JP2004233380A - ハロゲン化銀写真カラー感光材料用の漂白定着濃縮組成物及び該組成物を用いた処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】脱銀性に優れ、亜硫酸ガスの発生がなく、同時にカラーペーパー処理でのステインの発生防止が図れる漂白定着濃縮組成物及びこれを用いた感光材料の処理方法を提供する。
【解決手段】少なくともチオ硫酸塩と0.1モル/L以上のアミノポリカルボン酸鉄錯塩を含有する1パート構成のハロゲン化銀写真カラー感光材料用の漂白定着濃縮組成物において、前記アミノポリカルボン酸鉄錯塩は、少なくとも50モル%が第1鉄錯塩であり、かつ下記一般式(1)で表される化合物を含有することを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料用漂白定着濃縮組成物である。
一般式(1) R−SO2M′
〔式中、Rは炭素原子数1〜6のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、複素環基(5〜6員の不飽和環が縮合しているものを含む。)を表し、これらは置換基を有していてもよい。M′は水素原子、アンモニウム基又はアルカリ金属を表す。〕
【選択図】 なし
【解決手段】少なくともチオ硫酸塩と0.1モル/L以上のアミノポリカルボン酸鉄錯塩を含有する1パート構成のハロゲン化銀写真カラー感光材料用の漂白定着濃縮組成物において、前記アミノポリカルボン酸鉄錯塩は、少なくとも50モル%が第1鉄錯塩であり、かつ下記一般式(1)で表される化合物を含有することを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料用漂白定着濃縮組成物である。
一般式(1) R−SO2M′
〔式中、Rは炭素原子数1〜6のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、複素環基(5〜6員の不飽和環が縮合しているものを含む。)を表し、これらは置換基を有していてもよい。M′は水素原子、アンモニウム基又はアルカリ金属を表す。〕
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はハロゲン化銀写真感光材料(以下、感光材料、感材ということもある。)用の漂白定着濃縮組成物及び該組成物を用いた処理方法に関し、詳しくは濃縮液を用いて処理された処理感材のステインが改良され、さらに迅速性が向上した漂白定着濃縮組成物及びこれを用いた感材の処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
感光材料の処理は基本的には発色現像と脱銀の2工程からなり、脱銀は漂白と定着工程又は漂白定着工程からなっている。この他には付加的な処理工程としてリンス処理、安定処理等が加えられる。
【0003】
発色現像において、露光されたハロゲン化銀は還元されて銀になると同時に酸化された芳香族第1級アミン現像主薬はカプラーと反応して色素を形成する。この過程で、ハロゲン化銀の還元によって生じたハロゲンイオンが現像液中に溶出し蓄積する。又別には感光材料中に含まれる抑制剤等の成分も発色現像液中に溶出し蓄積される。脱銀工程では現像により生じた銀は酸化剤により漂白され、次いで全ての銀塩は定着剤により可溶性銀塩として、感光材料中より除去される。なお、この漂白工程と定着工程をまとめて同時に処理するのが一浴漂白定着処理方法である。
【0004】
一方、近年1Hour Photo(ワン アワー フォト)と称する1時間仕上がり、更には30分仕上がりを売りものにする写真店が広がっており、この傾向は益々強まってきており、更なる短時間化が求められている。短時間化はその場で処理できるというメリットがあるばかりでなく、自動現像機の小型化、高能力化が図られ、又、従来のミニラボ店から更に流通末端の観光地、カメラ店、ドラッグストアー、コンビニエンスストアー等にも広がるメリットがあり、更なる迅速化を求められている。
【0005】
ミニラボ店で使用される小型自動現像機であるミニラボ機を含む一般的な写真処理工程では、処理液の活性度を維持するために、処理毎に規定量の補充液が処理槽に補充されており、ミニラボ機においても、補充タンクに貯溜された補充液がポンプ等の供給手段によって、処理槽に供給される形態が一般的となっている。
【0006】
補充タンクの補充液は処理槽に補充されることで減少し、或る量に達したときに新たな補充液作成用の補充液キットを用いて補充液を調製し補充タンク内に補充される。
【0007】
一方、補充液の調製に関しても、1つの処理液を調製するのに複数のパーツに分かれた濃縮(濃厚)液からなる、いわゆる補充液キットを順序正しく水に溶解するといった作業が必要であり、このため誤溶解による補充液キットの損失や、処理性能に異常を来たす等の事故が絶えなかった。このため特に、開始液(スタート液)の調製においてはこれらの問題点解決が必要であった。
【0008】
従来の漂白定着剤は、漂白主剤と定着主剤を含み、両者の共存によるクロス酸化反応を防止するために、2パート(2液構成)の濃縮キットにより構成されていた。
【0009】
鉄配位子錯体とチオ硫酸塩と亜硫酸塩を含み且つ50モル%を超える鉄がFe(II)である漂白定着濃縮組成物が、Fe(II)成分が高いことによって、クロス酸化を防止でき、実際の使用時に際し希釈して作成された補充液状態では、空気酸化が始まり、活性成分Fe(III)の比率が増えて、問題なく処理できることが知られている(特許文献1参照。)。
【0010】
しかしながら、亜硫酸塩の存在化で空気酸化を行うことになり、Fe(II)の酸化速度が低下し、効率が悪くなること、空気中への亜硫酸ガスの発生が顕著になり、作業環境が劣化するという問題、さらには、漂白定着液中の亜硫酸濃度が低下することで、カラーペーパーに処理ステインの発生があることが判ってきた。
【0011】
一方、スルフィン酸またはポリリン酸を含む1パート漂白定着濃縮物の知られている(特許文献2参照。)が、この技術においても、空気中への亜硫酸ガスの飛散の防止が不十分であり、迅速処理性において十分でないことが判ってきた。
【0012】
【特許文献1】特開2002−169253
【特許文献2】特開2002−14449
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の課題は、脱銀性に優れ、亜硫酸ガスの発生がなく、同時にカラーペーパー処理でのステインの発生防止が図れる漂白定着濃縮組成物及びこれを用いた感光材料の処理方法を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明は下記構成を有する。
1.少なくともチオ硫酸塩と0.1モル/L以上のアミノポリカルボン酸鉄錯塩を含有する1パート構成のハロゲン化銀写真カラー感光材料用の漂白定着濃縮組成物において、前記アミノポリカルボン酸鉄錯塩は、少なくとも50モル%が第1鉄錯塩であり、かつ下記一般式(1)で表される化合物を含有することを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料用漂白定着濃縮組成物。
【0015】
一般式(1) R−SO2M′
【0016】
〔式中、Rは炭素原子数1〜6のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、複素環基(5〜6員の不飽和環が縮合しているものを含む。)を表し、これらは置換基を有していてもよい。M′は水素原子、アンモニウム基又はアルカリ金属を表す。〕
【0017】
2.亜硫酸塩濃度が0.01モル/Lから0.2モル/Lであることを特徴とする前記1に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料漂白定着濃縮組成物。
【0018】
3.チオシアン酸塩を含有することを特徴とする前記1又は2に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料漂白定着濃縮組成物。
【0019】
4.下記一般式(2)で表される化合物を含有することを特徴とする前記1〜3のいずれかに記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料漂白定着濃縮組成物。
【0020】
【化2】
【0021】
〔式中、R1〜R7は各々独立に水素原子、−OH、−COOM、−PO3M2、−SO3M、置換または無置換の炭素数1〜6のアルキル基を表す。Mは水素原子、アルカリ金属原子を表し、n、mは0又は1を表すが同時に0であることはない。〕
【0022】
5.前記漂白定着濃縮組成物のpHが3〜8であることを特徴とする前記1〜4のいずれかに記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料用漂白定着濃縮組成物。
【0023】
6.漂白定着処理工程を有するハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法において、該漂白定着処理工程に、前記1〜5のいずれかに記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料用漂白定着濃縮組成物を用いることを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法。
【0024】
7.前記漂白定着処理工程の補充量がハロゲン化銀カラー写真感光材料1m2あたり20mlから120mlであることを特徴とする前記6に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法。
【0025】
本発明の構成によれば、1パート(1液構成)の漂白定着濃縮組成物を用いながら、脱銀性に優れ、亜硫酸ガスの発生がなく、しかもカラーペーパー処理でのステインの発生を抑制することができる。
【0026】
【発明の実施形態】
以下、本発明について説明する。
本発明においては、一般式(1)で表される化合物(以下、本発明の化合物という。)を採用することが、最も優れた本発明の効果が得られ好ましく、以下に本発明の化合物の具体例を挙げるが、これらに限定されない。
【0027】
1−1 CH3−SO2H
1−2 CH3−SO2NH4
1−3 HOOC−CH2CH2−SO2H
【0028】
【化3】
【0029】
【化4】
【0030】
前記具体例のうち好ましいものとしては、1−1、1−4、1−7、1−10、1−12、中でも1−4、1−10がとりわけ好ましい。
【0031】
本発明の化合物は濃度0.01〜1.0モル/Lで用いるのが好ましく、より好ましくは0.05〜1.0モル/Lであり、更には0.2〜0.4モル/Lである。またこれら本発明の化合物は単独で用いても、併用して用いてもよく、亜硫酸塩と併用してもよいが、亜硫酸塩の濃度は0.01〜0.2モル/Lであることが好ましく、より好ましくは0.02〜0.1モル/Lである。亜硫酸塩の濃度がこれより低いと、処理されたカラーペーパーの未露光部にステインの発生があり、これより高いと亜硫酸ガスの蒸気の影響が大きくなり、臭気等で、環境への悪影響がある。
【0032】
本発明の化合物を保恒剤として採用することにより、漂白定着剤であってもpHを5以下と低下できて迅速処理が可能となる。又、本発明の漂白定着濃縮組成物を用いた漂白定着工程での補充量が20ml/m2以上120ml/m2以下の範囲の超低補充処理系において、本発明の効果を顕著に発揮する。
【0033】
本発明において、漂白剤として下記化合物の第2鉄錯塩等を用いることができる。
〔A−1〕エチレンジアミン四酢酸
〔A−2〕トランス−1,2−シクロヘキサンジアミン四酢酸
〔A−3〕ジヒドロキシエチルグリシン
〔A−4〕エチレンジアミンテトラキスメチレンホスホン酸
〔A−5〕ニトリロトリスメチレンホスホン酸
〔A−6〕ジエチレントリアミンペンタキスメチレンホスホン酸
〔A−7〕ジエチレントリアミン五酢酸
〔A−8〕エチレンジアミンジオルトヒドロキシフェニル酢酸
〔A−9〕ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸
〔A−10〕エチレンジアミンプロピオン酸
〔A−11〕エチレンジアミンジ酢酸
〔A−12〕ヒドロキシエチルイミノジ酢酸
〔A−13〕ニトリロトリ酢酸
