JP2004235417A - 光半導体装置および光伝送装置 - Google Patents
光半導体装置および光伝送装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004235417A JP2004235417A JP2003021962A JP2003021962A JP2004235417A JP 2004235417 A JP2004235417 A JP 2004235417A JP 2003021962 A JP2003021962 A JP 2003021962A JP 2003021962 A JP2003021962 A JP 2003021962A JP 2004235417 A JP2004235417 A JP 2004235417A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- optical semiconductor
- optical
- semiconductor device
- signal
- current
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Images
Landscapes
- Semiconductor Lasers (AREA)
- Optical Communication System (AREA)
Abstract
【解決手段】LD(光半導体素子)20と、LD(光半導体素子)20に駆動電流を出力するLD駆動回路1とを備え、LD駆動回路1は、方形波の駆動電流と、当該駆動電流の最大繰り返し周波数に対して略3倍の周波数、あるいは、それ以上の周波数を有する正弦波的な信号電流とを重ね合わせた信号電流を駆動信号として出力する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、光半導体装置および光伝送装置に関するものであり、特に、電気信号に基づいて変調された光信号を出力する光半導体素子を備えた光半導体装置および光伝送装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体レーザを駆動して光信号を出射させる半導体レーザ駆動回路を備え、この半導体レーザ駆動回路と半導体レーザとの間に、インピーダンス整合素子と立ち下がり時間調節抵抗素子とを設けて半導体レーザに光変調信号を供給する光半導体装置がある(例えば、特許文献1を参照)。この立ち下がり時間調節抵抗素子は、半導体レーザに並列に配置され、半導体レーザとインピーダンス整合素子の有するインピーダンス誤差によって、半導体レーザ駆動回路との間に生じるインピーダンスの不整合を補正する。さらに、この立ち下がり時間調節抵抗素子は、光信号の立ち下がり時間を調節している。
【0003】
また、従来から、半導体レーザおよびダンピング抵抗からなる直列接続体に対し、有限の寄生インダクタンス成分を含む外付け抵抗を並列に接続する光半導体装置が知られている(例えば、特許文献2を参照)。この文献においては、半導体レーザ、ダンピング抵抗、外付け抵抗などの並列接続素子全体でのインダクタンス量が、駆動回路側から見て抵抗が接続されない場合に比べて低減される技術が開示されており、光送信波形上での立ち下がり時間の増大を伴うことなく、リンギングを抑圧した光出力波形が得られている。
【0004】
さらに、従来技術として、差動増幅回路とインピーダンス整合素子と駆動振幅調整電流源と電源とを有し、差動増幅回路への信号入力端子と差動増幅器との間に波形整形回路を接続する光半導体装置がある(例えば、特許文献3を参照)。この文献に記載された光半導体装置では、光変調素子の駆動波形が調整され、最適かつ高速な光出力波形が得られている。また、この駆動波形の調整においては、光出力波形のクロスポイントが最適な状態に設定されている。
【0005】
また、従来から、立ち上がり時間や立ち下がり時間が比較的に長い半導体レーザ駆動回路に対して、その立ち上がり特性または立ち下がり特性を改善しようとするとき、この半導体レーザ駆動回路にピーキング特性を持たせるように調整することによって、僅かなリンギングが発生することが知られている(例えば、非特許文献1を参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平5−327617号公報(第4−8頁、図1)
【特許文献2】
特開平7−46194号公報(第3−4頁、図1)
【特許文献3】
特開平11−223802号公報(第1、3−5頁、図3)
【非特許文献1】
