JP2004244478A - アルカリ土類アルミン酸塩蛍光体、該蛍光体の製造方法、蛍光体ペースト組成物および真空紫外線励起発光素子 - Google Patents

アルカリ土類アルミン酸塩蛍光体、該蛍光体の製造方法、蛍光体ペースト組成物および真空紫外線励起発光素子 Download PDF

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章裕 大戸
Kohei Matsuda
康平 松田
Takayuki Hisamune
孝之 久宗
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Abstract

【課題】真空紫外線による輝度劣化が少なく、発光効率の高い青色発光を呈する蛍光体、その製造方法、この蛍光体を用いた蛍光体ペースト組成物および真空紫外線励起発光素子の提供。
【解決手段】式a(M 1−x−y EuII 2y)O・Al12−zIII 18で表される蛍光体であり、該蛍光体合成後に600〜1200℃の中性または還元性雰囲気下でアニール処理してなることを特徴とするアルカリ土類アルミン酸塩蛍光体とする。(MはBa、SrおよびCaからの少なくとも1種の金属元素を表し、MIIはLiおよびTlからの1種を表し、MIIIはB、La、Sc、Y、Gd、In、Ga、Ce、Tm、YbおよびBiからの少なくとも1種を表し、a、x、y及びzは、それぞれ0.9≦a≦1.8、0<x<1、0≦y<1、x+2y<1および0≦z<2を満たす数を表す)。また、蛍光体ペースト組成物並びに真空紫外線励起発光素子の蛍光膜として上記蛍光体を用いる。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に波長が200nm以下の真空紫外線(VUV)による励起下で輝度劣化の少ない高輝度の青色発光を呈するアルカリ土類アルミン酸塩蛍光体、該蛍光体の製造方法、この蛍光体を使用した蛍光体ペースト組成物並びに輝度劣化が少なく高効率に発光を持続させ得る真空紫外線(VUV)励起発光素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、スキャナーの読取り用光源に使われる希ガスランプやプラズマディスプレイパネル(PDP)等に代表されるように、VUVによる励起下で発光する蛍光体を使用した蛍光膜をガラスなどからなる外囲器内に形成すると共に、その中にAr、Xe、He、Ne等の希ガスを単体もしくは混合して封入しておき、封入された希ガスを放電させることにより放射されるVUVによって外囲器内の蛍光膜を励起して発光させる構造・機能を持ったVUV励起発光素子の開発が近年盛んに行われ、実用化されている。
【0003】
従来、このVUV励起発光素子の蛍光膜として使用される蛍光体としては、(Y,Gd)BO:Eu等の赤色蛍光体、LaPO:Ce,Tb、ZnSiO:Mn、BaAl1219:Mn、(Ba,Sr,Mg)O・aAl:Mn、YBO:Tb等の緑色発光蛍光体、BaMgAl1017:Eu、(Ba,Sr)MgAl1017:Eu,Mn等の青色発光蛍光体などが単一もしくは混合して使用されている。
【0004】
VUV励起発光素子の蛍光膜として用いられる蛍光体の特性としては、VUVによる励起下でより高輝度に発光すること、VUV励起発光素子の蛍光膜形成工程で蛍光体塗膜が500℃前後のベーキング処理を受ける際に蛍光膜としての発光輝度が低下しない(ベーキングによる輝度劣化が少ない)こと、VUV励起発光素子を長時間動作させ、継続的にVUVに晒されても蛍光体が輝度低下(VUVによる輝度劣化)が少ないこと、発光色の色純度が良いこと等が要求されるが、現在実用化されている蛍光体もこれらの特性を全て満足するわけではない。一方、市場ではVUV励起発光素子の諸特性のより一層の改善要求が常にあり、VUV励起用蛍光体についても上記特性の良好な新しい蛍光体の開発が期待されている。
【0005】
