JP2004250825A - 伸縮性複合糸条、伸縮性織物及びそれを用いた歯付きベルト - Google Patents

伸縮性複合糸条、伸縮性織物及びそれを用いた歯付きベルト Download PDF

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Abstract

【課題】低騒音性、高耐久性、高耐熱性、省スペース化を実現する歯付きベルト用織物および歯付きベルト用伸縮性複合糸条を提供すること。
【解決手段】伸縮伸長率が20%以上、引張強度13cN/dtex以上の好ましくはポリケトン繊維よりなる高強力繊維捲縮糸条を中間糸及び/又は被覆糸として弾性繊維にカバリングしてなる伸縮性複合糸条および、この伸縮性複合糸条を経糸及び/又は緯糸に用いてなる伸縮性織物によって達成される。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は産業機械や自動車、家電などにおいて回転運動を伝達する駆動部品のタイミングベルトや無段階変速機用(CVT)のベルトに用いられる伸縮性糸条および織物に関する。より詳しくは、高強力繊維を含有する伸縮性複合糸条ならびにそれを用いてなる織物およびそれを用いてなる歯付きベルトに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、高強力繊維を用いた織物は、産業資材に広く浸透してきており、中でもそれを用いた歯付きベルトは産業機械から家電製品に至るまでの様々な用途で使用されており、特に自動車エンジンの駆動力を車軸の回転運動に伝達する駆動部品のタイミングベルトや無段階変速機用(CVT)の芯線や歯布として芳香族ポリアミド繊維が用いられ始めている。即ち、1997年の京都議定書採決に伴い、車輌の燃費向上につながる車両の軽量化、小型化を進める上でエンジンルームのコンパクト化が強く求められ、この要求を満たすために歯付きベルトの歯部表面を形成する織物には、従来の歯付きベルト幅よりも狭い設計でエンジンルーム内の高温雰囲気下に長時間耐えうることができる性能が強く求められている。
【0003】
しかしながら、高強力繊維を用いて優れた伸縮性と均一表面性が必要とされる歯布を製造することは困難である。それは、原糸の剛性が高いために、撚戻りが生じ、芯糸の弾性繊維との滑りも大きく、均一なカバリング形態を保持することが難しく、さらには、弾性繊維が収縮する際に円滑に追従できないために高強力繊維の単糸が織物表面に角状に飛び出し、粗悪な織物となるためである。また、一般にこれまで開示されている高強力繊維を用いたベルト歯布用伸縮性織物は、ゴム材との接着性が悪く、単独で用いることは難しく、それを補うために他の合成化学繊維(ポリアミド繊維、ポリエステル繊維等)との複合をする必要があった。
【0004】
このような要求性能を満たす方法として、中間糸に高強力に優れるパラ系芳香族ポリアミド繊維の紡績糸を用い、更にその上に被覆糸(合成繊維の捲縮糸)を被覆したダブルカバリングヤーン(DCY)を用いた織物が開示されている(例えば、特許文献1、2参照)。しかしながら、中間糸が紡績糸であるため、織物が収縮した際、紡績糸の単糸が織物表面に多く表れ、織物表面の凹凸が大きくなり、織物の綾線が不明瞭となる。このような織物をベルト歯布に用いた場合、ベルト運動時気流が乱れ易いため、騒音が大きくなるという問題があった。
また、芳香族ポリアミド繊維を用いた歯布はベルトにする際ゴムとの接着性が悪く、その対策としてポリアミド繊維やポリエステル繊維等の合成繊維を架橋役として混合する必要がある。その為、これら合成繊維と高強力繊維は、原糸特性の違いから収縮斑の原因となり、均一な伸長特性や優れた表面品位を有し、耐久性のある歯布は得にくい。
【0005】
弾性繊維と非弾性繊維捲縮糸が合撚または混繊合撚された伸縮性糸条を経糸及び/又は緯糸に用いた歯付きベルト用織物において、非弾性繊維としてアラミド繊維やポリケトン繊維を含む高破断強度繊維を用いることが提案され、これらからなる捲縮糸が開示されている(例えば、特許文献3参照)。この提案により、高破断強度繊維を用いた、耐久性等に優れる歯付きベルト用織物を得ることができるが、弾性繊維は合撚または混繊合撚されるために、繊度が50dtex以下と小さいことが好ましく、弾性繊維自体の強力を大きくできない。
【0006】
【特許文献1】
特開平5−118388号公報
【特許文献2】
特開平9−100880号公報
【特許文献3】
国際公開第02/92894号パンフレット
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記従来の欠点を改善し、高耐久性(高強度、高接着性)、高耐熱性、低騒音性、省スペース化を実現する、抗張体を備えたベルト歯部表面に接着してなる歯付きベルトを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、前記目的を達成するため、歯付きベルトの騒音発生メカニズムを調べ、ベルトとプーリとの歯部の噛み合い時に発する衝撃音とその際に生じる摩擦音および気流音が騒音発生に大きく影響し、明瞭な織物の綾線とその整然性によるプーリ接触面との線接触効果および空気だまりの解消により、衝撃音、摩擦音、気流音が緩和され、同時に耐久性にも優れることがわかった。
