JP2004245273A - 動力伝達装置 - Google Patents

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Yukio Umemura
幸生 梅村
Shingo Kogami
新悟 小上
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Marelli Corp
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Abstract

【課題】エンジン等の動力源の動力を車両用空調装置の圧縮機等の補機に伝達すると共に、動力源の起動時や停止時の衝撃を緩和するダンパを備えた動力伝達装置にあって、ダンパの耐久性の向上を図る。
【解決手段】補機のハウジング1のボス部2に回転可能に支持されたプーリ4と、ボス部に対して同軸状に配置されると共にボス部から外方へ突出した回転軸の端部に固着されたハブ8とを連結してプーリからハブへ動力を伝達すると共に補機の負荷トルクが所定値を超えた場合に動力の伝達を遮断するようにしたものであって、プーリに取り付けられハブに連結された動力伝達用部材10と、この動力伝達用部材10とプーリの間に設けられ動力伝達用部材に押圧されて弾性変形する樹脂製のダンパ14とを備えた動力伝達装置において、動力伝達用部材に回転軸の軸線を中心とする円Cと直交する平面状のダンパ押圧面28を形成したことを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジン等の動力源の動力を車両用空調装置の圧縮機等の補機に伝達する動力伝達装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図3は従来のこの種の動力伝達装置の一例の正面図、図4は図3の動力伝達装置の側面断面図、図5は図3の動力伝達装置の裏面図、図6は図5の要部拡大図、図7は図6のB−B線断面図である。
【0003】
図4において、1はクラッチレス圧縮機のハウジングで、そのボス部2には軸受け3を介して第1の伝動部材としてのプーリ4が回転可能に支持されている。ハウジング1には、ボス部2に対して同軸状に配置されると共にボス部2から外方へ突出した回転軸5が収容されており、その端部には、ボルト6及びワッシャ7を介して第2の伝動部材としてのハブ8が固着されている。
【0004】
図5に示すように、プーリ4の内面にはダンパストッパ29が取り付けられ、そのダンパストッパ29には、三個の凹部(ダンパ収容部)9が、回転軸5の軸線L(図4参照)を中心とする円C(図6参照)上に120°の角度間隔をおいて形成されている。各凹部9は円Cと平行な円弧状に形成されている。
【0005】
図6、図7に示すように、各凹部9には、金属製の動力伝達用部材10が取り付けられている。この動力伝達用部材10は、略矩形の平板状のガイド部11と、このガイド部11の一方の面から凹部9内に向けて突出した円筒状の突出部12とから成っている。
【0006】
ガイド部11は、凹部9の両側面に摺動自在に係合している。突出部12はガイド部11の中心に溶接等により固定されていて、その中心孔13の内周面にはネジ溝が形成されている。凹部9内には、突出部12を包囲するようにゴム製のダンパ14が収容されている。
【0007】
図4に示すように、突出部12の先端はプーリ4の底壁に形成された貫通孔15を貫通しており、その端面にはネジ16を介して円弧状の板バネ17の一端が固定されている。この板バネ17は、他端側に向かってハブ8の裏面に次第に接近するように形成されており、他端側の先端にはプーリ4側に向けて突出したドーム状の突起18が形成されている。
【0008】
ハブ8は、回転軸5にスプライン結合された直軸部19と、その一端から径外方向に張り出した略円形の平板状部20とから成っている。図3に示すように、平板状部20の周縁部には、径外方向に突出した三個の突片21が120°の角度間隔をおいて形成されている。
【0009】
また、図4に示すように、平板状部20の裏面には、弾発性を有する板材から成る押さえ部材22がネジ23を介して固定されている。この押さえ部材22は、平板状部20と対応する形状を有しており、平板状部20と同心状に配置され、その周縁部には、平板状部20の突片21と重なり合う三個の突出片24(図3参照)が形成されている。各突出片24と突片21の間には板バネ17の他端が挟み込まれていて、各突出片24には板バネ17の突起18が嵌合する円形の貫通孔25が形成されている。
【0010】
プーリ4の外周部にはベルト(図示せず)が巻き掛けられており、このベルトはエンジン(図示せず)のクランクシャフトに連結されている。エンジンを駆動するとプーリ4が回転し、エンジンの動力が、ダンパ14、動力伝達用部材10、及びネジ16を介して板バネ17に伝達され、さらに板バネ17の突起18を介して押さえ部材22からハブ8に伝達されて回転軸5が回転する。
