JP2004250711A - ポリエチレンテレフタレートーポリエステルエラストマー・ブロック共重合樹脂およびその成形体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】
(a)PET系ポリエステル100重量部、(b)ポリエステルエラストマー1〜50重量部、(c)結合剤として3以上官能性エポキシ化合物/2官能性エポキシ化合物0〜100/100〜0重量比の混合物0.01〜2重量部、(d)結合触媒として有機酸金属塩複合体0.05〜2重量部から構成される混合物を、反応押出法により長鎖分岐構造体に改質して溶融粘度を従来の線状構造体PETの10倍以上に増加させた耐衝撃性ブロック共重合体とするとともに、各種成形体とする製造方法を提供する。
【選択図】なし
Description
分子量を増大させる為の鎖延長剤(結合剤)としては、イソシアナート、オキサゾリン、エポキシ、アジリジン、カルボジイミド等の結合手または官能基を有する化合物を使用することが提案されている。しかしながら、反応性、耐熱性、安定性等からの制約が強く、実用性があるものは限定される。これらの中でもエポキシ化合物は、比較的有用であり、モノエポキシ化合物を配合したもの(特開昭57−161124号公報)、ジエポキシ化合物を配合したもの(特開平7−166419号公報、特公昭48−25074号公報、特公昭60−35944号公報等)があるが、反応速度、ゲル生成、溶融粘度、相溶性、熱安定性、成型品の物性等に問題が多々あり、実用化は困難であった。
それを実現するためには、汎用樹脂の半値で入手できる回収ペットボトル・フレークおよび回収ペットシートまたは重縮合法で安価に得られる繊維用PETを主体成分とすれば良いが、それらは分子量および溶融張力が小さいので、成形加工が困難であり、本発明が目的とする耐衝撃性のインフレーション法フィルム、Tダイ法フィルム、シート、ボード、ガス法発泡体、ボトル、パイプ、異形押出体が容易に成形加工出来ない。一方、従来の固層重合法では、ブロック共重合そのものが不可能であり、かつ高分子量化した高価なPETは、線状構造体のため溶融張力が小さいので、本発明が目的とする透明耐衝撃性の成形体が出来難い。
第1に、A成分:(1)メルトフローレート(JIS法:280℃、荷重2.16Kg)が25〜210g/10分のポリエチレンテレフタレート系ポリエステルa:100重量部、(2)結合剤として分子内に2個のエポキシ基を含有する化合物b対分子内に3個以上のエポキシ基を含有する化合物cの重量比が100〜0対0〜100の混合物d:0.01〜2重量部、(3)触媒として有機酸の金属塩g:0.05〜2重量部から構成される混合物100重量部と、B成分:ポリエステル系エラストマー1〜50重量部とを、その融点以上の温度で混合溶融させるとともに真空系で13.3×103Pa以下に脱気脱水しながら均一反応させることによってブロック共重合樹脂ペレットとして後に、それを成形装置に導入して成形加工することを特徴とするポリエチレンテレフタレートーポリエステルエラストマー・ブロック共重合樹脂およびその成形体の製造方法。
第2に、A成分:(1)メルトフローレート(JIS法:280℃、荷重2.16Kg)が25〜210g/10分のポリエチレンテレフタレート系ポリエステルa:100重量部、(2)結合剤として分子内に2個のエポキシ基を含有する化合物b対分子内に3個以上のエポキシ基を含有する化合物cの重量比が100〜0対0〜100の混合物d:0.01〜2重量部、(3)触媒として有機酸の金属塩g:0.05〜2重量部から構成される混合物100重量部と、B成分:ポリエステル系エラストマー1〜50重量部とを、その融点以上の温度で混合溶海させるとともに真空系で13.3×103Pa以下に脱気脱水しながら均一反応させることによってブロック共重合樹脂とし、それを直ちに成形装置に導入して成形することを特徴とするポリエチレンテレフタレートーポリエステルエラストマー・ブロック共重合樹脂およびその成形体の製造方法。
第3に、A成分のポリエチレンテレフタレート系ポリエステルaが、固有粘度0.50〜0.90dl/gのポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート系芳香族ポリエステル成形品再循環物からなる群から選ばれる少なくとも1種以上を含有することを特徴とするポリエチレンテレフタレートーポリエステルエラストマー・ブロック共重合樹脂およびその成形体の製造方法。
