JP2018189768A - ファイバヒータ製造方法及びファイバヒータ - Google Patents
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Abstract
【課題】非常に微細であり、かつ電気を使用できないような箇所であっても加熱可能なファイバヒータ及びその製造方法を提供する。
【解決手段】ファイバヒータは、光を伝搬する石英光ファイバ10と、石英光ファイバの先端に接続され、光の伝搬方向に垂直な断面においてリング状又は全面にAlとBiを含有する石英材301〜303と、を備え、石英材が光ファイバを介したレーザ光から赤外線を発生させる。
【選択図】図1
【解決手段】ファイバヒータは、光を伝搬する石英光ファイバ10と、石英光ファイバの先端に接続され、光の伝搬方向に垂直な断面においてリング状又は全面にAlとBiを含有する石英材301〜303と、を備え、石英材が光ファイバを介したレーザ光から赤外線を発生させる。
【選択図】図1
Description
本開示は、光ファイバ内を伝搬するレーザ光を熱に変換して出力するファイバヒータ及びその製造方法に関する。
光ファイバを利用し、紫外線を口腔内に照射し歯周病菌を死滅させ、歯周病の予防と治療を行う装置が知られている(例えば、特許文献1を参照。)。また、紫外線でなくネオジムYAGレーザを用いて赤外光を照射する治療装置も知られている(例えば、特許文献2を参照。)。さらに、光ファイバの先端にチタン化合物を付着させ、レーザ光とチタン化合物との反応で生じた物質で治療を行う装置も知られている(例えば、特許文献3を参照。)。また酸化ビスマスと酸化アルミニウムを含んだ石英材料で遮光用ファイバが作製されている(例えば、特許文献4を参照。)。
上記のような口腔内治療において、非常に微細な患部を熱処理する場合がある。従来は高周波を利用した誘電加熱方式が採用されている。しかし、誘電加熱方式の場合、電気を使用できない患部に対して用いることはできなかった。
そこで、本発明は、非常に微細であり、かつ電気を使用できないような箇所であっても加熱可能なファイバヒータ及びその製造方法を提供することを目的とする。
そこで、本発明は、非常に微細であり、かつ電気を使用できないような箇所であっても加熱可能なファイバヒータ及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係るファイバヒータは、光ファイバの先端にレーザ光を赤外線に変換する変換部材を取り付けることとした。
具体的には、本発明に係るファイバヒータは、光を伝搬する石英光ファイバと、前記石英光ファイバの先端に接続され、前記光の伝搬方向に垂直な断面においてリング状又は全面に酸化アルミニウム(Al2O3)と酸化ビスマス(Bi2O3)を含有する石英材と、を備える。
本ファイバヒータは、光ファイバで形成されるので細くフレキシブルなプローブとすることができ、非常に微細な箇所にも到達させることが可能である。さらに、石英材が光ファイバを介したレーザ光から赤外線を発生させるので、電気を使用できない箇所でも加熱することが可能である。従って、本発明は、非常に微細であり、かつ電気を使用できないような箇所であっても加熱可能なファイバヒータを提供することができる。
本発明に係るファイバヒータの前記石英材は、前記光の伝搬方向に頂点があるドーム形状を有することを特徴とする。石英材の形状によるレンズ効果で赤外線の照射領域を狭窄することができる。
なお、本発明に係るファイバヒータは、前記石英材が含有する酸化ビスマス(Bi2O3)と酸化アルミニウム(Al2O3)の比率(Bi2O3/Al2O3)が1以上5以下であることを特徴とする。
本発明に係るファイバヒータは、次のような製造方法で製造することができる。具体的には、本発明に係るファイバヒータ製造方法は、
断面においてリング状又は全面に酸化アルミニウム(Al2O3)と酸化ビスマス(Bi2O3)を含有する石英光ファイバである遮光ファイバを作製する遮光ファイバ作製工程と、
石英光ファイバの先端に前記遮光ファイバの先端を融着接続する接続工程と、
前記石英光ファイバと前記遮光ファイバとの接続点から所望の位置で前記遮光ファイバを切断する切断工程と、
を行う。
断面においてリング状又は全面に酸化アルミニウム(Al2O3)と酸化ビスマス(Bi2O3)を含有する石英光ファイバである遮光ファイバを作製する遮光ファイバ作製工程と、
