JP2004239370A - ボールねじ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ボール循環通路内でのボールのがたつきを防止して、振動や騒音が発生することなく安定した作動を確保する。
【解決手段】外周面に螺旋状のねじ溝11を有するねじ軸12と、該ねじ溝11に対応するねじ溝13を内周面に有すると共に軸方向に貫通するボール戻し通路16を有し、且つ両端面に切欠き17を有してねじ軸12に螺合されるナット14と、両ねじ溝11,13間とボール戻し通路16とを連通させるボール循環通路21を前記切欠き17と共に構成すべく該切欠き17に嵌合固定される循環こま18と、両ねじ溝11,13間、ボール循環通路21およびボール戻し通路16を転動しつつ循環可能に配設された多数のボール15とを備えたボールねじ装置10において、切欠き17のボール走行面17aにボール径以下の深さを有するボール走行溝30を形成する。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば産業機械等に用いられるボールねじ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種のボールねじ装置は、外周面にねじ溝を有して軸方向に延びるねじ軸に、内周面に前記ねじ軸のねじ溝に対応するねじ溝を有するナットが螺合されており、ナットのねじ溝とねじ軸のねじ溝とは互いに対向して両者の間に螺旋状の負荷軌道を形成している。該負荷軌道には転動体としての多数のボールが転動可能に装填されており、ねじ軸(又はナット)の回転により、ナット(又はねじ軸)がボールの転動を介して軸方向に移動するようになっている。
【0003】
ところで、ナット(又はねじ軸)が軸方向に移動する際には、ボールが両ねじ溝で形成される螺旋状の負荷軌道を転動しつつ移動するが、ナット(又はねじ軸)を継続して移動させていくためには、ボールを無限循環させる必要がある。
ボールを無限循環させる方式としては、循環チューブ式やエンドキャップ式等が一般的であるが、コンパクトタイプのボールねじ装置では、ナットに軸方向に貫通するボール戻し通路を形成すると共に、ナットの端面に切欠きを形成して該切欠きに該ボール戻し通路と前記両ねじ溝間の負荷軌道とを連通するボール循環溝を有する循環こまを嵌合固定し、これにより、ボールを無限循環させるようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、ナットの端面に形成された切欠きには、循環こまのボール循環溝と共にボールの循環通路を構成するボール径より幅広のボール走行面が設けられているが、ボールねじ装置を低速で駆動させる場合、ボールに作用する遠心力よりも重力によってボールが自由落下する力の方が大きくなり、この結果、ボール循環通路内でボールががたつき、作動性が悪化したり、振動や騒音の原因になるという不都合がある。
本発明はこのような不都合を解消するためになされたものであり、ボール循環通路内でのボールのがたつきを防止して、振動や騒音が発生することなく安定した作動を確保することができるボールねじ装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、外周面に螺旋状のねじ溝を有するねじ軸と、該ねじ軸のねじ溝に対応するねじ溝を内周面に有すると共に軸方向に貫通するボール戻し通路を有し、且つ両端面に切欠きを有して前記ねじ軸に螺合されるナットと、前記両ねじ溝間と前記ボール戻し通路とを連通させるボール循環通路を前記ナットの切欠きと共に構成すべく該切欠きに嵌合固定される循環こまと、前記両ねじ溝間、前記ボール循環通路および前記ボール戻し通路を転動しつつ循環可能に配設された多数のボールとを備えたボールねじ装置において、
前記切欠きの前記ボールの走行面に該ボールの直径以下の深さを有するボール走行溝を形成したことを特徴とする。
【0006】
請求項2に係る発明は、請求項1において、前記ボール走行溝がゴシックアーク溝であることを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項1又は2において、前記ボール走行溝の長手方向の両端部の角部に面取り加工及び/又は前記ボール走行溝に防炭処理を施したことを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態の一例を図を参照して説明する。図1は本発明の実施の形態の一例であるボールねじ装置を説明するための一部を破断した説明図、図2は図1の左側面図、図3は循環こまの一例を示す図、図4はナットの端面に形成した切欠きの斜視図、図5はボール走行溝の断面図、図6〜図9はボール走行溝の変形例を示す断面図である。
【0008】
本発明の実施の形態の一例であるボールねじ装置10は、図1および図2に示すように、外周面に螺旋状のねじ溝11を有して軸方向に延びるねじ軸12に、内周面に該ねじ溝11に対応する螺旋状のねじ溝13を有するナット14が螺合されている。ナット14のねじ溝13とねじ軸12のねじ溝11とは互いに対向して両者の間に負荷軌道を形成しており、該負荷軌道には転動体としての多数のボール15が転動可能に装填されている。
【0009】
また、ナット14の壁部には軸方向に貫通するボール戻し通路16が形成されていると共に、ナット14の両端面にはそれぞれ切欠き17が形成されている。該切欠き17には、前記ボール戻し通路16と前記両ねじ溝11,13間の負荷軌道とを連通する循環こま18が嵌合固定されている。
循環こま18は、図3に示すように、前記ボール戻し通路16と前記両ねじ溝11,13間の負荷軌道との間を連通する湾曲状のボール循環溝20が形成されており、該ボール循環溝20の先端には両ねじ溝11,13間の負荷軌道を転動するボール15をすくい上げるタング部19が設けられている。ボール循環溝20と、前記切欠き17に設けられたボール径より幅広のボール走行面17aとによってボール15の循環通路21を形成しており、該ボール循環通路21と、前記両ねじ溝11,13間の負荷軌道および前記ボール戻し通路16とによってボール15の無限循環通路を形成している。
【0010】
そして、ねじ軸12(又はナット14)の回転により、ナット14(又はねじ軸12)がボール15の転動を介して軸方向に移動するようになっている。
ここで、この実施の形態では、図4に示すように、前記切欠き17のボール走行面17aの幅方向略中央部にボール15の直径以下の深さを有するボール走行溝30を形成しており、このボール走行溝30に沿ってボール15を走行させることにより、ボールねじ装置10を低速駆動させた場合に、ボール15に作用する遠心力よりも重力によってボール15が自由落下する力の方が大きくなっても、ボール15がボール走行溝30に保持されつつボール循環通路21を走行するため、該ボール15のボール循環通路21内でのがたつきを良好に防止することができる。
【0011】
また、図5に示すように、ボール走行溝30の溝形状はゴシックアーク形状とされており、これにより、ボール走行溝30でのボール15の走行を安定したものとすることができる。なお、ボール15がボール走行溝30の長手方向の両端部の角部に当たった際の衝撃応力を緩和するために、該角部に面取り加工を施したり、ボール走行溝30に防炭処理を施すのが好ましい。
【0012】
このようにこの実施の形態では、前記切欠き17のボール走行面17aにボール15の直径以下の深さを有するボール走行溝30を形成することで、ボール15のボール循環通路21内でのがたつきを良好に防止することができるので、低速駆動の場合においても、振動や騒音が発生することなくボールねじ装置10の安定した作動を確保することができる。
【0013】
また、ボール走行溝30が潤滑剤の油溜まりとして機能するため、該潤滑剤がボール15の転動部分に効率よく供給されてボールねじ装置の寿命延長を図ることができる。
更に、ボール走行溝30の溝形状をゴシックアーク形状としてボール走行溝30でのボール15の走行の安定化を図っているので、ボールねじ装置10の作動をより安定したものとすることができる。
【0014】
なお、本発明のボールねじ装置の各構成は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
例えば、上記実施の形態では、ボール走行溝30の溝形状をゴシックアーク形状とした場合を例に採ったが、これに限定されず、例えば、図6に示すような浅い単一円形溝のボール走行溝31や、図7に示すような深い単一円形溝のボール走行溝32の他に、図8に示すような深い単一円形溝にR面取り34を施したボール走行溝33や、図9に示すような浅い単一円形溝にR面取り44を施したボール走行溝43としてもよい。
【0015】
【発明の効果】
上記の説明から明らかなように、請求項1の発明によれば、ボール循環通路内でのボールのがたつきを防止することができるので、振動や騒音が発生することなく安定した作動を確保することができるという効果が得られる。
また、ボール走行溝が潤滑剤の油溜まりとして機能するため、該潤滑剤がボールの転動部分に効率よく供給されてボールねじ装置の寿命延長を図ることができるという効果が得られる。
【0016】
請求項2の発明では、請求項1の発明に加えて、ボール走行溝でのボールの走行の安定化を図ることができるので、ボールねじ装置の作動をより安定したものとすることができるという効果が得られる。
請求項3の発明では、請求項1又は2の発明に加えて、ボールがボール走行溝の長手方向の両端部の角部に当たった際の衝撃応力を緩和することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例であるボールねじ装置を説明するための一部を破断した説明図である。
【図2】図1の左側面図である。
【図3】循環こまの一例を示す図であり、(b)は正面図、(a)は(b)の左側面図、(c)は(b)の右側面図、(d)は(b)の背面図である。
【図4】ナットの端面に形成した切欠きの斜視図である。
【図5】ボール走行溝の断面図である。
【図6】ボール走行溝の変形例を示す断面図である。
【図7】ボール走行溝の変形例を示す断面図である。
【図8】ボール走行溝の変形例を示す断面図である。
【図9】ボール走行溝の変形例を示す断面図である。
【符号の説明】
10…ボールねじ装置
11…ねじ溝(ねじ軸側)
12…ねじ軸
13…ねじ溝(ナット側)
14…ナット
15…ボール
16…ボール戻し通路
17…切欠き
17a…ボール走行面
18…循環こま
21…ボール循環通路
30…ボール走行溝

