JP2004226199A - ナビゲーション装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】目的地までの経路探索を行うにあたり、太陽光の直射を極力避けることができる経路を探索することを可能とする。
【解決手段】ユーザは、経路探索における探索条件として日陰を考慮(優先)するかしないかを設定できる。制御回路2は、目的地までの経路探索を行うにあたって、日陰を考慮する際には、ノードによって区切られた道路データ(リンク)毎に日陰コスト(日陰になりやすい道路ほど小、日陰になりにくい道路ほど大)を付与し、その日陰コストを用いた経路計算を行う。その際、道路コストを用いた一般的な手法で、複数(n個)の候補となる経路(R1〜Rn)を算出し、それら複数の経路(R1〜Rn)に関してそれぞれ日陰コストの総和(B1〜Bn)を求め、各経路(R1〜Rn)の道路コストの総和(A1〜An)に、日陰コストの総和(B1〜Bn)を加味して推奨する経路を選択する。
【選択図】 図1
【解決手段】ユーザは、経路探索における探索条件として日陰を考慮(優先)するかしないかを設定できる。制御回路2は、目的地までの経路探索を行うにあたって、日陰を考慮する際には、ノードによって区切られた道路データ(リンク)毎に日陰コスト(日陰になりやすい道路ほど小、日陰になりにくい道路ほど大)を付与し、その日陰コストを用いた経路計算を行う。その際、道路コストを用いた一般的な手法で、複数(n個)の候補となる経路(R1〜Rn)を算出し、それら複数の経路(R1〜Rn)に関してそれぞれ日陰コストの総和(B1〜Bn)を求め、各経路(R1〜Rn)の道路コストの総和(A1〜An)に、日陰コストの総和(B1〜Bn)を加味して推奨する経路を選択する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、指定された目的地までの推奨する経路を探索する機能を備えるナビゲーション装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ナビゲーション装置、例えば車両に搭載されるカーナビゲーションシステムは、一般に、現在地(出発地)からユーザが指定した目的地までの推奨する経路を計算により探索し、その経路を画面表示や音声で案内するルートガイダンス機能を備えている。また近年では、上記経路探索を行うにあたって、運転者にとって太陽光のまぶしさを避ける経路を探索できるようにしたものが考えられている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平8−159800号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、車両により目的地まで比較的長い距離を走行するような場合、車両に対する太陽光の直射が続くと、車室内の温度上昇が大きくなり、例えば夏季などでは、エアコン(冷房)の使用が甚だしくなってエネルギーの無駄などを招くことが考えられる。また、車両の乗員に対する太陽光の直射が続くと、紫外線による人体(皮膚)への悪影響や、日射病、熱射病などの虞もある。
【0005】
この場合、上記特許文献1に記載された技術では、運転者に対して正面から太陽光が直射することは極力避けることができるものの、側方や後方からの太陽光の直射については考慮されておらず、また、前方からでも運転者の目の位置よりも下方についての太陽光の直射を避けるものではないため、上記問題を解決するものとはなっていなかった。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、目的地までの経路探索を行うにあたり、太陽光の直射を極力避けることができる経路を探索することが可能なナビゲーション装置を提供するにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明のナビゲーション装置は、経路探索手段を備えるものにあって、道路が日陰になるかどうかを考慮して経路を探索することができるように構成したものである(請求項1の発明)。これによれば、経路探索手段により目的地までの経路探索を行うにあたり、日陰となる道路を優先させながら経路探索を行うことができるのであるが、ここで、道路が日陰になるということは、進行方向前方からだけでなく、いずれの方向からについても太陽光の直射を避けることができる。従って、太陽光の直射を極力避けることができる経路を探索することが可能となる。
【0008】
より具体的には、経路探索手段を、ノードによって区切られた道路データ毎に付与される日陰コストを用いて、日陰を考慮した経路探索を行うように構成することができる(請求項2の発明)。これによれば、日陰コストを用いることによって、全体として最も日陰になりやすい経路を、計算により容易に求めることが可能となる。
【0009】
このとき、道路データ毎に日陰コストを付与するにあたっては、道路の周囲状況に応じて、日陰になりやすい道路ほど日陰コストを小さくすることができる(請求項3の発明)。これによれば、道路の周囲状況に応じて、例えばビル街、商店街、森林などの日陰になりやすいと考えられる道路では日陰コストを小さく設定し、周囲に建造物等が存在せず日陰になりにくいと考えられる道路では日陰コストを大きく設定するといったように、十分な妥当性を有した日陰コストを簡単に付与することができる。
【0010】
更にこの場合、日陰コストを、季節や時刻に応じて、真夏や真昼に近いほど大きくなるように付与することができ(請求項4の発明)、これにより、日陰コストをより一層適切に設定することができる。尚、この日陰コストについては、予め道路データに含ませておいても良いし、ソフトウエアにより、経路探索時に計算に係る各道路データに対して付与していくようにしても良い。
