JP2004225609A - 車両のエンジン制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】車両の燃料事情に応じてエンジンの自動停止に関する各条件を自動的に補正することにより、残存燃料を有効に利用し、燃料補給までの車両の走行距離を可及的に長く確保することができる車両のエンジン制御装置を提供する。
【解決手段】予め設定された自動停止条件が成立したときにエンジンを自動的に停止させるとともに、エンジンの自動停止中に予め設定された再始動条件が成立したときにエンジンを自動的に再始動させるように制御するエンジン制御手段1を備える。燃料タンク内の燃料残量が自動停止条件を補正するために設定された停止条件用基準値よりも少なくなったことを検出する燃料残量検出手段22とその検出結果に応じて自動停止条件を自動停止が実行されやすいように補正する条件補正手段8とを備える。
【選択図】 図1
【解決手段】予め設定された自動停止条件が成立したときにエンジンを自動的に停止させるとともに、エンジンの自動停止中に予め設定された再始動条件が成立したときにエンジンを自動的に再始動させるように制御するエンジン制御手段1を備える。燃料タンク内の燃料残量が自動停止条件を補正するために設定された停止条件用基準値よりも少なくなったことを検出する燃料残量検出手段22とその検出結果に応じて自動停止条件を自動停止が実行されやすいように補正する条件補正手段8とを備える。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、予め設定された自動停止条件が成立したときにエンジンを自動的に停止させるとともに、エンジンの自動停止中に予め設定された再始動条件が成立したときにエンジンを自動的に再始動させるように構成された車両のエンジン制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、予め設定された所定条件に基づいて、エンジンを運転状態と停止状態とに相互に自動的に切り換える自動停止・復帰制御を行うことが可能な車両のエンジン制御装置において、エンジンの自動停止・復帰制御を行う場合の条件として、車両の乗員により選択される走行経路の道路環境を追加する条件追加手段を備えたものが提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1のエンジン制御装置は、予め設定されている自動停止条件、復帰条件に加え、上記条件追加手段により特定の道路環境、例えば、踏切周辺や交差点等をエンジンの自動停止を禁止する環境として条件設定することができるため、乗員の希望に応じた道路環境ではエンジンの自動停止を禁止しつつ、選択された道路環境以外の環境ではエンジンを自動停止させることが可能となる。そして、その結果、不要なエンジンの作動を抑制して燃料を節約することができるとともに、排気エミッションを向上させることができるという利点がある。
【0004】
【特許文献1】
特開平12−110608号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、車両はその走行性を確保するため、燃料を補給しなければならないが、例えば運転者の失念、或いは走行経路の近傍に燃料補給場所が存在しなかったといった種々の理由から、僅かな残存燃料で走行しなければならない場合がある。
【0006】
このような場合に、上記特許文献1のエンジン制御装置では、残存燃料の有効利用といった面で不満の残るものであった。すなわち、上記特許文献1の装置では、エンジンの自動停止を実行することにより不要な作動を抑制して燃料を節約することができるものの、予め設定された自動停止条件、復帰条件が一律に適用されるものであるため、車両の燃料事情について特段の考慮が払われているものではなかった。
【0007】
また、上記特許文献1のエンジン制御装置において、条件追加手段により特定の道路環境が追加されている状況で運転者において燃料が残り僅かになったことを気付いた場合には、この条件追加手段により追加されていた条件を解除することにより、エンジンの自動停止回数を増やして残存燃料の節約を図ることも考えられるが、この方法においては運転者において残存燃料について監視し、残存燃料が所定量を下回った時点で上記追加された条件の解除操作をしなければならず、いささか面倒であった。
【0008】
本発明は、上記のような従来技術に鑑みてなされたものであり、車両の燃料事情に応じてエンジンの自動停止に関する各条件を自動的に補正することにより、残存燃料を有効に利用し、燃料補給までの車両の走行距離を可及的に長く確保することができる車両のエンジン制御装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、予め設定された自動停止条件が成立したときにエンジンを自動的に停止させるとともに、エンジンの自動停止中に予め設定された再始動条件が成立したときにエンジンを自動的に再始動させるように制御するエンジン制御手段を備えた車両のエンジン制御装置において、燃料タンク内の燃料残量が上記自動停止条件を補正するために設定された停止条件用基準値よりも少なくなったことを検出する燃料残量検出手段と、上記燃料残量が上記停止条件用基準値よりも少ないことが検出されたときに上記自動停止条件をエンジンの自動停止が行われやすいように補正する条件補正手段とを備えていることを特徴とするものである。
【0010】
この発明によれば、燃料タンク内の燃料残量が停止条件用基準値よりも少なくなったことを検出する燃料残量検出手段と、上記燃料残量が上記停止条件用基準値よりも少ないことが検出されたときに上記自動停止条件をエンジンの自動停止が行われやすいように補正する条件補正手段とを備えているので、燃料残量が予め設定された停止条件用基準値よりも少なくなったことを燃料残量検出手段により自動的に検出することができ、この検出があったときに条件補正手段により自動停止条件がエンジンの自動停止が行われやすいように補正される。このように自動停止条件がエンジンの自動停止が行われやすいように補正されることで、エンジンの自動停止期間の始期が早まり、或いは自動停止の機会が増え、エンジンの作動を抑制して残存燃料を節約することができる。従って、簡単な構成で燃料補給までの車両の走行距離を可及的に長く確保することができる。
【0011】
請求項2に係る発明は、予め設定された自動停止条件が成立したときにエンジンを自動的に停止させるとともに、エンジンの自動停止中に予め設定された再始動条件が成立したときにエンジンを自動的に再始動させるように制御するエンジン制御手段を備えた車両のエンジン制御装置において、燃料タンク内の燃料が上記再始動条件を補正するために設定された始動条件用基準値よりも少なくなったことを検出する燃料残量検出手段と、上記燃料残量が上記始動条件用基準値よりも少ないことが検出されたときに上記再始動条件をエンジンの再始動時期が遅くなるように補正する条件補正手段とを備えていることを特徴とするものである。
【0012】
この発明によれば、燃料タンク内の燃料残量が始動条件用基準値よりも少なくなったことを検出する燃料残量検出手段と、上記燃料残量が上記始動条件用基準値よりも少ないことが検出されたときに上記再始動条件をエンジンの再始動時期が遅くなるように補正する条件補正手段とを備えているので、燃料残量が予め設定された始動条件用基準値よりも少なくなったことを燃料残量検出手段により自動的に検出することができ、この検出があったときに条件補正手段により再始動条件がエンジンの再始動が遅くなるように補正される。このように再始動条件がエンジンの再始動が遅くなるように補正されることで、エンジンの自動停止期間の終期が遅くなり、エンジンの作動期間を可及的に短くして残存燃料を節約することができる。このため、簡単な構成で燃料補給までの車両の走行距離を可及的に長く確保することができる。
【0013】
請求項3に係る発明によれば、請求項1または請求項2記載の車両のエンジン制御装置において、上記エンジン制御手段は、予め設定された自動停止禁止条件が成立したときに上記自動停止条件に拘わらずエンジンの自動停止の実行を禁止するように構成される一方、上記燃料残量検出手段は、燃料タンク内の燃料残量が上記自動停止禁止条件を補正するために設定された禁止条件用基準値よりも少なくなったことも検出し得るように構成され、上記条件補正手段は、上記燃料残量が上記禁止条件用基準値よりも少ないことが検出されたときに上記自動停止禁止条件をエンジンの自動停止が禁止され難いように補正するものである。
【0014】
この発明によれば、燃料残量検出手段により燃料タンク内の燃料残量が禁止条件用基準値よりも少なくなったことを自動的に検出することができる。この検出があったときに条件補正手段により自動停止禁止条件がエンジンの自動停止が禁止され難いように補正される。このように自動停止禁止条件がエンジンの自動停止が禁止され難いように補正されることで、エンジンの自動停止が禁止される機会を減らし、言い換えるとエンジンの自動停止の機会を増やして残存燃料の節約を図ることができる。従って、簡単な構成で燃料補給までの車両の走行距離を一層長く確保することができる。
【0015】
請求項4に係る発明によれば、請求項3記載の車両のエンジン制御装置において、道路地図情報を記憶する地図情報記憶手段と、上記道路地図情報と関連付けて車両の現在位置を検出する位置検出手段とを備え、上記自動停止禁止条件には、上記地図情報記憶手段と位置検出手段とにより特定される車両の現時点での停止位置が予め設定された特定位置である場合にエンジンの自動停止が禁止される自動停止禁止位置に関する条件が含まれ、上記条件補正手段による上記自動停止禁止条件の補正は、上記自動停止禁止位置の少なくとも一部を上記自動停止禁止条件から外すものである。
【0016】
この発明によれば、地図情報記憶手段と位置検出手段とを備えているので、道路地図上の車両の現在位置を特定することができる。そして、エンジンの自動停止を禁止する自動停止禁止条件に特定の道路環境、例えば、踏切周辺や交差点等の環境が予め設定されているので、各道路環境に応じてエンジンの自動停止を禁止することができる。しかも、燃料残量が禁止条件用基準値を下回った場合には条件補正手段によって上記自動停止禁止位置の少なくとも一部を上記自動停止禁止条件から外すように補正されるので、自動停止禁止位置を設定している場合であっても燃料残量に応じて適宜エンジンの自動停止が実行される。従って、利便性の確保と、残存燃料の節約との均衡を図ることができる。ここで、この自動停止禁止位置として予め設定されている特定位置は、製造段階で設定されているものであってもよいし、使用時に運転者等の乗員により設定されたもの等であってもよい。また、運転者等の乗員により設定される特定位置は、個別具体的な道路環境であってもよいし、領域的に一律に適用される道路環境であってもよい。
【0017】
請求項5に係る発明は、請求項3または請求項4記載の車両のエンジン制御装置において、上記禁止条件用基準値は上記停止条件用基準値または上記始動条件用基準値よりも小さく設定されているものである。
【0018】
すなわち、自動停止禁止位置に関する自動停止禁止条件は、乗員等が特に必要と考えて設定されていることが多いので、請求項1に係る発明を含む発明については、まず始めに自動停止条件を補正してから自動停止禁止条件を補正するものとなされている。或いは、請求項2に係る発明を含む発明については、まず始めに始動条件を補正してから自動停止禁止条件を補正するものとなされている。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。
【0020】
図1は、本発明に係るエンジン制御装置の実施形態を示すブロック図である。この制御装置は、各種演算処理を実行する制御手段40と、この制御手段40の指令に応じて入出力可能に各情報を記憶する記憶手段41とを備えている。この制御手段40は、エンジンの自動停止とその禁止及び、自動再始動を行うエンジン制御手段1と、これらのエンジンの自動停止、その禁止、自動再始動のための各条件を適宜補正する条件補正手段8と、車両のインストルメントパネル等に設けられた後述の表示部27及び後述の車両用ナビゲーション装置21等を制御する表示制御手段2と、自動変速機に対する作動油の供給状態を制御するAT制御手段3と、坂道における停車時に車両の後ずさり等を防止するヒルホルダー制御手段4とを備えている。
【0021】
エンジン制御手段1は、予め設定された自動停止条件が成立したときにエンジンを自動的に停止させるとともに、エンジンの自動停止中に予め設定された再始動条件が成立したときにエンジンを自動的に再始動させる一方、所定の自動停止禁止条件が成立したときに自動停止条件に拘わらずエンジンの自動停止を禁止するように制御するものである。これらの各条件は記憶手段41に記憶され、エンジン制御手段1の要求に応じて読み出し可能に構成されている。
【0022】
具体的には、上記エンジン制御手段1には、予め設定された自動停止条件が成立したときにエンジンを自動的に停止させる自動停止制御手段5と、予め設定された再始動条件が成立したときにエンジンを自動的に再始動させる再始動制御手段6と、所定の自動停止禁止条件が成立したときに上記自動停止制御手段5によるエンジンの自動停止を禁止する自動停止禁止手段7とが設けられている。
【0023】
上記自動停止制御手段5は、運転者によるブレーキペダルの踏込状態を検出するブレーキセンサ10、車両の走行速度を検出する車速センサ11、自動変速機のシフトレバー位置を検出するインヒビタスイッチ12、パーキングブレーキの操作状態を検出するパーキングブレーキスイッチ13、方向指示器を作動させるためのウィンカスイッチ14及び、エアコンの作動状態を検出するエアコンセンサ15、エンジンの冷却水温度を検出するエンジン水温センサ20、及び前回にエンジンの自動停止が行われた後に、エンジンが再始動された時点から現時点までの経過時間を計測する図外のタイマ等からの出力信号に応じ、エンジンの自動停止条件が成立したか否かを判別し、この自動停止条件が成立したことが確認された場合に、燃料噴射弁16からの燃料噴射を停止させるとともに、点火コイル17による混合気の点火を停止させることにより、エンジンの作動を自動的に停止させるように構成されている。
【0024】
エンジンの自動停止を行うか否かを判別する自動停止条件としては、図2に示すように、通常モードと、緩和モードと、厳格モードとの3種類がある。この通常モードの自動停止条件には、例えば第1にブレーキセンサ10がONであること、第2に車速センサ11により検出された車速が0であること、第3にインヒビタスイッチ12により検出された自動変速機のシフトレバー位置が非走行レンジであること、第4にウィンカスイッチ14がOFF状態にあること、第5にエアコンセンサ15からエアコンが停止状態であることを示す検出信号が出力されていること、第6に上記水温センサ20の検出信号に応じてエンジンの冷却水温度が所定値以上であること、つまりエンジンの暖機が完了していること、第7に上記タイマの出力信号に応じて上記経過時間が予め設定された第2設定時間t2以上であること、つまりエンジンの自動停止制御が頻繁に繰り返されていない状態にあることの7項目の条件がある。そして、これら7項目の条件が全て満たされたときに、自動停止制御手段5においてエンジンの自動停止条件が成立したと判別され、エンジンを自動的に停止させる制御が実行されるようになっている。
【0025】
一方、緩和モードの自動停止条件は、シフトレバー位置がR(後退)レンジ以外である場合に上記第3の条件が満たされたと判定され、かつ上記第4及び、第5の条件が考慮されず、さらに上記経過時間が、通常モードの第2設定時間t2よりも短い時間に設定された第1設定時間t1以上であることが確認された場合に、上記第7の条件が満たされたと判定されている点を除き、上記通常モードの自動停止条件と同様に設定されている。
【0026】
また、厳格モードの自動停止条件は、ブレーキセンサ10により検出されたブレーキペダル踏込操作量が予め設定された所定値以上である場合に上記第1の条件が満たされたと判定されるとともに、シフトレバー位置がP(駐車)レンジである場合に上記第3の条件が満たされたと判定され、かつ上記経過時間が、通常モードの第2設定時間t2よりも長い時間に設定された第3設定時間t3以上であることが確認された場合に、上記第7の条件が満たされたと判定され、さらにパーキングブレーキスイッチ13がON状態であることが第8の条件として追加されている点を除き、上記通常モードの自動停止条件と同様に設定されている。
【0027】
なお、エンジンの自動停止を行うか否かを判定する自動停止条件として、Gセンサ等からなる勾配検出手段により検出された路面勾配が予め設定された所定値未満であるという条件を付加してもよい。例えば、通常モードの自動停止条件に基づいて上記判定を行う際に、路面勾配の検出値が予め設定された第1の基準値未満であること、つまり路面勾配があまり大きくないことを必須条件として、上記エンジンの自動停止制御を実行するようにしてもよい。また、厳格モードの自動停止条件に基づいて上記判定を行う際に、路面勾配の検出値が、上記第1の基準値よりも小さな値に設定された第2の基準値未満であること、つまり路面勾配が極めて小さいことを必須条件として、上記エンジンの自動停止制御を実行し、また緩和モードの自動停止条件に基づいて上記判定を行う際に、上記路面勾配を考慮することなく上記エンジンの自動停止制御を実行するようにしてもよい。
