JP2004244831A - 昇降安全階段 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】階段用側板11と、踏み板12と、該踏み板と略直交するように連結接合される蹴込み板13と、これらを支承する力桁14からなる階段であって、前記階段用側板11を蹴込み板13との側面外観形状は略同形状ないしは略相似形状からなり、上辺が水平部で、この水平部と下方に連なる垂直部と、この垂直部に下方に連なる切り込み凹部133とを有し、かつ下辺が傾斜部を有する形状からなり、前記踏み板12と蹴込み板13とは、凹凸嵌合部又は滑り用スリット部130を介して連結接合されてなることを特徴とする昇降安全階段1である。
【選択図】図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、昇段時において足先が踏み板の突出部に当接して転倒したり、降段時において踏み板上でスリップ事故を起こすことがなく、寸法安定性に優れた昇降安全階段に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の階段9には、図13及び図16に示すごとく、踏み板91より足を踏み外すことがないように滑り止め凹部901が段鼻部911に刻設されたものがある。
そして、踏み板91には略直交するように蹴込み板92が連結接合され、また、これらは受け板93を介して力桁94に支承されている。
【0003】
なお、階段9の裏側においては、踏み板91と蹴込み板92との連結接合において、断面が略三角形状の隅木95及び受け板93を介して力桁94に支承されている。
また、踏み板91の先端部の段鼻部においては、特許文献1(図1)に示すごとく、例えばゴム又はプラスチックス成形品からなるノンスリップ材95が装着されている。
なお、上記ノンスリップ材95には、図16に示すごとく、滑り止め凹部940が多数刻設されている。
【0004】
そして、特許文献2及び特許文献3には、プレカット製品とも言うべき、予め工場で所定形状に加工された階段部材が提案されている。これらは、階段9の現場施工組立て時に、接続金具等を用いて組立てられる。
【0005】
一方、特許出願人は、特許文献4、5、6に示すごとく、「仮設化粧階段」、「セットオン階段」、「安全踏板階段」などにより、昇段時及び降段時において、足先がつまずいたり、足を踏み外したり、スリップ事故を起こさない階段を提案している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献7(図1)に示すごとく、踏み板91の踏み面(足で踏む面積)を出来る限り広くするため、前方側にやや突出している(図13参照)。
そのため、図18に示すごとく、足のつま先がつまずいて、階段上で転倒したり、転び落ちる危険性がある。これでは、階段の昇段時に安全を十分確保することが出来ない。
【0007】
また、図13及び図16に示すごとく、滑り止め用凹部910のみでは、降段時において踏み板91より足を踏み外して、滑り落ちたり、スリップ事故を起こす危険性がある。
【0008】
そして、前記ノンスリップ材95を段鼻部94に装着する作業は煩わしく繁雑である。
他方、従来の階段9においては、踏み板91と蹴込み板92との寸法変化率が大きい場合には、連結接合において隙間を生じたり、ノンスリップ材95との寸法変化率の差異により、剥れやすい問題点がある。
【0009】
【特許文献】
(1)特許文献1 特開2000−129880号公報
(2)特許文献2 特開平10−238049号公報
(3)特許文献3 特開平10−238050号公報
(4)特許文献4 特願2002−213875号
(5)特許文献5 特願2002−322964号
(6)特許文献6 特願2002−327972号
(7)特許文献7 特開2000−213132号公報
【0010】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、階段昇段時において踏み板突出部で足のつま先が当接して転倒したり、階段降段時において踏み板を踏み外すことを防ぎ、安全性を十分確保すると共に、更には階段の寸法安定性や階段の施工時の省力化や作業の迅速化を図ろうとするものである。
【0011】
【発明を解決するための手段】
そこで本発明が採った手段は、前記従来の階段9の課題を解決するため、下記の請求項1〜請求項12に示す発明を提案するものである。なお、本発明を更に具体的に説明するため、実施例において使用する図面の符号を付して説明する。
