JP3681219B2 - ポリスルホン多孔質分離膜 - Google Patents

ポリスルホン多孔質分離膜 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は多孔質分離膜に関するものであり、食品工業におけるアルコール飲料や果汁飲料等の除菌、除濁、除蛋白質、半導体製造工業における超純水の製造、医薬品工業における無菌水の製造、各種工業排水、ビル等の建築物排水、下水の除濁、河川水、かん水、海水の逆浸透法による脱塩の前処理などに用いられ、サブミクロンオーダーから分子量100万オーダーの菌体や微粒子及び高分子物質を効率良く分離・除去し、且つ機械的強度に優れた精密濾過または限外濾過用の多孔質分離膜に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、上記諸工業分野で用いられている多孔質分離膜としては、セルロースエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリスルホン、ポリフルオロカーボン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル等の高分子を素材とするものなどが挙げられる(例えば特開昭48−32166号公報、特開昭58−146408号公報、特開昭61−222505号公報、特開昭56−154051号公報、特開昭57−66114号公報、特開昭52−15627号公報、特開昭58−45239号公報、特開昭48−86163号公報)。これらのうち、耐熱性、耐薬品性、及びコスト面からポリスルホンが多孔質分離膜の素材として最も好適に用いられている。
【0003】
このような多孔質分離膜は、膜の表面及び内部の孔径が実質的に変化せず均質構造のいわゆる対称膜と、膜厚方向に孔径が連続的又は不連続的に変化し、膜の一方の表面又は両表面に最小孔径層を有するいわゆる非対称膜と呼ばれる構造とに分類される。両構造の膜とも一長一短があり、一般に対称膜では目詰りしやすく濾過寿命が短い場合が多く、一方、非対称膜では最小孔径層が表面にあるためひだ織り加工などのモジュール化の際に膜面が傷付きやすく分離・除去性能が低下するなどの問題がある。
【0004】
これらの問題を改良したものとして、最小孔径層が膜厚方向の内部に存在する非対称構造の膜が提案されている。たとえば特開昭62−27006号公報によれば、この膜は中空糸膜の製造方法として一般に用いられているドライウェット法を応用した製膜法であり、製膜原液を流延してから凝固液に浸漬するまでの間の空気中での溶媒の蒸発と雰囲気からの非溶媒の吸収量を温度、湿度及び風量によって適度に制御することによって得られることが開示されている。この膜は濾過寿命が長く、膜表面の欠損によっても分離性能が劣化し難く、プリーツ型モジュール等いわゆる全量濾過方式に用いられる精密濾過膜としては優れた膜といえる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記膜を濾過方向と直角に被処理液(原液)を流すクロスフロー濾過方式で用いる場合には、膜表面に最小孔径層が無いためにクロスフローによる目詰り抑制効果や、いわゆる濃度分極層を小さくする効果が充分に得られず、必ずしも効率的な濾過寿命の長い膜とは言い難い。
【0006】
また、特開昭62−27006号公報に開示されているような補強支持体がない平膜では、円盤状の支持板や枠体の両面に平膜を貼り付けた回転円盤型モジュールや浸漬型平膜モジュールのように膜自体の機械的強度が特に必要なモジュール形態には適用が困難である。
さらに、上記モジュール形態に用いられる膜には、中空糸膜の効果的洗浄方法の一つとして良く用いられている逆圧洗浄が可能な背圧強度に優れた平膜が、近年強く望まれている。
【0007】
