JP2004227631A - 光情報媒体及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】波長350〜500nmのレーザー光での記録又は再生と、波長750〜850nmのレーザー光での記録又は再生との両立を実現した光情報媒体を提供する。
【解決手段】基板上に、波長750〜850nmのレーザー光を照射して少なくとも情報の再生が可能な層と、中間層と、波長350〜500nmのレーザー光を照射して少なくとも情報の再生が可能な層と、カバー層とを有することを特徴とする光情報媒体である。
【選択図】 なし
【解決手段】基板上に、波長750〜850nmのレーザー光を照射して少なくとも情報の再生が可能な層と、中間層と、波長350〜500nmのレーザー光を照射して少なくとも情報の再生が可能な層と、カバー層とを有することを特徴とする光情報媒体である。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザー光を用いて情報の記録又は再生が可能な両面型の光情報媒体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、レーザー光により一回限りの情報の記録が可能な光情報記録媒体(光ディスク)が知られている。この光ディスクは、追記型CD(所謂CD−R)とも称され、その代表的な構造は、透明な円盤状基板上に有機色素からなる記録層、金などの金属からなる光反射層、さらに樹脂製の保護層がこの順に積層状態で設けられている。そしてこのCD−Rへの情報の記録は、近赤外域のレーザー光(波長750〜850nm、通常は780nm付近の波長のレーザー光)をCD−Rに照射することにより行われ、記録層の照射部分がその光を吸収して局所的に温度上昇し、物理的あるいは化学的変化(例えば、ピットの生成)が生じてその光学的特性を変えることにより、情報が記録される。一方、情報の読み取り(再生)もまた記録用のレーザー光と同じ波長のレーザー光を照射することにより行われ、記録層の光学的特性が変化した部位(記録部分)と変化しない部位(未記録部分)との反射率の違いを検出することにより情報が再生される。
【0003】
近年、記録密度のより高い光情報記録媒体が求められている。このような要望に対して、追記型デジタル・ヴァサタイル・ディスク(所謂DVD−R)と称される光ディスクが上市されている。このDVD−Rは、照射されるレーザー光のトラッキングのための案内溝(プレグルーブ)がCD−Rに比べて半分以下(0.74〜0.8μm)と狭く形成された透明な円盤状基板上に、色素からなる記録層、そして通常は該記録層の上に光反射層、そして更に必要により保護層を設けてなるディスクを二枚、あるいは該ディスクと同じ形状の円盤状保護基板とを該記録層を内側にして接着剤で貼り合わせた構造を有している。DVD−Rへの情報の記録再生は、可視レーザー光(通常は、630nm〜680nmの範囲の波長のレーザー光)を照射することにより行われ、CD−Rより高密度の記録が可能であるとされている。
【0004】
最近、インターネット等のネットワークやハイビジョンTVが急速に普及している。また、HDTV(High Definition Television)の放映も間近にひかえて、画像情報を安価簡便に記録するための大容量の記録媒体の要求が高まっている。DVD−Rは、大容量の記録媒体としての地位をある程度までは確保されるものの、将来の要求に対応できる程の充分大きな記録容量を有しているとは言えない。そこで、DVD−Rよりも更に短波長のレーザー光を用いることによって記録密度を向上させ、より大きな記録容量を備えた光ディスクの開発が進められている。例えば、有機色素を含む記録層を有する光情報記録媒体において、記録層側から光反射層側に向けて波長530nm以下のレーザ光を照射することにより、情報の記録および再生を行う光情報記録媒体が開示されている(例えば、特許文献1〜6参照)。
【0005】
しかしながら、このような大容量の光情報記録媒体は、従来のCD(CD−R)との互換性を確保する上で問題があった。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−43423号公報
【特許文献2】
特開2000−108513号公報
【特許文献3】
特開2000−113504号公報
【特許文献4】
特開2000−149320号公報
【特許文献5】
特開2000−158818号公報
【特許文献6】
特開2000−228028号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上の従来の問題点に鑑みなされたもので、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、
本発明の目的は、波長350〜500nmのレーザー光での記録又は再生と、波長750〜850nmのレーザー光での記録又は再生との両立を実現した光情報媒体及びその製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決する手段は以下の通りである。即ち、
<1> 基板上に、波長750〜850nmのレーザー光を照射して少なくとも情報の再生が可能な層と、中間層と、波長350〜500nmのレーザー光を照射して少なくとも情報の再生が可能な層と、カバー層とを有することを特徴とする光情報媒体である。
<2> 基板上に、少なくとも、波長750〜850nmのレーザー光を照射して情報の記録・再生が可能な層と、グルーブが形成された中間層と、波長350〜500nmのレーザー光を照射して情報の記録・再生が可能な層と、カバー層とを形成する工程を有することを特徴とする光情報媒体の製造方法である。
<3> 波長750〜850nmのレーザー光を照射して情報の再生が可能なピットが形成された基板のピットが形成された面上に、少なくとも、第1の反射層と、波長350〜500nmのレーザー光を照射して情報の再生が可能なピットが形成された中間層と、第2の反射層と、カバー層とを形成する工程を有することを特徴とする光情報媒体の製造方法である。
<4> 基板上に、少なくとも、波長750〜850nmのレーザー光を照射して情報の記録・再生が可能な層と、波長350〜500nmのレーザー光を照射して情報の再生が可能なピットが形成された中間層と、反射層と、カバー層とを形成する工程を有することを特徴とする光情報媒体の製造方法である。
<5> 波長750〜850nmのレーザー光を照射して情報の再生が可能なピットが形成された基板のピットが形成された面上に、少なくとも、反射層と、グルーブが形成された中間層と、波長350〜500nmのレーザー光を照射して情報の記録・再生が可能な層と、カバー層とを形成する工程を有することを特徴とする光情報媒体の製造方法である。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の光情報媒体は、基板上に、波長750〜850nmのレーザー光を照射して少なくとも情報の再生が可能な層と、中間層と、波長350〜500nmのレーザー光を照射して少なくとも情報の再生が可能な層と、カバー層とを有することを特徴としている。波長750〜850nmのレーザー光を照射して少なくとも情報の再生が可能な層、及び波長350〜500nmのレーザー光を照射して少なくとも情報の再生が可能な層としては、ピットが予め形成された基板上に形成された金属反射層、相変化型記録層、色素記録層、光磁気記録層等が挙げられる。そして、ピットが予め形成された基板(以下、「ROMタイプ」と呼ぶ。)は再生のみが可能であり、相変化型記録層、色素記録層、及び光磁気記録層(以下、「記録タイプ」と呼ぶ。)は記録・再生が可能である。
【0010】
<光情報媒体>
本発明の光情報媒体は、両面とも記録タイプの態様としては、例えば、基板上に、波長750〜850nmのレーザー光を照射して情報の記録及び再生の少なくとも一方が可能な層(以下、「CD記録層」と呼ぶ。)と、必要に応じて反射層と、グルーブが形成された中間層と、必要に応じて反射層と、波長350〜500nmのレーザー光を照射して情報の記録及び再生の少なくとも一方が可能な層(以下、「BD記録層」と呼ぶ。)と、必要に応じてバリア層と、カバー層とをこの順に有する構成とすることができる。つまり、一方の面側にCD記録層を有し、他方の面側にBD記録層を有し、両面において記録・再生が可能となっている。CD記録層の情報の記録・再生は基板側から波長750〜850nmのレーザー光を照射することにより行い、BD記録層の情報の記録・再生はカバー層側から波長350〜500nmのレーザー光を照射して行う。以下、基板及び各層について説明する。
