JP2004108160A - 内燃機関用燃料噴射装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ECU5は、各気筒毎の実際のクランク角速度ωと各気筒毎の基準クランク角速度ωSTD を求め、その各気筒毎の角速度偏差Δωから各気筒毎の補正開弁時間εを求めて各気筒毎の目標開弁時間TQを補正する。これにより、アイドリング状態はもちろん、加減速時等の過渡期であっても気筒間バラツキを補正できる。つまり、全運転領域において気筒間バラツキの補正を実施できるようになり、全運転領域において排気ガス性能およびドライバビリティを向上できる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の気筒を有する内燃機関の燃料噴射装置に関するものであり、特に各気筒毎の回転速度のバラツキを無くす技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
多気筒内燃機関では、例え気筒間の部品精度を極限まで高めたとしても、初期および経時変化によって発生するインジェクタ間の噴射バラツキや、エンジン側の例えば吸排気弁の開閉タイミングのバラツキ等の外乱等の影響によって各気筒毎の回転速度にバラツキ(気筒間バラツキ)が発生する可能性がある。
この気筒間バラツキを無くす技術として、多気筒内燃機関が一定の安定した運転状態にあるときに各気筒毎におけるクランクの回転速度のバラツキを検出し、気筒間バラツキを少なくするように各気筒毎の燃料噴射量を補正する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特公平6−50077号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来技術における気筒間のバラツキ補正は、多気筒内燃機関が一定の安定した運転状態にあるときに補正を行うものである。しかし、内燃機関が一定の安定状態にある場合は、アイドリング状態等の限られた範囲に限定される。つまり、バラツキ補正範囲は全運転領域の一部のみであり、他の多くの運転範囲(通常の車両走行時等)では気筒間バラツキの補正が実施されない。
このため、他の多くの運転範囲(通常の車両走行時等)では、気筒間バラツキが発生する可能性があり、気筒間バラツキによる排気ガス性能の劣化、およびドライバビリティの低下が発生する可能性がある。
【0005】
【発明の目的】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、内燃機関の全運転領域において気筒間バラツキの補正を実施できるようにした内燃機関用燃料噴射装置の提供にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
〔請求項1の手段〕
請求項1の手段を採用する内燃機関用燃料噴射装置は、運転状態から各気筒毎の基準クランク角速度を求めるとともに、各気筒毎の実際のクランク角速度を求め、実際のクランク角速度と基準クランク角速度の角速度偏差から各気筒毎の補正噴射量を求める。そして、各気筒毎の補正噴射量によって各気筒毎の目標噴射量を補正する。
つまり、実際のクランク角速度が基準クランク角速度より速い場合は、目標噴射量が補正によって少なくなり、逆に実際のクランク角速度が基準クランク角速度より遅い場合は、目標噴射量が補正によって多くなる。この結果、各気筒毎の実際のクランク角速度が、各気筒毎の基準クランク角速度に近づくことになり、気筒間バラツキが抑えられる。
【0007】
この請求項1の発明では、上述したように、運転状態から各気筒毎の基準クランク角速度を求め、その基準クランク角速度と各気筒毎の実際のクランク角速度と比較して補正噴射量を求めて各気筒毎の目標噴射量を補正するものであるため、従来技術のように、内燃機関が一定の安定した運転状態でなくても気筒間バラツキを補正できる。
