JP2004233010A - ヒートポンプ式給湯機 - Google Patents

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Abstract

【課題】成績係数(COP)を向上し、ランニングコストを低減することが可能なヒートポンプ式給湯機を提供する。
【解決手段】第1圧縮機11と、第1水熱交換器12と、第1減圧機構16と、第1熱源側熱交換器17とを順次接続して構成した第1冷媒回路10と、第2圧縮機21と、第2水熱交換器22と、第2減圧機構26と、第2熱源側熱交換器27とを順次接続して構成した第2冷媒回路20とを備える。低温水を上記第1水熱交換器12で加熱して中温水とした後、この中温水を第2水熱交換器22でさらに加熱して高温水を出湯する。中温水を高温水に加熱する第2水熱交換器22におけるCOPは比較的低いものの、低温水を中温水に加熱する第1水熱交換器12におけるCOPは極めて高く、そのため、ヒートポンプ全体としてのCOPが向上する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ヒートポンプ式給湯機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、熱源としてヒートポンプ式の冷媒回路を利用する給湯機が知られている。ヒートポンプを熱源とするヒートポンプ式給湯機は、COPが約3程度と高いため、ガスや電気ヒータを熱源とする給湯機と異なり、省エネルギー運転が可能である。
【0003】
しかし、いわゆるガス瞬間湯沸かし器のように利用時に即座に出湯するためには、熱源として大容量のヒートポンプが必要となる。例えば、冬季のシャワー用に給湯を行う場合、仮に水温7℃の水から毎分12リットルの42℃の温水を生成しようとすると、熱源ヒートポンプには約30kWの能力が必要となる。そのため、熱源として、10馬力相当のヒートポンプを用意しなければならない。
【0004】
しかし、大容量のヒートポンプ式給湯機では、室外機が大きくなるため、給湯機の大型化を招く。室外機が大きいと、一般住宅への設置が著しく困難となる。また、必要電気容量も30Aを大幅に超えることになり、一般住宅に設置するためには受電設備の変更が必要となる。
【0005】
そこで、特許文献1及び2に開示されているように、装置内に貯湯タンクを設け、深夜電力を利用して貯湯タンクに予め温水を貯めておき、給湯時に当該温水を供給するヒートポンプ式給湯機が提案されている。このように貯湯タンクから温水を供給することにより、高温の温水を即座に供給することが可能となる。
【0006】
【特許文献1】
特開平9−49668号公報
【特許文献2】
特開平10−111018号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来のヒートポンプ式給湯機においては、瞬間湯沸し型においても、また貯湯タンク型においても、さらに省エネルギー化を進め、ランニングコストを低減することが望まれている。
【0008】
この発明は、上記従来の欠点を解決するためになされたものであって、その目的は、成績係数(COP)を向上し、ランニングコストを低減することが可能なヒートポンプ式給湯機を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
そこで請求項1のヒートポンプ式給湯機は、第1圧縮機11と、第1水熱交換器12と、第1減圧機構16と、第1熱源側熱交換器17とを順次接続して構成した第1冷媒回路10と、第2圧縮機21と、第2水熱交換器22と、第2減圧機構26と、第2熱源側熱交換器27とを順次接続して構成した第2冷媒回路20とを備え、低温水を上記第1水熱交換器12で加熱して中温水とした後、この中温水を第2水熱交換器22でさらに加熱して高温水を出湯する給湯回路30を有することを特徴としている。
【0010】
