JP2004243435A - ラッピング加工装置およびラッピング加工方法 - Google Patents

ラッピング加工装置およびラッピング加工方法 Download PDF

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Abstract

【課題】油穴などの穴部が開口された加工面を有するワークであっても、迅速に加工でき、加工費の増加や形状精度(真円度や真直度)の低下を可及的に抑え、ラッピングフィルムの砥粒の剥離を低減するラッピング加工装置および方法を提供する。
【解決手段】ラッピング加工装置は、ラッピングフィルム11と、フィルム砥粒面をワークの加工面65に押付ける第1シュー71と、フィルム砥粒面を穴部66の口元67に押付ける第2シュー72と、第2シュー72を口元67に向けて押付けられる作動位置と口元67から離反する非作動位置との間で駆動するシュー駆動ユニット30と、回転するワークにおける穴部の位置を検出するロータリエンコーダと、コントローラと、を有する。コントローラは、加工中における穴部66の位置に応じてシュー駆動ユニット30の作動を制御し、第2シュー72によるラッピング加工を穴部67の口元67周辺に限定する。
【選択図】 図8

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ワークの加工面を砥粒付きのラッピングフィルム(以下単にフィルムと称することもある)によりフィルムラッピング加工(以下単にラッピング加工)するラッピング加工装置およびラッピング加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、クランクシャフトのピン部やジャーナル部あるいはカムシャフトのカムロブ部やジャーナル部等のような断面円弧状外周面を有するワークを仕上げ加工する場合は、最近、一面に砥粒が設けられたラッピングフィルムによりラッピング加工されている。
【0003】
このラッピング加工は、ワークの加工面をラッピングフィルムで覆い、このフィルムを背面からシューで加圧し、フィルムをワークに押付けた状態でワークを回転しながらフィルムの砥粒面でワークを加工する。ラッピング加工装置は、シューをフィルムを介してワークに押付ける機構のほか、ワークを回転駆動する機構や、ワークおよびラッピングフィルムのうちの少なくとも一方にワークの軸線方向に沿うオシレーションを付与するオシレーション機構を有している(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開平7−237116号公報 (図1、図2参照)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ワークの中には、穴部が開口された加工面を有するものがある。例えば、クランクシャフトのピン部やジャーナル部には、穴部としての油穴が軸直交方向に貫通して形成されている。このような油穴は、相手部品(例えば、軸受けメタル)に傷を付けることがないように、油穴の口元のかど部は断面アール形状を有していることが好ましい。
【0006】
このため、従来では、いわゆるハードシューによりラッピングフィルムの砥粒面をワークの加工面に押付けてラッピング加工した後に、いわゆるソフトシューによりラッピングフィルムの砥粒面を油穴の口元に押付ける追加加工を施し、油穴の口元のかど部にアール部を形成している。
【0007】
しかしながら、ハードシューによる加工と、ソフトシューによる加工とを別個独立して行うため、ハードシューを備えるラッピング加工装置と、ソフトシューを備えるラッピング加工装置とを準備しなければならず、加工能率が悪く、加工に比較的長時間を要している。設備台数の増加に伴い、設備費や加工費の増加も招来する。
【0008】
また、ハードシューによる加工によって加工面の形状精度(真円度や真直度)を高めた後に、ソフトシューによる加工をさらに行うことから、加工面の形状精度がソフトシューによる加工によって大きく崩れる虞がある。
【0009】
さらに、ソフトシューによる加工時にラッピングフィルムが油穴の口元のかど部に食い込み過ぎて、砥粒の剥離などを招来する虞もある。
【0010】
本発明は、上記従来技術に伴う課題を解決するためになされたものであり、油穴などの穴部が開口された加工面を有するワークであっても、迅速に加工でき、加工費の増加や形状精度(真円度や真直度)の低下を可及的に抑え、しかも、ラッピングフィルムの砥粒の剥離を低減し得るラッピング加工装置およびラッピング加工方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、下記する手段により達成される。
【0012】
本発明は、穴部が開口された加工面を有するワークに対してラッピング加工を施すラッピング加工装置であって、
薄肉基材の一面に砥粒が設けられたラッピングフィルムと、
前記ラッピングフィルムの砥粒面を前記加工面に押付ける第1のシューと、
前記ラッピングフィルムの砥粒面を前記穴部の口元に押付ける第2のシューと、
前記第2のシューを、前記穴部の口元に向けて押付けられる作動位置と前記穴部の口元から離反する非作動位置との間で駆動するシュー駆動手段と、
前記ワークを回転駆動する回転駆動手段と、
回転するワークにおける前記穴部の位置を検出する検出手段と、
加工中における前記穴部の位置に応じて前記シュー駆動手段の作動を制御する制御手段と、を有し、