【0011】
そして、経路探索手段を、各道路データの道路コストに、日陰コストを加味して経路を探索するように構成することができる(請求項5の発明)。これにより、道路コストを用いて最短距離あるいは最短時間の経路を求める一般的な経路探索に、太陽光の直射を極力避けることができる経路の探索を加味することができ、日陰コストを重視し過ぎることなく、両者のバランスを考慮した経路を求めることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を車両(自動車)に搭載されるカーナビゲーションシステムに適用した一実施例について、図面を参照しながら説明する。まず、図1は、本実施例に係るナビゲーション装置たるカーナビゲーションシステム1の全体の電気的構成(ハードウエア構成)を概略的に示している。
【0013】
ここで、このナビゲーション装置1は、CPU,ROM,RAM,I/O等からなるマイコンを主体として構成された制御回路2に、位置検出器3、地図データ入力器4、操作スイッチ群5、外部メモリ6、例えばフルカラー液晶ディスプレイからなる表示装置7、外部(例えばVICSシステム等のインフラ)との間で例えば無線通信によりデータの送受信を行う外部情報入出力装置8、リモコン9からの信号を検出するリモコンセンサ10等を接続して構成されている。
【0014】
そのうち前記位置検出器3は、周知構成の地磁気センサ11、ジャイロスコープ12、距離センサ13、及び、衛星からの電波に基づいて車両の位置を検出するGPS(Global Positioning System )のためのGPS受信機14を有している。前記制御回路2は、位置検出器3の各センサ11〜14が性質の異なる誤差を有しているため、各々補間しながら使用するように構成されており、これらセンサ11〜14からの入力に基づいて、車両の現在位置、進行方向、速度や走行距離等を高精度で検出するようになっている。尚、精度によっては、上記したセンサ11〜14のうちの一部から位置検出器を構成しても良く、また上記以外に、ステアリングの回転センサや、転動輪の車輪センサ等を採用することも可能である。
【0015】
前記地図データ入力器4は、道路地図データやそれに付随する目的地データ (施設データ)などの各種データを記憶した地図データ記録メディアからデータを読出すためのドライブ装置からなり、その地図データ記録メディアとしては、例えばDVDあるいはCD−ROM等の大容量記憶媒体が用いられる。前記道路地図データは、道路形状、道路幅、道路名、信号、踏切、建造物、各種施設、地名、地形等のデータを含むと共に、その道路地図を表示装置7の画面上に再生するためのデータを含んでいる。
【0016】
また、前記目的地データは、駅等の交通機関、レジャー施設、宿泊施設、公共施設等の施設や、小売店、デパート、レストラン等の各種の店舗、住居やマンション、地名などに関する情報からなり、このデータにはそれらの電話番号や住所、緯度及び経度等のデータが含まれると共に、施設を示すランドマーク等を、表示装置7の画面上に道路地図に重ね合せて表示するためのデータを含んで構成されている。
【0017】
前記操作スイッチ群5は、詳しく図示はしないが、表示装置7の画面の近傍に設けられたメカスイッチや、表示装置7の画面上に設けられるタッチパネルを含んでなり、ユーザ(ドライバ)は、それら操作スイッチ群5を用いて、目的地や通過点等の指定や、表示装置7に表示される道路地図の縮尺の選択等の各種のコマンドを入力することができるようになっている。前記リモコン9も、この操作スイッチ群5と同等の機能を有して構成されている。尚、上記目的地の指定等に、音声入力が可能な構成とすることもできる。
【0018】
図示はしないが、前記表示装置7の画面には、通常時には、車両の現在地周辺の地図が各種縮尺で表示されると共に、その表示に重ね合せて、車両の現在位置及び進行方向を示す現在地マークが表示されるようになっている。また、表示装置7には、ユーザが目的地等の各種の入力,設定(選択)を行なうための入力用の画面や、各種のメッセージ等も表示されるようになっている。さらには、目的地までの経路案内の実行時には、表示装置7には、経路案内用の画面が表示されるようになっている。
【0019】
そして、前記制御回路2は、主としてそのソフトウエア的構成により、図2に概略的に示すように、アプリケーション15、GPSデータ解析モジュール16、経路計算モジュール17、前記地図データ入力器4から地図データ等を読取るための地図データ読み込みモジュール18、前記表示装置7に地図や情報等を表示させるための表示モジュール19としての機能を内部に設定するようになっている。
【0020】
前記アプリケーション15は、前記GPSデータ解析モジュール16によって前記GPS受信機14(位置検出器3)のデータを解析して車両の現在位置を検出させ、また、地図データ読み込みモジュール18を介して地図データ等のデータを読取り、経路計算モジュール17によって目的地までの経路の探索(経路計算)を実行させ、表示モジュール19によって表示装置7に地図や情報等を表示させるようになっている。
【0021】
これにて、制御回路2は、車両の現在位置を知るロケーション機能を実現すると共に、指定された目的地までの推奨する経路を探索し、案内するルートガイダンス機能を実現するようになっている。そのうちロケーション機能は、上述のように、地図データ入力器4からの地図データに基づいて表示装置7に道路地図を表示させると共に、位置検出器3の検出に基づいて車両の現在位置及び進行方向を示す現在地マークを表示させるものである。この場合、車両の走行に伴って現在位置の表示は地図上を移動すると共に、地図は車両の位置に応じてスクロール表示されるようになる。また、このとき、車両の現在位置を道路上にのせるマップマッチングが行なわれるようになっている。
