JP3782399B2 - 内燃機関の燃料噴射制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の燃料噴射制御装置に関し、特に燃料噴射の調量精度の向上に関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関の燃料噴射制御装置はインジェクタに制御信号を出力してインジェクタを駆動するもので、インジェクタは開弁期間に燃料を噴射する。駆動時間は、インジェクタの開閉手段がソレノイド式のアクチュエータを用いたものではソレノイドへの通電時間である。インジェクタは駆動時間に応じて噴射量が多くなる噴射特性を呈するが、必ずしも線形とはならない。図8は駆動時間と、燃料噴射量を検出するセンサの出力との関係を示すもので、インジェクタ内部の機構の応答遅れなどに基因して駆動開始から噴射開始までにタイムラグがあるため、駆動時間が短い方には、実際に燃料が噴射されない無噴射期間が存在する。
【0003】
下記特許文献1には、動力を得るための燃料噴射を実行しないときに、インジェクタの噴射特性の学習用の噴射を実行するようにしたものが記載されている。このものでは、気筒ごとに、燃料が確実に噴射されないごく短い駆動時間から開始して、所定の刻み幅で徐々に駆動時間を増やしていき、その都度、センサ出力値が無噴射期間の値よりも大きな値をとるか否かを判定する。これにより、噴射を開始するために必要な最小駆動時間の長さの変動やばらつきの大きさを知り、これに基づいて各インジェクタの駆動時間を補正することで、燃料噴射の調量精度の向上を企図している。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−90580号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記特開2001−90580の技術では、最小駆動時間の測定の分解能が駆動時間の刻み幅に依存し、これを小さくすれば分解能は高くなる。ところが、駆動時間の刻み幅が小さくなると、前記最小駆動時間を越えたか否かを判定可能な程度にセンサ出力値が増加しないため、ノイズの影響が相対的に増大する。このため、十分な精度でインジェクタの噴射特性を知ることが困難であった。また、駆動時間の刻み幅が小さくなると、学習時間が増大してしまうという問題も生じる。
【0006】
本発明は前記実情に鑑みなされたもので、燃料の噴射特性を高精度に知ることができ、かつ、短時間での学習が可能な内燃機関の燃料噴射制御装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明では、制御信号により駆動され、前記制御信号による駆動開始から噴射開始までにタイムラグがあり、駆動時間に応じた量の燃料を噴射するインジェクタに、該インジェクタの噴射特性の学習用の燃料噴射を実行せしめる内燃機関の燃料噴射制御装置において、
前記インジェクタの噴射量に応じて出力が変化するセンサと、
燃料噴射量が予め設定した所定噴射量に応じたセンサの出力値と、無噴射時に応じたセンサの出力値との差分を基準出力変化として記憶する記憶手段と、
前記学習用の燃料噴射に際し、噴射を開始するために必要な最小駆動時間の長さよりも短いとみなせる無噴射期間に前記駆動時間を設定してセンサの出力値を取得し、前記最小駆動時間よりも長い互いに長さの異なる複数の噴射期間に駆動時間を設定して各センサの出力値を取得する噴射条件設定手段と、
駆動時間が前記無噴射期間内の場合のセンサの出力値と前記基準出力変化とに基づいて、燃料噴射量が前記所定噴射量のときのセンサ出力値を推定するセンサ出力推定手段と、
前記各噴射期間に対応するセンサの出力値に基づいて、噴射期間におけるセンサ出力−駆動時間特性線を推定する特性線推定手段と、
前記特性線推定手段により推定されたセンサ出力−駆動時間特性線上で、前記所定噴射量が要求されるときの駆動時間に対して、前記センサ出力推定手段により推定されたセンサ出力値が対応するように、駆動時間を補正する補正手段とを具備する構成とする。
【0008】