【0012】
まず請求項1に記載の発明が採った手段は、階段用側板11と、踏み板12と、該踏み板12と略直交するように連結接合される蹴込み板13と、これらを支承する力桁14とからなる階段であって、
前記階段用側板11と蹴込み板13との側面外観形状は略同形状ないしは略相似形状からなり、上辺が水平部111、131で、この水平部と下方に連らなる垂直部112、132と、この垂直部112、132の下方に連なる切り込み凹部113、133とを有し、かつ下辺傾斜部114、134を有する形状からなり、
【0013】
前記踏み板12と蹴込み板13とは、滑り用スリット部又は凹凸嵌合部を介して連結接合されてなることを特徴とする昇降安全階段1を提供するものである。
これにより、昇段時において足先が踏み板12の突出部に当接したり、つまずくことがなく、階段昇段時の安全性を十分確保することが出来る。
【0014】
また、請求項2に記載の発明が採った手段は、踏み板12及び蹴込み板13は階段用側板11よりも内側に配設されてなり、かつ受け板15を介して力桁14により支承されてなることを特徴とする昇降安全階段1を提供するものである。
【0015】
これにより、前記階段用側板11及び蹴込み板13の下方において、湾曲凹部(イ)、切り欠き三角凹部(ロ)、略逆台形状(ハ)などの切り込み凹部113、133が形成されるため、この切り込み凹部113、133の下辺においては、踏み板12の踏面が拡大される。そのため、階段の昇段時及び降段時において、確実に踏み板12上に足を乗せることが出来るので、昇段時及び降段時の安全性が十分確保されることになる。
【0016】
そして、請求項3に記載の発明が採った手段は、踏み板12は、階段用側板11の下方の切り込み凹部の一部設置されてなることを特徴とする昇降安全階段1を提供するものである。
これにより、踏み板12の一部設置略逆台形状昇段時容易となり、階段の施工現場における作業の迅速化による省力化、施工性の向上が可能となる。
【0017】
請求項4に記載の発明が採った手段は、切り込み凹部は、湾曲凹部(イ)、切り欠き三角凹部(ロ)、略逆台形状(ハ)のいずれかであることを特徴とする昇降安全階段1を提供することが出来る。
これにより、前記踏み板12の踏面を拡大して階段の昇段時及び降段時における安全性を十分確保し、踏み板12を踏み外すことを防ぐことが出来る。
【0018】
請求項5に記載の発明が採った手段は、踏み板12は、ステッパー部121、横溝粗面122を略全表面に有することを特徴とする昇降安全階段1を提供するものである。
これにより、階段の降段時において、スリップ事故及び踏み板12上で足を滑らして踏み外すことがなく、昇段時及び降段時の安全性を十分に確保することが出来る。
【0019】
請求項6に記載の発明が採った手段は、蹴込み板13は、上方部においてステッパー部121や横溝粗面122などの滑り止め粗面が形成された段鼻部135を有することをとくちょうとする昇降安全階段1を提供するものである。
これにより、蹴込み板13を工場などで予め生産加工したプレハブ製品又はプレカット製品により構成しておくことにより、階段の施工現場での作業の能率化を図ることが出来る。
【0020】
請求項7に記載の発明が採った手段は、階段用側板11、踏み板12、蹴込み板13は寸法安定木材からなることを特徴とする昇降安全階段1を提供するものである。
これにより、素材としての木材の寸法変化率が小さくなり、階段用側板11、踏み板12,蹴込み板13との連結接合において、隙き間や歪みを生ずることがなく、寸法安定性に優れた昇降安全階段1を提供することが出来る。
【0021】
請求項8に記載の発明が採った手段は、木材繊維が多方向に配列された集成材の木片、ホルマール化木材、挽材を含むランバー合板のいずれ又はこれらの組み合せ木材であることを特徴とする昇降安全階段1を提供するものである。
これにより、寸法変化率が少なく、寸法精度が高く、かつ多様性及び寸法安定性に優れた昇降安全階段1を提供することが出来る。
【0022】
請求項9に記載の発明が採った手段は、集成材の木片又は挽材を含むランバー合板は、建築廃材から選別された広葉樹堅牢木材を含むことを特徴とする昇降安全階段1を提供することが出来る。これにより、現時点では余り積極的にリサイクル利用されていない木造建築物の廃材を有効に利用し、資源の循環利用を図ることが出来る。なお、上記廃材は、特にブナ、ケヤキ、アピトン等の広葉樹堅牢木材であることが好ましい。それは、スギやヒノキ等の針葉樹木材よりも強度や硬度が優れているからである。