石英光ファイバの先端に前記遮光ファイバの先端を融着接続する接続工程と、
前記石英光ファイバと前記遮光ファイバとの接続点から所望の位置で前記遮光ファイバを切断する切断工程と、
を行う。
ここで、前記切断工程で切断した前記遮光ファイバの切断端にドーム形状を形成する先端加工工程を行うこととしてもよい。
本発明に係るファイバヒータ製造方法の前記遮光ファイバ作製工程は、
石英光ファイバのスートを形成するスート形成ステップと、
有機アルミニウムと有機ビスマスを含む溶液に前記スートを浸す液浸ステップと、
前記液浸ステップで有機アルミニウムと有機ビスマスを含浸させた前記スートを加熱してガラス化し、母材を作製する焼結ステップと、
前記焼結ステップで作製した前記母材を線引き、所望の直径の前記遮光ファイバとする線引きステップと、
を有する。
石英光ファイバのスートを形成するスート形成ステップと、
有機アルミニウムと有機ビスマスを含む溶液に前記スートを浸す液浸ステップと、
前記液浸ステップで有機アルミニウムと有機ビスマスを含浸させた前記スートを加熱してガラス化し、母材を作製する焼結ステップと、
前記焼結ステップで作製した前記母材を線引き、所望の直径の前記遮光ファイバとする線引きステップと、
を有する。
なお、前記焼結ステップで作製した前記母材に含有される酸化アルミニウムと酸化ビスマスのモル比(Bi2O3/Al2O3)をX軸、前記焼結ステップで母材を作製する加熱温度(℃)をY軸としたとき、
A(1.0,1850)、
B(1.0,1775)、
C(5.0,1650)、
D(5.0,1750)、
E(1.3,1850)、
で囲まれる範囲に前記モル比と前記加熱温度を設定することを特徴とする。
A(1.0,1850)、
B(1.0,1775)、
C(5.0,1650)、
D(5.0,1750)、
E(1.3,1850)、
で囲まれる範囲に前記モル比と前記加熱温度を設定することを特徴とする。
以上のように、本発明は、非常に微細であり、かつ電気を使用できないような箇所であっても加熱可能なファイバヒータの製造方法を提供することができる。
本発明は、非常に微細であり、かつ電気を使用できないような箇所であっても加熱可能なファイバヒータ及びその製造方法を提供することができる。
添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本発明の実施例であり、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではない。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
(ファイバヒータ)
図1は、本実施形態のファイバヒータを説明する図である。図1(A)はファイバヒータ301、図1(B)はファイバヒータ302、図1(C)はファイバヒータ303である。それぞれのファイバヒータは光ファイバ10の先端に接続する石英材の構造が異なる。ファイバヒータ301は石英材12a、ファイバヒータ302は石英材12b、ファイバヒータ303は石英材12cを接続している。なお、石英材は、屈折率が一様であってもよいし、光ファイバ10と同様に光軸近傍の屈折率が周囲より高くてもよい。
図1は、本実施形態のファイバヒータを説明する図である。図1(A)はファイバヒータ301、図1(B)はファイバヒータ302、図1(C)はファイバヒータ303である。それぞれのファイバヒータは光ファイバ10の先端に接続する石英材の構造が異なる。ファイバヒータ301は石英材12a、ファイバヒータ302は石英材12b、ファイバヒータ303は石英材12cを接続している。なお、石英材は、屈折率が一様であってもよいし、光ファイバ10と同様に光軸近傍の屈折率が周囲より高くてもよい。
石英材12aは石英の円板である。石英材12aは全体に酸化アルミニウム(Al2O3)と酸化ビスマス(Bi2O3)を含有しており、黒色である。石英材12aが含有する酸化ビスマス(Bi2O3)と酸化アルミニウム(Al2O3)の比率(Bi2O3/Al2O3)は1以上5以下である。また、石英材12aの光軸方向の厚みは0.5mm以上である。また、熱容量の関係上、石英材12aの厚みは2.0mm以下が好ましい。
