JP2004247700A - 光モジュール - Google Patents
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Abstract
【課題】光モジュール内の基板の実装面積を増やす。
【解決手段】この発明の光モジュール10は、基板11、発光モジュール14、受光モジュール19、及び筐体を備えている。基板11は、表面および裏面を有する。発光モジュール14および受光モジュール19は、基板11に実装される。筐体は、基板11を収容する。この筐体は、上筐体12と下筐体13とを有する。上筐体12は、基板11の裏面側に配置され裏面と接触する。下筐体13は、基板11の表面側に配置され表面と接触する。基板11は、上筐体12および下筐体13によって挟持される。
【選択図】 図5
【解決手段】この発明の光モジュール10は、基板11、発光モジュール14、受光モジュール19、及び筐体を備えている。基板11は、表面および裏面を有する。発光モジュール14および受光モジュール19は、基板11に実装される。筐体は、基板11を収容する。この筐体は、上筐体12と下筐体13とを有する。上筐体12は、基板11の裏面側に配置され裏面と接触する。下筐体13は、基板11の表面側に配置され表面と接触する。基板11は、上筐体12および下筐体13によって挟持される。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、光モジュールに関する。
【0002】
【従来の技術】
光モジュールは、光通信システムにおいて光送信機または光受信機として使用される。送信機と受信機の機能を兼ね備えた送受信モジュールもある(例えば特許文献1参照)。図29は、従来の光モジュール300の構造を示す概略断面図である。光モジュール300は、基板301、上筐体302、および下筐体303を有する。基板301の表面には、発光モジュールおよび受光モジュールの少なくとも一方が実装される。基板301は、上筐体302および下筐体303の一方にだけネジ止めされる。図29では、基板301が上筐体302にネジ止めされている。基板301の裏面は上筐体302の内面と接触する。上筐体302と下筐体303とは、互いの側壁の上面同士を突き合わせてネジ止めされる。図29では、基板301と上筐体302との接触部が符号305で、上筐体302と下筐体303との接触部が符号310で示されている。
【0003】
【特許文献1】
米国特許出願公開第2001/0038498号明細書
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の光モジュールは、組立に比較的多数のネジを使用する。基板にネジ用の貫通孔を開ける必要があるので、それに応じて基板の実装面積が減少する。このため、高密度の実装が困難である。
【0005】
そこで、この発明は、光モジュール内の基板の実装面積を増やすことを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明の光モジュールは、基板、発光モジュールおよび受光モジュールの少なくともいずれか、及び筐体を備えている。基板は、表面および裏面を有する。発光モジュールおよび受光モジュールの少なくともいずれかは、基板に実装される。筐体は、基板を収容する。この筐体は、上筐体と下筐体とを有する。上筐体は、基板の裏面側に配置され裏面と接触する。下筐体は、基板の表面側に配置され表面と接触する。基板は、上筐体および下筐体によって挟持される。
【0007】
基板が上下の筐体によって挟持されるので、基板を固定するために必要なネジの本数を抑えられる。このため、基板上に必要なネジ用の貫通孔も少なくて済む。したがって、基板の実装面積を大きく取れる。また、必要なネジの本数が少ないので、この発明の光モジュールは、高い組立作業性を有している。また、上下の筐体によって基板が固定されるので、基板上において発光モジュールまたは受光モジュールのリードピンから遠い箇所をネジ止めする必要はない。これにより、リードピンに熱応力が集中しないようにできる。さらに、上下の筐体が基板に接触しているため、基板表面に実装された部品の逃げを下筐体に設ける場合、下筐体の基板接触面からの高さだけを考慮すればよい。このため、公差の設計が簡単である。
【0008】
上筐体及び下筐体は、基板に沿って延びる底壁部と、底壁部の周縁部に設けられた側壁部とを含んでいてもよい。基板の周縁部が、上筐体の側壁部と下筐体の側壁部との間で挟持されていてもよい。これにより、基板上に部品が実装されている場合であっても、部品と干渉することなく筐体内に基板を収容することができる。
【0009】
上筐体の側壁部及び下筐体の側壁部の少なくともいずれかの上面には段差部が設けられていてもよい。基板は、段差部内に配置されていてもよい。段差内に基板を嵌めるだけで基板を位置決めできるので、組立が容易である。
【0010】
基板の表面には複数の部品が実装されていてもよい。下筐体の底壁部上には、複数の部屋を形成するように仕切壁が設けられていてもよい。複数の部品が複数の部屋に別れて収容されていてもよい。部屋によって部品が隔てられるので、部品から発する電磁波が他の部品に与える影響を抑えられる。
【0011】
基板の表面には電気コネクタが実装されていてもよい。上筐体の底壁部上にはボスが設けられていてもよい。ボスは、基板の電気コネクタを実装する部位における裏面に突き当たっていてもよい。ボスが電気コネクタを実装する部位における基板の裏面を支持するので、この電気コネクタを実装する部位における裏面に電子部品を実装した場合、電気コネクタの挿抜の際に、この電子部品に過剰なストレスが加わることが防止される。
【0012】
上筐体と下筐体とは直接接触していなくてもよい。上筐体と下筐体との隙間にガスケットが設けられていてもよい。このガスケットは、ノイズの漏出を防止する。
【0013】
基板は、上筐体と下筐体との間で弾性部材を介して挟持されていてもよい。基板は弾性部材を介して挟持されているため、完全にリジットに固定する場合と違って、基板は熱変形による僅かな動きが許容されることで、筐体との線膨張率の相違による基板と各部材との接続部へのストレスを軽減することができる。
【0014】
基板の表面には電気コネクタが実装されていてもよい。弾性部材は、下筐体と基板の表面との間に設けられていてもよい。これにより、電気コネクタの抜去時に基板にかかる力は、弾性部材を介して下筐体が受け止める。
【0015】
弾性部材はシリコーン系導電材料から構成されていてもよい。あるいは、金属材料から構成されていてもよい。あるいは、上筐体及び下筐体の少なくともいずれかに設けられたバネ板片から構成されていてもよい。
【0016】
仕切壁の上面と基板の表面との間には弾性部材が設けられていてもよい。これにより、筐体による基板の保持がより確実になる。このとき、基板は弾性部材を介して仕切壁に支持されるため、基板は熱変形による僅かな動きが許容されることで、筐体との線膨張率の相違による基板と各部材との接続部へのストレスを軽減することができる。
【0017】
上筐体と下筐体とは、ネジ止めされて連結されていてもよい。ネジ止めにより、基板を挟持した状態で、上筐体と下筐体とが確実に連結される。
【0018】
上筐体と下筐体とは、クリップにより挟持されて連結されていてもよい。クリップにより挟持されることにより、基板を挟持した状態で、上筐体と下筐体とが確実に連結される。この場合、筐体にネジ止めのための加工を施す必要がなく、またネジ止めする場合と比べて組立工数が低減されため、組立作業性が高い。また、基板にネジ止め用の逃がし部を設ける必要がなく、基板の実装面積を大きく取れる。
【0019】
上筐体と下筐体のクリップにより挟持される部位には、クリップが嵌まり込む凹部が設けられていてもよい。クリップが凹部に嵌まり込むことで、筐体外形からクリップがはみ出すことがない。従って、当該光モジュールを搭載面上に搭載したときの安定性が高くなる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図示の便宜上、図面の寸法比率は説明のものと必ずしも一致しない。
【0021】
まず、図1を参照しながら、以下に説明する実施形態の概要を説明する。図1は、実施形態の光モジュール1の構造を示す概略断面図である。従来技術を示す図29と図1を比較すると明らかなように、光モジュール1は、従来と異なる基板支持方法を採用している。この実施形態では、基板11は、上筐体12と下筐体13によって挟持される。図1では、基板11と上筐体12との接触部が符号15で、基板11と下筐体13との接触部が符号16で示されている。
【0022】
本実施形態は、基板が上筐体12および下筐体13の双方に接触する点が従来技術と異なっている。基板11が上筐体12および下筐体13によって挟持されるので、光モジュール1の組立に必要なネジの本数は少なくて済む。
【0023】
これに対し、従来の光モジュール300では、基板301が上筐体302か下筐体303の何れか一方のみによって支持される。このため、基板301を上筐体302に固定するために、多数のネジが必要になる。このことは、いくつかの問題点を生じさせる。例えば、基板にネジ用の貫通孔を多数開ける必要がある。この結果、基板の実装面積が小さくなる。これは、高密度の実装を困難にする。また、多数のネジが組立に必要なので、組立効率が良くない。
【0024】
ただし、この実施形態では、ネジをまったく使わないわけではない。基板11は2本のネジによって上筐体12に固定される。これは、組立時の仮止めのためである。図2は、基板11の概略平面図である。基板11の表面には、LD(レーザダイオード)モジュール14が実装される。LDモジュール14は、バタフライ型である。LDモジュール14のリードピン14a、14bおよび14cは、基板11にハンダ付けされる。ネジを通すための貫通孔11aは、LDモジュール14の付近に設けられる。これは、リードピン14a〜14cへの熱応力の集中を防ぐためである。これについては、後述する。
【0025】
(第1実施形態)
以下では、図3〜図5を参照しながら、第1実施形態に係る光モジュール10の構造を詳細に説明する。図3は、上筐体12側から見下ろした光モジュール10の分解斜視図である。図4は、下筐体13側から見上げた光モジュール10の分解斜視図である。図5は、光モジュール10の断面図である。
【0026】
光モジュール10は、光通信用の送受信機である。光モジュール10は、基板11、上筐体12および下筐体13を有する。基板11の表面には、LDモジュール14およびPinAMP19、ならびに他の部品(制御回路、電気コネクタ21など)が実装される。LDモジュール14は発光モジュールであり、PinAMP19は受光モジュールである。LDモジュール14はレーザダイオードを内蔵する。PinAMP19はフォトダイオードを内蔵する。LDモジュール14は、光出力用の光ファイバ24を有する。PinAMP19は、光入力用の光ファイバ29を有する。LDモジュール14には、板金ナット17およびEOキャップ18が装着される。PinAMP19には、OEキャップ20が装着される。