【0023】
請求項10に記載の発明が採った手段は、踏み板12と蹴込み板13とを連結接合する凹凸嵌合部又は滑り用スリット部は、その一部において接着剤溜り凹部123、124を有することを特徴とする昇降安全階段1を提供するものである。
これにより、踏み板12と蹴込み板13との連結接合において、接着剤を比較的多量に含有することが出来るため、強固な連結接合を形成することが出来る。
【0024】
請求項11に記載の発明が採った手段は、接着剤は、吸着剤又は吸湿材を含有することを特徴とする昇降安全階段1を提供するものである。
これにより、踏み板12と蹴込み板13との連結接合において、接着剤が空気中の湿分を吸収して、踏み板12と蹴込み板13との連結接合の木材を湿潤膨張させることにより、連結接合の凹凸嵌合部又は滑り用スリット部がより強固になる。
【0025】
請求項12に記載の発明が採った手段は、吸着剤又は吸湿剤は、活性炭、活性白土、ベントナイト、ゼオライト、カルシウム化合物、マグネシウム化合物、鉄化合物のいずれかであることを特徴とする昇降安全階段1を提供するものである。
これにより、比較的入手が容易で安価な材料を用いて、接着剤による連結接合の多孔質な木材部分を容易に湿潤膨張させることが出来る。
【0026】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を実施例等に基づいて、請求項1〜請求項12に記載の発明の具体的な実施の態様及び作用などについて詳細に説明し、本発明を実施するに当り、採り得る形態を明らかにする。
【0027】
本発明の昇降安全階段1は、階段用側板11と踏み板12と該踏み板12と略直交するように連結接合される蹴込み板13と、これらを支承する力桁14をからなる階段である。それゆえ、階段の形式、形態においては、踊り場を有する「折返し階段」、「直通踊り場階段」、「回り階段」「かね折れ階段」などの各種形態の階段も含まれる。
【0028】
また、階段用側板11には、手摺(笠木)や手摺子を配設したり、踏み板12と蹴込み板13との裏面において、隅木や底板を配設することも、当業者が適宜に実施し得る態様である。
【0029】
階段用側板11と蹴込み板13とは、側面外観形状は略同形状ないしは略相似形状からなり、好ましくは蹴込み板13よりも階段用側板11が若干大きい略相似形状からなることが最適の形態である。蹴込み板13は、階段用側板11よりも内側に配設するからである。なお、切り込み凹部113、133は、湾曲凹部(イ)、切り欠き三角凹部(ロ)、略逆台形状(ハ)の形態において、略同形状を採用することが好ましい。踏み板12の踏面が同一面積で拡大できるからである。
【0030】
踏み板12と蹴込み板13とは凹凸嵌合部又は滑り用スリット部を介して連結接合される形態であることが好ましい。踏み板12と蹴込み板13と連結接合が容易かつ円滑に出来るからである。
【0031】
踏み板12及び蹴込み板13は、階段用側板11より内側に配設されてなり、かつ受け板15を介して力桁により支承されることが好ましい。
階段用側板11、踏み板12、蹴込み板13を予め工場等において生産加工したプレハブ製品又はプレカット製品を採用することにより、階段の施工現場において、踏み板12と蹴込み板13との組み付け施工が容易となるからである。
【0032】
踏み板12は、階段用側板11の下方の切り込み凹部の一部設置されてなることが好ましい。踏み板12を階段用側板11の一部設置に簡便に配設して、いわゆる「セットオン階段」を容易に形成できるからである。
【0033】
また、切り込み凹部は、湾曲凹部(イ)、切り欠き三角凹部(ロ)、略逆台形状(ハ)であることが好ましい。蹴込み板13の下方において、切り込み凹部を容易に形成し、踏み板12の踏面を拡大できるため、階段昇段時において踏み板12を踏み外すことがなく、昇段時の安全を確保することが容易に出来るからである。なお、切り込み凹部は湾曲凹部(イ)、切り欠き三角凹部(ロ)、略逆台形状(ハ)の各種形態であっても、同様に踏み板12の踏面を拡大したり、階段用側板11の下方の切り込み凹部に踏み板12の両端部を一部設置(セットオン)して、踏み板12を階段用側板11に容易に取付け施工することが出来る。
【0034】