【0022】
そして、前記制御回路2は、ユーザの操作スイッチ群5(あるいはリモコン9)の操作に基づいて、指定された目的地までの推奨する経路を探索する経路探索手段として機能するようになっている。この経路の探索は、車両の出発地(現在地)からユーザにより指定された目的地までの推奨する走行経路を、自動的に計算するものであり、その手法としては、周知のダイクストラ法が用いられる。また、ユーザは上記目的地の指定と併せて1個以上の通過点を指定することもでき、通過点の指定がある場合には、それら通過点を順に通って目的地に至るような経路の探索が行われる。この経路探索についての詳細は後述する。尚、この経路探索時には、併せて、その経路を通って目的地に到達するまでの予測される所要時間も算出されるようになっている。
【0023】
また、制御回路2は、上記経路探索(経路計算)により求められた(ユーザにより選択された)目的地までの走行経路を案内する経路案内手段として機能するようになっている。この経路案内は、表示装置7の画面に、道路地図に重ね合せて、車両の現在位置(現在地マーク)と共に走行すべき経路を目立つ色で表示して目的地まで案内するものであり、もってルートガイダンス機能が実現される。尚、この経路案内時において、交差点近くに来た時には、表示装置7には、自動的に交差点付近の拡大図が表示され、これと併せて、音声合成機能により、例えば「200m先の交差点を左です」といった音声案内が行なわれる。
【0024】
ここで、前記制御回路2により実行される経路探索の一般的な手法(ダイクストラ法)について簡単に述べる。上記した地図データ記録メディアに記憶された道路地図データには、経路探索用の道路データを含んでいるのであるが、この道路データは、地図上の交差点などをノードとして道路を複数の部分に分割し、各ノード間の部位分をリンクとして規定したリンクデータとして与えられる。このリンクデータは、リンクID、リンク長、リンクの始点、終点の位置データ、角度(方向)データ、道路幅、道路種別等のデータを含んで構成される。
【0025】
経路探索は、出発地(現在地)から目的地(次の通過点)へ向けて、次に到達できる交差点(ノード)までの道路(リンク)の探索及びその道路コスト(評価値)の計算を順次行っていき、目的地までが最小コストとなる経路(リンク列)を求めることにより行われる。前記各リンクのコストは、道路長や道路種別、道路幅、有料無料の別、渋滞度、右左折、信号や踏切の有無などから、所定の計算式にて算出され、例えば、他の条件が同じであるならば、道路長に比例して大きな値となるようになっている。
【0026】
さて、本実施例では、後の作用説明でも述べるように、制御回路2が上記したような経路探索を行うにあたって、道路が日陰になるかどうかを考慮して経路を探索することができるようになっている。この場合、日陰を考慮する(日陰となる道路を極力優先させる)かどうかは、ユーザが任意に選択できるようになっており、例えば、表示装置7の初期設定画面において、操作スイッチ群5の操作により、経路探索の条件として、「日陰考慮する」、「日陰考慮しない」を設定させるようになっている。
【0027】
このとき、経路探索において日陰を考慮する際には、上記したノードによって区切られた道路データ(リンク)毎に日陰コストを付与し、その日陰コストを用いた経路計算が行われる。この日陰コストは、制御回路2のソフトウエア的構成によって、日陰になりやすい道路ほど小さく、日陰になりにくい道路ほど大きくなるように付与されるのであるが、本実施例においては、次のような手法で付与されるようになっている。
【0028】
即ち、道路データ(リンク)毎に日陰コストを付与するにあたっては、道路(リンク)の周囲状況に応じて、例えばビル街、商店街、森林などの日陰になりやすいと考えられる道路では日陰コストが小さく設定され、周囲に建造物等が存在せず日陰になりにくいと考えられる道路では日陰コストが大きく設定される。更に、これに加えて、季節や時刻(時間帯)に応じて、例えば真夏や真昼に近いほど日陰コストが大きく、日没後等では日陰コストが小さくなるように付与されるようになっている。
【0029】
そして、詳細は後のフローチャート説明にて述べるように、本実施例では、日陰を考慮した経路探索は、まず上記のような道路コストを用いた一般的な手法で、複数(n個)の候補となる経路(R1〜Rn)を算出し、それら複数の経路(R1〜Rn)に関してそれぞれ日陰コストの総和(B1〜Bn)を求め、各経路(R1〜Rn)の道路コストの総和(A1〜An)に、前記日陰コストの総和(B1〜Bn)を加味して推奨する経路を選択することにより行われるようになっている。
【0030】
次に、上記構成の作用について、図3も参照して述べる。図3のフローチャートは、制御回路2が実行する日陰を考慮した経路探索の処理手順を示している。尚、ここでは、経路探索における探索条件として、予め「日陰考慮する」が設定されているものとする。この場合、探索条件の設定は、装置1の使用開始時に初期設定画面において行われることは勿論、ユーザが設定を変更したい場合など適宜の時期にも行うことができる。
【0031】
今、ユーザが、目的地までの経路探索(ルートガイダンス)を実行させたい場合には、操作スイッチ群5(あるいはリモコン9)を操作してルートガイダンスの実行を指示すると共に、目的地を指定する。詳しい説明は省略するが、この目的地の指定は、目的地の名称を入力したり、住所を入力したりする方法や、施設などの各ジャンルから検索するなど、様々な方法がある。このとき、1個以上の通過点(経由地)を合せて指定することもできる。
【0032】