【0027】
基板11には、2個の貫通孔11aが設けられている。光モジュール10の組立時には、基板11の仮止めのために、ネジ51が貫通孔11aに通される。基板11には、LDモジュール14を差し込むための切欠き11bも設けられている。孔11aは、切欠き11bの付近に配置されている。
【0028】
図4に示されるように、上筐体12は、ほぼ方形の底壁部12aと、底壁部12aの周縁からほぼ垂直に延びる側壁部12bを有する。基板11を支持するために、側壁部12bの上面には、環状の段差部が形成されている。光モジュール10の組立の際は、この段差部内に基板11を嵌めることで、基板11が位置決めされる。この段差部のため、側壁部12bの内側部分12cの上面は、外側部分の上面よりも低くなっている。図5に示されるように、内側部分12cの上面が基板11の裏面に接触する。この内側部分を上支持部と呼ぶことにする。上支持部12cは、側壁部12bの内面から内側に突出している。上支持部12cは、細長い延長部12c1を含んでいる。延長部12c1は、側壁部12bの前部の中央から底壁部12aの中央に向けて延在する。
【0029】
底壁部12aには、4個の貫通孔12dが設けられている。各孔12dには、ネジ52が通される。ネジ52は、LDモジュール14のネジ孔14eおよび板金ナット17のネジ孔17aにねじ込まれる。これにより、LDモジュール14が上筐体12に固定される。上支持部12cには、2個のネジ孔12eが設けられている。ネジ孔12eの一つは、延長部12c1に設けられている。これらのネジ孔12eは、上支持部12c上に基板11が載置されると、基板11の貫通孔11aの直下に位置する。ネジ51は、孔11aを通ってネジ孔12eにねじ込まれる。これにより、基板11が上筐体12に仮止めされる。上筐体12の側壁部12bには、6個のネジ孔12fがさらに設けられている。これらのネジ孔12fは、側壁部12bのうち上支持部12cの外側に設けられる。したがって、ネジ孔12fは、基板仮止め用のネジ孔12eの外側に位置する。ネジ孔12fは、下筐体13の貫通孔13fに対応する位置に設けられている。
【0030】
図3に示されるように、下筐体13は、ほぼ方形の底壁部13aと、底壁部13aからほぼ垂直に延びる側壁部13bを有する。底壁部13aの寸法は、上筐体12の底壁部12aの寸法とほぼ同一である。側壁部13bの内側部分13cの上面は、外側部分の上面よりも高い。図5に示されるように、内側部分13cの上面が基板11の表面に接触する。この内側部分を下支持部と呼ぶことにする。
【0031】
底壁部13a上には、底壁部13aからほぼ垂直に延びる仕切壁13dが設けられている。仕切壁13dは、底壁部13a上に複数の部屋13eを形成する。基板11上に実装される部品は、これらの部屋13eに別れて収容される。部品同士が仕切壁13dによって隔てられるので、部品から発する電磁波が他の部品に与える影響を抑えられる。
【0032】
側壁部13bには、6個の貫通孔13fが設けられている。孔13fは、側壁部13bにおいて下支持部13cの外側に設けられる。光モジュール10の組立時には、下筐体13を上筐体12に固定するため、ネジ53が孔13fに通される。ネジ53は、孔13fを通して上筐体12のネジ孔12fにねじ込まれる。これにより、下筐体13が上筐体12に固定される。なお、図5では、ネジ53、ネジ孔12f、および貫通孔13fが省略されている。
【0033】
以下では、図6〜図13を参照しながら、光モジュール10の組立手順を説明する。図6〜図13は、光モジュール10の組立手順を示す斜視図である。
【0034】
まず、図6に示されるように、LDモジュール14に板金ナット17を組み付ける。LDモジュール14の両側部には、4個のフランジ14dが設けられている。ネジ孔14eは、フランジ14dに設けられている。フランジ14dは、LDモジュール14の左右のリードピン14a、14bよりも下方に位置する。板金ナット17は、LDモジュール14の後方から、リードピン14a、14bとフランジ14dとの間に差し込まれる。板金ナット17は、LDモジュールのネジ孔14eと板金ナットのネジ孔17aとが重なるように位置合わせされる。板金ナット17は、フランジ14dによって支持される。リードピン14a〜14cは、板金ナット17の上方に位置する。
【0035】
板金ナット17を組み付けたLDモジュール14は、図7に示されるように、基板11に組み付けられる。LDモジュール14と板金ナット17は、切欠き11bに差し込まれる。基板11のうち切欠き11bの周辺部分11cは、リードピン14a〜14cと板金ナット17との間に差し込まれる。
【0036】
この後、LDモジュール14を組み付けた基板11を、図8に示されるように、上筐体12に静かに載せる。このとき、基板11の表面(実装面)を上向きにする。基板11の裏面の周縁部が、上支持部12cの上面に当たる。この結果、基板11は、上支持部12cによって支持される。底壁部12a上には、突き当てボス12gが設けられている。突き当てボス12gは、基板11の電気コネクタ21を実装する部位における裏面に当たるように配置されている。ボス12の利点については、後述する。基板11は、2本のネジ51によって上筐体12に仮止めされる。
【0037】
次に、上筐体12を反転し、図9に示されるように、上筐体12の貫通孔12dにネジ52を挿入する。上筐体12の反転は、LDモジュールのリードピン14a〜14cを基板11上のパッドに位置合わせした状態で行う。リードピン14a〜14cは、後でこのパッドにハンダ付けされる。ネジ52は、上筐体12の貫通孔12dを通って、板金ナットのネジ孔17aおよびLDモジュールのネジ孔14eにねじ込まれる。これにより、LDモジュール14および板金ナット17が上筐体12に固定される。
【0038】
次いで、図10に示されるように、LDモジュール14およびPinAMP19を基板11上にハンダ付けする。LDモジュール14のリードピン14a〜14cは、基板11上のパッドにハンダ付けされる。PinAMP19のハンダ付けの際は、OEキャップ20を上筐体12に載せた後、PinAMP19を基板11上に置く。その後、PinAMP19のリードピンを基板11上のパッドにハンダ付けする。こうして、LDモジュール14およびPinAMP19が基板11上に実装される(図11)。
【0039】
この後、図12に示されるように、EOキャップ18および下筐体13を上筐体12に取り付ける。まず、EOキャップ18の先端の切欠き18aにLDモジュール14の光ファイバ24を通す。光ファイバ24を傷つけないように、ゆっくりと切欠き18aに差し込む。次いで、下筐体13を基板11の表面にかぶせるように載せ、下筐体13を上筐体12にネジ止めする。ネジ53が下筐体13の貫通孔13fに挿入され、上筐体12のネジ孔12fにねじ込まれる。基板11の表面の周縁部は、下支持部13cの上面に当たる。EOキャップ18は、上筐体12と下筐体13によって挟持される。
【0040】
こうして、上筐体12と下筐体13が組み付けられ、光モジュール10が完成する(図13)。図5に示されるように、基板11の周縁部は、上筐体12の上支持部12cと下筐体13の下支持部13cとの間に挟持される。下筐体の側壁部13bと上筐体の側壁部12bは離間している。上筐体12の側壁部12bの外側エッジは、上方にわずかに突出している。下筐体13の側壁部13bの外側エッジは、下方にわずかに窪んでいる。上筐体12と下筐体13を組み付けると、これらの外側エッジがかみ合う。ただし、両者は接触しない。このような構造により、光モジュール10の内部からのノイズの漏出を抑えられる。
【0041】
以下では、この実施形態の利点を説明する。この実施形態には、主に五つの利点がある。
【0042】
第1に、光モジュール10は、高い実装密度および配線密度を有する。これは、基板11が上筐体12と下筐体13によって挟持されるからである。この挟持により、基板11をいずれかの筐体に固定するためのネジの全部または一部が不要になる。このため、光モジュール10は、比較的少ない本数のネジで組み立てられる。必要なネジが少ないので、基板11においてネジを通すための貫通孔の数を減らせる。このため、基板11上の実装面積を大きく取れる。基板11の貫通孔の数が減れば、それに応じて基板11の内層配線の自由度も高まる。したがって、実装密度および配線密度を高められる。
【0043】
第2に、光モジュール10は、温度変化に強い。これも、基板11が上筐体12と下筐体13によって挟持されるからである。温度が変化すると、基板材料と筐体材料の線膨張係数の違いから、基板に熱応力が加わる。熱応力の分布は、基板と筐体との接合箇所の位置に依存する。従来の光モジュールでは、基板が筐体にネジのみによって固定される(図29)。基板と筐体は、ネジ止め箇所においてのみ接合される。基板をネジのみによって固定しようとすれば、LDモジュールのリードピンに近い箇所だけでなく、リードピンから遠い箇所もネジ止めしなければならない。しかし、リードピンから遠い箇所で基板と筐体を接合すると、リードピンに大きな熱応力が加わることになる。これは、リードピンの断線の原因となる。これに対し、この実施形態では、基板11が上筐体12と下筐体13で挟持されるので、LDモジュール14のリードピンから遠い箇所をネジ止めする必要はない。したがって、リードピンに加わる熱応力を抑えられる。
【0044】
第3に、光モジュール10は、組立作業性に優れている。これは、組立に必要なネジの本数が少ないからである。
【0045】
第4に、光モジュール10は、その公差の設計が簡単である。これは、基板11が上筐体12および下筐体13の双方と接触しているからである。基板の表面上の実装部品と下筐体とが干渉しないように、実装部品の逃げを下筐体に設ける場合を考える。従来の光モジュールでは、上筐体と下筐体が接触し、なおかつ下筐体が基板と接触しない(図29)。このため、実装部品の逃げを設計する際には、両筐体の加工公差と基板の厚み公差を考慮しなければならない。したがって、公差の設計は煩雑である。これに対し、この実施形態では、上下筐体がともに基板11と接触している。下筐体13は、基板11の表面上に置かれ、実装部品を覆うことになる。このため、設計の際に考慮しなくてはならない公差は、下筐体13の加工公差だけである。したがって、公差の設計が簡単である。また、より厳密な設計が可能となる。したがって、実装部品の筐体内での放熱パスをより厳密に設計できる。
【0046】
第5に、基板11の電気コネクタ21を実装する部位における裏面に実装された電子部品に過剰なストレスが加わることを防止できる。これは、コネクタを実装する部位における裏面に突き当たるボス12gが、上筐体12に設けられているからである。電気コネクタ21は、光モジュール10の電気的なインターフェイスである。この実施形態では、高密度の実装のため、電気コネクタ21を実装する部位における裏面にも電子部品を実装している。基板上の電気コネクタ21には、対をなす外部コネクタ(図示しない)に抜き差しされる。この抜き差しにより、電気コネクタ21を実装する部位における裏面にはストレスが加わる。ボス12gは、このストレスを緩和する。