つまり、内燃機関が一定の安定した運転状態はもちろん、内燃機関の加減速時(過渡期)であっても気筒間バラツキを補正できる。このように、内燃機関の全運転領域において気筒間バラツキの補正を実施できるため、内燃機関の全運転領域において排気ガス性能およびドライバビリティを向上できる。
【0008】
〔請求項2の手段〕
爆発直後のクランク角速度は、燃料噴射量の影響が大きく、言い換えれば気筒間バラツキの影響が大きく現れる。
このため、請求項2の手段を採用し、爆発直後における実際のクランク角速度と、爆発直後における基準クランク角速度との角速度偏差を求めることによって、気筒間バラツキを高い精度で検出できる。
このように気筒間バラツキが高い精度で検出できることにより、気筒間バラツキを高い精度で補正することが可能になる。
【0009】
〔請求項3の手段〕
請求項3の手段を採用する内燃機関用燃料噴射装置は、運転状態に応じた基準クランク角速度をデータとして予め記憶しており、運転状態検出手段によって検出される運転状態に対応したデータから基準クランク角速度を求めるものである。
このように設けることによって、基準クランク角速度を数式を用いて演算する場合に比較して、基準クランク角速度を求める負荷を低減できる。
【0010】
〔請求項4の手段〕
請求項4の手段を採用する内燃機関用燃料噴射装置は、各気筒毎の補正噴射量を記憶して次回の各気筒毎の目標噴射量に反映させる学習機能を有する。
この学習機能によって、目標噴射量は各気筒毎のバラツキを補正した噴射量になるため、気筒間バラツキが補正された後において、気筒間バラツキの補正実施頻度を少なくでき、制御装置の演算負荷を低減できる。
【0011】
〔請求項5の手段〕
請求項5の手段を採用する内燃機関用燃料噴射装置は、実際に角速度偏差を是正し得る噴射量の数分の1〜数十分の1の補正噴射量を算出し、その補正噴射量によって目標噴射量を補正するものである。
このように設けられることによって、気筒間バラツキを補正する補正噴射量の変動が抑えられるため、気筒間バラツキを補正する機能により、内燃機関の回転速度が急激に変化する不具合がない。
【0012】
〔請求項6の手段〕
請求項6の手段を採用する内燃機関用燃料噴射装置は、インジェクタの開弁時間によって燃料噴射量を調整するものであり、各気筒毎の実際のクランク角速度と各気筒毎の基準クランク角速度の角速度偏差を少なくするように、角速度偏差に応じた各気筒毎の補正開弁時間を算出し、その補正開弁時間によって各気筒毎の目標開弁時間を補正するものである。
つまり、実際のクランク角速度が基準クランク角速度より速い場合は、目標開弁時間が補正によって短くなり、逆に実際のクランク角速度が基準クランク角速度より遅い場合は、目標開弁時間が補正によって長くなる。この結果、各気筒毎の実際のクランク角速度が、各気筒毎の基準クランク角速度に近づくことになり、気筒間バラツキが抑えられる。
【0013】
この請求項6の発明は、上述したように、運転状態から各気筒毎の基準クランク角速度を求め、その基準クランク角速度と各気筒毎の実際のクランク角速度と比較して補正開弁時間を求めて目標開弁時間を補正するものであるため、従来技術のように、内燃機関が一定の安定した運転状態でなくても気筒間バラツキを補正できる。
つまり、上述した請求項1の発明と同様、内燃機関が一定の安定した運転状態はもちろん、内燃機関の加減速時であっても気筒間バラツキを補正できる。このように、内燃機関の全運転領域において気筒間バラツキの補正を実施できるため、内燃機関の全運転領域において排気ガス性能およびドライバビリティを向上できる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、実施例と変形例を用いて説明する。
[実施例の構成]
本発明をコモンレール式燃料噴射システムに適用した実施例を図1〜図5を参照して説明する。まず、コモンレール式燃料噴射システムの構成を図1を参照して説明する。
【0015】
