JPH08246242A - 紙料原料繊維ならびに紙料及び紙の製造方法 - Google Patents

紙料原料繊維ならびに紙料及び紙の製造方法

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JPH08246242A
JPH08246242A JP4686895A JP4686895A JPH08246242A JP H08246242 A JPH08246242 A JP H08246242A JP 4686895 A JP4686895 A JP 4686895A JP 4686895 A JP4686895 A JP 4686895A JP H08246242 A JPH08246242 A JP H08246242A
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JP
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fiber
component
paper
polyester
liquid crystalline
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JP4686895A
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Masaji Asano
正司 浅野
Takashi Katayama
隆 片山
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Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 コストの大幅な改善が可能であり、高強力高
弾性率、耐薬品性、耐熱性等の性能に優れ、かつ地合の
良好な溶融異方性芳香族ポリエステル紙を提供し得る紙
料原料繊維及びそれを用いる紙料及び紙の製造方法を提
供する。 【構成】 短繊維繊度1〜6dの溶融液晶性ポリエステ
ルからなるA成分と、0.005〜0.1dに相当する
溶融液晶性ポリエステルを島成分、易アルカリ減量性ポ
リエステルを海成分とするポリマ−ブレンドからなるB
成分からなる複合紡糸繊維であって、該複合紡糸繊維に
占める溶融液晶性ポリエステルの割合が60重量%以上
である紙料原料繊維。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、溶融液晶性芳香族ポリ
エステルからなる紙状物製造に好適な原料繊維ならびに
紙料及び紙の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】芳香族ポリエステルからなるパルプ状物
の製造方法としては、溶融成形した後に剪断力を加えて
フィブリル化させる方法(特開平1−201518号)
や芳香族ポリエステルを鞘成分としアルカリ溶解性有機
化合物を芯成分とする芯鞘型複合紡糸繊維をアルカリ処
理して該有機化合物を除去し、得られた中空状パルプ状
物を叩解する方法(特開昭56−315号)が知られて
いた。溶融液晶性ポリエステル繊維は高度に分子配向し
ているため、剪断力を加えると比較的容易にフィブリル
状になるものの、それに伴って膠着・融着等の問題が生
じパルプ状物を製造することは困難であった。さらに、
該繊維の強力が高いために叩解に多大な時間と労力を要
するのみでなく、抄造性及び強力に優れたパルプを得る
ことは困難であった。抄造可能なパルプを得るためには
叩解を繰り返す必要があるが、直径の大きいパルプ状物
を完全に取り除くことは困難であり、さらに粉末状のパ
ルプ状物が生じることとなる。従って、パルプ同志の絡
み合いが少ないため高い紙力は得られにくく、さらに地
合の優れたものは得られなかった。また、薄い紙を抄紙
することは困難であり、抄紙時に粉末状物は配管に詰ま
り工程性にも問題があった。それに対して本発明者等
は、易アルカリ減量性ポリエステルを海成分、溶融液晶
性ポリエステルを島成分とする海島繊維をアルカリ処理
することにより、パルプ状物を得ることを特願平6−1
25328号に提案している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】かかる方法により得ら
れるパルプ状物は、成型物を叩解して得られる従来のパ
ルプとは異なり、均一でかつ実質的に枝分かれを有しな
いものであり、抄紙時等の分散性に優れるものであっ
た。しかし、易アルカリ減量性ポリエステルは再利用で
きないため、該ポリマ−の割合を小さくすればするほど
ポリマ−の溶解ロスが小さくコスト的に有利であるが、
上記の方法ではコスト縮小に問題があった。一般に、ポ
リマ−ブレンド法による海島繊維の形態は、ブレンドす
るポリマ−間の相溶性、溶融粘度差、混合比率等によっ
て決定されるが、溶融液晶性ポリエステル(Xポリマ
−)を島成分、易アルカリ減量性ポリエステル(Yポリ
