JP2004243198A - 複合半透膜および下水処理方法 - Google Patents

複合半透膜および下水処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】透過流量が経時的に安定で、かつ透過流量の大きい下水処理用の複合半透膜およびそれを用いた下水処理の方法を提供する。
【解決手段】微多孔性支持膜上に多官能アミン化合物と多官能酸ハロゲン化物との反応物からなる分離機能層を形成してなり、アルデヒド基を少なくとも1個有する化合物が該分離機能層表面のアミノ基とのみ共有結合を形成している複合半透膜。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、し尿や家庭用排水等の下水の高度処理に使用する複合半透膜に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、水の需要が増大してきているにもかかわらず、一方で新たな水源の確保が一層困難になりつつある。そのため、環境意識の高まりや環境保全の観点から、し尿や家庭用排水等の下水も、水資源の有効利用のために、下水処理水を放流せずに、例えば、公園等の公共施設の親水用水として再利用することが検討されている。従来、再利用を行うために、濾膜を用いた下水の高度処理が行われているが、処理目標水質が非常に高い場合などは、ポリアミド系逆浸透膜等の高阻止率の逆浸透膜が用いられている。
【0003】
このような逆浸透膜を用いて処理を行う際には、下水をスクリーン、沈砂、予備曝気槽、最初沈殿槽などによる物理的浄化の後、活性汚泥法などによる生物学的処理で前処理し、逆浸透膜に供給し、有機化合物、窒素化合物、塩類などを含まない透過水を取り出している。
【0004】
しかしながら、下水を原水とする場合、原水には洗剤として使用された界面活性剤が混入しており、界面活性剤は生物処理では十分に処理することが出来ず、この界面活性剤が逆浸透膜の膜面に吸着され逆浸透膜の分離性能を低下させるといった問題がある。このため、上記の逆浸透膜による処理を行うと、時間の経過とともに透過流量が著しく低下して安定な処理が困難であるという問題がある。
【0005】
これまで、ポリアミド膜表面にポリマーをコーティングすることで、ファウリングによるフラックス低下を抑える方法が知られている(特許文献1および2参照)。しかし、これらの方法ではポリマーコーティングを行うことでファウリング前のフラックスまで低下してしまうという問題が存在した。
【0006】
また、膜面に残存する酸塩化物と反応する化合物で表面処理を行うことで透過流量の低下を抑制する方法も提唱されているが(特許文献3参照)、この場合、膜表面の負荷電性が抑制され、下水中に主に存在する負荷電性物質(非特許文献1参照) の付着が起こりやすくなる可能性が危惧される。
【0007】
【特許文献1】
国際公開第97/34686号パンフレット
【0008】
【特許文献2】
特開2000−176263号公報
【0009】
【特許文献3】
特開2002−224546号公報
【0010】
【非特許文献1】
エム・ヘンツェ(M.Henze)等著, 「ウェイストウオーター・トリートメント(Wastewater treatment)」, 第2版, 1997年, p318−324
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、透過流量が経時的に安定で、かつ透過流量の大きい下水処理用の複合半透膜およびそれを用いた下水処理の方法を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、微多孔性支持膜上に多官能アミン化合物と多官能酸ハロゲン化物との反応物からなる分離機能層を形成してなり、アルデヒド基を少なくとも1個有する化合物が該分離機能層表面のアミノ基とのみ共有結合を形成している複合半透膜である。
【0013】
また、本発明は、微多孔性支持膜上に多官能アミン化合物と多官能酸ハロゲン化物とを重縮合させてポリアミド分離機能層を設けた後に、アルデヒド基を少なくとも1個有する化合物溶液を該ポリアミド分離機能層の表面に被覆して、該分離機能層表面に残存するアミノ基との間でのみ共有結合を形成させる複合半透膜の製造方法である。
