JP2004245053A - 内燃機関の燃料噴射制御装置 - Google Patents

内燃機関の燃料噴射制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】電子制御式の燃料噴射弁に制御信号を印加してから燃料噴射が開始されるまでに要する時間である燃料噴射弁の最少駆動時間の更新に際し、最小限の演算負荷で且つ、より精度の高い最少駆動時間を求める。
【解決手段】燃料噴射弁による燃料噴射量に応じた出力変化が得られるセンサを用いて、各別の燃料噴射量を指令する2つの所定のパラメータ(P1、P2)を燃料噴射量の経時変化度合いが緩和される方向に再設定したときの燃料噴射量に相当する値(S1、S2)をそれぞれ取得する。そして、該取得した値(S1、S2)を補間して近似式Kを求め、この求めた近似式Kと燃料無噴射時に相当する値(S0)との交点に基づき最少駆動時間に相当する時間を新たに算出して、予め保持されている最少駆動時間を学習更新する。この学習更新は、燃料噴射弁の劣化が判定されたときに限って実行する。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子制御式の燃料噴射弁を用いて内燃機関への燃料噴射態様を制御する内燃機関の燃料噴射制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ディーゼル機関では近年、電磁駆動式の燃料噴射弁に電子制御された制御信号を印加することにより、コモンレール(畜圧室)に蓄えられている高圧燃料を機関燃焼室に噴射するコモンレール式高圧燃料噴射システム(以下、コモンレールシステムという)が採用されることが多い。こうしたコモンレールシステムでは基本的に、機関回転速度に依存することなく、燃料噴射弁の開閉を直接制御することができるため、燃料噴射圧、燃料噴射量、燃料噴射時期などをそれぞれ独立して設定することができる。
【0003】
そのため、このコモンレールシステムを採用するディーゼル機関では、一燃焼サイクルにつき複数回の微小噴射を行う、いわゆる多段噴射(マルチ噴射)を実施して、スモークや窒化酸化物(NOx)等の低減を図ることも容易である。ちなみに、こうしたマルチ噴射の一例として、例えば主噴射にて噴射する燃料の一部を予め主噴射に先立って噴射するパイロット噴射では、主噴射による主燃焼時の急激な燃焼圧や燃焼温度の上昇を抑制することができるため、燃焼騒音の低減やNOxの抑制が図られる。またこれ以外にも、例えば主噴射の前後の近接した時期に微量の燃料を噴射するプレ噴射やアフタ噴射では、主噴射による燃焼の更なる促進を図ることが可能となり、スモーク等の発生が抑制される。また、主噴射に大きく遅角した時期、すなわち燃焼行程後期に燃料を噴射するポスト噴射では、排気の昇温や還元成分の供給によって触媒が活性化されやすくなり、ひいては排気エミッションの向上が図られる。
【0004】
一方、電磁駆動式の燃料噴射弁は周知のように、燃料噴射弁に上記制御信号が印加されることによって開閉駆動される。すなわち、燃料噴射弁の電磁弁は、制御信号の印加(通電)によってノズルが開弁するように駆動され、このノズルの開弁に伴って燃料噴射が開始される。一方、同電磁弁は、上記制御信号の印加解除(遮電)によってノズルが閉弁するように駆動され、このノズルの閉弁に伴って燃料噴射が停止される。
【0005】
ところで、こうした電磁駆動式の燃料噴射弁を用いて燃料噴射態様を制御する場合には、その駆動開始から噴射開始までのタイムラグを考慮する必要がある。すなわち、燃料噴射弁にはその機械構造上、弁体の応答遅れなどに起因して、駆動開始から噴射開始までには上記タイムラグがある。そのため、こうしたタイムラグを考慮して、燃料噴射開始に必要とする駆動時間を最少駆動時間として予め把握しておくことで、想定した時期に想定した量にて燃料噴射制御を実施することが可能となる。特に、上述したマルチ噴射では、微小噴射を実現するために、より木目細かな制御信号の生成が必要となるため、正確な最少駆動時間の把握が欠かせないものとなっている。
【0006】
ただし、上記最少駆動時間は、一旦その時間が把握されたとしても、燃料噴射弁の劣化を含む経時変化等によって変動をきたすことが多い。また、こうした最少駆動時間は、燃料噴射弁の製造上の公差等により、多気筒内燃機関の各気筒ごとに異なっている場合もある。
【0007】
そこで従来は、例えば特許文献1に示されるように、炭化水素の含有量を検出するHCセンサを用いるとともに、燃料無噴射時を基準(閾値)とした該センサの燃料噴射に伴う出力値の変化に基づいてその都度の最少駆動時間を算出する方法なども提案されている。すなわちここでは、その時点で保持されている最少駆動時間に基づいてまずは燃料噴射が実施される。そして、このとき検出される上記センサのセンサ出力値が上記基準とする値(無噴射時の値)よりも大きい場合には、該保持されている最少駆動時間が所定時間だけ短縮されるように最少駆動時間が仮補正される。続いて、この仮補正された最少駆動時間に基づいて燃料噴射が実施されたときのHCセンサの出力値が再び検出される。このような処理が、上記検出されるHCセンサの出力値が上記基準値以下となるまで繰り返し行われ、同センサの出力値が上記基準値以下となったときに仮補正された最小駆動時間の値が、当該燃料噴射弁の最少駆動時間として再設定(学習更新)される。
【0008】
一方、上記検出されるHCセンサの出力値が上記基準とする値(無噴射時の値)よりも小さい場合には、上記保持されている最少駆動時間が所定時間だけ伸長されるように最少駆動時間が仮補正される。そしてこの場合にも、この仮補正された最少駆動時間に基づいて燃料噴射が実施されたときのHCセンサの出力値が再び検出される。この処理も上記検出されるHCセンサの出力値が上記基準値よりも大きくなるまで繰り返し行われ、同センサの出力値が上記基準値よりも大きくなったときに仮補正された最小駆動時間の値が、当該燃料噴射弁の最少駆動時間として再設定(学習更新)される。
【0009】
なお、これら最少駆動時間の補正、すなわち学習更新は、気筒別に順番に繰り返し行われるため、すべての気筒の燃料噴射弁についてその経時変化等に対する補償が継続的に維持されるようになる。
【0010】
【特許文献1】
特開平11−294227号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように、HCセンサの出力値を用いて最少駆動時間を補正(学習更新)していくことで、燃料噴射弁に劣化等の経時変化が生じた場合にあっても、所望とする態様での燃料噴射制御を実行することはできる。
【0012】
しかし、こうした方法では、必要とされる最少駆動時間が得られるまでに燃料噴射を幾度となく試行しつつ上述した比較処理等が繰り返されるため、最少駆動時間の算出にかかる演算負荷の増大が無視できないものとなっている。
【0013】
さらに、上記補正される最少駆動時間の値も、最初に検出されたセンサ出力値が基準値よりも大きければ小さくなるように、また基準値よりも小さければ大きくなるようにといった態様で補正される。そのため、本来の最少駆動時間から逸脱した補正が行われていたとしても、これら条件さえ満たされていれば最少駆動時間とみなされることとなり、その補正精度といった面においても未だ課題を残すものとなっている。
【0014】
また、燃料噴射の開始直後は、燃料噴射量も少ないことから、上記HCセンサとしてもその出力変化が小さく、外乱の影響を受けやすい。したがって、上記従来の方法では、この点においても、最少駆動時間の正確な把握が困難なものとなっている。
【0015】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、燃料噴射弁の最少駆動時間の更新に際し、その演算負荷を大幅に軽減することのできる燃料噴射制御装置を提供することにある。
【0016】
