JP2004237651A - 微細画像を有する指輪等の微細加工品の加工方法及びその微細加工品 - Google Patents
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Abstract
【課題】微細な画像の要求される加工品において、鮮明な画像が得られ、かつ、その製作が容易で製作費用の低廉化をなし得ること。
【解決手段】金属素材製の微細加工品において、母材金属1の表面を嵌め込まれる写真画像7に合わせて凹部5を設け、当該写真画像の原資料を画像処理プログラムの内蔵されたコンピュータに取り込み、トリミング等の補正処理により画像を単純化し、その単純化された画像を縮小化して写真出力し、この得られた写真画像7を凹部5に嵌め込み、該凹部において写真画像の上面に透明合成樹脂材8による透明層を形成する。
【選択図】 図3
【解決手段】金属素材製の微細加工品において、母材金属1の表面を嵌め込まれる写真画像7に合わせて凹部5を設け、当該写真画像の原資料を画像処理プログラムの内蔵されたコンピュータに取り込み、トリミング等の補正処理により画像を単純化し、その単純化された画像を縮小化して写真出力し、この得られた写真画像7を凹部5に嵌め込み、該凹部において写真画像の上面に透明合成樹脂材8による透明層を形成する。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、金属素材を母材とし、該母材金属の表面に画像を描出してなる微細加工品の加工方法、特にはその内周面及び又は外周面に画像の描出される指輪の微細加工方法に関し、更に詳しくは、任意の原資料の写真画像に対して描出できる微細加工品の加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
指輪等の微細加工品において、その表面に微細図形を描出する技術として特開平10−109500号公報が公知である。
しかし、この技術は2階調処理をもって図形を単純化するので、必ずしも人物等の特徴を鮮明に出すことができない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、その表面に微細な画像の要求される指輪等の金属微細加工品において、鮮明な画像が得られ、かつ、その製作が容易で製作費用の低廉化をなし得る微細加工品の加工方法並びにその微細加工品を提供することを目的とする。
本発明はこの目的を達成するため、コンピュータ内で縮小画像処理され出力された写真画像を金属本体に嵌め込む、との着想のもとになされたものである。
本発明はまた、ハロゲン化銀を基材とする解像度の高い銀塩写真への画像焼き付けにも着目したものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の微細加工品の加工方法は、具体的には次の構成を採る。
その第1の発明は、金属素材を母材とするとともに微細画像が表面に描出される微細加工品において、該母材金属の表面に写真画像が嵌め込まれる微細加工品の加工方法であって、
前記写真画像の原資料を画像処理プログラムの内蔵されたコンピュータに取り込み、取り込まれた画像を所要の画像処理をなすとともに縮小化して印画紙又は普通紙上に写真画像を出力し、
この得られた写真画像を前記母材金属の表面に該写真画像に合わせて凹設された凹部に嵌め込み、
前記凹部において前記写真画像の上面に透明合成樹脂材による透明層を形成する、
ことを特徴とする。
本第1発明では、プリンターより所要の縮小された写真画像を得る。
本第1発明において、
▲1▼画像処理において写真画像に並べて文字が入力されること、
▲2▼写真画像の印画紙又は普通紙への出力は銀塩写真方式によってなされること、
は適宜実施される態様である。
上記▲2▼の銀塩写真方式の態様は、レーザー光で感光紙を感光させ、印画紙又は普通紙に転写し、写真における焼付けをもって印刷するものである。この態様は、▲1▼レーザー光で感光紙を3色同時に露光する、ハロゲン化銀が光に反応し潜像が形成される、▲2▼露光された感光紙を少量の水で湿らせ、印画紙又は普通紙に張り合わせて加熱して現像を進行させ、色画像が印画紙又は普通紙に移り定着される、▲3▼使用済み感光紙が剥離され、カラープリントを得る、との工程よりなる。この方式によれば、極めて鮮明な画像が印刷される。
【0005】
その第2の発明は、金属素材を母材とするとともに微細画像が表面に描出される微細加工品において、該母材金属の表面に写真画像が嵌め込まれる微細加工品の加工方法であって、
前記写真画像の原資料を画像処理プログラムの内蔵されたコンピュータに取り込み、取り込まれた画像を所要の画像処理をなすとともに印画紙又は普通紙上に写真画像を印刷出力し、
この印刷出力画像を写真機によりフィルムをもって撮影し、撮影後のフィルム処理をなし、所定の縮小率で印画紙へ焼付けて写真画像を形成し、
この得られた写真画像を前記母材金属の表面に該写真画像に合わせて凹設された凹部に嵌め込み、
前記凹部において前記写真画像の上面に透明合成樹脂材による透明層を形成する、
ことを特徴とする。
本第2発明では、ネガあるいはポジフィルムより所要の縮小された写真画像を得る。
【0006】
上記第1及び第2発明の構成において、
▲1▼写真画像の原資料は、カラー写真、黒白写真が選ばれるが、通常はカラー写真が使用され、またその他の写真映像を除外するものではない。原資料の写真はその大きさ及びポジ・ネガを問わないが、通常は標準サイズ、ポジのものが採用される、
▲2▼印画紙は、ハロゲン化銀を基材として、カラー印画紙にあっては所要の発色層が形成されており、加熱等の手段をもって発色させるものであり、高解像性を発揮する。該印画紙には上層表面に耐熱層がコーティングされている、
▲3▼画像処理は、表示画面において画像補正に限らず、適宜の加工処理がなされる、
は適宜選択される事項である。
微細加工品は指輪であり、該指輪の内周面及びまたは外周面に写真画像が嵌め込まれてなる。
【0007】