【0011】
クラッチレス圧縮機の内部に焼き付け等の異常が発生して負荷トルクが所定値を超えた場合には、各押さえ部材22がプーリ4側に弾性変形して各突起18が貫通孔25から離脱し、各板バネ17の他端が押さえ部材22とハブ8の平板状部20の間から抜け出る。これによってプーリ4からハブ8への動力の伝達が遮断されるので、プーリ4が空転する。
【0012】
なお、エンジンの起動時や停止時には動力伝達用部材10がプーリ4の回転方向と反対の方向に微小距離移動し、ダンパ14が突出部12により押圧されて弾性変形するため、突出部12や板バネ17等に掛かる衝撃が緩和され、これらの破損を防止することができる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術のものでは、突出部12が円筒状のものであるため、突出部12の中心点を通る円C(図6参照)と突出部12の外周面との交点Pに応力が集中する。そのため、ダンパ14の変形量が局部的に大きくなって亀裂や破断が生じ、所望のダンパ性能が得られなくなるという問題点が有った。
【0014】
また、プーリ4は鋳造や射出成形で成形されている関係上、図7に示すように、円Cと交差する凹部9の端面26,26は抜き勾配を有するテーパ状となっており、ダンパ14の端面27,27との間に楔形のクリアランス28が生じるため、ダンパ14が動力伝達用部材10に押圧された際にダンパ14の端面27が全面にわたって均一な応力で端面26に接することができない。そのため、ダンパ14の変形量が局部的に大きくなって亀裂や破断が生じ、所望のダンパ性能が得られなくなるという問題点が有った。
【0015】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、エンジン等の動力源の動力を車両用空調装置の圧縮機等の補機に伝達すると共に、動力源の起動時や停止時の衝撃を緩和するダンパを備えた動力伝達装置にあって、ダンパの耐久性の向上を図ることにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、
補機のハウジング1のボス部2に回転可能に支持された第1の伝動部材4と、ボス部2に対して同軸状に配置されると共にボス部2から外方へ突出した回転軸5の端部に固着された第2の伝動部材8とを連結して第1の伝動部材4から第2の伝動部材8へ動力を伝達すると共に補機の負荷トルクが所定値を超えた場合に動力の伝達を遮断するようにしたものであって、第1の伝動部材4に取り付けられ第2の伝動部材8に連結された動力伝達用部材10と、この動力伝達用部材10と第1の伝動部材4の間に設けられ動力伝達用部材10に押圧されて弾性変形する樹脂製のダンパ14とを備えた動力伝達装置において、
動力伝達用部材10に回転軸5の軸線を中心とする円Cと直交する平面状のダンパ押圧面28を形成したことを特徴としている。
【0017】
また、請求項2記載の発明は、
補機のハウジング1のボス部2に回転可能に支持された第1の伝動部材4と、ボス部2に対して同軸状に配置されると共にボス部2から外方へ突出した回転軸5の端部に固着された第2の伝動部材8とを連結して第1の伝動部材4から第2の伝動部材8へ動力を伝達すると共に補機の負荷トルクが所定値を超えた場合に動力の伝達を遮断するようにしたものであって、第1の伝動部材4に形成され回転軸5の軸線を中心とする円Cと公差する端面26を有するダンパ収容部9と、このダンパ収容部9内に取り付けられ第2の伝動部材8に連結された動力伝達用部材10と、ダンパ収容部9内に収容され動力伝達用部材10と端面26との間で押圧されて弾性変形する樹脂製のダンパ14とを備えた動力伝達装置において、
ダンパ14におけるダンパ収容部9の端面26と接する端面27を端面26と平行になるように形成したことを特徴としている。
【0018】
また、請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の動力伝達装置において、
補機が車両用空調装置の圧縮機であり、動力源がエンジンであることを特徴としている。
【0019】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、動力伝達用部材10に回転軸5の軸線を中心とする円Cと直交するダンパ押圧面28を形成したことにより、動力伝達用部材10がダンパ14に与える応力が局部的に集中することがなくなるため、ダンパ14に亀裂や破断が生じにくくなり、耐久性が向上する。
【0020】