石英材12bも石英の円板である。石英材12bは外周からリング状に酸化アルミニウム(Al2O3)と酸化ビスマス(Bi2O3)を含有しており、黒色部分がリング状となっている。また、石英材12bの中心付近は酸化アルミニウム(Al2O3)と酸化ビスマス(Bi2O3)の含有が少なく、光の透過率は光ファイバ10の透過率と同等である。石英材12bが含有する酸化ビスマス(Bi2O3)と酸化アルミニウム(Al2O3)の比率(Bi2O3/Al2O3)及び石英材12bの厚みは石英材12aと同じである。
石英材12cは、直径が光ファイバ10から離れるに従い小さくなる略円錐形状を有する。そして、石英材12cの先端(光ファイバ10から最も離れた部分)が丸められドーム形状となっている。石英材12cは全体に酸化アルミニウム(Al2O3)と酸化ビスマス(Bi2O3)を含有しており、黒色である。石英材12cが含有する酸化ビスマス(Bi2O3)と酸化アルミニウム(Al2O3)の比率(Bi2O3/Al2O3)及び石英材12cの厚みは石英材12aと同じである。
光ファイバ10には光源(不図示)から光が入力され、矢印の方向に光が伝搬する。光源としては高出力のレーザが用いられる。例えば、光源は半導体レーザ(波長800〜1600nm)、アルゴンレーザ(波長488nm)、ネオジウムヤグレーザ(波長1064nm)である。当該光は石英材(12a、12b、12c)に照射される。当該光は黒色の石英材(12a、12c)、石英材12bではリング状の黒色部分に吸収され、熱(赤外線及び遠赤外線)に変換されて空間に放射される。
ファイバヒータ301と303の場合、対象物に熱が放射されるが、ファイバヒータ302の場合、光源からの光も石英材12bの中心付近を通過する。このため、対象物に熱だけでなく光源からの光も照射することができ、熱と光の照射による同時処理が行える。例えば、歯科治療において歯の表面、内部、歯肉の切除及び止血などを同時に行うことができる。ファイバヒータ302の場合、ドーム形状により熱を照射できる領域を限定することができる。
(製造方法)
図2を用いてファイバヒータ301〜303を製造する方法を説明する。図2Aはファイバヒータ301の製造方法、図2Bはファイバヒータ302の製造方法である。
いずれの製造方法も、
断面においてリング状又は全面に酸化アルミニウム(Al2O3)と酸化ビスマス(Bi2O3)を含有する石英光ファイバである遮光ファイバ(20a、20b)を作製する遮光ファイバ作製工程(a)と、
石英光ファイバ10の先端に遮光ファイバ(20a、20b)の先端を融着接続する接続工程(b)と、
石英光ファイバ10と遮光ファイバ(20a、20b)との接続点から所望の位置で遮光ファイバ(20a、20b)を切断する切断工程(c)と、
を行う。
図2を用いてファイバヒータ301〜303を製造する方法を説明する。図2Aはファイバヒータ301の製造方法、図2Bはファイバヒータ302の製造方法である。
いずれの製造方法も、
断面においてリング状又は全面に酸化アルミニウム(Al2O3)と酸化ビスマス(Bi2O3)を含有する石英光ファイバである遮光ファイバ(20a、20b)を作製する遮光ファイバ作製工程(a)と、
石英光ファイバ10の先端に遮光ファイバ(20a、20b)の先端を融着接続する接続工程(b)と、
石英光ファイバ10と遮光ファイバ(20a、20b)との接続点から所望の位置で遮光ファイバ(20a、20b)を切断する切断工程(c)と、
を行う。
図3は、遮光ファイバ作製工程を説明する図である。遮光ファイバ作製工程は、
石英光ファイバのスート31を形成するスート形成ステップS1と、
有機アルミニウムと有機ビスマスを含む溶液32にスート31を浸す液浸ステップS3と、
液浸ステップS3で有機アルミニウムと有機ビスマスを含浸させた前記スートを加熱してガラス化し、母材を作製する焼結ステップS4と、
焼結ステップS4で作製した前記母材を線引き、所望の直径の前記遮光ファイバとする線引きステップS6と、
を有する。
石英光ファイバのスート31を形成するスート形成ステップS1と、
有機アルミニウムと有機ビスマスを含む溶液32にスート31を浸す液浸ステップS3と、
液浸ステップS3で有機アルミニウムと有機ビスマスを含浸させた前記スートを加熱してガラス化し、母材を作製する焼結ステップS4と、
焼結ステップS4で作製した前記母材を線引き、所望の直径の前記遮光ファイバとする線引きステップS6と、
を有する。
以下詳細に説明する。
(1)スート形成ステップ(S1)