更に、本発明者等は、高耐久性能(高強力、高耐熱性、高接着性)を向上させるために鋭意検討した結果、弾性繊維を捲縮糸において特定の伸縮伸長率および引張強度を持つ高強力繊維捲縮糸条でカバリングした伸縮性複合糸条が、斑の少ない伸長特性を得ることができ、この伸縮性複合糸条を用いた織物表面の品位が向上し、綾線が明瞭でかつ整然と表れ、捲縮により繊維間に接着剤が均一に浸透することで歯付きベルト用ゴム材との接着性も良好なベルト歯布用伸縮性織物が得られ、その織物を用いた歯付きベルトは低騒音性や高耐久性、高耐熱性、更には省スペース化に優れることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明は以下の構成をなす。
1.伸縮伸長率が2%以上で、且つ引張強度が13cN/dtex以上である高強力繊維捲縮糸条が弾性繊維にカバリングされてなることを特徴とする伸縮性複合糸条。
2.高強力繊維捲縮糸条が、ポリケトン繊維捲縮糸条であることを特徴とする1に記載の伸縮性複合糸条。
3.1または2のいずれかに記載の伸縮性複合糸条を経糸及び/又は緯糸に用いてなる織物であって、幅5cmで織物伸縮方向に伸長したとき、中間点の応力、9.8N、19.6N、29.4Nにおける伸縮変動係数の最大値が0〜0.15であることを特徴とする伸縮性織物。
4.3記載の伸縮性織物を用いていることを特徴とする歯付きベルト。
5.芯線としてポリケトン繊維を用いてなることを特徴とする4記載の歯付きベルト。
【0010】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の伸縮性複合糸条は、高強力繊維の捲縮糸条を用いることを特徴とする。本発明における高強力繊維とは、好ましくは原糸引張強度が15cN/dtex以上である繊維をいい、アラミド系繊維、ポリケトン繊維、全芳香族ポリエステル繊維等が挙げられる。高耐熱性を有し、ゴムとの接着性に優れるポリケトン繊維が特に好ましい。
本発明に好ましく用いられるポリケトン繊維は、以下の製法にて製造することができる。
【0011】
一つは、湿式紡糸を採用する方法であり、その例として以下の方法が挙げられる。常法により調整したエチレンと一酸化炭素が完全交互共重合した極限粘度5.9dl/cNのポリケトンポリマー、ポリ(1−オキソトリメチレン)を塩化亜鉛35.5wt%/塩化カルシウム64.5wt%含有する水溶液に添加し、80℃で2時間攪拌溶解し、ポリマー濃度6.5wt%のドープを得る。得られたドープを80℃に加温し、20μmのフィルターでろ過した後に、紡口径0.10mm、L/D=1、250ホールの紡口より10mmのエアーギャップを通した後に2℃の水中に吐出量12.5cc/分の速度で押し出し、凝固させる。凝固糸を引き続き濃度1%の塩酸で洗浄し、さらに30℃の水で洗浄した後、巻き取り速度2.5m/分で巻き取り、さらに得られた糸状物を200℃にて乾燥して未延伸糸を得る。この未延伸糸を225℃で1段目の延伸を行った後に、引き続き240℃で2段目、250℃で3段目の延伸を行い、トータルで15.5倍の延伸を行い、延伸糸(ポリケトン繊維)を得ることができる。
【0012】
あるいは、溶融紡糸を採用することもできる。例えば、ポリマーの水分率を100ppm以下に乾燥し、窒素パージした押出機の中にポリマーを供給し、押し出し温度およびブロック温度を最低(T+20)℃、好ましくは(T+40)℃の温度で吐出量5〜100g/minの範囲にて溶融紡糸する。紡口から冷却ゾーンまでの距離は10〜500mmとし、0℃〜30℃である冷風の速度は0.1〜1m/min、紡口は、穴径0.1〜0.5mmのものを用いる。紡糸速度は100〜10000m/minで巻き取る。次いで巻き取ったチーズを2つのロールの間にホットプレートを持つ延伸機にてポリマーの結晶を解きほぐしながら延伸する。ロールの温度はガラス転移点以上であればよい。またホットプレート温度は最高(T−10)℃、好ましくは(T−40)℃の温度で好ましくは3倍以上、より好ましくは7倍以上の延伸比で延伸することにより容易に所望する繊維が製造可能である(但し、Tは上記ポリマーの結晶融点である)。溶融紡糸において、添加剤を付与する方法としては、原料ポリマーに混ぜたり、押出機にポリマーと一緒に混ぜたり、溶融紡糸と同様に延伸工程前にエマルジョンまたは溶液にして付与してもよい。
【0013】
このようにして得られたポリケトン繊維は高強力、高耐熱性であり、捲縮加工後の糸条が高い引張強度を有することができる。ここで、高耐熱性とは、仮撚り加工前の原糸(生糸)が、160℃×3日間の乾熱(空気)高温下においてその強度保持率が好ましくは70%以上であることを示す。
本発明において、ポリケトン繊維がマルチフィラメント繊維であるほど、あるいは単糸繊度が小さいほど、柔らかな織物になり、伸長初期の応力値が小さく、タイミングベルト歯部をきれいに仕上げ得るので好ましく、各種要求スペックを考慮して選定すればよい。また、その断面形状は丸型以外にも、△型、W型、瓢箪型などの異形形状でも良く、目的に応じて適宜選定すれば良い。
【0014】
本発明において、高強力繊維捲縮糸条とは、紡糸方法や仮撚り加工等の手段によって捲縮を付与したポリケトン繊維等の高強力糸条を言う。該繊維の捲縮形態は、仮撚り加工、押し込み加工、空気開繊加工等の捲縮加工を施した加工糸が好ましく用いられるが、上述の効果が得られる捲縮が付与されれば良く、それに限定されず従来公知のあらゆる捲縮付与方法が用いられる。仮撚り手段としては、一般的に使われる仮撚り加工機を用いればよく、例えばピン仮撚り機、ベルトニップ仮撚り機、フリクション仮撚り機等の機械があり、ヒーターのタイプにおいては、1ヒーター方式や2ヒーター方式いずれも希望する用途に応じて選定すればよい。
【0015】
