JP2004230608A - インモールドコーティング方法を用いた樹脂成形品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】表面層成形用の隙間を形成するために可動型を型開き方向に移動させた際において、基材が表面面キャビティ面側に浮き上がりを防止する。
【解決手段】インモールドコーティング方法を用いた樹脂成形品の製造方法において、基材2の裏面部を成形する裏面用キャビティ面14にアンダーカット部15を形成するための抜け止め用凹部16を設ける。金型5で熱硬化性樹脂成形素材6を型締めして基材2を成形する際に、前記抜け止め用凹部16内に硬化前の熱硬化性樹脂成形素材6の一部を充填してアンダーカット部15を形成する。この後表面コート材を注入するための隙間8を形成する際に、前記アンダーカット部15により基材2を裏面用キャビティ面14引っ付けた状態で可動型4を型開き方向に移動する。
【選択図】 図1
【解決手段】インモールドコーティング方法を用いた樹脂成形品の製造方法において、基材2の裏面部を成形する裏面用キャビティ面14にアンダーカット部15を形成するための抜け止め用凹部16を設ける。金型5で熱硬化性樹脂成形素材6を型締めして基材2を成形する際に、前記抜け止め用凹部16内に硬化前の熱硬化性樹脂成形素材6の一部を充填してアンダーカット部15を形成する。この後表面コート材を注入するための隙間8を形成する際に、前記アンダーカット部15により基材2を裏面用キャビティ面14引っ付けた状態で可動型4を型開き方向に移動する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インモールドコーティング方法を用いた樹脂成形品の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、基材の表面に表面層を備えた熱硬化性樹脂製の樹脂瓦などの樹脂成形品を製造する製造方法が知られており、具体的な方法としてはインモールドコーティング方法が用いられている。
【0003】
この方法は、一般的に固定型と固定型に対して型締め方向及び型開き方向に移動自在の可動型とからなる金型で熱硬化性樹脂成形素材を型締めして基材を成形し、次いで可動型を型開き方向に移動して基材の表面と基材の表面部を成形する表面用キャビティ面との間に隙間を形成し、この後前記隙間に表面コート材を注入して基材表面に表面層を形成し、金型を型開きした後この樹脂成形品を取り出すものであり、この方法により同一装置を用いて成形と被覆とを同時に行うことが可能となり、且つ表面が美しく被覆塗装され平滑性に優れた樹脂成形品を得ることができる。
【0004】
ところで上記製造方法においては、前述したように可動型を型開き方向に移動させて表面コート材を注入するための隙間を形成するのだが、この可動型の移動の際に基材が表面用キャビティ面に引っ付いてしまい、基材の全部もしくは一部が表面用キャビティ面側に浮き上がってしてしまうことがあり、これによって樹脂成形品に厚みのばらつきや、表面コート材のショート不良等の成形不良が発生してしまうという問題がある。
【0005】
そこで従来では表面層成形用の隙間の一部を構成する表面用キャビティ面にエアー噴出口を設け、可動型を型開き方向に移動させて隙間を形成する際に、表面用キャビティ面に設けたエアー噴出口からエアーを噴出して基材を裏面用キャビティ面に押しつけていた(例えば特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平6−63978号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記表面層成形用の隙間の一部を構成する表面用キャビティ面に設けたエアー噴出口からエアーを噴出するものにおいては、熱硬化性樹脂成形素材がエアー噴出口に入り込むことは少ないのだが、隙間に注入された流動性を有する表面コート材が表面用キャビティ面に設けたエアー噴出口に入り込んでエアー噴出口が詰まってしまうことが多々あり、これによって可動型を型開き方向に移動させた際に、基材の全部もしくは一部が表面用キャビティ面側に浮き上がってしまい、成形不良が発生してしまう。また、上記のように表面コート材が噴出口に入り込んだ場合、表面層の表面、すなわち樹脂成形品の表面にバリ等が発生してしまい、外観が美しくない。さらには、裏面用キャビティ面への基材の押し付けは、エアーを基材表面の全面に亘って噴出させることで行っているため、裏面用キャビティ面への押し付け力が弱く、これも基材が浮き上がる原因となってしまう。
【0008】
また特許文献1に示す樹脂成形被覆装置では上記のようにエアー噴出口に表面コート材が入り込むことを防止するために、エアー噴出口に隙間を形成する際における可動型の型開き方向への移動時にのみ開くエアー弁を設けているが、このエアー弁は、エアー噴出口からエアーを噴出させる、エアー噴出口に表面コート材が入り込むことを防止する、エアー弁の表面にて裏面用キャビティ面よりも寸法精度が要求される表面用キャビティ面の一部を構成するといった複雑な機構が必要であり、コストがかかってしまう。
【0009】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、簡単な機構により表面層成形用の隙間を形成するために可動型を型開き方向に移動させた際に、基材を裏面用キャビティ面に確実に引っ付けて基材の表面側キャビティ面への浮き上がりを防止でき、これにより成形不良の発生を抑え、且つ外観に優れた樹脂成形品を製造できるインモールドコーティング方法を用いた樹脂成形品の製造方法を提供することを課題とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明に係るインモールドコーティング方法を用いた樹脂成形品の製造方法は、固定型3と固定型3に対して型締め方向及び型開き方向に移動自在の可動型4とからなる金型5で熱硬化性樹脂成形素材6を型締めして基材2を成形し、次いで可動型4を型開き方向に移動して基材2の表面2aと基材2の表面部を成形する表面用キャビティ面7との間に隙間8を形成し、この後前記隙間8に表面コート材を注入して基材2の表面2aに表面層を形成し、金型5を型開きした後この樹脂成形品1を取り出すインモールドコーティング方法を用いた樹脂成形品の製造方法において、基材2の裏面部を成形する裏面用キャビティ面14にアンダーカット部15を形成するための抜け止め用凹部16を設け、金型5で熱硬化性樹脂成形素材6を型締めして基材2を成形する際に、前記抜け止め用凹部16内に硬化前の熱硬化性樹脂成形素材6の一部を充填してアンダーカット部15を形成し、この後表面コート材を注入するための隙間8を形成する際に、前記アンダーカット部15により基材2を裏面用キャビティ面14引っ付けた状態で可動型4を型開き方向に移動することを特徴とするものである。
【0011】
このように、金型5で熱硬化性樹脂成形素材6を型締めして基材2を成形する際に、前記抜け止め用凹部16内に硬化前の熱硬化性樹脂成形素材6の一部を充填してアンダーカット部15を形成し、この後表面コート材を注入するための隙間8を形成する際に、前記アンダーカット部15により基材2を裏面用キャビティ面14引っ付けた状態で可動型4を型開き方向に移動することで、可動型3を型開き方向に移動させて表面層成形用の隙間8を形成する際に、基材2が表面用キャビティ面7に引っ付いたり、表面用キャビティ面7側に浮き上がったりすることを防止できる。またこの場合、従来のエアー噴出口のような孔を表面用キャビティ面7に設ける必要がないため、製造工程においてエアー詰まり等のトラブルが発生することがなく、効率よく樹脂成形品1を製造できる。さらには従来のエアー弁のように複雑な機構を設けることなく簡単な機構で基材2の浮き上がりを防止でき、樹脂成形被覆装置のコストを削減できる。
【0012】
また請求項2記載の製造方法は、請求項1記載の製造方法において、上記固定型4側にその先端面9aが固定型3のキャビティ面3aと面一となるエジェクタピン9を設け、エジェクタピン9の先端面9aにて裏面用キャビティ面14の一部を構成し、エジェクタピン9の先端面9aに可動型4側に開口し且つ少なくとも樹脂成形品1の取り出し方向に開口する段部13を形成し、段部13の側面13bの少なくとも可動型4の移動方向における一部を、可動型4の移動方向と直交する方向において、段部13の可動型4側の角部13cよりも外側に位置するように形成し、該段部13にて上記抜け止め用凹部16の一部を構成し、樹脂成形品1を取り出す際に、エジェクタピン9の先端面9aを固定型のキャビティ面から可動型4側に突出させ、この後樹脂成形品1を取り出し方向に移動させてアンダーカット部15を段部13から取り出すことを特徴とするものである。
【0013】
このように上記固定型3側にその先端面9aが固定型3のキャビティ面3aと面一となるエジェクタピン9を設け、エジェクタピン9の先端面9aにて裏面用キャビティ面14の一部を構成し、エジェクタピン9の先端面9aに可動型4側に開口し且つ少なくとも樹脂成形品1の取り出し方向に開口する段部13を形成し、段部13の側面13bの少なくとも可動型4の移動方向における一部を、可動型4の移動方向と直交する方向において、段部13の可動型4側の角部13cよりも外側に位置するように形成し、該段部13にて上記抜け止め用凹部16の一部を構成し、樹脂成形品1を取り出す際に、エジェクタピン9の先端面9aを固定型3のキャビティ面3aから可動型4側に突出させ、この後樹脂成形品1を取り出し方向に移動させてアンダーカット部15を段部13から取り出すことで、アンダーカット部15をノックアウトすることなく樹脂成形品1を取り出すことができる。またエジェクタピン9により成形後の樹脂成形品1を裏面用キャビティ面14よりも可動型4側に突き上げて取り出すことができるので、裏面用キャビティ面14の形状に制限が少なく、複雑な形状を有する樹脂成形品1を製造できる。
【0014】
また請求項3記載の製造方法は、請求項1記載の製造方法において、上記抜け止め用凹部16として、固定型3のキャビティ面3aに樹脂成形品1の取り出し方向と同方向に伸び且つ少なくとも樹脂成形品1の取り出し方向と同方向に開口する溝17を形成し、該溝17の幅方向における片側面17aの少なくとも可動型4の移動方向における一部を可動型4側の角部17cよりも幅方向外側に位置するように形成し、樹脂成形品1を取り出す際に、樹脂成形品1を取り出し方向に移動させてアンダーカット部15を溝17から取り出すことを特徴とするものである。
【0015】
上記抜け止め用凹部16として、固定型3のキャビティ面3aに樹脂成形品1の取り出し方向と同方向に伸び且つ少なくとも樹脂成形品1の取り出し方向と同方向に開口する溝17を形成し、該溝17の幅方向における片側面17aの少なくとも可動型4の移動方向における一部を可動型4側の角部17cよりも幅方向外側に位置するように形成し、樹脂成形品1を取り出す際に、樹脂成形品1を取り出し方向に移動させてアンダーカット部15を溝17から取り出すことで、アンダーカット部15をノックアウトすることなく樹脂成形品1を取り出すことができる。
【0016】
また請求項4記載の製造方法は、請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法において、上記抜け止め用凹部16を複数設けることを特徴とするものである。
【0017】
このように抜け止め用凹部16を複数設けることで、可動型4を型開き方向に移動させて表面層成形用の隙間8を形成する際に、複数のアンダーカット部15により基材2を複数箇所で支持でき、より一層基材2を裏面用キャビティ面14にぴったりと引っ付いた状態にすることができる。
【0018】
また請求項5記載の製造方法は、固定型3と固定型3に対して型締め方向及び型開き方向に移動自在の可動型4とからなる金型5で熱硬化性樹脂成形素材6を型締めして基材2を成形し、次いで可動型4を型開き方向に移動させて基材2の表面2aと基材2の表面部を成形する表面用キャビティ面7との間に隙間8を形成し、この後前記隙間8に表面コート材を注入して基材2の表面に表面層を形成し、金型5を型開きした後この樹脂成形品1を金型5から取り出すインモールドコーティング方法を用いた樹脂成形品の製造方法において、可動型4側にその先端面18aが可動型4のキャビティ面4aと面一となる押さえピン18を設け、押さえピン18の先端面18aにて表面用キャビティ面7の一部を構成し、可動型4を移動して隙間8を形成する際に、前記押さえピン18の先端面18aを可動型4のキャビティ面4aよりも固定型3側に突出させて押さえピン18の先端面18aにて基材2を固定型3に押さえつけることを特徴とするものである。