請求項1のヒートポンプ式給湯機では、中温水を高温水に加熱する第2水熱交換器22におけるCOPは比較的低いものの、低温水を中温水に加熱する第1水熱交換器12におけるCOPは極めて高く、そのため、ヒートポンプ全体としてのCOPは従来よりも向上する。
【0011】
請求項2のヒートポンプ式給湯機は、上記第2水熱交換器22の出口側冷媒を、低温水と熱交換させる過冷却用熱交換器29を有することを特徴としている。
【0012】
上記請求項2のヒートポンプ式給湯機では、第2水熱交換器22の出口側で凝縮冷媒に対して、充分な過冷却を付与することが可能となり、このため、第2水熱交換器22におけるCOPが向上する。
【0013】
請求項3のヒートポンプ式給湯機は、上記高温水を貯湯する貯湯タンク1を有することを特徴としている。
【0014】
上記請求項3のヒートポンプ式給湯機では、例えば、このヒートポンプ式給湯機を瞬間湯沸し器型に使用した場合において、給湯利用開始時や大量給湯時に、貯湯タンク1内の高温水を使用できるので、湯不足等の不都合を解消できる。
【0015】
請求項4のヒートポンプ式給湯機は、風呂、シャワー等からの排出湯の熱量を上記第1冷媒回路10及び/又は第2冷媒回路20に回収すべく構成したことを特徴としている。
【0016】
上記請求項4のヒートポンプ式給湯機では、風呂、シャワー等からの排出湯の熱量を上記第1冷媒回路10及び/又は第2冷媒回路20に回収するので、エネルギー効率を向上できる。
【0017】
請求項5のヒートポンプ式給湯機は、風呂、シャワー等からの排出湯の熱量を給湯回路30に回収すべく構成したことを特徴としている。
【0018】
上記請求項5のヒートポンプ式給湯機では、風呂、シャワー等からの排出湯の熱量を給湯回路30に回収するので、エネルギー効率を向上できる。
【0019】
請求項6のヒートポンプ式給湯機は、上記いずれかの冷媒回路10、20が故障したときには、低温水の供給量を減じた状態で、残りの冷媒回路20、10を運転することを特徴としている。
【0020】
請求項6のヒートポンプ式給湯機では、冷媒回路10、20の故障時においても、緊急措置により、残りの冷媒回路での高温水の供給が可能となる。
【0021】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
次に、この発明のヒートポンプ式給湯機の具体的な実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。図1はこのヒートポンプ式給湯機の簡略図を示す。このヒートポンプ式給湯機は、第1冷媒回路10と第2冷媒回路20と、給湯回路30とを備えている。このヒートポンプ式給湯機は、いわゆるセミ瞬間湯沸し器であり、温水を即座に供給することが可能である。
【0022】
上記第1冷媒回路10及び第2冷媒回路20は、いずれも上記圧縮式の冷媒回路である。第1冷媒回路10と第2冷媒回路20とは、互いに独立した冷媒回路であって、両冷媒回路10、20の冷媒の種類は特に限定されるものではなく、例えば、HFC系、HC系の冷媒、あるいはCO冷媒等を使用することができる。
【0023】
第1冷媒回路10は、第1圧縮機11、第1水熱交換器12、第1レシーバ13、第1フィルタ14、第1キャピラリーチューブ15、第1膨張弁(減圧機構)16、第1室外熱交換器17、及び第1アキュームレータ18が順に接続されることによって構成されている。第1冷媒回路10には、第1電磁弁41、及び第1キャピラリーチューブ42を有する第1除霜回路43が設けられている。第1除霜回路43の一端は、第1圧縮機11の吐出側配管に接続され、その他端は第1室外熱交換器17の入口側配管に接続されている。
【0024】
また、第2冷媒回路20は、上記第1冷媒回路10と略同じ構成のものであって、第2圧縮機21、第2水熱交換器22、第2レシーバ23、第2フィルタ24、第2キャピラリーチューブ25、第2膨張弁(減圧機構)26、第2室外熱交換器27、及び第2アキュームレータ28が順に接続されることによって構成されている。第2冷媒回路20には、第2電磁弁44、及び第2キャピラリーチューブ45を有する第2除霜回路46が設けられている。第2除霜回路46の一端は、第2圧縮機21の吐出側配管に接続され、その他端は第2室外熱交換器27の入口側配管に接続されている。