ところで、VUV励起用蛍光体の中で、アルミン酸塩蛍光体は代表的な青色ないし青緑色発光のVUV励起用蛍光体であり、BaMgAl1017:Eu、(Ba,Sr)MgAl1017:Eu,Mn等、母体結晶中にMgを必須として含むアルカリ土類金属のアルミン酸塩に2価のEu単独またはEuとMnとを付活剤とした、通称BAM蛍光体と呼ばれる蛍光体が発光輝度等の発光特性に優れたVUV励起用青色ないし青緑色発光蛍光体として実用化されている。しかしながら、このBAM蛍光体は、特にベーキングによる輝度劣化並びにVUVによる輝度劣化が大きい欠点をもった蛍光体であり、これに代わるベーキングによる輝度劣化やVUVによる輝度劣化の少ない青色ないし青緑色発光のVUV励起用蛍光体の開発が望まれている。
【0006】
本発明者等は、先にVUV励起用青色蛍光体として高発光効率かつBAM蛍光体と比べてVUVによる輝度劣化が比較的少ない蛍光体として、一般式 a(M 1−x,Eu)O・6Alで表されるアルカリ土類アルミン酸塩蛍光体を提案した(特願2001―245132号参照)。
また、本発明者等は更に上記蛍光体にGa、Ce、Tm、YbおよびBiか
らなる群より選択される少なくとも1種の金属元素(MIII)を添加することにより、その発光色が改良された、一般式a(M 1−b,Eu)O・Al12−cIII 18で表される蛍光体(特願2002−143524号参照)、上記蛍光体にSc、Y、GdおよびInよりなる群より選択される少なくとも1種の金属元素(MII)を添加することによりVUVによる輝度劣化の低減した、一般式a(M 1−x,Eu)O・Al12−yII 18で表される蛍光体(特願2002−143525号)、更に上記蛍光体にLiおよびTlの少なくとも1種の金属元素(MII)および/またはBおよびLaの少なくとも1種の金属元素(MIII)、並びにSc、Y、Gd、In、Ga、Ce、Tm,YbおよびBiよりなる群より選択される少なくとも1種の金属元素(MIV)を添加することにより、これを添加しないものよりも発光輝度の向上した、一般式a(M 1−x−y EuII 2y)O・Al12−z−kIII IV 18で表される蛍光体(特願2002−225464号)を提案した。更にまた上記蛍光体中に硫黄元素を含ませると、そうでない場合に比べ高輝度であることを見出した(特願2003−29460号参照)。しかしながら、動作中のVUVによる輝度劣化をより一層少なくすることが求められおり、そのための蛍光材料の開発が要望されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記のような状況に鑑みてなされたものであり、特にVUV励起用蛍光体として用いた場合に、VUVによる輝度劣化が少なく、発光効率の高い青色発光を呈する蛍光体、該蛍光体の製造方法、この蛍光体を用いた蛍光体ペースト組成物並びにVUV励起発光素子を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記の目的を達成するため、一般式a(M 1−x−y EuII 2y)O・Al12−zIII 18で表される、母体組成中に必須成分としてMgを含有しないアルカリ土類アルミン酸塩蛍光体が特にVUVの継続照射による発光効率の低下が少なく、また、ベーキングによる輝度低下が少ないことに着目し、この蛍光体の更なるVUVによる輝度劣化の改善をはかるべく詳細に検討した結果、蛍光体原料の焼成工程を経て得られた蛍光体に低温でのアニール処理の工程を加えることで、この蛍光体をペースト化してVUV励起発光素子とすれば、VUVによる輝度劣化が抑制され、高輝度の青色発光を維持することを見出し本発明に至った。
【0009】
即ち、本発明は以下に要約された様態からなる。
(1) 一般式a(M 1−x−y EuII 2y)O・Al12−zIII 18で表される蛍光体であって、該蛍光体合成後に600〜1200℃の中性または還元性雰囲気下でアニール処理してなることを特徴とするアルカリ土類アルミン酸塩蛍光体。
