JP3879636B2 - 給湯装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、給湯装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、特許文献1及び2に開示されているように、熱源としてヒートポンプ式の冷媒回路を利用する給湯装置が知られている。ヒートポンプを熱源とする給湯装置は、COPが約3程度と高いため、ガスや電気ヒータを熱源とする給湯装置と異なり、省エネルギー運転が可能である。
【0003】
【特許文献1】
特開平9−49668号公報
【特許文献2】
特開平10−111018号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、いわゆるガス瞬間湯沸かし器のように利用時に即座に出湯するためには、熱源として大容量のヒートポンプが必要となる。例えば、冬季のシャワー用に給湯を行う場合、仮に水温7℃の水から毎分12リットルの42℃の温水を生成しようとすると、熱源ヒートポンプには約30kWの能力が必要となる。そのため、熱源として、10馬力相当のヒートポンプを用意しなければならない。
【0005】
しかし、大容量のヒートポンプでは、室外機が大きくなるため、給湯装置の大型化を招く。室外機が大きいと、一般住宅への設置が著しく困難となる。また、必要電気容量も30Aを大幅に超えることになり、一般住宅に設置するためには受電設備の変更が必要となる。
【0006】
一方、ヒートポンプの容量を抑えるために、給湯装置内に貯湯タンクを設け、この貯湯タンクに予め温水を貯めておき、給湯時に当該温水を供給することが考えられる。このように貯湯タンクから温水を供給することにより、高温の温水を即座に供給することが可能となる。
【0007】
しかし、貯湯タンクの容量が十分に大きくないと、1日の給湯負荷を賄うことはできない。そのため、1日の給湯負荷を賄えるような大型の貯湯タンクを設置するために、十分な大きさの設置スペースが必要となる。したがって、一般住宅に設置する際には、設置場所の制約が多く、また、スペースの制約から設置が不可能な場合もある。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ヒートポンプを熱源として利用する給湯装置において、設置スペース及び電気容量の低減を図ることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の給湯装置は、水を流通させる給湯回路(13)と、蓄熱を利用して前記給湯回路(13)に第1の温度の水を供給する第1蓄熱部(39;81)と、蓄熱を利用して前記給湯回路(13)に前記第1温度よりも高い第2温度の水を供給する第2蓄熱部(37;82)とを有する蓄熱手段(7)と、圧縮機(31)と前記第1蓄熱部(39;81)を加熱する凝縮器(47)と減圧機構(23,25)と蒸発器(27)とを有する第1の冷媒回路(11)と、圧縮機(31)と前記第2蓄熱部(37;82)を加熱する凝縮器(41)と減圧機構(23,25)と蒸発器(27)とを有する第2の冷媒回路(9)とを備えるヒートポンプとを備え、前記第1冷媒回路(11)の冷媒の凝縮温度が前記第2冷媒回路(9)の冷媒の凝縮温度よりも低く設定されているものである。
【0010】
上記給湯装置は、蓄熱手段を有していることから、蓄熱を利用することによって即座に高温の温水を供給することができる。また、熱源となるヒートポンプは、第1冷媒回路及び第2冷媒回路を有している。すなわち、複数の冷媒回路を有している。給湯にはある程度高温の温水が必要不可欠であるが、上記給湯装置では、第2蓄熱部によって、比較的高温の第2温度の温水が供給される。そのため、蓄熱に際して、第2蓄熱部は比較的高温に加熱される必要があり、それに伴って第2冷媒回路の凝縮温度は比較的高温となる。したがって、第2冷媒回路のCOPは、ある程度低くなる。しかし、第1蓄熱部の蓄熱温度は比較的低温で足りるため、第1冷媒回路の冷媒凝縮温度は、第2冷媒回路の冷媒凝縮温度よりも低く設定されている。したがって、第2冷媒回路のCOPは低いが、第1冷媒回路のCOPは高くなる。その結果、ヒートポンプ全体の平均のCOPは、熱源ヒートポンプが単一の冷媒回路で形成されている従来の装置に比べて高くなる。そのため、冷媒回路を大容量化する必要がなくなる。