【0011】
[基板]
基板としては、従来の光記録媒体の基板材料として用いられている各種の材料を任意に選択して使用することができる。
具体的には、ガラス;ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂;ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂;エポキシ樹脂;アモルファスポリオレフィン;ポリエステル;アルミニウム等の金属;等を挙げることができ、所望によりこれらを併用してもよい。
上記材料の中では、耐湿性、寸法安定性および低価格等の点から、アモルファスポリオレフィン、ポリカーボネートが好ましく、ポリカーボネートが特に好ましい。また、基板の厚さは、0.5〜1.2mmとすることが好ましく、0.6〜1.1mmとすることがより好ましい。
【0012】
基板には、トラッキング用の案内溝またはアドレス信号等の情報を表わす凹凸(グルーブ)が形成されている。グルーブのトラックピッチは、1.2〜2.0μmの範囲とすること好ましく、1.4〜1.8μmとすることがより好ましく、1.55〜1.65μmとすることがさらに好ましい。
グルーブの深さ(溝深さ)は、100〜250nmの範囲とすることが好ましく、150〜230nmとすることがより好ましく、170〜210nmとすることがさらに好ましい。
グルーブの半値幅は、400〜650nmの範囲とすることが好ましく、480〜600nmとすることがより好ましく、500〜580nmとすることがさらに好ましい。
【0013】
[CD記録層]
CD記録層は、前述の通り、波長750〜850nmのレーザー光を照射して情報の記録・再生が可能な層であり、色素を用いる態様と、相変化型の光記録材料を用いる態様とがある。
色素を用いる場合のCD記録層の色素としては、シアニン色素、オキソノール色素、金属錯体系色素、アゾ色素、フタロシアニン色素等が挙げられ、なかでも、フタロシアニン色素が好ましい。
また、特開平4−74690号公報、特開平8−127174号公報、同11−53758号公報、同11−334204号公報、同11−334205号公報、同11−334206号公報、同11−334207号公報、特開2000−43423号公報、同2000−108513号公報、および同2000−158818号公報等に記載されている色素も好適に用いられる。
【0014】
相変化型の光記録材料を用いる場合のCD記録層は、結晶状態と非晶状態の少なくとも2つの状態をとり得る少なくともAg、Al、Te、Sbからなる相変化型の光記録材料からなることが好ましい。
なお、当該CD記録層上には、必要に応じて、公知の誘電体層が形成される。
【0015】
[反射層]
反射層には、レーザ光に対する反射率が高い光反射性物質が用いられる。当該反射率は、70%以上であることが好ましい。
反射率が高い光反射性物質としては、Mg、Se、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Re、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Ir、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Si、Ge、Te、Pb、Po、Sn、Bi等の金属および半金属あるいはステンレス鋼を挙げることができる。これらの光反射性物質は単独で用いてもよいし、あるいは二種以上の組合せで、または合金として用いてもよい。これらのうちで好ましいものは、Cr、Ni、Pt、Cu、Ag、Au、Alおよびステンレス鋼である。特に好ましくは、Au、Ag、Alあるいはこれらの合金であり、最も好ましくは、Au、Agあるいはこれらの合金である。
反射層の層厚は、一般的には10〜300nmの範囲とし、50〜200nmの範囲とすることが好ましい。
なお、反射層は、前述のCD記録層の反射率が十分大きい場合には必ずしも必要ではない。
【0016】
[中間層]
中間層は、反射層を設けない場合はCD記録層上に形成され、反射層を設ける場合には反射層上に形成される。中間層の材質としては、紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂、ホットメルト樹脂が用いられ、CD記録層とは反対側に前述の基板より狭いトラックピッチのグルーブが形成される。グルーブのトラックピッチは、250〜400nmである。また、グルーブの深さ(溝深さ)は、10〜150nmの範囲であり、好ましくは15〜100nmであり、さらに好ましくは20〜80nmであり、最も好ましくは20〜60nmである。
【0017】
[BD記録層]
BD記録層は、前述の通り、波長350〜500nmのレーザー光を照射して情報の記録・再生が可能な層であり、色素を用いる態様と、相変化型の光記録材料を用いる態様とがある。
色素を用いる場合、色素としては、トリアゾール系化合物、フタロシアニン化合物、ポリフィリン系化合物、アミノブタジエン系化合物、シアニン系化合物等でこれらの少なくとも一種であることが好ましく、フタロシアニン化合物としては、アルコキシ置換体、スルホンアミド置換体、スルフォモイル置換体、スルホン酸置換体のついてものの少なくとも一種であることが好ましい。
【0018】
また、特開平4−74690号公報、特開平8−127174号公報、同11−53758号公報、同11−334204号公報、同11−334205号公報、同11−334206号公報、同11−334207号公報、特開2000−43423号公報、同2000−108513号公報、および同2000−158818号公報等に記載されている色素を併用することができる。
さらに、上記色素には限定されず、トリアゾール化合物、トリアジン化合物、シアニン化合物、メロシアニン化合物、アミノブタジエン化合物、フタロシアニン化合物、桂皮酸化合物、ビオロゲン化合物、アゾ化合物、オキソノールベンゾオキサゾール化合物、ベンゾトリアゾール誘導体等の有機化合物も好適に用いられる。これらの化合物の中では、ベンゾトリアゾール誘導体、フタロシアニン化合物が特に好ましい。
【0019】
BD記録層が相変化型の光記録材料を用いる場合、該光記録材料の具体例としては、Sb−Te合金、Ge−Sb−Te合金、Pd−Ge−Sb−Te合金、Nb−Ge−Sb−Te合金、Pd−Nb−Ge−Sb−Te合金、Pt−Ge−Sb−Te合金、Co−Ge−Sb−Te合金、In−Sb−Te合金、Ag−In−Sb−Te合金、Ag−V−In−Sb−Te合金、Ag−Ge−In−Sb−Te合金、等が挙げられる。中でも、多数回の書き換えが可能であることから、Ge−Sb−Te合金、Ag−In−Sb−Te合金が好ましい。
【0020】
BD記録層の層厚としては、10〜50nmとすることが好ましく、15〜30nmとすることがより好ましい。
【0021】
[バリア層]
バリア層は、上記BD記録層と後述するカバー層との間に必要に応じて形成される層である。バリア層を構成する材料としては、レーザー光を透過する材料であれば、特に制限はないが、誘電体であることが好ましく、より具体的には、ZnS、TiO2、SiO2、ZnS−SiO2、GeO2、Si3N4、Ge3N4、MgF2、等の無機酸化物、窒化物、硫化物が挙げられ、ZnS−SiO2、あるいはSiO2が好ましい。
【0022】
[カバー層]
カバー層(カバーシート)は、媒体内部への水分の侵入を防ぐために形成されるもので、記録再生に使用するレーザー光に対して、透過率80%以上の材質であることが好ましい。具体的には、ポリカーボネート(帝人製ピュアエース、帝人化成製パンライト)、三酢酸セルロース(富士写真フイルム(株)製、フジタック)、PET(東レ製ルミラー)が挙げられ、中でもポリカーボネート、三酢酸セルロースがより好ましい。
カバー層の層厚は、0.01〜0.5mmの範囲であることが好ましく、0.05〜0.2mmの範囲であることがより好ましく、0.08〜0.13mmであることがさらに好ましい。
【0023】
以上は、光情報媒体の両面ともに記録タイプとした場合であるが、本発明はそれに限定されず、一方がROMタイプで他方が記録タイプであっても、両方ともROMタイプであってもよい。
【0024】
<光情報媒体の製造方法>
