JP2004245872A - アクティブマトリクス基板、電気光学装置、電子機器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】複数の走査線及び信号線を互いに交差して設け、これらの配線に導電接続された薄膜トランジスタに画素電極150と蓄積容量130とを並列に設ける。そして、画素電極150と信号線との間に、平面視で信号線に重なるように静電遮蔽電極160を設け、この静電遮蔽電極160を蓄積容量130の定電位側の電極131に導電接続する。
【選択図】 図6
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アクティブマトリクス基板及びこのアクティブマトリクス基板を備えた電気光学装置並びに電子機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
表示装置の分野では、高輝度化や高精細化に対するニーズが高く、このようなニーズに応えるものとして、アクティブマトリクス型の表示装置の研究開発が盛んに行なわれている。
【0003】
ところで、上述の表示装置では、画素電極をマトリクス駆動するために、画素電極の形成されたアクティブマトリクス基板上に走査線や信号線等の各種配線やこれらの配線に接続される薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor;TFT)を形成する必要がある。また、画素電極に対して十分な駆動電圧を供給するために、TFTに対して蓄積容量を画素電極と並列に設けたものが広く用いられている。しかし、このように画素内に様々な配線や素子を形成した結果、画素の開口率が低下し、表示の輝度の低下や消費電力の増大等の課題が生じていた。
【0004】
このため、上記配線やTFTの上に絶縁膜を設け、この絶縁膜の上に画素電極を上置きする構造が提案されている。
図13は、画素電極を絶縁膜上に上置きした従来の液晶装置の画素構造の一例を示す平面図である。図13に示す液晶装置では、縦横に配された走査線SLと信号線DLとの交点に対応して薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor;以下、TFTと略記する)が設けられ、このTFTに対して蓄積容量Sが導電接続されている。
【0005】
蓄積容量Sは、絶縁膜を介して対向する容量電極S1,共通容量電極S2からなる。容量電極はTFTに導電接続されており、更に、コンタクトホールH1を介して画素電極Pに導電接続されている。一方、共通容量電極S2は外部端子を介して定電位(例えば、接地電位,電源電位或いは対向基板側の共通電極電位と同電位)に設定されている。これらの電極S1,S2は、開口率を稼ぐために、走査線SLと平面的に重なるように設けられた本線部を有し、更に、容量を稼ぐために、この本線部から信号線DLに沿って分岐した分岐部を有している。画素電極Pは、層間絶縁膜を介してこれらの配線Sl,DL及び蓄積容量Sの上層側に設けられており、開口率を稼ぐために、画素電極Pの端部は配線SL,DLと一部平面的に重なるように配置されている。なお、図13では、画素電極Pの輪郭を2点鎖線Paで示している。このように画素電極Pを上置きした構造では、配線Sl,DLと画素電極Pとの間のマージンが不要となるため、画素電極の面積を広く取ることができる。
【0006】
しかし、配線SL,DLと画素電極Pとを平面的に重ねた場合、これらの間に容量結合が生じ、クロストークが発生するという新たな課題が生じる。特に、信号線DLに供給される画像信号の変動量は走査信号SLのそれに比べて大きいため、信号線DLと画素電極P或いは信号線DLと蓄積容量Sとの間の容量結合により、大きなクロストークが発生する。
従来、クロストークを防止する方法としては、例えば特許文献1,2に開示されるように、画素電極Pと信号線DLとの間に静電遮蔽用のシールド電極を設ける方法が提案されている。
【0007】
【特許文献1】
特開平5−203994号公報
【特許文献2】
特開平11−316391号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の方法を採用して信号線と画素電極との間の容量結合を防止した場合、信号線に沿う方向のクロストークは低減できるものの、これと略直交する方向(即ち走査線に沿う方)のクロストークが残存していた。
