので、燃圧センサ52の検出値を用いて燃料デリバリパイプFD内の燃料圧力を管理すれば良いように思える。しかしながら、燃圧センサ52を用いた単なる燃料圧力の管理は可能であっても、燃圧センサ52を用いたベーパを発生させることのない燃料圧力の管理は困難である。一般的にベーパの発生は、燃料デリバリパイプ温度Thdと燃料デリバリパイプ圧力Pの2つのパラメータに依存する。燃料噴射システムにおいては燃料圧力を所定圧力に維持することは可能であっても燃料デリバリパイプ温度Thdを所定温度に維持することはできない。したがって、燃料デリバリパイプ圧力Pをベーパ発生の判断パラメータとして用いる場合には、成り行きで変化する温度の影響によって正確なベーパ発生の有無を判断することができない。これに対して、燃料デリバリパイプ温度Thdをベーパ発生の判断パラメータとして用いる場合には、燃料圧力は実質的に一定値に維持されているのでベーパ発生の有無を正確に判断することができる。そこで、本実施例では、デリバリパイプFDの温度を燃料デリバリパイプFD内の圧力を管理するパラメータとして用いる。
【0033】
内燃機関10の運転停止後の経過時間Time_offに対する燃料デリバリパイプFD内の燃料圧力の成り行きの変化特性(PC)と経過時間Time_offに対する燃料デリバリパイプFDの温度Thdの成り行きの変化特性(TC)との間には図2に示す相関関係がある。すなわち、燃圧調整を実行しない場合、経過時間Time_offに対する燃料デリバリパイプFD内の燃料圧力のピークと燃料デリバリパイプFDの温度Thdのピークとは、ほぼ一致しており、また、経過時間Time_offに対する燃料デリバリパイプFD内の燃料圧力の低下時期と燃料デリバリパイプFDの温度Thdの低下時期ともほぼ重なっている。
【0034】
上述のように、燃料デリバリパイプ温度Thdは、ベーパを発生させることなく燃料圧力を調整するための判定パラメータとして有用であるが、燃料噴射弁IJの油密の程度には製品公差が存在するため、燃料デリバリパイプ温度Thd(燃料温度)と燃料デリバリパイプFD内の燃料圧力には精度の良い相関関係が存在しないことがある。
【0035】
そこで、本実施例では、一般的な圧力低下の判断指標として経験値的に得られる経過時間Time_offを用いると共に、個別的なエンジンルーム内の条件の判断指標として燃料デリバリパイプFDの温度を用いて燃料噴射システムにおける燃料圧力を調整する。具体的には、成り行き時に燃料圧力を低下させても燃料デリバリパイプFD内にベーパの発生しない燃料デリバリパイプ温度Th1、成り行き時に燃料圧力を低下させても燃料デリバリパイプFD内にベーパの発生しない燃料デリバリパイプ温度Th1および燃料デリバリパイプ圧力P1の双方を満たす経過時間Time1を判定値として用いる。
【0036】
図3および図4を参照して内燃機関10の運転停止後に実行される燃圧調整処理について説明する。ECU40は、例えば、内燃機関10の運転停止後、5分ごとに以下の処理ルーチンを実行する。先ず、ECU40は、燃料デリバリパイプ温度Thdを算出するための演算処理を実行する。ECU40は、内燃機関10の運転停止後の経過時間Time_off、内燃機関の冷却液温度Thc、吸入空気温度Thaを各センサ50、51から読み込む(ステップS100)。ECU40は、時間経過に伴う各部位の温度降下を考慮するために内燃機関10の運転停止後の経過時間Time_off、現時点での内燃機関10の温度を取得するために内燃機関の冷却液温度Thc、エンジンルーム内の雰囲気温度を取得するために吸入空気温度Thaをパラメータとして用い、燃料デリバリパイプ温度Thdを算出して(ステップS110)、本処理ルーチンを終了する。
【0037】
ECU40は、続いて燃料デリバリパイプFDの燃圧調整処理を実行する。ECU40は、内燃機関10の運転停止後の経過時間Time_offを読み込み(ステップS200)、減圧済フラグがOFFされているか否かを判定する(ステップS210)。ECU40は、減圧済フラグがOFFされていないと判定した場合には(ステップS210:No)、既に燃圧調整(減圧処理)が実行されているので、重複した燃圧調整を回避するために本処理ルーチンを終了する。
【0038】