前記第2のシューにより前記ラッピングフィルムを押付けることにより施されるラッピング加工を、前記穴部の口元およびその周辺に限定するようにしたことを特徴とするラッピング加工装置である。
【0013】
また、本発明は、穴部が開口された加工面を有するワークに、第1のシューによりラッピングフィルムの砥粒面を押付けた状態で、前記ワークを回転駆動しつつラッピング加工を施すラッピング加工方法であって、
回転するワークにおける前記穴部の位置を検出手段により検出し、加工中における前記穴部の位置に応じて、前記ラッピングフィルムの砥粒面を前記穴部の口元に押付ける第2のシューを、前記穴部の口元に向けて押付けられる作動位置または前記穴部の口元から離反する非作動位置に駆動し、前記第2のシューにより前記ラッピングフィルムを押付けることにより施されるラッピング加工を、前記穴部の口元の周辺に限定するようにしたことを特徴とするラッピング加工方法である。
【0014】
【発明の効果】
本発明に係るラッピング加工装置およびラッピング加工方法によれば、油穴などの穴部が開口された加工面を有するワークであっても、迅速に加工でき、加工費の増加や形状精度(真円度や真直度)の低下を可及的に抑え、しかも、ラッピングフィルムの砥粒の剥離を防止し得るという効果を奏する。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しつつ説明する。
【0016】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係るラッピング加工装置1を示す概略構成図、図2は、ラッピング加工装置1に開閉自在に設けられた上下のアーム22、23の閉状態を示す概略断面図、図3は、上下のアーム22、23の開状態を示す概略断面図、図4(A)(B)は、ラッピング加工装置1の要部を示す断面図であり、図4(A)は、ソフトシューを構成する第2のシュー72が油穴66の口元67に向けて押付けられる作動位置に駆動された状態を示し、図4(B)は、ソフトシューが油穴66の口元67から離反する非作動位置に駆動された状態を示している。図5(A)〜(C)および図6(A)〜(C)は、ソフトシュー72を非作動位置から作動位置に駆動する範囲の説明に供する図である。また、図7(A)は、ラッピング加工されるワークWとしてのクランクシャフト62の一例を示す斜視図、図7(B)は、クランクシャフト62に形成された油穴66を示す一部切り欠き断面図である。なお、説明の便宜上、クランクシャフト62の軸線方向(図1において左右方向)をX方向と定義し、X方向に対して直交する水平方向(図1において紙面に直交する方向)をY方向と定義し、X方向に対して直交する鉛直方向(図1において上下方向)をZ方向と定義する。
【0017】
図1〜図4を参照して本実施形態のラッピング加工装置1について概説すれば、非伸縮性でかつ変形可能な薄肉基材の一面に砥粒が設けられたラッピングフィルム11と、ラッピングフィルム11の砥粒面をワークWの加工面65に押付ける第1のシュー71と、ラッピングフィルム11の砥粒面を加工面65に開口された穴部66の口元67に押付ける第2のシュー72と、第2シュー72を穴部66の口元67に向けて押付けられる作動位置と穴部66の口元67から離反する非作動位置との間で駆動するシュー駆動ユニット30(シュー駆動手段に相当する)と、ワークWを回転駆動する回転駆動ユニット40(回転駆動手段に相当する)と、ワークWおよびラッピングフィルム11のうちの少なくとも一方にワークWの軸線方向に沿うオシレーションを付与するオシレーションユニット50と、を有し、回転するワークWにラッピングフィルム11を押圧しラッピング加工を施している。本実施形態のラッピング加工装置1は、穴部66が開口された加工面65を有するワークWに対してラッピング加工を施すために好適に用いられる。この種のワークWとして、図7(A)に示すように、クランクシャフト62を挙げることができ、このクランクシャフト62におけるピン部63やジャーナル部64の外周面が、ラッピング加工を施す加工面65となる。図7(B)に示すように、クランクシャフトのピン部63やジャーナル部64には、穴部66としての油穴が軸直交方向に貫通して形成され、加工面65には油穴66の口元67が開口している。ピン部63やジャーナル部64の位置に対応して、対をなす上アーム22および下アーム23が複数対配置されている(図1参照)。
【0018】
以下、ラッピング加工装置1について詳述する。
【0019】
図1を参照して、前記回転駆動ユニット40は、主軸41を回転自在に支持するヘッドストック42と、主軸41の先端に連結されクランクシャフト62の一端を把持するチャック43と、主軸41にベルト44を介して接続される主軸モータM1と、クランクシャフト62の他端を支持するセンタ45を備えるテールストック46と、を有している。クランクシャフト62は、主軸モータM1の回転動がベルト44および主軸41を介して伝達されて回転駆動される。主軸モータM1の回転速度を変えることにより、ワーク回転速度Vwが所望の速度に設定される。回転するクランクシャフト62における油穴66の位置を検出するために、主軸41には、加工中におけるワークWの回転位置を検出するロータリエンコーダS1(検出手段に相当する)が取り付けられている。ヘッドストック42およびテールストック46のそれぞれはY方向に沿ってスライド移動自在なテーブル47、48上に設けられ、これらテーブル47、48は、X方向に沿ってスライド移動自在なテーブル49上に配置されている。クランクシャフト62をヘッドストック42とテールストック46との間にセットしたり、クランクシャフト62を加工位置に移動したりするために、各テーブル47、48、49が移動される。