【0025】
上記水熱交換器12、22は、2重管構造のものであって、内側を冷媒が通過し、外側を湯水が通過する構成のものであり、両者の流れは互いに逆方向(対向流)となる。上記室外熱交換器17、27は、熱源側熱交換器となるものであって、いわゆるクロスフィン型のフィン・アンド・チューブ型熱交換器によって構成されている。ただし、水熱交換器12、22、及び室外熱交換器17、27の形式や種類は、特に限定されるものではない。
【0026】
給湯回路30の上流端は上水道に接続され、下流端は給水栓31に接続されている。給湯回路30には、水道水が流通する。給湯回路30は、第1水熱交換器12と第2水熱交換器22とが順に直列的に接続されて成る主回路32と、これら両水熱交換器12、22をバイパスするバイパス回路33とを備えている。主回路32の下流端と、バイパス回路33の下流端とは、混合弁34に接続されている。また、上記主回路32の上流側(第1水熱交換器12の入口側)には、ポンプ35が介設されており、また主回路32の下流側(第2水熱交換器22の出口側)には、サーミスタ36が取付けられている。さらに、混合弁34の下流側にはサーミスタ37が取付けられている。混合弁34は、主回路32からの高温の温水とバイパス回路33からの低温の水道水との混合割合を調整する機能を有するもので、この実施形態においては、混合割合はサーミスタ37の検出温度が所定温度になるように自動的に調整される。
【0027】
次に、上記ヒートポンプ式給湯機の作動状態について説明する。まず、給水栓31が開放されると、第1及び第2冷媒回路10、20の第1圧縮機11及び第2圧縮機22が駆動されると共に、給湯回路30のポンプ35が駆動される。第1冷媒回路10の第1圧縮機11が駆動されると第1圧縮機11から吐出された冷媒は、第1水熱交換器12において凝縮し、第1水熱交換器12に供給される約5℃の水道水(低温水)を32.5℃程度の中温水(中温湯)とする。そして、凝縮した冷媒は、第1レシーバ13を通過し、キャピラリーチューブ15及び膨張弁16で減圧され、第1室外熱交換器17で蒸発した後、第1アキュームレータ18を経て、第1圧縮機11に吸入される。そして、上記第1圧縮機11に吸入された冷媒は、再び吐出され、上記循環動作を繰返す。
【0028】
第2冷媒回路20の第2圧縮機21が駆動されると第2圧縮機21から吐出された冷媒は、第2水熱交換器22において凝縮し、第2水熱交換器22に供給される約32.5℃の中温水を60℃程度の高温水(高温湯)とする。そして、凝縮した冷媒は、第2レシーバ23を通過し、キャピラリーチューブ25及び膨張弁26で減圧され、第2室外熱交換器27で蒸発した後、第2アキュームレータ28を経て、第2圧縮機21に吸入される。そして、上記第2圧縮機21に吸入された冷媒は、再び吐出され、上記循環動作を繰返す。上記第2水熱交換器22から供給される高温水は、混合弁34において、水道水と混合され、適温に調整された温水が給水栓31から利用者に供給される。なお、上記中温水及び高温水の各温度は、ポンプ35の流量に依存し、流量が大であると低温に、流量が小であると高温になる。
【0029】
上記第1冷媒回路10と第2冷媒回路20とのモリエル線図を図2に示している。また、第1冷媒回路10における給湯温度とCOPとの関係を図3に、第2冷媒回路20における給湯温度とCOPとの関係を図4に示している。図3及び図4は、シミュレーションによってCOPを評価したものである。第1冷媒回路10においては、給水温度を5℃、給湯温度を32.5℃、流量4リットル/分とし、外気に関しては、乾球温度を2℃、湿球温度を1℃とし、また室外熱交換器17での風量を50m/分とした。また、冷媒としてはR410aを用いた。この結果、図3に示すように、COP=6.30という極めて高い値が得られた。