以上の本発明の光情報媒体は、本発明の光情報媒体の製造方法により以下のようにして製造される。以下、本発明の光情報媒体において両面とも記録タイプの場合の製造方法について、基板上にCD記録層と、反射層と、中間層と、反射層と、BD記録層と、バリア層と、カバー層とを有する形態を例に説明する。
【0025】
[CD記録層の形成]
色素を用いる場合のCD記録層は、前述の色素を、結合剤等と共に適当な溶剤に溶解して塗布液を調製し、次いでこの塗布液をスピンコート法により基板のプリグルーブが形成された面に塗布して塗膜を形成した後、乾燥することにより形成する。
【0026】
スピンコート法を適用する際の温度は、23℃以上とすることが好ましく、25℃以上とすることがより好ましい。温度の上限は特にないが、溶剤の引火点より低い温度とする必要があり、好ましく35℃とする。
23℃未満とすると、溶剤の乾燥が遅くなり、目的とする色素膜厚(CD記録層の厚み)が得られない場合や塗布乾燥時間が長くなり、生産性が低下することがある。
【0027】
塗布液の溶剤としては、酢酸ブチル、乳酸エチル、2−メトキシエチルアセテート等のエステル;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン等のケトン;ジクロルメタン、1,2−ジクロルエタン、クロロホルム等の塩素化炭化水素;ジメチルホルムアミド等のアミド;メチルシクロヘキサン等の炭化水素;テトラヒドロフラン、エチルエーテル、ジオキサン等のエーテル;エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールジアセトンアルコール等のアルコール;2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール等のフッ素系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類;等を挙げることができる。
上記溶剤は使用する記録物質の溶解性を考慮して単独で、あるいは二種以上を組み合わせて使用することができる。塗布液中にはさらに酸化防止剤、UV吸収剤、可塑剤、潤滑剤等各種の添加剤を目的に応じて添加してもよい。
【0028】
結合剤を使用する場合に、該結合剤の例としては、ゼラチン、セルロース誘導体、デキストラン、ロジン、ゴム等の天然有機高分子物質;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリイソブチレン等の炭化水素系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル・ポリ酢酸ビニル共重合体等のビニル系樹脂、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル樹脂、ポリビニルアルコール、塩素化ポリエチレン、エポキシ樹脂、ブチラール樹脂、ゴム誘導体、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂等の熱硬化性樹脂の初期縮合物等の合成有機高分子;を挙げることができる。CD記録層の材料として結合剤を併用する場合に、結合剤の使用量は、一般に記録物質に対して0.01倍量〜50倍量(質量比)の範囲にあり、好ましくは0.1倍量〜5倍量(質量比)の範囲にある。このようにして調製される塗布液中の記録物質の濃度は、一般に0.01〜10質量%の範囲にあり、好ましくは0.1〜5質量%の範囲にある。
【0029】
塗布方法としては、既述のようにスピンコート法を適用するが、その際に使用する装置等については、従来公知のものを使用することができる。
また、CD記録層は単層でも重層でもよく、その層厚は、一般に20〜500nmの範囲にあり、好ましくは30〜300nmの範囲にあり、より好ましくは50〜100nmの範囲にある。
【0030】
CD記録層には、該CD記録層の耐光性を向上させるために、種々の褪色防止剤を含有させることができる。
褪色防止剤としては、一般的に一重項酸素クエンチャーが用いられる。一重項酸素クエンチャーとしては、既に公知の特許明細書等の刊行物に記載のものを利用することができる。
その具体例としては、特開昭58−175693号公報、同59−81194号公報、同60−18387号公報、同60−19586号公報、同60−19587号公報、同60−35054号公報、同60−36190号公報、同60−36191号公報、同60−44554号公報、同60−44555号公報、同60−44389号公報、同60−44390号公報、同60−54892号公報、同60−47069号公報、同63−209995号公報、特開平4−25492号公報、特公平1−38680号公報、および同6−26028号公報等の各公報、ドイツ特許350399号明細書、そして日本化学会誌1992年10月号第1141頁等に記載のものを挙げることができる。
【0031】
前記一重項酸素クエンチャー等の褪色防止剤の使用量は、色素の量に対して、通常0.1〜50質量%の範囲であり、好ましくは、0.5〜45質量%の範囲、更に好ましくは、3〜40質量%の範囲、特に好ましくは5〜25質量%の範囲である。
【0032】
CD記録層が相変化型の光記録材料を用いる場合は、前述の相変化型記録材料を真空蒸着法などの気相薄膜堆積法、スパッタ法等によって形成することができる。
【0033】
[反射層の形成(1)]
反射層は、CD記録層上に前述の光反射性物質を蒸着、スパッタリングまたはイオンプレーティングして形成する。反射層の形成に際しては、通常マスクが使用され、これによって反射層の形成領域を調節することができる。
【0034】
[中間層の形成]
中間層は、反射層を形成したディスクの反射層と、転写すべきグルーブを有するスタンパとの間に紫外線硬化樹脂を注入し、スピンさせてスタンパ側から紫外線を照射して硬化させることにより形成する。この際、通常使用されるニッケルからなるスタンパでは紫外線を透過しないため、射出成形でグルーブを転写させた基板上に半透過型のAgPtCu薄膜を例えば30nm程度成膜したものを用いる。そして、紫外線硬化樹脂を硬化させた後、スタンパ(AgPtCu薄膜含む)を剥離する。以上により、グルーブを有する中間層が形成される。
【0035】
[反射層の形成(2)]
グルーブ層上の反射層も、前述の反射層の形成(1)と同様にして形成する。
【0036】
[BD記録層の形成]
BD記録層は、前述の色素(有機物等)等の記録物質を、結合剤等と共に適当な溶剤に溶解してBD記録層塗布液を調製し、次いでこのBD記録層塗布液を基板表面に形成された反射層上(反射層を設けない場合は中間層上)に塗布して塗膜を形成したのち乾燥することにより形成する。
BD記録層塗布液中の記録物質の濃度は、一般に0.01〜15質量%の範囲であり、好ましくは0.1〜10質量%の範囲、より好ましくは0.5〜5質量%の範囲、最も好ましくは0.5〜3質量%の範囲である。
また、BD記録物質等を溶解処理する方法としては、超音波処理、ホモジナイザー、加温等の方法を適用することができる。
【0037】
BD記録層塗布液を調製する際の溶剤としては、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、セロソルブアセテート等のエステル;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン等のケトン;ジクロルメタン、1,2−ジクロルエタン、クロロホルム等の塩素化炭化水素;ジメチルホルムアミド等のアミド;メチルシクロヘキサン等の炭化水素;テトラヒドロフラン、エチルエーテル、ジオキサン等のエーテル;エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールジアセトンアルコール等のアルコール;2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール等のフッ素系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類;等を挙げることができる。
【0038】
上記溶剤は使用する記録物質の溶解性を考慮して単独で、あるいは二種以上を組み合わせて使用することができる。塗布液中にはさらに酸化防止剤、UV吸収剤、可塑剤、潤滑剤等各種の添加剤を目的に応じて添加してもよい。
【0039】
結合剤を使用する場合に、結合剤としては、前述のCD記録層の形成において例示した結合剤と同じであり、好ましい使用量も同様である。
【0040】
