JPH0923047A - プリント配線板用積層板及びその製造方法 - Google Patents
プリント配線板用積層板及びその製造方法Info
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- JPH0923047A JPH0923047A JP19415595A JP19415595A JPH0923047A JP H0923047 A JPH0923047 A JP H0923047A JP 19415595 A JP19415595 A JP 19415595A JP 19415595 A JP19415595 A JP 19415595A JP H0923047 A JPH0923047 A JP H0923047A
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- pulp
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 軽量かつ非吸水性で、電気特性に優れるプリ
ント配線基板用積層板を提供する。 【構成】溶融異方性ポリエステルからなる実質的に枝分
かれを有しないパルプ状物を配合した紙に、熱可塑性樹
脂を含浸させ積層形成し、硬化させることにより得られ
るプリント配線板用積層板。
ント配線基板用積層板を提供する。 【構成】溶融異方性ポリエステルからなる実質的に枝分
かれを有しないパルプ状物を配合した紙に、熱可塑性樹
脂を含浸させ積層形成し、硬化させることにより得られ
るプリント配線板用積層板。
Description
【産業上の利用分野】本発明は、プリント配線板用積層
板及びその製造方法に関する。
板及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】電子機器の発展のともない、プリント配
線板の需要は年々増加し、今やプリント配線板を使用し
ない電気機器は皆無といってよいほど広く普及してい
る。これらの電子機器等に使用される積層板(銅張積層
板、スクリ−ン印刷回路積層板等)には、電気特性、耐
熱性、耐薬品性、耐水性等の各特性が要求され、電子機
器の高性能化にともないこれらの要求は益々厳しくなっ
てきている。従来から、ガラス繊維からなる布基材にエ
ポキシ樹脂を含浸させたエポキシ−ガラス系積層板など
が使用されているが、かかるすべての要求性能を満たす
ものは得られていない。また、アラミド繊維からなる布
帛・紙を基材とすることも提案されているが、化学構造
上吸水性が高く、電気特性に問題がある。以上のことか
ら、軽量で耐熱性に優れかつ非吸水性である溶融液晶性
ポリエステル繊維からなる布帛を基材とすることが提案
されている(実公平5−33023号公報、特開昭62
−36892号公報等)。
線板の需要は年々増加し、今やプリント配線板を使用し
ない電気機器は皆無といってよいほど広く普及してい
る。これらの電子機器等に使用される積層板(銅張積層
板、スクリ−ン印刷回路積層板等)には、電気特性、耐
熱性、耐薬品性、耐水性等の各特性が要求され、電子機
器の高性能化にともないこれらの要求は益々厳しくなっ
てきている。従来から、ガラス繊維からなる布基材にエ
ポキシ樹脂を含浸させたエポキシ−ガラス系積層板など
が使用されているが、かかるすべての要求性能を満たす
ものは得られていない。また、アラミド繊維からなる布
帛・紙を基材とすることも提案されているが、化学構造
上吸水性が高く、電気特性に問題がある。以上のことか
ら、軽量で耐熱性に優れかつ非吸水性である溶融液晶性
ポリエステル繊維からなる布帛を基材とすることが提案
されている(実公平5−33023号公報、特開昭62
−36892号公報等)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、かかる
文献に記載の方法では密度の高い基材が得られないた
め、電気特性に優れたプリント配線基板用積層板を得る
ことは困難であった。たとえば、織物を基材とした場
合、溶融液晶性ポリエステル繊維が剛直であるため、織
工程で毛羽が出やすく品位の高い織物を得ることができ
ず、毛羽に気泡が多量に存在するため樹脂を十分に含浸
することは難しかった。また、紙を基材とすることも知
られているが、従来の方法では、緻密で地合が良好で電
気特性に優れた紙を得ることは困難であった。すなわ
ち、従来、溶融液晶性ポリエステル繊維を叩解して得ら
れたパルプ状物が用いられていたが、かかる繊維は高度
に分子配向しているため、剪断力を加えると比較的容易
にフィブリル状になるものの、抄造に適したパルプ状物
と同時に、繊維径の太い塊状物や粉末状物も必然的に生
じることとなる。従って、得られたパルプは抄造性が低
く、しかも塊状物が存在するため地合が悪く緻密な紙を
得ることは困難であった。本発明は、上記のような問題
を解決し、非吸水性でかつ電気特性に優れたプリント配
線板用積層板を提供せんとするものである。
文献に記載の方法では密度の高い基材が得られないた
め、電気特性に優れたプリント配線基板用積層板を得る
ことは困難であった。たとえば、織物を基材とした場
合、溶融液晶性ポリエステル繊維が剛直であるため、織
工程で毛羽が出やすく品位の高い織物を得ることができ
ず、毛羽に気泡が多量に存在するため樹脂を十分に含浸
することは難しかった。また、紙を基材とすることも知
られているが、従来の方法では、緻密で地合が良好で電
気特性に優れた紙を得ることは困難であった。すなわ
ち、従来、溶融液晶性ポリエステル繊維を叩解して得ら
れたパルプ状物が用いられていたが、かかる繊維は高度
に分子配向しているため、剪断力を加えると比較的容易
にフィブリル状になるものの、抄造に適したパルプ状物
と同時に、繊維径の太い塊状物や粉末状物も必然的に生
じることとなる。従って、得られたパルプは抄造性が低
く、しかも塊状物が存在するため地合が悪く緻密な紙を
得ることは困難であった。本発明は、上記のような問題
を解決し、非吸水性でかつ電気特性に優れたプリント配
線板用積層板を提供せんとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、溶融異方性ポ
リエステルからなり、かつ実質的に枝分かれを有しない
パルプ状物を含む紙基材に、合成樹脂を含浸・硬化させ
たことを特徴とするプリント配線板用積層板、及び溶融
液晶性芳香族ポリエステルを島成分、その他のポリマ−
を海成分とする海島繊維を、長さ5mm以下にカットす
る前又はカットした後に、海成分を溶解及び/又は分解
除去して得られるパルプ状物群を含む紙料を湿式抄紙
し、得られた紙に合成樹脂を含浸させて積層成型するプ
リント配線板用積層板の製造方法に関する。
リエステルからなり、かつ実質的に枝分かれを有しない
パルプ状物を含む紙基材に、合成樹脂を含浸・硬化させ
たことを特徴とするプリント配線板用積層板、及び溶融
液晶性芳香族ポリエステルを島成分、その他のポリマ−
を海成分とする海島繊維を、長さ5mm以下にカットす
る前又はカットした後に、海成分を溶解及び/又は分解
除去して得られるパルプ状物群を含む紙料を湿式抄紙
し、得られた紙に合成樹脂を含浸させて積層成型するプ
リント配線板用積層板の製造方法に関する。
【0005】本発明にいう溶融液晶性とは、液晶相にお
いて光学異方性(液晶性)を示すものである。このよう
な特性は、公知の方法、たとえばホットステ−ジにのせ
た試料を窒素雰囲気下で昇温加熱し、その透過光を観察
することにより容易に認定することができる。本発明に
用いられる溶融異方性芳香族ポリエステルは、例えば芳
香族ジオ−ル、芳香族ジカルボン酸、芳香族ヒドロキシ
カルボン酸等より得られるポリマ−であり、好適には化
1〜化3に示される反復構成単位の組み合わせからなる
ポリマ−が挙げられる。
いて光学異方性(液晶性)を示すものである。このよう
な特性は、公知の方法、たとえばホットステ−ジにのせ
た試料を窒素雰囲気下で昇温加熱し、その透過光を観察
することにより容易に認定することができる。本発明に
用いられる溶融異方性芳香族ポリエステルは、例えば芳
香族ジオ−ル、芳香族ジカルボン酸、芳香族ヒドロキシ
カルボン酸等より得られるポリマ−であり、好適には化
1〜化3に示される反復構成単位の組み合わせからなる
ポリマ−が挙げられる。
【0006】
【化1】
【0007】
【化2】
【0008】
【化3】
【0009】溶融液晶性ポリエステルの融点(MP)は、
260〜380℃、特に270〜350℃が好ましい。
ここでいう融点とは、示差走査熱量測定装置(DSC:
例えばmettler 社製、TA3000)で観察される主吸熱ピ−
クのピ−ク温度である。特に好ましくは、パラヒドロキ
シ安息香酸(A)と2−ヒドロキシ6−ナフトエ酸
(B)の構成単位からなる部分が80モル%以上である溶
融異方性芳香族ポリエステルであり、特にAとBの合計
量に対するB成分が5〜45モル%である芳香族ポリエス
テルが好ましい。なお、本発明で使用する溶融液晶性芳
香族ポリエステルには、適宜、酸化チタン、カオリン、
シリカ、硫酸バリウム、カ−ボンブラック、顔料、酸化
防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等を含んでいても良
い。
260〜380℃、特に270〜350℃が好ましい。
ここでいう融点とは、示差走査熱量測定装置(DSC:
例えばmettler 社製、TA3000)で観察される主吸熱ピ−
クのピ−ク温度である。特に好ましくは、パラヒドロキ
シ安息香酸(A)と2−ヒドロキシ6−ナフトエ酸
(B)の構成単位からなる部分が80モル%以上である溶
融異方性芳香族ポリエステルであり、特にAとBの合計
量に対するB成分が5〜45モル%である芳香族ポリエス
テルが好ましい。なお、本発明で使用する溶融液晶性芳
香族ポリエステルには、適宜、酸化チタン、カオリン、
シリカ、硫酸バリウム、カ−ボンブラック、顔料、酸化
防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等を含んでいても良
い。
【0010】本発明で使用するパルプ状物の形状は、実
質的に枝分かれを有しないものであり(図1参照)、従