本発明の伸縮性複合糸条は、中間糸及び/又は被覆糸に高強力繊維捲縮糸条を用いることにより、原糸の剛性が小さくなり、弾性繊維の周囲に巻きつけた際に弾性繊維を把持しやすくなり、芯抜け(いわゆる、スリップイン)を防止でき、撚り戻りも起きずに、均一にカバリングでき、また、他の中間糸および被覆糸ともバランスよく複合することができる。よって弾性繊維の収縮に応じて柔軟に追従するため伸長特性に優れた高強度高耐熱性を兼ね備えた伸縮性織物が得られる。また、適度な織物の厚みが得られ、それがクッションの役目を果たし、歯付きベルトにした際、プーリと噛み合わせ時に生じる衝撃音が吸収され、消音効果(低騒音)が得られるとともにベルト歯部の衝撃が和らげられるため歯部根元に亀裂が生じにくく耐久性が増し、本発明の目的が達成できる。捲縮程度を表す指標は、伸縮伸長率であり、測定法はJIS−L−1090(1977)B法に従う。
【0016】
本発明における高強力繊維捲縮糸条の伸縮伸長率の範囲は、2%以上であることが好ましく、20%以上がより好ましい。伸縮伸長率が2%未満の場合、捲縮程度が小さいため、十分なクッション効果は得られないとともに、織物に伸長特性を発現させる工程等で収縮させた場合、高強力繊維の剛性が大きいゆえに、高強力繊維を構成するフィラメントが角状に織物表面に飛び出し、伸度バラツキが大きくなり、表面平滑性が悪くなる。織物表面の角を抑えるためには、カバリングヤーンの下撚数および上撚数を上げればある程度は軽減できるが、撚り数(カバリング数)を増加することによって糸形態が締まり、嵩高性が軽減するため十分な伸長特性のある織物は得られず、クッション効果も低下してしまう。
【0017】
本発明における高強力繊維捲縮糸条は、微小な捲縮を有した場合についても良好なカバリングヤーンが得られる。即ち、微小な捲縮を持つ高強力繊維捲縮糸条を単独(弾性繊維を用いない)で使用する場合、十分な伸長特性を持つ織物は得られないが、本発明技術により、均一な表面性と優れた伸長特性を持ち、引張強度の高い(原糸強度劣化が小さい)中間糸および被覆糸からなるカバリングヤーンを得ることが可能となり、後述するようにその縮絨加工方法は、連続拡布精練でも十分な伸長特性を発現させることが可能で、工程安定性にも優れるという製法上の利点も得られる。さらには、従来の仮撚加工糸(ポリアミド、ポリエステル等の合成化学繊維)を用いた織物に対し、織物強度が大きいことで、ベルトの幅を狭くすることが可能となり、その結果、自動車などのエンジン内の省スペース化(コンパクト設計、軽量化)や耐熱性に優れた歯付きベルトの提供が可能となる。
【0018】
本発明における高強力繊維捲縮糸条の引張強度は、13cN/dtex以上であることを特徴としている。通常、非熱可塑性繊維である高強力繊維に熱可塑性繊維(合成化学繊維)並みの大きな捲縮率(伸縮伸長率100%程度)を付与するには、これまで開示されている過酷な、或いは、特殊な加工条件を施す必要がある。伸縮伸長率と引張強度の関係は、逆相関関係にあり、伸縮伸長率を高めると、それに伴い原糸はダメージを受け、引張強度は低下する。その結果、それを用いた織物の強度も低下し、耐久性にも劣ることになる。更に、高強力繊維は、元々、非熱可塑性であるがために、均一に捲縮を付与することは難しく、大きな捲縮付与は、糸長方向に捲縮斑を生じやすく、均一な伸長特性を持った品質の安定した織物を得ることが難しい。よって引張強度が13cN/dtex(原糸強度が20cN/dtex程度の高強力繊維の場合、捲縮による原糸強度保持率が65%程度)未満の場合、原糸は相当な劣化状態にあり、素材の特徴である高強力高耐熱性能を歯付きベルトに十分反映することができず、高性能な歯付きベルトを提供することはできない。なお、引張強度の好ましい上限は、特に限定されない。
【0019】
本発明における高強力繊維に捲縮を与える目的は、原糸に大きなダメージを与えない仮撚り加工法(低温、短時間熱セット)により、適度な捲縮を付与し、高強力高耐熱性能を高い水準で保持することであり、従来までの捲縮加工糸の目的の一つであった伸縮性を期待するものではなく(伸縮性は、弾性繊維によって発現させる)、弾性繊維の収縮に円滑に追従し、且つ高強力繊維の単糸繊維が表面に飛び出す現象を解消することを目的としている。従って本発明の伸縮性複合糸条を用いた伸縮性織物は、伸長特性に優れ、織物の綾線が明瞭で且つ、高強度高耐熱性能を兼ね備えたベルト歯布用伸縮性織物を提供することができる。
本発明の伸縮性複合糸条とは、延伸した状態の弾性繊維の周囲に該高強力繊維捲縮糸条を巻き付けた(カバリング)伸縮性複合糸条をいう。カバリング手段としては、通常よく使われるカバリング機を用いればよく、例えばダブルカバリング機(DCY機)、シングルカバリング機(SCY機)等の機械がある。
【0020】
伸縮性複合糸条の形態は、DCY(弾性繊維を芯糸としてその周囲を中間糸と被覆糸にて二重に被覆したカバリングヤーン)でもSCY(弾性繊維を芯糸としてその周囲を被覆糸にて一重に被覆したカバリングヤーン)のどちらでもよく、用途目的に応じ、適宜選定すればよい。
DCYの場合、高強力繊維捲縮糸条は中間糸および被覆糸のどちらに用いてもよく、あるいは両方に用いてもよく、高強力繊維単体以外に他の非弾性繊維(公知の合成化学繊維)との混繊あるいは、合撚等による複合糸条として中間糸や被覆糸に用いることもできる。歯付きベルトの耐久性を十分に発揮させるには、耐久性に劣る他の合成繊維を複合せずに、中間糸および被覆糸に高強力繊維捲縮糸条を単独で用いることが、他の素材に特性を阻害されることなくより均一な伸長特性を得ることができるため、最も好ましい。
【0021】
