JP4693317B2 - 凹凸転写シート、透明窓部を有する凹凸シートとその製造方法および凹凸面を有する加飾成形品の製造方法 - Google Patents

凹凸転写シート、透明窓部を有する凹凸シートとその製造方法および凹凸面を有する加飾成形品の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、携帯電話部品や電化製品部品、自動車内装部品などの表面を加飾するための材料である凹凸転写シート、透明窓部を有する凹凸シートとその製造方法および凹凸面を有する加飾成形品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
基体シートの片面全面に凹凸が形成され、その凹凸を埋めるように全面に熱可塑性樹脂層が形成され、熱可塑性樹脂層上に接着層が形成された凹凸転写シートの接着層を、三次元形状に変形可能な透光性シート上に接着させ、凹凸転写シートの基体シートを剥離して、熱可塑性樹脂層の表面にヘアライン状パターンなどの凹凸が形成された凹凸シートがある。前記凹凸は、(1)ヘアライン状パターンなどを機械的に形成したものや、(2)凹凸パターンを印刷層で形成したものがあった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記凹凸シートでは、次のような課題があった。
【0004】
(1)では、ヘアライン状パターンの凹凸が機械的に金属等の爪でひっかいて形成されているため、凹凸の不要な部分にまでヘアライン状パターンの凹凸が形成されてしまうなど、凹凸が形成される部分を制御することができない。
【0005】
(2)では、ヘアライン状パターンの凹凸が印刷層で形成されているため、前記機械的に爪でひっかいて形成したような風合を再現することができない。
【0006】
また、前記いずれの凹凸シートにおいても、基体シートから写し取られる凹凸は全て熱可塑性樹脂層によって形成されているため、凹凸シートを3次元形状に変形させる際の加熱により、凹凸シートの熱可塑性樹脂層が軟化してしまい、ヘアライン状パターンのシャープさが半減したり、表面の凹凸が全て消滅したりしてしまう。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明の凹凸転写シートは、片面全面に凹凸を有する基体シートの前記凹凸のうち少なくとも透明窓部形成予定部の凹凸を埋めるように透光性の熱可塑性樹脂層が形成されるとともに、透明窓部形成予定部以外の凹凸を埋めるように硬化性樹脂層が形成されたことを特徴とする。
【0008】
また、この発明の透明窓部を有する凹凸シートの製造方法は、前記凹凸転写シートの基体シートと反対面を三次元形状に変形可能な透光性シートと接着させ、凹凸転写シートの基体シートを剥離し、熱可塑性樹脂層と硬化性樹脂層の表面に凹凸が形成された凹凸シートを加熱により3次元形状に変形させるとともに、凹凸シートのうち熱可塑性樹脂層の凹凸を消滅させて平坦面の透明窓部を形成することを特徴とする。
【0009】
上記製造方法における凹凸シートを三次元形状に変形させる方式が、真空成形または圧空成形であり、変形前の凹凸シートの表面温度をT℃とし、熱可塑性樹脂層を構成する樹脂のTg(ガラス転移点)をTg1としたとき、Tg1≦T≦200℃の関係式を満たすものでもよい。
【0010】
上記製造方法において、三次元形状に変形可能な透光性シートが、射出成形樹脂と相溶性のある熱可塑性樹脂シートであって、凹凸転写シートを接着させる方法が熱ラミネート法であってもよい。
【0011】
この発明の透明窓部を有する凹凸シートは、三次元形状に変形した透光性シート上に、硬化性樹脂層の凹凸面と、熱可塑性樹脂層の平坦面とが並んで形成されていることを特徴とする。
【0012】
この発明の凹凸面を有する加飾成形品の製造方法は、前記透明窓部を有する凹凸シートを射出成形用金型に入れ、成形樹脂と一体化接着させることを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
まず、この発明の凹凸転写シートを説明する(図1参照)。
【0014】
この発明の凹凸転写シートは、片面全面に凹凸3を有する基体シート1の前記凹凸3のうち少なくとも透明窓部形成予定部2の凹凸3を埋めるように透光性の熱可塑性樹脂層4が形成されるとともに、透明窓部形成予定部以外の凹凸3を埋めるように硬化性樹脂層5が形成されたものである。
【0015】