BD記録層塗布液の塗布方法としては、スプレー法、スピンコート法、ディップ法、ロールコート法、ブレードコート法、ドクターロール法、スクリーン印刷法等を挙げることができる。BD記録層は単層でも重層でもよい。また、BD記録層の層厚は、一般に20〜500nmの範囲にあり、好ましくは30〜300nmの範囲にあり、より好ましくは50〜100nmの範囲にある。
また、塗布温度としては、23〜50℃であれば特に問題はないが、好ましくは24〜40℃、さらに好ましくは25〜37℃である。
【0041】
BD記録層には、該BD記録層の耐光性を向上させるために、種々の褪色防止剤を含有させることができる。褪色防止剤としては、前述のCD記録層における褪色防止剤と同様である。
【0042】
BD記録層が相変化型の光記録材料を用いる場合は、前述の光記録材料を用い、真空蒸着法などの気相薄膜堆積法、スパッタ法等によって形成することができる。
【0043】
[バリア層の形成]
バリア層は、前述のバリア層を構成する材料を用い、スパッタリング、イオンプレーティング等により形成することができ、その厚さは1〜100nmとすることが好ましい。
【0044】
[カバー層の形成]
カバー層は、光硬化性樹脂を適当な溶剤に溶解して塗布液を調製した後、この塗布液を所定温度で記録層上に塗布して塗布膜を形成し、該塗布膜上に、例えばプラスチックの押出加工で得られた三酢酸セルロースフィルム(TACフィルム)をラミネートし、ラミネートしたTACフィルムの上から光を照射して塗布膜を硬化させて形成することができる。前記TACフィルムとしては、紫外線吸収剤を含むものが好ましい。
【0045】
粘度制御のため、塗布温度は23〜50℃の範囲が好ましく、24〜40℃の範囲がより好ましく、25〜37℃の範囲がさらに好ましい。
ディスクの反りを防止するため、塗布膜の照射はパルス型の光照射器(好ましくは、紫外線照射器)を用いて行うのが好ましい。パルス間隔はmsec以下が好ましく、μsec以下がより好ましい。1パルスの照射光量は特に制限されないが、3kW/cm2以下が好ましく、2kW/cm2以下がより好ましい。
また、照射回数は特に制限されないが、20回以下が好ましく、10回以下がより好ましい。
【0046】
前記接着剤として紫外線硬化樹脂を使用する場合は、該紫外線硬化樹脂をそのまま、もしくはメチルエチルケトン、酢酸エチル等の適当な溶剤に溶解して塗布液を調製し、記録層上にこれを塗布し、その上から紫外線を照射して、紫外線硬化樹脂を硬化させることで、カバー層を形成することもできる。つまり、この場合、TACフィルムなどカバーシートを要せずカバー層を形成することができる。
【0047】
両面ともにROMタイプの光情報媒体の製造方法としては、波長750〜850nmのレーザー光を照射して情報の再生が可能なピットが形成された基板のピットが形成された面上に、少なくとも、第1の反射層と、波長350〜500nmのレーザー光を照射して情報の再生が可能なピットが形成された中間層と、第2の反射層と、カバー層とを形成する工程を有する。第1の反射層と第2の反射層は前述の反射層と、材質、形成方法ともに同様である。
波長350〜500nmのレーザー光を照射して情報の再生が可能なピットが形成されている中間層は、材質としては、紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂、ホットメルト樹脂を用いることができ、厚みは1〜100μmとすることが好ましく、5〜80μmとすることがより好ましく、10〜60μmとすることが更に好ましい。また、中間層は2P転写法により形成することができる。
【0048】
一方の面が記録タイプで他方の面がROMタイプの場合は、2つの態様があり、第1の態様は、波長750〜850nmのレーザー光を照射する側を記録タイプとし、波長350〜500nmのレーザー光を照射する側をROMタイプとする態様であり、第2の態様は、波長750〜850nmのレーザー光を照射する側をROMタイプとし、波長350〜500nmのレーザー光を照射する側を記録タイプとする態様である。
【0049】
第1の態様では、基板上に、少なくとも、波長750〜850nmのレーザー光を照射して情報の記録・再生が可能な層と、波長350〜500nmのレーザー光を照射して情報の再生が可能なピットが形成された中間層と、反射層と、カバー層とを形成する工程を有する。各層の材質及び形成方法は前述の場合と同様であるので説明を省略する。
【0050】
第2の態様では、波長750〜850nmのレーザー光を照射して情報の再生が可能なピットが形成された基板のピットが形成された面上に、少なくとも、反射層と、中間層と、波長350〜500nmのレーザー光を照射して情報の記録・再生が可能な層と、カバー層とを形成する工程を有する。本態様における中間層は波長350〜500nmのレーザー光を照射して情報の記録・再生が可能な層側にグルーブを設ける。各層の材質及び形成方法は前述の場合と同様であるので説明を省略する。
【0051】
【実施例】
[実施例1]
厚さ1.2mm、外径120mm、内径15mmのスパイラル状のグルーブ(トラックピッチ:1600nm、溝深さ:180nm、溝幅:500nm)を有する射出成形ポリカーボネート樹脂基板を成形した。下記構造式で表される色素Aを2,2,3,3−テトラフルオロプロパノールに溶解し、得られた溶液をスピンコーターにより前記基板のグルーブを有する面上に塗布し、厚さ150nmのCD記録層を形成した。その後、60℃1時間の条件でアニールを行い、DCスパッタにより、CD記録層上にAgをスパッタし、100nmの厚さの反射層を形成した。
【0052】
【化1】
【0053】
次いで、反射層を形成したディスクの反射層と、転写すべきグルーブ(トラックピッチ:320nm、溝深さ:30nm、オングルーブ幅:100nm)を有するスタンパとの間に紫外線硬化樹脂を注入し、スピンさせて紫外線を照射して硬化させ、スタンパを除去し、グルーブ層を形成した。なお、スタンパは、射出成形でグルーブを転写させた基板上にDCスパッタによりAgPtCu薄膜を30nm形成したものである。
【0054】
次に、Unaxis社製Cubeを用いてDCスパッタリングにより、Ar雰囲気下でAgPtCuを100nmの層厚で成膜し反射層を形成した。層厚の調整はスパッタ時間により行った。
【0055】
続いて、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール100mlに対して下記色素Bを2g溶解した溶液をスピンコート法により、基板上に均一になるように塗布しグルーブ内膜厚約110nmのBD記録層を形成した。BD記録層形成後、クリーンオーブンで80℃で1時間の条件でアニールを行った。
【0056】
【化2】
【0057】
アニール後、BD記録層上に、RFスパッタリングにより、ZnS/SiO2(8:2)を5nmの層厚で形成した。最後に、粘着剤によりポリカーボネート製のカバーシートを貼り付け、約100μmのカバー層を形成した。
以上の工程により、実施例1の光情報媒体を作製した。
【0058】
[比較例1]
CD記録層の形成までは実施例1と同様に行い、CD記録層上に紫外線硬化樹脂の保護層を形成することにより比較例1の光情報媒体を作製した。
【0059】
[評価]
実施例1の光情報媒体については、記録再生は、CD記録層側にはDDU1000(パルステック工業(株)製、NA0.5、波長790nm)を用い、BD記録層側には同DDU1000(NA0.85、波長403nm)を用い行った。CD記録層側へは3信号を記録した結果、C/N比は50dBであり、BD記録層側へは2T信号を記録した結果C/N比は54dBであった。
比較例1の光情報媒体は片面(CD記録層)のみしか形成しておらず、片面のみしか記録再生できなかったのは言うまでもない。
【0060】
【発明の効果】
本発明によれば、波長350〜500nmのレーザー光での記録又は再生と、波長750〜850nmのレーザー光での記録又は再生との両立を実現した光情報媒体及びその製造方法を提供することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザー光を用いて情報の記録又は再生が可能な両面型の光情報媒体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、レーザー光により一回限りの情報の記録が可能な光情報記録媒体(光ディスク)が知られている。この光ディスクは、追記型CD(所謂CD−R)とも称され、その代表的な構造は、透明な円盤状基板上に有機色素からなる記録層、金などの金属からなる光反射層、さらに樹脂製の保護層がこの順に積層状態で設けられている。そしてこのCD−Rへの情報の記録は、近赤外域のレーザー光(波長750〜850nm、通常は780nm付近の波長のレーザー光)をCD−Rに照射することにより行われ、記録層の照射部分がその光を吸収して局所的に温度上昇し、物理的あるいは化学的変化(例えば、ピットの生成)が生じてその光学的特性を変えることにより、情報が記録される。一方、情報の読み取り(再生)もまた記録用のレーザー光と同じ波長のレーザー光を照射することにより行われ、記録層の光学的特性が変化した部位(記録部分)と変化しない部位(未記録部分)との反射率の違いを検出することにより情報が再生される。