コモンレール式燃料噴射システムは、例えばディーゼルエンジン(以下、エンジン)1に燃料噴射を行うシステムであり、コモンレール2、インジェクタ3、サプライポンプ4、ECU5(エンジン・コントロール・ユニットの略:制御装置に相当する)等から構成される。
エンジン1は、燃料の爆発を行う気筒を複数備えた内燃機関に相当するものであり、この実施例では図1に示すように4気筒エンジンを例に示すが、他の複数気筒エンジンであっても良い。
【0016】
コモンレール2は、インジェクタ3に供給する高圧燃料を蓄圧する蓄圧容器であり、燃料噴射圧に相当するコモンレール圧が蓄圧されるように燃料配管(高圧燃料流路)6を介して高圧燃料を圧送するサプライポンプ4の吐出口と接続されている。
なお、インジェクタ3からのリーク燃料は、リーク配管(燃料還流路)7を経て燃料タンク8に戻される。
また、コモンレール2から燃料タンク8へのリリーフ配管(燃料還流路)9には、プレッシャリミッタ11が取り付けられている。このプレッシャリミッタ11は圧力安全弁であり、コモンレール2内の燃料圧が限界設定圧を越えた際に開弁して、コモンレール2の燃料圧を限界設定圧以下に抑える。
【0017】
インジェクタ3は、エンジン1の各気筒毎に搭載されて燃料を各気筒内に噴射供給するものであり、コモンレール2より分岐する複数の分岐管の下流端に接続されて、コモンレール2に蓄圧された高圧燃料を各気筒に噴射供給する燃料噴射ノズル、およびこの燃料噴射ノズル内に収容されたニードルのリフト制御を行う電磁弁等を搭載している。
そして、インジェクタ3の電磁弁は、ECU5から与えられるインジェクタ開弁信号によって噴射時期および噴射量が制御されるものであり、インジェクタ開弁信号が電磁弁に与えられることにより高圧燃料を気筒内に噴射供給し、インジェクタ開弁信号がOFF することで燃料噴射が停止するものである。
【0018】
サプライポンプ4は、コモンレール2へ高圧燃料を圧送する燃料ポンプであり、燃料タンク8内の燃料をサプライポンプ4へ吸引するフィードポンプと、このフィードポンプによって吸い上げられた燃料を高圧に圧縮してコモンレール2へ圧送する高圧ポンプとを搭載しており、フィードポンプおよび高圧ポンプは共通のカムシャフト12によって駆動される。なお、このカムシャフト12は、図1に示されるように、エンジン1のクランク軸13等によって回転駆動されるものである。
【0019】
ECU5は、CPU、RAM、ROM等(図示しない)を搭載しており、ROMに記憶されたプログラムと、RAMに読み込まれたセンサ類の信号(車両の運転状態:乗員の運転状態、エンジン1の運転状態等に応じた信号)とに基づいて各種の演算処理を行う。
ここで、本発明にかかる燃料噴射制御について説明すると、ECU5は、燃料の噴射毎に、ROMに記憶されたプログラムと、RAMに読み込まれたセンサ類の信号(車両の運転状態)とに基づき、各気筒毎の目標噴射量Qを求め、この目標噴射量Qから各気筒毎のインジェクタ3の目標開弁時間TQを求める。
【0020】
このECU5には、車両の運転状態等を検出するセンサ類として、アクセル開度を検出するアクセルセンサ21、エンジン回転数を検出する回転数センサ22、エンジン1の冷却水温度を検出する水温センサ23、コモンレール圧を検出するコモンレール圧センサ24、およびその他のセンサ類25等が接続されている。
【0021】
なお、回転数センサ22は、エンジンのクランク軸13に取り付けられたパルスプレート(図示しない)と、このパルスプレートに形成された多数の凸部(歯)の接近・離間の繰り返しによってパルス信号を発生するピックアップコイル(図示しない)とを備えるものであり、ピックアップコイルの発生する単位時間当たりのパルス数によってエンジン回転数を求めるものである。
【0022】
また、回転数センサ22は、エンジン1のクランク角速度ωを検出するクランク角速度検出手段の役目も果たす。
この実施例では、各気筒毎において噴射量の影響が最も大きい爆発直後の実際のクランク角速度ωを、回転数センサ22の出力を用いて求めるように設けられている。