凹凸3のパターンとしては、ヘアライン状パターンや梨子地状パターン、石目状パターン、砂目状パターンなどのエンボスパターンがある。凹凸3のパターンは基体シート1に部分的に形成されていてもよい。例えば、部分ヘアラインや部分マットなどのパターンがある。凹凸3の深さは、2〜10μmとすることができる。透光性を有する熱可塑性樹脂層4に形成された凹凸の消滅のしやすさと、硬化性樹脂層5に形成された凹凸によるヘアライン状パターンなどの認識のしやすさとのバランスをとるためには、凹凸3の深さとしては、3〜5μmに設定するのが好ましい。
【0016】
凹凸3の形成方法としては、サンドペーパー、金属製ブラシ、不織布などを基体シート1の表面に機械的に擦り付けるヘアライン加工法や、版胴表面に凹凸が形成された エンボスロールと圧胴ロールとの間に基体シート1を挟み込むエンボスロール法などがある。
【0017】
基体シート1と、熱可塑性樹脂層4および硬化性樹脂層5とが剥離しにくい場合は、凹凸3の表面に離型層を形成してもよい。離型層は、アミノアルキッド系樹脂やメラミン系樹脂などを用いて、オフセット印刷やグラビア印刷などで、厚み1〜5μmとなるように形成することができる。
【0018】
熱可塑性樹脂層4は、透明窓部形成予定部2の凹凸を埋めるように形成する。熱可塑性樹脂層4は、硬化性樹脂層5と見当合わせをして形成されていてもよいが、図1のように硬化性樹脂層5を覆うように形成してもよいし、また硬化性樹脂層5により覆われるように形成してもよい(図示せず)。熱可塑性樹脂層4は透光性を有する。透明窓部形成予定部2に形成されるからである。透光性には半透明や、染料で着色された透明なども含まれる。透光性は、全光線透過率(JIS−K7105(1981)5.5項「光光線透過率及び全光線反射率」)にて50%以上あればよい。熱可塑性樹脂層4の材質としては、アクリル系樹脂、ビニル系樹脂、エチレン酢酸ビニル系樹脂などがある。なかでも透光性、表面強度、剥離層を兼ね備えるアクリル系樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂層4の膜厚としては1〜5μmとすることができる。その理由は、基体シート1から剥離し凹凸3を転移するための必要最低限の膜厚だからである。透光性の熱可塑性樹脂層4を構成する樹脂のTg(ガラス転移点)としては、20〜110℃のものがある。その理由は3次元形状に変形させる際の加熱によって十分に軟化させるためである。20℃未満だとブロッキングなどの問題が発生しやすくなり、110℃を超えると3次元形状に変形させる際の加熱で凹凸3を十分に消滅させにくくなるからである。熱可塑性樹脂層4の形成方法としては、オフセット印刷法やグラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法の他、リップコート法やリバースコート法、ダイレクトコート法などのコート法や注型法などがある。
【0019】
透明窓部形成予定部2は、基体シート1の片面の一部の領域に位置する。透明窓部形成予定部2は、具体的には携帯電話の液晶表示用窓部や、家電製品の液晶表示用窓部、自動車用内装部品のヒーターコントロールパネルの窓部になるものである。
【0020】
硬化性樹脂層5は、透明窓部形成予定部以外の凹凸を埋めるように形成する。硬化性樹脂層5は、図1のように熱可塑性樹脂層4によって覆われるように形成してもよいし、熱可塑性樹脂層4を覆うように形成してもよい(図示せず)。硬化性樹脂層5の材質としては、熱硬化性樹脂や電離放射線硬化性樹脂層などがある。熱硬化性樹脂としては、アクリルポリオール系樹脂、ウレタン系樹脂、ビニル系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノキシ系樹脂、アミノ系樹脂、メラミン系樹脂などがある。これらの中でも特に好ましいのはアクリルポリオール系樹脂である。その理由はアクリル樹脂による柔軟性と、三次元架橋による形状保持性とを兼ね備えるからである。電離放射線硬化性樹脂としては、紫外線硬化性樹脂や電子線硬化性樹脂がある。紫外線硬化性樹脂としては、シアノアクリレート系樹脂やビニルエステル系樹脂などがある。電子線硬化性樹脂としてはアクリルウレタン系樹脂などがある。硬化性樹脂層5は、透明でも半透明でも不透明でもよい。硬化性樹脂層5の形成方法としては、オフセット印刷法やグラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法の他、リップコート法やリバースコート法、ダイレクトコート法などのコート法や注型法などがある。
