JP2004249520A - 多層発泡シートの製造装置、多層発泡シートおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】多層発泡シートの製造装置において、該製造装置が、各層を形成するための樹脂組成物を溶融混練する押出機から供給される溶融樹脂組成物同士を多層状に合流させるフィードブロックと、該フィードブロックと接続して多層発泡シートを成形するマニホールドダイとを組み合わせた多層発泡シートの製造装置であって、該マニホールドダイにおけるフィードブロックの樹脂流路と接続したマニホールドの入口厚み方向断面の幅寸法をW、厚さ寸法をTとするとき、該断面が、W/Tが1以上3以下の四角形状であることを特徴とする多層発泡シートの製造装置。
【選択図】 図6
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は多層発泡シートの製造装置、該装置を用いた多層発泡シートの製造方法および該製造装置を用いて得られた多層発泡シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
発泡シート、とりわけプロピレン系樹脂からなる発泡シートはその軽量性や断熱性等を活かして様々な用途に使用されており、さらに発泡シートにその使用目的に応じた樹脂層を積層した多層発泡シートとすることにより、機械物性、耐熱性、ガスバリア性等の機能を付与し、包装、通函、仕切り板、食品容器、文具、建材、自動車内装材等幅広い分野で使用されている。
【0003】
通常多層発泡シートは発泡層を含まない多層シートと同様の方法で製造され、その製造方法としては例えばシートの各層を予めフィルム状に成形したものを貼合して製造する方法や、共押出し法などがあるが、コストメリットの観点から共押出し法が一般的である。
【0004】
発泡層を含まない多層シートを共押出し法により製造する際に使用する装置として、フィードブロックとシングルマニホールドダイとを組み合わせた装置であって、フィードブロック出口幅寸法Wと同出口の厚さ寸法Tとが20<W/T<30である装置が開示されている(特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平8−192452号公報
【0006】
しかしながら上記のような装置を用いて発泡層を含む多層発泡シートを製造した場合、フィードブロック出口幅に対応したカーテン不良が多層発泡シート中央部に発生するという問題があった。カーテン不良とはシートが波状となる発泡特有の現象である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このようなことから、カーテン不良のない外観美麗な多層発泡シートを製造可能な多層発泡シートの製造装置を開発すべく検討の結果、本発明に至った。
【0008】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、多層発泡シートの製造装置において、該製造装置が、各層を形成するための樹脂組成物を溶融混練する押出機から供給される溶融樹脂組成物同士を多層状に合流させるフィードブロックと、該フィードブロックと接続して多層発泡シートを成形するマニホールドダイとを組み合わせた多層発泡シートの製造装置であって、該マニホールドダイにおけるフィードブロックの樹脂流路と接続したマニホールドの入口厚み方向断面の幅寸法をW、厚さ寸法をTとするとき、該断面が、W/Tが1以上3以下の四角形状である多層発泡シートの製造装置、該製造装置を用いた多層発泡シートの製造方法ならびに該製造装置を用いて得られた多層発泡シートを提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面を用いて説明する。
本発明の多層発泡シートの製造装置は、各層を形成するための樹脂組成物を溶融混練する押出機を備えてなる(押出機は図示せず)。製造する多層発泡シートの各層が全て異なる樹脂組成物からなる場合には、層の数と同数の押出機を備えることが必要であるが、同一樹脂組成物からなる層を2層以上含む多層発泡シートを製造する場合には、多層発泡シートの層数と押出機の台数とは必ずしも一致している必要はなく、例えば非発泡層Aと非発泡層Cとが同じ樹脂組成物から構成される場合、すなわち非発泡層A/発泡層B/非発泡層Aのような2種3層の多層発泡シートを製造する場合には、非発泡層Aを形成するための樹脂組成物を溶融混練する押出機は1台であってもよいし、2台であってもよい。