【0028】
上記実施形態では、エアコンセンサ15からエアコンが停止状態であることを示す検出信号が出力されていることを第5の条件として設定しているが、エアコンが停止状態であるという条件と、エアコンの作動時に、その目標温度と実際の車室内温度との偏差が所定値未満であるという条件との何れか一方が成立した場合に、第5の条件が満たされたと判定するように構成してもよい。また、ウィンカスイッチ14の検出信号に応じて上記第4の条件が満たされたか否かを判定するように構成された上記実施形態に代え、ステアリングハンドルの操舵角度を検出する舵角センサの出力信号に応じ、上記操舵角度が予め設定された基準角度よりも小さいことが確認された場合に、第4の条件が満たされたと判定するようにしてもよい。さらに、エンジンの自動停止を実行するか否かを判定する第6の条件として、上記エンジンの水温に代えて、エンジンの始動後における時間を検出するタイマの計測時間を使用し、エンジンの始動後に一定時間が経過した後であることが確認された場合に、エンジンが暖機状態にあると判定するようにしてもよい。また、速やかに発進しようとする運転者の意思を尊重するという観点から、上記第7の条件における第1〜第3設定時間t1〜t3を、シフトレバー位置の変速レンジに対応させて変化させ、シフトレバー位置がD(走行)レンジにある場合には、上記第1〜第3設定時間t1〜t3をN(ニュートラル)レンジにある場合に比べてそれぞれ大きな値に設定するように構成することが望ましい。
【0029】
上記再始動制御手段6は、エンジンの自動停止中に、ブレーキセンサ10、車速センサ11、インヒビタスイッチ12、ウィンカスイッチ14、エアコンセンサ15、ブレーキ負圧、つまりブレーキ操作力を補うための倍力装置を構成するブースター内の負圧を検出するブレーキ負圧センサ18及び、スロットル弁の開度を検出するスロットルセンサ19から出力される各検出信号に応じ、エンジンの再始動条件が成立したか否かを判別し、この再始動条件が成立したことが確認された場合に、エンジンのカムシャフトを回転駆動する再始動モータ42を作動させることにより、停止状態にあるエンジンを自動的に再始動させるように構成されている。
【0030】
エンジンの再始動を行うか否かを判定する再始動条件としては、図3に示すように、通常モードと、緩和モードと、厳格モードとの3種類がある。通常モードの再始動条件は、例えば第1にブレーキセンサ10がON状態からOFF状態に移行したこと、第2に車速センサ11により検出された車速が所定値よりも大きい状態が第1基準時間T1以上に亘って継続したこと、第3にインヒビタスイッチ12の検出信号に応じて自動変速機のシフトレバー位置が変化したこと、つまりシフトレバー位置が非走行レンジから走行レンジに変化し、あるいは所定の走行レンジにあったシフトレバー位置が他の走行レンジに変化したこと、第4にウィンカスイッチ14がON状態にあること、第5にブレーキ負圧センサ18により検出されたブレーキ負圧が所定の第2基準値bよりも高くなったこと(つまりブースター内の負圧の絶対値が|基準値b|よりも小さくなったこと)、第6にエアコンセンサ15から停止状態にあったエアコンが作動状態に変化したことを示す検出信号が出力されたことの6項目の条件がある。そして、これら6項目の条件のうちの一つでも成立したときに、エンジンの再始動条件が成立したと判別されて停止状態のエンジンを再始動させる制御が実行されるようになっている。
【0031】
一方、緩和モードの再始動条件は、ブレーキペダルの踏込解除速度が所定値よりも大きい場合に上記第1の条件が満たされたと判定され、かつ上記第2基準値bよりも小さな値に設定された第1基準値aよりもブレーキ負圧が高くなった場合(ブースター内の負圧の絶対値が|基準値a|よりも小さくなった場合)に、上記第5の条件が満たされたと判断されるように構成されている点を除き、上記通常モードの再始動条件と同様に設定されている。
【0032】
また、上記厳格モードの再始動条件は、スロットルセンサ19の検出信号に応じてアクセルペダルが踏み込まれたことが確認された場合に、上記第1の条件が満たされたと判定されるとともに、上記第1基準時間T1よりも長い時間に設定された第2基準時間T2以上に亘り、車速が所定値よりも大きい状態で継続したことが確認された場合に、上記第2の条件が満たされたと判定され、かつ上記第2基準値bよりも大きな値に設定された第3基準値cよりもブレーキ負圧が高くなった場合(ブースター内の負圧の絶対値が|基準値c|よりも小さくなった場合)に、上記第5の条件が満たされたと判定され、さらに上記第3、第4、第6の条件が考慮されないように設定されている。
【0033】
なお、上記通常モード、緩和モード及び、厳格モードの再始動条件として、第7にエンジンの水温が所定値未満に低下したことを追加するとともに、第8にバッテリ電圧が所定値未満に低下したことをそれぞれ追加し、これらの条件の一つでも成立したときにエンジンを再始動させるようにしてもよい。
【0034】
上記自動停止禁止手段7は、車両用ナビゲーション装置21の出力信号に応じ、車両が所定の運転状態にあると判別された場合に、上記自動停止条件が成立した場合にあっても、上記エンジンの自動停止を禁止してエンジンを作動状態に維持するように構成されている。
【0035】
エンジンの自動停止を禁止するか否かを判定する判定条件としては、図3に示すように、緩和モードと、通常モードと、厳格モードとの3種類がある。通常モードの判定条件は、上記車両用ナビゲーション装置21の出力信号に応じて車両が予め設定された自動停止禁止位置に関するものである。そして、この条件が成立したことが上記自動停止禁止手段7において確認された場合に、上記自動停止制御手段5によるエンジンの自動停止制御の実行が禁止されるようになっている。
【0036】
ここで、この条件の自動停止禁止位置に関する情報は、記憶手段41に記憶されている。この自動停止禁止位置情報には、初期設定において記憶され、乗員の希望に応じて追加・削除できない固定的な位置(初期自動停止禁止位置)情報と、運転者の希望に応じて追加、削除される位置情報が含まれる。また、この運転者の希望に応じて追加、削除される位置情報には、具体的な交差点等のピンポイントで表される個別自動停止禁止位置情報と、例えば交差点内、高速道路等の抽象的な領域により表される領域別自動停止禁止位置情報とが含まれる。本実施形態では、領域別自動停止禁止位置は、初期設定において記憶された複数の領域のうち1ないし複数の領域を運転者の意思に応じて選択・解除し、自動停止禁止位置に追加・削除し得るものとなされている。これらの詳細については、後述する。
【0037】
一方、緩和モードの自動停止禁止条件、すなわち自動停止の禁止が実行され易いモードにおける自動停止禁止条件は、本実施形態においては特に設定されておらず、上記通常モードの自動停止禁止条件と同様に設定されている。
【0038】
また、厳格モードの自動停止禁止条件、すなわち自動停止の禁止が実行され難いモードにおける自動停止禁止条件は、通常モードに比べ上記自動停止禁止位置がより限定されたものとして設定されている。具体的には、緩和モードの自動停止条件は、原則的に上記自動停止禁止位置情報から上記領域別自動停止禁止位置情報を外すように、つまり領域別自動停止禁止位置に車両が停止した場合でもエンジンの自動停止が実行されるように設定されている。そして、例外的に、図外の燃料タンク内の燃料残量が後述する第3基準値よりも少なくなったときには、自動停止禁止位置情報から、領域別自動停止禁止位置情報と、個別自動停止禁止位置情報とを外すように、つまり領域別自動停止禁止位置と個別禁止位置に車両が停止した場合でもエンジンの自動停止が実行されるように設定されている。
【0039】
要するに、厳格モードの自動停止禁止条件は、燃料残量を考慮して段階的(本実施形態では2段階)に自動停止禁止位置情報が限定されるものとなされている。なお、本実施形態では、自動停止禁止条件として自動停止禁止位置に関する条件のみが設定されているが、この自動停止禁止条件に自動停止禁止位置に関する条件に加え、他の条件が含まれるものであってもよく、この場合、各条件につき緩和モード、厳格モードの各条件を設定するものであってもよい。
【0040】
上記自動停止条件、再始動条件および自動停止禁止条件を構成する3種類のモードは、例えば、エンジン制御装置に設けられたモード選択スイッチ50を運転者が手動操作することにより、或いは上記条件補正手段8の出力信号に応じて、何れか一つのモードが選択されて使用されるようになっている。例えば、エンジンのスタートと同時に通常モードが設定された後、後述するように車両の燃料残量に対応したモードが自動的に選択されるようになっている。また、上記モードの手動選択状態と、自動選択状態とを切換可能に構成することも可能である。
【0041】
上記表示制御手段2は、エンジンの運転状況に応じて表示部27を制御するとともに、車両用ナビゲーション装置21を制御し、また自動停止禁止位置(個別自動停止禁止位置、領域別自動停止禁止位置)を自動停止禁止条件に追加・削除し得るように構成されるものである。
【0042】
すなわち、上記表示制御手段2は、エンジン制御手段1の自動停止制御手段5によるエンジンの自動停止時に、表示部27に設けられた自動停止中ランプ28を点灯させる指令信号を出力して上記自動停止制御が実行中であることを表示するとともに、上記自動停止禁止手段7によるエンジンの自動停止禁止中に、表示部27に設けられた自動停止禁止中ランプ29を点灯させる指令信号を出力して自動停止禁止制御が実行中であることを表示する一方、上記再始動制御手段6によるエンジンの再始動時に、表示部27に設けられた再始動ランプ30を点灯させる指令信号を出力して上記再始動制御が実行されていることを表示するように構成されている。このように、エンジン制御手段1が上記各種制御を実行している時に各種ランプを点灯することにより、乗員にエンジンの運転状況を報知し、誤解の発生を未然に防止するものとなされている。なお、この表示部27は、報知手段であればランプにより構成されるものでなくてもよく、例えば音声により聴覚を介して報知するものであってもよい。
【0043】
また、上記表示制御手段2は、目的地までの経路情報を表示するために設けられた上記車両用ナビゲーション装置21を制御するように構成されている。この車両用ナビゲーション装置21は、各種情報を画面表示する表示画面21aと、この表示画面21aの周囲に配置された各種パネルスイッチと、車両の現在地を検出するGPS(Global Positioning System)や各種センサ等で構成される位置検出手段21cと、所定事項を運転者に対して音声で報知する図略の報知手段とを備えている。
【0044】
表示画面21aは、液晶式のタッチパネルからなっており、上記パネルスイッチの操作に応じて表示される画面において当該表示画面21aの特定部位を触れることにより設定項目を選択するためのアイコンや、当該表示画面21aの特定部位を触れることにより、上記のように選択された設定項目を確定させるためのアイコンボタンを表示可能に構成されている。
【0045】
本実施形態において、上記表示画面21aに表示されるアイコン及び、アイコンボタン、上記パネルスイッチが入力部21bを構成している。
【0046】
このパネルスイッチには、図5に示すように、目的地までの経路情報を表示するナビゲーション画面または、テレビ画面を表示画面21aにおいて切り替え表示させるためのナビスイッチW1、テレビスイッチW2と、自動停止禁止位置を追加・削除する場合における選択画面(メニュー画面)を表示画面21aに表示させるための条件確認変更スイッチW3と、車両停止中に現在位置をエンジンの自動停止を禁止させたい位置として希望する場合に該位置を自動停止禁止位置として表示制御手段2を介して記憶手段41に記憶させる実行禁止入力スイッチW4(自動停止禁止入力手段)と、上記位置検出手段21cにより検出された現在位置を道路地図情報と関連付けて表示させる現在位置表示スイッチW5と、車両の目的地を上記道路地図情報上に設定するための目的地セットスイッチW6と、上記表示画面21aに表示される設定項目を必要に応じて選択するとともに、表示された地図情報を上下左右へスクロールするためのカーソルキーW7と、上記車両用ナビゲーション装置21の電源をON/OFFするための電源スイッチW8とが設けられている。
【0047】
すなわち、上記表示制御手段2は、上記入力部21bの操作に応じ、上記地図情報、上記位置検出手段21cにより検出される車両の現在位置、及び自動停止禁止位置を表示画面21aへ表示させるように構成されている。また、上記表示制御手段2は、上記目的地セットスイッチW6が操作されるのに応じて、上記入力部21bにより設定された目的地への車両の経路情報を表示するために上記地図情報に基づいて検索された適切な経路情報を表示画面21aへ表示させ、さらに当該経路情報に従って車両を走行させるために、運転者への音声案内を上記報知手段に出力させる機能を備えている。
【0048】
さらに、上記表示制御手段2は、入力部21bからの入力に応じ自動停止禁止位置情報を追加、削除するように構成されている。そして、追加・削除し得る自動停止禁止位置情報は、上述したように領域別自動停止禁止位置情報と、個別具体的自動停止禁止位置情報との2種類があり、これらの内容は条件確認変更スイッチW3を押圧操作することにより表示画面21aに表示される選択画面(図10参照)で各自動停止禁止位置情報に対応したアイコンIC1、IC2を選択すれば確認することができる。これら禁止位置情報の追加・削除については、後述する。
【0049】
上記AT制御手段3は、自動停止制御手段5によるエンジンの自動停止制御が実行されることにより、自動変速機に供給される作動油の圧力が低下した場合に、ATF切換弁32に切換指令信号を出力して上記作動油の供給経路をエンジンによって駆動される機械式オイルポンプ側から電動オイルポンプ33側に切り換えるとともに、この電動オイルポンプ33を作動させる作動指令信号を出力して、この電動オイルポンプ33から自動変速機に所定圧力の作動油を供給するように構成されている。
【0050】
上記ヒルホルダー制御手段4は、車両が坂道で停止状態となった場合に、ブレーキオイルの供給通路を遮断するヒルホルダー用ソレノイド弁34に作動指令信号を出力することにより、上記ブレーキオイルの圧力が低下することに起因した車両の後ずさり等を防止するように構成されている。
【0051】
上記条件補正手段8は、燃料タンク内の燃料残量が後述する複数の基準値よりも少なくなったことを検出する燃料残量検出手段22の出力信号に応じ、上記自動停止条件、再始動条件、自動停止禁止条件を適宜補正するものである。
【0052】
具体的には、燃料残量検出手段22は、図外の燃料タンク内の燃料残量が、上記自動停止条件を補正するために設定された停止条件用基準値、上記再始動条件を補正するために設定された始動条件用基準値、及び上記自動停止禁止条件を補正するために設定された禁止条件用基準値よりも少なくなったことを検出し、基準値ごとに異なる出力信号を条件補正手段8に送信し得るように、例えばフューエルゲージ、または基準値に応じた個数の燃料残量警告センサ等を利用して構成されている。
【0053】
本実施形態においては、停止条件用基準値と始動条件用基準値とが第1基準値V1として同一値に設定されている。一方、禁止条件用基準値は、第1基準値V1よりも小さい値に設定されているとともに、第2基準値V2及びこの第2基準値V2よりも小さい値の第3基準値V3の二つを有する。そして、条件補正手段8は、各基準値に基づいて各条件を補正するように構成されている(図9参照)。なお、これらの基準値は、運転者等の意思に応じた自動停止の実行確保と、消費燃料の節約とのバランスを考慮して適宜設定される。
【0054】
より具体的には、条件補正手段8は、燃料残量検出手段22からの出力信号に応じ、燃料残量がいずれの基準値を下回ったかを判定し、エンジン制御手段1にアクセスして、エンジン制御手段1により読み取るべき条件を変更するように補正するものとなされている。すなわち、第1基準値V1を下回った場合には、自動停止の実行がされ易いように自動停止制御手段5により読み取られる自動停止条件を変更するとともに、自動停止後の再始動時期が遅れるように再始動制御手段6により読み取られる再始動条件を変更する一方、第2基準値V2、第3基準値V3を下回った場合には自動停止禁止位置を段階的に限定するように自動停止禁止手段7により読み取られる自動停止禁止条件を段階的に変更する。
【0055】
例えば、自動停止条件、再始動条件、自動停止禁止条件のそれぞれが、通常モードに設定され、燃料タンク内の燃料残量が第1基準値V1を下回った場合に、燃料残量検出手段22によって発せられた出力信号を受けた条件補正手段8は、エンジン制御手段1にアクセスして、自動停止制御手段5に読み出される自動停止条件を通常モードの条件から緩和モードの条件に自動的に変更補正するとともに、再始動制御手段6に読み出される再始動条件を通常モードの条件から厳格モードの条件に変更補正する(図9参照)。これにより、車両のエンジンは、自動停止が実行され易い状態に移行すると共に、自動停止後の再始動がされ難い状態に移行し、自動停止期間が比較的長いものとなる。
