JP2004226704A - シアノ系瞬間接着剤を用いた光コネクタ組立方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】組立作業を煩雑化させることなく、簡略な光コネクタ組立方法を提供することを目的とする。
【解決手段】光ファイバが挿入される空洞部12と、この空洞部12に連なり、裸光ファイバ2が差し込まれるファイバ穴7とを有するフェルール6における、前記ファイバ穴7に裸光ファイバ2の先端部を挿入した状態とし、シアノ系瞬間接着剤5をフェルール6の内部に注入し、続いて裸光ファイバ2を押し込む。
【選択図】 図5
【解決手段】光ファイバが挿入される空洞部12と、この空洞部12に連なり、裸光ファイバ2が差し込まれるファイバ穴7とを有するフェルール6における、前記ファイバ穴7に裸光ファイバ2の先端部を挿入した状態とし、シアノ系瞬間接着剤5をフェルール6の内部に注入し、続いて裸光ファイバ2を押し込む。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ファイバをシアノ系瞬間接着剤でフェルールに固定する光コネクタ組立方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光コネクタの組立工程において、光ファイバをフェルールに固定する手段として、エポキシ系接着剤やUV硬化型接着剤が主に用いられる。これらの接着剤は、光コネクタの長期信頼性に大きく関与する高い耐水性を有する。しかし、接着剤を硬化させるときに、エポキシ系接着剤では加熱する作業を行い、また、UV硬化型接着剤では光を照射する作業を行うため、熱源や光源などの付属装置が必要になると共に、作業が煩雑なので、製造コストがかかるという問題がある。
【0003】
光コネクタの組立時間を短縮したり、この組立作業を簡易化したりするために、最近では、シアノ系瞬間接着剤を用いた無研磨組立方式が提案されている(例えば非特許文献1参照)。この無研磨組立方式とは、接続端面をもつフェルールと、鏡面状で垂直または一定の角度にカットされた裸光ファイバのカット面とを位置合わせし、この状態でシアノ系瞬間接着剤を滴下して短時間で硬化させる光コネクタの組立方法である。
【0004】
無研磨組立方式について、具体的に図1、図2、図4を用いて説明する。ここでは多心光コネクタの場合を示している。なお、単心光コネクタの場合の組立方法も同じである。図1は、光ファイバテープ心線の斜視図である。図2は、光ファイバテープ心線の端部の被覆を除去した状態を示す斜視図である。図4は、フェルールの接続端面と裸光ファイバのカット面とを位置合わせした状態を示す斜視図である。
【0005】
フェルール6は、光ファイバテープ心線1が挿入される図示されていない空洞部と、この空洞部に連なり、裸光ファイバ2が差し込まれる図示されていないファイバ穴と、この空洞部の上面に開口して、シアノ系瞬間接着剤5の滴下部となる窓部11とを有した構造である。
被覆が除去された裸光ファイバ2を、工事現場で組み立てるときはエタノールを含浸したベンコットンなどの布が用いられ、工場で組み立てるときはアセトンを含浸したベンコットンなど布が用いられる。この布を用いて裸光ファイバ2を数回拭くことで、裸光ファイバ2に付着した被覆カスを除去する。
【0006】
その後、裸光ファイバ2を図示されていないファイバカッタ等により高精度に且つ鏡面状にカットすることで、カット面4を形成する。この状態でシアノ系瞬間接着剤5をフェルール6の窓部11に滴下し、シアノ系瞬間接着剤5がフェルール6に自然に充填することにより、裸光ファイバ2がフェルール6に固定されて、光コネクタが完成する(例えば特許文献1参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−258622号公報
【非特許文献1】
高谷雅昭、長沢真二、片桐敏明、古川眞一、「簡易組立MT形コネクタの開発」、1998年電子情報通信学会総合大会講演論文集、電子情報通信学会、1998年、通信の2、p.473
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述のシアノ系瞬間接着剤は、耐水性が悪く、特に高温高湿環境においては、水分によって接着強度が低下する。そのため、信頼性を長期にわたって維持できないという問題があった。また、シランカップリング剤を用いた石英ガラス製の裸光ファイバに表面処理を施すことにより、高湿高温環境において接着強度を高めるという公知技術があるが、裸光ファイバに表面処理を施す作業が組立工程に加わるため、作業が煩雑になり、製造コストがかかるという問題があった。
