JP2004241180A - カードコネクタ - Google Patents
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Abstract
【課題】プッシュ・プッシュ操作型のカードコネクタにカードを保持した後、誤ってカードを抜き出す操作を行った場合でも適正にカードを取り出し得るカードコネクタを合理的に構成する。
【解決手段】スライダーSがロック位置にある状態で、カードMを引き抜く方向に操作した場合には、カードMの凹部Dに係入している係合片32の離脱方向への変位を第2アームA2の揺動に変換し、この第2アームA2の揺動により第2アームA2に形成した操作体33をスライダーSに接触させ、この操作体33からスライダーSに対して押し込む方向への力の作用によりロック機構Lのロックを解除する。
【選択図】 図9
【解決手段】スライダーSがロック位置にある状態で、カードMを引き抜く方向に操作した場合には、カードMの凹部Dに係入している係合片32の離脱方向への変位を第2アームA2の揺動に変換し、この第2アームA2の揺動により第2アームA2に形成した操作体33をスライダーSに接触させ、この操作体33からスライダーSに対して押し込む方向への力の作用によりロック機構Lのロックを解除する。
【選択図】 図9
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンタクトを有したボディと、このボディに対してイジェクト位置・ロック位置の間でスライド作動するスライダーと、このスライダーに対してイジェクト方向に付勢力を作用させる付勢機構と、前記スライダーを前記ロック位置に保持するロック機構とを備えると共に、前記ロック機構が、前記ボディに対してカードを挿入して、このカードに接当する前記スライダーが前記ロック位置までスライド作動した際に該スライダーをロック位置に保持し、このロック状態で前記カードを挿入方向に再度操作した際にはロック状態を解除して前記バネの付勢力によりスライダーのイジェクト方向へのスライド作動を許すよう構成されているカードコネクタに関する。
【0002】
【従来の技術】
上記のように構成されたカードコネクタとして、カード保持体5に対してスライド移動自在にスライダ7(本発明のスライダー)を備え、カード保持部材5に対してハート型のカム溝19を形成し、このカム溝19に対して先端部31が係入する揺動部材27(本発明のフックピン)をスライダ7に備え、揺動部材27の中間部に係合突出部29を形成したものが存在する。このカードコネクタでは、カード保持部材5にカード部材3(本発明のカード)を挿入した場合には、カード部材3との接当によりスライダ7が作動する結果、揺動部材31の先端がカム溝19の所定の位置に達してロック状態に達すると同時に、この揺動部材31の姿勢変化に伴って係合突出部29がカード部材3の係合凹部13に対する突出量を増大して、この係合凹部13に深く係合して脱落を防止するよう構成されている(例えば、特許文献1参照)。
又、上記のように構成されたカードコネクタとして、イジェクト部材41(本発明のスライダー)に対して弾性ロック片50を取付け、コネクタハウジング2にガイド突起60を形成し、ハートカム43のレバー案内溝42に係入するカムレバー45(本発明のフックピン)とイジェクト部材41とを連係させている。このカードコネクタでは、カード10を挿入することにより、弾性ロック片50に対してガイド突起60が当接して係止部50bをカード10の切欠き18に係合させてカード10の脱落を防止するよう構成されている(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2001‐185286号公報 (段落番号〔0019〕〜〔0031〕、図5、図7)
【特許文献2】
特開2002‐134224号公報 (段落番号〔0024〕〜〔0041〕、図4、図7、図9、図10)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
デジタルカメラや携帯電話機、あるいは、個人用の携帯情報端末(PDA)に使用されるカード状の記憶媒体(本発明のカード)を考えた場合、メモリースティック(商標) や、SDカード(商標)のように比較的小型の記憶媒体は、特許文献1や特許文献2に記載されるようにハートカム式のロック機構を具備するカードコネクタを介して装置本体にセットされることが多い。
【0005】
この種のカードコネクタは、カードコネクタのボディ内にカードを押し込むことによりカードに接当するスライダーがロック機構がロック位置に達してカードを保持し、この保持状態でカードを再度押し込む方向に操作することによりロック機構のロックが解除され、バネ等の付勢力によりスライダーとともにカードが押し出され取出せるものとなっている(所謂、プッシュ・プッシュ操作型)。
【0006】
しかしながら、前述した構造のカードコネクタに対してカードを保持した後において、カードを取り出す際の操作を考えると、カードを取り出すためにカードを再度押し込み方向へ操作する必要があることを認識していないユーザや、カードの取り外しに慣れていないユーザの場合、誤ってカードを抜き出す方向に操作することがある。このように誤ってカードを抜き出す方向に操作した場合には、カードを抜き出せた場合でも、スライダーがロック位置に保持されたままとなり、これ以降、適正な操作を行えない点で改善が望まれている。
【0007】
特に、特許文献1や特許文献2に示されるように、カードの凹部(特許文献1の係合凹部、特許文献2の切欠き)に係合片を係入させてカードの保持を行う構造のカードコネクタでは、ロック状態においてカードの脱落を阻止する機能を有するものであるが、誤ってカードを抜き出す方向に操作した場合には、凹部に対する係合構造を破損することもあり改善の余地がある。
【0008】
本発明の目的は、プッシュ・プッシュ操作型のカードコネクタにカードを保持した後、誤ってカードを抜き出す操作を行った場合でも、適正にカードを取り出し得るカードコネクタを合理的に構成する点にある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係るカードコネクタの特徴、作用・効果は次の通りである。
〔特徴〕
コンタクトを有したボディと、このボディに対してイジェクト位置・ロック位置の間でスライド作動するスライダーと、このスライダーに対してイジェクト方向に付勢力を作用させる付勢機構と、前記スライダーを前記ロック位置に保持するロック機構とを備えると共に、前記ロック機構が、前記ボディに対してカードを挿入して、このカードに接当する前記スライダーが前記ロック位置までスライド作動した際に該スライダーをロック位置に保持し、このロック状態で前記カードを挿入方向に再度操作した際にロック状態を解除して前記バネの付勢力によりスライダーのイジェクト方向へのスライド作動を許すよう構成されているカードコネクタにおいて、前記スライダーが前記ロック位置に保持されている状態において、前記カードに対して抜き出し方向への力を作用させた場合に、この操作に連動して前記スライダーを挿入方向に作動させてロックの解除を行うロック解除機構を備えている点にある。
【0010】
〔作用・効果〕
上記特徴によると、ボディにカードを挿入してロック機構によりカードをロック位置に保持した状態において、カードに対して抜き出し方向への操作力が作用した場合には、ロック解除機構が、スライダーを挿入方向に作動させてロックの解除を行い、このロックが解除により付勢機構の付勢力でイジェクト方向に作動するスライダーとともにカードを取り出せるものとなる。つまり、誤ってカードを抜き出す方向に操作した場合でも、ロック機構によるロックを適正な操作形態と同様の操作形態で解除するので、無理のない操作形態でのロック解除を行えるのである。その結果、プッシュ・プッシュ操作型のカードコネクタにカードを保持した後、誤ってカードを抜き出す操作を行った場合でも、スライダーを適正に作動させてカードを取り出し、以降の操作も適正に操作し得るカードコネクタが合理的に構成された。
【0011】
本発明の請求項2に係るカードコネクタの特徴、作用・効果は次の通りである。
〔特徴〕
