JP2004243442A - ラッピング加工装置およびラッピング加工方法 - Google Patents

ラッピング加工装置およびラッピング加工方法 Download PDF

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Takafumi Watanabe
孝文 渡辺
Masahiko Iiizumi
雅彦 飯泉
Kiyoshi Hasegawa
清 長谷川
Masahiro Komata
正博 小又
Takashi Ogino
崇 荻野
Tomohiro Kondo
智浩 近藤
Kazuo Takeda
和夫 武田
Yoshiyuki Senda
義之 千田
Yasushi Matsushita
靖志 松下
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Abstract

【課題】カムロブ部などの断面非真円の円弧状の加工面を有するワークに対してラッピング加工を施す際に、シューのジャンピングの発生を防止し、加工面の面粗度を均質化する。
【解決手段】ラッピング加工装置1は、ラッピングフィルム11と、シュー21と、シューをワークWに向けて押付けてラッピングフィルムの砥粒面をワークに押付けるとともにシューを進退駆動するシュー駆動ユニット30と、ワークを回転駆動する回転駆動ユニット40と、ワークの回転位置を検出するロータリエンコーダS1と、コントローラ100と、を有する。コントローラは、加工中におけるワークの回転位置に応じてワークに対するシュー位置を変更するように、マスターカムやシュー駆動用モータM4などを含むシュー駆動ユニットの作動を制御する。
【選択図】 図7

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ワークの加工面を砥粒付きのラッピングフィルム(以下単にフィルムと称することもある)によりフィルムラッピング加工(以下単にラッピング加工)するラッピング加工装置およびラッピング加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、カムシャフトのカムロブ部やジャーナル部あるいはクランクシャフトのジャーナル部やピン部等のような断面円弧状外周面を有するワークを仕上げ加工する場合は、最近、一面に砥粒が設けられたラッピングフィルムによりラッピング加工されている。
【0003】
このラッピング加工は、ワークの加工面をラッピングフィルムで覆い、このフィルムを背面からシューで加圧し、フィルムをワークに押付けた状態でワークを回転しながらフィルムの砥粒面でワークを加工する。ラッピング加工装置は、シューをフィルムを介してワークに押付ける機構のほか、ワークを回転駆動する機構や、ワークおよびラッピングフィルムのうちの少なくとも一方にワークの軸線方向に沿うオシレーションを付与するオシレーション機構を有している(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開平7−237116号公報 (図1、図2参照)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来のラッピング加工装置では、ワーククランプ用バネの弾発力によってシューをワークに向けて押付けて、ラッピングフィルムの砥粒面をワークに押付けている。
【0006】
ここで、加工面が断面非真円形状のワークの場合には、ワークの軸心(回転中心)から加工面までの半径が部位ごとに異なっている。例えば、カムシャフトにおけるカムロブ部は、ベースサークル(基準円)をなすベース部、カムのリフトを定めるトップ部、ベース部からトップ部にかけて伸びるイベント部などの複数の部位を備え、ワークの軸心から加工面までの半径は、ベース部終端からトップ部に向かうにつれて長くなっている。
【0007】
このようなワークをラッピング加工する際には、シューは、ワーククランプ用バネの弾発力によって押付けられながらフローティングし、加工面の形状変化に追従するようにしている。
【0008】
しかしながら、カムロブ部を例に挙げれば、カムシャフトの回転に伴って加工部位がイベント部からトップ部に、および/または、トップ部からイベント部に移行する際に、シューのジャンピングが生じることがある。シューにジャンピングが生じると、加工面に対する仕事量が大幅に減少し、他の部位に比べて面粗度が悪くなってしまう。また、加工面に圧痕が生じる虞もある。
【0009】