本発明は、前記従来の問題を解決するため、サブミクロンオーダーの菌体や微粒子及び分子量100万オーダーの高分子物質を効率的に分離・除去し、膜寿命の長い多孔質分離膜を提供することを第1の目的とする。また、本発明の第2の目的は、優れた背圧強度を有し、逆圧洗浄が適用可能な平膜型の多孔質分離膜を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明のポリスルホン多孔質分離膜は、多孔性補強シートの表面に実質的に分離機能を有する膜が存在するポリスルホン多孔質分離膜において、前記膜の表面には平均孔径0.01〜0.05μmの範囲の最小孔径層を有し、表面から厚み方向に連続的に孔径が拡大する非対称構造を有し、前記膜が多孔性補強シートに投錨状態で接合し補強されていることを特徴とする。この構成により、サブミクロンオーダーの菌体や微粒子及び分子量100万オーダーの高分子物質を効率的に分離・除去し、膜寿命の長い多孔質分離膜を実現できる。また、優れた背圧強度を有し、逆圧洗浄が適用可能な平膜型の多孔質分離膜を実現できる。
【0009】
前記本発明のポリスルホン多孔質分離膜においては、多孔性補強シートが不織布であって、厚みが0.08〜0.15mmの範囲であり、かつ密度が0.5〜0.8g/cm3 の範囲であることが好ましい。
【0010】
また前記本発明のポリスルホン多孔質分離膜においては、ポリスルホン多孔質分離膜の背圧強度が、2kg/cm2 以上であることが好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の一実施の形態のポリスルホン多孔質分離膜を説明する断面図である。図1において、多孔性補強シート21の表面に実質的に分離機能を有する膜22が密着一体化されて存在している。また膜22を構成する樹脂成分の一部が、多孔性補強シート21に投錨状態で接合し補強されている。このポリスルホン多孔質分離膜20は、最小孔径層が膜表面に存在し、その平均孔径が通常の精密濾過膜より1オーダー小さい0.01〜0.05μmの範囲であり、限外濾過膜に近い表面孔径を有している。このため、サブミクロンオーダーの菌体や微粒子をほぼ完全に膜表面で阻止でき、クロスフロー濾過方式では目詰りが生じにくく安定した濾過性能が維持できる。
【0012】
また、膜表面が擦過等傷付いた場合でも膜孔径が表面から厚み方向に連続的且つ緩やかに拡大し、膜の中間部であってもサブミクロンオーダーの微粒子を十分捕捉しうる程度の孔径であるため、微粒子の漏洩をきたすことはない。
【0013】
本発明に用いられる多孔性補強シートとしては、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド等を素材とする織布、不織布、メッシュ状ネット、発泡焼結シート等が挙げられるが、後述する製膜性及びコスト面から不織布が好適に用いられる。
【0014】
本発明に用いられる不織布としては、厚みが0.08〜0.15mmであって、且つ密度が0.5〜0.8g/cm3 であることが好ましい。厚みが0.08mmより薄いか又は/及び密度が0.5g/cm3 より小さい場合には、補強シートとしての強度が得られず、2kgf/cm2 以上の背圧強度を保持することが困難である。一方、厚みが0.15mmより厚いか又は密度が0.8g/cm3 より大きい場合には、補強膜の濾過抵抗が大きくなったり、不織布への膜の投錨効果が小さくなるため、膜と不織布との界面で剥離が起こりやすくなり好ましくない。
【0015】
次に、本発明のポリスルホン多孔質分離膜の製造方法について以下に述べる。ポリスルホンに溶媒、非溶媒、及び膨潤剤を加えて加熱溶解し、均一な製膜溶液を調製する。本発明に用いられるポリスルホン系樹脂は、下記式(化1)に示すように分子構造内に少なくとも1つに(−SO2 −)部位を有するものであれば特に限定されない。
【0016】
【化1】
Figure 0003681219
【0017】
(ただし、Rは2価の芳香族、脂環族もしくは脂肪族炭化水素基、またはこれら炭化水素基が2価の有機結合基で結合された2価の有機基を示す。)
好ましくは下記式(化2)〜(化4)の構造式で示されるポリスルホンが用いられる。
【0018】