【0020】
前記オシレーションユニット50は、テーブル49の端面に当接する偏心回転体51と、偏心回転体51を回転駆動するオシレーション用モータM2と、を有している。オシレーションユニット50には、テーブル49の端面と偏心回転体51とを常時当接させるためにテーブル49を偏心回転体51に向けて押圧する弾発力を付勢するバネなどの弾性手段52が設けられている。オシレーション用モータM2の回転速度を変えることにより、オシレーション速度Voが所望の速度(例えば、10Hz)に設定される。オシレーションの振幅は、オシレーション用モータM2の軸心に対する偏心回転体51の偏心量に基づいて定まる。偏心量は約1mmであり、オシレーションの振幅は約2mmである。なお、偏心回転体51の偏心量は、例えば調整プレート(図示せず)の挿入枚数を変えるなどの公知の手段により調整自在となっている。偏心回転体51の軸には、偏心回転体51の回転位置を検出するロータリエンコーダS2が取り付けられている。
【0021】
前記ラッピングフィルム11は、種々のタイプがあるが、本実施形態では、基材が非伸縮性の高い材料、例えば、板厚が25μm〜130μm程度のポリエステルなどから構成され、この基材の一面には、数μm〜200μm程度の粒径を有する多数の砥粒(具体的には、酸化アルミニウム、シリコンカーバイト、ダイアモンドなどからなる)が接着剤により取り付けられている。砥粒は、基材の一面に全面にわたって接着してもよく、また、所定幅の無砥粒領域を間欠的に形成したものであってもよい。基材の他面には、第1と第2のシュー71、72に対する滑り止めのため、ゴムあるいは合成樹脂等からなる抵抗材料(図示せず)を取り付けるバックコーティングか、場合によっては滑り止め加工が施されている。
【0022】
図2および図3を参照して、ラッピングフィルム11は、供給リール15から引き出され、上アーム22の先端に設けられた一対の第1ガイドローラR1と、下アーム23の先端に設けられた一対の第2ガイドローラR2などにガイドされ、巻取りリール16に巻き取られる。巻取りリール16にはモータM3が接続されている。モータM3を作動し巻取りリール16を回転すると、供給リール15からラッピングフィルム11が順次繰り出される。ラッピングフィルム11の繰り出し量を検出するために、巻取りリール16の軸には、回転量を検出するロータリエンコーダS3が取り付けられている。供給リール15および巻取りリール16の近傍にはロック装置(図示せず)が設けられ、このロック装置の作動によりフィルム11全体に所定のテンションが付与される。
【0023】
前記対をなす上アーム22および下アーム23は、第1と第2のシュー71、72を配置する先端部がZ方向に相対的に開閉自在なように、支持ピン24を介して回動自在に設けられている。上アーム22の後端部には、油圧あるいは空気圧などにより作動する流体圧シリンダ25の一端がピン連結され、下アーム23の後端部にはピストンロッド26の先端がピン連結されている。ピストンロッド26を収縮状態から伸張すると、上下のアーム22、23は、支持ピン24を中心として先端部が閉じる方向に回動し、図2に示す閉状態となる。一方、ピストンロッド26を伸張状態から収縮すると、上下のアーム22、23は、先端部が開く方向に回動し、図3に示す開状態となる。上下のアーム22、23の回動は、ラッピングフィルム11と共に行なわれ、閉じ回動により第1シュー71がラッピングフィルム11を介して加工面65に当接し、開き回動により加工面65と第1シュー71との当接を解除する。
【0024】
図示する実施形態では、前記第1シュー71はハードシューからなり、前記第2のシュー72はソフトシューからなる。周知のように、ハードシュー71は、砥石やスチールなどの硬質材料から形成されている。ラッピングフィルム11をハードシュー71でバックアップして、ラッピングフィルム11の砥粒面を加工面65に押付けることにより、円筒面である加工面65の形状精度(真円度や真直度)が高精度に仕上げ加工される。一方、ソフトシュー72は、前記ハードシュー71よりも柔らかく弾性変形可能な例えばウレタン樹脂材料などから形成されている。ソフトシュー72は、弾性変形して、フィルム11を介してではあるが比較的広い面積で加工面65に接触する。ソフトシュー72は、ハードシュー71に比べてワーク形状を矯正する機能は低いものの、加工面65の面粗度を向上する機能に優れたシューである。第1の実施形態では、このソフトシュー72を、口元かど部67aにアール部68(図7(B)を参照)を形成するために使用している。なお、本明細書では、シューがフィルム11を介してワークWの外周面と間接的に当接することを「接触」と略称する。
【0025】
シューは、その先端部の形状から凹シューと凸シューとに分類されるが、ハードシュー71は凹状先端部を有する凹シューであり、ソフトシュー72は凸状先端部を有する凸シューに形成されている。本実施形態のソフトシュー72は、口元かど部67aにアール部68を形成するのに特化した形状を有するシュー、例えば、球面形状を有する凸シューとするのが好ましい。
【0026】