A Versatile Si−Bipolar Driver Circuit with High Output VoltageSwing for External and Direct Laser Modulation in 10 Gb/s Optical−FiberLinks IEEE JOURNAL OF SOLID−STATE CIRCUITS, Vol. 29, No.9(第1014−1017頁、図3)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したような従来の光半導体装置では、立ち下がり時間の長い光信号を改善するため、半導体レーザと半導体レーザ駆動回路との間に、インピーダンス整合素子またはダンピング抵抗を設け、これと並列に抵抗素子を接続していた。しかし、並列接続の抵抗素子を介して高周波信号が接地面に漏れ出るため、大きな電力損失を伴うという問題点があった。
【0008】
また、従来の光半導体装置では、光出力波形のクロスポイントのずれを解消するために、波形整形回路でクロスポイントの位置を調整し、クロスポイントのずれの範囲内で光出力波形における見かけ上の立ち下がり時間を短縮するようにしていた。しかし、光出力波形の立ち下がりの勾配(立ち下がりの速度)が小さくなって、光出力波形のアイ開口が非対称な形状に歪んでしまうような場合には、立ち下り時間をより早くするような調整、すなわち、立ち下がりの勾配をより大きくするような調整ができず、短縮できる時間にも自ずと限界があった。
【0009】
また、立ち下がり時間が比較的に長い半導体レーザ駆動回路の立ち下がり特性を改善するために半導体レーザ駆動回路にピーキング特性を持たせるように調整する技術について上述したが、この技術は、リンギング現象を生じさせて光波形を劣化させるものであり、従来は、排除もしくは低減すべきものであるとして取り扱われており(特許文献2、非特許文献1を参照)、このピーキング特性を積極的に活用しようという考え方はなかった。
【0010】
しかし、たとえ、光波形が半導体レーザ駆動回路のリンギング特性で波打っていたとしても、受信器で光電気変換され、電気フィルタを通過した後の電気波形のアイ開口が改善されていればよい。
【0011】
この発明は、上記に鑑みてなされたものであり、光半導体素子から出力される光出力波形の立ち下がり時間を改善せしめる光半導体装置および光伝送装置を得ることを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、この発明にかかる光半導体装置にあっては、光半導体素子と、前記光半導体素子に駆動電流を出力する駆動回路とを備え、前記駆動回路は、方形波の駆動電流と当該駆動電流の最大繰り返し周波数に対して略3倍の周波数かそれ以上の周波数を有する正弦波的な信号電流とを重ね合わせた信号電流を出力することを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、光半導体素子に駆動電流を出力するために光半導体装置に備えられた駆動回路は、方形波の駆動電流に当該駆動電流の最大繰り返し周波数に対して略3倍の周波数かそれ以上の周波数を有する正弦波的な信号電流を重ね合わせた信号電流を駆動信号として出力することで、フィルタで等化した後の電気信号の立ち下がり特性を改善する。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、この発明にかかる光半導体装置および光半導体装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0015】
図1は、実施の形態1にかかる光半導体装置の一例を示す回路構成図である。同図において、レーザダイオード駆動回路(以下、LD駆動回路)1は、差動型の入力構成を有する入力バッファ11と、逆相信号および正相信号を出力する差動構成を成す一対の差動トランジスタ12、13、定電流動作をするトランジスタ14、差動トランジスタ12、13のコレクタの負荷であり、インピーダンス整合をとるための抵抗15、16をそれぞれ備えている。
【0016】
入力バッファ11は、入力される逆相信号と正相信号の波形を整形し、差動トランジスタ12および13のベースへ入力する調整された逆相信号と正相信号を生成する。
【0017】
差動構成を成す一対の差動トランジスタ12、13とトランジスタ14は、差動増幅器を構成する。差動トランジスタ12および13のそれぞれのコレクタ側は、抵抗15および16の一方側に接続されている。抵抗15、16の他方側は接地端子に接続される。差動トランジスタ12および13のそれぞれのエミッタは、定電流動作をするトランジスタ14に接続されている。
【0018】
差動トランジスタ12のベースには入力バッファ11の逆相信号出力端子が接続され、差動トランジスタ13のベースには入力バッファ11の正相信号出力端子が接続されている。トランジスタ14のエミッタ側、および入力バッファ11の電圧入力端子は、ともに負電源(Vee)に接続されている。
【0019】
差動トランジスタ12、13のコレクタ側の出力端子は、マイクロストリップ線路やグランデッドコプレーナ線路などで構成される分布定数回路18、整合抵抗19a、19bを介してレーザダイオード(以下、LD)20の一対の電極(アノードと、カソード)にそれぞれ接続されている。