来のように成形物を叩解して得られるパルプ状物(図2
参照)とは明らかに異なったものである。本発明のパル
プ状物は実質的に枝分かれを有しないため、抄紙時の分
散性に優れ、さらに地合良好で高密度の紙を得ることが
できる。従って、得られるプリント配線板用積層板は、
吸湿性及び電気特性に優れたものとなる。
質的に枝分かれを有しないものであり(図1参照)、従
来のように成形物を叩解して得られるパルプ状物(図2
参照)とは明らかに異なったものである。本発明のパル
プ状物は実質的に枝分かれを有しないため、抄紙時の分
散性に優れ、さらに地合良好で高密度の紙を得ることが
できる。従って、得られるプリント配線板用積層板は、
吸湿性及び電気特性に優れたものとなる。
【0011】本発明の紙基材を構成するパルプ状物は、
直径0.1μ以上5μm未満のものが好ましい。0.1
μm未満のものは紙力にほとんど寄与せず、また抄紙時
の流出ロスが大きく効率的でなく、また直径0.1μm
未満のパルプ状物のみを製造又は分離することは極めて
困難である。逆に5μm以上のものは、パルプ状物の絡
み合いが小さくなるため抄紙性が著しく低下し、紙力が
低下するとともに地合の劣ったものとなる。パルプ状物
の直径は、0.2〜4μm、特に0.5〜3μmとする
のが抄紙性及び紙力の点で好ましい。パルプ状物の長さ
は、0.2〜5mm、特に0.5〜2mmとするのが好
ましい。パルプ状物の長さが短すぎると、繊維の絡み合
いが小さくなるため紙力が不十分となる場合が生じ、さ
らにパルプ状物が流出しやすくロスが大きくなる。逆に
長すぎると、抄紙時にパルプ状物が絡み合って塊状物と
なって抄紙性が低下する場合があり、得られる紙の地合
が不十分となる場合がある。
直径0.1μ以上5μm未満のものが好ましい。0.1
μm未満のものは紙力にほとんど寄与せず、また抄紙時
の流出ロスが大きく効率的でなく、また直径0.1μm
未満のパルプ状物のみを製造又は分離することは極めて
困難である。逆に5μm以上のものは、パルプ状物の絡
み合いが小さくなるため抄紙性が著しく低下し、紙力が
低下するとともに地合の劣ったものとなる。パルプ状物
の直径は、0.2〜4μm、特に0.5〜3μmとする
のが抄紙性及び紙力の点で好ましい。パルプ状物の長さ
は、0.2〜5mm、特に0.5〜2mmとするのが好
ましい。パルプ状物の長さが短すぎると、繊維の絡み合
いが小さくなるため紙力が不十分となる場合が生じ、さ
らにパルプ状物が流出しやすくロスが大きくなる。逆に
長すぎると、抄紙時にパルプ状物が絡み合って塊状物と
なって抄紙性が低下する場合があり、得られる紙の地合
が不十分となる場合がある。
【0012】パルプ状物のアスペクト比は、抄紙時の分
散性及び紙力の点から500〜1500、特に800〜
1200が好ましい。本発明でいうアスペクト比とはパ
ルプ状物の繊維長Aを該パルプ状物の横断面面積と同じ
面積を有する円の直径Bで徐したものである。かかるパ
ルプ状物5〜100重量%含んだ紙料を用いて湿式抄紙
することにより優れた紙を得ることができる。溶融液晶
性芳香族ポリエステル又は他のポリマ−からなる本発明
で規定したパルプ状物以外の繊維状物が存在していても
よい。耐熱性、低吸湿性等の点からは、溶融液晶性ポリ
エステルのみから構成された紙とするのが好ましく、溶
融液晶性芳香族ポリエステル以外の成分は10重量%以
下、特に5重量%以下とするのが好ましい。
散性及び紙力の点から500〜1500、特に800〜
1200が好ましい。本発明でいうアスペクト比とはパ
ルプ状物の繊維長Aを該パルプ状物の横断面面積と同じ
面積を有する円の直径Bで徐したものである。かかるパ
ルプ状物5〜100重量%含んだ紙料を用いて湿式抄紙
することにより優れた紙を得ることができる。溶融液晶
性芳香族ポリエステル又は他のポリマ−からなる本発明
で規定したパルプ状物以外の繊維状物が存在していても
よい。耐熱性、低吸湿性等の点からは、溶融液晶性ポリ
エステルのみから構成された紙とするのが好ましく、溶
融液晶性芳香族ポリエステル以外の成分は10重量%以
下、特に5重量%以下とするのが好ましい。
【0013】該パルプ状物のみを抄紙した場合には耐熱
性、低吸湿性、地合に優れた紙が得られるが、さらに高
い紙力が要求される場合にはパルプ状物を構成するポリ
マ−と同組成又は異なった組成のポリマ−からなる短繊
維を混抄することが好ましい。特に溶融液晶性ポリエス
テルからなる短繊維を混抄するのが好ましい。短繊維の
直径は、直径5μm以上25μm未満、特に8μm以上
20μm未満とするのが好ましい。短繊維の直径が大き
すぎると抄紙性、地合ともに不十分となる場合がある。
短繊維の長さは、2〜30mm、特に3〜8mmとする
のが好ましい。短繊維の長さが短すぎると補強効果が小
さく紙力がそれほど向上しない場合があり、長すぎると
抄紙時に短繊維が絡み合って塊状になり、抄紙性、紙
力、地合等が不十分となる場合がある。短繊維のアスペ
クト比は130〜500、特に250〜300とするの
が好ましい。かかる短繊維は、1〜95重量%、特に3
0〜70重量%配合するのが好ましい。
性、低吸湿性、地合に優れた紙が得られるが、さらに高
い紙力が要求される場合にはパルプ状物を構成するポリ
マ−と同組成又は異なった組成のポリマ−からなる短繊
維を混抄することが好ましい。特に溶融液晶性ポリエス
テルからなる短繊維を混抄するのが好ましい。短繊維の
直径は、直径5μm以上25μm未満、特に8μm以上
20μm未満とするのが好ましい。短繊維の直径が大き
すぎると抄紙性、地合ともに不十分となる場合がある。
短繊維の長さは、2〜30mm、特に3〜8mmとする
のが好ましい。短繊維の長さが短すぎると補強効果が小
さく紙力がそれほど向上しない場合があり、長すぎると
抄紙時に短繊維が絡み合って塊状になり、抄紙性、紙
力、地合等が不十分となる場合がある。短繊維のアスペ
クト比は130〜500、特に250〜300とするの
が好ましい。かかる短繊維は、1〜95重量%、特に3
0〜70重量%配合するのが好ましい。
【0014】本発明で使用するパルプ状物は枝分かれを
有しないことに特徴を有しており、塊状物や粉末状物を
実質的に含まないものである。かかるパルプ状物は、水
への分散性に優れていることから抄紙性が高く、耐熱
性、低吸湿性、紙力及び地合の優れた紙を供し得るもの
であるが、特に緻密で気密度が高い紙が得られることか
ら、電気絶縁紙として好適なものが得られる。気密度は
500sec/100cc以上、特に1000sec/
100cc以上、さらに1800sec/100cc以
上とするのが好ましい。気密度が高い程、地合に優れ、
緻密な紙であるということができる。本発明でいう気密
度とは、空気の通り難さを示す指標であり、JIS C
2111に準じてガレ−式で測定したものをいう。
有しないことに特徴を有しており、塊状物や粉末状物を
実質的に含まないものである。かかるパルプ状物は、水
への分散性に優れていることから抄紙性が高く、耐熱
性、低吸湿性、紙力及び地合の優れた紙を供し得るもの
であるが、特に緻密で気密度が高い紙が得られることか
ら、電気絶縁紙として好適なものが得られる。気密度は
500sec/100cc以上、特に1000sec/
100cc以上、さらに1800sec/100cc以
上とするのが好ましい。気密度が高い程、地合に優れ、
緻密な紙であるということができる。本発明でいう気密
度とは、空気の通り難さを示す指標であり、JIS C
2111に準じてガレ−式で測定したものをいう。
【0015】また、絶縁破壊強さは10kV/mm以
上、特に13kV/mm以上のものが好ましい。本発明
にいう絶縁破壊強さとは、交流の高電圧を印加したとき
に試料が絶縁破壊するときの電圧を単位厚み当りで示し
たものであり、JIS C2111に準じて1試験片で
10点測定したその相加平均をいう。
上、特に13kV/mm以上のものが好ましい。本発明
にいう絶縁破壊強さとは、交流の高電圧を印加したとき
に試料が絶縁破壊するときの電圧を単位厚み当りで示し
たものであり、JIS C2111に準じて1試験片で
10点測定したその相加平均をいう。
【0016】かかるパルプ状物の製造方法としては、溶
融液晶性ポリエステルを島成分とする海島繊維を製造
し、海成分を除去して島成分を分割する方法が挙げられ
る。かかる方法によれば、溶融成形体に剪断力を加える
ことなく、直径のばらつきが少なくかつほぼ均一なパル
プ長を有するパルプ状物を製造することができる。な
お、溶融液晶性ポリエステルの場合、通常の溶融紡糸で
直径5μm未満の極細繊維を製造することは極めて難し
い。また、溶融液晶性芳香族ポリエステルを芯成分とす
る芯鞘型複合繊維の鞘成分を除去する方法等によっても
比較的細い繊維を製造することは可能であるが、かかる
方法により直径10μm未満、特に5μm未満の極細繊
維を製造することは困難である。従って、得られたパル
プ状物を用いて工業的規模で抄紙することは実質的に不
可能であり、また気密度が高く絶縁性に優れた紙は得ら
れない。
融液晶性ポリエステルを島成分とする海島繊維を製造
し、海成分を除去して島成分を分割する方法が挙げられ
る。かかる方法によれば、溶融成形体に剪断力を加える
ことなく、直径のばらつきが少なくかつほぼ均一なパル
プ長を有するパルプ状物を製造することができる。な
お、溶融液晶性ポリエステルの場合、通常の溶融紡糸で
直径5μm未満の極細繊維を製造することは極めて難し
い。また、溶融液晶性芳香族ポリエステルを芯成分とす
る芯鞘型複合繊維の鞘成分を除去する方法等によっても
比較的細い繊維を製造することは可能であるが、かかる
方法により直径10μm未満、特に5μm未満の極細繊
維を製造することは困難である。従って、得られたパル
プ状物を用いて工業的規模で抄紙することは実質的に不
可能であり、また気密度が高く絶縁性に優れた紙は得ら
れない。
【0017】本発明にいう海島構造とは、繊維の横断面
においてマトリックスとなる海成分中に数十から数十万
の島(溶融液晶性ポリエステル)が存在している状態を
いう。該海島繊維は、押出により成形され、かつ島成分
が繊維軸方向にある程度連続しているものであればよ
く、海島繊維の直径や断面形状は特に限定されない。具
体的には繊維状、ストランド状、ペレット状、チップ状