第4に、A成分の結合剤として分子内に2個のエポキシ基を含有する化合物bが、脂肪族系のエチレングリコール・ジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコール・ジグリシジルエーテル、ヘキサメチレン・ジグリシジルエーテル、エポキシ化リノール酸脂肪族アルキルエステル、脂環式系水素化ビスフェノールA・ジグリシジルエーテルおよび芳香族系ビスフェノールA・ジグリシジルエーテルからなる群から選ばれる少なくとも1種以上を含有することを特徴とするポリエチレンテレフタレートーポリエステルエラストマー・ブロック共重合樹脂およびその成形体の製造方法。
第5に、A成分の結合剤として分子内に3個以上のエポキシ基を含有する化合物cが、脂防族系のグリセリン・トリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパン・トリグリシジルエーテル、エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油、ヘテロ環式トリグリシジルイソシアヌレートおよび芳香族系フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種以上を含有することを特徴とするポリエチレンテレフタレートーポリエステルエラストマー・ブロック共重合樹脂およびその成形体の製造方法。
第6に、A成分の結合反応触媒gとしてステアリン酸または酢酸のリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、亜鉛塩、マンガン塩からなる群から選ばれる少なくとも1種以上を含有することを特徴とするポリエチレンテレフタレートーポリエステルエラストマー・ブロック共重合樹脂およびその成形体の製造方法。
第7に、B成分のポリエステルエラストマーが、ポリエステル・脂肪族ポリエーテル、ポリエステル・脂肪族ポリエステル、それらの混合物からなる群から選ばれる少なくとも1種以上を含有することを特徴とするポリエチレンテレフタレートーポリエステルエラストマー・ブロック共重合樹脂およびその成形体の製造方法。
第8に、A成分:(1)メルトフローレート(JIS法:280℃、荷重2.16Kg)が25〜210g/10分のポリエチレンテレフタレート系ポリエステルa:100重量部、(2)結合剤として分子内に2個のエポキシ基を含有する化合物b対分子内に3個以上のエポキシ基を含有する化合物cの重量比が100〜0対0〜100の混合物d:10〜50重量部と基体e:100重量部とから構成される結合剤マスターバッチf:0.05〜10重量部、(3)結合反応触媒として有機酸の金属塩g:5〜100と基体h:100重量部とから構成される触媒マスターバッチi:0.25〜10重量部から構成される混合物100重量部と、B成分:ポリエステル系エラストマー1〜50重量部とを、その融点以上の温度で混合溶融させるとともに真空系で13.3×103Pa以下に脱気脱水しながら反応押出法で均一反応させることによってブロック共重合樹脂とし、それを成形装置に導入して成形することを特徴とするポリエチレンテレフタレートーポリエステルエラストマー・ブロック共重合体およびその成形体のマスターバッチ式製造方法。
第9に、上記に記載される方法により製造される射出成形体、インフレーション法フィルム、Tダイ法フィルム、シート、ボード、ガス法発泡体、ボトル、パイプ、異形押出体が、耐衝撃性成形体であることを特徴とするポリエチレンテレフタレートーポリエステルエラストマー・ブロック共重合樹脂の成形体の製造方法。
例えば、市販品の例として下記を使用することが出来る。帝人化成(株)の「ヌーベラン」、東レデュポンの「Hytrel」、東洋紡の「ペルプレンP,S」、イーストマンケミカルの「Ecdel」、GEの「Lomond」、ヘキストーセラニーズの「Riteflex」、モンテエジソンの「Pibiflex」、日本ゼオンの「ZTPE」などの熱可塑性ポリエステルエラストマーである。
B成分は、少量のカルボン酸基を含んでおり、また反応押出装置の中でエステル結合が加水分解で新たにカルボン酸基が発生するので、A成分のPETのカルボン酸基と触媒の存在下に結合剤のエポキシ環と反応し、ブロック共重合体を形成する。
B成分の添加量は、通常1〜50重量部、好ましくは2〜30重量部、更に好ましくは5〜20重量部である。1重量部以下では、耐衝撃性の発現が不充分である。50重量部以上では、ブロック共重合体が柔らかくなり過ぎて、本発明の目的に合わず、またエラストマーが熱分解したり、ゲル化し易く、均一・高分子量のブロック共重合体が得られ難い。一般に、フィルムやシートの様な薄い成形体では、少量の1〜5重量部が好ましく、ボードや異型押出品等の肉厚成形体では、多量の5〜50重量部が好ましい。
