JP2004225203A - パルプ原料繊維及びその製造方法並びに合成パルプ及び合成紙 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐熱性、耐薬品性、非吸水性に優れ、更に高強力高弾性率を有する合成紙の材料となる、液晶ポリエステルから成るパルプの製造に好適なパルプ原料繊維及びその製造方法と、該繊維から得られる水への分散性とパルプ同士の絡み合いを両立させた抄紙性に優れた合成パルプと、該合成パルプから得られる合成紙を提供する。
【解決手段】液晶ポリエステルを島成分、非液晶性熱可塑性ポリマーを海成分とする海島型ブレンド繊維であって、繊維横断面内の島成分に内接する最小の円の直径をR1、外接する最大の円の直径をR2とすると、島成分のうち50〜95%がR2/R1≦2を満たす略円形であり、残りの50〜5%がR2/R1>2を満たす非円形の形状であることを特徴とするパルプ原料繊維。
【選択図】なし
【解決手段】液晶ポリエステルを島成分、非液晶性熱可塑性ポリマーを海成分とする海島型ブレンド繊維であって、繊維横断面内の島成分に内接する最小の円の直径をR1、外接する最大の円の直径をR2とすると、島成分のうち50〜95%がR2/R1≦2を満たす略円形であり、残りの50〜5%がR2/R1>2を満たす非円形の形状であることを特徴とするパルプ原料繊維。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶ポリエステルからなるパルプの製造に好適なパルプ原料繊維及びその製造方法並びに合成パルプ及び該パルプからなる合成紙に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液晶ポリエステルからなるパルプの製造方法としては、液晶ポリエステル成形物を叩解する方法(特許文献1参照)や、液晶ポリエステルを島成分とする海島型複合繊維の海成分を除去する方法(特許文献2参照)が知られている。
【0003】
液晶ポリエステル成形物を叩解する方法では枝分かれが多く、絡み合いの多いパルプが得られる。しかし、液晶ポリエステルの塊を叩解してパルプを得るには通常の木片からパルプを得るのに必要な時間の20倍以上かかるため、製造性が非常に悪い。しかも叩解を繰り返しても太い繊維状物を無くすることは難しいため、水への分散性が悪くなり抄造性が低下し薄い紙を製造することは難しかった。これらの問題を解決するため、予め液晶ポリエステル成形物を薬品処理することにより叩解の時間を短縮する方法も知られている(特許文献3参照)が、薬品処理と叩解の2段階を経る必要があり、製造コストを大きく下げることは難しい上、得られるパルプの形状と太さには大きな改善が見られず、抄造性の改善も僅かなものであった。
【0004】
一方で、液晶ポリエステルを島成分とする海島型複合繊維の海成分を除去する方法では海成分除去の一段階で細く、抄造性のよいパルプを得られ、薄い紙の製造も可能である。しかし、得られるパルプは実質的に枝分かれを有していないため、剛直性の高い液晶ポリエステル短繊維では絡み合いが起こりにくく、該パルプから得られる紙の紙力は低いものであった。紙力を強化するため、より長くて太い短繊維成分を与える複合繊維を混入する方法が開示されている(特許文献4参照)が、2種類の繊維を混合する工程が必要となり、製造コストの増加は免れないものであった。また、太い短繊維とパルプ状物の混合物を1度に得ることの出来る紙料原料繊維の製造方法も開示されている(特許文献5参照)が、太い短繊維の長さはパルプ状物の長さと等しくなってしまい、枝分かれも持たないため、太い短繊維は絡み合いをほとんど起こさず、紙力の増加は少ないものであった。
【0005】
【特許文献1】特開平1−201518号公報
【0006】
【特許文献2】特開平7−331581号公報
【0007】
【特許文献3】特開平10−46431号公報
【0008】
【特許文献4】特開平8−269824号公報
【0009】
【特許文献5】特開平8−246242号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は上記のような問題を解決した、高機能な紙と該紙を製造するために必要なパルプ並びに該パルプを製造するのに好適なパルプ原料繊維及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、特定の条件下で液晶ポリエステルを島成分、非液晶性熱可塑ポリマーを海成分とする海島型ブレンド繊維を製造することにより、繊維横断面内の島成分のうち、50〜95%が略円形であり50〜5%が非円形である、パルプを形成するのに好適なパルプ原料繊維を製造できること、及び、該繊維を長さ5mm以下にカットする前又はカットした後に、海成分を溶解及び/又は分解除去することにより、枝分かれを有しない短繊維と枝分かれを有する短繊維の混合物からなるパルプを得られることを見出したものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられる液晶ポリエステルは、芳香族オキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸、芳香族ジオール、脂肪族ジカルボン酸、脂肪族ジオールなどのモノマーから選ばれた構造単位からなる重合物であり、異方性溶融相を形成するポリエステルである。異方性溶融相とは、例えば液晶ポリエステルからなる試料をホットステージにのせ、窒素雰囲気下で昇温加熱し、試料の透過光を偏光下で観察することにより認定できる。
【0013】
ここで芳香族オキシカルボン酸の具体例としては、特に制限されるものではないものの、ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシナフトエ酸、ヒドロキシアントラセンカルボン酸、ヒドロキシフェナントレンカルボン酸、(ヒドロキシフェニル)ビニルカルボン酸などが挙げられ、またこれら芳香族オキシカルボン酸のアルキル、アルコキシ、アリル、アリール、アミノ、イミノ、ハロゲン化物などの誘導体、付加体、構造異性体、光学異性体などが挙げられる。これら芳香族オキシカルボン酸のうち1種を単独で用いても良いし、または発明の主旨を損ねない範囲で2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0014】
芳香族ジカルボン酸の具体例としては、特に制限されるものではないものの、テレフタル酸、イソフタル酸、ジフェニルジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、フェナントレンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、ジフェニルエタンジカルボン酸などが挙げられ、またこれら芳香族ジカルボン酸のアルキル、アルコキシ、アリル、アリール、アミノ、イミノ、ハロゲン化物などの誘導体、付加体、構造異性体、光学異性体などが挙げられる。これら芳香族ジカルボン酸のうち1種を単独で用いても良いし、または発明の主旨を損ねない範囲で2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0015】
脂環族ジカルボン酸の具体例としては、特に制限されるものではないものの、ビシクロオクタンジカルボン酸などが挙げられ、またこれら脂環族ジカルボン酸のアルキル、アルコキシ、アリル、アリール、アミノ、イミノ、ハロゲン化物などの誘導体、付加体、構造異性体、光学異性体などが挙げられる。これら脂環族ジカルボン酸のうち1種を単独で用いても良いし、または発明の主旨を損ねない範囲で2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0016】
芳香族ジオールの具体例としては、特に制限されるものではないものの、ハイドロキノン、レゾルシン、ジヒドロキシビフェニル、ナフタレンジオール、アントラセンジオール、フェナントレンジオール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4´−ジヒドロキシジフェニルエーテル、ビスフェノールSなどが挙げられ、またこれら芳香族ジオールのアルキル、アルコキシ、アリル、アリール、アミノ、イミノ、ハロゲン化物などの誘導体、付加体、構造異性体、光学異性体などが挙げられる。これら芳香族ジオールのうち1種を単独で用いても良いし、または発明の主旨を損ねない範囲で2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0017】
脂肪族ジオールとしてはエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ブチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコールなどが挙げられ、またこれら脂肪族ジオールのアルキル、アルコキシ、アリル、アリール、アミノ、イミノ、ハロゲン化物などの誘導体、付加体、構造異性体、光学異性体などが挙げられる。これら脂肪族ジオールのうち1種を単独で用いても良いし、または発明の主旨を損ねない範囲で2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0018】