【化2】
Figure 0003681219
【0019】
【化3】
Figure 0003681219
【0020】
【化4】
Figure 0003681219
【0021】
本発明に用いられるポリスルホン系樹脂は単独で用いられてもよいが、2種類以上の混合物としても用いられる。更には、50モル%以下であればポリイミド、フッ素含有ポリイミド樹脂などのポリマーとの共重合体、もしくは混合物であってもよい。
【0022】
上記ポリスルホンの溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドなどが好ましく用いられる。また、非溶媒としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン等の脂肪族多価アルコール、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等の低級脂肪族アルコール、メチルエチルケトン等の低級脂肪族ケトン等が好ましく用いられる。
【0023】
溶媒と非溶媒の混合溶媒中の非溶媒の含有量は、得られる混合溶媒が均一である限り特に制限されないが、通常、5〜50重量%、好ましくは20〜45重量%である。
【0024】
多孔質構造の形成を促進または制御するために用いられる膨潤剤としては、塩化リチウム、塩化ナトリウム、硝酸リチウム等の金属塩、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸等の水溶性高分子又はその金属塩、ホルムアミド等が用いられる。混合溶媒中の膨潤剤の含有量は、製膜溶液が均一である限り特に制限されないが、通常、1〜50重量%である。
【0025】
製膜溶液中のポリスルホンの濃度は、通常10〜30重量%が好ましい。30重量%を越えるときは、得られる多孔質分離膜の透水性が実用性に乏しく、一方、10重量%より少ないときは、得られる多孔質分離膜の機械的強度が乏しく、充分な背圧強度が得られない。
【0026】
次に、上記製膜溶液を図2に示すような連続製膜装置により不織布支持体上に製膜する。即ち、繰出し機1から不織布等の支持体シート2を繰り出し、その表面に製膜溶液を塗布する。塗布方法は、ナイフコーターやロールコーターのようなギャップコーターにより、製膜溶液を不織布支持体上に塗布する。本実施形態ではロールコーター4を使用し、2本のロールの間に製膜溶液3を溜め、不織布支持体2上に塗布と同時に不織布内部に充分含浸させた後、低湿度雰囲気を通過させる間に塗布した液膜5の表面より、雰囲気中の微量水分を吸収させ、液膜5の表面層にミクロ相分離を起こさせる。6が相分離ゾーンである。しかる後、凝固水槽7に浸漬し、液膜全体を相分離・凝固させ、水洗槽9で溶媒を洗浄除去することにより、本発明のポリスルホン多孔質分離膜8を得、巻取機10で巻き取る。
【0027】
上記製膜法はいわゆるドライウェット法の一種であるが、液膜表面のミクロ相分離は、液膜表面からの溶媒の蒸発による相分離よりは、むしろ雰囲気中からの吸湿による相分離のほうが支配的であり、雰囲気湿度及び吸湿時間の制御が重要である。製膜溶液の特性にもよるが、通常、ミクロ相分離を起こさせる雰囲気は、温度20〜40℃、相対湿度40%以下、好ましくは10〜30%、また、相分離時間即ち吸湿時間は4〜10秒が好ましい。さらに、雰囲気内は実質的に無風状態にすることが好ましい。
【0028】
液膜表面に風を吹き付け強制的に吸湿させたり、吸湿時間を長くすると、前記した特開昭62−27006号公報に開示されているような膜の内部に最小孔径層を有する構造となり、最小孔径層が膜表面に存在する本発明の膜構造とは異なるので好ましくない。また、相対湿度を高くしたり40℃以上の高温にすると表面の平均孔径が0.05μmより大きくなったり、最小孔径層が膜内部に形成されるため好ましくない。
一方、逆に相対湿度が低く且つ吸湿時間が短いとミクロ相分離が不十分となり、スキン層といわれる不連続な緻密層が膜表面に形成されるため好ましくない。