【0009】
また、シアノ系瞬間接着剤は、数秒から数十秒で硬化する特性を有し、周辺の微量の水分と反応して硬化するため、接着剤の微量な細部への充填は、毛細管現象では困難である。そのため、この瞬間接着剤がフェルールのファイバ穴の先端まで行き届かず、フェルールと裸光ファイバとが固定されない部分ができることがある。さらに、フェルールの材質が持つ線膨張係数と裸光ファイバの材質が持つ線膨張係数とが異なることから、温度変化によりフェルールの接続端面と裸光ファイバのカット面とが設計値からずれ、接続する光コネクタ間で接続損失が大きくなる可能性があるという問題があった。
【0010】
このようなことから、本発明は、組立作業を煩雑化させることなく、簡略な光コネクタ組立方法を提供することを目的としてなされたものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前述した課題を解決する第1の発明に係るシアノ系瞬間接着剤を用いた光コネクタ組立方法は、前記シアノ系瞬間接着剤で固定する前に、前記光ファイバの被覆が除去されてなる裸光ファイバを、洗浄液に前記シアノ系瞬間接着剤の接着反応促進物質を溶解させてなる混合溶剤を含浸させた布で拭くことを特徴とする。この発明に係るシアノ系瞬間接着剤を用いた光コネクタ組立方法によれば、裸光ファイバの清掃作業と、裸光ファイバへの反応促進物質の塗布作業とを同時にできる。
【0012】
また、第2の発明に係るシアノ系瞬間接着剤を用いた光コネクタ組立方法は、第1の発明において、前記接着反応促進物質がシランカップリング剤であることを特徴とする
【0013】
また、第3の発明に係るシアノ系瞬間接着剤を用いた光コネクタ組立方法は、第1または第2の発明において、前記洗浄液がエタノールであることを特徴とする。
【0014】
また、第4の発明に係る光コネクタ組立方法は、第1または第2の発明において、前記洗浄液がアセトンであることを特徴とする。
【0015】
また、第5の発明に係るシアノ系瞬間接着剤を用いた光コネクタ組立方法は、第1乃至第4のいずれかの発明において、前記フェルールは、前記光ファイバが挿入される空洞部と、前記空洞部に連なり、前記裸光ファイバが差し込まれるファイバ穴とを有したフェルールであり、前記ファイバ穴に前記光ファイバの先端部を挿入した状態とし、前記シアノ系瞬間接着剤を前記フェルールの内部に注入し、続いて前記裸光ファイバの先端面と前記フェルールの接続端面とがほぼ一致する位置まで前記光ファイバを押し込むことを特徴とする。なお、フェルールの内部へのシアノ系瞬間接着剤の注入は、前記空洞部にシアノ系瞬間接着剤を注入することにより行う。
この発明に係るシアノ系瞬間接着剤を用いた光コネクタ組立方法によれば、前記ファイバ穴の先端まで前記シアノ系瞬間接着剤が充填する。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
【0017】
<実施の形態1>
図1は、光ファイバテープ心線の斜視図である。図2は、光ファイバテープ心線の端部の被覆を除去した状態を示す斜視図である。図3は、混合溶剤を裸光ファイバの表面に塗布した状態を示す斜視図である。図4は、フェルールの接続端面と裸光ファイバのカット面とを位置合わせした状態を示す斜視図である。
【0018】
フェルール6は、光ファイバテープ心線1が挿入される図示されていない空洞部と、この空洞部に連なり、裸光ファイバ2が差し込まれる図示されていないファイバ穴と、この空洞部の上面に開口して、シアノ系瞬間接着剤5の滴下部となる窓部11とを有した構造である。
図1に示すように、光ファイバテープ心線1は、被覆10で覆われている。最初に、光ファイバテープ心線1の端部9の被覆10を除去して、図2に示すような剥き出しになった裸光ファイバ2を生成する。
【0019】
次に、裸光ファイバ2の端部処理の準備を行う。裸光ファイバ2を洗浄する洗浄液であるアルコール例えばエタノール、又はアセトンに、接着剤の接着反応性を高め、接着反応促進物質であるシランカップリング剤を溶解して、混合溶剤を生成する。この混合溶剤を布、例えばベンコットンなどに含浸させる。この布で裸光ファイバ2を数回拭き、裸光ファイバ2に付着している被覆カスを除去すると共に洗浄し、図3に示すような裸光ファイバ2の表面に混合溶剤の塗布部3を形成する。なお、光コネクタの組み立てを行う前に、この混合溶剤を用意しても良い。また、この混合溶剤を光ファイバテープ心線1にも塗布しても良い。