【0056】
一方、燃料タンク内の燃料がさらに消費され、その燃料残量が第2基準値V2を下回った場合には、燃料残量検出手段22の出力信号に応じて条件補正手段8は、エンジン制御手段1にアクセスして、自動停止禁止手段7により読み出される自動停止禁止条件を通常モードの条件から厳格モードとして原則的に適用される条件に変更補正する(図9参照)。すなわち、自動停止禁止位置のうち初期自動停止禁止位置と個別自動停止禁止位置におけるエンジンの自動停止が禁止されるのみで、乗員により選択された領域別自動停止禁止位置でのエンジンの自動停止が乗員の意思に反しても実行されることとなる。これにより、エンジンの自動停止が実行される機会が増え、自動停止期間が全体として長いものとなる。
【0057】
そして、さらに燃料が消費され、その燃料残量が第3基準値V3を下回った場合には、燃料残量検出手段22の出力信号に応じて条件補正手段8は、エンジン制御手段1にアクセスして、自動停止禁止手段7により読み出される自動停止禁止条件を通常モードの条件から厳格モードとして例外的に適用される条件に補正する(図9参照)。すなわち、自動停止禁止位置のうち初期自動停止禁止位置でのエンジンの自動停止が禁止されるのみで、乗員により選択された領域別自動停止禁止位置及び個別自動停止禁止位置でのエンジンの自動停止が乗員の意思に反しても実行されることとなる。これにより、エンジンの自動停止が実行される機会がさらに増え、自動停止期間が全体としてさらに長いものとなる。
【0058】
上記記憶手段41には、上述した道路地図情報、自動停止条件、再始動条件、自動停止禁止条件及び、自動停止禁止位置情報が上記エンジン制御手段1及び表示制御手段2の要求に応じて読み出し可能に記憶されている。特に上記自動停止条件、再始動条件及び、自動停止禁止条件は、上記エンジン制御手段1の要求、すなわち上記モード選択スイッチ50或いは条件補正手段8により決定された要求に応じて随時記憶手段41から読み出され、これらの情報に基づきエンジンの自動停止、再始動及び、自動停止禁止制御を行うようになっている。
【0059】
一方、上記自動停止禁止位置情報には、運転者等の乗員により特定された自動停止禁止位置が領域別自動停止禁止位置と個別自動停止禁止位置とを区別できる態様で含まれているとともに、乗員の意思に拘わらずエンジンの自動停止が禁止される初期自動停止禁止位置が含まれている。
【0060】
そして、上記自動停止禁止位置情報は、上記車両用ナビゲーション装置21の出力信号に応じて随時更新(書換、削除)されるとともに、このように更新された自動停止禁止位置は、上記自動停止禁止条件、すなわち図4に示すように自動停止禁止制御を行う特定位置の条件とリンクした状態で記憶手段41へ記憶されることとなる。
【0061】
なお、上記記憶手段41について地図情報記憶手段と自動停止禁止位置を記憶している禁止位置記憶手段を別個に設けるものであってもよい。特に禁止位置記憶手段については、車両に対して単独で着脱可能なものとして構成すれば、車両の乗り換え、地図情報記憶手段の取り替えにあたっても該禁止位置記憶手段を取り外して新たに別車両に取付等することにより、新たに禁止位置を設定する必要がなく、その取り扱いが便利になる。
【0062】
このように構成されたエンジン制御装置による制御動作を図6に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0063】
この制御動作がスタートすると、まず燃料タンク内の燃料残量が第1基準値よりも少ないか否かを判定する(ステップS1)。すなわち、条件補正手段8において燃料残量検出手段22から燃料残量が第1基準値よりも少ないとする出力信号を受けていないか否かを判定する。燃料残量が第1基準値よりも少なくないと判定されると(ステップS1でNO)、燃料残量が第1基準値以上であることが確認され、ステップS2においてエンジンの自動停止が実行されているか否かを判定する。そして、このステップS2でNOと判定された場合、自動停止が実行されていないことを確認し、自動停止制御手段5により運転者によって選択されたモードに応じた自動停止条件が成立しているか否かが判定される(ステップS3)。このステップS3でNOと判定された場合には、そのままリターンする。
【0064】
一方、上記ステップS3において運転者によって選択されたモードに応じた自動停止条件が成立していると判定された場合には、自動停止禁止条件が成立しているか否かが判定され(ステップS4)、自動停止禁止条件が成立していない(ステップS4でNO)と判定されると、自動停止制御手段5によりエンジンの自動停止制御が実行される(ステップS5)。
【0065】
すなわち、上記自動停止制御では、燃料噴射弁16及び、点火コイル17を停止状態とすることにより、エンジンの作動を停止させるとともに、エンジンが自動停止状態にあることを示す自動停止中ランプ28を点灯する。また、上記AT制御手段3からATF切換弁32に切換指令信号を出力して自動変速機に対する作動油の供給経路を機械式オイルポンプ側から電動オイルポンプ33側に切り換えるとともに、上記ヒルホルダー制御手段4からヒルホルダー用ソレノイド弁34への作動指令信号を出力することにより、ブレーキオイルの供給通路を遮断する。これによりブレーキ装置に供給されるブレーキオイルの圧力低下が防止されることになる。
【0066】
一方、上記ステップS4においてYESと判定された場合、すなわち自動停止禁止条件が成立している場合には、上記自動停止成立条件が成立しているにも拘わらずエンジンの作動が継続されていることとなるので、自動停止禁止中ランプ29が点灯され(ステップS6)、運転者等の乗員に現在エンジンの自動停止の実行が禁止されていることを報知してリターンする。
【0067】
次に、上記ステップS2においてエンジンの自動停止が実行中であると判定されると(ステップS2においてYES)、ステップS7において運転者によって選択されたモードに応じた再始動条件が成立しているか否かが判定される。このステップS7においてNOと判定されるとそのままリターンされる一方、YESと判定されると再始動制御が実行される(ステップS12)。
【0068】
すなわち、上記再始動制御では、再始動ランプ30が所定時間点灯されるとともに自動停止中ランプ28が消灯され、その後に燃料噴射弁16及び、点火コイル17の作動停止状態を解除して再始動モータ42を作動させることにより、エンジンを自動的に再始動させる。また、上記AT制御手段3からATF切換弁32に切換指令信号を出力して自動変速機に対する作動油の供給経路を電動オイルポンプ33側から機械式オイルポンプ側に切り換えるとともに、上記ヒルホルダー制御手段4からヒルホルダー用ソレノイド弁34への作動指令信号の出力を停止してブレーキオイルの供給通路を開放することにより、通常のブレーキ油圧供給状態に復帰させる。
【0069】
一方、上記ステップS2においてYES、つまり燃料残量が第1基準値よりも少ないと判定されると、ステップS9において自動停止条件を緩和補正する一方、ステップS10において再始動条件を厳格補正する。
【0070】
すなわち、条件補正手段8が自動停止制御手段5にアクセスして、この自動停止制御手段5により記憶手段41から読み出される自動停止条件が、運転者によって選択されたモードに拘わらず、緩和モードに応じたものとなるように変更補正される。これにより、エンジンは、自動停止が実行され易い状態となり、自動停止の時期が早まり、或いは頻繁に自動停止される結果、燃料消費が抑制されることとなる。また、条件補正手段8が再始動制御手段6にアクセスして、この再始動制御手段6により記憶手段41から読み出される再始動条件が、運転者によって選択されたモードに拘わらず厳格モードに応じたものとなるように変更補正される。これにより、自動停止されたエンジンの再始動時期が遅くなり、自動停止期間が延びる結果、燃料消費が抑制されることとなる。
【0071】
そして、ステップS9及びステップS10において自動停止条件、再始動条件が補正された後、ステップS11において燃料タンク内の燃料残量が第2基準値よりも少ないか否かを判定する。すなわち、条件補正手段8において燃料残量検出手段22から燃料残量が第2基準値よりも少ないとする出力信号を受けていないか否かを判定する。燃料残量が第2基準値よりも少ないと判定されると(ステップS11でYES)、自動停止禁止条件を段階的に補正するべく、ステップS12においてさらに燃料残量が第3基準値よりも少ないか否かを判定する。
【0072】
ステップS12でYESと判定されると、残存燃料が極めて少ないと想定されることから、ステップS13において自動停止禁止条件を、運転者によって選択されたモードに拘わらず、厳格モードとして例外的に適用される条件となるように変更補正される。すなわち、条件補正手段8が自動停止禁止手段7にアクセスして、この自動停止禁止手段7により読み出される自動停止禁止位置情報が初期自動停止禁止位置情報のみに限定されるように厳格補正されて、ステップS15に移行する。
【0073】
一方、ステップS12においてNOと判定されると、ステップS14において自動停止禁止条件を、運転者によって選択されたモードに拘わらず、厳格モードとして原則的に適用される条件となるように変更補正される。すなわち、条件補正手段8が自動停止禁止手段7にアクセスして、この自動停止禁止手段7により読み出される自動停止禁止位置情報が、個別自動停止禁止位置情報及び初期自動停止禁止位置情報のみに限定されるように厳格補正され、ステップS15に移行する。
【0074】
そして、ステップS11においてNOと判定された場合には、ステップS12ないしステップS14をスキップしてステップS15に移行する。
【0075】
このステップS15では、エンジンの自動停止が実行されているか否かを判定する。そして、このステップS15でNOと判定された場合、自動停止が実行されていないことを確認し、自動停止制御手段5により条件補正手段8によって選択されたモードに応じた自動停止条件が成立しているか否かが判定される(ステップS16)。このステップS16でNOと判定された場合には、そのままリターンする。
【0076】
一方、上記ステップS16において条件補正手段8によって選択されたモードに応じた自動停止条件が成立していると判定された場合には、条件補正手段8によって選択されたモードに応じた自動停止禁止条件が成立しているか否かが判定され(ステップS17)、自動停止禁止条件が成立していない(ステップS17でNO)と判定されると、自動停止制御手段5によりステップS5と同様のエンジンの自動停止制御が実行される(ステップS18)。
【0077】
一方、上記ステップS17においてYESと判定された場合、すなわち条件補正手段8により選択されたモードに応じた自動停止禁止条件が成立している場合には、上記自動停止成立条件が成立しているにも拘わらずエンジンの作動が継続されていることとなるので、自動停止禁止中ランプ29が点灯され(ステップS19)、運転者等の乗員に現在エンジンの自動停止の実行が禁止されていることを報知してリターンする。
【0078】
次に、上記ステップS15においてエンジンの自動停止が実行中であると判定されると(ステップS15においてYES)、ステップS20において条件補正手段8により選択されたモードに応じた再始動条件が成立しているか否かが判定される。このステップS20においてNOと判定されるとそのままリターンされる一方、YESと判定されるとステップS8と同様の再始動制御が実行される(ステップS12)。
【0079】
また、エンジン制御装置は、以下に説明する制御動作により上記車両用ナビゲーション装置21の操作に応じて自動停止禁止条件を追加設定可能に構成されている。
【0080】
図7は、個別自動停止禁止位置を自動停止禁止条件として追加する場合におけるこの装置の制御動作を示すフローチャートである。図8は、領域別自動停止禁止位置を自動停止禁止条件として追加するとともに、追加された領域別自動禁止位置及び個別自動停止禁止位置を表示、削除する場合におけるこの装置の制御動作を示すフローチャートである。
【0081】
まず個別自動停止禁止位置を追加する場合について図7に基づいて説明する。制御動作がスタートすると、ステップS51において車両が走行中であるか否かを判定する。車両が走行中と判定された場合には(ステップS51でYES)、そのままリターンする。すなわち、個別自動停止禁止位置の追加は、車両停止中にのみ実行し得るように構成されている。
【0082】
一方、ステップS51においてNOと判定された場合には、ステップS52において実行禁止入力スイッチW4が押圧操作されたか否かを判定し、実行禁止入力スイッチW4が操作されていないと判定されたときは(ステップS52でNO)、そのままリターンする一方、操作されたと判定されたときは(ステップS52でYES)、ステップS53に移行する。ステップS53では、現在位置を個別自動停止禁止位置として自動停止禁止条件に追加する。すなわち、実行禁止入力スイッチW4が押圧操作された時点での車両の停止位置を個別自動停止禁止位置として記憶手段41に記憶することにより、停止位置を自動停止禁止位置情報に追加して自動停止禁止条件に加えることができる。ここで、停止中車両の現在位置が記憶手段41に記憶されるにあたって、表示画面21aに現在位置が、以降第1マークM1として表示されるように記憶される(図12参照)。従って、以降、後述するような個別禁止位置表示画面が表示される場合には、図12に示すように、この個別禁止位置表示画面が表示された時点での車両の現在位置が第3マークM3(図では三角形マーク)として表示されている一方、ステップS53において記憶された個別自動停止禁止位置としての特定位置は、第1マークM1(図では六芒星形マーク)として表示される。
【0083】
次に、領域別自動停止禁止位置を自動停止禁止条件として追加する場合、及び追加された個別自動停止禁止位置及び領域別自動停止禁止位置を表示画面に表示し、これらに基づいて各位置を削除する場合について図8を用いて説明する。
【0084】
まず、制御動作がスタートすると、条件確認変更スイッチW3が操作されたか否かを判定する(ステップS100)。このステップS100で条件確認変更スイッチW3が操作されていないと判定されると(ステップS100でNO)、そのままリターンされる一方、条件確認変更スイッチW3が操作されたと判定されると(ステップS100でYES)、ステップS101で表示画面21aに選択画面(メニュー画面)(図10参照)を表示して、ステップS102に移行する。
【0085】
この選択画面には、その左上に「アイドルストップ実行条件変更画面」と表示されたタイトルアイコンと、図11に示す領域別禁止位置表示画面を表示させるための領域別表示選択ボタンIC1(図10では画面中央上側に「広域条件変更画面」と表示されたボタン)と、図12に示す個別禁止位置表示画面を表示させるための個別表示選択ボタンIC2(図10では領域別表示選択ボタンIC1の直下に「ピンポイント条件変更画面」と表示されたボタン)と、各禁止位置表示画面の表示を実行させるための表示実行ボタンIC3(図10では画面左下に「表示」として表示されたボタン)と、自動停止禁止位置の表示・設定を終了させるための終了ボタンIC4(図10では画面右下に「設定/終了」として表示されたボタン)とが設けられている。なお、このメニュー画面が表示された際には、個別表示選択ボタンIC1が選択された状態となるように予め設定されている。また、本実施形態では、表示画面21aにタッチパネルを採用しているため、後述する各ボタンIC5、IC7〜IC12を含め、画面上に表示される各ボタンIC1〜IC12(IC6を除く)は、表示画面21a上の特定部位を触れることによって、当該各ボタンIC1〜IC12(IC6を除く)に予め設定された機能を実行するようになっている。
【0086】
そして、ステップS102では、表示実行ボタンIC3がタッチ操作されたか否かを判定し、表示実行ボタンIC3がタッチ操作されていないと判定されると(ステップS102でNO)、終了ボタンIC4がタッチ操作されたか否かを判定する(ステップS103)。そして、終了ボタンIC4がタッチ操作されていないと判定されると(ステップS103でNO)、ステップS101にリターンする一方、タッチ操作されたと判定されると(ステップS103でYES)、表示画面21aにナビ画面(或いはテレビ画面)を表示してリターンする。
【0087】
一方、ステップS102でYESと判定されると、ステップS105に移行し、このステップS105では運転者等の乗員によって領域別表示選択ボタンIC1がタッチ操作されて選択されているか否かを判定する。ステップS105でYESと判定されると、表示画面21aに図11に示す領域別禁止位置表示画面を表示する(ステップS106)。
【0088】
すなわち、この領域別禁止位置表示画面は、上記選択画面において領域別選択ボタンIC1をタッチ操作することにより選択され、かつ表示実行アイコンIC3をタッチ操作することにより表示される。この領域別禁止位置表示画面には、その上端に「アイドルストップ実行条件変更画面(広域)」と表示されたタイトルアイコンと、後述する領域別禁止位置選択ボタンIC7の全選択及び全解除を実行するための全選択ボタンIC5a及び全解除ボタンIC5b(図11ではタイトルアイコンの左下側に「禁止」及び「実行」と表示されたボタン)と、車両が停止した場合でも常にエンジンの自動停止が禁止される初期禁止位置を表示するための初期禁止位置アイコンIC6(図11では全解除ボタンIC5bの下側に「踏切り内」と表示されたアイコン)と、エンジンの自動停止を禁止する領域別自動停止禁止位置を選択するための領域別禁止位置選択ボタンIC7(図11では画面右側に「建物内」、「交差点内」、「勾配路」、「高速道路」と上下に列設表示されたボタン)と、自動停止禁止位置の表示・設定を終了させるための終了ボタンIC8(図11では領域別禁止位置選択ボタンIC7の下側に「設定/終了」と表示されたボタン)とが設けられている。
【0089】
初期禁止位置アイコンIC6は、ボタンとして構成されているものではなく、従って乗員の意思により自由に選択することができないものである。本実施形態では、踏切り内のエンジンの自動停止が禁止されるように設定されており、装置製造時に予め固定的に設定されている。
【0090】
領域別禁止位置選択ボタンIC7は、乗員の意思により自由に選択することができるものであり、選択された領域別自動停止禁止位置は、自動停止禁止条件の自動停止禁止位置情報として記憶手段41に追加されるように構成されるとともに、選択された事実が明らかとなるように例えば領域別禁止位置選択ボタンIC7の先頭の白抜き丸内に黒丸が表示されるようになされている。領域別禁止位置選択ボタンIC7は、その数、選択肢としての種類を特に限定しているものではなく、装置製造時に適宜設定される。本実施形態では、「建物内」、「交差点内」、「勾配路」、「高速道路」の4つ設けられている。一方、再度領域別禁止位置選択ボタンIC7をタッチ操作すると、領域別禁止位置選択ボタンIC7の先頭の白抜き丸内の黒丸が消え、その選択が解除されるものとなされている。
【0091】
そして、図8に戻って、ステップS107において終了ボタンIC8がタッチ操作されたか否かを判定して、終了ボタンIC8がタッチ操作されていないと判定されたときは(ステップS107でNO)ステップS106にリターンする一方、タッチ操作されたと判定されたときは(ステップS107でYES)選択されているアイコン(領域別禁止位置選択ボタンIC7)が変更されているか否かを判定する(ステップS108)。このステップS108でYESと判定されたときは、記憶手段41に記憶されている自動停止禁止位置情報のうち、領域別自動停止禁止位置情報を更新して(ステップS109)、その後に表示画面21aにナビ画面(或いはテレビ画面)を表示し(ステップS110)リターンする。一方、ステップS108でNOと判定されたときは、ステップS109をスキップしてステップS110に移行する。
【0092】
次にステップS105でNO、すなわち領域別禁止位置表示画面のアイコン(領域別表示選択ボタンIC1)が選択されていないと判定されたときは、当初から選択されている個別表示選択ボタンIC2の選択があったものと確認され、表示画面21aに、図12に示すような個別禁止位置表示画面を表示する。
【0093】
この個別禁止位置表示画面には、道路地図情報、第1マークM1、第3マーク以外に、車両の目的地を表示する第2マークM2(図12では五芒星形マーク)、現在位置から目的地までの経路を道路地図情報と関連付けられて表示された経路情報PH1、道路地図情報等を拡大及び縮小表示させるための拡大表示ボタンIC9及び縮小表示ボタンIC10、運転者により選択された個別自動停止禁止位置でのエンジンの自動停止禁止を解除させるため、すなわち選択された第1マークM1でのエンジンの自動停止を実行させるための禁止解除ボタンIC11及び、個別自動停止禁止位置情報の削除・表示を終了してナビ画面(或いはテレビ画面)を表示させるための終了ボタンIC12(図11では領域別禁止位置選択ボタンIC7の下側に「設定/終了」と表示されたボタン)と、その左上に「アイドルストップ実行条件変更画面(ピンポイント)」と表示されたタイトルアイコンとが設けられている。
【0094】
そして、図8に戻って、ステップS111の後に禁止解除ボタンIC11がタッチ操作されたか否かを判定する(ステップS112)。禁止解除ボタンIC11がタッチ操作されていないと判定した場合には(ステップS112でNO)、ステップS113において終了ボタンIC12がタッチ操作されたか否かを判定し、ステップS113でNOと判定されたときはステップS111にリターンし、ステップS113でYESと判定されたときはステップS114において表示画面21aにナビ画面(或いはテレビ画面)を表示してリターンする。
【0095】
一方、ステップS112においてYESと判定されたときは、ステップS115において運転者等の乗員によって表示されているいずれかの第1マークM1が選択されているか否かを判定する。ここで、上記第1マークM1の選択は、次のようにして行われる。すなわち、上述したように表示画面21aにタッチパネルを採用しているため、表示されている第1マークM1のうち、エンジンの自動停止を実行したい位置に対応するマークが表示された表示画面21a上の特定の部位を触れることによって第1マークM1の選択を行うことができる。
【0096】
そして、このステップS115においてNOと判定されたときは、第1マークM1がいずれも選択されていない状況にあり、従って例えば「エンジンの実行停止を実行したい位置を選んでください。」等の選択操作を催促する表示を表示画面21aに表示してステップS111にリターンする。そして、上記ステップS115でYESと判定されたときは、選択された第1マークM1に対応する個別自動停止禁止位置情報をリセットする(ステップS117)。すなわち、選択されている第1マークM1に対応する個別自動停止禁止位置情報を記憶手段41に記憶されている自動停止禁止位置情報から消去する。従って、例えば図12において、第1マークM1が消去されたときは、図12において第1マークM1は存在しない状態となる。
【0097】
その後にステップS118で終了ボタンIC12がタッチ操作されたか否かを判定し、タッチ操作されていないと判定した(ステップS118でYES)ときには上記ステップS111にリターンする一方、タッチ操作されたと判定した(ステップS119)ときにはステップS119で表示画面21aにナビ画面(或いはテレビ画面)を表示してリターンする。
【0098】
以上説明したエンジン制御装置の制御動作によって、予め設定された自動停止条件が成立したときにエンジンを自動的に停止させるとともに、エンジンの自動停止中に予め設定された再始動条件が成立したときにエンジンを自動的に再始動させる一方、上記自動停止条件が成立した場合であっても、設定された上記各自動停止禁止条件が成立したときには、エンジンの自動停止を禁止させることとなる。そして、運転者等の希望に応じて個別自動停止禁止位置、及び領域別自動停止禁止位置を追加・削除することができる一方、燃料タンク内の燃料残量に応じて、エンジン制御手段1が読み出す各条件を条件補正手段8により補正して、消費燃料を抑制するものとなされている。
【0099】
すなわち、この装置によれば、燃料タンク内の燃料残量が第1基準値よりも少なくなったことを検出する燃料残量検出手段22と、上記燃料残量が第1基準値よりも少ないことが検出されたときに上記自動停止条件をエンジンの自動停止が行われやすいように補正するとともに上記再始動条件をエンジンの再始動時期が遅くなるように補正する条件補正手段8とを備えているので、エンジンの自動停止時期が早まるとともに再始動時期が遅くなり、これによりエンジンの自動停止期間が可及的に長くなる。従って、エンジンの作動期間を抑制して残存燃料を節約することができるとともに、エンジンの自動停止期間に燃料タンク内、燃料通路等に気化している燃料を再液化してエンジンの作動のための燃料として利用することにより、燃料補給までの車両の走行距離を可及的に長く確保することができる。
【0100】
しかも、条件補正手段8により自動停止制御手段5により読み出される自動停止条件が補正されることにより、エンジンの自動停止の機会が増え、エンジンの作動を抑制して残存燃料の節約を図ることができる。
【0101】
また、記憶手段41に記憶されている道路地図情報と位置検出手段21cにより検出された車両の現在位置とに基づいて、道路地図情報と関連付けた状態で車両の現在位置を特定することができ、この車両の現在位置と道路地図情報を利用して道路環境に応じたエンジンの自動停止及びその禁止を実行することができる。しかも、この装置では、運転者等の乗員によって、実行禁止位置入力スイッチW4やタッチパネルの各ボタンという入力手段を用いて個別自動停止禁止位置、領域別自動停止禁止位置を設定することができるので、燃費及びエミッションを向上させつつ、乗員の意思に従ったスムーズな発進等の走行を確保することができる。
【0102】
さらに、上記燃料残量検出手段22は、燃料残量が第1基準値の他、第2,第3基準値よりも少なくなったことを検出し得るように構成され、上記条件補正手段8は、燃料残量が第2、第3基準値よりも少ないことが検出されたときに、自動停止禁止位置に関する条件を段階的に限定補正するように構成されているので、燃料残量が減少するのに伴って乗員の意思よりも燃料の節約を優先させ、エンジンの自動停止の機会を減らすことができる。これにより、残存燃料の節約を図り、簡単な構成で燃料補給までの車両の走行距離をより一層長く確保することができる。
【0103】
なお、以上にこの発明に係る車両のエンジン制御装置の実施形態について説明したが、この発明に係るエンジン制御装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、この発明の趣旨に反しない範囲で種々の変更が可能である。
【0104】
▲1▼上記実施形態では、残存燃料が第1ないし第3基準値を下回ったときに自動停止条件、自動停止禁止条件の各条件を緩和モードに対応する条件に変更補正するとともに再始動条件を厳格モードに対応する条件に変更補正するように条件補正手段8が構成されているが、上記趣旨に反しない特別のモードを別途設け、各基準値を下回った場合にこの特別モードに対応する条件に変更補正するように条件補正手段を構成するものであってもよい。
【0105】
▲2▼上記実施形態では、エンジン制御装置の制御手段40の制御によって、車両用ナビ装置21等により経路情報を提供するように構成されているが、この構成に代えて、車両用ナビ装置21に別途CPUを設けることも可能である。このように構成することにより、車両用ナビ装置21のCPUが経路情報を提供し、エンジン制御装置の制御手段40が自動停止、再始動、自動停止禁止等の制御を実行することが可能となる結果、各処理に対する処理速度を向上させることができる。しかも、周知の車両用ナビ装置を可及的に設計変更せずに使用することが可能となる。上記のように構成した場合には、上記表示制御手段2が記憶手段41から自動停止禁止位置情報を読み出すとともに、これを車両用ナビ装置21のCPUへ出力し、車両用ナビ装置21のCPUが当該自動停止位置情報を表示画面21aへ表示することとなる。そして、実行禁止入力スイッチW4により自動停止禁止位置が設定された場合には、車両用ナビ装置21のCPUが当該設定内容をエンジン制御装置の制御手段40へ出力し、この制御手段40が上記設定内容に応じて、記憶手段41内の自動停止禁止条件の更新を行うこととなる。
【0106】
▲3▼上記実施形態においては、記憶手段41内に地図情報が記憶されているが、この構成に代えて、車両用ナビ装置21に別途記憶媒体読取手段を設け、記憶媒体(例えばDVD−ROM等)に記憶された地図情報を読み取らせるようにしてもよい。
【0107】
▲4▼上記実施形態では、エンジンのカムシャフトを回転駆動する再始動モータ42を作動させることにより、停止状態にあるエンジンを自動的に再始動させるように構成した例について説明したが、この構成に代えて上記特許文献1の実施形態に開示されているように、エンジンの出力軸により駆動されるモータ・ジェネレータを再始動用のモータもしくはエンジン始動用のセルフスタータを使用してエンジンを自動的に再始動させ、あるいは特願2002−287471号で採用されているようにエンジンの自動停止後に再始動させる際に、膨張行程にある気筒に対して燃料噴射させて点火、燃焼を行わせることによりエンジンを再始動させるように構成してもよい。
【0108】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に係る発明によれば、燃料残量が予め設定された停止条件用基準値よりも少なくなったことを燃料残量検出手段により自動的に検出することができ、この検出があったときに条件補正手段により自動停止条件がエンジンの自動停止が行われやすいように補正することができる。このように自動停止条件がエンジンの自動停止が行われやすいように補正されることで、エンジンの自動停止期間の始期が早まり、或いは自動停止の機会が増え、エンジンの作動を抑制して残存燃料を節約することができる。従って、簡単な構成で燃料補給までの車両の走行距離を可及的に長く確保することができる。
【0109】
請求項2に係る発明によれば、燃料残量が予め設定された始動条件用基準値よりも少なくなったことを燃料残量検出手段により自動的に検出することができ、この検出があったときに条件補正手段により再始動条件がエンジンの再始動が遅くなるように補正することができる。このように再始動条件がエンジンの再始動が遅くなるように補正されることで、エンジンの自動停止期間の終期が遅くなり、エンジンの作動期間を可及的に短くして残存燃料を節約することができる。このため、簡単な構成で燃料補給までの車両の走行距離を可及的に長く確保することができる。
【0110】
請求項3に係る発明によれば、燃料残量検出手段により燃料タンク内の燃料残量が禁止条件用基準値よりも少なくなったことを自動的に検出することができる。この検出があったときに条件補正手段により自動停止禁止条件がエンジンの自動停止が禁止され難いように補正されて、エンジンの自動停止が禁止される機会を減らし、言い換えるとエンジンの自動停止の機会を増やして残存燃料の節約を図ることができる。従って、簡単な構成で燃料補給までの車両の走行距離を一層長く確保することができる。
【0111】
請求項4に係る発明によれば、地図情報記憶手段と位置検出手段とを備えているので、道路地図上の車両の現在位置を特定することができる。そして、エンジンの自動停止を禁止する自動停止禁止条件に特定の道路環境、例えば、踏切周辺や交差点等の環境が予め設定されているので、各道路環境に応じてエンジンの自動停止を禁止することができる一方、自動停止禁止位置を設定している場合であっても燃料残量に応じて適宜エンジンの自動停止が実行される。従って、利便性の確保と、残存燃料の節約との均衡を図ることができる。
【0112】
請求項5に係る発明によれば、乗員の意思を可及的に反映することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る車両のエンジン制御装置の実施形態を示すブロック図である。
【図2】エンジンの自動停止条件を示す表である。
【図3】エンジンの再始動条件を示す表である。
【図4】エンジンの自動停止禁止条件を示す表である。
【図5】車両用ナビゲーション装置を示す正面図である。
【図6】エンジン制御装置による制御動作を示すフローチャートである。
【図7】個別自動停止禁止位置を自動停止禁止条件として追加する場合におけるこの装置の制御動作を示すフローチャートである。
【図8】領域別自動停止禁止位置を自動停止禁止条件として追加するとともに、追加された領域別禁止位置及び個別自動停止禁止位置を表示、削除する場合におけるこの装置の制御動作を示すフローチャートである。
【図9】燃料残量と各条件において条件補正手段により選択されるモードとの関係を示す表である。
【図10】選択画面を示す画面図である。
【図11】領域別禁止位置表示画面を示す画面図である。
【図12】個別禁止位置表示画面を示す画面図である。
【符号の説明】
1 エンジン制御手段
2 表示制御手段
5 自動停止制御手段
6 再始動制御手段
7 自動停止禁止手段
8 条件補正手段
21 車両用ナビゲーション装置
21c 位置検出手段
22 燃料残量検出手段
41 記憶手段(地図情報記憶手段)
【発明の属する技術分野】
本発明は、予め設定された自動停止条件が成立したときにエンジンを自動的に停止させるとともに、エンジンの自動停止中に予め設定された再始動条件が成立したときにエンジンを自動的に再始動させるように構成された車両のエンジン制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、予め設定された所定条件に基づいて、エンジンを運転状態と停止状態とに相互に自動的に切り換える自動停止・復帰制御を行うことが可能な車両のエンジン制御装置において、エンジンの自動停止・復帰制御を行う場合の条件として、車両の乗員により選択される走行経路の道路環境を追加する条件追加手段を備えたものが提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1のエンジン制御装置は、予め設定されている自動停止条件、復帰条件に加え、上記条件追加手段により特定の道路環境、例えば、踏切周辺や交差点等をエンジンの自動停止を禁止する環境として条件設定することができるため、乗員の希望に応じた道路環境ではエンジンの自動停止を禁止しつつ、選択された道路環境以外の環境ではエンジンを自動停止させることが可能となる。そして、その結果、不要なエンジンの作動を抑制して燃料を節約することができるとともに、排気エミッションを向上させることができるという利点がある。
【0004】
【特許文献1】
特開平12−110608号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、車両はその走行性を確保するため、燃料を補給しなければならないが、例えば運転者の失念、或いは走行経路の近傍に燃料補給場所が存在しなかったといった種々の理由から、僅かな残存燃料で走行しなければならない場合がある。
【0006】
このような場合に、上記特許文献1のエンジン制御装置では、残存燃料の有効利用といった面で不満の残るものであった。すなわち、上記特許文献1の装置では、エンジンの自動停止を実行することにより不要な作動を抑制して燃料を節約することができるものの、予め設定された自動停止条件、復帰条件が一律に適用されるものであるため、車両の燃料事情について特段の考慮が払われているものではなかった。
【0007】
また、上記特許文献1のエンジン制御装置において、条件追加手段により特定の道路環境が追加されている状況で運転者において燃料が残り僅かになったことを気付いた場合には、この条件追加手段により追加されていた条件を解除することにより、エンジンの自動停止回数を増やして残存燃料の節約を図ることも考えられるが、この方法においては運転者において残存燃料について監視し、残存燃料が所定量を下回った時点で上記追加された条件の解除操作をしなければならず、いささか面倒であった。
【0008】
本発明は、上記のような従来技術に鑑みてなされたものであり、車両の燃料事情に応じてエンジンの自動停止に関する各条件を自動的に補正することにより、残存燃料を有効に利用し、燃料補給までの車両の走行距離を可及的に長く確保することができる車両のエンジン制御装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、予め設定された自動停止条件が成立したときにエンジンを自動的に停止させるとともに、エンジンの自動停止中に予め設定された再始動条件が成立したときにエンジンを自動的に再始動させるように制御するエンジン制御手段を備えた車両のエンジン制御装置において、燃料タンク内の燃料残量が上記自動停止条件を補正するために設定された停止条件用基準値よりも少なくなったことを検出する燃料残量検出手段と、上記燃料残量が上記停止条件用基準値よりも少ないことが検出されたときに上記自動停止条件をエンジンの自動停止が行われやすいように補正する条件補正手段とを備えていることを特徴とするものである。
【0010】
この発明によれば、燃料タンク内の燃料残量が停止条件用基準値よりも少なくなったことを検出する燃料残量検出手段と、上記燃料残量が上記停止条件用基準値よりも少ないことが検出されたときに上記自動停止条件をエンジンの自動停止が行われやすいように補正する条件補正手段とを備えているので、燃料残量が予め設定された停止条件用基準値よりも少なくなったことを燃料残量検出手段により自動的に検出することができ、この検出があったときに条件補正手段により自動停止条件がエンジンの自動停止が行われやすいように補正される。このように自動停止条件がエンジンの自動停止が行われやすいように補正されることで、エンジンの自動停止期間の始期が早まり、或いは自動停止の機会が増え、エンジンの作動を抑制して残存燃料を節約することができる。従って、簡単な構成で燃料補給までの車両の走行距離を可及的に長く確保することができる。
【0011】
請求項2に係る発明は、予め設定された自動停止条件が成立したときにエンジンを自動的に停止させるとともに、エンジンの自動停止中に予め設定された再始動条件が成立したときにエンジンを自動的に再始動させるように制御するエンジン制御手段を備えた車両のエンジン制御装置において、燃料タンク内の燃料が上記再始動条件を補正するために設定された始動条件用基準値よりも少なくなったことを検出する燃料残量検出手段と、上記燃料残量が上記始動条件用基準値よりも少ないことが検出されたときに上記再始動条件をエンジンの再始動時期が遅くなるように補正する条件補正手段とを備えていることを特徴とするものである。
【0012】
この発明によれば、燃料タンク内の燃料残量が始動条件用基準値よりも少なくなったことを検出する燃料残量検出手段と、上記燃料残量が上記始動条件用基準値よりも少ないことが検出されたときに上記再始動条件をエンジンの再始動時期が遅くなるように補正する条件補正手段とを備えているので、燃料残量が予め設定された始動条件用基準値よりも少なくなったことを燃料残量検出手段により自動的に検出することができ、この検出があったときに条件補正手段により再始動条件がエンジンの再始動が遅くなるように補正される。このように再始動条件がエンジンの再始動が遅くなるように補正されることで、エンジンの自動停止期間の終期が遅くなり、エンジンの作動期間を可及的に短くして残存燃料を節約することができる。このため、簡単な構成で燃料補給までの車両の走行距離を可及的に長く確保することができる。
【0013】
請求項3に係る発明によれば、請求項1または請求項2記載の車両のエンジン制御装置において、上記エンジン制御手段は、予め設定された自動停止禁止条件が成立したときに上記自動停止条件に拘わらずエンジンの自動停止の実行を禁止するように構成される一方、上記燃料残量検出手段は、燃料タンク内の燃料残量が上記自動停止禁止条件を補正するために設定された禁止条件用基準値よりも少なくなったことも検出し得るように構成され、上記条件補正手段は、上記燃料残量が上記禁止条件用基準値よりも少ないことが検出されたときに上記自動停止禁止条件をエンジンの自動停止が禁止され難いように補正するものである。
【0014】
この発明によれば、燃料残量検出手段により燃料タンク内の燃料残量が禁止条件用基準値よりも少なくなったことを自動的に検出することができる。この検出があったときに条件補正手段により自動停止禁止条件がエンジンの自動停止が禁止され難いように補正される。このように自動停止禁止条件がエンジンの自動停止が禁止され難いように補正されることで、エンジンの自動停止が禁止される機会を減らし、言い換えるとエンジンの自動停止の機会を増やして残存燃料の節約を図ることができる。従って、簡単な構成で燃料補給までの車両の走行距離を一層長く確保することができる。
【0015】
請求項4に係る発明によれば、請求項3記載の車両のエンジン制御装置において、道路地図情報を記憶する地図情報記憶手段と、上記道路地図情報と関連付けて車両の現在位置を検出する位置検出手段とを備え、上記自動停止禁止条件には、上記地図情報記憶手段と位置検出手段とにより特定される車両の現時点での停止位置が予め設定された特定位置である場合にエンジンの自動停止が禁止される自動停止禁止位置に関する条件が含まれ、上記条件補正手段による上記自動停止禁止条件の補正は、上記自動停止禁止位置の少なくとも一部を上記自動停止禁止条件から外すものである。
【0016】
この発明によれば、地図情報記憶手段と位置検出手段とを備えているので、道路地図上の車両の現在位置を特定することができる。そして、エンジンの自動停止を禁止する自動停止禁止条件に特定の道路環境、例えば、踏切周辺や交差点等の環境が予め設定されているので、各道路環境に応じてエンジンの自動停止を禁止することができる。しかも、燃料残量が禁止条件用基準値を下回った場合には条件補正手段によって上記自動停止禁止位置の少なくとも一部を上記自動停止禁止条件から外すように補正されるので、自動停止禁止位置を設定している場合であっても燃料残量に応じて適宜エンジンの自動停止が実行される。従って、利便性の確保と、残存燃料の節約との均衡を図ることができる。ここで、この自動停止禁止位置として予め設定されている特定位置は、製造段階で設定されているものであってもよいし、使用時に運転者等の乗員により設定されたもの等であってもよい。また、運転者等の乗員により設定される特定位置は、個別具体的な道路環境であってもよいし、領域的に一律に適用される道路環境であってもよい。
【0017】
請求項5に係る発明は、請求項3または請求項4記載の車両のエンジン制御装置において、上記禁止条件用基準値は上記停止条件用基準値または上記始動条件用基準値よりも小さく設定されているものである。
【0018】
すなわち、自動停止禁止位置に関する自動停止禁止条件は、乗員等が特に必要と考えて設定されていることが多いので、請求項1に係る発明を含む発明については、まず始めに自動停止条件を補正してから自動停止禁止条件を補正するものとなされている。或いは、請求項2に係る発明を含む発明については、まず始めに始動条件を補正してから自動停止禁止条件を補正するものとなされている。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。
【0020】
図1は、本発明に係るエンジン制御装置の実施形態を示すブロック図である。この制御装置は、各種演算処理を実行する制御手段40と、この制御手段40の指令に応じて入出力可能に各情報を記憶する記憶手段41とを備えている。この制御手段40は、エンジンの自動停止とその禁止及び、自動再始動を行うエンジン制御手段1と、これらのエンジンの自動停止、その禁止、自動再始動のための各条件を適宜補正する条件補正手段8と、車両のインストルメントパネル等に設けられた後述の表示部27及び後述の車両用ナビゲーション装置21等を制御する表示制御手段2と、自動変速機に対する作動油の供給状態を制御するAT制御手段3と、坂道における停車時に車両の後ずさり等を防止するヒルホルダー制御手段4とを備えている。
【0021】
エンジン制御手段1は、予め設定された自動停止条件が成立したときにエンジンを自動的に停止させるとともに、エンジンの自動停止中に予め設定された再始動条件が成立したときにエンジンを自動的に再始動させる一方、所定の自動停止禁止条件が成立したときに自動停止条件に拘わらずエンジンの自動停止を禁止するように制御するものである。これらの各条件は記憶手段41に記憶され、エンジン制御手段1の要求に応じて読み出し可能に構成されている。
【0022】
具体的には、上記エンジン制御手段1には、予め設定された自動停止条件が成立したときにエンジンを自動的に停止させる自動停止制御手段5と、予め設定された再始動条件が成立したときにエンジンを自動的に再始動させる再始動制御手段6と、所定の自動停止禁止条件が成立したときに上記自動停止制御手段5によるエンジンの自動停止を禁止する自動停止禁止手段7とが設けられている。
【0023】
上記自動停止制御手段5は、運転者によるブレーキペダルの踏込状態を検出するブレーキセンサ10、車両の走行速度を検出する車速センサ11、自動変速機のシフトレバー位置を検出するインヒビタスイッチ12、パーキングブレーキの操作状態を検出するパーキングブレーキスイッチ13、方向指示器を作動させるためのウィンカスイッチ14及び、エアコンの作動状態を検出するエアコンセンサ15、エンジンの冷却水温度を検出するエンジン水温センサ20、及び前回にエンジンの自動停止が行われた後に、エンジンが再始動された時点から現時点までの経過時間を計測する図外のタイマ等からの出力信号に応じ、エンジンの自動停止条件が成立したか否かを判別し、この自動停止条件が成立したことが確認された場合に、燃料噴射弁16からの燃料噴射を停止させるとともに、点火コイル17による混合気の点火を停止させることにより、エンジンの作動を自動的に停止させるように構成されている。
【0024】
エンジンの自動停止を行うか否かを判別する自動停止条件としては、図2に示すように、通常モードと、緩和モードと、厳格モードとの3種類がある。この通常モードの自動停止条件には、例えば第1にブレーキセンサ10がONであること、第2に車速センサ11により検出された車速が0であること、第3にインヒビタスイッチ12により検出された自動変速機のシフトレバー位置が非走行レンジであること、第4にウィンカスイッチ14がOFF状態にあること、第5にエアコンセンサ15からエアコンが停止状態であることを示す検出信号が出力されていること、第6に上記水温センサ20の検出信号に応じてエンジンの冷却水温度が所定値以上であること、つまりエンジンの暖機が完了していること、第7に上記タイマの出力信号に応じて上記経過時間が予め設定された第2設定時間t2以上であること、つまりエンジンの自動停止制御が頻繁に繰り返されていない状態にあることの7項目の条件がある。そして、これら7項目の条件が全て満たされたときに、自動停止制御手段5においてエンジンの自動停止条件が成立したと判別され、エンジンを自動的に停止させる制御が実行されるようになっている。
【0025】
一方、緩和モードの自動停止条件は、シフトレバー位置がR(後退)レンジ以外である場合に上記第3の条件が満たされたと判定され、かつ上記第4及び、第5の条件が考慮されず、さらに上記経過時間が、通常モードの第2設定時間t2よりも短い時間に設定された第1設定時間t1以上であることが確認された場合に、上記第7の条件が満たされたと判定されている点を除き、上記通常モードの自動停止条件と同様に設定されている。
【0026】
また、厳格モードの自動停止条件は、ブレーキセンサ10により検出されたブレーキペダル踏込操作量が予め設定された所定値以上である場合に上記第1の条件が満たされたと判定されるとともに、シフトレバー位置がP(駐車)レンジである場合に上記第3の条件が満たされたと判定され、かつ上記経過時間が、通常モードの第2設定時間t2よりも長い時間に設定された第3設定時間t3以上であることが確認された場合に、上記第7の条件が満たされたと判定され、さらにパーキングブレーキスイッチ13がON状態であることが第8の条件として追加されている点を除き、上記通常モードの自動停止条件と同様に設定されている。
【0027】
なお、エンジンの自動停止を行うか否かを判定する自動停止条件として、Gセンサ等からなる勾配検出手段により検出された路面勾配が予め設定された所定値未満であるという条件を付加してもよい。例えば、通常モードの自動停止条件に基づいて上記判定を行う際に、路面勾配の検出値が予め設定された第1の基準値未満であること、つまり路面勾配があまり大きくないことを必須条件として、上記エンジンの自動停止制御を実行するようにしてもよい。また、厳格モードの自動停止条件に基づいて上記判定を行う際に、路面勾配の検出値が、上記第1の基準値よりも小さな値に設定された第2の基準値未満であること、つまり路面勾配が極めて小さいことを必須条件として、上記エンジンの自動停止制御を実行し、また緩和モードの自動停止条件に基づいて上記判定を行う際に、上記路面勾配を考慮することなく上記エンジンの自動停止制御を実行するようにしてもよい。
【0028】
上記実施形態では、エアコンセンサ15からエアコンが停止状態であることを示す検出信号が出力されていることを第5の条件として設定しているが、エアコンが停止状態であるという条件と、エアコンの作動時に、その目標温度と実際の車室内温度との偏差が所定値未満であるという条件との何れか一方が成立した場合に、第5の条件が満たされたと判定するように構成してもよい。また、ウィンカスイッチ14の検出信号に応じて上記第4の条件が満たされたか否かを判定するように構成された上記実施形態に代え、ステアリングハンドルの操舵角度を検出する舵角センサの出力信号に応じ、上記操舵角度が予め設定された基準角度よりも小さいことが確認された場合に、第4の条件が満たされたと判定するようにしてもよい。さらに、エンジンの自動停止を実行するか否かを判定する第6の条件として、上記エンジンの水温に代えて、エンジンの始動後における時間を検出するタイマの計測時間を使用し、エンジンの始動後に一定時間が経過した後であることが確認された場合に、エンジンが暖機状態にあると判定するようにしてもよい。また、速やかに発進しようとする運転者の意思を尊重するという観点から、上記第7の条件における第1〜第3設定時間t1〜t3を、シフトレバー位置の変速レンジに対応させて変化させ、シフトレバー位置がD(走行)レンジにある場合には、上記第1〜第3設定時間t1〜t3をN(ニュートラル)レンジにある場合に比べてそれぞれ大きな値に設定するように構成することが望ましい。
【0029】
上記再始動制御手段6は、エンジンの自動停止中に、ブレーキセンサ10、車速センサ11、インヒビタスイッチ12、ウィンカスイッチ14、エアコンセンサ15、ブレーキ負圧、つまりブレーキ操作力を補うための倍力装置を構成するブースター内の負圧を検出するブレーキ負圧センサ18及び、スロットル弁の開度を検出するスロットルセンサ19から出力される各検出信号に応じ、エンジンの再始動条件が成立したか否かを判別し、この再始動条件が成立したことが確認された場合に、エンジンのカムシャフトを回転駆動する再始動モータ42を作動させることにより、停止状態にあるエンジンを自動的に再始動させるように構成されている。
【0030】
エンジンの再始動を行うか否かを判定する再始動条件としては、図3に示すように、通常モードと、緩和モードと、厳格モードとの3種類がある。通常モードの再始動条件は、例えば第1にブレーキセンサ10がON状態からOFF状態に移行したこと、第2に車速センサ11により検出された車速が所定値よりも大きい状態が第1基準時間T1以上に亘って継続したこと、第3にインヒビタスイッチ12の検出信号に応じて自動変速機のシフトレバー位置が変化したこと、つまりシフトレバー位置が非走行レンジから走行レンジに変化し、あるいは所定の走行レンジにあったシフトレバー位置が他の走行レンジに変化したこと、第4にウィンカスイッチ14がON状態にあること、第5にブレーキ負圧センサ18により検出されたブレーキ負圧が所定の第2基準値bよりも高くなったこと(つまりブースター内の負圧の絶対値が|基準値b|よりも小さくなったこと)、第6にエアコンセンサ15から停止状態にあったエアコンが作動状態に変化したことを示す検出信号が出力されたことの6項目の条件がある。そして、これら6項目の条件のうちの一つでも成立したときに、エンジンの再始動条件が成立したと判別されて停止状態のエンジンを再始動させる制御が実行されるようになっている。
【0031】
一方、緩和モードの再始動条件は、ブレーキペダルの踏込解除速度が所定値よりも大きい場合に上記第1の条件が満たされたと判定され、かつ上記第2基準値bよりも小さな値に設定された第1基準値aよりもブレーキ負圧が高くなった場合(ブースター内の負圧の絶対値が|基準値a|よりも小さくなった場合)に、上記第5の条件が満たされたと判断されるように構成されている点を除き、上記通常モードの再始動条件と同様に設定されている。
【0032】
また、上記厳格モードの再始動条件は、スロットルセンサ19の検出信号に応じてアクセルペダルが踏み込まれたことが確認された場合に、上記第1の条件が満たされたと判定されるとともに、上記第1基準時間T1よりも長い時間に設定された第2基準時間T2以上に亘り、車速が所定値よりも大きい状態で継続したことが確認された場合に、上記第2の条件が満たされたと判定され、かつ上記第2基準値bよりも大きな値に設定された第3基準値cよりもブレーキ負圧が高くなった場合(ブースター内の負圧の絶対値が|基準値c|よりも小さくなった場合)に、上記第5の条件が満たされたと判定され、さらに上記第3、第4、第6の条件が考慮されないように設定されている。
【0033】
なお、上記通常モード、緩和モード及び、厳格モードの再始動条件として、第7にエンジンの水温が所定値未満に低下したことを追加するとともに、第8にバッテリ電圧が所定値未満に低下したことをそれぞれ追加し、これらの条件の一つでも成立したときにエンジンを再始動させるようにしてもよい。
【0034】
上記自動停止禁止手段7は、車両用ナビゲーション装置21の出力信号に応じ、車両が所定の運転状態にあると判別された場合に、上記自動停止条件が成立した場合にあっても、上記エンジンの自動停止を禁止してエンジンを作動状態に維持するように構成されている。
【0035】
エンジンの自動停止を禁止するか否かを判定する判定条件としては、図3に示すように、緩和モードと、通常モードと、厳格モードとの3種類がある。通常モードの判定条件は、上記車両用ナビゲーション装置21の出力信号に応じて車両が予め設定された自動停止禁止位置に関するものである。そして、この条件が成立したことが上記自動停止禁止手段7において確認された場合に、上記自動停止制御手段5によるエンジンの自動停止制御の実行が禁止されるようになっている。
【0036】
ここで、この条件の自動停止禁止位置に関する情報は、記憶手段41に記憶されている。この自動停止禁止位置情報には、初期設定において記憶され、乗員の希望に応じて追加・削除できない固定的な位置(初期自動停止禁止位置)情報と、運転者の希望に応じて追加、削除される位置情報が含まれる。また、この運転者の希望に応じて追加、削除される位置情報には、具体的な交差点等のピンポイントで表される個別自動停止禁止位置情報と、例えば交差点内、高速道路等の抽象的な領域により表される領域別自動停止禁止位置情報とが含まれる。本実施形態では、領域別自動停止禁止位置は、初期設定において記憶された複数の領域のうち1ないし複数の領域を運転者の意思に応じて選択・解除し、自動停止禁止位置に追加・削除し得るものとなされている。これらの詳細については、後述する。
【0037】
一方、緩和モードの自動停止禁止条件、すなわち自動停止の禁止が実行され易いモードにおける自動停止禁止条件は、本実施形態においては特に設定されておらず、上記通常モードの自動停止禁止条件と同様に設定されている。
【0038】
また、厳格モードの自動停止禁止条件、すなわち自動停止の禁止が実行され難いモードにおける自動停止禁止条件は、通常モードに比べ上記自動停止禁止位置がより限定されたものとして設定されている。具体的には、緩和モードの自動停止条件は、原則的に上記自動停止禁止位置情報から上記領域別自動停止禁止位置情報を外すように、つまり領域別自動停止禁止位置に車両が停止した場合でもエンジンの自動停止が実行されるように設定されている。そして、例外的に、図外の燃料タンク内の燃料残量が後述する第3基準値よりも少なくなったときには、自動停止禁止位置情報から、領域別自動停止禁止位置情報と、個別自動停止禁止位置情報とを外すように、つまり領域別自動停止禁止位置と個別禁止位置に車両が停止した場合でもエンジンの自動停止が実行されるように設定されている。
【0039】
要するに、厳格モードの自動停止禁止条件は、燃料残量を考慮して段階的(本実施形態では2段階)に自動停止禁止位置情報が限定されるものとなされている。なお、本実施形態では、自動停止禁止条件として自動停止禁止位置に関する条件のみが設定されているが、この自動停止禁止条件に自動停止禁止位置に関する条件に加え、他の条件が含まれるものであってもよく、この場合、各条件につき緩和モード、厳格モードの各条件を設定するものであってもよい。
【0040】
上記自動停止条件、再始動条件および自動停止禁止条件を構成する3種類のモードは、例えば、エンジン制御装置に設けられたモード選択スイッチ50を運転者が手動操作することにより、或いは上記条件補正手段8の出力信号に応じて、何れか一つのモードが選択されて使用されるようになっている。例えば、エンジンのスタートと同時に通常モードが設定された後、後述するように車両の燃料残量に対応したモードが自動的に選択されるようになっている。また、上記モードの手動選択状態と、自動選択状態とを切換可能に構成することも可能である。
【0041】
上記表示制御手段2は、エンジンの運転状況に応じて表示部27を制御するとともに、車両用ナビゲーション装置21を制御し、また自動停止禁止位置(個別自動停止禁止位置、領域別自動停止禁止位置)を自動停止禁止条件に追加・削除し得るように構成されるものである。
【0042】
すなわち、上記表示制御手段2は、エンジン制御手段1の自動停止制御手段5によるエンジンの自動停止時に、表示部27に設けられた自動停止中ランプ28を点灯させる指令信号を出力して上記自動停止制御が実行中であることを表示するとともに、上記自動停止禁止手段7によるエンジンの自動停止禁止中に、表示部27に設けられた自動停止禁止中ランプ29を点灯させる指令信号を出力して自動停止禁止制御が実行中であることを表示する一方、上記再始動制御手段6によるエンジンの再始動時に、表示部27に設けられた再始動ランプ30を点灯させる指令信号を出力して上記再始動制御が実行されていることを表示するように構成されている。このように、エンジン制御手段1が上記各種制御を実行している時に各種ランプを点灯することにより、乗員にエンジンの運転状況を報知し、誤解の発生を未然に防止するものとなされている。なお、この表示部27は、報知手段であればランプにより構成されるものでなくてもよく、例えば音声により聴覚を介して報知するものであってもよい。
【0043】
また、上記表示制御手段2は、目的地までの経路情報を表示するために設けられた上記車両用ナビゲーション装置21を制御するように構成されている。この車両用ナビゲーション装置21は、各種情報を画面表示する表示画面21aと、この表示画面21aの周囲に配置された各種パネルスイッチと、車両の現在地を検出するGPS(Global Positioning System)や各種センサ等で構成される位置検出手段21cと、所定事項を運転者に対して音声で報知する図略の報知手段とを備えている。
【0044】
表示画面21aは、液晶式のタッチパネルからなっており、上記パネルスイッチの操作に応じて表示される画面において当該表示画面21aの特定部位を触れることにより設定項目を選択するためのアイコンや、当該表示画面21aの特定部位を触れることにより、上記のように選択された設定項目を確定させるためのアイコンボタンを表示可能に構成されている。
【0045】
本実施形態において、上記表示画面21aに表示されるアイコン及び、アイコンボタン、上記パネルスイッチが入力部21bを構成している。
【0046】
このパネルスイッチには、図5に示すように、目的地までの経路情報を表示するナビゲーション画面または、テレビ画面を表示画面21aにおいて切り替え表示させるためのナビスイッチW1、テレビスイッチW2と、自動停止禁止位置を追加・削除する場合における選択画面(メニュー画面)を表示画面21aに表示させるための条件確認変更スイッチW3と、車両停止中に現在位置をエンジンの自動停止を禁止させたい位置として希望する場合に該位置を自動停止禁止位置として表示制御手段2を介して記憶手段41に記憶させる実行禁止入力スイッチW4(自動停止禁止入力手段)と、上記位置検出手段21cにより検出された現在位置を道路地図情報と関連付けて表示させる現在位置表示スイッチW5と、車両の目的地を上記道路地図情報上に設定するための目的地セットスイッチW6と、上記表示画面21aに表示される設定項目を必要に応じて選択するとともに、表示された地図情報を上下左右へスクロールするためのカーソルキーW7と、上記車両用ナビゲーション装置21の電源をON/OFFするための電源スイッチW8とが設けられている。
【0047】
すなわち、上記表示制御手段2は、上記入力部21bの操作に応じ、上記地図情報、上記位置検出手段21cにより検出される車両の現在位置、及び自動停止禁止位置を表示画面21aへ表示させるように構成されている。また、上記表示制御手段2は、上記目的地セットスイッチW6が操作されるのに応じて、上記入力部21bにより設定された目的地への車両の経路情報を表示するために上記地図情報に基づいて検索された適切な経路情報を表示画面21aへ表示させ、さらに当該経路情報に従って車両を走行させるために、運転者への音声案内を上記報知手段に出力させる機能を備えている。
【0048】
さらに、上記表示制御手段2は、入力部21bからの入力に応じ自動停止禁止位置情報を追加、削除するように構成されている。そして、追加・削除し得る自動停止禁止位置情報は、上述したように領域別自動停止禁止位置情報と、個別具体的自動停止禁止位置情報との2種類があり、これらの内容は条件確認変更スイッチW3を押圧操作することにより表示画面21aに表示される選択画面(図10参照)で各自動停止禁止位置情報に対応したアイコンIC1、IC2を選択すれば確認することができる。これら禁止位置情報の追加・削除については、後述する。
【0049】
上記AT制御手段3は、自動停止制御手段5によるエンジンの自動停止制御が実行されることにより、自動変速機に供給される作動油の圧力が低下した場合に、ATF切換弁32に切換指令信号を出力して上記作動油の供給経路をエンジンによって駆動される機械式オイルポンプ側から電動オイルポンプ33側に切り換えるとともに、この電動オイルポンプ33を作動させる作動指令信号を出力して、この電動オイルポンプ33から自動変速機に所定圧力の作動油を供給するように構成されている。
【0050】
上記ヒルホルダー制御手段4は、車両が坂道で停止状態となった場合に、ブレーキオイルの供給通路を遮断するヒルホルダー用ソレノイド弁34に作動指令信号を出力することにより、上記ブレーキオイルの圧力が低下することに起因した車両の後ずさり等を防止するように構成されている。
【0051】
上記条件補正手段8は、燃料タンク内の燃料残量が後述する複数の基準値よりも少なくなったことを検出する燃料残量検出手段22の出力信号に応じ、上記自動停止条件、再始動条件、自動停止禁止条件を適宜補正するものである。
【0052】
具体的には、燃料残量検出手段22は、図外の燃料タンク内の燃料残量が、上記自動停止条件を補正するために設定された停止条件用基準値、上記再始動条件を補正するために設定された始動条件用基準値、及び上記自動停止禁止条件を補正するために設定された禁止条件用基準値よりも少なくなったことを検出し、基準値ごとに異なる出力信号を条件補正手段8に送信し得るように、例えばフューエルゲージ、または基準値に応じた個数の燃料残量警告センサ等を利用して構成されている。
【0053】
本実施形態においては、停止条件用基準値と始動条件用基準値とが第1基準値V1として同一値に設定されている。一方、禁止条件用基準値は、第1基準値V1よりも小さい値に設定されているとともに、第2基準値V2及びこの第2基準値V2よりも小さい値の第3基準値V3の二つを有する。そして、条件補正手段8は、各基準値に基づいて各条件を補正するように構成されている(図9参照)。なお、これらの基準値は、運転者等の意思に応じた自動停止の実行確保と、消費燃料の節約とのバランスを考慮して適宜設定される。
【0054】
より具体的には、条件補正手段8は、燃料残量検出手段22からの出力信号に応じ、燃料残量がいずれの基準値を下回ったかを判定し、エンジン制御手段1にアクセスして、エンジン制御手段1により読み取るべき条件を変更するように補正するものとなされている。すなわち、第1基準値V1を下回った場合には、自動停止の実行がされ易いように自動停止制御手段5により読み取られる自動停止条件を変更するとともに、自動停止後の再始動時期が遅れるように再始動制御手段6により読み取られる再始動条件を変更する一方、第2基準値V2、第3基準値V3を下回った場合には自動停止禁止位置を段階的に限定するように自動停止禁止手段7により読み取られる自動停止禁止条件を段階的に変更する。
【0055】
例えば、自動停止条件、再始動条件、自動停止禁止条件のそれぞれが、通常モードに設定され、燃料タンク内の燃料残量が第1基準値V1を下回った場合に、燃料残量検出手段22によって発せられた出力信号を受けた条件補正手段8は、エンジン制御手段1にアクセスして、自動停止制御手段5に読み出される自動停止条件を通常モードの条件から緩和モードの条件に自動的に変更補正するとともに、再始動制御手段6に読み出される再始動条件を通常モードの条件から厳格モードの条件に変更補正する(図9参照)。これにより、車両のエンジンは、自動停止が実行され易い状態に移行すると共に、自動停止後の再始動がされ難い状態に移行し、自動停止期間が比較的長いものとなる。
【0056】
一方、燃料タンク内の燃料がさらに消費され、その燃料残量が第2基準値V2を下回った場合には、燃料残量検出手段22の出力信号に応じて条件補正手段8は、エンジン制御手段1にアクセスして、自動停止禁止手段7により読み出される自動停止禁止条件を通常モードの条件から厳格モードとして原則的に適用される条件に変更補正する(図9参照)。すなわち、自動停止禁止位置のうち初期自動停止禁止位置と個別自動停止禁止位置におけるエンジンの自動停止が禁止されるのみで、乗員により選択された領域別自動停止禁止位置でのエンジンの自動停止が乗員の意思に反しても実行されることとなる。これにより、エンジンの自動停止が実行される機会が増え、自動停止期間が全体として長いものとなる。
【0057】
そして、さらに燃料が消費され、その燃料残量が第3基準値V3を下回った場合には、燃料残量検出手段22の出力信号に応じて条件補正手段8は、エンジン制御手段1にアクセスして、自動停止禁止手段7により読み出される自動停止禁止条件を通常モードの条件から厳格モードとして例外的に適用される条件に補正する(図9参照)。すなわち、自動停止禁止位置のうち初期自動停止禁止位置でのエンジンの自動停止が禁止されるのみで、乗員により選択された領域別自動停止禁止位置及び個別自動停止禁止位置でのエンジンの自動停止が乗員の意思に反しても実行されることとなる。これにより、エンジンの自動停止が実行される機会がさらに増え、自動停止期間が全体としてさらに長いものとなる。
【0058】
上記記憶手段41には、上述した道路地図情報、自動停止条件、再始動条件、自動停止禁止条件及び、自動停止禁止位置情報が上記エンジン制御手段1及び表示制御手段2の要求に応じて読み出し可能に記憶されている。特に上記自動停止条件、再始動条件及び、自動停止禁止条件は、上記エンジン制御手段1の要求、すなわち上記モード選択スイッチ50或いは条件補正手段8により決定された要求に応じて随時記憶手段41から読み出され、これらの情報に基づきエンジンの自動停止、再始動及び、自動停止禁止制御を行うようになっている。
【0059】
一方、上記自動停止禁止位置情報には、運転者等の乗員により特定された自動停止禁止位置が領域別自動停止禁止位置と個別自動停止禁止位置とを区別できる態様で含まれているとともに、乗員の意思に拘わらずエンジンの自動停止が禁止される初期自動停止禁止位置が含まれている。
【0060】
そして、上記自動停止禁止位置情報は、上記車両用ナビゲーション装置21の出力信号に応じて随時更新(書換、削除)されるとともに、このように更新された自動停止禁止位置は、上記自動停止禁止条件、すなわち図4に示すように自動停止禁止制御を行う特定位置の条件とリンクした状態で記憶手段41へ記憶されることとなる。
【0061】
なお、上記記憶手段41について地図情報記憶手段と自動停止禁止位置を記憶している禁止位置記憶手段を別個に設けるものであってもよい。特に禁止位置記憶手段については、車両に対して単独で着脱可能なものとして構成すれば、車両の乗り換え、地図情報記憶手段の取り替えにあたっても該禁止位置記憶手段を取り外して新たに別車両に取付等することにより、新たに禁止位置を設定する必要がなく、その取り扱いが便利になる。
【0062】
このように構成されたエンジン制御装置による制御動作を図6に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0063】
この制御動作がスタートすると、まず燃料タンク内の燃料残量が第1基準値よりも少ないか否かを判定する(ステップS1)。すなわち、条件補正手段8において燃料残量検出手段22から燃料残量が第1基準値よりも少ないとする出力信号を受けていないか否かを判定する。燃料残量が第1基準値よりも少なくないと判定されると(ステップS1でNO)、燃料残量が第1基準値以上であることが確認され、ステップS2においてエンジンの自動停止が実行されているか否かを判定する。そして、このステップS2でNOと判定された場合、自動停止が実行されていないことを確認し、自動停止制御手段5により運転者によって選択されたモードに応じた自動停止条件が成立しているか否かが判定される(ステップS3)。このステップS3でNOと判定された場合には、そのままリターンする。
【0064】
一方、上記ステップS3において運転者によって選択されたモードに応じた自動停止条件が成立していると判定された場合には、自動停止禁止条件が成立しているか否かが判定され(ステップS4)、自動停止禁止条件が成立していない(ステップS4でNO)と判定されると、自動停止制御手段5によりエンジンの自動停止制御が実行される(ステップS5)。
【0065】
すなわち、上記自動停止制御では、燃料噴射弁16及び、点火コイル17を停止状態とすることにより、エンジンの作動を停止させるとともに、エンジンが自動停止状態にあることを示す自動停止中ランプ28を点灯する。また、上記AT制御手段3からATF切換弁32に切換指令信号を出力して自動変速機に対する作動油の供給経路を機械式オイルポンプ側から電動オイルポンプ33側に切り換えるとともに、上記ヒルホルダー制御手段4からヒルホルダー用ソレノイド弁34への作動指令信号を出力することにより、ブレーキオイルの供給通路を遮断する。これによりブレーキ装置に供給されるブレーキオイルの圧力低下が防止されることになる。
【0066】
一方、上記ステップS4においてYESと判定された場合、すなわち自動停止禁止条件が成立している場合には、上記自動停止成立条件が成立しているにも拘わらずエンジンの作動が継続されていることとなるので、自動停止禁止中ランプ29が点灯され(ステップS6)、運転者等の乗員に現在エンジンの自動停止の実行が禁止されていることを報知してリターンする。
【0067】
次に、上記ステップS2においてエンジンの自動停止が実行中であると判定されると(ステップS2においてYES)、ステップS7において運転者によって選択されたモードに応じた再始動条件が成立しているか否かが判定される。このステップS7においてNOと判定されるとそのままリターンされる一方、YESと判定されると再始動制御が実行される(ステップS12)。
【0068】
すなわち、上記再始動制御では、再始動ランプ30が所定時間点灯されるとともに自動停止中ランプ28が消灯され、その後に燃料噴射弁16及び、点火コイル17の作動停止状態を解除して再始動モータ42を作動させることにより、エンジンを自動的に再始動させる。また、上記AT制御手段3からATF切換弁32に切換指令信号を出力して自動変速機に対する作動油の供給経路を電動オイルポンプ33側から機械式オイルポンプ側に切り換えるとともに、上記ヒルホルダー制御手段4からヒルホルダー用ソレノイド弁34への作動指令信号の出力を停止してブレーキオイルの供給通路を開放することにより、通常のブレーキ油圧供給状態に復帰させる。
【0069】
一方、上記ステップS2においてYES、つまり燃料残量が第1基準値よりも少ないと判定されると、ステップS9において自動停止条件を緩和補正する一方、ステップS10において再始動条件を厳格補正する。
【0070】
すなわち、条件補正手段8が自動停止制御手段5にアクセスして、この自動停止制御手段5により記憶手段41から読み出される自動停止条件が、運転者によって選択されたモードに拘わらず、緩和モードに応じたものとなるように変更補正される。これにより、エンジンは、自動停止が実行され易い状態となり、自動停止の時期が早まり、或いは頻繁に自動停止される結果、燃料消費が抑制されることとなる。また、条件補正手段8が再始動制御手段6にアクセスして、この再始動制御手段6により記憶手段41から読み出される再始動条件が、運転者によって選択されたモードに拘わらず厳格モードに応じたものとなるように変更補正される。これにより、自動停止されたエンジンの再始動時期が遅くなり、自動停止期間が延びる結果、燃料消費が抑制されることとなる。
【0071】
そして、ステップS9及びステップS10において自動停止条件、再始動条件が補正された後、ステップS11において燃料タンク内の燃料残量が第2基準値よりも少ないか否かを判定する。すなわち、条件補正手段8において燃料残量検出手段22から燃料残量が第2基準値よりも少ないとする出力信号を受けていないか否かを判定する。燃料残量が第2基準値よりも少ないと判定されると(ステップS11でYES)、自動停止禁止条件を段階的に補正するべく、ステップS12においてさらに燃料残量が第3基準値よりも少ないか否かを判定する。
【0072】
ステップS12でYESと判定されると、残存燃料が極めて少ないと想定されることから、ステップS13において自動停止禁止条件を、運転者によって選択されたモードに拘わらず、厳格モードとして例外的に適用される条件となるように変更補正される。すなわち、条件補正手段8が自動停止禁止手段7にアクセスして、この自動停止禁止手段7により読み出される自動停止禁止位置情報が初期自動停止禁止位置情報のみに限定されるように厳格補正されて、ステップS15に移行する。
【0073】
一方、ステップS12においてNOと判定されると、ステップS14において自動停止禁止条件を、運転者によって選択されたモードに拘わらず、厳格モードとして原則的に適用される条件となるように変更補正される。すなわち、条件補正手段8が自動停止禁止手段7にアクセスして、この自動停止禁止手段7により読み出される自動停止禁止位置情報が、個別自動停止禁止位置情報及び初期自動停止禁止位置情報のみに限定されるように厳格補正され、ステップS15に移行する。
【0074】
そして、ステップS11においてNOと判定された場合には、ステップS12ないしステップS14をスキップしてステップS15に移行する。
【0075】
このステップS15では、エンジンの自動停止が実行されているか否かを判定する。そして、このステップS15でNOと判定された場合、自動停止が実行されていないことを確認し、自動停止制御手段5により条件補正手段8によって選択されたモードに応じた自動停止条件が成立しているか否かが判定される(ステップS16)。このステップS16でNOと判定された場合には、そのままリターンする。
【0076】
一方、上記ステップS16において条件補正手段8によって選択されたモードに応じた自動停止条件が成立していると判定された場合には、条件補正手段8によって選択されたモードに応じた自動停止禁止条件が成立しているか否かが判定され(ステップS17)、自動停止禁止条件が成立していない(ステップS17でNO)と判定されると、自動停止制御手段5によりステップS5と同様のエンジンの自動停止制御が実行される(ステップS18)。
【0077】
一方、上記ステップS17においてYESと判定された場合、すなわち条件補正手段8により選択されたモードに応じた自動停止禁止条件が成立している場合には、上記自動停止成立条件が成立しているにも拘わらずエンジンの作動が継続されていることとなるので、自動停止禁止中ランプ29が点灯され(ステップS19)、運転者等の乗員に現在エンジンの自動停止の実行が禁止されていることを報知してリターンする。
【0078】
次に、上記ステップS15においてエンジンの自動停止が実行中であると判定されると(ステップS15においてYES)、ステップS20において条件補正手段8により選択されたモードに応じた再始動条件が成立しているか否かが判定される。このステップS20においてNOと判定されるとそのままリターンされる一方、YESと判定されるとステップS8と同様の再始動制御が実行される(ステップS12)。
【0079】
また、エンジン制御装置は、以下に説明する制御動作により上記車両用ナビゲーション装置21の操作に応じて自動停止禁止条件を追加設定可能に構成されている。
【0080】
図7は、個別自動停止禁止位置を自動停止禁止条件として追加する場合におけるこの装置の制御動作を示すフローチャートである。図8は、領域別自動停止禁止位置を自動停止禁止条件として追加するとともに、追加された領域別自動禁止位置及び個別自動停止禁止位置を表示、削除する場合におけるこの装置の制御動作を示すフローチャートである。
【0081】
まず個別自動停止禁止位置を追加する場合について図7に基づいて説明する。制御動作がスタートすると、ステップS51において車両が走行中であるか否かを判定する。車両が走行中と判定された場合には(ステップS51でYES)、そのままリターンする。すなわち、個別自動停止禁止位置の追加は、車両停止中にのみ実行し得るように構成されている。
【0082】
一方、ステップS51においてNOと判定された場合には、ステップS52において実行禁止入力スイッチW4が押圧操作されたか否かを判定し、実行禁止入力スイッチW4が操作されていないと判定されたときは(ステップS52でNO)、そのままリターンする一方、操作されたと判定されたときは(ステップS52でYES)、ステップS53に移行する。ステップS53では、現在位置を個別自動停止禁止位置として自動停止禁止条件に追加する。すなわち、実行禁止入力スイッチW4が押圧操作された時点での車両の停止位置を個別自動停止禁止位置として記憶手段41に記憶することにより、停止位置を自動停止禁止位置情報に追加して自動停止禁止条件に加えることができる。ここで、停止中車両の現在位置が記憶手段41に記憶されるにあたって、表示画面21aに現在位置が、以降第1マークM1として表示されるように記憶される(図12参照)。従って、以降、後述するような個別禁止位置表示画面が表示される場合には、図12に示すように、この個別禁止位置表示画面が表示された時点での車両の現在位置が第3マークM3(図では三角形マーク)として表示されている一方、ステップS53において記憶された個別自動停止禁止位置としての特定位置は、第1マークM1(図では六芒星形マーク)として表示される。
【0083】
次に、領域別自動停止禁止位置を自動停止禁止条件として追加する場合、及び追加された個別自動停止禁止位置及び領域別自動停止禁止位置を表示画面に表示し、これらに基づいて各位置を削除する場合について図8を用いて説明する。
【0084】
まず、制御動作がスタートすると、条件確認変更スイッチW3が操作されたか否かを判定する(ステップS100)。このステップS100で条件確認変更スイッチW3が操作されていないと判定されると(ステップS100でNO)、そのままリターンされる一方、条件確認変更スイッチW3が操作されたと判定されると(ステップS100でYES)、ステップS101で表示画面21aに選択画面(メニュー画面)(図10参照)を表示して、ステップS102に移行する。
【0085】
この選択画面には、その左上に「アイドルストップ実行条件変更画面」と表示されたタイトルアイコンと、図11に示す領域別禁止位置表示画面を表示させるための領域別表示選択ボタンIC1(図10では画面中央上側に「広域条件変更画面」と表示されたボタン)と、図12に示す個別禁止位置表示画面を表示させるための個別表示選択ボタンIC2(図10では領域別表示選択ボタンIC1の直下に「ピンポイント条件変更画面」と表示されたボタン)と、各禁止位置表示画面の表示を実行させるための表示実行ボタンIC3(図10では画面左下に「表示」として表示されたボタン)と、自動停止禁止位置の表示・設定を終了させるための終了ボタンIC4(図10では画面右下に「設定/終了」として表示されたボタン)とが設けられている。なお、このメニュー画面が表示された際には、個別表示選択ボタンIC1が選択された状態となるように予め設定されている。また、本実施形態では、表示画面21aにタッチパネルを採用しているため、後述する各ボタンIC5、IC7〜IC12を含め、画面上に表示される各ボタンIC1〜IC12(IC6を除く)は、表示画面21a上の特定部位を触れることによって、当該各ボタンIC1〜IC12(IC6を除く)に予め設定された機能を実行するようになっている。
【0086】
そして、ステップS102では、表示実行ボタンIC3がタッチ操作されたか否かを判定し、表示実行ボタンIC3がタッチ操作されていないと判定されると(ステップS102でNO)、終了ボタンIC4がタッチ操作されたか否かを判定する(ステップS103)。そして、終了ボタンIC4がタッチ操作されていないと判定されると(ステップS103でNO)、ステップS101にリターンする一方、タッチ操作されたと判定されると(ステップS103でYES)、表示画面21aにナビ画面(或いはテレビ画面)を表示してリターンする。
【0087】
一方、ステップS102でYESと判定されると、ステップS105に移行し、このステップS105では運転者等の乗員によって領域別表示選択ボタンIC1がタッチ操作されて選択されているか否かを判定する。ステップS105でYESと判定されると、表示画面21aに図11に示す領域別禁止位置表示画面を表示する(ステップS106)。
【0088】
すなわち、この領域別禁止位置表示画面は、上記選択画面において領域別選択ボタンIC1をタッチ操作することにより選択され、かつ表示実行アイコンIC3をタッチ操作することにより表示される。この領域別禁止位置表示画面には、その上端に「アイドルストップ実行条件変更画面(広域)」と表示されたタイトルアイコンと、後述する領域別禁止位置選択ボタンIC7の全選択及び全解除を実行するための全選択ボタンIC5a及び全解除ボタンIC5b(図11ではタイトルアイコンの左下側に「禁止」及び「実行」と表示されたボタン)と、車両が停止した場合でも常にエンジンの自動停止が禁止される初期禁止位置を表示するための初期禁止位置アイコンIC6(図11では全解除ボタンIC5bの下側に「踏切り内」と表示されたアイコン)と、エンジンの自動停止を禁止する領域別自動停止禁止位置を選択するための領域別禁止位置選択ボタンIC7(図11では画面右側に「建物内」、「交差点内」、「勾配路」、「高速道路」と上下に列設表示されたボタン)と、自動停止禁止位置の表示・設定を終了させるための終了ボタンIC8(図11では領域別禁止位置選択ボタンIC7の下側に「設定/終了」と表示されたボタン)とが設けられている。
【0089】
初期禁止位置アイコンIC6は、ボタンとして構成されているものではなく、従って乗員の意思により自由に選択することができないものである。本実施形態では、踏切り内のエンジンの自動停止が禁止されるように設定されており、装置製造時に予め固定的に設定されている。
【0090】
領域別禁止位置選択ボタンIC7は、乗員の意思により自由に選択することができるものであり、選択された領域別自動停止禁止位置は、自動停止禁止条件の自動停止禁止位置情報として記憶手段41に追加されるように構成されるとともに、選択された事実が明らかとなるように例えば領域別禁止位置選択ボタンIC7の先頭の白抜き丸内に黒丸が表示されるようになされている。領域別禁止位置選択ボタンIC7は、その数、選択肢としての種類を特に限定しているものではなく、装置製造時に適宜設定される。本実施形態では、「建物内」、「交差点内」、「勾配路」、「高速道路」の4つ設けられている。一方、再度領域別禁止位置選択ボタンIC7をタッチ操作すると、領域別禁止位置選択ボタンIC7の先頭の白抜き丸内の黒丸が消え、その選択が解除されるものとなされている。
【0091】