(但し、上記式中、MはBa、SrおよびCaからなる群より選択される少なくとも1種のアルカリ土類金属元素を表し、MIIはLiおよびTlからなる群より選択される少なくとも1種を表し、MIIIはB、La、Sc、Y、Gd、In、Ga、Ce、Tm、YbおよびBiからなる群より選択される少なくとも1種を表し、a、x、y及びzは、それぞれ0.9≦a≦1.8、0<x<1、0≦y<1、x+2y<1および0≦z<2を満たす数を表す)。
(2) 上記蛍光体のCuKα1特性X線による粉末回折X線スペクトルにおいて、該スペクトルの回折角(2θ)28°〜31°の角度領域にわたって幅広い帯状のピークを有することを特徴とする上記(1)記載のアルカリ土類アルミン酸塩蛍光体。
【0010】
(3) 上記蛍光体の組成中に5〜2000ppmの硫黄を含有することを特徴とする上記(1)または(2)記載のアルカリ土類アルミン酸塩蛍光体。
(4) 上記蛍光体が波長200nm以下の真空紫外線励起下で発光する真空紫外線励起用蛍光体であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載のアルカリ土類アルミン酸塩蛍光体。
(5) 請求項1〜4記載のアルカリ土類アルミン酸塩蛍光体の製造方法において、該蛍光体の原料を焼成し、得られた蛍光体を600〜1200℃の中性または還元性雰囲気下でアニール処理することを特徴とする上記蛍光体の製造方法。
【0011】
(6) バインダーを溶解した溶媒中に蛍光体粒子を分散含有させてなる蛍光体ペースト組成物において、上記蛍光体粒子が上記(1)から(4)のいずれかに記載のアルカリ土類アルミン酸塩蛍光体であることを特徴とする蛍光体ペースト組成物。
(7) 前記蛍光体粒子の含有率が5〜70重量%であることを特徴とする上記(6)記載の蛍光体ペースト組成物。
(8) 内部に蛍光膜が形成された外囲器内に封入されている希ガスの放電によって放射される真空紫外線により該蛍光膜を励起して発光させる真空紫外線励起発光素子において、上記蛍光膜として上記(1)〜(4)のいずれかに記載の蛍光体を用いることを特徴とする真空紫外線励起発光素子。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の蛍光体は、各蛍光体原料の混合物(以下、蛍光体原料という)を所定の条件で焼成して得られた焼成物である蛍光体に更に所定の条件でアニール処理を施すことにより、VUVによる発光効率の低下やベーキング劣化を抑制することを最大の特徴とするものであり、蛍光体原料として1)Ba、SrおよびCaからなる群より選択される少なくとも1種のアルカリ土類元素、2)Al元素、3)LiおよびTlからなる群より選択される元素、4)B、Sc、Y、Gd、In、Ga、Ce、Tm、Yb、BiおよびLaからなる群より選択される元素、および5)付活剤であるEu元素の各酸化物、またはこれら1)〜5)の各金属元素の炭酸塩、硫酸塩、ハロゲン化物等の化合物を化学量論的にa(M 1−x−yEuII 2y)O・Al12−zIII 18(但し、上記式中、MはBa、SrおよびCaからなる群より選択される少なくとも1種のアルカリ土類金属元素を表し、MIIはLiおよびTlからなる群より選択される少なくとも1種を表し、MIIIはB、La、Sc、Y、Gd、In、Ga、Ce、Tm、YbおよびBiからなる群より選択される少なくとも1種を表し、a、x、yおよびzは、それぞれ0.9≦a≦1.8、0<x<1、0≦y<1、x+2y<1および0≦z<2を満たす数を表す。以下同様である)となる割合で秤取し、これに更に必要に応じてBAM蛍光体など従来のアルカリ土類アルミン酸塩蛍光体製造の場合と同様に、反応促進のためにAlFなどのフッ化物等のフラックスを添加してなる蛍光体原料を十分混合し、アルミナ坩堝等の耐熱容器に充填して焼成し、得られた焼成物に分散、水洗、乾燥、篩分けの諸処理を施し、更に下記の所定温度でアニール処理することによって一般式がa(M 1−x−y EuII 2y)O・Al12−zIII 18である本発明のアルカリ土類アルミン酸塩蛍光体を製造することができる。