その使用量は、通常0.01ないし2重量部であり、好ましくは0.05ないし1.5重量部であり、成形商品によって異なる。成形商品が、二軸延伸フィルム、Tダイ法フィルム、シート、ボードおよび射出品等の様な中程度の熔融粘度でMFR約10〜100g/10分の場合には、少量の0.01〜0.5重量部が好ましい。一方、成形商品が、インフレーション法フィルム、パイプ、異型押出品および特に発泡体の様な高度の熔融粘度でMFR約1〜10g/10分の場合には、0.5ないし1.5重量部が好ましい。エチレングリコール・ジグリシジルエーテルの様に低分子量でエポキシ当量が大きいもの(WPE135g/eqiv.)は、比較的少な目に使用され、エポキシ化大豆油の様な高分子量(約1,000)でエポキシ当量が小さい(WPE232g/eqiv.)ものは、比較的多い目に使用される。
通常、分子内に平均2個のエポキシ基を有する化合物bの例としては、脂肪族系のエチレングリコール・ジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコール・ジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコール・ジグリシジルエーテル、テトラメチレングリコール・ジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサメチレングリコール・ジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコール・ジグリシジルエーテル、グリセリン・ジグリシジルエーテル、エポキシ化リノール酸脂肪族アルキルエステル、また脂環式系の水素化ビスフェノールA・ジグリシジルエーテル、水素化イソフタル酸ジグリシジルエステル、3,4−エポキシ・シクロヘキシル・メチル−3,4−エポキシ・シクロヘキサン・カルボキシレート、ビス(3,4−エポキシ・シクロヘキシル)アジペートまたヘテロ環式系のジグリシジル・ヒダントイン、ジグリシジル・オキシアルキル・ヒダントイン、また芳香族系のビスフェノールA・ジグリシジルエーテル、ビスフエノールA・ジグリシジルエーテルの初期縮合物、ジフェニルメタンジグリシジルエーテル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、ジグリシジル・アニリン等を挙げることができる。エポキシ化リノール酸脂肪族アルキルエステルは、特にFDAの認定グレードであり、食品包装用途に好適である。
分子内に平均2.1個以上から数個の中間的個数のエポキシ基を有する化合物cとしては、エポキシ化大豆油(平均4.3個)、エポキシ化亜麻仁油(平均5.7個)、ヘテロ環式トリグリシジルイソシアヌレートおよび芳香族系フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂およびビフェニルジメチレン系エポキシ樹脂(例えば、日本化薬(株)の耐熱エポキシ樹脂NC−3000シリーズ)等を挙げることができる。その他の例としてダウケミカル社から分子内のエポキシ基が、平均して約2.2、3.6、3.8および5.5個のものが上市されており、これらを使用することができる。
エポキシ化大豆油およびエポキシ化亜麻仁油は、特にFDAの認定グレードであり、食品包装用途に好適である。また、これらはもともと食品包装用軟質塩ビ・フィルムの可塑剤であるので、本発明のフィルムとシートが柔軟になる効果も期待できる。
本発明のエポキシ基含有化合物dは、分子内に2個のエポキシ基を含有する化合物(D)b:100〜0重量%および分子内に3を越える個数のエポキシ基を含有する化合物(T)c:0〜100重量%の混合物である。後者(T)の増加で、樹脂のスウェルと溶融粘度が急上昇し、MFRが急低下する。
後者/前者の重量比率(T/D比)は、通常成形体によって適正範囲がある。例えば、射出成形品には、0/100〜5/95が好ましい。インフレーション法フィルム、シート、射出品およびボトルには5/95〜25/75が好ましい。二軸延伸およびTダイ法フィルム、ボード、パイプ、異型押出品および発泡体には25/75〜70/30が好ましく、37.5/82.5〜60/40が更に好ましい。このT/D比の増大により、一般に熔融張力・熔融粘度が増大し、フィルムやシートのドローダウンが少なくなり、フィルムやシート等の結晶化速度が速くなる。T/D比が、5/95以下ではそれらの効果が少なく、75/25以上ではポリエステル樹脂の製造が困難であり、特にフィルムや薄いシートにゲル・フィッシュアイが副生して、均一製品にならないことがある。ただし、厚み約0.5mm以上の肉厚成形体では、75/25〜100/0でもゲル・フィッシュアイが副生しない。