【0020】
なお、差動トランジスタ12、13は、電界効果型トランジスタ(FET)を用いても良い。この場合、LD20のアノード、カソードともに、電界効果型トランジスタのドレイン側にそれぞれ接続される。
【0021】
LDモジュール2側は、分布定数回路18と、20Ω程度のインピーダンス整合用の整合抵抗19a、19bとを介して、高周波インピーダンスが5Ω程度のLD20と接続される。LD20のアノード側は整合抵抗19bに電気的に接続された導体線路に半田などで接合され、LD20のカソード側はワイヤボンド29を介して、整合抵抗19aと電気的に接続された導体線路に接続される。
【0022】
分布定数回路18は、LD駆動回路1の差動型の差動トランジスタ13、12のそれぞれの出力端子と、整合抵抗19a、19bのそれぞれとの間を、差動線路やワイヤボンドで接続して構成される。差動線路は、2つの導体線路(第1、第2の導体線路)を近接して配置して分布定数線路を構成する。差動線路を構成する導体線路は、誘電体基板の表面に形成されたストリップ導体と、誘電体基板の裏面に形成された地導体とで、マイクロストリップ線路を構成する。または、これ以外の導体線路として、ストリップ導体がコプレーナ線路や、グランデッドコプレーナ線路や、トリプレート線路などの他のマイクロ波伝送用の線路であっても良い。差動線路は、2つの導体線路に対する入力信号の、一方が正相信号、他方が逆相信号となるようにして信号伝送を行うことにより、2線路間の電気的結合度を高め、電界の漏洩損失を低減することができる。このため、差動線路は、結合線路とも呼ばれる。
【0023】
ここで、例えば、LD駆動回路1の出力端子の一端(正相信号出力端子または逆相信号出力端子)をLD20のカソードに接続し、LD20のアノードをグランドに接地する従来の単相駆動方式の場合について考える。この場合、LDを駆動した大電流が接地を経由してLD駆動回路に帰還するので、接地電位が変動する。このため、光受信系の電子回路を近接して設置した場合、微弱電流を検出する光受信系の電子回路(例えばプリアンプ、トランスインピーダンスアンプなど)に悪影響が出ることがある。
【0024】
これに対し、この実施の形態では、差動線路を用いて、LDをプッシュ・プル動作しているので、大電流は差動線路を流れ、接地電位の変動が少なくなり、周辺回路への影響が出にくいという利点がある。
【0025】
差動線路は、上述した2本の信号伝送用の導体線路(第1、第2の導体線路)を近接して配置した差動型のマイクロストリップ線路(マイクロストリップ差動線路)、あるいは差動型のグランデッドコプレーナ線路(グランデッドコプレーナ差動線路)や、2本の導体ピンを近接して配置した差動ピン(あるいはリード)などによって構成される。
【0026】
高周波に対するインピーダンスが大きいソレノイド21a(第1のインダクタンス素子)と、このソレノイド21aに並列に接続され共振防止のためにQ値を下げる抵抗22aとから第1のバイアス回路28aが構成される。また、高周波に対するインピーダンスが大きいソレノイド21b(第2のインダクタンス素子)と、このソレノイド21bに並列に接続され共振防止のためにQ値を下げる抵抗22bとから第2のバイアス回路28bが構成される。ソレノイド21a、21bには、バイアス電流(直流)を通過させるとともに、LD駆動回路1から出力される変調信号(数百kHz〜数十GHzの電気信号)が第1、第2のバイアス回路28a、28bから漏れ出るのを抑圧する、すなわち高周波信号を遮断するために空心コイルを用いている。
【0027】
第1のバイアス回路28aのソレノイド21a、および第2のバイアス回路28bのソレノイド21bとも、それぞれワイヤボンド23a、23bを介して、それぞれの一端側が、LD20のアノードおよびカソードに電気的に接続されたそれぞれの導体線路と接続される。これによって、バイアス回路28aは、ワイヤボンド23aを介して整合抵抗19aに電気的に接続された導体線路と接続されて、ワイヤボンド29を介してLD20のカソードに接続される。また、バイアス回路28bは、ワイヤボンド23bを介して整合抵抗19bに電気的に接続された導体線路と接続されて、LD20のアノードの半田付けされた導体線路(パッド)に接続される。
【0028】
LD20のアノード側は、ワイヤボンド23b、第2のバイアス回路28bの並列回路を介して接地端子に接続されている。LD20のカソード側は、ワイヤボンド23a、第2のバイアス回路28aの並列回路を介してトランジスタ24に接続される。トランジスタ24は、エミッタ側が負電圧源(Vee)に接続され、定電流動作を行う。この負電源は、LD駆動回路1のトランジスタ14が接続される負電源(Vee)と同じ電圧としているが、異なる電圧にしても良い。なお、バイアス回路28a、28bは、ワイヤボンド23a、23bなどとともに、高周波的には非接地の開放端子の如く作用する。