請求項1記載のカードコネクタにおいて、前記ボディにカードを挿入した際にカードの凹部に係入してカードの脱落を防止する係合片を備えると共に、前記ロック解除機構は、前記スライダーが前記ロック位置に保持されている状況において、前記カードに対して抜き出し方向への力が作用した場合に、前記係合片が前記凹部から離脱する際の変位力を、前記スライダーに対して押し込み方向に伝える操作体を備えて構成されている点にある。
【0012】
〔作用・効果〕
上記特徴によると、ロック状態でカードを抜き出す方向に操作した場合には、カードの凹部に係入している係合片が変位し、この変位力をロック解除機構を構成する操作体がスライダーを押し込む方向に作用させてロック機構のロックを解除できる。つまり、ロック状態でカードの脱落を防止するための係合片を利用し、この係合片の変位力をスライダーを押圧するように変換して伝える変換系を形成することによりロック状態の解除を実現するのである。その結果、従来からカードコネクタに備えられているカードの脱落防止用の係合片を利用して適正なロック解除を行えるものとなった。
【0013】
本発明の請求項3に係るカードコネクタの特徴、作用・効果は次の通りである。
〔特徴〕
請求項2記載のカードコネクタにおいて、前記ボディ側に第1軸芯周りで揺動自在に第1アームを支持し、この第1アームの一方の端部に前記カードの挿入時において前記スライダーから圧力を受ける受圧部を形成し、他方の端部に第1軸芯と平行姿勢の第2軸芯周りで揺動自在に第2アームを支持すると共に、この第2アームのうち前記第1アームの受圧部と反対側の位置に前記係合片を形成し、この第2アームのうち前記第2軸芯を挟んで前記係合片と反対側の位置に前記操作体を形成し、この操作体は、前記カードに抜き出し方向に力が作用して前記係合片が前記凹部から離脱する方向に第2アームが揺動した際に、前記スライダーに接触して、このスライダーに押し込み方向への力を作用させるよう構成してある点にある。
【0014】
〔作用・効果〕
上記特徴によると、ボディにカードを挿入した場合には、第1アームの受圧部が、スライダーからの圧力を受け、第1軸芯周りで揺動し、スライダーがロック位置に達した時点で、受圧部と第1軸芯を挟んで反対側に位置する第2アームの係合片をカードの凹部に係合させることが可能となる。このロック状態でカードを抜き出し方向に操作した場合には、カードの凹部に係合する係合片が変位することで第2アームが第2軸芯周りで揺動し、この第2アームに形成した操作体からスライダーを押し込み方向に力を作用させるものとなり、ロック機構のロックを解除させる。つまり、第1アームに対して第2アームを支持することにより、カードの挿入時にはカードの挿入領域から係合片を待避させて係合片を接触させずカードの円滑な挿入を実現し、挿入完了時には第1アームを揺動させることで係合片をカードの凹部に係入させる作動を実現し、カードがロック状態で保持された後には、カードの抜き出し方向への作動と連係してスライダーを押し込み方向に作動させて強制的にロック状態を解除してスライダーと伴にカードを取り出せるのである。その結果、機械的な作動を利用して良好な操作性を得ながら、ロック状態ではカードに係合片を係合させてカードの脱落を防止し、カードを抜き出し方向に操作した場合には適正にロック状態を解除できるものとなった。
【0015】
本発明の請求項4に係るカードコネクタの特徴、作用・効果は次の通りである。
〔特徴〕
請求項1〜3のいずれか1項に記載のカードコネクタにおいて、前記スライダーが、スライド方向に沿って直線状に形成したスライド作動部と、このスライド作動部の形成方向と直交する姿勢で形成され、カードと接当する接当部とを備えて構成されると共に、前記スライド作動部に形成したハート状のカム溝と、このカム溝に一端が係入し、他端がボディに支持されるフックピンとで前記ロック機構が構成されている点にある。
【0016】
〔作用・効果〕
上記特徴によると、カードを挿入した際には、カードがスライダーの接当部に対して広い面で接当するので、このスライダーはスライド作動部によってボディに対して直線的に移動するものとなる。又、ロック機構をスライド作動部に形成したハート状のカム溝と、カム溝に一端が係入するフックピンとで構成することにより、スライダー以外の部材に対して特別にカムを形成しなくともロック機構を構成できる。その結果、例えば、金型を用いてスライダーを形成することにより、スライダーにカム溝を一体的に形成して簡単にロック機構を構成できるものとなった。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1及び図2に示すように、並列的に配置された複数の第1コンタクト1と第2コンタクト2とを備えたボディBと、このボディBに対するカード挿抜方向に沿ってイジェクト位置Ej及びロック位置Lo(第1ロック位置Lo1・第2ロック位置Lo2の上位概念)の間でスライド作動自在に形成されたスライダーSと、このスライダーSに対して前記イジェクト方向に付勢力を作用させる付勢機構としての圧縮型と引っ張り型との2種のバネ3、4と、前記スライダーSを前記ロック位置Loに保持するロック機構Lと、これらを覆うケースCとを備えてカードコネクタが構成されている。
【0018】
このカードコネクタは、デジタルカメラや携帯電話機、あるいは、携帯情報端末(PDA)等の機器に備えられるものであり、これらに機器に対してメモリースティック(商標) 、あるいは、SDカード(商標)で代表されるカードMや、小型のハードディスクとしてマイクロドライブ(商標)で代表されるカードMの装着と分離とを実現するものである。
【0019】
図1にはメモリースティック型のカードMを示しており、このカードMは、カード全体が樹脂材で成ると共に、カード端部に複数の電極Pを並列的に形成し、このカードMの端部側の角部を取り除いて誤挿入防止用の切り欠き部Nを形成し、又、側縁部の一部を取り除いて係合用の凹部Dを形成している。このカードコネクタは前記メモリースティック型のカードMと、挿抜方向での寸法を短縮した形態の小型のカード(図示せず)との使用が許される兼用型に構成されている。
【0020】
このカードコネクタは所謂、プッシュ・プッシュ操作型に構成され、このカードコネクタに対して、カードMを挿入した場合には、このカードMとの接当によりスライダーSが第1ロック位置Lo1又は第2ロック位置Lo2に達した位置でロック機構LがスライダーSをロック状態を保持する。次に、このロック状態からカードMを挿入方向に再度操作した場合に、ロック機構Lによるロックが解除され、バネ3、4の付勢力によりスライダーSがイジェクト位置Ejまで移動し、このスライダーSと伴にカードMが押し出されカードMを取り出せるものとなっている(この作動の詳細は後述する)。尚、カードコネクタに対して前記メモリースティック型のカードMを挿入した場合には、カードMの電極Pに対して前記第1コンタクト1とが接触し、これに代えて前記小型のカード(図示せず)を挿入した場合には、カードの電極と第2コンタクト2とが接触する。
【0021】
前記ケースCは、アルミニウム合金や、銅合金の薄板のように加工が比較的容易で適度の剛性を有した金属素材をプレス成形して成り、このケースCにはボディBに挿入されるカードMを案内する機能を有し、又、このケースCにはスライダーSをガイドする部位の一部を切り欠いて前記ロック機構Lのフックピン5に付勢力を作用させる板バネ部6を一体形成している。
【0022】
前記ボディBは、絶縁性の樹脂材により前記カードMが挿入される本体部10と、前記スライダーSを案内するガイド部11とを一体形成すると共に、この本体部10に対して前記第1コンタクト1と第2コンタクト2とを備えている。又、このガイド部11におけるロック方向の端部にロック側ストッパー12を一体形成し、イジェクト方向の端部にイジェクト側ストッパー13を一体的に形成している。
【0023】
前記スライダーSは、前記ガイド部11に案内される状態で直線的にスライド作動するスライド作動部20と、このスライド作動部20から直交する方向にアーム状に形成した接当部21とを樹脂材で一体的に形成している。又、接当部21の端部にはスライダーSのスライド作動方向に対して傾斜する姿勢のカム面21Aを形成してあり、前記スライド作動部20の外面のうち、カード挿入経路と逆側の面に対して前記ロック機構Lを構成するハートカムCAMを一体的に形成している。
