JP2004045928A - 光減衰器およびそれに用いる光ファイバ付きフェルール - Google Patents
光減衰器およびそれに用いる光ファイバ付きフェルール Download PDFInfo
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Abstract
【課題】光減衰器のコンパクト化を実現して、光ファイバ付きコネクタとして構成することを可能にする。
【解決手段】任意の長さを有する光ファイバ20の先端に、被覆を除去した所定長さの減衰ファイバ10(13)を融着接続し、減衰ファイバ13の先端から融着点に至らない所定長さを残して、融着点Q含む双方のファイバ素線13、23の全長に亘り補強処理を施して減衰ファイバ付き光ファイバ30を構成する。減衰ファイバ付き光ファイバ30の先端から前記所定長さをフェルールの挿通孔に挿通・接着して光ファイバ付きフェルール3、4を構成する。光ファイバ付きフェルール3、4を光コネクタ2内の所定位置に組み込んで光減衰器を構成する。
【選択図】 図1
【解決手段】任意の長さを有する光ファイバ20の先端に、被覆を除去した所定長さの減衰ファイバ10(13)を融着接続し、減衰ファイバ13の先端から融着点に至らない所定長さを残して、融着点Q含む双方のファイバ素線13、23の全長に亘り補強処理を施して減衰ファイバ付き光ファイバ30を構成する。減衰ファイバ付き光ファイバ30の先端から前記所定長さをフェルールの挿通孔に挿通・接着して光ファイバ付きフェルール3、4を構成する。光ファイバ付きフェルール3、4を光コネクタ2内の所定位置に組み込んで光減衰器を構成する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、光通信システムにおいて光信号のパワーレベルを調整する光減衰器およびそれに用いる光ファイバ付きフェルールに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、この種の光減衰器による光信号の減衰方法のひとつに、光ファイバのコア部分にCo等の不純物を意図的にドープして光減衰特性をもたせた光減衰ファイバ(以下「減衰ファイバ」という。)を用いる方法がある。このような減衰ファイバの減衰レベルは、単位長さ当たりの不純物の添加量によって調整され、一般的には1〜30dBのものが市販されている。
【0003】
図7に、減衰ファイバを用いた光減衰器の従来例を示す。この光減衰器100は、ハウジング101内の所定位置にフェルール組立体102を組み込んで、一端をプラグ(光コネクタと同義語)103、他端をアダプタ104として構成したものである。フェルール組立体102は、金属フランジ105を介して2個のジルコニアフェルール106を連接し、両ジルコニアフェルール106を貫通して1本の減衰ファイバ107が挿通・接着されている。
【0004】
この光減衰器100は、一般的なコネクタ用のジルコニアフェルール106を利用できるため安価であるというメリットがあり、また、光通信システムに適用する場合は、図8(b)に示すように、光ファイバ付きプラグ110−アダプタ120−光減衰器100−光ファイバ付きプラグ130、と連結して使用されるものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の光減衰器は、光通信システムに適用する際、▲1▼フェルール対フェルールの接続箇所が2箇所であるため、例えば接続箇所が1箇所である場合に比べて、ファイバのコアずれによる結合損失の増加とばらつき、端面汚染によるハイパワー入力時の熱損発生等の可能性が2倍あり、また、▲2▼光ファイバを除き部品点数が4点必要であるため、例えば部品点数が3点で済む場合に比べて、コスト高を招き、組み立て後の全長が長くてシステムに搭載するときのスペースファクタが大きい、などの問題があった。
【0006】
この発明の課題は、上記従来のもののもつ問題点を排除して、従来のものに比べてコンパクト化を実現して、光ファイバ付きコネクタとして構成することのできる光減衰器およびそれに用いる光ファイバ付きフェルールを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明は上記課題を解決するものであり、請求項1に係る発明は、光ファイバ付きコネクタとして構成される光減衰器であって、任意の長さを有する光ファイバの先端に、被覆を除去した所定長さの減衰ファイバを融着接続し、減衰ファイバの先端から融着点に至らない所定長さを残して、融着点を含む双方のファイバ素線の全長に亘り補強処理を施して減衰ファイバ付き光ファイバを構成し、前記減衰ファイバ付き光ファイバの先端から前記所定長さをフェルールの挿通孔に挿通・接着して光ファイバ付きフェルールを構成し、前記光ファイバ付きフェルールを光コネクタ内の所定位置に組み込んだ光減衰器である。
【0008】
請求項2に係る発明は、光ファイバ付きコネクタとして構成される光減衰器であって、任意の長さを有する光ファイバの先端に、被覆を除去した所定長さの減衰ファイバを融着接続し、減衰ファイバの先端から融着点に至らない所定長さを残して、融着点を含む双方のファイバ素線の全長に亘り補強処理を施して減衰ファイバ付き光ファイバを構成し、前記減衰ファイバ付き光ファイバの先端から被覆層の先端部分までをフランジ付きフェルールに挿入・接着して光ファイバ付きフェルールを構成し、前記光ファイバ付きフェルールを光コネクタ内の所定位置に組み込んだ光減衰器である。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項2記載の発明において、前記フランジ付きフェルールは、ファイバ素線の挿通孔が実質的に全長に形成されたフェルール本体と、フランジ部材とで構成され、前記減衰ファイバ付き光ファイバの先端から前記所定長さを前記フェルール本体の挿通孔に挿通・接着するとともに、前記補強処理を施した融着点を含む前記ファイバ素線の全長を前記フランジ部材に挿入し接着した光減衰器である。
【0010】
請求項4に係る発明は、請求項2記載の発明において、前記フランジ付きフェルールは、ファイバ素線の挿通孔と被覆層を含む光ファイバ全体を挿入可能な挿入孔とが連なって形成された段差付きフェルール本体と、フランジ部材とで構成され、前記減衰ファイバ付き光ファイバの先端から前記所定長さを前記段差付きフェルール本体の挿通孔に挿通・接着するとともに、前記補強処理を施した融着点を含む前記ファイバ素線の全長を、前記フランジ部材および前記段差付きフェルール本体の挿入孔に挿入し接着した光減衰器である。