本発明は、上記従来技術に伴う課題を解決するためになされたものであり、断面非真円の円弧状の加工面を有するワークであっても、シューのジャンピングの発生を防止し、加工面の面粗度を均質化し得るラッピング加工装置およびラッピング加工方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、下記する手段により達成される。
【0011】
本発明は、断面非真円の円弧状の加工面を有するワークに対してラッピング加工を施すラッピング加工装置であって、
薄肉基材の一面に砥粒が設けられたラッピングフィルムと、
前記ラッピングフィルムの背面側に配置されたシューと、
前記シューを前記ワークに向けて押付けて前記ラッピングフィルムの砥粒面を前記ワークに押付けるとともに前記シューを進退駆動するシュー駆動手段と、
前記ワークを回転駆動する回転駆動手段と、
前記ワークの回転位置を検出する検出手段と、
加工中におけるワークの回転位置に応じて前記ワークに対する前記シューの位置を変更するように、前記シュー駆動手段の作動を制御する制御手段と、を有することを特徴とするラッピング加工装置である。
【0012】
また、本発明は、断面非真円の円弧状の加工面を有するワークに向けてラッピングフィルムの背面側に配置されたシューを押付けて、前記ラッピングフィルムの砥粒面を前記ワークに押付けた状態で、前記ワークを回転駆動しつつラッピング加工を施すラッピング加工方法であって、
前記ワークの回転位置を検出手段により検出し、加工中におけるワークの回転位置に応じて前記ワークに対する前記シューの位置を変更することを特徴とするラッピング加工方法である。
【0013】
【発明の効果】
本発明に係るラッピング加工装置およびラッピング加工方法によれば、カムシャフトのカムロブ部のように断面非真円の円弧状の加工面を有するワークであっても、シューのジャンピングの発生を防止し、加工面の面粗度を均質化し得るという効果を奏する。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しつつ説明する。
【0015】
図1は、本発明の実施形態に係るラッピング加工装置1を示す概略構成図、図2は、ラッピング加工装置1に開閉自在に設けられた上下のアーム22、23の閉状態を示す概略断面図、図3は、上下のアーム22、23の開状態を示す概略断面図、図4は、ラッピング加工装置1の要部を示す断面図である。また、図5(A)は、ラッピング加工されるワークとしてのカムシャフト60の一例を示す斜視図、図5(B)は、カムシャフト60のカムロブ部61における各部位の説明に供する図である。なお、説明の便宜上、カムシャフト60の軸線方向(図1において左右方向)をX方向と定義し、X方向に対して直交する水平方向(図1において紙面に直交する方向)をY方向と定義し、X方向に対して直交する鉛直方向(図1において上下方向)をZ方向と定義する。
【0016】
図1〜図4を参照して本実施形態のラッピング加工装置1について概説すれば、非伸縮性でかつ変形可能な薄肉基材の一面に砥粒が設けられたラッピングフィルム11と、ラッピングフィルム11の背面側に配置されたシュー21と、シュー21を押付けてラッピングフィルム11の砥粒面をワークWに押付けるとともにシュー21を進退駆動するシュー駆動ユニット30(シュー駆動手段に相当する)と、ワークWを回転駆動する回転駆動ユニット40(回転駆動手段に相当する)と、ワークWおよびラッピングフィルム11のうちの少なくとも一方にワークWの軸線方向に沿うオシレーションを付与するオシレーションユニット50と、を有し、回転するワークWにラッピングフィルム11を押圧しラッピング加工を施している。本実施形態のラッピング加工装置1は、断面非真円の円弧状の加工面を有するワークWに対してラッピング加工を施すために好適に用いられる。この種のワークWとして、図5(A)に示すように、カムシャフト60を挙げることができ、このカムシャフト60におけるカムロブ部61の外周面が、ラッピング加工を施す加工面となる。カムロブ部61の位置に対応して、対をなす上アーム22および下アーム23が複数対配置されている(図1参照)。
【0017】
なお、本明細書における「断面非真円の円弧状」とは、回転中心から一の部位までの半径を他の部位までの半径と異ならせることを意図した円弧形状をいい、楕円形状や、図示したカムロブ部61のような卵形状が含まれることはもちろんのこと、外形は円形状であるが回転中心が円中心から偏心したものも含まれると理解されなければならない。
【0018】
以下、ラッピング加工装置1について詳述する。
【0019】