そして、図8に戻って、ステップS107において終了ボタンIC8がタッチ操作されたか否かを判定して、終了ボタンIC8がタッチ操作されていないと判定されたときは(ステップS107でNO)ステップS106にリターンする一方、タッチ操作されたと判定されたときは(ステップS107でYES)選択されているアイコン(領域別禁止位置選択ボタンIC7)が変更されているか否かを判定する(ステップS108)。このステップS108でYESと判定されたときは、記憶手段41に記憶されている自動停止禁止位置情報のうち、領域別自動停止禁止位置情報を更新して(ステップS109)、その後に表示画面21aにナビ画面(或いはテレビ画面)を表示し(ステップS110)リターンする。一方、ステップS108でNOと判定されたときは、ステップS109をスキップしてステップS110に移行する。
【0092】
次にステップS105でNO、すなわち領域別禁止位置表示画面のアイコン(領域別表示選択ボタンIC1)が選択されていないと判定されたときは、当初から選択されている個別表示選択ボタンIC2の選択があったものと確認され、表示画面21aに、図12に示すような個別禁止位置表示画面を表示する。
【0093】
この個別禁止位置表示画面には、道路地図情報、第1マークM1、第3マーク以外に、車両の目的地を表示する第2マークM2(図12では五芒星形マーク)、現在位置から目的地までの経路を道路地図情報と関連付けられて表示された経路情報PH1、道路地図情報等を拡大及び縮小表示させるための拡大表示ボタンIC9及び縮小表示ボタンIC10、運転者により選択された個別自動停止禁止位置でのエンジンの自動停止禁止を解除させるため、すなわち選択された第1マークM1でのエンジンの自動停止を実行させるための禁止解除ボタンIC11及び、個別自動停止禁止位置情報の削除・表示を終了してナビ画面(或いはテレビ画面)を表示させるための終了ボタンIC12(図11では領域別禁止位置選択ボタンIC7の下側に「設定/終了」と表示されたボタン)と、その左上に「アイドルストップ実行条件変更画面(ピンポイント)」と表示されたタイトルアイコンとが設けられている。
【0094】
そして、図8に戻って、ステップS111の後に禁止解除ボタンIC11がタッチ操作されたか否かを判定する(ステップS112)。禁止解除ボタンIC11がタッチ操作されていないと判定した場合には(ステップS112でNO)、ステップS113において終了ボタンIC12がタッチ操作されたか否かを判定し、ステップS113でNOと判定されたときはステップS111にリターンし、ステップS113でYESと判定されたときはステップS114において表示画面21aにナビ画面(或いはテレビ画面)を表示してリターンする。
【0095】
一方、ステップS112においてYESと判定されたときは、ステップS115において運転者等の乗員によって表示されているいずれかの第1マークM1が選択されているか否かを判定する。ここで、上記第1マークM1の選択は、次のようにして行われる。すなわち、上述したように表示画面21aにタッチパネルを採用しているため、表示されている第1マークM1のうち、エンジンの自動停止を実行したい位置に対応するマークが表示された表示画面21a上の特定の部位を触れることによって第1マークM1の選択を行うことができる。
【0096】
そして、このステップS115においてNOと判定されたときは、第1マークM1がいずれも選択されていない状況にあり、従って例えば「エンジンの実行停止を実行したい位置を選んでください。」等の選択操作を催促する表示を表示画面21aに表示してステップS111にリターンする。そして、上記ステップS115でYESと判定されたときは、選択された第1マークM1に対応する個別自動停止禁止位置情報をリセットする(ステップS117)。すなわち、選択されている第1マークM1に対応する個別自動停止禁止位置情報を記憶手段41に記憶されている自動停止禁止位置情報から消去する。従って、例えば図12において、第1マークM1が消去されたときは、図12において第1マークM1は存在しない状態となる。
【0097】
その後にステップS118で終了ボタンIC12がタッチ操作されたか否かを判定し、タッチ操作されていないと判定した(ステップS118でYES)ときには上記ステップS111にリターンする一方、タッチ操作されたと判定した(ステップS119)ときにはステップS119で表示画面21aにナビ画面(或いはテレビ画面)を表示してリターンする。
【0098】
以上説明したエンジン制御装置の制御動作によって、予め設定された自動停止条件が成立したときにエンジンを自動的に停止させるとともに、エンジンの自動停止中に予め設定された再始動条件が成立したときにエンジンを自動的に再始動させる一方、上記自動停止条件が成立した場合であっても、設定された上記各自動停止禁止条件が成立したときには、エンジンの自動停止を禁止させることとなる。そして、運転者等の希望に応じて個別自動停止禁止位置、及び領域別自動停止禁止位置を追加・削除することができる一方、燃料タンク内の燃料残量に応じて、エンジン制御手段1が読み出す各条件を条件補正手段8により補正して、消費燃料を抑制するものとなされている。
【0099】
すなわち、この装置によれば、燃料タンク内の燃料残量が第1基準値よりも少なくなったことを検出する燃料残量検出手段22と、上記燃料残量が第1基準値よりも少ないことが検出されたときに上記自動停止条件をエンジンの自動停止が行われやすいように補正するとともに上記再始動条件をエンジンの再始動時期が遅くなるように補正する条件補正手段8とを備えているので、エンジンの自動停止時期が早まるとともに再始動時期が遅くなり、これによりエンジンの自動停止期間が可及的に長くなる。従って、エンジンの作動期間を抑制して残存燃料を節約することができるとともに、エンジンの自動停止期間に燃料タンク内、燃料通路等に気化している燃料を再液化してエンジンの作動のための燃料として利用することにより、燃料補給までの車両の走行距離を可及的に長く確保することができる。
【0100】
しかも、条件補正手段8により自動停止制御手段5により読み出される自動停止条件が補正されることにより、エンジンの自動停止の機会が増え、エンジンの作動を抑制して残存燃料の節約を図ることができる。
【0101】
また、記憶手段41に記憶されている道路地図情報と位置検出手段21cにより検出された車両の現在位置とに基づいて、道路地図情報と関連付けた状態で車両の現在位置を特定することができ、この車両の現在位置と道路地図情報を利用して道路環境に応じたエンジンの自動停止及びその禁止を実行することができる。しかも、この装置では、運転者等の乗員によって、実行禁止位置入力スイッチW4やタッチパネルの各ボタンという入力手段を用いて個別自動停止禁止位置、領域別自動停止禁止位置を設定することができるので、燃費及びエミッションを向上させつつ、乗員の意思に従ったスムーズな発進等の走行を確保することができる。
【0102】
さらに、上記燃料残量検出手段22は、燃料残量が第1基準値の他、第2,第3基準値よりも少なくなったことを検出し得るように構成され、上記条件補正手段8は、燃料残量が第2、第3基準値よりも少ないことが検出されたときに、自動停止禁止位置に関する条件を段階的に限定補正するように構成されているので、燃料残量が減少するのに伴って乗員の意思よりも燃料の節約を優先させ、エンジンの自動停止の機会を減らすことができる。これにより、残存燃料の節約を図り、簡単な構成で燃料補給までの車両の走行距離をより一層長く確保することができる。
【0103】
なお、以上にこの発明に係る車両のエンジン制御装置の実施形態について説明したが、この発明に係るエンジン制御装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、この発明の趣旨に反しない範囲で種々の変更が可能である。
【0104】
▲1▼上記実施形態では、残存燃料が第1ないし第3基準値を下回ったときに自動停止条件、自動停止禁止条件の各条件を緩和モードに対応する条件に変更補正するとともに再始動条件を厳格モードに対応する条件に変更補正するように条件補正手段8が構成されているが、上記趣旨に反しない特別のモードを別途設け、各基準値を下回った場合にこの特別モードに対応する条件に変更補正するように条件補正手段を構成するものであってもよい。
【0105】
▲2▼上記実施形態では、エンジン制御装置の制御手段40の制御によって、車両用ナビ装置21等により経路情報を提供するように構成されているが、この構成に代えて、車両用ナビ装置21に別途CPUを設けることも可能である。このように構成することにより、車両用ナビ装置21のCPUが経路情報を提供し、エンジン制御装置の制御手段40が自動停止、再始動、自動停止禁止等の制御を実行することが可能となる結果、各処理に対する処理速度を向上させることができる。しかも、周知の車両用ナビ装置を可及的に設計変更せずに使用することが可能となる。上記のように構成した場合には、上記表示制御手段2が記憶手段41から自動停止禁止位置情報を読み出すとともに、これを車両用ナビ装置21のCPUへ出力し、車両用ナビ装置21のCPUが当該自動停止位置情報を表示画面21aへ表示することとなる。そして、実行禁止入力スイッチW4により自動停止禁止位置が設定された場合には、車両用ナビ装置21のCPUが当該設定内容をエンジン制御装置の制御手段40へ出力し、この制御手段40が上記設定内容に応じて、記憶手段41内の自動停止禁止条件の更新を行うこととなる。
【0106】
▲3▼上記実施形態においては、記憶手段41内に地図情報が記憶されているが、この構成に代えて、車両用ナビ装置21に別途記憶媒体読取手段を設け、記憶媒体(例えばDVD−ROM等)に記憶された地図情報を読み取らせるようにしてもよい。
【0107】
▲4▼上記実施形態では、エンジンのカムシャフトを回転駆動する再始動モータ42を作動させることにより、停止状態にあるエンジンを自動的に再始動させるように構成した例について説明したが、この構成に代えて上記特許文献1の実施形態に開示されているように、エンジンの出力軸により駆動されるモータ・ジェネレータを再始動用のモータもしくはエンジン始動用のセルフスタータを使用してエンジンを自動的に再始動させ、あるいは特願2002−287471号で採用されているようにエンジンの自動停止後に再始動させる際に、膨張行程にある気筒に対して燃料噴射させて点火、燃焼を行わせることによりエンジンを再始動させるように構成してもよい。
【0108】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に係る発明によれば、燃料残量が予め設定された停止条件用基準値よりも少なくなったことを燃料残量検出手段により自動的に検出することができ、この検出があったときに条件補正手段により自動停止条件がエンジンの自動停止が行われやすいように補正することができる。このように自動停止条件がエンジンの自動停止が行われやすいように補正されることで、エンジンの自動停止期間の始期が早まり、或いは自動停止の機会が増え、エンジンの作動を抑制して残存燃料を節約することができる。従って、簡単な構成で燃料補給までの車両の走行距離を可及的に長く確保することができる。
【0109】
請求項2に係る発明によれば、燃料残量が予め設定された始動条件用基準値よりも少なくなったことを燃料残量検出手段により自動的に検出することができ、この検出があったときに条件補正手段により再始動条件がエンジンの再始動が遅くなるように補正することができる。このように再始動条件がエンジンの再始動が遅くなるように補正されることで、エンジンの自動停止期間の終期が遅くなり、エンジンの作動期間を可及的に短くして残存燃料を節約することができる。このため、簡単な構成で燃料補給までの車両の走行距離を可及的に長く確保することができる。
【0110】
請求項3に係る発明によれば、燃料残量検出手段により燃料タンク内の燃料残量が禁止条件用基準値よりも少なくなったことを自動的に検出することができる。この検出があったときに条件補正手段により自動停止禁止条件がエンジンの自動停止が禁止され難いように補正されて、エンジンの自動停止が禁止される機会を減らし、言い換えるとエンジンの自動停止の機会を増やして残存燃料の節約を図ることができる。従って、簡単な構成で燃料補給までの車両の走行距離を一層長く確保することができる。
【0111】
請求項4に係る発明によれば、地図情報記憶手段と位置検出手段とを備えているので、道路地図上の車両の現在位置を特定することができる。そして、エンジンの自動停止を禁止する自動停止禁止条件に特定の道路環境、例えば、踏切周辺や交差点等の環境が予め設定されているので、各道路環境に応じてエンジンの自動停止を禁止することができる一方、自動停止禁止位置を設定している場合であっても燃料残量に応じて適宜エンジンの自動停止が実行される。従って、利便性の確保と、残存燃料の節約との均衡を図ることができる。
【0112】
請求項5に係る発明によれば、乗員の意思を可及的に反映することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る車両のエンジン制御装置の実施形態を示すブロック図である。
【図2】エンジンの自動停止条件を示す表である。
【図3】エンジンの再始動条件を示す表である。
【図4】エンジンの自動停止禁止条件を示す表である。
【図5】車両用ナビゲーション装置を示す正面図である。
【図6】エンジン制御装置による制御動作を示すフローチャートである。
【図7】個別自動停止禁止位置を自動停止禁止条件として追加する場合におけるこの装置の制御動作を示すフローチャートである。
【図8】領域別自動停止禁止位置を自動停止禁止条件として追加するとともに、追加された領域別禁止位置及び個別自動停止禁止位置を表示、削除する場合におけるこの装置の制御動作を示すフローチャートである。
【図9】燃料残量と各条件において条件補正手段により選択されるモードとの関係を示す表である。
【図10】選択画面を示す画面図である。
【図11】領域別禁止位置表示画面を示す画面図である。
【図12】個別禁止位置表示画面を示す画面図である。
【符号の説明】
1 エンジン制御手段
2 表示制御手段
5 自動停止制御手段
6 再始動制御手段
7 自動停止禁止手段
8 条件補正手段
21 車両用ナビゲーション装置
21c 位置検出手段
22 燃料残量検出手段
41 記憶手段(地図情報記憶手段)
Claims (5)
- 予め設定された自動停止条件が成立したときにエンジンを自動的に停止させるとともに、エンジンの自動停止中に予め設定された再始動条件が成立したときにエンジンを自動的に再始動させるように制御するエンジン制御手段を備えた車両のエンジン制御装置において、
燃料タンク内の燃料残量が上記自動停止条件を補正するために設定された停止条件用基準値よりも少なくなったことを検出する燃料残量検出手段と、上記燃料残量が上記停止条件用基準値よりも少ないことが検出されたときに上記自動停止条件をエンジンの自動停止が行われ易いように補正する条件補正手段とを備えていることを特徴とする車両のエンジン制御装置。 - 予め設定された自動停止条件が成立したときにエンジンを自動的に停止させるとともに、エンジンの自動停止中に予め設定された再始動条件が成立したときにエンジンを自動的に再始動させるように制御するエンジン制御手段を備えた車両のエンジン制御装置において、
燃料タンク内の燃料が上記再始動条件を補正するために設定された始動条件用基準値よりも少なくなったことを検出する燃料残量検出手段と、上記燃料残量が上記始動条件用基準値よりも少ないことが検出されたときに上記再始動条件をエンジンの再始動時期が遅くなるように補正する条件補正手段とを備えていることを特徴とする車両のエンジン制御装置。 - 請求項1または請求項2記載の車両のエンジン制御装置において、上記エンジン制御手段は、予め設定された自動停止禁止条件が成立したときに上記自動停止条件に拘わらずエンジンの自動停止の実行を禁止するように構成される一方、上記燃料残量検出手段は、燃料タンク内の燃料残量が上記自動停止禁止条件を補正するために設定された禁止条件用基準値よりも少なくなったことも検出し得るように構成され、上記条件補正手段は、上記燃料残量が上記禁止条件用基準値よりも少ないことが検出されたときに上記自動停止禁止条件をエンジンの自動停止が禁止され難いように補正することを特徴とする車両のエンジン制御装置。
- 請求項3記載の車両のエンジン制御装置において、道路地図情報を記憶する地図情報記憶手段と、上記道路地図情報と関連付けて車両の現在位置を検出する位置検出手段とを備え、
上記自動停止禁止条件には、上記地図情報記憶手段と位置検出手段とにより特定される車両の現時点での停止位置が予め設定された特定位置である場合にエンジンの自動停止が禁止される自動停止禁止位置に関する条件が含まれ、
上記条件補正手段による上記自動停止禁止条件の補正は、上記自動停止禁止位置の少なくとも一部を上記自動停止禁止条件から外すものであることを特徴とする車両のエンジン制御装置。 - 請求項3または請求項4記載の車両のエンジン制御装置において、上記禁止条件用基準値は上記停止条件用基準値または上記始動条件用基準値よりも小さく設定されていることを特徴とする車両のエンジン制御装置。
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