(作用)
微細加工品の表面に描出される画像は、写真画像によるので、鮮明であり、識別度が高まる。
また、画像は写真の嵌込みによるので、画像の有する微細加工品において、画像に係る製作手間が大幅に簡素化され、かつ迅速化される。
【0008】
本発明はまた、金属素材を母材とするとともに微細画像が表面に描出される微細加工品に係り、
母材金属の表面に写真画像が嵌め込まれる微細加工品であって、
前記写真画像の原資料を画像処理プログラムの内蔵されたコンピュータに取り込み、取り込まれた画像を所要の画像処理をなすとともに縮小化して印画紙又は普通紙上に写真画像を出力し、
この得られた写真画像を前記母材金属の表面に該写真画像に合わせて凹設された凹部に嵌め込み、
前記凹部において前記写真画像の上面に透明合成樹脂材による透明層を形成してなる、
ことを特徴とする。
本発明は更にまた、金属素材を母材とするとともに微細画像が表面に描出される微細加工品に係り、
該母材金属の表面に写真画像が嵌め込まれる微細加工品であって、
前記写真画像の原資料を画像処理プログラムの内蔵されたコンピュータに取り込み、取り込まれた画像を所要の画像処理をなすとともに印画紙又は普通紙上に写真画像を印刷出力し、
この印刷出力画像を写真機によりフィルムをもって撮影し、撮影後のフィルム処理をなし、所定の縮小率で印画紙への焼付けをなして写真画像を形成し、
この得られた写真画像を前記母材金属の表面に該写真画像に合わせて凹設された凹部に嵌め込み、
前記凹部において前記写真画像の上面に透明合成樹脂材による透明層を形成する、
ことを特徴とする。
【0009】
(作用)
指輪の微細加工品において、その内周面及び又は外周面に描出される画像は、写真画像によるので、鮮明であり、識別度が高まる。
また、画像は写真の嵌込みによるので、画像の有する指輪において、画像に係る製作手間が大幅に簡素化され、かつ迅速化される。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の微細画像を有する金属微細加工品の加工方法の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図5はその一実施形態の指輪への適用例を示す。すなわち、図1はその指輪Rの全体構成を示し、図2、図3は各部分構成を示し、図4、図5は加工工程を示す。
【0011】
図1に示すように、本指輪Rは金属素材の指輪本体1の内周面に縮小化された写真画像を含む画像部2が形成されてなる。
【0012】
以下、更に細部構成に付き詳しく説明する。
図2、図3はその詳細構造を示す。
指輪本体1
指輪本体1は、一定厚さのリング状体(外周面1A、内周面1B)をなし、金属素材として、銀、真鍮、金、プラチナ、ステンレス等の適宜のものが採択されるが、本実施形態では特に真鍮、銀への適用に付いて述べる。
真鍮を素材とするとき、本体1の外周にメッキ層3が施される。
【0013】
画像部2
画像部2は、指輪Rの外周面1A及び又は内周面1Bに施されるが、本実施形態では指輪Rの内周面1Bに施される。
5はその凹部であって、施される画像の大きさに見合って凹設される。凹設手段として、切削加工、鋳型成形などの適宜手段が選択される。
しかして、この凹部5に写真7及び透明樹脂層8が順次積層して装着される。
(写真7)
写真7は縮小処理され、凹部5に直接、もしくはメッキ層3を介して凹部5に嵌め込まれ、接着剤により固定される。
(透明樹脂層8)
透明樹脂層8は写真7の上部に充填される。該樹脂層8の表面8aは指輪Rの内周面1Bの曲率に一致し、面一とされる。
【0014】
本指輪Rにおいて、素材が銀、金、プラチナにおいてはそれら素材の地肌のものが現れ、真鍮においてはメッキ層により銀光沢を持たせる。
また、本指輪Rの諸元の一例を示すと、本体1の幅を10.0mmとし、凹部5は本体1の上下に1.0mmの縁部を存して8.0mmの幅で形成される。写真7は8.0×8.0mmとされる。
【0015】
本指輪Rの加工手順
本指輪Rは以下の手順をもって加工される。
【0016】
(1) 凹部の形成・表面処理
指輪本体1はハンドメイドあるいは鋳造のいずれによっても成形される。該指輪本体1の外周面1Aには適宜装飾加工が施される。
しかる後、指輪本体1の内面1Bに凹部5を切削加工をもって形成する。該凹部5は本体1を鋳造にて成形する場合には鋳造と同時になすこともできる。
本体1の素材に真鍮が選ばれるとき、ニッケルあるいは更にはロジウムによるメッキ処理3が施される。該メッキ層3は本体1の全周面あるいは外周面1Aに施される。なお、該メッキ層3は本発明において本質的事項ではなく、適宜省略されうる。
【0017】
(2) 写真の処理
指輪に描出される画像に付き、その画像の原資料である写真(以下「原写真」という)を所定の画像処理をなす画像処理プログラムの内蔵されたコンピュータをもって以下の処理がなされる。本処理に適用される原写真はカラー写真であり、画像はカラー画像であるが、黒白写真であってもよく、カラー処理に準じて処理される。
該コンピュータにはカラーディスプレイ装置(CRTあるいは液晶式表示装置など)、スキャナー、カラー印刷機が接続される。この画像処理プログラムの内蔵されたコンピュータによれば、画像の取込み、その処理及びその出力がなされる。
なお、原写真はその大きさ及びポジ・ネガを問わないが、通常は標準の手札サイズ(8.3×10.8cm)、ポジである。
【0018】
(2−1)
原写真をコンピュータに連動する画像取込み装置(スキャニング装置)いわゆるスキャナーをもってコンピュータ内に取り込む。同時にディスプレイ装置の表示画面にその画像を適宜の大きさで表示する。
本スキャナーの解像度は、300dpiないし600dpiあるいはそれ以上のもの、更には高解像度(1200dpi,2000dpiもしくはそれ以上)のものが使用される。
【0019】
(2−2)