本発明の液晶ポリエステルは、上記モノマー以外に、液晶性を損なわない程度の範囲でさらに他のモノマーを共重合せしめることができ、それら他のモノマーとしては特に制限されるものではないものの、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸などの脂肪族ジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸などの脂環式ジカルボン酸、ポリエチレングリコールなどのポリエーテル、ポリシロキサン、芳香族イミノカルボン酸、芳香族ジイミン、および芳香族ヒドロキシイミンなどが挙げられる。
【0019】
本発明における、前記のモノマーなどを重合した液晶ポリエステルの好ましい例としては、特に制限されるものではないものの、p−ヒドロキシ安息香酸と6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸とが共重合された液晶ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸とエチレングリコールとテレフタル酸および/またはイソフタル酸とが共重合された液晶ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸成分と4,4−ジヒドロキシビフェニルとテレフタル酸および/またはイソフタル酸とが共重合された液晶ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸とエチレングリコールと4,4´−ジヒドロキシビフェニルとテレフタル酸および/またはイソフタル酸とが共重合された液晶ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸と6−ヒドロキシ2−ナフトエ酸とハイドロキノンとテレフタル酸および/またはイソフタル酸と2,6−ナフタレンジカルボン酸とが共重合された液晶ポリエステル、などが挙げられる。
【0020】
本発明における液晶ポリエステルの製造方法にはついては特に制限されるものではなく、公知のポリエステルの重縮合法に準じて製造でき、例えば、次の製造方法(1)〜(5)が好ましく挙げられる。
(1)p−アセトキシ安息香酸および4,4´−ジアセトキシビフェニル、ジアセトキシベンゼンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物のジアシル化物と、2,6−ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸とから脱酢酸縮重合反応によって製造する方法。
(2)p−ヒドロキシ安息香酸および4,4´−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物と、2,6−ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸とに無水酢酸を反応させて、フェノール性水酸基をアシル化した後、脱酢酸重縮合反応によって製造する方法。
(3)p−ヒドロキシ安息香酸のフェニルエステルおよび4,4´−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物と、2,6−ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸とのジフェニルエステルから脱フェノール重縮合反応により製造する方法。
(4)p−ヒドロキシ安息香酸および2,6−ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸に、所定量のジフェニルカーボネートを反応させて、それぞれジフェニルエステルとした後、4,4´−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物を加え、脱フェノール重縮合反応により製造する方法。
(5)ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルのポリマー、オリゴマーまたはビス(β−ヒドロキシエチル)テレフタレートなど芳香族ジカルボン酸のビス(β−ヒドロキシエチル)エステルの存在下で、(1)または(2)の方法により製造する方法。
【0021】
本発明における液晶ポリエステルの重縮合反応は無触媒でも進行するが、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸カリウムおよび酢酸ナトリウム、三酸化アンチモン、金属マグネシウムなどの金属化合物を使用して重縮合反応を行うことができる。
【0022】
また本発明の液晶ポリエステルは、発明の主旨を損ねない範囲で、ポリエチレンテレフタレート、変性ポリエチレンテレフタレートなどの非液晶ポリエステル、ポリオレフィンやポリスチレンなどのビニル系重合体、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、芳香族ポリケトン、脂肪族ポリケトン、フッ素系樹脂などの熱可塑性ポリマーを添加しても良く、また各種金属酸化物やカオリン、シリカなどの無機物や、着色剤、艶消剤、難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、結晶核剤、蛍光増白剤、末端基封止剤等の添加剤を少量含有しても良い。
【0023】
本発明の液晶ポリエステルは、融点(以下Tm)が220〜360℃の範囲のものが好ましく、さらに好ましくはTmが250〜350℃である。ここで、融点(Tm)とは示差走査熱量計(パーキンエルマー社製DSC)で行う示差熱量測定において、重合を完了したポリマを室温から16℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1)の観測後、Tm1+20℃の温度で5分間保持した後、室温まで急冷した後(急冷時間および室温保持時間を合わせて5分間保持)、再度16℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm2)を意味する。
【0024】
また、本発明で用いられる非液晶性熱可塑性ポリマーは、使用する液晶ポリエステルと相溶しないものであれば特に限定されるものではないが、好適な例としては、ポリエチレン、ポリスチレン、共重合ポリスチレン、ポリエステル、共重合ポリエステル等が挙げられる。
【0025】
本発明のパルプ原料繊維は、液晶ポリエステルが島成分、非液晶制熱可塑性ポリマーが海成分である海島型ブレンド繊維であることが必要である。このような構造であれば、後の工程で非液晶性熱可塑性ポリマーを除去することにより、各々の島成分が独立した極細短繊維を形成し、紙に適したパルプを形成する事が出来る。非液晶性熱可塑性ポリマーが島成分、液晶ポリエステルが海成分である海島型ブレンド繊維や、液晶ポリエステルと非液晶性熱可塑性ポリマーによる共連続型ブレンド繊維では非液晶性熱可塑性ポリマーを除去したとしても液晶ポリエステルは極細繊維を形成しないため、紙原料として適当なパルプを得ることは出来ない。
【0026】
また、本発明のパルプ原料繊維は繊維横断面において略円形をした島と非円形をした島が混在した海島型ブレンド繊維であることが必要である。本発明で言う繊維横断面とは、繊維軸に垂直な面に並行に繊維を切断した断面を指す。後の工程で海成分を除去した際、略円形の島を形成する液晶ポリエステルは直線状の短繊維を形成し、非円形の島を形成する液晶ポリエステルは枝分かれを有する短繊維を形成する。本発明で言う略円形の島とは、1つの島成分に内接する最小の円の直径(R1)と、同島成分に外接する最大の円の半径(R2)が以下の式の範囲内にある場合を指す。
【0027】
R2/R1≦2
また、本発明で言う非円形の島とは、R1とR2が以下の式の範囲にある場合を指す。
【0028】
R2/R1>2
略円形の島の個数は全島の個数のうちの50〜95%、特に65〜85%とするのが好ましい。略円形の島の個数が50%以下であると、水への分散性が悪くなり抄造性が低下する。また、略円形の島の個数が95%以上になると、パルプの絡み合いが低下し、紙力の劣った紙となる。
【0029】
上記の特性を持ったパルプ原料繊維は、液晶ポリエステルと下記(1)、(2)の条件を満たす非液晶性熱可塑性ポリマーの混合物を、下記(3)〜(5)を満たす吐出条件で吐出することで製造することが出来る。
(1)低剪断速度域における剪断粘度
ηAL>ηBL
ηAL:剪断速度100sec−1における液晶ポリエステルの剪断粘度(Pa・sec)
ηBL:剪断速度100sec−1における非液晶性熱可塑性ポリマーの剪断速度(Pa・sec)
(2)高剪断速度域における剪断粘度
ηAH<ηBH
ηAH:剪断速度6000sec−1における液晶ポリエステルの剪断速度(Pa・sec)
ηBH:剪断速度6000sec−1における非液晶性熱可塑性ポリマーの剪断速度(Pa・sec)
(3)全吐出量に占める液晶ポリエステルの吐出量の割合
50≦QA/Q×100≦80
QA:液晶ポリエステルの単孔当たりの吐出量(g/min)
Q:単孔当たりの全吐出量(g/min)
(4)口金孔径と口金孔長の比
L/D≧2
L:吐出孔の長さ(mm)
D:吐出孔の直径(mm)
(5)口金孔における剪断速度
32Q/πD3≧5000
A,Bの2つのポリマーからなる非相溶系ポリマーブレンドにおいて、ポリマーAの液晶ポリエステルが島を形成する条件として下記式が知られている。式から、Aポリマーの分率が高くても、Aポリマーの粘度がポリマーBの非液晶性熱可塑性ポリマーより十分に高ければ、Aポリマーは島を形成することが分かる。