主原料の塩化シリコンに、屈折率を制御可能な塩化ゲルマニウム、塩化リン、塩化ホウ素、塩化チタン、塩化アルミニウムなどの添加物を加えてバーナー51に輸送し、酸水素炎50内を通過させる火炎加水分解法で酸化シリコンとその添加物の酸化物が含まれる棒状のスート11を作製する。本工程は気相軸付け(VAD)法ともいう。スート31は、中心部に屈折率の高い部分と外側に屈折率の低い部分を有している。また、スート31を石英系光ファイバ母材の外周にスートを堆積するOVD法と類似の方法で作製してもよい。なお、スート31よりOH基を除くために、塩素ガスおよびHeガス内にスート31を配置し、900℃以上の温度で50時間以上加熱することが好ましい。
(1)スート形成ステップ(S1)
主原料の塩化シリコンに、屈折率を制御可能な塩化ゲルマニウム、塩化リン、塩化ホウ素、塩化チタン、塩化アルミニウムなどの添加物を加えてバーナー51に輸送し、酸水素炎50内を通過させる火炎加水分解法で酸化シリコンとその添加物の酸化物が含まれる棒状のスート11を作製する。本工程は気相軸付け(VAD)法ともいう。スート31は、中心部に屈折率の高い部分と外側に屈折率の低い部分を有している。また、スート31を石英系光ファイバ母材の外周にスートを堆積するOVD法と類似の方法で作製してもよい。なお、スート31よりOH基を除くために、塩素ガスおよびHeガス内にスート31を配置し、900℃以上の温度で50時間以上加熱することが好ましい。
(2)仮焼結ステップ(S2)
次の液浸ステップでスートが崩れることを防止するための添加剤をスート31内に取り込むため、スート31を1400〜1550℃の電気炉52の温度範囲内で高純度不活性ガス(He,Ar,N2など)53雰囲気中を送り速度4mm/分以下で送り、仮焼結する。
次の液浸ステップでスートが崩れることを防止するための添加剤をスート31内に取り込むため、スート31を1400〜1550℃の電気炉52の温度範囲内で高純度不活性ガス(He,Ar,N2など)53雰囲気中を送り速度4mm/分以下で送り、仮焼結する。
(3)液浸ステップ(S3)
仮焼結したスート31を遮光用の添加材を含んだ溶液32に浸す。溶液32は酢酸エステルに有機ビスマスと有機アルミニウムを溶解した液体である。例えば、有機ビスマスはアミロキシドビスマス、有機アルミニウムはブトキシアルミニウムである。溶液32の有機ビスマスと有機アルミニウムの比率は、後述する焼結ステップ(S4)終了時の母材において酸化アルミニウムと酸化ビスマスのモル比が所望値となる比率に調整する。仮焼結したスート31を送り速度0.5〜2mm/分で溶液内に浸していく。すべて浸し終わったら溶液32からスート31を取り出す。なお、石英材12aや石英材12bとするために、スート31の送り出し速度や液浸時間を調整してBiやAlが含浸する領域を調整する。
仮焼結したスート31を遮光用の添加材を含んだ溶液32に浸す。溶液32は酢酸エステルに有機ビスマスと有機アルミニウムを溶解した液体である。例えば、有機ビスマスはアミロキシドビスマス、有機アルミニウムはブトキシアルミニウムである。溶液32の有機ビスマスと有機アルミニウムの比率は、後述する焼結ステップ(S4)終了時の母材において酸化アルミニウムと酸化ビスマスのモル比が所望値となる比率に調整する。仮焼結したスート31を送り速度0.5〜2mm/分で溶液内に浸していく。すべて浸し終わったら溶液32からスート31を取り出す。なお、石英材12aや石英材12bとするために、スート31の送り出し速度や液浸時間を調整してBiやAlが含浸する領域を調整する。
(4)焼結ステップ(S4)
溶液32から取り出したスート31は乾燥後、焼結ステップでガラス化して母材とする。焼結ステップでの電気炉52の温度は後述する。スート直径が45mm以下の場合、スート31を2mm/分以下の送り速度で電気炉の上部より輸送する。焼結ステップでBiやAlが酸化してスート31は黒色の黒色ガラス棒となる。この黒色ガラス棒が遮光ファイバの母材33となる。
溶液32から取り出したスート31は乾燥後、焼結ステップでガラス化して母材とする。焼結ステップでの電気炉52の温度は後述する。スート直径が45mm以下の場合、スート31を2mm/分以下の送り速度で電気炉の上部より輸送する。焼結ステップでBiやAlが酸化してスート31は黒色の黒色ガラス棒となる。この黒色ガラス棒が遮光ファイバの母材33となる。
(5)石英管挿入ステップ(S5)
本ステップは母材33を石英管に挿入して線引きを行うときに実施する。