〔A−14〕ニトリロ三プロピオン酸
〔A−15〕トリエチレンテトラミン六酢酸
〔A−16〕エチレンジアミン四プロピオン酸
〔A−17〕1,3−プロピレンジアミン四酢酸
〔A−18〕グリコールエーテルジアミン四酢酸
【0034】
上記のうちでも好ましくは〔A−1〕、〔A−7〕、〔A−17〕であり、特に好ましくは〔A−1〕である。
【0035】
さらに特開平5−224378に記載されている(A−I−1)〜(A−I−12)の化合物の第二鉄錯塩、(A−II−1)〜(A−II−17)の化合物の第二鉄錯塩、(A−III−1)〜(A−III−34)の化合物の第二鉄錯塩を用いることが好ましい。
【0036】
特に好ましい化合物は(A−I−1)、(A−I−2)および、(A−II−1)、(A−II−3)、(A−II−14)、および(A−III−1),(A−III−2),(A−III−6)である。
【0037】
アミノポリカルボン酸鉄錯塩は、本発明に係る漂白定着濃縮組成物を用いる際の処理液のタンク液1L当り少なくとも0.10モル使用され、0.10〜0.5モルの範囲で含有することが好ましく、より好ましくは0.10〜0.25モル/Lの範囲である。
【0038】
本発明に係わる該鉄錯塩のうち50モル%以上が第1鉄塩であり、この範囲において本発明の効果が得られる。また好ましくは実質的に80モル%以上であり、これが高いほど、本発明の効果をよりよく奏すことができる。
【0039】
本発明において、第1鉄塩比率を50モル%以上に達成する手段としては鉄錯体をアジチオン酸ナトリウム等の還元剤で還元しても良い。また無機鉄塩の第1鉄塩と第2鉄塩の比率を調整する事で、達成しても良い。好ましい第1鉄塩比率としては80モル%以上であり、本発明の効果をよりよく発揮する。
【0040】
上記第1鉄塩としては、例えば硫酸第1鉄、塩化第1鉄、シュウ酸第1鉄、酸化鉄などが挙げられ、より具体的な化合物としては、硫酸第1鉄アンモニウム、硫酸第1鉄ナトリウム、塩化第1鉄、臭化第1鉄、硫酸第1鉄、酢酸第1鉄、シュウ酸第1鉄、酸化鉄などである。また、第2鉄塩としては、硝酸第2鉄、塩化第2鉄、臭化第2鉄、三硫酸鉄(III)三M1、硫酸鉄(III)M1(但し、M1はアンモニウム、カリウム、ナトリウム又は水素原子を表す)などが挙げられ、より具体的な化合物としては、硝酸第2鉄、塩化第2鉄、臭化第2鉄、三硫酸鉄(III)三アンモニウム、三硫酸鉄(III)三カリウム、三硫酸鉄(III)三ナトリウム、硫酸鉄(III)カリウム、硫酸鉄(III)ナトリウム、硫酸鉄(III)アンモニウム等で挙げる事ができる。
【0041】
本発明に用いられる前記一般式(2)について説明する。
一般式(2)において、R1〜R7は各々独立に水素原子、−OH、−COOM、−PO3M2、−SO3M、置換または無置換の炭素数1〜6のアルキル基を表す。Mは水素原子、アルカリ金属原子を表し、n、mは0又は1を表すが同時に0であることはない。
【0042】
前記アルキル基は炭素数1〜4が好ましく、直鎖又は分岐のいずれでもよく、置換基を有していてもよい。好ましい置換基としては−OH、−COOM、−PO3M2、−SO3M、−NR8R9でありR8,R9は各々独立に水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表す。Mは水素原子、アルカリ金属を表し、好ましくはアルカリ金属である。n、mは0又は1を表すが同時に0であることはない。R1〜R9はそれぞれ同一であっても異っていてもよい。
【0043】
以下に、一般式(2)で表される化合物の好ましい例示化合物を挙げるが本発明はこれらに限定されるものではない。
【0044】
【化5】
【0045】
一般式(2)で表される化合物は、本発明に係る漂白定着濃縮組成物を用いる際の処理液のタンク液1L当り少なくとも0.01モル使用され、0.01〜0.5モルの範囲で含有することが好ましく、より好ましくは0.03〜0.2モル/Lの範囲である。
【0046】
本発明に係わる漂白定着濃縮組成物に用いられる定着剤としては、公知のものを用いることができ、好ましくはチオシアン酸塩とチオ硫酸塩が好ましく用いられ、定着剤の含有量は本発明に係る漂白定着濃縮組成物を用いる際の処理液のタンク液1L当り少なくとも0.1モルが好ましく、より好ましくは0.2〜2.0モル/Lであり、特に好ましくは0.3〜1モル/Lであり、とりわけ特に好ましくは0.4〜0.7モル/Lである。
【0047】
漂白定着濃縮組成物には、特開平3−243948号明細書に記載の一般式[FA]又は[FB]で示される化合物を添加するのがアンモニアフリー化を達成する上で好ましい。
【0048】
漂白定着濃縮組成物には、これら定着剤の他に、各種の塩から成るpH緩衝剤を単独或いは2種以上含むことができる。更にアルカリハライド又はアンモニウムハライド、例えば臭化カリウム、臭化ナトリウム、塩化ナトリウム、臭化アンモニウム等の再ハロゲン化剤を多量に含有させることが望ましい。またアルキルアミン類、ポリエチレンオキサイド類等の通常漂白能を有する処理液に添加することが知られている化合物を適宜添加することができる。
【0049】
本発明に係わる漂白定着濃縮組成物は、本発明の効果の点から実質的に酢酸を用いないことが好ましい。
【0050】
尚、本発明に係わる漂白定着濃縮組成物を用いた処理済み漂白定着液から公知の方法で銀回収してもよい。
【0051】
本発明に係わる漂白定着濃縮組成物中には下記一般式〔II〕で示される化合物を含有することが、本発明の効果を顕著に得るため好ましい。
【0052】
一般式〔II〕
A(−COOM)n
式中、Aは価の有機基を表し、nは1〜6の整数を表し、Mはアンモニウム、アルカリ金属(ナトリウム、カリウム、リチウム等)又は水素原子を表す。
【0053】
一般式〔II〕において、Aで表されるn価の有機基としては、アルキレン基(例えばメチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基等)、アルケニレン基(例えばエテニレン基等)、アルキニレン基(例えばエチニレン基等)、シクロアルキレン基(例えば1,4−シクロヘキサンジイル基等)、アリーレン基(例えばo−フェニレン基、p−フェニレン基等)、アルカントリイル基(例えば1,2,3−プロパントリイル基等)、アレーントリイル基(例えば1,2,4−ベンゼントリイル基等)が挙げられる。
【0054】
以上述べたAで表されるn価の基は置換基(例えばヒドロキシ基、アルキル基、ハロゲン原子等)を有するものを含む。例えば1,2−ジヒドロキシエチレン、ヒドロキシエチレン、2−ヒドロキシ−1,2,3−プロパントリイル、メチル−p−フェニレン、1−ヒドロキシ−2−クロルエチレン、クロルメチレン、クロルエテニレン等である。
【0055】
以下に、一般式〔II〕で表される化合物の好ましい具体例を示す。
【0056】
【化6】
【0057】
【化7】
【0058】
以上の例示化合物の中で特に好ましいのは例示化合物(II−1),(II−3),(II−4),(II−5),(II−16),(II−18)であり、とりわけ好ましいのは(II−5)である。
【0059】
一般式〔II〕で示される化合物は、本発明に係る漂白定着濃縮組成物を用いる際の処理液のタンク液1L当たり0.05〜2.0モル含有することが好ましいが、より好ましくは0.2〜1.0モル含有することである。
【0060】
本発明での1パート構成とは、漂白定着濃縮組成物のすべての成分が1つの容器に収容されていることである。
【0061】
次に漂白定着濃縮組成物の濃縮率について述べる。濃厚液体処理組成物の濃厚化の度合いを示す実用的な尺度として「濃縮率」が通常用いられる。濃縮率は、処理組成物(本発明に係る漂白定着濃縮組成物)を水で希釈して目的とする処理液を調製したときに完成した処理液(スタート液・補充液を含む。)のもとの液体処理組成物(本発明に係る漂白定着濃縮組成物)に対する体積比によって表す。したがって、同一組成の濃縮型処理組成物であっても、その「濃縮率」は、厳密には使用液の濃度によって異なることになる。
【0062】
本発明における漂白定着濃縮組成物の好ましい濃縮率は少なくとも1.0以上5.0以下であり、より好ましくは1.2〜4.0の濃縮率である。
本発明に係わる漂白定着濃縮組成物のpHは3〜8が好ましく、4〜7がより好ましい。pHがこれより低いとステインの発生は防止できるが、亜硫酸ガスの飛散が発生しやすい。逆にpHがこれより高いとステインの発生がある。
【0063】
pHを調整するためには、必要に応じて塩酸、硫酸、硝酸、重炭酸塩、アンモニア、苛性カリ、苛性ソーダ、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等を添加することができる。
【0064】
漂白定着濃縮組成物には、その他各種の蛍光増白剤や消泡剤或いは界面活性剤、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール等を含有させることができる。
【0065】
本発明に係る漂白定着濃縮組成物は、包材に充填して搬送され、使用に供される。
本発明の漂白定着濃縮組成物は、好ましくは下記包材に収容されることによって本発明の漂白定着濃縮組成物包装体になる。
【0066】
包材の材質は紙、プラスチックなどいかなる材質のものでもよいが、酸素透過度が、20ml/(m2・day・atm)以下のプラスチック材料が好ましく用いられ、特に好ましくは5ml/(m2・day・atm)以下である。なお、ここでいう酸素透過度の測定は常法に従い、JIS1707により測定した。
【0067】
本発明に係る漂白定着濃縮組成物を充填する包材で好ましく用いられるプラスチック材料としては、例えば次の一群に示すものが挙げられる。
(一群)
A ポリオレフィン系樹脂
B ポリエチレンー酢酸ビニル共重合体系樹脂
C エチレンービニルアルコール共重合体系樹脂
D ポリアミド系樹脂
E セラミック
F アクリロニトリル系樹脂
G ポリエチレンテレフタレート系樹脂
H ポリハロゲン化ビニリデン系樹脂
I ポリハロゲン化ビニル系樹脂
【0068】
ポリオレフィン系樹脂層に用いられる樹脂としては、ポリエチレンが好ましく、低密度ポリエチレン(以下、LDPEと略して呼ぶ。)、中密度ポリエチレン(以下、MDPEと略して呼ぶ。)および高密度ポリエチレン(以下、HDPEと略して呼ぶ。)のいずれも使用することができる。本発明に好ましく使用されるHDPEは、密度が0.941〜0.969のものである。また、好ましいLDPEは、高圧重合法で合成され、その密度は、0.910〜0.925である。
【0069】
容器としては、上記の密度範囲のHDPEを用いるのがよいが、さらにそのHDPEのメルトインデックス(ASTM D1238に規定された方法で、温度190°Cで押し出し圧力2.16kgで測定)が、0.3〜7.0g/10min、好ましくは0.3〜5.0g/10minであるものが好ましい。この範囲にあると漂白定着組成物用の容器として安定である。
【0070】
好ましい容器の厚みは、材質によって異なるが、好ましくは0.1〜2.0mm、とくに好ましくは0.3〜1.5mm、より好ましくは0.4〜1.0mmである。
【0071】
ポリアミド系樹脂は突き刺し強度や耐ピンホール性からナイロンが好ましく用いられる、厚みは3〜50μmが好ましく、より好ましくは5〜30μmである。とりわけ延伸ナイロンが好ましい。セラミックは酸化珪素を主体とする無機質であり、ポリエチレンとかポリエチレンフタレートに真空中でコートしても良い。これらの具体的なものは凸版印刷社製のGLタイプ(セラミック蒸着フィルム)等が挙げられる。
【0072】
またエチレンービニルアルコール共重合体樹脂としては、クラレ社製のクラレ、エバーフィルム(EF−XL,EF−F、EF−K)等が挙げられる。
【0073】
ポリハロゲン化ビニリデン系樹脂及びポリハロゲン化ビニル系樹脂のハロゲンとしては塩素、フッ素、臭素等が挙げられる、具体的にはポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル等の樹脂が挙げられる。
【0074】
しかしながら、本発明においては、環境適正の観点から焼却処理時に有害ガスの発生が好ましくないため、前記一群の中でも、A〜Gが好ましく用いられ、特に好ましくはA〜Fのものである。
【0075】