【0030】
【数1】
【0031】
従って、本製造方法では紡糸機内部の吐出孔手前までの流れに相当する低剪断速度域において、液晶ポリエステルの粘度(ηAL)が非液晶性熱可塑性ポリマーの粘度(ηBL)より高いことが必要であり、特にこのような低剪断速度域において液晶ポリエステルの粘度が非液晶性熱可塑性ポリマーより2倍以上高いことが好ましい。これにより、吐出孔手前においては液晶ポリエステルが島を形成する。
【0032】
加えて、本製造方法では、口金孔内での流れに相当する高剪断速度域において、液晶ポリエステルの粘度(ηAH)が非液晶性熱可塑性ポリマーの粘度(ηBH)より低いことが必要である。これにより、吐出孔手前では略円形の島を形成していた液晶ポリエステルが、粘度の低下により相互に融合し、非円形の形状を経て海へと変化していく。この変化が進行している間に吐出を行うことにより、該繊維は略円形の島と非円形の島の混在する、特徴的な構造を有するものとなる。
【0033】
好適なパルプ原料繊維を得るには、ポリマー全体の吐出量中に占める液晶ポリエステルの吐出量の体積分率が50%〜80%で有ることが必要であり、特に60〜75%の割合であることが望ましい。液晶ポリエステルの割合が80%以上であると低剪断速度域においても液晶ポリエステルが島を形成できなくなり、吐出孔内部で液晶ポリエステルの粘度が更に低下してしまうため、液晶ポリエステルが海成分である海島型ブレンド繊維となってしまう。また、液晶ポリエステルの割合が低すぎると吐出孔内部で液晶ポリエステルの粘度が低下したときにも液晶ポリエステルが海成分へと変化しなくなり、略円形の島のみを持つ海島型ブレンド繊維となってしまう。
【0034】
上記の条件に加え、吐出孔内部での相状態の変化にはある程度の変形量が必要となることから、吐出孔の長さは吐出孔の直径に対して2倍以上であることが必要であり、4倍以上であることが好ましい。更に、吐出孔内部において、液晶ポリエステルの粘度が非液晶熱可塑性ポリマーの粘度より低くなるように、吐出孔における剪断速度は5,000以上にする必要があり、10,000以上であることが好ましい。
【0035】
以上の紡糸条件を満たせば、吐出後の冷却条件、巻き上げ条件等は通常の条件で行ってよく、製造される繊維の太さや繊維の長さについても特に限定されるものではない。ただし、液晶ポリエステルの特性として、紡糸線上でのドラフトを大きくしすぎると糸切れが多くなるので、紡糸線上でのドラフトは10〜100倍にするのが好ましい。また、紡糸機には通常知られている物が使用可能であるが、2軸混練押出機構を備える紡糸機であれば液晶ポリエステルと非液晶性熱可塑性ポリマーの混練と押し出しを同時に行えるため好ましい。混練能力の低い押出機構を備える紡糸機を用いる際には、液晶ポリエステルと非液晶性熱可塑性ポリマーの混練性を高めるため、予め2軸混練押出機にて混練を行ったものを紡糸機に供給することが好ましい。混練を行う際の剪断速度は特に制限はなく、通常の条件で混練を行うことが出来る。
【0036】
上記パルプ原料繊維をカットする前/又はカットした後に非液晶性熱可塑性ポリマーを除去することにより、枝分かれを有しない直線状の液晶ポリエステル短繊維と枝分かれを有する液晶性ポリエステル短繊維の混合物からなるパルプを得ることが出来る。直線状の短繊維は高い分散性を示し、枝分かれを有する短繊維が絡み合いを形成するため、該パルプは良好な抄造性を維持しながら、それから抄紙された紙は高い紙力を示す。該パルプに占める直線状の短繊維の割合は50〜95%であり、特に70〜80%であることが好ましい。直線状の短繊維の割合が50%以下であるとパルプの分散性が低下し、抄造性が悪化する。また、直線状の短繊維の割合が95%以上になるとパルプの絡み合いが低下し、十分な紙力が得られなくなる。
【0037】
パルプ原料繊維中の液晶ポリエステル成分は実質的に連続しているので、パルプを得るためには長さ5mm以下にカットする必要がある。カットは非液晶性熱可塑性ポリマーを除去する前又は後のいずれで行ってもよいが、取り扱いの簡便性とカット性から非液晶性熱可塑性ポリマーを除去する前にカットするのが好ましい。カット方法としては、カッター、ペレタイザー、粉砕器等いずれの方法で行ってもよい。カット長が長いと水への分散性が低下し、カット長が短すぎると抄紙された紙の紙力が低下する。パルプの分散性と紙の紙力のバランスを考えると、カット長は0.5mm以上3mm以下とするのが好ましく、1mm以上2mm以下とするのが特に好ましい。
【0038】
非液晶性熱可塑性ポリマーの溶解及び/または分解除去は、浸漬法、ディップニップ法、ローラーパット法等のどの方法で行ってもよい。非液晶性熱可塑性ポリマーとしてポリエチレンを用いた場合には、溶媒としてシクロヘキサン、クロロホルムを用いて80℃以上で処理することが好ましい。また、ポリスチレンを用いた場合には、トルエン、キシレン等を用いて室温で処理するのが好ましい。非液晶性熱可塑性ポリマーとして共重合ポリエステルを用いた場合には水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、リン酸三ナトリウム等の強アルカリ溶液で処理することが好ましい。これらの処理により非液晶性熱可塑性ポリマーを除去した後、水洗乾燥処理を行うのが好ましい。
【0039】
本発明により得られたパルプは、熱処理により強度・弾性率等の性能を更に向上させることが出来る。その時の熱処理方法としては、加熱板、赤外線ヒーター等により熱輻射を利用する方法、熱ローラー、プレート等に接触させて行う方法、高周波等を利用した内部加熱方法等を用いることが出来る。また、該熱処理は窒素等の不活性ガスあるいは窒素と酸素、炭酸ガスなどの混合気体および空気などの雰囲気下で行われることが好ましい。その時の露点は−10℃以下、特に−40℃以下とするのが好ましい。また、熱処理条件は融点Tmに対して、Tm−60℃〜Tm+20℃の温度範囲で、Tm−40℃の温度から順次昇温していくパターンが好ましい。
【0040】
本発明で得られるパルプのみを用いて湿式抄紙することにより紙力の優れた紙状物を得ることが出来るが、用途により、他の方法で製造された液晶ポリエステル繊維やパルプを混合して抄紙してもよい。この時、分散剤を用いて抄紙するのが好ましい。分散剤は、1種類でも、複数種類を混合して用いてもよい。抄紙された紙はそのまま用いることも可能であるが、使用目的に応じて熱カレンダー処理等の後加工を行うことも可能である。
【0041】
本発明で得られる紙は耐熱性、耐薬品性、非吸湿性等に優れ、更に高強力高弾性率を有しているため、様々な分野に使用することが出来る。具体的には、ブレーキライニング、クラッチフェーシング、軸受け等の摩耗剤、パッキング材、ガスケット材、フィルター、研磨剤、絶縁し、耐熱紙、スピーカーコーン、ワイピングクロス、樹脂強化材等に好適である。特に非吸湿性、耐薬品性に優れているため、電気絶縁分野に好適である。
【0042】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。なお、以下の実施例中に記載されている溶融粘度、対数粘度、極限粘度、メルト・フロー・レート、融点、相分散状態、パルプ形状、秤量、裂断長は以下の手法で測定を行った。
【0043】
(1)溶融粘度
東洋精機キャピログラフ1B型を用いて、温度300℃に設定て測定を行った。この時、低剪断速度での溶融粘度の測定時には剪断速度を100sec−1とし、高剪断速度での溶融粘度測定時は剪断速度を6000sec−1に設定した。
【0044】
(2)対数粘度
試料を60℃〜80℃のペンタフルオロフェノールに0.1重量%溶解し、60℃の恒温槽中でウベローデ型粘度計を用いて相対粘度(ηrel)を測定し、次式によって計算した
対数粘度=ln(ηrel)/c
ここで、cはポリマー濃度(g/dl)である。
【0045】
(3)極限粘度
試料をオルソクロロフェノール溶液に溶解し、オストワルド粘度計を用いて25℃で測定した。
【0046】
(4)メルト・フロー・レート(MFR)
JIS K7210に準じて、190℃、5kgの条件で測定した。
【0047】
(5)融点
示差走査熱量計(パーキンエルマー社製DSC)にサンプルを5〜15mg取り、アルミパンに封入した後、窒素雰囲気下で室温から16℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1)の観測後、Tm1+20℃の温度で5分間保持した後、室温まで急冷した後(急冷時間および室温保持時間を合わせて5分間保持)、再度16℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm2)を融点とした。
【0048】
(6)相分離状態
繊維をエポキシ樹脂に含浸した後、ミクロトームを用いて繊維軸に垂直な面に沿って切り出し、超薄切片を作製した後、透過型電子顕微鏡を用いて観察を行った。
【0049】
(7)パルプ形状の観察
乾燥したパルプの電子顕微鏡写真を撮影し、任意の100本の短繊維の形状を調べ、枝分かれをしたパルプの分率を計算した。
【0050】
(8)秤量
得られた紙を10cm角に切り取り、その重量を電子天秤にて測定して下記式により求めた。
【0051】
秤量(g/m2)=W/0.01
ここで、Wは電子天秤で測定された紙片の重量である。
【0052】
(9)抄造性