ECU40は、減圧済フラグがOFFされていると判定した場合には(ステップS210:Yes)、内燃機関10の運転停止後の経過時間Time_offが判定時間Time1を経過しているか否かを判定する(ステップS220)。ECU40は、内燃機関10の運転停止後の経過時間Time_offが判定時間Time1を経過していないと判定した場合には(ステップS220:No)、本処理ルーチンを終了する。かかる場合には、燃料デリバリパイプFDの燃圧が、ベーパを発生させることなく圧力低減可能な燃圧P1まで低下しておらず、また、燃料デリバリパイプ温度Thdがベーパを発生させることなく圧力低減可能な温度Th1まで低下していないからである。
【0039】
ECU40は、内燃機関10の運転停止後の経過時間Time_offが判定時間Time1を経過していると判定した場合には(ステップS220:Yes)、先に求めた推定の燃料デリバリパイプ温度Thdが判定温度Th1よりも低いか否かを判定する(ステップS230)。ECU40は、燃料デリバリパイプ温度Thdが判定温度Th1よりも高いと判定した場合には(ステップS230:No)、燃料圧力の低減を実行せずに本処理ルーチンを終了する。即ち、かかる条件下では、燃料デリバリパイプFDの燃料圧力を低減すると燃料デリバリパイプFD内にベーパが発生し、再始動性を低下させ得るので燃料圧力の低減を実行しない。
【0040】
ECU40は、燃料デリバリパイプ温度Thdが判定温度Th1よりも低いと判定した場合には(ステップS230:Yes)、燃料リリーフ弁24に対して駆動信号を送出して燃料デリバリパイプFD内の燃料をリターン管23を介して燃料タンク20へとリターンする(ステップS240)。この結果、燃料デリバリパイプFDの燃料圧力は、燃料噴射弁IJからの燃料漏れが生じない圧力域、例えば、大気圧にまで低減される。その後、ECU40は、燃料デリバリパイプFDの燃料圧力の低減処理を実行したことを示す減圧済フラグをONして(ステップS250)、本処理ルーチンを終了する。
【0041】
以上説明したように、第1の実施例に係る燃料噴射システムによれば、内燃機関の運転停止後に、内燃機関停止後の経過時間Time_off、燃料デリバリパイプ温度Thdを用いて、燃料デリバリパイプFDの燃圧調整を実行することができる。したがって、図5に燃圧調整を行わない場合の特性線C0に対して一点鎖線の特性線C1として示すように、燃料デリバリパイプFDにおいてベーパが発生しないタイミングにて燃料デリバリパイプFDの燃料圧力を大気圧にまで低減することができる。この結果、燃圧調整を行わない場合と比較して、図6に示すように燃料噴射弁からの燃料漏れ(リーク)を低減することができる。
【0042】
また、本実施例では、内燃機関停止後の経過時間Time_off、燃料デリバリパイプ温度Thdを用いて内燃機関10の運転停止後に動的に燃料圧力の調整を実行することができるので、従来は対応することが不可能であった、内燃機関10の運転停止後における諸条件(エンジンルーム内温度の変化、内燃機関10の冷却状態)を考慮して、より適切にベーパを発生させることのない燃料圧力の低減処理を実行することができる。
【0043】
燃料噴射弁からの燃料漏れ(リーク)を低減させることにより、次回内燃機関始動時における冷間HCの排出量を低減させることができる。特に、本実施例における内燃機関10のように、シリンダ12内に燃料が直接噴霧される内燃機関においては、燃料噴射弁から漏れ出た燃料はシリンダ12内にそのまま残留し冷間HCとして排出されてしまうので、本実施例による燃料噴射弁からの燃料漏れ(リーク)の低減は冷間HCの低減に大きな意味を持つ。
【0044】
また、本実施例では、燃料デリバリパイプFDにおけるベーパの発生を防止することができるので、次回内燃機関始動時に、ベーパに起因する燃料噴射量の相違に起因する空燃比のリーン化を防止して、始動性を向上させることができる。
【0045】
・第2の実施例:
次に図1、図3、図7〜図9を参照して、第2の実施例において実行される内燃機関10の運転停止後に実行される燃料噴射システムにおける燃圧調整について説明する。図7は第2の実施例における内燃機関10の運転停止後に実行される燃圧調整処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。図8は第2の実施例における内燃機関10の運転停止後の燃圧調整処理によって得られる燃料デリバリパイプFDの燃圧特性を示す説明図である。図9は第2の実施例における内燃機関10の運転停止後の燃圧調整処理を実行した場合と燃圧調整を実行しない場合の燃料リーク量の対比を示す説明図である。