【0029】
このLD20の駆動構成によれば、LD20のアノード、カソードに一対の第1、第2のバイアス回路28a、28bを介して直流バイアス電流が供給され、かつ差動型の一対の差動トランジスタ12、13によってLD20のアノード、カソードに高周波の変調電流が差動で入力されている。
【0030】
すなわち、LD駆動回路1の差動トランジスタ12がONからOFF(差動トランジスタ13がOFFからON)になると、LD20に変調電流が流れ、LD20からのレーザ光出力はOFFからONとなる。また、差動トランジスタ13がONからOFF(差動トランジスタ12がOFFからON)になると、LD20に流れる変調電流が小さくなり、LD20からのレーザ光出力はONからOFFとなる。
【0031】
したがって、LD駆動回路1の差動的に構成された差動トランジスタ12、13から出力された変調電気信号は、分布定数回路18などを通じてLD20に伝送され、LD20において変調電気信号が光変調信号に変換される。LD20から発生された光変調信号は、集光レンズ25によって光ファイバ26に集光され、この光ファイバ26を通じて出力される。
【0032】
ここで、図2は、負電圧で駆動される一般的なLD駆動回路から出力される電気信号波形のアイパターンの一例を示す図である。このLD駆動回路は、負電圧で駆動されているので、光信号パルスの立ち上がり部に対応する電気信号パルスの立ち上がり部は下方に向かう部分であり、逆に、光信号パルスの立ち下がり部に対応する電気信号パルスの立ち下がり部は上方に向かう部分である。いま、立ち下がり時間をTfとし、立ち上がり時間をTrとすると、同図に示すように、TfがTrに比較して略40%長くなっている。
【0033】
図3(a)は、LD駆動回路1の一対の差動トランジスタ12、13の立ち上がり、立ち下がり特性を模式的に示す説明図であり、図3(b)は、一対の差動トランジスタ12、13の立ち上がり、立ち下がり特性が平均化される原理を示す説明図である。
【0034】
一対の差動トランジスタ12、13のそれぞれの特性は同等と仮定すると、図2に示したように、立ち下がり時間Tfと立ち上がり時間Trとの間には、Tr<Tfの関係があり、この関係を模式的に示すと、図3(a)に示すような波形となる。
【0035】
一方、図1に示したように、正相信号と逆相信号とが分布定数回路18を経由し、いずれか一つが整合抵抗19aを介してLD20のカソードに接続され、他方が整合抵抗19bを介してLD20のアノードに接続されている。これらの接続により、差動トランジスタ12が立ち上がるときは差動トランジスタ13が同時に立ち下がり、差動トランジスタ12が立ち下がるときは差動トランジスタ13が同時に立ち上がるので、LD20から見れば一対の差動トランジスタ12、13からプシュ・プルで駆動されていることになる。
【0036】
したがって、図1に示すこの発明の光半導体装置の回路は、このようなプシュ・プル動作を行うので、分布定数回路18が差動線路となりLD20に対する電流の押し込み(push)と吸い出し(pull)とを同時に行い、LD20から見れば差動トランジスタ12の立ち上がり時間(Tr)と、差動トランジスタ13の立ち下がり時間(Tf)との平均時間((Tr+Tf)/2)で動作していることになる。この結果、図3(b)に示すような、立ち上がり時間と立ち下がり時間とが平均化され、対称形を成した、立ち上がり/立ち下がり特性となる。
【0037】
図4は、リンギングの周波数を変化させて、光波形と等化後の電気波形とを、それぞれ重ね書きした図である。同図に示す波形は、光半導体であるInGaAsP系のレーザダイオード素子のレート方程式を、NRZ(Non Return to Zero)、27−1のPRBS(Pseudo−Random Binary Sequence)の方形波をした注入電流波形(方形波デジタル出力の電気波形)にそれぞれの周波数の正弦波振幅(正弦波的な電気波形)を重ね合わせた際に出力される光波形(同図中央に示す「フィルタなし」)と、この光出力波形を(4次の)ベッセルフィルタで等化した後の電気波形(同図右側に示す「フィルタあり」)とをシュミレーションしたものである。
【0038】
このシュミレーション結果から明らかなように、方形波信号の最大繰り返し周波数が5GHzであるのに対してリンギングの周波数を、ほぼ3倍の15GHz付近か、それ以上にするとフィルタで等化した後の電気信号の立ち下がりが上昇して、アイ開口の大きなより品質のよい光出力波形が得られることが分かる。
【0039】
ここで、この正弦波的な電気波形を有する信号電流は、正弦波的な振幅を時間とともに減衰させるとともに、当該正弦波的な振幅を少なくとも1.5周期の間で有意に持続していることを特徴としている。
【0040】
例えば、光出力波形のアイ開口における波形線が幾重にも重なりを生じて波形品質が劣化する場合、光出力信号の伝送先(光受信装置側)でビットエラーが増大する。従来の光半導体装置では、そのような波形改善効果において限界があった。