【0011】
請求項5に係る発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の発明において、前記減衰ファイバ付き光ファイバの補強処理は、前記融着点を含むファイバ素線を挿入可能な内径を有する補強チューブを前記ファイバ素線の全長に亘り被せて、当該補強チューブと当該ファイバ素線とを全長または一部で接着した光減衰器である。
【0012】
請求項6に係る発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の発明において、前記減衰ファイバ付き光ファイバの補強処理は、前記融着点近傍のファイバ素線に、前記光ファイバのコーティング層に相当するワニスコーティングを施しそれを硬化させて当該融着点近傍を補強し、さらに、前記光ファイバの被覆層に相当する補強チューブを前記ファイバ素線の全長に亘り被せて、当該補強チューブと当該ファイバ素線またはそのワニスコーティング層とを全長または一部で接着した光減衰器である。
【0013】
請求項7に係る発明は、請求項1〜6のいずれかに記載の光減衰器に用いる光ファイバ付きフェルールである。
【0014】
【発明の実施の形態】
この発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1は、この発明による光減衰器の一実施の形態を示す断面図であり、この光減衰器1は、光コネクタのハウジング2内の所定位置に、光ファイバ付きフェルール3を組み込んで、光ファイバ付きコネクタとして構成したものである。
【0015】
図2は、光ファイバ付きフェルール3の第1実施例を示す断面図であり、以下、図3(a)〜図3(f)を参照して、この光ファイバ付きフェルール3に用いる減衰ファイバ付き光ファイバの製造工程について説明する。
【0016】
あらかじめ、10dB/15.5mm、0.25mmΦの減衰ファイバ10と、被覆径0.9mmΦ、コーティング径0.25mmΦの光ファイバ(シングルモードファイバ)20を用意する。
【0017】
そして、光ファイバ20については図3(a)に示す処理を施す。すなわち、図3(a)に示すように、光ファイバ20の先端からY=13.7mmの点Pから先の部分を、図示しない適宜の光ファイバ高精密加工機を用いて被覆層21を除去し、除去した境界を基準点Pとする。このとき用いる光ファイバ高精密加工機は、被覆除去の境界面が鋭利で基準点Pが明確なものが好ましい。続いて、基準点Pから先端方向にV=4mmの点から先の部分を、図示しない適宜のホットストリッパを用いてコーティング層22を除去する。この結果、Y−V=9.7mmの裸ファイバ(光ファイバ素線)23が得られる。
【0018】
また、減衰ファイバ10については図3(b)に示す処理を施す。すなわち、図3(b)に示すように、減衰ファイバ10の先端からX+ΔX=20.0mmの点Dから先の部分を、ホットストリッパを用いて被覆11を除去して、裸ファイバ(減衰ファイバ素線)13を露出させる。
【0019】
つぎに、図3(c)に示すように、光ファイバ20の裸ファイバ(光ファイバ素線)23と、減衰ファイバ10の裸ファイバ(減衰ファイバ素線)13とを対接させて、図示しない適宜の光ファイバ融着機を用いて融着接続(融着点Q)する。
【0020】
融着接続後、減衰ファイバ10をD点で切断することで、図3(d)に示すように、先端からX+ΔX=20.0mmの部分が減衰ファイバ素線13であり、さらにY=13.7mm(長さ4mmのコーティング部分を含む)の光ファイバ素線23を有する光ファイバ、すなわち、減衰ファイバ付き光ファイバ30が得られる。
【0021】
ここで、Xは減衰ファイバ10の規定長(15.5mm)であり、また、ΔXは、図2に示すジルコニアフェルール40の先端から突出する部分(接着剤除去にかかわる初期研磨部分)の長さ(4.5mm)である。
【0022】
その後、図3(e)、図3(f)に示すように、減衰ファイバ付き光ファイバ30に必要な補強処理を施す。
【0023】
まず、図3(e)に示すように、融着点Qの前後周辺を合成樹脂製ワニスでコーティングする。すなわち、減衰ファイバ素線13の一部分(後述するΔX+Z)をテープでマスキングし、ピンセットの先端にフェルトを貼り付けた塗布用治具のフェルト部分に適宜の光ファイバコーティング剤を染み込ませたもので、融着点Qを含む減衰ファイバ素線13および光ファイバ素線23を挟んでコーティングする。そして、温風を軽く当てて乾燥硬化させたのちマスキングテープをはずす。
【0024】
ここで、融着点Qの前後周辺を合成樹脂製ワニスでコーティングするのは、つぎのような理由による。すなわち、図4に示すように、光ファイバが融着するQ点ではシリカの軟化点以上に加熱されるため、光ファイバ表面の欠陥(マイクロクラック)が消滅し、ガラスの強度は見かけ上大きくなるが、その周辺はアークの低温部(軟化温度以下)に曝され、かつ加熱・急冷されるため、マイクロクラックが成長するためか一般に強度は劣化する。また、被覆を除去して露出させた裸ファイバ(ファイバ素線)を大気中に長時間放置すると、水分・塵埃の吸着により強度が劣化することが知られている。このようなことから、融着点近傍をワニスコーティング31で補強するものであり、コーティング31の厚さは、後述するように補強チューブ32の内径が0.3mmであり、裸ファイバ(ファイバ素線)の直径が0.125mmであることから、その差0.175mmの半分87.5μm以下となるが、補強チューブ32に挿入するときに必要なギャップを考慮すると、10〜50μmが実用範囲である。また、コーティング31の手段としては、ディップ、スプレー、塗布などが利用可能である。
【0025】
つぎに、ジルコニアフェルール40の長さ(ファイバ素線が挿通される素線挿通孔の長さ)ZはZ=10.5mmであるので、図3(f)に示すように、減衰ファイバ素線13の長さX+ΔX=20.0mmからΔX+Z=15.0mmを差し引いた残りの長さU=5mmと、コーティング層22の長さV=4mmを含む光ファイバ素線23の長さY=13.7mmを合わせた長さW=18.7mmの範囲に熱硬化型接着剤を塗布する。そして、内径0.3mmΦ、外径0.9mmΦ、長さW=18.7mmのETFT(エチレンテトラフルオロエチレン)製補強チューブ32を被せ、補強チューブ32からはみ出した余分の接着剤を払拭したのち、加熱硬化して接着する。これにより、減衰ファイバ付き光ファイバ30が完成する。
【0026】