【0047】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、上記した第1実施形態で説明した要素と同一の要素には同一の符号を附し、重複する説明を省略する。
【0048】
図14は、第2実施形態の光モジュールの構成を示す斜視図である。また、図15及び図16は、第2実施形態の光モジュールの構成を示す分解斜視図である。
【0049】
図14〜図16に示すように、光モジュール60は、LDモジュール14、PinAMP19、半導体回路素子23、電気コネクタ21、基板11、筐体(上筐体12、下筐体13)等を備えている。
【0050】
LDモジュール14は、図15に示すように、バタフライパッケージ型のモジュールであり、上記した第1実施形態の光モジュール10が備えるLDモジュールと同様である。
【0051】
PinAMP19は、図15に示すように、表面実装型のモジュールであり、上記した第1実施形態の光モジュール10が備えるPinAMPと同様である。
【0052】
半導体回路素子23は、BGA(Ball grid array)を有する送受信一体型の半導体回路素子23(たとえば、LSI)であり、LDモジュール14及びPinAMP19に電気的に接続されている。この半導体回路素子23は、LDモジュール14を駆動制御する信号を生成して出力すると共に、PinAMP19が受けた信号を整形及び増幅して出力する。
【0053】
電気コネクタ21は、BGAと複数のリードピン(あるいはリードピンと嵌合するレセプタクル)からなる雄コネクタ(あるいは雌コネクタ)であり、上記した第1実施形態の光モジュール10が備える電気コネクタと同様である。この電気コネクタ21は、低速の複数の信号を筐体内部の基板11に導入したり導出したりするため、BGAにより端子の高密度化が図られている。この電気コネクタ21は、光モジュール60が実装される図示しない実装基板上の雌コネクタ(あるいは雄コネクタ)と連結され、これにより両者の電気的な接続が図られる。
【0054】
基板11は、外形が略長方形状をなし、表面及び裏面にプリント配線が施されている。この基板11は、上記した第1実施形態の光モジュール10が備える基板と同様である。
【0055】
筐体は、基板11を収容して保持するためのものであり、アルミや銅などの金属から形成されている。ただし、熱伝導率、コスト等を考慮すると、アルミが好適である。この筐体は、上筐体12と下筐体13を有している。上筐体12は、図15に示すように、基板11に沿って延びる底壁部12aと、底壁部12aの周縁部に設けられた側壁部12bとを含んでいる。
【0056】
下筐体13は、図16に示すように、基板11に沿って延びる底壁部13aと、底壁部13aの周縁部に設けられた側壁部13bとを含んでいる。底壁部13aの電気コネクタ21に対応する部分は、貫通されて開口部13gが形成されている。また、図16及び図17に示すように、側壁部13bの内側上縁部は切り欠かれて、段差部が設けられている。この段差部に基板11が嵌り込むことで、基板11を位置決め可能となっている。そして、この段差部上に、弾性部材62が設けられている。
【0057】
弾性部材62は、上筐体12と下筐体13との間で基板11を挟持するとき、基板11の熱変形による僅かな動きは許容した状態で、基板11の動きを実質的に防止して確実に保持するように機能する。この弾性部材62は、EMI(Electro−Magnetic Interference)やグランドの強化を考慮すると、導電性を有する材料から形成されると好ましい。よって、弾性部材62はシリコーン系導電材料、あるいは金属材料から形成されていると好ましい。金属材料としては、リン青銅、ベリリウム銅、チタン銅などのバネ用銅合金の他、ステンレスなどのバネ用鋼材が好ましい。なお、シリコーン系導電材料で弾性部材62を形成すると、それ自身が有する粘着力により下筐体13の側壁部13bに接着可能であるため、取り扱いが容易となって好ましい。
【0058】
下筐体13の底壁部13a上には、仕切壁13dが突設されている。この仕切壁13dは、アルミ等の金属から形成されている。これにより、LDモジュール14と、PinAMP19及び半導体回路素子23が遮蔽される。なお、仕切壁13dは、熱伝導率を考慮すると、筐体13と同じ金属から一体形成されていると好適である。そして、図16及び図17に示すように、この仕切壁13d上にも、側壁部13bの段差部上に設けられたのと同様に、弾性部材62が設けられている。これにより、基板11の保持がより確実になっている。
【0059】
EOキャップ18は、図14〜16に示すように、LDモジュール14を被覆するように設けられた円筒状の部材であり、アルミや銅などの金属から形成されている。ただし、熱伝導率等を考慮すると、アルミが好適である。このEOキャップ18は、その軸方向に沿って分割され、上部キャップ片と下部キャップ片とを有している。
【0060】
ここで、上部キャップ片は、上筐体12の前方の側壁部12bに一体に設けられている。これに対し、下部キャップ片は、筐体とは別個に設けられている。この下部キャップ片は、上筐体12と下筐体13との間で挟持される基端部を含む。このように、基端部を介して下部キャップ片を上筐体12と下筐体13との間で挟持し筐体と接続することが可能であるため、接着剤等を塗布したり、溶接を施したり、ネジ止めしたりする作業が不要となり、生産効率の向上が図られる。
【0061】
また、下部キャップ片は、その先端部においてバネ性を有するラッチ部64を有している。このラッチ部64は、下部キャップ片の先端部において片持ち支持されており、ラッチ部64の先端は切り欠かれて切欠き18aが設けられている。この切欠き18aは、LDモジュール14の光ファイバ24を通すために設けられている。ラッチ部64は、上部キャップ片の先端部を包み込むように係止し、上部キャップ片と下部キャップ片とを固定する。このように、ラッチ部64を介して上部キャップ片と下部キャップ片とを固定することが可能であるため、接着剤等を塗布したり、溶接を施したり、ネジ止めしたりする作業が不要となり、生産効率の向上が図られる。
【0062】
また、上筐体12の前方の側壁部12bには、PinAMP19を位置決めする位置決め部66が一体に設けられている。この位置決め部66は、光ファイバ29を案内する案内溝を有する。また、下筐体13の前方の側壁部13bには、位置決め部66により位置決めされたPinAMP19を押える押え部68が一体に設けられている。
【0063】
上記した構成のLDモジュール14及びPinAMP19が、半田付け等されて基板11上に実装されている。また、半導体回路素子23が基板11上に実装されている。更に、電気コネクタ21が基板11上に実装されている。そして、これらの部材を実装した基板11が、図18に示すように、組立て途上に上筐体12からハンドリングで脱落しないように、ネジ51で仮固定している。このネジ51が、線膨張の違いによる各部材との接続部へのストレスを軽減する効果を阻害しないように、ネジ51にはクリープ対策のバネ座金を用いず、クリープを利用して基板11の平面方向の動きを阻害しないようにする。また、万一動きを阻害した場合に影響が最も大きいLDモジュール14のごく近傍に仮固定ネジ51を設けている。そして、LDモジュール14は、EOキャップ18に収容され、PinAMP19は、位置決め部66により位置決めされている。また、LDモジュール14は、上筐体12に対してネジ52及び板金ナット17により固定されている(図16参照)。なお、図15及び図16に示すように、基板11には六つの切欠部11dが設けられている。従って、図18及び図19に示すように、上筐体12と下筐体13とをネジ53によりネジ止めするときに、基板11が邪魔にならず、切欠部11dがネジ53の逃がし部として機能している。
【0064】
更に、図19に示すように、下部キャップ片がラッチ部64を介して上部キャップ片に組み付けられ固定されている。そして、上筐体12に対して下筐体13が6つのネジ53を用いて組み付けられている。このとき、下部キャップ片は、基端部を介して上筐体12と下筐体13との間に挟持される。また、押え部68によりPinAMP19が押えられ固定される。また、基板11が下筐体13の側壁部13bに設けられた段差部に填まり込んで位置決めされた状態で、弾性部材62を介して上筐体12の側壁部12bと下筐体13の側壁部13bとの間で挟持される。
【0065】
このようにして、図14に示すような、本実施形態に係る光モジュール60が構成される。図20は、図14に示すXX−XX線で切ったときの、光モジュール60の断面図である。図20に示すように、基板11は、下筐体13の側壁部13bに設けられた段差部に填まり込んで位置決めされた状態で、弾性部材62を介して上筐体12の側壁部12bと下筐体13の側壁部13bとの間で挟持されているのが分かる。
【0066】
以下では、この実施形態の主な利点を説明する。この実施形態には、上記した第1実施形態で説明した五つの利点の他に、更に三つの利点がある。
【0067】
第1に、基板11は弾性部材62を介して挟持されているため、完全にリジットに固定する場合と違って、基板11は熱変形による僅かな動きが許容される。これにより、筐体12,13との線膨張率の相違によって、基板11とLDモジュール14などの各部材との接続部へのストレスが発生するおそれを軽減することができる。
【0068】
第2に、図20に示すように、外部コネクタから電気コネクタ21を抜去するときに働くB方向の力は、弾性部材62を介して下筐体13の側壁部13bが受け止める。これにより、電気コネクタ21を抜去するときに基板11に働く衝撃や歪みが低減される。このような事情から、弾性部材62の弾性は、電気コネクタ21の外部コネクタからの抜去時にかかるB方向の力に負けない程度に調整されると好ましい。なお、電気コネクタ21を外部コネクタと接続するときに働くA方向の力は、上筐体12の側壁部12b及びボス12gが受け止める。
【0069】
第3に、基板11は弾性部材62を介して下筐体13の仕切壁13dにも支持されているため、基板11は熱変形による僅かな動きが許容された状態で、より確実に支持される。
【0070】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。なお、上記した第1及び第2実施形態で説明した要素と同一の要素には同一の符号を附し、重複する説明を省略する。
【0071】