ハードシュー71は、加工面65に対向する内周面を有するシューケース73に複数個取り付けられている。図示例では、上下のシューケース73のそれぞれに2個ずつ取り付けられている。シューケース73は、上下のアーム22、23の先端部に形成した凹部27の中に、ワークWに対して進退移動自在に収納されている。シューケース73は、その外側面が凹部27の内側面にガイドされながら移動する。シューケース73の背面には、圧縮コイルバネからなるワーククランプ用バネ74が配置されている。ハードシュー71は、ワーククランプ用バネ74の弾発力が付勢され、ラッピングフィルム11を介して加工面65に押付けられる。
【0027】
ソフトシュー72は、図4(A)(B)に示すように、シューホルダ75の先端に取り付けられ、クランクシャフト62に対して+X方向(図中右側)に配置されている。シューホルダ75は、クランクシャフト62の軸心O(回転中心)を通るX方向に沿って進退移動自在なロッド76の先端に取り付けられている。ロッド76は、クランクシャフト62に対して接近する前進限位置(図4(A)に示される状態)と、クランクシャフト62から離反する後進限位置(図4(B)に示される状態)との間で進退移動する。
【0028】
前記シュー駆動ユニット30は、図4(A)(B)に概念的に示すように、ロッド76の後端に当接する回転自在な偏心カム31と、偏心カム31を回転駆動するモータM4と、ロッド76の後端と偏心カム31とが常時当接した状態に維持する図示しない弾性手段と、を有している。図4(A)に示すように、偏心カム31が回転して当該偏心カム31のトップ部がロッド76の後端に当接すると、ロッド76が前進限位置に移動する。これにより、ソフトシュー72は、油穴66の口元67に向けて押付けられる作動位置に達し、ラッピングフィルム11の砥粒面が口元67に押付けられる。一方、図4(B)に示すように、偏心カム31のベース部がロッド76の後端に当接すると、ロッド76が後進限位置に移動する。これにより、ソフトシュー72は、油穴66の口元67から離反する非作動位置に達し、ラッピングフィルム11の口元67への押付けが解除される。このようなソフトシュー72の位置(作動位置または非作動位置)を検出するために、偏心カム31の軸には、偏心カム31の回転位置を検出するロータリエンコーダS4が取り付けられている。
【0029】
なお、偏心カム31のカムリフトやベースサークル径の寸法などは、ロッド76の移動量つまりソフトシュー72の移動量や、ソフトシュー72の押付け力などに基づいて決定される。また、偏心カム31の回転中心の位置はX方向に調整自在とされ、同じ偏心カム31を使用する場合でも、ソフトシュー72の押付け力を調整することが可能とされている。
【0030】
図5(A)〜(C)および図6(A)〜(C)を参照して、ソフトシュー72を非作動位置から作動位置に駆動する範囲について説明する。これらの図においては、矢印で示すように、クランクシャフト62は時計回り方向に回転しているとする。また、図5(B)および図6(B)に示すように、油穴66の軸線がX方向となす角度θがゼロのとき、つまり、油穴66の軸線がX方向と平行になる位置をクランクシャフト62の基準位置とする。
【0031】
ソフトシュー72を非作動位置から作動位置に駆動するタイミングは、回転するクランクシャフト62が基準位置に達した瞬間のみであることが理想的である。しかしながら、クランクシャフト62は常時回転駆動されているため、クランクシャフト62が基準位置に達した瞬間だけソフトシュー72を作動位置に駆動したのでは、クランクシャフト62の回転とソフトシュー72の移動との同期が僅かにずれただけで、油穴66の口元67全周を均一に加工できなくなる虞がある。そこで、クランクシャフト62が基準位置に達する前からソフトシュー72を作動位置に駆動し、クランクシャフト62が基準位置に達した後もしばらくはソフトシュー72を作動位置に維持しておくことが望ましい。
【0032】
口元67に対するラッピング加工は、口元67にソフトシュー72が接触している間中、行われる。これより、ソフトシュー72を作動位置に駆動するのは、口元67におけるいずれかの部分が作動位置にあるソフトシュー72に接触し得るクランクシャフト62の回転角度範囲だけでよい。図5(A)に示すように、クランクシャフト62が基準位置(θ=0度)に達する前のθ=−α度の回転角度で、口元67のうち回転方向前端部分がソフトシュー72に当接し、図5(C)に示すように、基準位置に達した後のθ=+α度の回転角度で、口元67のうち回転方向後端部分がソフトシュー72から離れるとする。この場合には、ソフトシュー72を作動位置に駆動するのは、ランクシャフト62がθ=−α度からθ=+α度まで回転する2α度の範囲でよい。
【0033】
ソフトシュー72によりラッピングフィルム11を押付けることにより施されるラッピング加工は、油穴66の口元67およびその周辺に限定するのが好ましい。これは、加工面65の形状精度(真円度や真直度)がソフトシュー72による加工によって崩れることを防止するためである。したがって、ソフトシュー72を作動位置に駆動するのは、前記範囲(2α度)よりも小さい範囲にすることがより好ましい。図6(A)(C)に概念的に示せば、ソフトシュー72を作動位置に駆動するのは、クランクシャフト62が基準位置(θ=0度)に達する前のθ=−β度(β<α)の回転角度から、基準位置に達した後のθ=+βの回転角度まで回転する2β度が好ましい。
【0034】