Claims (3)

  1. 外周面に螺旋状のねじ溝を有するねじ軸と、該ねじ軸のねじ溝に対応するねじ溝を内周面に有すると共に軸方向に貫通するボール戻し通路を有し、且つ両端面に切欠きを有して前記ねじ軸に螺合されるナットと、前記両ねじ溝間と前記ボール戻し通路とを連通させるボール循環通路を前記ナットの切欠きと共に構成すべく該切欠きに嵌合固定される循環こまと、前記両ねじ溝間、前記ボール循環通路および前記ボール戻し通路を転動しつつ循環可能に配設された多数のボールとを備えたボールねじ装置において、
    前記切欠きの前記ボールの走行面に該ボールの直径以下の深さを有するボール走行溝を形成したことを特徴とするボールねじ装置。
  2. 前記ボール走行溝がゴシックアーク溝であることを特徴とする請求項1記載のボールねじ装置。
  3. 前記ボール走行溝の長手方向の両端部の角部に面取り加工及び/又は前記ボール走行溝に防炭処理を施したことを特徴とする請求項1又は2記載のボールねじ装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012239448A (ja) * 2011-05-23 2012-12-10 Yanmar Co Ltd 乗用田植機
JP2013050209A (ja) * 2011-08-02 2013-03-14 Nsk Ltd ボールねじ用デフレクタ及びデフレクタ式ボールねじ

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