また、本発明の目的は、燃料噴射弁の最少駆動時間の更新に際し、最小限の演算負荷で且つ、より精度の高い最少駆動時間を求めることのできる燃料噴射制御装置を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
こうした目的を達成するため、請求項1に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置では、制御信号により駆動されるとともに、駆動開始から噴射開始までにタイムラグがあり、噴射開始後に駆動時間に応じた噴射量で燃料噴射がなされる電子制御式の燃料噴射弁を備え、該燃料噴射弁による前記燃料噴射の開始に必要とする駆動時間を最少駆動時間として保持しつつ、この最少駆動時間に基づき同燃料噴射弁の駆動時間を決定する内燃機関の燃料噴射制御装置として、前記燃料噴射弁による燃料噴射量の経時変化度合いに基づいて同燃料噴射弁の劣化の有無を判定する劣化判定手段を備えるとともに、該劣化判定手段にて前記燃料噴射弁の劣化が判定されるとき、前記保持する最少駆動時間を学習更新する構成としている。これにより、最少駆動時間の学習更新は、上記劣化判定手段にて燃料噴射弁の劣化が判定されるときに限って実行されることとなり、燃料噴射制御装置としての演算負荷を最小限に抑えることができるようになる。
【0018】
また、請求項2に記載の燃料噴射制御装置では、上記構成を前提とした上で、燃料噴射弁による燃料噴射量に応じた出力変化が得られるセンサを備えることとし、且つ、前記劣化判定手段を、
(イ)前記燃料噴射弁の燃料無噴射時に相当する前記センサのセンサ出力値と、一定の燃料噴射量を指令する所定のパラメータにて前記燃料噴射弁を駆動したときの前記センサのセンサ出力値との差、もしくは比を初期値として取得してこれを保持する初期値保持手段。
(ロ)前記燃料噴射弁による燃料噴射量の経時変化を監視し得る任意のタイミングで、前記燃料噴射弁の前記燃料無噴射時に相当する前記センサのセンサ出力値と、前記所定のパラメータにて前記燃料噴射弁を駆動したときの前記センサのセンサ出力値との差、もしくは比を現状値として取得する現状値取得手段。
(ハ)これら初期値と現状値との比較に基づいて前記燃料噴射弁の劣化の有無を判定する比較手段。
をそれぞれ備える構成としている。劣化判定手段のこのような構成によれば、燃料噴射弁の経時変化度合いを、上記初期値に対する上記現状値の推移として的確に捉えることができるようになり、その劣化判定精度も自ずと高く維持されるようになる。
【0019】
また、請求項3に記載の燃料噴射制御装置では、劣化判定手段を構成する上記比較手段についてこれを、前記現状値が前記初期値に対し所定の範囲を超えてずれていることに基づいて前記燃料噴射弁が劣化している旨を判定するものとして構成している。比較手段のこのような構成によれば、上記初期値に対する所定の範囲の設定を通じて、燃料噴射弁の経時変化度合いに対する閾値、換言すれば、燃料噴射弁の劣化度合いに対する許容値、あるいは上記最少駆動時間を学習更新したい時期といったものを任意に調整することができることとなり、燃料噴射制御装置としてのシステム運用上の自由度も自ずと高められるようになる。
【0020】
また、請求項4に記載の燃料噴射制御装置では、上記最少駆動時間の学習更新に際し、次のようなメカニズムを採用している。すなわち、
(a)前記初期値保持手段および前記現状値取得手段の少なくとも一方に、各別の燃料噴射量を指令する少なくとも2つの所定のパラメータ(P1、P2、…)を保持しておく。
(b)前記現状値が前記初期値を下回る方向にずれているときには、所定のパラメータ(P1、P2、…)を共に前記燃料噴射量が所定量だけ増量される方向に再設定し、前記現状値が前記初期値を上回る方向にずれているときには、所定のパラメータ(P1、P2、…)を共に前記燃料噴射量が所定量だけ減量される方向に再設定してそれぞれ燃料噴射弁を駆動したときの前記センサのセンサ出力値(S1、S2、…)を取得する。
(c)これら取得したセンサのセンサ出力値(S1、S2、…)を補間して近似式を求める。
(d)この求めた近似式と燃料無噴射時に相当するセンサのセンサ出力値(S0)との交点に基づいて最少駆動時間に相当する時間を新たに算出する。
【0021】
ここで、特に上記(c)の態様で一旦近似式を求めれば、その後はセンサ出力に頼らずとも、当該燃料噴射弁の噴射特性がほぼ明らかとなる。このため、上記燃料無噴射時に相当するセンサのセンサ出力値(S0)を閾値とする上記燃料噴射の開始に必要とする駆動時間、すなわち最少駆動時間も、燃料噴射弁に制御信号を印加してから上記近似式が上記センサのセンサ出力値(S0)に差交するまでの時間として、一義的に、しかもより正確に算出することができるようになる。そして、この算出された時間にて上記保持されている最少駆動時間の値を更新することで、以降は、燃料噴射弁の劣化度合いが加味された正確な燃料噴射制御が維持されるようになる。
【0022】
一方、請求項5に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置では、制御信号により駆動されるとともに、駆動開始から噴射開始までにタイムラグがあり、噴射開始後に駆動時間に応じた噴射量で燃料噴射がなされる電子制御式の燃料噴射弁を備え、該燃料噴射弁による前記燃料噴射の開始に必要とする駆動時間を最少駆動時間として保持しつつ、この最少駆動時間に基づき同燃料噴射弁の駆動時間を決定する内燃機関の燃料噴射制御装置として、前記燃料噴射弁による燃料噴射量の経時変化度合いに基づいて同燃料噴射弁の劣化の有無を判定する劣化判定手段を備えるとともに、該劣化判定手段にて前記燃料噴射弁の劣化が判定されるとき、各別の燃料噴射量を指令する少なくとも2つの所定のパラメータ(P1、P2、…)を前記燃料噴射量の経時変化度合いが緩和される方向に再設定したときの燃料噴射量に相当する値(S1、S2、…)をそれぞれ取得するとともに、該取得した値(S1、S2、…)を補間して近似式を求め、この求めた近似式と燃料無噴射時に相当する値(S0)との交点に基づき前記最少駆動時間に相当する時間を新たに算出して、前記保持する最少駆動時間を学習更新する構成としている。このような構成によっても、最少駆動時間の学習更新は、上記劣化判定手段にて燃料噴射弁の劣化が判定されるときに限って実行されることとなり、燃料噴射制御装置としての演算負荷を最小限に抑えることができるようになる。しかも同構成によれば、上記態様で一旦近似式を求めることによって当該燃料噴射弁の噴射特性がほぼ明らかとなる。このため、上記燃料無噴射時に相当する値(S0)を閾値とする上記燃料噴射弁において燃料噴射の開始に必要とする駆動時間、すなわち最少駆動時間も、上記制御信号を印加してから上記近似式が上記値(S0)に差交するまでの時間として、一義的に、しかもより正確に算出することができるようになる。そして、この算出された時間にて上記保持されている最少駆動時間の値を更新することで、以降は、燃料噴射弁の劣化度合いが加味された正確な燃料噴射制御が維持されるようになる。
【0023】
なおここで、上記パラメータ(P1、P2、…)を再設定したときの燃料噴射量に相当する値としては、例えば該当する燃料噴射弁について予めその劣化推移(劣化傾向)を実験等により求めた推定値なども適宜採用することができる。
【0024】
また、請求項6に記載の燃料噴射制御装置では、上記構成を前提とした上で、燃料噴射弁による燃料噴射量に応じた出力変化が得られるセンサを備えることとし、且つ、前記劣化判定手段を、
(イ)前記燃料噴射弁の燃料無噴射時に相当する前記センサのセンサ出力値と、一定の燃料噴射量を指令する所定のパラメータ(P1)にて前記燃料噴射弁を駆動したときの前記センサのセンサ出力値(S1)との差、もしくは比を初期値として取得してこれを保持する初期値保持手段。
(ロ)前記燃料噴射弁による燃料噴射量の経時変化を監視し得る任意のタイミングで、前記燃料噴射弁の前記燃料無噴射時に相当する前記センサのセンサ出力値(S0)と、前記所定のパラメータ(P1)にて前記燃料噴射弁を駆動したときの前記センサのセンサ出力値(S1)との差、もしくは比を現状値として取得する現状値取得手段。