【0020】
続いて、この裸光ファイバ2を図示されていないファイバカッタ等により高精度に且つ垂直または一定の角度で鏡面状にカットすることで、図3に示すようなカット面4を形成する。
さらに、図4に示すように端部処理された裸光ファイバ2をフェルール6の図示されていないファイバ穴に挿入し、フェルール6の接続端面8と裸光ファイバ2のカット面4とがほぼ一致する位置まで裸光ファイバ2を押し込む。この状態でシアノ系瞬間接着剤5をフェルール6窓部11に滴下し、シアノ系瞬間接着剤5がフェルール6に自然に充填することにより、裸光ファイバ2がフェルール6に固定されて、光コネクタが完成する。
【0021】
以上のように本実施の形態1のシアノ系瞬間接着剤5を用いた光コネクタ組立方法によれば、混合溶剤を含浸させた布で、裸光ファイバ2を拭く作業を行うことにより、裸光ファイバ2に付着した被覆カスを除去すると共に洗浄し、裸光ファイバ2の表面に接着反応促進物質の塗布部を形成するので、従来のように、洗浄液を含浸した布で拭く作業と、接着反応促進物質を含浸した布で拭く作業を別々に行う必要がなく、従来の光コネクタ組立方法に比べて、作業の簡略化を図ることができる。
【0022】
<実施の形態2>
図5は、本発明の実施の形態に係る組立工程を示す断面図であり、(a)はフェルールのファイバ穴に裸光ファイバの先端部を挿入した状態を示す断面図、(b)はフェルールの接続端面と裸光ファイバのカット面とを位置合わせした状態を示す断面図である。実施の形態1と重複する光ファイバの端部処理については、説明を省略するが、光ファイバは多心光ファイバの場合に限られるものではなく、単心光ファイバであっても良い。フェルール6は、光ファイバ、例えば光ファイバテープ心線1が挿入される空洞部12と、この空洞部12に連なり、裸光ファイバ2が差し込まれるファイバ穴7とを有した構造である。
【0023】
光ファイバの端部処理をした後、図5(a)に示すようにフェルール6のファイバ穴7に、裸光ファイバ2の先端部をL=0.1〜0.5mm程度挿入する。次に、シアノ系瞬間接着剤5をフェルール6の内部、つまり空洞部12に注入する。
続いて、裸光ファイバ2をファイバ穴7に押し込み、図5(b)に示すようにフェルール6の接続端面8と裸光ファイバ2のカット面4との位置をほぼ一致させる。
【0024】
以上のように本実施の形態2のシアノ系瞬間接着剤を用いた光コネクタ組立方法によれば、フェルール6のファイバ穴7に裸光ファイバ2の先端部を挿入した状態で、シアノ系瞬間接着剤5をフェルール6の内部、つまり空洞部12に注入し、フェルール6の接続端面8と裸光ファイバ2のカット面4とが一致する位置まで、裸光ファイバ2をファイバ穴7に押し込むことにより、フェルール6のファイバ穴7の先端にまでシアノ系接着剤5が充填し、裸光ファイバ2がフェルール6に固定される部分が大きくなるので、裸光ファイバ2とフェルール6との接着強度が高くなり、光コネクタの高信頼化を図ることができる。
【0025】
また、無研磨組立できない場合、例えば接着剤で裸光ファイバ2をフェルール6に固定した後に、フェルール6と裸光ファイバ2を研磨することで光コネクタを組み立てる研磨組立方法においても、シアノ系瞬間接着剤5を用いて光コネクタを組み立てるときに、本発明が有効である。
【0026】
【発明の効果】
以上、発明の実施の形態とともに具体的に説明したように、本発明のシアノ系瞬間接着剤を用いた光コネクタ組立方法によれば、裸光ファイバの洗浄液中にシアノ系瞬間接着剤の接着反応促進物質を溶解させてなる混合溶剤を用いることにより、裸光ファイバの清掃作業と、接着反応促進物質の塗布作業とを同時に行うので、組立作業の簡略化を図ることができる。また、接着反応促進物質を用いることにより、裸光ファイバとフェルールとの接着強度が高くなるので、光コネクタの信頼性の向上を図ることができる。さらに、熱源や光源等の付属装置が不要なので、製造コストの低減を図ることができる。
【0027】
