JP2004250566A - 粘着シート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基材シート1上に粘着剤層2、及びセパレータ3を有する粘着シート10について、そのセパレータとして、例えばセパレータ基材3Aに全面の易接着面4aを設けた上で、シリコーン樹脂等で離型層5を部分的に印刷形成し、離型層部分を離型面b、離型層非形成部分を易接着面aとして、離型面/易接着面のパターンを有するセパレータを使用する。セパレータ剥離時には、易接着面に接する粘着剤層が凝集破壊してその部分の粘着剤層の一部がセパレータ側に取られて、基材シート上の粘着剤層面には凹部6が発生する。この凹部によって、エア抜き性、再剥離性、施工性が得られる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、貼り付け施工時に空気を抱き込み難いエア抜き性、仮貼り可能な再剥離性を有し、施工性が優れた粘着シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的に粘着シートの粘着剤層の表面は平坦面であり、その為に、粘着シートを被着体に貼り付けるときは、注意して貼らないと空気を抱き込み易い。そこで、粘着剤層表面を意識的に凹凸面とすることで、空気の逃げ道を作り、エア抜き性を改善した粘着シートが各種知られている(特許文献1、特許文献2、等参照)。また、粘着剤層表面を凹凸面とすることで、エア抜き性の他に、接着面の小面積化によって仮貼り可能な再剥離性も付与できる。従って、粘着剤層表面を凹凸面とすることで、エア抜き性、再剥離性の何れか、或いはこれら両方によって、粘着シート貼り付け作業の施工性を向上できる。
【0003】
ここで、粘着剤層表面の凹凸例を、例えば、特許文献2で示せば、図3の斜視図で示す粘着シート30の如く、基材シート31上の粘着剤層32の表面に、下端部外径0.3mm、粘着剤層表面からの高さ(高低差)20μmの粘着剤凸状体32aを、縦横1mm間隔で散在させた表面凹凸形状等である。
【0004】
そして、従来、この様な表面凹凸の粘着剤層を有する粘着シートでは、該表面凹凸は、粘着剤層表面に積層するセパレータについて、予めその離型面に粘着剤層面の表面凹凸とは逆の凹凸形状を、熱圧によるエンボス加工等によって賦形したものを使用することで、実現してきた。つまり、このセパレータ側に粘着剤層を一旦塗布形成した後、これを基材シートと積層して粘着シートとすれば、セパレータ剥離時は、粘着剤層にセパレータの凹凸形状が転写されて、粘着剤層表面を凹凸面とすることができる。
【0005】
【特許文献1】
特許第3017717号公報(特許請求の範囲、段落番号0022、段落番号0053、図3)
【特許文献2】
実用新案登録第2503717号公報(実用新案登録請求の範囲、段落番号0026、図2)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、セパレータの離型面を凹凸にする為には、エンボス加工等が必要である上、セパレータ基材には安価な紙等ではなく、エンボス加工適性を備えた熱可塑性樹脂シート等を使用する必要があった。この為、工程的にも、材料的にも、セパレータが高価となることが避けられず、ひいては、粘着シートのコスト増となっていた。
【0007】
すなわち、本発明の課題は、粘着シートにおいて、エア抜き性、再剥離性、施工性等の為の粘着剤層の表面凹凸を、低コストで実現することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
そこで、上記課題を解決すべく、本発明の粘着シートでは、基材シート上に粘着剤層を有し、更に粘着剤層上にセパレータを有する粘着シートにおいて、該セパレータの粘着剤層側の面は、離型面と共に部分的に易接着面も有し、セパレータ剥離時に、易接着面に接する粘着剤層が凝集破壊して該粘着剤層の一部がセパレータ側に残り、基材シート上の当該部分の粘着剤層面が凹部となる構成とした。
【0009】
この様な構成とすることで、セパレータに部分的に設けた易接着面の領域では、セパレータ剥離時に当該部分の粘着剤層は、セパレータ側にも基材シート側にも仮接着状態ではなく強固に接着しており両方に引っ張られるので、粘着剤層は凝集破壊して、その厚み方向でセパレータ側と基材シート側に分断される。その結果、基材シート側の粘着剤層の当該部分には凹部を作ることができる。これによって、従来の如くセパレータの離型面を熱圧エンボス加工等によって予め凹凸面とせずに、実質的に粘着剤層表面に凹凸を付与できる。そして、粘着剤層表面に生じた凹部によって、エア抜き性、再剥離性、施工性が付与される。しかも、上記セパレータの部分的な易接着面と部分的な離型面のパターンは、印刷加工等で容易に得られるので、低コストで実現できる。