(ハ)これら初期値と現状値との比較に基づいて前記燃料噴射弁の劣化の有無を判定する比較手段。
をそれぞれ備える構成としている。劣化判定手段のこのような構成によれば、燃料噴射弁の経時変化度合いを、上記初期値に対する上記現状値の推移として的確に捉えることができるようになり、その劣化判定精度も自ずと高く維持されるようになる。
【0025】
また、請求項7に記載の燃料噴射制御装置では、劣化判定手段を構成する上記比較手段についてこれを、前記現状値が前記初期値に対し所定の範囲を超えてずれていることに基づいて前記燃料噴射弁が劣化している旨を判定するものとして構成している。比較手段のこのような構成によれば、上記初期値に対する所定の範囲の設定を通じて、燃料噴射弁の経時変化度合いに対する閾値、換言すれば、燃料噴射弁の劣化度合いに対する許容値、あるいは上記最少駆動時間を学習更新したい時期といったものを任意に調整することができることとなり、燃料噴射制御装置としてのシステム運用上の自由度も自ずと高められるようになる。
【0026】
また、請求項8に記載の燃料噴射制御装置では、上記請求項6または7に記載の構成を前提として、
(e)前記各別の燃料噴射量を指令する少なくとも2つの所定のパラメータ(P1、P2、…)が、前記初期値保持手段および前記現状値取得手段の少なくとも一方に保持される。
(f)これらパラメータ(P1、P2、…)の前記燃料噴射量の経時変化度合いが緩和される方向への再設定は、前記現状値が前記初期値を下回る方向にずれているときにはそれらパラメータ(P1、P2、…)を共に前記燃料噴射量が所定量だけ増量される値に再設定し、前記現状値が前記初期値を上回る方向にずれているときにはそれら所定のパラメータ(P1、P2、…)を共に前記燃料噴射量が所定量だけ減量される値に再設定する態様で行われる。
(g)該パラメータ(P1、P2、…)を再設定したときの前記燃料噴射量に相当する値(S1、S2、…)が、それら再設定したパラメータ(P1、P2、…)にて前記燃料噴射弁を駆動したときの前記センサのセンサ出力値である。
といった構成を採用している。上述のように、上記パラメータ(P1、P2、…)を再設定したときの燃料噴射量に相当する値(S1、S2、…)としては、例えば該当する燃料噴射弁について予めその劣化推移(劣化傾向)を実験等により求めた推定値なども適宜採用することができるが、特にこの構成のように、上記パラメータ(P1、P2、…)を再設定したときの燃料噴射量に相当する値(S1、S2、…)として、それら再設定したパラメータ(P1、P2、…)にて燃料噴射弁を駆動したときの上記センサのセンサ出力値を用いるようにしたことで、近似式の精度、ひいては学習精度を高く維持することができるようになる。
【0027】
また、請求項9に記載の燃料噴射制御装置では、前記センサを用いる構成において、燃料噴射弁の燃料無噴射時に相当する前記センサのセンサ出力値として、燃料無噴射時とみなせる期間における同センサの実測値を採用するようにしている。このような構成により、燃料噴射弁の劣化判定を行うにしろ、あるいは最少駆動時間の学習更新を行うにしろ、それら劣化判定や学習更新にかかる信頼性を高く維持することができるようになる。
【0028】
なお、このようなセンサ、すなわち燃料噴射弁による燃料噴射量に応じた出力変化が得られるセンサとしては、請求項10に記載のように、前記内燃機関の燃焼圧力をセンサ出力値として出力するもの、機関回転数の変化量をセンサ出力値として出力するもの、排気ガスの状態をセンサ出力値として出力するもの、あるいは機関本体に生じる振動や加速度等、その運動エネルギをセンサ出力値として出力するもの、等々を採用することができる。
【0029】
他方、請求項11に記載の燃料噴射制御装置では、こうしたセンサのセンサ出力値に基づいて前記近似式を求めるに際し、それらセンサのセンサ出力値(S1、S2、…)を、例えば車両減速運転時などのフューエルカット期間中を含めて内燃機関のそれぞれ一致する運転環境のもとで取得する構成としている。これにより、同センサのセンサ出力値(S1、S2、…)に直接影響する測定環境の違いが解消され、より高い精度にて上記近似式を求めることができるようになる。
【0030】
さらに、請求項12に記載の燃料噴射制御装置では、こうしたセンサのセンサ出力値の取得に際し、同センサのセンサ出力値(S1、S2、…)は各々、他のセンサのセンサ出力値に反映された燃料噴射の影響が収束したとみなせるときに取得する構成としている。このような構成を採用することによって、それら取得されるセンサのセンサ出力値の一つひとつがより信頼性の高い値となり、ひいては上記求められる近似式の精度も更に高められるようになる。
【0031】
そして、請求項13に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置では、当該内燃機関が多気筒内燃機関であるとともに、燃料噴射弁も、該内燃機関のそれら気筒毎に設けられることを前提に、前記劣化判定手段による燃料噴射弁の劣化判定、および前記最少駆動時間の学習更新が、それら各気筒の燃料噴射弁毎に各別に行われることとしている。こうした複数の燃料噴射弁が設けられる場合、それら各燃料噴射弁の個体差については、他の何らかの手法によってその吸収が図られているとしても、経時変化度合い、すなわち劣化度合いは、それら各燃料噴射弁毎に異なってくるのが普通である。そこで、この請求項13に記載の燃料噴射制御装置のように、上述した燃料噴射弁の劣化判定および最少駆動時間の学習更新を、それら各燃料噴射弁毎に各別に行うようにすることで、演算負荷を最小限に抑えつつ、多気筒内燃機関全体としての燃料噴射制御も常に適正に維持することができるようになる。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、この発明を具体化した一実施の形態について図面に従って説明する。本実施の形態では、車載ディーゼル機関用のコモンレール式燃料噴射制御装置を対象に本発明を具体化している。
【0033】
はじめに図1を参照して、こうしたコモンレール式燃料噴射制御装置の構成並びに動作を簡単に説明する。
同図1に示されるように、本実施の形態の燃料噴射制御装置は、大きくは、ディーゼル機関10に燃料を供給する燃料噴射弁12(12a〜12d)、コモンレール(畜圧室)20、燃料ポンプ22、各種センサ、そしてそれらのセンサの出力に基づいてこれらを制御する電子制御ユニット30を備えて構成される。
【0034】
ここで、上記燃料噴射弁12(12a〜12d)は、電磁駆動式の開閉弁であり、多気筒内燃機関であるディーゼル機関10の各気筒11(11a〜11d)に対してそれぞれ配設されている。すなわち、この燃料噴射弁12(12a〜12d)は、その内部に形成された電磁弁(図示略)に、電子制御ユニット30を通じて生成された制御信号が印加されることによって開閉駆動されるようになっている。また、これら燃料噴射弁12(12a〜12d)は、畜圧室であるとともに、燃料の分配管でもあるコモンレール20に接続されている。そしてこのコモンレール20には、燃料供給管21を介して燃料ポンプ22が接続されている。この燃料ポンプ22は、ディーゼル機関10の出力軸であるクランク軸13の回転に基づいてポンプ動作を行う機関駆動式の高圧ポンプであり、図示しない電磁スピル弁等の開閉制御と協働してコモンレール20内部への燃料の吐出量およびその燃料圧力を調整している。
【0035】
一方、電子制御ユニット30は、双方向バス31により互いに接続されたROM(読み出し専用メモリ)32、RAM(随時書き込み読み出しメモリ)33、CPU(中央処理装置)34、およびEEPROMやフラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ35を備えている。またこれら各要素は、上記双方向バス31により、入力ポート36および出力ポート37とも接続されている。