マ−)を海成分とする海島繊維を形成させるためには、
Yポリマ−を40重量%未満にはできないことが明らか
となった。すなわち、Yポリマ−が40重量%未満にな
るとYポリマ−が島成分となる部分が発生し、特にYポ
リマ−が30重量%未満の部分では海島相が完全に逆転
し、Xポリマ−を海成分とする海島繊維となってしま
う。本発明の目的は、上記の問題を解決し、抄紙性に優
れるとともにコスト的にも有利な紙料原料繊維ならびに
紙料及び紙の製造方法を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、単繊維繊度1
〜6dの溶融液晶性芳香族ポリエステルからなるA成分
と、0.005〜0.1drに相当する溶融液晶性芳香
族ポリエステルを島成分、易アルカリ減量性ポリエステ
ルを海成分とするポリマ−ブレンドからなるB成分によ
り構成された複合紡糸繊維であって、該複合紡糸繊維に
占める溶融液晶性ポリエステルの割合が60重量%以上
である紙料原料繊維、および該繊維をアルカリ減量処理
することにより紙料、紙状物を得ることができることを
見出だしたものである。
【0005】本発明にいう溶融液晶性とは、溶融相にお
いて光学的液晶性(異方性)を示すことである。例えば
試料をホットステ−ジにのせ、窒素雰囲気下で昇温加熱
し、試料の透過光を観察することにより認定できる。本
発明で用いる溶融液晶性芳香族ポリエステルは、芳香族
ジオ−ル、芳香族ジカルボン酸、芳香族ヒドロキシカル
ボン酸等の反復構成単位からなるが、好ましい溶融液晶
性芳香族ポリエステルとしては下記化1に示す反復構成
単位の組み合わせからなるものが挙げられる。
【0006】
【化1】
【0007】特に好ましくは、下記化2に示す反復構成
単位の組み合わせからなるポリマ−が好ましい。より好
ましくは(A)及び(B)の反復構成単位からなる部分
が65重量%以上であるポリマ−であり、特に(B)の成
分が4〜45重量%である芳香族ポリエステルが好まし
い。該ポリエステルは、耐アルカリ性に優れ、本発明の
紙料原料繊維とするのに好適である。
【0008】
【化2】
【0009】溶融液晶性芳香族ポリエステルの融点(M
P)は、260 〜380 ℃、特に270 〜350 ℃が好ましい。
ここでいう融点とは、示差走査熱量(DSC:例えばme
ttler 社製、TA3000)で観察される主吸熱ピ−クのピ
−ク温度である(JIS K7121)。具体的には、DS
C(例えばMettler 社製 TA3000)装置に、サン
プルを10〜20mgをとりアルミ製パンへ封入した後、キャ
リア−ガスとして窒素を100cc/分流し、20℃/分で昇
温したときの吸熱ピ−クを測定する。ポリマ−の種類に
より上記1st Runで明確な吸熱ピ−クが現れない場合
は、50℃/分の昇温速度で予想される流れ温度よりも
50℃高い温度まで昇温し、その温度で3分間完全に溶
融した後、80℃/分の速度で50℃まで冷却し、しか
る後に20℃/分の昇温速度で吸熱ピ−クを測定すると
よい。なお、A成分,B成分を構成する溶融液晶性ポリ
エステルは同種であっても異種であっても良い。
【0010】B成分を構成する易アルカリ減量性ポリエ
ステル(海成分)は、易アルカリ分解性ポリエステル又
は易アルカリ溶解性ポリエステルであれば特に限定され
るものではないが、アルカリ分解速度が大きいものが好
ましい。具体的には、溶融液晶性芳香族ポリエステルの
100倍以上、より好ましくは300倍以上大きいポリ
エステルが好ましい。なお、本発明にいうアルカリ分解
速度とは、試料繊維を筒編状とし、98℃、20g/l の水酸
化ナトリウム水溶液中に浴比1:500の条件で浸漬
し、攪拌しながら試料を溶解させ下式により求められる
溶解速度定数Kで表される。
【0011】
【数1】
【0012】好適な易アルカリ減量性ポリエステルとし
ては、化3に示される構成単位I〜III を含むポリエス
テルが挙げられる。
【0013】
【化3】
【0014】構成単位I〜III を含む共重合ポリエステ
ルは、溶融液晶性芳香族ポリエステルとの紡糸性が良好
でありかつアルカリ減量性が優れている。該共重合ポリ
エステルのアルカリ分解速度は、溶融液晶性芳香族ポリ
エステルに比して3000倍以上大きく、アルカリ溶液
による処理を短時間に行うことが可能である。このた
め、溶融液晶性芳香族ポリエステルがアルカリによる劣
化や浸食を受けにくく、所望のパルプ状物を得ることが
できる。さらに、該共重合ポリエステルをアルカリ溶液
による減量処理(分解処理)でほぼ完全に除去できるの
で、抄紙した場合に離解不良、分散不良による抄紙上の
トラブルが起こらない。
【0015】アルカリ減量性及び紡糸性の点から、構成
単位Iをポリエステルを構成する全酸成分の0.5 〜10
モル%、構成単位II及びIII をそれぞれポリエステルの
1重量%以上含み、かつ構成単位II及びIII の合計含有
率がポリエステルの2〜50重量%である共重合ポリエス