等のものが挙げられる。溶融液晶性ポリエステルは、繊
維軸方向に配向しやすいため島成分が連続したものにな
りやすく、カットを行わなければ比較的長いパルプ成分
が得られる。従って、海成分の除去を行う前にカットを
行っても実質的に粉末状物は生じず、長さのほぼ一定し
たパルプ成分が得られる。粉末状物が混入している場合
には、抄紙時に配管に詰まり大きな支障を来すのみでな
く、得られる紙の強力は低いものとなる。
においてマトリックスとなる海成分中に数十から数十万
の島(溶融液晶性ポリエステル)が存在している状態を
いう。該海島繊維は、押出により成形され、かつ島成分
が繊維軸方向にある程度連続しているものであればよ
く、海島繊維の直径や断面形状は特に限定されない。具
体的には繊維状、ストランド状、ペレット状、チップ状
等のものが挙げられる。溶融液晶性ポリエステルは、繊
維軸方向に配向しやすいため島成分が連続したものにな
りやすく、カットを行わなければ比較的長いパルプ成分
が得られる。従って、海成分の除去を行う前にカットを
行っても実質的に粉末状物は生じず、長さのほぼ一定し
たパルプ成分が得られる。粉末状物が混入している場合
には、抄紙時に配管に詰まり大きな支障を来すのみでな
く、得られる紙の強力は低いものとなる。
【0018】海島繊維の島数は数十〜数十万個程度、特
に数百〜数万個程度が好ましい。かかる島数は、両ポリ
マ−の混練割合、紡糸温度、射出剪断速度、ドラフト、
溶融粘度などを調節することにより変えることができ
る。例えば、両成分の溶融粘度差を大きくすることによ
り、島数を減少させることができる。溶融液晶性芳香族
ポリエステルは、ノズル通過時に著しい分子配向を生じ
るため、海島繊維を良好に紡糸するためにはドラフトを
1.1〜40倍にする必要がある。また、剪断速度を10
0〜100,000sec-1とすることにより、島成分の直径を好
適なものとすることができる。
に数百〜数万個程度が好ましい。かかる島数は、両ポリ
マ−の混練割合、紡糸温度、射出剪断速度、ドラフト、
溶融粘度などを調節することにより変えることができ
る。例えば、両成分の溶融粘度差を大きくすることによ
り、島数を減少させることができる。溶融液晶性芳香族
ポリエステルは、ノズル通過時に著しい分子配向を生じ
るため、海島繊維を良好に紡糸するためにはドラフトを
1.1〜40倍にする必要がある。また、剪断速度を10
0〜100,000sec-1とすることにより、島成分の直径を好
適なものとすることができる。
【0019】かかる海島繊維は、海成分と島成分をチッ
プブレンドする、または両成分の溶融物をスタチックミ
キサ−等で混合する方法などにより得ることができる。
海成分と島成分の重量割合は、30:70〜80:2
0、特に45:55〜60:40とするのが好ましい。
溶融液晶性ポリエステルの混合割合が高いほど経済的か
つ効率的であるが、70重量%を越えると溶融液晶性芳香
族ポリエステルが海成分となり本発明のパルプ状物は得
られない。
プブレンドする、または両成分の溶融物をスタチックミ
キサ−等で混合する方法などにより得ることができる。
海成分と島成分の重量割合は、30:70〜80:2
0、特に45:55〜60:40とするのが好ましい。
溶融液晶性ポリエステルの混合割合が高いほど経済的か
つ効率的であるが、70重量%を越えると溶融液晶性芳香
族ポリエステルが海成分となり本発明のパルプ状物は得
られない。
【0020】このとき、海島繊維を構成する海成分は、
溶融異方性ポリエステルとの親和性及び粘度等を考慮し
て、適宜海成分を構成するポリマ−を選択することが必
要である。例えば、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリ
メチルスチレン、ナイロン6、ナイロン6−6、ナイロ
ン6−10、ポリプロピレン、ポリカ−ボネ−ト、ポリ
塩化ビニル、ポリエステル等の可撓性の熱可塑性ポリマ
−が挙げられる。かかるポリマ−を海成分とする海島繊
維を製造し、長さ5mm以下にカットする前又はカット
した後に、該ポリマ−の良溶媒を用いて海成分を溶解除
去及び/又は分解除去することにより達成できる。特
に、ポリエチレン、ポリスチレン、ナイロン6−6を用
いた場合には、溶融液晶性芳香族ポリエステルに対して
貧溶媒でかつ熱可塑性ポリマ−に対して良溶媒の「溶
媒」を選択しやすいので好ましい。最も好ましいのはポ
リスチレンであり、トルエンを溶媒に選択することによ
り海成分のポリスチレンを室温でかつ短時間に溶解除去
することができる。また、ポリスチレンを用いた場合に
は、島成分の分布及び直径が均一になりやすいので好ま
しい。
溶融異方性ポリエステルとの親和性及び粘度等を考慮し
て、適宜海成分を構成するポリマ−を選択することが必
要である。例えば、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリ
メチルスチレン、ナイロン6、ナイロン6−6、ナイロ
ン6−10、ポリプロピレン、ポリカ−ボネ−ト、ポリ
塩化ビニル、ポリエステル等の可撓性の熱可塑性ポリマ
−が挙げられる。かかるポリマ−を海成分とする海島繊
維を製造し、長さ5mm以下にカットする前又はカット
した後に、該ポリマ−の良溶媒を用いて海成分を溶解除
去及び/又は分解除去することにより達成できる。特
に、ポリエチレン、ポリスチレン、ナイロン6−6を用
いた場合には、溶融液晶性芳香族ポリエステルに対して
貧溶媒でかつ熱可塑性ポリマ−に対して良溶媒の「溶
媒」を選択しやすいので好ましい。最も好ましいのはポ
リスチレンであり、トルエンを溶媒に選択することによ
り海成分のポリスチレンを室温でかつ短時間に溶解除去
することができる。また、ポリスチレンを用いた場合に
は、島成分の分布及び直径が均一になりやすいので好ま
しい。
【0021】溶融液晶性ポリエステルは耐薬品性に優れ
ているため溶媒による劣化や浸食を受けにくく、用いる
ことのできる溶媒の種類が多いのみでなく、強度等に優
れたパルプ状物を得ることができる。海成分の除去処理
は、適宜条件を設定して行うのが好ましく、具体的には
浸漬法、デイップニップ法、ロ−ラ−パット法等が挙げ
られる。たとえば熱可塑性ポリマ−としてポリエチレン
を用いた場合には、溶媒としてシクロヘキサン、クロロ
ホルムを用いて70℃以上で処理を行うことが好まし
い。また、ポリプロピレンを用いる場合には、溶媒とし
てベンゼン、クロロホルム、トルエン等を用いて80℃
以上で処理することが好ましい。またポリスチレンの場
合には、トルエン、キシレン等を用いて室温で処理でき
るためより工程性等の点で特に好ましい。
ているため溶媒による劣化や浸食を受けにくく、用いる
ことのできる溶媒の種類が多いのみでなく、強度等に優
れたパルプ状物を得ることができる。海成分の除去処理
は、適宜条件を設定して行うのが好ましく、具体的には
浸漬法、デイップニップ法、ロ−ラ−パット法等が挙げ
られる。たとえば熱可塑性ポリマ−としてポリエチレン
を用いた場合には、溶媒としてシクロヘキサン、クロロ
ホルムを用いて70℃以上で処理を行うことが好まし
い。また、ポリプロピレンを用いる場合には、溶媒とし
てベンゼン、クロロホルム、トルエン等を用いて80℃
以上で処理することが好ましい。またポリスチレンの場
合には、トルエン、キシレン等を用いて室温で処理でき
るためより工程性等の点で特に好ましい。
【0022】これらの溶媒は、単独で用いても良いが、
混合溶媒にして用いても良い。本発明は溶媒により熱可
塑性ポリマ−の抽出を行うため、溶媒の回収、再利用が
可能であり、経済的かつ効率的にパルプ状物を製造する
ことができる。なお、溶媒処理により繊維を分割後、水
洗乾燥処理を行うのが好ましい。海島繊維の製造しやす
さの点では、易アルカリ減量性ポリエステルを海成分、
溶融液晶性芳香族ポリエステルを島成分とする海島繊維
を、長さ5mm以下にカットする前又はカットした後
に、易アルカリ減量性ポリエステルを溶解及び/又は分
解除去する方法を採用するのが好ましい。
混合溶媒にして用いても良い。本発明は溶媒により熱可
塑性ポリマ−の抽出を行うため、溶媒の回収、再利用が
可能であり、経済的かつ効率的にパルプ状物を製造する
ことができる。なお、溶媒処理により繊維を分割後、水
洗乾燥処理を行うのが好ましい。海島繊維の製造しやす
さの点では、易アルカリ減量性ポリエステルを海成分、
溶融液晶性芳香族ポリエステルを島成分とする海島繊維
を、長さ5mm以下にカットする前又はカットした後
に、易アルカリ減量性ポリエステルを溶解及び/又は分
解除去する方法を採用するのが好ましい。
【0023】該易アルカリ減量性ポリエステルとは、ジ
カルボン酸、ジオ−ル、ヒドロキシカルボン酸等からな
るポリエステルであり、アルカリ分解性及び/又はアル
カリ溶解性を有するものであれば特に限定されるもので
はない。用いる溶融液晶性芳香族ポリエステルとのアル
カリ分解速度比が好ましくは1000倍以上、より好ま
しくは3000倍以上の易アルカリ減量性ポリエステル
を用いる。この場合、アルカリ処理が短時間に行なえか
つ溶融液晶性芳香族ポリエステルの耐アルカリ性が優れ
ているため、溶融液晶性ポリエステルがアルカリによる
劣化や浸食を受けにくく、強度等に優れたパルプ状物が
得られる。また、易アルカリ減量性ポリエステルをアル
カリ溶液による処理でほぼ完全に除去できるので、次の
熱処理工程等で融着等のトラブルが起こらない。
カルボン酸、ジオ−ル、ヒドロキシカルボン酸等からな
るポリエステルであり、アルカリ分解性及び/又はアル
カリ溶解性を有するものであれば特に限定されるもので
はない。用いる溶融液晶性芳香族ポリエステルとのアル
カリ分解速度比が好ましくは1000倍以上、より好ま
しくは3000倍以上の易アルカリ減量性ポリエステル
を用いる。この場合、アルカリ処理が短時間に行なえか
つ溶融液晶性芳香族ポリエステルの耐アルカリ性が優れ
ているため、溶融液晶性ポリエステルがアルカリによる
劣化や浸食を受けにくく、強度等に優れたパルプ状物が
得られる。また、易アルカリ減量性ポリエステルをアル
カリ溶液による処理でほぼ完全に除去できるので、次の
熱処理工程等で融着等のトラブルが起こらない。
【0024】なお、本発明でいうアルカリ溶解速度と