表示画面上において写真画像に対しトリミング、更にはその他の補正処理をする。すなわち、人物写真に付き、先ず人物周辺を区画して取り入れ、人物自体に付いては不鮮明な箇所があれば鮮明化し、人物以外の背景をぼかす、等の補正処理がなされるこのとき、次の工程でなされる縮小化を考慮して最小限の簡素化をなす。
なお言えば、必要があれば、上記以外の種々の画像処理、例えば人物相互の合成、背景の付加、等の処理を施すことができ、多様な画像を作成することができる。そして、当該画像情報は適宜のファイル形式で保存される。
【0020】
(2−2a)
要すれば、この写真画像に並べて文字情報が入力される。
先ず、表示画面上に写真画像を入力するに十分な大きさの枠を作成し、この枠に(2−2) 工程で作成・保存した写真画像を取り込む。次いで、写真画像に相並べてその余白内に文字入力(写真画像が顔写真であれば当該人物の氏名、生年月日等の個人情報)をなす。この表示画像情報も適宜保存される。
【0021】
(2−3)
上記の(2−2) 又は(2−2a)の画像をカラー印刷機(プリンター)をもって所定の大きさに縮小化してカラー写真7を出力する。この工程において、一般の写真処理(ネガフィルムの焼付け)に使用されるものと構造的に実質的に同一のハロゲン化銀を含む印画紙が用いられ、この印画紙の発色をなす。
その一方式として、印画紙には所要の発色層が形成されており、加熱をもって発色させ紫外線をもって定着させるものである。また、発色層の上層表面に耐熱層がコーティングされている。直接感熱記録方式はこの方式に属する。
図4はその印画紙Pの模式断面構成を示し、支持体10上にCyan(シアン)記録層11、Magenda(マゼンダ)記録層12、Yellow(イエロー)記録層13を順次積層されてなる。14は耐熱性保護膜であって、表層にコーティングされる。この印画紙によれば、高解像度性能を有し、印画性能はプリンターの解像度に依存する。
なお、要すれば、縮小率が十分でないとき、上記の処理を反復して所期の縮小写真7を得るものとする。
印画紙への他の出力方式として、感光紙を用い、該感光紙を介して印画紙を発色させるいわゆる銀塩写真方式が採られる。
もっと詳しくは、この銀塩写真方式は、レーザー光で感光紙を感光させ、印画紙に転写し、写真における焼付けをもって印刷するものである。
その工程は、次のようになされる。
▲1▼レーザー光で感光紙を3色同時に露光する。ハロゲン化銀が光に反応し潜像が形成される。
▲2▼露光された感光紙を少量の水で湿らせ、印画紙に張り合わせて加熱して現像を進行させ、色画像が印画紙に移り定着される。
▲3▼使用済み感光紙が剥離され、カラープリントを得る。
この方式によれば、極めて鮮明な画像が印刷される。
印画紙以外、すなわち普通紙への出力方式の昇華型熱転写方式、溶融型熱転写方式、レーザー方式、インクジェット方式を採るときも、同様にして、所定の大きさに縮小化してカラー写真7を出力する。これらの方式での出力に当り、上質紙の使用をなすことが肝要である。
更にまた、印刷出力を普通紙をもってなすとき、次の工程が採られる。
【0022】
(2−4)
上記(2−3) の工程において、普通紙に印刷出力をなすとき、そのカラー印刷出力を写真機によりカラーフィルムをもって撮影し、撮影後のフィルム処理(現像・定着)をなし、カラー印画紙への焼付けをなす。しかる後、これを裁断し、所定の大きさの写真7を得る。
図5は写真機による撮影の要領を示す。図に示すように、写真機Cをカラー印刷出力Kより一定間隔を保って配してカラーフィルムFに撮影するものである。
この場合、上記(2−3) の工程の印刷出力Kは格別縮小印刷する必要はない。また、撮影されたカラーネガフィルムFは十分に小さく、所定の縮小率に達しているものである。
これにより、カラーフィルム並びに印画紙自体の高解像度の写真7が得られる。
【0023】
(2−5)
上記(2−3) あるいは (2−4)の工程に替えて、(2−2) の工程より次の工程を採ることもできる。
すなわち、(2−2) の工程で得られた画像をカラープリンターをもって所定の大きさでカラー印刷出力する。このカラー印刷出力は、印画紙を用いることも、普通紙をもってなすことも、自由である。この印刷出力は、格別縮小印刷する必要はない。
しかる後、(2−4) で述べたように(図5参照)、そのカラー印刷出力を写真機によりカラーフィルムをもって撮影し、撮影後のフィルム処理(現像・定着)をなし、カラーネガフィルムを得たのち、所定の縮小率でカラー印画紙への焼付けをなす。そして、これを裁断し、所定の大きさの写真7を得る。
本工程において肝要なことは、最終的に、所定の印画紙に、所定の縮小率もって写真7を得ることである。
これにより、カラーフィルム並びに印画紙自体の高解像度の写真7が得られる。
【0024】
(3) 写真の嵌込み
縮小化された写真7を凹部5に嵌め込む。写真7の嵌込み装着に当り、凹部5に接着剤16が塗布され写真7を接着固定する。該接着材16は耐熱性を有するものが選ばれる。
【0025】
(4) 透明層の形成
透明合成樹脂8の素材を用意する。該透明合成樹脂8は熱可塑性のもの、あるいは熱硬化性のものを問わない。
しかして、該透明合成樹脂8を高温状態にし、凹部5において写真7上に盛り込み、その硬化を待つ。熱可塑性樹脂にあっては高温にて溶融もしくは軟化させ、その溶融・軟化状態から冷却硬化をなす。熱硬化性のものにあっては凹部に充填した原料体を高温にて硬化させるか、もしくは、その液状体を塗布し硬化をなす。
溶融状態の透明合成樹脂8は写真7の表面及び凹部5のその余の部分に付着し、固化とともに一体化する。このとき、写真7はその上面層が耐熱性コーティイング層により耐熱性を発揮し、透明合成樹脂8の高温に耐え、変形・変質はしない。
【0026】
本発明に使用される透明合成樹脂8として、次のものが推奨される。