【0019】
このように可動型4側にその先端面18aが可動型4のキャビティ面4aと面一となる押さえピン18を設け、押さえピン18の先端面18aにて表面用キャビティ面7の一部を構成し、可動型4を移動して隙間8を形成する際に、前記押さえピン18の先端面18aを可動型4のキャビティ面4aよりも固定型3側に突出させて押さえピン18の先端面18aにて基材2を固定型3に押さえつけることで、可動型4を型開き方向に移動させて表面層成形用の隙間8を形成する際に、基材2を裏面用キャビティ面14にぴったりと引っ付いた状態にでき、これによって基材2が表面用キャビティ面7に引っ付いたり、表面用キャビティ面14側に浮き上がったりすることを防止できる。またこの場合、従来のようにエアー噴出口のような孔を設ける必要がないため、製造工程においてエアー詰まり等のトラブルが発生することがなく、効率よく前述した樹脂成形品1を製造できる。
【0020】
また請求項6記載の製造方法は、固定型3と固定型3に対して型締め方向及び型開き方向に移動自在の可動型4とからなる金型5で熱硬化性樹脂成形素材6としてのSMC材料を型締めして基材2を成形し、次いで可動型4を型開き方向に移動させて基材2の表面2aと基材2の表面部を成形する表面用キャビティ面7との間に隙間8を形成し、この後前記隙間8に表面コート材を注入して基材2の表面2aに表面層を形成し、金型5を型開きした後この樹脂成形品1を金型5から取り出すインモールドコーティング方法を用いた樹脂成形品の製造方法において、基材2の裏面部を成形する裏面用キャビティ面14に吸引口25を設け、可動型4を移動して隙間8を形成する際に、エアー吸引装置26により前記吸引口25から基材2を裏面用キャビティ面14側に吸引することを特徴とするものである。
【0021】
このように基材2の裏面部を成形する裏面用キャビティ面14に吸引口25を設け、可動型4を移動して隙間8を形成する際に、エアー吸引装置26により前記吸引口25から基材2を裏面用キャビティ面14側に吸引することで、可動型4を型開き方向に移動させて表面層成形用の隙間8を形成する際に、基材2を裏面用キャビティ面14にぴったりと引っ付いた状態にすることができ、基材2が表面用キャビティ面7に引っ付いたり、表面用キャビティ面7側に浮き上がったりすることを防止できる。またこの場合、従来のように表面層成形用の隙間8を構成する表面用キャビティ面7に設けるのではなく、基材2の裏面2bに面した裏面用キャビティ面14に吸引口25を設けることで、製造工程においてエアー詰まり等のトラブルが発生することがなく、効率よく樹脂成形品1を製造できる。また、基材2の裏面用キャビティ面14への吸引は、吸引口25によって基材2の裏面2bの一部を吸引することで行っているため、吸引力が強く、これによっても成形不良の原因を解消できる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。なお、以下の実施形態では、製造される樹脂成形品1を樹脂瓦とするが、これに限定されるものではなく、従来から公知の基材2の表面2aに表面層を備えた熱硬化性樹脂製の樹脂成形品を製造しても良いものとする。
【0023】
まず、第1の実施形態について説明する。本実施形態におけるインモールドコーティング方法を用いた樹脂成形品1の製造方法は、固定型3と固定型3に対して型締め方向及び型開き方向に移動自在の可動型4とからなる金型5で熱硬化性樹脂成形素材6を型締めして基材2を成形し、次いで可動型4を型開き方向に移動させて基材2の表面2aと基材2の表面部を成形する表面用キャビティ面7との間に表面層形成用の隙間8を形成し、この後前記隙間8に表面コート材を注入し再び型締めして基材2の表面2aに表面層を形成し、金型5を型開きした後この樹脂成形品1を可動型4の移動方向と直交する方向(以下取り出し方向と称す)に取り出すものである。
【0024】
図2に上記製造方法を実施するための樹脂成形被覆装置の説明図を示す。樹脂成形被覆装置は、固定型4(本実施形態では下型)と、固定型4に対向し且つ固定型4に対して型締め方向及び型開き方向(図2における上下方向で、以下可動型4の移動方向と称す)に移動自在の可動型4(本実施形態では上型)とを備えており、固定型3と可動型4とで金型5を構成している。
【0025】
可動型3の固定型4側の面(下面)にはキャビティ面4aが形成されており、本実施形態ではこのキャビティ面3aを基材2の表面部(上面部)を成形する表面用キャビティ面7としている。この表面用キャビティ面には表面コート材を注入するためのゲート(図示せず)が形成されている。
【0026】
一方、固定型3の可動型4側の面(上面)にはキャビティ面3aが形成されている。このキャビティ面3aには後述のエジェクタピン9を挿入するためのエジェクタピン挿入孔10が複数(本実施形態では2つ)形成されており、各エジェクタピン挿入孔10は可動型4の移動方向と直交する方向において均等に配置されている。各エジェクタピン挿入孔10にはその先端面9a(上面)が固定型3のキャビティ面3aと面一となるエジェクタピン9を挿入してあり、各エジェクタピン9は可動型4の移動方向と同方向に移動自在となっている。具体的に説明すると、固定型3側にはその両端に配置された油圧シリンダ11によって可動型4の移動方向と同方向に移動する取付けプレート12を設けてあり、該取付けプレート12の可動型4側の面には前記エジェクタピン9の基端部を接続している。これにより前記エジェクタピン9はその先端面9aと固定型3のキャビティ面3aとが面一となる状態(図2)から、エジェクタピン9の先端面9aが固定型3のキャビティ面3aよりも可動型4側に所定量突出させた状態(図3)、すなわち後述するエジェクタピン9に形成した段部13の奥面13aが可動型4の移動方向において固定型3のキャビティ面3aと同じもしくは可動型4側に位置する状態になるまでの範囲で、可動型4の移動方向と同方向に移動可能になっている。そして本実施形態では、上記固定型3のキャビティ面3aと、このキャビティ面3aと面一となるエジェクタピン9の先端面9aとで基材2の裏面部を成形する裏面用キャビティ面14を形成している。
【0027】
上記裏面用キャビティ面14には基材2(樹脂成形品1)のアンダーカット部15を形成するための抜け止め用凹部16を複数(2つ)設けている。詳述すると、各エジェクタピン9の先端面9aには図4(a)に示すように可動型4側に開口し且つ少なくとも樹脂成形品1の取り出し方向(図2における手前側もしくは奥側)に開口する段部13を形成している。さらに言うと各段部13は樹脂成形品1の取り出し方向の反対方向にも開口している。すなわち各段部13は前後方向に亘って形成されている。そして本実施形態においては、エジェクタピン9の先端面9aを固定型3のキャビティ面3aと面一とした状態において、固定型3の前記段部13に露出する面と、各段部13の奥面13a及び側面13b(段部13の奥面13aに略直交する面)とで抜け止め用凹部16を構成している。
【0028】
上記各段部13の側面13aの少なくとも可動型4の移動方向における一部は、可動型4の移動方向に直交する方向(なおこの方向は樹脂成形品1の取り出し方向とは一致しないものであり、本実施形態では樹脂成形品1の取り出し方向に直交する方向としている)において、段部13の可動型4側の角部13cよりも外側に位置するように形成してある。すなわち、各段部13の側面13bは、可動型4側の端部から奥面13a側に行く程、可動型4の移動方向に直交する方向において外側に位置するように傾斜している。
【0029】
次に図1に基づいて上記樹脂成形被覆装置を用いて樹脂成形品1を製造する工程を順に説明する。
【0030】
まず、金型5は型開きされた状態にあり、この場合、エジェクタピン9の先端面9aが固定型3のキャビティ面3aと面一となった状態にあり(図1(a))、この金型5は予め昇温されている。可動型4は固定型3よりも高温に加熱されるように設定されており、具体的には可動型4の温度を145℃、固定型4の温度を130℃に設定してある。
【0031】
そして図1(b)に示すように、加熱された金型5内に熱硬化性樹脂成形素材6としてSMC材料(Sheet Molding Compound)を裏面用キャビティ面14に配置する。
【0032】
次に図1(c)に示すように可動型4を型締め方向に移動させて、金型5により熱硬化性樹脂成形素材6を型締め(加圧成形)して基材2を成形する(プレス一次成形)。この際図5(a)に示すように熱硬化性樹脂成形素材6の一部は金型5による加圧によって抜け止め用凹部16内に充填され、これにより基材2の裏面2bにアンダーカット部15が形成される。なお、上記プレス1次成形は例えば成形圧力40kg/cm2で100秒間行っているものとする。
【0033】
次に上記基材2がある程度硬化した段階(完全に硬化していない段階)で、図1(d)に示すように可動型4を型開き方向に所定距離(1〜2mm)移動し、基材2の表面2aと表面用キャビティ面7との間に表面層成形用の隙間8を形成する。この際、基材2には前述したアンダーカット部15が形成されているため、アンダーカット部15が抜け止め用凹部16から抜けない状態になっており、アンダーカット部15により基材2を裏面用キャビティ面14に引っ付けた状態で可動型4を型開き方向に移動している。なお図1(d)では隙間8の両端が大きく開口しているが、これは可動型4の移動の説明を分かりやすくするために図示したものであり、実際の隙間8は金型5によって完全に密閉された状態、もしくは隙間8に充填された表面コート材が隙間8から漏れ出ない程度にわずかに開口するものである。
【0034】
この後、図1(e)に示すようにゲートから前記隙間8に表面コート材(合成樹脂)を注入して再び可動型4を型締め方向に移動させて型締め(加圧成形)し、基材2表面に表面層を形成し、基材2表面に表面層を有する樹脂成形品1を成形する(プレス2次成形)。なお、このプレス2次成形は例えば成形圧力40kg/cm2で100秒間行っているものとする。
【0035】
そして、図1(f)に示すように、金型5を型開きした後、前記樹脂成形品1を取り出し方向にスライドさせて、樹脂成形品1を金型5内から取り出す。詳述すると、この樹脂成形品1を取り出す際においては、可動型4の型開き方向の移動時、もしくは金型5の型開きが完了した後に、図1(f)、図5(b)に示すように複数のエジェクタピン9の先端面9aを固定型3のキャビティ面3aから可動型4側に突出させて樹脂成形品1を突き上げ、この後、取出し装置等にて樹脂成形品1を取り出し方向にスライド移動することによって樹脂成形品1を取り出す。すなわち、エジェクタピン9の先端面9aを固定型3のキャビティ面3aから可動型4側に突出させることで、樹脂成形品1のアンダーカット部15をノックアウトすることなく抜け止め用凹部16から取り出している。
【0036】
上記のように基材2の裏面部を成形する裏面用キャビティ面14にアンダーカット部15を形成するための抜け止め用凹部16を設け、金型5で熱硬化性樹脂成形素材6を型締めして基材2を成形する際に、前記抜け止め用凹部16内に硬化前の熱硬化性樹脂成形素材6の一部を充填してアンダーカット部15を形成し、この後表面コート材を注入するための隙間8を形成する際に、前記アンダーカット部15により基材2を裏面用キャビティ面14に引っ付けた状態で可動型4を型開き方向に移動するといった製造方法により、可動型4を型開き方向に移動させて表面層成形用の隙間8を形成する際に、基材2を裏面用キャビティ面14にぴったりと引っ付いた状態にすることができ、これによって基材2が表面用キャビティ面7に引っ付いたり、表面用キャビティ面7側に浮き上がったりすることを防止でき、結果、厚みのばらつきや、表面コート材のショート不良や、樹脂成形品の表面側のバリの発生等の成形不良が起こりにくく、外観の優れた樹脂成形品1を製造することが可能となる。またこの場合、従来のようにエアー噴出口を表面用キャビティ面7に設ける必要がないため、製造工程においてエアー詰まり等のトラブルが発生することがなく、効率よく前述した樹脂成形品1を製造できる。さらには従来のエアー弁のように複雑な機構を設ける必要がないため、樹脂成形被覆装置のコストを削減できる。
【0037】