噴射期間の複数の駆動時間について、それぞれ対応するセンサ出力値が1対1に対応して得られる。これより、センサ出力−駆動時間特性線が推定でき、標準のセンサ出力−駆動時間特性線との相違がわかる。一方、駆動時間を無噴射期間に設定することで無噴射時のセンサ出力値が得られるが、このときのセンサ出力値を基準出力変化の分シフトさせれば、所定噴射量の燃料噴射が行われるときのセンサ出力値が知られる。これにより、インジェクタの噴射特性が特定される。このようにして特定される噴射特性は、前記特開2001−90580号公報の技術のように刻み幅に対応する微小なセンサ出力の変化を検出する必要がないことから、その確度がきわめて高いので、適正な噴射量が得られるように、駆動時間を補正することができる。
【0009】
また、所定噴射量に相当する基準出力変化が記憶され、センサ出力−駆動時間特性線上で、前記所定噴射量が要求されるときの駆動時間に対して、前記センサ出力推定手段により推定されたセンサ出力値が対応するように、駆動時間が補正される。所定噴射量の燃料噴射が要求されたときに、最も駆動時間が適正化されることになる。したがって、後述のパイロット噴射等においてとられる噴射量領域のように最も調量精度が要求される噴射量に、所定噴射量を設定することで、実用性の高い補正となる。
【0010】
請求項2記載の発明では、請求項1の発明の構成において、前記補正手段は、前記センサ出力−駆動時間特性線上で、前記推定されたセンサ出力値に対応する駆動時間を演算し、該演算駆動時間の変化が相殺するように、駆動時間をオフセット補正するように設定する。
【0011】
駆動時間の補正を、オフセット補正とすることで、僅かな演算負担で、所定噴射量での噴射が要求されるときの調量精度を重点的に確保することができる。
【0012】
請求項3記載の発明では、請求項2の発明の構成において、前記補正手段は、前記センサ出力−駆動時間特性線の傾きの変化が相殺するように、駆動時間を、補正前の駆動時間に応じて補正するように設定する。
【0013】
インジェクタの個体差等によってセンサ出力−駆動時間特性線の傾きも変わるが、同じ噴射量が得られる駆動時間が変わることになる。したがって、センサ出力−駆動時間特性線の傾きが変わることによる噴射量への影響を除去することで、さらに、広範囲の噴射量領域で調量精度を向上することができる。
【0014】
請求項4記載の発明では、請求項1ないし3の発明の構成において、内燃機関の運転状態を検出する運転状態検出手段と、
該運転状態検出手段により検出された運転状態が予め設定した運転状態にないときには前記学習用の燃料噴射を禁止する学習用燃料噴射禁止手段とを具備せしめる。
【0015】
学習用の燃料噴射が許容される運転状態として、直近に燃料噴射が実行されたときの影響がセンサ出力に残っていないとみなせる状態を設定することで、センサ出力値が0点に復帰した状態で学習用の燃料噴射を行い得る。これにより、さらに補正が高精度化する。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1に本発明を適用したディーゼルエンジンの構成を示す。ディーゼルエンジンは、4気筒を備えたエンジン本体11とこれに付設された燃料噴射制御装置14等からなる。エンジン本体11には吸気マニホールド12と排気マニホールド13とが接続される。各気筒に1対1に対応してインジェクタ2が設けられる。インジェクタ2はディーゼルエンジン各部を制御するECU4からの制御信号により駆動し、開弁期間の長さに応じた噴射量で燃料を噴射し、車両の駆動輪へ伝達される動力が発生する。インジェクタ2はノズル内に挿置されたニードルがソレノイド式のアクチュエータやピエゾアクチチュエータにより作動して開閉弁する一般的なものである。噴射された燃料は通常のディーゼルエンジンと同様に吸気マニホールド12からの吸気と燃焼反応し、排気ガスが排気マニホールド13へと排出される。
【0017】
燃料は、全インジェクタ2に共通のコモンレール34から各インジェクタ2に供給される。コモンレール34には燃料タンク31からポンプ33で汲み上げられた燃料が圧送され、圧送量が調量弁32にて調量される。調量弁32は、ECU4が、コモンレール34内の燃料圧力を検出する圧力センサ51の検出信号に基づいて、前記燃料圧力が目標圧力となるように制御する。目標圧力は運転状態に基づいて演算される。コモンレール34内の燃料圧力はインジェクタ2の噴射圧力を規定し、圧力センサ51では噴射圧力を検出していることになる。
【0018】