【0013】
なお、本発明において一般式がa(M 1−x−y EuII 2y)O・Al12−zIII 18であるアルカリ土類アルミン酸塩蛍光体とは、蛍光体原料を焼成し、更にアニール処理した蛍光体中におけるM、MII、Al、MIIIおよびEuの各金属元素の構成比が上記一般式を満足する蛍光体をいう。
【0014】
上記一般式において、a値については0.9≦a≦1.8の範囲とするのがVUV励起したときの発光輝度の点で好ましく、1.1≦a≦1.5とするのがより好ましい。a値が0.9より小さいか、または1.8より大であれば化学組成的に不純物成分の混在量が多く、高輝度な蛍光体が得られないため好ましくない。VUV励起下で発光するためにはEuの含有量であるx値が0より大であることは当然であり、x値が1より大きい組成とすると濃度消光により発光輝度が漸次低下するので濃度消光の観点から1より小とする必要がある。更に、MIIの含有量(y値)及びMIIIの含有量(z値)はそれぞれ0≦y<1、x+2y<1および0≦z<2の関係を満足するような量範囲とするのがVUV励起したときの発光輝度の観点から好ましい。
【0015】
また、この蛍光体は、VUV励起したときの発光効率の目安である刺激和(発光輝度を発光色度点のy値で除した値)の観点から、蛍光体の母体結晶の一部を構成するM元素がBaであるか、もしくは50モル%以下、より好ましくは20モル%以下のBaをSrおよびCaの中の少なくとも1つで置換したアルカリ土類金属元素であることが好ましい。
【0016】
蛍光体原料は、1300〜1800℃の温度で還元性雰囲気中において、その充填量に応じて2〜40時間かけて1回以上焼成する。焼成温度を1300℃より低くすると得られる蛍光体のVUVによる発光効率の低下の程度が大になると共に、VUV励起下での十分な発光輝度が得られず、また、1800℃より高くすると不要なエネルギーを消費することになり工業的に好ましくない。また、焼成時の還元性雰囲気を得るためには、蛍光体原料化合物が充填された坩堝中に黒鉛や活性炭を埋め込む方法、黒鉛や活性炭を充填した坩堝内に蛍光体原料を充填した坩堝を埋め込む方法、窒素と水素の混合気体中で焼成する方法が挙げられる。更に、焼成雰囲気中には水蒸気が含まれていてもよい。
【0017】
本発明の蛍光体においては、焼成工程において蛍光体原料中に上記1)〜5)の化合物に加えて硫黄(S)または上記1)〜5)のM、MII、Al、MIIIおよびEuの中の少なくとも1種の金属元素の硫酸塩や(NHS等、その組成中にS元素を含む化合物の中の少なくとも1種の所定量を加えて焼成するとか、CS、SO、HS等、その成分中にS元素を含む気体雰囲気中において蛍光体原料を焼成する等の方法によってS元素を蛍光体組成中に含有させることにより、得られる蛍光体のベーキング劣化をより低減させ得る点で好ましい。蛍光体組成中にSを含有させる場合、得られる蛍光体のベーキング劣化をより抑制し得る点で、蛍光体中に含有するSの量が蛍光体に対して5〜2000ppmの範囲、好ましくは10〜500ppmの範囲、より好ましくは20〜250ppmの範囲であることが妥当であり、蛍光体原料混合物中に添加されるSもしくは硫黄化合物の添加量は、原料混合物を焼成した後の蛍光体中のSの含有量が上記範囲内となるように調整される。
【0018】
上述の焼成工程において蛍光体原料を焼成して得られた蛍光体は、次いでアニール処理工程においてアニール処理される。焼成工程で得られた蛍光体のアニール処理は、上記焼成工程と同様の還元性雰囲気もしくは中性の窒素中において600〜1200℃の温度で、より好ましくは600℃〜1000℃の温度で これを耐熱容器に充填して加熱する。アニール処理時の加熱保持時間については、4時間以上であることが好ましく、さらに6時間以上であることが好ましい。加熱保持時間が10時間までは、長い程良いが、10時間以上加熱しても加熱に要するエネルギーを浪費するのみで、更なる改善効果が増加するわけではない。なお、このアニール処理時の雰囲気中には水蒸気が含まれていてもよいが、このときの雰囲気の露点は20℃以下であることが好ましく、0℃以下であることがより好ましい。