その製造方法は、DCYの場合、弾性繊維を一定倍率(2〜4倍)に延伸し、下撚り用中空スピンドル内に供給する。下撚用中空スピンドルには、中間糸を予め、カバリングボビンワインダーにて一定量(500g程度)巻き上げた満管ボビンをセットし、解舒方向に下撚用中空スピンドルを回転(約8000〜12000rpm)させ、芯糸の周囲に機械設定したカバリング数にて下撚(弾性繊維の周囲に中間糸をカバリング)を施した後、更に、被覆糸を予め、カバリングボビンワインダーにて一定量(500g程度)巻き上げた満管ボビンをセットした上撚用中空スピンドルを解舒方向に回転(約8000〜15000rpm)させ、該スピンドル内に上記、下撚を施した複合糸条(SCY)を通過させ、その外周に上撚(SCYの周囲に被覆糸をカバリング)する。
【0022】
上撚および下撚の撚り(カバリング)方向は、S方向およびZ方向あるいは、Z方向およびS方向となるようにそれぞれを逆方向に巻き付ける方がDCYのトルクが緩和され、カバリングヤーンの取り扱い性が向上し好ましいが、同方向でも特に大きな問題はない。高強力繊維捲縮糸条の仮撚方向に対し、順追撚方向にカバリングを施すとカバリングヤーンのトルクはより抑えられ、取り扱い性が容易になりより好ましい。
また、SCYの製造方法は、DCYの製造方法に類似しており、上撚りはせず、下撚りのみでカバリングヤーンを得る。よって、下撚り用あるいは上撚り用どちらか一方の中空スピンドルを用いることで製造可能である。また、中空スピンドルが一カ所のみに取りつけられているSCY機によっても同様に製造することができる。SCYの場合も、被覆糸に高強力繊維捲縮糸条を単体で用いても、他の非弾性繊維(公知の合成化学繊維)との混繊あるいは、合撚等による複合糸条を用いても良く、高強力繊維捲縮糸条単体で用いることが好ましい。
【0023】
本発明の伸縮性複合糸条はDCYの場合、下撚係数K1は、5000〜14000が好ましく、8000〜10000がより好ましい。下撚係数K1が5000未満の場合、弾性繊維と中間糸との接触面積が小さい為に、弾性繊維の収縮に中間糸が追従できなくなり、伸長特性(均一性)が低下する傾向にある。また、弾性繊維がヤーン内で滑る、いわゆるスリップイン現象が生じやすくなる。一方、14000を超える場合、糸形態が締まり、芯糸の弾性繊維の自由度が制限され、伸長特性を十分発現できなくなると共に、糸径が細くなるため、捲縮加工糸の嵩高感が小さくなる傾向にある。従って、織物にした際の厚みが小さくなり柔軟性、クッション効果にとって不利となりやすく、また耐久性が低下する傾向にある。
ここでいう下撚係数K1は、次式によって算出する。
K1=√(弾性繊維の延伸後の繊度+中間糸の繊度)×下撚数
例えば、310dtexの弾性繊維を延伸倍率3倍で延伸し、その周囲に300dtexの中間糸を400T/m下撚した場合のK1は、
K1=√(310/3+300)×400=8033、となる。
【0024】
本発明の伸縮性複合糸条はDCYの場合、上撚係数K2は、23000以下が好ましく、18000以下が最も好ましい。上撚係数K2が23000を超える場合、撚数が多すぎる為にカバリング工程が安定しない。なぜなら、被覆糸のバルーン張力が大きくなり、下糸が蛇行し、撚点が変動することによって、2重撚、3重撚等の撚糸異常が生じ、均一な品質のDCYは得られにくくなる。また、下撚が過剰な場合と同様に糸形態が締まり、糸径が細くなってしまい、捲縮加工糸の嵩高感が小さくなる傾向にある。従って、織物にした際の厚みが小さくなり柔軟性、クッション効果にとって不利となりやすく、また耐久性が低下する傾向にある。
ここでいう上撚係数K2は、次式によって算出する。
K2=√(下撚糸条の総繊度+被覆糸の繊度)×上撚数
例えば、310dtexの弾性繊維を延伸倍率3倍で延伸し、その周囲に300dtexの中間糸を400T/m下撚した下撚糸条の周囲に、200dtexの被覆糸を700T/m上撚した場合のK2は、
K1=√(310/3+300+200)×700=17194、となる。
SCYの場合、上記DCYでいう下撚係数の範囲内で製造することが好ましい。
【0025】
本発明の伸縮性複合糸条における弾性繊維とは、例えば、原料はポリウレタン系、ポリエーテルエステル系等のポリマーが使用可能であり、紡糸方法は乾式紡糸、溶融紡糸、湿式紡糸あるいは化学反応等を利用した紡糸方法が使用でき、ポリマーや紡糸方法は特に限定されない。破断伸度は400%〜1000%のもので伸長特性に優れることが好ましく、また繊維形態は特に限定されるものではない。
例えば、共重合ポリアルキレンエーテルジオール、主として4,4’ジフェニルメタンジイソシアネートからなる芳香族ジイソシアネート及び二官能性ジアミンから得られるポリウレタンからなり、ポリウレタンにおけるウレタン部分の数平均分子量が6000〜9500、且つ、ウレア部分の数平均分子量が650〜950であって300%モジュラスが0.18cN/デシテックス以下のポリウレタン弾性繊維が挙げられるが、上記、破断伸度を有する弾性繊維素材であればこれに限定されるものでない。
【0026】
本発明のベルト歯布用伸縮性織物のカバリングヤーンにおける弾性糸の繊度は、150〜920dtexが好ましく、230〜460dtexがより好ましい。このような比較的太い弾性糸を用いることで非弾性繊維(ポリケトン繊維)の伸縮追従性が円滑に行われるようになり、ベルト用歯布としての均一な伸長特性効果が得られる。150dtex未満ではカバリング加工時に弾性繊維の芯糸張力が被覆糸のバルーン張力以下になる場合が多く、張力変動が生じ、均一なカバリング糸を得ることが困難となる。また、920dtexを超える場合、弾性繊維の比率が過剰となり、総繊度を所望の繊度に合わせるためには、被覆糸(ポリケトン繊維)の繊度を下げなければならなくなり、高強力高耐久性のあるベルト用歯布を得ることが困難となる。