【0021】
接着層7は、必要により形成される。接着層7は、熱可塑性樹脂層4および/または硬化性樹脂層5上に形成することができる。接着層7は透光性を有する。透明窓部9上にも形成されるからである。透光性には半透明や着色された透明も含まれる。接着層7の材質としては、アクリル系樹脂やビニル系樹脂、ウレタン系樹脂、塩素化ポリプロピレン系樹脂、エチレン酢酸ビニル系樹脂などがある。その膜厚は2〜5μmとすることができる。
【0022】
絵柄層6は、必要により形成される。絵柄層6は、文字や図形、記号、模様、色彩などを表現するための層である。絵柄層6の形成方法としては、オフセット印刷法やグラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法の他、リップコート法やリバースコート法、ダイレクトコート法などのコート法や注型法などがある。絵柄層6を熱可塑性樹脂層4と重なる部分に形成すると、文字などが透明窓部9に形成されることになる。図1〜4においては、絵柄層6の端部と硬化性樹脂層5の端部とを一致させることによって、透明窓部の輪郭を形成している。硬化性樹脂層5が透光性である場合は、絵柄層6の文字などがヘアラインなどの凹凸3の下に透けて見えるようになる。
【0023】
次に、前記凹凸転写シートを用いた透明窓部を有する凹凸シートの製造方法を説明する。
【0024】
この発明の透明窓部を有する凹凸シートの製造方法は、前記した凹凸転写シートの基体シートと反対面を三次元形状に変形可能な透光性シート8と接着させ、凹凸転写シートの基体シート1を剥離し(図2参照)、熱可塑性樹脂層4と硬化性樹脂層5の表面に凹凸が形成された凹凸シートを加熱により3次元形状に変形させるとともに、凹凸シートのうち熱可塑性樹脂層4の凹凸を消滅させて平坦面の透明窓部9を形成するものである。
【0025】
まず、前記した凹凸転写シートの基体シート1と反対面を三次元形状に変形可能な透光性シート8と接着させ、凹凸転写シートの基体シート1を剥離し、熱可塑性樹脂層4と硬化性樹脂層5の表面に凹凸が形成された凹凸シートを得る(図2、3参照)。
【0026】
具体的には、いわゆる転写法で行なうことができる。転写法とは、凹凸転写シートの基体シート1の反対面を三次元形状に変形可能な透光性シート8に接するように載置し、上から加熱されたシリコンロールなどの柔軟性のある物品で押えつけた後、凹凸転写シートの基体シート1を剥離し、熱可塑性樹脂層4と硬化性樹脂層5を、三次元形状に変形可能な透光性シート8に転移させるのである。熱可塑性樹脂層4と硬化性樹脂層5の表面は、基体シート1に形成されていた凹凸3が写し取られる。シリコンロールの加熱温度は、一例として、180〜250℃であり、圧力は10〜300KPaとすることができる。なお、前記転写法において、凹凸転写シートの基体シート1の反対面を、三次元形状に変形可能な透光性シート8上に接着させる方法としては、前記シリコンロールなどで行なう方法以外に、熱ラミネート法もある。熱ラミネート法とは、加熱された二本のロール間に2枚以上のシートを重ねて通過させることにより各シートを熱圧着で接着する方法である。熱ラミネート法によると、上記転写法よりも強固に接着でき、剥がれにくくなる。
【0027】
三次元形状に変形可能な透光性シート8の材質としては、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、ポリプロピレン系樹脂などを用いるとよい。この発明の透明窓部9を有する凹凸シートを、射出成形用金型に入れ、成形樹脂と一体化接着させて凹凸面を有する加飾成形品を製造する場合、透光性シート8としては、射出成形に用いる成形樹脂と相溶性のある材質を採用することができる。透明窓部9を有する凹凸シートと成形樹脂との接着強度が向上するからである。
【0028】
つぎに、前記凹凸シートを加熱により3次元形状に変形させる(図4参照)。
【0029】
「3次元形状」の具体例としては、携帯電話部品のように大きな曲率半径の立上がりのある皿状や、自動車内装部品のような、なだらかな曲面状のものがある。
【0030】
変形させる方法の具体例としては、真空成形法や圧空成形法、射出成形同時絵付け法がある。
【0031】