本発明において用いられる各樹脂は、「プラスチックフィルム」(日刊工業新聞社発行、高橋儀作、昭和51年12月20日増補版)に記載のある中から上記好ましい条件を満足するものを用いることができる。
【0076】
これらの材料は、単一で成型して使用しても良いが、2種類以上の材料をフィルム状にして貼り会わせたいわゆる多層フィルムを使用しても良い。包材の形状も、瓶タイプ、ピロータイプ等あらゆる構成を取ることができる。
【0077】
包材の材料として多層フィルムを使用する場合、層構成としては例えば、下記に示す構成が挙げられる。
(1) LLDPE/Ny(ナイロン)PET(ポリエチレンテレフタレート)
(2) LLDPE/Ny/EVOH(エバール)/Ny/ONy(延伸ナイロン)
(3) LLDPE/EVA(ポリエチレン−酢酸ビニル共重合体)/Ny
(4) LLDPE/S・PE(サンドポリエチレン)/HDPE(高密度ポリエチレン)/NY/EVOH/NY/PET
(5) LLDPE/KOH(塩化ビニリデンコートナイロン)
(6) LLDPE/GLPET(セラミックコーティングポリエチレンテレフタレート)
(7) PE(ポリエチレン)/EVOH/OPP(延伸ポリプロピレン)
【0078】
(8) LDPE(低密度ポリエチレン)/EVOH/PET
(9) LDPE/EVOH/ONy
(10) PE/KPE(塩化ビニリデンポリエチレンポリエステル)
(11) PE/Ny
(12) PE/EVOH/Ny
(13) PE/EVOH/KPE
(14) PE/EVOH/KPET(塩化ビニリデンコートPET)
(15) LDPE/EVOH/KPET
【0079】
(16) EVA(ポリエチレン−酢酸ビニル共重合体)/Ny
(17) EVA/ONy
(18) EVA/EVOH/ONy
(19) LDPE/AN(アクリロニトリル)/Ny
(20) LLDPE/S・PE/LLDPE/Ny/EVOH/Ny/ONy
(21) LLDPE/S・PE/HDPE/S・PE/LLDPE/Ny/EVOH/Ny/PET
(22) LLDPE/S・PE/LLDPE/Ny/EVOH/Ny/ONy
(23) LLDPE/S・PE/LLDPE/Ny/EVOH/Ny/PET
【0080】
多層フィルムの製造は特に限定されないが、例えばフィルムとフィルムを接着剤で貼り合わせる方法や、フィルムとフィルムを溶融した樹脂で貼り合わせる方法、2種類以上の樹脂をスリットから一緒に押し出すいわゆる共押し出しといわれる方法、その他の一般的に用いられるフィルム積層法などを単独又は組み合わせて用いられる。
【0081】
本発明に係わる漂白定着濃縮組成物を用いて調整された漂白定着組成物(処理液のことであり、補充液とも呼ばれる。)の補充量は、処理される感光材料1m2当たり20ml〜120mlが好ましく、より好ましくは30ml〜80mlである。処理される感光材料がカラ−ペーパーの場合の漂白定着時間は、5秒から1分、好ましくは5秒から35秒であり、より好ましくは8秒から25秒である。処理温度は25℃〜60℃、好ましくは30℃〜50℃である。
【0082】
次に、カラー現像処理、処理液および工程について説明する。現像処理工程は、発色現像、脱銀、水洗又は安定化、および安定化の各工程からなる。発色現像工程には、発色現像処理組成物から現像補充液および現像液が調製されて用いられる。その中には、カラー現像主薬を含有するが、好ましい例は公知の芳香族第1級アミン発色現像主薬、とくにp−フェニレンジアミン誘導体であり、代表例を以下に示すがこれらに限定されるものではない。
【0083】
1)N,N−ジエチル−p−フェニレンジアミン
2)4−アミノ−N,N−ジエチル−3−メチルアニリン
3)4−アミノ−N−(β−ヒドロキシエチル)−N−メチルアニリン
4)4−アミノ−N−エチル−N−(β−ヒドロキシエチル)アニリン
5)4−アミノ−N−エチル−N−(β−ヒドロキシエチル)−3−メチルアニリン
6)4−アミノ−N−エチル−N−(3−ヒドロキシプロピル)−3−メチルアニリン
7)4−アミノ−N−エチル−N−(4−ヒドロキシブチル)−3−メチルアニリン
【0084】
8)4−アミノ−N−エチル−N−(β−メタンスルホンアミドエチル)−3−メチルアニリン
9)4−アミノ−N,N−ジエチル−3−(β−ヒドロキシエチル)アニリン
10)4−アミノ−N−エチル−N−(β−メトキシエチル)−3メチル−アニリン
11)4−アミノ−N−(β−エトキシエチル)−N−エチル−3−メチルアニリン
12)4−アミノ−N−(3−カルバモイルプロピル−N−n−プロピル−3−メチルアニリン
13)4−アミノ−N−(4−カルバモイルブチル−N−n−プロピル−3−メチルアニリン
【0085】
上記p−フェニレンジアミン誘導体のうち特に好ましい主薬としては例示化合物5),6),7),8)及び12)であり、その中でも化合物5)と8)が多用される。
【0086】
また、これらのp−フェニレンジアミン誘導体は、固体素材の状態では、通常硫酸塩、塩酸塩、亜硫酸塩、ナフタレンジスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などの塩の形である。発色現像処理剤組成物は、使用に際して水と定められた比率で混合されて現像補充液(またはさらに希釈した現像液)の形の使用液にして用いるが、使用液中の該芳香族第1級アミン現像主薬の濃度は現像液1リットル当たり好ましくは2mmol〜200mmol、より好ましくは12mmol〜200mmol、更に好ましくは12mmol〜150mmolである。
【0087】
発色現像液には、通常ヒドロキシルアミン誘導体又はその塩あるいは、N−アルキルヒドロキシルアミン又はその塩を加えることが多いが、保恒剤としては、アルカノールアミン類、ヒドロキシルアミン誘導体、ヒドロキサム酸類、ヒドラジド類、フェノール類、α−ヒドロキシケトン類、α−アミノケトン類、糖類、ポリエチレンイミン類、モノアミン類、ジアミン類、ポリアミン類、四級アンモニウム塩類、ニトロキシラジカル類、アルコール類、オキシム類、ジアミド化合物類、縮環式アミン類などが特に有効である。これらは、特開昭63−4235号、同63−30845号、同63−21647号、同63−44655号、同63−53551号、同63−43140号、同63−56654号、同63−58346号、同63−43138号、同63−146041号、同63−44657号、同63−44656号、米国特許第3,615,503 号、同2,494,903号、特開昭52−143020号、特公昭48−30496号などの各公報又は明細書に開示されている。処理剤組成物を構成する場合に、これらの保恒剤は主薬とは別のパートとして構成するのが好都合のことが多い。
【0088】
発色現像液は、通常塩素イオンを3.5×10−2〜1.5×10−1mol/L含有することが多いが、塩素イオンは、通常現像の副生成物として現像液に放出されるので補充液には添加不要のことが多い。臭素イオンの含有に関しても塩素イオンの場合と同じ事情にある。発色現像液中の臭素イオンは、撮影用材料の処理では1〜5×10−3mol/L程度、プリント材料の処理では、1×10−3mol/L以下である。
【0089】
現像処理される感光材料がカラーペーパーの場合は、画面の背景の白地が白いことが重要な画質特性なので、スチルベン系蛍光増白剤、とくにジ(トリアジルアミノ)スチルベン系や、4、4′−ジアミノ−2,2′−ジスルホスチルベン系の蛍光増白剤を発色現像液に添加することもある。
【0090】
このスチルベン系蛍光増白剤は、発色現像液のほか、脱銀液あるいは感光材料のいずれにも添加できる。発色現像液中に含ませる場合は、その好適濃度は1×10−4〜5×10−2mol/Lであり、より好ましくは2×10−4〜1×10−2mol/Lである。
【0091】
発色現像液や現像補充液はpH9.5以上、より好ましくは10.0〜12.5で用いられる。pHを安定に保持するためには、各種緩衝剤を用いるのが好ましい。緩衝剤としては、炭酸塩の外に、リン酸塩、ホウ酸塩、四ホウ酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、グリシル塩、N,N−ジメチルグリシン塩、ロイシン塩、ノルロイシン塩、グアニン塩、3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン塩、アラニン塩、アミノ酪酸塩、2−アミノ−2−メチル−1, 3−プロパンジオール塩、バリン塩、プロリン塩、トリスヒドロキシアミノメタン塩、リシン塩などを用いることができる。該緩衝剤の量は、希釈調製した発色現像補充液中の濃度が、0.01〜2mol/L以上、特に0.1mol/L〜0.5mol/Lとなるように組成物中に添加される事が好ましい。
【0092】
発色現像組成物には、その他の発色現像液成分、例えばカルシウムやマグネシウムの沈澱防止剤であり、あるいはカラー現像液の安定性向上剤でもある各種キレート剤を添加することもできる。例えば、ニトリロ三酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、エチレンジアミン四酢酸、N,N,N−トリメチレンホスホン酸、エチレンジアミン−N,N,N′,N′−テトラメチレンスルホン酸、エチレンジアミンN,N−ジ琥珀酸、N,N−ジ(カルボキシラート)−L−アスパラギン酸、β−アラニンジ琥珀酸、トランスシロヘキサンジアミン四酢酸、1,2−ジアミノプロパン四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、エチレンジアミンオルトヒドロキシフェニル酢酸、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、N,N′−ビス(2−ヒドロキシベンジル)エチレンジアミン−N,N′−ジ酢酸、1,2−ジヒドロキシベンゼン−4,6−ジスルホン酸等が挙げられる。これらのキレート剤は必要に応じて2種以上併用しても良い。
【0093】
これらのキレート剤の量は発色現像液中の金属イオンを封鎖するのに充分な量であれば良い。例えば1リットル当り0.1g〜10g程度になるように添加する。発色現像液には、必要により任意の現像促進剤を添加できる。
【0094】
現像促進剤としては、数多くの公報に表わされる公知のチオエーテル系化合物、p−フェニレンジアミン系化合物、4級アンモニウム塩類、アミン系化合物、ポリアルキレンオキサイド、その他1−フェニル−3−ピラゾリドン類、イミダゾール類、等を必要に応じて添加することができる。
【0095】
また、発色現像液には、必要に応じて、任意のカブリ防止剤を添加できる。カブリ防止剤としては、アルカリ金属ハロゲン化物及び有機カブリ防止剤が使用できる。
【0096】
有機カブリ防止剤としては、例えばベンゾトリアゾール、6−ニトロベンズイミダゾール、5−ニトロイソインダゾール、5−メチルベンゾトリアゾール、5−ニトロベンゾトリアゾール、5−クロロ−ベンゾトリアゾール、2−チアゾリル−ベンズイミダゾール、2−チアゾリルメチル−ベンズイミダゾール、インダゾール、ヒドロキシアザインドリジン、アデニンの如き含窒素ヘテロ環化合物を代表例としてあげることができる。
【0097】
又、ポリアルキレングリコール類、アルキルスルホン酸、アリールスルホン酸、脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸等の各種界面活性剤を添加しても良い。
【0098】
以上、本発明の漂白定着濃縮組成物と組み合わせて用いられる発色現像組成物及びそれから調製される発色現像補充液又は現像液について説明した。
【0099】
発色現像の処理温度は、現像処理される感光材料がカラーペーパーの場合は、30〜55℃であり、好ましくは35〜55℃であり、より好ましくは38〜45℃である。現像処理時間は、5〜90秒であり、好ましくは15〜60秒である。補充量は少ない方が好ましいが、感光材料1m2当たり15〜600mlが適当であり、好ましくは30〜180mlである。
【0100】
また、本発明の漂白定着濃縮処理組成物は、カラー現像処理の脱銀工程に用いられるが、脱銀工程の構成は、つぎに示すように色々な形態を取ることが可能である。本発明の漂白定着濃縮組成物は、漂白定着補充液に調製されて漂白定着槽に添加され、通常この工程のみで脱銀工程が構成されるが、下記に示すように漂白あるいは定着工程が付加されることもある。
【0101】
代表的なカラー現像処理の脱銀工程の構成