一方、図2に示すように、ジルコニアフェルール40を金属フランジ41の先端拡大部に圧入して、一体のフランジ付きフェルールを構成する。そして、この金属フランジ41およびジルコニアフェルール40の内部に熱硬化型接着剤を充填したのち、図3(f)に示す減衰ファイバ付き光ファイバ30を金属フランジ41の後端から挿入し、補強チューブ32の先端がジルコニアフェルール40の後端に当たる位置で止める。すると、ジルコニアフェルール40の先端から長さΔX=4.5mmの減衰ファイバ素線13が突出する。また、金属フランジ41と補強チューブ32、ジルコニアフェルール40と減衰ファイバ素線13、および金属フランジ41とジルコニアフェルール40が、互いに接着固定される。これにより、光減衰器1に用いる光ファイバ付きフェルール3が完成する。
【0027】
この光ファイバ付きフェルール3は、減衰ファイバ付き光ファイバ30の被覆層21の先端部分が、金属フランジ41の内部まで侵入しているため、すなわち、被覆除去境界面の基準点Pが金属フランジ41の後端から所定距離(約3mm程度)内方に位置しているため、例えば図5に示すように、被覆層21が金属フランジ41に全く侵入していない場合に比べて、引張強度(引抜強度)が優れている。
【0028】
このような理由から、金属フランジ41の長さはある程度長くなければならず、この実施例では長さ22mmのものを使用した。この長さは、通常の光コネクタとして使用する場合の金属フランジの長さ(8.0mm)に比べてかなり長いが、それでも、光コネクタのハウジング2内に組み込み可能な長さに抑えられている。すなわち、この光ファイバ付きフェルール3で使用する金属フランジ41の長さは、光ファイバ付きフェルール3を組み込んで光減衰器1を完成させる光コネクタのハウジング2内に組み込み可能な範囲内で決定されるものである。
【0029】
つぎに、光ファイバ付きフェルール3のフェルール(ジルコニアフェルール40)の先端から突出している部分ΔX(長さ4.5mm)の減衰ファイバ素線13を初期研磨したうえ、図1に示すように、光ファイバ付きコネクタとして用いる光コネクタのハウジング2内の所定位置に、初期研磨した光ファイバ付きフェルール3を組み込んで、光減衰器1を完成させる。
【0030】
この光減衰器1の減衰量をサンプル数20で評価した結果、波長1300nmで全数が10dB±0.2dBの範囲に入っていて問題がなかった。
【0031】
また、テルコーディア規格のGR910−COREsectin4.1.12の落下衝撃試験を同数のサンプルで実施したところ、全数に破断は認められなかった。
【0032】
なお、図2に示す光ファイバ付きフェルール3において、減衰ファイバ付き光ファイバ30の融着点Qは、ジルコニアフェルール40の挿通孔入口からコーティング層22先端までの範囲で任意の位置を採り得ることが理解される。すなわち、図3(a)の工程で、基準点Pを起点とする光ファイバ素線23の長さYを調節することによって、減衰ファイバ素線13の長さX(すなわち減衰量)を任意に調節することができる。したがって、この減衰ファイバ付き光ファイバ30を挿通・接着して構成される光ファイバ付きフェルール3を用いた光減衰器1は、減衰量を任意に設定することが可能である。
【0033】
図6は、光ファイバ付きフェルールの第2実施例を示す断面図であり、この光ファイバ付きフェルール4は、段差付きジルコニアフェルール50を用いたものである。段差付きジルコニアフェルール(長さZ=10.5mm)50には、ファイバ素線が挿通される素線挿通孔(テーパ部0.5mmを含み長さS=3.5mm)と、被覆層21を含む光ファイバ20全体(したがって、これと同径の補強チューブ32)を挿入可能な挿入孔(長さT=7mm)が設けられている。そして、段差付きジルコニアフェルール50を金属フランジ51の先端拡大部に圧入して、一体のフランジ付きフェルールを構成し、これに、図3(f)に示す減衰ファイバ付き光ファイバ30が、補強チューブ32の先端が挿入孔の最奥に当たる位置まで挿入されるものである。
【0034】
この段差付きジルコニアフェルール50に適合させるため、図3(f)に示す減衰ファイバ付き光ファイバ30の各部の寸法については、第1実施例の場合と変更する必要がある。すなわち、図3(a)において、Y=17.0mm、V=5mm、Y−V=12.0mmとする。また、図3(b)において、X+ΔX=12.8mmとする。ここで、Xは減衰ファイバ10の規定長(10dB/15.5mmの半分すなわち5dB相当の7.8mm)であり、また、ΔXは、段差付きジルコニアフェルール50の先端から突出する部分(接着剤除去にかかわる初期研磨部分)の長さ(5.0mm)である。さらに、図3(f)において、減衰ファイバ素線13の長さX+ΔX=12.8mmからΔX+S=8.5mmを差し引いた残りの長さU=4.3mmと、コーティング層22の長さV=5mmを含む光ファイバ素線23の長さY=17.0mmを合わせた長さW=21.3mmの範囲に熱硬化型接着剤を塗布し、内径0.3mmΦ、外径0.9mmΦ、長さW=21.3mmのETFT(エチレンテトラフルオロエチレン)製補強チューブ32を被せ、補強チューブ32からはみ出した余分の接着剤を払拭したのち、加熱硬化して接着することで、減衰ファイバ付き光ファイバ30が完成する。
【0035】
このような減衰ファイバ付き光ファイバ30を、一体のフランジ付きフェルールとして構成され内部に熱硬化型接着剤が充填された段差付きジルコニアフェルール50および金属フランジ51に金属フランジ51の後端から挿入し、補強チューブ32の先端が挿入孔の最奥に当たる位置で止める。すると、段差付きジルコニアフェルール50の先端から長さΔX=5.0mmの減衰ファイバ素線13が突出する。また、金属フランジ51と補強チューブ32、段差付きジルコニアフェルール50と補強チューブ32、段差付きジルコニアフェルール50と減衰ファイバ素線13、および金属フランジ51と段差付きジルコニアフェルール50が、互いに接着固定される。これにより、光減衰器1に用いる光ファイバ付きフェルール4が完成する。
【0036】
この光ファイバ付きフェルール4も、第1実施例の光ファイバ付きフェルール3と同様に、減衰ファイバ付き光ファイバ30の被覆層21の先端部分が、金属フランジ51の内部まで侵入しているため、引張強度(引抜強度)が優れている。また、金属フランジ51も長さ22mmのものを使用したが、光コネクタのハウジング2内に組み込み可能な長さに抑えられている。
【0037】