また本実施形態では、上記固定型3側にその先端面が固定型3のキャビティ面3aと面一となるエジェクタピン9を設け、エジェクタピン9の先端面にて裏面用キャビティ面14の一部を構成し、エジェクタピン9の先端面9aに可動型3側に開口し且つ少なくとも樹脂成形品1の取り出し方向に開口する段部13を形成し、段部13の側面13bの少なくとも可動型4の移動方向における一部を、可動型4の移動方向と直交する方向において、段部13の可動型3側の角部13cよりも外側に位置するように形成し、該段部13にて上記抜け止め用凹部16の一部を構成し、樹脂成形品1を取り出す際に、エジェクタピン9の先端面9aを固定型3のキャビティ面3aから可動型4側に突出させ、この後樹脂成形品1を取り出し方向に移動させてアンダーカット部15を段部13から取り出すことで、アンダーカット部15をノックアウトすることなく樹脂成形品1を取り出すことができる。またエジェクタピン9により成形後の樹脂成形品1を裏面用キャビティ面14より可動型4側に突き上げて取り出すことができるので、裏面用キャビティ面14の形状に制限が少なく、複雑な形状を有する樹脂成形品1を製造できる。さらにはエジェクタピン9を複数設けているため、樹脂成形品1の取り出し時にエジェクタピン9を突き上げる際、エジェクタピン9で樹脂成形品1の複数の箇所を支持でき、取り出し時に樹脂成形品1が傾くことがない。
【0038】
また上記抜け止め用凹部16を複数設けることで、可動型4を型開き方向に移動させて表面層成形用の隙間8を形成する際に、複数のアンダーカット部15により基材2を複数箇所で支持でき、より一層基材2を裏面用キャビティ面14にぴったりと引っ付いた状態にすることができる。
【0039】
また上記では、エジェクタピン9の先端面9aを固定型3のキャビティ面3aと面一とした状態において固定型3の段部13に露出する面と、段部13の側面13b及び奥面13aとで抜け止め用凹部16を構成したが、各エジェクタピン9の先端面に図6に示すような抜け止め用凹部16を形成することも好ましい。
【0040】
具体的には各エジェクタピン9の先端面9aに可動型4側に開口し且つ少なくとも樹脂成形品1の取り出し方向に開口する段部13を形成し、段部13の側面の少なくとも可動型4の移動方向における一部を、可動型4の移動方向に直交する方向において、段部13の可動型4側の角部13cよりも外側に位置するように形成し、この段部13により各エジェクタピン9の先端面9aに形成された抜け止め用凹部16の一部を構成している。また、上記段部13は本例でも樹脂成形品1の取り出し方向の反対方向に開口しており、段部13の側面13bは、可動型4側の端部から奥面13a側に行く程、可動型4の移動方向に直交する方向において外側に位置するように傾斜している。そして抜け止め用凹部16の段部13の側面13bに対向する側面16aも、可動型4側の端部から奥面13a側に行く程、可動型4の移動方向に直交する方向において外側に位置するように傾斜している。すなわち、抜け止め用凹部16の両側面16a、13bは抜け止め用凹部16の幅方向において可動型4側の開口よりも外側に位置するように形成されており、断面略台形状である。このように抜け止め用凹部16の両側面16a、13bを抜け止め用凹部16の幅方向において可動型4側の開口よりも外側に位置するように形成することで、可動型4を型開き方向に移動させて表面層成形用の隙間8を形成する際に、アンダーカット部15がより一層表面用キャビティ面7側に抜けなくなり、より一層基材2を裏面用キャビティ面14にぴったりと引っ付いた状態にすることができる。
【0041】
次に上記実施形態とは異なる第2の実施形態を図7及び図8に示す。なお上記実施形態と同一の構成については同一の番号を付与してあり、重複する説明については説明を省略する。
【0042】
本実施形態においては、裏面用キャビティ面14にエジェクタピン9を設けておらず、可動型4のキャビティ面4aで裏面用キャビティ面14を構成している。そして抜け止め用凹部16として、固定型3のキャビティ面3aに樹脂成形品1の取り出し方向と同方向に伸び且つ少なくとも樹脂成形品1の取り出し方向と同方向に開口する溝17を形成しており、該溝17の幅方向における片側面17aの少なくとも可動型4の移動方向における一部を溝17の可動型4側の角部17cよりも溝17の幅方向外側に位置するように形成している。具体的には固定型3のキャビティ面3aに溝17を平行に複数形成してあり、各溝17は樹脂成形品1の取り出し方向の反対方向にも開口している。そして溝17の幅方向における両側面17a、17bは、抜け止め用凹部16の幅方向において可動型4側の開口よりも外側に位置するように形成されており、断面略台形状である。
【0043】
そして本実施形態においては、樹脂成形品1を取り出す際は、金型5を型開きした後、前記樹脂成形品1を取り出し方向にスライドさせることで行う。この際、樹脂成形品1を取り出し方向に移動することで、アンダーカット部15も抜け止め用凹部16から取り出されることとなる。
【0044】
このように抜け止め用凹部16として、固定型3のキャビティ面3aに樹脂成形品1の取り出し方向と同方向に伸び且つ少なくとも樹脂成形品1の取り出し方向と同方向に開口する溝17を形成し、溝17の幅方向における片側面17aの少なくとも可動型4の移動方向における一部を該溝17の可動型4側の角部17cよりも幅方向外側に位置するように形成し、樹脂成形品1を取り出す際に、樹脂成形品1を取り出し方向に移動させてアンダーカット部15を溝17から取り出すといった製造方法により、アンダーカット部15をノックアウトすることなく樹脂成形品1を取り出すことができる。さらにはエジェクタピン9を設ける必要がないため、樹脂成形被覆装置のコストを削減できる。
【0045】
次に上記第1及び第2の実施形態とは異なる第3の実施形態を示す。なお上記第1の実施形態と同一の構成については同一の番号を付与してあり、重複する説明については説明を省略する。また本実施形態においては、第1の実施形態における抜け止め用凹部16を設けていないものとするが、第1もしくは第2の実施形態における抜け止め用凹部16を設けても良いものとする。
【0046】
図9に本実施形態における樹脂成形被覆装置を示す。可動型4のキャビティ面4aには後述する押さえピン18を挿入するための押さえピン挿入孔19が複数形成されており、本実施形態では、図に示すように可動型4のキャビティ面4aに設けた複数のブッシュ用孔20に挿設したガイドブッシュ21によって前記押さえピン挿入孔19を形成している。
【0047】
各押さえピン挿入孔19は可動型4の移動方向と直交する方向(図9における左右方向)において、均等に配置されている。各押さえピン挿入孔19にはその先端面18a(下面)が可動型4のキャビティ面4aと面一となる押さえピン18を挿入してあり、各押さえピン18は可動型4の移動方向と同方向に移動自在となっている。具体的に説明すると、可動型4側には油圧シリンダ22を設けてあり、該油圧シリンダ22に前記押さえピン18の基端部を取付けている。これにより押さえピン18はその先端面18aと可動型4のキャビティ面4aとが面一となる状態(図10(a))から、押さえピン18の先端面18aが可動型4のキャビティ面4aよりも固定型3側に所定量(3mmに設定)突出させた状態(図10(b))になるまでの範囲で、可動型4の移動方向と同方向に移動できるようになっている。そして本実施形態においては、各押さえピン18の先端面18aと、可動型4のキャビティ面4aとで表面用キャビティ面7を構成している。
【0048】
一方、固定型3のキャビティ面3aには、後述する開閉ピン23を挿入するための開閉ピン挿入孔24が複数形成されており、本実施形態ではこの各開閉ピン挿入孔24の可動型4側の開口を吸引口25としている。また固定型3側には前記吸引口25から金型5内のエアーを吸引するためのエアー吸引装置26を設けている。
【0049】
詳述すると、図9に示すように固定型3のキャビティ面3aに設けた複数のブッシュ用孔27に挿設したガイドブッシュ28によって前記開閉ピン挿入孔24を形成しており、各開閉ピン挿入孔24は、吸引口25側のエアー流路24aと、吸引口25と反対側のエアー室24bとからなる。エアー流路24aの可動型4側から見た面積は開閉ピン23の可動型4側から見た面積と略同じに形成されており、エアー室24bの可動型4側から見た面積はエアー流路24aの可動型4側から見た面積よりも大きく形成されている。エアー室24bにはエアー吸込口29が設けてあり、該エア一吸込口29は固定型3側に設けたエアー吸引装置26としての真空ポンプ30に連通している。
【0050】
上記の各開閉ピン挿入孔24には、可動型4の移動方向と同方向に移動自在の開閉ピン24を挿入してある。固定型3側にはエアー室24bのエアー流路24aと反対側の開口を塞ぐように油圧シリンダ31を設けてあり、該油圧シリンダ31に前記開閉ピン23の基端部を取付けている。これにより開閉ピン23はその先端面23aと固定型3のキャビティ面3aとが面一となる状態(図11(a))から、開閉ピン23の先端面23aがエアー流路24aの吸引口25の反対側の開口よりもエアー室24b側に位置する状態(図11(b))になるまでの範囲で、可動型4の移動方向と同方向に移動可能になっており、開閉ピン23にて吸引口を25開閉できるようになっている。すなわち、吸引口25からエアーを可動型4側に吸引する場合は、予め真空ポンプ30によりエアー室24bを減圧しておき、この状態で開閉ピン23を図11(b)に示す状態に移動させて吸引口25を開状態とし、また吸引口25から吸引を行わない場合は、開閉ピン23を図11(a)に示す状態に移動して開閉ピン23により吸引口25を塞ぐ。
そして本実施形態においては、図11(a)に示す状態にある各開閉ピン23の先端面23aと、固定型3のキャビティ面3aとで裏面用キャビティ面14を構成してあり、つまりは各開閉ピン23の先端面にて裏面用キャビティ面14の一部を構成している。
【0051】
次に図12に基づいて上記樹脂成形被覆装置を用いて樹脂成形品1を製造する工程について順に説明する。
【0052】
まず、第1の実施形態同様、型開きされた金型5を予め加熱して昇温し(図12(a))、上記加熱された金型5内に熱硬化性樹脂成形素材6としてSMC材料を配置し(図12(b))、次に図12(c)に示すように可動型4を固定型3側に移動させて、型開きされた状態にある金型5を型締めして基材2を成形する(プレス一次成形)。この間、押さえピン18は図10(a)に示す状態であり、また開閉ピン23は図11(a)に示す状態であり、吸引口25からのエアーの吸引を行っていない。
【0053】
次に上記基材2がある程度硬化した段階で、図12(d)に示すように可動型4を型開き方向に所定距離移動し、基材2の表面2aと表面用キャビティ面7との間に隙間8を形成する。そして、この可動型4を移動して表面層成形用の隙間8を形成する際、すなわち可動型4の移動直前、もしくは移動中、もしくは移動直後の段階で、前記押さえピン18の先端面18aを可動型4のキャビティ面4aよりも固定型3側に突出させて押さえピン18の先端面18aにて基材2を固定型3に押さえつけ、同時に前記吸引口2を開いてエアー吸引装置26により前記吸引口25から基材2を固定型3(裏面用キャビティ面14)側に吸引する。
なお、押さえピン18の突出及び吸引口25からの吸引のタイミングは、基材2をより確実に固定型3(裏面用キャビティ面14)に引っ付けるために、プレス1次成形後の可動型4の移動直前が好ましい。
【0054】
この後、図12(e)に示すように、隙間8に表面コート材を注入して再び可動型4を固定型3側に移動して型締めし、基材2の表面2aに表面層を形成して樹脂成形品1を成形し、そして図12(f)に示すように、金型5を型開きした後前記樹脂成形品1を金型5内から取り出す。
【0055】
なお、上記では押さえピン18の突出と吸引口25からの吸引との両方により基材2を裏面用キャビティ面14に引っ付ける例を示したが、押さえピン18を突出させて基材2を裏面用キャビティ面14に引っ付ける機構、吸引口25からの吸引により基材2を裏面用キャビティ面14に引っ付ける機構のどちらか一方のみを設け、押さえピン18の突出もしくは吸引口25からの吸引のどちらか一方のみにより基材2を裏面用キャビティ面14に引っ付けても良いものとする。
【0056】