踏み板12は、ステッパー部121、横溝粗面122を略全表面に有することが好ましい。これにより、階段の降段時において、足を滑らせたり、踏み外すことがなく、降段時の安全性を確保することが出来る。
蹴込み板13は上方部において、ステッパー部136や横溝粗面137を一部設置した滑り止め粗面が形成された段鼻部135を有することが好ましい。これにより、踏み板12を前方に突出させることなく、蹴込み板13の本体とその上方部(頭部)において、工場等で一体加工したプレカット製品を容易に得ることが出来ると共に、階段の施工現場において踏み板12の前方部でノンスリップ材を装着する手間を省略することが出来る。
【0035】
階段用側板11、踏み板12、蹴込み板13は、木材繊維が多方向に配列された集成材の木片、ホルマール化木材、挽材を含むランバー合板のいずれかである寸法安定木材からなることが好ましい。これにより、寸法精度が高く、階段用側板11と踏み板12と蹴込み板13の連結接合において、隙き間や歪みが生じることのない、寸法安定性に優れた昇降安全階段1を有利に得ることが出来る。
【0036】
集成材の木片又は挽材を含むランバー合板は、建築廃材から選別された広葉樹堅牢木材を含むことが好ましい。木材資源のリサイクル有利を可能とし、強度や硬度の大きい昇降安全階段1を有利に得ることが出来るからである。
【0037】
踏み板12と蹴込み板13とを連結接合する凹凸嵌合部又は滑り用スリット部は、その一部において、接着剤溜り凹部123、124を有し、接着剤は、活性炭、活性白土、ベントナイト、ゼオライト、カルシウム化合物、マグネシウム化合物、鉄化合物等を含有することが好ましい。
これにより、踏み板12と蹴込み板13との連結接合である凹凸嵌合部又は滑り用スリット部において、木材の湿潤膨張を可能として、強固な凹凸嵌合部又は滑り用スリット部を有利に形成することが出来る。
【0038】
上記カルシウム化合物としては、例えば塩化カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウムなどがある。
また、上記マグネシウム化合物としては、例えば塩化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウムなどがある。
そして、上記鉄化合物としては、例えば水酸化第1鉄又は第2鉄や塩化鉄などがある。
【0039】
次に、本発明の昇降安全階段1の施工現場における組み付け方法の手順の一例を示す。
まず、第一段階として、昇降安全階段1を取り付け施工する部分(位置)において、階段用側板11の位置の墨出を行う。次に、階段用側板11と踏み板12と蹴込み板13を受け板15を介して力桁14に支承するように取付ける(図1及び図2参照)。
【0040】
そして、力桁14の上方部を取付け柱及び二回の床面に取付け固定する(図4及び図5参照)。
また、踏み板13の略全表面にステッパー部121や横溝粗面122の滑り止め粗面を装着(貼着)する(図3、図8〜図10)。
【0041】
略全表面滑り止め粗面昇段時、本発明の好ましい実施例について、図面を参照しながら具体的に説明する。
(実施例1)
本例は、図1〜図5に示すごとく、請求項2、請求項5、請求項6、請求項8、請求項9に記載の発明に係る昇降安全階段1に対応する具体例を提供するものである。
まず、図2に示すごとく、一対の階段用側板11、11を左右二体の力桁14に取付ける。そして、隅木16を2枚の階段用側板11に架設する。取付け手段としては、長い釘、ボルトとナット、接着剤などを併用する。また、隅木16は、階段用側板11の前方角隅に形成した切り欠き凹部130に設置(セットオン)し、釘と接着剤を併用して装着する。
【0042】
次に、図1に示すごとく、踏み板12を力桁14上に取付け固定する。取付け固定手段としては、当業者が通常採用する常套手段である、踏み板12の裏面側にもうけた蟻掛け凹部(図面略)を受け板15又は受けこまを用いて、長い釘及び接着剤を併用して行う。なお、接着剤の中には、ベントナイトや塩化カルシウムなどの吸着剤又は吸湿剤を混入しておく。これにより、接着剤が空気中の水分(湿分)を徐々に、前記「蟻掛け凹部」としての凹凸嵌合部又は滑り用スリット部(図示略)近傍の木質多孔部を湿潤膨張させる。そのため、凹凸嵌合部又は滑り用スリット部部は強固な連結接合を形成することになる。
【0043】