つぎに、光ファイバ付きフェルール4のフェルール(段差付きジルコニアフェルール50)の先端から突出している部分ΔX(長さ5.0mm)の減衰ファイバ素線13を初期研磨したうえ、図1に示すように、光ファイバ付きコネクタとして用いる光コネクタのハウジング2内の所定位置に、初期研磨した光ファイバ付きフェルール4を組み込んで、光減衰器1を完成させる。
【0038】
この光減衰器1の減衰量をサンプル数20で評価した結果、波長1300nmで全数が5dB±0.2dBの範囲に入っていて問題がなかった。
【0039】
また、テルコーディア規格のGR910−COREsectin4.1.12の落下衝撃試験を同数のサンプルで実施したところ、全数に破断は認められなかった。
【0040】
なお、図6に示す光ファイバ付きフェルール4において、減衰ファイバ付き光ファイバ30の融着点Qは、段差付きジルコニアフェルール50の素線挿通孔入口からコーティング層22先端までの範囲で任意の位置を採り得ることが理解される。この範囲は、図2の場合の範囲に比べてより長い。そのため、この減衰ファイバ付き光ファイバ30を挿通・接着して構成される光ファイバ付きフェルール4を用いた光減衰器1は、図2に示す光ファイバ付きフェルール3を用いた光減衰器1に比べて、より広い範囲で減衰量を任意に設定することが可能である。
【0041】
図2に示す光ファイバ付きフェルール3を用いた光減衰器1も、図6に示す光ファイバ付きフェルール4を用いた光減衰器1も、光通信システムに適用する場合は、図8(a)に示すように、光ファイバ付きプラグ110−アダプタ120−光減衰器1、と連結して使用されるものである。そのため、フェルール対フェルールの接続箇所が1箇所で済むことになり、また、光ファイバを除く部品点数が3点で済むことになる。
【0042】
なお、上記の実施の形態では、ジルコニアフェルール40(50)を金属フランジ41(51)の先端拡大部に圧入して、一体のフランジ付きフェルールを構成したが、これに限定するものでなく、例えば、金属フランジ41(51)のないフランジなしフェルールを使用することができる。とくに、図6に示す段差付きジルコニアフェルール50の場合は、補強チューブ32が内部まで挿入されているため、金属フランジ51がなくても、段差付きジルコニアフェルール50と減衰ファイバ付き光ファイバ30とを、充分に一体として構成することができる。
【0043】
また、ジルコニアフェルール40(50)の材質は、ジルコニアに限らず、他のセラミック、金属、プラスチックなどが使用可能であり、また、金属フランジ41(51)の材質は、金属に限らず、プラスチックなどが使用可能である。
【0044】
また、上記の実施の形態では、減衰ファイバ付き光ファイバ30に施す補強処理として、コーティング31および補強チューブ32を用いたが、これに限定するものでなく、例えば、コーティング31を省略して補強チューブ32だけを用いてもよく、また、補強チューブ32の材質については、プラスチック、金属などが使用可能であり、さらに、コーティング31や補強チューブ32以外の適宜の補強処理を施してもよい。
【0045】
さらに、光減衰器を構成する光コネクタの種類や光ファイバの種類については、適宜のものを採用することが可能である。
【0046】
【発明の効果】
この発明は以上のように、任意の長さを有する光ファイバの先端に、被覆を除去した所定長さの減衰ファイバを融着接続し、減衰ファイバの先端から融着点に至らない所定長さを残して、融着点を含む双方のファイバ素線の全長に亘り補強処理を施して減衰ファイバ付き光ファイバを構成し、前記減衰ファイバ付き光ファイバの先端から前記所定長さをフェルールの挿通孔に挿通・接着して光ファイバ付きフェルールを構成し、前記光ファイバ付きフェルールを光コネクタ内の所定位置に組み込んで光減衰器として構成したので、従来のものに比べてコンパクト化を実現して、光ファイバ付きコネクタとして構成することができ、そのため、光通信システムに適用する際、フェルール対フェルールの接続箇所を1箇所で済ませることができるから、接続損失を低減することができ、また、光ファイバを除く部品点数を3点で済ませることができるから、コストを削減することができ、さらに、コンパクト化の実現により、システムに搭載するときのスペースファクタが小さくなり、システム設計の自由度を向上させることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による光減衰器の一実施の形態を示す断面図である。
【図2】光ファイバ付きフェルールの第1実施例を示す断面図である。
【図3】減衰ファイバ付き光ファイバの製造工程を示す説明図である。
【図4】光ファイバの融着についての説明図である。
【図5】図2の光ファイバ付きフェルールと対比する例を示す説明図である。
【図6】光ファイバ付きフェルールの第2実施例を示す断面図である。
【図7】従来の光減衰器の一例を示す断面図である。
【図8】この発明による光減衰器と従来の光減衰器との違いを示す概略図である。
【符号の説明】
1 光減衰器
2 ハウジング
3 光ファイバ付きフェルール(第1実施例)
4 光ファイバ付きフェルール(第2実施例)
10 減衰ファイバ
13 減衰ファイバ素線
20 光ファイバ
23 光ファイバ素線
30 減衰ファイバ付き光ファイバ
31 コーティング
32 補強チューブ
40 ジルコニアフェルール
41 金属フランジ
50 段差付きジルコニアフェルール
51 金属フランジ
【発明の属する技術分野】
この発明は、光通信システムにおいて光信号のパワーレベルを調整する光減衰器およびそれに用いる光ファイバ付きフェルールに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、この種の光減衰器による光信号の減衰方法のひとつに、光ファイバのコア部分にCo等の不純物を意図的にドープして光減衰特性をもたせた光減衰ファイバ(以下「減衰ファイバ」という。)を用いる方法がある。このような減衰ファイバの減衰レベルは、単位長さ当たりの不純物の添加量によって調整され、一般的には1〜30dBのものが市販されている。
【0003】
図7に、減衰ファイバを用いた光減衰器の従来例を示す。この光減衰器100は、ハウジング101内の所定位置にフェルール組立体102を組み込んで、一端をプラグ(光コネクタと同義語)103、他端をアダプタ104として構成したものである。フェルール組立体102は、金属フランジ105を介して2個のジルコニアフェルール106を連接し、両ジルコニアフェルール106を貫通して1本の減衰ファイバ107が挿通・接着されている。
【0004】