【0019】
このようにして製造された本発明の蛍光体は、波長が200nmより長い紫外線や電子線などの電磁波や電離放射線で励起すると色純度のよい青色発光を示すが、その中でも蛍光体粉末にCuKα1特性X線を照射して粉末回折X線スペクトルを観察した際に、回折角(2θ)が28°〜31°の角度領域にわたって幅広い帯状のピークが認められる結晶構造を有するものは特にVUV励起下での発光効率が高く、かつVUVによる発光効率の低下の程度が少ない。この幅広い帯状のピークの強度(X線回折強度)が大であるほど、その蛍光体のVUV励起下での発光輝度が高く、しかもVUVによる発光効率の低下の程度が少ない。なお、本発明の蛍光体の粉末回折X線スペクトルにおいて、この回折角(2θ)が28〜31°の角度領域にわたって見られる幅広い帯状のピークの半値幅は0.5°以上であることが好ましく、さらには1°以上であることがより好ましい。
【0020】
次に、本発明の蛍光体ペースト組成物は、蛍光体粉末として本発明の蛍光体を用いる以外は従来の蛍光体ペースト組成物と同様にして製造される。即ち、本発明の蛍光体とバインダー樹脂が溶解された溶媒とをそれぞれ所定量加えたものを十分に撹拌・混練して蛍光体を分散させると共に、使用目的にかなった粘度に調整することによって得ることが出来る。
【0021】
本発明の蛍光体ペースト組成物の製造に際して、本発明の蛍光体と共に用いるバインダー樹脂としては、使用目的に応じてエチルセルロース、ニトロセルロース、ポリエチレンオキサイド、アクリル樹脂等が使用され、また、蛍光体及び結合剤樹脂を分散させるためと粘度調整のために、蛍光体およびバインダー樹脂と共に使用される溶媒としては水、酢酸ブチル、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、テルピオネール等が挙げられる。蛍光体の配合量は溶媒を除く、蛍光体とバインダー樹脂との全重量に対して5〜70重量%とし、この蛍光体とバインダ−樹脂を溶解した溶媒を添加し、これを撹拌・混練して最後に溶媒を添加し粘度調整するのが、塗膜厚のコントロールや塗布の作業性等の点で好ましい。
【0022】
次に、本発明のVUV励起発光素子について詳述する。
本発明のVUV励起発光素子の1つである希ガスランプを製造する場合は、例えば所望の内径を有する透明なガラス細管の一端から、管内に流動可能な程度にまでその粘度を調節された本発明の蛍光体ペースト組成物を流し塗りし、これを乾燥させ、更にベーキング処理をして有機物成分を焼成揮散させるか、もしくは蛍光体ペースト組成物を塗布乾燥焼成したガラス板等をガラス細管内部に入れ、ガラス管の内部を排気した後に管内に少量の希ガスを封入し、管の両端を封じる。ガラス細管の両端もしくはガラス管の内部と外部、もしくはガラス管の外部の対向した両面に電極を取り付ける。この様にして本発明のVUV励起発光素子の1つである希ガスランプとする。
【0023】
また、本発明のVUV励起発光素子の他の1例であるPDPを製造する場合は、例えばガラス板等の背面板に内部電極を形成し、ストライプ状もしくはマトリックス状の隔壁を設けて複数のセルを構成し、赤、緑、青の各色毎にセルを構成する各隔壁内に公知の方法により赤、緑、青の蛍光体ペースト組成物を塗布する。青色蛍光体ペーストとして本発明の蛍光体ペーストを用い,これを乾燥後ベーキングして各セル内に蛍光膜を形成すると共に背面板と一定間隔を隔てて内部電極が形成されたガラス板等からなる前面板を対向配置し前面板と背面板との周囲を封じて、内部を排気してから希ガスを封入して本発明のVUV励起発光素子の1つであるPDPとする。
【0024】