また、フェルールのファイバ穴に裸光ファイバの先端部を挿入した状態で、シアノ系瞬間接着剤をフェルールの内部に注入し、続いて裸光ファイバの先面と前記フェルールの接続端面とがほぼ一致する位置まで裸光ファイバを押し込むことによって、フェルールのファイバ穴の先端までより確実に接着剤を充填することができ、裸光ファイバがフェルールに固定される部分が大きくなるので、光ファイバとフェルールとの接着強度が高くなり、光コネクタの信頼性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】光ファイバテープ心線の斜視図である。
【図2】光ファイバテープ心線の端部の被覆を除去した状態を示す斜視図である。
【図3】混合溶剤を裸光ファイバの表面に塗布した状態を示す斜視図である。
【図4】フェルールの接続端面と裸光ファイバのカット面とを位置合わせした状態を示す斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る組立工程を示す断面図であり、(a)はフェルールのファイバ穴に裸光ファイバの先端部を挿入した状態を示す断面図、(b)はフェルールの接続端面と裸光ファイバのカット面とを位置合わせした状態を示す断面図である。
【符号の説明】
1 光ファイバテープ心線
2 裸光ファイバ
3 混合溶剤の塗布部
4 カット面
5 シアノ系瞬間接着剤
6 フェルール
7 ファイバ穴
8 接続端面
9 端部
10 被覆
11 窓部
12 空洞部
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ファイバをシアノ系瞬間接着剤でフェルールに固定する光コネクタ組立方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光コネクタの組立工程において、光ファイバをフェルールに固定する手段として、エポキシ系接着剤やUV硬化型接着剤が主に用いられる。これらの接着剤は、光コネクタの長期信頼性に大きく関与する高い耐水性を有する。しかし、接着剤を硬化させるときに、エポキシ系接着剤では加熱する作業を行い、また、UV硬化型接着剤では光を照射する作業を行うため、熱源や光源などの付属装置が必要になると共に、作業が煩雑なので、製造コストがかかるという問題がある。
【0003】
光コネクタの組立時間を短縮したり、この組立作業を簡易化したりするために、最近では、シアノ系瞬間接着剤を用いた無研磨組立方式が提案されている(例えば非特許文献1参照)。この無研磨組立方式とは、接続端面をもつフェルールと、鏡面状で垂直または一定の角度にカットされた裸光ファイバのカット面とを位置合わせし、この状態でシアノ系瞬間接着剤を滴下して短時間で硬化させる光コネクタの組立方法である。
【0004】
無研磨組立方式について、具体的に図1、図2、図4を用いて説明する。ここでは多心光コネクタの場合を示している。なお、単心光コネクタの場合の組立方法も同じである。図1は、光ファイバテープ心線の斜視図である。図2は、光ファイバテープ心線の端部の被覆を除去した状態を示す斜視図である。図4は、フェルールの接続端面と裸光ファイバのカット面とを位置合わせした状態を示す斜視図である。
【0005】
フェルール6は、光ファイバテープ心線1が挿入される図示されていない空洞部と、この空洞部に連なり、裸光ファイバ2が差し込まれる図示されていないファイバ穴と、この空洞部の上面に開口して、シアノ系瞬間接着剤5の滴下部となる窓部11とを有した構造である。
被覆が除去された裸光ファイバ2を、工事現場で組み立てるときはエタノールを含浸したベンコットンなどの布が用いられ、工場で組み立てるときはアセトンを含浸したベンコットンなど布が用いられる。この布を用いて裸光ファイバ2を数回拭くことで、裸光ファイバ2に付着した被覆カスを除去する。
【0006】
その後、裸光ファイバ2を図示されていないファイバカッタ等により高精度に且つ鏡面状にカットすることで、カット面4を形成する。この状態でシアノ系瞬間接着剤5をフェルール6の窓部11に滴下し、シアノ系瞬間接着剤5がフェルール6に自然に充填することにより、裸光ファイバ2がフェルール6に固定されて、光コネクタが完成する(例えば特許文献1参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−258622号公報
【非特許文献1】
高谷雅昭、長沢真二、片桐敏明、古川眞一、「簡易組立MT形コネクタの開発」、1998年電子情報通信学会総合大会講演論文集、電子情報通信学会、1998年、通信の2、p.473