(工程1) 漂白定着
(工程2) 漂白−漂白定着
(工程3) 漂白−漂白定着−定着
(工程4) 定着−漂白定着
(工程5) 漂白定着−定着
【0102】
また、これらの漂白、漂白定着、定着工程の個々の工程は、必要により複数浴に仕切られて、カスケード方式を採用することもある。漂白定着濃縮組成物およびそれから得られる処理液の組成、漂白定着工程の温度、処理時間などの条件についてはすでに説明したが、この工程について若干の補足を行う。
【0103】
本発明に係る漂白定着濃縮処理組成物から選られる漂白定着液を用いた処理に於いては、攪拌がされていることが好ましく、その実施には特開平3−33847号公報の第8頁、右上欄、第6行〜左下欄、第2行に記載の内容が、そのまま利用できる。
【0104】
脱銀工程においては、攪拌ができるだけ強化されていることが好ましい。攪拌強化の具体的な方法としては、特開昭62−183460号に記載の感光材料の乳剤面に処理液の噴流を衝突させる方法や、特開昭62−183461号の回転手段を用いて攪拌効果を上げる方法、更には液中に設けられたワイパーブレードと乳剤面を接触させながら感光材料を移動させ、乳剤表面を乱流化することによってより攪拌効果を向上させる方法、処理液全体の循環流量を増加させる方法が挙げられる。このような攪拌向上手段は、漂白液、漂白定着液、定着液のいずれにおいても有効である。攪拌の向上は乳剤膜中への漂白剤、定着剤の供給を速め、結果として脱銀速度を高めるものと考えられる。また、前記の攪拌向上手段は、漂白促進剤を使用した場合により有効であり、促進効果を著しく増加させたり漂白促進剤による定着阻害作用を解消させることができる。
【0105】
本発明に用いられる自動現像機は、特開昭60−191257号、同60−191258号、同60−191259号に記載の感光材料搬送手段を有していることが好ましい。前記の特開昭60−191257号に記載のとおり、このような搬送手段は前浴から後浴への処理液の持込みを著しく削減でき、処理液の性能劣化を防止する効果が高い。このような効果は各工程における処理時間の短縮や、処理液補充量の低減に特に有効である。
【0106】
定着又は漂白定着等の脱銀処理後、水洗又は水洗代替安定液処理、安定液処理あるいはその両方を行うのが一般的である。水洗又は水洗代替安定処理(以下まとめて水洗処理として述べる。)工程での水洗水量は、感光材料の特性(例えばカプラー等使用素材による)や用途、水洗水温、水洗タンクの数(段数)、その他種々の条件によって広範囲に設定し得る。
【0107】
このうち、多段向流方式における水洗タンク数と水量の関係は、ジャーナル・オブ・ザ・ソサエティ・オブ・モーション・ピクチャー・アンド・テレヴィジョン・エンジニアズ(Journal of the Society of Motion Picture and TelevisionEngineers)第64巻、p.248〜253(1955年5月号)に記載の方法で、求めることができる。
【0108】
通常多段向流方式における段数は3〜15が好ましく、特に3〜10が好ましい。多段向流方式によれば、水洗水量を大巾に減少でき、タンク内での水の滞留時間増加により、バクテリアが繁殖し、生成した浮遊物が感光材料に付着する等の問題が生じる。
【0109】
この様な問題の解決策として、特開昭62−288838号公報に記載のカルシウム、マグネシウムを低減させる方法を極めて有効に用いることができる。また、特開昭57−8542号公報に記載のイソチアゾロン化合物やサイアベンダゾール類、同61−120145号公報に記載の塩素化イソシアヌール酸ナトリウム等の塩素系殺菌剤、特開昭61−267761号公報に記載のベンゾトリアゾール、銅イオン、その他堀口博著「防菌防黴の化学」(1986年)三共出版、衛生技術会編、「微生物の減菌、殺菌、防黴技術」(1982年)工業技術会、日本防菌防黴学会編「防菌防黴剤事典」(1986年)に記載の殺菌剤を用いることもできる。
【0110】
更に、水洗処理における水洗水には、水切り剤として界面活性剤や、硬水軟化剤としてEDTAに代表されるキレート剤を用いることができる。以上の水洗工程に続くか、又は水洗工程を経ずに直接安定液で処理することも出来る。
【0111】
又、液中でのバクテリアの繁殖防止や処理後の感光材料に防黴性を付与するため、前記した各種殺菌剤や防黴剤を用いることができる。更に、界面活性剤、蛍光増白剤、硬膜剤を加えることもできる。本発明に係わる処理において、安定化が水洗工程を経ることなく直接行われる場合、特開昭57−8543号、同58−14834号、同60−220345号公報等に記載の公知の方法をすべて用いることができる。その他、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、エチレンジアミン四メチレンホスホン酸等のキレート剤、マグネシウムやビスマス化合物を用いることも好ましい態様である。
【0112】
脱銀処理後に用いられる水洗処理における水洗液又は安定液としていわゆるリンス液も同様に用いられる。水洗水又は安定液の好ましいpHは4〜10であり、更に好ましくは5〜8である。温度は感光材料の用途・特性等で種々設定し得るが、一般には20℃〜50℃、好ましくは25℃〜45℃である。
【0113】
水洗又は安定液処理の工程に続いて乾燥が行われる。画像膜への水分の持込み量を減じる観点から水洗浴から出た後すぐにスクイズローラや布などで水を吸収することで乾燥を早めることも可能である。乾燥機側からの改善手段としては、当然のことではあるが、温度を高くすることや吹きつけノズルの形状を変更し乾燥風を強くすることなどで乾燥を早めることが可能である。更に、特開平3−157650号公報に記載されているように、乾燥風の感光材料への送風角度の調整や、排出風の除去方法によっても乾燥を早めることができる。
【0114】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を例証する。
実施例1
コニカカラーQAペーパータイプA7(コニカ社製)を常法に従って露光後、次の処理工程と処理液を使用して処理を行った。
【0115】
処理工程、条件
工 程 処理時間 処理温度 補充量
発色現像 20秒 40.0℃ 60ml/m2
漂白定着 20秒 38.0℃ 60ml/m2
安定(3槽カスケード)
45秒 35〜38℃ 120ml/m2
乾燥 20秒 60〜80℃
【0116】
処理液の処方
発色現像補充液
水 800g/L
トリエタノールアミン 20g/L
ジエチレングリコール 6g/L
N,N−ジスルホエチルヒドロキシルアミン 8g/L
p−トルエンスルホン酸ナトリウム 15g/L
ジエチレントリアミン5酢酸5ナトリウム 4g/L
塩化カリウム 0.1g/L
炭酸カリウム 30g/L
炭酸水素カリウム 1g/L
亜硫酸カリウム 0.088g/L
発色現像主薬(3−メチル−4−アミノ−N−エチル−N−(β−メタンスルホ
ンアミドエチル)−アニリン硫酸塩) 12g/L
pH 11.5
水を加えて全量を1Lとし、pHは硫酸または水酸化カリウムで調整した。
【0117】
発色現像使用液(スタート液)
水 800g/L
トリエタノールアミン 20g/L
ジエチレングリコール 6g/L
N,N−ジスルホエチルヒドロキシルアミン 5g/L
p−トルエンスルホン酸ナトリウム 15g/L
ジエチレントリアミン5酢酸5ナトリウム 4g/L
臭化カリウム 20mg/L
塩化カリウム 2.5g/L
炭酸カリウム 25g/L
炭酸水素カリウム 5g/L
亜硫酸カリウム 0.063g/L
発色現像主薬(3−メチル−4−アミノ−N−エチル−N−(β−メタンスルホ
ンアミドエチル)−アニリン硫酸塩) 7.5g/L
pH 10.20
水を加えて全量を1Lとし、pHは硫酸または水酸化カリウムで調整した。
【0118】
漂白定着濃縮液
キレート剤A−1 表1記載
キレート剤A−1の第2鉄錯塩 表1記載
硫酸第1鉄7水和物 表1記載
亜硫酸アンモニウム 0.15モル
一般式(1)で表される化合物(表1記載) 0.2モル
チオ硫酸アンモニウム(75%水溶液) 162g
アンモニア水または希硫酸でpH5.0に調製し、水で500mlに仕上げる。
【0119】
漂白定着補充液
上記濃縮液を水で2倍に希釈する。
【0120】
漂白定着使用液(スタート液)
キレート剤A−1 0.19モル
硫酸第1鉄7水和物 0.18モル
亜硫酸アンモニウム 0.1モル
一般式(1)で表される化合物(表1記載) 0.13モル
チオ硫酸アンモニウム(75%水溶液) 108g
アンモニア水または希硫酸でpH5.5に調製し、水で1Lに仕上げる。
【0121】
安定液及び補充液
オルトフェニルフェノール 0.1g/L
ユビテックスMST(チバガイギー社製) 1.0g/L
亜硫酸アンモニウム(40%溶液) 5.0ml/L
1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸(60%溶液)
3.0g/Lエチレンジアミン4酢酸 1.5g/L
アンモニア水または希硫酸でpH7.8に調製し、水で1Lに仕上げる。
【0122】
ランニング処理は、コニカ社製プリンタープロセッサーNPS878SQAを前記処理工程の条件を満たすよう改造して行った。各処理液(スタート液)を処理タンクに満たし、前記カラーペーパー試料を処理するとともに、前記補充液を定量ポンプで補充した。ランニング処理は漂白定着タンク液中に補充された漂白定着補充液の量が該タンク液量(12L)の2倍(2ラウンド)になるまで、1日あたり0.5ラウンドの連続処理を行った。
【0123】
なお、漂白定着補充液は、あらかじめ作成した漂白定着濃縮液を空気を遮断して密閉保管しておき、1日1回6L分を補充タンク内で調製した(3Lの濃縮液を水で6Lに仕上げる)。
【0124】
ランニングテスト終了時、処理したカラーペーパー試料の未露光部の赤色光濃度を測定した。結果を表1に記す。また、処理タンク部の臭気を下記の基準で評価した。
【0125】
◎ は全く臭気が認められないこと、
○ は若干の臭気が認められること、
△ 明らかに臭気があるが、問題のないレベルであること、
× は問題になる臭気であること、
を各々意味する。
【0126】
【表1】
【0127】
*キレート剤A−1の添加量は、硫酸第1鉄7水和物の添加量の1.1倍量
【0128】
上記表1から,本発明に係わる前記一般式(1)で表される化合物を含有し、アミノポリカルボン酸鉄錯塩が少なくとも50モル%が第1鉄錯塩である漂白定着液の場合、処理感材のステインが低減され、臭気の発生もないことが判る。
【0129】
実施例2
実施例1の実験No1−4において、表2のように亜硫酸アンモニウムの添加量を変化させ、実施例1と同様の実験を行った。
【0130】
【表2】
【0131】
上記表2から、亜硫酸アンモニウムの添加量を0.01〜0.2モル/Lにすることで、より処理感材のステインが低減され、臭気の発生も少ないことが判る。
【0132】
実施例3
実施例1の実験No1−4において、表3のように一般式(2)で表される化合物を添加し、実施例1と同様の実験を行った。
【0133】
【表3】
【0134】
上記表3から、本発明に係わる前記一般式(2)で表される化合物を含有し、アミノポリカルボン酸鉄錯塩が少なくとも50モル%が第1鉄錯塩である漂白定着液の場合、処理感材のステインがより低減され、臭気の発生も少ないことが判る。
【0135】
実施例4
実施例1の実験No1−4において、表4のようにpHを変化させ、実施例1と同様の実験を行った。
【0136】
【表4】
【0137】
上記表4から、漂白定着液のpHを4〜7にすることで、より処理感材のステインが低減され、臭気の発生も少ないことが判る。
【0138】
実施例5
実施例1の実験No1−4において、表5のように漂白定着液の補充量を変化させ、実施例1と同様の実験を行った。
【0139】
【表5】
【0140】
上記表5から、漂白定着液の補充量を感光材料1m2当り20mlから120mlにすることで、より処理感材のステインが低減され、臭気の発生も少ないことが判る。
【0141】
【発明の効果】
本発明によれば、脱銀性に優れ、亜硫酸ガスの発生がなく、同時にカラーペーパー処理でのステインの発生防止が図れる漂白定着濃縮組成物及びこれを用いた感光材料の処理方法を提供できる。
【発明の属する技術分野】