目的地の指定が行われると、制御回路2による経路探索(経路計算)が、図3のフローチャートに示す手順にて実行される。即ち、まずステップS1では、現在地から目的地までの経路を、通常の道路コストのみを用いた手法により、複数ルート(n個:例えば5個)算出することが行われる。そのうち最短ルート(道路コストの総和の最も小さいルート)をR1、2番目に短いルートをR2とし、以下順にR3〜Rnとする。
【0033】
次のステップS2では、上記各ルートRi(i=1,2,…,n)に関して、それぞれ道路コストの総和Ai(i=1,2,…,n)及び日陰コストの総和Bi(i=1,2,…,n)を求めることが行われる。引続きステップS3では、R2以降の各ルートと、ルートR1との、道路コスト総和及び日陰コスト総和の差分を求めることが行われる。つまり、A2−A1,A3−A1,…,An−A1、及び、B2−B1,B3−B1,…,Bn−B1の値が求められ、それらの値を、それぞれ、DA2,DA3,…,DAn、及び、DB2,DB3,…,DBnとする。
【0034】
次いで、ステップS4では、DAj+DBjの値(最初はDA2+DB2の値)が、予め定められているしきい値Tよりも小さいかどうかが判断される。DAj+DBjの値がしきい値T以上であれば(ステップS4にてNo)、jがnに一致するまで(ステップS5)、jの値を1だけ大きくして(ステップS6)ステップS4の処理が繰返される。
【0035】
そして、この処理中に、DAj+DBjの値がしきい値T未満のものがあれば(ステップS4にてYes)、ルートRjが、経路探索の結果(推奨する経路)として採用され、表示装置7の画面に表示される(ステップS7)。一方、DAj+DBjの値がしきい値T未満となることなく、計算が終了した場合には(ステップS5にてYes)、ルートR1が、経路探索の結果(推奨する経路)として採用され、表示装置7の画面に表示されるのである(ステップS8)。しかる後、探索された経路に関する経路案内が開始されるようになっている。
【0036】
これにより、ルートR1の日陰コストの総和B1が他に比べて小さいときは勿論、n個のルート(R1〜Rn)に関してそれぞれの日陰コストの総和(B1〜Bn)にさほどの差がない場合には、道路コストの総和A1の最も小さいルートR1が推奨する経路とされる。これに対し、ルートR1以外に、日陰コストの総和BiがルートR1の日陰コストの総和B1に比べて十分に小さいルートがあれば、多少道路コストAi(道路長)が大きくなっても、そのルート(そのなかでも極力道路コストの小さいルート)が推奨する経路とされるのである。
【0037】
このように本実施例によれば、目的地までの経路探索を行うにあたり、日陰となる道路を考慮(優先)しながら経路探索を行うことができる。この場合、道路が日陰になるということは、車両の進行方向前方からだけでなく、いずれの方向からについても太陽光の直射を避けることができる。従って、太陽光の直射を極力避けることができる経路を探索し案内することが可能となり、ひいては、車室内の温度上昇を抑えると共に、紫外線による人体(皮膚)への悪影響等を防止することができるものである。
【0038】
また、特に本実施例では、ノードによって区切られた道路データ(リンク)毎に付与された日陰コストを用いて日陰を考慮した経路探索を行うようにしたので、全体として日陰になりやすい経路を、計算により容易に求めることができる。これと共に、最短距離あるいは最短時間の経路を求めるための各道路データの道路コストに、日陰コストを加味して経路を探索するようにしているので、日陰コストを重視しすぎることなく、両者のバランスを考慮した経路を求めることができるものである。
【0039】
このとき、道路データ毎に日陰コストを付与するにあたって、道路の周囲状況に応じて、例えばビル街、商店街、森林などの日陰になりやすいと考えられる道路では日陰コストを小さく設定し、周囲に建造物等が存在せず日陰になりにくいと考えられる道路では日陰コストを大きく設定するようにしたので、十分な妥当性を有しながらも、その道路についての日陰になりやすさを簡易に評価することができ、日陰コストを簡単に付与することができる。
【0040】
しかも、その日陰コストを、季節や時刻に応じて、真夏や真昼に近いほど大きくなるように付与するようにしたので、日陰コストをより一層適切に設定することができる。更には、ソフトウエア的に日陰コストを付与する構成としたので、道路データのデータ量が徒に多くなることなく済ませることができる等の利点も得ることができるものである。
【0041】
尚、上記実施例では、探索条件として日陰考慮する、しないをユーザが設定するように構成したが、常に日陰を考慮した経路探索を行うように構成しても良い。あるいは、複数の探索条件(例えば「距離優先」、「有料道優先」、「一般道優先」など)に従って同時に複数の経路を探索し、そのうちいずれを案内するかをユーザに選択させるものであってもよく、その探索条件のひとつに「日陰考慮(日陰優先)」を設けることができる。
【0042】
また、日陰コストの付与の手法についても、様々な変形が可能であり、例えば、現実にその道路がその時間帯(及び季節)に日陰になるかどうかによって日陰コストを設定しておくこともでき、この場合、日陰コストのデータを予め道路データに含ませておくことができる。さらには、例えば外部情報入出力装置8により外部(情報センタ)から気象情報を取得して、その気象情報を日陰を考慮した経路探索に反映させることも可能である。
【0043】
その他、例えばカーナビゲーションシステム全体のハードウエア構成やソフトウエア構成等についても、様々な変形例が考えられ、また、本発明は、カーナビゲーションシステムに限らず、歩行者用ナビゲーション装置、あるいは車載用及び携帯用に兼用できるナビゲーション装置等にも適用することができる等、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すもので、カーナビゲーションシステムの電気的構成を概略的に示すブロック図