【0046】
第2の実施例は、燃料噴射システムにおける燃料圧力調整を2段階に分けて実行して、燃料噴射弁IJからの燃料漏れと短時間における内燃機関10の再始動性を向上させる。なお、本実施例が適用され得る燃料噴射システムの構成は第1の実施例における構成と同様であるから同一の符号を付して構成に関する説明は省略する。また、判定時間Time1および判定温度Th1は、第1の実施例において用られている意味と同一の意味を表すために用いられている。
【0047】
ECU40は、内燃機関10の運転停止後の経過時間Time_offを読み込み(ステップS300)、減圧済フラグがOFFされているか否かを判定する(ステップS310)。ECU40は、減圧済フラグがOFFされていないと判定した場合には(ステップS310:No)、既に燃圧調整(減圧処理)が実行されているので、重複した燃圧調整を回避するために本処理ルーチンを終了する。
【0048】
ECU40は、減圧済フラグがOFFされていると判定した場合には(ステップS210:Yes)、内燃機関10の運転停止後の経過時間Time_offが判定時間Time2を経過しているか否かを判定する(ステップS320)。判定時間Time2は判定時間Time1よりも短い時間である。ECU40は、内燃機関10の運転停止後の経過時間Time_offが判定時間Time2を経過していないと判定した場合には(ステップS320:No)、本処理ルーチンを終了する。かかる場合には、経過時間Time_offは、燃料デリバリパイプ温度Thdが漸次低下していく経過時間Time_off領域の開始ポイントとなる経過時間であるTime2になく、燃圧低減処理を実行すれば、ベーパが発生し、再始動性を低下させるおそれがあるからである。
【0049】
ECU40は、内燃機関10の運転停止後の経過時間Time_offが判定時間Time2を経過していると判定した場合には(ステップS320:Yes)、先に求めた推定の燃料デリバリパイプ温度Thdが判定温度Th2よりも高いか否かを判定する(ステップS330)。判定温度Th2は判定温度Th1よりも高い温度である。ECU40は、燃料デリバリパイプ温度Thdが判定温度Th2よりも低いと判定した場合には(ステップS330:No)、第1段目の燃料圧力の低減を実行せずに本処理ルーチンを終了する。すなわち、かかる条件では、燃料デリバリパイプ温度Thdは、ベーパの発生防止のために段階的な燃料圧力の低減処理を必要としない温度領域にあるので、第1段目の燃料圧力の低減処理をスキップして、後述する第2段目の燃料圧力の低減処理が実行される。
【0050】
ECU40は、燃料デリバリパイプ温度Thdが判定温度Th2よりも高いと判定した場合には(ステップS330:Yes)、燃料リリーフ弁24に対して所定時間駆動信号を送出して、燃料デリバリパイプFD内の燃料をリターン管23を介して燃料タンク20へとリターンする(ステップS340)。すなわち、第1段目の燃料圧力の低減処理が実行される。この結果、燃料デリバリパイプFDの燃料圧力は、燃料噴射弁IJからの燃料リークが発生しない程度の所定圧力まで低減される。第1回目の燃料圧力の低減処理では、燃料デリバリパイプFDの燃料圧力は、燃料噴射弁IJからの燃料リークが発生しない所定圧力まで低減されるが、例えば、大気圧相当の圧力までは低減されないので、内燃機関10の再始動時には、燃料デリバリパイプFD内の燃圧を素早く要求される燃圧まで昇圧させることができる。したがって、内燃機関10の運転停止後、短期間における再始動性を向上させることができる。
【0051】
ECU40は、燃料デリバリパイプFDの燃料圧力の低減処理を実行したことを示す減圧済フラグをONして(ステップS350)、内燃機関10の運転停止後の経過時間Time_offが判定時間Time1を経過しているか否かを判定する(ステップS360)。ECU40は、内燃機関10の運転停止後の経過時間Time_offが判定時間Time1を経過していないと判定した場合には(ステップS360:No)、本処理ルーチンを終了する。かかる場合には、燃料デリバリパイプ温度Thdが更なる減圧を実行しても燃料デリバリパイプFD内にベーパを発生させることのない判定温度Th1まで低下していないからである。
【0052】