【0024】
前記ロック機構Lは、前記ハートカムCAMと、前記フックピン5とで構成されている。ハートカムCAMは図4及び図5に示す形状のカム溝Gを有して成り、フックピン5は、ピアノ線のように比較的剛性が高い線材の両端部を折り曲げ、その一端側に前記カム溝Gに係入する倣い軸5Aを形成し、他方の端部側に前記イジェクト側ストッパー13に揺動自在に支持される支持軸5Bを形成している。尚、このフックピン5は前記ケースCに形成された板バネ部6からの圧力が作用することで、倣い軸5Aの端部がカム溝Gの底部に対して接触可能となる。
【0025】
前記カム溝Gは、スライダーSがイジェクトEj位置にある場合に、前記倣い軸5Aが位置するイジェクトポイントEpと、スライダーSが第1ロック位置Lo1にある場合に、前記倣い軸5Aが位置する第1ロックポイントLp1との間に環状に形成され、かつ、前記イジェクトポイントEpと、スライダーSが第2ロック位置Lo2にある場合に、前記倣い軸5Aが位置する第2ロックポイントLp2との間に環状に形成されている。尚、第1ロックポイントLp1と第2ロックポイントLp2との上位概念をロックポイントLpと総称する。
【0026】
前記第1ロックポイントLp1、あるいは、第2ロックポイントLp2の部位には、バネ3、4の付勢力でスライダーSがイジェクト位置Ejへ移動する現象を阻止するよう、倣い軸5Aが嵌り込む壁状のロック面Lsを形成している。
【0027】
前記カム溝Gは、前記イジェクトポイントEpと、第1ロックポイントLp1及び第2ロックポイントLp2との間に形成されるものの、従来からのハートカムに形成されたカム溝と基本的には変わらない構造を有している。具体的には、イジェクトポイントEjから2つのロックポイントLp1、Lp2に向けて挿入レーンGinを形成し、第1ロックポイントLp1からイジェクトポイントEjに向けて戻りレーンGreを形成し、これら挿入レーンGinと戻りレーンGreとの中間位置で、イジェクトポイントEpに近い位置に第2ロックポイントLp2を配置している。又、第1ロックポイントLp1に至る挿入レーンGinと戻りレーンGreとの間にバイパスレーンGbを形成している。
【0028】
このカム溝Gのうち、挿入レーンGinは図4及び図5に矢印で示すように倣い軸5Aの移動方向での下手側が浅くなるよう溝深さが設定され(カム溝Gの底面を部分的に傾斜させている)、この挿入レーンGinから第1ロックポイントLp1に至る領域に、階段状に溝深さが深くなる戻り阻止部Gsを2箇所形成し、又、第1ロックポイントLp1と戻りレーンGreとの境界部位にも階段状に溝深さが深くなる戻り阻止部Gsを形成している。戻りレーンGreにも同様に矢印で示す倣い軸5Aの移動方向での下手側が浅くなるよう溝深さが設定され (カム溝Gの底面を部分的に傾斜させている)、更に、この戻りレーンGreとイジェクトポイントEpとの境界部位に対しても、階段状に溝深さが深くなる戻り阻止部Gsを形成してある。
【0029】
前記第2ロックポイントLp2の部位においても第1ロックポイントLp1と同様に対応する部位に戻り阻止部Gsが形成されている。尚、カム溝Gは挿入レーンGinと戻りレーンGreとにおいて倣い軸5Aの移動方向下手側の溝深さを浅くすることにより、複数箇所に戻り阻止部Gsを形成しているにも拘わらず、カム溝G全体の溝深さを深くしないで済むものにしている。
【0030】
前記バイパスレーンGbは、カードMの挿入途中で挿入を休止した場合等、スライダーSが作動領域の途中で倣い軸5AをイジェクトポイントEpに戻す必要がある場合に、倣い軸5Aが第2ロックポイントLp2に導入される不都合を阻止するために形成したものである。
【0031】
本カードコネクタは、ボディBにメモリスティック型のカードMを挿入してロック機構Lがロック状態に達した後、このカードMを誤って抜き出す操作を行った場合に、カードMの抜き出し操作に連係してロック機構Lのロックを強制的に解除し、バネ4、5の付勢力によりスライダーSがイジェクト位置Ejに復帰する作動によりカードMを取り出すためのロック解除機構Rを備えた点に特徴を有するものである。
【0032】
図2及び図3に示すように、前記ボディBに対して第1軸芯Y1周りで揺動自在に第1アームA1を支持すると共に、この第1アームA1の一方の端部に前記カードMの挿入時に前記スライダーSの移動方向での下手側の端部からの圧力を受ける受圧部30を形成している。この第1アームA1のうち第1軸芯Y1を挟んで他方側に位置する端部31には第1軸芯Y1と平行姿勢の第2軸芯Y2周りで揺動自在に第2アームA2を支持している。この第2アームA2のうち前記第1アームA1の受圧部30と反対側の位置に対して前記カードMの凹部Dに係入自在な係合片32を形成している。この第2アームA2のうち前記第2軸芯Y2を挟んで前記係合片32と反対側の位置に操作体33を形成し、この操作体33と一体的に第2アームA2との接当部33Aを形成している。更に、第1アームA1の受圧部30がカードMの挿入経路側に張り出す方向に向けて第1アームA1に付勢力を作用させる第1トーションバネT1を備え、又、第2アームA2の係合片32をカードMの挿入経路から離間させる方向に第2アームA2に付勢力を作用させる第2トーションバネT2を備えている。
【0033】
このカードコネクタでは、前記係合片32がカードMの凹部Dに係入することでカードMの脱落を防止するよう機能するものであり、この係合状態で、カードMに対して抜き出し方向に力を作用させた場合には係合片32が凹部Dから離脱する際の変位力を前記操作体33に伝え、この操作体33からの力をスライダーSの接当部21をカム面21Aに接触させ、このスライダーSを押し込む方向に力を作用させることでロック機構Lのロックを解除するよう前記ロック解除機構Rが構成されている。つまり、ロック解除機構Rは、前記第1アームA1を形成する部材と、第2アームA2を形成する部材とで構成されている。
【0034】
このようにカードコネクタが構成されているので、図2に示すように、スライダーSがイジェクト位置Ejにある状態では(スライダーSの端部がイジェクト側ストッパー13に接当する状態)、第1トーションバネT1からの付勢力により第1アームA1を揺動端まで揺動させ、受圧部30をスライダーSの作動領域内に大きく張り出させている。このように第1アームA1の揺動姿勢が決まることにより、第2軸芯Y2がカードMの挿入経路から離間する側に変位し、しかも、第2トーションバネT2の付勢力により前記接当部33Aが第1アームA1に接当しているので、係合片32をカードMの挿入領域から離間させる側に第2アームA2を揺動させ、結果として、係合片32をカードMの挿入経路から離間させている。又、この状態ではロック機構LのハートカムCAMのカム溝GのうちイジェクトポイントEpに倣い軸5Aが位置している。
【0035】
次に、カードMをボディBに対して挿入した場合には、カードMの挿入側の端部にスライダーSの接当部21が接当し、バネ3、4の付勢力に抗してスライダーSがロック方向に移動を開始する。このようにスライダーSが移動を開始した後には、第1ロック位置Lo1に接近する領域で、第1アームA1の受圧部30がスライダーSの接当部21に接当し、この接当部21からの圧力により第1軸芯Y1周りで第1アームA1が揺動を開始し、第2アームA2が全体的にカードMに接近する側に変位し、係合片32がカードMの凹部Dに対して係入する作動を開始する。
【0036】
カードMを挿入する操作を継続し、カードMを操作端まで挿入する操作を行うことにより、図6に示すように、係合片32がカードMの凹部Dに対して完全に係合する状態に達すると共に、倣い軸5Aが第1ロックポイントLp1を超えた位置に達する。この後、操作力を解除することでバネ4、5の付勢力によってスライダーSが僅かに戻る方向に作動し、図7に示すように、前記倣い軸5Aが第1ロックポイントLp1に導入される結果、ロック機構LはスライダーSを第1ロック位置Lo1に保持する形態でロック状態に達する。
【0037】
このロック状態に達することにより、カードMを適正に保持すると共に、第2トーションバネT2の付勢力によって係合片32がカードMの凹部Dに対して係合する状態に達し、カードMの脱落を防止する。又、このようにロック機構Lがロック状態に達した時点では、カードMの電極Pが第1コンタクト1に接触し、夫々の間で信号のアクセスが可能となる。