特殊の例では、トルエン、ベンゼン、キシレンおよび流動パラフィンなどを基体eに使用することが出来る。また、成形体が透明を必要としない場合には、ポリエチレンアクリレート系樹脂(日本ポリオレフイン(株)ほか)などを使用することが出来る。
それらのカルボン酸の金属塩は、単独使用では本発明のポリエステルの製造目的に必ずしも適しないことが、本発明で判明している。即ち、一般にアルカリ土類金属塩は触媒活性が低いが「滑剤効果」に優れるので、例えばステアリン酸カルシウムの場合には粉末状の触媒基体hとして使用することが好ましい。
従って、本発明の結合反応触媒gとしては、触媒複合体が好ましい。例えば二元系触媒としては、例えばステアリン酸リチウム/ステアリン酸カルシウム=20〜100/100、ステアリン酸ナトリウム/ステアリン酸カルシウム=20〜100/100、ステアリン酸カリウム/ステアリン酸カルシウム=20〜100/100、酢酸マンガン/ステアリン酸リチウム=20〜100/100あるいは酢酸マンガン/ステアリン酸カルシウム=20〜50/100などである。
一方、三元系触媒としては、例えばステアリン酸リチウム/ステアリン酸ナトリウム/ステアリン酸カルシウム=50/50/100、ステアリン酸リチウム/ステアリン酸カリウム/ステアリン酸カルシウム=50/50/100、ステアリン酸リチウム/酢酸ナトリウム/ステアリン酸カルシウム=50/50/100あるいはステアリン酸リチウム/酢酸マンガン/ステアリン酸カルシウム=50/50/100などの複合触媒g、あるいはこれらと基体hとのマスターバッチiである。
その外の方法としては、結合剤基体eとほぼ同様なポリマー基体hを使用することも出来る。即ち、ポリマー基体hとして、固有粘度0.50〜0.90dl/gのポリエチレンテレフタレート系芳香族ポリエステル、回収されたポリエチレンテレフタレート系の芳香族ポリエステル成形品再循環物、エチレングリコールとシクロヘキサン・ジメタノールとテレフタール酸等の縮合体(イーストマン社のPETG等)、ポリエチレンアクリレート系樹脂(日本ポリオレフィン(株)ほか)およびポリアクリレート系樹脂(共重合体を含む)などを使用することが出来る。成形体が透明を必要とする場合には、PET系ポリエステルとポリアクリレート系樹脂(共重合体を含む)などを使用することが出来る。成形体が透明を必要としない例えば発泡体の場合には、ポリエチレンアクリレート系樹脂(日本ポリオレフィン(株)ほか)などを使用することが出来る。
触媒マスターバッチiの使用量は、芳香族飽和ポリエステルa:100重量部に対して、通常は0.25〜10重量部であるが、好ましくは分散・混合性の良好な0.5〜2重量部前後である。
本発明によれば、反応押出機の性能にもよるが、一般に短い時間、例えば、30秒〜20分、好ましくは1分〜10分、特に好ましくは1.5分〜5分の滞留時間で、飽和ポリエステルaの分子量が急上昇し、単独にまたはポリエステルエラストマーとブロック共重合して所望のPET系ポリエステルーポリエステルエラストマー・ブロック共重合体が生成する。
一方、未乾燥のままで回収ペットボトル・フレークまたは新品ポリエステル樹脂ペレットを原料として使用する場合には、二軸押出機の真空ラインを水封式でなく、油封式または乾式とし、第1〜第3ベントの真空度を13.3×103Pa(100mmHg)以下、好ましくは2.6×103Pa(20mmHg)以下、更に好ましくは0.66×103Pa(5mmHg)以下、更に一層好ましくは0.26×103Pa(2mmHg)以下に下げて、PET系ポリエステル樹脂等が溶融した直後および溶融混合中に水分を真空脱気して除去することによって達成することができる。
(1)固有粘度:芳香族系飽和ポリエステルについては、1,1,2,2ーテトラクロロエタンとフェノールの等重量の混合溶媒を使用し、キャノンフエンスケ粘度計で25℃にて測定した。
(2)MFR:JIS法K7210の条件20に従い、芳香族系飽和ポリエステルとポリオレフィンーポリエステル・ブロック共重合体組成物については、温度280℃、荷重2.16kgの条件で測定した。その他、カタログ値ではポリエチレンは190℃、ポリプロピレンは230℃で荷重2.16kgの条件で測定されている。
(3)スウェル:MFR用のメルトインデクサーを用い、温度280℃、荷重2.16kgの条件で垂れ流し、サンプルが2.0cm垂れたところでカットし、下端から5.0mmのところの直径を測定し、下記の計算式により算出した。
スウェル(%)=[(直径の平均値−2.095)/2.095]×100
(4)分子量:ポリエステルについては、GPC法により下記の条件で測定した。(本体)昭和電工社製SYSTEM−21、(カラム)Shodex KF−606M(2本)サンプル、リファレンス側とも、(溶剤)ヘキサフロロイソプロピルアルコール、(カラム温度)40℃、(注入量)20μl、流量:0.6ml/分、(ポリマー濃度)0.15重量%、(検出器)Shodex RI−74、(分子量換算スタンダード)PMMA:Shodex M−75