ECU40は、内燃機関10の運転停止後の経過時間Time_offが判定時間Time1を経過していると判定した場合には(ステップS360:Yes)、先に求めた推定の燃料デリバリパイプ温度Thdが判定温度Th1よりも高いか否かを判定する(ステップS370)。ECU40は、燃料デリバリパイプ温度Thdが判定温度Th1よりも高いと判定した場合には(ステップS370:No)、第2段目の燃料圧力の低減を実行せずに本処理ルーチンを終了する。経過時間Time_offに基づく燃料デリバリパイプ温度Thdは判定温度Th1よりも低いはずであるが、外乱要素によって現実の燃料デリバリパイプ温度Thdは判定温度Th1よりも高く、ベーパが発生し得る温度領域にあるので、第2段目の燃料圧力の低減処理を実行しない。
【0053】
ECU40は、燃料デリバリパイプ温度Thdが判定温度Th1よりも低いと判定した場合には(ステップS370:Yes)、燃料リリーフ弁24に対して駆動信号を送出して、燃料デリバリパイプFD内の燃料をリターン管23を介して燃料タンク20へとリターンして(ステップS380)、本処理ルーチンを終了する。すなわち、第2段目の燃料圧力の低減処理が実行される。この結果、燃料デリバリパイプFDの燃料圧力は、例えば、大気圧程度まで更に低減される。第1段目の燃料圧力の低減処理では、燃料デリバリパイプFDの燃料圧力は、短期の再始動性に影響を与えない程度までしか低減されなかったが、第2段目の燃料圧力の低減処理では、燃料デリバリパイプFD内の燃圧を完全に抜いてしまう。
【0054】
以上説明したように、第2の実施例に係る燃料噴射システムによれば、内燃機関の運転停止後に、内燃機関停止後の経過時間Time_off、燃料デリバリパイプ温度Thdを用いて、燃料デリバリパイプFDの燃圧調整を2段階にわたって実行することができる。したがって、図8に燃圧調整を行わない場合の特性線C0に対して破線の特性線C2として示すように、第1段階では燃料噴射弁からの燃料漏れ(リーク)を抑制可能であると共に燃料デリバリパイプFDにおいてベーパが発生しない燃料圧力まで燃料デリバリパイプFDの燃圧を低減し、さらに、第2段階では燃料デリバリパイプFDの燃料圧力を大気圧にまで低減することができる。この結果、燃圧調整を行わない場合と比較して、燃料噴射弁からの燃料漏れ(リーク)を図9に示すように低減することができる。本実施例では、第1の実施例における1回の燃料圧力の低減処理実行時よりも燃料リーク量を低減することができる。
【0055】
また、本実施例では、第1段階において燃料デリバリパイプFD内の燃料圧力を、燃料噴射弁IJからの燃料漏れ(リーク)を抑制可能であると共に燃料デリバリパイプFDにおいてベーパが発生しない燃料圧力まで低減するに止めているので、燃料デリバリパイプFD内の燃圧を迅速に要求燃圧まで昇圧することが可能となり、ベーパ発生の抑制と相まって短期間における内燃機関10の始動性を向上させることができる。すなわち、燃料噴射弁IJからの燃料リークの抑制と内燃機関の再始動性の向上の双方を満足させることができる。
【0056】
以上、いくつかの実施例に基づき本発明に係る内燃機関における燃料噴射システムおよび燃料噴射システムの制御装置について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。
【0057】
上記各実施例では、燃料デリバリパイプFDの温度をエンジン停止後の経過時間Time_off、エンジン水温Thc、吸入空気温度Thaを用いて算出しているが、燃料デリバリパイプFDに温度センサを設けても良い。燃料デリバリパイプFDは、シリンダブロック11の近傍に配置され、高温下に曝されると共に、燃料タンク20を除いて燃料噴射システムにおいて最も大きな容積(容量)を有し、燃圧低下によるベーパが発生し易い箇所だからである。
【0058】
また、上記各実施例では、シリンダ12内に燃料が直接噴射される筒内噴射エンジンを用いて説明したが、本発明は、この他にも、吸気ポートへ燃料が噴射されるポート噴射エンジンに対しても適用可能であることはいうまでもない。
【0059】
さらに、上記各実施例では、燃料デリバリパイプFD内の燃料圧力の調整に際して、経過時間Time_offおよび燃料デリバリパイプ温度FDの双方を用いているが、燃料デリバリパイプ温度FDのみを用いても良い。上述の通り、燃料圧力と燃料温度との間には、燃料噴射弁IJの製品公差に起因する油密誤差により正確な相関関係はないものの、経過時間に対して近似した変化特性が存在する。したがって、経過時間Time_offおよび燃料デリバリパイプ温度FDを用いた場合と比較すれば細かな燃料圧力調整に向かないものの、燃料圧力調整そのものについては、実行可能である。