ECU4には、前記圧力センサ51の他、アクセル開度センサ52、エンジン回転センサ53、空燃比(A/F)センサ54等の運転状態を検出するセンサから、運転状態を示す種々の信号が入力している。
【0019】
ECU4では、これに入力するセンサ出力値から燃料の噴射量の多少を知るようになっている。かかるセンサは、例えば、エンジン回転センサ53とすることができる。その出力はエンジン本体11で大きなトルクが発生すると上昇し、トルクは燃料噴射量に応じて異なるからである。あるいは、A/Fセンサ54でもよい。その出力は空燃比に応じて変化し、空燃比は燃料噴射量に応じて異なるからである。これらエンジン回転数や空燃比等のセンサ出力値は内燃機関の制御において用いられる基本的な運転状態量であり、別途、センサを設ける必要がないので、構成を簡略化することができる。その他に、筒内圧センサやノックセンサも用い得る。その出力は筒内の爆発の程度に応じて変化し、爆発の程度は燃料噴射量に応じて異なるからである。
【0020】
ECU4はマイクロコンピュータを中心に構成され、演算を実行するCPU41、作業領域としてのRAM42、および、制御プログラムや必要なデータ等を格納したROM43を有している。また、ECU4にはEEPROM等の書き込み可能な不揮発性メモリ44を備えている。
【0021】
図2、図3にECU4で実行される燃料噴射制御を示す。これは、燃料噴射制御のうち、インジェクタ2の噴射特性を学習するための部分であり、例えばクランク角に同期して起動する。起動は、噴射気筒を変えて燃料噴射が順次、実行される間隔と略等しい180°CA毎とすることができる。なお、この他に、図示はしないが、通常のディーゼルエンジンのECUで実行される機関各部についての制御がECU4でも行われるのは勿論である。ステップS101〜S103は学習用の燃料噴射を実行するタイミングか否かを判定する。先ず、ステップS101では、アクセルがオフすなわちスロットルバルブ開度が0%で、かつ、燃料噴射カット中か否かを判定する。これにより、減速中や、停車時の空吹かし後で、動力を得るための通常の燃料噴射を行わない燃料噴射カット制御に移行すると、ステップS101が肯定判断されることになる。肯定判断されるとステップS102に進む。
【0022】
ステップS102では、エンジン回転数、噴射圧力を取り込み、これらが所定の値か否かを判定する。所定値は予めROM43に記憶されるが、それぞれ、学習させたいエンジン回転数、噴射圧力に設定される。これは、機関状態によりセンサ出力値が影響を受けるのを回避し、同じ駆動時間のときのセンサ出力値に、インジェクタ2の個体差等にのみ基因したばらつきが現れるようにするためである。エンジン回転数、噴射圧力に着目したのは、これらが最も噴射燃料の燃焼状態に影響することから、機関運転状態によりセンサ出力値が影響を受けるのを十分に回避しながら、機関運転状態が所定の状態にあるか否かを判断することの制御負担を抑制できるからである。より詳しくは、エンジン回転数は気筒内酸素濃度に影響し、燃焼効率を左右する。また、噴射圧力は燃料噴射時の噴霧状態に影響し、燃焼効率を左右する。
【0023】
また、エンジン回転数、噴射圧力が所定値か否かは、厳密に所定値に一致していることを要求するものではなく、所定値に対して一定の数値差が許容される。所定値±の許容数値差の範囲であればよい。許容数値差を予めROM43に記憶しておくのは勿論である。
【0024】
ステップS102が肯定判断されるとステップS103に進む。
【0025】
ステップS103は学習用燃料噴射禁止手段としての処理で、センサ出力値が0点に復帰したか否かを判定する。これは、直近の燃料噴射の影響がなくなっている状態で前記学習用の測定を行うためである。例えば、機関の慣性により、直近の燃料噴射の影響がエンジン回転数にしばらく残るので、センサ出力値としてエンジン回転数を用いる場合には、無噴射状態であってもセンサ出力が0点に戻っていないおそれがある。また、筒内残留ガスが抜けるまでには数サイクル要するので、センサ出力値として酸素濃度を用いる場合には、無噴射状態であってもセンサ出力値が0点に戻っていないおそれがある。したがって、学習噴射に先立ち、センサ出力値が0点に復帰していることを確認することで、学習の信頼性を高めることができる。具体的には、センサ出力値が安定したか否か、出力値の変動が収束したか否かにより判断する。ステップS103が肯定判断されると、ステップS104に進む。