【0027】
本発明の伸縮性複合糸条において、高強力繊維捲縮糸条と同時に用いる中間糸および被覆糸は、公知の非弾性繊維であれば、特に限定されないが、接着性、耐久性、耐熱性ならびに高強力繊維捲縮糸とのバランスを損なわない範囲において、その種類や形態の異なる繊維を一種以上組み合わせた複合糸(複合紡糸、交絡、交撚、流体噴射加工等公知の複合手段を利用)であってもよく、その断面形状も特に限定されず、いずれも希望する用途に応じて選定すればよい。また、長繊維と紡績糸が複合されていてもよい。中でも、ポリアミド繊維あるいはポリエステル繊維等の合成繊維からなる捲縮加工糸を単体で用いることが、もう一方の高強力繊維捲縮糸条とバランス良く絡み合い、また、歯付きベルト用のゴム材との接着の面で最も好ましい。更には、カバリング前に、高強力繊維捲縮糸と非弾性繊維を予め、空気混繊、合撚、同時仮撚り等の複合処理を施した複合糸を中間糸および被覆糸として弾性繊維の周囲に巻き付けたカバリングヤーンであってもよく、希望用途に応じて、高強力繊維捲縮糸条との組み合わせは、適宜選定すればよい。
【0028】
本発明の伸縮性複合糸条をDCY機およびSCY機にて製造する際の中間糸および被覆糸のボビンワインダーの巻き取り条件は、糸速200〜500m/分、巻き取り張力0.1〜0.3cN/dtexで行うことが好ましい。巻き取り張力がこの範囲外であると解舒斑が生じる場合がある。スピンドル回転数は、高回転になると中間糸のバルーン張力が増大し、芯糸が蛇行し、延伸倍率が変動し、撚斑の原因となるため、通常は芯糸の走行時の張力よりもバルーン張力は、小さくなるようにスピンドル回転数を設定した方が良い。上撚中空スピンドル回転数についても同様なことがいえる。バルーン張力は、ボビンの形状(鍔径、リフト長さ)やボビンの巻き量によって刻々と変化する。例えば、通常165dtex以上の糸条では、遠心力のはたらきで満管時の最下点位置でのバルーン径が最も大きくなり、バルーン張力は最大となる。その後、ボビン内層に進むにつれ、ボビン鍔に中間糸が接触することでバルーン径が小さくなり、バルーン張力は下がる。よって、用いるボビンは、ボビン内径と鍔径の差が3倍以下の規格のものを選定した方がよく、リフト長さは、鍔径の1.3倍以下の規格を選定した方が品質は安定する。その他、ボビンの鍔に傷があるものは当然、バルーンが不安定となるため、日常管理において除外しておく必要がある。従って、DCYおよびSCY製造の適正条件を決めるには、バルーン張力の変動範囲を予め、確認し、バルーン張力よりも芯糸張力が大きくなるように弾性繊維の繊度や延伸倍率を選定した方が斑の少ない良質なカバリングヤーンが得られる。
【0029】
また、DCY機上あるいはSCY機上における芯糸と中間糸あるいは被覆糸とが交わる点、いわゆる撚点は、上下左右に変動すると撚斑が発生しやすい状態のため、撚点を決めるスネルガイドの位置調整をすると良い。通常は、ボビンの鍔径を一辺(底辺)とした正三角形をイメージし、その頂点位置に撚点が来るようにスネルガイドの位置を調整すればよいが、糸走状態を観察しながらその位置は微調整すればよい。芯糸の弾性繊維の給糸は、通常、フィードロールに弾性繊維チーズ体を置き、プレドラフトローラーを介し、ドラフトローラーによって延伸されるが、この際の給糸速度は、20m/分以下が好ましい。給糸速度が過大となると弾性繊維チーズ体とフィードローラーとの摩擦抵抗が変動し、それに伴い延伸倍率が変動する恐れがある。
【0030】
本発明のベルト歯布用伸縮性織物は、本発明の伸縮性複合糸条を経糸及び/又は緯糸に用いてなる織物である。伸縮性複合糸条を歯付きベルトの長手方向となるよう使用することが好ましく、経緯共伸縮性複合糸条を使用することもでき、伸び率や構成糸の強度、歯部設計等を考慮して用途に応じた使い方をすれば良い。経方向に伸縮性複合糸条を用いた場合や経緯共伸縮性複合糸条を用いた織物の場合は、ベルト歯布用伸縮性織物の裁断工程で、歯付きベルト成型用型枠周長に必要な長さだけをカットすれば良く、緯方向に伸縮性複合糸条を用いた織物の場合に比べて、ロスが少なくなることや長さに関しては多くのタイプを揃える必要がないといった利点がある。
【0031】
伸縮性複合糸条を経糸あるいは緯糸の一方にのみ用いる場合、他方に使用する糸の形態は何ら加工を施していない生糸、撚糸、あるいは仮撚り加工糸等であってもよく、特に限定されない。また、織物の経糸及び/又は緯糸に伸縮性複合糸条と該伸縮性複合糸条の被覆糸あるいは中間糸に用いた糸と同一の糸種を1:1や1:2等に交互に配列した織物としても良く、高強力繊維を含まない異種のカバリングヤーンを配列する等の作業を目的用途に応じた織物特性が出るように設計すればよい。
本発明の歯付きベルト用織物における伸縮変動係数とは、織物の任意の30個所において織物5cm幅での中間応力3点(9.8N、19.6N、29.4N)で伸縮方向に伸ばしたときの伸度の偏差を伸度の平均値で除した値であり、その3点の中の最大値を最大伸縮変動係数とする。伸度の測定法はJIS−L−1096(1999)の伸び率、A法(ストリップ法)に従い、各応力時の伸度をS−S曲線から読み取り、算出する。
【0032】