【0060】
また、上記各実施例では、燃料デリバリパイプFD内の燃料圧力の調整に際して、経過時間Time_offおよび燃料デリバリパイプ温度FDを用いているが、燃料デリバリパイプ温度FDに代えて燃料デリバリパイプFDに備えられている燃圧センサ52から得られる燃圧を経過時間Time_offと共にあるいは単独で燃料圧力調整のパラメータとして用いても良い。すなわち、経過時間Time_offおよび燃料デリバリパイプ温度FDを用いた場合と比較すれば細かな燃料圧力調整に向かないものの、内燃機関10の運転停止後に燃料噴射システムの燃料圧力調整を実行する点においては、いかなるパラメータを用いて燃料圧力調整を実行するかは任意だからである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例に係る燃料噴射システムを備える内燃機関の概略構成を示す説明図である。
【図2】燃料デリバリパイプ圧力および内燃機関停止後の経過時間と燃料デリバリパイプ温度および内燃機関停止後の経過時間との相関関係を示す説明図である。
【図3】燃料デリバリパイプFDの推定温度Thdを算出するためのフローチャートである。
【図4】第1の実施例における内燃機関10の運転停止後に実行される燃圧調整処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。
【図5】第1の実施例における内燃機関10の運転停止後の燃圧調整処理によって得られる燃料デリバリパイプFDの燃圧特性を示す説明図である。
【図6】第1の実施例における内燃機関10の運転停止後の燃圧調整処理を実行した場合と燃圧調整を実行しない場合の燃料リーク量の対比を示す説明図である。
【図7】第2の実施例における内燃機関10の運転停止後に実行される燃圧調整処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。
【図8】第2の実施例における内燃機関10の運転停止後の燃圧調整処理によって得られる燃料デリバリパイプFDの燃圧特性を示す説明図である。
【図9】第2の実施例における内燃機関10の運転停止後の燃圧調整処理を実行した場合と燃圧調整を実行しない場合の燃料リーク量の対比を示す説明図である。
【符号の説明】
10…筒内噴射式内燃機関
11…シリンダブロック
12…シリンダ
17…吸気管
171…エアクリーナ
18…排気管
19…吸気制御バルブ
191…アクチュエータ
20…燃料タンク
21…燃料ポンプ
22…燃料供給管
23…燃料リターン管
24…燃料リリーフ弁
30…点火プラグ
40…エンジン制御ユニット(ECU)
50…冷却液センサ
51…吸入空気温度センサ
52…燃圧センサ
212a、213a…被駆動部
214…駆動部
215…支持軸
30…点火プラグ
IJ…燃料噴射弁(インジェクタ)
FD…燃料デリバリパイプ
HP…高圧燃料ポンプ
Claims (13)
- 内燃機関における燃料噴射システムの制御装置であって、
前記燃料噴射システムの温度を取得する温度取得手段と、
前記取得された燃料噴射システムの温度に基づいて、前記内燃機関の運転停止後、前記燃料噴射システムにベーパが発生しないよう前記燃料噴射システムの圧力を低減する圧力調整手段とを備える燃料噴射システムの制御装置。 - 請求項1に記載の燃料噴射システムの制御装置において、
前記温度取得手段は、前記燃料噴射システムにおいて容量の大きな部位における温度を検出する温度センサである燃料噴射システムの制御装置。 - 請求項1に記載の燃料噴射システムの制御装置はさらに、
前記内燃機関の運転停止後の経過時間を計時する経過時間計時手段を備え、
前記圧力調整手段は、燃料噴射システムの温度に加えて、前記経過時間を反映して前記燃料噴射システムの圧力を低減する燃料噴射システムの制御装置。 - 請求項3に記載の燃料噴射システムの制御装置において、
前記温度取得手段は、前記経過時間、内燃機関の冷却液温度および吸入空気温度をパラメータとして、前記燃料噴射システムの温度を算出する燃料噴射システムの制御装置。 - 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の燃料噴射システムの制御装置において、