【0014】
さらに、本発明は、上記複合半透膜を用いる下水の処理方法である。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の複合半透膜は、し尿や家庭用排水等の下水を浄化して再利用するためのもので、微多孔性支持膜上に多官能アミン化合物と多官能酸ハロゲン化物との反応物からなる分離機能層を形成してなり、アルデヒド基を少なくとも1個有する化合物が、前記分離機能層表面のアミノ基と共有結合を形成していることを特徴とする。
【0016】
本発明において、微多孔性支持膜とは実質的には分離性能を有さない層であり、実質的に分離性能を有する分離機能層に強度を与えるために用いられるものである。
【0017】
微多孔性支持膜は、膜の表面から裏面にわたって孔経が均一な微細な孔を有する構造であるか、または、片面に緻密で微細な孔を有し、その面からもう一方の面まで徐々に孔経が大きくなるような孔を有する非対称構造であり、その微細孔の大きさが100nm以下であることが好ましい。また、微多孔性支持膜の厚みは1μm〜数mmであり、膜強度の観点から10μm以上、扱いやすさ、モジュール加工のしやすさの面で数百μm以下が好ましい。さらに、微多孔性支持膜の素材には、ポリスルホン、酢酸セルロース、硝酸セルロース、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィドスルホン等のホモポリマーまたはコポリマーを単独であるいはこれらのポリマーをブレンドしたものを使用することができる。これらの素材の中では化学的、機械的、熱的に安定性が高く、成型が容易であることからポリスルホンが好ましい。
【0018】
本発明に用いる多官能アミン化合物は、2個以上のアミノ基を有する脂肪族、芳香族の化合物であればいずれでもよい。一般的には例えばm−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、1,3,5−トリアミノベンゼン、パラキシリレンジアミン、ジアミノピリジンなどの芳香族アミン類、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ジメチルエチレンジアミン、ピペラジン、アミノメチルピペリジンなどの脂肪族アミン類が用いられる。これらの中では反応性、得られた膜の性能の面から芳香族アミン類、特にm−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、1,3,5−トリアミノベンゼンが好ましい。これらの多官能アミン化合物は単独であるいは混合して用いることができる。
【0019】
また、多官能酸ハロゲン化物としては、たとえば、トリメシン酸ハライド、ベンゾフェノンテトラカルボン酸ハライド、トリメリット酸ハライド、ピロメリット酸ハライド、イソフタル酸ハライド、テレフタル酸ハライド、ナフタレンジカルボン酸ハライド、ジフェニルジカルボン酸ハライド、ピリジンジカルボン酸ハライド、ベンゼンジスルホン酸ハライド、クロルスルホニルイソフタル酸ハライドなどの芳香族酸ハライドを用いることができる。また、シクロヘキサントリカルボン酸ハライド、シクロヘキサンジカルボン酸ハライドなどの脂肪族酸ハライドも用いることができる。なかでも、製膜溶媒に対する溶解性や得られる複合半透膜の特性を考慮すると、イソフタル酸クロライド、テレフタル酸クロライド、トリメシン酸クロライドおよびこれらの混合物を用いることが好ましい。
【0020】
次に、アルデヒド基を少なくとも1個有する化合物とは、脂肪族、芳香族、あるいは複素環の化合物のいずれでもよい。例えばホルマリン、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、グリシジルアルデヒド、3−ヒドロキシプロパナル、グリオキサール、グルタルアルデヒド、リボース、グリオキシリックアルデヒドなどの脂肪族アルデヒド、ベンズアルデヒド、サルチルアルデヒド、ジメチルアミノベンズアルデヒド、フタルアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、ジヒドロキシベンズアルデヒド、ホルミルベンズアミドなどの芳香族アルデヒドが好ましく用いられる。これらの中では膜の性能の面からホルマリン、グルタルアルデヒドが好ましい。特にグルタルアルデヒドが好ましく用いられる。