テルを用いるのがより好ましい。さらに好ましくは、構
成単位Iをポリエステルを構成する全酸成分の1〜7モ
ル%、構成単位II及びIII の合計含有率がポリエステル
の5〜30重量%である共重合ポリエステルを用いる。ま
た、市販の酸化分解防止剤(例えばチバ・ガイキ−社製
イルガノックス1010、アメリカンサイアナミッド社製サ
イアノックス1790)を添加することにより耐熱性を向上
させることも可能である。
【0016】ジカルボン酸単位I中の3価の芳香族基
(Ar)としては、ベンゼントリイル基、ナフタレント
リイル基等が挙げられ、金属原子Mは、ナトリウム、カ
リウム、リチウムなどのアルカリ金属原子が好ましい。
共重合ポリエステルには、ジカルボン酸成分Iを複数種
有していてもよい。共重合ポリエステルを構成する他の
カルボン酸単位としては、テレフタル酸、イソフタル
酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン
酸、ジフェニルエ−テルジカルボン酸などの芳香族ジカ
ルボン酸、β−ヒドロキシエトキシ安息香酸、p−オキ
シ安息香酸などの芳香族ヒドロキシカルボン酸、さらに
脂肪族ジカルボン酸、脂環族カルボン酸、トリカルボン
酸等を挙げることができ、これらのカルボン酸単位を複
数種用いてもよい。共重合ポリエステルを構成する全酸
成分単位の70モル%以上が芳香族ジカルボン酸単位、特
にテレフタル酸単位であるのが好ましい。
【0017】また、ジオ−ル単位II中のR1 は、炭素数
1〜4のアルキレン基であるのが好ましく、エチレン基
および/またはプロピレン基、特に、アルカリ溶解性の
点からエチレン基が好ましい。また平均重合度mは10
〜100であることが必要であるが、20〜80がさら
に好ましい。mが10未満では、アルカリ溶解性が低
く、100を越えるとアルカリ溶解性もそれほど向上せ
ず、着色の問題が生じやすくなる。ポリオキシエチレン
グリコ−ル、ポリオキシプロピレングリコ−ル、ポリオ
キシエチレン/ポリオキシプロピレングリコ−ル等から
誘導された単位が好ましく、共重合ポリエステルにこれ
らジオ−ル単位Iが複数含まれていてもよい。また、共
重合ポリエステルには他のジオ−ル単位を更に有してい
るのが好ましく、脂肪族ジオ−ル、脂環族ジオ−ル等が
挙げられる。これらジオ−ル単位を複数含んでいてもよ
い。繊維形成性の点から炭素数2〜6の直鎖状アルキレ
ングリコ−ルから誘導された単位が好ましい。
【0018】側鎖単位III 中のR2 は炭素数1〜4のア
ルキレン基であるのが好ましく、エチレン基および/ま
たはプロピレン基、特にエチレン基が好ましい。R3
しては炭素数1〜15の直鎖または分岐状アルキル基、
炭素数3〜18のシクロアルキル基,炭素数6〜18の
アリ−ル基を挙げることができる。重合度nは10〜1
00の範囲であるが、20〜80であるのがより好まし
い。nが10よりも小さいとアルカリ溶解性が低下し、
一方100を超えてもアルカリ溶解性はそれほど向上せ
ず、着色の原因となる。具体的には、ポリオキシエチレ
ングリコ−ル−アルキル−グリシジルエ−テル、ポリオ
キシエチレングリコ−ル−アルキル−2、3−ジヒドロ
キシプロピルエ−テル、ポリオキシエチレングリコ−ル
−フェニル−グリシジルエ−テル、ポリオキシエチレン
グリコ−ル−フェニル−2、3−ジヒドロキシプロピル
エ−テル、ポリオキシエチレングリコ−ル−シクロヘキ
シル−グリシジルエ−テル、ポリオキシエチレングリコ
−ル−シクロヘキシル−2、3−ジヒドロキシプロピル
エ−テル等が挙げられ、共重合ポリエステル中にこれら
単位が複数含まれていてもよい。
【0019】また、本発明で使用されるポリマ−には、
本発明の効果を損なわない範囲で、ポリエチレンテレフ
タレ−ト、変性ポリエチレンテレフタレ−ト、ポリオレ
フィン、ポリカ−ボネ−ト、ポリアクリレ−ト、ポリア
ミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエステルエ−
テルケトン、フッ素樹脂熱可塑性ポリマ−を添加しても
良い。また酸化チタン、カオリン、シリカ、酸化バリウ
ム等の無機物、カ−ボンブラック、染料や顔料等の着色
剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の各種添加
剤を含んでいても良い。
【0020】本願発明にいう複合紡糸繊維とは、芯鞘型
複合繊維、貼合わせ型複合繊維等が挙げられるが、単繊
維繊度1〜6dの溶融液晶性芳香族ポリエステルからな
るA成分と、0.005〜0.1drに相当する溶融液
晶性芳香族ポリエステルを島成分とする海島状成分が形
成されるものであれば特に限定されるものではない。芯
鞘型複合繊維の場合、芯成分をA成分とした方がより好
ましい。単芯芯鞘型複合繊維や2層貼合わせ複合繊維で
あってもよいが、多芯または多層構造の複合繊維とする
のがより好ましい。芯数2〜10、総数3〜20、特に
芯数3〜6、層数5〜12程度のものが好ましい(図1