上記した第1及び第2実施形態の光モジュール10,60では、上筐体12と下筐体13とは6本のネジ53によりネジ止めされて連結されていた。これに対し、第3実施形態の光モジュール80では、上筐体12と下筐体13とは、ネジ止めの代わりにクリップ82により挟持されて連結されている。以下に、第2実施形態の光モジュール60を基礎として、第3実施形態の光モジュール80について説明する。
【0072】
図21は、第3実施形態の光モジュール80を示す斜視図である。図22は、クリップ82を取り外した状態の光モジュール80を示す斜視図である。
【0073】
図21に示すように、この光モジュール80では、上筐体12と下筐体13とが一対のクリップ82により両側縁部を挟持されて連結されている。各クリップ82は、図22に示すように、平板状の基部82aと、基部82aの上下両縁部を屈曲して形成されたバネ板部82bとを有する。基部82aの上下方向の幅は、上筐体12と下筐体13とを重ね合わせたときの光モジュール80の厚さと略同一である。
【0074】
図23は、図22に示すXXIII−XXIII線で切ったときの、光モジュール80の断面図である。図23に示すように、クリップ82の一対のバネ板部82bは、基部12aに対して鋭角に曲げられている。これにより、クリップ82の装着時における装着感触がよくなっている。そして、一対のバネ板部82bの先端部82cは、一度内側に屈曲された後、外側に向かって更に屈曲され、先端部82c間が広げられている。よって、各先端部82cは断面が略V字型になっている。これにより、クリップ82の装着部分に一対のバネ板部82bの先端部82cを突き当て、クリップ82を押し込むだけで、クリップ82の装着がスムーズに行われる。
【0075】
また、上筐体12と下筐体13のクリップ82を装着する部位には、図22及び図23に示すように、クリップ82が嵌まり込む凹部84が設けられている。従って、図21及び図24に示すように、クリップ82がこの凹部84に嵌まり込むことで、筐体12,13外形からクリップ82がはみ出すことがない。その結果、光モジュール80を図示しない搭載面上に搭載するときの安定性が高くなると共に、外観がスマートで意匠的効果の向上が図られる。
【0076】
なお、クリップ82の先端部82cが当接する凹部84の底面は、他の部位の底面よりも深く形成されている。これにより、各凹部84内には一対の段差部84aが設けられている。そして、図24に示すように、クリップ82を凹部84に嵌め込んだとき、略V字型の先端部82cがこの段差部84aに係止される。これにより、クリップ82が外れにくくなっている。
【0077】
このように、この光モジュール80は、上筐体12と下筐体13とを一対のクリップ82により挟持する構成を採るため、上筐体12、下筐体13、及び基板11の構成が、第2実施形態の光モジュール60とは若干相違している。それ以外の構成は、第2実施形態の光モジュール60と実質的に同様である。
【0078】
図25は、下筐体13側から見上げた第3実施形態の光モジュール80の分解斜視図である。図26は、上筐体12側から見下ろした第3実施形態の光モジュール80の分解斜視図である。
【0079】
図15と図25、及び図16と図26を対比すると、第3実施形態の光モジュール80では、ネジ止めするための下筐体13のネジ穴(図15及び図16の13f)、及びネジ(図15の53)頭部の逃がしが設けられていない。これと合わせて、上筐体12にもネジ穴(図15の12f)が設けられていない。更に、第2実施形態の光モジュール60の基板11に設けられていた、ネジ53を逃がすための切欠部(図15及び図16の11d)が、この光モジュール80の基板11には設けられていない。従って、基板11の表面及び裏面の面積(即ち、部品搭載可能な実装面積)が、第2実施形態の光モジュール60の基板11よりも拡大されている。
【0080】
以下では、この実施形態の主な利点を説明する。この実施形態には、上記した第2実施形態の八つの利点の他に、更に以下の利点がある。
【0081】
上下筐体12,13をネジ止めする代わりにクリップ82で挟持して連結する構成としたため、基板11の実装面積が拡大される。従って、筐体のサイズが同一のときには、基板11上の実装部品や配線を増やすことができ、高機能化が図られる。また、回路構成が同一のときには、基板11外形を小さくすることができ、筐体のサイズの小型化が図られ、その結果、光モジュール自体の小型化が図られる。また、筐体にネジ止めのための加工を施す必要がなく、またネジ止めする場合と比べて組立工数が低減されため、組立作業性が高い。
【0082】
以上、本発明をその実施形態に基づいて詳細に説明した。しかし、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
【0083】
上記した第1〜第3実施形態では、光モジュール10,60,80として、LDモジュール14及びPinAMP19の双方を備える光モジュールについて説明した。これに限定されることなく、LDモジュール14のみを備える光送信モジュール、あるいはPinAMP19のみを備える光受信モジュールにも本発明は適用可能である。
【0084】
また、上記した第1実施形態の光モジュール10は、次のように変形できる。図27は、第1実施形態の光モジュール10において、ガスケットを使用するときの組立作業を示す図である。図27(a)に示されるように、ガスケット60は、上筐体12の側壁部12bの上面に設けられた環状凹部12hに配置される。凹部12hは、上支持部12cの外側に設けられる。凹部12hの底面は、上支持部12cの上面よりも高い。つまり、側壁部12bには二つの段差部が設けられており、内側の段差部に基板11が配置され、外側の段差部にガスケット60が配置される。
【0085】
基板11およびガスケット60が装着された上筐体12は、下筐体13にかぶせられ、ネジ53によってネジ止めされる。図27(b)に示されるように、基板11とガスケット60は、上筐体12と下筐体13に挟持される。ただし、上筐体12と下筐体13とは直接的には接触しない。ガスケット60は、これらの筐体によってつぶされる。その歪み量は、ガスケットの推奨範囲内であることが好ましい。なお、図27では、ネジ53、ネジ孔12f、および貫通孔13fが省略されている。
【0086】
また、上記した第2実施形態の光モジュール60では、下筐体13と基板11との間に弾性部材62を設けたが、上筐体12と基板11との間に弾性部材を設けてもよく、また上筐体12と基板11との間及び下筐体13と基板11との間の双方に弾性部材を設けてもよい。
【0087】
また、図28に示すように、弾性部材を上筐体12及び下筐体13の少なくとも何れかに設けられるバネ板片88により構成してもよい。なお、図28では、下筐体13に弾性部材としてのバネ板片88を設けた状態を示している。
【0088】
また、第1実施形態の光モジュール10では上筐体12の側壁部12bに段差部を設け、第2及び第3実施形態の光モジュール60,80では下筐体13の側壁部13bに段差部を設けて、その段差部内に基板11を配置していた。これに限らず、上筐体12及び下筐体13の側壁部12b,13bの双方に段差部を設け、これら段差部内に基板11を配置してもよい。
【0089】
更に、第1実施形態の光モジュール10についても、上筐体12と下筐体13とをネジ止めする代わりに、クリップ82で挟持させて連結してもよい。
【0090】
【発明の効果】
本発明に係る光モジュールによれば、基板の実装面積の向上が図られる。これにより、光モジュールの高機能化、或いは小型化が図られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態の光モジュールの構造を示す概略断面図である。
【図2】基板の概略平面図である。
【図3】上筐体側から見下ろした第1実施形態の光モジュールの分解斜視図である。
【図4】下筐体側から見上げた第1実施形態の光モジュールの分解斜視図である。
【図5】第1実施形態の光モジュールの断面図である。
【図6】第1実施形態の光モジュールの組立手順を示す斜視図である。
【図7】第1実施形態の光モジュールの組立手順を示す斜視図である。
【図8】第1実施形態の光モジュールの組立手順を示す斜視図である。
【図9】第1実施形態の光モジュールの組立手順を示す斜視図である。
【図10】第1実施形態の光モジュールの組立手順を示す斜視図である。
【図11】第1実施形態の光モジュールの組立手順を示す斜視図である。
【図12】第1実施形態の光モジュールの組立手順を示す斜視図である。
【図13】第1実施形態の光モジュールの組立手順を示す斜視図である。
【図14】第2実施形態の光モジュールの構成を示す斜視図である。
【図15】下筐体側から見上げた第2実施形態の光モジュールの分解斜視図である。
【図16】上筐体側から見下ろした第2実施形態の光モジュールの分解斜視図である。
【図17】下筐体と弾性部材との配置関係を示す図である。
【図18】第2実施形態の光モジュールの組立手順を示す斜視図である。
【図19】第2実施形態の光モジュールの組立手順を示す斜視図である。
【図20】図14に示すXX−XX線で切ったときの、第2実施形態の光モジュールの断面図である。
【図21】第3実施形態の光モジュールの構成を示す斜視図である。
【図22】第3実施形態の光モジュールについて、クリップを取り外した状態を示す斜視図である。
【図23】図22に示すXXIII−XXIII線で切ったときの、第3実施形態の光モジュールの断面図である。
【図24】クリップを装着した状態の光モジュールの部分断面図である。
【図25】下筐体側から見上げた第3実施形態の光モジュールの分解斜視図である。
【図26】上筐体側から見下ろした第3実施形態の光モジュールの分解斜視図である。
【図27】ガスケットを備える第1実施形態の光モジュールの組立作業を示す断面図である。
【図28】第2実施形態の光モジュールが備える弾性部材の変形例を説明するための図である。
【図29】従来技術の光モジュールの構造を示す概略断面図である。
【符号の説明】
10,60,80…光モジュール、11…基板、12…上筐体、12c…上支持部、12g…ボス、13…下筐体、13c…下支持部、12a,13a…底壁部、12b,13b…側壁部、13d…仕切壁、14…LDモジュール、17…板金ナット、19…PinAMP、21…電気コネクタ、60…ガスケット、62…弾性部材、82…クリップ、84…凹部、88…バネ板片。
【発明の属する技術分野】
この発明は、光モジュールに関する。
【0002】
【従来の技術】
光モジュールは、光通信システムにおいて光送信機または光受信機として使用される。送信機と受信機の機能を兼ね備えた送受信モジュールもある(例えば特許文献1参照)。図29は、従来の光モジュール300の構造を示す概略断面図である。光モジュール300は、基板301、上筐体302、および下筐体303を有する。基板301の表面には、発光モジュールおよび受光モジュールの少なくとも一方が実装される。基板301は、上筐体302および下筐体303の一方にだけネジ止めされる。図29では、基板301が上筐体302にネジ止めされている。基板301の裏面は上筐体302の内面と接触する。上筐体302と下筐体303とは、互いの側壁の上面同士を突き合わせてネジ止めされる。図29では、基板301と上筐体302との接触部が符号305で、上筐体302と下筐体303との接触部が符号310で示されている。