(5)DSCの測定:セイコー電子製DSC220等を使用し、サンプル5−15mg、窒素50ml/分、昇温速度10℃/分、20−300℃で測定した。
(6)機械的物性の測定:本発明のフィルムの引張試験は、JIS法K7113に従い、テンシロンRTC−121Cを使用し、引張速度50mm/分で行った。
(7)溶融粘度:スウェーデン国REOLOGICA社製DynAlyser DAR−100を使用し、2cm角×厚さ2mmの試験片を窒素雰囲気下280℃でホットプレート間のねじり振動を加えることにより測定した。
(8)耐衝撃性:JIS法K7110に従い、射出成形板についてアイゾット衝撃強さを測定した。また、(株)東洋精機製作所のデュポン衝撃試験装置を使用して、落球衝撃値を測定した。
(9)透明性:JIS法K7136に従い、射出成形板およびシートについてヘーズを測定した。
製造例1:ベルストルフ製二軸押出し機、口径43mm、L/D=43、3段水封式真空引きを使用し、よのペットボトルリサイクル(株)のクリアフレーク(PETボトルの回収品、固有粘度0.725dl/g、MFR56g/10分)を120℃で約12時間熱風乾燥した70重量部およびユニチカ製ペットNEH−2050(IV0.8、密度1.35)の乾燥袋品30重量部を設定温度260℃、スクリュー回転数150rpm、第1ベント約−600mmHg、第3ベント約−670mmHg、自動供給速度30Kg/hで押出しながら、第2ベント孔より結合剤として2官能エポキシ化合物(Dと略称)であるエチレングリコール・ジグリシジルエ−テル(共栄社化学(株)のエポライト40E、エポキシ当量135g/eq、淡黄色液体)15重量部を定量ポンプで注入した。ダイスの穴径3.5mmから流出する5本のストランドを水冷し、回転カッターで切断してペレットにした。得られたペレット約100Kgを140℃で約1時間、次いで120℃で約12時間熱風乾燥して防湿袋(紙/アルミ/ポリエチレン3層)に保管した(結合剤マスターバッチf1:3官能/2官能・比率T/D=0/100)。
製造例2:上記と同様にして、2官能のエチレングリコール・ジグリシジルエ−テル(D)75重量部と3官能のトリメチロールプロパン・トリグリシジルエーテル(共栄社化学(株)のエポライト100MF、エポキシ当量150g/eq、淡黄色液体、Tと略称)25重量部とから構成される混合物15重量部を含有する結合剤マスターバッチ・ペレットf2(T/D=25/75)約100Kgを製造した。
製造例3:同様にして、2官能のエチレングリコール・ジグリシジルエ−テル(D)50重量部と3官能のトリメチロールプロパン・トリグリシジルエーテル(T)50重量部とから構成される混合物15重量部を含有する結合剤マスターバッチ・ペレットf3(T/D=50/50)約100Kgを製造した。
製造例1と同様にベルストルフ製二軸押出し機を使用し、重縮合法による繊維グレードPET・ペレツト(固有粘度0.61dl/g、MFR85g/10分、酸価23)を120℃で約12時間熱風乾燥した80重量部およびイーストマン社製PETG6763(IV0.73、密度1.27)の乾燥袋品30重量部を設定温度260℃、スクリュー回転数150rpm、第1ベント約−600mmHg、第3ベント約−670mmHg、自動供給速度30Kg/hで押出しながら、第2ベント孔より結合剤として2官能エポキシ化合物(D)である1,6−ヘキサメチレン・ジグリシジルエーテル(旭電化工業(株)のアデカグリシロールED−503、エポキシ当量165g/eq、無色透明液体)87.5重量部と3官能エポキシ化合物(T)であるグリセリン・トリグリシジルエーテル(旭電化工業(株)のアデカグリシロールED−507、エポキシ当量145g/eq、無色稠密透明液体)12.5重量部とから構成される結合剤混合物15重量部を定量ポンプで注入した。ダイスの穴径3.5mmから流出する5本のストランドを水冷し、回転カッターで切断して円柱状ペレットにした。得られた熱いペレット約150Kgを40〜50℃で約1時間熱風乾燥して防湿袋(紙/アルミ/ポリエチレン3層)に保管した(結合剤マスターバッチf4:3官能/2官能・比率T/D=12.5/87.5)。
製造例5:微粉末状触媒のステアリン酸リチウム25重量部とステアリン酸ナトリウム25重量部に滑剤およびマスターバッチの基材としてのステアリン酸カルシウムの白色微粉末50重量部を加えた。これらの微粉末状複合触媒をタンブラーで均一になるまで混合して、粉末状複合触媒マスターバッチi1(Li/Na/Ca=25/25/50)を製造した。これは、約280℃の高温作動型触媒である。