は、試料を、98℃、20g/l の水酸化ナトリウム水溶液中
に各測定サンプルを浴比1:500の条件で浸漬し、撹
拌しながらサンプルを溶解させて下記式によりアルカリ
溶解速度定数Kにより表される。なお、サンプルとして
は、同一条件で紡糸した直径1mmのストランドを用い
るのが好ましい。
は、試料を、98℃、20g/l の水酸化ナトリウム水溶液中
に各測定サンプルを浴比1:500の条件で浸漬し、撹
拌しながらサンプルを溶解させて下記式によりアルカリ
溶解速度定数Kにより表される。なお、サンプルとして
は、同一条件で紡糸した直径1mmのストランドを用い
るのが好ましい。
【0025】
【数1】
【0026】かかる易アルカリ減量性ポリエステルに
は、市販の酸化分解防止剤(例えばチバ・ガイキ−社製
イルガノックス1010、アメリカンサイアナミッド社製サ
イアノックス1790)を添加することにより耐熱性を向上
させることも可能である。好適な易アルカリ減量性ポリ
エステルの具体例としては、下記の構成単位I〜III を
含む共重合ポリエステルが挙げられる。
は、市販の酸化分解防止剤(例えばチバ・ガイキ−社製
イルガノックス1010、アメリカンサイアナミッド社製サ
イアノックス1790)を添加することにより耐熱性を向上
させることも可能である。好適な易アルカリ減量性ポリ
エステルの具体例としては、下記の構成単位I〜III を
含む共重合ポリエステルが挙げられる。
【0027】
【化4】
【0028】特に好ましくは、構成単位I〜III を含む
ポリエステルであり、かつ構成単位Iをポリエステルを
構成する全酸成分の0.5 〜10モル%、構成単位II及び
IIIをそれぞれ1重量%以上含み、かつ構成単位II及びI
II の合計含有率が全ポリエステルの2〜50重量%であ
る共重合ポリエステルを用いる。該ポリエステルのアル
カリ分解速度は、芳香族ポリエステルに比して1000
倍以上大きく、従って、アルカリ溶液による処理を短時
間に行うことが可能である。より好ましくは、構成単位
Iをポリエステルを構成する全酸成分の1〜7モル%、
構成単位II及びIII の合計含有率が全ポリエステルの5
〜30重量%である共重合ポリエステルを用いる。
構成単位I〜III の含有割合が少ないとアルカリ
分解性が不十分となる場合が生じる。アルカリ分解性が
不十分の場合には、易アルカリ減量性ポリエステルの除
去に時間がかかり、パルプ状物の強度が損なわれる等の
問題が生じる。
ポリエステルであり、かつ構成単位Iをポリエステルを
構成する全酸成分の0.5 〜10モル%、構成単位II及び
IIIをそれぞれ1重量%以上含み、かつ構成単位II及びI
II の合計含有率が全ポリエステルの2〜50重量%であ
る共重合ポリエステルを用いる。該ポリエステルのアル
カリ分解速度は、芳香族ポリエステルに比して1000
倍以上大きく、従って、アルカリ溶液による処理を短時
間に行うことが可能である。より好ましくは、構成単位
Iをポリエステルを構成する全酸成分の1〜7モル%、
構成単位II及びIII の合計含有率が全ポリエステルの5
〜30重量%である共重合ポリエステルを用いる。
構成単位I〜III の含有割合が少ないとアルカリ
分解性が不十分となる場合が生じる。アルカリ分解性が
不十分の場合には、易アルカリ減量性ポリエステルの除
去に時間がかかり、パルプ状物の強度が損なわれる等の
問題が生じる。
【0029】逆に、該共重合成分の含有率が高くなれ
ば、紡糸性が低下する場合が生じる。構成単位Iの含有
割合が高いと粘度が大きくなりゲル化が生じやすくな
り、逆に構成単位II及びIII が増加すれば粘度が低下し
て断糸等が生じやすくなる。側鎖単位III を適度な割合
で共重合させることにより、アルカリ分解性及び紡糸性
を著しく向上させることが可能となる。ジカルボン酸単
位I中の3価の芳香族基(Ar)としては、ベンゼント
リイル基、ナフタレントリイル基等が挙げられ、金属原
子Mは、ナトリウム、カリウム、リチウムなどのアルカ
リ金属原子が好ましい。共重合ポリエステルには、ジカ
ルボン酸成分Iを複数種有していてもよい。共重合ポリ
エステルを構成する他のカルボン酸単位としては、テレ
フタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビ
フェニルジカルボン酸、ジフェニルエ−テルジカルボン
酸などの芳香族ジカルボン酸、β−ヒドロキシエトキシ
安息香酸、p−オキシ安息香酸などの芳香族ヒドロキシ
カルボン酸、さらに脂肪族ジカルボン酸、脂環族カルボ
ン酸、トリカルボン酸等を挙げることができ、これらの
カルボン酸単位を複数種用いてもよい。共重合ポリエス
テルを構成する全酸成分単位の70モル%以上が芳香族ジ
カルボン酸単位、特にテレフタル酸単位であるのが好ま
しい。
ば、紡糸性が低下する場合が生じる。構成単位Iの含有
割合が高いと粘度が大きくなりゲル化が生じやすくな
り、逆に構成単位II及びIII が増加すれば粘度が低下し
て断糸等が生じやすくなる。側鎖単位III を適度な割合
で共重合させることにより、アルカリ分解性及び紡糸性
を著しく向上させることが可能となる。ジカルボン酸単
位I中の3価の芳香族基(Ar)としては、ベンゼント
リイル基、ナフタレントリイル基等が挙げられ、金属原
子Mは、ナトリウム、カリウム、リチウムなどのアルカ
リ金属原子が好ましい。共重合ポリエステルには、ジカ
ルボン酸成分Iを複数種有していてもよい。共重合ポリ
エステルを構成する他のカルボン酸単位としては、テレ
フタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビ
フェニルジカルボン酸、ジフェニルエ−テルジカルボン
酸などの芳香族ジカルボン酸、β−ヒドロキシエトキシ
安息香酸、p−オキシ安息香酸などの芳香族ヒドロキシ
カルボン酸、さらに脂肪族ジカルボン酸、脂環族カルボ
ン酸、トリカルボン酸等を挙げることができ、これらの
カルボン酸単位を複数種用いてもよい。共重合ポリエス
テルを構成する全酸成分単位の70モル%以上が芳香族ジ
カルボン酸単位、特にテレフタル酸単位であるのが好ま
しい。
【0030】また、ジオ−ル単位II中のR1 は、炭素数
2〜4のアルキレン基であるのが好ましく、エチレン基
および/またはプロピレン基、特に、アルカリ溶解性の
点からエチレン基が好ましい。また平均重合度mは10
〜100であることが必要であるが、20〜80がさらに好
ましい。mが10未満では、アルカリ溶解性が低く、10
0を越えるとアルカリ溶解性もそれほど向上せず、着色
の問題が生じやすくなる。ポリオキシエチレングリコ−
ル、ポリオキシプロピレングリコ−ル、ポリオキシエチ
レン/ポリオキシプロピレングリコ−ル等から誘導され
た単位が好ましく、共重合ポリエステルにこれらジオ−
ル単位IIが複数含まれていてもよい。また、共重合ポリ
エステルには他のジオ−ル単位を更に有しているのが好
ましく、脂肪族ジオ−ル、脂環族ジオ−ル等が挙げられ
る。これらジオ−ル単位を複数含んでいてもよい。繊維
形成性の点から炭素数2〜6の直鎖状アルキレングリコ
−ルから誘導された単位が好ましい。
2〜4のアルキレン基であるのが好ましく、エチレン基
および/またはプロピレン基、特に、アルカリ溶解性の
点からエチレン基が好ましい。また平均重合度mは10
〜100であることが必要であるが、20〜80がさらに好
ましい。mが10未満では、アルカリ溶解性が低く、10
0を越えるとアルカリ溶解性もそれほど向上せず、着色
の問題が生じやすくなる。ポリオキシエチレングリコ−
ル、ポリオキシプロピレングリコ−ル、ポリオキシエチ
レン/ポリオキシプロピレングリコ−ル等から誘導され
た単位が好ましく、共重合ポリエステルにこれらジオ−
ル単位IIが複数含まれていてもよい。また、共重合ポリ
エステルには他のジオ−ル単位を更に有しているのが好
ましく、脂肪族ジオ−ル、脂環族ジオ−ル等が挙げられ
る。これらジオ−ル単位を複数含んでいてもよい。繊維
形成性の点から炭素数2〜6の直鎖状アルキレングリコ
−ルから誘導された単位が好ましい。
【0031】側鎖単位III 中のR2 は炭素数2〜4のア
ルキレン基であるのが好ましく、エチレン基および/ま
たはプロピレン基、特にエチレン基が好ましい。R3 と
しては炭素数1〜15の直鎖または分岐状アルキル基、
炭素数3〜18のシクロアルキル基,炭素数6〜18の
アリ−ル基を挙げることができる。重合度nは10〜1
00の範囲であるが、20〜80であるのがより好まし
い。nが10よりも小さいとアルカリ溶解性が低下し、
一方100を超えてもアルカリ溶解性はそれほど向上せ
ず、着色の原因となる。具体的には、ポリオキシエチレ
ングリコ−ル−アルキル−グリシジルエ−テル、ポリオ
キシエチレングリコ−ル−アルキル−2、3−ジヒドロ
キシプロピルエ−テル、ポリオキシエチレングリコ−ル
−フェニル−グリシジルエ−テル、ポリオキシエチレン
グリコ−ル−フェニル−2、3−ジヒドロキシプロピル
エ−テル、ポリオキシエチレングリコ−ル−シクロヘキ
シル−グリシジルエ−テル、ポリオキシエチレングリコ
−ル−シクロヘキシル−2、3−ジヒドロキシプロピル
エ−テル等が挙げられ、共重合ポリエステル(Aポリマ
−)中にこれら単位が複数含まれていてもよい。
ルキレン基であるのが好ましく、エチレン基および/ま
たはプロピレン基、特にエチレン基が好ましい。R3 と
しては炭素数1〜15の直鎖または分岐状アルキル基、
炭素数3〜18のシクロアルキル基,炭素数6〜18の
アリ−ル基を挙げることができる。重合度nは10〜1
00の範囲であるが、20〜80であるのがより好まし
い。nが10よりも小さいとアルカリ溶解性が低下し、
一方100を超えてもアルカリ溶解性はそれほど向上せ
ず、着色の原因となる。具体的には、ポリオキシエチレ
ングリコ−ル−アルキル−グリシジルエ−テル、ポリオ
キシエチレングリコ−ル−アルキル−2、3−ジヒドロ
キシプロピルエ−テル、ポリオキシエチレングリコ−ル
−フェニル−グリシジルエ−テル、ポリオキシエチレン
グリコ−ル−フェニル−2、3−ジヒドロキシプロピル
エ−テル、ポリオキシエチレングリコ−ル−シクロヘキ
シル−グリシジルエ−テル、ポリオキシエチレングリコ
−ル−シクロヘキシル−2、3−ジヒドロキシプロピル