【0041】
しかし、この実施の形態では、LD駆動回路の方形波デジタル出力の電気波形に、その電気波形の最大繰り返し周波数のほぼ3倍の正弦波的な電気波形を重ね合わせることにより、アイ開口の大きなより品質のよい光出力波形を得ている。
【0042】
図5(a)は、この発明の実験例である光波形を示す図であり、図5(b)は、この発明の実験例であるフィルタ等価後の電気波形を示す図である。また、図6は、この発明を用いない場合のフィルタ等価後の電気波形を示す図である。
【0043】
図5(a)に示す波形は、実際にこの原理を応用した光半導体装置(または光送信装置)が出力する光波形である。一見すると、この図が示すように、アイ開口が小さくなり、光信号が劣化したように見受けられる。しかしながら、図示を省略している光受信装置に設けられたベッセルフィルタで等化した後の電気波形を示すものである図5(b)に示す波形を見れば、良好なアイパターンが得られていることが分かる。また、この原理を使用していない場合の電気出力波形の例である図6と比較して、十分な改善効果が得られていることが分かる。なお、ここではベッセルフィルタを用いた場合について示したが、これ以外の他の低域通過フィルタを用いてもよい。
【0044】
なお、最大繰り返し周波数は、NRZ方式では伝送レートが10Gビット/秒のときには5GHzであり、RZ(Return to Zero)方式の場合は10Gビット/秒のときには10GHzであり、信号パターンによってその周波数が異なる。
【0045】
また、光送信装置から伝送された光信号は光ファイバを介して伝送された後、ベッセルフィルタの設けられた光受信装置で受信される。光ファイバの伝送距離が100kmを超える長距離に渡って伝送される場合、光波長の分散特性の影響によって波形が劣化する。このため、この実施の形態の光半導体装置から出力される光信号の波長(LD20の出力波長)は、波長分散特性の影響の生じ難い1.3μm帯が好適である。ただし、波長分散特性の影響を受けない範囲内であれば、1.5μm帯などの他の波長帯の光信号を出力するLD20を用いても良い。
【0046】
この実施の形態によれば、LD駆動回路の方形波デジタル出力の電気波形に、その電気波形の最大繰り返し周波数のほぼ3倍の正弦波的な電気波形が重ね合わされているので、光半導体素子の立ち下がりの開始時には光強度が比較的に大きくなっている。このため、その立ち下がり時間が同等であっても光出力変化の勾配が大きくなり、結果として良好なアイ開口を得ることができる。
【0047】
以上説明したように、この実施の形態の光半導体装置によれば、光半導体素子に駆動電流を出力するために光半導体装置に備えられた駆動回路が、方形波の駆動電流と当該駆動電流の最大繰り返し周波数の略3倍の周波数かそれ以上の周波数を有する正弦波的な信号電流とを重ね合わせた信号電流を駆動信号として出力するようにしているので、フィルタで等化した後の電気信号の立ち下がり特性が改善され、アイ開口の大きなより品質のよい光出力波形が得られるという効果を奏する。
【0048】
また、この実施の形態の光半導体装置によれば、駆動回路が出力する方形波の駆動電流に、正弦波的な振幅が時間とともに減衰し、この正弦波的な振幅が少なくとも方形波の駆動電流の最大繰り返し周期の略1.5倍の周期の間で有意に維持されている信号電流が重ね合わされることにより、電気信号の立ち下がり特性の改善が効果的に実現できるという効果を奏する。なお、ここでいうところの有意とは、電気信号の立ち下がり特性の改善効果が生ずる程度に、方形波の駆動電流に重ね合わされる正弦波的な信号が出力されることを意味する。
【0049】
また、この実施の形態の光伝送装置によれば、光半導体装置から出力された光信号を受光して光電変換する光電変換素子(図示省略)および当該光電変換素子の後段に接続された低域通過フィルタを有した光受信装置(図示省略)と、上述した光半導体装置とを備えることにより、アイ開口の大きなより品質のよい光出力波形が得られるという効果を奏する。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明にかかる光半導体装置によれば、光半導体素子に駆動電流を出力するために光半導体装置に備えられた駆動回路が、方形波の駆動電流と当該駆動電流の最大繰り返し周波数の略3倍の周波数かそれ以上の周波数を有する正弦波的な信号電流とを重ね合わせた信号電流を駆動信号として出力するようにしているので、フィルタで等化した後の電気信号の立ち下がり特性が改善され、アイ開口の大きなより品質のよい光出力波形が得られるという効果を奏する。
【0051】
また、この発明にかかる光半導体装置を用いれば、光信号の伝送に有用な光伝送装置を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1にかかる光半導体装置の一例を示す回路構成図である。