【0003】
近年、記録密度のより高い光情報記録媒体が求められている。このような要望に対して、追記型デジタル・ヴァサタイル・ディスク(所謂DVD−R)と称される光ディスクが上市されている。このDVD−Rは、照射されるレーザー光のトラッキングのための案内溝(プレグルーブ)がCD−Rに比べて半分以下(0.74〜0.8μm)と狭く形成された透明な円盤状基板上に、色素からなる記録層、そして通常は該記録層の上に光反射層、そして更に必要により保護層を設けてなるディスクを二枚、あるいは該ディスクと同じ形状の円盤状保護基板とを該記録層を内側にして接着剤で貼り合わせた構造を有している。DVD−Rへの情報の記録再生は、可視レーザー光(通常は、630nm〜680nmの範囲の波長のレーザー光)を照射することにより行われ、CD−Rより高密度の記録が可能であるとされている。
【0004】
最近、インターネット等のネットワークやハイビジョンTVが急速に普及している。また、HDTV(High Definition Television)の放映も間近にひかえて、画像情報を安価簡便に記録するための大容量の記録媒体の要求が高まっている。DVD−Rは、大容量の記録媒体としての地位をある程度までは確保されるものの、将来の要求に対応できる程の充分大きな記録容量を有しているとは言えない。そこで、DVD−Rよりも更に短波長のレーザー光を用いることによって記録密度を向上させ、より大きな記録容量を備えた光ディスクの開発が進められている。例えば、有機色素を含む記録層を有する光情報記録媒体において、記録層側から光反射層側に向けて波長530nm以下のレーザ光を照射することにより、情報の記録および再生を行う光情報記録媒体が開示されている(例えば、特許文献1〜6参照)。
【0005】
しかしながら、このような大容量の光情報記録媒体は、従来のCD(CD−R)との互換性を確保する上で問題があった。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−43423号公報
【特許文献2】
特開2000−108513号公報
【特許文献3】
特開2000−113504号公報
【特許文献4】
特開2000−149320号公報
【特許文献5】
特開2000−158818号公報
【特許文献6】
特開2000−228028号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上の従来の問題点に鑑みなされたもので、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、
本発明の目的は、波長350〜500nmのレーザー光での記録又は再生と、波長750〜850nmのレーザー光での記録又は再生との両立を実現した光情報媒体及びその製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決する手段は以下の通りである。即ち、
<1> 基板上に、波長750〜850nmのレーザー光を照射して少なくとも情報の再生が可能な層と、中間層と、波長350〜500nmのレーザー光を照射して少なくとも情報の再生が可能な層と、カバー層とを有することを特徴とする光情報媒体である。
<2> 基板上に、少なくとも、波長750〜850nmのレーザー光を照射して情報の記録・再生が可能な層と、グルーブが形成された中間層と、波長350〜500nmのレーザー光を照射して情報の記録・再生が可能な層と、カバー層とを形成する工程を有することを特徴とする光情報媒体の製造方法である。
<3> 波長750〜850nmのレーザー光を照射して情報の再生が可能なピットが形成された基板のピットが形成された面上に、少なくとも、第1の反射層と、波長350〜500nmのレーザー光を照射して情報の再生が可能なピットが形成された中間層と、第2の反射層と、カバー層とを形成する工程を有することを特徴とする光情報媒体の製造方法である。
<4> 基板上に、少なくとも、波長750〜850nmのレーザー光を照射して情報の記録・再生が可能な層と、波長350〜500nmのレーザー光を照射して情報の再生が可能なピットが形成された中間層と、反射層と、カバー層とを形成する工程を有することを特徴とする光情報媒体の製造方法である。
<5> 波長750〜850nmのレーザー光を照射して情報の再生が可能なピットが形成された基板のピットが形成された面上に、少なくとも、反射層と、グルーブが形成された中間層と、波長350〜500nmのレーザー光を照射して情報の記録・再生が可能な層と、カバー層とを形成する工程を有することを特徴とする光情報媒体の製造方法である。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の光情報媒体は、基板上に、波長750〜850nmのレーザー光を照射して少なくとも情報の再生が可能な層と、中間層と、波長350〜500nmのレーザー光を照射して少なくとも情報の再生が可能な層と、カバー層とを有することを特徴としている。波長750〜850nmのレーザー光を照射して少なくとも情報の再生が可能な層、及び波長350〜500nmのレーザー光を照射して少なくとも情報の再生が可能な層としては、ピットが予め形成された基板上に形成された金属反射層、相変化型記録層、色素記録層、光磁気記録層等が挙げられる。そして、ピットが予め形成された基板(以下、「ROMタイプ」と呼ぶ。)は再生のみが可能であり、相変化型記録層、色素記録層、及び光磁気記録層(以下、「記録タイプ」と呼ぶ。)は記録・再生が可能である。
【0010】
<光情報媒体>
本発明の光情報媒体は、両面とも記録タイプの態様としては、例えば、基板上に、波長750〜850nmのレーザー光を照射して情報の記録及び再生の少なくとも一方が可能な層(以下、「CD記録層」と呼ぶ。)と、必要に応じて反射層と、グルーブが形成された中間層と、必要に応じて反射層と、波長350〜500nmのレーザー光を照射して情報の記録及び再生の少なくとも一方が可能な層(以下、「BD記録層」と呼ぶ。)と、必要に応じてバリア層と、カバー層とをこの順に有する構成とすることができる。つまり、一方の面側にCD記録層を有し、他方の面側にBD記録層を有し、両面において記録・再生が可能となっている。CD記録層の情報の記録・再生は基板側から波長750〜850nmのレーザー光を照射することにより行い、BD記録層の情報の記録・再生はカバー層側から波長350〜500nmのレーザー光を照射して行う。以下、基板及び各層について説明する。
【0011】
[基板]
基板としては、従来の光記録媒体の基板材料として用いられている各種の材料を任意に選択して使用することができる。
具体的には、ガラス;ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂;ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂;エポキシ樹脂;アモルファスポリオレフィン;ポリエステル;アルミニウム等の金属;等を挙げることができ、所望によりこれらを併用してもよい。
上記材料の中では、耐湿性、寸法安定性および低価格等の点から、アモルファスポリオレフィン、ポリカーボネートが好ましく、ポリカーボネートが特に好ましい。また、基板の厚さは、0.5〜1.2mmとすることが好ましく、0.6〜1.1mmとすることがより好ましい。
【0012】
基板には、トラッキング用の案内溝またはアドレス信号等の情報を表わす凹凸(グルーブ)が形成されている。グルーブのトラックピッチは、1.2〜2.0μmの範囲とすること好ましく、1.4〜1.8μmとすることがより好ましく、1.55〜1.65μmとすることがさらに好ましい。
グルーブの深さ(溝深さ)は、100〜250nmの範囲とすることが好ましく、150〜230nmとすることがより好ましく、170〜210nmとすることがさらに好ましい。