熱可塑性樹脂としては、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン(特に、低・中密度ポリエチレン)、ポリスチレン、飽和ポリエステル樹脂(特に、PET)、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール、セルロースエステル(特に、アセチルセルロース、アセチルブチルセルロース)、TPX樹脂、メタクリル酸メチル樹脂、が選ばれる。AS樹脂、ABS樹脂、塩化ビニリデン樹脂、はそれらに準じて選ばれる。上記の内、特に、アセチルセルロース及びメタクリル酸メチル樹脂は好適な樹脂である。
熱硬化性樹脂として、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂(DAP樹脂)が選ばれる。
なお、熱硬化性樹脂のエポキシ樹脂は、わずかな着色性(褐色)を示すが、透明度が大きく薄肉状では格別の問題もない。。そして、該エポキシ樹脂は硬化剤の添加による固結に伴う収縮率が極めて小さく、内周面凹部への充填用樹脂として好適である。
【0027】
(5) 仕上げ加工
透明合成樹脂8は指輪Rの内周面1Bに盛り上げられて形成され、しかる後、指輪Rの内周曲率に合わせて面一にする。
外周面1Aには適宜の装飾加工がなされる。
【0028】
上記(3) 及び(4) の行程で、凹部5へ塗布される接着剤16、及び凹部5へ充填される合成樹脂8を同一素材とすることを妨げるものではない。すなわち、液状の熱硬化性樹脂、例えばエポキシ樹脂を使用すれば接着性を兼ね所期の作用を発揮する。
【0029】
叙上の実施形態では指輪本体1の内周面1Bへの画像加工を示したが、指輪本体1の外周面1Aへの画像加工も同様になされる。すなわち、、外周面1Aに凹部5が形成され、適宜メッキ層3が施され、該凹部5に接着剤16を塗布し、縮小化された写真7を接着固定するとともに透明合成樹脂8を充填する。
透明合成樹脂8は、上述の素材が適用される。
この場合、不飽和ポリエステル樹脂は固化状態で適宜の収縮性を示し、外周面凹部への充填用樹脂として好適である。
【0030】
(実施形態の作用・効果)
本実施形態の指輪Rの加工方法において、指輪Rの内周面B及び又は外周面1Aに描出される画像は、写真画像7によるので鮮明であり、小型の指輪であっても識別度が高い。これにより、従来の技術では描出し得なかった微細描写が可能となり、その結果、情報量がより豊富化する。
また、カラー印画紙での画像によるとき、印画紙自体の解像度は格段に高く、従って印刷出力の高い解像度に良好に追従し、かつその上面の保護層により耐熱作用が発揮される。更にまた、カラー写真撮影を介する場合においては、ネガ又はポジフィルム自体の高い解像能力と相まって、格段に高い解像度により鮮明な画像が得られる。
更に、画像は写真7の嵌込みによるので、画像に係る製作手間が大幅に簡素化され、かつ迅速化される。加えて、安価な素材を使用することにより、大幅な製作費用の低減化を図ることができる。
また、写真7は透明層8により強固に固定され、かつ保護されているので、過酷な環境に耐えて変質せず、長期の使用が可能となる。
以上に加え、原写真より取り込まれた画像は画像処理プログラムにより自在に補正かつ加工されるものであり、多様な画像表現が可能となる。
【0031】
(他の実施形態)
叙上の実施形態では指輪への適用を示したが、その他の微細加工品・小物身飾り品への適用がなされる。
すなわち、ペンダントヘッド、ブローチ、ブレスレット、バングル、あるいはベルトのバックル等への適用はその例示である。
【0032】
本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の基本的技術思想の範囲内で種々設計変更が可能である。すなわち、以下の態様は本発明の技術的範囲内に包含されるものである。
▲1▼本発明は実施形態の指輪並びに小物身飾り品に限定されず、微細画像を有する他の加工品一般への適用が可能である。
【0033】
【発明の効果】
本発明の微細加工品の加工方法によれば、その表面に描出される画像は、写真画像によるので、鮮明であり、識別度が高まる。これにより、従来の技術では描出し得なかった微細加工品における微細描写が可能となり、その結果、情報量がより豊富化する。
また、画像は写真の嵌込みによるので、画像の有する微細加工品において、画像に係る製作手間が大幅に簡素化され、かつ迅速化される。加えて、安価な素材を使用することにより、大幅な製作費用の低減化を図ることができる。
また、印画紙による写真出力を採ることにより、印画紙自体の高解像度に加え、上層の保護膜により耐熱性が付加され、透明層との一体化が図り得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の加工方法の一実施形態の指輪への適用例を示す全体斜視図。
【図2】図1の2−2線方向矢視図。
【図3】図1の3−3線方向模式断面図。
【図4】本実施形態に使用される印画紙の断面模式図。
【図5】本実施形態の一態様を示す工程図。
【符号の説明】
R…指輪(微細加工品)、1…指輪本体、2…画像部、5…凹部、7…写真、
8…透明樹脂
【発明の属する技術分野】
この発明は、金属素材を母材とし、該母材金属の表面に画像を描出してなる微細加工品の加工方法、特にはその内周面及び又は外周面に画像の描出される指輪の微細加工方法に関し、更に詳しくは、任意の原資料の写真画像に対して描出できる微細加工品の加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
指輪等の微細加工品において、その表面に微細図形を描出する技術として特開平10−109500号公報が公知である。
しかし、この技術は2階調処理をもって図形を単純化するので、必ずしも人物等の特徴を鮮明に出すことができない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、その表面に微細な画像の要求される指輪等の金属微細加工品において、鮮明な画像が得られ、かつ、その製作が容易で製作費用の低廉化をなし得る微細加工品の加工方法並びにその微細加工品を提供することを目的とする。
本発明はこの目的を達成するため、コンピュータ内で縮小画像処理され出力された写真画像を金属本体に嵌め込む、との着想のもとになされたものである。