【0021】
次に本発明の半透膜の製法について述べる。
【0022】
上述の複合半透膜は、微多孔性支持膜上で、多官能アミン化合物と、多官能酸ハロゲン化物とを重縮合させてポリアミド分離機能層を設けた直後に、アルデヒド基を少なくとも1個有する化合物の溶液をその表面に被覆して、分離機能層表面に残存するアミノ基とのみ共有結合を形成することにより得られる。
【0023】
まず、密に織ったポリエステル布や不織布などの支持体の上に、例えばポリスルホン溶液を一定の厚さに注型し、それを水中で湿式凝固させて、表面の大部分が直径数十nm以下の微細な孔を有した微多孔性支持膜を得る。
【0024】
このようにして得られた微多孔性支持膜上に、1分子中に少なくとも2個のアミノ基を有する多官能アミン化合物の水溶液、多官能酸ハロゲン化物の溶液を順に塗布してin−situ界面重縮合反応をさせて、実質的に分離性能を有するポリアミド分離機能層を形成させる。
【0025】
多官能アミン化合物水溶液の濃度は、0.1〜20重量%の範囲内にあることが好ましく、0.5〜15重量%の範囲内にあることがより好ましい。多官能アミン化合物濃度が0.1重量%を下回ると、界面重縮合反応の進行が遅くなり、20重量%を超えると分離機能層の膜厚が大きくなり透水性が低下する傾向にある。
【0026】
多官能酸ハロゲン化物を溶解する溶媒は、水と非混和性であり、かつ、多官能酸ハロゲン化物を溶解するとともに、微多孔性支持膜を破壊せず、界面重縮合により架橋ポリマを形成し得るものであればよい。例えば、炭化水素化合物、シクロヘキサン、1,1,2−トリクロロ−1,2,2トリフルオロエタンなどが挙げられるが、反応速度、溶媒の揮発性から、好ましくはn−ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、1,1,2−トリクロロ−1,2,2トリフルオロエタンなどである。
【0027】
上記有機溶媒中の多官能酸ハロゲン化物の濃度は、0.01〜1.0重量%の範囲内であると好ましい。0.01重量%を下回ると、活性層である分離機能層の形成が不十分となりやすく、1.0重量%を超えると分離機能層表面のカルボキシル基濃度が高くなり、原水中にカチオン性有機物(たとえばカチオン界面活性剤)が含まれる場合に透水性が低下し、また、コスト高となる。
【0028】
多官能アミン化合物水溶液および多官能酸ハロゲン化物溶液には、多官能アミン化合物と多官能酸ハロゲン化物との反応を妨害しないものであれば、必要に応じて、アシル化触媒や極性溶媒、酸補足剤、界面活性剤、酸化防止剤などを含有させることもできる。
【0029】
次いで、このようにポリアミド分離機能層を形成した後に、アルデヒド基を少なくとも1個有する化合物の溶液を分離機能層表面に塗布し、分離機能層表面に残存するアミノ基と、アルデヒド基との間でのみ共有結合を形成させ、分離機能層の表面特性を変化させる。このアルデヒド処理を行うのはポリアミド分離機能層を形成した直後がより好ましい。
【0030】
ここで言う直後とは、水または他の水溶液を分離機能層に接触させるより前のことを言う。通常、分離機能層を形成した後、水または他の水溶液により、界面重縮合反応を停止させたり、膜中に残存するモノマーの洗浄を行う。洗浄後に、アルデヒド基を有する化合物の溶液と接触させると、もう一度、逆浸透膜を洗浄する必要が生じコスト的に不利である。
【0031】
アルデヒド基を少なくとも1個有する化合物は単独であっても混合していてもよい。そして、これらの化合物は重量濃度で0.01%〜20%の水溶液として使用する。0.01%を下回ると、分離機能層に存在するアミノ基が未反応のまま残り表面の改質が不十分となり、20%を超えると、コスト面から不利となる。
【0032】
水溶液には必要に応じて他の化合物を混合してもかまわない。たとえば、反応を促進するため、硫酸、塩化水素などの酸を添加してもよいし、残存する水と非混和性の溶媒や、遊離アミンとアルデヒド化合物との反応生成物を除去するためドデシル硫酸ソーダ、ベンゼンスルホン酸ソーダなどの界面活性剤を添加しても良い。