【0003】
【特許文献1】
米国特許出願公開第2001/0038498号明細書
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の光モジュールは、組立に比較的多数のネジを使用する。基板にネジ用の貫通孔を開ける必要があるので、それに応じて基板の実装面積が減少する。このため、高密度の実装が困難である。
【0005】
そこで、この発明は、光モジュール内の基板の実装面積を増やすことを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明の光モジュールは、基板、発光モジュールおよび受光モジュールの少なくともいずれか、及び筐体を備えている。基板は、表面および裏面を有する。発光モジュールおよび受光モジュールの少なくともいずれかは、基板に実装される。筐体は、基板を収容する。この筐体は、上筐体と下筐体とを有する。上筐体は、基板の裏面側に配置され裏面と接触する。下筐体は、基板の表面側に配置され表面と接触する。基板は、上筐体および下筐体によって挟持される。
【0007】
基板が上下の筐体によって挟持されるので、基板を固定するために必要なネジの本数を抑えられる。このため、基板上に必要なネジ用の貫通孔も少なくて済む。したがって、基板の実装面積を大きく取れる。また、必要なネジの本数が少ないので、この発明の光モジュールは、高い組立作業性を有している。また、上下の筐体によって基板が固定されるので、基板上において発光モジュールまたは受光モジュールのリードピンから遠い箇所をネジ止めする必要はない。これにより、リードピンに熱応力が集中しないようにできる。さらに、上下の筐体が基板に接触しているため、基板表面に実装された部品の逃げを下筐体に設ける場合、下筐体の基板接触面からの高さだけを考慮すればよい。このため、公差の設計が簡単である。
【0008】
上筐体及び下筐体は、基板に沿って延びる底壁部と、底壁部の周縁部に設けられた側壁部とを含んでいてもよい。基板の周縁部が、上筐体の側壁部と下筐体の側壁部との間で挟持されていてもよい。これにより、基板上に部品が実装されている場合であっても、部品と干渉することなく筐体内に基板を収容することができる。
【0009】
上筐体の側壁部及び下筐体の側壁部の少なくともいずれかの上面には段差部が設けられていてもよい。基板は、段差部内に配置されていてもよい。段差内に基板を嵌めるだけで基板を位置決めできるので、組立が容易である。
【0010】
基板の表面には複数の部品が実装されていてもよい。下筐体の底壁部上には、複数の部屋を形成するように仕切壁が設けられていてもよい。複数の部品が複数の部屋に別れて収容されていてもよい。部屋によって部品が隔てられるので、部品から発する電磁波が他の部品に与える影響を抑えられる。
【0011】
基板の表面には電気コネクタが実装されていてもよい。上筐体の底壁部上にはボスが設けられていてもよい。ボスは、基板の電気コネクタを実装する部位における裏面に突き当たっていてもよい。ボスが電気コネクタを実装する部位における基板の裏面を支持するので、この電気コネクタを実装する部位における裏面に電子部品を実装した場合、電気コネクタの挿抜の際に、この電子部品に過剰なストレスが加わることが防止される。
【0012】
上筐体と下筐体とは直接接触していなくてもよい。上筐体と下筐体との隙間にガスケットが設けられていてもよい。このガスケットは、ノイズの漏出を防止する。
【0013】
基板は、上筐体と下筐体との間で弾性部材を介して挟持されていてもよい。基板は弾性部材を介して挟持されているため、完全にリジットに固定する場合と違って、基板は熱変形による僅かな動きが許容されることで、筐体との線膨張率の相違による基板と各部材との接続部へのストレスを軽減することができる。
【0014】
基板の表面には電気コネクタが実装されていてもよい。弾性部材は、下筐体と基板の表面との間に設けられていてもよい。これにより、電気コネクタの抜去時に基板にかかる力は、弾性部材を介して下筐体が受け止める。
【0015】
弾性部材はシリコーン系導電材料から構成されていてもよい。あるいは、金属材料から構成されていてもよい。あるいは、上筐体及び下筐体の少なくともいずれかに設けられたバネ板片から構成されていてもよい。
【0016】
仕切壁の上面と基板の表面との間には弾性部材が設けられていてもよい。これにより、筐体による基板の保持がより確実になる。このとき、基板は弾性部材を介して仕切壁に支持されるため、基板は熱変形による僅かな動きが許容されることで、筐体との線膨張率の相違による基板と各部材との接続部へのストレスを軽減することができる。
【0017】
上筐体と下筐体とは、ネジ止めされて連結されていてもよい。ネジ止めにより、基板を挟持した状態で、上筐体と下筐体とが確実に連結される。
【0018】
上筐体と下筐体とは、クリップにより挟持されて連結されていてもよい。クリップにより挟持されることにより、基板を挟持した状態で、上筐体と下筐体とが確実に連結される。この場合、筐体にネジ止めのための加工を施す必要がなく、またネジ止めする場合と比べて組立工数が低減されため、組立作業性が高い。また、基板にネジ止め用の逃がし部を設ける必要がなく、基板の実装面積を大きく取れる。
【0019】
上筐体と下筐体のクリップにより挟持される部位には、クリップが嵌まり込む凹部が設けられていてもよい。クリップが凹部に嵌まり込むことで、筐体外形からクリップがはみ出すことがない。従って、当該光モジュールを搭載面上に搭載したときの安定性が高くなる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図示の便宜上、図面の寸法比率は説明のものと必ずしも一致しない。
【0021】
まず、図1を参照しながら、以下に説明する実施形態の概要を説明する。図1は、実施形態の光モジュール1の構造を示す概略断面図である。従来技術を示す図29と図1を比較すると明らかなように、光モジュール1は、従来と異なる基板支持方法を採用している。この実施形態では、基板11は、上筐体12と下筐体13によって挟持される。図1では、基板11と上筐体12との接触部が符号15で、基板11と下筐体13との接触部が符号16で示されている。
【0022】
本実施形態は、基板が上筐体12および下筐体13の双方に接触する点が従来技術と異なっている。基板11が上筐体12および下筐体13によって挟持されるので、光モジュール1の組立に必要なネジの本数は少なくて済む。
【0023】
これに対し、従来の光モジュール300では、基板301が上筐体302か下筐体303の何れか一方のみによって支持される。このため、基板301を上筐体302に固定するために、多数のネジが必要になる。このことは、いくつかの問題点を生じさせる。例えば、基板にネジ用の貫通孔を多数開ける必要がある。この結果、基板の実装面積が小さくなる。これは、高密度の実装を困難にする。また、多数のネジが組立に必要なので、組立効率が良くない。
【0024】
ただし、この実施形態では、ネジをまったく使わないわけではない。基板11は2本のネジによって上筐体12に固定される。これは、組立時の仮止めのためである。図2は、基板11の概略平面図である。基板11の表面には、LD(レーザダイオード)モジュール14が実装される。LDモジュール14は、バタフライ型である。LDモジュール14のリードピン14a、14bおよび14cは、基板11にハンダ付けされる。ネジを通すための貫通孔11aは、LDモジュール14の付近に設けられる。これは、リードピン14a〜14cへの熱応力の集中を防ぐためである。これについては、後述する。
【0025】
(第1実施形態)
以下では、図3〜図5を参照しながら、第1実施形態に係る光モジュール10の構造を詳細に説明する。図3は、上筐体12側から見下ろした光モジュール10の分解斜視図である。図4は、下筐体13側から見上げた光モジュール10の分解斜視図である。図5は、光モジュール10の断面図である。
【0026】
光モジュール10は、光通信用の送受信機である。光モジュール10は、基板11、上筐体12および下筐体13を有する。基板11の表面には、LDモジュール14およびPinAMP19、ならびに他の部品(制御回路、電気コネクタ21など)が実装される。LDモジュール14は発光モジュールであり、PinAMP19は受光モジュールである。LDモジュール14はレーザダイオードを内蔵する。PinAMP19はフォトダイオードを内蔵する。LDモジュール14は、光出力用の光ファイバ24を有する。PinAMP19は、光入力用の光ファイバ29を有する。LDモジュール14には、板金ナット17およびEOキャップ18が装着される。PinAMP19には、OEキャップ20が装着される。
【0027】
基板11には、2個の貫通孔11aが設けられている。光モジュール10の組立時には、基板11の仮止めのために、ネジ51が貫通孔11aに通される。基板11には、LDモジュール14を差し込むための切欠き11bも設けられている。孔11aは、切欠き11bの付近に配置されている。
【0028】
図4に示されるように、上筐体12は、ほぼ方形の底壁部12aと、底壁部12aの周縁からほぼ垂直に延びる側壁部12bを有する。基板11を支持するために、側壁部12bの上面には、環状の段差部が形成されている。光モジュール10の組立の際は、この段差部内に基板11を嵌めることで、基板11が位置決めされる。この段差部のため、側壁部12bの内側部分12cの上面は、外側部分の上面よりも低くなっている。図5に示されるように、内側部分12cの上面が基板11の裏面に接触する。この内側部分を上支持部と呼ぶことにする。上支持部12cは、側壁部12bの内面から内側に突出している。上支持部12cは、細長い延長部12c1を含んでいる。延長部12c1は、側壁部12bの前部の中央から底壁部12aの中央に向けて延在する。
【0029】
底壁部12aには、4個の貫通孔12dが設けられている。各孔12dには、ネジ52が通される。ネジ52は、LDモジュール14のネジ孔14eおよび板金ナット17のネジ孔17aにねじ込まれる。これにより、LDモジュール14が上筐体12に固定される。上支持部12cには、2個のネジ孔12eが設けられている。ネジ孔12eの一つは、延長部12c1に設けられている。これらのネジ孔12eは、上支持部12c上に基板11が載置されると、基板11の貫通孔11aの直下に位置する。ネジ51は、孔11aを通ってネジ孔12eにねじ込まれる。これにより、基板11が上筐体12に仮止めされる。上筐体12の側壁部12bには、6個のネジ孔12fがさらに設けられている。これらのネジ孔12fは、側壁部12bのうち上支持部12cの外側に設けられる。したがって、ネジ孔12fは、基板仮止め用のネジ孔12eの外側に位置する。ネジ孔12fは、下筐体13の貫通孔13fに対応する位置に設けられている。