【図2】制御回路のソフトウエア的構成を概略的に示すブロック図
【図3】日陰を考慮した経路探索の処理手順を示すフローチャート
【符号の説明】
図面中、1はカーナビゲーションシステム(ナビゲーション装置)、2は制御回路(経路探索手段)、4は地図データ入力器、5は操作スイッチ群、7は表示装置を示す。
【発明の属する技術分野】
本発明は、指定された目的地までの推奨する経路を探索する機能を備えるナビゲーション装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ナビゲーション装置、例えば車両に搭載されるカーナビゲーションシステムは、一般に、現在地(出発地)からユーザが指定した目的地までの推奨する経路を計算により探索し、その経路を画面表示や音声で案内するルートガイダンス機能を備えている。また近年では、上記経路探索を行うにあたって、運転者にとって太陽光のまぶしさを避ける経路を探索できるようにしたものが考えられている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平8−159800号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、車両により目的地まで比較的長い距離を走行するような場合、車両に対する太陽光の直射が続くと、車室内の温度上昇が大きくなり、例えば夏季などでは、エアコン(冷房)の使用が甚だしくなってエネルギーの無駄などを招くことが考えられる。また、車両の乗員に対する太陽光の直射が続くと、紫外線による人体(皮膚)への悪影響や、日射病、熱射病などの虞もある。
【0005】
この場合、上記特許文献1に記載された技術では、運転者に対して正面から太陽光が直射することは極力避けることができるものの、側方や後方からの太陽光の直射については考慮されておらず、また、前方からでも運転者の目の位置よりも下方についての太陽光の直射を避けるものではないため、上記問題を解決するものとはなっていなかった。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、目的地までの経路探索を行うにあたり、太陽光の直射を極力避けることができる経路を探索することが可能なナビゲーション装置を提供するにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明のナビゲーション装置は、経路探索手段を備えるものにあって、道路が日陰になるかどうかを考慮して経路を探索することができるように構成したものである(請求項1の発明)。これによれば、経路探索手段により目的地までの経路探索を行うにあたり、日陰となる道路を優先させながら経路探索を行うことができるのであるが、ここで、道路が日陰になるということは、進行方向前方からだけでなく、いずれの方向からについても太陽光の直射を避けることができる。従って、太陽光の直射を極力避けることができる経路を探索することが可能となる。
【0008】
より具体的には、経路探索手段を、ノードによって区切られた道路データ毎に付与される日陰コストを用いて、日陰を考慮した経路探索を行うように構成することができる(請求項2の発明)。これによれば、日陰コストを用いることによって、全体として最も日陰になりやすい経路を、計算により容易に求めることが可能となる。
【0009】
このとき、道路データ毎に日陰コストを付与するにあたっては、道路の周囲状況に応じて、日陰になりやすい道路ほど日陰コストを小さくすることができる(請求項3の発明)。これによれば、道路の周囲状況に応じて、例えばビル街、商店街、森林などの日陰になりやすいと考えられる道路では日陰コストを小さく設定し、周囲に建造物等が存在せず日陰になりにくいと考えられる道路では日陰コストを大きく設定するといったように、十分な妥当性を有した日陰コストを簡単に付与することができる。
【0010】
更にこの場合、日陰コストを、季節や時刻に応じて、真夏や真昼に近いほど大きくなるように付与することができ(請求項4の発明)、これにより、日陰コストをより一層適切に設定することができる。尚、この日陰コストについては、予め道路データに含ませておいても良いし、ソフトウエアにより、経路探索時に計算に係る各道路データに対して付与していくようにしても良い。
【0011】
そして、経路探索手段を、各道路データの道路コストに、日陰コストを加味して経路を探索するように構成することができる(請求項5の発明)。これにより、道路コストを用いて最短距離あるいは最短時間の経路を求める一般的な経路探索に、太陽光の直射を極力避けることができる経路の探索を加味することができ、日陰コストを重視し過ぎることなく、両者のバランスを考慮した経路を求めることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を車両(自動車)に搭載されるカーナビゲーションシステムに適用した一実施例について、図面を参照しながら説明する。まず、図1は、本実施例に係るナビゲーション装置たるカーナビゲーションシステム1の全体の電気的構成(ハードウエア構成)を概略的に示している。
【0013】
ここで、このナビゲーション装置1は、CPU,ROM,RAM,I/O等からなるマイコンを主体として構成された制御回路2に、位置検出器3、地図データ入力器4、操作スイッチ群5、外部メモリ6、例えばフルカラー液晶ディスプレイからなる表示装置7、外部(例えばVICSシステム等のインフラ)との間で例えば無線通信によりデータの送受信を行う外部情報入出力装置8、リモコン9からの信号を検出するリモコンセンサ10等を接続して構成されている。
【0014】