【0033】
共有結合を形成させるための反応は0℃以上100℃以下で行うことが好ましい。より好ましくは70℃以下である。100℃以上で反応を行うと、膜が熱収縮を起こし、透過水量が低くなる傾向にある。
【0034】
反応時間は10秒〜10分が好ましい。10秒以下だと反応が十分に進行せず、10分以上だと生産効率が悪くなる。
【0035】
このようにして得られた複合半透膜は、このままでも使用できるが、使用する前に水洗などによって未反応残存物を取り除くことが好ましい。30〜100℃の範囲内にある水で膜を洗浄し、残存するアルデヒド化合物などを除去することが好ましい。また、洗浄は、上記温度範囲内にある水中に支持膜を浸漬したり、そのような水を吹き付けたりして行うことができる。用いる水の温度が30℃を下回ると、複合半透膜中にアミン化合物が残存し透過水量が低くなる傾向にある。また、オートクレーブやスチームなどで100℃を超える温度で洗浄を行なうと、膜が熱収縮を起こし、やはり透過水量が低くなる傾向にある。
【0036】
また、このあと、たとえばpHが6〜13の範囲内の塩素含有水溶液に常圧で接触させ、膜の排除率、透水性を高めることも好ましい。
【0037】
なお、本発明の複合半透膜は、平膜でも中空糸膜、管状膜でも構わない。
【0038】
本発明の複合半透膜を使用することにより、たとえば、操作圧力が0.1〜3.0MPaの範囲内、より好ましくは0.1〜1.5MPaの範囲内といった低い領域で、高い透過水量を維持しつつ、複合半透膜や流体分離素子を使用することができる。操作圧力を低くすることができるため、用いるポンプなどの容量を小さくすることができ、消費電力を抑え、造水のコストダウンを図ることができる。操作圧力が0.1MPaを下回ると、透過水量が少なくなりすぎる傾向があり、3.0MPaを超えるとポンプなどの消費電力が増加するとともに、ファウリングによる膜の目詰まりを起こしやすくなる。
【0039】
本発明の複合半透膜にあっては、25℃において、pH6.5の、NaCl濃度が1,500mg/1である水溶液を1.0MPaの圧力で加えて1時間ろ過したときの透過水量が0.5〜3.0m/mdであることが好ましい。水の透過量を0.5〜3.0m/mdの範囲とすることにより、ファウリングの発生を適度に抑え、造水を安定的に行うことができる。
【0040】
本発明の複合半透膜で処理する下水中には、界面活性剤などの難生分解性有機物が、生物処理で完全には分解されず含まれている。このため、通常の複合半透膜で処理を行うと界面活性剤が膜表面に吸着し、透過水量が低下してしまう。しかし、本発明の複合半透膜は、表面処理を行っているため、界面活性剤が吸着しにくく透過水量の低下が抑えられる。また、下水中に含まれる浮遊物は大部分が負に帯電しているが、本発明の複合半透膜は、カルボン酸が残存しているため荷電反発によりファウリングが起こりにくい。
【0041】
ここで、透過水量低下率は以下のようにして求める。25℃にてpH6.5、1,500mg/l塩化ナトリウム水溶液を用い操作圧力1.0MPaにて膜に透過させて1時間ろ過した時の透過水量を前透過水量(F1)とし、続いて、この評価液にノニオン界面活性剤(ポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル)を100mg/lになるように添加してから1時間経過後の透過水量を後透過水量(F2)としたときに、次式で定義される。
【0042】
透過水量低下率=1−(後透過水量/前透過水量)。
【0043】
本発明の複合半透膜は、透過水量低下率が0.35以下であることが好ましい。さらに好ましくは0.2以下である。このような膜を用いることにより、界面活性剤に接しても膜面への界面活性剤の吸着が殆ど観られずに透過流量の低下が僅かであり、充分な透過流量を保持できる。従って、下水の高度処理に用いても、高水質の透過水を安定して得ることができる。
【0044】
下水中には、主に負荷電性物質が存在するため、膜の表面荷電は、マイナスに帯電していることが好ましい。膜表面荷電はゼータ電位を測定することで見積もることが出来、表面ゼータ電位は−20mV以下が好ましく、更に好ましくは−30mV以下である。