その他、本発明のVUV励起発光素子は上記の希ガスランプやPDPの他、その種類、形態等の如何に関係なく、それぞれのVUV励起発光素子における発光面となる支持体の表面に本発明の蛍光体ペースト組成物を公知の方法で塗布し、これを乾燥させ、ベーキング処理してそれぞれの蛍光膜を形成し、蛍光膜が形成された外囲器内に希ガスを封入して製造される。
次に、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって限定されるものではない。
【0025】
【実施例】
〔実施例1〕
BaCO 1.1574 モル
Eu 0.0643 モル
Al 5.99 モル
Al(SO・nH 0.01 モル
AlF 0.01 モル
上記各蛍光体原料を十分混合した後、アルミナ坩堝に充填し黒鉛を入れ蓋をして水蒸気を含んだ窒素中で最高温度1600℃で昇降温時間を含め24時間かけて焼成した。次いで、焼成粉に分散、乾燥、篩いの処理を行って蛍光体粉を得た。得られた蛍光体粉末を再度アルミナ坩堝に充填し露点−20℃の水蒸気を含んだ窒素中で最高温度800℃、加熱保持時間8時間でアニールした。このようにして組成式が1.286(Ba0.9Eu0.1)O・6Alである、実施例1のアルカリ土類アルミン酸塩蛍光体を得た。この実施例1の蛍光体のCuKα1特性X線による粉末回折X線スペクトルを測定したところ、回折角(2θ)が28°〜31°の角度領域にかけて幅広い帯状のピークが観測された。
【0026】
さらに、30重量%の上記実施例1の蛍光体、10重量%のブチルカルビトール53重量%のブチルカルビトールアセテート及び7重量%のエチルセルロースを十分に混練して実施例1の蛍光体ペースト組成物を製造した。
この実施例1の蛍光体ペースト組成物をガラス板上に500μmの厚さで塗布し、120℃で30分間乾燥後、空気中500℃で30分間ベーキングして実施例1の蛍光膜を得た。これに波長146nmのVUVを照射して、輝度計によりその発光輝度並びに発光色度点(x値、y値)を測定し、発光輝度を発光色の色度座標のy値で除した値である、刺激和(輝度/y)を求めたところ、これと同一の条件で測定した下記比較例1の蛍光体ペースト組成物からなる比較例1の蛍光膜の刺激和を100とすると、実施例1の蛍光体ペースト組成物からなる蛍光膜の刺激和は101であった。
【0027】
上記のようにして得られた実施例1の蛍光体ペースト組成物を幅2mmのガラス板上に塗布し、120℃で60分乾燥後500℃で30分焼成した。このガラス板を外径4mmのガラス管内に保持し、このガラス管の両端にニッケルの電極を付け、管内を真空に排気した後、Ne98%−Xe2%のガスを50Torr封入して、実施例1のVUV励起発光素子(希ガスランプ)を作製した。このVUV励起発光素子を連続点灯し、点灯直後並びに点灯してから96時間後の刺激和をそれぞれ求め、点灯直後に対する、96時間後の刺激和の相対値(刺激和維持率)を算出したところ、この実施例1のVUV励起発光素子の刺激和維持率は100%であり、経時的な刺激和の低下が全くなくてVUVによる発光効率の低下は認められなかった。
【0028】
〔実施例2〕
アニール温度を800℃ではなく1000℃とした以外は実施例1の蛍光体と同様にして実施例2の蛍光体を製造した。また、実施例1の蛍光体に代えて実施例2の蛍光体を用いた以外は実施例1の蛍光体ペースト組成物並びに実施例1のVUV励起発光素子(希ガスランプ)と同様にして実施例2の蛍光体ペースト組成物並びに実施例2例のVUV励起発光素子(希ガスランプ)を製造した。
次に、実施例1と同様にして実施例2の蛍光体ペースト組成物からなる蛍光膜の刺激和並びに実施例2のVUV励起発光素子(希ガスランプ)の刺激和維持率を測定した。その結果を表1に示す。
【0029】
〔比較例1〕