【0036】
そして、上記クランク軸13の近傍には、その回転角(回転速度)を検出するためのNEセンサ40が設けられており、この出力は図示しない波形整形回路を介して2値化された後、電子制御ユニット30の上記入力ポート36に取り込まれる。その他にも、ディーゼル機関10の運転状態を検出するセンサとしては、コモンレール20内の燃料圧力を検出するコモンレール圧(燃料圧)センサ41や、ディーゼル機関10の排気通路に設けられる空燃比センサ42等が設けられている。これら各センサの出力は、電子制御ユニット30内に設けられているA/D変換器38を介して上記入力ポート36に取り込まれる。また本実施の形態では、後述する燃料噴射弁12(12a〜12d)の劣化判定処理に際し、その判定タイミングの指標とするパラメータとして、上記ディーゼル機関10を搭載する車両の走行距離を採用している。そこで、本実施の形態では、この車両の走行距離を計測する距離計43の出力も、電子制御ユニット30の上記入力ポート36に取り込むようにしている。
【0037】
こうして各種センサの出力が取り込まれる電子制御ユニット30では、上記ROM32に記憶されている制御プログラムや初期データ、制御マップ等に従ってCPU34が所定の演算処理を実行する。そして、その演算結果がRAM33や書き込み可能な不揮発性メモリ35に格納されるとともに、適宜上記出力ポート37に出力される。例えばこの演算結果が、上記燃料噴射弁12による燃料噴射態様を制御するものであった場合、同演算結果はその駆動指令として、上記出力ポート37を介して駆動回路39に伝達される。このとき駆動回路39では、この伝達される駆動指令に基づいて、上記燃料噴射弁12(12a〜12d)の別にそれぞれ対応する制御信号を生成し、該生成した制御信号にてそれら燃料噴射弁12を駆動する。
【0038】
このように、本実施の形態の燃料噴射制御装置では、電子制御ユニット30から燃料噴射弁12に制御信号が印加されることによって燃料噴射弁12のディーゼル機関10に対する燃料噴射態様、すなわち燃料噴射時期および燃料噴射量(期間)が制御される。
【0039】
ところで前述のように、上記燃料噴射弁12は、その機械構造上、電子制御ユニット30からの制御信号の印加に基づく駆動開始から噴射開始までにタイムラグが生じる。そのため、電子制御ユニット30は、予めこうしたタイムラグを考慮して、燃料噴射開始に必要とする駆動時間を最少駆動時間として保持しつつ、この最少駆動時間に基づき上記制御信号の印加時期を決定することで、燃料噴射態様を制御している。
【0040】
さらに本実施の形態にあって、電子制御ユニット30は、上記最少駆動時間が燃料噴射弁12の経時変化等によって変動する場合であっても所定の燃料噴射態様が維持されるように、上記車両の走行距離を指標とした任意のタイミングで、上記燃料噴射弁12の劣化判定処理を実行する。この劣化判定処理の実行にあたってはまず、燃料噴射弁12による燃料噴射量に応じた出力変化が得られるセンサを用いて、各気筒の燃料噴射弁12の別に、初期段階の一定の燃料噴射量に基づくセンサ出力値を検出する。そして、燃料無噴射時の同センサの出力値との対比のもとに、各燃料噴射弁12の初期段階の特性を示す初期値ΔSiを算出して、これを上記書き込み可能な不揮発性メモリ35に格納しておく。一方、こうした初期値算出処理とは別に、上記任意のタイミングにて、上記初期値ΔSiを算出したときと同一の条件で、各燃料噴射弁12のその都度の特性を示す現状値ΔSを算出する。そして、この得られた現状値ΔSと上記書き込み可能な不揮発性メモリ35に保持されている初期値ΔSiとを比較することによって、それぞれ該当する燃料噴射弁の劣化判定が行われる。すなわち、同一気筒の燃料噴射弁12に対し、上記同一条件にて算出される初期値ΔSiおよび現状値ΔSは、基本的に一致するはずであり、そうでなければ燃料噴射弁12が経時変化(劣化)しているものと判断することができる。そして本実施の形態では、燃料噴射弁12がこうして劣化していると判断される場合に限って、その経時変化度合いに合わせた最少駆動時間の学習更新を実行する。
【0041】
なお、本実施の形態において、上記各燃料噴射弁12(12a〜12d)の個体差については、例えば上記初期値ΔSiや現状値ΔSを求める際の上記一定の燃料噴射量を調整するなど、予め他の方法にて吸収されているものとする。また、学習更新される以前の最少駆動時間の値としては、例えば設計仕様値や予め実験等により得られた値が用いられ、この値が上記書き込み可能な不揮発性メモリ35に予め格納されている。
【0042】
以下、電子制御ユニット30が実行する初期値算出処理、劣化判定処理、および学習更新処理について、図2〜図5を併せ参照して詳細に説明する。
なおここでは、上記燃料噴射弁12による燃料噴射量に応じた出力変化が得られるセンサとして上記NEセンサ40を使用している。ちなみに、このNEセンサ40の出力値は、その時々におけるクランク軸13のクランク角(位置)を示すが、これを時間と関連づけることで、燃料の噴射量に応じた出力変化として読み込むことができる。すなわち、燃料噴射量が増えればクランク軸13の回転速度も増し、単位クランク角の回転に要する時間は減少する。また、燃料噴射量が減少すればクランク軸13の回転速度も減少し、単位クランク角の回転に要する時間は増加する。ここで、上記単位クランク角とは、例えば上死点(TDC)〜上死点後(ATDC)50°といった具合に、任意に設定可能な角度である。
【0043】
また、こうした初期値算出処理、劣化判定処理、および学習更新処理は上述のように、各気筒の燃料噴射弁12(12a〜12d)の全てについて各別に実行される。すなわち実際には、燃料噴射弁12の一つひとつが噴射圧(コモンレール圧)別に噴射特性を持っており、上記最少駆動時間も、それら噴射圧の別に存在している。このため、それら燃料噴射弁12(12a〜12d)の別にこうした初期値算出処理、劣化判定処理、および学習更新処理を行う必要がある。ただし、以下では説明の便宜上、上記燃料噴射弁12のうちの任意の1つを対象に実行されるそれら処理の具体例のみを例示する。
【0044】
先ず、図2および図3を参照して上記初期値ΔSiを算出する処理、すなわち初期値算出処理について説明する。
この初期値ΔSiの算出は、燃料噴射弁12の取付時や交換時など、該燃料噴射弁12が初期状態にあるときに1度だけ実行される。すなわち、図2に示されるように、電子制御ユニット30は、ステップS101にて燃料噴射弁12が上記初期状態にあり、且つ初期値ΔSiを検出してないこと(S101:YES)を条件に、初期値ΔSiの算出処理を実行する。一方、燃料噴射弁12が初期状態にない場合や、すでに初期値ΔSiが算出されている場合(S101:NO)には、本処理は終了される。
【0045】
そして、上記ステップS101において、燃料噴射弁12が初期状態にあることが判定された場合には、電子制御ユニット30は、続くステップS102にて燃料噴射弁12の燃料無噴射時に相当するNEセンサ40のセンサ出力値S0を取得する。また同様に、続くステップS103では、上述した一定の燃料噴射量に対応する所定のパラメータP1(書き込み可能な不揮発性メモリ35に記憶保持)にて燃料噴射弁12を駆動したときのNEセンサ40のセンサ出力値S1を取得する。そしてその後、電子制御ユニット30は、ステップS104にて、上記ステップS102およびステップS103にて取得した無噴射時のセンサ出力値S0とパラメータP1にて燃料噴射弁12を駆動したときのセンサ出力値S1との差の値として、上記初期値ΔSiを算出して本処理を終了する。なお、この算出された初期値ΔSiは、上記書き込み可能な不揮発性メモリ35に記憶保持される。また、上記各ステップS101〜ステップS104の処理、および書き込み可能な不揮発性メモリ35によって初期値保持手段が構成される。
【0046】