グルーブの半値幅は、400〜650nmの範囲とすることが好ましく、480〜600nmとすることがより好ましく、500〜580nmとすることがさらに好ましい。
【0013】
[CD記録層]
CD記録層は、前述の通り、波長750〜850nmのレーザー光を照射して情報の記録・再生が可能な層であり、色素を用いる態様と、相変化型の光記録材料を用いる態様とがある。
色素を用いる場合のCD記録層の色素としては、シアニン色素、オキソノール色素、金属錯体系色素、アゾ色素、フタロシアニン色素等が挙げられ、なかでも、フタロシアニン色素が好ましい。
また、特開平4−74690号公報、特開平8−127174号公報、同11−53758号公報、同11−334204号公報、同11−334205号公報、同11−334206号公報、同11−334207号公報、特開2000−43423号公報、同2000−108513号公報、および同2000−158818号公報等に記載されている色素も好適に用いられる。
【0014】
相変化型の光記録材料を用いる場合のCD記録層は、結晶状態と非晶状態の少なくとも2つの状態をとり得る少なくともAg、Al、Te、Sbからなる相変化型の光記録材料からなることが好ましい。
なお、当該CD記録層上には、必要に応じて、公知の誘電体層が形成される。
【0015】
[反射層]
反射層には、レーザ光に対する反射率が高い光反射性物質が用いられる。当該反射率は、70%以上であることが好ましい。
反射率が高い光反射性物質としては、Mg、Se、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Re、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Ir、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Si、Ge、Te、Pb、Po、Sn、Bi等の金属および半金属あるいはステンレス鋼を挙げることができる。これらの光反射性物質は単独で用いてもよいし、あるいは二種以上の組合せで、または合金として用いてもよい。これらのうちで好ましいものは、Cr、Ni、Pt、Cu、Ag、Au、Alおよびステンレス鋼である。特に好ましくは、Au、Ag、Alあるいはこれらの合金であり、最も好ましくは、Au、Agあるいはこれらの合金である。
反射層の層厚は、一般的には10〜300nmの範囲とし、50〜200nmの範囲とすることが好ましい。
なお、反射層は、前述のCD記録層の反射率が十分大きい場合には必ずしも必要ではない。
【0016】
[中間層]
中間層は、反射層を設けない場合はCD記録層上に形成され、反射層を設ける場合には反射層上に形成される。中間層の材質としては、紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂、ホットメルト樹脂が用いられ、CD記録層とは反対側に前述の基板より狭いトラックピッチのグルーブが形成される。グルーブのトラックピッチは、250〜400nmである。また、グルーブの深さ(溝深さ)は、10〜150nmの範囲であり、好ましくは15〜100nmであり、さらに好ましくは20〜80nmであり、最も好ましくは20〜60nmである。
【0017】
[BD記録層]
BD記録層は、前述の通り、波長350〜500nmのレーザー光を照射して情報の記録・再生が可能な層であり、色素を用いる態様と、相変化型の光記録材料を用いる態様とがある。
色素を用いる場合、色素としては、トリアゾール系化合物、フタロシアニン化合物、ポリフィリン系化合物、アミノブタジエン系化合物、シアニン系化合物等でこれらの少なくとも一種であることが好ましく、フタロシアニン化合物としては、アルコキシ置換体、スルホンアミド置換体、スルフォモイル置換体、スルホン酸置換体のついてものの少なくとも一種であることが好ましい。
【0018】
また、特開平4−74690号公報、特開平8−127174号公報、同11−53758号公報、同11−334204号公報、同11−334205号公報、同11−334206号公報、同11−334207号公報、特開2000−43423号公報、同2000−108513号公報、および同2000−158818号公報等に記載されている色素を併用することができる。
さらに、上記色素には限定されず、トリアゾール化合物、トリアジン化合物、シアニン化合物、メロシアニン化合物、アミノブタジエン化合物、フタロシアニン化合物、桂皮酸化合物、ビオロゲン化合物、アゾ化合物、オキソノールベンゾオキサゾール化合物、ベンゾトリアゾール誘導体等の有機化合物も好適に用いられる。これらの化合物の中では、ベンゾトリアゾール誘導体、フタロシアニン化合物が特に好ましい。
【0019】
BD記録層が相変化型の光記録材料を用いる場合、該光記録材料の具体例としては、Sb−Te合金、Ge−Sb−Te合金、Pd−Ge−Sb−Te合金、Nb−Ge−Sb−Te合金、Pd−Nb−Ge−Sb−Te合金、Pt−Ge−Sb−Te合金、Co−Ge−Sb−Te合金、In−Sb−Te合金、Ag−In−Sb−Te合金、Ag−V−In−Sb−Te合金、Ag−Ge−In−Sb−Te合金、等が挙げられる。中でも、多数回の書き換えが可能であることから、Ge−Sb−Te合金、Ag−In−Sb−Te合金が好ましい。
【0020】
BD記録層の層厚としては、10〜50nmとすることが好ましく、15〜30nmとすることがより好ましい。
【0021】
[バリア層]
バリア層は、上記BD記録層と後述するカバー層との間に必要に応じて形成される層である。バリア層を構成する材料としては、レーザー光を透過する材料であれば、特に制限はないが、誘電体であることが好ましく、より具体的には、ZnS、TiO2、SiO2、ZnS−SiO2、GeO2、Si3N4、Ge3N4、MgF2、等の無機酸化物、窒化物、硫化物が挙げられ、ZnS−SiO2、あるいはSiO2が好ましい。
【0022】
[カバー層]
カバー層(カバーシート)は、媒体内部への水分の侵入を防ぐために形成されるもので、記録再生に使用するレーザー光に対して、透過率80%以上の材質であることが好ましい。具体的には、ポリカーボネート(帝人製ピュアエース、帝人化成製パンライト)、三酢酸セルロース(富士写真フイルム(株)製、フジタック)、PET(東レ製ルミラー)が挙げられ、中でもポリカーボネート、三酢酸セルロースがより好ましい。
カバー層の層厚は、0.01〜0.5mmの範囲であることが好ましく、0.05〜0.2mmの範囲であることがより好ましく、0.08〜0.13mmであることがさらに好ましい。
【0023】
以上は、光情報媒体の両面ともに記録タイプとした場合であるが、本発明はそれに限定されず、一方がROMタイプで他方が記録タイプであっても、両方ともROMタイプであってもよい。
【0024】
<光情報媒体の製造方法>
以上の本発明の光情報媒体は、本発明の光情報媒体の製造方法により以下のようにして製造される。以下、本発明の光情報媒体において両面とも記録タイプの場合の製造方法について、基板上にCD記録層と、反射層と、中間層と、反射層と、BD記録層と、バリア層と、カバー層とを有する形態を例に説明する。
【0025】
[CD記録層の形成]
色素を用いる場合のCD記録層は、前述の色素を、結合剤等と共に適当な溶剤に溶解して塗布液を調製し、次いでこの塗布液をスピンコート法により基板のプリグルーブが形成された面に塗布して塗膜を形成した後、乾燥することにより形成する。
【0026】
スピンコート法を適用する際の温度は、23℃以上とすることが好ましく、25℃以上とすることがより好ましい。温度の上限は特にないが、溶剤の引火点より低い温度とする必要があり、好ましく35℃とする。
23℃未満とすると、溶剤の乾燥が遅くなり、目的とする色素膜厚(CD記録層の厚み)が得られない場合や塗布乾燥時間が長くなり、生産性が低下することがある。
【0027】
塗布液の溶剤としては、酢酸ブチル、乳酸エチル、2−メトキシエチルアセテート等のエステル;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン等のケトン;ジクロルメタン、1,2−ジクロルエタン、クロロホルム等の塩素化炭化水素;ジメチルホルムアミド等のアミド;メチルシクロヘキサン等の炭化水素;テトラヒドロフラン、エチルエーテル、ジオキサン等のエーテル;エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールジアセトンアルコール等のアルコール;2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール等のフッ素系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類;等を挙げることができる。