本発明は、上述の課題に鑑み創案されたもので、クロストークを防止できるようにしたアクティブマトリクス基板及びこのアクティブマトリクス基板を備えた電気光学装置並びに電子機器を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上述した信号線に直交する方向のクロストークの発生原因について鋭意研究を重ねた結果、このクロストークは画素電極と蓄積容量との間の容量結合に起因することを見出した。すなわち、図13に示した従来の構成において、走査線SLに平行に延在する蓄積容量Sの定電位側の電極(即ち、共通容量電極)S2と信号線DLとが容量結合し、信号線DLを通る画像信号によってこの電極S2の電位が変動されることで、電極S2に平行な方向のクロストーク(以下、このクロストークを横クロストークといい、画素電極Pと信号線DLとの容量結合に起因するクロストーク(以下、縦クロストークという)と区別する)が生じることを解明した。
【0010】
上述したように、定電位側の電極S2は、蓄積容量を稼ぐために、走査線SLに平行に延びる本線部と、この本線部から屈曲して信号線DLに平行に延びる分岐部とを有しており、この分岐部において信号線DLと大きな容量結合を生じる。そして、信号線DLを通る画像信号により電極S2の電位が変動された場合、この変動電位は一定時間で減衰するが、電極S2の電気抵抗が高いと変動電位が解消されない内に次の画像信号が蓄積容量Sに書き込まれてしまい、表示が大きく乱れる。
【0011】
以上のことから、本発明者らは、横クロストークと上記定電位側電極の電気抵抗との関係に着目して本発明を創案するに至った。
すなわち、上記目的を達成するために、本発明のアクティブマトリクス基板は、複数の走査線と、上記走査線に交差して設けられた複数の信号線と、上記走査線と上記信号線との交差部に対応して設けられた薄膜トランジスタと、上記薄膜トランジスタに対応して設けられた画素電極と、上記薄膜トランジスタに対応して設けられた蓄積容量と、上記画素電極を形成する層と上記信号線を形成する層との間に設けられ、且つ平面視で上記信号線に重なるように設けられるとともに、上記蓄積容量の定電位側の電極に導電接続された静電遮蔽電極とを備えたことを特徴とする。
【0012】
図14に、本発明のアクティブマトリクス基板の平面構造の一例を示す。なお、図14では、図13に示す従来の構造と比較するために、本発明の要部構造のみ図13と異ならせ、他の部分を図13と同様の構成としているが、各種配線や電極の形状及び蓄積容量の配置等については図14に示したものに限定されない。また、図14では配線構造のみ取り出して示し、薄膜トランジスタや他の具体的な層構造を省略している。
本アクティブマトリクス基板は、図13に示した従来の構成において、画素電極P(輪郭部分を2点鎖線Paで示す)と信号線DLとの間に静電遮蔽電極SEが設けられるとともに、この静電遮蔽電極SEと蓄積容量Sの定電位側電極S2とが導電接続された構造を有する。ここで、図14では、定電位側電極S2と静電遮蔽電極SEとは、例えばコンタクトホールH2を介して導電接続されている。
【0013】
本構成によれば、定電位に設定された静電遮蔽電極SEにより信号線DLがシールドされるため、信号線DLを通る画像信号による画素電極電位への影響(即ち、縦クロストーク)を抑えることができる。一方、この静電遮蔽電極SEは蓄積容量Sの定電位側の電極S2に接続されてこの電極S2の電気抵抗を低減しているため、信号線DLと蓄積容量Sとの間の容量結合に起因した横クロストークも抑えることができる。つまり、本構成では、蓄積容量Sの定電位側電極S2の電気抵抗が小さいため、仮に、この定電位側電極S2の電位が、信号線DLを通る画像信号によって変動されても、この電位変動は速やかに解消される。このように本発明によれば、縦クロストークと横クロストークとの双方を効果的に防止することができる。
【0014】
なお、上記画素電極を形成する層と上記信号線を形成する層とが平面視で一部重なるように配置することが好ましく、これにより、画素の開口率を大きく取ることができる。
また、静電遮蔽電極を湾曲した形状とし、この静電遮蔽電極により、信号線の上記画素電極に対向する上部端面のみならず、この上部端面に隣接する側部端面の少なくとも一部が覆われるような構成とすることが好ましい。このように信号線の周囲が静電遮蔽電極により包み込まれるようにすることで、一層高い静電遮蔽効果を得ることができる。
【0015】
また、蓄積容量の定電位側電極の電気抵抗をより低減すべく、上記定電位側電極に導電接続される上記静電遮蔽電極には金属材料を用いることが好ましい。一方、画像の明るさを優先する場合には、上記静電遮蔽電極に透光性を有する導電部材を用いることが好ましい。この場合、開口率を損なうことなく信号線の周囲を静電遮蔽電極により十分カバーできる。
【0016】
また、本発明の電気光学装置は、上述のアクティブマトリクス基板と、このアクティブマトリクス基板上に積層された電気光学層とを備えたことを特徴とする。本構成によれば、クロストークの少ない高品質な表示が可能となる。
なお、電気光学層としては、液晶や電気泳動物質等の電気光学材料や、エレクトロルミネッセンス素子等の電気光学素子を例示することができる。