エ−テル等が挙げられ、共重合ポリエステル(Aポリマ
−)中にこれら単位が複数含まれていてもよい。
【0032】本発明の島成分は耐アルカリ性に優れた溶
融液晶性芳香族ポリエステルであるため、アルカリ処理
により実質的に直径が変化することなく、所望の直径を
有するパルプ状物を得ることができる。易アルカリ減量
性ポリエステル(海成分)の溶解および/または分解除
去は、浸漬法、デイップニップ法、ロ−ラ−パット法等
のどの方法で行ってもよい。用いるアルカリ性溶液は、
水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、リン酸三ナトリ
ウム等の強アルカリ溶液が好ましく、アルカリ溶解性と
繊維の浸食性の点から、2〜60g/l,さらに好まし
くは、3〜20g/l 程度の処理液中でアルカリ処理を行
う。炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、リン酸二水素
ナトリウム等の弱アルカリ性物質を使用する場合は、処
理液中のアルカリ物質濃度5〜200g/l、好ましくは5〜
60g/l である。これらを強アルカリ物質及び弱アルカリ
物質を併用することも可能であり、処理液中に分解促進
剤などを含んでいてもよい。また、アルカリ界面活性剤
を添加することにより、繊維のアルカリ浸透等が促進さ
れて好ましい。
融液晶性芳香族ポリエステルであるため、アルカリ処理
により実質的に直径が変化することなく、所望の直径を
有するパルプ状物を得ることができる。易アルカリ減量
性ポリエステル(海成分)の溶解および/または分解除
去は、浸漬法、デイップニップ法、ロ−ラ−パット法等
のどの方法で行ってもよい。用いるアルカリ性溶液は、
水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、リン酸三ナトリ
ウム等の強アルカリ溶液が好ましく、アルカリ溶解性と
繊維の浸食性の点から、2〜60g/l,さらに好まし
くは、3〜20g/l 程度の処理液中でアルカリ処理を行
う。炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、リン酸二水素
ナトリウム等の弱アルカリ性物質を使用する場合は、処
理液中のアルカリ物質濃度5〜200g/l、好ましくは5〜
60g/l である。これらを強アルカリ物質及び弱アルカリ
物質を併用することも可能であり、処理液中に分解促進
剤などを含んでいてもよい。また、アルカリ界面活性剤
を添加することにより、繊維のアルカリ浸透等が促進さ
れて好ましい。
【0033】アルカリ処理温度は、70〜100 ℃が好ま
しい。温度が70℃未満ではアルカリ処理に要する時間
が長くかかるようになり、また100 ℃を超えると溶融液
晶性芳香族ポリエステル(Bポリマ−)が浸食・劣化を
受けやすくなるばかりでなく、オ−トクレ−ブ等の設備
が必要となる。アルカリ処理により繊維を分割後、中
和、水洗乾燥処理を行うのが好ましい。アルカリの微量
の残留が問題となる場合には、熱可塑性ポリマ−を海成
分とする海島繊維を溶媒で処理する前述の方法を採用す
るのが好ましい。また、溶融液晶性ポリエステルは、耐
薬品性、耐アルカリ性に優れているため、海成分除去処
理前の直径と処理後の直径を実質的に同一とみなすこと
ができ、任意の直径を有するパルプ状物を得ることがで
きる。
しい。温度が70℃未満ではアルカリ処理に要する時間
が長くかかるようになり、また100 ℃を超えると溶融液
晶性芳香族ポリエステル(Bポリマ−)が浸食・劣化を
受けやすくなるばかりでなく、オ−トクレ−ブ等の設備
が必要となる。アルカリ処理により繊維を分割後、中
和、水洗乾燥処理を行うのが好ましい。アルカリの微量
の残留が問題となる場合には、熱可塑性ポリマ−を海成
分とする海島繊維を溶媒で処理する前述の方法を採用す
るのが好ましい。また、溶融液晶性ポリエステルは、耐
薬品性、耐アルカリ性に優れているため、海成分除去処
理前の直径と処理後の直径を実質的に同一とみなすこと
ができ、任意の直径を有するパルプ状物を得ることがで
きる。
【0034】本発明のパルプ状物は、長さ5mm以下、好
ましくは3mm以下、さらに好ましくは1〜2mmにカット
して得られる。カットは海成分除去処理前又は処理後の
いずれで行ってもよいが、直径の太い方がカットしやす
いので海成分除去前にカットするのが好ましい。カット
方法としては、カッタ−、ペレッタイザ−、粉砕機等い
ずれの方法で行ってもよい。得られたパルプ状物に分散
剤を添加することも可能である。分散剤としては、ポリ
エ−テルエステル、C8スルホサクシネ−ト、ポリオキ
シエチレン(POE)・ノニルフェノ−ルエ−テル・サ
ルフェ−ト・アミン、POE・ノニルフェノ−ルエ−テ
ル・サルフェ−ト・ナトリウム、POE・ノニルフェノ
−ル、POE・オレイルエ−テル、フッソ系の活性剤、
変性シリコ−ン等を使用することができる。分散剤はこ
れらに限定されるものではなく、複数種類用いてもよ
い。また、パルプ状物の分散性を高めるために、ドラ
イ、ウエットあるいは分散剤を添加したウエットの状態
で、パルパ−、リファイナ−、ビ−タ−等にかけてパル
プ状物間の絡まりを低下させることも可能である。添加
量は10重量%以下、特に5重量%以下とするのが好ま
しい。
ましくは3mm以下、さらに好ましくは1〜2mmにカット
して得られる。カットは海成分除去処理前又は処理後の
いずれで行ってもよいが、直径の太い方がカットしやす
いので海成分除去前にカットするのが好ましい。カット
方法としては、カッタ−、ペレッタイザ−、粉砕機等い
ずれの方法で行ってもよい。得られたパルプ状物に分散
剤を添加することも可能である。分散剤としては、ポリ
エ−テルエステル、C8スルホサクシネ−ト、ポリオキ
シエチレン(POE)・ノニルフェノ−ルエ−テル・サ
ルフェ−ト・アミン、POE・ノニルフェノ−ルエ−テ
ル・サルフェ−ト・ナトリウム、POE・ノニルフェノ
−ル、POE・オレイルエ−テル、フッソ系の活性剤、
変性シリコ−ン等を使用することができる。分散剤はこ
れらに限定されるものではなく、複数種類用いてもよ
い。また、パルプ状物の分散性を高めるために、ドラ
イ、ウエットあるいは分散剤を添加したウエットの状態
で、パルパ−、リファイナ−、ビ−タ−等にかけてパル
プ状物間の絡まりを低下させることも可能である。添加
量は10重量%以下、特に5重量%以下とするのが好ま
しい。
【0035】本発明においては、海島繊維の海成分を除
去して得られる溶融液晶性芳香族ポリエステルパルプ状
物を抄紙することに特徴があり、海島繊維を用いて抄紙
した後に海成分を除去した場合には、本発明の目的を達
成することはできない。すなわち、海島繊維は繊維径が
大きいために抄紙性が極めて悪く、さらに得られる紙も
気密度が低く地合の劣ったものとなる。紙の坪量(g/
m2 )は、用途により適宜設定すればよく、坪量20〜
200g/m2 程度のものを広く使用することができ
る。本発明のパルプ状物を用いることにより、裂断長が
4Km以上、特に4.5Km 以上という高強力を有する紙を得
ることができるが、さらに高紙力が要求される場合に
は、パルプ状物、短繊維、紙等に熱処理を施すことが好
ましい。この場合、裂断長6Km以上、特に7km以上の紙
を得ることができる。
去して得られる溶融液晶性芳香族ポリエステルパルプ状
物を抄紙することに特徴があり、海島繊維を用いて抄紙
した後に海成分を除去した場合には、本発明の目的を達
成することはできない。すなわち、海島繊維は繊維径が
大きいために抄紙性が極めて悪く、さらに得られる紙も
気密度が低く地合の劣ったものとなる。紙の坪量(g/
m2 )は、用途により適宜設定すればよく、坪量20〜
200g/m2 程度のものを広く使用することができ
る。本発明のパルプ状物を用いることにより、裂断長が
4Km以上、特に4.5Km 以上という高強力を有する紙を得
ることができるが、さらに高紙力が要求される場合に
は、パルプ状物、短繊維、紙等に熱処理を施すことが好
ましい。この場合、裂断長6Km以上、特に7km以上の紙
を得ることができる。
【0036】パルプ状物の熱処理は、海成分除去前また
は除去後のいずれで行ってもよいが、繊維間の膠着を抑
制するためには海成分除去後に熱処理を施すのが好まし
い。また、得られた紙にカレンダ−ロ−ルで軽く熱加工
した後に、さらに熱加工して紙の強度および融点を高く
することも可能である。その際の熱の供給は、加熱板、
赤外線ヒ−タ−等により熱輻射を利用する方法、熱ロ−
ラ−、熱プレ−ト等に接触させて行う方法、高周波等を
利用した内部加熱方法等がある。加熱媒体として用いる
気体は、窒素等の不活性ガスあるいは窒素と酸素、炭酸
ガスなどの混合気体および空気などが用いられる。熱処
理雰囲気は露点が-10 ℃以下、好ましくは-40 ℃以下の
気体中が良い。好ましい熱処理条件は溶融液晶性ポリエ
ステルの融点MPに対して、MP−60℃〜MP+20
℃の温度範囲で、MP−40℃から順次昇温していく温
度パタ−ンである。
は除去後のいずれで行ってもよいが、繊維間の膠着を抑
制するためには海成分除去後に熱処理を施すのが好まし
い。また、得られた紙にカレンダ−ロ−ルで軽く熱加工
した後に、さらに熱加工して紙の強度および融点を高く
することも可能である。その際の熱の供給は、加熱板、
赤外線ヒ−タ−等により熱輻射を利用する方法、熱ロ−
ラ−、熱プレ−ト等に接触させて行う方法、高周波等を
利用した内部加熱方法等がある。加熱媒体として用いる
気体は、窒素等の不活性ガスあるいは窒素と酸素、炭酸
ガスなどの混合気体および空気などが用いられる。熱処
理雰囲気は露点が-10 ℃以下、好ましくは-40 ℃以下の
気体中が良い。好ましい熱処理条件は溶融液晶性ポリエ
ステルの融点MPに対して、MP−60℃〜MP+20
℃の温度範囲で、MP−40℃から順次昇温していく温
度パタ−ンである。
【0037】熱処理は、目的により緊張下あるいは無緊
張下のどちらで行っても良い。また、形状は、カセ状、
チ−ズ状、トウ状(金網に乗せて処理する)、ペレット
状、ストランド状、シ−ト状、パルプ状、ステ−プル状
等で行われれる。なお、本発明にいう融点とは、示差走