上記のように可動型4側にその先端面18aが可動型4のキャビティ面4aと面一となる押さえピン18を設け、押さえピン18の先端面18aにて表面用キャビティ面7の一部を構成し、可動型4を移動して隙間8を形成する際に、前記押さえピン18の先端面18aを可動型4のキャビティ面4aよりも固定型3側に突出させて押さえピン18の先端面18aにて基材2を固定型3に押さえつけることで、第1の実施形態同様、可動型4を移動して隙間8を形成する際に、基材2が表面用キャビティ面7に引っ付いたり、表面用キャビティ面7側に浮き上がったりすることを防止できる。またこの場合も、従来のエアー噴出口のような孔を表面用キャビティ面7に設ける必要がないため、製造工程においてエアー詰まり等のトラブルが発生することがない。また従来のエアー弁のように複雑な機構を設けることなく簡単な機構で基材2の浮き上がりを防止でき、樹脂成形被覆装置のコストを削減できる。
【0057】
また、基材2の裏面部を成形する裏面用キャビティ面14に吸引口25を設け、可動型4を移動して隙間8を形成する際に、エアー吸引装置26により前記吸引口25から基材2を裏面用キャビティ面14側に吸引することで、第1の実施形態同様、可動型4を型開き方向に移動させて表面層成形用の隙間8を形成する際に、基材2が表面用キャビティ面7に引っ付いたり、表面用キャビティ面7側に浮き上がったりすることを防止できる。またこの場合、吸引口25を、従来のエアー噴出口ように表面層成形用の隙間8を構成する表面用キャビティ面7に設けるのではなく、基材2の裏面2bに面した裏面用キャビティ面14に設けているので、製造工程においてエアー詰まり等のトラブルが発生することが少なく、効率よく前述した樹脂成形品1を製造できる。またこの吸引口25には従来のエアー弁のように、エアー噴出口に表面コート材が入り込むことを防止し、且つ可動型4移動時以外においてエアー弁の表面が裏面用キャビティ面7よりも寸法精度が要求される表面用キャビティ面7の一部を構成するといった複雑な機構を設ける必要がなく、樹脂成形被覆装置のコストを削減できる。さらに、基材2の裏面用キャビティ面14への吸引は、吸引口25によって基材2の裏面の一部を吸引することで行っているため、吸引力が強く、これによっても成形不良の原因を解消できる。
【0058】
【発明の効果】
上記のように本発明の請求項1記載の発明にあっては、基材の裏面部を成形する裏面用キャビティ面にアンダーカット部を形成するための抜け止め用凹部を設け、金型で熱硬化性樹脂成形素材を型締めして基材を成形する際に、前記抜け止め用凹部内に硬化前の熱硬化性樹脂成形素材の一部を充填してアンダーカット部を形成し、この後表面コート材を注入するための隙間を形成する際に、前記アンダーカット部により基材を裏面用キャビティ面に引っ付けた状態で可動型を型開き方向に移動するといった製造方法により、可動型を型開き方向に移動させて表面層成形用の隙間を形成する際に、基材を裏面用キャビティ面にぴったりと引っ付いた状態にすることができ、これにより基材が表面用キャビティ面に引っ付いたり、表面用キャビティ面側に浮き上がったりすることを防止でき、結果、厚みのばらつきや、表面コート材のショート不良や、樹脂成形品の表面側のバリの発生等の成形不良が起こり難くなり、外観の優れた樹脂成形品を製造することが可能となる。またこの場合、従来のエアー噴出口のような孔を表面用キャビティ面に設ける必要がないため、製造工程においてエアー詰まり等のトラブルが発生することがなく、効率よく前述した樹脂成形品を製造できる。さらには従来のエアー弁のように複雑な機構を設けることなく、簡単な機構で基材の浮き上がりを防止でき、樹脂成形被覆装置のコストを削減できる。
【0059】
また請求項2記載の発明にあっては、上記請求項1記載の発明の効果に加えて、上記固定型側にその先端面が固定型のキャビティ面と面一となるエジェクタピンを設け、エジェクタピンの先端面にて裏面用キャビティ面の一部を構成し、エジェクタピンの先端面に可動型側に開口し且つ少なくとも樹脂成形品の取り出し方向に開口する段部を形成し、段部の側面の少なくとも可動型の移動方向における一部を、可動型の移動方向と直交する方向において、段部の可動型側の角部よりも外側に位置するように形成し、該段部にて上記抜け止め用凹部の一部を構成し、樹脂成形品を取り出す際に、エジェクタピンの先端面を固定型のキャビティ面から可動型側に突出させ、この後樹脂成形品を取り出し方向に移動させてアンダーカット部を段部から取り出すことで、アンダーカット部をノックアウトすることなく樹脂成形品を取り出すことができる。またエジェクタピンにより成形後の樹脂成形品を裏面用キャビティ面より可動型側に突き上げて取り出すことができるので、裏面用キャビティ面の形状に制限が少なく、複雑な形状を有する樹脂成形品を製造できる。
【0060】
また請求項3記載の発明にあっては、上記請求項1記載の発明の効果に加えて、上記抜け止め用凹部として、固定型のキャビティ面に樹脂成形品の取り出し方向と同方向に伸び且つ少なくとも樹脂成形品の取り出し方向と同方向に開口する溝を形成し、溝の幅方向における片側面の少なくとも可動型の移動方向における一部を該溝の可動型側角部よりも溝の幅方向外側に位置するように形成し、樹脂成形品を取り出す際に、樹脂成形品を取り出し方向に移動させてアンダーカット部を溝から取り出すことで、アンダーカット部をノックアウトすることなく樹脂成形品を取り出すことができる。またこの場合、エジェクタピンを設ける必要がないため、樹脂成形被覆装置のコストを削減できる。
【0061】
また請求項4記載の発明にあっては、上記請求項1〜3のいずれかに記載の発明の効果に加えて、抜け止め用凹部を複数設けることで、可動型を型開き方向に移動させて表面層成形用の隙間を形成する際に、複数のアンダーカット部により基材を複数箇所で支持でき、より一層基材を裏面用キャビティ面にぴったりと引っ付いた状態にすることができる。
【0062】
また請求項5記載の発明は、可動型側にその先端面が可動型のキャビティ面と面一となる押さえピンを設け、押さえピンの先端面にて表面用キャビティ面の一部を構成し、可動型を移動して隙間を形成する際に、前記押さえピンの先端面を可動型のキャビティ面よりも固定型側に突出させて押さえピンの先端面にて基材を固定型に押さえつけることで、可動型を型開き方向に移動させて表面層成形用の隙間を形成する際に、基材を裏面用キャビティ面にぴったりと引っ付いた状態にでき、これにより基材が表面用キャビティ面に引っ付いたり、表面用キャビティ面側に浮き上がったりすることを防止でき、結果、厚みのばらつきや、表面コート材のショート不良、樹脂成形品の表面側のばりの発生等の成形不良が起こりにくくなり、外観の優れた樹脂成形品を製造することが可能となる。またこの場合、従来のエアー噴出口のような孔を表面用キャビティ面に設ける必要がないため、製造工程においてエアー詰まり等のトラブルが発生することがなく、効率よく前述した樹脂成形品を製造できる。また従来のエアー弁のように複雑な機構を設けることなく、簡単な機構で基材の浮き上がりを防止でき、樹脂成形被覆装置のコストを削減できる。
【0063】
また請求項6記載の発明は、基材の裏面部を成形する裏面用キャビティ面に吸引口を設け、可動型を移動して隙間を形成する際に、エアー吸引装置により前記吸引口から基材を裏面用キャビティ面側に吸引することで、基材を裏面用キャビティ面にぴったりと引っ付いた状態にすることができ、これにより可動型を型開き方向に移動させて表面層成形用の隙間を形成する際に基材が表面用キャビティ面に引っ付いたり、表面用キャビティ面側に浮き上がったりすることを防止でき、結果、厚みのばらつきや、表面コート材のショート不良、樹脂成形品の表面側のバリの発生等の成形不良が起こりにくくなり、外観の優れた樹脂成形品を製造することが可能となる。またこの場合、吸引口を、従来のエアー噴出口ように表面層成形用の隙間を構成する表面用キャビティ面に設けるのではなく、基材の裏面に面した裏面用キャビティ面に設けているので、製造工程においてエアー詰まり等のトラブルが発生することが少なく、効率よく前述した樹脂成形品を製造できる。またこの吸引口には従来のエアー弁のように、エアー噴出口に表面コート材が入り込むことを防止し、且つ可動型移動時以外においてエアー弁の表面を裏面用キャビティ面よりも寸法精度が要求される表面用キャビティ面の一部を構成するといった複雑な機構を設ける必要がなく、樹脂成形被覆装置のコストを削減できる。さらに、基材の裏面用キャビティ面への吸引は、吸引口によって基材の裏面の一部を吸引することで行っているため、吸引力が強く、これによっても成形不良の原因を解消できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(f)は本発明の第一の実施形態の一例を示し、製造工程を順に説明する側断面図である。
【図2】同上の樹脂成形被覆装置を示す側断面図である。
【図3】同上の樹脂成形被覆装置のエジェクタピンを突出させた状態を示す側断面図である。
【図4】(a)は同上のエジェクタピンの先端形状の一例を示す側断面図であり、(b)は他例を示す側断面図である。
【図5】(a)はエジェクタピンの先端面と固定型のキャビティ面とが面一となる状態を示す説明図であり、(b)はエジェクタピンの先端面を固定型のキャビティ面より突出させた状態を示す説明図である。
【図6】図5と異なるエジェクタピンの先端形状を示すものであり、(a)はエジェクタピンの先端面と固定型のキャビティ面とが面一となる状態を示す説明図であり、(b)はエジェクタピンの先端面を固定型のキャビティ面より突出させた状態を示す説明図である。
【図7】第2の実施形態における樹脂成形被覆装置を示す側断面図である。
【図8】同上の固定型の平面図である。
【図9】第3の実施形態における樹脂成形被覆装置を示す側断面図である。
【図10】同上の可動型を示すものであり、(a)は押さえピンの先端面を可動型のキャビティ面と面一とした状態を示す側断面図であり、(b)は押さえピンの先端面を可動型のキャビティ面より突出させた状態を示す側断面図である。
【図11】同上の固定型を示すものであり、(a)は吸引口からエアーを吸引していない状態を示す側断面図であり、(b)は吸引口からエアーを吸引している状態を示す側断面図である。
【図12】(a)〜(f)は同上の製造工程を順に説明する側断面図である。
【符号の説明】
1 樹脂成形品
2 基材
2a 表面
3 固定型
4 可動型
5 金型
6 熱硬化性成形材料
7 表面用キャビティ面
8 隙間
9 エジェクタピン
9a 先端面
13 段部
13b 側面
13c 角部
14 裏面用キャビティ面
15 アンダーカット部
16 抜け止め用凹部
17 溝
17a 片側面
17c 角部
18 押さえピン
18 先端面
25 吸引口
26 エアー吸引装置
【発明の属する技術分野】
本発明は、インモールドコーティング方法を用いた樹脂成形品の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、基材の表面に表面層を備えた熱硬化性樹脂製の樹脂瓦などの樹脂成形品を製造する製造方法が知られており、具体的な方法としてはインモールドコーティング方法が用いられている。
【0003】
この方法は、一般的に固定型と固定型に対して型締め方向及び型開き方向に移動自在の可動型とからなる金型で熱硬化性樹脂成形素材を型締めして基材を成形し、次いで可動型を型開き方向に移動して基材の表面と基材の表面部を成形する表面用キャビティ面との間に隙間を形成し、この後前記隙間に表面コート材を注入して基材表面に表面層を形成し、金型を型開きした後この樹脂成形品を取り出すものであり、この方法により同一装置を用いて成形と被覆とを同時に行うことが可能となり、且つ表面が美しく被覆塗装され平滑性に優れた樹脂成形品を得ることができる。
【0004】
ところで上記製造方法においては、前述したように可動型を型開き方向に移動させて表面コート材を注入するための隙間を形成するのだが、この可動型の移動の際に基材が表面用キャビティ面に引っ付いてしまい、基材の全部もしくは一部が表面用キャビティ面側に浮き上がってしてしまうことがあり、これによって樹脂成形品に厚みのばらつきや、表面コート材のショート不良等の成形不良が発生してしまうという問題がある。
【0005】
そこで従来では表面層成形用の隙間の一部を構成する表面用キャビティ面にエアー噴出口を設け、可動型を型開き方向に移動させて隙間を形成する際に、表面用キャビティ面に設けたエアー噴出口からエアーを噴出して基材を裏面用キャビティ面に押しつけていた(例えば特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平6−63978号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記表面層成形用の隙間の一部を構成する表面用キャビティ面に設けたエアー噴出口からエアーを噴出するものにおいては、熱硬化性樹脂成形素材がエアー噴出口に入り込むことは少ないのだが、隙間に注入された流動性を有する表面コート材が表面用キャビティ面に設けたエアー噴出口に入り込んでエアー噴出口が詰まってしまうことが多々あり、これによって可動型を型開き方向に移動させた際に、基材の全部もしくは一部が表面用キャビティ面側に浮き上がってしまい、成形不良が発生してしまう。また、上記のように表面コート材が噴出口に入り込んだ場合、表面層の表面、すなわち樹脂成形品の表面にバリ等が発生してしまい、外観が美しくない。さらには、裏面用キャビティ面への基材の押し付けは、エアーを基材表面の全面に亘って噴出させることで行っているため、裏面用キャビティ面への押し付け力が弱く、これも基材が浮き上がる原因となってしまう。