図3に上記燃料噴射量、すなわち燃料噴射弁通電時間と上記センサ出力値との関係、およびセンサ出力値の取得態様について、その一例をグラフとして示す。ちなみに、図2の上記ステップS102にて取得されるセンサ出力値S0が図3(a)の縦軸に示される「S0」の値に相当し、また上記ステップS103にて取得されるセンサ出力値S1が同じく図3(a)の縦軸に示される「S1」の値に相当する。そして、図2の上記ステップS104にて算出される初期値ΔSiは、図3(a)において横軸のパラメータP1に対応して示される差分「ΔSi」に相当する。
【0047】
なお、図3(a)の横軸は、燃料噴射弁12への通電時間を示しており、縦軸は、この通電時間(燃料噴射量)に対応した上述したNEセンサ40のセンサ出力値を示している。ちなみにこのセンサ出力値は、NEセンサ40としての出力特性上、閾値Lを出力変化のベースラインとして、その上方に向かうほど変化量は大きくなる。換言すれば、閾値Lより上方に出力されるほど、噴射量は増加しているといえる。
【0048】
そして、上記センサ出力値S0、すなわち図3(a)の「A」点に対応する値は、燃料無噴射状態で検出した上記NEセンサ40のセンサ出力値に相当する。また上記パラメータP1に対応して取得されるセンサ出力値S1、すなわち図3(a)の「B」点に対応する値は、車両減速時などのフューエルカット期間中に、同パラメータP1に基づく燃料噴射を行ったときに上記NEセンサ40が検出したセンサ出力値に相当する。
【0049】
続いて、上記算出、保持された初期値ΔSiを用いて実行される燃料噴射弁12の劣化判定処理について、図4に示すフローチャートを参照して説明する。
この劣化判定処理に際しては、先ずはじめに、ステップS201にて、劣化判定タイミングに達したか否かが判断される。この判定タイミングとしては、燃料噴射弁12による燃料噴射量の経時変化を監視し得る任意のタイミングを採用することが可能であるが、本実施の形態では上述のように、上記車両が予め定められた一定距離を走行したか否か、すなわち上記距離計43を通じて計測される距離が一定距離に達したか否かが判断される。そして、このステップS201において、該劣化判定タイミングに未だ達していないと判断される場合(S201:NO)、電子制御ユニット30は、以下に説明する劣化判定処理や学習更新処理等を実行せず、そのまま上記保持されている上記最少駆動時間に基づく燃料噴射制御を実行する(S400)。一方、上記劣化タイミングに達したと判断される場合(S201:YES)には、続くステップS210以降の現状値取得処理が実行される。
【0050】
この現状値取得処理において、電子制御ユニット30は、上述したフューエルカット期間に、ステップS210にて、燃料噴射弁12の燃料無噴射時に相当するNEセンサ40のセンサ出力値S0を先ず取得する。そして、続くステップS220にて、先の初期値算出処理(図2)にて用いたパラメータP1にて燃料噴射弁12を駆動し、そのときのNEセンサ40のセンサ出力値S1を取得する。その後、ステップS230にて、これらステップS210およびステップS220にてそれぞれ取得したセンサ出力値S0とセンサ出力値S1との差の値として、燃料噴射弁12の現状値ΔSを算出する(図3(a)参照)。なお、これらステップS201〜ステップS230の処理および上記書き込み可能な不揮発性メモリ35によって、現状値取得手段が構成される。
【0051】
さらに、ステップS240では、こうして算出した現状値ΔSが、上記算出し、保持されている初期値ΔSiに対して所定の範囲を超えてずれていないか否かが確認される。なお、ここでいう所定の範囲とは、燃料噴射弁12の劣化度合い(経時変化度合い)に対する許容値の範囲を示しており、本実施の形態では、以下の式によって該現状値ΔSのレベルが判定される。
【0052】
【数1】
(初期値ΔSi−α)<現状値ΔS<(初期値ΔSi+β)
ちなみに、上式のαおよびβの値は、任意の数値であり、燃料噴射弁12の特性等に応じて調整してもよい。またこれらαおよびβの値として、基本的には同一の値が用いられるが、燃料噴射弁12の劣化傾向や、以下に説明する学習更新処理の促進要求等に応じて異なる値を用いるようにしてもよい。なお、このステップS240によって比較手段が構成される。
【0053】
そして、このステップS240において、上記現状値ΔSが、燃料噴射弁12の劣化度合いに対する許容値の範囲内にあるとき(S240:YES)、電子制御ユニット30は、燃料噴射弁12が劣化していない、もしくはその劣化の度合いが許容範囲にあるものと判定する。そしてこの場合も、そのまま上記保持されている最少駆動時間に基づく燃料噴射制御の実行を継続する(S400)。
【0054】
一方、同ステップS240において燃料噴射弁12が劣化していると判定する(S240:NO)と、電子制御ユニット30は、続くステップS310にて、その経時変化度合いが緩和される方向にパラメータを再設定するパラメータ再設定処理を実行する。図5に、こうしたパラメータ再設定処理について、その具体手順の一例を示す。
【0055】
同図5に示されるように、この処理では、上記現状値ΔSが初期値ΔSiを上回る方向にずれているとき(S311:YES)には、噴射量が増量する側に劣化しているものと判定する。そして、ステップS312にて、上記書き込み可能な不揮発性メモリ35に記憶保持されているパラメータP1およびP2の各値を共に燃料噴射量が所定量だけ減量される値に再設定する。一方、現状値ΔSが初期値ΔSiを下回る方向にずれているとき(S311:NO)には、噴射量が減量する側に劣化しているものと判定する。そしてこの場合には、ステップS313にて、同じく上記書き込み可能な不揮発性メモリ35に記憶保持されているパラメータP1およびP2の各値を共に燃料噴射量が所定量だけ増量される値に再設定する。なお、パラメータP1については上述したとおりであるが、上記書き込み可能な不揮発性メモリ35には、先の図3(a)に示される燃料噴射弁通電時間についてのパラメータP2に相当する値が、上記パラメータP2として併せて記憶されている。また、これらパラメータP1、P2について上記再設定が行われた場合には、これら再設定されたパラメータP1、P2にて元のパラメータが更新され、これら更新されたパラメータP1、P2が書き込み可能な不揮発性メモリ35に新たに記憶保持される。
【0056】
こうしてパラメータの再設定を行った電子制御ユニット30は、次に、図4に示すステップS320の処理として、上記再設定したパラメータP1、P2にて燃料噴射弁12を駆動し、このときのNEセンサ40のセンサ出力値S1、S2をそれぞれ取得する。そしてこれら取得した値を補間するかたちで、先の図3(a)に示されるような近似式Kを算出する(S330)。
【0057】
ちなみに、上記センサ出力値S1およびS2も、無噴射時のセンサ出力値S0と併せて、車両減速時などのフューエルカット期間中に、上記パラメータP1およびP2に基づく燃料噴射を行ったときに検出されるNEセンサ40のセンサ出力値として取得される。しかも、同取得に際しては、例えばセンサ出力値S1に反映された燃料噴射の影響が収束したと見なせるときにセンサ出力値S2が取得される。図3(a)中、横軸のパラメータP1およびP2に対応して示される「B」および「C」点は、こうして取得されるセンサ出力値S1およびS2の態様を示したものである。本実施の形態においては、上記算出される近似式Kも、同図3(a)において、これら「B」点と「C」点とを結び、その間およびその前後を補間する式として算出される。
【0058】
こうして近似式Kを算出した電子制御ユニット30は、次に同じく図3(a)に示されるように、上記燃料無噴射時のセンサ出力値S0を閾値Lとし、この閾値Lと上記算出した近似式Kとの交点Xに基づいて最少駆動時間に相当する時間を新たに算出する(S340)。なお、この最少駆動時間に相当する時間とは、図3(a)において、時刻t0を通電開始(制御信号印加)時刻とするとき、それから実際に燃料が噴射される時刻である時刻t1までの時間(t1−t0)である。
【0059】