【0030】
図3に示されるように、下筐体13は、ほぼ方形の底壁部13aと、底壁部13aからほぼ垂直に延びる側壁部13bを有する。底壁部13aの寸法は、上筐体12の底壁部12aの寸法とほぼ同一である。側壁部13bの内側部分13cの上面は、外側部分の上面よりも高い。図5に示されるように、内側部分13cの上面が基板11の表面に接触する。この内側部分を下支持部と呼ぶことにする。
【0031】
底壁部13a上には、底壁部13aからほぼ垂直に延びる仕切壁13dが設けられている。仕切壁13dは、底壁部13a上に複数の部屋13eを形成する。基板11上に実装される部品は、これらの部屋13eに別れて収容される。部品同士が仕切壁13dによって隔てられるので、部品から発する電磁波が他の部品に与える影響を抑えられる。
【0032】
側壁部13bには、6個の貫通孔13fが設けられている。孔13fは、側壁部13bにおいて下支持部13cの外側に設けられる。光モジュール10の組立時には、下筐体13を上筐体12に固定するため、ネジ53が孔13fに通される。ネジ53は、孔13fを通して上筐体12のネジ孔12fにねじ込まれる。これにより、下筐体13が上筐体12に固定される。なお、図5では、ネジ53、ネジ孔12f、および貫通孔13fが省略されている。
【0033】
以下では、図6〜図13を参照しながら、光モジュール10の組立手順を説明する。図6〜図13は、光モジュール10の組立手順を示す斜視図である。
【0034】
まず、図6に示されるように、LDモジュール14に板金ナット17を組み付ける。LDモジュール14の両側部には、4個のフランジ14dが設けられている。ネジ孔14eは、フランジ14dに設けられている。フランジ14dは、LDモジュール14の左右のリードピン14a、14bよりも下方に位置する。板金ナット17は、LDモジュール14の後方から、リードピン14a、14bとフランジ14dとの間に差し込まれる。板金ナット17は、LDモジュールのネジ孔14eと板金ナットのネジ孔17aとが重なるように位置合わせされる。板金ナット17は、フランジ14dによって支持される。リードピン14a〜14cは、板金ナット17の上方に位置する。
【0035】
板金ナット17を組み付けたLDモジュール14は、図7に示されるように、基板11に組み付けられる。LDモジュール14と板金ナット17は、切欠き11bに差し込まれる。基板11のうち切欠き11bの周辺部分11cは、リードピン14a〜14cと板金ナット17との間に差し込まれる。
【0036】
この後、LDモジュール14を組み付けた基板11を、図8に示されるように、上筐体12に静かに載せる。このとき、基板11の表面(実装面)を上向きにする。基板11の裏面の周縁部が、上支持部12cの上面に当たる。この結果、基板11は、上支持部12cによって支持される。底壁部12a上には、突き当てボス12gが設けられている。突き当てボス12gは、基板11の電気コネクタ21を実装する部位における裏面に当たるように配置されている。ボス12の利点については、後述する。基板11は、2本のネジ51によって上筐体12に仮止めされる。
【0037】
次に、上筐体12を反転し、図9に示されるように、上筐体12の貫通孔12dにネジ52を挿入する。上筐体12の反転は、LDモジュールのリードピン14a〜14cを基板11上のパッドに位置合わせした状態で行う。リードピン14a〜14cは、後でこのパッドにハンダ付けされる。ネジ52は、上筐体12の貫通孔12dを通って、板金ナットのネジ孔17aおよびLDモジュールのネジ孔14eにねじ込まれる。これにより、LDモジュール14および板金ナット17が上筐体12に固定される。
【0038】
次いで、図10に示されるように、LDモジュール14およびPinAMP19を基板11上にハンダ付けする。LDモジュール14のリードピン14a〜14cは、基板11上のパッドにハンダ付けされる。PinAMP19のハンダ付けの際は、OEキャップ20を上筐体12に載せた後、PinAMP19を基板11上に置く。その後、PinAMP19のリードピンを基板11上のパッドにハンダ付けする。こうして、LDモジュール14およびPinAMP19が基板11上に実装される(図11)。
【0039】
この後、図12に示されるように、EOキャップ18および下筐体13を上筐体12に取り付ける。まず、EOキャップ18の先端の切欠き18aにLDモジュール14の光ファイバ24を通す。光ファイバ24を傷つけないように、ゆっくりと切欠き18aに差し込む。次いで、下筐体13を基板11の表面にかぶせるように載せ、下筐体13を上筐体12にネジ止めする。ネジ53が下筐体13の貫通孔13fに挿入され、上筐体12のネジ孔12fにねじ込まれる。基板11の表面の周縁部は、下支持部13cの上面に当たる。EOキャップ18は、上筐体12と下筐体13によって挟持される。
【0040】
こうして、上筐体12と下筐体13が組み付けられ、光モジュール10が完成する(図13)。図5に示されるように、基板11の周縁部は、上筐体12の上支持部12cと下筐体13の下支持部13cとの間に挟持される。下筐体の側壁部13bと上筐体の側壁部12bは離間している。上筐体12の側壁部12bの外側エッジは、上方にわずかに突出している。下筐体13の側壁部13bの外側エッジは、下方にわずかに窪んでいる。上筐体12と下筐体13を組み付けると、これらの外側エッジがかみ合う。ただし、両者は接触しない。このような構造により、光モジュール10の内部からのノイズの漏出を抑えられる。
【0041】
以下では、この実施形態の利点を説明する。この実施形態には、主に五つの利点がある。
【0042】
第1に、光モジュール10は、高い実装密度および配線密度を有する。これは、基板11が上筐体12と下筐体13によって挟持されるからである。この挟持により、基板11をいずれかの筐体に固定するためのネジの全部または一部が不要になる。このため、光モジュール10は、比較的少ない本数のネジで組み立てられる。必要なネジが少ないので、基板11においてネジを通すための貫通孔の数を減らせる。このため、基板11上の実装面積を大きく取れる。基板11の貫通孔の数が減れば、それに応じて基板11の内層配線の自由度も高まる。したがって、実装密度および配線密度を高められる。
【0043】
第2に、光モジュール10は、温度変化に強い。これも、基板11が上筐体12と下筐体13によって挟持されるからである。温度が変化すると、基板材料と筐体材料の線膨張係数の違いから、基板に熱応力が加わる。熱応力の分布は、基板と筐体との接合箇所の位置に依存する。従来の光モジュールでは、基板が筐体にネジのみによって固定される(図29)。基板と筐体は、ネジ止め箇所においてのみ接合される。基板をネジのみによって固定しようとすれば、LDモジュールのリードピンに近い箇所だけでなく、リードピンから遠い箇所もネジ止めしなければならない。しかし、リードピンから遠い箇所で基板と筐体を接合すると、リードピンに大きな熱応力が加わることになる。これは、リードピンの断線の原因となる。これに対し、この実施形態では、基板11が上筐体12と下筐体13で挟持されるので、LDモジュール14のリードピンから遠い箇所をネジ止めする必要はない。したがって、リードピンに加わる熱応力を抑えられる。
【0044】
第3に、光モジュール10は、組立作業性に優れている。これは、組立に必要なネジの本数が少ないからである。
【0045】
第4に、光モジュール10は、その公差の設計が簡単である。これは、基板11が上筐体12および下筐体13の双方と接触しているからである。基板の表面上の実装部品と下筐体とが干渉しないように、実装部品の逃げを下筐体に設ける場合を考える。従来の光モジュールでは、上筐体と下筐体が接触し、なおかつ下筐体が基板と接触しない(図29)。このため、実装部品の逃げを設計する際には、両筐体の加工公差と基板の厚み公差を考慮しなければならない。したがって、公差の設計は煩雑である。これに対し、この実施形態では、上下筐体がともに基板11と接触している。下筐体13は、基板11の表面上に置かれ、実装部品を覆うことになる。このため、設計の際に考慮しなくてはならない公差は、下筐体13の加工公差だけである。したがって、公差の設計が簡単である。また、より厳密な設計が可能となる。したがって、実装部品の筐体内での放熱パスをより厳密に設計できる。
【0046】
第5に、基板11の電気コネクタ21を実装する部位における裏面に実装された電子部品に過剰なストレスが加わることを防止できる。これは、コネクタを実装する部位における裏面に突き当たるボス12gが、上筐体12に設けられているからである。電気コネクタ21は、光モジュール10の電気的なインターフェイスである。この実施形態では、高密度の実装のため、電気コネクタ21を実装する部位における裏面にも電子部品を実装している。基板上の電気コネクタ21には、対をなす外部コネクタ(図示しない)に抜き差しされる。この抜き差しにより、電気コネクタ21を実装する部位における裏面にはストレスが加わる。ボス12gは、このストレスを緩和する。
【0047】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、上記した第1実施形態で説明した要素と同一の要素には同一の符号を附し、重複する説明を省略する。
【0048】
図14は、第2実施形態の光モジュールの構成を示す斜視図である。また、図15及び図16は、第2実施形態の光モジュールの構成を示す分解斜視図である。
【0049】
図14〜図16に示すように、光モジュール60は、LDモジュール14、PinAMP19、半導体回路素子23、電気コネクタ21、基板11、筐体(上筐体12、下筐体13)等を備えている。
【0050】
LDモジュール14は、図15に示すように、バタフライパッケージ型のモジュールであり、上記した第1実施形態の光モジュール10が備えるLDモジュールと同様である。
【0051】
PinAMP19は、図15に示すように、表面実装型のモジュールであり、上記した第1実施形態の光モジュール10が備えるPinAMPと同様である。
【0052】
半導体回路素子23は、BGA(Ball grid array)を有する送受信一体型の半導体回路素子23(たとえば、LSI)であり、LDモジュール14及びPinAMP19に電気的に接続されている。この半導体回路素子23は、LDモジュール14を駆動制御する信号を生成して出力すると共に、PinAMP19が受けた信号を整形及び増幅して出力する。
【0053】
電気コネクタ21は、BGAと複数のリードピン(あるいはリードピンと嵌合するレセプタクル)からなる雄コネクタ(あるいは雌コネクタ)であり、上記した第1実施形態の光モジュール10が備える電気コネクタと同様である。この電気コネクタ21は、低速の複数の信号を筐体内部の基板11に導入したり導出したりするため、BGAにより端子の高密度化が図られている。この電気コネクタ21は、光モジュール60が実装される図示しない実装基板上の雌コネクタ(あるいは雄コネクタ)と連結され、これにより両者の電気的な接続が図られる。