この光減衰器100は、一般的なコネクタ用のジルコニアフェルール106を利用できるため安価であるというメリットがあり、また、光通信システムに適用する場合は、図8(b)に示すように、光ファイバ付きプラグ110−アダプタ120−光減衰器100−光ファイバ付きプラグ130、と連結して使用されるものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の光減衰器は、光通信システムに適用する際、▲1▼フェルール対フェルールの接続箇所が2箇所であるため、例えば接続箇所が1箇所である場合に比べて、ファイバのコアずれによる結合損失の増加とばらつき、端面汚染によるハイパワー入力時の熱損発生等の可能性が2倍あり、また、▲2▼光ファイバを除き部品点数が4点必要であるため、例えば部品点数が3点で済む場合に比べて、コスト高を招き、組み立て後の全長が長くてシステムに搭載するときのスペースファクタが大きい、などの問題があった。
【0006】
この発明の課題は、上記従来のもののもつ問題点を排除して、従来のものに比べてコンパクト化を実現して、光ファイバ付きコネクタとして構成することのできる光減衰器およびそれに用いる光ファイバ付きフェルールを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明は上記課題を解決するものであり、請求項1に係る発明は、光ファイバ付きコネクタとして構成される光減衰器であって、任意の長さを有する光ファイバの先端に、被覆を除去した所定長さの減衰ファイバを融着接続し、減衰ファイバの先端から融着点に至らない所定長さを残して、融着点を含む双方のファイバ素線の全長に亘り補強処理を施して減衰ファイバ付き光ファイバを構成し、前記減衰ファイバ付き光ファイバの先端から前記所定長さをフェルールの挿通孔に挿通・接着して光ファイバ付きフェルールを構成し、前記光ファイバ付きフェルールを光コネクタ内の所定位置に組み込んだ光減衰器である。
【0008】
請求項2に係る発明は、光ファイバ付きコネクタとして構成される光減衰器であって、任意の長さを有する光ファイバの先端に、被覆を除去した所定長さの減衰ファイバを融着接続し、減衰ファイバの先端から融着点に至らない所定長さを残して、融着点を含む双方のファイバ素線の全長に亘り補強処理を施して減衰ファイバ付き光ファイバを構成し、前記減衰ファイバ付き光ファイバの先端から被覆層の先端部分までをフランジ付きフェルールに挿入・接着して光ファイバ付きフェルールを構成し、前記光ファイバ付きフェルールを光コネクタ内の所定位置に組み込んだ光減衰器である。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項2記載の発明において、前記フランジ付きフェルールは、ファイバ素線の挿通孔が実質的に全長に形成されたフェルール本体と、フランジ部材とで構成され、前記減衰ファイバ付き光ファイバの先端から前記所定長さを前記フェルール本体の挿通孔に挿通・接着するとともに、前記補強処理を施した融着点を含む前記ファイバ素線の全長を前記フランジ部材に挿入し接着した光減衰器である。
【0010】
請求項4に係る発明は、請求項2記載の発明において、前記フランジ付きフェルールは、ファイバ素線の挿通孔と被覆層を含む光ファイバ全体を挿入可能な挿入孔とが連なって形成された段差付きフェルール本体と、フランジ部材とで構成され、前記減衰ファイバ付き光ファイバの先端から前記所定長さを前記段差付きフェルール本体の挿通孔に挿通・接着するとともに、前記補強処理を施した融着点を含む前記ファイバ素線の全長を、前記フランジ部材および前記段差付きフェルール本体の挿入孔に挿入し接着した光減衰器である。
【0011】
請求項5に係る発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の発明において、前記減衰ファイバ付き光ファイバの補強処理は、前記融着点を含むファイバ素線を挿入可能な内径を有する補強チューブを前記ファイバ素線の全長に亘り被せて、当該補強チューブと当該ファイバ素線とを全長または一部で接着した光減衰器である。
【0012】
請求項6に係る発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の発明において、前記減衰ファイバ付き光ファイバの補強処理は、前記融着点近傍のファイバ素線に、前記光ファイバのコーティング層に相当するワニスコーティングを施しそれを硬化させて当該融着点近傍を補強し、さらに、前記光ファイバの被覆層に相当する補強チューブを前記ファイバ素線の全長に亘り被せて、当該補強チューブと当該ファイバ素線またはそのワニスコーティング層とを全長または一部で接着した光減衰器である。
【0013】
請求項7に係る発明は、請求項1〜6のいずれかに記載の光減衰器に用いる光ファイバ付きフェルールである。
【0014】
【発明の実施の形態】
この発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1は、この発明による光減衰器の一実施の形態を示す断面図であり、この光減衰器1は、光コネクタのハウジング2内の所定位置に、光ファイバ付きフェルール3を組み込んで、光ファイバ付きコネクタとして構成したものである。
【0015】
図2は、光ファイバ付きフェルール3の第1実施例を示す断面図であり、以下、図3(a)〜図3(f)を参照して、この光ファイバ付きフェルール3に用いる減衰ファイバ付き光ファイバの製造工程について説明する。
【0016】
あらかじめ、10dB/15.5mm、0.25mmΦの減衰ファイバ10と、被覆径0.9mmΦ、コーティング径0.25mmΦの光ファイバ(シングルモードファイバ)20を用意する。
【0017】
そして、光ファイバ20については図3(a)に示す処理を施す。すなわち、図3(a)に示すように、光ファイバ20の先端からY=13.7mmの点Pから先の部分を、図示しない適宜の光ファイバ高精密加工機を用いて被覆層21を除去し、除去した境界を基準点Pとする。このとき用いる光ファイバ高精密加工機は、被覆除去の境界面が鋭利で基準点Pが明確なものが好ましい。続いて、基準点Pから先端方向にV=4mmの点から先の部分を、図示しない適宜のホットストリッパを用いてコーティング層22を除去する。この結果、Y−V=9.7mmの裸ファイバ(光ファイバ素線)23が得られる。
【0018】
また、減衰ファイバ10については図3(b)に示す処理を施す。すなわち、図3(b)に示すように、減衰ファイバ10の先端からX+ΔX=20.0mmの点Dから先の部分を、ホットストリッパを用いて被覆11を除去して、裸ファイバ(減衰ファイバ素線)13を露出させる。