【0026】
ステップS101〜S103において否定判断されると、いずれもリターンに抜ける。
【0027】
ステップS104,S105は噴射条件設定手段としての処理で、ステップS104では、次の噴射気筒番号を設定する。なお、ステップS101で燃料噴射カット制御となっているので、この噴射気筒番号の設定は、実際には、動力を得るための通常の燃料噴射を実行するとしたならば噴射気筒となる気筒が設定される。
【0028】
ステップS105では、インジェクタ2の駆動時間を設定する。駆動時間は、開閉弁用にソレノイド式のアクチュエータを搭載したインジェクタではソレノイドへの通電時間であり、ピエゾアクチュエータを搭載したインジェクタではピエゾアクチュエータの充電時期と放電時期との間隔すなわち充電保持時間である。駆動時間として、τ0 ,τa ,τb の3水準のうち、いずれかが選択される。選択されたか否かは各気筒ごとに記憶され、ステップS104で選択された噴射気筒について未だ設定されていないものが選択される。τ0 ,τa ,τb の大きさについては後述する。
【0029】
これにより、設定された駆動時間にて制御信号がインジェクタ2に出力され、、そのときのセンサ出力値を記憶する(ステップS106)。センサ出力値の取り込みのタイミングは、燃料の噴射量に応じた噴射燃料の燃焼の程度がセンサ出力値に反映するように、制御信号に対して所定の遅れをもって行われるのは勿論である。以下の説明において、駆動時間がτ0 のときのセンサ出力値をS0 と、駆動時間がτa のときのセンサ出力値をSa と、駆動時間がτb のときのセンサ出力値をSb とする。これらのデータは後述するように、インジェクタ2の噴射特性を補間計算を含む演算で特定するものである(以下、これらのデータを適宜、補間計算用データという)。
【0030】
ステップS107では、補間計算用データの取得が完了したか否かを判定する。これは、ステップS104で設定された噴射気筒について、τ0 ,τa ,τb のすべてについて補間計算用データが取得されたか否かにより判定する。
【0031】
ステップS107が肯定判断されるとステップS108に進み、τ0 ,τa ,τb のいずれかで未だ学習用燃料噴射が行われておらずステップS107が否定判断されると、リターンに抜ける。
【0032】
ステップS108では、ステップS104で設定された噴射気筒について、取得されたセンサ出力S0 ,Sa ,Sb を使って、所定噴射量Qstでの駆動時間τc を式(1)により補間計算する。式中、Sは所定噴射量Qstに対応するセンサ出力値である。
τc =[(τb −τa )/(Sb −Sa )]×(S−Sa )+τa ・・・(1)
【0033】
前記駆動時間τ0 ,τa ,τb は次のように設定される。図4に示すように、τ0 は、常時無噴射となる駆動時間、すなわち噴射を開始するために必要な最小駆動時間(噴射開始駆動時間)の長さよりも十分に短い駆動時間である(なお、図中、燃料噴射弁通電時間はソレノイド式アクチュエータを搭載したインジェクタの駆動時間であるが、ピエゾアクチュエータを搭載したインジェクタでも同様の傾向のグラフが得られるのは勿論である。以下、同じ)。τa ,τb は確実に燃料が噴射する互いに大きさの異なる駆動時間である。ここで、無噴射期間では、センサ出力値は一定であり、噴射期間では、センサ出力値は、無噴射時のセンサ出力との差分が燃料噴射量に応じて増大する。したがって、所定の噴射量Qstに対応するセンサ出力値の無噴射時のセンサ出力値との差分をΔSとすれば式(2)となる。ΔSは予め実験等により求め得る。
S=S0 +ΔS・・・(2)
【0034】
ステップS109では、式(3)により、噴射量Qstを得ようとするときに実際に必要な駆動時間の、その制御値とのずれ量Δτc を算出する。式中、τc0は噴射量Qstに対応する基準の駆動時間であり、予め、ΔS等とともにROM43に書き込まれている。
Δτc =τc −τc0・・・(3)
【0035】
ステップS110では、ステップS109で求めた制御値とのずれ量Δτc と、ステップS104で設定した噴射気筒番号とを対にして、不揮発性メモリ44に書き込み、ここで保持する。そしてリターンに抜ける。
【0036】