【0054】
基板11は、外形が略長方形状をなし、表面及び裏面にプリント配線が施されている。この基板11は、上記した第1実施形態の光モジュール10が備える基板と同様である。
【0055】
筐体は、基板11を収容して保持するためのものであり、アルミや銅などの金属から形成されている。ただし、熱伝導率、コスト等を考慮すると、アルミが好適である。この筐体は、上筐体12と下筐体13を有している。上筐体12は、図15に示すように、基板11に沿って延びる底壁部12aと、底壁部12aの周縁部に設けられた側壁部12bとを含んでいる。
【0056】
下筐体13は、図16に示すように、基板11に沿って延びる底壁部13aと、底壁部13aの周縁部に設けられた側壁部13bとを含んでいる。底壁部13aの電気コネクタ21に対応する部分は、貫通されて開口部13gが形成されている。また、図16及び図17に示すように、側壁部13bの内側上縁部は切り欠かれて、段差部が設けられている。この段差部に基板11が嵌り込むことで、基板11を位置決め可能となっている。そして、この段差部上に、弾性部材62が設けられている。
【0057】
弾性部材62は、上筐体12と下筐体13との間で基板11を挟持するとき、基板11の熱変形による僅かな動きは許容した状態で、基板11の動きを実質的に防止して確実に保持するように機能する。この弾性部材62は、EMI(Electro−Magnetic Interference)やグランドの強化を考慮すると、導電性を有する材料から形成されると好ましい。よって、弾性部材62はシリコーン系導電材料、あるいは金属材料から形成されていると好ましい。金属材料としては、リン青銅、ベリリウム銅、チタン銅などのバネ用銅合金の他、ステンレスなどのバネ用鋼材が好ましい。なお、シリコーン系導電材料で弾性部材62を形成すると、それ自身が有する粘着力により下筐体13の側壁部13bに接着可能であるため、取り扱いが容易となって好ましい。
【0058】
下筐体13の底壁部13a上には、仕切壁13dが突設されている。この仕切壁13dは、アルミ等の金属から形成されている。これにより、LDモジュール14と、PinAMP19及び半導体回路素子23が遮蔽される。なお、仕切壁13dは、熱伝導率を考慮すると、筐体13と同じ金属から一体形成されていると好適である。そして、図16及び図17に示すように、この仕切壁13d上にも、側壁部13bの段差部上に設けられたのと同様に、弾性部材62が設けられている。これにより、基板11の保持がより確実になっている。
【0059】
EOキャップ18は、図14〜16に示すように、LDモジュール14を被覆するように設けられた円筒状の部材であり、アルミや銅などの金属から形成されている。ただし、熱伝導率等を考慮すると、アルミが好適である。このEOキャップ18は、その軸方向に沿って分割され、上部キャップ片と下部キャップ片とを有している。
【0060】
ここで、上部キャップ片は、上筐体12の前方の側壁部12bに一体に設けられている。これに対し、下部キャップ片は、筐体とは別個に設けられている。この下部キャップ片は、上筐体12と下筐体13との間で挟持される基端部を含む。このように、基端部を介して下部キャップ片を上筐体12と下筐体13との間で挟持し筐体と接続することが可能であるため、接着剤等を塗布したり、溶接を施したり、ネジ止めしたりする作業が不要となり、生産効率の向上が図られる。
【0061】
また、下部キャップ片は、その先端部においてバネ性を有するラッチ部64を有している。このラッチ部64は、下部キャップ片の先端部において片持ち支持されており、ラッチ部64の先端は切り欠かれて切欠き18aが設けられている。この切欠き18aは、LDモジュール14の光ファイバ24を通すために設けられている。ラッチ部64は、上部キャップ片の先端部を包み込むように係止し、上部キャップ片と下部キャップ片とを固定する。このように、ラッチ部64を介して上部キャップ片と下部キャップ片とを固定することが可能であるため、接着剤等を塗布したり、溶接を施したり、ネジ止めしたりする作業が不要となり、生産効率の向上が図られる。
【0062】
また、上筐体12の前方の側壁部12bには、PinAMP19を位置決めする位置決め部66が一体に設けられている。この位置決め部66は、光ファイバ29を案内する案内溝を有する。また、下筐体13の前方の側壁部13bには、位置決め部66により位置決めされたPinAMP19を押える押え部68が一体に設けられている。
【0063】
上記した構成のLDモジュール14及びPinAMP19が、半田付け等されて基板11上に実装されている。また、半導体回路素子23が基板11上に実装されている。更に、電気コネクタ21が基板11上に実装されている。そして、これらの部材を実装した基板11が、図18に示すように、組立て途上に上筐体12からハンドリングで脱落しないように、ネジ51で仮固定している。このネジ51が、線膨張の違いによる各部材との接続部へのストレスを軽減する効果を阻害しないように、ネジ51にはクリープ対策のバネ座金を用いず、クリープを利用して基板11の平面方向の動きを阻害しないようにする。また、万一動きを阻害した場合に影響が最も大きいLDモジュール14のごく近傍に仮固定ネジ51を設けている。そして、LDモジュール14は、EOキャップ18に収容され、PinAMP19は、位置決め部66により位置決めされている。また、LDモジュール14は、上筐体12に対してネジ52及び板金ナット17により固定されている(図16参照)。なお、図15及び図16に示すように、基板11には六つの切欠部11dが設けられている。従って、図18及び図19に示すように、上筐体12と下筐体13とをネジ53によりネジ止めするときに、基板11が邪魔にならず、切欠部11dがネジ53の逃がし部として機能している。
【0064】
更に、図19に示すように、下部キャップ片がラッチ部64を介して上部キャップ片に組み付けられ固定されている。そして、上筐体12に対して下筐体13が6つのネジ53を用いて組み付けられている。このとき、下部キャップ片は、基端部を介して上筐体12と下筐体13との間に挟持される。また、押え部68によりPinAMP19が押えられ固定される。また、基板11が下筐体13の側壁部13bに設けられた段差部に填まり込んで位置決めされた状態で、弾性部材62を介して上筐体12の側壁部12bと下筐体13の側壁部13bとの間で挟持される。
【0065】
このようにして、図14に示すような、本実施形態に係る光モジュール60が構成される。図20は、図14に示すXX−XX線で切ったときの、光モジュール60の断面図である。図20に示すように、基板11は、下筐体13の側壁部13bに設けられた段差部に填まり込んで位置決めされた状態で、弾性部材62を介して上筐体12の側壁部12bと下筐体13の側壁部13bとの間で挟持されているのが分かる。
【0066】
以下では、この実施形態の主な利点を説明する。この実施形態には、上記した第1実施形態で説明した五つの利点の他に、更に三つの利点がある。
【0067】
第1に、基板11は弾性部材62を介して挟持されているため、完全にリジットに固定する場合と違って、基板11は熱変形による僅かな動きが許容される。これにより、筐体12,13との線膨張率の相違によって、基板11とLDモジュール14などの各部材との接続部へのストレスが発生するおそれを軽減することができる。
【0068】
第2に、図20に示すように、外部コネクタから電気コネクタ21を抜去するときに働くB方向の力は、弾性部材62を介して下筐体13の側壁部13bが受け止める。これにより、電気コネクタ21を抜去するときに基板11に働く衝撃や歪みが低減される。このような事情から、弾性部材62の弾性は、電気コネクタ21の外部コネクタからの抜去時にかかるB方向の力に負けない程度に調整されると好ましい。なお、電気コネクタ21を外部コネクタと接続するときに働くA方向の力は、上筐体12の側壁部12b及びボス12gが受け止める。
【0069】
第3に、基板11は弾性部材62を介して下筐体13の仕切壁13dにも支持されているため、基板11は熱変形による僅かな動きが許容された状態で、より確実に支持される。
【0070】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。なお、上記した第1及び第2実施形態で説明した要素と同一の要素には同一の符号を附し、重複する説明を省略する。
【0071】
上記した第1及び第2実施形態の光モジュール10,60では、上筐体12と下筐体13とは6本のネジ53によりネジ止めされて連結されていた。これに対し、第3実施形態の光モジュール80では、上筐体12と下筐体13とは、ネジ止めの代わりにクリップ82により挟持されて連結されている。以下に、第2実施形態の光モジュール60を基礎として、第3実施形態の光モジュール80について説明する。
【0072】
図21は、第3実施形態の光モジュール80を示す斜視図である。図22は、クリップ82を取り外した状態の光モジュール80を示す斜視図である。
【0073】
図21に示すように、この光モジュール80では、上筐体12と下筐体13とが一対のクリップ82により両側縁部を挟持されて連結されている。各クリップ82は、図22に示すように、平板状の基部82aと、基部82aの上下両縁部を屈曲して形成されたバネ板部82bとを有する。基部82aの上下方向の幅は、上筐体12と下筐体13とを重ね合わせたときの光モジュール80の厚さと略同一である。
【0074】
図23は、図22に示すXXIII−XXIII線で切ったときの、光モジュール80の断面図である。図23に示すように、クリップ82の一対のバネ板部82bは、基部12aに対して鋭角に曲げられている。これにより、クリップ82の装着時における装着感触がよくなっている。そして、一対のバネ板部82bの先端部82cは、一度内側に屈曲された後、外側に向かって更に屈曲され、先端部82c間が広げられている。よって、各先端部82cは断面が略V字型になっている。これにより、クリップ82の装着部分に一対のバネ板部82bの先端部82cを突き当て、クリップ82を押し込むだけで、クリップ82の装着がスムーズに行われる。
【0075】
また、上筐体12と下筐体13のクリップ82を装着する部位には、図22及び図23に示すように、クリップ82が嵌まり込む凹部84が設けられている。従って、図21及び図24に示すように、クリップ82がこの凹部84に嵌まり込むことで、筐体12,13外形からクリップ82がはみ出すことがない。その結果、光モジュール80を図示しない搭載面上に搭載するときの安定性が高くなると共に、外観がスマートで意匠的効果の向上が図られる。
【0076】