【0045】
上記のより得られる複合半透膜は、取り扱いを容易にするため筐体に納めて流体分離素子とすることができる。この流体分離素子は、たとえば、多数の孔を穿設した筒状の集液管の周りに、複合半透膜の平膜と、トリコットなどの分離液流路材と、プラスチックネットなどの供給液流路材とを含む膜ユニットを巻回し、これらを円筒状の筐体に納めた構造とすると好ましい。これにより、複数の流体分離素子を直列あるいは並列に接続して分離膜モジュ−ルとすることもできる。
【0046】
以下、上記複合半透膜を用いた下水処理方法について説明する。まず、原水である下水を、スクリーン、沈砂、予備曝気槽、最初沈殿槽などに導入して物理的処理を施し、浮遊物や油脂を除去する。このとき、除去効率を上げるために凝集剤等による凝集処理を行うことも好ましい。次に、原水を活性汚泥槽などに導入して生物的処理を施し、原水中の有機物を分解する。その後、最終沈殿槽で懸濁物質を除去し下水二次処理水を得る。
【0047】
続いて、好ましくは、この下水二次処理水を、砂濾過装置、精密ろ過膜、限外ろ過膜などに供給して、水中の懸濁物質をさらに除去する。ここで、微生物を好適に除去するためには、精密ろ過膜や限外ろ過膜などを用いることがより好ましく、原水中の高分子除去および後段の膜汚染の軽減のためには、限外ろ過膜がさらに好ましい。
【0048】
そして、本発明においては、このような処理を施した水を、上記のように構成した複合半透膜モジュールに供給し、原水中の塩や有機物を除去する。原水中の塩や有機物が除去された透過水は、親水用水等の用水として再利用することができる。
【0049】
本発明においては、対象とする下水が石鹸や洗浄排液のために多量の界面活性剤を含むもので、従来のポリアミド系複合半透膜などを用いると早期に透過水量が低下するので安定な処理が困難であったが、アルデヒド基を少なくとも1個有する化合物を、分離機能層表面に残存するアミノ基と共有結合させ、表面を改質した複合半透膜を用いるため、界面活性剤に接しても膜面への界面活性剤の吸着が殆ど観られずに透過水量の低下が僅かであり、高水質の透過水を安定して得ることができる。
【0050】
また、原水を本発明の複合半透膜に供給する前に精密濾過膜、限外濾過膜で処理することにより、前段で生物学的処理を施した場合にも微生物を好適に除去できるので、後段の複合半透膜モジュールを懸濁物質から保護することができる。
【0051】
【実施例】
実施例および比較例においては、pH6.5の1,500mg/l塩化ナトリウム水溶液を用い操作圧力1.0MPaの条件で評価を行った。
【0052】
脱塩率は次式により求めた。
【0053】
脱塩率(%)=(1−透過液中の塩濃度/供給液中の塩濃度)×100
また、透過水量は、単位時間(日)に単位面積(m)に当たりの膜を透過する水量で求めた。
【0054】
実施例1
ポリエステル繊維からなる、縦30cm横20cmの大きさのタフタ(縦糸、横糸とも166デシテックスのマルチフィラメント糸、織密度は縦90本/インチ、横67本/インチ、厚さ160μm)をガラス板上に固定し、その上にポリスルホンの15.7重量%ジメチルホルムアミド(DMF)溶液を、200μmの厚みで、25℃にてキャストし、ただちに純水中に浸漬して5分間放置し、次いで、90℃2分間熱水中で処理して微多孔性支持膜(以下、FT−PS支持膜という)を得た。このFT−PS支持膜の厚さは200〜210μmであり、純水透過係数は圧力0.1MPa、液温25℃、雰囲気温度25℃で測定したとき0.01〜0.03g/cm・sec・atmであった。
【0055】
このFT−PS支持膜を、m−フェニレンジアミン1重量%と、ε−カプロラクタム1重量%とを含む水溶液中に1分間浸漬した。ついで、この支持膜を垂直方向にゆっくりと引上げ、支持膜表面から余分な水溶液を取り除いた後、トリメシン酸クロライド0.06重量%を含むデカン溶液を、表面が完全に濡れるように塗布した。次に、膜を垂直にして余分な溶液を液切りして除去した後、膜面に残った溶媒を蒸発させるために、膜表面での風速が8m/sとなるように、温度30℃の空気を1分間吹き付けた。
【0056】