製造例6:潮解性のある微黄色粉末顆粒状触媒のステアリン酸カリウム40重量部に滑剤およびマスターバッチの基材としてのステアリン酸カルシウム60重量部を加えた。これらの粉末状複合触媒をタンブラーで均一になるまで混合して、粉末状複合触媒マスターバッチi2(K/Ca=40/60)を製造した。これは、約260℃の低温作動型触媒である。
製造例7:ベルストルフ製二軸押出機を使用し、よのペットボトルリサイクル(株)のクリアフレーク(PETボトルの回収品、固有粘度0.725dl/g、MFR56g/10分)の乾燥品50重量部、イーストマン社ペットジー6763(IV0.73、密度1.27)の乾燥品50重量部を、設定温度260℃、スクリュー回転数150rpm、第1ベント約−630mmHg、第2ベント約−700mmHg、自動供給速度30Kg/hで押出しながら、第3ベントからステアリン酸リチウム2.5重量部とステアリン酸ナトリウム2.5重量部とステアリン酸カルシウム5.0重量部との複合体触媒をタンブラーで予備混合したものをサイドフィードし、ダイスの穴径3.0mmから流出する5本のストランドを水冷し、回転カッターで切断してペレットにした。得られたペレット約100Kgを120℃で約12時間熱風乾燥して防湿袋に保管した(複合触媒マスターバッチi3:触媒10重量部(Li/Na/Ca=25/25/50)/基材100重量部。
実施例1:よのペットボトルリサイクル(株)のクリアフレーク(PETボトルの回収品、固有粘度0.74dl/g、MFR40g/10分)の120℃一夜の乾燥品100重量部、エチレングリコール・ジグリシジルエーテル(D)75重量部とトリメチロールプロパン・トリグリシジルエーテル(T)25重量部の混合物から成るマスターバッチf2(製造例2:T/D=25/75)5.5重量部(有効結合剤量0.717重量部)、粉末状複合触媒マスターバッチi1(製造例5:Li/Na/Ca=25/25/50)0.25重量部、ポリエステル・エラストマーとして帝人化成製ヌーベランB4063(エーテル型、生ゴムTR−EL−6、黄色ペレット、120℃一夜乾燥品、MFR:280℃・2.16Kg・130g/10分)5.0重量部を袋中で手動混合した。
(株)テクノベル製の二軸押出機KZW15−30MG、口径15mm、L/D=30、1ベント方式のドライ式真空ポンプ・ラインを使用し、設定温度280℃、スクリュー回転数100rpm、第1ベント約0.098Mpa、自動供給速度500g/hで供給しながら脱水・脱気・混合しながら反応させた。3.5mm孔のダイスからのストランドを水冷し、回転カッターで切断してペレットにした。得られたペレットを140℃で約3.5時間熱風乾燥して防湿袋に保管した。本発明のブロック共重合体P1は、MFRが5点平均1.9g/10分であり、収量が約300gであった。
実施例6:東京ペットボトルリサイクル(株)のクリアフレーク(PETボトルの回収品、固有粘度0.73dl/g、MFR45g/10分)の120℃・一夜の乾燥品100重量部、帝人化成製ヌーベランB4063(エーテル型、生ゴムTR−EL−6、黄色ペレット、120℃一夜乾燥品、MFR:280℃・2.16Kg・130g/10分)10重量部を2官能のエチレングリコール・ジグリシジルエ−テル(D)と3官能のトリメチロールプロパン・トリグリシジルエーテ(T)との混合液体(T/D比=37.5/62.5):0.15重量部、粉末状複合触媒マスターバッチi2(製造例6:K/Ca=40/60)0.20重量部をスーパーミキサーで2分間混合した。
タンデム方式の第1段として(株)池貝製の二軸押出機PCM−46、口径46mm、L/D=35、3ベント方式の油封式真空ラインを使用し、シリンダー設定温度255〜265℃、スクリュー回転数100rpm、第1ベント約0.096Mpa、第2ベント約0.098Mpa、第3ベント約0.098Mpa、自動供給速度、40Kg/hで押出しながら脱水・脱気・混合により反応を開始させ、第2段として(株)池貝製FS−65EXの単軸押出機、口径65mm、L/D)=25、スクリュー回転数50rpmで高分子量化させ、孔径2mmのダイスからのストランド10本を水冷し、回転カッターで切断して円柱状ペレットにした。得られた熱いペレットを140℃で約3.5時間熱風乾燥して防湿袋に保管した。回収ペットボトルを原料とする本発明の高分子量ブロック共重合樹脂P6は、MFRが平均39g/10分であり、収量が約100Kgであった。
実施例7:実施例6と同一操作で、ポリエステル・エラストマーの種類を変えて実施した。帝人化成製ヌーベランP4110(PBT系エステル型、生ゴムTR−EL−1、白色ペレット、120℃一夜乾燥品)10重量部を使用し、MFRが平均33g/10分である高分子量ブロック共重合樹脂P7を約100Kg製造した。