【0029】
以上のように、本発明のポリスルホン多孔質分離膜を製造するにはミクロ相分離の雰囲気の制御が重要であるが、第2図に示す製膜装置のコーター下部の周囲をフィルム等で囲うことによって外気からの水分の供給を遮断し、さらに凝固水槽に蓋をして水面からの水蒸気の流入を抑制することによって液膜表面からの吸湿とバランスがとられ、比較的容易に40%以下の低湿度に制御することができる。
【0030】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
【0031】
【実施例1〜3、比較例1、2】
ポリスルホン(アモコ社製、P−3500)16.5重量部、N−メチル−2ピロリドン58重量部、ジエチレングリコール24.5重量部、及びホルムアミド1重量部を加熱溶解し、均一な製膜溶液を得た。厚み0.1mm、密度0.8g/cm3 のポリエステル製不織布を用いた。
【0032】
上記製膜溶液を図2に示す製膜装置を用いてコーターギャップを0.13mmに調整したロールコーターにより上記不織布上に含浸塗布した。次いで、相対湿度25%、温度30℃雰囲気中を製膜速度を変えることによって1秒間、4.5秒間、6秒間、9秒間、20秒間それぞれ通過させミクロ相分離を生じさせた後、35℃の凝固水槽中に浸漬して脱溶媒、凝固させ、しかる後水洗槽で残存溶媒を洗浄除去することによりポリスルホン多孔質分離膜を得た。
【0033】
得られたそれぞれの膜について、走査型電子顕微鏡により観察される膜表面の平均孔径、透水量、平均分子量100万のポリエチレンオキサイドの阻止率、および背圧強度を測定し、表1に示した。図3に実施例1で得られた分離膜の表層部分の電子顕微鏡(SEM)写真(倍率4,000)を示す。
【0034】
ここで、ポリエチレンオキサイドの阻止率は、濃度500ppmのポリエチレンオキサイド溶液を圧力1kgf/cm2 にて透過させ、原液及び透過液の濃度から次式(数1)により求めた。
【0035】
【数1】
阻止率(%)=[1−(透過液濃度/原液濃度)]×100
【0036】
また、背圧強度は、直径47mmの膜を背圧強度ホルダー(有効直径23mm)にセットし、多孔性補強シート上に製膜された多孔質分離膜の裏面即ち不織布側より水圧を徐々に加え、膜が不織布から剥離するか、または膜と不織布が同時に破裂するときの圧力である。結果を表1に示す。
【0037】
【表1】
Figure 0003681219
表1に示す通り、実施例1〜3で得られた本発明のポリスルホン多孔質分離膜は、いずれも表面の平均孔径が0.01〜0.05μmであり、ポリエチレンオキサイドの阻止率も90%以上と優れた分離性能を示した。さらに、背圧強度も2kgf/cm2 以上と優れた機械的強度を有していた。なお、電子顕微鏡(SEM)により膜の断面構造を観察したところ、実施例1〜3の膜はいずれも表面から膜厚方向に向かって連続的に孔径が拡大する非対称構造であった。図3に実施例1で得られた電子顕微鏡(SEM)写真(倍率4,000)を示す。また、不織布の空隙に製膜溶液が含浸し一部は不織布の裏面まで到達し、膜が不織布と一体となり投錨状態で不織布に接合されていた。
【0038】
一方、比較例1で得られた多孔性補強シート上に製膜された多孔質分離膜は、表面に不連続な緻密層を有し膜内部に指状空洞が存在する典型的な限外濾過膜の構造であり、本発明のポリスルホン多孔質分離膜とは構造が異なるものであった。
【0039】
また、比較例2の多孔性補強シート上に製膜された多孔質分離膜は、最小孔径層が膜と不織布の界面付近に存在し、しかも界面には空洞が見られた。この空洞は、ミクロ相分離が不織布の界面付近まで起こったために凝固時に収縮により生じたものと考えられ、このために背圧強度が低くなったものと推定される。
【0040】
【実施例4】
実施例2において、厚み0.14mm、密度0.5g/cm3 のポリプロピレン製不織布を用いた以外は実施例2と同様にしてポリスルホン多孔質分離膜を得た。この膜の背圧強度を測定したところ、3.5kgf/cm2 以上と優れた機械的強度を有していた。。