真空成形法の一例としては、つぎのような方法がある。まず、三次元形状に変形させることが可能なシートの周囲を真空成形金型に対してクランプ材により固定し、真空成形金型とシートとの間のキャビティに空気が入らないように密閉する。ヒーターなどの熱源10によりシートを一定時間加熱して軟化させる。真空成形金型とシートとの間の空気を吸引し、真空成形金型のキャビティにシートを密着させて所望の三次元形状に変形させる。この場合の加熱温度は140〜200℃がある。熱可塑性樹脂層4の材質や凹凸の深さのことを考えると特に好ましいのは、155〜170℃である。
【0032】
圧空成形法の一例としては、つぎのような方法がある。まず、三次元形状に変形させることが可能なシートの周囲をクランプ材により固定する。ヒーターなどの熱源10によりシートを一定時間加熱して軟化させる。圧空成形金型をシート上に被せ、この圧空成形金型とシートとの間の空間に空気を押し込んでシートに圧力をかけて、圧空成形用母型のキャビティ面に密着させて所望の三次元形状に変形させる。この場合の加熱温度は80〜140℃がある。真空成形法よりも加熱温度が低いのは、大気圧を利用できるので高温にしなくても必要な圧力が得られるためである。熱可塑性樹脂層4の材質や凹凸の深さのことを考えると特に好ましいのは、80〜100℃である。
【0033】
射出成形同時絵付け法の一例としては、つぎのような方法がある。三次元形状に変形させることが可能なシートを射出成形用金型に入れ、ヒーター等の熱源10によりシートを加熱し、型閉め後、射出成形用金型のキャビティに成形樹脂を射出して、成形品と凹凸シートとを一体化接着させる方法のことをいう。凹凸シートの加熱は、成形樹脂を射出する前に行なう。この場合の加熱温度は、成形樹脂の材質によるが、アクリル系樹脂であれば200〜240℃がある。ポリカーボネート系樹脂であれば、250〜290℃である。
【0034】
上記各種方法では、真空成形金型や圧空成形金型、射出成形金型において、シートを密着させるキャビティ面を平滑にすることができる。平滑の程度としては、表面光沢度Gs(60°)=150以上の鏡面である。各金型のキャビティ面を平滑にしておいても、凹凸シートの表面の必要な凹凸3まで消滅することはない。つまり、硬化性樹脂層5は、加熱されても塑性変形しないので凹凸3は保持される。なお、透光性の熱可塑性樹脂層4の表面は、加熱による凹凸3の消滅に加えて、さらに平滑になる。
【0035】
以上のようにすることによって、三次元形状に変形した透光性シート8上に、硬化性樹脂層5の凹凸面と、透光性の熱可塑性樹脂層4の平坦面とが並んで形成される。
【0036】
なお、硬化性樹脂層5の材質として電離放射線硬化性樹脂を用いた場合は、凹凸シートを三次元形状に変形させる前に電離放射線を照射して硬化性樹脂層5を硬化させてもよいし、凹凸シートを三次元形状に変形させた後に電離放射線を照射して硬化性樹脂層5を硬化させてもよい。
【0037】
前記、凹凸シートを三次元形状に変形させる方式が真空成形または圧空成形であり、変形前の凹凸シートの表面温度をT℃とし、透光性の熱可塑性樹脂層4を構成する樹脂のTg(ガラス転移点)をTg1としたとき、Tg1≦T≦200℃の関係式を満たすものでもよい。
【0038】
この条件を満たすと次の点で効果的である。Tg1≦Tとすることにより、熱可塑性樹脂層に形成された凹凸3が確実に軟化し凹凸3を消滅させることができるとともに、T≦200℃とすることにより、ドローダウンが激しくなって、硬化性樹脂層5の凹凸3が変形したり、絵柄層6の文字や図形が歪んだり、透明窓部9を有する凹凸シートが破れたりすることを防止することができる。
【0039】
図4の透明窓部9を有する凹凸シートは、三次元形状に変形した透光性シート8上に、接着層7と絵柄層6を介して、硬化性樹脂層5の凹凸面と、透光性の熱可塑性樹脂層4の平坦面(透明窓部9)とが並んで形成されているものである。
【0040】
【実施例】
以下のようにして、光透過文字部とヘアラインを有する自動車内装用ハーフ蒸着プレートを作成した。
【0041】
片面に深さ3〜5μmでヘアライン形状の凹凸を有する厚み25μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートからなる基体シートを用意した。この基体シートの透明窓部形成予定部に、透光性を有するアクリル系樹脂を用いてグラビア印刷法により厚み2μmの熱可塑性樹脂層を形成した。熱可塑性樹脂層のTgは93℃であった。熱可塑性樹脂層の存在しない部分を覆うようにウレタン系樹脂を用いてグラビア印刷法により熱硬化性樹脂層を厚み2μmで形成した。次に、ウレタン系樹脂を用いて蒸着前アンカー層をグラビア印刷により厚み3μmで印刷した。次に、真空蒸着法により全光線透過率30%のアルミニウム蒸着膜を形成し、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂からなる透光性の接着層をグラビア印刷により5μmで形成し凹凸転写シートを得た。