本発明のベルト歯布用伸縮性織物における最大伸縮変動係数は0〜0.15の範囲であることが好ましい。本発明の伸縮性複合糸条を織物の経糸及び/又は緯糸に用いることにより、この範囲を達成することができる。最大伸縮変動係数が0.15を超える場合は、伸度バラツキが大きいために、織物の厚み斑や綾線の乱れが生じ、表面平滑性が損なわれ、歯立ち性の悪いベルトとなり、摩擦抵抗が大きくなると同時に気流の流れが悪くなり、騒音が発生することやプーリとの接触面積が一部に集中し、応力集中による摩耗や亀裂等が発生しやすくなり、耐久性の面で劣ることがある。このような現象は、伸縮変動係数が小さければ小さいほど抑えられ、0〜0.1がより好ましく、0〜0.05が更により好ましい範囲である。この範囲により、織物の厚みのバラツキがなくなり、同時に織物の綾線が規則正しく、整然と配列させることが可能となり、応力集中が起こりにくく、気流を乱さない効果が得られ、低騒音性、耐久性が向上し、本発明を達成することができる。
【0033】
本発明のベルト歯布用伸縮性織物は織物上の綾線が明瞭で規則正しく配列した構造である。織物の綾線が明瞭で規則正しく配列すると歯付きベルトの歯部とプーリとの噛み合わせ時に生じる摩擦音や気流音を小さくする効果がある。その理由は、摩擦音はベルト歯部(織物表面)とプーリとの接触面積の大きさとに密接な関係が有り、その接触面積が小さい方が、摩擦抵抗は小さくなり、摩擦音も抑えられる。織物の綾線が明瞭であれば、設置面積も小さく(線接触)なり、その結果、摩擦音は抑えられる。また、織物の綾線が明瞭でかつ規則正しく整列していれば、プーリとの接触時の空気の流れが綾線に沿って円滑に排出され、空気溜りが減少し、気流の乱れ(音)が生じない。その結果、気流音は抑えられる。
【0034】
本発明のベルト歯布用伸縮性織物の製造方法は、本発明のカバリングヤーンを、経糸及び/又は緯糸に用いて製織し、縮絨加工するものであり、この製造方法によって高強度高耐熱性能および高耐久性を有するベルト歯布用伸縮性織物を得ることが出来る。
本発明のベルト歯布用伸縮性織物の製織手段としては、レピアルーム、エアージェットルーム、ウオータージェットルーム、プロジェクタイルルーム等の織機を用いて生産することができ、収縮力の大きな緯糸を製織する場合には、全面テンプルや引張力の強いテンプル等を織機に用いることが好ましい。カバリングヤーンを経糸に用いる場合、経糸ビームに巻かれた経糸の引き出し始めの部分を熱板や糊剤によって固定すると取り扱い性がよくなり、経糸の筬や綜絖への引き通し等の製織準備を円滑に行うことができる。
【0035】
本発明のベルト歯布用伸縮性織物の製造方法における縮絨加工においては、製織後、縮絨加工して織物を収縮させるが、このとき生機を拡布状態で処理(連続拡布精練機等)しても良く、液流タイプのもみ効果の強い精練機(液流精練機等)を用いても良く、生機特性や用途に合わせた加工スタイルを選べばよい。この際、経伸び織物の加工をする場合は、連続拡布精練機がより適正である。伸長特性の優れたカバリングヤーンによって短時間で縮絨が完了する。
本発明の伸縮性織物から、常法によって優れた性能を有する歯付きベルトを得ることができる。特に、本発明の歯付きベルトにおいて、芯線にポリケトン繊維を用いれば、従来のガラス繊維やスチール線に比べ、ゴムとの接着性が良く、更に耐久性が向上するため、特に好ましい。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下、実施例により本発明を詳述する。なお、実施例における評価は以下の方法により測定した。
(1)高強力繊維捲縮糸条の伸長伸縮率
JIS−L−1090(1977)B法に従って測定した。
(2)高強力繊維捲縮糸条の引張強度
JIS−L−1013(1999)に従って測定した。
(3)高強力繊維捲縮糸条の強度保持率
JIS−L−1013(1999)に従って、引張強度を測定し、原糸の引張強度との比率から次の式で算出した。
強度保持率(%)=捲縮糸の引張強度/原糸の引張強度×100
【0037】
(4)織物の伸縮方向の最大伸縮変動係数
織物の任意30個所において伸縮方向に伸ばした時の中間応力(9.8N/5cm、19.6N/5cm、29.4N/5cm)の各伸度の偏差を各伸度の平均値で除した値を伸縮変動係数とし、その3点の中の最大値を最大伸縮変動係数とした。なお、伸度の測定法はJIS−L−1096(1999)の伸び率、A法(ストリップ法)に従い、S−S曲線から各値を読み取り、算出した。
(5)ベルト歯布用伸縮性織物とゴム部との剥離強力
JIS−K−6256(1999)に従って、剥離試験を行い、剥離強力を求めた。剥離強力が150N/2.54cmを超える場合をAランク、100〜150N/2.54cmをBランク、100N/2.54cm未満の場合をCランクとし、A、Bランクを合格として判定した。尚、接着液はRFL液(H−NBR系ラテックス)を使用し、接着剤処理条件は、ピックアップ率12〜13wt%とし、160℃×5分の乾燥後、200℃×3分の熱処理をした。ゴムはH−NBR系を使用し、加硫条件は150℃×30分とした。
【0038】
(6)歯付きベルトの騒音測定(低騒音性)
歯付きベルトを歯数18Tの駆動および従動プーリ間に巻き付け、4馬力の負荷を掛け、回転数3000rpmと6000rpmで雰囲気温度25℃の条件下で走行試験を行った。遮音材を取り付けた部屋で、マイクロフォンを駆動プーリの上15cmのところに置き、その時の騒音を測定した。測定には、計量法JIS−C−1502に準拠した普通騒音計の規格を満たした、リオン(株)製の普通騒音計であるNA−20(商品名)を用いた。
3000rpmで90dB未満をAランク、90〜95dBをBランク、95dBを超える場合をCランクとし、6000rpmで105dB未満をAランク、105〜110dBをBランク、110dBを超える場合をCランクとし、A、Bランクを合格として判定した。
(7)歯付きベルトの耐久性