具体的には、図2に示すように、上死点後の第1回転角(例えば、ATDC42°)から第2回転角(例えば、ATDC72°)までのパルス間隔(例えば、30°CA)をモニターし、そのパルス間隔を平均化処理して実際のクランク角速度ω(1000〜6000μsec /30°CA)を求めるものである。
【0023】
[実施例の特徴]
図3を参照して各気筒毎のクランク角速度ωのバラツキを説明する。この図3は、加速時におけるエンジン1の運転状態(エンジン回転数、噴射圧力、クランク角速度ω、噴射量等)の変化、および乗員の操作状態(アクセル開度等)の変化の一部を拡大して示したものである。 この図3からは、1サイクル(全気筒の爆発工程が一巡するサイクル)の各気筒毎でクランク角速度ωにバラツキがあり、その結果としてエンジン回転数にバラツキが発生することが読み取れる。
【0024】
ここで、仮に各気筒毎のクランク角速度ωの平均的な推移を、基準となるクランク角速度(以下、基準クランク角速度ωSTD )とすると、各気筒毎において角速度の偏差(以下、角速度偏差Δω)を求めることができる。
また、この図3の例のように、運転状態の過渡期であっても、微視的に見た数サイクル間では、各気筒毎における角速度偏差Δωは、各気筒毎に同じ傾向として現れることが読み取れる。
このため、過渡期であっても各気筒毎における角速度偏差Δωを無くすように噴射量を制御することで、クランク角速度ωの気筒間バラツキを低減することができる。
【0025】
そこで、この実施例のECU5は、気筒間バラツキを補正する機能として、運転状態から各気筒毎の基準クランク角速度ωSTD を求める基準速度演算手段と、クランク角速度検出手段によって検出される各気筒毎の実際のクランク角速度ωと各気筒毎の基準クランク角速度ωSTD の角速度偏差Δωを求める角速度偏差算出手段と、角速度偏差を少なくするように、角速度偏差Δωに応じた各気筒毎の補正開弁時間ε(補正噴射量に相当する)を算出し、その補正噴射量εによって各気筒毎の目標開弁時間TQを補正して最終開弁時間TQfinal (最終噴射量に相当する)を算出する噴射量補正手段との各機能を果たすプログラムが搭載されている。
【0026】
ここで、ECU5は、各気筒毎の基準クランク角速度ωSTD を求める基準速度演算手段として、図4に示すように、運転状態(具体的にこの実施例では、目標噴射量Qとエンジン回転数NE)に応じた基準クランク角速度ωSTD をマップ(データ)として予め記憶しており、目標噴射量Q、エンジン回転数NEおよびマップから基準クランク角速度ωSTD を求めるように設けられている。このように設けることによって、基準クランク角速度ωSTD を数式を用いて演算する場合に比較してECU5の演算負荷を低減できる。
【0027】
また、ECU5は、各気筒毎の補正開弁時間ε(補正噴射量に相当する)を記憶して、次回の各気筒毎の目標開弁時間TQ(目標噴射量に相当する)に反映させる学習機能が設けられている。このため、次回演算される各気筒毎の目標開弁時間TQは、前回バラツキを補正した目標開弁時間TQになるため、気筒間バラツキが補正された後において、気筒間バラツキの補正実施頻度を少なくでき、ECU5の演算負荷を低減できる。
【0028】
さらに、ECU5で各気筒毎に演算される補正開弁時間εは、実際に角速度偏差Δωを是正し得る噴射量の数分の1〜数十分の1の値を求めるように設けられている。この結果、気筒間バラツキを補正する補正噴射量の変動が抑えられるため、気筒間バラツキを補正する機能によってエンジンの回転速度が急激に変化する不具合がない。
【0029】
次に、ECU5による気筒間バラツキの補正制御の一例を、図5のフローチャートを参照して説明する。
気筒間バラツキの補正制御ルーチンに侵入すると(スタート)、回転数センサ22の出力を用いて、爆発直後における実際のクランク角速度ωを求める(ステップS1 )。具体的には、ATDC42°〜72°までの30°CAのパルス間隔をモニターし、そのパルス間隔から実際のクランク角速度ωを求める。