【0019】
つぎに、図3(c)に示すように、光ファイバ20の裸ファイバ(光ファイバ素線)23と、減衰ファイバ10の裸ファイバ(減衰ファイバ素線)13とを対接させて、図示しない適宜の光ファイバ融着機を用いて融着接続(融着点Q)する。
【0020】
融着接続後、減衰ファイバ10をD点で切断することで、図3(d)に示すように、先端からX+ΔX=20.0mmの部分が減衰ファイバ素線13であり、さらにY=13.7mm(長さ4mmのコーティング部分を含む)の光ファイバ素線23を有する光ファイバ、すなわち、減衰ファイバ付き光ファイバ30が得られる。
【0021】
ここで、Xは減衰ファイバ10の規定長(15.5mm)であり、また、ΔXは、図2に示すジルコニアフェルール40の先端から突出する部分(接着剤除去にかかわる初期研磨部分)の長さ(4.5mm)である。
【0022】
その後、図3(e)、図3(f)に示すように、減衰ファイバ付き光ファイバ30に必要な補強処理を施す。
【0023】
まず、図3(e)に示すように、融着点Qの前後周辺を合成樹脂製ワニスでコーティングする。すなわち、減衰ファイバ素線13の一部分(後述するΔX+Z)をテープでマスキングし、ピンセットの先端にフェルトを貼り付けた塗布用治具のフェルト部分に適宜の光ファイバコーティング剤を染み込ませたもので、融着点Qを含む減衰ファイバ素線13および光ファイバ素線23を挟んでコーティングする。そして、温風を軽く当てて乾燥硬化させたのちマスキングテープをはずす。
【0024】
ここで、融着点Qの前後周辺を合成樹脂製ワニスでコーティングするのは、つぎのような理由による。すなわち、図4に示すように、光ファイバが融着するQ点ではシリカの軟化点以上に加熱されるため、光ファイバ表面の欠陥(マイクロクラック)が消滅し、ガラスの強度は見かけ上大きくなるが、その周辺はアークの低温部(軟化温度以下)に曝され、かつ加熱・急冷されるため、マイクロクラックが成長するためか一般に強度は劣化する。また、被覆を除去して露出させた裸ファイバ(ファイバ素線)を大気中に長時間放置すると、水分・塵埃の吸着により強度が劣化することが知られている。このようなことから、融着点近傍をワニスコーティング31で補強するものであり、コーティング31の厚さは、後述するように補強チューブ32の内径が0.3mmであり、裸ファイバ(ファイバ素線)の直径が0.125mmであることから、その差0.175mmの半分87.5μm以下となるが、補強チューブ32に挿入するときに必要なギャップを考慮すると、10〜50μmが実用範囲である。また、コーティング31の手段としては、ディップ、スプレー、塗布などが利用可能である。
【0025】
つぎに、ジルコニアフェルール40の長さ(ファイバ素線が挿通される素線挿通孔の長さ)ZはZ=10.5mmであるので、図3(f)に示すように、減衰ファイバ素線13の長さX+ΔX=20.0mmからΔX+Z=15.0mmを差し引いた残りの長さU=5mmと、コーティング層22の長さV=4mmを含む光ファイバ素線23の長さY=13.7mmを合わせた長さW=18.7mmの範囲に熱硬化型接着剤を塗布する。そして、内径0.3mmΦ、外径0.9mmΦ、長さW=18.7mmのETFT(エチレンテトラフルオロエチレン)製補強チューブ32を被せ、補強チューブ32からはみ出した余分の接着剤を払拭したのち、加熱硬化して接着する。これにより、減衰ファイバ付き光ファイバ30が完成する。
【0026】
一方、図2に示すように、ジルコニアフェルール40を金属フランジ41の先端拡大部に圧入して、一体のフランジ付きフェルールを構成する。そして、この金属フランジ41およびジルコニアフェルール40の内部に熱硬化型接着剤を充填したのち、図3(f)に示す減衰ファイバ付き光ファイバ30を金属フランジ41の後端から挿入し、補強チューブ32の先端がジルコニアフェルール40の後端に当たる位置で止める。すると、ジルコニアフェルール40の先端から長さΔX=4.5mmの減衰ファイバ素線13が突出する。また、金属フランジ41と補強チューブ32、ジルコニアフェルール40と減衰ファイバ素線13、および金属フランジ41とジルコニアフェルール40が、互いに接着固定される。これにより、光減衰器1に用いる光ファイバ付きフェルール3が完成する。
【0027】
この光ファイバ付きフェルール3は、減衰ファイバ付き光ファイバ30の被覆層21の先端部分が、金属フランジ41の内部まで侵入しているため、すなわち、被覆除去境界面の基準点Pが金属フランジ41の後端から所定距離(約3mm程度)内方に位置しているため、例えば図5に示すように、被覆層21が金属フランジ41に全く侵入していない場合に比べて、引張強度(引抜強度)が優れている。
【0028】
このような理由から、金属フランジ41の長さはある程度長くなければならず、この実施例では長さ22mmのものを使用した。この長さは、通常の光コネクタとして使用する場合の金属フランジの長さ(8.0mm)に比べてかなり長いが、それでも、光コネクタのハウジング2内に組み込み可能な長さに抑えられている。すなわち、この光ファイバ付きフェルール3で使用する金属フランジ41の長さは、光ファイバ付きフェルール3を組み込んで光減衰器1を完成させる光コネクタのハウジング2内に組み込み可能な範囲内で決定されるものである。
【0029】
つぎに、光ファイバ付きフェルール3のフェルール(ジルコニアフェルール40)の先端から突出している部分ΔX(長さ4.5mm)の減衰ファイバ素線13を初期研磨したうえ、図1に示すように、光ファイバ付きコネクタとして用いる光コネクタのハウジング2内の所定位置に、初期研磨した光ファイバ付きフェルール3を組み込んで、光減衰器1を完成させる。
【0030】
この光減衰器1の減衰量をサンプル数20で評価した結果、波長1300nmで全数が10dB±0.2dBの範囲に入っていて問題がなかった。
【0031】
また、テルコーディア規格のGR910−COREsectin4.1.12の落下衝撃試験を同数のサンプルで実施したところ、全数に破断は認められなかった。
【0032】
なお、図2に示す光ファイバ付きフェルール3において、減衰ファイバ付き光ファイバ30の融着点Qは、ジルコニアフェルール40の挿通孔入口からコーティング層22先端までの範囲で任意の位置を採り得ることが理解される。すなわち、図3(a)の工程で、基準点Pを起点とする光ファイバ素線23の長さYを調節することによって、減衰ファイバ素線13の長さX(すなわち減衰量)を任意に調節することができる。したがって、この減衰ファイバ付き光ファイバ30を挿通・接着して構成される光ファイバ付きフェルール3を用いた光減衰器1は、減衰量を任意に設定することが可能である。