また、本発明の電子機器は、上述の電気光学装置を備えたことを特徴とする。本構成によれば、クロストークの少ない高品質な表示が可能な表示部を備えた電子機器を提供できる。
【0017】
【発明の実施の形態】
[第1実施形態]
以下、図1〜図7を参照しながら、本発明の第1実施形態に係る電気光学装置の一例について説明する。本実施形態の電気光学装置は、投射型液晶表示装置に用いられる透過型の液晶装置である。図1は本実施形態の液晶装置の全体構成を説明するための図であり、TFTアレイ基板をその上に形成された各構成要素と共に対向基板の側から見た平面図、図2は本液晶装置のマトリクス状に配置された複数の画素におけるスイッチング素子や信号線等の等価回路図、図3は信号線、走査線、画素電極等が形成されたアクティブマトリクス基板の一つの画素の構造を示す要部平面図、図4〜図6はいずれも図3の断面構造を示す図であり、図5は図3のA−A′線断面図図6は図3のB−B′線断面図、図7は表示領域端部の配線構造を示す要部平面図である。なお、以下の全ての図面においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならせてある。従って、例えば配線等の幅を有する部材の場合、図では相互に幅が異なって示されているが、実際には同一の幅で形成されたり、またこの逆で、実際にも図と同様に幅が異なって形成されることもあり得る。また、本明細書では、本液晶素子を構成する各部材の液晶層側の面を「内面」、それと反対側の面を「外面」という。
【0018】
図1に示すように、本実施形態の液晶装置は、一対の基板間に液晶が封入されたものであり、一方の基板をなす薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor、以下、TFTと略記する)アレイ基板(アクティブマトリクス基板)100と、これに対向配置された他方の基板をなす対向基板200とを備えている。
【0019】
TFTアレイ基板100の上には、シール材51がその縁に沿って設けられており、このシール材51を介して基板100,200が貼り合わされている。図1において、符号51は表示領域であり、符号53は、表示領域52の外側の領域である非表示領域を示している。非表示領域53には、データ線駆動回路11および外部回路接続端子12がTFTアレイ基板100の一辺に沿って設けられており、この1辺に隣接する2辺に沿って走査線駆動回路14が設けられ、残る一辺に沿ってプリチャージ回路13が設けられている。また、基板端部には、データ線駆動回路11、プリチャージ回路13、走査線駆動回路14と外部回路接続端子12との間をつなぐための複数の配線15が設けられている。さらに、対向基板200のコーナー部に対応する位置には、TFTアレイ基板100と対向基板200との間で電気的導通をとるための導通材16が設けられている。
【0020】
図2に示すように、表示領域52には、複数の走査線120と、走査線120に対して交差する方向に延在する複数の信号線110と、信号線120に並列に延在する複数の共通容量電極131(定電位側電極)とが形成され、走査線120と信号線110との各交点付近に画素Pが設けられている。
信号線110には、シフトレジスタ,レベルシフタ,ビデオライン及びアナログスイッチを備えるデータ線駆動回路11やプリチャージ回路13が接続されている。また、走査線120には、シフトレジスタ及びレベルシフタを備える走査線駆動回路14が接続されている。
【0021】
また、各画素Pには、走査線120を介して走査信号G1,G2,・・・,Gmを供給されるスイッチング用の薄膜トランジスタ(TFT)140と、このTFT140を介して信号線110から画像信号S1,S2,・・・,Snを供給される画素電極150と、この画素電極150に並列に接続され画像信号を一定期間保持する蓄積容量130とが設けられている。なお、画素電極150には後述の共通電極250が対向して設けられており、この画素電極150と共通電極250との間に電圧を印加することで、電極150,250間に挟持された液晶層(電気光学層)300を駆動するようになっている。
【0022】
このような構成において、走査線120に所定のタイミングでパルス状の走査信号G1,G2,・・・,Gmが線順次で印加されてTFT140が一定期間だけオン状態になると、このTFT140を介して信号線110から画素電極150に所定のタイミングで画像信号S1,S2,・・・,Snが書き込まれる。書き込まれた画像信号は、画素電極150を介して液晶層300に印加され、共通電極250との間で一定期間保持される。また、供給された画像信号は、電極150,250間の容量(液晶容量)と並列に接続された蓄積容量130により一定期間保持され、画像信号のリークが防止される。
【0023】