【0041】
【比較例3】
実施例2において、厚み0.06mm、密度0.4g/cm3 のポリエステル製不織布を用いた以外は実施例2と同様にして多孔性補強シート上に製膜された多孔質分離膜を得た。この膜の背圧強度を測定したところ、1kgf/cm2 で不織布と共に膜が破裂し、極めて機械的強度に乏しいものであった。
【0042】
【比較例4】
実施例2において、厚み0.17mm、密度0.85g/cm3 のポリエステル製不織布を用いた以外は実施例2と同様にして多孔性補強シート上に製膜された多孔質分離膜を得た。この膜の背圧強度を測定したところ、1.5kgf/cm2 で膜が剥離した。不織布が緻密であるため不織布への膜の投錨性が不十分なためと推定される。
【0043】
【実施例5】
実施例2で得た多孔性補強シート上に製膜された多孔質分離膜を用いて背圧強度測定用のホルダーにセットし、0kgf/cm2 −2kgf/cm2 の背圧を6秒サイクルで繰り返す背圧疲労テストを実施したところ、10万回のテスト後においても膜の剥離はまったく生じなかった。
【0044】
【発明の効果】
以上のように、本発明のポリスルホン多孔質分離膜は極めて機械的強度に優れた平膜であり、従来適用が困難とされていた平膜モジュールへの逆圧洗浄の適用が可能であり、膜の目詰りによる膜寿命が短く適用が困難とされていた高濁質液の分野への応用が可能となった。
【0045】
また、本発明のポリスルホン多孔質分離膜はサブミクロンオーダーの菌体や微粒子を高精度に分離・除去できると共に、分子量100万程度の高分子物質をも分離できる極めて特徴的な分離性能を有し、従来の精密濾過と限外濾過の中間的な分野への応用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態のポリスルホン多孔質分離膜を説明する断面図である。
【図2】本発明の一実施の形態の連続製膜方法を説明する工程図である。
【図3】本発明の実施例1で得られた分離膜の表層部分の電子顕微鏡(SEM)写真(倍率4,000)を示す。
【符号の説明】
1 繰出し機
2 支持体
3 製膜溶液
4 ロールコーター
5 液膜
6 相分離ゾーン
7 凝固水槽
8 多孔質分離膜
9 水洗槽
10 巻取機
20 ポリスルホン多孔質分離膜
21 多孔性補強シート
22 分離機能を有する膜

Claims (6)

  1. 多孔性補強シートの表面に実質的に分離機能を有する膜が存在するポリスルホン多孔質分離膜において、前記分離機能を有する膜の表面には平均孔径0.01〜0.05μmの範囲の最小孔径層を有し、前記分離機能を有する膜が、その表面から厚み方向に連続的に孔径が拡大する非対称構造を有し、前記分離機能を有する膜が多孔性補強シートに投錨状態で接合し補強されていることを特徴とするポリスルホン多孔質分離膜。
  2. 多孔性補強シートが不織布であって、厚みが0.08〜0.15mmの範囲であり、かつ密度が0.5〜0.8g/cm3の範囲である請求項1に記載のポリスルホン多孔質分離膜。
  3. ポリスルホン多孔質膜の背圧強度が、2kgf/cm2以上である請求項1又は2に記載のポリスルホン多孔質分離膜。
  4. 多孔性補強シート表面に、ポリスルホン系樹脂を含む成膜溶液を塗布し、前記成膜溶液を含浸させて液膜を形成する工程、前記液膜が形成された前記多孔性補強シートを、4〜10秒の間、温度20〜40℃、相対湿度40%以下の雰囲気に曝す工程、および前記多孔性補強シートを凝固水に浸漬させて、前記液膜を凝固させる工程を含む、多孔性性補強シート表面に実質的に分離機能を有する膜が存在するポリスルホン多孔質分離膜の製造方法。
  5. 前記成膜溶液におけるポリスルホン系樹脂の濃度が、10〜30重量%の範囲である請求項4記載の製造方法。
  6. 請求項4または5記載の製造方法により得られるポリスルホン多孔質分離膜。
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