【図2】負電圧で駆動される一般的なLD駆動回路から出力される電気信号波形のアイパターンの一例を示す図である。
【図3】(a)は、LD駆動回路の一対の差動トランジスタの立ち上がり、立ち下がり特性を模式的に示す説明図であり、(b)は、一対の差動トランジスタの立ち上がり、立ち下がり特性が平均化される原理を示す説明図である。
【図4】リンギングの周波数を変化させて、光波形と等化後の電気波形とを、それぞれ重ね書きした図である。
【図5】(a)は、この発明の実験例である光波形を示す図であり、(b)は、この発明の実験例であるフィルタ等価後の電気波形を示す図である。
【図6】この発明を用いない場合のフィルタ等価後の電気波形を示す図である。
【符号の説明】
1 LD駆動回路、2 LDモジュール、11 入力バッファ、12,13 差動トランジスタ、14,24 トランジスタ、15,22a,22b 抵抗、18 分布定数回路、19a,19b 整合抵抗、20 LD、21a,21bソレノイド、23a,23b,29 ワイヤボンド、25 集光レンズ、26光ファイバ、28a,28b バイアス回路、Tf 立ち下がり時間、Tr 立ち上がり時間。
Claims (8)
- 光半導体素子と、
前記光半導体素子に駆動電流を出力する駆動回路とを備え、
前記駆動回路は、方形波の駆動電流と、当該駆動電流の最大繰り返し周波数に対して略3倍の周波数かそれ以上の周波数を有する正弦波的な信号電流と、を重ね合わせた信号電流を出力することを特徴とする光半導体装置。 - 前記正弦波的な信号電流は、正弦波的な振幅が時間とともに減衰し、この正弦波的な振幅が少なくとも前記方形波の駆動電流の最大繰り返し周期の略1.5倍の周期の間で有意に維持されていることを特徴とする請求項1に記載の光半導体装置。
- 前記光半導体素子の出力光信号は、10GbpsのNRZ(Non Return to Zero)信号であって、前記最大繰り返し周波数は5GHzであることを特徴とする請求項1または2に記載の光半導体装置。
- 前記光半導体素子の出力光信号は、10GbpsのRZ(Return to Zero)信号であって、前記最大繰り返し周波数は10GHzであることを特徴とする請求項1または2に記載の光半導体装置。
- 前記駆動回路は差動増幅器で構成され、一対の正相信号および逆相信号を出力する一対の出力端子を有し、
一端部が前記駆動回路の有する一対の出力端子の一方に接続され、他端部が前記光半導体素子の有する一対の電極の一方に接続された第1の導体線路と、
一端部が前記駆動回路の有する一対の出力端子の他方に接続され、他端部が前記光半導体素子の有する一対の電極の他方に接続されて、前記第1の導体線路とともに一対の差動線路を成す第2の導体線路と、
を備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の光半導体装置。 - 前記第1の導体線路と、前記光半導体素子の一方の電極の接続部に接続され、バイアス電流が流れる第1のインダクタンス素子と、
前記第2の導体線路と、前記光半導体素子の他方の電極の接続部に接続され、バイアス電流が流れる第2のインダクタンス素子と、
を備えたことを特徴とする請求項5に記載の光半導体装置。 - 前記光半導体装置は、1.3μm帯の波長の光信号を出力することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の光半導体装置。
- 請求項1〜7のいずれか一つに記載の光半導体装置と、
前記光半導体装置から出力された光信号を受光して光電変換する光電変換素子および当該光電変換素子の後段に接続された低域通過フィルタを有した光受信装置と、
を備えたことを特徴とする光伝送装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003021962A JP4526767B2 (ja) | 2003-01-30 | 2003-01-30 | 光半導体装置および光伝送装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003021962A JP4526767B2 (ja) | 2003-01-30 | 2003-01-30 | 光半導体装置および光伝送装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004235417A true JP2004235417A (ja) | 2004-08-19 |
JP4526767B2 JP4526767B2 (ja) | 2010-08-18 |
Family
ID=32951164