【0010】
なお、本発明の粘着シートは、上記構成に於いて更に、上記セパレータを、セパレータ基材に離型層が部分的に形成され、離型層形成部分が離型面、離型層非形成部分が易接着面となっている構成とするのが、好ましい一形態である。所望のセパレータを確実に且つ容易に、低コストで得られる為、粘着シートを確実に且つ容易に、低コストで実現できる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。
【0012】
先ず、図1は、本発明の粘着シート10を、その一形態で概念的に例示する断面図である。図1(A)は、セパレータ3部分の或る一形態を例示し、図1(B)は図1(A)に例示のセパレータ3を使用した場合の、本発明の粘着シート10の一形態を例示し、図1(C)は図1(B)の粘着シート10からセパレータ3を剥離時の粘着剤層2表面に出来た凹部6による表面凹凸を示す。
【0013】
本発明で使用するセパレータ3は、粘着剤層側に接する離型面に部分的に粘着剤層と接着が良い易接着面も設けたものであり、部分的な離型面と部分的な易接着面とを有する。易接着面のパターンは、粘着剤層表面に発生させる凹部と同じパターンで良い。
【0014】
セパレータ3の粘着剤層側の面を、全面の離型面とはせずに、部分的に易接着面を設ける方法は特に制限は無い。確実に且つ容易な一方法としては、表面が離型処理される前或いは離型性を表面に備えていないセパレータ基材3Aの粘着剤層側とする面について、その面が既に易接着性を有する場合はそのままで、或いはその面の易接着性が不足する場合には公知の易接着処理を施して易接着面とした上で、この様な全面の易接着面に対し、印刷により部分的に離型層を形成すれば良い。離型層形成部分が離型面となり、離型層を形成しなかった離型層非形成部分が易接着面となる。
【0015】
図1(A)で例示したセパレータ3の一形態は、この様な方法で離型層を部分的に形成することで得られる構成を例示するものである。すなわち、図1(A)で例示のセパレータ3の構成は、セパレータ基材3Aの粘着剤層側とする面の全面に塗工等によって易接着層4aが形成され、この易接着層4aの面に、印刷等によって、部分的に所望のパターンで離型層5が形成された構成のものである。離型層5の非形成部分で露出している易接着層4aの面が易接着面aであり、離型層5の面が離型面bである。
【0016】
セパレータに於ける易接着層4aとしては、例えば、ウレタン樹脂等からなる公知の易接着プライマーを使用することができる。易接着プライマーは、全面に施すには、ロールコート等の公知の塗工法で施せば良い。また、易接着面は易接着プライマーを施す方法以外に、コロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理等の公知の易接着処理でも良い。これらは、用途、セパレータ基材、粘着剤層等に応じて適宜選択すれば良い。
【0017】
一方、離型層5としては、例えば、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、オレフィン樹脂、ワックス等の単体又はこれらの混合物、或いはこれらを樹脂中に含む混合物等の公知の離型性材料を使用することができる。この様な離型性材料は、グラビア印刷、オフセット印刷等の公知の印刷法で施せば、離型層を所望のパターン状に部分的に形成することができる。
【0018】
セパレータの粘着剤層側とする面に、離型面と易接着面とを各々部分的に設ける上記以外の方法としては、全面が離型面となっているもの(例えば、通常のセパレータとして出来上がっているもの)に対して、その離型面に易接着処理を施して、部分的に易接着面を形成しても良い。但し、この様に、離型層面上に易接着層を積層する等して易接着面を形成する場合は、離型面上の易接着層は離型面との密着性に注意する必要があるので、この様な方法よりかは、易接着層面上に離型層を積層する前述した方法の方が、これら両層の密着性をより確実に得られる点で、好ましい。
【0019】
なお、セパレータの基材となるセパレータ基材としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン等の樹脂シート(乃至はフィルム)、或いは紙等の公知の材料を用途に応じて適宜使用すれば良い。なお、セパレータ基材の厚みは、用途に応じたものとすれば良く、例えば、5〜500μm程度、通常は20〜300μm程度である。但し、易接着面が大きくなると、セパレータ剥離時にセパレータ基材が易接着面部分で基材シート側に引っ張られるので、セパレータが破損したりしない様に、それに打ち勝つ強度が必要であるので、この点では厚い方が好ましい。従って、易接着面の広さ、形状、粘着剤層の接着力、さらにセパレータ基材自身の腰等も勘案して、セパレータ基材の厚みは決めると良い。