【0033】
図6は、光ファイバ付きフェルールの第2実施例を示す断面図であり、この光ファイバ付きフェルール4は、段差付きジルコニアフェルール50を用いたものである。段差付きジルコニアフェルール(長さZ=10.5mm)50には、ファイバ素線が挿通される素線挿通孔(テーパ部0.5mmを含み長さS=3.5mm)と、被覆層21を含む光ファイバ20全体(したがって、これと同径の補強チューブ32)を挿入可能な挿入孔(長さT=7mm)が設けられている。そして、段差付きジルコニアフェルール50を金属フランジ51の先端拡大部に圧入して、一体のフランジ付きフェルールを構成し、これに、図3(f)に示す減衰ファイバ付き光ファイバ30が、補強チューブ32の先端が挿入孔の最奥に当たる位置まで挿入されるものである。
【0034】
この段差付きジルコニアフェルール50に適合させるため、図3(f)に示す減衰ファイバ付き光ファイバ30の各部の寸法については、第1実施例の場合と変更する必要がある。すなわち、図3(a)において、Y=17.0mm、V=5mm、Y−V=12.0mmとする。また、図3(b)において、X+ΔX=12.8mmとする。ここで、Xは減衰ファイバ10の規定長(10dB/15.5mmの半分すなわち5dB相当の7.8mm)であり、また、ΔXは、段差付きジルコニアフェルール50の先端から突出する部分(接着剤除去にかかわる初期研磨部分)の長さ(5.0mm)である。さらに、図3(f)において、減衰ファイバ素線13の長さX+ΔX=12.8mmからΔX+S=8.5mmを差し引いた残りの長さU=4.3mmと、コーティング層22の長さV=5mmを含む光ファイバ素線23の長さY=17.0mmを合わせた長さW=21.3mmの範囲に熱硬化型接着剤を塗布し、内径0.3mmΦ、外径0.9mmΦ、長さW=21.3mmのETFT(エチレンテトラフルオロエチレン)製補強チューブ32を被せ、補強チューブ32からはみ出した余分の接着剤を払拭したのち、加熱硬化して接着することで、減衰ファイバ付き光ファイバ30が完成する。
【0035】
このような減衰ファイバ付き光ファイバ30を、一体のフランジ付きフェルールとして構成され内部に熱硬化型接着剤が充填された段差付きジルコニアフェルール50および金属フランジ51に金属フランジ51の後端から挿入し、補強チューブ32の先端が挿入孔の最奥に当たる位置で止める。すると、段差付きジルコニアフェルール50の先端から長さΔX=5.0mmの減衰ファイバ素線13が突出する。また、金属フランジ51と補強チューブ32、段差付きジルコニアフェルール50と補強チューブ32、段差付きジルコニアフェルール50と減衰ファイバ素線13、および金属フランジ51と段差付きジルコニアフェルール50が、互いに接着固定される。これにより、光減衰器1に用いる光ファイバ付きフェルール4が完成する。
【0036】
この光ファイバ付きフェルール4も、第1実施例の光ファイバ付きフェルール3と同様に、減衰ファイバ付き光ファイバ30の被覆層21の先端部分が、金属フランジ51の内部まで侵入しているため、引張強度(引抜強度)が優れている。また、金属フランジ51も長さ22mmのものを使用したが、光コネクタのハウジング2内に組み込み可能な長さに抑えられている。
【0037】
つぎに、光ファイバ付きフェルール4のフェルール(段差付きジルコニアフェルール50)の先端から突出している部分ΔX(長さ5.0mm)の減衰ファイバ素線13を初期研磨したうえ、図1に示すように、光ファイバ付きコネクタとして用いる光コネクタのハウジング2内の所定位置に、初期研磨した光ファイバ付きフェルール4を組み込んで、光減衰器1を完成させる。
【0038】
この光減衰器1の減衰量をサンプル数20で評価した結果、波長1300nmで全数が5dB±0.2dBの範囲に入っていて問題がなかった。
【0039】
また、テルコーディア規格のGR910−COREsectin4.1.12の落下衝撃試験を同数のサンプルで実施したところ、全数に破断は認められなかった。
【0040】
なお、図6に示す光ファイバ付きフェルール4において、減衰ファイバ付き光ファイバ30の融着点Qは、段差付きジルコニアフェルール50の素線挿通孔入口からコーティング層22先端までの範囲で任意の位置を採り得ることが理解される。この範囲は、図2の場合の範囲に比べてより長い。そのため、この減衰ファイバ付き光ファイバ30を挿通・接着して構成される光ファイバ付きフェルール4を用いた光減衰器1は、図2に示す光ファイバ付きフェルール3を用いた光減衰器1に比べて、より広い範囲で減衰量を任意に設定することが可能である。
【0041】
図2に示す光ファイバ付きフェルール3を用いた光減衰器1も、図6に示す光ファイバ付きフェルール4を用いた光減衰器1も、光通信システムに適用する場合は、図8(a)に示すように、光ファイバ付きプラグ110−アダプタ120−光減衰器1、と連結して使用されるものである。そのため、フェルール対フェルールの接続箇所が1箇所で済むことになり、また、光ファイバを除く部品点数が3点で済むことになる。
【0042】
なお、上記の実施の形態では、ジルコニアフェルール40(50)を金属フランジ41(51)の先端拡大部に圧入して、一体のフランジ付きフェルールを構成したが、これに限定するものでなく、例えば、金属フランジ41(51)のないフランジなしフェルールを使用することができる。とくに、図6に示す段差付きジルコニアフェルール50の場合は、補強チューブ32が内部まで挿入されているため、金属フランジ51がなくても、段差付きジルコニアフェルール50と減衰ファイバ付き光ファイバ30とを、充分に一体として構成することができる。
【0043】
また、ジルコニアフェルール40(50)の材質は、ジルコニアに限らず、他のセラミック、金属、プラスチックなどが使用可能であり、また、金属フランジ41(51)の材質は、金属に限らず、プラスチックなどが使用可能である。
【0044】
また、上記の実施の形態では、減衰ファイバ付き光ファイバ30に施す補強処理として、コーティング31および補強チューブ32を用いたが、これに限定するものでなく、例えば、コーティング31を省略して補強チューブ32だけを用いてもよく、また、補強チューブ32の材質については、プラスチック、金属などが使用可能であり、さらに、コーティング31や補強チューブ32以外の適宜の補強処理を施してもよい。
【0045】
さらに、光減衰器を構成する光コネクタの種類や光ファイバの種類については、適宜のものを採用することが可能である。