なお、個々で注目すべきことは、踏み板12の上端部は、図1に示すごとく、階段用側板11の上辺である水平部111と同一レベルにしておくのが肝要である。その理由としては、階段用側板11と力桁13との下方に形成された切り込み凹部113、133としての湾曲凹部(イ)を残存させておくことにより、踏み板12の踏面をその湾曲凹部(イ)部分だけ拡大させることが出来る。これにより、階段昇段時において、踏み板12を踏み外すことがなくなり、昇段時の安全を十分に確保することが出来ることになる。
【0044】
次に、注目すべきことは、図1及び図2に示すごとく、階段用側板11の前方入隅139及び踏み板12と蹴込み板13との上方前端部における連結接合には、前述のごとく、隅木16が配置されているため、昇段時において従来の階段9のごとく、足先がつまずき(図18参照)、階段で転倒したり、落下する危険を解消することが出来る。
【0045】
そして、隅木16と踏み板12との間隙部には、図1に示すごとく、蹴込み板13を階段用側板11の形状に対応するごとく配設する。配設手段としては、前述のごとく、当業者が常套手段として採用する釘、接合用治具、接着剤などを用いて行う。なお、前記踏み板12としては、例えば工場等で予め生産加工したプレカット製品を用いることが出来る。このプレカット製品は、図3に示すごとく、略全表面において横溝粗面122が形成されている。この横溝粗面122は、滑り止め粗面の一態様であり、階段の昇段時及び降段時、特に降段時において踏み板12を踏み外すことを防ぐことが出来る。
【0046】
最後に、図4及び図5に示すごとく、前述のようにして構成した昇降安全階段1の上端部(頭部)は、支柱2と二階床柱(根太)又は受け材3に取付け固定する。取付け固定の方法としては、前記受け材3に「大入れ蟻掛け」を形成し、この凹凸嵌合部又は滑り用スリット部に階段用側板11の上端分に形成した側桁大入れ蟻掛け凸部を嵌合することにより、連結接合を形成する。即ち、図5に示すごとく、受け材3に形成した嵌合凹部30の中に前記接着剤を用いて、階段用側板11の上端部に形成した蟻掛け凸部110を嵌入することにより行う。これにより、受け材3と階段用側板11との連結接合がいっそう強固になる。
【0047】
以上のようにして構成した昇降安全階段1は、階段用側板11、踏み板12、蹴込み板13の素材として、木材繊維が多方向に配列された集成材の木片又は、挽材を含むランバー合板を用いているため、木材のタテ及びヨコ方向の伸縮がきわめて少ない寸法安定性に優れた昇降安全階段1を得ることが出来た。
また、階段用側板11、踏み板12、蹴込み板13は、全て工場等において予め所定形状にプレカットした、いわゆるプレカット製品を用いているため、階段の施工現場における作業の迅速化及び省力化が可能となり、施工性に優れた昇降安全階段1を得ることが出来る。特に、踏み板12は、図3に示すごとく、踏み板12の略全表面に滑り止め粗面としての横溝粗面122が形成されているため、階段の昇段時及び降段時において安全を十分確保することが出来る。
したがって、本例によれば、昇段時において踏み板12の踏面を拡大して、足を踏み外すことがなく、足先が段鼻部135に当接してつまずくことがない昇降安全階段1であって、降段時においても踏み板12を踏み外してスリップ事故を起こすことがなく、かつ寸法安定性に優れた昇降安全階段1を得ることが出来る。
【0048】
(実施例2)
本例は、図6、図7に示すごとく、請求項1、請求項3、請求項5、請求項6、請求項8、請求項9に記載した発明に対応した昇降安全階段1を提供するものである。
図6に示すごとく、階段用側板11と蹴込み板13とは略同形状であって、踏み板12と力桁13とを略直交するように凹凸嵌合部又は滑り用スリット部を介して連結接合した断面形状は、階段用側板11の形状である「側面外観形状は、上辺が水平部111で、この水平部111と下方に連らなる垂直部112と、この垂直部112に連らなる切り込み凹部113としての切り欠き三角凹部(ロ)とを有し、かつ下辺が傾斜部114を有する形状からなるものである。
【0049】
そして、図7に示すごとく、踏み板12はその略全表面において横溝粗面122が形成してある。また、踏み板12と蹴込み板13との裏面側においては、受け板15としての防振ゴム又は制振鋼板が配設してある。これにより、階段の昇段時及び降段時において、床鳴りやキシミ音が発生することを防ぐことが出来る。