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述のシアノ系瞬間接着剤は、耐水性が悪く、特に高温高湿環境においては、水分によって接着強度が低下する。そのため、信頼性を長期にわたって維持できないという問題があった。また、シランカップリング剤を用いた石英ガラス製の裸光ファイバに表面処理を施すことにより、高湿高温環境において接着強度を高めるという公知技術があるが、裸光ファイバに表面処理を施す作業が組立工程に加わるため、作業が煩雑になり、製造コストがかかるという問題があった。
【0009】
また、シアノ系瞬間接着剤は、数秒から数十秒で硬化する特性を有し、周辺の微量の水分と反応して硬化するため、接着剤の微量な細部への充填は、毛細管現象では困難である。そのため、この瞬間接着剤がフェルールのファイバ穴の先端まで行き届かず、フェルールと裸光ファイバとが固定されない部分ができることがある。さらに、フェルールの材質が持つ線膨張係数と裸光ファイバの材質が持つ線膨張係数とが異なることから、温度変化によりフェルールの接続端面と裸光ファイバのカット面とが設計値からずれ、接続する光コネクタ間で接続損失が大きくなる可能性があるという問題があった。
【0010】
このようなことから、本発明は、組立作業を煩雑化させることなく、簡略な光コネクタ組立方法を提供することを目的としてなされたものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前述した課題を解決する第1の発明に係るシアノ系瞬間接着剤を用いた光コネクタ組立方法は、前記シアノ系瞬間接着剤で固定する前に、前記光ファイバの被覆が除去されてなる裸光ファイバを、洗浄液に前記シアノ系瞬間接着剤の接着反応促進物質を溶解させてなる混合溶剤を含浸させた布で拭くことを特徴とする。この発明に係るシアノ系瞬間接着剤を用いた光コネクタ組立方法によれば、裸光ファイバの清掃作業と、裸光ファイバへの反応促進物質の塗布作業とを同時にできる。
【0012】
また、第2の発明に係るシアノ系瞬間接着剤を用いた光コネクタ組立方法は、第1の発明において、前記接着反応促進物質がシランカップリング剤であることを特徴とする
【0013】
また、第3の発明に係るシアノ系瞬間接着剤を用いた光コネクタ組立方法は、第1または第2の発明において、前記洗浄液がエタノールであることを特徴とする。
【0014】
また、第4の発明に係る光コネクタ組立方法は、第1または第2の発明において、前記洗浄液がアセトンであることを特徴とする。
【0015】
また、第5の発明に係るシアノ系瞬間接着剤を用いた光コネクタ組立方法は、第1乃至第4のいずれかの発明において、前記フェルールは、前記光ファイバが挿入される空洞部と、前記空洞部に連なり、前記裸光ファイバが差し込まれるファイバ穴とを有したフェルールであり、前記ファイバ穴に前記光ファイバの先端部を挿入した状態とし、前記シアノ系瞬間接着剤を前記フェルールの内部に注入し、続いて前記裸光ファイバの先端面と前記フェルールの接続端面とがほぼ一致する位置まで前記光ファイバを押し込むことを特徴とする。なお、フェルールの内部へのシアノ系瞬間接着剤の注入は、前記空洞部にシアノ系瞬間接着剤を注入することにより行う。
この発明に係るシアノ系瞬間接着剤を用いた光コネクタ組立方法によれば、前記ファイバ穴の先端まで前記シアノ系瞬間接着剤が充填する。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
【0017】
<実施の形態1>
図1は、光ファイバテープ心線の斜視図である。図2は、光ファイバテープ心線の端部の被覆を除去した状態を示す斜視図である。図3は、混合溶剤を裸光ファイバの表面に塗布した状態を示す斜視図である。図4は、フェルールの接続端面と裸光ファイバのカット面とを位置合わせした状態を示す斜視図である。
【0018】
フェルール6は、光ファイバテープ心線1が挿入される図示されていない空洞部と、この空洞部に連なり、裸光ファイバ2が差し込まれる図示されていないファイバ穴と、この空洞部の上面に開口して、シアノ系瞬間接着剤5の滴下部となる窓部11とを有した構造である。
図1に示すように、光ファイバテープ心線1は、被覆10で覆われている。最初に、光ファイバテープ心線1の端部9の被覆10を除去して、図2に示すような剥き出しになった裸光ファイバ2を生成する。
【0019】