図1を参照して、前記回転駆動ユニット40は、主軸41を回転自在に支持するヘッドストック42と、主軸41の先端に連結されカムシャフト60の一端を把持するチャック43と、主軸41にベルト44を介して接続される主軸モータM1と、カムシャフト60の他端を支持するセンタ45を備えるテールストック46と、を有している。カムシャフト60は、主軸モータM1の回転動がベルト44および主軸41を介して伝達されて回転駆動される。主軸モータM1の回転速度を変えることにより、ワーク回転速度Vwが所望の速度に設定される。主軸41には、加工中におけるワークWの回転位置を検出するロータリエンコーダS1(検出手段に相当する)が取り付けられている。ヘッドストック42およびテールストック46のそれぞれはY方向に沿ってスライド移動自在なテーブル47、48上に設けられ、これらテーブル47、48は、X方向に沿ってスライド移動自在なテーブル49上に配置されている。カムシャフト60をヘッドストック42とテールストック46との間にセットしたり、カムシャフト60を加工位置に移動したりするために、各テーブル47、48、49が移動される。
【0020】
前記オシレーションユニット50は、テーブル49の端面に当接する偏心回転体51と、偏心回転体51を回転駆動するオシレーション用モータM2と、を有している。オシレーションユニット50には、テーブル49の端面と偏心回転体51とを常時当接させるためにテーブル49を偏心回転体51に向けて押圧する弾発力を付勢するバネなどの弾性手段52が設けられている。オシレーション用モータM2の回転速度を変えることにより、オシレーション速度Voが所望の速度に設定される。オシレーションの振幅は、オシレーション用モータM2の軸心に対する偏心回転体51の偏心量に基づいて定まる。偏心量は約1mmであり、オシレーションの振幅は約2mmである。なお、偏心回転体51の偏心量は、例えば調整プレート(図示せず)の挿入枚数を変えるなどの公知の手段により調整自在となっている。オシレーションに伴うカムシャフト60のX方向位置の変化を検出するために、偏心回転体51の軸には、偏心回転体51の回転位置を検出するロータリエンコーダS2が取り付けられている。
【0021】
前記ラッピングフィルム11は、種々のタイプがあるが、本実施形態では、基材が非伸縮性の高い材料、例えば、板厚が25μm〜130μm程度のポリエステルなどから構成され、この基材の一面には、数μm〜200μm程度の粒径を有する多数の砥粒(具体的には、酸化アルミニウム、シリコンカーバイト、ダイアモンドなどからなる)が接着剤により取り付けられている。砥粒は、基材の一面に全面にわたって接着してもよく、また、所定幅の無砥粒領域を間欠的に形成したものであってもよい。基材の他面には、シュー21に対する滑り止めのため、ゴムあるいは合成樹脂等からなる抵抗材料(図示せず)を取り付けるバックコーティングか、場合によっては滑り止め加工が施されている。
【0022】
図2および図3を参照して、ラッピングフィルム11は、供給リール15から引き出され、上アーム22の先端に設けられた一対の第1ガイドローラR1と、上アーム22の内方位置に取り付けられている第2ガイドローラR2と、下アーム23の内方位置に取り付けられている第3ガイドローラR3と、下アーム23の先端に設けられた一対の第4ガイドローラR4などにガイドされ、巻取りリール16に巻き取られる。巻取りリール16にはモータM3が接続されている。モータM3を作動し巻取りリール16を回転すると、供給リール15からラッピングフィルム11が順次繰り出される。ラッピングフィルム11の繰り出し量を検出するために、巻取りリール16の軸には、回転量を検出するロータリエンコーダS3が取り付けられている。供給リール15および巻取りリール16の近傍にはロック装置(図示せず)が設けられ、このロック装置の作動によりフィルム11全体に所定のテンションが付与される。
【0023】
前記対をなす上アーム22および下アーム23は、シュー21を配置する先端部がZ方向に相対的に開閉自在なように、支持ピン24を介して回動自在に設けられている。上アーム22の後端部には、油圧あるいは空気圧などにより作動する流体圧シリンダ25の一端がピン連結され、下アーム23の後端部にはピストンロッド26の先端がピン連結されている。ピストンロッド26を収縮状態から伸張すると、上下のアーム22、23は、支持ピン24を中心として先端部が閉じる方向に回動し、図2に示す閉状態となる。一方、ピストンロッド26を伸張状態から収縮すると、上下のアーム22、23は、先端部が開く方向に回動し、図3に示す開状態となる。上下のアーム22、23の回動は、ラッピングフィルム11と共に行なわれ、閉じ回動によりシュー21がラッピングフィルム11を介してカムロブ部61に当接し、開き回動によりカムロブ部61とシュー21との当接を解除する。