【0008】
また特許文献1に示す樹脂成形被覆装置では上記のようにエアー噴出口に表面コート材が入り込むことを防止するために、エアー噴出口に隙間を形成する際における可動型の型開き方向への移動時にのみ開くエアー弁を設けているが、このエアー弁は、エアー噴出口からエアーを噴出させる、エアー噴出口に表面コート材が入り込むことを防止する、エアー弁の表面にて裏面用キャビティ面よりも寸法精度が要求される表面用キャビティ面の一部を構成するといった複雑な機構が必要であり、コストがかかってしまう。
【0009】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、簡単な機構により表面層成形用の隙間を形成するために可動型を型開き方向に移動させた際に、基材を裏面用キャビティ面に確実に引っ付けて基材の表面側キャビティ面への浮き上がりを防止でき、これにより成形不良の発生を抑え、且つ外観に優れた樹脂成形品を製造できるインモールドコーティング方法を用いた樹脂成形品の製造方法を提供することを課題とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明に係るインモールドコーティング方法を用いた樹脂成形品の製造方法は、固定型3と固定型3に対して型締め方向及び型開き方向に移動自在の可動型4とからなる金型5で熱硬化性樹脂成形素材6を型締めして基材2を成形し、次いで可動型4を型開き方向に移動して基材2の表面2aと基材2の表面部を成形する表面用キャビティ面7との間に隙間8を形成し、この後前記隙間8に表面コート材を注入して基材2の表面2aに表面層を形成し、金型5を型開きした後この樹脂成形品1を取り出すインモールドコーティング方法を用いた樹脂成形品の製造方法において、基材2の裏面部を成形する裏面用キャビティ面14にアンダーカット部15を形成するための抜け止め用凹部16を設け、金型5で熱硬化性樹脂成形素材6を型締めして基材2を成形する際に、前記抜け止め用凹部16内に硬化前の熱硬化性樹脂成形素材6の一部を充填してアンダーカット部15を形成し、この後表面コート材を注入するための隙間8を形成する際に、前記アンダーカット部15により基材2を裏面用キャビティ面14引っ付けた状態で可動型4を型開き方向に移動することを特徴とするものである。
【0011】
このように、金型5で熱硬化性樹脂成形素材6を型締めして基材2を成形する際に、前記抜け止め用凹部16内に硬化前の熱硬化性樹脂成形素材6の一部を充填してアンダーカット部15を形成し、この後表面コート材を注入するための隙間8を形成する際に、前記アンダーカット部15により基材2を裏面用キャビティ面14引っ付けた状態で可動型4を型開き方向に移動することで、可動型3を型開き方向に移動させて表面層成形用の隙間8を形成する際に、基材2が表面用キャビティ面7に引っ付いたり、表面用キャビティ面7側に浮き上がったりすることを防止できる。またこの場合、従来のエアー噴出口のような孔を表面用キャビティ面7に設ける必要がないため、製造工程においてエアー詰まり等のトラブルが発生することがなく、効率よく樹脂成形品1を製造できる。さらには従来のエアー弁のように複雑な機構を設けることなく簡単な機構で基材2の浮き上がりを防止でき、樹脂成形被覆装置のコストを削減できる。
【0012】
また請求項2記載の製造方法は、請求項1記載の製造方法において、上記固定型4側にその先端面9aが固定型3のキャビティ面3aと面一となるエジェクタピン9を設け、エジェクタピン9の先端面9aにて裏面用キャビティ面14の一部を構成し、エジェクタピン9の先端面9aに可動型4側に開口し且つ少なくとも樹脂成形品1の取り出し方向に開口する段部13を形成し、段部13の側面13bの少なくとも可動型4の移動方向における一部を、可動型4の移動方向と直交する方向において、段部13の可動型4側の角部13cよりも外側に位置するように形成し、該段部13にて上記抜け止め用凹部16の一部を構成し、樹脂成形品1を取り出す際に、エジェクタピン9の先端面9aを固定型のキャビティ面から可動型4側に突出させ、この後樹脂成形品1を取り出し方向に移動させてアンダーカット部15を段部13から取り出すことを特徴とするものである。
【0013】
このように上記固定型3側にその先端面9aが固定型3のキャビティ面3aと面一となるエジェクタピン9を設け、エジェクタピン9の先端面9aにて裏面用キャビティ面14の一部を構成し、エジェクタピン9の先端面9aに可動型4側に開口し且つ少なくとも樹脂成形品1の取り出し方向に開口する段部13を形成し、段部13の側面13bの少なくとも可動型4の移動方向における一部を、可動型4の移動方向と直交する方向において、段部13の可動型4側の角部13cよりも外側に位置するように形成し、該段部13にて上記抜け止め用凹部16の一部を構成し、樹脂成形品1を取り出す際に、エジェクタピン9の先端面9aを固定型3のキャビティ面3aから可動型4側に突出させ、この後樹脂成形品1を取り出し方向に移動させてアンダーカット部15を段部13から取り出すことで、アンダーカット部15をノックアウトすることなく樹脂成形品1を取り出すことができる。またエジェクタピン9により成形後の樹脂成形品1を裏面用キャビティ面14よりも可動型4側に突き上げて取り出すことができるので、裏面用キャビティ面14の形状に制限が少なく、複雑な形状を有する樹脂成形品1を製造できる。
【0014】
また請求項3記載の製造方法は、請求項1記載の製造方法において、上記抜け止め用凹部16として、固定型3のキャビティ面3aに樹脂成形品1の取り出し方向と同方向に伸び且つ少なくとも樹脂成形品1の取り出し方向と同方向に開口する溝17を形成し、該溝17の幅方向における片側面17aの少なくとも可動型4の移動方向における一部を可動型4側の角部17cよりも幅方向外側に位置するように形成し、樹脂成形品1を取り出す際に、樹脂成形品1を取り出し方向に移動させてアンダーカット部15を溝17から取り出すことを特徴とするものである。
【0015】
上記抜け止め用凹部16として、固定型3のキャビティ面3aに樹脂成形品1の取り出し方向と同方向に伸び且つ少なくとも樹脂成形品1の取り出し方向と同方向に開口する溝17を形成し、該溝17の幅方向における片側面17aの少なくとも可動型4の移動方向における一部を可動型4側の角部17cよりも幅方向外側に位置するように形成し、樹脂成形品1を取り出す際に、樹脂成形品1を取り出し方向に移動させてアンダーカット部15を溝17から取り出すことで、アンダーカット部15をノックアウトすることなく樹脂成形品1を取り出すことができる。
【0016】
また請求項4記載の製造方法は、請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法において、上記抜け止め用凹部16を複数設けることを特徴とするものである。
【0017】
このように抜け止め用凹部16を複数設けることで、可動型4を型開き方向に移動させて表面層成形用の隙間8を形成する際に、複数のアンダーカット部15により基材2を複数箇所で支持でき、より一層基材2を裏面用キャビティ面14にぴったりと引っ付いた状態にすることができる。
【0018】
また請求項5記載の製造方法は、固定型3と固定型3に対して型締め方向及び型開き方向に移動自在の可動型4とからなる金型5で熱硬化性樹脂成形素材6を型締めして基材2を成形し、次いで可動型4を型開き方向に移動させて基材2の表面2aと基材2の表面部を成形する表面用キャビティ面7との間に隙間8を形成し、この後前記隙間8に表面コート材を注入して基材2の表面に表面層を形成し、金型5を型開きした後この樹脂成形品1を金型5から取り出すインモールドコーティング方法を用いた樹脂成形品の製造方法において、可動型4側にその先端面18aが可動型4のキャビティ面4aと面一となる押さえピン18を設け、押さえピン18の先端面18aにて表面用キャビティ面7の一部を構成し、可動型4を移動して隙間8を形成する際に、前記押さえピン18の先端面18aを可動型4のキャビティ面4aよりも固定型3側に突出させて押さえピン18の先端面18aにて基材2を固定型3に押さえつけることを特徴とするものである。
【0019】
このように可動型4側にその先端面18aが可動型4のキャビティ面4aと面一となる押さえピン18を設け、押さえピン18の先端面18aにて表面用キャビティ面7の一部を構成し、可動型4を移動して隙間8を形成する際に、前記押さえピン18の先端面18aを可動型4のキャビティ面4aよりも固定型3側に突出させて押さえピン18の先端面18aにて基材2を固定型3に押さえつけることで、可動型4を型開き方向に移動させて表面層成形用の隙間8を形成する際に、基材2を裏面用キャビティ面14にぴったりと引っ付いた状態にでき、これによって基材2が表面用キャビティ面7に引っ付いたり、表面用キャビティ面14側に浮き上がったりすることを防止できる。またこの場合、従来のようにエアー噴出口のような孔を設ける必要がないため、製造工程においてエアー詰まり等のトラブルが発生することがなく、効率よく前述した樹脂成形品1を製造できる。
【0020】
また請求項6記載の製造方法は、固定型3と固定型3に対して型締め方向及び型開き方向に移動自在の可動型4とからなる金型5で熱硬化性樹脂成形素材6としてのSMC材料を型締めして基材2を成形し、次いで可動型4を型開き方向に移動させて基材2の表面2aと基材2の表面部を成形する表面用キャビティ面7との間に隙間8を形成し、この後前記隙間8に表面コート材を注入して基材2の表面2aに表面層を形成し、金型5を型開きした後この樹脂成形品1を金型5から取り出すインモールドコーティング方法を用いた樹脂成形品の製造方法において、基材2の裏面部を成形する裏面用キャビティ面14に吸引口25を設け、可動型4を移動して隙間8を形成する際に、エアー吸引装置26により前記吸引口25から基材2を裏面用キャビティ面14側に吸引することを特徴とするものである。
【0021】
このように基材2の裏面部を成形する裏面用キャビティ面14に吸引口25を設け、可動型4を移動して隙間8を形成する際に、エアー吸引装置26により前記吸引口25から基材2を裏面用キャビティ面14側に吸引することで、可動型4を型開き方向に移動させて表面層成形用の隙間8を形成する際に、基材2を裏面用キャビティ面14にぴったりと引っ付いた状態にすることができ、基材2が表面用キャビティ面7に引っ付いたり、表面用キャビティ面7側に浮き上がったりすることを防止できる。またこの場合、従来のように表面層成形用の隙間8を構成する表面用キャビティ面7に設けるのではなく、基材2の裏面2bに面した裏面用キャビティ面14に吸引口25を設けることで、製造工程においてエアー詰まり等のトラブルが発生することがなく、効率よく樹脂成形品1を製造できる。また、基材2の裏面用キャビティ面14への吸引は、吸引口25によって基材2の裏面2bの一部を吸引することで行っているため、吸引力が強く、これによっても成形不良の原因を解消できる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。なお、以下の実施形態では、製造される樹脂成形品1を樹脂瓦とするが、これに限定されるものではなく、従来から公知の基材2の表面2aに表面層を備えた熱硬化性樹脂製の樹脂成形品を製造しても良いものとする。
【0023】
まず、第1の実施形態について説明する。本実施形態におけるインモールドコーティング方法を用いた樹脂成形品1の製造方法は、固定型3と固定型3に対して型締め方向及び型開き方向に移動自在の可動型4とからなる金型5で熱硬化性樹脂成形素材6を型締めして基材2を成形し、次いで可動型4を型開き方向に移動させて基材2の表面2aと基材2の表面部を成形する表面用キャビティ面7との間に表面層形成用の隙間8を形成し、この後前記隙間8に表面コート材を注入し再び型締めして基材2の表面2aに表面層を形成し、金型5を型開きした後この樹脂成形品1を可動型4の移動方向と直交する方向(以下取り出し方向と称す)に取り出すものである。