【0038】
このロック状態にあるカードMを適正な操作で取り出す場合には、カードMを再度、挿入方向に操作することになる。つまり、カードMを挿入方向に操作した場合には、図8に示すように、スライダーSが押し込み方向に僅かに変位し、前記第1ロックポイントLp1に位置する倣い軸5Aが戻りレーンGreに導入される。このように倣い軸5Aが戻りレーンGreに導入された後には、挿入方向への操作力を解除するだけで、スライダーSがバネ4、5の付勢力でイジェクト位置Ejの側に移動を行い、最終的にイジェクト位置Ejに達した時点でカードMを簡単に取り出せるのである。
【0039】
又、ロック機構Lのロック状態が解除されてスライダーSがイジェクト位置Ejの方向に作動を行う際には、前記第1アームA1の受圧部30に対する圧力が開放されるので前記第1トーションバネT1の付勢力によって受圧部30がスライダーSの作動領域側に変位し、この変位に連係して第2アームA2がカードMの挿入領域外の方向に変位するので、カードMの凹部Dに対する係合片32に係合が解除され、スライダーSの移動を阻害することもない。
【0040】
前述のようにロック機構Lがロック状態にある場合に、カードMを取り出すためにユーザが誤ってカードMを摘んで抜き出す方向に操作した場合には前記ロック解除機構Rが機能する。つまり、ロック状態でカードMに対して抜き出す方向に操作力が作用した場合には、図9に示すように、カードMの移動に伴い、カードMの凹部Dに係入している係合片32が凹部Dから離脱する方向への力が発生し、この力により第2アームA2が第2軸芯Y2周りで揺動を開始する。
【0041】
前述のように第2アームA2が揺動すると、スライダーSの接当部21の端部に形成したカム面21Aに対して、第2アームA2の操作体33の端部が接当し、スライダーSを押し込む方向へ力を作用させる。又、凹部Dから係合片32が完全に抜け出すまで第2アームA2が揺動した際に、操作体33の揺動により接当部21を押し込み方向に移動させる移動ストロークを、ロック機構Lのロックを解除するに充分な量に設定してある。従って、カードMを抜き出し方向に操作した場合には、前述したようにカードMの凹部Dから係合片32が離脱する際の力を、スライダーSを押し込む方向に変換して、このスライダーSに作用させるので、この力によりスライダーSが押し込み方向に作動し、ロック機構Lのロック状態を解除する。このロック状態の解除の結果、バネ3、4の付勢力によってスライダーSをイジェクト位置Ejまで作動させ、適正な操作を行った場合と同様にカードMを取り出せるものとなっているのである。
【0042】
このように本発明のカードコネクタでは、従来からのカードコネクタと同様にプッシュ・プッシュ操作によってカードMを挿入してロック状態で保持する操作と、ロック状態のカードMの取り出し操作を簡便に行えるものにしながら、ロック解除機構Rを備えることにより、メモリスティック型のカードMをロック状態で保持した後に、このカードMを誤って抜き出す操作を行った場合でも、適正な操作を行った場合と同様にスライダーSをイジェクト方向に作動させてカードMを取り出せるのである。特に、ロック解除機構Rは、2つのアームを組み合わせることにより、ロック状態では係合片32をカードMの凹部Dに係合させてカードMの脱落を防止する機能を発揮させながら、カードMを抜き出す方向に力が作用した場合には、スライダーSを適正な方向に作動させてロック機構Lのロック状態を解除するので作動形態に無理がない。
【0043】
又、本発明のカードコネクタと、ロック解除機構Rを備えていないカードコネクタとを比較すると、ロック解除機構Rを備えていないものでメモリスティック型のカードMをロック機構Lで保持した状態で、誤ってカードMを抜き出した場合にはスライダーSがロック状態に保持されたままとなり、この後、これより小型のカードMとを挿入した場合には、カードMがスライダーSに接触しないので、操作感覚に違和感があるばかりか、適切な位置より浅く挿入することや、適切な位置より深く挿入することも考えられ、しかも、この挿入の後に、カードMを取り出すことが極めて困難な状況に陥るものとなる。これに対して本発明では、メモリスティック型のカードMをロック機構Lで保持した状態で、誤ってカードMを抜き出した場合にも、ロック解除機構Rの機能によりスライダーSが必ずイジェクト位置Ejに復元するので、この後、小型のカードMを挿入する場合にも、スライダーSを第2ロック位置Lo2で確実にロックさせ得るものとなり、前述した不都合を発生することがないのである。
【0044】
〔別実施の形態〕
本発明は上記実施の形態以外に、例えば、以下のように構成しても良い(この別実施の形態では前記実施の形態と同じ機能を有するものには、実施の形態と共通の番号、符号を付している)
【0045】
(イ)カードの両側部に凹部Dを有するものに対応して、その凹部Dに係合可能な係合片が形成された一対のアームを備えてカードコネクタを構成することも可能である。このようにカードコネクタを構成した場合には、ロック状態においては一対の凹部Dに一対の係合片を係合させることになるのでカードMの脱落を良好に防止できるものとなる。
【0046】
(ロ)発明の実施の形態では、ボディBの内部に2組のコンタクト1、2を形成して2種のカードに対応できるようカードコネクタを構成していたが、単一のカードMに対応する、あるいは、3種以上のカードMに対応するよう構成されたカードコネクタに本発明を適用するものであっても良い。
【0047】
(ハ)第1アーム、第2アームの少なくとも一方の姿勢を検出するセンサを備えることにより、カードがロック状態にあることを判別できるよう構成し、この判別結果に基づいてランプを点灯や、消灯を制御する制御系と連係させる。このように構成することにより、カードの状態を確実に把握してデータのアクセスを確実にするものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】カードコネクタの分解斜視図
【図2】スライダーがイジェクト位置にある状態のボディの平面及びハートカムに対するフックピンの位置関係を示す断面図
【図3】第1アームと第2アームとの構造を示す分解斜視図及び側面図
【図4】ハートカムのカム溝を示す図
【図5】ハートカムのカム溝の形状を示す斜視図
【図6】カード挿入直後におけるボディの状態を示す平面図及びハートカムに対するフックピンの位置関係を示す断面図
【図7】ロック機構がロック状態にあるボディの状態を示す平面図及びハートカムに対するフックピンの位置関係を示す断面図
【図8】ロック状態からカードを挿入方向に操作した状態におけるボディの状態を示す平面図及びハートカムに対するフックピンの位置関係を示す断面図
【図9】ロック状態でカードを抜き出し方向に操作した状態におけるボディの状態を示す平面図及びハートカムに対するフックピンの位置関係を示す断面図
【符号の説明】
1、2 コンタクト
3、4 付勢機構
5 フックピン
20 スライド作動部
21 接当部
30 受圧部
32 係合片
33 操作体
B ボディ
D 凹部
G カム溝
L ロック機構
M カード
R ロック解除機構
S スライダー
Ej イジェクト位置
Lo ロック位置
A1 第1アーム
A2 第2アーム
Y1 第1軸芯
Y2 第2軸芯
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンタクトを有したボディと、このボディに対してイジェクト位置・ロック位置の間でスライド作動するスライダーと、このスライダーに対してイジェクト方向に付勢力を作用させる付勢機構と、前記スライダーを前記ロック位置に保持するロック機構とを備えると共に、前記ロック機構が、前記ボディに対してカードを挿入して、このカードに接当する前記スライダーが前記ロック位置までスライド作動した際に該スライダーをロック位置に保持し、このロック状態で前記カードを挿入方向に再度操作した際にはロック状態を解除して前記バネの付勢力によりスライダーのイジェクト方向へのスライド作動を許すよう構成されているカードコネクタに関する。
【0002】
【従来の技術】