パルプを標準角形抄紙機で抄紙した際に水分散性が高く湿潤時(抄紙時)の紙力に優れており、容易に抄紙出来るものを○、パルプの水分散性および湿潤時(抄紙時)の紙力がやや低いが、比較的容易に抄紙出来るものを△、パルプの水分散性が低くて塊状物が生じたり、湿潤時(抄紙時)の紙力が低くて容易に破れる等の問題が生じて容易に抄紙出来ないものを×として評価した。
【0053】
(10)裂断長
JIS P8113に準じて、幅15mm、長さ250mmの試験片を用いて測定し、縦方向及び横方向の裂断長の相加平均で示した。
【0054】
実施例1
液晶ポリエステルとして、パラヒドロキシ安息香酸と2−ヒドロキシ6−ナフトエ酸が73/27モル%比、融点280℃、対数粘度5.7dl/gのものを用いた。このポリマーの低剪断速度における溶融粘度は100Pa・sec、高剪断速度における溶融粘度は16Pa・secであった。また、非液晶性熱可塑性ポリマーとして、5−ソジウムイソフタル酸とテレフタル酸を酸成分、エチレングリコールをジオール成分として共重合した共重合ポリエステル(5−ソジウムイソフタル酸成分含有量2.0モル%、極限粘度0.51dl/g)を用いた。このポリマーの低剪断速度における溶融粘度は50Pa・sec、高剪断速度における溶融粘度は26Pa・secであった。
【0055】
上記の液晶ポリエステルと共重合ポリエステルを70:30の割合で2軸混練押出機構を備えた紡糸機に供給して溶融混練し、ギヤポンプから紡糸口金へと導き、設定温度315℃、孔径0.13mm、L/D=5の口金から、単孔吐出量0.33g/minで押し出し、600m/minで巻き取り、1500d/300fのパルプ原料繊維を得た。この時、口金孔での剪断速度は20,000sec−1、紡糸線上でのドラフトは約30倍であった。得られたパルプ原料繊維の相分離構造を観察したところ、液晶ポリエステルが島成分、共重合ポリエステルが海成分の海島型ブレンド繊維となっていた。その繊維横断面内の島成分のうち75%が略円形であり、25%が非円形であった。
【0056】
実施例2
非液晶性熱可塑性ポリマーとして MFR10、低剪断速度における溶融粘度が76Pa・sec、高剪断速度における溶融粘度が31Pa・secの直鎖状低密度ポリエチレンを用いた以外は実施例1と同様にパルプ原料繊維を作製した。得られたパルプ原料繊維の相分離構造を観察したところ、液晶ポリエステルが島成分、直鎖状低密度ポリエチレンが海成分の海島型ブレンド繊維となっていた。その繊維横断面内の島成分のうち、60%が略円形であり、40%が非円形であった。
【0057】
比較例1
極限粘度0.73dl/g、低剪断速度における溶融粘度が210Pa・sec、高剪断速度における溶融粘度が150Pa・secの共重合ポリエステルを用いた以外は実施例1と同様にパルプ原料繊維を作製した。得られたパルプ原料繊維の相分離構造を観察したところ、液晶ポリエステルが島成分、共重合ポリエステルが海成分の海島型ブレンド繊維であり、繊維横断面内の全ての島が略円形となっていた。
【0058】
比較例2
MFR50、低剪断速度における溶融粘度が26Pa・sec、高剪断速度における溶融粘度が12Pa・secの直鎖状低密度ポリエチレンを用いた以外は実施例1と同様にパルプ原料繊維を作製した。得られたパルプ原料繊維の相分離構造を観察したところ、直鎖状低密度ポリエチレンが島成分、液晶ポリエステルが海成分の海島型ブレンド繊維となっていた。
【0059】
実施例3
液晶ポリエステルと共重合ポリエステルの供給割合を55:45にした以外は実施例1と同様にパルプ原料繊維を作製した。得られたパルプ原料繊維の相分離構造を観察したところ、液晶ポリエステルが島成分、共重合ポリエステルが海成分の海島型ブレンド繊維であり、その繊維横断面内の島のうち90%が略円形であり、10%が非円形となっていた。
【0060】
比較例3
液晶ポリエステルと共重合ポリエステルの供給割合を40:60とした以外は実施例1と同様にパルプ原料繊維を作製した。得られたパルプ原料繊維の相分離構造を観察したところ、液晶ポリエステルが島成分、共重合ポリエステルが海成分の海島型ブレンド繊維であり、その繊維横断面内の島のうち98%が略円形であり、2%が非円形となっていた。
【0061】
比較例4
液晶ポリエステルと共重合ポリエステルの共有割合を90:10とした以外は実施例1と同様にパルプ原料繊維を作製した。得られたパルプ原料繊維の相分離構造を観察したところ、共重合ポリエステルが島成分、液晶ポリエステルが海成分の海島型ブレンド繊維であった。
【0062】
比較例5
L/Dが1.5の口金を使用した以外は実施例1と同様にパルプ原料繊維を作製した。得られたパルプ原料繊維の相分離構造を観察したところ、液晶ポリエステルが島成分、共重合ポリエステルが海成分の海島型ブレンド繊維であり、繊維横断面中の島のうち97%が略円形であり、3%が非円形となった。
【0063】
比較例6
口金孔径に0.2mmのものを用い、単孔吐出量を0.22g/min、巻取速度を400m/minとした以外は実施例1と同様にパルプ原料繊維を作製した。この時、口金での剪断速度は3600sec−1、紡糸ドラフトは73倍となった。得られたパルプ原料繊維の相分離構造を観察したところ、液晶ポリエステルが島成分、共重合ポリエステルが海成分の海島型ブレンド繊維であり、繊維横断面内の全ての島が略円形となっていた。
【0064】
実施例4
実施例1で得られたパルプ原料繊維をカッターを用いて1.5mmの長さに切断した後、沸騰している40g/lの水酸化ナトリウム溶液に15分間浸漬した。次にこれをガーゼ上に移し取り酢酸で中和した後、30分水で洗浄した。得られたパルプの形状を観察したところ、パルプ中の70%は枝分かれを有しない直線状の短繊維であり、30%は枝分かれを有する短繊維であった。
【0065】
このパルプを水中に撹拌分散させた後、分散物を80メッシュのステンレス製金網を用いて抄紙し、シート状物を得た。ついでこのシートを表面温度120℃、2km/cm2のドラム型乾燥機で処理して脱水乾燥させた。得られた紙を上がゴムロール、したがスチールロールの条件下でロール温度240℃、線圧70kg/cmのカレンダー処理を行った。この時、パルプの水分散性、抄造性は共に良好で、得られた紙の強力も高いものが得られた。得られた紙の性質を表1に示す。
【0066】
実施例5〜6、比較例7
パルプ原料繊維をカットする長さを変更した以外は実施例4と同様に紙を製造した。カット長が長くなるにつれてパルプの水分散性が低下し、カット長6.0mmでは、どれだけ攪拌しても塊状物が残存するため、均一な紙を抄紙することができず、得られた紙の強力も低いものであった。得られた紙の性質を表1に示す。
【0067】
実施例7
実施例2で得られたパルプ原料繊維をカッターを用いて1.5mmの長さに切断した後、90℃のシクロヘキサンに30分間浸漬した。次にこれをガーゼ上に移し取り30分水で洗浄した。得られたパルプの形状を観察したところ、パルプ中の60%は枝分かれを有しない直線状の短繊維であり、40%は枝分かれを有する短繊維であった。
【0068】
このパルプを水中に撹拌分散させた後、分散物を80メッシュのステンレス製金網を用いて抄紙し、シート状物を得た。ついでこのシートを表面温度120℃、2km/cm2のドラム型乾燥機で処理して脱水乾燥させた。得られた紙を上がゴムロール、下がスチールロールの条件下でロール温度240℃、線圧70kg/cmのカレンダー処理を行った。この時、パルプを水に分散させるには長時間の攪拌が必要であったが、均一な紙を得ることができ、得られた紙の強力も高いものであった。得られた紙の性質を表1に示す。
【0069】
比較例8
使用するパルプ原料繊維を比較例1で得られたものに変更した以外は実施例4と同様にパルプを製造した。しかし、共重合ポリエステルを除去してもパルプ原料繊維は極細繊維に分割せず、パルプ状物は得られなかった。残った短繊維を用いて、実施例4と同様に紙を製造することを試みたが、抄紙時の紙力が低く安定して紙を製造することが出来なかった。結果を表1に示す。
【0070】
比較例9
使用するパルプ原料繊維を比較例2で得られたものに変更した以外は実施例7と同様に紙を製造した。得られたパルプの形状を観察したところ、全てのパルプは枝分かれの無い直線状の短繊維であった。このパルプを用いて、実施例7と同様に紙を製造した。この時、パルプの水分散性、抄造性は共に良好であったが、得られた紙の強力は低いものであった。得られた紙の性質を表1に示す。
【0071】
【表1】
【0072】
【発明の効果】
本発明により、高紙力、低吸湿性等を有すると共に、緻密で電気絶縁性に優れた液晶ポリエステルから成る紙及びその効率的な製造方法を提供することが出来る。
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶ポリエステルからなるパルプの製造に好適なパルプ原料繊維及びその製造方法並びに合成パルプ及び該パルプからなる合成紙に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液晶ポリエステルからなるパルプの製造方法としては、液晶ポリエステル成形物を叩解する方法(特許文献1参照)や、液晶ポリエステルを島成分とする海島型複合繊維の海成分を除去する方法(特許文献2参照)が知られている。
【0003】