【0024】
図2に上記製造方法を実施するための樹脂成形被覆装置の説明図を示す。樹脂成形被覆装置は、固定型4(本実施形態では下型)と、固定型4に対向し且つ固定型4に対して型締め方向及び型開き方向(図2における上下方向で、以下可動型4の移動方向と称す)に移動自在の可動型4(本実施形態では上型)とを備えており、固定型3と可動型4とで金型5を構成している。
【0025】
可動型3の固定型4側の面(下面)にはキャビティ面4aが形成されており、本実施形態ではこのキャビティ面3aを基材2の表面部(上面部)を成形する表面用キャビティ面7としている。この表面用キャビティ面には表面コート材を注入するためのゲート(図示せず)が形成されている。
【0026】
一方、固定型3の可動型4側の面(上面)にはキャビティ面3aが形成されている。このキャビティ面3aには後述のエジェクタピン9を挿入するためのエジェクタピン挿入孔10が複数(本実施形態では2つ)形成されており、各エジェクタピン挿入孔10は可動型4の移動方向と直交する方向において均等に配置されている。各エジェクタピン挿入孔10にはその先端面9a(上面)が固定型3のキャビティ面3aと面一となるエジェクタピン9を挿入してあり、各エジェクタピン9は可動型4の移動方向と同方向に移動自在となっている。具体的に説明すると、固定型3側にはその両端に配置された油圧シリンダ11によって可動型4の移動方向と同方向に移動する取付けプレート12を設けてあり、該取付けプレート12の可動型4側の面には前記エジェクタピン9の基端部を接続している。これにより前記エジェクタピン9はその先端面9aと固定型3のキャビティ面3aとが面一となる状態(図2)から、エジェクタピン9の先端面9aが固定型3のキャビティ面3aよりも可動型4側に所定量突出させた状態(図3)、すなわち後述するエジェクタピン9に形成した段部13の奥面13aが可動型4の移動方向において固定型3のキャビティ面3aと同じもしくは可動型4側に位置する状態になるまでの範囲で、可動型4の移動方向と同方向に移動可能になっている。そして本実施形態では、上記固定型3のキャビティ面3aと、このキャビティ面3aと面一となるエジェクタピン9の先端面9aとで基材2の裏面部を成形する裏面用キャビティ面14を形成している。
【0027】
上記裏面用キャビティ面14には基材2(樹脂成形品1)のアンダーカット部15を形成するための抜け止め用凹部16を複数(2つ)設けている。詳述すると、各エジェクタピン9の先端面9aには図4(a)に示すように可動型4側に開口し且つ少なくとも樹脂成形品1の取り出し方向(図2における手前側もしくは奥側)に開口する段部13を形成している。さらに言うと各段部13は樹脂成形品1の取り出し方向の反対方向にも開口している。すなわち各段部13は前後方向に亘って形成されている。そして本実施形態においては、エジェクタピン9の先端面9aを固定型3のキャビティ面3aと面一とした状態において、固定型3の前記段部13に露出する面と、各段部13の奥面13a及び側面13b(段部13の奥面13aに略直交する面)とで抜け止め用凹部16を構成している。
【0028】
上記各段部13の側面13aの少なくとも可動型4の移動方向における一部は、可動型4の移動方向に直交する方向(なおこの方向は樹脂成形品1の取り出し方向とは一致しないものであり、本実施形態では樹脂成形品1の取り出し方向に直交する方向としている)において、段部13の可動型4側の角部13cよりも外側に位置するように形成してある。すなわち、各段部13の側面13bは、可動型4側の端部から奥面13a側に行く程、可動型4の移動方向に直交する方向において外側に位置するように傾斜している。
【0029】
次に図1に基づいて上記樹脂成形被覆装置を用いて樹脂成形品1を製造する工程を順に説明する。
【0030】
まず、金型5は型開きされた状態にあり、この場合、エジェクタピン9の先端面9aが固定型3のキャビティ面3aと面一となった状態にあり(図1(a))、この金型5は予め昇温されている。可動型4は固定型3よりも高温に加熱されるように設定されており、具体的には可動型4の温度を145℃、固定型4の温度を130℃に設定してある。
【0031】
そして図1(b)に示すように、加熱された金型5内に熱硬化性樹脂成形素材6としてSMC材料(Sheet Molding Compound)を裏面用キャビティ面14に配置する。
【0032】
次に図1(c)に示すように可動型4を型締め方向に移動させて、金型5により熱硬化性樹脂成形素材6を型締め(加圧成形)して基材2を成形する(プレス一次成形)。この際図5(a)に示すように熱硬化性樹脂成形素材6の一部は金型5による加圧によって抜け止め用凹部16内に充填され、これにより基材2の裏面2bにアンダーカット部15が形成される。なお、上記プレス1次成形は例えば成形圧力40kg/cm2で100秒間行っているものとする。
【0033】
次に上記基材2がある程度硬化した段階(完全に硬化していない段階)で、図1(d)に示すように可動型4を型開き方向に所定距離(1〜2mm)移動し、基材2の表面2aと表面用キャビティ面7との間に表面層成形用の隙間8を形成する。この際、基材2には前述したアンダーカット部15が形成されているため、アンダーカット部15が抜け止め用凹部16から抜けない状態になっており、アンダーカット部15により基材2を裏面用キャビティ面14に引っ付けた状態で可動型4を型開き方向に移動している。なお図1(d)では隙間8の両端が大きく開口しているが、これは可動型4の移動の説明を分かりやすくするために図示したものであり、実際の隙間8は金型5によって完全に密閉された状態、もしくは隙間8に充填された表面コート材が隙間8から漏れ出ない程度にわずかに開口するものである。
【0034】
この後、図1(e)に示すようにゲートから前記隙間8に表面コート材(合成樹脂)を注入して再び可動型4を型締め方向に移動させて型締め(加圧成形)し、基材2表面に表面層を形成し、基材2表面に表面層を有する樹脂成形品1を成形する(プレス2次成形)。なお、このプレス2次成形は例えば成形圧力40kg/cm2で100秒間行っているものとする。
【0035】
そして、図1(f)に示すように、金型5を型開きした後、前記樹脂成形品1を取り出し方向にスライドさせて、樹脂成形品1を金型5内から取り出す。詳述すると、この樹脂成形品1を取り出す際においては、可動型4の型開き方向の移動時、もしくは金型5の型開きが完了した後に、図1(f)、図5(b)に示すように複数のエジェクタピン9の先端面9aを固定型3のキャビティ面3aから可動型4側に突出させて樹脂成形品1を突き上げ、この後、取出し装置等にて樹脂成形品1を取り出し方向にスライド移動することによって樹脂成形品1を取り出す。すなわち、エジェクタピン9の先端面9aを固定型3のキャビティ面3aから可動型4側に突出させることで、樹脂成形品1のアンダーカット部15をノックアウトすることなく抜け止め用凹部16から取り出している。
【0036】
上記のように基材2の裏面部を成形する裏面用キャビティ面14にアンダーカット部15を形成するための抜け止め用凹部16を設け、金型5で熱硬化性樹脂成形素材6を型締めして基材2を成形する際に、前記抜け止め用凹部16内に硬化前の熱硬化性樹脂成形素材6の一部を充填してアンダーカット部15を形成し、この後表面コート材を注入するための隙間8を形成する際に、前記アンダーカット部15により基材2を裏面用キャビティ面14に引っ付けた状態で可動型4を型開き方向に移動するといった製造方法により、可動型4を型開き方向に移動させて表面層成形用の隙間8を形成する際に、基材2を裏面用キャビティ面14にぴったりと引っ付いた状態にすることができ、これによって基材2が表面用キャビティ面7に引っ付いたり、表面用キャビティ面7側に浮き上がったりすることを防止でき、結果、厚みのばらつきや、表面コート材のショート不良や、樹脂成形品の表面側のバリの発生等の成形不良が起こりにくく、外観の優れた樹脂成形品1を製造することが可能となる。またこの場合、従来のようにエアー噴出口を表面用キャビティ面7に設ける必要がないため、製造工程においてエアー詰まり等のトラブルが発生することがなく、効率よく前述した樹脂成形品1を製造できる。さらには従来のエアー弁のように複雑な機構を設ける必要がないため、樹脂成形被覆装置のコストを削減できる。
【0037】
また本実施形態では、上記固定型3側にその先端面が固定型3のキャビティ面3aと面一となるエジェクタピン9を設け、エジェクタピン9の先端面にて裏面用キャビティ面14の一部を構成し、エジェクタピン9の先端面9aに可動型3側に開口し且つ少なくとも樹脂成形品1の取り出し方向に開口する段部13を形成し、段部13の側面13bの少なくとも可動型4の移動方向における一部を、可動型4の移動方向と直交する方向において、段部13の可動型3側の角部13cよりも外側に位置するように形成し、該段部13にて上記抜け止め用凹部16の一部を構成し、樹脂成形品1を取り出す際に、エジェクタピン9の先端面9aを固定型3のキャビティ面3aから可動型4側に突出させ、この後樹脂成形品1を取り出し方向に移動させてアンダーカット部15を段部13から取り出すことで、アンダーカット部15をノックアウトすることなく樹脂成形品1を取り出すことができる。またエジェクタピン9により成形後の樹脂成形品1を裏面用キャビティ面14より可動型4側に突き上げて取り出すことができるので、裏面用キャビティ面14の形状に制限が少なく、複雑な形状を有する樹脂成形品1を製造できる。さらにはエジェクタピン9を複数設けているため、樹脂成形品1の取り出し時にエジェクタピン9を突き上げる際、エジェクタピン9で樹脂成形品1の複数の箇所を支持でき、取り出し時に樹脂成形品1が傾くことがない。
【0038】
また上記抜け止め用凹部16を複数設けることで、可動型4を型開き方向に移動させて表面層成形用の隙間8を形成する際に、複数のアンダーカット部15により基材2を複数箇所で支持でき、より一層基材2を裏面用キャビティ面14にぴったりと引っ付いた状態にすることができる。
【0039】
また上記では、エジェクタピン9の先端面9aを固定型3のキャビティ面3aと面一とした状態において固定型3の段部13に露出する面と、段部13の側面13b及び奥面13aとで抜け止め用凹部16を構成したが、各エジェクタピン9の先端面に図6に示すような抜け止め用凹部16を形成することも好ましい。
【0040】
具体的には各エジェクタピン9の先端面9aに可動型4側に開口し且つ少なくとも樹脂成形品1の取り出し方向に開口する段部13を形成し、段部13の側面の少なくとも可動型4の移動方向における一部を、可動型4の移動方向に直交する方向において、段部13の可動型4側の角部13cよりも外側に位置するように形成し、この段部13により各エジェクタピン9の先端面9aに形成された抜け止め用凹部16の一部を構成している。また、上記段部13は本例でも樹脂成形品1の取り出し方向の反対方向に開口しており、段部13の側面13bは、可動型4側の端部から奥面13a側に行く程、可動型4の移動方向に直交する方向において外側に位置するように傾斜している。そして抜け止め用凹部16の段部13の側面13bに対向する側面16aも、可動型4側の端部から奥面13a側に行く程、可動型4の移動方向に直交する方向において外側に位置するように傾斜している。すなわち、抜け止め用凹部16の両側面16a、13bは抜け止め用凹部16の幅方向において可動型4側の開口よりも外側に位置するように形成されており、断面略台形状である。このように抜け止め用凹部16の両側面16a、13bを抜け止め用凹部16の幅方向において可動型4側の開口よりも外側に位置するように形成することで、可動型4を型開き方向に移動させて表面層成形用の隙間8を形成する際に、アンダーカット部15がより一層表面用キャビティ面7側に抜けなくなり、より一層基材2を裏面用キャビティ面14にぴったりと引っ付いた状態にすることができる。
【0041】
次に上記実施形態とは異なる第2の実施形態を図7及び図8に示す。なお上記実施形態と同一の構成については同一の番号を付与してあり、重複する説明については説明を省略する。
【0042】