本発明はハロゲン化銀写真感光材料(以下、感光材料、感材ということもある。)用の漂白定着濃縮組成物及び該組成物を用いた処理方法に関し、詳しくは濃縮液を用いて処理された処理感材のステインが改良され、さらに迅速性が向上した漂白定着濃縮組成物及びこれを用いた感材の処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
感光材料の処理は基本的には発色現像と脱銀の2工程からなり、脱銀は漂白と定着工程又は漂白定着工程からなっている。この他には付加的な処理工程としてリンス処理、安定処理等が加えられる。
【0003】
発色現像において、露光されたハロゲン化銀は還元されて銀になると同時に酸化された芳香族第1級アミン現像主薬はカプラーと反応して色素を形成する。この過程で、ハロゲン化銀の還元によって生じたハロゲンイオンが現像液中に溶出し蓄積する。又別には感光材料中に含まれる抑制剤等の成分も発色現像液中に溶出し蓄積される。脱銀工程では現像により生じた銀は酸化剤により漂白され、次いで全ての銀塩は定着剤により可溶性銀塩として、感光材料中より除去される。なお、この漂白工程と定着工程をまとめて同時に処理するのが一浴漂白定着処理方法である。
【0004】
一方、近年1Hour Photo(ワン アワー フォト)と称する1時間仕上がり、更には30分仕上がりを売りものにする写真店が広がっており、この傾向は益々強まってきており、更なる短時間化が求められている。短時間化はその場で処理できるというメリットがあるばかりでなく、自動現像機の小型化、高能力化が図られ、又、従来のミニラボ店から更に流通末端の観光地、カメラ店、ドラッグストアー、コンビニエンスストアー等にも広がるメリットがあり、更なる迅速化を求められている。
【0005】
ミニラボ店で使用される小型自動現像機であるミニラボ機を含む一般的な写真処理工程では、処理液の活性度を維持するために、処理毎に規定量の補充液が処理槽に補充されており、ミニラボ機においても、補充タンクに貯溜された補充液がポンプ等の供給手段によって、処理槽に供給される形態が一般的となっている。
【0006】
補充タンクの補充液は処理槽に補充されることで減少し、或る量に達したときに新たな補充液作成用の補充液キットを用いて補充液を調製し補充タンク内に補充される。
【0007】
一方、補充液の調製に関しても、1つの処理液を調製するのに複数のパーツに分かれた濃縮(濃厚)液からなる、いわゆる補充液キットを順序正しく水に溶解するといった作業が必要であり、このため誤溶解による補充液キットの損失や、処理性能に異常を来たす等の事故が絶えなかった。このため特に、開始液(スタート液)の調製においてはこれらの問題点解決が必要であった。
【0008】
従来の漂白定着剤は、漂白主剤と定着主剤を含み、両者の共存によるクロス酸化反応を防止するために、2パート(2液構成)の濃縮キットにより構成されていた。
【0009】
鉄配位子錯体とチオ硫酸塩と亜硫酸塩を含み且つ50モル%を超える鉄がFe(II)である漂白定着濃縮組成物が、Fe(II)成分が高いことによって、クロス酸化を防止でき、実際の使用時に際し希釈して作成された補充液状態では、空気酸化が始まり、活性成分Fe(III)の比率が増えて、問題なく処理できることが知られている(特許文献1参照。)。
【0010】
しかしながら、亜硫酸塩の存在化で空気酸化を行うことになり、Fe(II)の酸化速度が低下し、効率が悪くなること、空気中への亜硫酸ガスの発生が顕著になり、作業環境が劣化するという問題、さらには、漂白定着液中の亜硫酸濃度が低下することで、カラーペーパーに処理ステインの発生があることが判ってきた。
【0011】
一方、スルフィン酸またはポリリン酸を含む1パート漂白定着濃縮物の知られている(特許文献2参照。)が、この技術においても、空気中への亜硫酸ガスの飛散の防止が不十分であり、迅速処理性において十分でないことが判ってきた。
【0012】
【特許文献1】特開2002−169253
【特許文献2】特開2002−14449
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の課題は、脱銀性に優れ、亜硫酸ガスの発生がなく、同時にカラーペーパー処理でのステインの発生防止が図れる漂白定着濃縮組成物及びこれを用いた感光材料の処理方法を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明は下記構成を有する。
1.少なくともチオ硫酸塩と0.1モル/L以上のアミノポリカルボン酸鉄錯塩を含有する1パート構成のハロゲン化銀写真カラー感光材料用の漂白定着濃縮組成物において、前記アミノポリカルボン酸鉄錯塩は、少なくとも50モル%が第1鉄錯塩であり、かつ下記一般式(1)で表される化合物を含有することを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料用漂白定着濃縮組成物。
【0015】
一般式(1) R−SO2M′
【0016】
〔式中、Rは炭素原子数1〜6のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、複素環基(5〜6員の不飽和環が縮合しているものを含む。)を表し、これらは置換基を有していてもよい。M′は水素原子、アンモニウム基又はアルカリ金属を表す。〕
【0017】
2.亜硫酸塩濃度が0.01モル/Lから0.2モル/Lであることを特徴とする前記1に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料漂白定着濃縮組成物。
【0018】
3.チオシアン酸塩を含有することを特徴とする前記1又は2に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料漂白定着濃縮組成物。
【0019】
4.下記一般式(2)で表される化合物を含有することを特徴とする前記1〜3のいずれかに記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料漂白定着濃縮組成物。
【0020】
【化2】
【0021】
〔式中、R1〜R7は各々独立に水素原子、−OH、−COOM、−PO3M2、−SO3M、置換または無置換の炭素数1〜6のアルキル基を表す。Mは水素原子、アルカリ金属原子を表し、n、mは0又は1を表すが同時に0であることはない。〕
【0022】
5.前記漂白定着濃縮組成物のpHが3〜8であることを特徴とする前記1〜4のいずれかに記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料用漂白定着濃縮組成物。
【0023】
6.漂白定着処理工程を有するハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法において、該漂白定着処理工程に、前記1〜5のいずれかに記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料用漂白定着濃縮組成物を用いることを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法。
【0024】
7.前記漂白定着処理工程の補充量がハロゲン化銀カラー写真感光材料1m2あたり20mlから120mlであることを特徴とする前記6に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法。
【0025】
本発明の構成によれば、1パート(1液構成)の漂白定着濃縮組成物を用いながら、脱銀性に優れ、亜硫酸ガスの発生がなく、しかもカラーペーパー処理でのステインの発生を抑制することができる。
【0026】
【発明の実施形態】
以下、本発明について説明する。
本発明においては、一般式(1)で表される化合物(以下、本発明の化合物という。)を採用することが、最も優れた本発明の効果が得られ好ましく、以下に本発明の化合物の具体例を挙げるが、これらに限定されない。
【0027】
1−1 CH3−SO2H
1−2 CH3−SO2NH4
1−3 HOOC−CH2CH2−SO2H
【0028】
【化3】
【0029】
【化4】
【0030】
前記具体例のうち好ましいものとしては、1−1、1−4、1−7、1−10、1−12、中でも1−4、1−10がとりわけ好ましい。
【0031】
本発明の化合物は濃度0.01〜1.0モル/Lで用いるのが好ましく、より好ましくは0.05〜1.0モル/Lであり、更には0.2〜0.4モル/Lである。またこれら本発明の化合物は単独で用いても、併用して用いてもよく、亜硫酸塩と併用してもよいが、亜硫酸塩の濃度は0.01〜0.2モル/Lであることが好ましく、より好ましくは0.02〜0.1モル/Lである。亜硫酸塩の濃度がこれより低いと、処理されたカラーペーパーの未露光部にステインの発生があり、これより高いと亜硫酸ガスの蒸気の影響が大きくなり、臭気等で、環境への悪影響がある。
【0032】
本発明の化合物を保恒剤として採用することにより、漂白定着剤であってもpHを5以下と低下できて迅速処理が可能となる。又、本発明の漂白定着濃縮組成物を用いた漂白定着工程での補充量が20ml/m2以上120ml/m2以下の範囲の超低補充処理系において、本発明の効果を顕著に発揮する。
【0033】
本発明において、漂白剤として下記化合物の第2鉄錯塩等を用いることができる。
〔A−1〕エチレンジアミン四酢酸
〔A−2〕トランス−1,2−シクロヘキサンジアミン四酢酸
〔A−3〕ジヒドロキシエチルグリシン
〔A−4〕エチレンジアミンテトラキスメチレンホスホン酸
〔A−5〕ニトリロトリスメチレンホスホン酸
〔A−6〕ジエチレントリアミンペンタキスメチレンホスホン酸
〔A−7〕ジエチレントリアミン五酢酸
〔A−8〕エチレンジアミンジオルトヒドロキシフェニル酢酸
〔A−9〕ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸
〔A−10〕エチレンジアミンプロピオン酸
〔A−11〕エチレンジアミンジ酢酸
〔A−12〕ヒドロキシエチルイミノジ酢酸
〔A−13〕ニトリロトリ酢酸
〔A−14〕ニトリロ三プロピオン酸
〔A−15〕トリエチレンテトラミン六酢酸
〔A−16〕エチレンジアミン四プロピオン酸
〔A−17〕1,3−プロピレンジアミン四酢酸
〔A−18〕グリコールエーテルジアミン四酢酸
【0034】
上記のうちでも好ましくは〔A−1〕、〔A−7〕、〔A−17〕であり、特に好ましくは〔A−1〕である。
【0035】
さらに特開平5−224378に記載されている(A−I−1)〜(A−I−12)の化合物の第二鉄錯塩、(A−II−1)〜(A−II−17)の化合物の第二鉄錯塩、(A−III−1)〜(A−III−34)の化合物の第二鉄錯塩を用いることが好ましい。
【0036】
特に好ましい化合物は(A−I−1)、(A−I−2)および、(A−II−1)、(A−II−3)、(A−II−14)、および(A−III−1),(A−III−2),(A−III−6)である。
【0037】
アミノポリカルボン酸鉄錯塩は、本発明に係る漂白定着濃縮組成物を用いる際の処理液のタンク液1L当り少なくとも0.10モル使用され、0.10〜0.5モルの範囲で含有することが好ましく、より好ましくは0.10〜0.25モル/Lの範囲である。
【0038】
本発明に係わる該鉄錯塩のうち50モル%以上が第1鉄塩であり、この範囲において本発明の効果が得られる。また好ましくは実質的に80モル%以上であり、これが高いほど、本発明の効果をよりよく奏すことができる。
【0039】
本発明において、第1鉄塩比率を50モル%以上に達成する手段としては鉄錯体をアジチオン酸ナトリウム等の還元剤で還元しても良い。また無機鉄塩の第1鉄塩と第2鉄塩の比率を調整する事で、達成しても良い。好ましい第1鉄塩比率としては80モル%以上であり、本発明の効果をよりよく発揮する。
【0040】
上記第1鉄塩としては、例えば硫酸第1鉄、塩化第1鉄、シュウ酸第1鉄、酸化鉄などが挙げられ、より具体的な化合物としては、硫酸第1鉄アンモニウム、硫酸第1鉄ナトリウム、塩化第1鉄、臭化第1鉄、硫酸第1鉄、酢酸第1鉄、シュウ酸第1鉄、酸化鉄などである。また、第2鉄塩としては、硝酸第2鉄、塩化第2鉄、臭化第2鉄、三硫酸鉄(III)三M1、硫酸鉄(III)M1(但し、M1はアンモニウム、カリウム、ナトリウム又は水素原子を表す)などが挙げられ、より具体的な化合物としては、硝酸第2鉄、塩化第2鉄、臭化第2鉄、三硫酸鉄(III)三アンモニウム、三硫酸鉄(III)三カリウム、三硫酸鉄(III)三ナトリウム、硫酸鉄(III)カリウム、硫酸鉄(III)ナトリウム、硫酸鉄(III)アンモニウム等で挙げる事ができる。