上記のように構成されたカードコネクタとして、カード保持体5に対してスライド移動自在にスライダ7(本発明のスライダー)を備え、カード保持部材5に対してハート型のカム溝19を形成し、このカム溝19に対して先端部31が係入する揺動部材27(本発明のフックピン)をスライダ7に備え、揺動部材27の中間部に係合突出部29を形成したものが存在する。このカードコネクタでは、カード保持部材5にカード部材3(本発明のカード)を挿入した場合には、カード部材3との接当によりスライダ7が作動する結果、揺動部材31の先端がカム溝19の所定の位置に達してロック状態に達すると同時に、この揺動部材31の姿勢変化に伴って係合突出部29がカード部材3の係合凹部13に対する突出量を増大して、この係合凹部13に深く係合して脱落を防止するよう構成されている(例えば、特許文献1参照)。
又、上記のように構成されたカードコネクタとして、イジェクト部材41(本発明のスライダー)に対して弾性ロック片50を取付け、コネクタハウジング2にガイド突起60を形成し、ハートカム43のレバー案内溝42に係入するカムレバー45(本発明のフックピン)とイジェクト部材41とを連係させている。このカードコネクタでは、カード10を挿入することにより、弾性ロック片50に対してガイド突起60が当接して係止部50bをカード10の切欠き18に係合させてカード10の脱落を防止するよう構成されている(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2001‐185286号公報 (段落番号〔0019〕〜〔0031〕、図5、図7)
【特許文献2】
特開2002‐134224号公報 (段落番号〔0024〕〜〔0041〕、図4、図7、図9、図10)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
デジタルカメラや携帯電話機、あるいは、個人用の携帯情報端末(PDA)に使用されるカード状の記憶媒体(本発明のカード)を考えた場合、メモリースティック(商標) や、SDカード(商標)のように比較的小型の記憶媒体は、特許文献1や特許文献2に記載されるようにハートカム式のロック機構を具備するカードコネクタを介して装置本体にセットされることが多い。
【0005】
この種のカードコネクタは、カードコネクタのボディ内にカードを押し込むことによりカードに接当するスライダーがロック機構がロック位置に達してカードを保持し、この保持状態でカードを再度押し込む方向に操作することによりロック機構のロックが解除され、バネ等の付勢力によりスライダーとともにカードが押し出され取出せるものとなっている(所謂、プッシュ・プッシュ操作型)。
【0006】
しかしながら、前述した構造のカードコネクタに対してカードを保持した後において、カードを取り出す際の操作を考えると、カードを取り出すためにカードを再度押し込み方向へ操作する必要があることを認識していないユーザや、カードの取り外しに慣れていないユーザの場合、誤ってカードを抜き出す方向に操作することがある。このように誤ってカードを抜き出す方向に操作した場合には、カードを抜き出せた場合でも、スライダーがロック位置に保持されたままとなり、これ以降、適正な操作を行えない点で改善が望まれている。
【0007】
特に、特許文献1や特許文献2に示されるように、カードの凹部(特許文献1の係合凹部、特許文献2の切欠き)に係合片を係入させてカードの保持を行う構造のカードコネクタでは、ロック状態においてカードの脱落を阻止する機能を有するものであるが、誤ってカードを抜き出す方向に操作した場合には、凹部に対する係合構造を破損することもあり改善の余地がある。
【0008】
本発明の目的は、プッシュ・プッシュ操作型のカードコネクタにカードを保持した後、誤ってカードを抜き出す操作を行った場合でも、適正にカードを取り出し得るカードコネクタを合理的に構成する点にある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係るカードコネクタの特徴、作用・効果は次の通りである。
〔特徴〕
コンタクトを有したボディと、このボディに対してイジェクト位置・ロック位置の間でスライド作動するスライダーと、このスライダーに対してイジェクト方向に付勢力を作用させる付勢機構と、前記スライダーを前記ロック位置に保持するロック機構とを備えると共に、前記ロック機構が、前記ボディに対してカードを挿入して、このカードに接当する前記スライダーが前記ロック位置までスライド作動した際に該スライダーをロック位置に保持し、このロック状態で前記カードを挿入方向に再度操作した際にロック状態を解除して前記バネの付勢力によりスライダーのイジェクト方向へのスライド作動を許すよう構成されているカードコネクタにおいて、前記スライダーが前記ロック位置に保持されている状態において、前記カードに対して抜き出し方向への力を作用させた場合に、この操作に連動して前記スライダーを挿入方向に作動させてロックの解除を行うロック解除機構を備えている点にある。
【0010】
〔作用・効果〕
上記特徴によると、ボディにカードを挿入してロック機構によりカードをロック位置に保持した状態において、カードに対して抜き出し方向への操作力が作用した場合には、ロック解除機構が、スライダーを挿入方向に作動させてロックの解除を行い、このロックが解除により付勢機構の付勢力でイジェクト方向に作動するスライダーとともにカードを取り出せるものとなる。つまり、誤ってカードを抜き出す方向に操作した場合でも、ロック機構によるロックを適正な操作形態と同様の操作形態で解除するので、無理のない操作形態でのロック解除を行えるのである。その結果、プッシュ・プッシュ操作型のカードコネクタにカードを保持した後、誤ってカードを抜き出す操作を行った場合でも、スライダーを適正に作動させてカードを取り出し、以降の操作も適正に操作し得るカードコネクタが合理的に構成された。
【0011】
本発明の請求項2に係るカードコネクタの特徴、作用・効果は次の通りである。
〔特徴〕
請求項1記載のカードコネクタにおいて、前記ボディにカードを挿入した際にカードの凹部に係入してカードの脱落を防止する係合片を備えると共に、前記ロック解除機構は、前記スライダーが前記ロック位置に保持されている状況において、前記カードに対して抜き出し方向への力が作用した場合に、前記係合片が前記凹部から離脱する際の変位力を、前記スライダーに対して押し込み方向に伝える操作体を備えて構成されている点にある。
【0012】
〔作用・効果〕
上記特徴によると、ロック状態でカードを抜き出す方向に操作した場合には、カードの凹部に係入している係合片が変位し、この変位力をロック解除機構を構成する操作体がスライダーを押し込む方向に作用させてロック機構のロックを解除できる。つまり、ロック状態でカードの脱落を防止するための係合片を利用し、この係合片の変位力をスライダーを押圧するように変換して伝える変換系を形成することによりロック状態の解除を実現するのである。その結果、従来からカードコネクタに備えられているカードの脱落防止用の係合片を利用して適正なロック解除を行えるものとなった。
【0013】
本発明の請求項3に係るカードコネクタの特徴、作用・効果は次の通りである。
〔特徴〕
請求項2記載のカードコネクタにおいて、前記ボディ側に第1軸芯周りで揺動自在に第1アームを支持し、この第1アームの一方の端部に前記カードの挿入時において前記スライダーから圧力を受ける受圧部を形成し、他方の端部に第1軸芯と平行姿勢の第2軸芯周りで揺動自在に第2アームを支持すると共に、この第2アームのうち前記第1アームの受圧部と反対側の位置に前記係合片を形成し、この第2アームのうち前記第2軸芯を挟んで前記係合片と反対側の位置に前記操作体を形成し、この操作体は、前記カードに抜き出し方向に力が作用して前記係合片が前記凹部から離脱する方向に第2アームが揺動した際に、前記スライダーに接触して、このスライダーに押し込み方向への力を作用させるよう構成してある点にある。
【0014】
〔作用・効果〕