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003021962A Expired - Fee Related JP4526767B2 (ja) | 2003-01-30 | 2003-01-30 | 光半導体装置および光伝送装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4526767B2 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006222263A (ja) * | 2005-02-10 | 2006-08-24 | Mitsubishi Electric Corp | 光半導体装置 |
CN113972558A (zh) * | 2021-10-18 | 2022-01-25 | 厦门优迅高速芯片有限公司 | 光学器件驱动电路、光组件及电子设备 |
Citations (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS60199244A (ja) * | 1984-03-23 | 1985-10-08 | Hitachi Ltd | レ−ザ駆動方式 |
JPS61199344A (ja) * | 1985-03-01 | 1986-09-03 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | 半導体レ−ザ装置の駆動方法 |
JPH03151743A (ja) * | 1989-11-08 | 1991-06-27 | Sumitomo Electric Ind Ltd | 光受信器回路 |
JPH08102710A (ja) * | 1994-09-30 | 1996-04-16 | Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> | 光伝送装置 |
JPH11145549A (ja) * | 1997-11-06 | 1999-05-28 | Nec Corp | 多重量子井戸構造とこれを有する光半導体装置と光変調器 |
JPH11298070A (ja) * | 1998-04-08 | 1999-10-29 | Sumitomo Electric Ind Ltd | 半導体レーザモジュール |
JP2000164973A (ja) * | 1998-11-26 | 2000-06-16 | Canon Inc | 半導体レーザ駆動回路 |
JP2002134842A (ja) * | 2000-10-26 | 2002-05-10 | Hitachi Ltd | 半導体レーザ装置 |
-
2003
- 2003-01-30 JP JP2003021962A patent/JP4526767B2/ja not_active Expired - Fee Related
Patent Citations (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS60199244A (ja) * | 1984-03-23 | 1985-10-08 | Hitachi Ltd | レ−ザ駆動方式 |
JPS61199344A (ja) * | 1985-03-01 | 1986-09-03 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | 半導体レ−ザ装置の駆動方法 |
JPH03151743A (ja) * | 1989-11-08 | 1991-06-27 | Sumitomo Electric Ind Ltd | 光受信器回路 |
JPH08102710A (ja) * | 1994-09-30 | 1996-04-16 | Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> | 光伝送装置 |
JPH11145549A (ja) * | 1997-11-06 | 1999-05-28 | Nec Corp | 多重量子井戸構造とこれを有する光半導体装置と光変調器 |
JPH11298070A (ja) * | 1998-04-08 | 1999-10-29 | Sumitomo Electric Ind Ltd | 半導体レーザモジュール |
JP2000164973A (ja) * | 1998-11-26 | 2000-06-16 | Canon Inc | 半導体レーザ駆動回路 |
JP2002134842A (ja) * | 2000-10-26 | 2002-05-10 | Hitachi Ltd | 半導体レーザ装置 |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006222263A (ja) * | 2005-02-10 | 2006-08-24 | Mitsubishi Electric Corp | 光半導体装置 |
CN113972558A (zh) * | 2021-10-18 | 2022-01-25 | 厦门优迅高速芯片有限公司 | 光学器件驱动电路、光组件及电子设备 |