上記溶剤は使用する記録物質の溶解性を考慮して単独で、あるいは二種以上を組み合わせて使用することができる。塗布液中にはさらに酸化防止剤、UV吸収剤、可塑剤、潤滑剤等各種の添加剤を目的に応じて添加してもよい。
【0028】
結合剤を使用する場合に、該結合剤の例としては、ゼラチン、セルロース誘導体、デキストラン、ロジン、ゴム等の天然有機高分子物質;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリイソブチレン等の炭化水素系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル・ポリ酢酸ビニル共重合体等のビニル系樹脂、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル樹脂、ポリビニルアルコール、塩素化ポリエチレン、エポキシ樹脂、ブチラール樹脂、ゴム誘導体、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂等の熱硬化性樹脂の初期縮合物等の合成有機高分子;を挙げることができる。CD記録層の材料として結合剤を併用する場合に、結合剤の使用量は、一般に記録物質に対して0.01倍量〜50倍量(質量比)の範囲にあり、好ましくは0.1倍量〜5倍量(質量比)の範囲にある。このようにして調製される塗布液中の記録物質の濃度は、一般に0.01〜10質量%の範囲にあり、好ましくは0.1〜5質量%の範囲にある。
【0029】
塗布方法としては、既述のようにスピンコート法を適用するが、その際に使用する装置等については、従来公知のものを使用することができる。
また、CD記録層は単層でも重層でもよく、その層厚は、一般に20〜500nmの範囲にあり、好ましくは30〜300nmの範囲にあり、より好ましくは50〜100nmの範囲にある。
【0030】
CD記録層には、該CD記録層の耐光性を向上させるために、種々の褪色防止剤を含有させることができる。
褪色防止剤としては、一般的に一重項酸素クエンチャーが用いられる。一重項酸素クエンチャーとしては、既に公知の特許明細書等の刊行物に記載のものを利用することができる。
その具体例としては、特開昭58−175693号公報、同59−81194号公報、同60−18387号公報、同60−19586号公報、同60−19587号公報、同60−35054号公報、同60−36190号公報、同60−36191号公報、同60−44554号公報、同60−44555号公報、同60−44389号公報、同60−44390号公報、同60−54892号公報、同60−47069号公報、同63−209995号公報、特開平4−25492号公報、特公平1−38680号公報、および同6−26028号公報等の各公報、ドイツ特許350399号明細書、そして日本化学会誌1992年10月号第1141頁等に記載のものを挙げることができる。
【0031】
前記一重項酸素クエンチャー等の褪色防止剤の使用量は、色素の量に対して、通常0.1〜50質量%の範囲であり、好ましくは、0.5〜45質量%の範囲、更に好ましくは、3〜40質量%の範囲、特に好ましくは5〜25質量%の範囲である。
【0032】
CD記録層が相変化型の光記録材料を用いる場合は、前述の相変化型記録材料を真空蒸着法などの気相薄膜堆積法、スパッタ法等によって形成することができる。
【0033】
[反射層の形成(1)]
反射層は、CD記録層上に前述の光反射性物質を蒸着、スパッタリングまたはイオンプレーティングして形成する。反射層の形成に際しては、通常マスクが使用され、これによって反射層の形成領域を調節することができる。
【0034】
[中間層の形成]
中間層は、反射層を形成したディスクの反射層と、転写すべきグルーブを有するスタンパとの間に紫外線硬化樹脂を注入し、スピンさせてスタンパ側から紫外線を照射して硬化させることにより形成する。この際、通常使用されるニッケルからなるスタンパでは紫外線を透過しないため、射出成形でグルーブを転写させた基板上に半透過型のAgPtCu薄膜を例えば30nm程度成膜したものを用いる。そして、紫外線硬化樹脂を硬化させた後、スタンパ(AgPtCu薄膜含む)を剥離する。以上により、グルーブを有する中間層が形成される。
【0035】
[反射層の形成(2)]
グルーブ層上の反射層も、前述の反射層の形成(1)と同様にして形成する。
【0036】
[BD記録層の形成]
BD記録層は、前述の色素(有機物等)等の記録物質を、結合剤等と共に適当な溶剤に溶解してBD記録層塗布液を調製し、次いでこのBD記録層塗布液を基板表面に形成された反射層上(反射層を設けない場合は中間層上)に塗布して塗膜を形成したのち乾燥することにより形成する。
BD記録層塗布液中の記録物質の濃度は、一般に0.01〜15質量%の範囲であり、好ましくは0.1〜10質量%の範囲、より好ましくは0.5〜5質量%の範囲、最も好ましくは0.5〜3質量%の範囲である。
また、BD記録物質等を溶解処理する方法としては、超音波処理、ホモジナイザー、加温等の方法を適用することができる。
【0037】
BD記録層塗布液を調製する際の溶剤としては、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、セロソルブアセテート等のエステル;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン等のケトン;ジクロルメタン、1,2−ジクロルエタン、クロロホルム等の塩素化炭化水素;ジメチルホルムアミド等のアミド;メチルシクロヘキサン等の炭化水素;テトラヒドロフラン、エチルエーテル、ジオキサン等のエーテル;エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールジアセトンアルコール等のアルコール;2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール等のフッ素系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類;等を挙げることができる。
【0038】
上記溶剤は使用する記録物質の溶解性を考慮して単独で、あるいは二種以上を組み合わせて使用することができる。塗布液中にはさらに酸化防止剤、UV吸収剤、可塑剤、潤滑剤等各種の添加剤を目的に応じて添加してもよい。
【0039】
結合剤を使用する場合に、結合剤としては、前述のCD記録層の形成において例示した結合剤と同じであり、好ましい使用量も同様である。
【0040】
BD記録層塗布液の塗布方法としては、スプレー法、スピンコート法、ディップ法、ロールコート法、ブレードコート法、ドクターロール法、スクリーン印刷法等を挙げることができる。BD記録層は単層でも重層でもよい。また、BD記録層の層厚は、一般に20〜500nmの範囲にあり、好ましくは30〜300nmの範囲にあり、より好ましくは50〜100nmの範囲にある。
また、塗布温度としては、23〜50℃であれば特に問題はないが、好ましくは24〜40℃、さらに好ましくは25〜37℃である。
【0041】
BD記録層には、該BD記録層の耐光性を向上させるために、種々の褪色防止剤を含有させることができる。褪色防止剤としては、前述のCD記録層における褪色防止剤と同様である。
【0042】
BD記録層が相変化型の光記録材料を用いる場合は、前述の光記録材料を用い、真空蒸着法などの気相薄膜堆積法、スパッタ法等によって形成することができる。
【0043】
[バリア層の形成]
バリア層は、前述のバリア層を構成する材料を用い、スパッタリング、イオンプレーティング等により形成することができ、その厚さは1〜100nmとすることが好ましい。
【0044】
[カバー層の形成]
カバー層は、光硬化性樹脂を適当な溶剤に溶解して塗布液を調製した後、この塗布液を所定温度で記録層上に塗布して塗布膜を形成し、該塗布膜上に、例えばプラスチックの押出加工で得られた三酢酸セルロースフィルム(TACフィルム)をラミネートし、ラミネートしたTACフィルムの上から光を照射して塗布膜を硬化させて形成することができる。前記TACフィルムとしては、紫外線吸収剤を含むものが好ましい。