液晶は、印加される電圧レベルにより分子集合の配向や秩序が変化し、入力光を変調して出力する。そして、画素毎に液晶の光変調量が独立に制御されることで、所望の画像表示が行なわれる。
【0024】
次に、図3に基づいて、本アクティブマトリクス基板の要部平面構造について説明する。
図3に示すように、アクティブマトリクス基板100上には、インジウム錫酸化物(ITO)等の透光性導電材料からなる矩形状の画素電極150(輪郭150Aを二点鎖線で示す)がマトリクス状に複数設けられており、画素電極150の縦横の境界に各々沿って信号線110,走査線120及び共通容量電極131が設けられている。本実施形態では、各画素電極150および各画素電極150を囲むように配設された信号線110,走査線120,共通容量電極131,容量電極132,静電遮蔽電極160等が形成された領域が画素であり、マトリクス状に配置された各画素毎に独立に表示可能な構造になっている。
【0025】
走査線120は、半導体層141のうち、後述のチャネル領域(図中左上がりの斜線の領域)に対向するように配置されており、走査線120はチャネル領域に対向する部分でゲート電極として機能する。
信号線110は、TFT140を構成する例えばポリシリコン膜からなる半導体層141のうち、後述のソース領域にコンタクトホール450を介して導電接続されている。
【0026】
共通容量電極131は、走査線120に沿って略直線状に伸びる本線部(即ち、平面的に見て走査線120に沿って形成された第1領域)と、信号線110と交差する箇所から信号線110に沿って図中上向きに突出した突出部(即ち、平面的に見て信号線110に沿って延設された第2領域)とを有する。
【0027】
容量電極132は、走査線120に沿って略直線状に延びる第1領域と、信号線110と交差する箇所から信号線110に沿って前段側(図中上向き)に突出した第2領域とを有し、信号線110と走査線120との各交差部に略L字状に設けられている。また、容量電極132は共通容量電極131に後述の容量用絶縁膜104を介して対向配置されており、電極131,132が対向する領域において蓄積容量130が形成されている。この容量電極132は、コンタクトホール460を介して半導体層141の内、後述のドレイン領域に導電接続されている。そして、ゲート電極に走査信号が印加されてTFT140がオンになると、TFT140のドレイン領域を介して信号線110から容量電極132に画像信号が供給され、蓄積容量130に保持されるようになっている。
【0028】
画素電極150は、信号線110と走査線120とに囲まれた略矩形の領域内に、周縁部がこれらの配線110,120に一部平面的に重なるように設けられている。そして、この画素電極150は、コンタクトホール440を介して中間層600に導電接続されるとともに、コンタクトホール430を介して容量電極132に導電接続されている。この容量電極132は、前述のように、コンタクトホール460を介して半導体層141のドレイン領域に導電接続されており、画素電極150には、半導体層141のドレイン領域からこの容量電極132,中間層600を介して画像信号が供給されるようになっている。
【0029】
この画素電極150と信号線110との間には静電遮蔽用の電極160が設けられている。この静電遮蔽電極160(輪郭を一点鎖線で示す)は、信号線110に沿って略直線状に延びる本線部(即ち、平面的に見て信号線110に重なるように形成された第1領域)と、走査線120と交差する箇所から走査線120に沿って図中右向きに突出した突出部(即ち、平面的に見て走査線120と重なるように延設された第2領域)とを有する。そして、この静電遮蔽電極160は、コンタクトホール410を介して中間層500に導電接続されるとともに、コンタクトホール420を介して共通容量電極131に導電接続されている。また、静電遮蔽電極160の線幅(即ち、第1領域においては信号線110の延在方向に垂直な方向の長さであり、第2領域においては走査線120の延在方向に垂直な方向の長さ)は、各配線110,120の線幅よりも広くなっており、十分な静電遮蔽効果が得られるようになっている。
【0030】
半導体層141の下層側(即ち、表示側)には、遮光層101が設けられている。この遮光層101は、信号線110,走査線120に沿って縦横に設けられており、戻り光が半導体層141(特に、チャネル領域)に入射して光リーク電流を生じることを防止するようになっている。また、遮光層101は、図示しないコンタクトホールを介して接地電位や電源電位に固定されている。
【0031】
次に、図4〜図6に基づいて、本アクティブマトリクス基板の断面構造について説明する。図4,図5はいずれも図3のA−A′線断面図であり、図5は図4におけるアクティブマトリクス基板を拡大して示す図である。また、図6は図3のB−B′線断面図であり、アクティブマトリクス基板のみを拡大して示している。