焼結ステップで形成される母材33から光ファイバに加工する線引きステップにより遮光用光ファイバを作製する。線引きステップは、石英系光ファイバ作製用電気炉で線引きして光ファイバを作製する工程である。しかし、その母材33の表面には酸化ビスマスが多く分布している。このため、焼結ステップS4直後に線引きステップを行うと、母材33の表面から気泡が発生し、光損失が増加する。これを防ぐため、焼結ステップS4後に石英管挿入ステップを行う。石英管挿入ステップでは、母材33を石英管56に挿入し、一端を封じる。
ただし本ステップは無くても遮光ファイバは形成可能である。
本ステップは母材33を石英管に挿入して線引きを行うときに実施する。
焼結ステップで形成される母材33から光ファイバに加工する線引きステップにより遮光用光ファイバを作製する。線引きステップは、石英系光ファイバ作製用電気炉で線引きして光ファイバを作製する工程である。しかし、その母材33の表面には酸化ビスマスが多く分布している。このため、焼結ステップS4直後に線引きステップを行うと、母材33の表面から気泡が発生し、光損失が増加する。これを防ぐため、焼結ステップS4後に石英管挿入ステップを行う。石英管挿入ステップでは、母材33を石英管56に挿入し、一端を封じる。
ただし本ステップは無くても遮光ファイバは形成可能である。
(6)線引きステップ(S6)
焼結ステップS4又は石英管挿入ステップS5後の母材33を線引き炉に挿入する。なお、石英管挿入ステップS5を行った場合、母材33を石英管56ごと線引くことで表面の気泡発生を防ぐことができる。石英管56を用いない場合の線引き温度は1650〜2000℃である。本線引きステップで遮光ファイバ20a又は22bを得る。
焼結ステップS4又は石英管挿入ステップS5後の母材33を線引き炉に挿入する。なお、石英管挿入ステップS5を行った場合、母材33を石英管56ごと線引くことで表面の気泡発生を防ぐことができる。石英管56を用いない場合の線引き温度は1650〜2000℃である。本線引きステップで遮光ファイバ20a又は22bを得る。
続いて液浸ステップS3の溶液32の比率と焼結ステップS4の電気炉の温度について説明する。図4は、溶液32の比率と電気炉の温度について遮光ファイバ20a又は20bを作製可能な範囲を示した図である。
焼結ステップS3で作製した母材33に含有される酸化アルミニウムと酸化ビスマスのモル比(Bi2O3/Al2O3)をX軸、焼結ステップS4で母材33を作製する加熱温度(℃)をY軸としたとき、
A(1.0,1850)、
B(1.0,1775)、
C(5.0,1650)、
D(5.0,1750)、
E(1.3,1850)、
で囲まれる範囲に前記モル比と前記加熱温度を設定する。
焼結ステップS3で作製した母材33に含有される酸化アルミニウムと酸化ビスマスのモル比(Bi2O3/Al2O3)をX軸、焼結ステップS4で母材33を作製する加熱温度(℃)をY軸としたとき、
A(1.0,1850)、
B(1.0,1775)、
C(5.0,1650)、
D(5.0,1750)、
E(1.3,1850)、
で囲まれる範囲に前記モル比と前記加熱温度を設定する。
モル比が1以下の領域では、Alが多く、結晶化してしまい石英光ファイバを黒くすることができない。また、モル比5以上の領域では、線引ステップにて遮光ファイバの形状を保つことができない。温度1850℃以上では石英が溶けてしまう。また、B点とC点を結ぶ線分より温度が低い領域ではAlやBiが結晶化し、石英光ファイバを黒くすることができない。従って、遮光ファイバを作製するためには、点A,点B,点C、点D、点Eに囲まれる範囲に溶液32のモル比、電気炉の温度を設定する。
ファイバヒータ303を製造するときは、図2で説明した工程の後に遮光ファイバを加工する工程が必要となる。具体的には、切断工程(c)で切断した遮光ファイバ(20a、20b)の切断端にドーム形状を形成する先端加工工程を行う。
(実施例)
上記製造方法でファイバヒータ302を製造した。スートの製造条件は次の通りである。クラッドはSiO2、コアはSiO2:GeO2=91:5(mol%)となるようにVAD法でスート31を作製した。
溶液32はブトキシアルミニウム溶液とアミロキシドビスマス溶液との混合溶液であり、その比率はブトキシアルミニウム:アミロキシドビスマス=1:1である。