【0030】
次に、ステップS1 で求めた実際のクランク角速度ωと、目標噴射量Qとエンジン回転数NEから求めた基準クランク角速度ωSTD との角速度偏差Δωが、所定速度差Aより大きいか否かの判断を行う(ステップS2 )。この判断結果がNO(Δω<A)の場合は、各気筒間バラツキの発生が無いと判断してこの制御ルーチンを終了する。
【0031】
しかし、ステップS2 の判断結果がYES (Δω≧A)の場合は、角速度偏差Δωから補正開弁時間εを求める(ステップS3 )。
ここで、ECU5は、角速度偏差Δωから補正開弁時間εを求める手段として、角速度偏差Δωに応じた補正開弁時間ε(図5中、不均量補正パルスεと称す)をマップ(データ)として予め記憶しており、そのマップを基に角速度偏差Δωに応じた補正開弁時間εを求めるように設けられている。
具体的には、実際のクランク角速度ωが基準クランク角速度ωSTD より速く(ω−ωSTD =Δω>0)て、角速度偏差Δωの値が大きいほど、目標開弁時間TQ(図5中、噴射パルスTQと称す)が短くなるように補正開弁時間εの値が負側に大きくなり、逆に実際のクランク角速度ωが基準クランク角速度ωSTD より遅く(ω−ωSTD =Δω<0)て、角速度偏差Δωの値が負側に大きいほど、目標開弁時間TQが長くなるように補正開弁時間εの値が大きくなるよう算出される。
【0032】
次に、目標開弁時間TQを補正開弁時間εによって補正して最終開弁時間TQfinal を算出し(ステップS4 )、その後、最終開弁時間TQfinal によってインジェクタ3が開弁制御される。
なお、上記の制御は、各気筒毎に全運転領域において実施されるものであるが、エンジン1の過渡期で数サイクル間の燃焼状態に大きな変化がある時(目標噴射量Qが極端に変化する場合)のみ補正を中止するように設けても良い。
【0033】
[実施例の効果]
この実施例のコモンレール式燃料噴射システムは、上述したように、各気筒毎の基準クランク角速度ωSTD を求め、その基準クランク角速度ωSTD と各気筒毎の実際のクランク角速度ωと比較して各気筒毎の角速度偏差Δωを求め、さらにその角速度偏差Δωから補正開弁時間εを求めて目標開弁時間TQを補正するものであるため、従来技術のように、エンジン1が一定の安定した運転状態でなくても気筒間バラツキを補正できる。
つまり、エンジン1が一定の安定した運転状態(例えば、アイドリング時)はもちろん、加減速時等の過渡期であっても気筒間バラツキを補正できる。このように、本発明を適用したコモンレール式燃料噴射システムは、エンジン1の全運転領域において気筒間バラツキの補正を実施できるため、全運転領域において排気ガス性能およびドライバビリティを向上できる。
【0034】
[変形例]
上記の実施例では、本発明をインジェクタ3の作動時にリーク燃料が発生するコモンレール式燃料噴射システムに適用した例を示したが、インジェクタ3に搭載されたリニアソレノイドが直接ニードルを駆動してリーク燃料を発生しないタイプのコモンレール式燃料噴射システムに本発明を適用しても良い。
上記の実施例では、本発明をコモンレール式燃料噴射システムに適用した例を示したが、コモンレールを用いない燃料噴射システムに本発明を適用しても良い。つまり、ディーゼルエンジン以外の例えばガソリンエンジン等に用いられる燃料噴射システムに本発明を適用して気筒間バラツキを補正するように設けても良い。
【0035】
上記の実施例では、角速度偏差Δωから補正開弁時間εを求める例を示したが、角速度偏差Δωから補正噴射量を求めて目標噴射量Qを補正するように設けても良い。
上記の実施例では、基準クランク角速度ωSTD をECU5に記憶させたマップより求める例を示したが、運転状態と一定のアルゴリズムに基づく演算式によって基準クランク角速度ωSTD を求めるようにしても良い。