参照)。複合紡糸繊維は、混合紡糸繊維とは異なり、成
分ポリマ−間の相溶性や溶融粘度に全く影響されず、任
意に成分比率等を設定することができるが、多芯または
多層構造とすれば調整できる自由度が広がり、また1〜
6dのポリエステル繊維を製造しやすいので好ましい。
芯数・層数や複合繊維の形状は適宜設定すればよい。
【0021】本発明の紙料原料繊維を長さ5mm以下に
カットした後にアルカリ処理を施して易アルカリ減量性
ポリエステルを除去することにより、A成分による1〜
6dの繊維(繊維成分)と、B成分による0.005〜
0.1dのパルプ状物(パルプ成分)が得られる。B成
分から得られるパルプ成分は、パルプ相互に良好な絡み
合いを生じさせ湿潤状態及び未熱処理段階での工程通過
性に必要な強力発現と、紙状物の目付の均一化や緻密性
の向上に寄与する。従って、0.1dを超えると繊維相
互の絡合が弱くなって十分な湿潤紙力を得ることができ
ず、抄紙性も低下する。0.005d未満の場合には抄
紙段階で流出するため紙の製造に寄与しないため、コス
ト的に不利である。本発明の効果を損なわない範囲で、
0.005〜0.1d以外のものが含まれていてもよ
い。10重量%未満、特に5重量%未満とするのが好ま
しい。
【0022】なお、0.005〜0.1d相当の溶融液
晶性ポリエステルとは、海成分を構成する易アルカリ減
量性ポリエステル(Yポリマ−)を除去したときに、
0.005〜0.1dのパルプ状物が得られるものをい
う。本発明で使用する溶融液晶性ポリエステルは耐アル
カリ性に優れているため、アルカリ減量処理前と処理後
の形状は実質的に変化しないため、アルカリ減量後の繊
維デニ−ルと減量前の繊維デニ−ルを同一とみなすこと
ができる。また、アルカリ減量処理前の複合繊維の横断
面を電子顕微鏡等で観察し、島成分の直径、断面積等か
らデニ−ルを換算することも可能である。
【0023】本発明にいう海島構造とは、繊維の横断面
においてマトリックスとなる海成分中(易アルカリ減量
性ポリエステル)に数十から数百の島(溶融液晶性ポリ
エステル)が存在している状態をいう。海島繊維の島数
は40〜1000個程度、特に70〜300 個が好ましい。かかる
島数は、ポリマ−成分の混練割合や溶融粘度などを調節
することにより変えることができる。例えば、芳香族ポ
リエステル(Xポリマ−)の混練割合を増大または両成
分の溶融粘度差を大きくすることにより、島数を減少さ
せることができる。海成分と島成分をチップブレンドす
る、または両成分の溶融物をスタチックミキサ−等で混
合する方法などにより得ることができる。Yポリマ−の
粘度がXポリマ−のそれよりも低い方が好ましい。海成
分と島成分の割合(複合繊維の横断面積比)は、35:
65〜80:20、特に45:55〜60:40とする
のが好ましい。海成分が大きくなると除去成分が多くな
るためアルカリ減量処理時間が長くかかり、またコスト
的にも好ましくない。
【0024】A成分から得られる単繊維繊度1〜6dの
溶融液晶性ポリエステル繊維(繊維成分)は、繊度がパ
ルプ成分より大きく強力も高いので、熱処理後に繊維相
互あるいはパルプと接着して紙強力発現に寄与する。6
dを超えると抄紙性が低下し、さらに紙地合が低下して
十分に緻密な構造をもった紙状物が得られない。逆に1
d未満の場合は、紙の地合や紙力が向上するので好まし
いといえるが、芯数や層数を十分に検討しなければ安定
に製造することが実質上困難である。本発明の効果を損
なわない範囲で、1〜6d以外のものが含まれていても
よい。10重量%未満、特に5重量%未満とするのが好
ましい。繊度の設定は、芯鞘成分比(貼合わせ成分
比)、芯数(層数)や、ノズルオリフィスからのポリマ
−吐出量、紡糸巻取速度を調整することによって設定す
ることができる。A成分とB成分の複合比(複合繊維の
横断面積比)は、40:60〜80:20とするのが好
ましい。断面積比は、繊維横断面の顕微鏡写真から求め
られるが、製造時の芯成分と鞘成分の吐出量の体積比に
より求めることができる。A成分から得られる繊維成分
とB成分から得られるパルプ成分の重量比は、10:9
0〜90:10程度とするのが好ましい。紙力等が求め
られる場合には繊維成分の割合を高め、また緻密さが求
められる場合にはパルプ成分の割合を高めるのが好まし
い。重量比を適宜設定することのより、他成分を混抄す
ることなく紙を製造することができる。
【0025】紙料原料繊維は、アルカリ減量処理前に長
さ5mm以下にカットする必要がある。アルカリ処理後
の場合には、繊維径が小さくなりすぎてカットが極めて
困難となり工程性に問題が生じる。カット長さは、長さ
5mm以下、好ましくは3mm以下、さらに好ましくは
0.5〜2mmとする。あまり長すぎると抄紙性が低下
し、逆にあまり短すぎると紙力等に問題が生じる場合が
ある。繊維成分及びパルプ成分の繊維デニ−ルとのバラ
ンスを考慮してカット長を決定するのが好ましい。アス