【0042】
以上のように構成された凹凸転写シートの接着層側が接着するように、熱ラミネート法により厚み0.3mmのポリカーボネート樹脂からなる透光性シートにラミネートし、基体シートを剥離し、凹凸シートとした。ポリカーボネート樹脂からなるシートは、三次元形状に変形可能な透光性シートである。
【0043】
次に、この凹凸シートを、表面温度130℃、2026KPaにて圧空成形を行い三次元に変形させて透明窓部を有する凹凸シートを得た。このとき、凹凸シートを3次元形状に変形させる際の加熱により、凹凸シートのうち透光性の熱可塑性樹脂層の表面の凹凸は消滅して平坦面の透明窓部が形成され、硬化性樹脂層の表面の凹凸は消滅しなかった。
【0044】
次に、この透明窓部を有する凹凸シートを、トムソン刃により所望の形状に打ち抜いた後、射出成形用金型に入れ、283℃で溶融したポリカーボネート樹脂からなる成形樹脂と一体化接着し成形品を得た。
【0045】
得られた成形品は、バックライトにより透明窓部が発光し、それ以外の部分はヘアラインを有する意匠性に優れた成形品であった。
【0046】
【発明の効果】
この発明では以上のように構成したので、つぎのような作用効果がある。
【0047】
この発明の透明窓部を有する凹凸シートは、熱可塑性樹脂層と硬化性樹脂層とを用いているため、硬化性樹脂層には、機械的に形成したヘアラインの風合を有する凹凸が形成されるだけでなく、熱可塑性樹脂の軟化により任意の箇所に平坦面の透明窓部を形成することができる。
【0048】
また、凹凸は硬化性樹脂で構成されているため、凹凸シートを3次元形状に変形させる際の加熱により、ヘアラインのシャープさが半減したり、表面の凹凸が全て消滅したりすることもないため、意匠性の優れた凹凸が形成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の凹凸転写シートの一例を示す断面図である。
【図2】 この発明の透明窓部を有する凹凸シートの製造方法の一工程を示す断面図である。
【図3】 この発明の透明窓部を有する凹凸シートの製造方法の一工程を示す断面図である。
【図4】 この発明の透明窓部を有する凹凸シートの製造方法の一工程を示す断面図である。
【符号の説明】
1 基体シート
2 透明窓部形成予定部
3 凹凸
4 熱可塑性樹脂層
5 硬化性樹脂層
6 絵柄層
7 接着層
8 透光性シート
9 透明窓部
10 熱源

Claims (6)

  1. 片面全面に凹凸を有する基体シートの前記凹凸のうち少なくとも透明窓部形成予定部の凹凸を埋めるように透光性の熱可塑性樹脂層が形成されるとともに、透明窓部形成予定部以外の凹凸を埋めるように硬化性樹脂層が形成されたことを特徴とする凹凸転写シート。
  2. 請求項1に記載の凹凸転写シートの基体シートと反対面を三次元形状に変形可能な透光性シートと接着させ、凹凸転写シートの基体シートを剥離し、熱可塑性樹脂層と硬化性樹脂層の表面に凹凸が形成された凹凸シートを加熱により3次元形状に変形させるとともに、凹凸シートのうち熱可塑性樹脂層の凹凸を消滅させて平坦面の透明窓部を形成することを特徴とする透明窓部を有する凹凸シートの製造方法。
  3. 凹凸シートを三次元形状に変形させる方式が、真空成形または圧空成形であり、変形前の凹凸シートの表面温度をT℃とし、熱可塑性樹脂層を構成する樹脂のTg(ガラス転移点)をTg1としたとき、Tg1≦T≦200℃の関係式を満たす請求項2に記載の透明窓部を有する凹凸シートの製造方法。
  4. 三次元形状に変形可能な透光性シートが、射出成形樹脂と相溶性のある熱可塑性樹脂シートであって、凹凸転写シートを接着させる方法が熱ラミネート法である請求項2または3に記載の透明窓部を有する凹凸シートの製造方法。
  5. 三次元形状に変形した透光性シート上に、硬化性樹脂層の凹凸面と、熱可塑性樹脂層の平坦面とが並んで形成されていることを特徴とする透明窓部を有する凹凸シート。
  6. 請求項5に記載の透明窓部を有する凹凸シートを射出成形用金型に入れ、成形樹脂と一体化接着させることを特徴とする透明窓部を有する凹凸面を有する加飾成形品の製造方法。
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