査熱量計で試料を昇温した場合に、最大吸熱ピ−クの現
れる温度をいう。本発明の紙は、目的によりそのまま用
いることも可能であるが、熱カレンダ−処理又は熱プレ
ス等により、紙の表面の艶だしを行っても良い。特に熱
処理されていないパルプから得られた紙をカレンダ−処
理すると、良好な艶が得られると共に強度を向上させる
こともできる。
張下のどちらで行っても良い。また、形状は、カセ状、
チ−ズ状、トウ状(金網に乗せて処理する)、ペレット
状、ストランド状、シ−ト状、パルプ状、ステ−プル状
等で行われれる。なお、本発明にいう融点とは、示差走
査熱量計で試料を昇温した場合に、最大吸熱ピ−クの現
れる温度をいう。本発明の紙は、目的によりそのまま用
いることも可能であるが、熱カレンダ−処理又は熱プレ
ス等により、紙の表面の艶だしを行っても良い。特に熱
処理されていないパルプから得られた紙をカレンダ−処
理すると、良好な艶が得られると共に強度を向上させる
こともできる。
【0038】カレンダ−温度は200〜300℃程度、
特に210〜270℃程度とするのが好ましい。カレン
ダ−温度を高めると裂断長、絶縁破壊強さ等を向上させ
ることができるが、工程性の点からはカレンダ−温度を
低くするのが好ましい。カレンダ−処理における線圧は
50〜200kg/cm程度が好ましい。また、カレン
ダ−ロ−ルとしては、弾性ロ−ル(ペ−パ−ロ−ル、コ
ットンロ−ル、ゴムロ−ル等)やスチ−ルロ−ルを用い
ることができる。パルプ状物のみを用いて抄紙すること
も可能であるが、用途によりさらに高い紙力が要求され
る場合には、短繊維を混抄するのが好ましい。混抄する
短繊維は、溶融液晶性芳香族ポリエステル繊維であるの
が好ましく、通常の溶融紡糸等により得られるものを使
用すればよい。芯鞘型複合繊維等を製造した後、他方成
分を除去することにより得られた繊維も使用できる。か
かる繊維をカットした短繊維を混抄することにより補強
効果を得ることができ、特に熱処理を施した溶融液晶性
芳香族ポリエステルからなる短繊維を混抄することによ
り優れた補強効果を得ることができる。熱処理は、パル
プ状物と同様の方法で行うことができる。
特に210〜270℃程度とするのが好ましい。カレン
ダ−温度を高めると裂断長、絶縁破壊強さ等を向上させ
ることができるが、工程性の点からはカレンダ−温度を
低くするのが好ましい。カレンダ−処理における線圧は
50〜200kg/cm程度が好ましい。また、カレン
ダ−ロ−ルとしては、弾性ロ−ル(ペ−パ−ロ−ル、コ
ットンロ−ル、ゴムロ−ル等)やスチ−ルロ−ルを用い
ることができる。パルプ状物のみを用いて抄紙すること
も可能であるが、用途によりさらに高い紙力が要求され
る場合には、短繊維を混抄するのが好ましい。混抄する
短繊維は、溶融液晶性芳香族ポリエステル繊維であるの
が好ましく、通常の溶融紡糸等により得られるものを使
用すればよい。芯鞘型複合繊維等を製造した後、他方成
分を除去することにより得られた繊維も使用できる。か
かる繊維をカットした短繊維を混抄することにより補強
効果を得ることができ、特に熱処理を施した溶融液晶性
芳香族ポリエステルからなる短繊維を混抄することによ
り優れた補強効果を得ることができる。熱処理は、パル
プ状物と同様の方法で行うことができる。
【0039】紙基材に含浸させる樹脂は、特に限定され
るものでなく、目的により適宜、熱可塑性樹脂または熱
硬化性樹脂を選択すればよい。具体的には、エポキシ樹
脂、フェノ−ル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイ
ミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂等の硬化性樹脂等の熱
可塑性樹脂が挙げられる。電気特性の点からはエポキシ
樹脂が好ましい。また、変性樹脂を使用することも可能
であり、例えばブタジエン変性レゾ−ル樹脂、ニトリル
変性樹脂も効果がある。これらの樹脂は、モノマ−ある
いはオリゴマ−そのままで紙基材に含浸させてもよい
が、溶液またはスラリ−状にして含浸させても良い。ま
た、フィルムあるいはシ−トを形成し、紙基材を挟みサ
ンドイッチ成形して含浸させることもできる。さらに、
樹脂を含浸させた紙基材を乾燥してプリプレグとし、つ
いで必要枚数を積層することにより、プリント配線基板
用積層体を得ることができる。パルプ及び紙基材は、樹
脂を含浸させる前に、電気的特性を損うこと無く、かつ
樹脂との接着性を高めるために表面処理をすることが特
に好ましい。
るものでなく、目的により適宜、熱可塑性樹脂または熱
硬化性樹脂を選択すればよい。具体的には、エポキシ樹
脂、フェノ−ル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイ
ミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂等の硬化性樹脂等の熱
可塑性樹脂が挙げられる。電気特性の点からはエポキシ
樹脂が好ましい。また、変性樹脂を使用することも可能
であり、例えばブタジエン変性レゾ−ル樹脂、ニトリル
変性樹脂も効果がある。これらの樹脂は、モノマ−ある
いはオリゴマ−そのままで紙基材に含浸させてもよい
が、溶液またはスラリ−状にして含浸させても良い。ま
た、フィルムあるいはシ−トを形成し、紙基材を挟みサ
ンドイッチ成形して含浸させることもできる。さらに、
樹脂を含浸させた紙基材を乾燥してプリプレグとし、つ
いで必要枚数を積層することにより、プリント配線基板
用積層体を得ることができる。パルプ及び紙基材は、樹
脂を含浸させる前に、電気的特性を損うこと無く、かつ
樹脂との接着性を高めるために表面処理をすることが特
に好ましい。
【0040】かかる積層体に金属箔、好ましくは銅箔を
重ねて加熱圧縮成形し、必要により加熱してスクリ−ン
印刷で回路を書き込むことによりプリント配線板を製造
することができる。しかし、プリント配線板の製造方法
は特に限定されるものではなく所望により適宜方法を選
択すればよい。本発明により得られる紙は、溶融異方性
芳香族ポリエステルが有する優れた特徴すなわち高強力
高弾性率、非吸湿性、耐熱性、耐薬品性等の性能を十分
に発揮されており、プリント配線板用の紙基材として適
したものである。本来溶融液晶性芳香族ポリエステルは
耐熱性、耐薬品性、低吸水性に優れたものであるため、
短繊維等を叩解して得たパルプを用いた紙においても優
れた性能を有しているが、塊状物や粉末状物が存在して
いるために強力が不十分であり、さらに塊状物により空
隙が多数生じて密度は必然的に低くなり、満足できる電
気特性は得られない場合があった。本発明で用いるパル
プは実質的に枝分かれがないため、紙力が高く地合に優
れた紙が得られるのみでなく、密度が高く電気特性に優
れた紙が得られ、従って優れたプリント配線板用基板を
供し得るため、軽量化、薄板化、短小化する電気器類に
広く用いることができる。以下、実施例により本発明を
より具体的に説明するが、本発明はこれにより何等限定
されるものではない。
重ねて加熱圧縮成形し、必要により加熱してスクリ−ン
印刷で回路を書き込むことによりプリント配線板を製造
することができる。しかし、プリント配線板の製造方法
は特に限定されるものではなく所望により適宜方法を選
択すればよい。本発明により得られる紙は、溶融異方性
芳香族ポリエステルが有する優れた特徴すなわち高強力
高弾性率、非吸湿性、耐熱性、耐薬品性等の性能を十分
に発揮されており、プリント配線板用の紙基材として適
したものである。本来溶融液晶性芳香族ポリエステルは
耐熱性、耐薬品性、低吸水性に優れたものであるため、
短繊維等を叩解して得たパルプを用いた紙においても優
れた性能を有しているが、塊状物や粉末状物が存在して
いるために強力が不十分であり、さらに塊状物により空
隙が多数生じて密度は必然的に低くなり、満足できる電
気特性は得られない場合があった。本発明で用いるパル
プは実質的に枝分かれがないため、紙力が高く地合に優
れた紙が得られるのみでなく、密度が高く電気特性に優
れた紙が得られ、従って優れたプリント配線板用基板を
供し得るため、軽量化、薄板化、短小化する電気器類に
広く用いることができる。以下、実施例により本発明を
より具体的に説明するが、本発明はこれにより何等限定
されるものではない。
【0041】
[対数粘度の測定]試料をペンタフルオロフェノ−ルに
0.1 重量%溶解し(60〜80℃)、60℃の恒温槽中で、ウ
ベロ−デ型粘度計で相対粘度(ηrel )を測定し、次式
によって計算した。 ηinh =ln(ηrel )/c ここで、cはポリマ−濃度(g/dl)である。 [固有粘度の測定]フェノ−ルとテトラクロロエタンの
等量混合溶媒を用い、30℃の恒温層中で測定した。
0.1 重量%溶解し(60〜80℃)、60℃の恒温槽中で、ウ
ベロ−デ型粘度計で相対粘度(ηrel )を測定し、次式
によって計算した。 ηinh =ln(ηrel )/c ここで、cはポリマ−濃度(g/dl)である。 [固有粘度の測定]フェノ−ルとテトラクロロエタンの
等量混合溶媒を用い、30℃の恒温層中で測定した。
【0042】[融点の測定]DSC(例えばMettler 社
製TA3000)装置にサンプルを5〜15mgとり、アルミ製パ
ンへ封入した後、窒素を20cc/min流し、昇温速度20℃/m
inで測定したとき、吸熱ピ−ク温度の頂点を表す温度を
融点(Tm)として測定する。1st-run で明確な吸熱ピ
−クを現れない場合は、50℃/minの昇温温度で、予想さ
れる吸熱ピ−ク温度より50℃以上高い温度で3分程度加
熱し完全に溶融した後、80℃/minで50℃まで冷却し、し
かるのち20℃/minの昇温速度で測定した値を用いる。
製TA3000)装置にサンプルを5〜15mgとり、アルミ製パ
ンへ封入した後、窒素を20cc/min流し、昇温速度20℃/m
inで測定したとき、吸熱ピ−ク温度の頂点を表す温度を
融点(Tm)として測定する。1st-run で明確な吸熱ピ
−クを現れない場合は、50℃/minの昇温温度で、予想さ
れる吸熱ピ−ク温度より50℃以上高い温度で3分程度加
熱し完全に溶融した後、80℃/minで50℃まで冷却し、し