本発明はまた、ハロゲン化銀を基材とする解像度の高い銀塩写真への画像焼き付けにも着目したものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の微細加工品の加工方法は、具体的には次の構成を採る。
その第1の発明は、金属素材を母材とするとともに微細画像が表面に描出される微細加工品において、該母材金属の表面に写真画像が嵌め込まれる微細加工品の加工方法であって、
前記写真画像の原資料を画像処理プログラムの内蔵されたコンピュータに取り込み、取り込まれた画像を所要の画像処理をなすとともに縮小化して印画紙又は普通紙上に写真画像を出力し、
この得られた写真画像を前記母材金属の表面に該写真画像に合わせて凹設された凹部に嵌め込み、
前記凹部において前記写真画像の上面に透明合成樹脂材による透明層を形成する、
ことを特徴とする。
本第1発明では、プリンターより所要の縮小された写真画像を得る。
本第1発明において、
▲1▼画像処理において写真画像に並べて文字が入力されること、
▲2▼写真画像の印画紙又は普通紙への出力は銀塩写真方式によってなされること、
は適宜実施される態様である。
上記▲2▼の銀塩写真方式の態様は、レーザー光で感光紙を感光させ、印画紙又は普通紙に転写し、写真における焼付けをもって印刷するものである。この態様は、▲1▼レーザー光で感光紙を3色同時に露光する、ハロゲン化銀が光に反応し潜像が形成される、▲2▼露光された感光紙を少量の水で湿らせ、印画紙又は普通紙に張り合わせて加熱して現像を進行させ、色画像が印画紙又は普通紙に移り定着される、▲3▼使用済み感光紙が剥離され、カラープリントを得る、との工程よりなる。この方式によれば、極めて鮮明な画像が印刷される。
【0005】
その第2の発明は、金属素材を母材とするとともに微細画像が表面に描出される微細加工品において、該母材金属の表面に写真画像が嵌め込まれる微細加工品の加工方法であって、
前記写真画像の原資料を画像処理プログラムの内蔵されたコンピュータに取り込み、取り込まれた画像を所要の画像処理をなすとともに印画紙又は普通紙上に写真画像を印刷出力し、
この印刷出力画像を写真機によりフィルムをもって撮影し、撮影後のフィルム処理をなし、所定の縮小率で印画紙へ焼付けて写真画像を形成し、
この得られた写真画像を前記母材金属の表面に該写真画像に合わせて凹設された凹部に嵌め込み、
前記凹部において前記写真画像の上面に透明合成樹脂材による透明層を形成する、
ことを特徴とする。
本第2発明では、ネガあるいはポジフィルムより所要の縮小された写真画像を得る。
【0006】
上記第1及び第2発明の構成において、
▲1▼写真画像の原資料は、カラー写真、黒白写真が選ばれるが、通常はカラー写真が使用され、またその他の写真映像を除外するものではない。原資料の写真はその大きさ及びポジ・ネガを問わないが、通常は標準サイズ、ポジのものが採用される、
▲2▼印画紙は、ハロゲン化銀を基材として、カラー印画紙にあっては所要の発色層が形成されており、加熱等の手段をもって発色させるものであり、高解像性を発揮する。該印画紙には上層表面に耐熱層がコーティングされている、
▲3▼画像処理は、表示画面において画像補正に限らず、適宜の加工処理がなされる、
は適宜選択される事項である。
微細加工品は指輪であり、該指輪の内周面及びまたは外周面に写真画像が嵌め込まれてなる。
【0007】
(作用)
微細加工品の表面に描出される画像は、写真画像によるので、鮮明であり、識別度が高まる。
また、画像は写真の嵌込みによるので、画像の有する微細加工品において、画像に係る製作手間が大幅に簡素化され、かつ迅速化される。
【0008】
本発明はまた、金属素材を母材とするとともに微細画像が表面に描出される微細加工品に係り、
母材金属の表面に写真画像が嵌め込まれる微細加工品であって、
前記写真画像の原資料を画像処理プログラムの内蔵されたコンピュータに取り込み、取り込まれた画像を所要の画像処理をなすとともに縮小化して印画紙又は普通紙上に写真画像を出力し、
この得られた写真画像を前記母材金属の表面に該写真画像に合わせて凹設された凹部に嵌め込み、
前記凹部において前記写真画像の上面に透明合成樹脂材による透明層を形成してなる、
ことを特徴とする。
本発明は更にまた、金属素材を母材とするとともに微細画像が表面に描出される微細加工品に係り、
該母材金属の表面に写真画像が嵌め込まれる微細加工品であって、
前記写真画像の原資料を画像処理プログラムの内蔵されたコンピュータに取り込み、取り込まれた画像を所要の画像処理をなすとともに印画紙又は普通紙上に写真画像を印刷出力し、
この印刷出力画像を写真機によりフィルムをもって撮影し、撮影後のフィルム処理をなし、所定の縮小率で印画紙への焼付けをなして写真画像を形成し、
この得られた写真画像を前記母材金属の表面に該写真画像に合わせて凹設された凹部に嵌め込み、
前記凹部において前記写真画像の上面に透明合成樹脂材による透明層を形成する、
ことを特徴とする。
【0009】
(作用)
指輪の微細加工品において、その内周面及び又は外周面に描出される画像は、写真画像によるので、鮮明であり、識別度が高まる。
また、画像は写真の嵌込みによるので、画像の有する指輪において、画像に係る製作手間が大幅に簡素化され、かつ迅速化される。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の微細画像を有する金属微細加工品の加工方法の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図5はその一実施形態の指輪への適用例を示す。すなわち、図1はその指輪Rの全体構成を示し、図2、図3は各部分構成を示し、図4、図5は加工工程を示す。
【0011】
図1に示すように、本指輪Rは金属素材の指輪本体1の内周面に縮小化された写真画像を含む画像部2が形成されてなる。
【0012】