実施例8:帝人化成製ヌーベランR4435(PET系エステル型、生ゴムTRB−A、黄褐色ペレット、120℃一夜乾燥品)10重量部を使用し、MFRが平均46g/10分である高分子量ブロック共重合樹脂P8を約100Kg製造した。
よのペットボトルリサイクル(株)のクリアフレーク(PETボトルの回収品、固有粘度0.725dl/g、MFR56g/10分)の未乾燥品100重量部、結合剤マスターバッチf1(T/D=0/100)およびf3(T/D=50/50)の等量混合物6.6重量部、複合触媒マスターバッチi1:0.20重量部、ポリエステル・エラストマー(帝人製ヌーデランTR−EL−6)20重量部をタンブラーで5分間混合した。(株)池貝製の二軸押出機PCM−46、口径46mm、L/D=42、3段油封式真空ラインを使用し、設定温度280℃、スクリュー回転数100rpm、第1ベント約5mmHg、第2および第3ベント約4mmHg、自動供給速度20Kg/hで反応押出を実行しながら、ダイスの穴径2mmから流出する5本のストランドを水冷し、回転カッターで切断してペレットにした。篩い分けしたペレット約80Kgを140℃で約4時間熱風乾燥して防湿袋に保管した。得られたマスターバッチ法ブロック共重合体P9のMFRは、6.5g/10分で、ほぼ設計通りであった。
実施例9で製造したマスターバッチ法ブロック共重合体P9および比較例2の高重合ペットR2を、15cm角で厚み2および3mmの板に射出成形した。成形板は、微黄色透明であった。ヘーズは、2mm板についてそれぞれ53.5%および17.7%であった。
射出成形機:日本製鋼所150t
金型 :150×150mm、2tまたは3t
温度等 :280℃(スクリユー、90rpm)、15℃(金型、チラー50秒冷却)
定法に従って測定したデュポン落球衝撃値は、下記の通りである。
ポリエステル・エラストマー20重量部のブロック共重合により衝撃強度が顕著に改善された。なお、アイゾット衝撃値は、それぞれ1,500J/m2、34J/m2であり、同様に大幅に改善された。
台湾TUNTEX社の重縮合法PETペレット(繊維グレードの新品、固有粘度0.61dl/g、MFR85g/10分)の120℃一夜の乾燥ペレット100重量部、乾燥した帝人化成(株)のポリエステル・ゴム:ヌーベランR4435(PET系ポリエステル型、TLB−A)10重量部、2官能(D)の1,6−ヘキサンジオール・ジグリシジルエ−テルと3官能(T)のグリセリン・トリグリシジルエーテをふくむマスターバッチF4(製造例4;T/D比=12.5/87.5):1.5重量部(有効量0.20重量部)、低温活性型の粉末状複合触媒マスターバッチi2(製造例7:K/Ca=50/50)0.20重量部をスーパーミキサーで2分間混合した。
日立造船(株)製の二軸押出機(口径80mm、L/D40、2ベント)により260℃の低温で結合反応を完結させて、巾1,200mm、LG1mmのTダイから、チルロール温度30〜60℃にて厚み220ミクロンのシートを連続製造した。得られたシートは、無色透明でゲルやフィッシユ・アイが無かった。
Claims (9)
- A成分:(1)メルトフローレート(JIS法:280℃、荷重2.16Kg)が25〜210g/10分のポリエチレンテレフタレート系ポリエステルa:100重量部、(2)結合剤として分子内に2個のエポキシ基を含有する化合物b対分子内に3個以上のエポキシ基を含有する化合物cの重量比が100〜0対0〜100の混合物d:0.01〜2重量部、(3)触媒として有機酸の金属塩g:0.05〜2重量部から構成される混合物100重量部と、B成分:ポリエステル系エラストマー1〜50重量部とを、その融点以上の温度で混合溶融させるとともに真空系で13.3×103Pa以下に脱気脱水しながら均一反応させることによってブロック共重合樹脂ペレットとして後に、それを成形装置に導入して成形加工することを特徴とするポリエチレンテレフタレートーポリエステルエラストマー・ブロック共重合樹脂およびその成形体の製造方法。
- A成分:(1)メルトフローレート(JIS法:280℃、荷重2.16Kg)が25〜210g/10分のポリエチレンテレフタレート系ポリエステルa:100重量部、(2)結合剤として分子内に2個のエポキシ基を含有する化合物b対分子内に3個以上のエポキシ基を含有する化合物cの重量比が100〜0対0〜100の混合物d:0.01〜2重量部、(3)触媒として有機酸の金属塩g:0.05〜2重量部から構成される混合物100重量部と、B成分:ポリエステル系エラストマー1〜50重量部とを、その融点以上の温度で混合溶融させるとともに真空系で13.3×103Pa以下に脱気脱水しながら均一反応させることによってブロック共重合樹脂とし、それを直ちに成形装置に導入して成形することを特徴とするポリエチレンテレフタレートーポリエステルエラストマー・ブロック共重合樹脂およびその成形体の製造方法。