そして、本実施形態のラッピング加工装置1にあっては、ロータリエンコーダS1でクランクシャフト62の回転位置を検出することにより、回転するクランクシャフト62における油穴66の位置を検出し、加工中における油穴66の位置に応じてソフトシュー72を作動位置または非作動位置に駆動するように、シュー駆動ユニット30の作動を制御し、ソフトシュー72によりラッピングフィルム11を押付けることにより施されるラッピング加工を、油穴66の口元67の周辺に限定するようにしてある。
【0035】
上記の制御について、図8を参照しつつ説明する。図8は、本発明に係るラッピング加工装置1の制御系を示す概略ブロック図である。
【0036】
図8を参照して、ロータリエンコーダS1、S2、S3、S4は、CPUやメモリを主体とするコントローラ100(制御手段に相当する)に接続され、加工中におけるクランクシャフト62の回転位置、ソフトシュー72の位置を変更する偏心カム31の回転位置に関する検出信号などがコントローラ100に入力される。ワーク回転速度Vwを定める主軸モータM1の回転速度、および、オシレーション速度Voを定めるオシレーション用モータM2の回転速度に関する検出信号のそれぞれもコントローラ100に入力される。コントローラ100は、ロータリエンコーダS1からのクランクシャフト62の回転位置に関する信号に基づいて、油穴66の位置を判断する。そして、コントローラ100は、加工中における油穴66の位置に応じて、ソフトシュー72の位置を作動位置または非作動位置に可変制御する。
【0037】
ソフトシュー72位置の変更制御は、油穴66の位置に同期してソフトシュー72が口元67に出入りするように、偏心カム31やモータM4などを含むシュー駆動ユニット30の作動を制御することによってなされる。
【0038】
具体的には、コントローラ100は、回転するクランクシャフト62が基準位置(θ=0度)に達したときに偏心カム31のトップ部がロッド76の後端に当接するように、モータM4の回転を制御する制御信号を当該モータM4に出力する。これにより、ソフトシュー72が作動位置に達し、ラッピングフィルム11の砥粒面が口元67に押付けられ、かど部67aにアール部68が形成される。アール部68の半径は、例えば、10μm〜20μm程度である。
【0039】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0040】
まず、ヘッドストック42とテールストック46との間にクランクシャフト62を支持し、ピン部63やジャーナル部64の位置に上下のアーム22、23を移動する。このとき、流体圧シリンダ25は、ピストンロッド26を収縮しており、上アーム22および下アーム23を開位置に保持している。この後、流体圧シリンダ25を作動させてピストンロッド26を伸張し、上下のアーム22、23を閉じる方向に回動する。この閉回動によりラッピングフィルム11は、加工面65上にセットされる。
【0041】
上下のアーム22、23を開回動している間に、モータM3を作動して巻取りリール16を回転する。ラッピングフィルム11は、所定量移動し、新規な砥粒面が加工面65上にセットされるようになる。その後、供給リール15近傍に設けられたロック装置をロックして、巻取りリール16を回転すると、ラッピングフィルム11に所定のテンションが付与される。次いで、巻取りリール16近傍のロック装置をロックすると、テンションが付与され弛みのない状態のラッピングフィルム11となる。
【0042】
クランクシャフト62をクランプすると、ハードシュー71は、ワーククランプ用バネ74の弾発力が付勢されて加工面65に向けて押付けられる。
【0043】
そして、オシレーションユニット50を作動させてクランクシャフト62に軸方向に沿うオシレーションを付与しつつ、回転駆動ユニット40を作動させてクランクシャフト62を軸中心で回転すると、ハードシュー71によりラッピングフィルム11の砥粒面が加工面65に押付けられ、加工面65が全面にわたってラッピング加工される。加工面65の全体に対する加工はハードシュー71により行われるため、加工能率は高いものとなっている。
【0044】
この加工中においては、コントローラ100は、シュー駆動ユニット30の作動を制御し、クランクシャフト62の回転と、ソフトシュー72の移動とを同期させている。ロータリエンコーダS1は、クランクシャフト62の回転位置を検出し、コントローラ100は、クランクシャフト62の回転位置から油穴66の位置を判断し、加工中における油穴66の位置に応じて、ソフトシュー72の位置を作動位置または非作動位置に可変制御する。すなわち、コントローラ100は、モータM4の作動を制御し、回転するクランクシャフト62が基準位置(θ=0度)に達したときに偏心カム31のトップ部がロッド76の後端に当接するように偏心カム31を回転させる。
【0045】
これにより、ソフトシュー72が作動位置に達し、ラッピングフィルム11の砥粒面が口元67に押付けられ、かど部67aにアール部68が形成される。
【0046】
ラッピング加工中は、クランクシャフト62は、設定回数(例えば5回)だけ正回転され、その後、同じ設定回数だけ逆回転される。回転方向を変えることにより、ラッピングフィルム11の目詰まりが解消されて性能が維持され、また、口元67全周が均一に加工される。
【0047】
このように、ハードシュー71による加工面65全周に対する加工と、ソフトシュー72による口元67に対する加工とを1台のラッピング加工装置で行うため、加工能率が良く、加工に要する時間を短縮することができる。また、設備台数の増加を伴わないので、設備費や加工費の増加も抑えることができる。
【0048】