上記特徴によると、ボディにカードを挿入した場合には、第1アームの受圧部が、スライダーからの圧力を受け、第1軸芯周りで揺動し、スライダーがロック位置に達した時点で、受圧部と第1軸芯を挟んで反対側に位置する第2アームの係合片をカードの凹部に係合させることが可能となる。このロック状態でカードを抜き出し方向に操作した場合には、カードの凹部に係合する係合片が変位することで第2アームが第2軸芯周りで揺動し、この第2アームに形成した操作体からスライダーを押し込み方向に力を作用させるものとなり、ロック機構のロックを解除させる。つまり、第1アームに対して第2アームを支持することにより、カードの挿入時にはカードの挿入領域から係合片を待避させて係合片を接触させずカードの円滑な挿入を実現し、挿入完了時には第1アームを揺動させることで係合片をカードの凹部に係入させる作動を実現し、カードがロック状態で保持された後には、カードの抜き出し方向への作動と連係してスライダーを押し込み方向に作動させて強制的にロック状態を解除してスライダーと伴にカードを取り出せるのである。その結果、機械的な作動を利用して良好な操作性を得ながら、ロック状態ではカードに係合片を係合させてカードの脱落を防止し、カードを抜き出し方向に操作した場合には適正にロック状態を解除できるものとなった。
【0015】
本発明の請求項4に係るカードコネクタの特徴、作用・効果は次の通りである。
〔特徴〕
請求項1〜3のいずれか1項に記載のカードコネクタにおいて、前記スライダーが、スライド方向に沿って直線状に形成したスライド作動部と、このスライド作動部の形成方向と直交する姿勢で形成され、カードと接当する接当部とを備えて構成されると共に、前記スライド作動部に形成したハート状のカム溝と、このカム溝に一端が係入し、他端がボディに支持されるフックピンとで前記ロック機構が構成されている点にある。
【0016】
〔作用・効果〕
上記特徴によると、カードを挿入した際には、カードがスライダーの接当部に対して広い面で接当するので、このスライダーはスライド作動部によってボディに対して直線的に移動するものとなる。又、ロック機構をスライド作動部に形成したハート状のカム溝と、カム溝に一端が係入するフックピンとで構成することにより、スライダー以外の部材に対して特別にカムを形成しなくともロック機構を構成できる。その結果、例えば、金型を用いてスライダーを形成することにより、スライダーにカム溝を一体的に形成して簡単にロック機構を構成できるものとなった。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1及び図2に示すように、並列的に配置された複数の第1コンタクト1と第2コンタクト2とを備えたボディBと、このボディBに対するカード挿抜方向に沿ってイジェクト位置Ej及びロック位置Lo(第1ロック位置Lo1・第2ロック位置Lo2の上位概念)の間でスライド作動自在に形成されたスライダーSと、このスライダーSに対して前記イジェクト方向に付勢力を作用させる付勢機構としての圧縮型と引っ張り型との2種のバネ3、4と、前記スライダーSを前記ロック位置Loに保持するロック機構Lと、これらを覆うケースCとを備えてカードコネクタが構成されている。
【0018】
このカードコネクタは、デジタルカメラや携帯電話機、あるいは、携帯情報端末(PDA)等の機器に備えられるものであり、これらに機器に対してメモリースティック(商標) 、あるいは、SDカード(商標)で代表されるカードMや、小型のハードディスクとしてマイクロドライブ(商標)で代表されるカードMの装着と分離とを実現するものである。
【0019】
図1にはメモリースティック型のカードMを示しており、このカードMは、カード全体が樹脂材で成ると共に、カード端部に複数の電極Pを並列的に形成し、このカードMの端部側の角部を取り除いて誤挿入防止用の切り欠き部Nを形成し、又、側縁部の一部を取り除いて係合用の凹部Dを形成している。このカードコネクタは前記メモリースティック型のカードMと、挿抜方向での寸法を短縮した形態の小型のカード(図示せず)との使用が許される兼用型に構成されている。
【0020】
このカードコネクタは所謂、プッシュ・プッシュ操作型に構成され、このカードコネクタに対して、カードMを挿入した場合には、このカードMとの接当によりスライダーSが第1ロック位置Lo1又は第2ロック位置Lo2に達した位置でロック機構LがスライダーSをロック状態を保持する。次に、このロック状態からカードMを挿入方向に再度操作した場合に、ロック機構Lによるロックが解除され、バネ3、4の付勢力によりスライダーSがイジェクト位置Ejまで移動し、このスライダーSと伴にカードMが押し出されカードMを取り出せるものとなっている(この作動の詳細は後述する)。尚、カードコネクタに対して前記メモリースティック型のカードMを挿入した場合には、カードMの電極Pに対して前記第1コンタクト1とが接触し、これに代えて前記小型のカード(図示せず)を挿入した場合には、カードの電極と第2コンタクト2とが接触する。
【0021】
前記ケースCは、アルミニウム合金や、銅合金の薄板のように加工が比較的容易で適度の剛性を有した金属素材をプレス成形して成り、このケースCにはボディBに挿入されるカードMを案内する機能を有し、又、このケースCにはスライダーSをガイドする部位の一部を切り欠いて前記ロック機構Lのフックピン5に付勢力を作用させる板バネ部6を一体形成している。
【0022】
前記ボディBは、絶縁性の樹脂材により前記カードMが挿入される本体部10と、前記スライダーSを案内するガイド部11とを一体形成すると共に、この本体部10に対して前記第1コンタクト1と第2コンタクト2とを備えている。又、このガイド部11におけるロック方向の端部にロック側ストッパー12を一体形成し、イジェクト方向の端部にイジェクト側ストッパー13を一体的に形成している。
【0023】
前記スライダーSは、前記ガイド部11に案内される状態で直線的にスライド作動するスライド作動部20と、このスライド作動部20から直交する方向にアーム状に形成した接当部21とを樹脂材で一体的に形成している。又、接当部21の端部にはスライダーSのスライド作動方向に対して傾斜する姿勢のカム面21Aを形成してあり、前記スライド作動部20の外面のうち、カード挿入経路と逆側の面に対して前記ロック機構Lを構成するハートカムCAMを一体的に形成している。
【0024】
前記ロック機構Lは、前記ハートカムCAMと、前記フックピン5とで構成されている。ハートカムCAMは図4及び図5に示す形状のカム溝Gを有して成り、フックピン5は、ピアノ線のように比較的剛性が高い線材の両端部を折り曲げ、その一端側に前記カム溝Gに係入する倣い軸5Aを形成し、他方の端部側に前記イジェクト側ストッパー13に揺動自在に支持される支持軸5Bを形成している。尚、このフックピン5は前記ケースCに形成された板バネ部6からの圧力が作用することで、倣い軸5Aの端部がカム溝Gの底部に対して接触可能となる。
【0025】
前記カム溝Gは、スライダーSがイジェクトEj位置にある場合に、前記倣い軸5Aが位置するイジェクトポイントEpと、スライダーSが第1ロック位置Lo1にある場合に、前記倣い軸5Aが位置する第1ロックポイントLp1との間に環状に形成され、かつ、前記イジェクトポイントEpと、スライダーSが第2ロック位置Lo2にある場合に、前記倣い軸5Aが位置する第2ロックポイントLp2との間に環状に形成されている。尚、第1ロックポイントLp1と第2ロックポイントLp2との上位概念をロックポイントLpと総称する。
【0026】
前記第1ロックポイントLp1、あるいは、第2ロックポイントLp2の部位には、バネ3、4の付勢力でスライダーSがイジェクト位置Ejへ移動する現象を阻止するよう、倣い軸5Aが嵌り込む壁状のロック面Lsを形成している。
【0027】
前記カム溝Gは、前記イジェクトポイントEpと、第1ロックポイントLp1及び第2ロックポイントLp2との間に形成されるものの、従来からのハートカムに形成されたカム溝と基本的には変わらない構造を有している。具体的には、イジェクトポイントEjから2つのロックポイントLp1、Lp2に向けて挿入レーンGinを形成し、第1ロックポイントLp1からイジェクトポイントEjに向けて戻りレーンGreを形成し、これら挿入レーンGinと戻りレーンGreとの中間位置で、イジェクトポイントEpに近い位置に第2ロックポイントLp2を配置している。又、第1ロックポイントLp1に至る挿入レーンGinと戻りレーンGreとの間にバイパスレーンGbを形成している。
【0028】