【0011】
また、熱源が複数の冷媒回路で形成されていることから、各冷媒回路の容量は比較的小さく抑えられる。そのため、圧縮機や蒸発器等を室外ユニット化する場合に、室外ユニットは小型化され、また、電気容量も低減する。したがって、一般住宅に無理なく設置することができる。
【0012】
請求項2に記載の給湯装置は、請求項1に記載の給湯装置において、第1蓄熱部は、第1の融点を有する第1潜熱蓄熱材を備える第1蓄熱ユニット(39)からなり、第2蓄熱部は、前記第1融点よりも高温の第2融点を有する第2潜熱蓄熱材を備える第2蓄熱ユニット(37)からなり、前記第1冷媒回路(11)の凝縮器(47)は、前記第1蓄熱ユニット(39)に設けられ、前記第2冷媒回路(9)の凝縮器(41)は、前記第2蓄熱ユニット(37)に設けられ、給湯回路(13)は、前記第1蓄熱ユニット(39)に設けられた第1熱回収熱交換器(49)と、前記第2蓄熱ユニット(37)に設けられた第2熱回収熱交換器(43)とを備えているものである。
【0013】
上記給湯装置では、第1蓄熱部及び第2蓄熱部において、潜熱蓄熱材が用いられる。したがって、蓄熱及び蓄熱の利用が効率よく行われる。各潜熱蓄熱材の融点がそれぞれの給湯取り出し温度に対応することにより、各蓄熱部において、給湯回路の水が所定の一定温度で安定して加熱されることになる。そのため、給湯回路に所定温度の温水を安定して供給することができる。
【0014】
請求項3に記載の給湯装置は、請求項2に記載の給湯装置において、給湯回路(13)上、第2熱回収熱交換器(43)は第1熱回収熱交換器(49)の下流側に設けられているものである。
【0015】
上記給湯装置では、給湯回路の水は、第1熱回収熱交換器、第2熱回収熱交換器の順に流れる。そのため、給湯回路の水は、加熱温度が徐々に高くなる順に加熱されることになる。したがって、給湯回路の水と蓄熱部との間の熱交換は、効率よく行われる。
【0016】
請求項4に記載の給湯装置は、請求項1に記載の給湯装置において、第1蓄熱部は、第1温度の水を貯留する第1温水タンク(81)からなり、第2蓄熱部は、第1温度よりも高温の第2温度の水を貯留する第2温水タンク(82)からなり、前記第1冷媒回路(11)の凝縮器(47)は、前記第1温水タンク(81)に貯留される水を加熱するように構成され、前記第2冷媒回路(9)の凝縮器(41)は、前記第2温水タンク(82)に貯留される水を加熱するように構成され、給湯回路(13)には、前記第1温水タンク(81)及び前記第2温水タンク(82)のうちの一方又は両方の温水が供給されるものである。
【0017】
上記給湯装置では、温水タンク内の水が蓄熱材として利用される。出湯の際には、温水タンクの温水が給湯回路に直接供給され、当該温水がそのまま利用される。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
<実施形態1>
図1に示すように、実施形態1に係る給湯装置(1)は、第1冷媒回路(11)及び第2冷媒回路(9)からなる熱源ヒートポンプと、第1蓄熱ユニット(39)及び第2蓄熱ユニット(37)からなる蓄熱部(7)と、給湯回路(13)とを備えている。給湯装置(1)は、温水を即座に供給することのできる給湯装置である。
【0020】
第1冷媒回路(11)及び第2冷媒回路(9)は、いずれも蒸気圧縮式の冷媒回路である。第1冷媒回路(11)と第2冷媒回路(9)とは、互いに独立した冷媒回路である。冷媒回路(9,11)の冷媒の種類は特に限定されるものではなく、例えばHFC系又はHC系の冷媒等を好適に用いることができる。
【0021】
第1冷媒回路(11)は、圧縮機(31)、第1蓄熱熱交換器(47)、レシーバ(19)、フィルタ(21)、キャピラリチューブ(23)、膨張弁(25)、室外熱交換器(27)、及びアキュムレータ(29)が順に接続されることによって構成されている。第1冷媒回路(11)には、電磁弁(33)及びキャピラリチューブ(35)を有する除霜用回路(34)が設けられている。除霜用回路(34)の一端は圧縮機(31)の吐出側配管に接続され、その他端は室外熱交換器(27)の入口側配管に接続されている。なお、第1冷媒回路(11)の圧縮機(31)や室外熱交換器(27)等は、第1室外ユニット(5)に収納されている。