【0041】
本発明に用いられる前記一般式(2)について説明する。
一般式(2)において、R1〜R7は各々独立に水素原子、−OH、−COOM、−PO3M2、−SO3M、置換または無置換の炭素数1〜6のアルキル基を表す。Mは水素原子、アルカリ金属原子を表し、n、mは0又は1を表すが同時に0であることはない。
【0042】
前記アルキル基は炭素数1〜4が好ましく、直鎖又は分岐のいずれでもよく、置換基を有していてもよい。好ましい置換基としては−OH、−COOM、−PO3M2、−SO3M、−NR8R9でありR8,R9は各々独立に水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表す。Mは水素原子、アルカリ金属を表し、好ましくはアルカリ金属である。n、mは0又は1を表すが同時に0であることはない。R1〜R9はそれぞれ同一であっても異っていてもよい。
【0043】
以下に、一般式(2)で表される化合物の好ましい例示化合物を挙げるが本発明はこれらに限定されるものではない。
【0044】
【化5】
【0045】
一般式(2)で表される化合物は、本発明に係る漂白定着濃縮組成物を用いる際の処理液のタンク液1L当り少なくとも0.01モル使用され、0.01〜0.5モルの範囲で含有することが好ましく、より好ましくは0.03〜0.2モル/Lの範囲である。
【0046】
本発明に係わる漂白定着濃縮組成物に用いられる定着剤としては、公知のものを用いることができ、好ましくはチオシアン酸塩とチオ硫酸塩が好ましく用いられ、定着剤の含有量は本発明に係る漂白定着濃縮組成物を用いる際の処理液のタンク液1L当り少なくとも0.1モルが好ましく、より好ましくは0.2〜2.0モル/Lであり、特に好ましくは0.3〜1モル/Lであり、とりわけ特に好ましくは0.4〜0.7モル/Lである。
【0047】
漂白定着濃縮組成物には、特開平3−243948号明細書に記載の一般式[FA]又は[FB]で示される化合物を添加するのがアンモニアフリー化を達成する上で好ましい。
【0048】
漂白定着濃縮組成物には、これら定着剤の他に、各種の塩から成るpH緩衝剤を単独或いは2種以上含むことができる。更にアルカリハライド又はアンモニウムハライド、例えば臭化カリウム、臭化ナトリウム、塩化ナトリウム、臭化アンモニウム等の再ハロゲン化剤を多量に含有させることが望ましい。またアルキルアミン類、ポリエチレンオキサイド類等の通常漂白能を有する処理液に添加することが知られている化合物を適宜添加することができる。
【0049】
本発明に係わる漂白定着濃縮組成物は、本発明の効果の点から実質的に酢酸を用いないことが好ましい。
【0050】
尚、本発明に係わる漂白定着濃縮組成物を用いた処理済み漂白定着液から公知の方法で銀回収してもよい。
【0051】
本発明に係わる漂白定着濃縮組成物中には下記一般式〔II〕で示される化合物を含有することが、本発明の効果を顕著に得るため好ましい。
【0052】
一般式〔II〕
A(−COOM)n
式中、Aは価の有機基を表し、nは1〜6の整数を表し、Mはアンモニウム、アルカリ金属(ナトリウム、カリウム、リチウム等)又は水素原子を表す。
【0053】
一般式〔II〕において、Aで表されるn価の有機基としては、アルキレン基(例えばメチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基等)、アルケニレン基(例えばエテニレン基等)、アルキニレン基(例えばエチニレン基等)、シクロアルキレン基(例えば1,4−シクロヘキサンジイル基等)、アリーレン基(例えばo−フェニレン基、p−フェニレン基等)、アルカントリイル基(例えば1,2,3−プロパントリイル基等)、アレーントリイル基(例えば1,2,4−ベンゼントリイル基等)が挙げられる。
【0054】
以上述べたAで表されるn価の基は置換基(例えばヒドロキシ基、アルキル基、ハロゲン原子等)を有するものを含む。例えば1,2−ジヒドロキシエチレン、ヒドロキシエチレン、2−ヒドロキシ−1,2,3−プロパントリイル、メチル−p−フェニレン、1−ヒドロキシ−2−クロルエチレン、クロルメチレン、クロルエテニレン等である。
【0055】
以下に、一般式〔II〕で表される化合物の好ましい具体例を示す。
【0056】
【化6】
【0057】
【化7】
【0058】
以上の例示化合物の中で特に好ましいのは例示化合物(II−1),(II−3),(II−4),(II−5),(II−16),(II−18)であり、とりわけ好ましいのは(II−5)である。
【0059】
一般式〔II〕で示される化合物は、本発明に係る漂白定着濃縮組成物を用いる際の処理液のタンク液1L当たり0.05〜2.0モル含有することが好ましいが、より好ましくは0.2〜1.0モル含有することである。
【0060】
本発明での1パート構成とは、漂白定着濃縮組成物のすべての成分が1つの容器に収容されていることである。
【0061】
次に漂白定着濃縮組成物の濃縮率について述べる。濃厚液体処理組成物の濃厚化の度合いを示す実用的な尺度として「濃縮率」が通常用いられる。濃縮率は、処理組成物(本発明に係る漂白定着濃縮組成物)を水で希釈して目的とする処理液を調製したときに完成した処理液(スタート液・補充液を含む。)のもとの液体処理組成物(本発明に係る漂白定着濃縮組成物)に対する体積比によって表す。したがって、同一組成の濃縮型処理組成物であっても、その「濃縮率」は、厳密には使用液の濃度によって異なることになる。
【0062】
本発明における漂白定着濃縮組成物の好ましい濃縮率は少なくとも1.0以上5.0以下であり、より好ましくは1.2〜4.0の濃縮率である。
本発明に係わる漂白定着濃縮組成物のpHは3〜8が好ましく、4〜7がより好ましい。pHがこれより低いとステインの発生は防止できるが、亜硫酸ガスの飛散が発生しやすい。逆にpHがこれより高いとステインの発生がある。
【0063】
pHを調整するためには、必要に応じて塩酸、硫酸、硝酸、重炭酸塩、アンモニア、苛性カリ、苛性ソーダ、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等を添加することができる。
【0064】
漂白定着濃縮組成物には、その他各種の蛍光増白剤や消泡剤或いは界面活性剤、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール等を含有させることができる。
【0065】
本発明に係る漂白定着濃縮組成物は、包材に充填して搬送され、使用に供される。
本発明の漂白定着濃縮組成物は、好ましくは下記包材に収容されることによって本発明の漂白定着濃縮組成物包装体になる。
【0066】
包材の材質は紙、プラスチックなどいかなる材質のものでもよいが、酸素透過度が、20ml/(m2・day・atm)以下のプラスチック材料が好ましく用いられ、特に好ましくは5ml/(m2・day・atm)以下である。なお、ここでいう酸素透過度の測定は常法に従い、JIS1707により測定した。
【0067】
本発明に係る漂白定着濃縮組成物を充填する包材で好ましく用いられるプラスチック材料としては、例えば次の一群に示すものが挙げられる。
(一群)
A ポリオレフィン系樹脂
B ポリエチレンー酢酸ビニル共重合体系樹脂
C エチレンービニルアルコール共重合体系樹脂
D ポリアミド系樹脂
E セラミック
F アクリロニトリル系樹脂
G ポリエチレンテレフタレート系樹脂
H ポリハロゲン化ビニリデン系樹脂
I ポリハロゲン化ビニル系樹脂
【0068】
ポリオレフィン系樹脂層に用いられる樹脂としては、ポリエチレンが好ましく、低密度ポリエチレン(以下、LDPEと略して呼ぶ。)、中密度ポリエチレン(以下、MDPEと略して呼ぶ。)および高密度ポリエチレン(以下、HDPEと略して呼ぶ。)のいずれも使用することができる。本発明に好ましく使用されるHDPEは、密度が0.941〜0.969のものである。また、好ましいLDPEは、高圧重合法で合成され、その密度は、0.910〜0.925である。
【0069】
容器としては、上記の密度範囲のHDPEを用いるのがよいが、さらにそのHDPEのメルトインデックス(ASTM D1238に規定された方法で、温度190°Cで押し出し圧力2.16kgで測定)が、0.3〜7.0g/10min、好ましくは0.3〜5.0g/10minであるものが好ましい。この範囲にあると漂白定着組成物用の容器として安定である。
【0070】
好ましい容器の厚みは、材質によって異なるが、好ましくは0.1〜2.0mm、とくに好ましくは0.3〜1.5mm、より好ましくは0.4〜1.0mmである。
【0071】
ポリアミド系樹脂は突き刺し強度や耐ピンホール性からナイロンが好ましく用いられる、厚みは3〜50μmが好ましく、より好ましくは5〜30μmである。とりわけ延伸ナイロンが好ましい。セラミックは酸化珪素を主体とする無機質であり、ポリエチレンとかポリエチレンフタレートに真空中でコートしても良い。これらの具体的なものは凸版印刷社製のGLタイプ(セラミック蒸着フィルム)等が挙げられる。
【0072】
またエチレンービニルアルコール共重合体樹脂としては、クラレ社製のクラレ、エバーフィルム(EF−XL,EF−F、EF−K)等が挙げられる。
【0073】
ポリハロゲン化ビニリデン系樹脂及びポリハロゲン化ビニル系樹脂のハロゲンとしては塩素、フッ素、臭素等が挙げられる、具体的にはポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル等の樹脂が挙げられる。
【0074】
しかしながら、本発明においては、環境適正の観点から焼却処理時に有害ガスの発生が好ましくないため、前記一群の中でも、A〜Gが好ましく用いられ、特に好ましくはA〜Fのものである。
【0075】
本発明において用いられる各樹脂は、「プラスチックフィルム」(日刊工業新聞社発行、高橋儀作、昭和51年12月20日増補版)に記載のある中から上記好ましい条件を満足するものを用いることができる。
【0076】
これらの材料は、単一で成型して使用しても良いが、2種類以上の材料をフィルム状にして貼り会わせたいわゆる多層フィルムを使用しても良い。包材の形状も、瓶タイプ、ピロータイプ等あらゆる構成を取ることができる。
【0077】
包材の材料として多層フィルムを使用する場合、層構成としては例えば、下記に示す構成が挙げられる。
(1) LLDPE/Ny(ナイロン)PET(ポリエチレンテレフタレート)
(2) LLDPE/Ny/EVOH(エバール)/Ny/ONy(延伸ナイロン)
(3) LLDPE/EVA(ポリエチレン−酢酸ビニル共重合体)/Ny
(4) LLDPE/S・PE(サンドポリエチレン)/HDPE(高密度ポリエチレン)/NY/EVOH/NY/PET
(5) LLDPE/KOH(塩化ビニリデンコートナイロン)
(6) LLDPE/GLPET(セラミックコーティングポリエチレンテレフタレート)
(7) PE(ポリエチレン)/EVOH/OPP(延伸ポリプロピレン)
【0078】
(8) LDPE(低密度ポリエチレン)/EVOH/PET
(9) LDPE/EVOH/ONy
(10) PE/KPE(塩化ビニリデンポリエチレンポリエステル)
(11) PE/Ny
(12) PE/EVOH/Ny
(13) PE/EVOH/KPE
(14) PE/EVOH/KPET(塩化ビニリデンコートPET)
(15) LDPE/EVOH/KPET
【0079】
(16) EVA(ポリエチレン−酢酸ビニル共重合体)/Ny
(17) EVA/ONy
(18) EVA/EVOH/ONy
(19) LDPE/AN(アクリロニトリル)/Ny
(20) LLDPE/S・PE/LLDPE/Ny/EVOH/Ny/ONy
(21) LLDPE/S・PE/HDPE/S・PE/LLDPE/Ny/EVOH/Ny/PET
(22) LLDPE/S・PE/LLDPE/Ny/EVOH/Ny/ONy
(23) LLDPE/S・PE/LLDPE/Ny/EVOH/Ny/PET
【0080】