ペクト比(平均直径と長さの比)が500〜1500、
特に800〜1200程度とするのが、抄紙時の分散
性、紙力の点から好ましい。アルカリ減量処理及びカッ
トされて得られた紙料は、そのまま抄紙することが可能
であるが、他方法により得られた溶融液晶性ポリエステ
ル繊維(たとえば通常の溶融紡糸法により得られた未延
伸糸等)やパルプ状物を併用して紙状物を製造すること
も可能である。この場合、他方法で得られた繊維は1d
程度以上のものとなるため、A成分から得る繊維成分も
1d以上とすれば、抄紙条件の設定や紙の仕上品質を一
定にできるため好ましい。
【0026】また、本発明の紙用原料繊維における溶融
液晶性ポリエステルの重量割合は、60重量%以上であ
る必要がある。溶融液晶性ポリエステルは、易アルカリ
減量性ポリエステルと違って減量処理等によって除去さ
れるものではないため、可能な限り溶融液晶性ポリエス
テルの占める割合が大きい方が好ましい。60重量%未
満の場合には、ポリマ−ブレンド法によっても製造可能
であり、コスト的に好ましくない。しかし、85重量%
を超えると、溶融液晶性ポリエステルの割合が高くなり
繊維強度が高くなるため、アルカリ減量処理前に繊維を
任意の長さにカットすることが困難となるため好ましく
ない場合がある。従って、85重量以下とするのが好ま
しい。溶融液晶性ポリエステルの割合はB成分を構成す
るポリマ−ブレンドのブレンド比率や、芯鞘成分比(貼
合わせ成分比)を調整することで設定することができ
る。
【0027】本発明の複合繊維の製造に用いる装置は、
一般に使用されている芯鞘型複合紡糸装置(多芯鞘複合
紡糸装置等)や貼合わせ型複合紡糸装置(多層貼合わせ
型複合紡糸装置等)を使用すればよい。例えば、2台の
エクストル−ダ−別々に溶融されたポリマ−流を任意の
複合形態に紡糸する複合紡糸装置の一方の押出機に、X
ポリマ−とYポリマ−をペレット状で混合して溶融押出
して、Xポリマ−が島成分、Yポリマ−が海成分のポリ
マ−流を形成しさせて複合紡糸装置のポリマ−流路へ供
給し、また他方の押出機にはXポリマ−を溶融押出して
他方のポリマ−流路へ供給して任意の複合形態とする。
次いで複合紡糸装置のノズルオリフィスから吐出し、通
常の溶融紡糸と同様に紡糸巻取することによって製造で
きる。また、溶融紡糸後、巻き取ることなく直接カッタ
−で切断してもよい。
【0028】以上のように製造された複合繊維をアルカ
リ減量処理することにより紙料を製造することができ
る。溶融液晶性芳香族ポリエステルは、一般に用いられ
ているポリエチレンテレフタレ−ト等からなるポリエス
テルに比して5倍以上耐アルカリ性に優れており、アル
カリ減量処理を行っても強度風合等が実質的に損なわれ
ず、アルカリ処理を行うのに適したポリマ−である。Y
ポリマ−の溶解および/または分解除去は、浸漬法、デ
イップニップ法、ロ−ラ−パット法等のどの方法で行っ
てもよい。また、用いるアルカリ性溶液は、水酸化ナト
リウム、水酸化カルシウム、リン酸三ナトリウム等の強
アルカリ溶液が好ましく、アルカリ溶解性と繊維の浸食
性の点から、2〜60g/l,さらに好ましくは、3〜
20g/l 程度の処理液中でアルカリ処理を行う。炭酸ナト
リウム、ケイ酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム等
の弱アルカリ性物質を使用する場合は、処理液中のアル
カリ物質濃度5〜200g/l、好ましくは5〜60g/d であ
る。
【0029】またこれらを強アルカリ物質及び弱アルカ
リ物質を併用することも可能であり、処理液中に分解促
進剤などを含んでいてもよい。また、カチオン界面活性
剤を添加することにより、繊維のアルカリ浸透等が促進
されて好ましい。アルカリ処理温度は、70〜130 ℃が
好ましい。温度が70℃未満ではアルカリ処理に要する
時間が長くかかるようになり、また130 ℃を超えると溶
融液晶性芳香族ポリエステルが浸食・劣化を受けやすく
なる。アルカリ処理により繊維を分割後、中和、水洗乾
燥処理を行うのが好ましい。
【0030】本発明の複合繊維は、紡糸しただけで既に
十分な強度、弾性率を有しているが弛緩熱処理あるいは
緊張熱処理により性能を更に向上させることができる。
熱処理は、窒素等の不活性ガス雰囲気下や、空気の如き
酸素含有の活性ガス雰囲気中または減圧下で行うことが
可能である。熱処理雰囲気は露点が−80℃以下の低湿
気体が好ましい。好ましい熱処理条件としては、芯成分
の融点−40℃以下から鞘成分ポリマ−の融点以下まで
順次昇温していく温度パタ−ンが挙げられる。処理時間
は目的により数分から数十時間行う。
【0031】熱の供給は、気体等の媒体を用いる方法、
加熱板、赤外線ヒ−タ−等により輻射を利用する方法、
熱ロ−ラ−、熱プレ−ト等に接触して行う方法、高周波
等を利用した内部加熱方法等がある。処理は、目的によ
り緊張下あるいは無緊張下で行われる。処理形状はカセ
状、トウ状(例えば金属網等にのせて行う)、あるいは