【0030】
第2冷媒回路20においては、給水温度を32.5℃、給湯温度を60℃、流量4リットル/分とし、外気に関しては、乾球温度を2℃、湿球温度を1℃とし、また室外熱交換器17での風量を50m/分とした。また、冷媒としてはR410aを用いた。この結果、図4に示すように、COP=3.00となる。そして、上記第1冷媒回路10と第2冷媒回路20との平均的なCOPは、両者の平均値として4.65となる。
【0031】
これに対して、単一の水熱交換器で水道水を60℃にまで加熱する場合の給湯温度とCOPとのシミュレーション関係を図5に示している。この場合、ヒートポンプ式給湯機を2台並列に使用し、給水温度を5℃、給湯温度を60℃、1台当たりの流量2リットル/分とし、外気に関しては、乾球温度を2℃、湿球温度を1℃とし、また各室外熱交換器での風量を50m/分とした。また、冷媒としてはR410aを用いた。この結果、図5に示すように、COP=3.74となる。
【0032】
以上のように、並列に配置した水熱交換器で水道水を60℃にまで加熱する従来の場合には、COPが3.74であるのに対し、水熱交換器12、22を直列に配置した2段加熱方式を採用したこの実施形態のヒートポンプ式給湯機においては、COPが4.65と大幅に改善される。この結果、省エネルギー化によるランニングコストの低減効果が得られる。しかも冷媒回路を第1冷媒回路10と第2冷媒回路20とに分割構成すると共に、水熱交換器12、22を直列に配置して2段加熱方式を採用してCOPを大幅に改善しているので、各冷媒回路10、20の容量が比較的小さく抑えられ、装置全体をコンパクトに構成できる。また、冷媒回路を第1冷媒回路10と第2冷媒回路20とに分割構成したことにより、沸き上げ温度に拘らず、高いCOPを実現できる利点がある。さらに、容量の大きい1台の高COPヒートポンプを開発するよりも、普及クラスのヒートポンプを利用できるので、コストパフォーマンスに優れている。
【0033】
次に、第2実施形態〜第5実施形態について説明するが、以下の実施形態において各実施形態と同一機能部分については、同一の符号で示し、その説明を省略する。以下の各実施形態においても上記第1実施形態と略同一の作用、効果が得られる。
【0034】
(第2実施形態)
図6に第2実施形態を示しているが、この実施形態においては、貯湯タンク1を使用している。すなわち、主回路32の上流側(ポンプ35よりもさらに上流側)を貯湯タンク1の底部を経由させ、また主回路32の下流側(第2水熱交換器22の出口側でさらにサーミスタ36の取付部よりも下流側)を貯湯タンク1の頂部を経由させている。この実施形態においては、第2水熱交換器22からの高温水を貯湯タンク1内に貯湯し得るようにしている。この実施形態によれば、給湯利用開始時や大量給湯時に、貯湯タンク内の高温水を使用できるので、湯不足等の不都合を解消でき、使用快適性を確保できる。なお、図6において、2は浴槽を示している。
【0035】
(第3実施形態)
図7に第3実施形態を示しているが、この実施形態においては、風呂、シャワー等からの排出湯の熱量を第1冷媒回路10及び第2冷媒回路20に回収するようにしている。すなわち、風呂やシャワー等からの湯排出口3に廃熱回収用熱交換器4を設け、その回収熱を第1冷媒回路10の第1室外熱交換器17の出口、及び第2冷媒回路20の第2室外熱交換器27の出口に付与している。この実施形態によれば、排出湯の熱量を有効に利用できるので、エネルギー効率を向上でき、ランニングコストを低減できる。この場合、第2冷媒回路20のCOPが第1冷媒回路10よりも悪いので、第2冷媒回路20に対して優先的に回収熱を付与するのが好ましい。なお、回収熱の付与位置は、室外熱交換器17、27の出口側に限らず、その入口側を含め、適宜選択できる。図7において、5は廃熱回収用のポンプである。また、この実施形態においては、第2水熱交換器22の出口側に切換弁7を設け、第2水熱交換器22から送出される湯水を、貯湯タンク1頂部側と低部側とに切換えられるようにしている。これは、給湯開始直後の段階において、充分に加熱されていない低温水が貯湯タンク1の頂部、及び給水栓31に供給されるのを防止するためである。