【0020】
ところで、易接着面或いは離型面のパターンの形状は、エア抜き性能、再剥離性、施工性、外観等の要求物性に応じて、適宜な形状とすれば良く、任意であり、例えば公知のパターンを採用すれば良い。一般に、易接着面が広くなる程、エア抜き性、再剥離性、施工性は向上する。また、易接着面のパターンは、エア抜き性能の点では、独立して点在していたのでは意味が無いので溝状や、或いは、海/島で言えば海の部分の形状が良い。一方、離型面側でのパターンで言えば、例えば、三角形、四角形、五角形、六角形等の正多角形を含む多角形、円形、楕円形、或いは有限幅で無限長又は有限長の線形状(直線や曲線)等である。
図2の平面図に、易接着面aと離型面bのパターンの幾つかを例示する。図中、黒い部分が易接着面a、白い部分が離型面bである。なお、図2では、規則的パターンでの例示であったが、易接着面a乃至は離型面bのパターンは、規則的でも良く不規則的でも良い。
【0021】
次に、基材シート1としては、従来公知のものを用途に応じて適宜採用すれば良い。例えば、樹脂シート、金属箔、或いは、紙、不織布、織布、突板等の繊維質シート等、或いは、これら2種以上の積層シートや、樹脂含浸不織布等の様な複合シート等からなるシートを用いることができる。なお、樹脂シートは、透明(無着色、着色)、不透明、半透明等のシートを用いる。なお、基材シートの厚みは、用途に応じたものとすれば良く、例えば、5〜500μm程度、通常は20〜300μm程度である。但し、易接着面が大きくなると、セパレータ剥離時に基材シートが易接着面部分でセパレータ側に引っ張られるので、基材シートが破損したりしない様に、それに打ち勝つ強度が必要であるので、この点では厚い方が好ましい。従って、易接着面の広さ、形状、粘着剤層の接着力、さらに基材シート自身の腰、及びセパレータ側の腰及び強度等も勘案して、基材シートの厚みは決めると良い。
【0022】
次に、粘着剤層2であるが、粘着剤層の形成に用いる粘着剤としては、従来公知のものを用途に応じて適宜使用すれば良い。例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤等の粘着剤である。
【0023】
粘着剤層の形成方法は、特に限定されるものではないが、例えば、上述した如きセパレータ上に粘着剤層を、ロールコート等の公知の塗工法等によって一旦形成した後、これを基材シートと積層すれば、所望の粘着シートが得られる。或いは、基材シート上に直接、粘着剤層をロールコート等の公知の塗工法等によって形成しても良い。本発明の粘着シートでは、従来の粘着シートの様に離型面が凹凸面の特殊なセパレータを使用して、その凹凸で粘着剤層表面を賦形する必要がないので、粘着剤層は基材シート側に直接形成するこもできる。
【0024】
なお、粘着剤層の厚さは、用途、要求物性、凝集破壊でセパレータ側に持っていかれる分等を勘案して、適宜厚みとすれば良く、10μm〜200μm程度である。厚さが10μm未満であると、接着力(粘着力)が不十分となり、逆に200μm超過ではコスト高となる。
【0025】
ところで、本発明の粘着シートは、必要に応じて適宜、絵柄や凹凸等による模様、印字、コード、記号、画像等による可視或いは不可視情報を、公知の印刷・塗工手段等により施した構成としても良い。通常、これらは基材シートの片面(表面或いは裏面)、或いは両面に対して施される。絵柄等の模様を施したものは、建材用途にて化粧シートとして使用され得る。なお、模様とする絵柄には、全面着色等の全面ベタ模様もある。また、不可視情報とは、例えば、蛍光インキや赤外線吸収インキの印刷等による紫外線や赤外線照射にて判読可能な模様や文字等の情報等である。
【0026】
また、粘着シートには、必要に応じて、各種機能性を付与した構成としても良い。機能性としては、例えば、耐摩耗性、耐擦傷性、耐汚染性、防曇性、反射防止性、帯電防止性、断熱性、抗菌性、電磁波シールド性等である。これらは、その機能に応じて、樹脂シート等の基材シート中に、それに必要な物質を添加するか、基材シート上に該物質或いは該物質を添加したインキや塗液等の層を形成する等して実現する。例えば、耐摩耗性や耐擦傷性等は、シリカ等の耐摩剤を、樹脂シート中に添加するか、該耐摩剤を含む塗液で基材シート表面に塗工形成するる。