【0010】
かかる押出機としては、単軸や多軸の通常の押出し成形に用いられる押出機を使用することができ、複数の押出機を組み合わせたタンデム押出機も使用可能である。発泡層を形成するための樹脂組成物を溶融混練するために用いる押出機は2軸押出機であることが好ましく、スクリュー1回転あたりの押出量が多くて所定の押出量を低回転で得ることができ、スクリュー回転によるせん断発熱の少ない構造の押出機であることがより好ましく、スクリュー本体に冷却媒体を循環させて温調可能な押出機であることがさらに好ましい。
【0011】
本発明の多層発泡シートの製造装置は図1に示すように、フィードブロック及び該フィードブロックと接続したマニホールドダイを有する。
【0012】
図1のシングルマニホールドダイ1において、フィードブロックの樹脂流路7と接続したマニホールド3入口の厚み方向断面の幅寸法をW、厚さ寸法をTとするとき、本発明の多層発泡シートの製造装置において、W/Tは1以上3以下、好ましくは1以上2以下、さらに好ましくは1以上1.5以下であり、その断面形状は四角形状である。W/Tが1に近いほど、カーテン不良のない、外観美麗な多層発泡シートを製造することができる。
本発明におけるフィードブロックの樹脂流路7と接続したマニホールド3の入口厚み方向断面とは、ダイ1中の樹脂の流れと垂直方向の断面である。また四角形状とは、必ずしも4つの角が全て90°であることを意味するものではなく、通常4つの角は半径1〜3mmの円弧状である。断面形状が図6(b)に示すような、4隅がカーブを描くような形状である場合には、WおよびTは向かい合う辺の最短距離で定義される。最も好ましい断面形状は図6(a)に示すように、W=Tであって、4つの角が半径2mmの円弧状の四角形状であり、これにより極めて外観美麗な多層発泡シートを製造することができる。
【0013】
本発明の多層発泡シートの製造装置は、フィードブロックの樹脂流路7と接続したマニホールド3の入口厚み方向断面形状以外は特に限定されるものではなく、通常共押出し法にて多層シートを製造する際に用いられる装置である。
例えばフィードブロックの樹脂流路7は、図3に示すようにマニホールド3の入口形状と同じ形状であってもよく、図4や図5に示すようにマニホールド3の入口幅より幅広形状であってもよい。
フィードブロックの樹脂流路7の幅がマニホールド3の入口幅Wより幅広形状の場合には、図4に示すように、フィードブロックの樹脂流路7の幅をマニホールド3の入口幅と同じになるように徐々に狭くし、この形状でWの1〜5倍の距離を維持した後マニホールド3の入口と接続した構造であることが好ましく、形状を維持する距離が2〜4倍であることがより好ましい。フィードブロックの樹脂流路7の形状を図4に示すような形状とすることにより、押出量が多い場合であってもマニホールド3入口部での圧力損失による発熱を抑えることができるため、より外観美麗な多層発泡シートを製造することができる。
【0014】
本発明の多層発泡シートの製造装置は以上説明したような構造を基本構造とするが、目的とする多層発泡シートの層構成に応じて、図2に示すようなマルチマニホールドダイ8を有する装置であってもよい。とりわけ各層を構成する樹脂組成物の溶融物性や各層の流量比が大きく異なる場合には、マルチマニホールドダイを用いることが好ましい。
【0015】
本発明の例として、図1に示す装置を用いて、非発泡層C/発泡層D/非発泡層Eの構成の多層発泡シートを製造する方法について説明する。図1は、マニホールドダイとしてシングルマニホールドダイを用いた多層発泡シート製造装置の例である。この場合多層発泡シートの各層を構成する樹脂組成物は、溶融状態で全てフィードブロック内にて多層状に合流される。
【0016】