【0032】
図4に示すように、本実施の形態の液晶装置は、アクティブマトリクス基板100上に電気光学層としての液晶層300と対向基板200とが順に積層された構造を有する。
アクティブマトリクス基板100は、ガラスや石英等の透光性材料からなる基板本体100Aと、遮光層101と、この遮光層101の内面側(液晶層側)に設けられたTFTや各種配線等と、このTFTにより駆動される画素電極150と、この画素電極150を覆うように表示領域全面に形成された配向膜170とを備えて構成されている。なお、図4では、TFTや、走査線,信号線等の各種配線類の図示を省略している。
【0033】
遮光層101には、例えばクロム(Cr)等の金属膜が用いられており、十分な遮光性を得るために、基板本体100A上に200nm程度積層されている。また、遮光層101と、この上に形成されるTFTや配線等とを絶縁するために、遮光層101の上には酸化シリコン等からなる第1層間絶縁膜102が800nm程度積層されている。
【0034】
この遮光層101の上には、図5に示すように、TFT140,蓄積容量130,信号線110が順に積層されている。
TFT140は、単結晶シリコン又はポリシリコンからなる半導体層141と、酸化シリコン等からなるゲート絶縁膜142と、多結晶シリコン又は金属シリサイドからなる走査線120とが下層側から順に積層されてなり、第1層間絶縁膜102を介して遮光層101に対向する位置に設けられている。この際、半導体層141に対向する走査線120の領域がゲート電極として機能する。
【0035】
走査線120の上には第2層間絶縁膜103が800nm程度積層されており、この第2層間絶縁膜103上の、半導体層141に対向する位置には、ポリシリコンからなる容量電極132が150nm程度形成されている。この容量電極132は、前述したように、コンタクトホール460を介して半導体層141のドレイン領域141c導電接続されており、このドレイン領域141cを介して信号線110から画像信号を供給されるようになっている。
【0036】
この容量電極132の上には、シリコン酸化膜等からなる容量用の絶縁膜104を介して共通容量電極131が積層されており、これらの容量電極132,絶縁膜104,共通容量電極131により蓄積容量130が構成されている。なお、共通容量電極131は、ポリシリコンからなる層131aと金属シリサイドからなる層131bとがそれぞれ150nm程度ずつ積層された構造を有する。また、共通容量電極131は対向基板200上の共通電極250と同じ電位、または、接地電位や電源電位と同電位にされ得るが、本実施形態では対向基板200上の共通電極250と同じ電位としている。具体的には、共通容量電極131は、図7に示すように、表示領域52の端辺に沿って配された共通電位線17に導電接続されている。この共通電位線17は、対向基板200のコーナー部付近まで延設され、導電材16を介して対向基板200の共通電極250に導電接続されている。なお、共通電位線17は信号線110と同層に形成されており、共通容量電極131はコンタクトホール420を介して接地線17に導電接続されている。
【0037】
また、共通容量電極131及び容量用絶縁膜104の上には、第3層間絶縁膜105が800nm程度積層されており、この第3層間絶縁膜105上の、半導体層141に対向する位置には信号線110が形成されている。この信号線110は、前述したように、コンタクトホール450を介して半導体層141のソール領域141bに導電接続されており、このソース領域141bに画像信号を供給するようになっている。なお、信号線110は、アルミニウム(Al)層110aと窒化チタン(TiN)層110bとがそれぞれ250nm,150nm程度積層された構造を有する。
【0038】
信号線110及び第3層間絶縁膜105の上には第4層間絶縁膜106が400nm程度積層され、更に、この第4層間絶縁膜106上の、信号線110に対向する位置には静電遮蔽電極160が形成されている。この静電遮蔽電極160は、前述したように、その線幅が信号線110の線幅よりも広くなっている。半導体層141に対向する位置に蓄積容量130や信号線110を順にパターン形成した場合、信号線110上に積層された第4層間絶縁膜106中央部の、半導体層141に対向する領域(即ち、信号線110に対向する領域)は、その周縁部の領域よりも盛り上がった状態となる。このため、第4層間絶縁膜106上に形成される静電遮蔽電極160は、中央部160Tが周縁部160Sに対して凸状に湾曲した形状となり、信号線110の画素電極150に対向する端面111及びこれに隣接する側部端面112が静電遮蔽電極160によって包み込まれる(覆われる)ような状態となる。すなわち、本実施形態では、図5に示すように、信号線110の液晶層側の端面111が第4層間絶縁膜106を介して静電遮蔽電極160の凸状に形成された中央部160Tと対向しているとともに、信号線110の側部端面112の両方が第4層間絶縁膜106を介して静電遮蔽電極160の周縁部160Sと対向している。このように信号線110の側部端面112に回り込む位置にまで静電遮蔽電極160を設けることで、信号線110と画素電極150との容量結合に起因したクロストーク(縦クロストーク)をより効果的に防止することができる。