また、ソフトシュー72によりラッピングフィルム11を押付けることにより施されるラッピング加工を、油穴66の口元67の周辺に限定したので、加工面65の形状精度(真円度や真直度)がソフトシュー72による加工によって崩れる虞がない。さらに、加工面65の形状精度(真円度や真直度)を高めるハードシュー71による加工と、口元かど部67aにアール部68を形成するソフトシュー72による加工とを同一工程で行っていることから、ソフトシュー72による加工が及んだ加工面65上の部位にも、ハードシュー71によるワーク形状を矯正する機能が働くことになる。この観点からも、加工面65の形状精度がソフトシュー72による加工によって崩れる虞がない。
【0049】
ハードシューによる加工の後に、ソフトシューによりラッピングフィルムの砥粒面を口元67に押付ける追加加工を施した対比例の場合には、ソフトシューによる加工時にラッピングフィルムが口元かど部67aに食い込み過ぎて、砥粒の剥離などが生じてしまう。図9に、ラッピングフィルム91の砥粒層の一部が剥離した不具合例が示される。図示するように、ラッピングフィルム91の幅方向略中央部にフィルム搬送方向に沿って帯状に伸びる剥離個所92が生じている。
【0050】
これに対して、本実施形態では、ソフトシュー72によるラッピング加工を油穴66の口元67の周辺に限定したので、ラッピングフィルム11が口元かど部67aに食い込み過ぎることがなく、ラッピングフィルム11の砥粒の剥離が低減し、剥離する個所も低減する。
【0051】
クランクシャフト62は、多数のピン部63やジャーナル部64を有しているが、ラッピング加工は、これらピン部63やジャーナル部64に対し一斉に行なわれる。ラッピング加工が完了すると、流体圧シリンダ25を作動させてピストンロッド26を収縮し、上下のアーム22、23を開く方向に回動し、クランクシャフト62を取り出し可能な状態とする。クランクシャフト62を取り出した後、他のクランクシャフト62をセットすれば、同様のラッピング加工を開始することができる。
【0052】
以上説明したように、第1の実施形態のラッピング加工装置1によれば、ラッピングフィルム11と、ラッピングフィルム11の砥粒面を加工面65に押付ける第1のシュー71と、ラッピングフィルム11の砥粒面を穴部としての油穴66の口元67に押付ける第2のシュー72と、第2のシュー72を油穴66の口元67に向けて押付けられる作動位置と油穴66の口元67から離反する非作動位置との間で駆動するシュー駆動ユニット30と、ワークWを回転駆動する回転駆動ユニット40と、ワークWの回転位置を検出して回転するワークWにおける油穴66の位置を検出するロータリエンコーダS1と、加工中における油穴66の位置に応じて第2のシュー72を作動位置または非作動位置に駆動するようにシュー駆動ユニット30の作動を制御するコントローラ100と、を有し、第2のシュー72によりラッピングフィルム11を押付けることにより施されるラッピング加工を油穴66の口元67の周辺に限定したので、油穴66が開口された加工面65を有するワークWであっても、迅速に加工でき、加工費の増加や形状精度(真円度や真直度)の低下を可及的に抑え、しかも、ラッピングフィルム11の砥粒の剥離や剥離する個所を低減し得るという効果を奏する。
【0053】
また、第1のシュー71はハードシューからなり、第2のシュー72はソフトシューからなるので、加工面65の形状精度(真円度や真直度)を高めるハードシュー71による加工と、口元かど部67aにアール部68を形成するソフトシュー72による加工とが同一工程で行われ、ソフトシュー72による加工が及んだ加工面65上の部位にも、ハードシュー71によるワーク形状を矯正する機能が働いている。したがって、加工面65の形状精度がソフトシュー72による加工によって崩れる虞がない。
【0054】
また、穴部は例えば油穴66であり、このような油穴66を備えるクランクシャフト62のピン部63やジャーナル部64の加工面65を好適にラッピング加工できる。
【0055】
また、ラッピングフィルム11は、非伸縮性でかつ変形可能であるので、ワークWに対して、好適なラッピング加工を行い得る。
【0056】
また、本実施形態のラッピング加工装置1は、油穴66が開口された加工面65を有するワークWに、第1のシュー71によりラッピングフィルム11の砥粒面を押付けた状態で、ワークWを回転駆動しつつラッピング加工を施すラッピング加工方法であって、回転するワークWにおける油穴66の位置をロータリエンコーダS1により検出し、加工中における油穴66の位置に応じて、ラッピングフィルム11の砥粒面を油穴66の口元67に押付ける第2のシュー72を、油穴66の口元67に向けて押付けられる作動位置または油穴66の口元67から離反する非作動位置に駆動し、第2のシュー72によりラッピングフィルム11を押付けることにより施されるラッピング加工を、油穴66の口元67の周辺に限定したラッピング加工方法を具現化したものであり、上述したように、油穴66が開口された加工面65を有するワークWであっても、迅速に加工でき、加工費の増加や形状精度(真円度や真直度)の低下を可及的に抑え、しかも、ラッピングフィルム11の砥粒の剥離や剥離する個所を低減し得るという効果を奏する。
【0057】
(第2の実施形態)
図10は、本発明の第2の実施形態に係るラッピング加工装置2に開閉自在に設けられた上下のアーム22、23の閉状態を示す概略断面図である。また、図11(A)は、第2の実施形態で使用されるシュー80およびシューケース83を示す断面図、図11(B)は、同図(A)を矢印Bから見た矢視図である。なお、図10において、図2に示した部材と共通する部材には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0058】