ステップS201,S202は補正手段としての処理で、ステップS201では、不揮発性メモリ44から、気筒番号と、該気筒番号に対応する制御値とのずれ量Δτc とを読み出し、ステップS202で、制御値を補正する。補正は、アクセル開度等から演算された駆動時間の制御値に制御値とのずれ量Δτc を加算する演算により行う。図5(A)、図5(B)は駆動時間τと噴射量Qとの関係を示すもので、図5(A)が補正前、図5(B)が補正後である。これにより、補正による作用を説明する。
【0037】
図5(A)において、噴射開始駆動時間がインジェクタ2の個体差等でずれると、噴射量と駆動時間の制御値との関係を示す線に対して、実際の噴射量と駆動時間との関係を示す線が変動し、τc が噴射量と駆動時間の制御値との関係を示す線上にのらない。所定の噴射量Qstのときには、実際の駆動時間τc は制御値に対してΔτc ずれることになる。このため、調量誤差を生じる。
【0038】
補正では、補正前の駆動時間の制御値に制御値とのずれ量Δτc を加算するので、インジェクタ2の個体差等に基因して実際の噴射量−駆動時間特性線が変動しても、噴射量と駆動時間の制御値との関係を示す線がシフトするので、両者が重なり、調量精度を向上することができる。
【0039】
特に、所定噴射量Qstの噴射が要求されるときに駆動時間τが最も適正化されるから、所定噴射量Qstは、最も正確に調量すべき噴射量にとるのがよい。このような噴射量としては、例えば次のような噴射量とし得る。機関の1回のサイクルに対応する燃料噴射を複数回に分けて行うマルチ噴射が行われているが、マルチ噴射の一態様として、主噴射の前にパイロット噴射を行うものがある。このパイロット噴射は噴射率のプロファイルを改善すべくなされるものであるため、噴射量は1mm3 /st程度の微量である。したがって、その何割かの調量誤差により、エミッション(NOx 、スモーク、HC)、燃費、騒音等に大きな悪影響を与える。そこで、所定噴射量Qstは、パイロット噴射でとられる噴射量とし、所定噴射量Qstに対応するΔSを予め求めておけば、最も調量精度が要求されるパイロット噴射で効果的に調量精度を向上することができる。このように、所定噴射量Qstに相当するセンサ出力変化ΔSを記憶し、センサ出力値S0 とセンサ出力値変化ΔSとに基づいて、噴射量が所定噴射量Qstとなるセンサ出力値Sを推定することで、噴射量Qstの噴射を得ようとしたときに補正が最も最適化されるようにしているので、前記エミッション、燃費、騒音等を効率的に抑制することができる。
【0040】
この、駆動時間の制御値とのずれ量Δτc は、前記特開2001−90580号公報のように前記シフト量の刻み幅等の影響を受けずに測定することができる。
【0041】
なお、制御値とのずれ量Δτc の範囲は概略知ることができるから、予めτa ,τb のとり方によって前記図4の例のようにτc を内挿により求めるのもよいし、図6のように外挿で求めるのもよい。
【0042】
また、2点のデータによる補間ではなく、図7のように3点以上の測定で噴射期間における特性線を特定し、τc を求めるのもよい。特性線の特定は、例えば、N個の(Sk ,τk )について最小自乗法により求め得る。
【0043】
また、ずれ量τc は噴射圧力が所定値のときに求めているが、前記ステップS202の補正は、その時点の噴射圧力に応じて補正量を調整してもよい。その時点の噴射圧力に応じて補正量を調整する場合、学習制御のステップS102において噴射圧力の所定値を複数設定して、各所定値および各気筒に対して、センサ出力値S0 ,Sa ,Sb を求めてずれ量τc を得るようにし、複数のずれ量から補間により各噴射圧力における補正量を得るようにしてもよい。
【0044】
あるいは、ステップS102における噴射圧力の所定値を、特に調量精度が要求される噴射圧力にとり、この噴射圧力のときにのみ駆動時間の制御値を補正するようにしてもよい。この場合、制御値の補正をする噴射圧は、厳密に所定値と一致している必要はなく、許容範囲内であればよいのは、ステップS102と同様である。
【0045】
また、特性線の傾きである式(1)の(τb −τa )/(Sb −Sa )はインジェクタ2の噴孔からの燃料流量に依存するが、この燃料流量はインジェクタ2の個体差やその劣化により変動するから、補正値として、駆動時間τの補正に際してシフト量だけではなく、この傾きの変化についても駆動時間τの補正に加味するのがよい。具体的には、補正前の特性線の基準の傾きに対する(τb −τa )/(Sb −Sa )の比を算出し、これに、所定噴射量Qstに対応する補正前の駆動時間τとτc との差分を乗じて、ずれ量Δτ’とする。補正後の駆動時間は、補正前の駆動時間に、ずれ量Δτc とずれ量Δτ’との両方を加算した値とする。