そのうち前記位置検出器3は、周知構成の地磁気センサ11、ジャイロスコープ12、距離センサ13、及び、衛星からの電波に基づいて車両の位置を検出するGPS(Global Positioning System )のためのGPS受信機14を有している。前記制御回路2は、位置検出器3の各センサ11〜14が性質の異なる誤差を有しているため、各々補間しながら使用するように構成されており、これらセンサ11〜14からの入力に基づいて、車両の現在位置、進行方向、速度や走行距離等を高精度で検出するようになっている。尚、精度によっては、上記したセンサ11〜14のうちの一部から位置検出器を構成しても良く、また上記以外に、ステアリングの回転センサや、転動輪の車輪センサ等を採用することも可能である。
【0015】
前記地図データ入力器4は、道路地図データやそれに付随する目的地データ (施設データ)などの各種データを記憶した地図データ記録メディアからデータを読出すためのドライブ装置からなり、その地図データ記録メディアとしては、例えばDVDあるいはCD−ROM等の大容量記憶媒体が用いられる。前記道路地図データは、道路形状、道路幅、道路名、信号、踏切、建造物、各種施設、地名、地形等のデータを含むと共に、その道路地図を表示装置7の画面上に再生するためのデータを含んでいる。
【0016】
また、前記目的地データは、駅等の交通機関、レジャー施設、宿泊施設、公共施設等の施設や、小売店、デパート、レストラン等の各種の店舗、住居やマンション、地名などに関する情報からなり、このデータにはそれらの電話番号や住所、緯度及び経度等のデータが含まれると共に、施設を示すランドマーク等を、表示装置7の画面上に道路地図に重ね合せて表示するためのデータを含んで構成されている。
【0017】
前記操作スイッチ群5は、詳しく図示はしないが、表示装置7の画面の近傍に設けられたメカスイッチや、表示装置7の画面上に設けられるタッチパネルを含んでなり、ユーザ(ドライバ)は、それら操作スイッチ群5を用いて、目的地や通過点等の指定や、表示装置7に表示される道路地図の縮尺の選択等の各種のコマンドを入力することができるようになっている。前記リモコン9も、この操作スイッチ群5と同等の機能を有して構成されている。尚、上記目的地の指定等に、音声入力が可能な構成とすることもできる。
【0018】
図示はしないが、前記表示装置7の画面には、通常時には、車両の現在地周辺の地図が各種縮尺で表示されると共に、その表示に重ね合せて、車両の現在位置及び進行方向を示す現在地マークが表示されるようになっている。また、表示装置7には、ユーザが目的地等の各種の入力,設定(選択)を行なうための入力用の画面や、各種のメッセージ等も表示されるようになっている。さらには、目的地までの経路案内の実行時には、表示装置7には、経路案内用の画面が表示されるようになっている。
【0019】
そして、前記制御回路2は、主としてそのソフトウエア的構成により、図2に概略的に示すように、アプリケーション15、GPSデータ解析モジュール16、経路計算モジュール17、前記地図データ入力器4から地図データ等を読取るための地図データ読み込みモジュール18、前記表示装置7に地図や情報等を表示させるための表示モジュール19としての機能を内部に設定するようになっている。
【0020】
前記アプリケーション15は、前記GPSデータ解析モジュール16によって前記GPS受信機14(位置検出器3)のデータを解析して車両の現在位置を検出させ、また、地図データ読み込みモジュール18を介して地図データ等のデータを読取り、経路計算モジュール17によって目的地までの経路の探索(経路計算)を実行させ、表示モジュール19によって表示装置7に地図や情報等を表示させるようになっている。
【0021】
これにて、制御回路2は、車両の現在位置を知るロケーション機能を実現すると共に、指定された目的地までの推奨する経路を探索し、案内するルートガイダンス機能を実現するようになっている。そのうちロケーション機能は、上述のように、地図データ入力器4からの地図データに基づいて表示装置7に道路地図を表示させると共に、位置検出器3の検出に基づいて車両の現在位置及び進行方向を示す現在地マークを表示させるものである。この場合、車両の走行に伴って現在位置の表示は地図上を移動すると共に、地図は車両の位置に応じてスクロール表示されるようになる。また、このとき、車両の現在位置を道路上にのせるマップマッチングが行なわれるようになっている。
【0022】
そして、前記制御回路2は、ユーザの操作スイッチ群5(あるいはリモコン9)の操作に基づいて、指定された目的地までの推奨する経路を探索する経路探索手段として機能するようになっている。この経路の探索は、車両の出発地(現在地)からユーザにより指定された目的地までの推奨する走行経路を、自動的に計算するものであり、その手法としては、周知のダイクストラ法が用いられる。また、ユーザは上記目的地の指定と併せて1個以上の通過点を指定することもでき、通過点の指定がある場合には、それら通過点を順に通って目的地に至るような経路の探索が行われる。この経路探索についての詳細は後述する。尚、この経路探索時には、併せて、その経路を通って目的地に到達するまでの予測される所要時間も算出されるようになっている。
【0023】
また、制御回路2は、上記経路探索(経路計算)により求められた(ユーザにより選択された)目的地までの走行経路を案内する経路案内手段として機能するようになっている。この経路案内は、表示装置7の画面に、道路地図に重ね合せて、車両の現在位置(現在地マーク)と共に走行すべき経路を目立つ色で表示して目的地まで案内するものであり、もってルートガイダンス機能が実現される。尚、この経路案内時において、交差点近くに来た時には、表示装置7には、自動的に交差点付近の拡大図が表示され、これと併せて、音声合成機能により、例えば「200m先の交差点を左です」といった音声案内が行なわれる。
【0024】
ここで、前記制御回路2により実行される経路探索の一般的な手法(ダイクストラ法)について簡単に述べる。上記した地図データ記録メディアに記憶された道路地図データには、経路探索用の道路データを含んでいるのであるが、この道路データは、地図上の交差点などをノードとして道路を複数の部分に分割し、各ノード間の部位分をリンクとして規定したリンクデータとして与えられる。このリンクデータは、リンクID、リンク長、リンクの始点、終点の位置データ、角度(方向)データ、道路幅、道路種別等のデータを含んで構成される。
【0025】
経路探索は、出発地(現在地)から目的地(次の通過点)へ向けて、次に到達できる交差点(ノード)までの道路(リンク)の探索及びその道路コスト(評価値)の計算を順次行っていき、目的地までが最小コストとなる経路(リンク列)を求めることにより行われる。前記各リンクのコストは、道路長や道路種別、道路幅、有料無料の別、渋滞度、右左折、信号や踏切の有無などから、所定の計算式にて算出され、例えば、他の条件が同じであるならば、道路長に比例して大きな値となるようになっている。
【0026】
さて、本実施例では、後の作用説明でも述べるように、制御回路2が上記したような経路探索を行うにあたって、道路が日陰になるかどうかを考慮して経路を探索することができるようになっている。この場合、日陰を考慮する(日陰となる道路を極力優先させる)かどうかは、ユーザが任意に選択できるようになっており、例えば、表示装置7の初期設定画面において、操作スイッチ群5の操作により、経路探索の条件として、「日陰考慮する」、「日陰考慮しない」を設定させるようになっている。
【0027】
このとき、経路探索において日陰を考慮する際には、上記したノードによって区切られた道路データ(リンク)毎に日陰コストを付与し、その日陰コストを用いた経路計算が行われる。この日陰コストは、制御回路2のソフトウエア的構成によって、日陰になりやすい道路ほど小さく、日陰になりにくい道路ほど大きくなるように付与されるのであるが、本実施例においては、次のような手法で付与されるようになっている。
【0028】
即ち、道路データ(リンク)毎に日陰コストを付与するにあたっては、道路(リンク)の周囲状況に応じて、例えばビル街、商店街、森林などの日陰になりやすいと考えられる道路では日陰コストが小さく設定され、周囲に建造物等が存在せず日陰になりにくいと考えられる道路では日陰コストが大きく設定される。更に、これに加えて、季節や時刻(時間帯)に応じて、例えば真夏や真昼に近いほど日陰コストが大きく、日没後等では日陰コストが小さくなるように付与されるようになっている。
【0029】
そして、詳細は後のフローチャート説明にて述べるように、本実施例では、日陰を考慮した経路探索は、まず上記のような道路コストを用いた一般的な手法で、複数(n個)の候補となる経路(R1〜Rn)を算出し、それら複数の経路(R1〜Rn)に関してそれぞれ日陰コストの総和(B1〜Bn)を求め、各経路(R1〜Rn)の道路コストの総和(A1〜An)に、前記日陰コストの総和(B1〜Bn)を加味して推奨する経路を選択することにより行われるようになっている。
【0030】
次に、上記構成の作用について、図3も参照して述べる。図3のフローチャートは、制御回路2が実行する日陰を考慮した経路探索の処理手順を示している。尚、ここでは、経路探索における探索条件として、予め「日陰考慮する」が設定されているものとする。この場合、探索条件の設定は、装置1の使用開始時に初期設定画面において行われることは勿論、ユーザが設定を変更したい場合など適宜の時期にも行うことができる。
【0031】
今、ユーザが、目的地までの経路探索(ルートガイダンス)を実行させたい場合には、操作スイッチ群5(あるいはリモコン9)を操作してルートガイダンスの実行を指示すると共に、目的地を指定する。詳しい説明は省略するが、この目的地の指定は、目的地の名称を入力したり、住所を入力したりする方法や、施設などの各ジャンルから検索するなど、様々な方法がある。このとき、1個以上の通過点(経由地)を合せて指定することもできる。
【0032】
目的地の指定が行われると、制御回路2による経路探索(経路計算)が、図3のフローチャートに示す手順にて実行される。即ち、まずステップS1では、現在地から目的地までの経路を、通常の道路コストのみを用いた手法により、複数ルート(n個:例えば5個)算出することが行われる。そのうち最短ルート(道路コストの総和の最も小さいルート)をR1、2番目に短いルートをR2とし、以下順にR3〜Rnとする。
【0033】
次のステップS2では、上記各ルートRi(i=1,2,…,n)に関して、それぞれ道路コストの総和Ai(i=1,2,…,n)及び日陰コストの総和Bi(i=1,2,…,n)を求めることが行われる。引続きステップS3では、R2以降の各ルートと、ルートR1との、道路コスト総和及び日陰コスト総和の差分を求めることが行われる。つまり、A2−A1,A3−A1,…,An−A1、及び、B2−B1,B3−B1,…,Bn−B1の値が求められ、それらの値を、それぞれ、DA2,DA3,…,DAn、及び、DB2,DB3,…,DBnとする。
【0034】
次いで、ステップS4では、DAj+DBjの値(最初はDA2+DB2の値)が、予め定められているしきい値Tよりも小さいかどうかが判断される。DAj+DBjの値がしきい値T以上であれば(ステップS4にてNo)、jがnに一致するまで(ステップS5)、jの値を1だけ大きくして(ステップS6)ステップS4の処理が繰返される。
【0035】