図10に示すように、第2の実施形態に係るラッピング加工装置2は、第1の実施形態と同様に、油穴などの穴部66が開口された加工面65を有するワークWとしてのクランクシャフト62に対してラッピング加工を施すのに好適なラッピング加工装置であり、ラッピングフィルム11と、ラッピングフィルム11の砥粒面を加工面65に押付けるシュー80と、を有している。但し、シュー80の構造自体の点で第1の実施形態と相違し、第2のシュー72やシュー駆動ユニット30を備えていない点でも第1の実施形態と相違している。
【0059】
図11(A)(B)に示すように、第2の実施形態に係るシュー80は、ハードシューを構成する第1のシュー部材81と、ソフトシューを構成する第2のシュー部材82とを含んでいる。そして、第2のシュー部材82は、ラッピングフィルムを穴部66の口元67に押付ける部位、換言すれば、穴部66が通過する個所に配置してある。図中左端のシューは、穴部66が通過する個所も含めて第1のシュー部材81のみから構成されている。
【0060】
第1のシュー部材81は、ハードシューを構成するために、砥石やスチールなどの硬質材料から形成されている。一方、第2のシュー部材82は、ソフトシューを構成するために、前記第1のシュー部材81よりも柔らかく弾性変形可能な例えばウレタン樹脂材料などから形成されている。
【0061】
第2のシュー部材82の表面は、第1のシュー部材81の表面よりも若干寸法(数μm)だけ、ワークWに向けて突出している。第2のシュー部材82の突出量は、第2のシュー部材82の硬さおよびシュー押付け力に基づいて最適値が決定されている。
【0062】
かかる構成のシュー80を備えるラッピング加工装置2では、クランクシャフト62をクランプすると、第1のシュー部材81および第2のシュー部材82はともに、ワーククランプ用バネ74の弾発力が付勢されて加工面65に向けて押付けられる。
【0063】
そして、クランクシャフト62に軸方向に沿うオシレーションを付与しつつ、回転駆動ユニット40を作動させてクランクシャフト62を軸中心で回転すると、ハードシューを構成する第1のシュー部材81によりラッピングフィルム11の砥粒面が加工面65に押付けられ、加工面65が全面にわたってラッピング加工される。さらに、ソフトシューを構成する第2のシュー部材82によりラッピングフィルム11の砥粒面が口元67に押付けられ、かど部67aにアール部68が形成される。
【0064】
ラッピング加工中は、クランクシャフト62は、設定回数(例えば5回)だけ正回転され、その後、同じ設定回数だけ逆回転される。回転方向を変えることにより、ラッピングフィルム11の性能が維持され、また、口元67全周が均一に加工される。
【0065】
このように、第2の実施形態においても、第1のシュー部材81つまりハードシューによる加工面65全周に対する加工と、第2のシュー部材82つまりソフトシューによる口元67に対する加工とを1台のラッピング加工装置で行うため、加工能率が良く、加工に要する時間を短縮することができる。また、設備台数の増加を伴わないので、設備費や加工費の増加も抑えることができる。
【0066】
また、既存のラッピング加工装置におけるシューを第2の実施形態のシュー80に付け替えることもできるので、第1の実施形態に比べて、設備費や加工費の増加をより一層抑えることができる。
【0067】
さらに、左端のシュー80をハードシューのみから構成しておき、加工面65の形状精度(真円度や真直度)を高めるハードシューによる加工と、口元かど部67aにアール部68を形成するソフトシューによる加工とを同一工程で行っていることから、ソフトシューによる加工が及んだ加工面65上の部位は、左端のハードシューによるワーク形状を矯正する機能が働いている。これにより、加工面65の形状精度がソフトシューによる加工によって崩れる虞がない。
【0068】
なお、第2の実施形態は、第1の実施形態に比べて口元かど部67aの丸め量が比較的小さいワークWに対して、有効に適用できる。
【0069】
(改変例)
ワークWの加工面65はクランクシャフト62のピン部63やジャーナル部64に限定されるものでもなく、穴部66が開口された加工面65を有する限りにおいて、他の種々のワークWに適用できることはいうまでもない。
【0070】
第1の実施形態においては、シュー駆動手段30として、偏心カム31、モータM4などを使用した形態を例示したが、これに限定されるものではなく、適宜改変可能である。例えば、サーボモータ、空気圧などにより作動する流体圧シリンダなどのアクチュエータを用いて、第2のシュー72を作動位置または非作動位置に駆動してもよい。
【0071】
また、第2シュー72をソフトシューで構成した場合を示したが、第1シュー71と同じハードシューから構成し、第2シュー72の押付け力を第1シュー71の押付け力よりも弱くする形態でも同様の効果を得ることができる。シュー押付け力は、油圧や空気などの流体圧を調整したり、バネの弾発力を調整したりすればよい。
【0072】
また、ソフトシュー72をワークの軸方向にオシレーションしてもよい。
【0073】