ロ−ラ−間で連続的に処理することも可能である。緊張
熱処理は、芯成分の融点−80℃以下の温度で、切断強
度の1〜10%の張力をかけて行うのが好ましく、この
処理により様々な性能、特に弾性率は一層改善される。
【0032】本発明で得られる紙料(繊維成分、パルプ
成分)を湿式抄紙することにより紙状物を得ることがで
きるが、他の方法で製造された溶融液晶性ポリエステル
繊維やパルプ状物を混合して湿式抄紙することができ
る。このとき、分散剤を用いて抄紙するのが好ましく、
具体的には以下のようなものが挙げられる。ポリエ−テ
ルエステル、C8スルホサクシネ−ト、ポリオキシエチ
レン(POE)・ノニルフェノ−ルエ−テル・サルフェ
−ト・アミン、POE・ノニルフェノ−ルエ−テル・サ
ルフェ−ト・ナトリウム、POE・ノニルフェノ−ル、
POE・オレイルエ−テル、フッ素系の活性剤、変性シ
リコ−ン等を使用することができる。分散剤は、複数種
類用いてもよい。
【0033】また、パルプ状物の分散性を高めるため
に、ドライ、ウエットあるいは分散剤を添加したウエッ
トの状態でパルパ−、リファイナ−、ビ−タ−等にかけ
てパルプ状物間の絡まりを低下させることも可能であ
る。抄紙された未加工紙は、熱カレンダ−加工してパル
プ成分と繊維成分の間に強固な熱接着を形成して紙力が
向上される。本発明で得られた紙料原料繊維は、減量除
去しなければならない易アルカリ減量ポリエステルの比
率が小さく大幅なコスト低下が可能であり、またポリマ
−ブレンド法により製造されたパルプ状物からなる紙と
同様優れた品質、性能を有する紙を供し得るものであ
る。
【0034】本発明により得られる紙状製品は、耐熱
性、耐薬品性、非吸湿性等に優れ、さらに高強力高弾性
率を有しているため、様々な分野に使用することができ
る。具体的には、ブレ−キライニング、クラッチフェ−
シング、軸受等の摩耗材、パッキング材、ガスケット
材、フィルタ−、研磨材、絶縁紙、耐熱紙、スピ−カ−
コ−ン、ワイピングクロス、樹脂強化剤等に好適であ
る。特に非吸湿性、耐薬品性に優れているため、電気絶
縁分野に好適である。
【0035】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれにより何等限定されるものではな
い。 [溶融粘度 MV]300 ℃、剪断速度r=1000sec -1
条件で東洋精機キャピログラフ1B型を用いて測定し
た。 [対数粘度ηinh ]試料をペンタフルオロフェノ−ルに
0.1 重量%溶解し(60〜80℃)、60℃の恒温槽中でウッ
ペロ−デ型粘度計を用いて相対粘度(ηrel)を測定し、
ηinh =ln(ηrel)/cにより算出した。なおcはポリ
マ−濃度(g/dl)である。 [固有粘度]フェノ−ルとテトラクロロエタンの等量混
合溶媒に試料を1重量%溶解し、30℃の恒温槽中で測
定した。 [繊度]複合紡糸繊維の横断面の電子顕微鏡写真を撮
り、各成分10か所について直径(dμm)を測定し、
下記の換算式により繊度を求めた。なお、円形成分以外
のについては、該成分の面積Mと同一の面積を有する円
の直径を用いて繊度を算出した。 繊度(d)=d2 ×密度(=1.41g/cm3 )/1
41.4
【0036】<実施例1>溶融液晶性ポリエステルは、
前記化2で示した構成単位(A)と(B)が73/27 モル
%である溶融液晶性芳香族ポリエステル(MP=280
℃、対数粘度5.7dl/g)を用いた。易アルカリ減
量性ポリエステルは、5−ナトリウムスルホイソフタル
酸ジメチル(I)が共重合ポリエステルを構成する全酸
成分の2.5 モル%、分子量2000のポリエチレングリ
コ−ル(II)及び化6で表されるポリオキシエチレング
リシジルエ−テル(III )が全共重合ポリエステルのそ
れぞれ10重量%を占め、残りがテレフタル酸、エチレン
グリコ−ルである共重合ポリエステル(固有粘度0.58dl
/g)を用いた。なお該共重合ポリエステルは、該ポリエ
チレングリコ−ルとポリオキシエチレングリシジルエ−
テルの合計量に対して5重量%の酸化分解防止剤(アメ
リカンサイアミッド社製 サイアノックス1790)を
含むものである。なお、Aポリマ−とBポリマ−の分解
速度比は5800である。
【0037】
【化4】
【0038】上記両ポリマ−のチップを50:50の重
量比で混合し、次いで2台の押出機が結合された多芯鞘
複合紡糸機の一方の押出機へ供給して溶融混合押出し、
Xポリマ−が島成分、Yポリマ−が海成分であるポリマ
−流となし、さらにギヤポンプ(I)で計量して多芯鞘
複合紡糸繊維構造の鞘成分側に導いた。他方Xポリマ−
を他の押出機へ供給、溶融押出後、ギヤポンプ(II)で
計量して多芯鞘複合紡糸機構の芯成分側へ導いた。ギヤ
ポンプ(I)及びギヤポンプ(II)のポリマ−計量比は
1:1とした。このとき多芯鞘複合紡糸機構は芯数5コ
からなるものを100組組み込んだものを用いた。ポリ
マ−流を多芯鞘複合紡糸機構から吐出巻取し、単糸1.