3機の押出機から供給される溶融樹脂組成物は、フィードブロック2内において、非発泡層Cを形成するための溶融樹脂組成物Cがマニホールド4を、発泡層Dを形成するための溶融発泡性樹脂組成物Dがマニホールド5を、非発泡層Eを形成するための溶融樹脂組成物Eがマニホールド6を通ってフィードブロックの樹脂流路7にて多層状に合流された後、該フィードブロックの樹脂流路7を介してシングルマニホールドダイ1へと導かれ、シングルマニホールドダイ1中のマニホールド3を通り、幅Wdにまで広げられてシングルマニホールドダイ1より吐出されて多層発泡シート状物となる。該多層発泡シート状物は冷却されて多層発泡シートとなり、引取機(図示せず)によって引き取られた後、必要に応じて所定のサイズに切断される。
【0017】
次に図2に示す装置を用いて、非発泡層F/非発泡層C/発泡層D/非発泡層E/非発泡層Gの構成の多層発泡シートを製造する方法について説明する。図2は、マニホールドダイとしてマルチマニホールドダイを用いた多層発泡シート製造装置の例である。この場合多層発泡シート中の少なくとも1層の発泡層を構成する発泡性樹脂組成物は、他の層を構成する樹脂組成物と溶融状態でフィードブロック内にて多層状に合流される。
【0018】
非発泡層C/発泡層D/非発泡層Eは、図1を用いた先の説明と同様にしてマルチマニホールドダイ8中のマニホールド3へと導かれ、幅Wdへと広げられる。そしてマルチマニホールドダイ8の樹脂流路11において、押出機から供給されて幅Wdまで広げられた非発泡層Dを形成するための溶融樹脂組成物Dおよび非発泡層Eを形成するための溶融樹脂組成物Eと多層状に合流された後、マルチマニホールドダイ8より吐出され、多層発泡シート状物となる。該多層発泡シート状物は冷却されて多層発泡シートとなり、引取機(図示せず)によって引き取られた後、必要に応じて所定のサイズに切断される。
【0019】
本発明の多層発泡シートを構成する樹脂は特に限定されるものではないが、エチレン系樹脂、プロピレン系樹脂などに代表されるオレフィン系樹脂が、リサイクル可能である点から好ましく用いられる。特に剛性や耐熱性が求められる用途に本発明の多層発泡シートを用いる場合には、少なくとも発泡層がプロピレン系樹脂を50重量%以上含む樹脂組成物から構成されることが好ましく、全層がプロピレン系樹脂を50重量%以上含む樹脂組成物から構成されることがさらに好ましい。
プロピレン系樹脂としては、ホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、ブロックポリプロピレン等、公知のプロピレン系樹脂を用いることができ、分岐のない無架橋の直鎖状プロピレン系樹脂を用いることが好ましい。
【0020】
本発明の多層発泡シートにおいて発泡層を構成する樹脂としては、気泡が成長する際に破泡しにくい、溶融強度の高いプロピレン系樹脂を用いることが好ましい。溶融強度の高いプロピレン系樹脂とは、190℃におけるメルトテンション(MT(190))と230℃におけるメルトフローレート(MFR(230))とが下式Aを満足するプロピレン重合体である。
MT(190)≧7.52×MFR(230)(−0.576) [式A]
【0021】
式Aを満たすプロピレン重合体としては、例えば特開平11−228629に開示された、超高分子量成分を導入したプロピレン重合体(T)、すなわち、極限粘度が5dl/g以上の結晶性プロピレン重合体部分(A)を製造する工程および極限粘度が3dl/g未満の結晶性プロピレン重合体部分(B)を製造する工程を含む重合方法により得られ、極限粘度が3dl/g未満であり、結晶性プロピレン重合体部分(A)の割合が0.05重量%以上35重量%未満であるプロピレン重合体(T)が挙げられる。
【0022】
本発明の多層発泡シートにおいて発泡層を形成するために用いられる発泡剤としては、通常の発泡成形において使用される物理発泡剤や化学発泡剤を単独、もしくは数種類を併せて使用することができる。