【0046】
また、本発明は、気筒数や内燃機関の種類、内燃機関の用途等に限定されず適用し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した燃料噴射制御装置が付設された内燃機関の構成図である。
【図2】前記内燃機関の各部を制御し、前記燃料噴射制御装置を構成するECUで実行される制御内容を示す第1のフローチャートである。
【図3】前記ECUで実行される制御内容を示す第2のフローチャートである。
【図4】前記ECUで実行される制御内容を説明するグラフである。
【図5】(A)、(B)はそれぞれ前記ECUで実行される制御内容を説明する別のグラフである。
【図6】本発明を適用した燃料噴射制御装置の変形例を説明するグラフである。
【図7】本発明を適用した燃料噴射制御装置の変形例を説明する別のグラフである。
【図8】従来の燃料噴射制御装置の代表例を説明するグラフである。
【符号の説明】
11 エンジン本体
12 吸気マニホールド
13 排気マニホールド
14 燃料噴射制御装置
2 インジェクタ
31 燃料タンク
32 調量弁
33 ポンプ
34 コモンレール
4 ECU
41 CPU(噴射条件設定手段、センサ出力推定手段、特性線推定手段、補正手段、学習用燃料噴射禁止手段)
42 RAM
43 ROM(記憶手段)
51 圧力センサ
52 アクセル開度センサ
53 エンジン回転センサ
54 A/Fセンサ
Claims (4)
- 制御信号により駆動され、前記制御信号による駆動開始から噴射開始までにタイムラグがあり、駆動時間に応じた量の燃料を噴射するインジェクタに、該インジェクタの噴射特性の学習用の燃料噴射を実行せしめる内燃機関の燃料噴射制御装置において、
前記インジェクタの噴射量に応じて出力が変化するセンサと、
燃料噴射量が予め設定した所定噴射量に応じたセンサの出力値と、無噴射時に応じたセンサの出力値との差分を基準出力変化として記憶する記憶手段と、
前記学習用の燃料噴射に際し、噴射を開始するために必要な最小駆動時間の長さよりも短いとみなせる無噴射期間に前記駆動時間を設定してセンサの出力値を取得し、前記最小駆動時間よりも長い互いに長さの異なる複数の噴射期間に駆動時間を設定して各センサの出力値を取得する噴射条件設定手段と、
駆動時間が前記無噴射期間内の場合のセンサの出力値と前記基準出力変化とに基づいて、燃料噴射量が前記所定噴射量のときのセンサ出力値を推定するセンサ出力推定手段と、
前記各噴射期間に対応するセンサの出力値に基づいて、噴射期間におけるセンサ出力−駆動時間特性線を推定する特性線推定手段と、
前記特性線推定手段により推定されたセンサ出力−駆動時間特性線上で、前記所定噴射量が要求されるときの駆動時間に対して、前記センサ出力推定手段により推定されたセンサ出力値が対応するように、駆動時間を補正する補正手段とを具備することを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装置。 - 請求項1記載の内燃機関の燃料噴射制御装置において、前記補正手段は、前記センサ出力−駆動時間特性線上で、前記推定されたセンサ出力値に対応する駆動時間を演算し、該演算駆動時間の変化が相殺するように、駆動時間をオフセット補正するように設定した内燃機関の燃料噴射制御装置。
- 請求項2記載の内燃機関の燃料噴射制御装置において、前記補正手段は、前記センサ出力−駆動時間特性線の傾きの変化が相殺するように、駆動時間を、補正前の駆動時間に応じて補正するように設定した内燃機関の燃料噴射制御装置。
- 請求項1ないし3いずれか記載の内燃機関の燃料噴射制御装置において、内燃機関の運転状態を検出する運転状態検出手段と、
該運転状態検出手段により検出された運転状態が予め設定した運転状態にないときには前記学習用の燃料噴射を禁止する学習用燃料噴射禁止手段とを具備せしめた内燃機関の燃料噴射制御装置。
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