- A成分のポリエチレンテレフタレート系ポリエステルaが、固有粘度0.50〜.0.90dl/gのポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート系芳香族ポリエステル成形品再循環物からなる群から選ばれる少なくとも1種以上を含有することを特徴とする請求項1〜2のいずれか1項に記載されるポリエチレンテレフタレートーポリエステルエラストマー・ブロック共重合樹脂およびその成形体の製造方法
- A成分の結合剤として分子内に2個のエポキシ基を含有する化合物bが、脂肪族系のエチレングリコール・ジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコール・ジグリシジルエーテル、ヘキサメチレン・ジグリシジルエーテル、エポキン化リノール酸脂肪族アルキルエステル、脂環式系水素化ビスフェノールA・ジグリシジルエーテルおよび芳香族系ビスフェノールA・ジグリシジルエーテルからなる群から選ばれる少なくとも1種以上を含有することを特徴とする請求項1〜2のいずれか1項に記載されるポリエチレンテレフタレートーポリエステルエラストマー・ブロック共重合樹脂およびその成形体の製造方法。
- A成分の結合剤として分子内に3個以上のエポキシ基を含有する化合物cが、脂防族系のグリセリン・トリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパン・トリグリシジルエーテル、エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油、ヘテロ環式トリグリシジルイソシアヌレートおよび芳香族系フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種以上を含有することを特徴とする請求項1〜2のいずれか1項に記載されるポリエチレンテレフタレートーポリエステルエラストマー・ブロック共重合樹脂およびその成形体の製造方法。
- A成分の結合反応触媒gとしてステアリン酸または酢酸のリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、亜鉛塩、マンガン塩からなる群から選ばれる少なくとも1種以上を含有することを特徴とする請求項1〜2のいずれか1項に記載されるポリエチレンテレフタレートーポリエステルエラストマー・ブロック共重合樹脂およびその成形体の製造方法。
- B成分のポリエステルエラストマーが、ポリエステル・脂肪族ポリエーテル、ポリエステル・脂肪族ポリエステル、それらの混合物からなる群から選ばれる少なくとも1種以上を含有することを特徴とする請求項1〜2に記載されるポリエチレンテレフタレートーポリエステルエラストマー・ブロック共重合樹脂およびその成形体の製造方法。
- A成分:(1)メルトフローレート(JIS法:280℃、荷重2.16Kg)が25〜210g/10分のポリエチレンテレフタレート系ポリエステルa:100重量部、(2)結合剤として分子内に2個のエポキシ基を含有する化合物b対分子内に3個以上のエポキシ基を含有する化合物cの重量比が100〜0対0〜100の混合物d:10〜50重量部と基体e:100重量部とから構成される結合剤マスターバッチf:0.05〜10重量部、(3)結合反応触媒として有機酸の金属塩g:5〜100重量部と基体h:100重量部とがら構成される触媒マスターバッチi:0.25〜10重量部から構成される混合物100重量部と、B成分:ポリエステル系エラストマー1〜50重量部とを、その融点以上の温度で混合溶融させるとともに真空系で13.3×103Pa以下に脱気脱水しながら反応押出法で均一反応させることによってブロック共重合樹脂とし、それを成形装置に導入して成形することを特徴とする請求項1〜7に記載されるポリエチレンテレフタレートーポリエステルエラストマー・ブロック共重合体およびその成形体のマスターバッチ式製造方法。
- 請求項1〜8に記載される方法により製造される射出成形体、インフレーション法フィルム、Tダイ法フィルム、シート、ボード、ガス法発泡体、ボトル、パイプ、異形押出体が、耐衝撃性成形体であることを特徴とするポリエチレンテレフタレートーポリエステルエラストマー・ブロック共重合樹脂の成形体の製造方法。
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