このカム溝Gのうち、挿入レーンGinは図4及び図5に矢印で示すように倣い軸5Aの移動方向での下手側が浅くなるよう溝深さが設定され(カム溝Gの底面を部分的に傾斜させている)、この挿入レーンGinから第1ロックポイントLp1に至る領域に、階段状に溝深さが深くなる戻り阻止部Gsを2箇所形成し、又、第1ロックポイントLp1と戻りレーンGreとの境界部位にも階段状に溝深さが深くなる戻り阻止部Gsを形成している。戻りレーンGreにも同様に矢印で示す倣い軸5Aの移動方向での下手側が浅くなるよう溝深さが設定され (カム溝Gの底面を部分的に傾斜させている)、更に、この戻りレーンGreとイジェクトポイントEpとの境界部位に対しても、階段状に溝深さが深くなる戻り阻止部Gsを形成してある。
【0029】
前記第2ロックポイントLp2の部位においても第1ロックポイントLp1と同様に対応する部位に戻り阻止部Gsが形成されている。尚、カム溝Gは挿入レーンGinと戻りレーンGreとにおいて倣い軸5Aの移動方向下手側の溝深さを浅くすることにより、複数箇所に戻り阻止部Gsを形成しているにも拘わらず、カム溝G全体の溝深さを深くしないで済むものにしている。
【0030】
前記バイパスレーンGbは、カードMの挿入途中で挿入を休止した場合等、スライダーSが作動領域の途中で倣い軸5AをイジェクトポイントEpに戻す必要がある場合に、倣い軸5Aが第2ロックポイントLp2に導入される不都合を阻止するために形成したものである。
【0031】
本カードコネクタは、ボディBにメモリスティック型のカードMを挿入してロック機構Lがロック状態に達した後、このカードMを誤って抜き出す操作を行った場合に、カードMの抜き出し操作に連係してロック機構Lのロックを強制的に解除し、バネ4、5の付勢力によりスライダーSがイジェクト位置Ejに復帰する作動によりカードMを取り出すためのロック解除機構Rを備えた点に特徴を有するものである。
【0032】
図2及び図3に示すように、前記ボディBに対して第1軸芯Y1周りで揺動自在に第1アームA1を支持すると共に、この第1アームA1の一方の端部に前記カードMの挿入時に前記スライダーSの移動方向での下手側の端部からの圧力を受ける受圧部30を形成している。この第1アームA1のうち第1軸芯Y1を挟んで他方側に位置する端部31には第1軸芯Y1と平行姿勢の第2軸芯Y2周りで揺動自在に第2アームA2を支持している。この第2アームA2のうち前記第1アームA1の受圧部30と反対側の位置に対して前記カードMの凹部Dに係入自在な係合片32を形成している。この第2アームA2のうち前記第2軸芯Y2を挟んで前記係合片32と反対側の位置に操作体33を形成し、この操作体33と一体的に第2アームA2との接当部33Aを形成している。更に、第1アームA1の受圧部30がカードMの挿入経路側に張り出す方向に向けて第1アームA1に付勢力を作用させる第1トーションバネT1を備え、又、第2アームA2の係合片32をカードMの挿入経路から離間させる方向に第2アームA2に付勢力を作用させる第2トーションバネT2を備えている。
【0033】
このカードコネクタでは、前記係合片32がカードMの凹部Dに係入することでカードMの脱落を防止するよう機能するものであり、この係合状態で、カードMに対して抜き出し方向に力を作用させた場合には係合片32が凹部Dから離脱する際の変位力を前記操作体33に伝え、この操作体33からの力をスライダーSの接当部21をカム面21Aに接触させ、このスライダーSを押し込む方向に力を作用させることでロック機構Lのロックを解除するよう前記ロック解除機構Rが構成されている。つまり、ロック解除機構Rは、前記第1アームA1を形成する部材と、第2アームA2を形成する部材とで構成されている。
【0034】
このようにカードコネクタが構成されているので、図2に示すように、スライダーSがイジェクト位置Ejにある状態では(スライダーSの端部がイジェクト側ストッパー13に接当する状態)、第1トーションバネT1からの付勢力により第1アームA1を揺動端まで揺動させ、受圧部30をスライダーSの作動領域内に大きく張り出させている。このように第1アームA1の揺動姿勢が決まることにより、第2軸芯Y2がカードMの挿入経路から離間する側に変位し、しかも、第2トーションバネT2の付勢力により前記接当部33Aが第1アームA1に接当しているので、係合片32をカードMの挿入領域から離間させる側に第2アームA2を揺動させ、結果として、係合片32をカードMの挿入経路から離間させている。又、この状態ではロック機構LのハートカムCAMのカム溝GのうちイジェクトポイントEpに倣い軸5Aが位置している。
【0035】
次に、カードMをボディBに対して挿入した場合には、カードMの挿入側の端部にスライダーSの接当部21が接当し、バネ3、4の付勢力に抗してスライダーSがロック方向に移動を開始する。このようにスライダーSが移動を開始した後には、第1ロック位置Lo1に接近する領域で、第1アームA1の受圧部30がスライダーSの接当部21に接当し、この接当部21からの圧力により第1軸芯Y1周りで第1アームA1が揺動を開始し、第2アームA2が全体的にカードMに接近する側に変位し、係合片32がカードMの凹部Dに対して係入する作動を開始する。
【0036】
カードMを挿入する操作を継続し、カードMを操作端まで挿入する操作を行うことにより、図6に示すように、係合片32がカードMの凹部Dに対して完全に係合する状態に達すると共に、倣い軸5Aが第1ロックポイントLp1を超えた位置に達する。この後、操作力を解除することでバネ4、5の付勢力によってスライダーSが僅かに戻る方向に作動し、図7に示すように、前記倣い軸5Aが第1ロックポイントLp1に導入される結果、ロック機構LはスライダーSを第1ロック位置Lo1に保持する形態でロック状態に達する。
【0037】
このロック状態に達することにより、カードMを適正に保持すると共に、第2トーションバネT2の付勢力によって係合片32がカードMの凹部Dに対して係合する状態に達し、カードMの脱落を防止する。又、このようにロック機構Lがロック状態に達した時点では、カードMの電極Pが第1コンタクト1に接触し、夫々の間で信号のアクセスが可能となる。
【0038】
このロック状態にあるカードMを適正な操作で取り出す場合には、カードMを再度、挿入方向に操作することになる。つまり、カードMを挿入方向に操作した場合には、図8に示すように、スライダーSが押し込み方向に僅かに変位し、前記第1ロックポイントLp1に位置する倣い軸5Aが戻りレーンGreに導入される。このように倣い軸5Aが戻りレーンGreに導入された後には、挿入方向への操作力を解除するだけで、スライダーSがバネ4、5の付勢力でイジェクト位置Ejの側に移動を行い、最終的にイジェクト位置Ejに達した時点でカードMを簡単に取り出せるのである。
【0039】
又、ロック機構Lのロック状態が解除されてスライダーSがイジェクト位置Ejの方向に作動を行う際には、前記第1アームA1の受圧部30に対する圧力が開放されるので前記第1トーションバネT1の付勢力によって受圧部30がスライダーSの作動領域側に変位し、この変位に連係して第2アームA2がカードMの挿入領域外の方向に変位するので、カードMの凹部Dに対する係合片32に係合が解除され、スライダーSの移動を阻害することもない。
【0040】
前述のようにロック機構Lがロック状態にある場合に、カードMを取り出すためにユーザが誤ってカードMを摘んで抜き出す方向に操作した場合には前記ロック解除機構Rが機能する。つまり、ロック状態でカードMに対して抜き出す方向に操作力が作用した場合には、図9に示すように、カードMの移動に伴い、カードMの凹部Dに係入している係合片32が凹部Dから離脱する方向への力が発生し、この力により第2アームA2が第2軸芯Y2周りで揺動を開始する。
【0041】
前述のように第2アームA2が揺動すると、スライダーSの接当部21の端部に形成したカム面21Aに対して、第2アームA2の操作体33の端部が接当し、スライダーSを押し込む方向へ力を作用させる。又、凹部Dから係合片32が完全に抜け出すまで第2アームA2が揺動した際に、操作体33の揺動により接当部21を押し込み方向に移動させる移動ストロークを、ロック機構Lのロックを解除するに充分な量に設定してある。従って、カードMを抜き出し方向に操作した場合には、前述したようにカードMの凹部Dから係合片32が離脱する際の力を、スライダーSを押し込む方向に変換して、このスライダーSに作用させるので、この力によりスライダーSが押し込み方向に作動し、ロック機構Lのロック状態を解除する。このロック状態の解除の結果、バネ3、4の付勢力によってスライダーSをイジェクト位置Ejまで作動させ、適正な操作を行った場合と同様にカードMを取り出せるものとなっているのである。