次に、裸光ファイバ2の端部処理の準備を行う。裸光ファイバ2を洗浄する洗浄液であるアルコール例えばエタノール、又はアセトンに、接着剤の接着反応性を高め、接着反応促進物質であるシランカップリング剤を溶解して、混合溶剤を生成する。この混合溶剤を布、例えばベンコットンなどに含浸させる。この布で裸光ファイバ2を数回拭き、裸光ファイバ2に付着している被覆カスを除去すると共に洗浄し、図3に示すような裸光ファイバ2の表面に混合溶剤の塗布部3を形成する。なお、光コネクタの組み立てを行う前に、この混合溶剤を用意しても良い。また、この混合溶剤を光ファイバテープ心線1にも塗布しても良い。
【0020】
続いて、この裸光ファイバ2を図示されていないファイバカッタ等により高精度に且つ垂直または一定の角度で鏡面状にカットすることで、図3に示すようなカット面4を形成する。
さらに、図4に示すように端部処理された裸光ファイバ2をフェルール6の図示されていないファイバ穴に挿入し、フェルール6の接続端面8と裸光ファイバ2のカット面4とがほぼ一致する位置まで裸光ファイバ2を押し込む。この状態でシアノ系瞬間接着剤5をフェルール6窓部11に滴下し、シアノ系瞬間接着剤5がフェルール6に自然に充填することにより、裸光ファイバ2がフェルール6に固定されて、光コネクタが完成する。
【0021】
以上のように本実施の形態1のシアノ系瞬間接着剤5を用いた光コネクタ組立方法によれば、混合溶剤を含浸させた布で、裸光ファイバ2を拭く作業を行うことにより、裸光ファイバ2に付着した被覆カスを除去すると共に洗浄し、裸光ファイバ2の表面に接着反応促進物質の塗布部を形成するので、従来のように、洗浄液を含浸した布で拭く作業と、接着反応促進物質を含浸した布で拭く作業を別々に行う必要がなく、従来の光コネクタ組立方法に比べて、作業の簡略化を図ることができる。
【0022】
<実施の形態2>
図5は、本発明の実施の形態に係る組立工程を示す断面図であり、(a)はフェルールのファイバ穴に裸光ファイバの先端部を挿入した状態を示す断面図、(b)はフェルールの接続端面と裸光ファイバのカット面とを位置合わせした状態を示す断面図である。実施の形態1と重複する光ファイバの端部処理については、説明を省略するが、光ファイバは多心光ファイバの場合に限られるものではなく、単心光ファイバであっても良い。フェルール6は、光ファイバ、例えば光ファイバテープ心線1が挿入される空洞部12と、この空洞部12に連なり、裸光ファイバ2が差し込まれるファイバ穴7とを有した構造である。
【0023】
光ファイバの端部処理をした後、図5(a)に示すようにフェルール6のファイバ穴7に、裸光ファイバ2の先端部をL=0.1〜0.5mm程度挿入する。次に、シアノ系瞬間接着剤5をフェルール6の内部、つまり空洞部12に注入する。
続いて、裸光ファイバ2をファイバ穴7に押し込み、図5(b)に示すようにフェルール6の接続端面8と裸光ファイバ2のカット面4との位置をほぼ一致させる。
【0024】
以上のように本実施の形態2のシアノ系瞬間接着剤を用いた光コネクタ組立方法によれば、フェルール6のファイバ穴7に裸光ファイバ2の先端部を挿入した状態で、シアノ系瞬間接着剤5をフェルール6の内部、つまり空洞部12に注入し、フェルール6の接続端面8と裸光ファイバ2のカット面4とが一致する位置まで、裸光ファイバ2をファイバ穴7に押し込むことにより、フェルール6のファイバ穴7の先端にまでシアノ系接着剤5が充填し、裸光ファイバ2がフェルール6に固定される部分が大きくなるので、裸光ファイバ2とフェルール6との接着強度が高くなり、光コネクタの高信頼化を図ることができる。
【0025】
また、無研磨組立できない場合、例えば接着剤で裸光ファイバ2をフェルール6に固定した後に、フェルール6と裸光ファイバ2を研磨することで光コネクタを組み立てる研磨組立方法においても、シアノ系瞬間接着剤5を用いて光コネクタを組み立てるときに、本発明が有効である。
【0026】
【発明の効果】
以上、発明の実施の形態とともに具体的に説明したように、本発明のシアノ系瞬間接着剤を用いた光コネクタ組立方法によれば、裸光ファイバの洗浄液中にシアノ系瞬間接着剤の接着反応促進物質を溶解させてなる混合溶剤を用いることにより、裸光ファイバの清掃作業と、接着反応促進物質の塗布作業とを同時に行うので、組立作業の簡略化を図ることができる。また、接着反応促進物質を用いることにより、裸光ファイバとフェルールとの接着強度が高くなるので、光コネクタの信頼性の向上を図ることができる。さらに、熱源や光源等の付属装置が不要なので、製造コストの低減を図ることができる。