この膜をグルタルアルデヒド1.0重量%とを含む水溶液を膜表面に塗布し2分間保持した。その後90℃の熱水に2分間浸漬後、膜性能向上のため、pH7に調整した次亜塩素酸ナトリウム500ppmを含む溶液中に2分間浸漬し、亜硫酸水素ナトリウム1,000ppm水溶液に浸漬し、残存する次亜塩素酸ナトリウムを消滅させ複合半透膜を得た。
【0057】
得られた複合半透膜を上記条件で評価し、塩排除率、透過水量、透過水量低下率を測定した。評価結果を表1に示す。
【0058】
実施例2
実施例1においてグルタルアルデヒドの代わりにホルマリンを用いた以外は実施例1と同様に製膜、評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0059】
実施例3
実施例1において0.4%グルタルアルデヒド塗布後80℃で熱処理を行った以外は実施例1と同様に製膜、評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0060】
比較例1
実施例1においてグルタルアルデヒドの代わりに炭酸ナトリウムを用いた以外は実施例1と同様に製膜、評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0061】
比較例2
実施例3において、グルタルアルデヒド0.4%、PVA1%、硫酸0.02mo1/1水溶液を塗布する以外は実施例3と同様に製膜、評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0062】
比較例3
実施例1において、グルタルアルデヒドの代わりに2−エタノールアミンを用いた以外は実施例1と同様に製膜、評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0063】
【表1】
Figure 2004243198
【0064】
【発明の効果】
本発明の複合半透膜は、アルデヒド基を少なくとも1個有する化合物と、分離機能層表面に残存するアミノ基とを共有結合させ、膜表面を改質しているため、界面活性剤に接しても膜面への界面活性剤の吸着が殆ど観られず透過流量の低下が僅かであり、充分な透過流量を保持できる。従って、下水の高度処理に用いても、高水質の透過水を安定して得ることが可能となる。

Claims (7)

  1. 微多孔性支持膜上に多官能アミン化合物と多官能酸ハロゲン化物との反応物からなる分離機能層を形成してなり、アルデヒド基を少なくとも1個有する化合物が該分離機能層表面のアミノ基とのみ共有結合を形成していることを特徴とする複合半透膜。
  2. 25℃において、pH6.5の、NaCl濃度が1,500mg/1である水溶液を1.0MPaの圧力で加えて1時間ろ過したときの透過水量が0.5〜3.0m/mdである請求項1記載の複合半透膜。
  3. 25℃において、pH6.5の、NaCl濃度が1,500mg/1である水溶液を1.0MPaの圧力で加えて1時間ろ過したときの透過水量をF1とし、続いてポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテルを100mg/1の濃度となるように前記水溶液に加えて1時間ろ過したときの透過水量をF2としたとき、1−(F2/F1)の値が0.35以下である請求項1または2に記載の複合半透膜。
  4. 微多孔性支持膜上に多官能アミン化合物と多官能酸ハロゲン化物とを重縮合させてポリアミド分離機能層を設けた後に、アルデヒド基を少なくとも1個有する化合物の溶液を該ポリアミド分離機能層の表面に被覆して、該分離機能層表面に残存するアミノ基との間でのみ共有結合を形成させることを特徴とする複合半透膜の製造方法。
  5. アルデヒド基を有する化合物がホルマリンまたはグルタルアルデヒドである請求項4に記載の複合半透膜の製造方法。
  6. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の複合半透膜を用いて下水を処理することを特徴とする下水処理方法。
  7. 精密ろ過膜または限外ろ過膜で処理した後の下水を複合半透膜に供給する請求項6記載の下水処理方法。
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