雰囲気温度を120℃とし、回転数を1500rpmとした以外は、騒音試験と同じ条件で走行試験を行い、歯部に亀裂の入るまでの時間を測定した。200時間を越える場合をAランク、150〜200時間をBランク、150時間未満をCランクとし、A、Bランクを合格として判定した。
【0039】
(8)ベルト歯布用伸縮性織物表面の綾線の整然性と明瞭性
織物製造および検査に5年以上携わってきたパネラー5名によって次の評価基準にしたがって評価し、平均値で表した。平均値が、W1未満をAランク、W1〜W2をBランク、W2を超える場合をCランクとし、A、Bランクを合格として判定した。
W0:綾線が明確に見え、均等均一に配列している状態
W1:綾線が不明確な個所が一部あるが、総合的にきれいに見える
W2:やや綾線は不明確で、配列にも乱れが見られる
W3:綾線は不明確な個所があり、配列にも乱れが目立つ
W4:綾線、配列ともに乱れが多く、粗悪感を感じる
(9)総合判定
上記、(5)〜(8)の4項目の試験において、
全ての項目がAランク判定の場合:Aランク(合格品)
Cランク判定がなく、かつ、Bランク判定が1項目以上ある場合:Bランク(合格品)
Cランク判定が1項目でもある場合:Cランク(不合格)
として各付けし、Cランクを不合格とみなした。
【0040】
【実施例1】
弾性繊維としてポリウレタン系弾性繊維(旭化成社製:商品名ロイカ)460dtexと中間糸としてポリケトン繊維(旭化成社製)335dtexをフリクションタイプ仮撚り機(Barmag社製:タイプFK−6)にて仮撚り速度300m/分、ヒーター温度250℃、仮撚り数約1800T/m、1ヒーターにて仮撚り加工した糸条(仮撚り加撚方向はZ、伸縮伸長率28.0%、引張強度19.3cN/dtex、強度保持率99%)を用い、被覆糸としてポリアミドマルチフィラメント繊維(旭化成社製:商品名レオナ)155dtex/35fをフリクションタイプ仮撚り機(Barmag社製:タイプFK−6)にて仮撚り速度500m/分にて仮撚り加工した糸条(仮撚り加撚方向はZ)を用い、DCY機(片岡機械工業社製:BCM−240型)にて弾性繊維の延伸倍率を3.0倍とし、下撚用スピンドルに該中間糸を巻き上げたボビンをセットし、スピンドル回転数を8000rpmとしS方向に400T/m(下撚係数K1=8839)のカバリングをし、更に上撚用スピンドルに該被覆糸を巻き上げたボビンをセットし、スピンドル回転数を14000rpmとし、Z方向に700T/m(上撚係数K2=17755)のカバリングをし、カバリングヤーン(DCY)を得た。
【0041】
上記で得られたカバリングヤーンを緯糸に用いて、経糸がポリアミドマルチフィラメント繊維(旭化成社製:商品名レオナ)235dtex/35f(撚り数180T/m、撚り方向S)で、レピアルーム(ソメット製)を用いて2/2綾織物を300rpmの織機回転数で製織した。次に、得られた生機を常法に従い、液流リラックス精練−幅出しセット−仕上げの一連の処理を行った。
得られた織物は、表1に示すように織物の伸縮方向の最大伸縮変動係数が、0.03で大変良好であった。この織物を用い、カバリングヤーンを用いた方向がベルト長さ方向に沿うようにして、常法に従い、織物の前処理、裁断縫合を行い、外周面が歯形を成す円筒状金型にこれらの織物を被せ、その上に芯線としてガラス繊維を巻き付けた。さらにゴムシートで外周を覆い、次いで従来の圧入法にて加硫し、できた成型品を取り出して所定幅に裁断して、歯付きベルトを製造した。
この歯付きベルトは、周長が902mm、幅19mm、ベルト歯数125Tであった。表3に示す通り、本発明のベルト歯布用伸縮性織物の効果により、大変優れた性能を有する歯付きベルトが得られる。
表1に伸縮性複合糸条の構成と伸縮性織物の伸長特性を、表2に中間糸の捲縮加工条件を、表3に歯付きベルト評価結果をそれぞれ示す。
【0042】
【実施例2】
ポリケトン繊維(旭化成社製)335dtexをフリクションタイプ仮撚り機(帝人製機社製:HTS−15V)にて仮撚り速度120m/分、ヒーター温度275℃、仮撚り数約2000T/m、1ヒーターにて仮撚り加工した糸条(仮撚り加撚方向はZ、伸縮伸長率138.0%、引張強度13.7cN/dtex、強度保持率70%)を用いた以外は、実施例1同様の方法にてカバリングヤーン(DCY)を得た。
上記で得られたカバリングヤーンを緯糸に用いて、実施例1同様の方法にて織物および歯付きベルトを得た。得られた織物は、表1に示すように織物の伸縮方向の最大伸縮変動係数が、0.02で大変良好であり、表3に示す通り、本発明のベルト歯布用伸縮性織物の効果により、優れた性能を有する歯付きベルトが得られる。
【0043】
【比較例1】
ポリケトン繊維(旭化成社製)335dtexをフリクションタイプ仮撚り機(帝人製機社製:HTS−15V)にて仮撚り速度70m/分、ヒーター温度285℃、仮撚り数約2100T/m、1ヒーターにて仮撚り加工した糸条(仮撚り加撚方向はZ、伸縮伸長率155.0%、引張強度12.5cN/dtex、強度保持率64%)を用いた以外は、実施例1同様の方法にてカバリングヤーン(DCY)を得た。
上記で得られたカバリングヤーンを緯糸に用いて、実施例1同様の方法にて織物および歯付きベルトを得た。得られた織物は、表1および表2に示すように、過酷な仮撚り加工条件の影響により、捲縮加工糸(中間糸)は大きくダメージを受け、表3に示す通り、各種性能が低い結果となった。
【0044】
【比較例2】
実施例1において、ポリケトン繊維を仮撚り加工等の処理を実施せずに、生糸(伸縮伸長率0.6%、引張強度20cN/dtex、強度保持率100%)を用いた以外は、実施例1同様の方法にてカバリングヤーン(DCY)を得た。