5drの5芯をもつ複合紡糸繊維(1500dr/100f) を得
た。得られた複合繊維の断面を電子顕微鏡で観察し、A
成分及びB成分における溶融液晶性ポリエステルの繊度
を求めたところ、芯成分は約1.5dであり、島成分は
0.05〜0.01dの範囲に分布していた。5芯芯鞘
複合紡糸繊維全体に占める溶融液晶性ポリエステルの割
合は75重量%であった。なお、上記紡糸でポリマ−の
溶融押出温度は300℃、2つのギアポンプの合計ポリ
マ−量は167g/min、紡糸巻取速度は1000m/
min dfであった。
【0039】得られた複合繊維を長さ1mmにカットし
た後、40g/l の水酸化ナトリウム溶液(90℃)に30
分間浸漬処理して易アルカリ減量性ポリエステルを除去
した。さらに中和水洗をした後、通常の丸網抄紙機で紙
(目付50g/m2 )を抄紙した。抄紙時の工程通過性
は良好で全くトラブルはなく、地合の優れた溶融液晶性
ポリエステル紙が得られた。この未加工紙を金属ロ−ル
からなる通常のフラットカレンダ−で線圧50kg/c
m、温度250℃で処理したところ、タテ方向及びヨコ
方向の平均裂断長9.2kmの高強力で耐熱性、非吸湿
性に優れた溶融液晶性ポリエステル加工紙となった。
【0040】<実施例2>複合紡糸機構が10層の貼合
わせ型とした以外は実施例1と同様に複合紡糸繊維を製
造した。この繊維断面を電子顕微鏡写真で観察したとこ
ろ、Xポリマ−からなる層(A成分)とYポリマ−が海
成分、Xポリマ−が島成分である海島層(B成分)が交
互に5層ずつ張り合わされた構造を有していた。この1
0層の貼合わせ複合紡糸繊維全体に占める溶融液晶性ポ
リエステルの割合は75重量%であった。溶融液晶性ポ
リエステルの繊度は、A成分においては約1.5〜3d
であり、B成分においては0.05〜0.01drの範
囲に分布していた。この複合繊維を長さ1mmにカット
した後、実施例1と同一の方法、条件で易アルカリ減量
性ポリエステルを除去し、中和水洗後抄紙した。工程性
は良好であり、地合の優れた溶融液晶性ポリエステル紙
が得られた。この抄紙原紙を金属ロ−ルからなるフラッ
トカレンダ−で線圧50kg/cm、温度250℃で処
理したところ、たて方向及びヨコ方向の平均裂断長9.
5kmと高強力で耐熱性、非吸湿性に優れた溶融液晶性
芳香族ポリエスエル加工紙が得られた。
【0041】[実施例3]芯成分と鞘成分の割合を2
5:75にする以外実施例1と全く同一の条件で単芯の
芯鞘型複合紡糸繊維を製造した。この繊維のA成分から
得られた繊維デニ−ルは約3.8drで、B成分から得
られたパルプ成分は、0.05〜0.01drの範囲に
分布していた。単芯複合繊維全体に占める溶融液晶性ポ
リエステルの割合は63重量%であった。かかる複合繊
維を実施例1と同様にアルカリ減量処理、中和水洗、抄
紙してカレンダ−処理を行った。その結果、地合良好な
溶融液晶性芳香族ポリエステル紙が得られ、タテ方向及
びヨコ方向の平均裂断長は8.8kmと高強力で耐熱性
に優れ、非吸水性の良好なものであった。
【0042】[実施例4]芯成分と鞘成分の割合を7
5:25にした以外は実施例1と同様に5芯の芯鞘型複
合繊維を得た。この複合繊維を押し切りカッタ−で切断
しようとしたところ、極短時間でカット不良となり、カ
ットの再研磨が必要となり、操業性の極めて不良なもの
であった。この繊維のA成分から得られた繊維デニ−ル
は約2.2drで、B成分から得られたパルプ成分は、
0.05〜0.01drの範囲に分布していた。単芯複
合繊維全体に占める溶融液晶性ポリエステルの割合は8
7.5重量%であった。得られた繊維を実施例1と同様
にアルカリ減量処理、中和水洗、抄紙を行い溶融液晶性
ポリエステル紙を得た。タテ、ヨコの平均裂断長は7.