以下、更に細部構成に付き詳しく説明する。
図2、図3はその詳細構造を示す。
指輪本体1
指輪本体1は、一定厚さのリング状体(外周面1A、内周面1B)をなし、金属素材として、銀、真鍮、金、プラチナ、ステンレス等の適宜のものが採択されるが、本実施形態では特に真鍮、銀への適用に付いて述べる。
真鍮を素材とするとき、本体1の外周にメッキ層3が施される。
【0013】
画像部2
画像部2は、指輪Rの外周面1A及び又は内周面1Bに施されるが、本実施形態では指輪Rの内周面1Bに施される。
5はその凹部であって、施される画像の大きさに見合って凹設される。凹設手段として、切削加工、鋳型成形などの適宜手段が選択される。
しかして、この凹部5に写真7及び透明樹脂層8が順次積層して装着される。
(写真7)
写真7は縮小処理され、凹部5に直接、もしくはメッキ層3を介して凹部5に嵌め込まれ、接着剤により固定される。
(透明樹脂層8)
透明樹脂層8は写真7の上部に充填される。該樹脂層8の表面8aは指輪Rの内周面1Bの曲率に一致し、面一とされる。
【0014】
本指輪Rにおいて、素材が銀、金、プラチナにおいてはそれら素材の地肌のものが現れ、真鍮においてはメッキ層により銀光沢を持たせる。
また、本指輪Rの諸元の一例を示すと、本体1の幅を10.0mmとし、凹部5は本体1の上下に1.0mmの縁部を存して8.0mmの幅で形成される。写真7は8.0×8.0mmとされる。
【0015】
本指輪Rの加工手順
本指輪Rは以下の手順をもって加工される。
【0016】
(1) 凹部の形成・表面処理
指輪本体1はハンドメイドあるいは鋳造のいずれによっても成形される。該指輪本体1の外周面1Aには適宜装飾加工が施される。
しかる後、指輪本体1の内面1Bに凹部5を切削加工をもって形成する。該凹部5は本体1を鋳造にて成形する場合には鋳造と同時になすこともできる。
本体1の素材に真鍮が選ばれるとき、ニッケルあるいは更にはロジウムによるメッキ処理3が施される。該メッキ層3は本体1の全周面あるいは外周面1Aに施される。なお、該メッキ層3は本発明において本質的事項ではなく、適宜省略されうる。
【0017】
(2) 写真の処理
指輪に描出される画像に付き、その画像の原資料である写真(以下「原写真」という)を所定の画像処理をなす画像処理プログラムの内蔵されたコンピュータをもって以下の処理がなされる。本処理に適用される原写真はカラー写真であり、画像はカラー画像であるが、黒白写真であってもよく、カラー処理に準じて処理される。
該コンピュータにはカラーディスプレイ装置(CRTあるいは液晶式表示装置など)、スキャナー、カラー印刷機が接続される。この画像処理プログラムの内蔵されたコンピュータによれば、画像の取込み、その処理及びその出力がなされる。
なお、原写真はその大きさ及びポジ・ネガを問わないが、通常は標準の手札サイズ(8.3×10.8cm)、ポジである。
【0018】
(2−1)
原写真をコンピュータに連動する画像取込み装置(スキャニング装置)いわゆるスキャナーをもってコンピュータ内に取り込む。同時にディスプレイ装置の表示画面にその画像を適宜の大きさで表示する。
本スキャナーの解像度は、300dpiないし600dpiあるいはそれ以上のもの、更には高解像度(1200dpi,2000dpiもしくはそれ以上)のものが使用される。
【0019】
(2−2)
表示画面上において写真画像に対しトリミング、更にはその他の補正処理をする。すなわち、人物写真に付き、先ず人物周辺を区画して取り入れ、人物自体に付いては不鮮明な箇所があれば鮮明化し、人物以外の背景をぼかす、等の補正処理がなされるこのとき、次の工程でなされる縮小化を考慮して最小限の簡素化をなす。
なお言えば、必要があれば、上記以外の種々の画像処理、例えば人物相互の合成、背景の付加、等の処理を施すことができ、多様な画像を作成することができる。そして、当該画像情報は適宜のファイル形式で保存される。
【0020】
(2−2a)
要すれば、この写真画像に並べて文字情報が入力される。
先ず、表示画面上に写真画像を入力するに十分な大きさの枠を作成し、この枠に(2−2) 工程で作成・保存した写真画像を取り込む。次いで、写真画像に相並べてその余白内に文字入力(写真画像が顔写真であれば当該人物の氏名、生年月日等の個人情報)をなす。この表示画像情報も適宜保存される。
【0021】
(2−3)
上記の(2−2) 又は(2−2a)の画像をカラー印刷機(プリンター)をもって所定の大きさに縮小化してカラー写真7を出力する。この工程において、一般の写真処理(ネガフィルムの焼付け)に使用されるものと構造的に実質的に同一のハロゲン化銀を含む印画紙が用いられ、この印画紙の発色をなす。
その一方式として、印画紙には所要の発色層が形成されており、加熱をもって発色させ紫外線をもって定着させるものである。また、発色層の上層表面に耐熱層がコーティングされている。直接感熱記録方式はこの方式に属する。
図4はその印画紙Pの模式断面構成を示し、支持体10上にCyan(シアン)記録層11、Magenda(マゼンダ)記録層12、Yellow(イエロー)記録層13を順次積層されてなる。14は耐熱性保護膜であって、表層にコーティングされる。この印画紙によれば、高解像度性能を有し、印画性能はプリンターの解像度に依存する。
なお、要すれば、縮小率が十分でないとき、上記の処理を反復して所期の縮小写真7を得るものとする。
印画紙への他の出力方式として、感光紙を用い、該感光紙を介して印画紙を発色させるいわゆる銀塩写真方式が採られる。
もっと詳しくは、この銀塩写真方式は、レーザー光で感光紙を感光させ、印画紙に転写し、写真における焼付けをもって印刷するものである。
その工程は、次のようになされる。
▲1▼レーザー光で感光紙を3色同時に露光する。ハロゲン化銀が光に反応し潜像が形成される。
▲2▼露光された感光紙を少量の水で湿らせ、印画紙に張り合わせて加熱して現像を進行させ、色画像が印画紙に移り定着される。
▲3▼使用済み感光紙が剥離され、カラープリントを得る。