こうして、ステップS340にて、新たな最少駆動時間を求めた電子制御ユニット30は次に、その時点で上記書き込み可能な不揮発性メモリ35に保持されている最少駆動時間を、この新たに求めた最少駆動時間にて更新する(S350)。
【0060】
そしてこれ以降、電子制御ユニット30は、この更新された最少駆動時間に基づいて前述した燃料噴射制御を実行する(S400)。なお、この新たな最少駆動時間に基づく燃料噴射制御は、再び上記劣化判定タイミングが訪れるまで、継続して実行される。
【0061】
ちなみに、本実施の形態においては、ステップS201〜ステップS240の処理が劣化判定手段となり、また、ステップS310〜ステップS350の処理が学習更新処理となる。
【0062】
また、図2〜図5を参照して詳述した以上の処理が、実際には各気筒11a〜11dに各々設けられた燃料噴射弁12a〜12dのそれぞれを対象に各別に実行されることは前述の通りである。
【0063】
以上説明したように、本実施の形態によれば、以下に列記するような多くの優れた効果を得ることができる。
(1)この実施の形態では、燃料噴射弁12による燃料噴射量の経時変化度合いに基づいて同燃料噴射弁12の劣化の有無を判定する劣化判定処理を実行する。そして、この劣化判定処理において燃料噴射弁12が劣化していると判定される場合に限って、最小駆動時間の学習更新を実行することとしたため、最少駆動時間の更新にかかる演算負荷を大幅に軽減することができる。
【0064】
(2)この実施の形態では、燃料噴射弁12の初期段階の特性を示す初期値ΔSiを算出し保持するとともに、同燃料噴射弁12のその都度の特性を示す現状値ΔSを、上記初期値ΔSiと同一の条件で算出する。そして、上記保持される初期値ΔSiと上記現状値ΔSとを比較することにより劣化判定を行っている。これにより、燃料噴射弁12の経時変化度合いを、初期値ΔSiに対する現状値ΔSの推移として的確に捉えることができるようになるため、その劣化判定精度も高く維持することができる。
【0065】
(3)この実施の形態では、現状値ΔSが初期値ΔSiに対し、その所定の範囲を超えてずれていることに基づいて燃料噴射弁12の劣化が判定されるため、燃料噴射弁12の劣化度合いに対する許容値、あるいは上記最少駆動時間を学習更新したい時期といったものを任意に調整することができる。
【0066】
(4)この実施の形態では、各別の燃料噴射量を指令するパラメータ(P1、P2)のセンサ出力値(S1、S2)から近似式Kを算出するとともに、この近似式Kが燃料無噴射時のセンサ出力値S0に差交するまでの時間に基づいて最少駆動時間を算出している。そのため、最小駆動時間を一義的に、しかもより正確に算出することができる。また、その時点で書き込み可能な不揮発性メモリ35に保持されている最少駆動時間の値をこうして算出した時間にて更新することにより、燃料噴射弁12の劣化度合い(経時変化度合い)が加味されるかたちで、正確な燃料噴射制御を維持することができる。
【0067】
(5)この実施の形態では、燃料噴射弁12の劣化判定処理に際し、その判定タイミングの指標とするパラメータとして、ディーゼル機関10を搭載する車両の走行距離を採用している。ちなみに、この走行距離として長い距離を設定するほど、演算負荷の軽減効果は向上するものの、逆に学習更新の機会は減少する。この点、この走行距離というパラメータは、このようなトレードオフの中で、その設定いかんにより、比較的その両立が図りやすいパラメータであるといえる。
【0068】
(6)この実施の形態では、燃料噴射弁12の燃料無噴射時に相当するセンサのセンサ出力値として、燃料無噴射時とみなせる期間におけるNEセンサ40のセンサ出力値S0、すなわち実測値を採用している。そのため、劣化判定や学習更新にかかる信頼性を高く維持することができる。
【0069】
(7)この実施の形態では、NEセンサ40のセンサ出力値(S1、S2)に基づいて近似式Kを求めるに際し、センサ出力値S2は、少なくともセンサ出力値S1を取得したときのディーゼル機関10の運転環境に一致する条件で、特にここでは車両減速時などのフューエルカット期間中に取得することとした。これにより、NEセンサ40のセンサ出力値(S1、S2)に直接影響する測定環境の違いが解消され、より高い精度にて上記近似式Kを求めることができる。
【0070】
(8)この実施の形態では、NEセンサ40のセンサ出力値(S1、S2)の取得に際し、センサ出力値S1に反映された燃料噴射の影響が収束したと見なせるときにセンサ出力値S2を取得することとした。これにより、取得されるセンサ出力値(S1、S2)の一つひとつがより信頼性の高い値となり、ひいては上記求められる近似式Kの精度も更に高めることができる。なお、これらセンサ出力値S1、S2の取得順は逆であってもよい。
【0071】
(9)この実施の形態では、初期値算出処理、劣化判定処理および学習更新処理を、各気筒の燃料噴射弁12(12a〜12d)の全てにおいて各別に実行するため、演算負荷を最小限に抑えつつ、多気筒内燃機関全体としての燃料噴射制御も常に適正に維持することができる。
【0072】
(10)この実施の形態では、より正確に最少駆動時間を把握することができるため、より木目細かな制御信号の生成を必要とするマルチ噴射等にも的確に対応することができる。
【0073】
なお、この発明にかかる燃料噴射制御装置は、上記実施の形態に限定されるものではなく、同実施の形態を適宜変更した、例えば次のような形態として実施することもできる。
【0074】
・上記実施の形態では、燃料無噴射時のセンサ出力値S0とパラメータP1にて燃料噴射弁12を駆動したときのセンサ出力値S0との差によって初期値ΔSiおよび現状値ΔSを算出した。こうした初期値ΔSiおよび現状値ΔSは、燃料無噴射時のセンサ出力値S0とパラメータP1にて燃料噴射弁12を駆動したときのセンサ出力値S0との比によっても算出することができる。
【0075】
・さらに、初期値ΔSiおよび現状値ΔSを算出する前に例えばパラメータP2のセンサ出力値S2を取得している場合には、以下の態様によっても初期値ΔSiおよび現状値ΔSを算出することができる。
【0076】
(A1)センサ出力値S0とセンサ出力値S2との差。
(A2)センサ出力値S0とセンサ出力値S2との比。
(A3)センサ出力値S1とセンサ出力値S2との差。
【0077】
(A4)センサ出力値S1とセンサ出力値S2との比。
・上記実施の形態では、現状値ΔSが初期値ΔSiに対し所定の範囲を超えてずれていることに基づいて燃料噴射弁12が劣化している旨を判定した。しかし、こうした劣化判定の仕方自体は任意であり、単に現状値ΔSと初期値ΔSiを比較することによってのみでも、その差分あるいは比に基づいて劣化の有無を判定することは可能である。
【0078】
・上記実施の形態では、各別の燃料噴射量を指令するパラメータP1およびパラメータP2にて燃料噴射弁12を駆動したときにNEセンサ40を通じて検出されるセンサ出力値S1およびセンサ出力値S2を補間する態様にて近似式Kを算出することとした。こうしたパラメータは、演算負荷の許容範囲内において、その数を任意に増設してもよい。例えばパラメータP2よりも多い噴射量を指令するパラメータP3を更に設定して、このパラメータP3に対応するセンサ出力値S3を取得し、これら3つ(あるいはそれ以上)のセンサ出力値から上記近似式Kを求めるようにしてもよい。そうした場合には、近似式Kの精度、ひいてはそこから算出される最少駆動時間の精度をさらに向上させることができる。
【0079】