かるのち20℃/minの昇温速度で測定した値を用いる。
【0043】[パルプ直径及びパルプ長]パルプ状物の
電子顕微鏡写真上に直線をひき、その直線上のパルプ状
物の長さに対して直角方向での幅(直径)を20点以上
測定して平均を求め、さらに他の任意の4か所について
も電子顕微鏡写真を撮影して同様の方法で直径の平均値
を求め、得られた平均値の相加平均を直径とした。また
パルプ状物の電子顕微鏡写真を撮影して任意のパルプ状
物10点の長さを測定して平均を求め、さらに、他の任
意の4か所についても電子顕微鏡写真を撮影して同様の
方法で長さの平均値を求め、得られた平均値の相加平均
を長さとした。紙状物とした後のパルプ状物及び短繊維
の直径・長さも同様の方法で求めることができる。
電子顕微鏡写真上に直線をひき、その直線上のパルプ状
物の長さに対して直角方向での幅(直径)を20点以上
測定して平均を求め、さらに他の任意の4か所について
も電子顕微鏡写真を撮影して同様の方法で直径の平均値
を求め、得られた平均値の相加平均を直径とした。また
パルプ状物の電子顕微鏡写真を撮影して任意のパルプ状
物10点の長さを測定して平均を求め、さらに、他の任
意の4か所についても電子顕微鏡写真を撮影して同様の
方法で長さの平均値を求め、得られた平均値の相加平均
を長さとした。紙状物とした後のパルプ状物及び短繊維
の直径・長さも同様の方法で求めることができる。
【0044】[厚み μm]JIS−C2111に準じ
てマイクロメ−タ−を用いて測定した。 [気密度 sec/100cc]JIS C2111に
準じてガレ−式で3つの試験片(紙)の気密度を測定
し、その気密度の相加平均で示した(最大値1800s
ec/100cc)。
てマイクロメ−タ−を用いて測定した。 [気密度 sec/100cc]JIS C2111に
準じてガレ−式で3つの試験片(紙)の気密度を測定
し、その気密度の相加平均で示した(最大値1800s
ec/100cc)。
【0045】[吸水率 %]得られた積層板(10cm
角)を真空状態にて乾燥(120℃×6時間)した後、
20℃×95%RHに調湿されたデシケ−タ−内に1週
間放置した。調湿後の重量変化を電子天秤で測定し、下
記から吸湿率をもとめた。W0は乾燥後の紙の質量であ
り、Wは調湿後の質量である。 吸湿率(%)=(W−W0)÷W0×100
角)を真空状態にて乾燥(120℃×6時間)した後、
20℃×95%RHに調湿されたデシケ−タ−内に1週
間放置した。調湿後の重量変化を電子天秤で測定し、下
記から吸湿率をもとめた。W0は乾燥後の紙の質量であ
り、Wは調湿後の質量である。 吸湿率(%)=(W−W0)÷W0×100
【0046】[絶縁破壊電圧kV]JIS K6911
−5−3に準じて測定した。 [はんだ耐熱性]鉄製の容器中で260℃に溶解したは
んだ(JIS H4341のH63A)に積層板を10
秒間浸漬して積層板の膨れを目視により調べた。
−5−3に準じて測定した。 [はんだ耐熱性]鉄製の容器中で260℃に溶解したは
んだ(JIS H4341のH63A)に積層板を10
秒間浸漬して積層板の膨れを目視により調べた。
【0047】[実施例1]溶融液晶性ポリエステルは、
パラヒドロキシ安息香酸と2−ヒドロキシ6−ナフトエ
酸が73/27 モル%比、融点(MP)280 ℃、対数粘度5.
7dl/g のものを用いた。易アルカリ減量性ポリエステル
は、共重合ポリエステルを構成する全酸成分の2.5 モル
%の5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチル(I
´)、分子量2000のポリエチレングリコ−ル(II
´)及び化5で表されるポリオキシエチレングリシジル
エ−テル(III ´)から得られる構成単位I〜 IIIが全
共重合ポリエステルのそれぞれ10重量%を占め、残りが
テレフタル酸、エチレングリコ−ルである共重合ポリエ
ステル(固有粘度0.58dl/g)を用いた。両ポリマ−のア
ルカリ溶解速度比は5800であった。
パラヒドロキシ安息香酸と2−ヒドロキシ6−ナフトエ
酸が73/27 モル%比、融点(MP)280 ℃、対数粘度5.
7dl/g のものを用いた。易アルカリ減量性ポリエステル
は、共重合ポリエステルを構成する全酸成分の2.5 モル
%の5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチル(I
´)、分子量2000のポリエチレングリコ−ル(II
´)及び化5で表されるポリオキシエチレングリシジル
エ−テル(III ´)から得られる構成単位I〜 IIIが全
共重合ポリエステルのそれぞれ10重量%を占め、残りが
テレフタル酸、エチレングリコ−ルである共重合ポリエ
ステル(固有粘度0.58dl/g)を用いた。両ポリマ−のア
ルカリ溶解速度比は5800であった。
【0048】
【化5】
【0049】なお該共重合ポリエステルは、該ポリエチ
レングリコ−ルとポリオキシエチレングリシジルエ−テ
ルの合計量に対して5重量%の酸化分解防止剤(アメリ
カンサイアミッド社製 サイアノックス1790)を含
むものである。なお、後述する実施例2〜4においても
同様の共重合成分、酸化分解防止剤を用いた。
レングリコ−ルとポリオキシエチレングリシジルエ−テ
ルの合計量に対して5重量%の酸化分解防止剤(アメリ
カンサイアミッド社製 サイアノックス1790)を含
むものである。なお、後述する実施例2〜4においても
同様の共重合成分、酸化分解防止剤を用いた。
【0050】上記の易アルカリ減量性ポリエステル(A
ポリマ−)と溶融液晶性ポリエステル(Bポリマ−)を
50:50の重量比で押し出し機より溶融混練し、ギヤポン
プから紡糸ヘッドに導き、ヘッド温度320 ℃、巻取速度
300 m/min 、ドラフト11の条件で紡糸し、1500d/100
f、島数約500 個の海島繊維を得た。これをカッタ−を
用いて繊維長約1.5 mmに切断した後、沸騰している40g/
l の水酸化ナトリウム溶液に10分間浸漬した。次にこ
れをガ−ゼ上に移し取り酢酸で中和した後、30分間水
で洗浄した。得られたパルプ状物を走査型電子顕微鏡
(SEM)で観察したところ、パルプ状物は実質的に枝
分かれを有しておらず、平均直径は約1μm(0.2 〜5
μ)、パルプ長は1.5mm 前後であり、粉末状物や繊維径
の極めて大きなものは実質的に存在していなかった(図
1参照)。
ポリマ−)と溶融液晶性ポリエステル(Bポリマ−)を
50:50の重量比で押し出し機より溶融混練し、ギヤポン
プから紡糸ヘッドに導き、ヘッド温度320 ℃、巻取速度
300 m/min 、ドラフト11の条件で紡糸し、1500d/100
f、島数約500 個の海島繊維を得た。これをカッタ−を
用いて繊維長約1.5 mmに切断した後、沸騰している40g/
l の水酸化ナトリウム溶液に10分間浸漬した。次にこ
れをガ−ゼ上に移し取り酢酸で中和した後、30分間水
で洗浄した。得られたパルプ状物を走査型電子顕微鏡
(SEM)で観察したところ、パルプ状物は実質的に枝
分かれを有しておらず、平均直径は約1μm(0.2 〜5
μ)、パルプ長は1.5mm 前後であり、粉末状物や繊維径
の極めて大きなものは実質的に存在していなかった(図
1参照)。
【0051】短繊維としては、上記Aポリマ−と同様の
溶融液晶性芳香族ポリエステルを用いて、ヘッド温度3
20℃、巻取速度1000m/min及びドラフト22
の条件で溶融紡糸して得られた300d/100f(平
均繊維径17μm)のヤ−ンを5mmにギロチンカッタ
−で切断したものを用いた。アルカリ減量処理して得ら
れたパルプ状物60重量%と短繊維40重量%とを水中
に投じ、攪拌分散させた後、この分散物を80メッシュ
のステンレス製金網をとおして抄紙し、坪量40g/m
2 を有するシ−ト状物を得た
溶融液晶性芳香族ポリエステルを用いて、ヘッド温度3
20℃、巻取速度1000m/min及びドラフト22
の条件で溶融紡糸して得られた300d/100f(平
均繊維径17μm)のヤ−ンを5mmにギロチンカッタ
−で切断したものを用いた。アルカリ減量処理して得ら
れたパルプ状物60重量%と短繊維40重量%とを水中
に投じ、攪拌分散させた後、この分散物を80メッシュ
のステンレス製金網をとおして抄紙し、坪量40g/m
2 を有するシ−ト状物を得た
【0052】次いでこのシ−トを表面温度120℃、2
km/cm2 のドラム型乾燥機で処理して脱水乾燥させ
た。得られた紙を上がゴムロ−ル、下がスチ−ルロ−ル
の条件下でロ−ル温度240℃、線圧70kg/cmの
カレンダ−処理を行った。該紙を10cm×10cmに
切断し、ビスフェノ−ルA型樹脂100g,ジシアンジ
アミド4g、ベンジルジメチルアミン0.2g、ジメチ
ルホルムアミド14g、メチルエチルケトン70gを混
合して80℃で7時間還流することにより得られたワニ
ス中に浸漬し、取り出した後乾燥して130℃で10分
間おいて半硬化させた。このプリプレグを重ね合わせて
170℃で30分間、50kg/cm2 の圧力で積層圧
縮成形し、成形後160℃で1時間硬化させ、厚さ2〜
3mmの成型品を作製した。結果を表1に示す。
km/cm2 のドラム型乾燥機で処理して脱水乾燥させ
た。得られた紙を上がゴムロ−ル、下がスチ−ルロ−ル
の条件下でロ−ル温度240℃、線圧70kg/cmの
カレンダ−処理を行った。該紙を10cm×10cmに
切断し、ビスフェノ−ルA型樹脂100g,ジシアンジ
アミド4g、ベンジルジメチルアミン0.2g、ジメチ
ルホルムアミド14g、メチルエチルケトン70gを混
合して80℃で7時間還流することにより得られたワニ
ス中に浸漬し、取り出した後乾燥して130℃で10分
間おいて半硬化させた。このプリプレグを重ね合わせて
170℃で30分間、50kg/cm2 の圧力で積層圧
縮成形し、成形後160℃で1時間硬化させ、厚さ2〜
3mmの成型品を作製した。結果を表1に示す。
【0053】[実施例2]溶融異方性芳香族ポリエステ
ルからなる短繊維を混抄しないこと以外は、実施例1と
同様に積層板を製造した。結果を表1に示す。 [実施例3]Bポリマ−として、下記化3で示された構
成単位C〜Fのモル比がC:D:E:F=60:20:
15:5であるポリマ−(融点305℃、対数粘度6.