多層フィルムの製造は特に限定されないが、例えばフィルムとフィルムを接着剤で貼り合わせる方法や、フィルムとフィルムを溶融した樹脂で貼り合わせる方法、2種類以上の樹脂をスリットから一緒に押し出すいわゆる共押し出しといわれる方法、その他の一般的に用いられるフィルム積層法などを単独又は組み合わせて用いられる。
【0081】
本発明に係わる漂白定着濃縮組成物を用いて調整された漂白定着組成物(処理液のことであり、補充液とも呼ばれる。)の補充量は、処理される感光材料1m2当たり20ml〜120mlが好ましく、より好ましくは30ml〜80mlである。処理される感光材料がカラ−ペーパーの場合の漂白定着時間は、5秒から1分、好ましくは5秒から35秒であり、より好ましくは8秒から25秒である。処理温度は25℃〜60℃、好ましくは30℃〜50℃である。
【0082】
次に、カラー現像処理、処理液および工程について説明する。現像処理工程は、発色現像、脱銀、水洗又は安定化、および安定化の各工程からなる。発色現像工程には、発色現像処理組成物から現像補充液および現像液が調製されて用いられる。その中には、カラー現像主薬を含有するが、好ましい例は公知の芳香族第1級アミン発色現像主薬、とくにp−フェニレンジアミン誘導体であり、代表例を以下に示すがこれらに限定されるものではない。
【0083】
1)N,N−ジエチル−p−フェニレンジアミン
2)4−アミノ−N,N−ジエチル−3−メチルアニリン
3)4−アミノ−N−(β−ヒドロキシエチル)−N−メチルアニリン
4)4−アミノ−N−エチル−N−(β−ヒドロキシエチル)アニリン
5)4−アミノ−N−エチル−N−(β−ヒドロキシエチル)−3−メチルアニリン
6)4−アミノ−N−エチル−N−(3−ヒドロキシプロピル)−3−メチルアニリン
7)4−アミノ−N−エチル−N−(4−ヒドロキシブチル)−3−メチルアニリン
【0084】
8)4−アミノ−N−エチル−N−(β−メタンスルホンアミドエチル)−3−メチルアニリン
9)4−アミノ−N,N−ジエチル−3−(β−ヒドロキシエチル)アニリン
10)4−アミノ−N−エチル−N−(β−メトキシエチル)−3メチル−アニリン
11)4−アミノ−N−(β−エトキシエチル)−N−エチル−3−メチルアニリン
12)4−アミノ−N−(3−カルバモイルプロピル−N−n−プロピル−3−メチルアニリン
13)4−アミノ−N−(4−カルバモイルブチル−N−n−プロピル−3−メチルアニリン
【0085】
上記p−フェニレンジアミン誘導体のうち特に好ましい主薬としては例示化合物5),6),7),8)及び12)であり、その中でも化合物5)と8)が多用される。
【0086】
また、これらのp−フェニレンジアミン誘導体は、固体素材の状態では、通常硫酸塩、塩酸塩、亜硫酸塩、ナフタレンジスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などの塩の形である。発色現像処理剤組成物は、使用に際して水と定められた比率で混合されて現像補充液(またはさらに希釈した現像液)の形の使用液にして用いるが、使用液中の該芳香族第1級アミン現像主薬の濃度は現像液1リットル当たり好ましくは2mmol〜200mmol、より好ましくは12mmol〜200mmol、更に好ましくは12mmol〜150mmolである。
【0087】
発色現像液には、通常ヒドロキシルアミン誘導体又はその塩あるいは、N−アルキルヒドロキシルアミン又はその塩を加えることが多いが、保恒剤としては、アルカノールアミン類、ヒドロキシルアミン誘導体、ヒドロキサム酸類、ヒドラジド類、フェノール類、α−ヒドロキシケトン類、α−アミノケトン類、糖類、ポリエチレンイミン類、モノアミン類、ジアミン類、ポリアミン類、四級アンモニウム塩類、ニトロキシラジカル類、アルコール類、オキシム類、ジアミド化合物類、縮環式アミン類などが特に有効である。これらは、特開昭63−4235号、同63−30845号、同63−21647号、同63−44655号、同63−53551号、同63−43140号、同63−56654号、同63−58346号、同63−43138号、同63−146041号、同63−44657号、同63−44656号、米国特許第3,615,503 号、同2,494,903号、特開昭52−143020号、特公昭48−30496号などの各公報又は明細書に開示されている。処理剤組成物を構成する場合に、これらの保恒剤は主薬とは別のパートとして構成するのが好都合のことが多い。
【0088】
発色現像液は、通常塩素イオンを3.5×10−2〜1.5×10−1mol/L含有することが多いが、塩素イオンは、通常現像の副生成物として現像液に放出されるので補充液には添加不要のことが多い。臭素イオンの含有に関しても塩素イオンの場合と同じ事情にある。発色現像液中の臭素イオンは、撮影用材料の処理では1〜5×10−3mol/L程度、プリント材料の処理では、1×10−3mol/L以下である。
【0089】
現像処理される感光材料がカラーペーパーの場合は、画面の背景の白地が白いことが重要な画質特性なので、スチルベン系蛍光増白剤、とくにジ(トリアジルアミノ)スチルベン系や、4、4′−ジアミノ−2,2′−ジスルホスチルベン系の蛍光増白剤を発色現像液に添加することもある。
【0090】
このスチルベン系蛍光増白剤は、発色現像液のほか、脱銀液あるいは感光材料のいずれにも添加できる。発色現像液中に含ませる場合は、その好適濃度は1×10−4〜5×10−2mol/Lであり、より好ましくは2×10−4〜1×10−2mol/Lである。
【0091】
発色現像液や現像補充液はpH9.5以上、より好ましくは10.0〜12.5で用いられる。pHを安定に保持するためには、各種緩衝剤を用いるのが好ましい。緩衝剤としては、炭酸塩の外に、リン酸塩、ホウ酸塩、四ホウ酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、グリシル塩、N,N−ジメチルグリシン塩、ロイシン塩、ノルロイシン塩、グアニン塩、3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン塩、アラニン塩、アミノ酪酸塩、2−アミノ−2−メチル−1, 3−プロパンジオール塩、バリン塩、プロリン塩、トリスヒドロキシアミノメタン塩、リシン塩などを用いることができる。該緩衝剤の量は、希釈調製した発色現像補充液中の濃度が、0.01〜2mol/L以上、特に0.1mol/L〜0.5mol/Lとなるように組成物中に添加される事が好ましい。
【0092】
発色現像組成物には、その他の発色現像液成分、例えばカルシウムやマグネシウムの沈澱防止剤であり、あるいはカラー現像液の安定性向上剤でもある各種キレート剤を添加することもできる。例えば、ニトリロ三酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、エチレンジアミン四酢酸、N,N,N−トリメチレンホスホン酸、エチレンジアミン−N,N,N′,N′−テトラメチレンスルホン酸、エチレンジアミンN,N−ジ琥珀酸、N,N−ジ(カルボキシラート)−L−アスパラギン酸、β−アラニンジ琥珀酸、トランスシロヘキサンジアミン四酢酸、1,2−ジアミノプロパン四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、エチレンジアミンオルトヒドロキシフェニル酢酸、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、N,N′−ビス(2−ヒドロキシベンジル)エチレンジアミン−N,N′−ジ酢酸、1,2−ジヒドロキシベンゼン−4,6−ジスルホン酸等が挙げられる。これらのキレート剤は必要に応じて2種以上併用しても良い。
【0093】
これらのキレート剤の量は発色現像液中の金属イオンを封鎖するのに充分な量であれば良い。例えば1リットル当り0.1g〜10g程度になるように添加する。発色現像液には、必要により任意の現像促進剤を添加できる。
【0094】
現像促進剤としては、数多くの公報に表わされる公知のチオエーテル系化合物、p−フェニレンジアミン系化合物、4級アンモニウム塩類、アミン系化合物、ポリアルキレンオキサイド、その他1−フェニル−3−ピラゾリドン類、イミダゾール類、等を必要に応じて添加することができる。
【0095】
また、発色現像液には、必要に応じて、任意のカブリ防止剤を添加できる。カブリ防止剤としては、アルカリ金属ハロゲン化物及び有機カブリ防止剤が使用できる。
【0096】
有機カブリ防止剤としては、例えばベンゾトリアゾール、6−ニトロベンズイミダゾール、5−ニトロイソインダゾール、5−メチルベンゾトリアゾール、5−ニトロベンゾトリアゾール、5−クロロ−ベンゾトリアゾール、2−チアゾリル−ベンズイミダゾール、2−チアゾリルメチル−ベンズイミダゾール、インダゾール、ヒドロキシアザインドリジン、アデニンの如き含窒素ヘテロ環化合物を代表例としてあげることができる。
【0097】
又、ポリアルキレングリコール類、アルキルスルホン酸、アリールスルホン酸、脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸等の各種界面活性剤を添加しても良い。
【0098】
以上、本発明の漂白定着濃縮組成物と組み合わせて用いられる発色現像組成物及びそれから調製される発色現像補充液又は現像液について説明した。
【0099】
発色現像の処理温度は、現像処理される感光材料がカラーペーパーの場合は、30〜55℃であり、好ましくは35〜55℃であり、より好ましくは38〜45℃である。現像処理時間は、5〜90秒であり、好ましくは15〜60秒である。補充量は少ない方が好ましいが、感光材料1m2当たり15〜600mlが適当であり、好ましくは30〜180mlである。
【0100】
また、本発明の漂白定着濃縮処理組成物は、カラー現像処理の脱銀工程に用いられるが、脱銀工程の構成は、つぎに示すように色々な形態を取ることが可能である。本発明の漂白定着濃縮組成物は、漂白定着補充液に調製されて漂白定着槽に添加され、通常この工程のみで脱銀工程が構成されるが、下記に示すように漂白あるいは定着工程が付加されることもある。
【0101】
代表的なカラー現像処理の脱銀工程の構成
(工程1) 漂白定着
(工程2) 漂白−漂白定着
(工程3) 漂白−漂白定着−定着
(工程4) 定着−漂白定着
(工程5) 漂白定着−定着
【0102】
また、これらの漂白、漂白定着、定着工程の個々の工程は、必要により複数浴に仕切られて、カスケード方式を採用することもある。漂白定着濃縮組成物およびそれから得られる処理液の組成、漂白定着工程の温度、処理時間などの条件についてはすでに説明したが、この工程について若干の補足を行う。
【0103】
本発明に係る漂白定着濃縮処理組成物から選られる漂白定着液を用いた処理に於いては、攪拌がされていることが好ましく、その実施には特開平3−33847号公報の第8頁、右上欄、第6行〜左下欄、第2行に記載の内容が、そのまま利用できる。
【0104】
脱銀工程においては、攪拌ができるだけ強化されていることが好ましい。攪拌強化の具体的な方法としては、特開昭62−183460号に記載の感光材料の乳剤面に処理液の噴流を衝突させる方法や、特開昭62−183461号の回転手段を用いて攪拌効果を上げる方法、更には液中に設けられたワイパーブレードと乳剤面を接触させながら感光材料を移動させ、乳剤表面を乱流化することによってより攪拌効果を向上させる方法、処理液全体の循環流量を増加させる方法が挙げられる。このような攪拌向上手段は、漂白液、漂白定着液、定着液のいずれにおいても有効である。攪拌の向上は乳剤膜中への漂白剤、定着剤の供給を速め、結果として脱銀速度を高めるものと考えられる。また、前記の攪拌向上手段は、漂白促進剤を使用した場合により有効であり、促進効果を著しく増加させたり漂白促進剤による定着阻害作用を解消させることができる。
【0105】
本発明に用いられる自動現像機は、特開昭60−191257号、同60−191258号、同60−191259号に記載の感光材料搬送手段を有していることが好ましい。前記の特開昭60−191257号に記載のとおり、このような搬送手段は前浴から後浴への処理液の持込みを著しく削減でき、処理液の性能劣化を防止する効果が高い。このような効果は各工程における処理時間の短縮や、処理液補充量の低減に特に有効である。
【0106】