【0024】
シュー21は、その先端部の形状から凸シューと凹シューとに分類されるが、図示する実施形態では、前記シュー21は、首振り自在に保持され、ラッピングフィルム11を介してカムロブ部61の加工面に複数箇所(例えば2点)で当接する凹状先端部を有する凹シュー21である。凹シュー21は、先端部はへこ(凹)んでいるものの、ワークWとの当接面自体は断面凸状の円弧面に形成されている。凹シュー21は、フィルム11を介してではあるが、カムロブ部61の加工面とは2点での線接触となる。上下のシュー21によりカムロブ部61は4点支持されることから、当該カムロブ部61を安定的に回転させることができる。
【0025】
図4にも示すように、上下のアーム22、23の先端部に形成した中空部27の中に、シュー21を保持したシューケース28がワークWに対して進退移動自在に収納されている。シューケース28は、ガイドレール36にガイドされながら移動する。シュー21は、揺動ピン29を介してシューケース28に首振り自在に保持されている。上下の揺動ピン29はカムシャフト60の軸心Oを通る線上に位置し、シュー押付け力が効率的にフィルム11に作用するようにしてある。図4中の符号70は、クーラントを供給するためのノズルを示している。
【0026】
前記シュー駆動ユニット30は、上下のアーム22、23の先端部のそれぞれに配置されている。各シュー駆動ユニット30は、回転自在に保持されるマスターカム31と、一端がシューケース28にピン連結され他端がマスターカム31にピン連結された二点鎖線で略して示されるリンク機構32と、マスターカム31を回転駆動するシュー駆動用モータM4と、を有している。マスターカム31が回転すると、シューケース28がガイドレール36にガイドされながら進退移動し、当該シューケース28に保持されたシュー21がカムロブ部61に対して進退駆動されることになる。カムロブ部61を回転駆動するときには、常時、シュー21がカムロブ部61の加工面に向けて押付けられ、ラッピングフィルム11の砥粒面がカムロブ部61に押付けられた状態が維持されている。
【0027】
ワークWに対するシュー21の位置は、マスターカム31の回転位置に応じて変更される。リンク機構32が概略的に示される図4を参照して、上側のシュー21については、マスターカム31とリンク機構32との連結点33がカムロブ部61に対して最も離反する回転位置までマスターカム31が回転すると、カムロブ部61に対するシュー21の位置は後退限位置となり(図示の状態)、連結点33がカムロブ部61に対して最も接近する回転位置までマスターカム31が回転すると、カムロブ部61に対するシュー21の位置は前進限位置となる。一方、下側のシュー21については、連結点33がカムロブ部61に対して最も接近する回転位置までマスターカム31が回転すると、カムロブ部61に対するシュー21の位置は前進限限位置となり(図示の状態)、連結点33がカムロブ部61に対して最も離反する回転位置までマスターカム31が回転すると、カムロブ部61に対するシュー21の位置は後退限位置となる。このようなシュー21の位置を検出するために、マスターカム31の軸には、当該マスターカム31の回転位置を検出するロータリエンコーダS4が取り付けられている。
【0028】
前記カムロブ部61は、図5(B)に示すように、ベースサークルをなすベース部d、カムのリフトを定めるトップ部a、トップ部aの両側に連続し、エンジンのバルブを開き始めたり、閉じ始めたりするイベント部b1、b2、ベース部dからイベント部b1、b2へのアプローチをなすランプ部c1、c2の複数の部位を備えている。
【0029】
図6(A)は、カムロブ部61の軸心O(回転中心)から加工面までの半径を示す図、図6(B)は、カムロブ部61の加工面における曲率半径を示す図である。
【0030】
図6(A)に示すように、カムロブ部61のように加工面が断面非真円形状の場合には、カムロブ部61の軸心O(回転中心)から加工面までの半径が部位ごとに変化し、ベース部dの終端からトップ部aに向かうにつれて長くなっている。また、図6(B)に示すように、ベース部dは曲率半径が一定であるが、イベント部b1、b2はほぼ直線的であるため曲率半径が非常に大きく、トップ部aは曲率半径が比較的小さくなる。
【0031】
このような形状を有するカムロブ部61をラッピング加工する場合に、従来の一般的なラッピング加工装置では、加工面の形状変化に追従するように、ワーククランプ用バネの弾発力によってシューを押付けてフローティングしている。しかしながら、加工部位がイベント部b1、b2からトップ部aに、および/または、トップ部aからイベント部b1、b2に移行する際に、シュー21のジャンピング現象が発生し、加工面に対する仕事量が大幅に減少する結果、他の部位に比べて面粗度が低下する虞がある。
【0032】
そこで、本実施形態のラッピング加工装置1にあっては、ロータリエンコーダS1でカムロブ部61の回転位置を検出し、加工中におけるカムロブ部61の回転位置に応じてカムロブ部61に対するシュー21の位置を変更するように、シュー駆動ユニット30の作動を制御し、シュー21のジャンピングが根本的に発生しないようにしてある。
【0033】
上記の制御について、図7を参照しつつ説明する。図7は、本発明に係るラッピング加工装置1の制御系を示す概略ブロック図である。
【0034】
なお、説明の便宜上、カムロブ部61のトップ部aが上方に、ベース部dが下方に位置する図4に示される正立した位置をカムロブ部61の初期位置とし、この位置からカムロブ部61が180度回転して、トップ部aが下方に、ベース部dが上方に位置する倒立した位置をカムロブ部61の反転位置とする。
【0035】
図7を参照して、ロータリエンコーダS1、S2、S3、S4は、CPUやメモリを主体とするコントローラ100(制御手段に相当する)に接続され、加工中におけるカムロブ部61の回転位置、シュー21の位置を変更するマスターカム31の回転位置に関する検出信号などがコントローラ100に入力される。ワーク回転速度Vwを定める主軸モータM1の回転速度、および、オシレーション速度Voを定めるオシレーション用モータM2の回転速度に関する検出信号のそれぞれもコントローラ100に入力される。コントローラ100は、ロータリエンコーダS1からのカムロブ部61の回転位置に関する信号に基づいて、カムロブ部61のいずれの部位が加工中であるかを判断する。そして、コントローラ100は、加工中の部位に応じて、シュー21の位置を可変制御する。
【0036】
シュー位置の変更制御は、カムロブ部61の加工面の変位と、シュー位置の変位とが同期するように、マスターカム31、リンク機構32、マスターカム31を回転駆動するシュー駆動用モータM4(モータに相当する)を含むシュー駆動ユニット30の作動を制御することによってなされる。
【0037】
具体的には、コントローラ100は、回転しているカムロブ部61が初期位置に至ったときに、上側のシュー21が後退限位置に、下側のシュー21が前進限位置になり、カムロブ部61が回転して反転位置に至ったときに、上側のシュー21が前進限位置に、下側のシュー21が後進限位置になるように、シュー駆動用モータM4の回転を制御する制御信号を当該モータM4に出力する。
【0038】
シュー位置を上記のように制御すると、加工面の形状変化に対するシュー位置の変化の追従性が向上し、シュー21のジャンピングが根本的に発生しなくなる。したがって、カムロブ部61のトップ部aやイベント部b1、b2に対する仕事量が減少せず、これらの部位での面粗度の低下が抑えられる。
【0039】
なお、理解の容易のために、カムロブ部61と同形状を有するマスターカム31を図4に示したが、マスターカム31やリンク機構32は、加工面の変位とシュー位置の変位とを同期させ得るように設計されていることはいうまでもなく、実際には、マスターカム31の形状は、カムロブ部61の形状と完全同一ではない。
【0040】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0041】
まず、ヘッドストック42とテールストック46との間にカムシャフト60を支持し、カムロブ部61の位置に上下のアーム22、23を移動する。このとき、流体圧シリンダ25は、ピストンロッド26を収縮しており、上アーム22および下アーム23を開位置に保持している。この後、流体圧シリンダ25を作動させてピストンロッド26を伸張し、上下のアーム22、23を閉じる方向に回動する。この閉回動によりラッピングフィルム11は、カムロブ部61の加工面上にセットされる。
【0042】
上下のアーム22、23を開回動している間に、モータM3を作動して巻取りリール16を回転する。ラッピングフィルム11は、所定量移動し、新規な砥粒面が加工面上にセットされるようになる。その後、供給リール15近傍に設けられたロック装置をロックして、巻取りリール16を回転すると、ラッピングフィルム11に所定のテンションが付与される。次いで、巻取りリール16近傍のロック装置をロックすると、テンションが付与され弛みのない状態のラッピングフィルム11となる。