この方式によれば、極めて鮮明な画像が印刷される。
印画紙以外、すなわち普通紙への出力方式の昇華型熱転写方式、溶融型熱転写方式、レーザー方式、インクジェット方式を採るときも、同様にして、所定の大きさに縮小化してカラー写真7を出力する。これらの方式での出力に当り、上質紙の使用をなすことが肝要である。
更にまた、印刷出力を普通紙をもってなすとき、次の工程が採られる。
【0022】
(2−4)
上記(2−3) の工程において、普通紙に印刷出力をなすとき、そのカラー印刷出力を写真機によりカラーフィルムをもって撮影し、撮影後のフィルム処理(現像・定着)をなし、カラー印画紙への焼付けをなす。しかる後、これを裁断し、所定の大きさの写真7を得る。
図5は写真機による撮影の要領を示す。図に示すように、写真機Cをカラー印刷出力Kより一定間隔を保って配してカラーフィルムFに撮影するものである。
この場合、上記(2−3) の工程の印刷出力Kは格別縮小印刷する必要はない。また、撮影されたカラーネガフィルムFは十分に小さく、所定の縮小率に達しているものである。
これにより、カラーフィルム並びに印画紙自体の高解像度の写真7が得られる。
【0023】
(2−5)
上記(2−3) あるいは (2−4)の工程に替えて、(2−2) の工程より次の工程を採ることもできる。
すなわち、(2−2) の工程で得られた画像をカラープリンターをもって所定の大きさでカラー印刷出力する。このカラー印刷出力は、印画紙を用いることも、普通紙をもってなすことも、自由である。この印刷出力は、格別縮小印刷する必要はない。
しかる後、(2−4) で述べたように(図5参照)、そのカラー印刷出力を写真機によりカラーフィルムをもって撮影し、撮影後のフィルム処理(現像・定着)をなし、カラーネガフィルムを得たのち、所定の縮小率でカラー印画紙への焼付けをなす。そして、これを裁断し、所定の大きさの写真7を得る。
本工程において肝要なことは、最終的に、所定の印画紙に、所定の縮小率もって写真7を得ることである。
これにより、カラーフィルム並びに印画紙自体の高解像度の写真7が得られる。
【0024】
(3) 写真の嵌込み
縮小化された写真7を凹部5に嵌め込む。写真7の嵌込み装着に当り、凹部5に接着剤16が塗布され写真7を接着固定する。該接着材16は耐熱性を有するものが選ばれる。
【0025】
(4) 透明層の形成
透明合成樹脂8の素材を用意する。該透明合成樹脂8は熱可塑性のもの、あるいは熱硬化性のものを問わない。
しかして、該透明合成樹脂8を高温状態にし、凹部5において写真7上に盛り込み、その硬化を待つ。熱可塑性樹脂にあっては高温にて溶融もしくは軟化させ、その溶融・軟化状態から冷却硬化をなす。熱硬化性のものにあっては凹部に充填した原料体を高温にて硬化させるか、もしくは、その液状体を塗布し硬化をなす。
溶融状態の透明合成樹脂8は写真7の表面及び凹部5のその余の部分に付着し、固化とともに一体化する。このとき、写真7はその上面層が耐熱性コーティイング層により耐熱性を発揮し、透明合成樹脂8の高温に耐え、変形・変質はしない。
【0026】
本発明に使用される透明合成樹脂8として、次のものが推奨される。
熱可塑性樹脂としては、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン(特に、低・中密度ポリエチレン)、ポリスチレン、飽和ポリエステル樹脂(特に、PET)、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール、セルロースエステル(特に、アセチルセルロース、アセチルブチルセルロース)、TPX樹脂、メタクリル酸メチル樹脂、が選ばれる。AS樹脂、ABS樹脂、塩化ビニリデン樹脂、はそれらに準じて選ばれる。上記の内、特に、アセチルセルロース及びメタクリル酸メチル樹脂は好適な樹脂である。
熱硬化性樹脂として、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂(DAP樹脂)が選ばれる。
なお、熱硬化性樹脂のエポキシ樹脂は、わずかな着色性(褐色)を示すが、透明度が大きく薄肉状では格別の問題もない。。そして、該エポキシ樹脂は硬化剤の添加による固結に伴う収縮率が極めて小さく、内周面凹部への充填用樹脂として好適である。
【0027】
(5) 仕上げ加工
透明合成樹脂8は指輪Rの内周面1Bに盛り上げられて形成され、しかる後、指輪Rの内周曲率に合わせて面一にする。
外周面1Aには適宜の装飾加工がなされる。
【0028】
上記(3) 及び(4) の行程で、凹部5へ塗布される接着剤16、及び凹部5へ充填される合成樹脂8を同一素材とすることを妨げるものではない。すなわち、液状の熱硬化性樹脂、例えばエポキシ樹脂を使用すれば接着性を兼ね所期の作用を発揮する。
【0029】
叙上の実施形態では指輪本体1の内周面1Bへの画像加工を示したが、指輪本体1の外周面1Aへの画像加工も同様になされる。すなわち、、外周面1Aに凹部5が形成され、適宜メッキ層3が施され、該凹部5に接着剤16を塗布し、縮小化された写真7を接着固定するとともに透明合成樹脂8を充填する。
透明合成樹脂8は、上述の素材が適用される。
この場合、不飽和ポリエステル樹脂は固化状態で適宜の収縮性を示し、外周面凹部への充填用樹脂として好適である。
【0030】
(実施形態の作用・効果)
本実施形態の指輪Rの加工方法において、指輪Rの内周面B及び又は外周面1Aに描出される画像は、写真画像7によるので鮮明であり、小型の指輪であっても識別度が高い。これにより、従来の技術では描出し得なかった微細描写が可能となり、その結果、情報量がより豊富化する。
また、カラー印画紙での画像によるとき、印画紙自体の解像度は格段に高く、従って印刷出力の高い解像度に良好に追従し、かつその上面の保護層により耐熱作用が発揮される。更にまた、カラー写真撮影を介する場合においては、ネガ又はポジフィルム自体の高い解像能力と相まって、格段に高い解像度により鮮明な画像が得られる。