本実施形態においては、裏面用キャビティ面14にエジェクタピン9を設けておらず、可動型4のキャビティ面4aで裏面用キャビティ面14を構成している。そして抜け止め用凹部16として、固定型3のキャビティ面3aに樹脂成形品1の取り出し方向と同方向に伸び且つ少なくとも樹脂成形品1の取り出し方向と同方向に開口する溝17を形成しており、該溝17の幅方向における片側面17aの少なくとも可動型4の移動方向における一部を溝17の可動型4側の角部17cよりも溝17の幅方向外側に位置するように形成している。具体的には固定型3のキャビティ面3aに溝17を平行に複数形成してあり、各溝17は樹脂成形品1の取り出し方向の反対方向にも開口している。そして溝17の幅方向における両側面17a、17bは、抜け止め用凹部16の幅方向において可動型4側の開口よりも外側に位置するように形成されており、断面略台形状である。
【0043】
そして本実施形態においては、樹脂成形品1を取り出す際は、金型5を型開きした後、前記樹脂成形品1を取り出し方向にスライドさせることで行う。この際、樹脂成形品1を取り出し方向に移動することで、アンダーカット部15も抜け止め用凹部16から取り出されることとなる。
【0044】
このように抜け止め用凹部16として、固定型3のキャビティ面3aに樹脂成形品1の取り出し方向と同方向に伸び且つ少なくとも樹脂成形品1の取り出し方向と同方向に開口する溝17を形成し、溝17の幅方向における片側面17aの少なくとも可動型4の移動方向における一部を該溝17の可動型4側の角部17cよりも幅方向外側に位置するように形成し、樹脂成形品1を取り出す際に、樹脂成形品1を取り出し方向に移動させてアンダーカット部15を溝17から取り出すといった製造方法により、アンダーカット部15をノックアウトすることなく樹脂成形品1を取り出すことができる。さらにはエジェクタピン9を設ける必要がないため、樹脂成形被覆装置のコストを削減できる。
【0045】
次に上記第1及び第2の実施形態とは異なる第3の実施形態を示す。なお上記第1の実施形態と同一の構成については同一の番号を付与してあり、重複する説明については説明を省略する。また本実施形態においては、第1の実施形態における抜け止め用凹部16を設けていないものとするが、第1もしくは第2の実施形態における抜け止め用凹部16を設けても良いものとする。
【0046】
図9に本実施形態における樹脂成形被覆装置を示す。可動型4のキャビティ面4aには後述する押さえピン18を挿入するための押さえピン挿入孔19が複数形成されており、本実施形態では、図に示すように可動型4のキャビティ面4aに設けた複数のブッシュ用孔20に挿設したガイドブッシュ21によって前記押さえピン挿入孔19を形成している。
【0047】
各押さえピン挿入孔19は可動型4の移動方向と直交する方向(図9における左右方向)において、均等に配置されている。各押さえピン挿入孔19にはその先端面18a(下面)が可動型4のキャビティ面4aと面一となる押さえピン18を挿入してあり、各押さえピン18は可動型4の移動方向と同方向に移動自在となっている。具体的に説明すると、可動型4側には油圧シリンダ22を設けてあり、該油圧シリンダ22に前記押さえピン18の基端部を取付けている。これにより押さえピン18はその先端面18aと可動型4のキャビティ面4aとが面一となる状態(図10(a))から、押さえピン18の先端面18aが可動型4のキャビティ面4aよりも固定型3側に所定量(3mmに設定)突出させた状態(図10(b))になるまでの範囲で、可動型4の移動方向と同方向に移動できるようになっている。そして本実施形態においては、各押さえピン18の先端面18aと、可動型4のキャビティ面4aとで表面用キャビティ面7を構成している。
【0048】
一方、固定型3のキャビティ面3aには、後述する開閉ピン23を挿入するための開閉ピン挿入孔24が複数形成されており、本実施形態ではこの各開閉ピン挿入孔24の可動型4側の開口を吸引口25としている。また固定型3側には前記吸引口25から金型5内のエアーを吸引するためのエアー吸引装置26を設けている。
【0049】
詳述すると、図9に示すように固定型3のキャビティ面3aに設けた複数のブッシュ用孔27に挿設したガイドブッシュ28によって前記開閉ピン挿入孔24を形成しており、各開閉ピン挿入孔24は、吸引口25側のエアー流路24aと、吸引口25と反対側のエアー室24bとからなる。エアー流路24aの可動型4側から見た面積は開閉ピン23の可動型4側から見た面積と略同じに形成されており、エアー室24bの可動型4側から見た面積はエアー流路24aの可動型4側から見た面積よりも大きく形成されている。エアー室24bにはエアー吸込口29が設けてあり、該エア一吸込口29は固定型3側に設けたエアー吸引装置26としての真空ポンプ30に連通している。
【0050】
上記の各開閉ピン挿入孔24には、可動型4の移動方向と同方向に移動自在の開閉ピン24を挿入してある。固定型3側にはエアー室24bのエアー流路24aと反対側の開口を塞ぐように油圧シリンダ31を設けてあり、該油圧シリンダ31に前記開閉ピン23の基端部を取付けている。これにより開閉ピン23はその先端面23aと固定型3のキャビティ面3aとが面一となる状態(図11(a))から、開閉ピン23の先端面23aがエアー流路24aの吸引口25の反対側の開口よりもエアー室24b側に位置する状態(図11(b))になるまでの範囲で、可動型4の移動方向と同方向に移動可能になっており、開閉ピン23にて吸引口を25開閉できるようになっている。すなわち、吸引口25からエアーを可動型4側に吸引する場合は、予め真空ポンプ30によりエアー室24bを減圧しておき、この状態で開閉ピン23を図11(b)に示す状態に移動させて吸引口25を開状態とし、また吸引口25から吸引を行わない場合は、開閉ピン23を図11(a)に示す状態に移動して開閉ピン23により吸引口25を塞ぐ。
そして本実施形態においては、図11(a)に示す状態にある各開閉ピン23の先端面23aと、固定型3のキャビティ面3aとで裏面用キャビティ面14を構成してあり、つまりは各開閉ピン23の先端面にて裏面用キャビティ面14の一部を構成している。
【0051】
次に図12に基づいて上記樹脂成形被覆装置を用いて樹脂成形品1を製造する工程について順に説明する。
【0052】
まず、第1の実施形態同様、型開きされた金型5を予め加熱して昇温し(図12(a))、上記加熱された金型5内に熱硬化性樹脂成形素材6としてSMC材料を配置し(図12(b))、次に図12(c)に示すように可動型4を固定型3側に移動させて、型開きされた状態にある金型5を型締めして基材2を成形する(プレス一次成形)。この間、押さえピン18は図10(a)に示す状態であり、また開閉ピン23は図11(a)に示す状態であり、吸引口25からのエアーの吸引を行っていない。
【0053】
次に上記基材2がある程度硬化した段階で、図12(d)に示すように可動型4を型開き方向に所定距離移動し、基材2の表面2aと表面用キャビティ面7との間に隙間8を形成する。そして、この可動型4を移動して表面層成形用の隙間8を形成する際、すなわち可動型4の移動直前、もしくは移動中、もしくは移動直後の段階で、前記押さえピン18の先端面18aを可動型4のキャビティ面4aよりも固定型3側に突出させて押さえピン18の先端面18aにて基材2を固定型3に押さえつけ、同時に前記吸引口2を開いてエアー吸引装置26により前記吸引口25から基材2を固定型3(裏面用キャビティ面14)側に吸引する。
なお、押さえピン18の突出及び吸引口25からの吸引のタイミングは、基材2をより確実に固定型3(裏面用キャビティ面14)に引っ付けるために、プレス1次成形後の可動型4の移動直前が好ましい。
【0054】
この後、図12(e)に示すように、隙間8に表面コート材を注入して再び可動型4を固定型3側に移動して型締めし、基材2の表面2aに表面層を形成して樹脂成形品1を成形し、そして図12(f)に示すように、金型5を型開きした後前記樹脂成形品1を金型5内から取り出す。
【0055】
なお、上記では押さえピン18の突出と吸引口25からの吸引との両方により基材2を裏面用キャビティ面14に引っ付ける例を示したが、押さえピン18を突出させて基材2を裏面用キャビティ面14に引っ付ける機構、吸引口25からの吸引により基材2を裏面用キャビティ面14に引っ付ける機構のどちらか一方のみを設け、押さえピン18の突出もしくは吸引口25からの吸引のどちらか一方のみにより基材2を裏面用キャビティ面14に引っ付けても良いものとする。
【0056】
上記のように可動型4側にその先端面18aが可動型4のキャビティ面4aと面一となる押さえピン18を設け、押さえピン18の先端面18aにて表面用キャビティ面7の一部を構成し、可動型4を移動して隙間8を形成する際に、前記押さえピン18の先端面18aを可動型4のキャビティ面4aよりも固定型3側に突出させて押さえピン18の先端面18aにて基材2を固定型3に押さえつけることで、第1の実施形態同様、可動型4を移動して隙間8を形成する際に、基材2が表面用キャビティ面7に引っ付いたり、表面用キャビティ面7側に浮き上がったりすることを防止できる。またこの場合も、従来のエアー噴出口のような孔を表面用キャビティ面7に設ける必要がないため、製造工程においてエアー詰まり等のトラブルが発生することがない。また従来のエアー弁のように複雑な機構を設けることなく簡単な機構で基材2の浮き上がりを防止でき、樹脂成形被覆装置のコストを削減できる。
【0057】
また、基材2の裏面部を成形する裏面用キャビティ面14に吸引口25を設け、可動型4を移動して隙間8を形成する際に、エアー吸引装置26により前記吸引口25から基材2を裏面用キャビティ面14側に吸引することで、第1の実施形態同様、可動型4を型開き方向に移動させて表面層成形用の隙間8を形成する際に、基材2が表面用キャビティ面7に引っ付いたり、表面用キャビティ面7側に浮き上がったりすることを防止できる。またこの場合、吸引口25を、従来のエアー噴出口ように表面層成形用の隙間8を構成する表面用キャビティ面7に設けるのではなく、基材2の裏面2bに面した裏面用キャビティ面14に設けているので、製造工程においてエアー詰まり等のトラブルが発生することが少なく、効率よく前述した樹脂成形品1を製造できる。またこの吸引口25には従来のエアー弁のように、エアー噴出口に表面コート材が入り込むことを防止し、且つ可動型4移動時以外においてエアー弁の表面が裏面用キャビティ面7よりも寸法精度が要求される表面用キャビティ面7の一部を構成するといった複雑な機構を設ける必要がなく、樹脂成形被覆装置のコストを削減できる。さらに、基材2の裏面用キャビティ面14への吸引は、吸引口25によって基材2の裏面の一部を吸引することで行っているため、吸引力が強く、これによっても成形不良の原因を解消できる。
【0058】
【発明の効果】
上記のように本発明の請求項1記載の発明にあっては、基材の裏面部を成形する裏面用キャビティ面にアンダーカット部を形成するための抜け止め用凹部を設け、金型で熱硬化性樹脂成形素材を型締めして基材を成形する際に、前記抜け止め用凹部内に硬化前の熱硬化性樹脂成形素材の一部を充填してアンダーカット部を形成し、この後表面コート材を注入するための隙間を形成する際に、前記アンダーカット部により基材を裏面用キャビティ面に引っ付けた状態で可動型を型開き方向に移動するといった製造方法により、可動型を型開き方向に移動させて表面層成形用の隙間を形成する際に、基材を裏面用キャビティ面にぴったりと引っ付いた状態にすることができ、これにより基材が表面用キャビティ面に引っ付いたり、表面用キャビティ面側に浮き上がったりすることを防止でき、結果、厚みのばらつきや、表面コート材のショート不良や、樹脂成形品の表面側のバリの発生等の成形不良が起こり難くなり、外観の優れた樹脂成形品を製造することが可能となる。またこの場合、従来のエアー噴出口のような孔を表面用キャビティ面に設ける必要がないため、製造工程においてエアー詰まり等のトラブルが発生することがなく、効率よく前述した樹脂成形品を製造できる。さらには従来のエアー弁のように複雑な機構を設けることなく、簡単な機構で基材の浮き上がりを防止でき、樹脂成形被覆装置のコストを削減できる。
【0059】
また請求項2記載の発明にあっては、上記請求項1記載の発明の効果に加えて、上記固定型側にその先端面が固定型のキャビティ面と面一となるエジェクタピンを設け、エジェクタピンの先端面にて裏面用キャビティ面の一部を構成し、エジェクタピンの先端面に可動型側に開口し且つ少なくとも樹脂成形品の取り出し方向に開口する段部を形成し、段部の側面の少なくとも可動型の移動方向における一部を、可動型の移動方向と直交する方向において、段部の可動型側の角部よりも外側に位置するように形成し、該段部にて上記抜け止め用凹部の一部を構成し、樹脂成形品を取り出す際に、エジェクタピンの先端面を固定型のキャビティ面から可動型側に突出させ、この後樹脂成形品を取り出し方向に移動させてアンダーカット部を段部から取り出すことで、アンダーカット部をノックアウトすることなく樹脂成形品を取り出すことができる。またエジェクタピンにより成形後の樹脂成形品を裏面用キャビティ面より可動型側に突き上げて取り出すことができるので、裏面用キャビティ面の形状に制限が少なく、複雑な形状を有する樹脂成形品を製造できる。