【0039】
また、静電遮蔽電極160は、図6に示すように、コンタクトホール410を介して、第4層間絶縁膜105上に形成された中間層500に導電接続されており、更に、この中間層500はコンタクトホール420を介して共通容量電極131に導電接続されている。また同時に、静電遮蔽電極160は、表示領域52端部において、コンタクトホール410を介して共通電位線17に導電接続されている(図7参照)。これにより、静電遮蔽電極160は、共通容量電極131と共に対向基板200上の共通電極250と同じ電位とされる。また、静電遮蔽電極160は、共通容量電極131に対して並列に接続されているため、共通容量電極131の電気抵抗を低減する役割を果たす。これにより、仮に、共通容量電極131の電位が信号線110を通る画像信号により変動されたとしても、その電位変動を速やかに緩和できるようになっている。なお、静電遮蔽電極160は、Al層160aとTiN層160bとがそれぞれ250nm,150nm程度積層された構造を有する。このように静電遮蔽電極160に、共通容量電極131よりも電気抵抗の低い金属材料を用いることで、蓄積容量130の共通容量電極131の電気抵抗をより低減することができる。
【0040】
静電遮蔽電極160及び第4層間絶縁膜106の上には第5層間絶縁膜107が600nm程度積層され、更に、この第5層間絶縁膜107の上には、略矩形の画素電極150がマトリクス状に複数形成されている。この画素電極150は、前述したように、コンタクトホール440を介して中間層600に導電接続されるとともにコンタクトホール430を介して容量電極132に導電接続されている。そして、更に、コンタクトホール460を介して半導体層141のドレイン領域141cに導電接続されている。なお、中間層500及び中間層600は、信号線110と同層に(即ち、第4層間絶縁膜106上に)設けられており、信号線110を形成する際に、同時にパターン形成される。
この画素電極150及び第5層間絶縁膜107の上には、電圧無印加時における液晶分子の配向状態を規定するための配向膜170が形成されている。
【0041】
一方、対向基板200は、図4に示すように、ガラスや石英,樹脂等の透光性材料からなる基板本体200Aと、非画素領域に形成された遮光層201と、この遮光層201を覆って表示領域全面に形成された透明な共通電極250と、この共通電極250を覆うように表示領域全面に形成された配向膜270とを備えて構成されている。
【0042】
上述の基板100,200は、図示しないスペーサにより所定の基板間隔(ギャップ)だけ離間された状態で保持され、基板周縁部に設けられたシール材51により接着されている。そして、基板100,200と封止材とによって密閉された空間に液晶が密封されて液晶装置が構成されている。なお、液晶層300に高分子分散型液晶を用いる場合には、配向膜170,270は省略することができる。
【0043】
したがって、本実施形態の電気光学装置によれば、静電遮蔽電極160が画素電極150と信号線110との間に配置されているため、信号線110を通る画像信号の変動が画素電極電位に対して影響することを防止することができる。また、この静電遮蔽電極160は蓄積容量130の共通容量電極131に導電接続されてこの共通容量電極131の電気抵抗を低減しているため、仮に共通容量電極131の電位が信号線110を通る画像信号により変動された場合でも、この変動電位を速やかに解消できる。これにより、簡素な構成で縦クロストークと横クロストークとを共に防止でき、高品質な画像表示が可能となる。
また、本液晶装置では、湾曲した静電遮蔽電極160を信号線110に被せるように配置し、静電遮蔽電極160が信号線110の側部端面112まで包み込むような構成となっているため、一層高い静電遮蔽効果を得ることができる。
【0044】
[第1変形例]
次に、図8を参照しながら、本発明の第1変形例に係る液晶装置について説明する。
本変形例では、上記第1実施形態のものよりも静電遮蔽電極の形成領域を広げ、静電遮蔽電極160′を中間層600の上部領域まで延設している。このように静電遮蔽電極160′を右側の中間層600と重なる位置まで積極的に延長形成することで、上記第1実施形態において隙間となっている中間層500と中間層600との間から侵入する光によって共通容量電極131の特性が劣化されることを防止できる。
【0045】
[第2変形例]