【0022】
第2冷媒回路(9)は、圧縮機(31)、第2蓄熱熱交換器(41)、レシーバ(19)、フィルタ(21)、キャピラリチューブ(23)、膨張弁(25)、室外熱交換器(27)、及びアキュムレータ(29)が順に接続されることによって構成されている。第2冷媒回路(9)にも、第1冷媒回路(11)と同様に、電磁弁(33)及びキャピラリチューブ(35)を有する除霜用回路(34)が設けられている。第2冷媒回路(9)の圧縮機(31)や室外熱交換器(27)等は、第2室外ユニット(3)に収納されている。
【0023】
室外熱交換器(27)は、いわゆるクロスフィン型のフィン・アンド・チューブ型熱交換器によって構成されている。ただし、室外熱交換器(27)の種類は特に限定されるものではない。
【0024】
第1蓄熱ユニット(39)には、第1の融点を有する第1潜熱蓄熱材が収容され、第2蓄熱ユニット(37)には、第1融点よりも高温の第2融点を有する第2潜熱蓄熱材が収容されている。第1潜熱蓄熱材としては、融点が20℃〜40℃の蓄熱材が好ましく、第2潜熱蓄熱材としては、融点が50℃〜90℃の蓄熱材が好ましい。本実施形態では、第1蓄熱ユニット(39)には、第1潜熱蓄熱材として、融点が約31℃の硫酸ナトリウム10水和物(Na2SO4・10H2O)が収容されている。一方、第2蓄熱ユニット(37)には、第2潜熱蓄熱材として、融点が約55℃の酢酸ナトリウム3水和物(CH3COONa・3H2O)が収容されている。
【0025】
第1蓄熱熱交換器(47)は、第1蓄熱ユニット(39)内において第1潜熱蓄熱材に直接又は間接的に接触するように配置されている。つまり、第1蓄熱熱交換器(47)は、冷媒の凝縮熱によって第1潜熱蓄熱材を加熱するように構成されている。第2蓄熱熱交換器(41)は、第2蓄熱ユニット(37)内において第2潜熱蓄熱材に直接又は間接的に接触するように配置されている。第2蓄熱熱交換器(41)は、冷媒の凝縮熱によって第2潜熱蓄熱材を加熱するように構成されている。
【0026】
第1蓄熱熱交換器(47)及び第2蓄熱熱交換器(41)の熱交換器の種類は特に限定されない。例えば、第1蓄熱熱交換器(47)及び第2蓄熱熱交換器(41)は、裸管式の伝熱管であってもよく、フィンチューブ式の熱交換器等であってもよい。
【0027】
図2に示すように、第1蓄熱ユニット(39)、第2蓄熱ユニット(37)、第1室外ユニット(5)及び第2室外ユニット(3)は順に積層され、一体的に組み立てられている。このことにより、給湯装置(1)の小型化が図られている。
【0028】
図1に示すように、給湯回路(13)は、第1蓄熱ユニット(39)に設けられた第1熱回収熱交換器(49)と、第2蓄熱ユニット(37)に設けられた第2熱回収熱交換器(43)とを備えている。第1熱回収熱交換器(49)及び第2熱回収熱交換器(43)は、給湯回路(13)の水と蓄熱ユニット(39,37)の蓄熱材とを熱交換させる熱交換器であり、蓄熱材に直接又は間接的に接触するように配置されている。第1熱回収熱交換器(49)及び第2熱回収熱交換器(43)の熱交換器の種類も特に限定されず、裸管式の伝熱管で形成されていてもよく、フィンチューブ式の熱交換器等で形成されていてもよい。
【0029】
また、給湯回路(13)には、第2蓄熱ユニット(37)に設けられた追い焚き用熱交換器(45)が設けられている。追い焚き用熱交換器(45)は、追い焚き用回路(15)の水と第2蓄熱ユニット(37)の第2潜熱蓄熱材とを熱交換させるものである。追い焚き用熱交換器(45)の種類も特に限定されるものではなく、裸管式の伝熱管やフィンチューブ式熱交換器等を好適に用いることができる。
【0030】
給湯回路(13)の上流端は上水道に接続され、下流端は給水栓(53)に接続されている。給湯回路(13)には、水道水が流通する。
【0031】
給湯回路(13)は、第1熱回収熱交換器(49)と第2熱回収熱交換器(43)とが順に接続されてなる主回路(14)と、それら熱回収熱交換器(49,43)をバイパスするバイパス回路(59)とを備えている。主回路(14)の下流端とバイパス回路(59)の下流端とは、混合弁(61)に接続されている。混合弁(61)の下流側には、サーミスタ(55)が設けられている。混合弁(61)は、主回路(14)からの高温の温水とバイパス回路(59)からの低温の水道水との混合割合を調整する弁である。本実施形態では、混合割合は、サーミスタ(55)の検出温度が所定温度になるように自動的に調整される。
【0032】
サーミスタ(55)の下流側は、給水栓(53)に接続された給湯配管(62)と、浴槽(65)に接続された風呂注湯管(63)とに分岐している。給湯配管(62)には流量センサ(57)が設けられている。風呂注湯管(63)には、風呂注湯弁(67)が設けられている。
【0033】
追い焚き用回路(15)の一端は浴槽(65)に接続され、他端は風呂注湯管(63)における風呂注湯弁(67)と浴槽(65)との間に接続されている。追い焚き用回路(15)には、ポンプ(69)とサーミスタ(71)とが設けられている。
【0034】
ポンプ(69)が作動すると、浴槽(65)内の温水は追い焚き用回路(15)を流通する。そして、当該温水は追い焚き用熱交換器(45)において加熱され、再び高温の温水となって浴槽(65)に供給される。本実施形態では、追い焚き運転が開始されると、サーミスタ(71)の検出温度が所定温度になるまでポンプ(69)の運転が続けられる。
【0035】
次に、給湯装置(1)の運転について説明する。給湯装置(1)は、蓄熱運転と給湯運転とを実行する。以下、蓄熱運転、給湯運転の順に説明する。
【0036】
蓄熱運転時には、第1冷媒回路(11)及び第2冷媒回路(9)の運転が行われる一方、給湯回路(13)は運転を行わない。第1冷媒回路(11)及び第2冷媒回路(9)では、電磁弁(33)は閉鎖され、圧縮機(31)が駆動される。
【0037】
第1冷媒回路(11)では、圧縮機(31)から吐出された冷媒は、第1蓄熱熱交換器(47)において凝縮し、第1蓄熱ユニット(39)内の第1潜熱蓄熱材を加熱する。これにより、第1潜熱蓄熱材が融解し、第1蓄熱ユニット(39)に温熱が蓄えられる。なお、本実施形態では、蓄熱材の融点が約31℃なので、冷媒と蓄熱材とが約5℃の温度差で熱交換されることで、冷媒の凝縮温度は約36℃でバランスする。
【0038】
第1蓄熱熱交換器(47)で凝縮した冷媒は、レシーバ(19)を通過し、キャピラリチューブ(23)及び膨張弁(25)で減圧され、室外熱交換器(27)で蒸発した後、アキュムレータ(29)を経て圧縮機(31)に吸入される。そして、圧縮機(31)に吸入された冷媒は再び吐出され、上記循環動作を繰り返す。
【0039】
第2冷媒回路(9)では、圧縮機(31)から吐出された冷媒は、第2蓄熱熱交換器(41)において凝縮し、第2蓄熱ユニット(37)内の第2潜熱蓄熱材を加熱する。これにより、第2潜熱蓄熱材が融解し、第2蓄熱ユニット(37)に温熱が蓄えられる。なお、本実施形態では、蓄熱材の融点が約55℃なので、冷媒と蓄熱材とが約5℃の温度差で熱交換されることで、冷媒の凝縮温度は約60℃でバランスする。
【0040】
第2蓄熱熱交換器(41)で凝縮した冷媒は、レシーバ(19)を通過し、キャピラリチューブ(23)及び膨張弁(25)で減圧され、室外熱交換器(27)で蒸発した後、アキュムレータ(29)を経て圧縮機(31)に吸入される。そして、圧縮機(31)に吸入された冷媒は再び吐出され、上記循環動作を繰り返す。
【0041】
給湯運転は、主として蓄熱ユニット(39,37)を熱源とする運転である。給湯運転時には、給湯回路(13)の運転が行われる。また、本実施形態では、給湯運転時にも第1冷媒回路(11)及び第2冷媒回路(9)の運転が行われる。すなわち、第1冷媒回路(11)及び第2冷媒回路(9)も熱源の一部として利用される。
【0042】
第1冷媒回路(11)及び第2冷媒回路(9)の運転動作は蓄熱運転時と同様であるので、それらの説明は省略する。
【0043】
給湯回路(13)では、給水栓(53)又は風呂注湯弁(67)が開放され、上水道から搬送された水道水は給湯回路(13)を流通し、蓄熱ユニット(39,37)で加熱され、温水となって給水される。
【0044】
具体的には、上水道から給湯回路(13)へ流入した水道水は、混合弁(61)のバイパス回路(59)側が開放されている場合には主回路(14)とバイパス回路(59)とに分流し、混合弁(61)のバイパス回路(59)側が閉鎖されている場合には主回路(14)のみに流入する。
【0045】
主回路(14)に流入した水は、第1蓄熱ユニット(39)の第1熱回収熱交換器(49)に流入し、第1潜熱蓄熱材によって加熱される。第1潜熱蓄熱材の融点は約31℃であり、上記水は一定温度で安定して加熱され、約30℃以下の低温の温水となる。
【0046】
次に、上記低温水は、第2蓄熱ユニット(37)の第2熱回収熱交換器(43)に流入し、第2潜熱蓄熱材によって加熱される。第2潜熱蓄熱材の融点は約55℃であり、上記温水は一定温度で安定して加熱され、50℃程度の高温の温水となる。
【0047】
そして、上記高温水は、給湯配管(62)又は風呂注湯管(63)を通じて、給水栓(53)又は浴槽(65)に供給される。なお、混合弁(61)における混合が行われる場合には、上記高温水はバイパス回路(59)からの低温の水道水と混合され、所定温度の温水となって給水栓(53)又は浴槽(65)に供給される。つまり、混合弁(61)を制御することによって、バイパス回路(59)を通じて供給される水道水の水量が調整され、給水栓(53)又は浴槽(65)に供給される温水の温度が調節される。
【0048】
給湯運転時において、浴槽(65)内の温水の温度が低下すると、以下の追い焚き運転が行われる。追い焚き運転は、浴槽(65)の温水を再加熱し、温水の温度を上昇させる運転である。
【0049】
追い焚き運転時には、追い焚き用回路(15)のポンプ(69)が駆動される。すると、浴槽(65)の温水が追い焚き用回路(15)に取り込まれ、当該温水は第2蓄熱ユニット(37)内の追い焚き用熱交換器(45)へ導入される。追い焚き用熱交換器(45)に導入された温水は、追い焚き用熱交換器(45)を介して、第2潜熱蓄熱材によって加熱される。第2潜熱蓄熱材は融点が高いため、上記温水は加熱されることによって高温の温水となる。そして、この高温水は追い焚き用熱交換器(45)を流出し、浴槽(65)に供給される。このように浴槽(65)と追い焚き用熱交換器(45)との間で温水が循環することにより、浴槽(65)内の温水の温度は所定温度にまで上昇する。
【0050】
なお、本給湯装置(1)では、給湯運転時に冷媒回路(11,9)を熱源の一部として利用することから、熱回収熱交換器(49,43)内を流れる水と蓄熱熱交換器(47,41)内を流れる冷媒とを効率よく熱交換させることが望ましい。そのため、第1熱回収熱交換器(49)と第1蓄熱熱交換器(47)、及び第2蓄熱熱交換器(41)と第2蓄熱熱交換器(41)を、それぞれ直接接触させるようにしてもよい。このことにより、熱回収熱交換器(49,43)内を流れる水を蓄熱熱交換器(47,41)内の冷媒によって直接的に加熱することができ、熱交換効率を向上させることができる。
【0051】
以上のように、本実施形態によれば、それぞれ融点の異なる潜熱蓄熱材を有する第1蓄熱ユニット(39)及び第2蓄熱ユニット(37)を備え、それらに応じて、凝縮温度の低い第1冷媒回路(11)と凝縮温度の高い第2冷媒回路(9)とを設けることとした。したがって、図3に示すように、蓄熱時の第2冷媒回路(9)のCOPは約4程度とやや低いものの、第1冷媒回路(11)のCOPは約6程度であり、高い値を示す。そのため、第1冷媒回路(11)及び第2冷媒回路(9)の全体の平均では、COPは約5程度となり、熱源を単一の冷媒回路で構成する場合に比べて高い値を示す。
【0052】
したがって、本実施形態によれば、冷媒回路(11,9)を大容量化する必要はない。そのため、電気容量を低減することができる。また、室外ユニット(5,3)を大型化する必要がないので、設置スペースを小さく抑えることができる。したがって、一般住宅に対しても無理なく設置することが可能となる。
【0053】
水道水の加熱は、第1熱回収熱交換器(49)及び第2熱回収熱交換器(43)において行われるが、給湯回路(13)において、第2熱回収熱交換器(43)は第1熱回収熱交換器(49)の下流側に設けられている。第2熱回収熱交換器(43)の熱交換温度は第1熱回収熱交換器(49)よりも高いため、水道水は、徐々に熱交換温度が高くなるような順序で加熱されることになる。したがって、水道水は高効率に加熱され、蓄熱は効率よく取り出される。
【0054】
なお、第1蓄熱ユニット(39)又は第2蓄熱ユニット(37)に収容される潜熱蓄熱材は、前述の蓄熱材に限定されず、他の潜熱蓄熱材であってもよい。例えば、他の水和物、パラフィン、糖アルコール等を用いてもよい。また、第1潜熱蓄熱材及び第2潜熱蓄熱材の融点は、前述の値に限定されるものではない。
【0055】
<実施形態2>
図4に示すように、実施形態2に係る給湯装置(1)は、実施形態1において、第1蓄熱ユニット(39)及び第2蓄熱ユニット(37)の代わりに、第1温水タンク(81)及び第2温水タンク(82)を設けたものである。本実施形態では、温水タンク(81,82)内の水自体が蓄熱材として利用される。
【0056】
本実施形態では、第1蓄熱熱交換器(47)は、液−液熱交換器で構成されている。第1蓄熱熱交換器(47)は第1水回路(11A)に接続されており、第1冷媒回路(11)の冷媒と第1水回路(11A)とを熱交換させる。第1水回路(11A)には、第1温水タンク(81)とポンプ(48)とが設けられている。
【0057】
第2蓄熱熱交換器(41)も液−液熱交換器で構成されている。第2蓄熱熱交換器(41)は第2水回路(9A)に接続されており、第2冷媒回路(9)の冷媒と第2水回路(9A)の水とを熱交換させる。第2水回路(9A)には、第2温水タンク(82)とポンプ(42)とが設けられている。
【0058】
本実施形態では、蓄熱運転時には、第1冷媒回路(11)及び第2冷媒回路(9)が運転を行い、第1蓄熱熱交換器(47)及び第2蓄熱熱交換器(41)において冷媒が凝縮する。なお、第1冷媒回路(11)の冷媒凝縮温度は約85℃程度、第2冷媒回路(9)の冷媒凝縮温度は約45℃程度である。
【0059】
第1水回路(11A)ではポンプ(48)が駆動し、第1温水タンク(81)内の下部に位置する水が第1水回路(11A)に流出する。この水は、第1蓄熱熱交換器(47)において冷媒に加熱され、約40℃の温水となって第1温水タンク(81)内の上部に流入する。
【0060】
第2水回路(9A)ではポンプ(42)が駆動し、第2温水タンク(82)内の下部に位置する水が第2水回路(9A)に流出する。この水は、第2蓄熱熱交換器(41)において冷媒に加熱され、約80℃の温水となって第2温水タンク(82)内の上部に流入する。
【0061】
その結果、蓄熱運転により、第1温水タンク(81)には約40℃程度の温水が蓄えられ、第2温水タンク(82)には約80℃程度の温水が蓄えられる。
【0062】
給湯運転時には、第1温水タンク(81)及び第2温水タンク(82)に蓄えられた温水が供給される。なお、第1温水タンク(81)からの温水と第2温水タンク(82)からの温水とは、混合弁(61)において混合され、所定温度の温水に調整されてから給水栓(53)又は浴槽(65)に供給される。
【0063】
本実施形態においても、給湯運転時には第1冷媒回路(11)及び第2冷媒回路(9)の運転が行われる。また、水回路(11A,9A)のポンプ(48,42)も運転を行う。したがって、温水タンク(81,82)の水の温度が低下しても、温水タンク(81,82)の水は、水回路(11A,9A)を流れることによって冷媒回路(11,9)の蓄熱熱交換器(47,41)で加熱される。そのため、給湯回路(13)を流れる水は、所定温度の温水となって給水栓(53)又は浴槽(65)に供給される。つまり、本実施形態においても、給湯と蓄熱とが同時に実行される。
【0064】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、温度レベルの異なる複数の蓄熱部と複数の冷媒回路とを備えることとしたので、処理能力の分散により、冷媒回路の大容量化を抑えることができる。したがって、電気容量の低減及び設置スペースの低減を図ることができ、一般住宅に対しても無理なく設置することが可能となる。
【0065】
請求項2記載の発明によれば、低融点の第1潜熱蓄熱材が収容された第1蓄熱ユニットと、高融点の第2潜熱蓄熱材が収容された第2蓄熱ユニットとを備え、第1蓄熱ユニットに対して第1冷媒回路の凝縮器を設置する一方、第2蓄熱ユニットに対して第2冷媒回路の凝縮器を設置することとした。このように、融点の異なる複数の潜熱蓄熱材に対して別々の冷媒回路を設け、各冷媒回路がそれぞれ独立して蓄熱材への加熱を行うので、凝縮温度の高い第2冷媒回路はCOPが高くなくても、凝縮温度の低い第1冷媒回路はCOPが高くなる。その結果、ヒートポンプ全体の平均COPを向上させることができる。
【0066】
請求項3記載の発明によれば、給湯回路の水と蓄熱手段の蓄熱部との間の熱交換効率を向上させることができる。
【0067】
請求項4記載の発明によれば、温水タンク内の水を蓄熱材として利用することができ、蓄熱手段の構成を簡単化することができるとともに、取り扱いを容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1に係る給湯装置の概略構成図である。
【図2】給湯装置の正面図である。
【図3】第1冷媒回路及び第2冷媒回路における冷媒のモリエル線図である。
【図4】実施形態2に係る給湯装置の概略構成図である。
【符号の説明】
(1) 給湯装置
(3) 第2室外ユニット
(5) 第1室外ユニット
(7) 蓄熱部(蓄熱手段)
(9) 第2冷媒回路
(11) 第1冷媒回路
(13) 給湯回路
(37) 第2蓄熱ユニット
(39) 第1蓄熱ユニット
(41) 第2蓄熱熱交換器(凝縮器)
(43) 第2熱回収熱交換器
(47) 第1蓄熱熱交換器(凝縮器)
(49) 第1熱回収熱交換器
Claims (4)
- 水を流通させる給湯回路(13)と、
蓄熱を利用して前記給湯回路(13)に第1の温度の水を供給する第1蓄熱部(39;81)と、蓄熱を利用して前記給湯回路(13)に前記第1温度よりも高い第2温度の水を供給する第2蓄熱部(37;82)とを有する蓄熱手段(7)と、
圧縮機(31)と前記第1蓄熱部(39;81)を加熱する凝縮器(47)と減圧機構(23,25)と蒸発器(27)とを有する第1の冷媒回路(11)と、圧縮機(31)と前記第2蓄熱部(37;82)を加熱する凝縮器(41)と減圧機構(23,25)と蒸発器(27)とを有する第2の冷媒回路(9)とを備えるヒートポンプとを備え、
前記第1冷媒回路(11)の冷媒の凝縮温度が前記第2冷媒回路(9)の冷媒の凝縮温度よりも低く設定されている給湯装置。 - 請求項1に記載の給湯装置であって、
第1蓄熱部は、第1の融点を有する第1潜熱蓄熱材を備える第1蓄熱ユニット(39)からなり、
第2蓄熱部は、前記第1融点よりも高温の第2融点を有する第2潜熱蓄熱材を備える第2蓄熱ユニット(37)からなり、
前記第1冷媒回路(11)の凝縮器(47)は、前記第1蓄熱ユニット(39)に設けられ、
前記第2冷媒回路(9)の凝縮器(41)は、前記第2蓄熱ユニット(37)に設けられ、
給湯回路(13)は、前記第1蓄熱ユニット(39)に設けられた第1熱回収熱交換器(49)と、前記第2蓄熱ユニット(37)に設けられた第2熱回収熱交換器(43)とを備えている給湯装置。 - 請求項2に記載の給湯装置であって、
給湯回路(13)において、第2熱回収熱交換器(43)は第1熱回収熱交換器(49)の下流側に設けられている給湯装置。 - 請求項1に記載の給湯装置であって、
第1蓄熱部は、第1温度の水を貯留する第1温水タンク(81)からなり、
第2蓄熱部は、第1温度よりも高温の第2温度の水を貯留する第2温水タンク(82)からなり、
前記第1冷媒回路(11)の凝縮器(47)は、前記第1温水タンク(81)に貯留される水を加熱するように構成され、
前記第2冷媒回路(9)の凝縮器(41)は、前記第2温水タンク(82)に貯留される水を加熱するように構成され、
給湯回路(13)には、前記第1温水タンク(81)及び前記第2温水タンク(82)のうちの一方又は両方の温水が供給される給湯装置。
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