【0042】
このように本発明のカードコネクタでは、従来からのカードコネクタと同様にプッシュ・プッシュ操作によってカードMを挿入してロック状態で保持する操作と、ロック状態のカードMの取り出し操作を簡便に行えるものにしながら、ロック解除機構Rを備えることにより、メモリスティック型のカードMをロック状態で保持した後に、このカードMを誤って抜き出す操作を行った場合でも、適正な操作を行った場合と同様にスライダーSをイジェクト方向に作動させてカードMを取り出せるのである。特に、ロック解除機構Rは、2つのアームを組み合わせることにより、ロック状態では係合片32をカードMの凹部Dに係合させてカードMの脱落を防止する機能を発揮させながら、カードMを抜き出す方向に力が作用した場合には、スライダーSを適正な方向に作動させてロック機構Lのロック状態を解除するので作動形態に無理がない。
【0043】
又、本発明のカードコネクタと、ロック解除機構Rを備えていないカードコネクタとを比較すると、ロック解除機構Rを備えていないものでメモリスティック型のカードMをロック機構Lで保持した状態で、誤ってカードMを抜き出した場合にはスライダーSがロック状態に保持されたままとなり、この後、これより小型のカードMとを挿入した場合には、カードMがスライダーSに接触しないので、操作感覚に違和感があるばかりか、適切な位置より浅く挿入することや、適切な位置より深く挿入することも考えられ、しかも、この挿入の後に、カードMを取り出すことが極めて困難な状況に陥るものとなる。これに対して本発明では、メモリスティック型のカードMをロック機構Lで保持した状態で、誤ってカードMを抜き出した場合にも、ロック解除機構Rの機能によりスライダーSが必ずイジェクト位置Ejに復元するので、この後、小型のカードMを挿入する場合にも、スライダーSを第2ロック位置Lo2で確実にロックさせ得るものとなり、前述した不都合を発生することがないのである。
【0044】
〔別実施の形態〕
本発明は上記実施の形態以外に、例えば、以下のように構成しても良い(この別実施の形態では前記実施の形態と同じ機能を有するものには、実施の形態と共通の番号、符号を付している)
【0045】
(イ)カードの両側部に凹部Dを有するものに対応して、その凹部Dに係合可能な係合片が形成された一対のアームを備えてカードコネクタを構成することも可能である。このようにカードコネクタを構成した場合には、ロック状態においては一対の凹部Dに一対の係合片を係合させることになるのでカードMの脱落を良好に防止できるものとなる。
【0046】
(ロ)発明の実施の形態では、ボディBの内部に2組のコンタクト1、2を形成して2種のカードに対応できるようカードコネクタを構成していたが、単一のカードMに対応する、あるいは、3種以上のカードMに対応するよう構成されたカードコネクタに本発明を適用するものであっても良い。
【0047】
(ハ)第1アーム、第2アームの少なくとも一方の姿勢を検出するセンサを備えることにより、カードがロック状態にあることを判別できるよう構成し、この判別結果に基づいてランプを点灯や、消灯を制御する制御系と連係させる。このように構成することにより、カードの状態を確実に把握してデータのアクセスを確実にするものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】カードコネクタの分解斜視図
【図2】スライダーがイジェクト位置にある状態のボディの平面及びハートカムに対するフックピンの位置関係を示す断面図
【図3】第1アームと第2アームとの構造を示す分解斜視図及び側面図
【図4】ハートカムのカム溝を示す図
【図5】ハートカムのカム溝の形状を示す斜視図
【図6】カード挿入直後におけるボディの状態を示す平面図及びハートカムに対するフックピンの位置関係を示す断面図
【図7】ロック機構がロック状態にあるボディの状態を示す平面図及びハートカムに対するフックピンの位置関係を示す断面図
【図8】ロック状態からカードを挿入方向に操作した状態におけるボディの状態を示す平面図及びハートカムに対するフックピンの位置関係を示す断面図
【図9】ロック状態でカードを抜き出し方向に操作した状態におけるボディの状態を示す平面図及びハートカムに対するフックピンの位置関係を示す断面図
【符号の説明】
1、2 コンタクト
3、4 付勢機構
5 フックピン
20 スライド作動部
21 接当部
30 受圧部
32 係合片
33 操作体
B ボディ
D 凹部
G カム溝
L ロック機構
M カード
R ロック解除機構
S スライダー
Ej イジェクト位置
Lo ロック位置
A1 第1アーム
A2 第2アーム
Y1 第1軸芯
Y2 第2軸芯
Claims (4)
- コンタクトを有したボディと、このボディに対してイジェクト位置・ロック位置の間でスライド作動するスライダーと、このスライダーに対してイジェクト方向に付勢力を作用させる付勢機構と、前記スライダーを前記ロック位置に保持するロック機構とを備えると共に、
前記ロック機構が、前記ボディに対してカードを挿入して、このカードに接当する前記スライダーが前記ロック位置までスライド作動した際に該スライダーをロック位置に保持し、このロック状態で前記カードを挿入方向に再度操作した際にロック状態を解除して前記バネの付勢力によりスライダーのイジェクト方向へのスライド作動を許すよう構成されているカードコネクタであって、
前記スライダーが前記ロック位置に保持されている状態において、前記カードに対して抜き出し方向への力を作用させた場合に、この操作に連動して前記スライダーを挿入方向に作動させてロックの解除を行うロック解除機構を備えているカードコネクタ。 - 前記ボディにカードを挿入した際にカードの凹部に係入してカードの脱落を防止する係合片を備えると共に、前記ロック解除機構は、前記スライダーが前記ロック位置に保持されている状況において、前記カードに対して抜き出し方向への力が作用した場合に、前記係合片が前記凹部から離脱する際の変位力を、前記スライダーに対して押し込み方向に伝える操作体を備えて構成されている請求項1記載のカードコネクタ。
- 前記ボディ側に第1軸芯周りで揺動自在に第1アームを支持し、この第1アームの一方の端部に前記カードの挿入時において前記スライダーからの圧力を受ける受圧部を形成し、他方の端部に第1軸芯と平行姿勢の第2軸芯周りで揺動自在に第2アームを支持すると共に、この第2アームのうち前記第1アームの受圧部と反対側の位置に前記係合片を形成し、この第2アームのうち前記第2軸芯を挟んで前記係合片と反対側の位置に前記操作体を形成し、
この操作体は、前記カードに抜き出し方向に力が作用して前記係合片が前記凹部から離脱する方向に第2アームが揺動した際に、前記スライダーに接触して、このスライダーに押し込み方向への力を作用させるよう構成してある請求項2記載のカードコネクタ。 - 前記スライダーが、スライド方向に沿って直線状に形成したスライド作動部と、このスライド作動部の形成方向と直交する姿勢で形成され、カードと接当する接当部とを備えて構成されると共に、前記スライド作動部に形成したハート状のカム溝と、このカム溝に一端が係入し、他端がボディに支持されるフックピンとで前記ロック機構が構成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載のカードコネクタ。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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2003
- 2003-02-04 JP JP2003026944A patent/JP2004241180A/ja active Pending
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