定着又は漂白定着等の脱銀処理後、水洗又は水洗代替安定液処理、安定液処理あるいはその両方を行うのが一般的である。水洗又は水洗代替安定処理(以下まとめて水洗処理として述べる。)工程での水洗水量は、感光材料の特性(例えばカプラー等使用素材による)や用途、水洗水温、水洗タンクの数(段数)、その他種々の条件によって広範囲に設定し得る。
【0107】
このうち、多段向流方式における水洗タンク数と水量の関係は、ジャーナル・オブ・ザ・ソサエティ・オブ・モーション・ピクチャー・アンド・テレヴィジョン・エンジニアズ(Journal of the Society of Motion Picture and TelevisionEngineers)第64巻、p.248〜253(1955年5月号)に記載の方法で、求めることができる。
【0108】
通常多段向流方式における段数は3〜15が好ましく、特に3〜10が好ましい。多段向流方式によれば、水洗水量を大巾に減少でき、タンク内での水の滞留時間増加により、バクテリアが繁殖し、生成した浮遊物が感光材料に付着する等の問題が生じる。
【0109】
この様な問題の解決策として、特開昭62−288838号公報に記載のカルシウム、マグネシウムを低減させる方法を極めて有効に用いることができる。また、特開昭57−8542号公報に記載のイソチアゾロン化合物やサイアベンダゾール類、同61−120145号公報に記載の塩素化イソシアヌール酸ナトリウム等の塩素系殺菌剤、特開昭61−267761号公報に記載のベンゾトリアゾール、銅イオン、その他堀口博著「防菌防黴の化学」(1986年)三共出版、衛生技術会編、「微生物の減菌、殺菌、防黴技術」(1982年)工業技術会、日本防菌防黴学会編「防菌防黴剤事典」(1986年)に記載の殺菌剤を用いることもできる。
【0110】
更に、水洗処理における水洗水には、水切り剤として界面活性剤や、硬水軟化剤としてEDTAに代表されるキレート剤を用いることができる。以上の水洗工程に続くか、又は水洗工程を経ずに直接安定液で処理することも出来る。
【0111】
又、液中でのバクテリアの繁殖防止や処理後の感光材料に防黴性を付与するため、前記した各種殺菌剤や防黴剤を用いることができる。更に、界面活性剤、蛍光増白剤、硬膜剤を加えることもできる。本発明に係わる処理において、安定化が水洗工程を経ることなく直接行われる場合、特開昭57−8543号、同58−14834号、同60−220345号公報等に記載の公知の方法をすべて用いることができる。その他、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、エチレンジアミン四メチレンホスホン酸等のキレート剤、マグネシウムやビスマス化合物を用いることも好ましい態様である。
【0112】
脱銀処理後に用いられる水洗処理における水洗液又は安定液としていわゆるリンス液も同様に用いられる。水洗水又は安定液の好ましいpHは4〜10であり、更に好ましくは5〜8である。温度は感光材料の用途・特性等で種々設定し得るが、一般には20℃〜50℃、好ましくは25℃〜45℃である。
【0113】
水洗又は安定液処理の工程に続いて乾燥が行われる。画像膜への水分の持込み量を減じる観点から水洗浴から出た後すぐにスクイズローラや布などで水を吸収することで乾燥を早めることも可能である。乾燥機側からの改善手段としては、当然のことではあるが、温度を高くすることや吹きつけノズルの形状を変更し乾燥風を強くすることなどで乾燥を早めることが可能である。更に、特開平3−157650号公報に記載されているように、乾燥風の感光材料への送風角度の調整や、排出風の除去方法によっても乾燥を早めることができる。
【0114】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を例証する。
実施例1
コニカカラーQAペーパータイプA7(コニカ社製)を常法に従って露光後、次の処理工程と処理液を使用して処理を行った。
【0115】
処理工程、条件
工 程 処理時間 処理温度 補充量
発色現像 20秒 40.0℃ 60ml/m2
漂白定着 20秒 38.0℃ 60ml/m2
安定(3槽カスケード)
45秒 35〜38℃ 120ml/m2
乾燥 20秒 60〜80℃
【0116】
処理液の処方
発色現像補充液
水 800g/L
トリエタノールアミン 20g/L
ジエチレングリコール 6g/L
N,N−ジスルホエチルヒドロキシルアミン 8g/L
p−トルエンスルホン酸ナトリウム 15g/L
ジエチレントリアミン5酢酸5ナトリウム 4g/L
塩化カリウム 0.1g/L
炭酸カリウム 30g/L
炭酸水素カリウム 1g/L
亜硫酸カリウム 0.088g/L
発色現像主薬(3−メチル−4−アミノ−N−エチル−N−(β−メタンスルホ
ンアミドエチル)−アニリン硫酸塩) 12g/L
pH 11.5
水を加えて全量を1Lとし、pHは硫酸または水酸化カリウムで調整した。
【0117】
発色現像使用液(スタート液)
水 800g/L
トリエタノールアミン 20g/L
ジエチレングリコール 6g/L
N,N−ジスルホエチルヒドロキシルアミン 5g/L
p−トルエンスルホン酸ナトリウム 15g/L
ジエチレントリアミン5酢酸5ナトリウム 4g/L
臭化カリウム 20mg/L
塩化カリウム 2.5g/L
炭酸カリウム 25g/L
炭酸水素カリウム 5g/L
亜硫酸カリウム 0.063g/L
発色現像主薬(3−メチル−4−アミノ−N−エチル−N−(β−メタンスルホ
ンアミドエチル)−アニリン硫酸塩) 7.5g/L
pH 10.20
水を加えて全量を1Lとし、pHは硫酸または水酸化カリウムで調整した。
【0118】
漂白定着濃縮液
キレート剤A−1 表1記載
キレート剤A−1の第2鉄錯塩 表1記載
硫酸第1鉄7水和物 表1記載
亜硫酸アンモニウム 0.15モル
一般式(1)で表される化合物(表1記載) 0.2モル
チオ硫酸アンモニウム(75%水溶液) 162g
アンモニア水または希硫酸でpH5.0に調製し、水で500mlに仕上げる。
【0119】
漂白定着補充液
上記濃縮液を水で2倍に希釈する。
【0120】
漂白定着使用液(スタート液)
キレート剤A−1 0.19モル
硫酸第1鉄7水和物 0.18モル
亜硫酸アンモニウム 0.1モル
一般式(1)で表される化合物(表1記載) 0.13モル
チオ硫酸アンモニウム(75%水溶液) 108g
アンモニア水または希硫酸でpH5.5に調製し、水で1Lに仕上げる。
【0121】
安定液及び補充液
オルトフェニルフェノール 0.1g/L
ユビテックスMST(チバガイギー社製) 1.0g/L
亜硫酸アンモニウム(40%溶液) 5.0ml/L
1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸(60%溶液)
3.0g/Lエチレンジアミン4酢酸 1.5g/L
アンモニア水または希硫酸でpH7.8に調製し、水で1Lに仕上げる。
【0122】
ランニング処理は、コニカ社製プリンタープロセッサーNPS878SQAを前記処理工程の条件を満たすよう改造して行った。各処理液(スタート液)を処理タンクに満たし、前記カラーペーパー試料を処理するとともに、前記補充液を定量ポンプで補充した。ランニング処理は漂白定着タンク液中に補充された漂白定着補充液の量が該タンク液量(12L)の2倍(2ラウンド)になるまで、1日あたり0.5ラウンドの連続処理を行った。
【0123】
なお、漂白定着補充液は、あらかじめ作成した漂白定着濃縮液を空気を遮断して密閉保管しておき、1日1回6L分を補充タンク内で調製した(3Lの濃縮液を水で6Lに仕上げる)。
【0124】
ランニングテスト終了時、処理したカラーペーパー試料の未露光部の赤色光濃度を測定した。結果を表1に記す。また、処理タンク部の臭気を下記の基準で評価した。
【0125】
◎ は全く臭気が認められないこと、
○ は若干の臭気が認められること、
△ 明らかに臭気があるが、問題のないレベルであること、
× は問題になる臭気であること、
を各々意味する。
【0126】
【表1】
【0127】
*キレート剤A−1の添加量は、硫酸第1鉄7水和物の添加量の1.1倍量
【0128】
上記表1から,本発明に係わる前記一般式(1)で表される化合物を含有し、アミノポリカルボン酸鉄錯塩が少なくとも50モル%が第1鉄錯塩である漂白定着液の場合、処理感材のステインが低減され、臭気の発生もないことが判る。
【0129】
実施例2
実施例1の実験No1−4において、表2のように亜硫酸アンモニウムの添加量を変化させ、実施例1と同様の実験を行った。
【0130】
【表2】
【0131】
上記表2から、亜硫酸アンモニウムの添加量を0.01〜0.2モル/Lにすることで、より処理感材のステインが低減され、臭気の発生も少ないことが判る。
【0132】
実施例3
実施例1の実験No1−4において、表3のように一般式(2)で表される化合物を添加し、実施例1と同様の実験を行った。
【0133】
【表3】
【0134】
上記表3から、本発明に係わる前記一般式(2)で表される化合物を含有し、アミノポリカルボン酸鉄錯塩が少なくとも50モル%が第1鉄錯塩である漂白定着液の場合、処理感材のステインがより低減され、臭気の発生も少ないことが判る。
【0135】
実施例4
実施例1の実験No1−4において、表4のようにpHを変化させ、実施例1と同様の実験を行った。
【0136】
【表4】
【0137】
上記表4から、漂白定着液のpHを4〜7にすることで、より処理感材のステインが低減され、臭気の発生も少ないことが判る。
【0138】
実施例5
実施例1の実験No1−4において、表5のように漂白定着液の補充量を変化させ、実施例1と同様の実験を行った。
【0139】
【表5】
【0140】
上記表5から、漂白定着液の補充量を感光材料1m2当り20mlから120mlにすることで、より処理感材のステインが低減され、臭気の発生も少ないことが判る。
【0141】
【発明の効果】
本発明によれば、脱銀性に優れ、亜硫酸ガスの発生がなく、同時にカラーペーパー処理でのステインの発生防止が図れる漂白定着濃縮組成物及びこれを用いた感光材料の処理方法を提供できる。
Claims (7)
- 少なくともチオ硫酸塩と0.1モル/L以上のアミノポリカルボン酸鉄錯塩を含有する1パート構成のハロゲン化銀写真カラー感光材料用の漂白定着濃縮組成物において、前記アミノポリカルボン酸鉄錯塩は、少なくとも50モル%が第1鉄錯塩であり、かつ下記一般式(1)で表される化合物を含有することを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料用漂白定着濃縮組成物。
一般式(1) R−SO2M′
〔式中、Rは炭素原子数1〜6のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、複素環基(5〜6員の不飽和環が縮合しているものを含む。)を表し、これらは置換基を有していてもよい。M′は水素原子、アンモニウム基又はアルカリ金属を表す。〕 - 亜硫酸塩濃度が0.01モル/Lから0.2モル/Lであることを特徴とする請求項1に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料漂白定着濃縮組成物。
- チオシアン酸塩を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料漂白定着濃縮組成物。
- 前記漂白定着濃縮組成物のpHが3〜8であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料用漂白定着濃縮組成物。
- 漂白定着処理工程を有するハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法において、該漂白定着処理工程に、請求項1〜5のいずれかに記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料用漂白定着濃縮組成物を用いることを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法。
- 前記漂白定着処理工程の補充量がハロゲン化銀カラー写真感光材料1m2あたり20mlから120mlであることを特徴とする請求項6に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法。
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