次に、図9を参照しながら、本発明の第2変形例に係る液晶装置について説明する。
本変形例では、静電遮蔽電極161は、信号線110と平面的に重なるように形成された本線部(第1領域)と、走査線(図示略)と交差する箇所から走査線に沿って左右に突出した突出部(即ち、走査線と平面的に重なるように分岐した第2領域)とを有する。このように静電遮蔽電極161を十字状に形成することで、下層側に配された共通容量電極131や半導体層141に対する遮光性を一層高めることができる。
【0046】
[第3変形例]
次に、図10を参照しながら、本発明の第3変形例に係る液晶装置について説明する。
本変形例は、上記第2変形例の構成において、隣接する静電遮蔽電極の突出部同士を接続したものである。すなわち、本変形例では、静電遮蔽電極162は、信号線110と平面的に重なるように形成された第1の本線部1621と、走査線(図示略)と平面的に重なるように形成された第2の本線部1622とを有する。そして、第2の本線部1622は、表示領域52の端部において、コンタクトホール410を介して共通電位線17に導電接続されている。
このように本変形例では、走査線,信号線110の双方に対応して静電遮蔽電極162を設けているため、静電遮蔽能力及び遮光能力を最大限高めることができる。また、静電遮蔽電極162は、第1の本線部1621だけでなく第2の本線部1622も共通電位線17に導電接続されているため、共通容量電極131の電気抵抗を一層低減することができる。
【0047】
[電子機器]
次に、上述の電気光学装置を備えた電子機器の例について説明する。
図11は、上述の電気光学装置をライトバルブとして備えた投射型表示装置の構成を示す平面図である。本投射型表示装置1110は、上述のアクティブマトリクス基板を備えた液晶装置(電気光学装置)100を含むモジュールを3個準備し、各々RGB用のライトバルブ100R、100G、100Bとして用いたプロジェクタとして構成されている。この液晶プロジェクタ1110では、メタルハライドランプなどの白色光源のランプユニット1112から光が出射されると、3枚のミラー1116および2枚のダイクロイックミラー1118によって、R、G、Bの3原色に対応する光成分R、G、Bに分離され(光分離手段)、対応するライトバルブ100R、100G、100B(液晶装置100/液晶ライトバルブ)に各々導かれる。この際に、光成分Bは、光路が長いので、光損失を防ぐために入射レンズ1132、リレーレンズ1123、および出射レンズ1134からなるリレーレンズ系1131を介して導かれる。そして、ライトバルブ100R、100G、100Bによって各々変調された3原色に対応する光成分R、G、Bは、ダイクロイックプリズム1122(光合成手段)に3方向から入射され、再度合成された後、投射レンズ1124を介してスクリーン1130などにカラー画像として投射される。
上述の電子機器では、画像光を出力する電気光学装置に上述のアクティブマトリクス基板を用いているため、クロストークが防止された高品質な画像表示が可能となる。
【0048】
なお、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
例えば、上述の実施形態中には、各層(或いは各膜)の材料や厚みを具体的に示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、用途に応じて変更することができる。
【0049】
また、上記実施形態では、静電遮蔽電極160に、共通容量電極131と同等以上の導電性を有する金属材料を用いたが、共通容量電極よりも導電性の低い材料を用いることも可能である。この場合でも、共通容量電極の電気抵抗は低減されるため、本発明の効果を得ることができる。具体的には、静電遮蔽電極としてITO等の透光性導電材料を用いることができる。このように静電遮蔽電極に透明な部材を用いた場合、静電遮蔽電極を設けたことによる開口率の低下は生じない。このため、信号線110よりも十分に広い線幅の静電遮蔽電極を設けることで、一層高い静電遮蔽効果を得ることができる。
【0050】
また、上記実施形態では電気光学装置を液晶装置として説明したが、本発明はこれに限定されず、電気泳動装置、エレクトロルミネッセンス(EL)、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、或いは、プラズマ発光や電子放出による蛍光等を用いた様々な装置に対しても適用可能であるということは言うまでもない。この際、電気光学装置は反射型或いは透過型のいずれの表示装置であってもよい。
【0051】
【実施例】
本発明者らは、本発明の効果を実証するために、本発明に係るアクティブマトリクス基板の電気的特性をデバイスシミュレーションにより確認した。その結果について、以下に報告する。
【0052】