液晶ポリエステル成形物を叩解する方法では枝分かれが多く、絡み合いの多いパルプが得られる。しかし、液晶ポリエステルの塊を叩解してパルプを得るには通常の木片からパルプを得るのに必要な時間の20倍以上かかるため、製造性が非常に悪い。しかも叩解を繰り返しても太い繊維状物を無くすることは難しいため、水への分散性が悪くなり抄造性が低下し薄い紙を製造することは難しかった。これらの問題を解決するため、予め液晶ポリエステル成形物を薬品処理することにより叩解の時間を短縮する方法も知られている(特許文献3参照)が、薬品処理と叩解の2段階を経る必要があり、製造コストを大きく下げることは難しい上、得られるパルプの形状と太さには大きな改善が見られず、抄造性の改善も僅かなものであった。
【0004】
一方で、液晶ポリエステルを島成分とする海島型複合繊維の海成分を除去する方法では海成分除去の一段階で細く、抄造性のよいパルプを得られ、薄い紙の製造も可能である。しかし、得られるパルプは実質的に枝分かれを有していないため、剛直性の高い液晶ポリエステル短繊維では絡み合いが起こりにくく、該パルプから得られる紙の紙力は低いものであった。紙力を強化するため、より長くて太い短繊維成分を与える複合繊維を混入する方法が開示されている(特許文献4参照)が、2種類の繊維を混合する工程が必要となり、製造コストの増加は免れないものであった。また、太い短繊維とパルプ状物の混合物を1度に得ることの出来る紙料原料繊維の製造方法も開示されている(特許文献5参照)が、太い短繊維の長さはパルプ状物の長さと等しくなってしまい、枝分かれも持たないため、太い短繊維は絡み合いをほとんど起こさず、紙力の増加は少ないものであった。
【0005】
【特許文献1】特開平1−201518号公報
【0006】
【特許文献2】特開平7−331581号公報
【0007】
【特許文献3】特開平10−46431号公報
【0008】
【特許文献4】特開平8−269824号公報
【0009】
【特許文献5】特開平8−246242号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は上記のような問題を解決した、高機能な紙と該紙を製造するために必要なパルプ並びに該パルプを製造するのに好適なパルプ原料繊維及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、特定の条件下で液晶ポリエステルを島成分、非液晶性熱可塑ポリマーを海成分とする海島型ブレンド繊維を製造することにより、繊維横断面内の島成分のうち、50〜95%が略円形であり50〜5%が非円形である、パルプを形成するのに好適なパルプ原料繊維を製造できること、及び、該繊維を長さ5mm以下にカットする前又はカットした後に、海成分を溶解及び/又は分解除去することにより、枝分かれを有しない短繊維と枝分かれを有する短繊維の混合物からなるパルプを得られることを見出したものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられる液晶ポリエステルは、芳香族オキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸、芳香族ジオール、脂肪族ジカルボン酸、脂肪族ジオールなどのモノマーから選ばれた構造単位からなる重合物であり、異方性溶融相を形成するポリエステルである。異方性溶融相とは、例えば液晶ポリエステルからなる試料をホットステージにのせ、窒素雰囲気下で昇温加熱し、試料の透過光を偏光下で観察することにより認定できる。
【0013】
ここで芳香族オキシカルボン酸の具体例としては、特に制限されるものではないものの、ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシナフトエ酸、ヒドロキシアントラセンカルボン酸、ヒドロキシフェナントレンカルボン酸、(ヒドロキシフェニル)ビニルカルボン酸などが挙げられ、またこれら芳香族オキシカルボン酸のアルキル、アルコキシ、アリル、アリール、アミノ、イミノ、ハロゲン化物などの誘導体、付加体、構造異性体、光学異性体などが挙げられる。これら芳香族オキシカルボン酸のうち1種を単独で用いても良いし、または発明の主旨を損ねない範囲で2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0014】
芳香族ジカルボン酸の具体例としては、特に制限されるものではないものの、テレフタル酸、イソフタル酸、ジフェニルジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、フェナントレンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、ジフェニルエタンジカルボン酸などが挙げられ、またこれら芳香族ジカルボン酸のアルキル、アルコキシ、アリル、アリール、アミノ、イミノ、ハロゲン化物などの誘導体、付加体、構造異性体、光学異性体などが挙げられる。これら芳香族ジカルボン酸のうち1種を単独で用いても良いし、または発明の主旨を損ねない範囲で2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0015】
脂環族ジカルボン酸の具体例としては、特に制限されるものではないものの、ビシクロオクタンジカルボン酸などが挙げられ、またこれら脂環族ジカルボン酸のアルキル、アルコキシ、アリル、アリール、アミノ、イミノ、ハロゲン化物などの誘導体、付加体、構造異性体、光学異性体などが挙げられる。これら脂環族ジカルボン酸のうち1種を単独で用いても良いし、または発明の主旨を損ねない範囲で2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0016】
芳香族ジオールの具体例としては、特に制限されるものではないものの、ハイドロキノン、レゾルシン、ジヒドロキシビフェニル、ナフタレンジオール、アントラセンジオール、フェナントレンジオール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4´−ジヒドロキシジフェニルエーテル、ビスフェノールSなどが挙げられ、またこれら芳香族ジオールのアルキル、アルコキシ、アリル、アリール、アミノ、イミノ、ハロゲン化物などの誘導体、付加体、構造異性体、光学異性体などが挙げられる。これら芳香族ジオールのうち1種を単独で用いても良いし、または発明の主旨を損ねない範囲で2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0017】
脂肪族ジオールとしてはエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ブチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコールなどが挙げられ、またこれら脂肪族ジオールのアルキル、アルコキシ、アリル、アリール、アミノ、イミノ、ハロゲン化物などの誘導体、付加体、構造異性体、光学異性体などが挙げられる。これら脂肪族ジオールのうち1種を単独で用いても良いし、または発明の主旨を損ねない範囲で2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0018】
本発明の液晶ポリエステルは、上記モノマー以外に、液晶性を損なわない程度の範囲でさらに他のモノマーを共重合せしめることができ、それら他のモノマーとしては特に制限されるものではないものの、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸などの脂肪族ジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸などの脂環式ジカルボン酸、ポリエチレングリコールなどのポリエーテル、ポリシロキサン、芳香族イミノカルボン酸、芳香族ジイミン、および芳香族ヒドロキシイミンなどが挙げられる。
【0019】
本発明における、前記のモノマーなどを重合した液晶ポリエステルの好ましい例としては、特に制限されるものではないものの、p−ヒドロキシ安息香酸と6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸とが共重合された液晶ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸とエチレングリコールとテレフタル酸および/またはイソフタル酸とが共重合された液晶ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸成分と4,4−ジヒドロキシビフェニルとテレフタル酸および/またはイソフタル酸とが共重合された液晶ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸とエチレングリコールと4,4´−ジヒドロキシビフェニルとテレフタル酸および/またはイソフタル酸とが共重合された液晶ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸と6−ヒドロキシ2−ナフトエ酸とハイドロキノンとテレフタル酸および/またはイソフタル酸と2,6−ナフタレンジカルボン酸とが共重合された液晶ポリエステル、などが挙げられる。
【0020】
本発明における液晶ポリエステルの製造方法にはついては特に制限されるものではなく、公知のポリエステルの重縮合法に準じて製造でき、例えば、次の製造方法(1)〜(5)が好ましく挙げられる。