1dl/g)を用い、ヘッド温度330℃、捲取速度5
50m/min、ドラフト18とした以外は実施例1と
同様に行い、平均直径0.7μm(0.1〜4μm)、
繊維長1.5mm前後のパルプ状物を得た。かかるパル
プ状物を用いた以外は実施例1と同様に行った。結果を
表1に示す。
ルからなる短繊維を混抄しないこと以外は、実施例1と
同様に積層板を製造した。結果を表1に示す。 [実施例3]Bポリマ−として、下記化3で示された構
成単位C〜Fのモル比がC:D:E:F=60:20:
15:5であるポリマ−(融点305℃、対数粘度6.
1dl/g)を用い、ヘッド温度330℃、捲取速度5
50m/min、ドラフト18とした以外は実施例1と
同様に行い、平均直径0.7μm(0.1〜4μm)、
繊維長1.5mm前後のパルプ状物を得た。かかるパル
プ状物を用いた以外は実施例1と同様に行った。結果を
表1に示す。
【0054】[実施例4]実施例1で使用した溶融液晶
性ポリエステルと易アルカリ減量性ポリエステルを押出
機で溶融混練したものをノズル径1mmの口金より引き
取り、ペレッタイザ−を用いてペレット化した。得られ
たペレットは平均直径0.8mm、平均長さ2mmのも
のであった。このペレットを沸騰している40g/lの
水酸化ナトリウム溶液に20分間浸漬後、実施例1と同
様に中和、洗浄してパルプ状物を得た。パルプ状物をS
EM観察したところ、粉末状物や塊状物は実質的に存在
しておらず、さらにパルプ状物は実質的に枝分かれを有
していなかった。平均直径は1.5μm(0.5〜4μ
m)でありパルプの長さは2mm前後であった。かかる
パルプ状物を用いた以外は実施例1と同様に行った。結
果を表1に示す
性ポリエステルと易アルカリ減量性ポリエステルを押出
機で溶融混練したものをノズル径1mmの口金より引き
取り、ペレッタイザ−を用いてペレット化した。得られ
たペレットは平均直径0.8mm、平均長さ2mmのも
のであった。このペレットを沸騰している40g/lの
水酸化ナトリウム溶液に20分間浸漬後、実施例1と同
様に中和、洗浄してパルプ状物を得た。パルプ状物をS
EM観察したところ、粉末状物や塊状物は実質的に存在
しておらず、さらにパルプ状物は実質的に枝分かれを有
していなかった。平均直径は1.5μm(0.5〜4μ
m)でありパルプの長さは2mm前後であった。かかる
パルプ状物を用いた以外は実施例1と同様に行った。結
果を表1に示す
【0055】[実施例5]海成分として、溶融液晶性を
示さない熱可塑性ポリマ−(ポリスチレン:旭化成株式
会社製「シュタイロン679」)を用いた以外は実施例
1と同様に、1500d/100f、島数約300個の
海島繊維を製造した。得られた海島繊維をカッタ−を用
いて繊維長約1.5mmにカットした後、室温でトルエ
ン中に1時間浸漬した。トルエンは、溶融液晶性ポリエ
ステルに対して貧溶媒であり、ポリスチレンに対して良
溶媒である。次にこれをガ−ゼ上に移し取った後に30
分間水で洗浄し、平均直径約1μ亜m(0.2〜5μ
m)、カット長1.5mm前後のパルプ状物を得た。か
かるパルプ状物には、粉末状物や塊状物は実質的に含ま
れていなかった。該パルプ状物を用いて実施例1と同様
に行った結果を表1に示す。
示さない熱可塑性ポリマ−(ポリスチレン:旭化成株式
会社製「シュタイロン679」)を用いた以外は実施例
1と同様に、1500d/100f、島数約300個の
海島繊維を製造した。得られた海島繊維をカッタ−を用
いて繊維長約1.5mmにカットした後、室温でトルエ
ン中に1時間浸漬した。トルエンは、溶融液晶性ポリエ
ステルに対して貧溶媒であり、ポリスチレンに対して良
溶媒である。次にこれをガ−ゼ上に移し取った後に30
分間水で洗浄し、平均直径約1μ亜m(0.2〜5μ
m)、カット長1.5mm前後のパルプ状物を得た。か
かるパルプ状物には、粉末状物や塊状物は実質的に含ま
れていなかった。該パルプ状物を用いて実施例1と同様
に行った結果を表1に示す。
【0056】[比較例1]実施例1で用いた溶融液晶性
ポリエステル短繊維(3d)をリファイナ−を用いて叩
解し、強い剪断力を加えることによりフィブリル化して
パルプ状物を得た。かかるパルプ状物を走査型電子顕微
鏡で観察すると、部分的には直径1μm程度のパルプ状
物もあるが、直径及び断面形状が不均一であり塊状物や
粉末状物が混在していた(図2参照)。このパルプ状物
を用いた以外は、実施例1と同様に抄紙を行ったが、塊
状物が混在するため抄紙性に劣り、得られた紙も地合が
悪く、空隙が多数存在するため絶縁性も低いものであっ
た。結果を表1に示す。
ポリエステル短繊維(3d)をリファイナ−を用いて叩
解し、強い剪断力を加えることによりフィブリル化して
パルプ状物を得た。かかるパルプ状物を走査型電子顕微
鏡で観察すると、部分的には直径1μm程度のパルプ状
物もあるが、直径及び断面形状が不均一であり塊状物や
粉末状物が混在していた(図2参照)。このパルプ状物
を用いた以外は、実施例1と同様に抄紙を行ったが、塊
状物が混在するため抄紙性に劣り、得られた紙も地合が
悪く、空隙が多数存在するため絶縁性も低いものであっ
た。結果を表1に示す。
【0057】[比較例2]紙基材として、市販のアラミ
ド紙(「ノ−メックス 2mil」デュポン社製)を用
いた以外は実施例1と同様に積層板を製造した。結果を
表1に示す。 [比較例3]実施例1で使用したAポリマ−を用いて、
ヘッド温度320℃、巻取速度1000m/minおよ
びドラフト25の条件で900d/300fのヤ−ンを
溶融紡糸した。このヤ−ンを津田駒工業社製自動織機で
平織りの織物(糸密度10本/cm)を作製し、10c
m×10cmに切断したものを実施例1と同様の方法で
エポキシ樹脂を含浸し積層板を作成した。ただし、該繊
維は高弾性率で破断伸度が約2.5%と小さく剛である
ため、経糸が切断して織物にするのは非常に困難であ
り、繊維がガイドを通過する際に毛羽が生じて品質の高
い織物は得られなかった。従って、エポキシ樹脂を含浸
させる際に、毛羽にたまった気泡が抜け難く十分に樹脂
を含浸するのは困難であった。結果を表1に示す。
ド紙(「ノ−メックス 2mil」デュポン社製)を用
いた以外は実施例1と同様に積層板を製造した。結果を
表1に示す。 [比較例3]実施例1で使用したAポリマ−を用いて、
ヘッド温度320℃、巻取速度1000m/minおよ
びドラフト25の条件で900d/300fのヤ−ンを
溶融紡糸した。このヤ−ンを津田駒工業社製自動織機で
平織りの織物(糸密度10本/cm)を作製し、10c
m×10cmに切断したものを実施例1と同様の方法で
エポキシ樹脂を含浸し積層板を作成した。ただし、該繊
維は高弾性率で破断伸度が約2.5%と小さく剛である
ため、経糸が切断して織物にするのは非常に困難であ
り、繊維がガイドを通過する際に毛羽が生じて品質の高
い織物は得られなかった。従って、エポキシ樹脂を含浸
させる際に、毛羽にたまった気泡が抜け難く十分に樹脂
を含浸するのは困難であった。結果を表1に示す。
【0058】
【表1】
【0059】
【発明の効果】本発明により、軽量で低吸湿性、耐熱
性、電気絶縁性に優れたプリント配線基板用積層板を提
供することができる。
性、電気絶縁性に優れたプリント配線基板用積層板を提
供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いられる実質的に枝分かれを有しな
いパルプ状物のSEM写真。
いパルプ状物のSEM写真。
【図2】成形物を叩解して得られるパルプ状物のSEM
写真。
写真。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B32B 27/04 B32B 27/04 Z C08J 5/24 CFD C08J 5/24 CFD
Claims (2)
- 【請求項1】 溶融異方性ポリエステルからなり、かつ
実質的に枝分かれを有しないパルプ状物を含む紙基材
に、合成樹脂を含浸・硬化させたことを特徴とするプリ
ント配線板用積層板。 - 【請求項2】溶融液晶性芳香族ポリエステルを島成分、
その他のポリマ−を海成分とする海島繊維を、長さ5m
m以下にカットする前又はカットした後に、海成分を溶
解及び/又は分解除去して得られるパルプ状物群を含む
紙料を湿式抄紙し、得られた紙に合成樹脂を含浸させて
積層成型するプリント配線板用積層板の製造方法。 【0001】
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19415595A JPH0923047A (ja) | 1995-07-05 | 1995-07-05 | プリント配線板用積層板及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19415595A JPH0923047A (ja) | 1995-07-05 | 1995-07-05 | プリント配線板用積層板及びその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0923047A true JPH0923047A (ja) | 1997-01-21 |
Family
ID=16319842
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP19415595A Pending JPH0923047A (ja) | 1995-07-05 | 1995-07-05 | プリント配線板用積層板及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0923047A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7820274B2 (en) | 2006-05-30 | 2010-10-26 | Nof Corporation | Prepreg and conductive layer-laminated substrate for printed wiring board |
CN102573276A (zh) * | 2010-12-14 | 2012-07-11 | 三星电机株式会社 | 介电层及其制备方法和包括该介电层的印刷电路板 |
-
1995
- 1995-07-05 JP JP19415595A patent/JPH0923047A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7820274B2 (en) | 2006-05-30 | 2010-10-26 | Nof Corporation | Prepreg and conductive layer-laminated substrate for printed wiring board |
CN102573276A (zh) * | 2010-12-14 | 2012-07-11 | 三星电机株式会社 | 介电层及其制备方法和包括该介电层的印刷电路板 |
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