【0060】
また請求項3記載の発明にあっては、上記請求項1記載の発明の効果に加えて、上記抜け止め用凹部として、固定型のキャビティ面に樹脂成形品の取り出し方向と同方向に伸び且つ少なくとも樹脂成形品の取り出し方向と同方向に開口する溝を形成し、溝の幅方向における片側面の少なくとも可動型の移動方向における一部を該溝の可動型側角部よりも溝の幅方向外側に位置するように形成し、樹脂成形品を取り出す際に、樹脂成形品を取り出し方向に移動させてアンダーカット部を溝から取り出すことで、アンダーカット部をノックアウトすることなく樹脂成形品を取り出すことができる。またこの場合、エジェクタピンを設ける必要がないため、樹脂成形被覆装置のコストを削減できる。
【0061】
また請求項4記載の発明にあっては、上記請求項1〜3のいずれかに記載の発明の効果に加えて、抜け止め用凹部を複数設けることで、可動型を型開き方向に移動させて表面層成形用の隙間を形成する際に、複数のアンダーカット部により基材を複数箇所で支持でき、より一層基材を裏面用キャビティ面にぴったりと引っ付いた状態にすることができる。
【0062】
また請求項5記載の発明は、可動型側にその先端面が可動型のキャビティ面と面一となる押さえピンを設け、押さえピンの先端面にて表面用キャビティ面の一部を構成し、可動型を移動して隙間を形成する際に、前記押さえピンの先端面を可動型のキャビティ面よりも固定型側に突出させて押さえピンの先端面にて基材を固定型に押さえつけることで、可動型を型開き方向に移動させて表面層成形用の隙間を形成する際に、基材を裏面用キャビティ面にぴったりと引っ付いた状態にでき、これにより基材が表面用キャビティ面に引っ付いたり、表面用キャビティ面側に浮き上がったりすることを防止でき、結果、厚みのばらつきや、表面コート材のショート不良、樹脂成形品の表面側のばりの発生等の成形不良が起こりにくくなり、外観の優れた樹脂成形品を製造することが可能となる。またこの場合、従来のエアー噴出口のような孔を表面用キャビティ面に設ける必要がないため、製造工程においてエアー詰まり等のトラブルが発生することがなく、効率よく前述した樹脂成形品を製造できる。また従来のエアー弁のように複雑な機構を設けることなく、簡単な機構で基材の浮き上がりを防止でき、樹脂成形被覆装置のコストを削減できる。
【0063】
また請求項6記載の発明は、基材の裏面部を成形する裏面用キャビティ面に吸引口を設け、可動型を移動して隙間を形成する際に、エアー吸引装置により前記吸引口から基材を裏面用キャビティ面側に吸引することで、基材を裏面用キャビティ面にぴったりと引っ付いた状態にすることができ、これにより可動型を型開き方向に移動させて表面層成形用の隙間を形成する際に基材が表面用キャビティ面に引っ付いたり、表面用キャビティ面側に浮き上がったりすることを防止でき、結果、厚みのばらつきや、表面コート材のショート不良、樹脂成形品の表面側のバリの発生等の成形不良が起こりにくくなり、外観の優れた樹脂成形品を製造することが可能となる。またこの場合、吸引口を、従来のエアー噴出口ように表面層成形用の隙間を構成する表面用キャビティ面に設けるのではなく、基材の裏面に面した裏面用キャビティ面に設けているので、製造工程においてエアー詰まり等のトラブルが発生することが少なく、効率よく前述した樹脂成形品を製造できる。またこの吸引口には従来のエアー弁のように、エアー噴出口に表面コート材が入り込むことを防止し、且つ可動型移動時以外においてエアー弁の表面を裏面用キャビティ面よりも寸法精度が要求される表面用キャビティ面の一部を構成するといった複雑な機構を設ける必要がなく、樹脂成形被覆装置のコストを削減できる。さらに、基材の裏面用キャビティ面への吸引は、吸引口によって基材の裏面の一部を吸引することで行っているため、吸引力が強く、これによっても成形不良の原因を解消できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(f)は本発明の第一の実施形態の一例を示し、製造工程を順に説明する側断面図である。
【図2】同上の樹脂成形被覆装置を示す側断面図である。
【図3】同上の樹脂成形被覆装置のエジェクタピンを突出させた状態を示す側断面図である。
【図4】(a)は同上のエジェクタピンの先端形状の一例を示す側断面図であり、(b)は他例を示す側断面図である。
【図5】(a)はエジェクタピンの先端面と固定型のキャビティ面とが面一となる状態を示す説明図であり、(b)はエジェクタピンの先端面を固定型のキャビティ面より突出させた状態を示す説明図である。
【図6】図5と異なるエジェクタピンの先端形状を示すものであり、(a)はエジェクタピンの先端面と固定型のキャビティ面とが面一となる状態を示す説明図であり、(b)はエジェクタピンの先端面を固定型のキャビティ面より突出させた状態を示す説明図である。
【図7】第2の実施形態における樹脂成形被覆装置を示す側断面図である。
【図8】同上の固定型の平面図である。
【図9】第3の実施形態における樹脂成形被覆装置を示す側断面図である。
【図10】同上の可動型を示すものであり、(a)は押さえピンの先端面を可動型のキャビティ面と面一とした状態を示す側断面図であり、(b)は押さえピンの先端面を可動型のキャビティ面より突出させた状態を示す側断面図である。
【図11】同上の固定型を示すものであり、(a)は吸引口からエアーを吸引していない状態を示す側断面図であり、(b)は吸引口からエアーを吸引している状態を示す側断面図である。
【図12】(a)〜(f)は同上の製造工程を順に説明する側断面図である。
【符号の説明】
1 樹脂成形品
2 基材
2a 表面
3 固定型
4 可動型
5 金型
6 熱硬化性成形材料
7 表面用キャビティ面
8 隙間
9 エジェクタピン
9a 先端面
13 段部
13b 側面
13c 角部
14 裏面用キャビティ面
15 アンダーカット部
16 抜け止め用凹部
17 溝
17a 片側面
17c 角部
18 押さえピン
18 先端面
25 吸引口
26 エアー吸引装置
Claims (6)
- 固定型と固定型に対して型締め方向及び型開き方向に移動自在の可動型とからなる金型で熱硬化性樹脂成形素材を型締めして基材を成形し、次いで可動型を型開き方向に移動して基材の表面と基材の表面部を成形する表面用キャビティ面との間に隙間を形成し、この後前記隙間に表面コート材を注入して基材の表面に表面層を形成し、金型を型開きした後この樹脂成形品を取り出すインモールドコーティング方法を用いた樹脂成形品の製造方法において、基材の裏面部を成形する裏面用キャビティ面にアンダーカット部を形成するための抜け止め用凹部を設け、金型で熱硬化性樹脂成形素材を型締めして基材を成形する際に、前記抜け止め用凹部内に硬化前の熱硬化性樹脂成形素材の一部を充填してアンダーカット部を形成し、この後表面コート材を注入するための隙間を形成する際に、前記アンダーカット部により基材を裏面用キャビティ面に引っ付けた状態で可動型を型開き方向に移動することを特徴とするインモールドコーティング方法を用いた樹脂成形品の製造方法。
- 上記固定型側にその先端面が固定型のキャビティ面と面一となるエジェクタピンを設け、エジェクタピンの先端面にて裏面用キャビティ面の一部を構成し、エジェクタピンの先端面に可動型側に開口し且つ少なくとも樹脂成形品の取り出し方向に開口する段部を形成し、段部の側面の少なくとも可動型の移動方向における一部を、可動型の移動方向と直交する方向において、段部の可動型側の角部よりも外側に位置するように形成し、該段部にて上記抜け止め用凹部の一部を構成し、樹脂成形品を取り出す際に、エジェクタピンの先端面を固定型のキャビティ面から可動型側に突出させ、この後樹脂成形品を取り出し方向に移動させてアンダーカット部を段部から取り出すことを特徴とする請求項1記載のインモールドコーティング方法を用いた樹脂成形品の製造方法。
- 上記抜け止め用凹部として、固定型のキャビティ面に樹脂成形品の取り出し方向と同方向に伸び且つ少なくとも樹脂成形品の取り出し方向と同方向に開口する溝を形成し、該溝の幅方向における片側面の少なくとも可動型の移動方向における一部を可動型側の角部よりも幅方向外側に位置するように形成し、樹脂成形品を取り出す際に、樹脂成形品を取り出し方向に移動させてアンダーカット部を溝から取り出すことを特徴とする請求項1記載のインモールドコーティング方法を用いた樹脂成形品の製造方法。
- 上記抜け止め用凹部を複数設けることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のインモールドコーティング方法を用いた樹脂成形品の製造方法。
- 固定型と固定型に対して型締め方向及び型開き方向に移動自在の可動型とからなる金型で熱硬化性樹脂成形素材を型締めして基材を成形し、次いで可動型を型開き方向に移動させて基材の表面と基材の表面部を成形する表面用キャビティ面との間に隙間を形成し、この後前記隙間に表面コート材を注入して基材の表面に表面層を形成し、金型を型開きした後この樹脂成形品を金型から取り出すインモールドコーティング方法を用いた樹脂成形品の製造方法において、可動型側にその先端面が可動型のキャビティ面と面一となる押さえピンを設け、押さえピンの先端面にて表面用キャビティ面の一部を構成し、可動型を移動して隙間を形成する際に、前記押さえピンの先端面を可動型のキャビティ面よりも固定型側に突出させて押さえピンの先端面にて基材を固定型に押さえつけることを特徴とするインモールドコーティング方法を用いた樹脂成形品の製造方法。
- 固定型と固定型に対して型締め方向及び型開き方向に移動自在の可動型とからなる金型で熱硬化性樹脂成形素材としてのSMC材料を型締めして基材を成形し、次いで可動型を型開き方向に移動させて基材の表面と基材の表面部を成形する表面用キャビティ面との間に隙間を形成し、この後前記隙間に表面コート材を注入して基材の表面に表面層を形成し、金型を型開きした後この樹脂成形品を金型から取り出すインモールドコーティング方法を用いた樹脂成形品の製造方法において、基材の裏面部を成形する裏面用キャビティ面に吸引口を設け、可動型を移動して隙間を形成する際に、エアー吸引装置により前記吸引口から基材を裏面用キャビティ面側に吸引することを特徴とするインモールドコーティング方法を用いた樹脂成形品の製造方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003019522A JP2004230608A (ja) | 2003-01-28 | 2003-01-28 | インモールドコーティング方法を用いた樹脂成形品の製造方法 |
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JP2003019522A Withdrawn JP2004230608A (ja) | 2003-01-28 | 2003-01-28 | インモールドコーティング方法を用いた樹脂成形品の製造方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2010113847A1 (ja) * | 2009-03-31 | 2010-10-07 | 日本写真印刷株式会社 | 型内塗装品形成金型及び型内塗装品の製造方法 |
JP2016199038A (ja) * | 2015-04-10 | 2016-12-01 | チャンネル コマーシャル コーポレイション | 熱硬化性重合体製の公共設備貯蔵室用蓋の製造方法 |
-
2003
- 2003-01-28 JP JP2003019522A patent/JP2004230608A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
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WO2010113847A1 (ja) * | 2009-03-31 | 2010-10-07 | 日本写真印刷株式会社 | 型内塗装品形成金型及び型内塗装品の製造方法 |
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