また、階段用側板11、踏み板12、蹴込み板13は、実施例1と同様に寸法変化率が少ない、異方向性の木材繊維の積層接合材により構成してある。その他の構成、例えば階段用側板11の上端部の取付け固定(図4、図5参照)してある。
本例によれば、昇段時には足のつまづきがなく、降段時にはスリップ事故の発生がなく、寸法安定性に優れた昇降安全階段1を得ることが出来る。
【0050】
(実施例3)
本例は、図8及び図9に示すごとく、請求項1,請求項5、請求項6、請求項7、請求項8〜請求項12に記載の発明に対応する昇降安全階段1を提供するものである。
図8に示すごとく、まず蹴込み板13は、上辺(頭部)において、段鼻部135にはステッパー部136が形成してある。そして、この段鼻部135は凹凸嵌合部又は滑り用スリット部としての凹部130を有する。一方、踏み板12は、その先端部において、上記凹部130と対応するサネ加工凸部125を有する。
ここで注目すべきことは、踏み板12と蹴込み板13とを連結接合する凹凸嵌合部又は滑り用スリット部は、その一部において、接着剤溜り凹部(図示略)を有することである。
【0051】
そして、接着剤は、ベントナイト、ゼオライト、活性炭などの吸着剤又は、吸湿剤を有する。これにより、連結接合における素材としての木材繊維が多方向に配列された集成材の木片の積層接合材の多孔質部分より空気中の水分を吸収して湿潤膨張する。それ故、連結接合は強固に嵌合されると共に、隙間や歪みを発生することがない。なお、上記ベントナイトやゼオライト微粉は長期間にわたり、一種の結合水の形態で水分を放置すると共に、他方、長期間にわたり、水分を放出する可能性を有する。したがって、特に本例によれば、踏み板12と蹴込み板13との連結接合が強固で、かつ寸法安定性に優れた昇降安全階段1得ることが出来る。
【0052】
一方、蹴込み板13は、上辺頭部において、工場などで予め所定形状に加工したプレカット製品であるため、従来の階段9のごとく、踏み板91の先端部において、ノンスリップ材95を装着する必要が無く(図16参照)、しかも従来の階段9に比較して踏み板12は足を滑らして踏み外すことがない。
したがって、本例によれば、図9に示すごとく、昇段時に足先が踏み板91の突出部に当接してつまずくことがなく、安全を十分に確保することが出来る。また、階段の施工現場において、作業性に優れ迅速容易に昇降安全階段1を得ることが出来る。
【0053】
なお、図9に示すごとく、滑り止め粗面としての横溝粗面126に代えて、図10に示すごとく、踏み板12のいにおいて、たとえば、ウレタン発泡材123や研磨剤が混入された塗料を踏み板11の表面に塗布することが出来る。これにより、素材である集成材の木片や挽材を含むランバー合板の耐久性が向上すると共に、見栄えが向上した昇降安全階段1を得ることが出来る。
【0054】
(実施例4)
本例は、図11に示すごとく、特許文献5の一例として、蹴込み板13の下方に形成する切り込み凹部133の一態様としての断面形状が略逆台形状で、かつ湾曲凹部(イ)を有する昇降安全階段1を提供するものである。
特許文献5に記載の階段と木質的に異なるところは、階段用側板11、踏み板12、蹴込み板13の素材として、木材繊維が多方向に配列してなる集成材の木片の積層接合材により構成したことである。
【0055】
なお、図11に示すごとく、踏み板の前端部又は蹴込み板13の上端頭部において、凹凸嵌合部又は滑り用スリット部を有するホルマール化木材からなる段鼻部135を吸着材又は吸湿剤を混入した接着剤を用いて連結接合したものである。
また、踏み板12の後端部において、竹材や硬質発泡木材からなる合成木材片の湿潤膨張製の「くさび」6を使用してある。これにより「くさび」6は、空気中の水分(湿分)を吸収して、体積膨張することにより、「くさび」6として係合くさび効果を十分発揮する事が出来る。
したがって、本例によれば、寸法安定性及び係合くさび効果に優れた昇降安全階段1を得ることが出来る。
【0056】
(実施例5)
本例は、実施例4における段鼻部5の下方に代えて、断面が略逆台形状でかつ上端頭部に横溝粗面51を有する段鼻部5を採用した昇降安全階段1を提供するものである。また、踏み板11は請求項3に記載のごとく、階段用側板11の下方の切り込み凹部の一部設置されてなる。これにより、踏み板12は単に階段用側板の下方に一部設置した、いわゆるセットオンタイプの階段を形成することが出来る。そのため、階段用側板11、踏み板12、蹴込み板13をプレカット製品により構成することにより、、階段の施工現場における作業性を向上させると共に、省力化や作業の迅速性を可能とした昇降安全階段1を提供することが出来る。