・上記実施の形態では、上記各センサ出力値の取得を、車両減速時などのフューエルカット期間中に行うことととしたが、これに代えて、通常の燃料噴射制御時にそれらセンサ出力値の取得を行う構成とすることもできる。すなわちこの場合、上記パラメータP1に対応して取得されるセンサ出力値S1、すなわち先の図3(a)の「B」点に対応する値は、例えば図3(b)に示すように、車両の減速運転中や加速運転中といったフューエルカット期間以外の機関運転中に求められる。逆に、燃料無噴射時のセンサ出力値S0、すなわち図3(a)の「A」点に対応する値は、図3(b)に示すように、フューエルカット期間中に求められる。また、近似式Kの算出に際しても、上記センサ出力値S1およびS2は、無噴射時のセンサ出力値S0と併せて、図3(b)に例示するようなフューエルカット期間を含む減速運転および加速運転を複数回繰り返す中で取得される。そして、上記センサ出力値S0が同図3(b)中、「A」の点で、また上記センサ出力値S1が同図3(b)中、「B」の点で取得されるとするとき、上記センサ出力値S2は、
(i)少なくとも上記センサ出力値S1を取得したときのディーゼル機関10の運転環境に一致していること。且つ、
(ii)該センサ出力値S1に反映された燃料噴射の影響が収束したと見なせること。
を条件に、上記パラメータP2に対応するセンサ出力値として、同図3(b)中の減速運転中、あるいは加速運転中の適宜のタイミングで取得される。これにより、図3(a)に示すパラメータP2に対応したセンサ出力値S2として「C」点の取得が可能となる。そしてこの場合、上記算出される近似式Kも、同図3(a)において、この「C」点と上記「B」点とを結び、その間およびその前後を補間する式として算出される。
【0080】
・またこの場合、センサ出力値に基づいて近似式を求めるに際し、センサ出力値(S1、S2、…)を、ディーゼル機関10のそれぞれ一致する運転環境のもとで取得することとしたが、近似式を求める上で所望とする精度が維持可能であれば、こうしたセンサ出力値(S1、S2、…)の取得条件を緩和してもよい。また同様に、センサ出力値(S1、S2、…)の取得に際しては、センサ出力値(S1、S2、…)が各々、他のセンサ出力値に反映された燃料噴射の影響が収束したと見なせるときに取得することとした。これも各センサ出力値(S1、S2、…)の信頼性が維持できる範囲であれば、こうした取得条件を緩和することができる。なお、センサ出力値S0も含めて、これらセンサ出力値(S1、S2、…)の取得条件については、先の初期値算出処理や劣化判定処理に関しても同様のことがいえる。
【0081】
・上記実施の形態では、燃料噴射弁12による燃料噴射量に応じた出力変化が得られるセンサとしてNEセンサ40を採用した。しかし、こうしたセンサはNEセンサ40には限られない。例えば図1に示したように、排気ガスの酸素濃度をセンサ出力値として出力する空燃比センサ42のほか、ディーゼル機関10の燃焼圧力をセンサ出力値として出力するもの、機関本体に生じる振動や加速度等、その運動エネルギをセンサ出力値として出力するものなどを採用してもよい。例えば図6には、上記NEセンサ40に代えて、空燃比センサ42(排気中の酸素濃度推移に対してリニアな値を出力するタイプのもの)を採用した場合の燃料噴射弁通電時間(燃料噴射量)とセンサ出力値との関係を例示している。同図6に示されるように、燃料噴射弁12への通電時間が伸長されるほど、空燃比はリッチとなることから、このときの同空燃比センサ42のセンサ出力値は燃料無噴射時のセンサ出力値S0よりも小さな値となる。このような態様でセンサ出力値が取得される場合でも、それらセンサ出力値S1、S2、およびS3に基づいて近似式を算出することができ、さらには該算出された近似式と上記閾値Lとの交点とに基づいて最少駆動時間を算出することができる。
【0082】
・上記実施の形態では、燃料噴射弁12が劣化判定されたとき、その経時変化度合いが緩和される方向に再設定されたパラメータ(P1、P2、…)にて当該燃料噴射弁12を駆動したときのセンサの出力値(S1、S2、…)をそのまま用いて、その噴射特性を補間する近似式を求めることとした。しかし、当該燃料噴射弁12において、その噴射特性がある一定の傾向を持つことが既知である場合には、上記センサの出力値(S1、S2、…)により、その既知である噴射特性(傾向)を補正するかたちで、同噴射特性を補間する近似式を求めるようにしてもよい。
【0083】
・上記実施の形態では、図1に例示した距離計43を用いて車両の走行距離を計測することとしたが、他に例えば、車両に通常搭載される車速センサの出力を電子制御ユニット30に取り込み、この車速センサの出力から車速を求めるとともに、この求めた車速から上記走行距離を算出するようにしてもよい。
【0084】
・上記実施の形態では、劣化判定処理を実施するタイミングの指標とするパラメータとして、上記車両の走行距離を採用したが、これに代えて、ディーゼル機関10の稼働時間や燃料噴射弁12の駆動回数なども採用することができる。このような構成を採用する場合には、これら稼働時間や駆動回数をカウントするための計時手段、あるいはカウンタ等を適宜設けることとなる。
【0085】
・上記の実施の形態では、車載ディーゼル機関10を対象に本発明を具体化したが、本発明は、ディーゼル機関に限定されることなく、例えば希薄燃焼を実施するガソリン機関に採用することもできる。すなわち、希薄燃焼を実施する際には、気流生成過程における適切な時期に適切な量の燃料を噴射する必要がある。この点、本発明によれば、劣化判定処理および学習更新処理等によって正確な最少駆動時間を把握することができるため、そうした態様での燃料噴射制御についても好適に対応することができる。
【0086】
・また、上記実施の形態では、燃料噴射弁として電磁駆動式の燃料噴射弁12を採用したが、圧電素子駆動式の燃料噴射ノズル(ピエゾインジェクタ)等も適宜採用可能である。要は、その駆動時期や駆動期間が電子制御されるいわゆる電子制御式の燃料噴射弁であれば、本発明にかかる燃料噴射制御装置を適用することはできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる燃料噴射制御装置の一実施の形態についてその概略構成を示すブロック図。
【図2】同実施の形態の初期値算出処理についてその処理手順を示すフローチャート。
【図3】(a)はセンサ出力値と燃料噴射弁への通電時間との関係を示すグラフ。(b)は車両の運転推移を示す時間と燃料噴射量との関係を示すグラフ。
【図4】同実施の形態の劣化判定処理および学習更新処理についてその処理手順を示すフローチャート。
【図5】同実施の形態のパラメータ再設定処理についてその処理手順を示すフローチャート。
【図6】上記センサ出力値と燃料噴射弁への通電時間との関係についての変形例を示すグラフ。
【符号の説明】
10…ディーゼル機関、11(11a〜11d)…気筒、12(12a〜12d)…燃料噴射弁、13…クランク軸、20…コモンレール、21…燃料供給管、22…燃料ポンプ、30…電子制御ユニット、31…双方向バス、32…ROM、33…RAM、34…CPU、35…書き込み可能な不揮発性メモリ、36…入力ポート、37…出力ポート、38…A/D変換器、39…駆動回路、40…NEセンサ、41…コモンレール圧センサ、42…空燃比センサ、43…距離計。

Claims (13)

  1. 制御信号により駆動されるとともに、駆動開始から噴射開始までにタイムラグがあり、噴射開始後に駆動時間に応じた噴射量で燃料噴射がなされる電子制御式の燃料噴射弁を備え、該燃料噴射弁による前記燃料噴射の開始に必要とする駆動時間を最少駆動時間として保持しつつ、この最少駆動時間に基づき同燃料噴射弁の駆動時間を決定する内燃機関の燃料噴射制御装置において、
    前記燃料噴射弁による燃料噴射量の経時変化度合いに基づいて同燃料噴射弁の劣化の有無を判定する劣化判定手段を備え、該劣化判定手段にて前記燃料噴射弁の劣化が判定されるとき、前記保持する最少駆動時間を学習更新する
    ことを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装置。
  2. 請求項1に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置において、
    前記燃料噴射弁による燃料噴射量に応じた出力変化が得られるセンサを備え、前記劣化判定手段は、