上記製造方法でファイバヒータ302を製造した。スートの製造条件は次の通りである。クラッドはSiO2、コアはSiO2:GeO2=91:5(mol%)となるようにVAD法でスート31を作製した。
溶液32はブトキシアルミニウム溶液とアミロキシドビスマス溶液との混合溶液であり、その比率はブトキシアルミニウム:アミロキシドビスマス=1:1である。
図5は、図2の遮光ファイバ作製工程の焼結ステップまで形成した母材の切断面を説明する図である。図5の(A)は一方の断面、(B)は他方の断面である。液浸ステップでAlとBiがスートの外側から取り込まれ、焼結ステップで酸化してリング状に黒化していることがわかる。一方、母材の中心付近はBi2O3とAl2O3が含まれないので黒化せず透明のままである。
続いて図5の母材に対して行った評価結果を説明する。図6は熱特性と光学特性の評価実験系を説明する図である。図6の実験系では、母材に照射する光の光源を波長808nmのレーザダイオードとした。また、熱電対は図5の場所1の近傍に配置している。
[光強度に対する温度特性]
図6の実験系において、レーザダイオードの出力を変化させて母材に光を照射し、母材の温度上昇を測定した。母材への光照射は図5の場所4と6に行った。結果を図7に示す。黒化している場所4の温度はレーザパワーの上昇に伴い大きく上昇するが、黒化していない場所6の温度はレーザパワーが上昇しても場所4と比較して温度上昇が小さい。つまり、酸化アルミニウム(Al2O3)と酸化ビスマス(Bi2O3)を含有する黒化部分で光が吸収され、温度が上昇(赤外線及び遠赤外線の放出)していることがわかる。
図6の実験系において、レーザダイオードの出力を変化させて母材に光を照射し、母材の温度上昇を測定した。母材への光照射は図5の場所4と6に行った。結果を図7に示す。黒化している場所4の温度はレーザパワーの上昇に伴い大きく上昇するが、黒化していない場所6の温度はレーザパワーが上昇しても場所4と比較して温度上昇が小さい。つまり、酸化アルミニウム(Al2O3)と酸化ビスマス(Bi2O3)を含有する黒化部分で光が吸収され、温度が上昇(赤外線及び遠赤外線の放出)していることがわかる。
[透過特性]
図6の実験系において、レーザダイオードの照射位置を変化させて母材に光を照射し、後段に配置したパワーメータで透過光の強度を測定した。母材への光照射位置は図5の場所1から4と裏面の位置5である。いずれの位置であっても透過率は−15dB以下であり、レーザ光を遮光している。
図6の実験系において、レーザダイオードの照射位置を変化させて母材に光を照射し、後段に配置したパワーメータで透過光の強度を測定した。母材への光照射位置は図5の場所1から4と裏面の位置5である。いずれの位置であっても透過率は−15dB以下であり、レーザ光を遮光している。
[電気特性]
レーザダイオードのパワーを2.4Wとし、レーザ光の照射前後において母材の電気特性を測定した。母材の電気抵抗はレーザ光照射前もレーザ光照射後も10MΩであり、変化が無かった。母材に炭素が含まれている場合、レーザ光を照射して温度が上昇すると、炭素が燃えることがある。本発明の母材は、レーザ照射前後で電気抵抗が変わらないため、炭素が含まれておらず、温度を上昇させても燃える恐れがないことがわかる。
レーザダイオードのパワーを2.4Wとし、レーザ光の照射前後において母材の電気特性を測定した。母材の電気抵抗はレーザ光照射前もレーザ光照射後も10MΩであり、変化が無かった。母材に炭素が含まれている場合、レーザ光を照射して温度が上昇すると、炭素が燃えることがある。本発明の母材は、レーザ照射前後で電気抵抗が変わらないため、炭素が含まれておらず、温度を上昇させても燃える恐れがないことがわかる。
[表面損傷特性]
レーザダイオードのパワーを2.4Wとし、レーザ光の照射前後において母材の表面を顕微鏡で観察した。レーザ光照射後も表面に穴の発生や溶出の損傷は発生していない。つまり、本発明の母材はレーザ光に対する耐久性を有していることがわかる。
レーザダイオードのパワーを2.4Wとし、レーザ光の照射前後において母材の表面を顕微鏡で観察した。レーザ光照射後も表面に穴の発生や溶出の損傷は発生していない。つまり、本発明の母材はレーザ光に対する耐久性を有していることがわかる。
(発明の効果)
本発明に係るファイバヒータは以下の効果が期待できる。
1)電気を使用できないところを加熱できる。
2)非常に微細なところを加熱できる(歯周病の治療に適している)