【0036】
(第4実施形態)
図8に第4実施形態を示しているが、この実施形態においては、風呂、シャワー等からの排出湯の熱量を給湯回路30に回収するようにしている。すなわち、風呂やシャワー等からの湯排出口3に廃熱回収用熱交換器4を設け、その回収熱を給湯回路30のバイパス回路33に付与している。この実施形態によれば、排出湯の熱量を有効に利用できるので、エネルギー効率を向上でき、ランニングコストを低減できる。
【0037】
上記第3実施形態及び第4実施形態では、湯排出口3に廃熱回収用熱交換器4を設け、熱媒を介して、廃熱回収を行うようにしているが、図9に示すように、風呂、シャワー等からの排出湯をタンク6に貯留し、排出湯を直接利用して廃熱回収した後、外部に放出するようにしてもよい。
【0038】
(第5実施形態)
図10に第5実施形態を示しているが、この実施形態においては、第2水熱交換器22の出口側の凝縮冷媒に対して、過冷却を付与するようにしている。すなわち、給湯回路30におけるバイパス回路33の途中に過冷却用熱交換器29を設け、第2水熱交換器22からの凝縮冷媒を過冷却用熱交換器29を通過させた後、第2室外熱交換器27へ送るようにしている。この実施形態によれば、第2水熱交換器の出口側で凝縮冷媒に対して、充分な過冷却を付与することが可能となり、このため、第2水熱交換器におけるCOPが向上し、この結果、省エネルギー化によるランニングコストの低減効果が得られる。
【0039】
(第6実施形態)
上記第1実施形態〜第5実施形態において、第1冷媒回路10又は第2冷媒回路20のいずれか一方が、故障したような場合には、残りの第2冷媒回路20又は第1冷媒回路10を駆動することによって、供給された低温水を高温水にまで一気に加熱する方式を採用する。この場合、ポンプ35の供給水量は通常運転時よりも減少(1/2程度に減少)させる。この結果、冷媒回路10、20の故障時においても、緊急措置により、残りの冷媒回路20、10での高温水の供給が可能となり、使用上の快適性低下を防止できる。
【0040】
以上にこの発明の具体的な実施の形態について説明したが、この発明は上記形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することができる。例えば、上記各実施形態においては、低温用と高温用とに2台の冷媒回路を設けているが、加熱温度域を3段階以上に分割し、それに応じた台数の冷媒回路を用いてもよい。また、冷媒としてR410aを使用しているが、HFC、プロパンのような自然冷媒等の何種類かのうちから任意に選択してもよい。この場合、第2冷媒回路20においては、沸き上げ温度の高い冷媒を使用するのが好ましい。例えば、炭酸ガス冷媒は、COPに関しては、HFC冷媒よりも低いが、沸き上げ温度に関しては、HFC冷媒よりも高くなる。従って、この点を考慮すると、第1冷媒回路10においては、R410aを使用し、第2冷媒回路20においては、炭酸ガスを使用するようにしてもよい。
【0041】
【発明の効果】
請求項1のヒートポンプ式給湯機では、中温水を高温水に加熱する第2水熱交換器におけるCOPは比較的低いものの、低温水を中温水に加熱する第1水熱交換器におけるCOPは極めて高く、そのため、ヒートポンプ全体としてのCOPが従来よりも向上し、この結果、省エネルギー化によるランニングコストの低減効果が得られる。
【0042】
上記請求項2のヒートポンプ式給湯機では、第2水熱交換器の出口側で凝縮冷媒に対して、充分な過冷却を付与することが可能となり、このため、第2水熱交換器におけるCOPが向上し、この結果、省エネルギー化によるランニングコストの低減効果が得られる。
【0043】