使用される物理発泡剤としては、炭酸ガス、窒素ガス、空気、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ジクロルエタン、ジクロロジフルオロメタン、ジクロロモノフルオロメタン、トリクロロモノフルオロメタンなどを例示することができ、好ましくは窒素ガス、炭酸ガス、空気等の安全で環境にやさしい無機ガスを用いることである。とりわけプロピレン系樹脂への溶解性が高い炭酸ガスを発泡剤として用いることにより、発泡倍率の高い発泡層を有する多層発泡シートを製造することができるため、炭酸ガスの利用が好ましい。炭酸ガスは7.4MPa以上、31℃以上で超臨界状態となり、樹脂への拡散、溶解性に優れた状態になるため、このような条件下で使用することがより好ましい。
【0023】
物理発泡剤を使用する場合には、押出機中で溶融混練している溶融樹脂組成物に物理発泡剤を圧入して溶融発泡性樹脂組成物とし、これをさらに溶融混練することが必要である。圧入する物理発泡剤の量は、通常発泡層を形成する樹脂100重量部に対し0.1〜10重量部である。
発泡剤として物理発泡剤を使用する場合には、気泡核剤を添加することが好ましい。気泡核剤としては、タルク、シリカ、珪藻土、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、ケイ酸カルシウム、ゼオライト、マイカ、クレー、ワラストナイト、ハイドロタルサイト、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、PMMA等のポリマービーズ、合成アルミノシリケートや下記の化学発泡剤等を使用することができ、その添加量は通常発泡層を形成する樹脂100重量部に対し0.1〜10重量部である。
【0024】
化学発泡剤としては、重曹、重曹とクエン酸、クエン酸ナトリウム、ステアリン酸などの有機酸との混合物、アゾジカルボン酸アミド、トリレンジイソシアネート、4,4’ジフェニルメタンジイソシアネートなどのイソシアネート化合物、アゾビスブチロニトリル、バリウム・アゾジカルボキシレート、ジアゾアミノベンゼン、トリヒドラジノトリアジンなどのアゾ、ジアゾ化合物、ベンゼン・スルホニル・ヒドラジド、P,P’−オキシビス(ベンゼンスルホニル・ヒドラジド)、トルエン・スルホニル・ヒドラジドなどのヒドラジン誘導体、N,N’−ジニトロソ・ペンタメチレン・テトラミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジニトロソ・テレフタルアミドなどのニトロソ化合物、P−トルエン・スルホニル・セミカルバジド、4,4’オキシビスベンゼンスルホニルセミカルバジドなどのセミカルバジド化合物の他アジ化合物やトリアゾール化合物など公知の化合物を使用することができ、特に、重曹、クエン酸、アゾジカルボン酸アミドが好ましく用いられる。
【0025】
化学発泡剤を用いる場合、通常発泡層を形成する樹脂100重量部に対し0.1〜20重量部添加して多層発泡シートを製造する。
また発泡剤として化学発泡剤を使用する場合には、その分解温度・速度を調整するために酸化亜鉛、ステアリン酸亜鉛、尿素などの発泡助剤を添加してもよい。
【0026】
本発明の多層発泡シートは、各層を形成する樹脂組成物に酸化防止剤、安定剤、帯電防止剤、充填剤等の各種添加剤を適宜添加して成形したものであってもよい。
【0027】
本発明の多層発泡シートは、少なくとも1層発泡層を含んでおればよく、例えば全てが異なる発泡層から構成されていてもよく、1層のみが発泡層であり、他の層が全て非発泡層であってもよい。また該多層発泡シートの厚みや発泡倍率は特に限定されるものではないが、通常多層発泡シート総厚みが1〜7mmであり、発泡倍率は1.3〜7倍である。
本発明の多層発泡シートは、上記したように層構成自体は特に限定されないが、芯層が発泡層であり、両外層に非発泡層を有しており、多層発泡シート総厚み中の発泡層厚みの割合が90〜99%であることが好ましい。本発明の製造装置を用いて製造した上記のような構成の多層発泡シートは、きわめて外観美麗な多層発泡シートである。
【0028】
本発明の多層発泡シートは、使用目的に応じて層構成を適宜選択することにより、該多層発泡シート単独でも包装、通函、仕切り板、食品容器、文具、建材、自動車内装材等に使用することができるものであるが、本発明の多層発泡シートの片面または両面にさらにシートやフィルム(薄板状物)を貼合したり、帯電防止剤溶液やガスバリア性樹脂組成物溶液等の溶液を塗布してコーティング層を設けて複合多層発泡シートとして使用してもよい。多層発泡シートの表面にさらに層を設ける場合には、該多層発泡シートの表面にコロナ処理、オゾン処理等の表面処理を行うことが好ましい。