【0046】
【発明の効果】
この発明は以上のように、任意の長さを有する光ファイバの先端に、被覆を除去した所定長さの減衰ファイバを融着接続し、減衰ファイバの先端から融着点に至らない所定長さを残して、融着点を含む双方のファイバ素線の全長に亘り補強処理を施して減衰ファイバ付き光ファイバを構成し、前記減衰ファイバ付き光ファイバの先端から前記所定長さをフェルールの挿通孔に挿通・接着して光ファイバ付きフェルールを構成し、前記光ファイバ付きフェルールを光コネクタ内の所定位置に組み込んで光減衰器として構成したので、従来のものに比べてコンパクト化を実現して、光ファイバ付きコネクタとして構成することができ、そのため、光通信システムに適用する際、フェルール対フェルールの接続箇所を1箇所で済ませることができるから、接続損失を低減することができ、また、光ファイバを除く部品点数を3点で済ませることができるから、コストを削減することができ、さらに、コンパクト化の実現により、システムに搭載するときのスペースファクタが小さくなり、システム設計の自由度を向上させることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による光減衰器の一実施の形態を示す断面図である。
【図2】光ファイバ付きフェルールの第1実施例を示す断面図である。
【図3】減衰ファイバ付き光ファイバの製造工程を示す説明図である。
【図4】光ファイバの融着についての説明図である。
【図5】図2の光ファイバ付きフェルールと対比する例を示す説明図である。
【図6】光ファイバ付きフェルールの第2実施例を示す断面図である。
【図7】従来の光減衰器の一例を示す断面図である。
【図8】この発明による光減衰器と従来の光減衰器との違いを示す概略図である。
【符号の説明】
1 光減衰器
2 ハウジング
3 光ファイバ付きフェルール(第1実施例)
4 光ファイバ付きフェルール(第2実施例)
10 減衰ファイバ
13 減衰ファイバ素線
20 光ファイバ
23 光ファイバ素線
30 減衰ファイバ付き光ファイバ
31 コーティング
32 補強チューブ
40 ジルコニアフェルール
41 金属フランジ
50 段差付きジルコニアフェルール
51 金属フランジ
Claims (7)
- 光ファイバ付きコネクタとして構成される光減衰器であって、
任意の長さを有する光ファイバの先端に、被覆を除去した所定長さの減衰ファイバを融着接続し、減衰ファイバの先端から融着点に至らない所定長さを残して、融着点を含む双方のファイバ素線の全長に亘り補強処理を施して減衰ファイバ付き光ファイバを構成し、
前記減衰ファイバ付き光ファイバの先端から前記所定長さをフェルールの挿通孔に挿通・接着して光ファイバ付きフェルールを構成し、
前記光ファイバ付きフェルールを光コネクタ内の所定位置に組み込んだことを特徴とする光減衰器。 - 光ファイバ付きコネクタとして構成される光減衰器であって、
任意の長さを有する光ファイバの先端に、被覆を除去した所定長さの減衰ファイバを融着接続し、減衰ファイバの先端から融着点に至らない所定長さを残して、融着点を含む双方のファイバ素線の全長に亘り補強処理を施して減衰ファイバ付き光ファイバを構成し、
前記減衰ファイバ付き光ファイバの先端から被覆層の先端部分までをフランジ付きフェルールに挿入・接着して光ファイバ付きフェルールを構成し、
前記光ファイバ付きフェルールを光コネクタ内の所定位置に組み込んだことを特徴とする光減衰器。 - 前記フランジ付きフェルールは、ファイバ素線の挿通孔が実質的に全長に形成されたフェルール本体と、フランジ部材とで構成され、
前記減衰ファイバ付き光ファイバの先端から前記所定長さを前記フェルール本体の挿通孔に挿通・接着するとともに、
前記補強処理を施した融着点を含む前記ファイバ素線の全長を前記フランジ部材に挿入し接着したことを特徴とする請求項2記載の光減衰器。 - 前記フランジ付きフェルールは、ファイバ素線の挿通孔と被覆層を含む光ファイバ全体を挿入可能な挿入孔とが連なって形成された段差付きフェルール本体と、フランジ部材とで構成され、
前記減衰ファイバ付き光ファイバの先端から前記所定長さを前記段差付きフェルール本体の挿通孔に挿通・接着するとともに、
前記補強処理を施した融着点を含む前記ファイバ素線の全長を、前記フランジ部材および前記段差付きフェルール本体の挿入孔に挿入し接着したことを特徴とする請求項2記載の光減衰器。 - 前記減衰ファイバ付き光ファイバの補強処理は、
前記融着点を含むファイバ素線を挿入可能な内径を有する補強チューブを前記ファイバ素線の全長に亘り被せて、当該補強チューブと当該ファイバ素線とを全長または一部で接着したことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光減衰器。 - 前記減衰ファイバ付き光ファイバの補強処理は、
前記融着点近傍のファイバ素線に、前記光ファイバのコーティング層に相当するワニスコーティングを施しそれを硬化させて当該融着点近傍を補強し、
さらに、前記光ファイバの被覆層に相当する補強チューブを前記ファイバ素線の全長に亘り被せて、当該補強チューブと当該ファイバ素線またはそのワニスコーティング層とを全長または一部で接着したことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光減衰器。 - 請求項1〜6のいずれかに記載の光減衰器に用いる光ファイバ付きフェルール。
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Legal Events
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050707 |
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A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20070418 |
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A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20070424 |
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A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20070904 |