【0027】
また、フェルールのファイバ穴に裸光ファイバの先端部を挿入した状態で、シアノ系瞬間接着剤をフェルールの内部に注入し、続いて裸光ファイバの先面と前記フェルールの接続端面とがほぼ一致する位置まで裸光ファイバを押し込むことによって、フェルールのファイバ穴の先端までより確実に接着剤を充填することができ、裸光ファイバがフェルールに固定される部分が大きくなるので、光ファイバとフェルールとの接着強度が高くなり、光コネクタの信頼性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】光ファイバテープ心線の斜視図である。
【図2】光ファイバテープ心線の端部の被覆を除去した状態を示す斜視図である。
【図3】混合溶剤を裸光ファイバの表面に塗布した状態を示す斜視図である。
【図4】フェルールの接続端面と裸光ファイバのカット面とを位置合わせした状態を示す斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る組立工程を示す断面図であり、(a)はフェルールのファイバ穴に裸光ファイバの先端部を挿入した状態を示す断面図、(b)はフェルールの接続端面と裸光ファイバのカット面とを位置合わせした状態を示す断面図である。
【符号の説明】
1 光ファイバテープ心線
2 裸光ファイバ
3 混合溶剤の塗布部
4 カット面
5 シアノ系瞬間接着剤
6 フェルール
7 ファイバ穴
8 接続端面
9 端部
10 被覆
11 窓部
12 空洞部
Claims (5)
- 光ファイバをシアノ系接着剤でフェルールに固定する光コネクタ組立方法であって、前記シアノ系接着剤で固定する前に、前記光ファイバの被覆が除去されてなる裸光ファイバを、洗浄液に前記シアノ系瞬間接着剤の接着反応促進物質を溶解させてなる混合溶剤を含浸させた布で拭くことを特徴とするシアノ系瞬間接着剤を用いた光コネクタ組立方法。
- 請求項1において、前記接着反応促進物質がシランカップリング剤であることを特徴とするシアノ系瞬間接着剤を用いた光コネクタ組立方法。
- 請求項1または2において、前記洗浄液がエタノールであることを特徴とするシアノ系瞬間接着剤を用いた光コネクタ組立方法。
- 請求項1または2において、前記洗浄液がアセトンであることを特徴とするシアノ系瞬間接着剤を用いた光コネクタ組立方法。
- 請求項1乃至4のいずれかにおいて、前記フェルールは、前記光ファイバが挿入される空洞部と、前記空洞部に連なり、前記裸光ファイバが差し込まれるファイバ穴とを有したフェルールであり、前記ファイバ穴に前記光ファイバの先端部を挿入した状態とし、前記シアノ系瞬間接着剤を前記フェルールの内部に注入し、続いて前記裸光ファイバの先端面と前記フェルールの接続端面とがほぼ一致する位置まで前記光ファイバを押し込むことを特徴とするシアノ系瞬間接着剤を用いた光コネクタ組立方法。
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JP2003014644A JP2004226704A (ja) | 2003-01-23 | 2003-01-23 | シアノ系瞬間接着剤を用いた光コネクタ組立方法 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007121973A (ja) * | 2005-10-31 | 2007-05-17 | Fujikura Ltd | 光コネクタ |
JP2011170107A (ja) * | 2010-02-18 | 2011-09-01 | Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> | 光コネクタ及びその作製方法 |
JP2013502618A (ja) * | 2010-05-20 | 2013-01-24 | 潮州三環(集団)股▲ふん▼有限公司 | 光スイッチの気密性パッケージングに用いられるマルチコア光ファイバープラグ芯体 |
-
2003
- 2003-01-23 JP JP2003014644A patent/JP2004226704A/ja active Pending
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