CN113972558B (zh) * | 2021-10-18 | 2023-09-29 | 厦门优迅高速芯片有限公司 | 光学器件驱动电路、光组件及电子设备 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP4526767B2 (ja) | 2010-08-18 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US7515775B1 (en) | Distributed amplifier optical modulator | |
EP1523078B1 (en) | Optical semiconductor device | |
Webster et al. | Low-power MOS-capacitor based silicon photonic modulators and CMOS drivers | |
CN100365888C (zh) | 光模块 | |
US20060204168A1 (en) | Interconnect mechanism for connecting a laser driver to a laser | |
JP4295546B2 (ja) | 差動駆動型半導体光変調器 | |
US20030043869A1 (en) | Laser driver circuit | |
JP6701115B2 (ja) | 光送信機 | |
US9825709B2 (en) | Traveling wave amplifier for driving optical modulator | |
JP5954118B2 (ja) | 発光素子駆動回路及び発光装置 | |
US20110268454A1 (en) | Ld driver with an improved falling edge of driving signal and optical transmitter providing the same | |
JP2020043251A (ja) | 半導体装置 | |
JP4017352B2 (ja) | 光モジュール | |
JP4959617B2 (ja) | 光送信回路 | |
US20180356654A1 (en) | Drive circuit | |
JP2004336749A (ja) | 改良された電源電圧除去機能を有するフォトアンプ回路 | |
JP4526767B2 (ja) | 光半導体装置および光伝送装置 | |
JP2011238848A (ja) | 光通信モジュール | |
Rausch et al. | A performance comparison of single-ended-and differential driving scheme at 64 Gbit/s QPSK modulation for InP-based IQ-Mach-Zehnder modulators in serial-push-pull configuration | |
JP3937426B2 (ja) | プリアンプ回路 | |
CN110504617B (zh) | 激光器驱动电路 | |
JP2004241505A (ja) | E/o変換回路 | |
JP4054702B2 (ja) | 光送信器 | |
JP2002055318A (ja) | 光電変換半導体装置 | |
JPH0382230A (ja) | 光伝送方式及び光伝送装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20051201 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20090608 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20090616 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20090813 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20091208 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20100205 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20100601 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20100602 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130611 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |