JP2004232470A - 水ポンプおよびその製造方法 - Google Patents

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Satoru Murao
悟 村尾
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Koyo Seiko Co Ltd
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Koyo Seiko Co Ltd
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Abstract

【課題】コスト削減、精度向上を図ることができ、しかも、軸受(13)がクリープを起こす心配の無い水ポンプを提供する。
【解決手段】水ポンプは、ボディ(12)に軸受(13)によって支持されている樹脂製プーリ(14)と、プーリ(14)と一体成形されている樹脂製シャフト(15)とを備えている。軸受(13)およびプーリ(14)は、軸受(13)、プーリ(14)およびシャフト(15)のインサート射出成形によって結合されている。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、例えば、自動車に用いられる水ポンプに関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の水ポンプとしては、ボディに軸受によって支持されている樹脂製プーリと、プーリと一体成形されている樹脂製シャフトとを備えており、軸受およびプーリが、軸受およびプーリの圧入によって結合されているものが知られている(例えば、特許公報1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−349481号公報
【0004】
【発明が解決すべき課題】
上記従来の水ポンプでは、製造工程の中に、軸受およびプーリの圧入工程を必要とする。このことは、コスト削減、精度向上を図ることを阻害する要因となっている。また、軸受の金属と、プーリの樹脂との間には、線膨張係数の相違がある。そのため、運転時に水ポンプが高温に曝されると、軸受がクリープを起こす恐れがある。
【0005】
この発明の目的は、コスト削減、精度向上を図ることができ、しかも、軸受がクリープを起こす心配の無い水ポンプを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明による水ポンプは、ボディに軸受によって支持されている樹脂製プーリと、プーリと一体成形されている樹脂製シャフトとを備えており、軸受およびプーリが、軸受、プーリおよびシャフトのインサート射出成形によって結合されているものである。
【0007】
この発明による水ポンプでは、軸受およびプーリが、軸受、プーリおよびシャフトのインサート射出成形によって結合されているから、冒頭で説明した従来の水ポンプのように、軸受のプーリへの圧入工程を必要としない。したがって、組立工数が削減され、コスト削減を図ることができる。しかも、射出成形により、精度の向上も図ることができる。
【0008】
さらに、軸受の外輪外周面に、条溝の幅および/または深さを、条溝の周方向に進むにしたがって漸次変化させたクリープ防止用環状条溝が形成されており、プーリが、軸受の外輪を取り囲むリムを有しており、リムの内周面に、条溝に合致させられた環状突条が形成されていると、条溝および突条の楔作用によって、軸受およびプーリの回転方向の結合力を強化することができ、軸受のクリープを防止することができる。
【0009】
また、ボディが、軸受の内輪に圧入された支持筒を有していることが好ましい。
【0010】
また、ボディが、軸受の内輪にルーズフィットさせられた支持筒を有しており、内輪および支持筒がかしめにより結合されていてもよい。
【0011】
また、樹脂が、フェノール樹脂であると、耐熱性および耐摩耗性に優れたプーリおよびシャフトを、低コストで製造することができる。
【0012】
この発明による水ポンプの製造方法は、射出成形用金型の所定か所に軸受をセットし、金型内に溶融樹脂を注入するものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
この発明の実施の形態を図面を参照してつぎに説明する。
【0014】
水ポンプは、自動車エンジンのシリンダブロック(B)前端面に形成された渦巻室(P)を被覆するように同前端面に取付られかつ前方突出状水平支持筒(11)を有するボディ(12)と、支持筒(11)にはめ被せられている軸受(13)と、軸受(13)で支持されているプーリ(14)と、ボディ(12)を前後方向に貫通するように支持筒(11)の軸線上に配置されているシャフト(15)と、渦巻室(P)内に収められるようにシャフト(15)の後端部に固定されているインペラ(16)とを備えている。ボディ(12)およびインペラ(16)は、プレス鋼板などでなり、プーリ(14)およびシャフト(15)は、いずれも樹脂製である。
【0015】
支持筒(11)内面後端部およびこれと相対するシャフト(15)外面間にはメカニカルシール(17)が介在させられている。
【0016】
軸受(13)は、転がり軸受(13)であって、軸受鋼製外輪(21)および内輪(22)と、これら双方の間に介在させられている複数の軸受鋼製玉(23)とよりなる。
【0017】
外輪(21)の外周面には、横断面輪郭円弧状をなす環状条溝(31)が軸受(13)中心に対して偏心させられるように形成されている。したがって、条溝(31)の幅および深さは、条溝(31)の周方向に進むにしたがって漸次大から小へと変化させられている。すなわち、同幅および深さの最大部分と最小部分とは互いに180度の角度をもたされて反対方向に向けられている。
【0018】
プーリ(14)は、外輪(21)を取り囲んでいる横断面H字状のリム(41)と、リム(41)の前縁部からシャフト(15)と直交させられるようにシャフト(15)に向かって拡がりかつシャフト(15)の前端部に一体的に連なっている垂直円板状ウェッブ(42)とよりなる。
【0019】
リム(41)の内面には、条溝(31)と合致させられるようにはめ入れられた環状突条(43)が形成されている。ウェッブ(42)には複数の貫通孔(44)がリム周方向に間隔をおいて形成されている。貫通孔(44)からは、支持筒(11)および内輪(22)の前端部が臨めるようになっている。
【0020】
シャフト(15)およびインペラ(16)は、圧入またはスプライン嵌合、キー溝嵌合と止め輪などによってともに回転するように一体化されている。
【0021】
内輪(22)は、支持筒(11)に圧入によって結合されている。圧入作業に際し、図示しない圧入ジグが貫通孔(44)を通して内輪(22)をプレスしうるようになっている。また、内輪(22)を圧入することに代えて、内輪(22)を支持筒(11)にルーズフィットし、貫通孔(44)からかしめジグを挿入し、支持筒(11)前端部をパンチかしめをして、内輪(22)を支持筒(11)に結合するようにしてもよい。
【0022】
外輪(21)の外面およびリム(41)の内面は、軸受(13)、プーリ(14)およびシャフト(15)のインサート射出成形によって結合されている。射出成形には、図示しない金型が用いられる。金型には、プーリ(14)およびシャフト(15)を成形するためのキャビティが形成されている。キャビィティのプーリリム(41)内面を形成する部分から、軸受外輪(21)外面をキャビティ内に臨ませるように軸受(13)をセットし、キャビティ内に溶融樹脂を注入することにより、軸受(13)、プーリ(14)およびシャフト(15)が同時に一体的に結合される。軸受(13)の外輪(21)の外周部分はプーリ(14)のリム(41)内面に食い込む形態となっており、これにより、軸受(13)およびプーリ(14)の前後方向の相対的移動が規制されるようになっている。この射出成形に際しては、樹脂として、フェノール樹脂を用いることが好ましい。
【0023】
水ポンプの使用に際し、外輪(21)に対し、プーリ(14)が相対的に回転しようとしても、条溝(31)および突条(43)があるため、双方の間に楔作用が発生し、外輪(21)およびプーリ(14)の相対回転が阻止される。
【0024】
【発明の効果】
この発明によれば、コスト削減、精度向上を図ることができ、しかも、軸受がクリープを起こす心配の無い水ポンプが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による水ポンプの垂直縦断面図である。
【符号の説明】
(11) 支持筒
(12) ボディ
(13) 軸受
(14) プーリ
(15) シャフト
(21) 軸受外輪
(22) 軸受内輪
(31) 条溝
(43) 突条

Claims (6)

  1. ボディに軸受によって支持されている樹脂製プーリと、プーリと一体成形されている樹脂製シャフトとを備えており、軸受およびプーリが、軸受、プーリおよびシャフトのインサート射出成形によって結合されている水ポンプ。
  2. 軸受の外輪外周面に、条溝の幅および/または深さを、条溝の周方向に進むにしたがって漸次変化させたクリープ防止用環状条溝が形成されており、プーリが、軸受の外輪を取り囲むリムを有しており、リムの内周面に、条溝に合致させられた環状突条が形成されている請求項1に記載の水ポンプ。
  3. ボディが、軸受の内輪に圧入された支持筒を有している請求項1または2に記載の水ポンプ。
  4. ボディが、軸受の内輪にルーズフィットさせられた支持筒を有しており、内輪および支持筒がかしめにより結合されている請求項1または2に記載の水ポンプ。
  5. 樹脂が、フェノール樹脂である請求項1〜4のいずれか1つに記載の水ポンプ。
  6. 射出成形用金型の所定か所に軸受をセットし、金型内に溶融樹脂を注入する請求項1〜5のいずれか1つに記載の水ポンプの製造方法。
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