上記の実施例では、補正開弁時間εをECU5に記憶させたマップより求める例を示したが、角速度偏差Δωと一定のアルゴリズムに基づく演算式によって補正開弁時間εを求めるようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】コモンレール式燃料噴射システムの概略図である。
【図2】上死点後のクランク角速度の変化を示すグラフである。
【図3】気筒間バラツキの作動説明用のタイムチャートである。
【図4】噴射量とエンジン回転数から基準クランク角速度を求めるマップである。
【図5】気筒間バラツキの補正制御のフローチャートである。
【符号の説明】
1 エンジン(内燃機関)
3 インジェクタ
5 ECU(制御装置)
13 クランク軸
22 回転数センサ(クランク角速度検出手段)
Q 目標噴射量
TQ 目標開弁時間
ε 補正開弁時間(補正噴射量)
ω 実際のクランク角速度
Δω 角速度偏差
ωSTD 基準クランク角速度
Claims (6)
- 燃料の爆発を行う気筒を複数備えた内燃機関の各気筒毎に燃料を噴射する複数のインジェクタと、
車両の運転状態を検出する運転状態検出手段と、
この運転状態検出手段の検出する車両の運転状態に基づいて、前記複数のインジェクタのそれぞれから噴射する目標噴射量を前記複数のインジェクタ毎にそれぞれ算出し、この算出に基づくそれぞれの目標噴射量が前記複数のインジェクタから噴射されるように前記インジェクタを制御する制御装置と、
を備える内燃機関用燃料噴射装置において、
前記運転状態検出手段は、前記内燃機関のクランク角速度を検出するクランク角速度検出手段を備え、
前記制御装置は、
前記運転状態検出手段によって検出される運転状態から各気筒毎の基準クランク角速度を求める基準速度演算手段、
前記クランク角速度検出手段によって検出される各気筒毎の実際のクランク角速度と各気筒毎の前記基準クランク角速度の角速度偏差を求める角速度偏差算出手段、
前記角速度偏差を少なくするように、前記角速度偏差に応じた各気筒毎の補正噴射量を算出し、その補正噴射量によって各気筒毎の目標噴射量を補正する噴射量補正手段を備えることを特徴とする内燃機関用燃料噴射装置。 - 請求項1に記載の内燃機関用燃料噴射装置において、
前記クランク角速度検出手段は、各気筒毎における爆発直後の実際のクランク角速度を求め、
前記基準速度演算手段は、各気筒毎における爆発直後の基準クランク角速度を求め、
前記角速度偏差算出手段は、各気筒毎における爆発直後の実際のクランク角速度と各気筒毎における爆発直後の基準クランク角速度の角速度偏差を求めることを特徴とする内燃機関用燃料噴射装置。 - 請求項1または請求項2に記載の内燃機関用燃料噴射装置において、
前記基準速度演算手段は、運転状態に応じた基準クランク角速度をデータとして予め記憶しており、
前記運転状態検出手段によって検出される運転状態に対応したデータから基準クランク角速度を求めることを特徴とする内燃機関用燃料噴射装置。 - 請求項1〜請求項3のいずれかに記載の内燃機関用燃料噴射装置において、
前記制御装置は、各気筒毎の前記補正噴射量を記憶して次回の各気筒毎の目標噴射量に反映させる学習機能を有することを特徴とする内燃機関用燃料噴射装置。 - 請求項4に記載の内燃機関用燃料噴射装置において、
前記噴射量補正手段は、実際に角速度偏差を是正し得る噴射量の数分の1〜数十分の1の補正噴射量を算出し、その補正噴射量によって前記目標噴射量を補正することを特徴とする内燃機関用燃料噴射装置。 - 請求項1〜請求項5のいずれかに記載の内燃機関用燃料噴射装置において、
この内燃機関用燃料噴射装置は、前記インジェクタの開弁時間によって燃料噴射量を調整するものであり、
前記噴射量補正手段は、前記角速度偏差を少なくするように、前記角速度偏差に応じた各気筒毎の補正開弁時間を算出し、その補正開弁時間によって各気筒毎の目標開弁時間を補正することを特徴とする内燃機関用燃料噴射装置。
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