9kmであり、高強力で耐熱性に優れたものであった。 [比較例1]Xポリマ−とYポリマ−のブレンド比率を
70:30とした以外は実施例1と同様に単芯芯鞘型複
合繊維を得た。この繊維を使って実施例3と同様の方法
でYポリマ−を除去しようとしたがYポリマ−除去は不
可能であった。この繊維断面を電子顕微鏡で観察したと
ころ、鞘成分ではYポリマ−が島層を形成してXポリマ
−が海層を形成していた。
【0043】[比較例2]実施例1において5芯を単芯
とする以外、全く同一の方法で単芯の芯鞘型複合繊維を
得た。この芯鞘型複合繊維の芯成分の繊度は7.5dで
あり、パルプ成分は0.05〜0.01dの範囲で分布
していた。これを実施例1と同様の方法でYポリマ−を
除去後抄紙したが、繊維成分の分散性が低く、抄紙中に
も時々シ−ト切れを起こして工程性は不良であった。カ
レンダ−処理を施した紙の平均裂断長は3.8kmであ
り、紙の地合は不均一で粗悪なものであった。
【0044】[比較例3]B成分をYポリマ−のみで構
成した以外は実施例2と同様に10層の貼合わせ型複合
紡糸繊維を得た。この繊維断面を電子顕微鏡写真で観察
したところ、Xポリマ−層(A成分)とYポリマ−層
(B成分)が交互に5層ずつ張り合わされた構造を有し
ていた。この10層の貼合わせ複合紡糸繊維全体に占め
る溶融液晶性ポリエステルの割合は50重量%であり、
溶融液晶性ポリエステルの繊度は約1.5〜3dであっ
た。これを実施例1と同様の方法でYポリマ−を除去後
抄紙したが、繊維成分の分散性が低く、またパルプ成分
がないために湿潤状態おける平均裂断長が極めて低いた
め、シ−ト切れを起こして実質的に抄紙することは不可
能であった。
【0045】[比較例4]実施例1と同様にして紙用原
料繊維(1500d/100f)を得た。これを100
本集束してトウ状で40g/lのNaOH溶液(90
℃)の浴槽に通してYポリマ−の除去を行い、次いで中
和、水洗を行った。得られた極細繊維は、処理液等の液
流によりトウ乱れが生じており、さらにトウを乾燥する
とパルプ成分が無数に毛羽立つため、カット作業の効率
が著しく低下し、目的とする1mmカットは実質的に不
可能であった。 [比較例5]Xポリマ−とYポリマ−を50:50の重
量比で押し出し機より溶融混練し、ギヤポンプから紡糸
ヘッドに導き、ヘッド温度320℃、捲取温度300m
/min、ドラフト11の条件で紡糸し、1500d/
100f、島数約200個のXポリマ−を島成分とする
海島繊維を得た。溶融液晶性ポリエステルの繊度は約1
μmであった。これを実施例1と同様にアルカリ減量処
理、中和水洗、抄紙、カレンダ−処理を行い溶融液晶性
ポリエステル紙を得た。タテ、ヨコの平均裂断長は4.
9kmであり十分な紙力を有していた。紙質は緻密で良
好な風合を有していたが、Yポリマ−の使用割合が高い
ため、コスト的に不利なものであった。
【0046】
【発明の効果】本発明の溶融液晶性ポリエステル紙用原
料繊維によれば、低コストで地合等にも優れたポリエス
テル紙状製品を得ることができる。得られた紙状製品
は、高強力、耐熱性、耐薬品性、非吸湿性等に優れ各種
用途、特に電気絶縁分野に好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の複合繊維の横断面形状の具体的を示し
た図。なお図中XはXポリマ−、YはYポリマ−を示
す。
【図2】本発明で用いられる紡糸口金の具体例。
【手続補正書】
【提出日】平成7年3月30日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正内容】
【0008】
【化2】

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 単繊維繊度1〜6dの溶融液晶性芳香族
    ポリエステルからなるA成分と、0.005〜0.1d
    rに相当する溶融液晶性芳香族ポリエステルを島成分、
    易アルカリ減量性ポリエステルを海成分とするポリマ−
    ブレンドからなるB成分により構成された複合紡糸繊維
    であって、該複合紡糸繊維に占める溶融液晶性ポリエス
    テルの割合が60重量%以上である紙料原料繊維。
  2. 【請求項2】 単繊維繊度1〜6dの溶融液晶性芳香族
    ポリエステルからなるA成分と、0.005〜0.1d
    rに相当する溶融液晶性芳香族ポリエステルを島成分、
    易アルカリ減量性ポリエステルを海成分とするポリマ−
    ブレンドからなるB成分により構成された複合紡糸繊維
    であって、該複合紡糸繊維に占める溶融液晶性ポリエス
    テルの割合が60重量%以上である紙料原料繊維を長さ
    5mm以下にカットした後、アルカリ減量処理により易
    アルカリ減量性ポリエステルを溶解及び/または分解除
    去することを特徴する紙料の製造方法。
  3. 【請求項3】 単繊維繊度1〜6dの溶融液晶性芳香族
    ポリエステルからなるA成分と、0.005〜0.1d
    rに相当する溶融液晶性芳香族ポリエステルを島成分、
    易アルカリ減量性ポリエステルを海成分とするポリマ−
    ブレンドからなるB成分により構成された複合紡糸繊維
    であって、該複合紡糸繊維に占める溶融液晶性ポリエス
    テルの割合が60重量%以上である紙料原料繊維を長さ
    5mm以下にカットした後、アルカリ減量処理により易
    アルカリ減量性ポリエステルを溶解及び/または分解除
    去して得られた紙料を湿式抄紙する紙の製造方法。
JP4686895A 1995-03-07 1995-03-07 紙料原料繊維ならびに紙料及び紙の製造方法 Pending JPH08246242A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010248680A (ja) * 2009-03-24 2010-11-04 Toray Ind Inc 全熱交換用原紙およびそれを用いた全熱交換素子
CN107938014A (zh) * 2017-11-30 2018-04-20 中原工学院 一种阻燃液晶聚酯纤维的制备方法

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