貼合する薄板状物としては用途に応じて公知のものを使用することができ、例えば、アルミニウムや鉄等の金属、熱可塑性樹脂、紙、合成紙、麻、ガラスウール等からなる薄板状物や、不織布、織布等を挙げることができる。
【0029】
本発明の多層発泡シートや複合多層発泡シートを食品包装材として用いる場合、該シートの少なくとも片面が、10〜100μm厚みのプロピレン系樹脂層、またはガスバリア性樹脂層であることが好ましい。ガスバリア性樹脂としては、EVOH(エチレン・ビニルアルコール共重合体)、PVDC(ポリ塩化ビニリデン)、PVA(ポリビニルアルコール)、PA(ポリアミド)など公知のガスバリア性樹脂が用いられる。
【0030】
また本発明の多層発泡シートや複合多層発泡シートを自動車内装材として用いる場合には、該シートの少なくとも片面に不織布、織布、麻、ガラスウール等を貼合した複合多層発泡シートとして用いることが好ましい。
本発明の多層発泡シートや複合多層発泡シートを箱の仕切り板等として使用する場合には、内容物保護のため、発泡倍率の高い発泡層を少なくとも片面に有するシートであることが好ましい。
【0031】
多層発泡シートに薄板状物を貼合する方法は特に限定されるものではなく、例えば、▲1▼接着剤を多層発泡シート表面および/または薄板状物表面に塗布して貼合する方法、▲2▼接着性樹脂フィルムがラミネートされた薄板状物を用い、該接着性樹脂フィルム面を加熱溶融して多層発泡シートと貼合する方法、▲3▼ヒーターや熱風などによって多層発泡シート表面および/または薄板状物表面表面を溶融させて貼合する方法、▲4▼溶融樹脂を薄板状物と多層発泡シートとの間に押出しラミネートして貼合する方法等が挙げられる。
【0032】
本発明の多層発泡シートおよび複合多層発泡シートに真空成形等の熱成形を行い所望の形状に成形した成形品として使用することもできる。
熱成形法としては、公知の方法を用いることができ、例えば真空成形や熱罫線加工が挙げられる。本発明の多層発泡シートはカーテン不良がなく厚みが均一であるため、熱成形性に優れている。
【0033】
【発明の効果】
本発明の装置を用いて多層発泡シートを製造することにより、カーテン不良のない外観美麗な多層発泡シートを製造することができる。
【0034】
【実施例】
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はその主旨を損なわない限り、これらの例に何ら限定されるものではない。
【0035】
(1)重合体の極限粘度
ウベローデ型粘度計を用いて135℃テトラリン中で測定を行った。なお、結晶性プロピレン重合体部分(B)の極限粘度は結晶性プロピレン重合体部分(A)および全体のプロピレン重合体(T)の極限粘度より特開平11−228629に記載の計算式より求めた。
【0036】
(2)分子量分布
G.P.C.(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)により、下記条件で測定した。なお分子量分布は重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で評価した。
機種:150CV型(ミリポアウォーターズ社製)
カラム:Shodex M/S 80
測定温度:145℃
溶媒:オルトジクロロベンゼン
サンプル濃度:5mg/8mL
検量線は標準ポリスチレンを用いて作成した。この条件で測定された標準ポリスチレン(NBS706:Mw/Mn=2.0)のMw/Mnは1.9〜2.0であった。
【0037】
(3)MFR
JIS K7210に準拠し、温度230℃、荷重2.16kgfで測定した。単位はg/10分。
【0038】
(4)メルトテンション(MT)