(1)p−アセトキシ安息香酸および4,4´−ジアセトキシビフェニル、ジアセトキシベンゼンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物のジアシル化物と、2,6−ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸とから脱酢酸縮重合反応によって製造する方法。
(2)p−ヒドロキシ安息香酸および4,4´−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物と、2,6−ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸とに無水酢酸を反応させて、フェノール性水酸基をアシル化した後、脱酢酸重縮合反応によって製造する方法。
(3)p−ヒドロキシ安息香酸のフェニルエステルおよび4,4´−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物と、2,6−ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸とのジフェニルエステルから脱フェノール重縮合反応により製造する方法。
(4)p−ヒドロキシ安息香酸および2,6−ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸に、所定量のジフェニルカーボネートを反応させて、それぞれジフェニルエステルとした後、4,4´−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物を加え、脱フェノール重縮合反応により製造する方法。
(5)ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルのポリマー、オリゴマーまたはビス(β−ヒドロキシエチル)テレフタレートなど芳香族ジカルボン酸のビス(β−ヒドロキシエチル)エステルの存在下で、(1)または(2)の方法により製造する方法。
【0021】
本発明における液晶ポリエステルの重縮合反応は無触媒でも進行するが、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸カリウムおよび酢酸ナトリウム、三酸化アンチモン、金属マグネシウムなどの金属化合物を使用して重縮合反応を行うことができる。
【0022】
また本発明の液晶ポリエステルは、発明の主旨を損ねない範囲で、ポリエチレンテレフタレート、変性ポリエチレンテレフタレートなどの非液晶ポリエステル、ポリオレフィンやポリスチレンなどのビニル系重合体、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、芳香族ポリケトン、脂肪族ポリケトン、フッ素系樹脂などの熱可塑性ポリマーを添加しても良く、また各種金属酸化物やカオリン、シリカなどの無機物や、着色剤、艶消剤、難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、結晶核剤、蛍光増白剤、末端基封止剤等の添加剤を少量含有しても良い。
【0023】
本発明の液晶ポリエステルは、融点(以下Tm)が220〜360℃の範囲のものが好ましく、さらに好ましくはTmが250〜350℃である。ここで、融点(Tm)とは示差走査熱量計(パーキンエルマー社製DSC)で行う示差熱量測定において、重合を完了したポリマを室温から16℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1)の観測後、Tm1+20℃の温度で5分間保持した後、室温まで急冷した後(急冷時間および室温保持時間を合わせて5分間保持)、再度16℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm2)を意味する。
【0024】
また、本発明で用いられる非液晶性熱可塑性ポリマーは、使用する液晶ポリエステルと相溶しないものであれば特に限定されるものではないが、好適な例としては、ポリエチレン、ポリスチレン、共重合ポリスチレン、ポリエステル、共重合ポリエステル等が挙げられる。
【0025】
本発明のパルプ原料繊維は、液晶ポリエステルが島成分、非液晶制熱可塑性ポリマーが海成分である海島型ブレンド繊維であることが必要である。このような構造であれば、後の工程で非液晶性熱可塑性ポリマーを除去することにより、各々の島成分が独立した極細短繊維を形成し、紙に適したパルプを形成する事が出来る。非液晶性熱可塑性ポリマーが島成分、液晶ポリエステルが海成分である海島型ブレンド繊維や、液晶ポリエステルと非液晶性熱可塑性ポリマーによる共連続型ブレンド繊維では非液晶性熱可塑性ポリマーを除去したとしても液晶ポリエステルは極細繊維を形成しないため、紙原料として適当なパルプを得ることは出来ない。
【0026】
また、本発明のパルプ原料繊維は繊維横断面において略円形をした島と非円形をした島が混在した海島型ブレンド繊維であることが必要である。本発明で言う繊維横断面とは、繊維軸に垂直な面に並行に繊維を切断した断面を指す。後の工程で海成分を除去した際、略円形の島を形成する液晶ポリエステルは直線状の短繊維を形成し、非円形の島を形成する液晶ポリエステルは枝分かれを有する短繊維を形成する。本発明で言う略円形の島とは、1つの島成分に内接する最小の円の直径(R1)と、同島成分に外接する最大の円の半径(R2)が以下の式の範囲内にある場合を指す。
【0027】
R2/R1≦2
また、本発明で言う非円形の島とは、R1とR2が以下の式の範囲にある場合を指す。
【0028】
R2/R1>2
略円形の島の個数は全島の個数のうちの50〜95%、特に65〜85%とするのが好ましい。略円形の島の個数が50%以下であると、水への分散性が悪くなり抄造性が低下する。また、略円形の島の個数が95%以上になると、パルプの絡み合いが低下し、紙力の劣った紙となる。
【0029】
上記の特性を持ったパルプ原料繊維は、液晶ポリエステルと下記(1)、(2)の条件を満たす非液晶性熱可塑性ポリマーの混合物を、下記(3)〜(5)を満たす吐出条件で吐出することで製造することが出来る。
(1)低剪断速度域における剪断粘度
ηAL>ηBL
ηAL:剪断速度100sec−1における液晶ポリエステルの剪断粘度(Pa・sec)
ηBL:剪断速度100sec−1における非液晶性熱可塑性ポリマーの剪断速度(Pa・sec)
(2)高剪断速度域における剪断粘度
ηAH<ηBH
ηAH:剪断速度6000sec−1における液晶ポリエステルの剪断速度(Pa・sec)
ηBH:剪断速度6000sec−1における非液晶性熱可塑性ポリマーの剪断速度(Pa・sec)
(3)全吐出量に占める液晶ポリエステルの吐出量の割合
50≦QA/Q×100≦80
QA:液晶ポリエステルの単孔当たりの吐出量(g/min)
Q:単孔当たりの全吐出量(g/min)
(4)口金孔径と口金孔長の比
L/D≧2
L:吐出孔の長さ(mm)
D:吐出孔の直径(mm)
(5)口金孔における剪断速度
32Q/πD3≧5000
A,Bの2つのポリマーからなる非相溶系ポリマーブレンドにおいて、ポリマーAの液晶ポリエステルが島を形成する条件として下記式が知られている。式から、Aポリマーの分率が高くても、Aポリマーの粘度がポリマーBの非液晶性熱可塑性ポリマーより十分に高ければ、Aポリマーは島を形成することが分かる。
【0030】
【数1】
【0031】
従って、本製造方法では紡糸機内部の吐出孔手前までの流れに相当する低剪断速度域において、液晶ポリエステルの粘度(ηAL)が非液晶性熱可塑性ポリマーの粘度(ηBL)より高いことが必要であり、特にこのような低剪断速度域において液晶ポリエステルの粘度が非液晶性熱可塑性ポリマーより2倍以上高いことが好ましい。これにより、吐出孔手前においては液晶ポリエステルが島を形成する。
【0032】
加えて、本製造方法では、口金孔内での流れに相当する高剪断速度域において、液晶ポリエステルの粘度(ηAH)が非液晶性熱可塑性ポリマーの粘度(ηBH)より低いことが必要である。これにより、吐出孔手前では略円形の島を形成していた液晶ポリエステルが、粘度の低下により相互に融合し、非円形の形状を経て海へと変化していく。この変化が進行している間に吐出を行うことにより、該繊維は略円形の島と非円形の島の混在する、特徴的な構造を有するものとなる。
【0033】
好適なパルプ原料繊維を得るには、ポリマー全体の吐出量中に占める液晶ポリエステルの吐出量の体積分率が50%〜80%で有ることが必要であり、特に60〜75%の割合であることが望ましい。液晶ポリエステルの割合が80%以上であると低剪断速度域においても液晶ポリエステルが島を形成できなくなり、吐出孔内部で液晶ポリエステルの粘度が更に低下してしまうため、液晶ポリエステルが海成分である海島型ブレンド繊維となってしまう。また、液晶ポリエステルの割合が低すぎると吐出孔内部で液晶ポリエステルの粘度が低下したときにも液晶ポリエステルが海成分へと変化しなくなり、略円形の島のみを持つ海島型ブレンド繊維となってしまう。
【0034】
上記の条件に加え、吐出孔内部での相状態の変化にはある程度の変形量が必要となることから、吐出孔の長さは吐出孔の直径に対して2倍以上であることが必要であり、4倍以上であることが好ましい。更に、吐出孔内部において、液晶ポリエステルの粘度が非液晶熱可塑性ポリマーの粘度より低くなるように、吐出孔における剪断速度は5,000以上にする必要があり、10,000以上であることが好ましい。
【0035】