第2の実施形態においては、図11中左端のシュー80を第1のシュー部材81(ハードシュー)のみから構成した例を示したが、かかる構成は本発明にとって必須の要件ではない。例えば、第2のシュー部材82(ソフトシュー)による加工面65の形状精度の低下が許容範囲内に収まるような場合にあっては、左端のシュー80のうち穴部66が通過する個所に第2のシュー部材82を配置してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るラッピング加工装置を示す概略構成図である。
【図2】ラッピング加工装置に開閉自在に設けられた上下のアームの閉状態を示す概略断面図である。
【図3】上下のアームの開状態を示す概略断面図である。
【図4】図4(A)(B)は、ラッピング加工装置1の要部を示す断面図であり、図4(A)は、ソフトシューを構成する第2のシューが油穴の口元に向けて押付けられる作動位置に駆動された状態を示し、図4(B)は、ソフトシューが油穴の口元から離反する非作動位置に駆動された状態を示している。
【図5】図5(A)〜(C)は、ソフトシューを非作動位置から作動位置に駆動する範囲の説明に供する図である。
【図6】図6(A)〜(C)は、ソフトシューを非作動位置から作動位置に駆動する範囲の説明に供する図である。
【図7】図7(A)は、ラッピング加工されるワークとしてのクランクシャフトの一例を示す斜視図、図7(B)は、クランクシャフトに形成された油穴を示す一部切り欠き断面図である。
【図8】本発明に係るラッピング加工装置の制御系を示す概略ブロック図である。
【図9】ラッピングフィルムの砥粒層の一部が剥離した不具合例を示す図である。
【図10】本発明の第2の実施形態に係るラッピング加工装置に開閉自在に設けられた上下のアームの閉状態を示す概略断面図である。
【図11】図11(A)は、第2の実施形態で使用されるシューおよびシューケースを示す断面図、図11(B)は、同図(A)を矢印Bから見た矢視図である。
【符号の説明】
1.2…ラッピング加工装置
11…ラッピングフィルム
30…シュー駆動ユニット(シュー駆動手段)
40…回転駆動ユニット(回転駆動手段)
50…オシレーションユニット
62…クランクシャフト(ワーク)
63…ピン部
64…ジャーナル部
65…加工面
66…油穴(穴部)
67…口元
67a…かど部
68…アール部
71…第1のシュー、ハードシュー
72…第2のシュー、ソフトシュー
80…シュー
81…第1のシュー部材、ハードシュー
82…第2のシュー部材、ソフトシュー
100…コントローラ(制御手段)
M1…主軸モータ
M4…モータ
S1…ロータリエンコーダ(検出手段)
S2、S3、S4…ロータリエンコーダ
W…穴部が開口された加工面を有するワーク

Claims (6)

  1. 穴部が開口された加工面を有するワークに対してラッピング加工を施すラッピング加工装置であって、
    薄肉基材の一面に砥粒が設けられたラッピングフィルムと、
    前記ラッピングフィルムの砥粒面を前記加工面に押付ける第1のシューと、
    前記ラッピングフィルムの砥粒面を前記穴部の口元に押付ける第2のシューと、
    前記第2のシューを、前記穴部の口元に向けて押付けられる作動位置と前記穴部の口元から離反する非作動位置との間で駆動するシュー駆動手段と、
    前記ワークを回転駆動する回転駆動手段と、
    回転するワークにおける前記穴部の位置を検出する検出手段と、
    加工中における前記穴部の位置に応じて前記第2のシューを前記作動位置または前記非作動位置に駆動するように、前記シュー駆動手段の作動を制御する制御手段と、を有し、
    前記第2のシューにより前記ラッピングフィルムを押付けることにより施されるラッピング加工を、前記穴部の口元の周辺に限定するようにしたことを特徴とするラッピング加工装置。
  2. 前記第1のシューはハードシューからなり、前記第2のシューはソフトシューからなることを特徴とする請求項1に記載のラッピング加工装置。
  3. 前記穴部は油穴であることを特徴とする請求項1に記載のラッピング加工装置。
  4. 穴部が開口された加工面を有するワークに対してラッピング加工を施すラッピング加工装置であって、
    薄肉基材の一面に砥粒が設けられたラッピングフィルムと、
    前記ラッピングフィルムの砥粒面を前記加工面に押付けるシューと、を有し、
    前記シューは、ハードシューを構成する第1のシュー部材と、ソフトシューを構成する第2のシュー部材とを含み、前記第2のシュー部材を、前記ラッピングフィルムを前記穴部の口元に押付ける部位に配置したことを特徴とするラッピング加工装置。
  5. 前記ラッピングフィルムは、非伸縮性でかつ変形可能であることを特徴とする請求項1または請求項4に記載のラッピング加工装置。
  6. 穴部が開口された加工面を有するワークに、第1のシューによりラッピングフィルムの砥粒面を押付けた状態で、前記ワークを回転駆動しつつラッピング加工を施すラッピング加工方法であって、
    回転するワークにおける前記穴部の位置を検出手段により検出し、加工中における前記穴部の位置に応じて、前記ラッピングフィルムの砥粒面を前記穴部の口元に押付ける第2のシューを、前記穴部の口元に向けて押付けられる作動位置または前記穴部の口元から離反する非作動位置に駆動し、前記第2のシューにより前記ラッピングフィルムを押付けることにより施されるラッピング加工を、前記穴部の口元の周辺に限定するようにしたことを特徴とするラッピング加工方法。
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