蛍光体原料を最高温度1600℃で昇降温時間を含め24時間かけて焼成した後に、アニール処理を行わなかった以外は実施例1の蛍光体と同様にして、組成式が1.286(Ba0.9Eu0.1)O・6Alである比較例1の蛍光体を製造し、実施例1の蛍光体に代えて比較例1の蛍光体を用いた以外は実施例1の蛍光体ペースト組成物並びにVUV励起発光素子(希ガスランプ)と同様にして比較例1の蛍光体ペースト組成物並びに比較例1のVUV励起発光素子(希ガスランプ)を製造した。実施例1と同様にして比較例1の蛍光体ペースト組成物からなる比較例1の蛍光膜の刺激和及び比較例1のVUV励起発光素子(希ガスランプ)の刺激和維持率を測定した。その結果を表1に示す。
【0030】
【表1】
Figure 2004244478
【0031】
表1から分かるように、実施例1及び2の本発明の蛍光体を用いた蛍光膜は蛍光体の焼成工程の後にアニール処理が施されなかった比較例1の蛍光体からなる蛍光膜に比べ、刺激和が若干高く、また、実施例1及び2の蛍光体ペースト組成物を用いた実施例1及び2のVUV励起発光素子(希ガスランプ)は共に比較例1の蛍光体蛍光体ペースト組成物を用いた比較例1のVUV励起発光素子(希ガスランプ)よりも刺激和維持率も高くてVUVによる輝度劣化が低減されていた。
【0032】
【発明の効果】
本発明のアルカリ土類アルミン酸塩蛍光体は、蛍光体原料を焼成して得られた蛍光体に更にアニール処理を施すことにより、波長200nm以下のVUV励起による輝度劣化が少なくなり、高効率の青色発光を呈することが可能となり、さらにこの蛍光体からなる蛍光体ペースト組成物により作製された蛍光膜を有する本発明のVUV励起発光素子は動作中の輝度劣化が小さく、その発光効率も改善することが可能となる。

Claims (8)

  1. 一般式a(M 1−x−y EuII 2y)O・Al12−zIII 18で表される蛍光体であって、該蛍光体合成後に600〜1200℃の中性または還元性雰囲気下でアニール処理してなることを特徴とするアルカリ土類アルミン酸塩蛍光体。(但し、上記式中、MはBa、SrおよびCaからなる群より選択される少なくとも1種のアルカリ土類金属元素を表し、MIIはLiおよびTlからなる群より選択される少なくとも1種を表し、MIIIはB、La、Sc、Y、Gd、In、Ga、Ce、Tm、YbおよびBiからなる群より選択される少なくとも1種を表し、a、x、y及びzは、それぞれ0.9≦a≦1.8、0<x<1、0≦y<1、x+2y<1および0≦z<2を満たす数を表す)。
  2. 上記蛍光体のCuKα1特性X線による粉末回折X線スペクトルにおいて、該スペクトルの回折角(2θ)28°〜31°の角度領域にわたって幅広い帯状のピークを有することを特徴とする請求項1記載のアルカリ土類アルミン酸塩蛍光体。
  3. 上記蛍光体の組成中に5〜2000ppmの硫黄を含有することを特徴とする請求項1または2記載のアルカリ土類アルミン酸塩蛍光体。
  4. 上記蛍光体が波長200nm以下の真空紫外線励起下で発光する真空紫外線励起用蛍光体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のアルカリ土類アルミン酸塩蛍光体。
  5. 請求項1〜4記載のアルカリ土類アルミン酸塩蛍光体の製造方法において、該蛍光体の原料を焼成し、得られた蛍光体を600〜1200℃の中性または還元性雰囲気下でアニール処理することを特徴とする上記蛍光体の製造方法。
  6. バインダーを溶解した溶媒中に蛍光体粒子を分散含有させてなる蛍光体ペースト組成物において、上記蛍光体粒子が請求項1〜4のいずれか1項に記載のアルカリ土類アルミン酸塩蛍光体であることを特徴とする蛍光体ペースト組成物。
  7. 前記蛍光体粒子の含有率が5〜70重量%であることを特徴とする請求項6記載の蛍光体ペースト組成物。
  8. 内部に蛍光膜が形成された外囲器内に封入されている希ガスの放電によって放射される真空紫外線により該蛍光膜を励起して発光させる真空紫外線励起発光素子において、上記蛍光膜として請求項1〜4のいずれか1項に記載の蛍光体を用いることを特徴とする真空紫外線励起発光素子。
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