本実施例では、アクティブマトリクス基板として、上述の実施形態の構造を採用し、各層の材料や厚みも上記実施形態の記載に準じた構成としている。そして、静電遮蔽電極の線幅ALBを3μmに固定し、信号線の線幅ALAを変化させたときの画素電極と信号線との結合容量の大きさをシミュレーションした(図12参照)。なお、図12では、信号線幅ALAが3μmで且つ静電遮蔽電極を設けない構成における結合容量の大きさを基準として結合容量を規格化し、その大きさをパーセントで示している。
【0053】
図12のシミュレーション結果から、画素電極と信号線との結合容量は、静電遮蔽電極と信号線との相対的な大きさ(線幅の差)に大きく依存することがわかる。例えば、信号線の線幅を3.8μm程度(即ち、平面視したときに、信号線の両側部が静電遮蔽電極の側部から0.4μmずつはみ出した状態)とした場合の結合容量は、静電遮蔽電極を設けない場合と同じ大きさとなり、静電遮蔽効果は全く得られないことがわかる。また、信号線の線幅を静電遮蔽電極の線幅と同じく3μm(即ち、平面視したときに、静電遮蔽電極が信号線に対して完全に重なる状態)としたとき、静電遮蔽電極を設けない構成に比べて結合容量が3分の1程度にまで低減される。さらに、信号線の線幅を2μm程度(即ち、平面視したときに、静電遮蔽電極の両側部が信号線の側部から0.5μmずつはみ出し、このはみ出した部分によって信号線の側部端面が包み込まれるように覆われた状態)とした場合の結合容量は、静電遮蔽電極を設けない場合に比べて10分の1以下に低減される。
このように、凸状に湾曲して形成された静電遮蔽電極を信号線に被せるように配置することで、大きな遮蔽効果が得られることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る電気光学装置の平面図である。
【図2】同、電気光学装置の等価回路図である。
【図3】同、電気光学装置のアクティブマトリクス基板の平面図である。
【図4】図3のA−A′断面図である。
【図5】図4の要部拡大図である。
【図6】図3のB−B′断面を示す要部拡大図である。
【図7】同、アクティブマトリクス基板の要部平面図である。
【図8】本発明の第1変形例に係る電気光学装置の断面図である。
【図9】本発明の第2変形例に係る電気光学装置の断面図である。
【図10】本発明の第3変形例に係る電気光学装置の断面図である。
【図11】本発明の電子機器の一例を示す図である。
【図12】画素電極と信号線との間の結合容量のシミュレーション結果である。
【図13】従来のアクティブマトリクス基板の画素構造を示す平面図である。
【図14】図13との比較において、本発明の特徴部分を示す平面図である。
【符号の説明】
100…アクティブマトリクス基板、110…信号線、120…走査線、130…蓄積容量、131…共通容量電極(定電位側電極)、140…薄膜トランジスタ、150…画素電極、160…静電遮蔽電極、111…上部端面、112…側部端面、300…液晶層(電気光学層)
Claims (7)
- 複数の走査線と、
上記走査線に交差して設けられた複数の信号線と、
上記走査線と上記信号線との交差部に対応して設けられた薄膜トランジスタと、
上記薄膜トランジスタに対応して設けられた画素電極と、
上記薄膜トランジスタに対応して設けられた蓄積容量と、
上記画素電極を形成する層と上記信号線を形成する層との間に設けられ、且つ平面視で上記信号線に重なるように設けられるとともに、上記蓄積容量の定電位側の電極に導電接続された静電遮蔽電極とを備えたことを特徴とする、アクティブマトリクス基板。 - 上記画素電極を形成する層と上記信号線を形成する層とは平面視で一部重なるように配置されたことを特徴とする、請求項1記載のアクティブマトリクス基板。
- 上記静電遮蔽電極は、上記信号線の上記画素電極に対向する上部端面を覆うとともに、上記上部端面に隣接する側部端面の少なくとも一部を覆うように設けられたことを特徴とする、請求項1又は2記載のアクティブマトリクス基板。
- 上記静電遮蔽電極は金属材料からなることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかの項に記載のアクティブマトリクス基板。
- 上記静電遮蔽電極は透光性を有する導電部材からなることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかの項に記載のアクティブマトリクス基板。
- 請求項1〜5のいずれかの項に記載のアクティブマトリクス基板と、
上記アクティブマトリクス基板上に積層された電気光学層とを備えたことを特徴とする、電気光学装置。 - 請求項6記載の電気光学装置を備えたことを特徴とする、電子機器。
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