また、請求項2記載の発明によれば、ダンパ14におけるダンパ収容部9の端面26と接する端面27を端面26と平行になるように形成したことにより、ダンパ収容部9の端面26からダンパ14に与えられる応力が局部的に集中することがなくなるため、ダンパ14に亀裂や破断が生じにくくなり、耐久性が向上する。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の一実施形態である動力伝達装置の裏面側の要部拡大図、図2は図1のA−A線断面図である。なお、本実施形態において、上記従来例と対応する部分には同一の符号を付してあり、同一の部分については説明を省略してある。
【0022】
本実施形態では、動力伝達用部材10の突出部12に、円Cと直交する一対の平面状のダンパ押圧面28,28が形成されている。なお、各ダンパ押圧面28は突出部12の軸方向全長にわたって形成されている。また、本実施形態では、ダンパ14の端面27,27が端面26,26と平行になるように形成されている。本実施形態のその他の構成は上記従来例と同一である。
【0023】
このような構成によれば、動力伝達用部材10がダンパ14に与える応力が局部的に集中することがなくなると共に、凹部9の端面26からダンパ14に与えられる応力が局部的に集中することがなくなるため、ダンパ14に亀裂や破断が生じにくくなり、耐久性が向上する。
【0024】
なお、本実施形態では、補機が車両用空調装置の圧縮機で、動力源がエンジンである場合について説明したが、その他の補機や動力源にも適用可能である。
【0025】
また、ダンパの材質はゴムに限定されるものではない。また、本実施形態ではダンパストッパをプーリとは別体とした構造としているが、ダンパストッパをプーリに一体的に形成するようにしてもよい。
【0026】
その他にも、本発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に種々の変形を施すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である動力伝達装置の裏面側の要部拡大図。
【図2】図1のA−A線断面図。
【図3】従来の動力伝達装置の一例の正面図。
【図4】図3の動力伝達装置の側面断面図。
【図5】図3の動力伝達装置の裏面図。
【図6】図5の要部拡大図。
【図7】図6のB−B線断面図。
【符号の説明】
1 ハウジング
2 ボス部
4 プーリ(第1の伝動部材)
5 回転軸
8 ハブ(第2の伝動部材)
9 凹部(ダンパ収容部)
10 動力伝達用部材
14 ダンパ
26 凹部9の端面
27 ダンパ14の端面
28 ダンパ押圧面

Claims (3)

  1. 補機のハウジング(1)のボス部(2)に回転可能に支持された第1の伝動部材(4)と、ボス部(2)に対して同軸状に配置されると共にボス部(2)から外方へ突出した回転軸(5)の端部に固着された第2の伝動部材(8)とを連結して第1の伝動部材(4)から第2の伝動部材(8)へ動力を伝達すると共に補機の負荷トルクが所定値を超えた場合に動力の伝達を遮断するようにしたものであって、第1の伝動部材(4)に取り付けられ第2の伝動部材(8)に連結された動力伝達用部材(10)と、この動力伝達用部材(10)と第1の伝動部材(4)の間に設けられ動力伝達用部材(10)に押圧されて弾性変形する樹脂製のダンパ(14)とを備えた動力伝達装置において、
    動力伝達用部材(10)に回転軸(5)の軸線を中心とする円(C)と直交する平面状のダンパ押圧面(28)を形成したことを特徴とする動力伝達装置。
  2. 補機のハウジング(1)のボス部(2)に回転可能に支持された第1の伝動部材(4)と、ボス部(2)に対して同軸状に配置されると共にボス部(2)から外方へ突出した回転軸(5)の端部に固着された第2の伝動部材(8)とを連結して第1の伝動部材(4)から第2の伝動部材(8)へ動力を伝達すると共に補機の負荷トルクが所定値を超えた場合に動力の伝達を遮断するようにしたものであって、第1の伝動部材(4)に形成され回転軸(5)の軸線を中心とする円(C)と公差する端面(26)を有するダンパ収容部(9)と、このダンパ収容部(9)内に取り付けられ第2の伝動部材(8)に連結された動力伝達用部材(10)と、ダンパ収容部(9)内に収容され動力伝達用部材(10)と端面(26)との間で押圧されて弾性変形する樹脂製のダンパ(14)とを備えた動力伝達装置において、
    ダンパ(14)におけるダンパ収容部(9)の端面(26)と接する端面(27)を端面(26)と平行になるように形成したことを特徴とする動力伝達装置。
  3. 補機が車両用空調装置の圧縮機であり、動力源がエンジンであることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の動力伝達装置。
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