    前記燃料噴射弁の燃料無噴射時に相当する前記センサのセンサ出力値と、一定の燃料噴射量を指令する所定のパラメータにて前記燃料噴射弁を駆動したときの前記センサのセンサ出力値との差、もしくは比を初期値として取得してこれを保持する初期値保持手段と、
    前記燃料噴射弁による燃料噴射量の経時変化を監視し得る任意のタイミングで、前記燃料噴射弁の前記燃料無噴射時に相当する前記センサのセンサ出力値と、前記所定のパラメータにて前記燃料噴射弁を駆動したときの前記センサのセンサ出力値との差、もしくは比を現状値として取得する現状値取得手段と、
    これら初期値と現状値との比較に基づいて前記燃料噴射弁の劣化の有無を判定する比較手段と、
    を備えて構成されることを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装置。
  3. 前記比較手段は、前記現状値が前記初期値に対し所定の範囲を超えてずれていることに基づいて前記燃料噴射弁が劣化している旨を判定する
    請求項2に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
  4. 前記初期値保持手段および前記現状値取得手段の少なくとも一方は、前記初期値あるいは前記現状値の取得に際し、各別の燃料噴射量を指令する少なくとも2つの所定のパラメータ(P1、P2、…)を保持しており、前記最少駆動時間の学習更新は、前記現状値が前記初期値を下回る方向にずれているときには、前記所定のパラメータ(P1、P2、…)を共に前記燃料噴射量が所定量だけ増量される方向に再設定し、前記現状値が前記初期値を上回る方向にずれているときには、前記所定のパラメータ(P1、P2、…)を共に前記燃料噴射量が所定量だけ減量される方向に再設定してそれぞれ前記燃料噴射弁を駆動したときの前記センサのセンサ出力値(S1、S2、…)を取得するとともに、該取得したセンサのセンサ出力値(S1、S2、…)を補間して近似式を求め、この求めた近似式と前記燃料無噴射時に相当する前記センサのセンサ出力値(S0)との交点に基づいて前記最少駆動時間に相当する時間を新たに算出することにより行われる
    請求項2または3に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
  5. 制御信号により駆動されるとともに、駆動開始から噴射開始までにタイムラグがあり、噴射開始後に駆動時間に応じた噴射量で燃料噴射がなされる電子制御式の燃料噴射弁を備え、該燃料噴射弁による前記燃料噴射の開始に必要とする駆動時間を最少駆動時間として保持しつつ、この最少駆動時間に基づき同燃料噴射弁の駆動時間を決定する内燃機関の燃料噴射制御装置において、
    前記燃料噴射弁による燃料噴射量の経時変化度合いに基づいて同燃料噴射弁の劣化の有無を判定する劣化判定手段を備え、該劣化判定手段にて前記燃料噴射弁の劣化が判定されるとき、各別の燃料噴射量を指令する少なくとも2つの所定のパラメータ(P1、P2、…)を前記燃料噴射量の経時変化度合いが緩和される方向に再設定したときの燃料噴射量に相当する値(S1、S2、…)をそれぞれ取得するとともに、該取得した値(S1、S2、…)を補間して近似式を求め、この求めた近似式と燃料無噴射時に相当する値(S0)との交点に基づき前記最少駆動時間に相当する時間を新たに算出して、前記保持する最少駆動時間を学習更新する
    ことを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装置。
  6. 請求項5に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置において、
    前記燃料噴射弁による燃料噴射量に応じた出力変化が得られるセンサを備え、前記劣化判定手段は、
    前記燃料噴射弁の燃料無噴射時に相当する前記センサのセンサ出力値(S0)と、一定の燃料噴射量を指令する所定のパラメータ(P1)にて前記燃料噴射弁を駆動したときの前記センサのセンサ出力値(S1)との差、もしくは比を初期値として取得してこれを保持する初期値保持手段と、
    前記燃料噴射弁による燃料噴射量の経時変化を監視し得る任意のタイミングで、前記燃料噴射弁の前記燃料無噴射時に相当する前記センサのセンサ出力値(S0)と、前記所定のパラメータ(P1)にて前記燃料噴射弁を駆動したときの前記センサのセンサ出力値(S1)との差、もしくは比を現状値として取得する現状値取得手段と、
    これら初期値と現状値との比較に基づいて前記燃料噴射弁の劣化の有無を判定する比較手段と、
    を備えて構成されることを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装置。
  7. 前記比較手段は、前記現状値が前記初期値に対し所定の範囲を超えてずれていることに基づいて前記燃料噴射弁が劣化している旨を判定する
    請求項6に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
  8. 前記各別の燃料噴射量を指令する少なくとも2つの所定のパラメータ(P1、P2、…)は、前記初期値保持手段および前記現状値取得手段の少なくとも一方に保持されており、これらパラメータ(P1、P2、…)の前記燃料噴射量の経時変化度合いが緩和される方向への再設定は、前記現状値が前記初期値を下回る方向にずれているときにはそれらパラメータ(P1、P2、…)を共に前記燃料噴射量が所定量だけ増量される値に再設定し、前記現状値が前記初期値を上回る方向にずれているときにはそれら所定のパラメータ(P1、P2、…)を共に前記燃料噴射量が所定量だけ減量される値に再設定する態様で行われ、該パラメータ(P1、P2、…)を再設定したときの前記燃料噴射量に相当する値(S1、S2、…)が、それら再設定したパラメータ(P1、P2、…)にて前記燃料噴射弁を駆動したときの前記センサのセンサ出力値である
    請求項6または7に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
  9. 前記燃料噴射弁の燃料無噴射時に相当する前記センサのセンサ出力値が、前記燃料無噴射時とみなせる期間における同センサの実測値である
    請求項2〜4または6〜8の何れかに記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
  10. 前記センサが、前記内燃機関の燃焼圧力、機関回転数の変化量、排気ガスの状態、および機関本体の運動エネルギのうち、その何れかをセンサ出力値として出力するものである
    請求項2〜4または6〜8の何れかに記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
  11. 前記近似式は、前記内燃機関のそれぞれ一致する運転環境のもとで取得されたセンサのセンサ出力値(S1、S2、…)に基づいて求められる
    請求項4または8に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
  12. 前記センサのセンサ出力値(S1、S2、…)は各々、他のセンサのセンサ出力値に反映された燃料噴射の影響が収束したとみなせるときに取得される
    請求項4または8または11に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
  13. 前記内燃機関は多気筒内燃機関であるとともに、前記燃料噴射弁は該内燃機関のそれら気筒毎に設けられ、前記劣化判定手段による燃料噴射弁の劣化判定、および前記最少駆動時間の学習更新は、それら各気筒の燃料噴射弁毎に各別に行われる
    請求項1〜12の何れかに記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
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