なお、図12に示すごとく、階段用側板11の情報頭部は実施例1と同様に構成した(図4、図5参照)。その他の構成も実施例1と同様に構成した。
【0057】
【発明の効果】
本発明は、請求項1〜請求項12に記載の発明により構成されたものである。そのため、下記に示すような諸々の効果を奏するものである。
まず、請求項1に記載の発明によれば、昇段時において足先が踏み板12の突出部に当接したり、つまずくこと(図18参照)がなく、階段の昇段時において安全性を十分確保する事が出来る。また、請求項2に記載の発明によれば、階段用側板11及び蹴込み板13の下方において、湾曲凹部(イ)、切り欠き三角凹部(ロ)、略逆台形状(ハ)などの切り込み凹部113、133が形成されるため、この切り込み凹部113、133の下辺においては、踏み板12の踏面が拡大される。そのため、階段の昇段時及び降段時において、確実に踏み板12上に足を乗せる事が出来るので、昇段時及び降段時の安全性が十分確保される。
【0058】
そして、請求項13に記載の発明によれば、踏み板12の一部設置が容易となり、階段の施工現場における作業の迅速化による省力化、施工性の向上が可能となる。
また、請求項4に記載の発明によれば、踏み板12の踏面を拡大して階段の昇段時及び降段時における安全性を十分に確保して、踏み板12を踏み外すことを防ぐ事が出来る。
請求項5に記載の発明によれば、階段の降段時において、スリップ事故及び踏み板12上で足を滑らせて踏み外すことがなく、昇段時及び降段時の安全性を十分確保することが出来る。
【0059】
請求項6に記載の発明によれば、蹴込み板13を工場などで予め生産加工したプレハブ製品又はプレカット製品により構成しておくことにより、階段の施工現場での作業の能率化を図ることが出来る。
【0060】
請求項7に記載の発明によれば、素材としての木材の寸法変化率が小さくなり、階段用側板11と踏み板12と蹴込み板13との連結接合において、隙間や歪みを生ずることがなく、寸法安定性に優れた昇降安全階段1を得ることが出来る。
また、請求項8に記載の発明によれば、現時点では余り積極的にリサイクル使用されていない木造建築物の廃材を有効利用し、資源の循環利用を図ることが出来る。なお、上記廃材は、特にブナ、ケヤキ、アピトン等の広葉樹堅牢木材であることが好ましい。それは、スギやヒノキ等の針葉樹木材よりも強度や硬度が優れているからである。
【0061】
また、請求項10に記載の発明によれば、踏み板12と蹴込み板13との連結接合において、接着剤を比較的多量に含有することが出来るため、強固な連結接合を形成することが出来る。
そして、請求項11に記載の発明によれば、踏み板12と蹴込み板13との連結接合において、接着剤が空気中の水分(湿分)を吸収して、踏み板12と蹴込み板13との連結接合の木材を湿潤膨張させることにより、連結接合の凹凸嵌合部又は滑り用スリット部がより強固になる。
また、請求項12に記載の発明によれば、比較的入手が容易で安価な材料を用いて、接着剤による連結接合の多孔質な木材部分を容易に湿潤膨張させて、強固な昇降安全階段1を得ることが出来る。
以上のごとく、本発明によれば、階段の昇段時及び降段時の安全性を十分確保することが出来ると共に、寸法安定性や作業性に優れた昇降安全階段1を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1に係る昇降安全階段の中央部における断面図である。
【図2】実施例1における階段用側板の組み立て作業中の斜視図である。
【図3】実施例1における踏み板の略全表面に滑り止め粗面を装着した状態を示す斜視図である。
【図4】実施例1における階段用側板の上端部の取り付け状態を示す斜視図である。
【図5】実施例1における階段用側板の上端部の嵌合状態を示す斜視図である。
【図6】実施例2における中央部分の昇降安全階段の断面図である。
【図7】実施例2における中央部分の別態様の断面図である。
【図8】実施例3における中央部分の昇降安全階段の断面図である。
【図9】実施例3に係る昇降安全階段の一部斜視図である。
【図10】実施例3における別態様の踏み板の一部斜視図である。
【図11】実施例4に係る昇降安全階段の中央部分の一部断面図である。
【図12】実施例5に係る昇降安全階段の中央部分の一部断面図である。
【図13】従来の階段の中央部分における一部断面図である。