以上の紡糸条件を満たせば、吐出後の冷却条件、巻き上げ条件等は通常の条件で行ってよく、製造される繊維の太さや繊維の長さについても特に限定されるものではない。ただし、液晶ポリエステルの特性として、紡糸線上でのドラフトを大きくしすぎると糸切れが多くなるので、紡糸線上でのドラフトは10〜100倍にするのが好ましい。また、紡糸機には通常知られている物が使用可能であるが、2軸混練押出機構を備える紡糸機であれば液晶ポリエステルと非液晶性熱可塑性ポリマーの混練と押し出しを同時に行えるため好ましい。混練能力の低い押出機構を備える紡糸機を用いる際には、液晶ポリエステルと非液晶性熱可塑性ポリマーの混練性を高めるため、予め2軸混練押出機にて混練を行ったものを紡糸機に供給することが好ましい。混練を行う際の剪断速度は特に制限はなく、通常の条件で混練を行うことが出来る。
【0036】
上記パルプ原料繊維をカットする前/又はカットした後に非液晶性熱可塑性ポリマーを除去することにより、枝分かれを有しない直線状の液晶ポリエステル短繊維と枝分かれを有する液晶性ポリエステル短繊維の混合物からなるパルプを得ることが出来る。直線状の短繊維は高い分散性を示し、枝分かれを有する短繊維が絡み合いを形成するため、該パルプは良好な抄造性を維持しながら、それから抄紙された紙は高い紙力を示す。該パルプに占める直線状の短繊維の割合は50〜95%であり、特に70〜80%であることが好ましい。直線状の短繊維の割合が50%以下であるとパルプの分散性が低下し、抄造性が悪化する。また、直線状の短繊維の割合が95%以上になるとパルプの絡み合いが低下し、十分な紙力が得られなくなる。
【0037】
パルプ原料繊維中の液晶ポリエステル成分は実質的に連続しているので、パルプを得るためには長さ5mm以下にカットする必要がある。カットは非液晶性熱可塑性ポリマーを除去する前又は後のいずれで行ってもよいが、取り扱いの簡便性とカット性から非液晶性熱可塑性ポリマーを除去する前にカットするのが好ましい。カット方法としては、カッター、ペレタイザー、粉砕器等いずれの方法で行ってもよい。カット長が長いと水への分散性が低下し、カット長が短すぎると抄紙された紙の紙力が低下する。パルプの分散性と紙の紙力のバランスを考えると、カット長は0.5mm以上3mm以下とするのが好ましく、1mm以上2mm以下とするのが特に好ましい。
【0038】
非液晶性熱可塑性ポリマーの溶解及び/または分解除去は、浸漬法、ディップニップ法、ローラーパット法等のどの方法で行ってもよい。非液晶性熱可塑性ポリマーとしてポリエチレンを用いた場合には、溶媒としてシクロヘキサン、クロロホルムを用いて80℃以上で処理することが好ましい。また、ポリスチレンを用いた場合には、トルエン、キシレン等を用いて室温で処理するのが好ましい。非液晶性熱可塑性ポリマーとして共重合ポリエステルを用いた場合には水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、リン酸三ナトリウム等の強アルカリ溶液で処理することが好ましい。これらの処理により非液晶性熱可塑性ポリマーを除去した後、水洗乾燥処理を行うのが好ましい。
【0039】
本発明により得られたパルプは、熱処理により強度・弾性率等の性能を更に向上させることが出来る。その時の熱処理方法としては、加熱板、赤外線ヒーター等により熱輻射を利用する方法、熱ローラー、プレート等に接触させて行う方法、高周波等を利用した内部加熱方法等を用いることが出来る。また、該熱処理は窒素等の不活性ガスあるいは窒素と酸素、炭酸ガスなどの混合気体および空気などの雰囲気下で行われることが好ましい。その時の露点は−10℃以下、特に−40℃以下とするのが好ましい。また、熱処理条件は融点Tmに対して、Tm−60℃〜Tm+20℃の温度範囲で、Tm−40℃の温度から順次昇温していくパターンが好ましい。
【0040】
本発明で得られるパルプのみを用いて湿式抄紙することにより紙力の優れた紙状物を得ることが出来るが、用途により、他の方法で製造された液晶ポリエステル繊維やパルプを混合して抄紙してもよい。この時、分散剤を用いて抄紙するのが好ましい。分散剤は、1種類でも、複数種類を混合して用いてもよい。抄紙された紙はそのまま用いることも可能であるが、使用目的に応じて熱カレンダー処理等の後加工を行うことも可能である。
【0041】
本発明で得られる紙は耐熱性、耐薬品性、非吸湿性等に優れ、更に高強力高弾性率を有しているため、様々な分野に使用することが出来る。具体的には、ブレーキライニング、クラッチフェーシング、軸受け等の摩耗剤、パッキング材、ガスケット材、フィルター、研磨剤、絶縁し、耐熱紙、スピーカーコーン、ワイピングクロス、樹脂強化材等に好適である。特に非吸湿性、耐薬品性に優れているため、電気絶縁分野に好適である。
【0042】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。なお、以下の実施例中に記載されている溶融粘度、対数粘度、極限粘度、メルト・フロー・レート、融点、相分散状態、パルプ形状、秤量、裂断長は以下の手法で測定を行った。
【0043】
(1)溶融粘度
東洋精機キャピログラフ1B型を用いて、温度300℃に設定て測定を行った。この時、低剪断速度での溶融粘度の測定時には剪断速度を100sec−1とし、高剪断速度での溶融粘度測定時は剪断速度を6000sec−1に設定した。
【0044】
(2)対数粘度
試料を60℃〜80℃のペンタフルオロフェノールに0.1重量%溶解し、60℃の恒温槽中でウベローデ型粘度計を用いて相対粘度(ηrel)を測定し、次式によって計算した
対数粘度=ln(ηrel)/c
ここで、cはポリマー濃度(g/dl)である。
【0045】
(3)極限粘度
試料をオルソクロロフェノール溶液に溶解し、オストワルド粘度計を用いて25℃で測定した。
【0046】
(4)メルト・フロー・レート(MFR)
JIS K7210に準じて、190℃、5kgの条件で測定した。
【0047】
(5)融点
示差走査熱量計(パーキンエルマー社製DSC)にサンプルを5〜15mg取り、アルミパンに封入した後、窒素雰囲気下で室温から16℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1)の観測後、Tm1+20℃の温度で5分間保持した後、室温まで急冷した後(急冷時間および室温保持時間を合わせて5分間保持)、再度16℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm2)を融点とした。
【0048】
(6)相分離状態
繊維をエポキシ樹脂に含浸した後、ミクロトームを用いて繊維軸に垂直な面に沿って切り出し、超薄切片を作製した後、透過型電子顕微鏡を用いて観察を行った。
【0049】
(7)パルプ形状の観察
乾燥したパルプの電子顕微鏡写真を撮影し、任意の100本の短繊維の形状を調べ、枝分かれをしたパルプの分率を計算した。
【0050】
(8)秤量
得られた紙を10cm角に切り取り、その重量を電子天秤にて測定して下記式により求めた。
【0051】
秤量(g/m2)=W/0.01
ここで、Wは電子天秤で測定された紙片の重量である。
【0052】
(9)抄造性
パルプを標準角形抄紙機で抄紙した際に水分散性が高く湿潤時(抄紙時)の紙力に優れており、容易に抄紙出来るものを○、パルプの水分散性および湿潤時(抄紙時)の紙力がやや低いが、比較的容易に抄紙出来るものを△、パルプの水分散性が低くて塊状物が生じたり、湿潤時(抄紙時)の紙力が低くて容易に破れる等の問題が生じて容易に抄紙出来ないものを×として評価した。
【0053】
(10)裂断長
JIS P8113に準じて、幅15mm、長さ250mmの試験片を用いて測定し、縦方向及び横方向の裂断長の相加平均で示した。
【0054】
実施例1
液晶ポリエステルとして、パラヒドロキシ安息香酸と2−ヒドロキシ6−ナフトエ酸が73/27モル%比、融点280℃、対数粘度5.7dl/gのものを用いた。このポリマーの低剪断速度における溶融粘度は100Pa・sec、高剪断速度における溶融粘度は16Pa・secであった。また、非液晶性熱可塑性ポリマーとして、5−ソジウムイソフタル酸とテレフタル酸を酸成分、エチレングリコールをジオール成分として共重合した共重合ポリエステル(5−ソジウムイソフタル酸成分含有量2.0モル%、極限粘度0.51dl/g)を用いた。このポリマーの低剪断速度における溶融粘度は50Pa・sec、高剪断速度における溶融粘度は26Pa・secであった。
【0055】
上記の液晶ポリエステルと共重合ポリエステルを70:30の割合で2軸混練押出機構を備えた紡糸機に供給して溶融混練し、ギヤポンプから紡糸口金へと導き、設定温度315℃、孔径0.13mm、L/D=5の口金から、単孔吐出量0.33g/minで押し出し、600m/minで巻き取り、1500d/300fのパルプ原料繊維を得た。この時、口金孔での剪断速度は20,000sec−1、紡糸線上でのドラフトは約30倍であった。得られたパルプ原料繊維の相分離構造を観察したところ、液晶ポリエステルが島成分、共重合ポリエステルが海成分の海島型ブレンド繊維となっていた。その繊維横断面内の島成分のうち75%が略円形であり、25%が非円形であった。
【0056】
実施例2