なお、クリップ82の先端部82cが当接する凹部84の底面は、他の部位の底面よりも深く形成されている。これにより、各凹部84内には一対の段差部84aが設けられている。そして、図24に示すように、クリップ82を凹部84に嵌め込んだとき、略V字型の先端部82cがこの段差部84aに係止される。これにより、クリップ82が外れにくくなっている。
【0077】
このように、この光モジュール80は、上筐体12と下筐体13とを一対のクリップ82により挟持する構成を採るため、上筐体12、下筐体13、及び基板11の構成が、第2実施形態の光モジュール60とは若干相違している。それ以外の構成は、第2実施形態の光モジュール60と実質的に同様である。
【0078】
図25は、下筐体13側から見上げた第3実施形態の光モジュール80の分解斜視図である。図26は、上筐体12側から見下ろした第3実施形態の光モジュール80の分解斜視図である。
【0079】
図15と図25、及び図16と図26を対比すると、第3実施形態の光モジュール80では、ネジ止めするための下筐体13のネジ穴(図15及び図16の13f)、及びネジ(図15の53)頭部の逃がしが設けられていない。これと合わせて、上筐体12にもネジ穴(図15の12f)が設けられていない。更に、第2実施形態の光モジュール60の基板11に設けられていた、ネジ53を逃がすための切欠部(図15及び図16の11d)が、この光モジュール80の基板11には設けられていない。従って、基板11の表面及び裏面の面積(即ち、部品搭載可能な実装面積)が、第2実施形態の光モジュール60の基板11よりも拡大されている。
【0080】
以下では、この実施形態の主な利点を説明する。この実施形態には、上記した第2実施形態の八つの利点の他に、更に以下の利点がある。
【0081】
上下筐体12,13をネジ止めする代わりにクリップ82で挟持して連結する構成としたため、基板11の実装面積が拡大される。従って、筐体のサイズが同一のときには、基板11上の実装部品や配線を増やすことができ、高機能化が図られる。また、回路構成が同一のときには、基板11外形を小さくすることができ、筐体のサイズの小型化が図られ、その結果、光モジュール自体の小型化が図られる。また、筐体にネジ止めのための加工を施す必要がなく、またネジ止めする場合と比べて組立工数が低減されため、組立作業性が高い。
【0082】
以上、本発明をその実施形態に基づいて詳細に説明した。しかし、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
【0083】
上記した第1〜第3実施形態では、光モジュール10,60,80として、LDモジュール14及びPinAMP19の双方を備える光モジュールについて説明した。これに限定されることなく、LDモジュール14のみを備える光送信モジュール、あるいはPinAMP19のみを備える光受信モジュールにも本発明は適用可能である。
【0084】
また、上記した第1実施形態の光モジュール10は、次のように変形できる。図27は、第1実施形態の光モジュール10において、ガスケットを使用するときの組立作業を示す図である。図27(a)に示されるように、ガスケット60は、上筐体12の側壁部12bの上面に設けられた環状凹部12hに配置される。凹部12hは、上支持部12cの外側に設けられる。凹部12hの底面は、上支持部12cの上面よりも高い。つまり、側壁部12bには二つの段差部が設けられており、内側の段差部に基板11が配置され、外側の段差部にガスケット60が配置される。
【0085】
基板11およびガスケット60が装着された上筐体12は、下筐体13にかぶせられ、ネジ53によってネジ止めされる。図27(b)に示されるように、基板11とガスケット60は、上筐体12と下筐体13に挟持される。ただし、上筐体12と下筐体13とは直接的には接触しない。ガスケット60は、これらの筐体によってつぶされる。その歪み量は、ガスケットの推奨範囲内であることが好ましい。なお、図27では、ネジ53、ネジ孔12f、および貫通孔13fが省略されている。
【0086】
また、上記した第2実施形態の光モジュール60では、下筐体13と基板11との間に弾性部材62を設けたが、上筐体12と基板11との間に弾性部材を設けてもよく、また上筐体12と基板11との間及び下筐体13と基板11との間の双方に弾性部材を設けてもよい。
【0087】
また、図28に示すように、弾性部材を上筐体12及び下筐体13の少なくとも何れかに設けられるバネ板片88により構成してもよい。なお、図28では、下筐体13に弾性部材としてのバネ板片88を設けた状態を示している。
【0088】
また、第1実施形態の光モジュール10では上筐体12の側壁部12bに段差部を設け、第2及び第3実施形態の光モジュール60,80では下筐体13の側壁部13bに段差部を設けて、その段差部内に基板11を配置していた。これに限らず、上筐体12及び下筐体13の側壁部12b,13bの双方に段差部を設け、これら段差部内に基板11を配置してもよい。
【0089】
更に、第1実施形態の光モジュール10についても、上筐体12と下筐体13とをネジ止めする代わりに、クリップ82で挟持させて連結してもよい。
【0090】
【発明の効果】
本発明に係る光モジュールによれば、基板の実装面積の向上が図られる。これにより、光モジュールの高機能化、或いは小型化が図られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態の光モジュールの構造を示す概略断面図である。
【図2】基板の概略平面図である。
【図3】上筐体側から見下ろした第1実施形態の光モジュールの分解斜視図である。
【図4】下筐体側から見上げた第1実施形態の光モジュールの分解斜視図である。
【図5】第1実施形態の光モジュールの断面図である。
【図6】第1実施形態の光モジュールの組立手順を示す斜視図である。
【図7】第1実施形態の光モジュールの組立手順を示す斜視図である。
【図8】第1実施形態の光モジュールの組立手順を示す斜視図である。
【図9】第1実施形態の光モジュールの組立手順を示す斜視図である。
【図10】第1実施形態の光モジュールの組立手順を示す斜視図である。
【図11】第1実施形態の光モジュールの組立手順を示す斜視図である。
【図12】第1実施形態の光モジュールの組立手順を示す斜視図である。
【図13】第1実施形態の光モジュールの組立手順を示す斜視図である。
【図14】第2実施形態の光モジュールの構成を示す斜視図である。
【図15】下筐体側から見上げた第2実施形態の光モジュールの分解斜視図である。
【図16】上筐体側から見下ろした第2実施形態の光モジュールの分解斜視図である。
【図17】下筐体と弾性部材との配置関係を示す図である。
【図18】第2実施形態の光モジュールの組立手順を示す斜視図である。
【図19】第2実施形態の光モジュールの組立手順を示す斜視図である。
【図20】図14に示すXX−XX線で切ったときの、第2実施形態の光モジュールの断面図である。
【図21】第3実施形態の光モジュールの構成を示す斜視図である。
【図22】第3実施形態の光モジュールについて、クリップを取り外した状態を示す斜視図である。
【図23】図22に示すXXIII−XXIII線で切ったときの、第3実施形態の光モジュールの断面図である。
【図24】クリップを装着した状態の光モジュールの部分断面図である。
【図25】下筐体側から見上げた第3実施形態の光モジュールの分解斜視図である。
【図26】上筐体側から見下ろした第3実施形態の光モジュールの分解斜視図である。
【図27】ガスケットを備える第1実施形態の光モジュールの組立作業を示す断面図である。
【図28】第2実施形態の光モジュールが備える弾性部材の変形例を説明するための図である。
【図29】従来技術の光モジュールの構造を示す概略断面図である。
【符号の説明】
10,60,80…光モジュール、11…基板、12…上筐体、12c…上支持部、12g…ボス、13…下筐体、13c…下支持部、12a,13a…底壁部、12b,13b…側壁部、13d…仕切壁、14…LDモジュール、17…板金ナット、19…PinAMP、21…電気コネクタ、60…ガスケット、62…弾性部材、82…クリップ、84…凹部、88…バネ板片。
Claims (15)
- 表面および裏面を有する基板と、
前記基板に実装される、発光モジュールおよび受光モジュールの少なくともいずれかと、
前記基板を収容する筐体と、
を備え、
前記筐体は、前記基板の裏面側に配置され該裏面と接触する上筐体と、前記基板の表面側に配置され該表面と接触する下筐体とを有し、
前記基板は、前記上筐体および前記下筐体によって挟持されている
光モジュール。 - 前記上筐体及び前記下筐体は、前記基板に沿って延びる底壁部と、該底壁部の周縁部に設けられた側壁部とを含み、
前記基板の周縁部が、前記上筐体の側壁部と前記下筐体の側壁部との間で挟持されている請求項1に記載の光モジュール。 - 前記上筐体の側壁部及び前記下筐体の側壁部の少なくともいずれかの上面には段差部が設けられており、
前記基板は、前記段差部内に配置されている請求項2に記載の光モジュール。 - 前記基板の表面には複数の部品が実装されており、
前記下筐体の底壁部上には、複数の部屋を形成するように仕切壁が設けられており、
前記複数の部品が前記複数の部屋に別れて収容されている請求項2に記載の光モジュール。 - 前記基板の表面には電気コネクタが実装されており、
前記上筐体の前記底壁部上にはボスが設けられており、
前記ボスは、前記基板の前記電気コネクタを実装する部位における裏面に突き当たる請求項2に記載の光モジュール。 - 前記上筐体と前記下筐体とは直接接触しておらず、該上筐体と該下筐体との隙間にガスケットが設けられている請求項1に記載の光モジュール。
- 前記基板は、前記上筐体と前記下筐体との間で弾性部材を介して挟持されている請求項1に記載の光モジュール。
- 前記基板の表面には電気コネクタが実装されており、
前記弾性部材は、前記下筐体と前記基板の表面との間に設けられている請求項7に記載の光モジュール。 - 前記弾性部材はシリコーン系導電材料から構成されている請求項7に記載の光モジュール。
- 前記弾性部材は金属材料から構成されている請求項7に記載の光モジュール。
- 前記弾性部材は、前記上筐体及び下筐体の少なくともいずれかに設けられたバネ板片から構成されている請求項7に記載の光モジュール。
- 前記仕切壁の上面と前記基板の表面との間には弾性部材が設けられている請求項4に記載の光モジュール。
- 前記上筐体と前記下筐体とは、ネジ止めされて連結されている請求項1に記載の光モジュール。
- 前記上筐体と前記下筐体とは、クリップにより挟持されて連結されている請求項1に記載の光モジュール。
- 前記上筐体と前記下筐体の前記クリップにより挟持される部位には、該クリップが嵌まり込む凹部が設けられている請求項14に記載の光モジュール。
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