【図14】従来の階段の裏面側から見た一部斜視図である。
【図15】従来の階段の中央部分における別態様の一部斜視図である。
【図16】従来の階段の踏み板の先端部にノンスリップ材を装着した状態を示す斜視図である。
【図17】従来の階段の踏み板の別態様の一部斜視図である。
【図18】従来の階段における問題点の説明側面図である。
【符号の説明】
1・・・昇降安全階段
11・・・階段用側板
113・・・切り込み凹部
12・・・踏み板
13・・・階段用側板
135・・・段鼻部
14・・・力桁
15・・・受け板
(イ)・・・湾曲凹部
(ロ)・・・連結接合
(ハ)・・・略逆台形状
Claims (12)
- 階段用側板と、踏み板と、該踏み板と略直行するように連結接合される蹴込み板と、これらを支承する力桁とからなる階段であって、
前記階段用側板と蹴込み板との側面外観形状は略同形状ないしは略相似形状からなり、上辺が水平部で、この水平部と下方に連らなる垂直部と、この垂直部に下方に連なる切り込み凹部とを有し、かつ下辺傾斜部を有する形状からなり、
前記踏み板と蹴込み板とは、滑り用スリット部又は凹凸嵌合部を介して連結接合されてなることを特徴とする昇降安全階段。 - 踏み板及び蹴込み板は、階段用側板よりも内側に配設されてなり、かつ受け板を介して力桁により支承されてなることを特徴とする請求項1に記載の昇降安全階段。
- 踏み板は、階段用側板の下方の切り込み凹部の一部に設置されてなることを特徴とする請求項1に記載の昇降安全階段。
- 切り込み凹部は、湾曲凹部、切り欠き三角凹部、略逆台形状のいずれかであることを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3に記載の昇降安全階段。
- 踏み板は、ステッパー部、横溝粗面を略全表面に有することを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3、請求項4に記載の昇降安全階段。
- 蹴込み板は、上方部においてステッパー部や横溝粗面の滑り止め粗面が形成された段鼻部を有することを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5に記載の昇降安全階段。
- 階段用側板、踏み板、蹴込み板が寸法安定木材からなることを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6に記載の昇降安全階段。
- 寸法安定木材は、木材繊維が多方向に配列された集成材木片、ホルマール化木材、挽材を含むランバー合板のいずれか又はこれらの組み合わせ木材であることを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6、請求項7に記載の昇降安全階段。
- 集成材の木片又は挽材を含むランバー合板は、建築廃材から選別された広葉樹堅牢木材を含むことを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6、請求項7、請求項8に記載の昇降安全階段。
- 踏み板と蹴込み板とを連結接合する凹凸嵌合部又は滑り用スリット部は、その一部において接着剤溜り凹部を有することを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6、請求項7、請求項8、請求項9に記載の昇降安全階段。
- 接着剤は、吸着剤又は吸湿剤を含有することを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6、請求項7、請求項8、請求項9、請求項10に記載の昇降安全階段。
- 吸着剤又は吸湿剤は、活性炭、活性白土、ベントナイト、ゼオライト、カルシウム化合物、マグネシウム化合物、鉄化合物のいずれかであることを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6、請求項7、請求項8、請求項9、請求項10、請求項11に記載の昇降安全階段。
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- 2003-02-12 JP JP2003033364A patent/JP2004244831A/ja active Pending
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