非液晶性熱可塑性ポリマーとして MFR10、低剪断速度における溶融粘度が76Pa・sec、高剪断速度における溶融粘度が31Pa・secの直鎖状低密度ポリエチレンを用いた以外は実施例1と同様にパルプ原料繊維を作製した。得られたパルプ原料繊維の相分離構造を観察したところ、液晶ポリエステルが島成分、直鎖状低密度ポリエチレンが海成分の海島型ブレンド繊維となっていた。その繊維横断面内の島成分のうち、60%が略円形であり、40%が非円形であった。
【0057】
比較例1
極限粘度0.73dl/g、低剪断速度における溶融粘度が210Pa・sec、高剪断速度における溶融粘度が150Pa・secの共重合ポリエステルを用いた以外は実施例1と同様にパルプ原料繊維を作製した。得られたパルプ原料繊維の相分離構造を観察したところ、液晶ポリエステルが島成分、共重合ポリエステルが海成分の海島型ブレンド繊維であり、繊維横断面内の全ての島が略円形となっていた。
【0058】
比較例2
MFR50、低剪断速度における溶融粘度が26Pa・sec、高剪断速度における溶融粘度が12Pa・secの直鎖状低密度ポリエチレンを用いた以外は実施例1と同様にパルプ原料繊維を作製した。得られたパルプ原料繊維の相分離構造を観察したところ、直鎖状低密度ポリエチレンが島成分、液晶ポリエステルが海成分の海島型ブレンド繊維となっていた。
【0059】
実施例3
液晶ポリエステルと共重合ポリエステルの供給割合を55:45にした以外は実施例1と同様にパルプ原料繊維を作製した。得られたパルプ原料繊維の相分離構造を観察したところ、液晶ポリエステルが島成分、共重合ポリエステルが海成分の海島型ブレンド繊維であり、その繊維横断面内の島のうち90%が略円形であり、10%が非円形となっていた。
【0060】
比較例3
液晶ポリエステルと共重合ポリエステルの供給割合を40:60とした以外は実施例1と同様にパルプ原料繊維を作製した。得られたパルプ原料繊維の相分離構造を観察したところ、液晶ポリエステルが島成分、共重合ポリエステルが海成分の海島型ブレンド繊維であり、その繊維横断面内の島のうち98%が略円形であり、2%が非円形となっていた。
【0061】
比較例4
液晶ポリエステルと共重合ポリエステルの共有割合を90:10とした以外は実施例1と同様にパルプ原料繊維を作製した。得られたパルプ原料繊維の相分離構造を観察したところ、共重合ポリエステルが島成分、液晶ポリエステルが海成分の海島型ブレンド繊維であった。
【0062】
比較例5
L/Dが1.5の口金を使用した以外は実施例1と同様にパルプ原料繊維を作製した。得られたパルプ原料繊維の相分離構造を観察したところ、液晶ポリエステルが島成分、共重合ポリエステルが海成分の海島型ブレンド繊維であり、繊維横断面中の島のうち97%が略円形であり、3%が非円形となった。
【0063】
比較例6
口金孔径に0.2mmのものを用い、単孔吐出量を0.22g/min、巻取速度を400m/minとした以外は実施例1と同様にパルプ原料繊維を作製した。この時、口金での剪断速度は3600sec−1、紡糸ドラフトは73倍となった。得られたパルプ原料繊維の相分離構造を観察したところ、液晶ポリエステルが島成分、共重合ポリエステルが海成分の海島型ブレンド繊維であり、繊維横断面内の全ての島が略円形となっていた。
【0064】
実施例4
実施例1で得られたパルプ原料繊維をカッターを用いて1.5mmの長さに切断した後、沸騰している40g/lの水酸化ナトリウム溶液に15分間浸漬した。次にこれをガーゼ上に移し取り酢酸で中和した後、30分水で洗浄した。得られたパルプの形状を観察したところ、パルプ中の70%は枝分かれを有しない直線状の短繊維であり、30%は枝分かれを有する短繊維であった。
【0065】
このパルプを水中に撹拌分散させた後、分散物を80メッシュのステンレス製金網を用いて抄紙し、シート状物を得た。ついでこのシートを表面温度120℃、2km/cm2のドラム型乾燥機で処理して脱水乾燥させた。得られた紙を上がゴムロール、したがスチールロールの条件下でロール温度240℃、線圧70kg/cmのカレンダー処理を行った。この時、パルプの水分散性、抄造性は共に良好で、得られた紙の強力も高いものが得られた。得られた紙の性質を表1に示す。
【0066】
実施例5〜6、比較例7
パルプ原料繊維をカットする長さを変更した以外は実施例4と同様に紙を製造した。カット長が長くなるにつれてパルプの水分散性が低下し、カット長6.0mmでは、どれだけ攪拌しても塊状物が残存するため、均一な紙を抄紙することができず、得られた紙の強力も低いものであった。得られた紙の性質を表1に示す。
【0067】
実施例7
実施例2で得られたパルプ原料繊維をカッターを用いて1.5mmの長さに切断した後、90℃のシクロヘキサンに30分間浸漬した。次にこれをガーゼ上に移し取り30分水で洗浄した。得られたパルプの形状を観察したところ、パルプ中の60%は枝分かれを有しない直線状の短繊維であり、40%は枝分かれを有する短繊維であった。
【0068】
このパルプを水中に撹拌分散させた後、分散物を80メッシュのステンレス製金網を用いて抄紙し、シート状物を得た。ついでこのシートを表面温度120℃、2km/cm2のドラム型乾燥機で処理して脱水乾燥させた。得られた紙を上がゴムロール、下がスチールロールの条件下でロール温度240℃、線圧70kg/cmのカレンダー処理を行った。この時、パルプを水に分散させるには長時間の攪拌が必要であったが、均一な紙を得ることができ、得られた紙の強力も高いものであった。得られた紙の性質を表1に示す。
【0069】
比較例8
使用するパルプ原料繊維を比較例1で得られたものに変更した以外は実施例4と同様にパルプを製造した。しかし、共重合ポリエステルを除去してもパルプ原料繊維は極細繊維に分割せず、パルプ状物は得られなかった。残った短繊維を用いて、実施例4と同様に紙を製造することを試みたが、抄紙時の紙力が低く安定して紙を製造することが出来なかった。結果を表1に示す。
【0070】
比較例9
使用するパルプ原料繊維を比較例2で得られたものに変更した以外は実施例7と同様に紙を製造した。得られたパルプの形状を観察したところ、全てのパルプは枝分かれの無い直線状の短繊維であった。このパルプを用いて、実施例7と同様に紙を製造した。この時、パルプの水分散性、抄造性は共に良好であったが、得られた紙の強力は低いものであった。得られた紙の性質を表1に示す。
【0071】
【表1】
【0072】
【発明の効果】
本発明により、高紙力、低吸湿性等を有すると共に、緻密で電気絶縁性に優れた液晶ポリエステルから成る紙及びその効率的な製造方法を提供することが出来る。
Claims (5)
- 液晶ポリエステルを島成分、非液晶性熱可塑性ポリマーを海成分とする海島型ブレンド繊維であって、繊維横断面内の島成分に内接する最小の円の直径をR1、外接する最大の円の直径をR2とすると、島成分のうち50〜95%がR2/R1≦2を満たす略円形であり、残りの50〜5%がR2/R1>2を満たす非円形の形状であることを特徴とするパルプ原料繊維。
- 液晶ポリエステルと、下記(1)、(2)の特性を満たす非液晶性熱可塑性ポリマーの混合物を、下記(3)〜(5)を満たす吐出条件で吐出することを特徴とするパルプ原料繊維の製造方法。
(1)低剪断速度域における剪断粘度
ηAL>ηBL
ηAL:剪断速度100sec−1における液晶ポリエステルの剪断粘度(Pa・sec)
ηBL:剪断速度100sec−1における非液晶性熱可塑性ポリマーの剪断速度(Pa・sec)
(2)高剪断速度域における剪断粘度
ηAH<ηBH
ηAH:剪断速度6000sec−1における液晶ポリエステルの剪断速度(Pa・sec)
ηBH:剪断速度6000sec−1における非液晶性熱可塑性ポリマーの剪断速度(Pa・sec)
(3)全吐出量に占める液晶ポリエステルの吐出量の割合
50≦QA/Q×100≦80
QA:液晶ポリエステルの単孔当たりの吐出量(g/min)
Q:単孔当たりの全吐出量(g/min)
(4)口金孔径と口金孔長の比
L/D≧2
L:吐出孔の長さ(mm)
D:吐出孔の直径(mm)
(5)口金孔における剪断速度
32Q/πD3≧5000 - 請求項1記載のパルプ原料繊維を長さ5mm以下にカットする前/又はカットした後に非液晶性熱可塑性ポリマーを除去することによって得られる合成パルプ。
- 液晶ポリエステルから成り、50〜95%の短繊維が枝分かれを有しない直線状であり、50〜5%の短繊維が枝分かれを有した形状をしていることを特徴とする合成パルプ。
- 液晶ポリエステルから成り、構成する単繊維のうち50〜95%の短繊維が枝分かれを有しない直線状であり、残りの50〜5%の短繊維が枝分かれを有した形状である請求項4記載の合成パルプを主原料とする合成紙。
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---|---|---|---|
JP2003015029A JP2004225203A (ja) | 2003-01-23 | 2003-01-23 | パルプ原料繊維及びその製造方法並びに合成パルプ及び合成紙 |
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JPWO2015146790A1 (ja) * | 2014-03-25 | 2017-04-13 | 東レ株式会社 | 相分離構造を有する繊維およびその製造方法 |
-
2003
- 2003-01-23 JP JP2003015029A patent/JP2004225203A/ja active Pending
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