【0027】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に詳述する。
【0028】
〔実施例1〕
図1(B)の断面図の如き粘着シート10を次の様にして作製した。
先ず、図1(A)の断面図の如きセパレータ3を作製すべく、厚さ50μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの粘着剤層側とする面に、コロナ放電処理を施した後、ウレタン系易接着プライマーを塗工して、厚さ2μmの易接着層4aを全面に形成した。次いで、この易接着層4aの面上に、シリコーン樹脂系の離型インキをグラビア印刷して厚さ2μmの離型層5を所望のパターンで部分的に形成して、目的とするセパレータ3を得た。離型層形成部分は、粘着剤層の表面を凸部とする部分、すなわち凹部を発生させない部分である。このセパレータ3の離型面側には、図2(A)の平面図で示す様な、離型層5部分に該当する離型面bと、離型層5の非形成部分であり易接着層4aの露出部分に該当する易接着面aとなっている。易接着面a及び離型面bが成すパターンは、離型面bに該当する正方形(大きさ縦横各300μm)が多数、縦横に(500μmピッチで)正方格子配列し、該離型面bが、縦横に走る幅200μmの溝状の易接着面aで、分離独立して配列したパターンである。
【0029】
一方、基材シート1としては、厚さ50μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを基材シート本体1Aとして、その粘着剤層側とする面をコロナ放電処理を施した後、ウレタン系易接着プライマーを塗工して、厚さ2μmの易接着層4bを全面に形成したものを用意した。
【0030】
そして、前記したセパレータ3の離型層5形成側の面に対して、アクリル系粘着剤を塗布し、加熱乾燥して、厚さ30μmの粘着剤層2を形成して、セパレータと粘着剤層とが積層された積層シートとした。そして、この積層シートの粘着剤層面に、上記基材シートの易接着層4b面が接する向きで、これら両シートをラミネートして、所望の粘着シート10を得た。
【0031】
〔性能評価〕
上記粘着シートをガラス板の被着体に貼り付けるべく、セパレータを剥離したところ、セパレータの易接着面に接する粘着剤層部分が凝集破壊して、セパレータ側の一部が該セパレータ側に取られ、基材シート上の粘着剤層の該当部分には易接着面のパターンと同様なパターンで、縦横に走る溝状の凹部が生じた。そして、この粘着シートを、ガラス板に軽く押し付けて、仮貼りした。そして、貼り付け位置の修正調整の為の剥離、及び再度の仮貼りも容易であった。そして、位置を本決め後、強く押し付けて本貼りした。エア抜きは良好であった。以上、再剥離性、及び、エア抜き性は良好で、施工性が良好な粘着シートであった。
【0032】
【発明の効果】
本発明の粘着シートによれば、セパレータの離型面に逆凹凸形状を付与する事なく、粘着剤層表面を実質的に凹凸面とすることができ、その結果、低コストで、エア抜き性、再剥離性、施工性が得られる。
更に、セパレータの易接着面/離型面のパターンを、セパレータ基材に離型層が部分的に形成され、離型層形成部分が離型面、離型層非形成部分が易接着面とすることで付与した構成とすれば、確実に且つ容易に、低コストで、エア抜き性、再剥離性、施工性が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の粘着シートとそれに用いるセパレータを概念的に説明する断面図。
【図2】部分的な離型面と部分的な易接着面のパターン例を説明する平面図。
【図3】従来の粘着シートの一例を示す斜視図。
【符号の説明】
1 基材シート
1A 基材シート本体
2 粘着剤層
3 セパレータ
3A セパレータ基材
4a、4b 易接着層
5 離型層
6 凹部
10 粘着シート
30 粘着シート
31 基材シート
32 粘着剤層
32a 粘着剤凸状体
a 易接着面
b 離型面
Claims (2)
- 基材シート上に粘着剤層を有し、更に粘着剤層上にセパレータを有する粘着シートにおいて、
該セパレータの粘着剤層側の面は、離型面と共に部分的に易接着面も有し、セパレータ剥離時に、易接着面に接する粘着剤層が凝集破壊して該粘着剤層の一部がセパレータ側に残り、基材シート上の当該部分の粘着剤層面が凹部となる、粘着シート。 - 上記セパレータは、セパレータ基材に離型層が部分的に形成され、離型層形成部分が離型面、離型層非形成部分が易接着面となっている、請求項1記載の粘着シート。
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