【0043】
カムロブ部61をクランプすると、シュー駆動ユニット30により両シュー21がカムロブ部61に向けて押付けられ、ラッピングフィルム11の砥粒面が加工面に押付けられる。
【0044】
そして、オシレーションユニット50を作動させてカムシャフト60に軸方向に沿うオシレーションを付与しつつ、回転駆動ユニット40を作動させてカムシャフト60を軸中心で回転すると、カムロブ部61の加工面がラッピング加工される。
【0045】
この加工中においては、コントローラ100は、シュー駆動ユニット30の作動を制御し、カムロブ部61の加工面の変位と、シュー位置の変位とを同期させている。ロータリエンコーダS1は、カムロブ部61の回転位置を検出し、コントローラ100は、加工中におけるカムロブ部61の回転位置に応じて、シュー位置を可変制御する。すなわち、コントローラ100は、シュー駆動用モータM4の作動を制御し、カムロブ部61が初期位置に至ったときには上下のシュー21がそれぞれ後退限位置、前進限位置になり、カムロブ部61が反転位置に至ったときには上下のシュー21がそれぞれ前進限位置、後進限位置になるようにマスターカム31を回転させ、リンク機構32を動作させる。
【0046】
これにより、加工面の形状変化に追従してシュー位置が確実に変化し、シュー21のジャンピングが根本的に発生しなくなる。したがって、カムロブ部61のトップ部aやイベント部b1、b2に対する仕事量が減少せず、これらの部位での面粗度の低下を抑えて、加工面の加工品質の一つである面粗度が均質化する。
【0047】
カムシャフト60は、多数のカムロブ部61を有しているが、ラッピング加工は、これらカムロブ部61に対し一斉に行なわれる。ラッピング加工が完了すると、流体圧シリンダ25を作動させてピストンロッド26を収縮し、上下のアーム22、23を開く方向に回動し、カムシャフト60を取り出し可能な状態とする。カムシャフト60を取り出した後、他のカムシャフト60をセットすれば、同様のラッピング加工を開始することができる。
【0048】
以上説明したように、上述した実施形態のラッピング加工装置1によれば、ラッピングフィルム11と、シュー21と、シュー21をワークWに向けて押付けてラッピングフィルム11の砥粒面をワークWに押付けるとともにシュー21を進退駆動するシュー駆動ユニット30と、ワークWを回転駆動する回転駆動ユニット40と、ワークWの回転位置を検出するロータリエンコーダS1と、加工中におけるワークWの回転位置に応じてワークWに対するシュー21の位置を変更するようにシュー駆動ユニット30の作動を制御するコントローラ100と、を有しているので、断面非真円の円弧状の加工面を有するワークWであっても、シュー21のジャンピングの発生を防止し、加工面の面粗度を均質化し得るという効果を奏する。また、シュー21のジャンピングが生じないので、加工面に圧痕が生じる虞もなくなる。また、加工面の面粗度を均質化できるということは、加工面上のある特定の部位における面粗度などの加工品質を改善するためだけに、さらなる加工時間を掛ける必要がないことを意味する。したがって、トータル的な加工時間の短縮を図ることが可能となる。
【0049】
また、ワークWの加工面は、カムシャフト60におけるカムロブ部61の外周面であるので、カムロブ部61の加工面の面粗度を均質化し、カムロブ部61の加工時間の短縮をも図り得るという効果を奏する。
【0050】
また、シュー駆動ユニット30は、回転するカムロブ部61の加工面の変位に同期してシュー21の位置を変位させるマスターカム31、リンク機構32およびマスターカム31を回転駆動するシュー駆動用モータM4を含んでいるので、簡単な構成でシュー21のジャンピングの発生を防止できる。
【0051】
また、ラッピングフィルム11は、非伸縮性でかつ変形可能であるので、断面非真円の円弧状の加工面を有するワークWに対して、好適なラッピング加工を行い得る。
【0052】
また、本実施形態のラッピング加工装置1は、ワークWの回転位置をロータリエンコーダS1により検出し、加工中におけるワークWの回転位置に応じてワークに対するシュー21の位置を変更するラッピング加工方法を具現化したものであり、上述したように、断面非真円の円弧状の加工面を有するワークWであっても、シュー21のジャンピングの発生を防止し、加工面の面粗度を均質化し得るという効果を奏し、また、トータル的な加工時間の短縮を図ることが可能となる。