3)先端のチップの形態を黒リング状にすると808nmの光と熱線(赤外、遠赤外線)が同時にファイバから発散するため歯科治療のメニューを拡張できる(歯の表面、内部、歯肉などの治療、及び止血が可能)。
4)微細な電気配線用半田付けが可能である。
5)その他医療系腹空孔手術などへの応用が可能である。
本発明に係るファイバヒータは以下の効果が期待できる。
1)電気を使用できないところを加熱できる。
2)非常に微細なところを加熱できる(歯周病の治療に適している)
3)先端のチップの形態を黒リング状にすると808nmの光と熱線(赤外、遠赤外線)が同時にファイバから発散するため歯科治療のメニューを拡張できる(歯の表面、内部、歯肉などの治療、及び止血が可能)。
4)微細な電気配線用半田付けが可能である。
5)その他医療系腹空孔手術などへの応用が可能である。
10:石英光ファイバ
12a、12b、12c:石英材
20a、20b:遮光ファイバ
31:スート
32:溶液
33:母材
50:酸水素炎
51:バーナー
52:電気炉
53:不活性ガス
56:石英管
301、302、303:ファイバヒータ
12a、12b、12c:石英材
20a、20b:遮光ファイバ
31:スート
32:溶液
33:母材
50:酸水素炎
51:バーナー
52:電気炉
53:不活性ガス
56:石英管
301、302、303:ファイバヒータ
Claims (7)
- 断面においてリング状又は全面に酸化アルミニウム(Al2O3)と酸化ビスマス(Bi2O3)を含有する石英光ファイバである遮光ファイバを作製する遮光ファイバ作製工程と、
石英光ファイバの先端に前記遮光ファイバの先端を融着接続する接続工程と、
前記石英光ファイバと前記遮光ファイバとの接続点から所望の位置で前記遮光ファイバを切断する切断工程と、
を行うファイバヒータ製造方法。 - 前記切断工程で切断した前記遮光ファイバの切断端にドーム形状を形成する先端加工工程を行うことを特徴とする請求項1に記載のファイバヒータ製造方法。
- 前記遮光ファイバ作製工程は、
石英光ファイバのスートを形成するスート形成ステップと、
有機アルミニウムと有機ビスマスを含む溶液に前記スートを浸す液浸ステップと、
前記液浸ステップで有機アルミニウムと有機ビスマスを含浸させた前記スートを加熱してガラス化し、母材を作製する焼結ステップと、
前記焼結ステップで作製した前記母材を線引き、所望の直径の前記遮光ファイバとする線引きステップと、
を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のファイバヒータ製造方法。 - 前記焼結ステップで作製した前記母材に含有される酸化アルミニウムと酸化ビスマスのモル比(Bi2O3/Al2O3)をX軸、前記焼結ステップで母材を作製する加熱温度(℃)をY軸としたとき、
A(1.0,1850)、
B(1.0,1775)、
C(5.0,1650)、
D(5.0,1750)、
E(1.3,1850)、
で囲まれる範囲に前記モル比と前記加熱温度を設定することを特徴とする請求項3に記載のファイバヒータ製造方法。 - 光を伝搬する石英光ファイバと、
前記石英光ファイバの先端に接続され、前記光の伝搬方向に垂直な断面においてリング状又は全面に酸化アルミニウム(Al2O3)と酸化ビスマス(Bi2O3)を含有する石英材と、
を備えるファイバヒータ。 - 前記石英材は、前記光の伝搬方向に頂点があるドーム形状を有することを特徴とする請求項5に記載のファイバヒータ。
- 前記石英材が含有する酸化ビスマス(Bi2O3)と酸化アルミニウム(Al2O3)の比率(Bi2O3/Al2O3)が1以上5以下であることを特徴とする請求項5又は6に記載のファイバヒータ。
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JP2017091119A JP2018189768A (ja) | 2017-05-01 | 2017-05-01 | ファイバヒータ製造方法及びファイバヒータ |
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2017
- 2017-05-01 JP JP2017091119A patent/JP2018189768A/ja active Pending
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