東洋精機社製メルトテンションテスターMT−501D3型を用いて、サンプル量5g、加熱温度190℃、加熱時間5分間、押出速度5.7mm/分で、長さ8mm、直径2mmのオリフィスからストランドを押し出し、該ストランドを直径50mmのローラーを用いて巻取速度100rpmで巻き取ったときの張力を、メルトテンション(MT)として測定した(単位=g)。
【0039】
(5)発泡倍率
JIS K7112に準拠し、水中置換法による測定方法を使用し多層発泡シート全体の密度ρ(全)を求め、下式により多層発泡シート全体の発泡倍率を計算した。発泡層の密度ρ(発)は、多層発泡シート全体の密度ρ(全)と厚みt(全)、各非発泡層の厚み(t(非))および密度(ρ(非))を用いて下式より計算し、発泡層のみの発泡倍率を求めた。なお、使用したプロピレン系樹脂およびエチレン系樹脂の密度はρ0(0.9g/cm3)とし、各層の厚みは通常の光学顕微鏡を用いて測定した。単位はρ(g/cm3)、t(cm)。
・全体の発泡倍率=ρ0/ρ(全)
・発泡層の密度ρ(発)=(t(全)×ρ(全)−t1(非)×ρ1(非)−t2(非)×ρ2(非)))/(t(全)−(t1(非)+t2(非)))
・発泡層の発泡倍率=ρ0/ρ(発)
【0040】
[参考例1](プロピレン系樹脂PP1の製造)
特開平11−228629に開示された方法により、プロピレン重合体粉末を製造した。該プロピレン重合体粉末は、極限粘度7.7dl/gの結晶性プロピレン重合体部分Aと、極限粘度1.2dl/gの結晶性プロピレン重合体部分Bを有するものであった。なお、AとBの重量比は11:89であり、プロピレン重合体全体の極限粘度は1.9dl/gであった。
上記プロピレン重合体粉末100重量部に対して、ステアリン酸カルシウム0.1重量部、商品名イルガノックス1010(チバガイギー社製)0.05重量部、商品名スミライザーBHT(住友化学工業社製)0.2重量部を加えて混合し、230℃で溶融混練し、メルトフローレートMFRが12g/10分、分子量分布が8.0のペレット(プロピレン系樹脂PP1)を得た。このペレットのメルトテンションMTを測定したところ、4.7gであり、[式A]の右辺7.52×MFR(230)(−0.576)は1.80となり、[式A]を満足するものであった。
【0041】
[実施例1](押出発泡試験)
下記に示す方法にて非発泡層C/発泡層D/非発泡層Cの構成の2種3層の多層発泡シートを作製した。
多層発泡シートの製造装置としては、発泡層用押出機として先端にギアポンプを設けた104mmΦ同方向回転2軸押出機(L/D=32、Lはスクリュー有効長さ、Dはスクリュー径)を、非発泡層用押出機として90mmφ単軸押出機(L/D=32)を用い、これら押出機を図1に示す装置のフィードブロック2に接続して使用した。
シングルマニホールドダイ1およびフィードブロック2内の樹脂流路7の形状は図4に示すような形状であり、マニホールド3入口厚み方向断面の幅寸法Wは30mm、厚さ寸法Tは30mmであり、該断面形状は図6(a)に示すような、4つの角が半径2mmの円弧を描いた四角形状であった。またマニホールド直径は30mmであった。
発泡層Dを形成するための発泡性樹脂組成物Dとしては、参考例1で得られたプロピレン系樹脂PP1(MFR=12g/10分)を50重量部、プロピレン系樹脂PP2(住友化学工業(株)製、ノーブレンAW191A(MFR=11g/10分))を40重量部、直鎖状低密度ポリエチレンPE1(住友化学工業(株)製、スミカセンE、FV401(MFR=4g/10分))を10重量部の配合物に対して、気泡核剤(日本ベーリンガーインゲルハイム(株)製、ハイドロセロールCF40E)を0.5PHRブレンドしたものを用い、非発泡層Cを形成するための樹脂組成物Cとしてはプロピレン系樹脂PP2を用いた。
発泡性樹脂組成物Dを定量フィーダーを経て発泡層用押出機に投入して溶融混錬を行い、溶融が進んだ位置(L/D=20)で液化炭酸ガス0.58PHRをダイヤフラム式定量ポンプを用いて高圧で注入して十分溶融混練し溶融発泡性樹脂組成物Dとした後、180℃に冷却・調整し、吐出量190Kg/hとなるようにギアポンプを用いて調整しながらフィードブロック2内のマニホールド5へ導入した。