上記請求項3のヒートポンプ式給湯機では、例えば、このヒートポンプ式給湯機を瞬間湯沸し器型に使用した場合において、給湯利用開始時や大量給湯時に、貯湯タンク内の高温水を使用できるので、湯不足等の不都合を解消でき、使用快適性を確保できる。
【0044】
上記請求項4のヒートポンプ式給湯機では、風呂、シャワー等からの排出湯の熱量を上記第1冷媒回路及び/又は第2冷媒回路に回収するので、エネルギー効率を向上でき、ランニングコストを低減できる。
【0045】
上記請求項5のヒートポンプ式給湯機では、風呂、シャワー等からの排出湯の熱量を給湯回路に回収するので、エネルギー効率を向上でき、ランニングコストを低減できる。
【0046】
請求項6のヒートポンプ式給湯機では、冷媒回路の故障時においても、緊急措置により、残りの冷媒回路での高温水の供給が可能となり、使用上の快適性低下を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のヒートポンプ式給湯機の第1実施形態を示す全体回路図である。
【図2】上記ヒートポンプ式給湯機の作動状態を示すモリエル線図である。
【図3】上記ヒートポンプ式給湯機の第1冷媒回路における給湯温度とCOPとの関係を示すグラフである。
【図4】上記ヒートポンプ式給湯機の第2冷媒回路における給湯温度とCOPとの関係を示すグラフである。
【図5】従来のヒートポンプ式給湯機の給湯温度とCOPとの関係を示すグラフである。
【図6】この発明のヒートポンプ式給湯機の第2実施形態を示す全体回路図である。
【図7】この発明のヒートポンプ式給湯機の第3実施形態を示す全体回路図である。
【図8】この発明のヒートポンプ式給湯機の第4実施形態を示す全体回路図である。
【図9】風呂、シャワー等からの排出湯の熱量回収方式の変更例を示す概略図である。
【図10】この発明のヒートポンプ式給湯機の第5実施形態を示す全体回路図である。
【符号の説明】
1 貯湯タンク
10 第1冷媒回路
11 第1圧縮機
12 第1水熱交換器
16 第1減圧機構
17 第1熱源側熱交換器
20 第2冷媒回路
21 第2圧縮機
22 第2水熱交換器
26 第2減圧機構
27 第2熱源側熱交換器
29 過冷却用熱交換器
30 給湯回路

Claims (6)

  1. 第1圧縮機(11)と、第1水熱交換器(12)と、第1減圧機構(16)と、第1熱源側熱交換器(17)とを順次接続して構成した第1冷媒回路(10)と、第2圧縮機(21)と、第2水熱交換器(22)と、第2減圧機構(26)と、第2熱源側熱交換器(27)とを順次接続して構成した第2冷媒回路(20)とを備え、低温水を上記第1水熱交換器(12)で加熱して中温水とした後、この中温水を第2水熱交換器(22)でさらに加熱して高温水を出湯する給湯回路(30)を有することを特徴とするヒートポンプ式給湯機。
  2. 上記第2水熱交換器(22)の出口側冷媒を、低温水と熱交換させる過冷却用熱交換器(29)を有することを特徴とする請求項1のヒートポンプ式給湯機。
  3. 上記高温水を貯湯する貯湯タンク(1)を有することを特徴とする請求項1又は請求項2のヒートポンプ式給湯機。
  4. 風呂、シャワー等からの排出湯の熱量を上記第1冷媒回路(10)及び/又は第2冷媒回路(20)に回収すべく構成したことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかのヒートポンプ式給湯機。
  5. 風呂、シャワー等からの排出湯の熱量を給湯回路(30)に回収すべく構成したことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかのヒートポンプ式給湯機。
  6. 上記いずれかの冷媒回路(10)(20)が故障したときには、低温水の供給量を減じた状態で、残りの冷媒回路(20)(10)を運転することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかのヒートポンプ式給湯機。
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