更に、画像は写真7の嵌込みによるので、画像に係る製作手間が大幅に簡素化され、かつ迅速化される。加えて、安価な素材を使用することにより、大幅な製作費用の低減化を図ることができる。
また、写真7は透明層8により強固に固定され、かつ保護されているので、過酷な環境に耐えて変質せず、長期の使用が可能となる。
以上に加え、原写真より取り込まれた画像は画像処理プログラムにより自在に補正かつ加工されるものであり、多様な画像表現が可能となる。
【0031】
(他の実施形態)
叙上の実施形態では指輪への適用を示したが、その他の微細加工品・小物身飾り品への適用がなされる。
すなわち、ペンダントヘッド、ブローチ、ブレスレット、バングル、あるいはベルトのバックル等への適用はその例示である。
【0032】
本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の基本的技術思想の範囲内で種々設計変更が可能である。すなわち、以下の態様は本発明の技術的範囲内に包含されるものである。
▲1▼本発明は実施形態の指輪並びに小物身飾り品に限定されず、微細画像を有する他の加工品一般への適用が可能である。
【0033】
【発明の効果】
本発明の微細加工品の加工方法によれば、その表面に描出される画像は、写真画像によるので、鮮明であり、識別度が高まる。これにより、従来の技術では描出し得なかった微細加工品における微細描写が可能となり、その結果、情報量がより豊富化する。
また、画像は写真の嵌込みによるので、画像の有する微細加工品において、画像に係る製作手間が大幅に簡素化され、かつ迅速化される。加えて、安価な素材を使用することにより、大幅な製作費用の低減化を図ることができる。
また、印画紙による写真出力を採ることにより、印画紙自体の高解像度に加え、上層の保護膜により耐熱性が付加され、透明層との一体化が図り得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の加工方法の一実施形態の指輪への適用例を示す全体斜視図。
【図2】図1の2−2線方向矢視図。
【図3】図1の3−3線方向模式断面図。
【図4】本実施形態に使用される印画紙の断面模式図。
【図5】本実施形態の一態様を示す工程図。
【符号の説明】
R…指輪(微細加工品)、1…指輪本体、2…画像部、5…凹部、7…写真、
8…透明樹脂
Claims (8)
- 金属素材を母材とするとともに微細画像が表面に描出される微細加工品において、該母材金属の表面に写真画像が嵌め込まれる微細加工品の加工方法であって、
前記写真画像の原資料を画像処理プログラムの内蔵されたコンピュータに取り込み、取り込まれた画像を所要の画像処理をなすとともに縮小化して印画紙又は普通紙上に写真画像を出力し、
この得られた写真画像を前記母材金属の表面に該写真画像に合わせて凹設された凹部に嵌め込み、
前記凹部において前記写真画像の上面に透明合成樹脂材による透明層を形成する、
ことを特徴とする微細加工品の加工方法。 - 画像処理において写真画像に並べて文字が入力されることを特徴とする請求項1に記載の微細加工品の加工方法。
- 写真画像の印画紙又は普通紙への出力は銀塩写真方式によってなされる請求項1又は2のいずれかに記載の微細加工品の加工方法。
- 金属素材を母材とするとともに微細画像が表面に描出される微細加工品において、該母材金属の表面に写真画像が嵌め込まれる微細加工品の加工方法であって、
前記写真画像の原資料を画像処理プログラムの内蔵されたコンピュータに取り込み、取り込まれた画像を所要の画像処理をなすとともに印画紙又は普通紙上に写真画像を印刷出力し、
この印刷出力画像を写真機によりフィルムをもって撮影し、撮影後のフィルム処理をなし、所定の縮小率で印画紙へ焼付けて写真画像を形成し、
この得られた写真画像を前記母材金属の表面に該写真画像に合わせて凹設された凹部に嵌め込み、
前記凹部において前記写真画像の上面に透明合成樹脂材による透明層を形成する、
ことを特徴とする微細加工品の加工方法。 - 写真画像はカラーである請求項1ないし4のいずれかに記載の微細加工品の加工方法。
- 微細加工品は指輪であり、該指輪の内周面及び又は外周面に写真画像が嵌め込まれてなる請求項1ないし5のいずれかに記載の微細加工品の加工方法。
- 金属素材を母材とし、該母材金属の表面に写真画像が嵌め込まれて微細画像が表面に描出される微細加工品であって、
前記写真画像の原資料を画像処理プログラムの内蔵されたコンピュータに取り込み、取り込まれた画像を所要の画像処理をなすとともに縮小化して印画紙又は普通紙上に写真画像を出力し、
この得られた写真画像を前記母材金属の表面に該写真画像に合わせて凹設された凹部に嵌め込み、
前記凹部において前記写真画像の上面に透明合成樹脂材による透明層を形成してなる、
ことを特徴とする微細加工品。 - 金属素材を母材とし、該母材金属の表面に写真画像が嵌め込まれて微細画像が表面に描出される微細加工品であって、
前記写真画像の原資料を画像処理プログラムの内蔵されたコンピュータに取り込み、取り込まれた画像を所要の画像処理をなすとともに印画紙又は普通紙上に写真画像を印刷出力し、
この印刷出力画像を写真機によりフィルムをもって撮影し、撮影後のフィルム処理をなし、所定の縮小率で印画紙への焼付けをなして写真画像を形成し、
この得られた写真画像を前記母材金属の表面に該写真画像に合わせて凹設された凹部に嵌め込み、
前記凹部において前記写真画像の上面に透明合成樹脂材による透明層を形成する、
ことを特徴とする微細加工品。
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JP2003030788A JP2004237651A (ja) | 2003-02-07 | 2003-02-07 | 微細画像を有する指輪等の微細加工品の加工方法及びその微細加工品 |
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