【0045】
粘度制御のため、塗布温度は23〜50℃の範囲が好ましく、24〜40℃の範囲がより好ましく、25〜37℃の範囲がさらに好ましい。
ディスクの反りを防止するため、塗布膜の照射はパルス型の光照射器(好ましくは、紫外線照射器)を用いて行うのが好ましい。パルス間隔はmsec以下が好ましく、μsec以下がより好ましい。1パルスの照射光量は特に制限されないが、3kW/cm2以下が好ましく、2kW/cm2以下がより好ましい。
また、照射回数は特に制限されないが、20回以下が好ましく、10回以下がより好ましい。
【0046】
前記接着剤として紫外線硬化樹脂を使用する場合は、該紫外線硬化樹脂をそのまま、もしくはメチルエチルケトン、酢酸エチル等の適当な溶剤に溶解して塗布液を調製し、記録層上にこれを塗布し、その上から紫外線を照射して、紫外線硬化樹脂を硬化させることで、カバー層を形成することもできる。つまり、この場合、TACフィルムなどカバーシートを要せずカバー層を形成することができる。
【0047】
両面ともにROMタイプの光情報媒体の製造方法としては、波長750〜850nmのレーザー光を照射して情報の再生が可能なピットが形成された基板のピットが形成された面上に、少なくとも、第1の反射層と、波長350〜500nmのレーザー光を照射して情報の再生が可能なピットが形成された中間層と、第2の反射層と、カバー層とを形成する工程を有する。第1の反射層と第2の反射層は前述の反射層と、材質、形成方法ともに同様である。
波長350〜500nmのレーザー光を照射して情報の再生が可能なピットが形成されている中間層は、材質としては、紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂、ホットメルト樹脂を用いることができ、厚みは1〜100μmとすることが好ましく、5〜80μmとすることがより好ましく、10〜60μmとすることが更に好ましい。また、中間層は2P転写法により形成することができる。
【0048】
一方の面が記録タイプで他方の面がROMタイプの場合は、2つの態様があり、第1の態様は、波長750〜850nmのレーザー光を照射する側を記録タイプとし、波長350〜500nmのレーザー光を照射する側をROMタイプとする態様であり、第2の態様は、波長750〜850nmのレーザー光を照射する側をROMタイプとし、波長350〜500nmのレーザー光を照射する側を記録タイプとする態様である。
【0049】
第1の態様では、基板上に、少なくとも、波長750〜850nmのレーザー光を照射して情報の記録・再生が可能な層と、波長350〜500nmのレーザー光を照射して情報の再生が可能なピットが形成された中間層と、反射層と、カバー層とを形成する工程を有する。各層の材質及び形成方法は前述の場合と同様であるので説明を省略する。
【0050】
第2の態様では、波長750〜850nmのレーザー光を照射して情報の再生が可能なピットが形成された基板のピットが形成された面上に、少なくとも、反射層と、中間層と、波長350〜500nmのレーザー光を照射して情報の記録・再生が可能な層と、カバー層とを形成する工程を有する。本態様における中間層は波長350〜500nmのレーザー光を照射して情報の記録・再生が可能な層側にグルーブを設ける。各層の材質及び形成方法は前述の場合と同様であるので説明を省略する。
【0051】
【実施例】
[実施例1]
厚さ1.2mm、外径120mm、内径15mmのスパイラル状のグルーブ(トラックピッチ:1600nm、溝深さ:180nm、溝幅:500nm)を有する射出成形ポリカーボネート樹脂基板を成形した。下記構造式で表される色素Aを2,2,3,3−テトラフルオロプロパノールに溶解し、得られた溶液をスピンコーターにより前記基板のグルーブを有する面上に塗布し、厚さ150nmのCD記録層を形成した。その後、60℃1時間の条件でアニールを行い、DCスパッタにより、CD記録層上にAgをスパッタし、100nmの厚さの反射層を形成した。
【0052】
【化1】
【0053】
次いで、反射層を形成したディスクの反射層と、転写すべきグルーブ(トラックピッチ:320nm、溝深さ:30nm、オングルーブ幅:100nm)を有するスタンパとの間に紫外線硬化樹脂を注入し、スピンさせて紫外線を照射して硬化させ、スタンパを除去し、グルーブ層を形成した。なお、スタンパは、射出成形でグルーブを転写させた基板上にDCスパッタによりAgPtCu薄膜を30nm形成したものである。
【0054】
次に、Unaxis社製Cubeを用いてDCスパッタリングにより、Ar雰囲気下でAgPtCuを100nmの層厚で成膜し反射層を形成した。層厚の調整はスパッタ時間により行った。
【0055】
続いて、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール100mlに対して下記色素Bを2g溶解した溶液をスピンコート法により、基板上に均一になるように塗布しグルーブ内膜厚約110nmのBD記録層を形成した。BD記録層形成後、クリーンオーブンで80℃で1時間の条件でアニールを行った。
【0056】
【化2】
【0057】
アニール後、BD記録層上に、RFスパッタリングにより、ZnS/SiO2(8:2)を5nmの層厚で形成した。最後に、粘着剤によりポリカーボネート製のカバーシートを貼り付け、約100μmのカバー層を形成した。
以上の工程により、実施例1の光情報媒体を作製した。
【0058】
[比較例1]
CD記録層の形成までは実施例1と同様に行い、CD記録層上に紫外線硬化樹脂の保護層を形成することにより比較例1の光情報媒体を作製した。
【0059】
[評価]
実施例1の光情報媒体については、記録再生は、CD記録層側にはDDU1000(パルステック工業(株)製、NA0.5、波長790nm)を用い、BD記録層側には同DDU1000(NA0.85、波長403nm)を用い行った。CD記録層側へは3信号を記録した結果、C/N比は50dBであり、BD記録層側へは2T信号を記録した結果C/N比は54dBであった。
比較例1の光情報媒体は片面(CD記録層)のみしか形成しておらず、片面のみしか記録再生できなかったのは言うまでもない。
【0060】
【発明の効果】
本発明によれば、波長350〜500nmのレーザー光での記録又は再生と、波長750〜850nmのレーザー光での記録又は再生との両立を実現した光情報媒体及びその製造方法を提供することができる。
Claims (5)
- 基板上に、波長750〜850nmのレーザー光を照射して少なくとも情報の再生が可能な層と、中間層と、波長350〜500nmのレーザー光を照射して少なくとも情報の再生が可能な層と、カバー層とを有することを特徴とする光情報媒体。
- 基板上に、少なくとも、波長750〜850nmのレーザー光を照射して情報の記録・再生が可能な層と、グルーブが形成された中間層と、波長350〜500nmのレーザー光を照射して情報の記録・再生が可能な層と、カバー層とを形成する工程を有することを特徴とする光情報媒体の製造方法。
- 波長750〜850nmのレーザー光を照射して情報の再生が可能なピットが形成された基板のピットが形成された面上に、少なくとも、第1の反射層と、波長350〜500nmのレーザー光を照射して情報の再生が可能なピットが形成された中間層と、第2の反射層と、カバー層とを形成する工程を有することを特徴とする光情報媒体の製造方法。
- 基板上に、少なくとも、波長750〜850nmのレーザー光を照射して情報の記録・再生が可能な層と、波長350〜500nmのレーザー光を照射して情報の再生が可能なピットが形成された中間層と、反射層と、カバー層とを形成する工程を有することを特徴とする光情報媒体の製造方法。
- 波長750〜850nmのレーザー光を照射して情報の再生が可能なピットが形成された基板のピットが形成された面上に、少なくとも、反射層と、グルーブが形成された中間層と、波長350〜500nmのレーザー光を照射して情報の記録・再生が可能な層と、カバー層とを形成する工程を有することを特徴とする光情報媒体の製造方法。
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WO2006100916A1 (ja) * | 2005-03-18 | 2006-09-28 | Fujifilm Corporation | 光ディスクおよび光記録方法 |
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