上記で得られたカバリングヤーンを緯糸に用いて、実施例1同様の方法にて織物および歯付きベルトを得た。得られた織物は、表1に示すように織物の伸縮方向の最大伸縮変動係数が、0.17で不良であり、その表面は粗硬となった。得られた歯付きベルトは、表3に示す通り、各種性能が非常に低い結果となった。
【0045】
【比較例3】
中間糸(高強力高耐熱性繊維捲縮糸)としてパラ系アラミド繊維(AKZO社製:商品名Twaron)220dtexをフリクションタイプ仮撚り機(帝人製機社製:HTS−15V)にて仮撚り速度50m/分、ヒーター温度400℃、仮撚り数約2500T/m、1ヒーターにて仮撚り加工した糸条(仮撚り加撚方向はZ、伸縮伸長率33.0%、引張強度12.8cN/dtex、強度保持率64%)に変えた以外は実施例1同様の方法にてカバリングヤーン(DCY)を得た。下撚をS方向に460T/m(K1=8888)とし、上撚をZ方向に700T/m(K2=17699)とした。
上記で得られたカバリングヤーンを緯糸に用いて、実施例1同様の方法にて織物および歯付きベルトを得た。得られた織物は、表1および表2に示すように、過酷な仮撚り加工条件の影響により、捲縮加工糸(中間糸)は大きくダメージを受け、表3に示す通り、各種性能が低い結果となった。
【0046】
【実施例3】
実施例1において、上撚をせずに下撚のみとしたSCYを用いた以外は、実施例1同様の方法にてカバリングヤーンを得た。
上記で得られたカバリングヤーンを緯糸に用いて、実施例1同様の方法にて織物および歯付きベルトを得た。得られた織物は、表1に示すように織物の伸縮方向の最大伸縮変動係数が、0.04で大変良好であった。得られた歯付きベルトは、表3に示す通り、本発明のベルト歯布用伸縮性織物の効果により、大変優れた性能を有する歯付きベルトが得られる。
【0047】
【実施例4】
実施例3において得たカバリングヤーン(A)とポリケトン繊維捲縮糸条を用いず作成したカバリングヤーン(B)の2種を緯糸として、交互打ち(1:1)製織を行い、実施例1同様の方法にて織物および歯付きベルトを得た。得られた織物は、表1に示すように織物の伸縮方向の最大伸縮変動係数が、0.02で大変良好であり、表3に示す通り、本発明のベルト歯布用伸縮性織物の効果により、優れた性能を有する歯付きベルトが得られる。尚、カバリングヤーン(B)は、実施例3のカバリングヤーン(A)に用いたポリケトン繊維捲縮糸条に変え、ポリアミドマルチフィラメント繊維(旭化成社製:商品名レオナ)155dtex/35fを2本引き揃えながらフリクションタイプ仮撚り機(Barmag社製:タイプFK−6)にて仮撚り速度500m/分にて仮撚り加工した糸条(仮撚り加撚方向はZ)を被覆糸として、S方向に410T/m(撚係数K1=8839)のカバリングし、得た。
【実施例5】
芯線にポリケトン繊維を用いた以外は実施例1同様の方法にて歯付きベルトを得た。表3に示す通り、本発明のベルト歯布用伸縮性織物の効果により、優れた性能を有する歯付きベルトが得られる。
【0048】
【表1】
Figure 2004250825
【0049】
【表2】
Figure 2004250825
【0050】
【表3】
Figure 2004250825
【0051】
【発明の効果】
本発明の特定の伸縮伸長率および引張強度を有する高強力繊維捲縮糸条を弾性繊維に被覆した伸縮性複合糸条は、優れた伸縮性能及び高耐久性を有する。
この伸縮性複合糸条を経糸及び/又は緯糸に用いた伸縮性織物は、織物強度が高く、高強力繊維捲縮糸による適度なクッション効果により、騒音吸収、衝撃緩和による耐久性の向上が期待できる。また、高強力繊維が捲縮糸であることにより剛性が小さくなり、弾性繊維の収縮に順応しやすくなり、伸縮性複合糸条として均一に収縮するので織物の伸縮方向の最大伸縮変動係数が小さくなり、均一に斑なく伸びる為、ゴム加硫時にベルト歯部に沿って一定の厚みを持ちながら均等に仕上げることが可能となる。さらに、伸縮性複合糸条は、適度な嵩高性により接着処理剤やゴム材が繊維内に浸透しやすく、その結果、接着力が増し、歯付きベルトの耐久性が向上する。特に、高強力繊維がポリケトン繊維であれば、ゴム材との接着力をより高くすることができる。
本発明の伸縮性織物は綾線が明瞭にかつ、整然と配列されるため、プーリとの摩擦抵抗軽減による摩擦音抑制効果および空気溜りの軽減による気流音抑制効果がはたらき、一層の耐久性向上と低騒音の効果が期待できる。
本発明の歯付きベルトは、歯面が均一となり、低騒音性や高耐久性および高耐熱性を実現したものとなり、ベルト幅を小さくすることも可能となり、省スペース化(コンパクト設計、軽量化)等の効果を有する。

Claims (5)

  1. 伸縮伸長率が2%以上で、且つ引張強度が13cN/dtex以上である高強力繊維捲縮糸条が弾性繊維にカバリングされてなることを特徴とする伸縮性複合糸条。
  2. 高強力繊維捲縮糸条が、ポリケトン繊維捲縮糸条であることを特徴とする請求項1に記載の伸縮性複合糸条。
  3. 請求項1または2のいずれかに記載の伸縮性複合糸条を経糸及び/又は緯糸に用いてなる織物であって、幅5cmで織物伸縮方向に伸長したとき、中間点の応力、9.8N、19.6N、29.4Nにおける伸縮変動係数の最大値が0〜0.15であることを特徴とする伸縮性織物。
  4. 請求項3記載の伸縮性織物を用いていることを特徴とする歯付きベルト。
  5. 芯線としてポリケトン繊維を用いてなることを特徴とする請求項4記載の歯付きベルト。
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