前記圧力調整手段は、前記経過時間が第1の判定時間以上であると共に、前記取得された温度が第1の判定温度以上である場合に第1回目の圧力調整を実行して、前記燃料噴射システムの圧力を前記燃料噴射システムにベーパが発生しない第1の圧力まで低減し、さらに、前記経過時間が前記第1の判定時間よりも長い第2の判定時間以上であると共に、前記取得された温度が前記第1の判定温度よりも低い第2の判定温度未満である場合に第2回目の圧力調整を実行して、前記燃料噴射システムの圧力を前記第1の圧力よりも低い第2の圧力まで低減させる燃料噴射システムの制御装置。 - 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の燃料噴射システムの制御装置において、
前記圧力制御手段は、前記経過時間が第3の判定時間以上であると共に、前記取得された温度が第3の判定温度未満である場合に、前記燃料噴射システムの圧力を所定圧力まで低減させる燃料噴射システムの制御装置。 - 請求項5または請求項6に記載の燃料噴射システムの制御装置において、
前記燃料噴射システムは、
燃料タンクと、
燃料噴射弁と、
前記燃料タンクおよび前記燃料噴射弁とを連通する燃料供給管と、
前記燃料供給管の圧力を調整する制御弁とを備え、
前記温度取得手段が取得する温度は、前記燃料噴射弁の温度であり、
前記圧力調整手段は、前記制御弁と前記制御弁を制御する制御器である燃料噴射システムの制御装置。 - 内燃機関における燃料噴射システムであって、
燃料タンクと、
燃料噴射弁と、
前記燃料タンクおよび前記燃料噴射弁とを連通する燃料供給管と、
前記燃料供給管の圧力を調整する圧力調整弁と、
前記燃料噴射弁の温度を取得する温度取得手段と、
前記取得された燃料噴射弁の温度に基づいて、前記内燃機関の運転停止後に前記圧力調整弁を用いて前記燃料供給管内にベーパを発生させることなく前記燃料供給管の圧力を低減する圧力制御手段とを備える燃料噴射システム。 - 請求項8に記載の燃料噴射システムにおいて、
前記燃料供給管は、複数の前記燃料噴射弁が接続されている燃料デリバリ管を有し、
前記温度取得手段は、前記燃料噴射弁に代えて前記燃料デリバリ管の温度を取得し、
前記圧力制御手段による前記燃料供給管の圧力の低減は、前記取得された燃料デリバリ管の温度に基づいた、前記燃料デリバリ管内にベーパを発生させることのない圧力の低減である燃料噴射システム。 - 請求項8または請求項9に記載の燃料噴射システムはさらに、
前記内燃機関の運転停止後の経過時間を計時する経過時間計時手段を備え、
前記圧力制御手段は、前記燃料噴射弁の温度に加えて、前記経過時間を反映して前記燃料供給管の圧力を調整する燃料噴射システム。 - 請求項10に記載の燃料噴射システムにおいて、
前記圧力制御手段は、前記経過時間が第1の判定時間以上であると共に、前記取得された温度が第1の判定温度以上である場合に前記圧力調整弁を介して第1回目の圧力調整を実行して、前記燃料供給管の圧力を前記燃料供給管にベーパが発生しない第1の圧力まで低減し、さらに、前記経過時間が前記第1の判定時間よりも長い第2の判定時間以上であると共に、前記取得された温度が前記第1の判定温度よりも低い第2の判定温度未満である場合に前記圧力調整弁を介して第2回目の圧力調整を実行して、前記燃料供給管の圧力を前記第1の圧力よりも低い第2の圧力まで低減させる燃料噴射システム。 - 請求項10に記載の燃料噴射システムにおいて、
前記圧力制御手段は、前記経過時間が第3の判定時間以上であると共に、前記取得された温度が第3の判定温度未満である場合に前記圧力調整弁を介して、前記燃料供給管の圧力を所定圧力まで低減させる燃料噴射システム。 - 内燃機関における燃料噴射システムの制御装置であって、
前記燃料噴射システムの圧力を取得する圧力取得手段と、
前記取得された燃料噴射システムの圧力に基づいて、前記内燃機関の運転停止後、前記燃料噴射システムにベーパが発生しないよう前記燃料噴射システムの圧力を低減する圧力調整手段とを備える燃料噴射システムの制御装置。
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---|---|---|---|---|
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