一方、プロピレン系樹脂PP2を定量フィーダーを経て非発泡層用押出機に投入して溶融混錬を行い、200℃に調整し、吐出量20Kg/hとなるようにフィードブロック2内のマニホールド4およびマニホールド6に導入した。溶融発泡性樹脂組成物Dおよび溶融樹脂組成物Cを樹脂流路7にて幅210mmで多層状に合流した後、該樹脂流路7を介してシングルマニホールドダイ1へと導き、シングルマニホールドダイ1中のマニホールド3を通し、幅Wd=1600mmにまで広げてシングルマニホールドダイ1より吐出した多層発泡シート状物を、ダイ吐出口直後に設置され、約80℃に温調された多数の210φロールに密着させて冷却し、ニップロールを備えた引取機で引取り、非発泡層C/発泡層D/非発泡層Cの構成の多層発泡シートを得た。
得られた多層発泡シートは、該多層発泡シート全体での発泡倍率3.9倍、厚み5.0mmであり、発泡層Dの発泡倍率は4.2倍、非発泡層Cは厚み各60μmであった。該多層発泡シートは、カーテン不良のない、外観美麗な多層発泡シートであった。
【0042】
[比較例1]
マニホールド3入口厚み方向断面の幅寸法Wが210mm(W/T=7)である製造装置を用いた以外は、実施例1と同様にして、非発泡層C/発泡層D/非発泡層Cの構成の多層発泡シートを得た。得られた多層発泡シートは、マニホールド3入口厚み方向断面の幅寸法Wに対応した幅のカーテン不良がシート中央部に観察され、きわめて外観不良な多層発泡シートであった。
【0043】
[比較例2]
マニホールド3入口厚み方向断面の幅寸法Wが100mm(W/T=3.3)である製造装置を用いた以外は、実施例1と同様にして、非発泡層C/発泡層D/非発泡層Cの構成の多層発泡シートを得た。得られた多層発泡シートは、マニホールド3入口厚み方向断面の幅寸法Wに対応した幅のカーテン不良がシート中央部に観察された。カーテン不良の程度は比較例1の多層発泡シートよりは良好であったが製品としては使用できる程度ではなく、外観不良な多層発泡シートであった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1例を示す多層発泡シートの製造装置の図面
【図2】本発明の1例を示す多層発泡シートの製造装置の図面
【図3】図1または図2のA−A断面の1例を示す図面
【図4】図1または図2のA−A断面の1例を示す図面
【図5】図1または図2のA−A断面の1例を示す図面
【図6】(a)マニホールド3の入口厚み方向断面の1例を示す図
(b)マニホールド3の入口厚み方向断面の1例を示す図
【符号の説明】
1:シングルマニホールドダイ
2:フィードブロック
3:マニホールド
4:マニホールド
5:マニホールド
6:マニホールド
7:フィードブロックの樹脂流路
8:マルチマニホールドダイ
9:マニホールド
10:マニホールド
11:樹脂流路
Claims (3)
- 多層発泡シートの製造装置において、該製造装置が、各層を形成するための樹脂組成物を溶融混練する押出機から供給される溶融樹脂組成物同士を多層状に合流させるフィードブロックと、該フィードブロックと接続して多層発泡シートを成形するマニホールドダイとを組み合わせた多層発泡シートの製造装置であって、該マニホールドダイにおけるフィードブロックの樹脂流路と接続したマニホールドの入口厚み方向断面の幅寸法をW、厚さ寸法をTとするとき、該断面が、W/Tが1以上3以下の四角形状であることを特徴とする多層発泡シートの製造装置。
- 多層発泡シートの製造方法において、請求項1に記載の多層発泡シートの製造装置を用いて、各層を形成するための樹脂組成物を溶融混練する押出機から供給される溶融樹脂組成物同士をフィードブロックにおいて多層状に合流させた後、該フィードブロックと接続して多層発泡シートを成形するマニホールドダイより押出し成形することを特徴とする多層発泡シートの製造方法。
- 請求項1に記載の多層発泡シートの製造装置を用いて、各層を形成するための樹脂組成物を溶融混練する押出機から供給される溶融樹脂組成物同士をフィードブロックにおいて多層状に合流させた後、該フィードブロックと接続して多層発泡シートを成形するマニホールドダイより押出し成形して得られたことを特徴とする多層発泡シート。
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