そして、この処理中に、DAj+DBjの値がしきい値T未満のものがあれば(ステップS4にてYes)、ルートRjが、経路探索の結果(推奨する経路)として採用され、表示装置7の画面に表示される(ステップS7)。一方、DAj+DBjの値がしきい値T未満となることなく、計算が終了した場合には(ステップS5にてYes)、ルートR1が、経路探索の結果(推奨する経路)として採用され、表示装置7の画面に表示されるのである(ステップS8)。しかる後、探索された経路に関する経路案内が開始されるようになっている。
【0036】
これにより、ルートR1の日陰コストの総和B1が他に比べて小さいときは勿論、n個のルート(R1〜Rn)に関してそれぞれの日陰コストの総和(B1〜Bn)にさほどの差がない場合には、道路コストの総和A1の最も小さいルートR1が推奨する経路とされる。これに対し、ルートR1以外に、日陰コストの総和BiがルートR1の日陰コストの総和B1に比べて十分に小さいルートがあれば、多少道路コストAi(道路長)が大きくなっても、そのルート(そのなかでも極力道路コストの小さいルート)が推奨する経路とされるのである。
【0037】
このように本実施例によれば、目的地までの経路探索を行うにあたり、日陰となる道路を考慮(優先)しながら経路探索を行うことができる。この場合、道路が日陰になるということは、車両の進行方向前方からだけでなく、いずれの方向からについても太陽光の直射を避けることができる。従って、太陽光の直射を極力避けることができる経路を探索し案内することが可能となり、ひいては、車室内の温度上昇を抑えると共に、紫外線による人体(皮膚)への悪影響等を防止することができるものである。
【0038】
また、特に本実施例では、ノードによって区切られた道路データ(リンク)毎に付与された日陰コストを用いて日陰を考慮した経路探索を行うようにしたので、全体として日陰になりやすい経路を、計算により容易に求めることができる。これと共に、最短距離あるいは最短時間の経路を求めるための各道路データの道路コストに、日陰コストを加味して経路を探索するようにしているので、日陰コストを重視しすぎることなく、両者のバランスを考慮した経路を求めることができるものである。
【0039】
このとき、道路データ毎に日陰コストを付与するにあたって、道路の周囲状況に応じて、例えばビル街、商店街、森林などの日陰になりやすいと考えられる道路では日陰コストを小さく設定し、周囲に建造物等が存在せず日陰になりにくいと考えられる道路では日陰コストを大きく設定するようにしたので、十分な妥当性を有しながらも、その道路についての日陰になりやすさを簡易に評価することができ、日陰コストを簡単に付与することができる。
【0040】
しかも、その日陰コストを、季節や時刻に応じて、真夏や真昼に近いほど大きくなるように付与するようにしたので、日陰コストをより一層適切に設定することができる。更には、ソフトウエア的に日陰コストを付与する構成としたので、道路データのデータ量が徒に多くなることなく済ませることができる等の利点も得ることができるものである。
【0041】
尚、上記実施例では、探索条件として日陰考慮する、しないをユーザが設定するように構成したが、常に日陰を考慮した経路探索を行うように構成しても良い。あるいは、複数の探索条件(例えば「距離優先」、「有料道優先」、「一般道優先」など)に従って同時に複数の経路を探索し、そのうちいずれを案内するかをユーザに選択させるものであってもよく、その探索条件のひとつに「日陰考慮(日陰優先)」を設けることができる。
【0042】
また、日陰コストの付与の手法についても、様々な変形が可能であり、例えば、現実にその道路がその時間帯(及び季節)に日陰になるかどうかによって日陰コストを設定しておくこともでき、この場合、日陰コストのデータを予め道路データに含ませておくことができる。さらには、例えば外部情報入出力装置8により外部(情報センタ)から気象情報を取得して、その気象情報を日陰を考慮した経路探索に反映させることも可能である。
【0043】
その他、例えばカーナビゲーションシステム全体のハードウエア構成やソフトウエア構成等についても、様々な変形例が考えられ、また、本発明は、カーナビゲーションシステムに限らず、歩行者用ナビゲーション装置、あるいは車載用及び携帯用に兼用できるナビゲーション装置等にも適用することができる等、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すもので、カーナビゲーションシステムの電気的構成を概略的に示すブロック図
【図2】制御回路のソフトウエア的構成を概略的に示すブロック図
【図3】日陰を考慮した経路探索の処理手順を示すフローチャート
【符号の説明】
図面中、1はカーナビゲーションシステム(ナビゲーション装置)、2は制御回路(経路探索手段)、4は地図データ入力器、5は操作スイッチ群、7は表示装置を示す。
Claims (5)
- 指定された目的地までの推奨する経路を探索する経路探索手段を備えるナビゲーション装置であって、
前記経路探索手段は、道路が日陰になるかどうかを考慮して経路を探索することが可能に構成されていることを特徴とするナビゲーション装置。 - 前記経路探索手段は、ノードによって区切られた道路データ毎に付与される日陰コストを用いて、日陰を考慮した経路探索を行うことを特徴とする請求項1記載のナビゲーション装置。
- 前記日陰コストは、道路の周囲状況に応じて、日陰になりやすい道路ほど小さくなるように付与されることを特徴とする請求項2記載のナビゲーション装置。
- 前記日陰コストは、季節や時刻に応じて、真夏や真昼に近いほど大きくなるように付与されることを特徴とする請求項3記載のナビゲーション装置。
- 前記経路探索手段は、前記各道路データの道路コストに、前記日陰コストを加味して経路を探索することを特徴とする請求項2ないし4のいずれかに記載のナビゲーション装置。
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