【0053】
また、シュー21は、首振り自在に保持され、ラッピングフィルム11を介してワークWの加工面に複数箇所で当接する凹状先端部を有する凹シュー21であるので、ワークWを安定的に回転させて安定的なラッピング加工が可能で、加工品質の向上を図ることができるという効果を奏する。
【0054】
(改変例)
ワークWの加工面はカムシャフト60のカムロブ部61に限定されるものでもなく、断面非真円の円弧状の加工面を有する限りにおいて、他の種々のワークWに適用できることはいうまでもない。
【0055】
また、シュー駆動手段30として、マスターカム31やリンク機構32を使用した形態を例示したが、ワークWの加工面の変位とシュー位置の変位とを同期させ、シュー21のジャンピングの発生を防止し得る限りにおいて適宜改変可能である。例えば、空気圧などにより作動する流体圧シリンダを用いて、ワークWに対してシュー21を進退駆動してもよい。
【0056】
また、シューとして凹シュー21を例示したが、先端部が凸状円弧となった凸シューを使用する場合にも、本発明を適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るラッピング加工装置を示す概略構成図である。
【図2】ラッピング加工装置に開閉自在に設けられた上下のアームの閉状態を示す概略断面図である。
【図3】上下のアームの開状態を示す概略断面図である。
【図4】ラッピング加工装置の要部を示す断面図である。
【図5】図5(A)は、ラッピング加工されるワークとしてのカムシャフトの一例を示す斜視図、図5(B)は、カムシャフトのカムロブ部における各部位の説明に供する図である。
【図6】図6(A)は、カムロブ部の軸心(回転中心)から加工面までの半径を示す図、図6(B)は、カムロブ部の加工面における曲率半径を示す図である。
【図7】本発明に係るラッピング加工装置の制御系を示す概略ブロック図である。
【符号の説明】
1…ラッピング加工装置
11…ラッピングフィルム
21…シュー、凹シュー
28…シューケース
30…シュー駆動ユニット(シュー駆動手段)
31…マスターカム
32…リンク機構
40…回転駆動ユニット(回転駆動手段)
50…オシレーションユニット
60…カムシャフト(ワーク)
61…カムロブ部
100…コントローラ(制御手段)
a…カムロブ部のトップ部
b1、b2…カムロブ部のイベント部
M4…シュー駆動用モータ(モータ)
S1…ロータリエンコーダ(検出手段)
S2、S3、S4…ロータリエンコーダ
W…断面非真円の円弧状の加工面を有するワーク

Claims (5)

  1. 断面非真円の円弧状の加工面を有するワークに対してラッピング加工を施すラッピング加工装置であって、
    薄肉基材の一面に砥粒が設けられたラッピングフィルムと、
    前記ラッピングフィルムの背面側に配置されたシューと、
    前記シューを前記ワークに向けて押付けて前記ラッピングフィルムの砥粒面を前記ワークに押付けるとともに前記シューを進退駆動するシュー駆動手段と、
    前記ワークを回転駆動する回転駆動手段と、
    前記ワークの回転位置を検出する検出手段と、
    加工中におけるワークの回転位置に応じて前記ワークに対する前記シューの位置を変更するように、前記シュー駆動手段の作動を制御する制御手段と、を有することを特徴とするラッピング加工装置。
  2. 前記ワークの前記加工面は、カムシャフトにおけるカムロブ部の外周面であることを特徴とする請求項1に記載のラッピング加工装置。
  3. 前記シュー駆動手段は、回転する前記ワークの加工面の変位に同期して前記シューの位置を変位させるマスターカム、リンク機構および前記マスターカムを回転駆動するモータを含んでいることを特徴とする請求項1に記載のラッピング加工装置。
  4. 前記ラッピングフィルムは、非伸縮性でかつ変形可能であることを特徴とする請求項1に記載のラッピング加工装置。
  5. 断面非真円の円弧状の加工面を有するワークに向けてラッピングフィルムの背面側に配置されたシューを押付けて、前記ラッピングフィルムの砥粒面を前記ワークに押付けた状態で、前記ワークを回転駆動しつつラッピング加工を施すラッピング加工方法であって、
    前記ワークの回転位置を検出手段により検出し、加工中におけるワークの回転位置に応じて前記ワークに対する前記シューの位置を変更することを特徴とするラッピング加工方法。
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